大蔵委員会 第17号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1951/02/19
会議録
○小山委員長代理 これより会議を開きます。 去る十三日本委員会に付託に相なりました、公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、及び国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして、政府当局より提案趣旨の説明を求めます。西川政府委員。
○西川政府委員 ただいま議題となりしました公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案外一法律案の提出の理由を御説明申し上げます。 公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律には、従来予備費及び予算の繰越しに関する規定がなかつたのでありますが、今回これに関する規定を新たに設けまして、公団等の予算の執行を適正かつ円滑ならしめるとともに、その他條文の整理等に必要な改正を行おうとするものであります。すなはち予備費につきましては、公団等は予見しがたい予算の不足に充てるため、予備費をその予算に計上することができるものとし、大蔵大臣の承認を経て使用することができるようにいたそうとするもでのあります。次に予算の繰越しにつきましては、年度内に支出負担行為をなし、避けがたい事由のため年度内に支払いを終らなかつた支出予算は、大蔵大臣の承認を経てこれを翌年度に繰越して使用することができるようにいたし、昭和二十五年度分の予算から適用いたしたいのであります。 次に国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の理由を御説明申し上げます。 国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律は、昭和二十六年三月三十一日限りその効力を失い、昭和二十六年度以降においては、別に法律をもつて新たな恒久的な退職給与制度を制定実施することになつておるのでありますが、右恒久的退職給与制度実施準備の進捗状況にかんがみまして、とりあえず同法律の効力を一年間延長するため、所要の改正を行おうとするものであります。 以上の理由によりまして、この二法案を提出いたした次第でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを願います。 —————————————
○小山委員長代理 次に所得税法の一部を改正する法律案外七税制改正法案を議題といたしまして、引続き質疑を継続いたします。深澤義守君。
○深澤委員 所得税法の改正その他の法案が一括して上程されておりますが、その提案の骨子は資本蓄積と国民生活の安定であるということが、提案の理由に説明されております。しかし今の社会においては、資本蓄積ということと国民生活の安定ということは、どうも両立しない性質のものではないかというぐあいに考えておりますが、その点についての御見解をお伺いしたい。 (小山委員長代理退席、委員長着 席)
○平田政府委員 お話の問題はいろいろな考え方があるだろうと思いますが、大体基本的には、国民生活の安定も資本の蓄積も、やはり生産の増加と申しますか、生産の増加による国民実質所得の増加が前提であると考えます。国民所得が増加いたしますれば、その中のある部分は国民生活の向上に振り向ける、そしてある部分は資本の一層の蓄積に振り向けるということによりまして、両方両立し得るのではあるまいか。また資本の蓄積も究極におきましては、将来における一層の生産の増加、従つて国民生活の安定と向上をはかるものでございますから、そういう意味におきましては、なおさら両者は緊密な関係がございまして、むしろ相両立すべき性質のものではないか、私はかように考える次第であります。
○深澤委員 そうすると政府当局は、今度の資本蓄積措置によつて、概括的に言つてどの程度の資本蓄積ができるという見通しを持つておられるか。その具体的な数字をお伺いしたい。
○平田政府委員 その点は例の安本と大蔵省と協議して出しました二十六年度の資金計画、これを予算委員会等で御説明申し上げたかと思います。それによつて大要はおわかり願えるのではないかと思います。それぞれ産業の設備資金、運転資金等、相当な増加資金の需要がございますので、それに伴いますところの銀行預金の増加、あるいは会社の社内留保によりまする自己資金の調達の増加、その他各種の資金源によりまする資金供給増加等をはかりまして、今申し上げましたような趣旨の貫徹をはかりたい、このように考えております。その数字は、もしも必要でございましたら、あとで適当なときに御説明申し上げてよろしいかと思います。たしか予算委員会に大蔵大臣または安本長官から御説明になつたはずだと思つております。
○深澤委員 政府の資金計画の問題については、いろいろな数字をわれわれは資料によつて見ております。ただ問題は民間企業の中において、どの程度の資本蓄積が今度のこの措置によつて行われるかという具体的なものを見たいのです。それは先般ここで公述人が公述した中で、一橋大学の井藤教授から、大して資本蓄積の効果は上らないという御意見があつたようです。そういう点について、政府から民間資本の蓄積がどの程度行われるかという具体的なものを示していただかなければ、われわれこの資本蓄積という問題は納得が行かないわけです。この点はあとからでもよろしいから資料をいただきたいと思います。 その次には、政府の七百四十三億の減税を非常に大きく宣伝されておりますが、この七百四十三億の減税の内容を一言にして言わしむれば、国民所得の水増しによつて割出して来ておるということを相当の人が言つている。たしか昨年の九月二十二日の閣議決定、これは新聞にも発表されているわけですが、このとき今年の税收入は四千六百三十七億であるということが発表されておつた。その後ドツジ氏が参りましてからういわゆるインヴエントリー・フアイナンスの問題が起りまして、これが五百何十億かの必要が出て来たので、その後政府は今度税收入を五千百八十八億に引上げまして、その中からインヴエントリー・フアイナンスの五百何十億を出すような仕組みになつて来たように思うのです。その理由としては、もちろん国民所得の増額ということがその根拠になつているのでありますが、それはまつたく机上の操作であつて、実質的に国民生活の内容がよくなつて税收入がふえて来たということではなくして、インヴエントリー・フアイナンスの五百何十億をひねり出すために、こういう操作をやつているのだということは、経過的に考えることができる。この点についてひとつ平田さんの御意見を拝聽したいと思います。
○平田政府委員 今お話になりましたような感じを、予算編成の途上において一般に与えたきらいがありますことは、率直に申し上げまして私もこれを認めるのでございます。ただよく私どもの内情をお聞き願いますと、おわかりになるだろうと思います。と申しますのは、最初計画いたしましたときは、具体的に計数に現われておりました事実をもとにしまして、最初の計画を立てたのでありますが、それはおおむねやはり朝鮮動乱前の事情に相なりまして、動乱後の事情はまだあまり数字等に出て来ていなかつたのでございます。従いまして一応計算の基礎といたしましては、事実に基かないで計算いたしますことは適当でありませんので、それに基いてそれぞれ見積りも出し、あるいは計画もいたしていたのであります。ところがその後いろいろ審議しておる間におきまして、御承知の通り動乱後におけるいろいろな影響が、相当現われて来ているということがはつきりして参りました。それで最後にきめます際にお営まして、それらの最も間近の資料を集めましてそしてなるべく今後の事態に対応し得るような基礎的データはよつて、計画をつくりかえるということにいたしたのでございます。御承知の通り朝鮮動乱以後は生産等も急激に飛躍的な増加を示しております。それから物価も若干騰貴しております。消費者物価指数はほとんど上つておりませんが、生産財物価指数はある程度上つております。その他賃金もやはり徐々ながら上つておりまして、従つて最後にこの案をまとめた際におきましては、昨年の秋ごろの一番新しい情勢を織り込むということで実は計画を建て直した——というのは言い過ぎかもしれませんが、一番新しいものに計画をつくりかえたのでございます。そういたしますと、税の上におきましても、相当な自然増が出て来るというようなことが明らかになりましたので、そういう前提のもとにさらに減税計画等も再考いたしまして、妥当な案を作成いたしたような次第でございます。従いまして内容をごらんになればわかりまするように、私どもは現在の段階におきましても、決してこの見積りが水増しとは考えておりません。しかも大部分は生産の増加による増が大部分でございまして、営業所得の増、給料、賃金の増加——これも最近物価は昨年と比べて上らないで、給料、賃金はふえておりますが、これは私は主として産業の生産増加に依存したのではないかと見ておるのでありますが、そういう点から考えまして今度の見積りは、私ども今の状況から見まして、決して見積り過大とか水増しというようには感じておりません。これは相当確実な基礎があるというふうに実は考えておる次第でございます。なお常識では非常に一般的なのですが、繰返して申し上げますが、昭和二十四年の平均を一〇〇といたしまして、各種の指数がどう動いているかを見ますと、昨年の十一月ないし十二月の一番新しい資料によりますと、鉱工業の生産指数は一四八になつております。それで昨年一箇年の平均は上半期がそれほど上つておりませんので、二十四年に比べまして二十五年の年平均は生産が一二三、すなわち二三%出ております。十二月の水準は一四八という、二十四年平均に対しまして非常に高くなつております。それから全産業の賃金も御承知の通り二十四年の平均に対しまして、二十五年の十一月末までの平均は一一六・六、それから十一月の水準は一二五・三、これに対しまして消費者物価指数は昭和二十四年の平均を一〇〇といたしまして、昨年一箇年の平均は九三・五です。それから十二月の水準が九七・五ということになつておりまして、私どもこのような統計から見ますと、非常に最近経済が着実に発展しつつある。しかも実質賃金等もある程度上つておるということは、はつきり言えるのではないかと思います。このような最近の実績をもとにいたしまして、実は来年度もそれぞれ見積つたわけでございまして、どうも最近ややともすると、常識でちよつと考えますと違つたような感じを持ちますが、実態をよく調べてみますと、私ども国民所得の増等を適当に見積りますことは、決して過大見積りではない、このように考えている次第でございます。
○深澤委員 一応数字的な各種の経済指標から割出しますと、そういう議論が成り立つわけです。ところが具体的に朝鮮動乱を契機として、いろいろな特需関係があつたのです。ところがそれは繊維とかあるいは鉄鋼関係とか、そういうものは非常によかつた面があるわけです。ところがその後における特需関係に対しては、非常に不安を持つて来たという事実があるのです。特需関係の支払い関係あるいは原料高という問題が、非常にこれは問題になつているわけです。従つてこの特需関係というものも、ごく一部分の日本の産業の特殊な部門は、そういう所得の増大があつたのに、逆に犠牲になつている部分も相当あるということも言い得る。なお中共貿易の禁止によるキヤンセルという問題でも、相当広汎に企業の危殆に瀕しているような問題も出て来ている。ところが政府当局はそういうものはやはり平均にして、国民所得が増大したという形に割出して来て、そうして全部に平均にかけて来る可能性があるわけであります。そうすると一部の人たちはもちろんこの特需関係によつて恵まれ、負担能力もあるが、そうでない部分も相当あるのです。その部分はその犠牲になるという結果で深刻な問題が起つて来ると私は思う。そういう場合にただ経済指標だけで平均的にやられて、それを平均に国民の上にかけて来るというところに問題がある。政府は常に経済が安定しておる、正常な状態をたどつておるという反面、これは税金は納められない、あるいは原料高の製品安という形でもつて商売はやつて行けない、こういう危險がたくさんあるわけです。その具体的な事実をわれわれはキヤツチしなければ、決して税の公平の負担ということはできないわけです。こういう点について具体的なそういうでこぼこが非常にある。そのでこぼこを解決する道を考えなければ、いかにこういう経済指標から割出して、理論上から割出しましても、大きな弊害が私は起つて来ると思うのですが、そういうでこぼこを是正するという意味における何らかの大きな手を打たれない限りは、この税の問題は解決しない。その点についての御意見をお聞かせください。
○平田政府委員 お話のように、確かに朝鮮動乱以後非常に状況がよくなつたと申しますが、よくなつたところと、それほどよくならていないところとあると思います。ことに御指摘の繊維工業あるいは金属鉱山業という方面におきましては、顯著な立直りを示していることはお話の通りでございます。しかし全体として見ましてもやはり賃金も徐々に上つております。物価はさつき申し上げましたように卸売物価はある程度上つておりますが、消費者物価指数、貨幣賃金の所得者が購買する物資の総価格はそれほど上つていない。今まで比較的安定しておる。こういう事情がございまして、私は全体としましても、もちろん程度は違いますが、徐々によくなつて来ているというふうに最近までは感じております。数字はまさにそういうことを物語る数字がたくさんございまして、そういうところじやないかと思う。ただしかし、私ども実際問題といたしまして、たとえば課税にあたりましては、もちろんお話の通り個々の所得者、個々の会社、個々の事業者、それの所得状況をよく把握することに努めなければならないことは、これは言うまでもないところでございまして、よけいに利益を上げたところに対しましては、それに相当しまして適切なる調査をやりまして、相当な税金を納めてもらう。これに反しまして、それほど利益を受けてはおらない方面におきましては、所得をよく調べまして、それに応じた課税をして行くということに努力すべきことは当然であろうと思います。今日は営業所得の個人の調査方法等につきましても、以前からも申し上げておるように、なるべく個別的実額調査主義というものを強調しておりまして、できるだけ申告納税してもらう。やむを得ず更正決定する場合にも、よく個別的に帳簿書類で営業の実態等を調べました上で、妥当な結論を得て決定をいたして行く、そういうことにいたしておる次第であります。そういう点につきましては、御説の通り事情が必ずしも各産業、各農業者一律でございませんので、よく注意いたしまして、適正を期する必要は十分あると考えておる次第であります。
○深澤委員 そこで私は国民生活が非常に安定しておると言われるが、非常に困難な事実がある。その一つの裏づけとして相当の税金滯納があると思う。現在昭和二十五年度分の滯納と過年度分の滯納というものがあると思う。それはどの程度あるか伺いたい。
○平田政府委員 この資料は先般お手元にお上げしてあるのでございまして、予算委員会の要求資料として大蔵委員会にも提出したと思いますが、二十四年度以前の滯納税額が十二月現在で六百十四億二千五百万円、それから本年度、二十五年度におきまして新規に発生しました滯納額の十二月末現在が三百八十二億六百万円、このようになつております。
○深澤委員 それでこの滯納の内容は、どういう階層が非常に滯納が多いかという問題がおわかりになつたら、ひとつお聞きしたい。
○平田政府委員 これは御承知の通り大きいものも小さいものも、どうも滯納が一般的に多くて、特に顯著な傾向というものを申し上げることはどうかと思いますが、ただ一件当りの金額は、この資料に書いてありまするように比較的小さいのが多い。従いまして相当小さいものも多い。またしかし会社等で特別に事業の経営が、潤沢に行つていないもの等においては、相当多額の滯納を擁しておるものもあります。それからまた査察部で調べましたインフレ利得者というような連中に対しまして、更正決定しました額も、実際のところ相当滯納になつているのが多い実情でございまして、特別にこれという顯著な理由がございませんが、相当広汎な方面にわたりまして、滯納が多いというのが現状であろうと考えます。
○深澤委員 その滯納の原因はいろいろな原因がありましようが、どこにその滯納の原因があるかということを当局はおつかみになつておられますか。もしつかんでおられたらひとつ伺いします。
○平田政府委員 その点はおそらくいろいろ理由があると思いますが、二十四年下半期から昨年の上半期にかけまして、御承知の通り自由物価等が非常に顕著に下りまして、デイスインフレ政策にもかかわらず、実際には相当企業の整理等が行われたのは事実だろうと思いますが、そういう時代におきまして、いわゆる金詰まりといつたような現象と関連しまして、実際において税金の納付がむずかしかつたというのが、過年度から滯納が多い一番大きな理由だろうと思います。もう一つは、ことに二十四年度の税金は、御承知の通り超均衡予算ということを前提にして、税法の改正等も行わなかつた関係上、実際問題として所得税その他税法通り行けば、相当負担が重かつたというのも一つの理由たろうと考えます。それから第三の理由といたしましては、やはり金詰まりで資金繰りに困りますので、納税者も税金として納むべきものを納めないで、つい自己資金に使つてしまつた。生活費とまでならなくても、事業費に税金を先に使つてしまつたというものが相当に多かつたのじやないか、こういう所得者におきましては、無理して納めればあるいは納めていただくことができたのじやないかと思いますが、そういうのが金詰まり、金利高といつたような点からいたしまして相当原因しているのではないか。もう一つは、税務署等の調査の決定が必ずしも適切に行かないで、納税者の納税意欲を奮い立たせることにつきまして、あまり効果が上らなかつたといつたようないろいろの原因があろうかと考えます。それで政府としましても、いろいろその原因をよく調べまして、負担の過重な分につきましては、二十五年度、二十六年度引続き減税をやりまして、できる限り担税力に即応した税金にする。それから動乱以後、金詰まりにつきましても、基本事情は大分かわつて参りましたので、そのようなものに対しまして、それぞれ妥当な対策を考えて行くというので、滯納の整理にあたりましても、あくまでも一般的な税制で考えますと同時に、整理にあたつては、個別的に納税者の事情をよく調べまして、善処する考えで行つておるのであります。さらに焦げつきましてどうしてもとれそうもないものにつきましては、国税徴收法の改正法律案を今立案しておりますので、近くこれを提出いたしまして、あるいは分割なり、あるいは一時滯納処分の執行を見合しておくといつたような措置を講じまして、整理の促進をはかりたい、かように考えておる次第であります。
○深澤委員 最近私はある数種の雑誌でこういうことを見たのですが、国税庁は朝鮮動乱を契機として、景気の上昇による所得増を相当見込んで、三〇%ないし五〇%程度の所得の増を期待しておる。その方針で税務署にこの方針を出しておるようです。ところが下部の税務署は、とてもそうは行かぬということで、相当問題があるそうであります。業種別の立場から考えると、呉服販売なんかは六〇%の所得増である。あるいは洋服雑貨等は四〇%ないし五〇%増であるというような方針を、国税庁が示しておるということを私は聞いておるのでありますが、そういう方針をもつておられるのかどうか。
○平田政府委員 国税庁において、一律に業種によつて所得増を押しつけるというようなことは、私はしていないと思います。ただ全国的に、さつき申しました実額調査ということを実行いたしておりますが、この実額調査の結果を集計して参考資料といたしまして、さらにそれぞれその違つた国税局等に通報するといつたような措置は十分とつているかと思いますが、それをもつて非常にむずかしい基準にするような考え方はとつていないのではないかと思います。さつき申しましたように、あくまでも各納税者を個別的に調査いたしまして、その調査の結果に基きまして、正しい更正決定をするということに、最近は非常な力を入れまして進めているようでございますから、これは間違いないと考える次第であります。
○深澤委員 特に中小企業の最近における滯納は相当なものがあると私は思う。東京国税局の十一月の部分的な調べでもつてこういうことが判明しているそうです。二千五百人の納税者を調べたところが、そのうち千八百人が滯納者であつたということが雑誌に報じられているわけです。その原因は、四十数パーセントは金詰まりが原因である。あなたがおつしやつた通りです。中小企業にはそういう実態が非常に深刻な形で現われていると私は思うのです。従つて滯納の実態から考えましても、政府が楽観しておるような経済安定の姿ではなくて、非常に経済の不安定な姿が深刻に出て来ていると思うわけです。この滯納整理の問題について、平田さんも善処するというぐあいに考えられたわけですが、どうも末端においては滯納徴收を強行される傾向が多分にあります。これは農村におきましても、農機具が差押えられ、あるいは最近は土地、建物が差押えられているというような状況が非常に広汎に出ているわけです。こういうふうな強行方針をもつて、この滯納整理をやられるという方針が決定されているのかどうか。この点をひとつお伺いしておきたい。
○平田政府委員 高橋長官も見えておりますので、あとさらにお答え願うことと思いますが、さつき申しましたように、ことに古い滯納につきましては、納税者の個別的な事情をよく調べまして妥当な措置を講ずる。滯納したらすぐ差押えしてそれでうまく行くというような考え方は捨てまして、あるものにつきましては分納を認める。最近やつております一つの方法は、納税者ごとに滯納の総税額をとりまとめまして、納税者と税務署とよく話合いをいたしまして、一定のときに履行する。履行に違反した場合においては必要な措置を講じて行くといつたような、そういうやり方も試験的にやつているようでございますが、要するに納税者の実態に即するような措置を講じまして、滯納整理をやつて行くことに方針はなつているようでございますので、そういうことで行きますれば相当よい効果が上るんじやないか、かように考えております。
○深澤委員 そうしますと、私は所得税の問題について内容に入りたいと思いますが、基礎控除というものはどういう意味を持つているか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
○平田政府委員 これは説明と申しますとどうかと思いますが、たびたび本委員会におきましても議論のあるところでありますが、これはやはり一つは所得税といえども、国民のどうしても必要な生活費の部分はなるべく控除しまして、その部分には課税しないというのが一つの基礎控除の見方だと思います。しかしそれだけではなかなかきまりませんで、もう一つは、財政需要が所得税にどの程度期待せざるを得ないか。つまり税收入とのにらみ合いで、ある程度の彈力性のある額として考えなければならないのではあるまいか。もう一つは、徴税の実際の手続におきまして、あまり零細な所得に対しまして調査し、税金を納めてもらうというのでは、かえつて技術的におもしろくないのではないか。このような諸点をあわせ考えまして、そのときとしまして妥当な控除額をきめるというようなことが、基礎控除に関する主たる考え方の点じやないか、かように考えます。
○深澤委員 国民生活の安定という問題から考えれば、基礎控除は、もちろん生活の最低限度の必要を保障するという意味にならなくちやならぬと思うわけです。この基礎控除に一番税金が高くとられる原因があると思うのですが、これはなかなかむずかしい問題でしよう。一体今度の二万五千円を三万円にされた、あるいは扶養控除の一万二千円を一万五千円にされた、多少でもこれを引上げたことについてはわれわれは賛成なんですが、またこれはせんだつての公述人の人々のすべてが、この基礎控除が低過ぎるということを強調している。それでこれは今すぐかえるというわけには行かないと思うのですが、大蔵当局としてもそういうふうに基礎控除が国民の最低生活を保障する内容を多少でも持つておるとすれば、これは現在の段階において三万円ということは低過ぎるというぐあいにわれわれ考えるのですが、大蔵当局もこれは非常に低過ぎるというように考えているんぢやないですか、どうですか。
○平田政府委員 基礎控除が幾らが妥当かということは、これは具体的に申しますとなかなか実はむずかしい問題でございます。今深澤さんも最低生活とおつしやいましたが、最低生活というのは一体どういうことか。これはなかなかむずかしい問題で、最低賃金の議論などを聞きましても、これは簡單に出て来る問題ではないと思います。従いましてそこは常識的にきめるよりほかないと考えられますが、そういう点から考えますと、私ども最近の国民一般の生活水準、戰前との比較、ことに戰後における移りかわり等を考えまして、この際としましては三万円くらいの基礎控除が妥当ではあるまいか。もちろん財政需要がさらにずつと少くて、所得税の收入に期待することが少いというような場合におきましては、あいはこれはできるだけ上げた方がいいと私は思いますが、今としましてはこの程度で妥当ではないかというふうに考えております。それとこの基礎控除だけでなくて、実際は世帶につきましては扶養控除と一緒に控除の問題を考えていただきたい。免税点も実は三万円ではないのでありまして農家の場合、営業者の場合等におきましては、家族数がたとえば四人、五人とおりますれば、それぞれ実は十万円前後まで控除が行われるということになるのでございます。勤労者の場合も同機でございますが、そういう点から判断しなければならぬと思うのでございます。従いまして私今この控除がすぐ引上げなければならないほど低いものとは考えません。もちろん財政需要が許せばもう少し上げた方がいいだろう、しかし今としてはこの程度で妥当であろう、こういうふうに考えておるわけであります。
○深澤委員 そこは見解の相違にしておきます。それで保險の控除の問題ですが、生命保險を控除するということについてもわれわれは異議ないのです。しかしそれと同時に健康保險あるいは厚生年金等の掛金に対する控除の問題です。これは昭和二十二年度まではやつておつたと思うわけです。これはけさの新聞にも出ておつたわけですが、この点はどうして生命保險だけを控除されて、健康保險やあるいは厚生年金の掛金等の控除はされないのか。これは非常に不公平じやないかと思うのですが、どうですか。
○平田政府委員 これは御承知の通り今度は主として所得税で控除しますのは、保險の奨励をはかると申しますか、保險の形によりまする資金の蓄積をはかると申しますか、そういうところに非常に重点を置いておるわけであります。従いまして任意保險に限ろうという考えであります。これが一番大きな理由でございます。 それから強制保險を全部引くということになりますと、結果におきましてはそれだけ基礎控除を上げるのと実は同じであります。それから勤労控除の一割五分がございますが、こういう問題をどうするか。それとあわせて考えなければならない。また国庫の收入も相当減ることになります。従いまして、この問題はもう少し将来研究してみたらどうか。今としましては、さつき申しましたように、主として生命保險による資金蓄積の増加という見地でございますから、任意保險に限ろう。そうしまして、それによつて極力生命保險の増加に資するようにしよう。こういう点に特に力を入れまして、任意生命保險に限るようにいたしておる次第でございます。
○深澤委員 どうも私は今の見解は通じやないかと思うのです。任意保險の基礎控除はする、強制的な保險の方の控除はしないということは、これは非常に均衡を失するというふうに考えるわけです。この点は見解の相違ということにいたしておきます。 法人税の問題でありますが、今度の法人税の改訂が資本蓄積の目的で行われているわけですが、この積立金に対する法人税の課税を廃止したいという根拠をひとつお伺いしたい。
○平田政府委員 これはもう提案理由でも説明しておりますし、できる限り会社の社内留保を多くしまして、それによつて会社が自己の收益の中から必要な設備拡張、あるいはたなおろし資産の増加、運転資金等に充てることができるようにという意味で、暫定的に積立金課税を廃止しようという考えでございます。これによりまして、社内留保を極力多くしようという考え方であります。
○深澤委員 これは個人の企業に対してもこういう制度を準用されるかどうか。その点はどうでありましようか。
○平田政府委員 個人の企業におきましては、特別に積立金に対して課税するような制度がございませんので、このような制度を設ける余地がちよつとないかと思います。
○深澤委員 それから新規とりつけの特定の設備に対して、減価償却を五割増すということですが、これはどういう機械あるいはどういう産業というふうに、ほかの特定の政令か何かできめる方針を持つておられるのですか。
○平田政府委員 お話の通りであります。目下通産省と具体的に研究中ですが、日本の産業の近代化に必要と考えられるような機械設備、そういうものを各産業ごとに調べまして、それを指定して参りたい。ただ船舶は、遠洋航海に耐え得る船舶につきまして、この措置を適用することに考えたい、かように考えておるわけであります。
○深澤委員 これは今研究中とおつしやるが、すでに法案が出ておるのでありますから、ある程度の研究の結論がおありになると思うのです。たとえば産業とすればどういう産業か、あるいは設備とすればどの程度の設備かというような、大体目安がおわかりになつていると思うのですが、その点をひとつ……。
○平田政府委員 今の点は技術的に相当こまかい問題になりまして、先般も通産省と打合せたのでございますが、産業でまず限定いたしまして、さらに機械設備で限定しよう。産業につきましてはたとえば鉄鍋だとか、肥料工業、化学工業の一部といつたような基礎的な重要産業につきましては、できる限り機械の内容を広くする。しかしそれほど重要でない産業につきましては、きわめて特殊な能率増のための機械等に限るというような趣旨で、目下案を作成いたしております。機械設備の種類だけこまかくやりますと、何百種類ということになるようでありますが、これは調査の便宜もありますのでなるべく簡略にして、目的を達成するような方法を目下研究中でございます。もちろん改正は三月一ぱいに切り上げる予定でございます。大体今申しました趣旨でなるべく妥当なものを決定するようにいたしたい、かように考えております。 〔委員長退席、西村(直)委員長代理着席〕
○深澤委員 この問題は共産党はこう考えているわけです。特に軍需的な産業にこれを適用するのではないかというふうに、われわれは考えておるのですが、今言う十大産業、それから機械の近代化といつても、特に外国から持つて来た機械というようなものに適用するのではないかと考えておるのですが、その点はどうですか。
○平田政府委員 特に軍需的産業も日本の国内ではないと思いますが、特に軍需的産業に限るという趣旨はないと思います。これは日本の産業の発展に必要な基幹産業一輸出産業、もちろん民需品の生産事業等におきましても、それぞれ機械設備等につきまして、この際相当とりかえをして近代化をはかる必要のあるものにつきましては、相当広く考えたいと思つております。
○深澤委員 その設備は国内産あるいは外国産というような差別はなく、全部に適用することになりますか。
○平田政府委員 その通りであります。
○深澤委員 その次に見返り資金の所有優先株式に対して利益配当をした場合には、それを所得の計算上損金に算入するという問題があるのです。この点はどういう理由に基くのか、その点をひとつ説明してください。
○平田政府委員 今の点は先般お答えしたのですが、これは見返り資金の資金コストをできるだけ下げまして、それだけ資金の有効化をはかろうというのが主たる趣旨でございます。
○深澤委員 それでは再評価の問題についてちよつとお伺いしたいのですが、去年やりました再評価が、政府の最初の見込みとは非常に違つて、能率が上らなかつたということが言われているわけですが、一体最初の計画と実際に行われた再評価はどのくらいか。そして非常にうまく行かなかつた原因は一体どこにあるのか。この点をひとつ伺いたい。
○平田政府委員 数字は再評価の関係はなかなか複雑でありまして、一ぺんで簡單に説明できるような資料はないのでございますが、先に私の調べておりまする結論を申し上げますと、大体再評価をやります前後までに相当程度收益状況がよかつた企業、そして将来に対しましても收益について相当明るい見通しを持つておつた事業、こういう事業は率直に申し上げまして、相当再評価をやつておるのでございます。たとえば紡績業、紙、パルプ業、化学工業の一部その他、これらの産業はやはり私ども最初期待しました程度、あるいは、場合によりましてはそれ以上にやつている業種も相当あるのでございます。これに対しまして、その当時までまだ見通しが十分つかなかつた事業、なかんずく重化学工業にそれが多いと思いますが、重化学工業、金属工業、機械工業、こういう方面におきましては朝鮮動乱前の事情が主たる事情でございましたので、收益につきまして実はあまり自信がなかつたようでございます。そういう事業は、どつちかと申しますと比較的低い再評価をやるか、あるいはやらなかつたものもあるようであります。従いまして、この際再評価の機会をもう一ぺん与えるというのは、主として後者の事業につきまして、ここでもう一ぺん与えることにするならば、相当な再評価益を出しまして、それによつて適正な減価償却をして行くことが可能と考えられまして、そういう機会を与えるというのが主たることと考えます。 それともう一つ、全体としまして再評価の成績が惡いと言つておりますが、数から申しますと実は中小の法人が多い。この中小の法人の相当大きな部分は戰後にできました会社であります。この会社は資産がすでに相当高くなつておりますので、あまり再評価する必要はない。ただ税金の関係で、再評価をやつて、はたして得か損かわからないというような向きがなお若干あつたようですが、そういう会社は再び機会を与えますと、よく研究してまたやることになりまして、それによつて目的をうまく達成し得るのではないか。そういう点を考えまして、この際再びやろうという考えでございます。
○深澤委員 大体政府の見通しは、約四十五万くらいある法人の中で、どのくらいやることを期待しておるのか、その点をひとつお伺いしたい。
○平田政府委員 これは数から申しますと、今申しましたように相当戰後の新会社が多うございますので、私はあまりどの会社もやるというようなことには行かないのじやないかと考えます。今的確なところ何パーセントというようなところは申しにくいかと思いますが、実際やりましたのは、会社の場合でございますと、数が二十一万五千八百五十九ありますが、そのうち再評価いたしましたのが三万三百二十七という状況であります。しかしこの二十一万五千八百五十九のうち、たしか半分程度が戰後できた会社であつたと思います。従いまして数から申しますと——もちろん今度私はもう少しやると思いますけれども、それほど数にはとらわれる必要はないのじやないかと考えております。
○深澤委員 揮発油税の問題ですが、今年の課税の見込み数量が四十四万四千キロリツトルという。これは私もよくわからないのですが、日本で生産されそして日本で消費される揮発油に対する課税ということになると思うのですが、相当占領軍等も使つているわけなんです。その方の関係はどういうぐあいになつておりますか。この点をひとつ伺いたい。
○平田政府委員 占領軍の使つているものにつきましては、内国消費税は課税いたしておりません。その他のものでございます。
○深澤委員 四十四万四千キロリツトルというものは、全部日本の国内で消費するというようにただいま承知するわけですが、そうするとこの揮発油税の税率は、今までの一キロリツトルに対して一万六千八百九十円であつたのを一万一千円というぐあいに、非常に大幅な値下げをしているわけです。これはどういう理由に基くのか。その点をお伺いいたしたい。
○平田政府委員 これは御承知の通り、前国会で法律案もすでに通過して、その際御説明申し上げたのでございますが、ガソリンはやはり相当バスとかトラツクとかいうものに使われておりまして、その方の運賃コスト等の関係を考慮いたしまして、この際としては引下げた方がいいのじやないか。ことに代用燃料等の値段が、最近ガソリンに比べまして値下りを示して来ましたので——最近は若干反騰しておりますが、引下げた方が妥当じやないかという趣旨で実行いたした次第であります。
○深澤委員 国税庁長官に対してお伺いしたいのですが、最近農業関係で、農機具あるいは土地建物に対する差押えがあるわけです。しかし農機具等を差押えるということは、生産や供出の阻害になると思う。また住居、土地というものに対して差押えをするということは、農業生産に非常に大きな影響を与えると思うのですが、これが非常に広汎に今行われているわけです。国税庁としては、そういうものまで積極的にやるようにという強硬方針を出されておるのか。その点をひとつお伺いします。
○高橋(衞)政府委員 御承知かと思いますが、農機具は選択差押え禁止物件になつております。言いかえますると、他に適当な差押えをする物件がないときには、農機具も差押えしてよろしいという建前に相なつておるのであります。しかしながらそういう性質の物件でありますので、できるだけこれを避けるというように指示いたしておるのであります。たまたま物件の隠匿その他のことがありまして、惡質のものと認められた場合においては、やはりそこまで及ばざるを得ないということもあり得るかと思うのであります。また農地に関しましては、農地改革後これが処分または換価の方法が非常に困難でありますために、法律上はこれが差押えまたは処分を全然禁止されておりませんけれども、そういうふうな関係上割合これの差押え等が行われておらないのが実情であると考えております。従つてまた特にそういうふうなものに集中して、差押えを強行するというような方針を指示したことはありません。
○深澤委員 土地はまつたく今おつしやる通りで、これは広範囲にはないわけです。しかし非常に少数ありまして、われわれも農地改革の結果、不動産として全然移動を禁止されている土地に対する差押えということが、千葉県にあつたわけですが、こういう問題が起つて来ているわけです。特に新潟県巻税務署のごときは、この農機具に対する選択的な処置でなくして、頭からやつて来ているという事実が非常にあるわけです。それから家屋に対する差押えも、その差押えされる納税者に対して十分なる折衝もなしに、ちよつと来て、そうしていつの間にか差押えして通知が来る、こういうようなことが静岡県、新潟県等にありますし、山梨県にもそういう問題があるわけです。これは一方に農業増産ということを叫びながら、一方にはその農業増産をまつたくはばむような状態が各地に起きているわけです。こういう点について、農業の生産を阻害するような差押えは、まつたくやめてもらいたいというぐあいにわれわれは考えております。特に農村においてはこういう問題が非常に深刻な問題となつて現われて来ているわけです。特に新潟県の巻税務署は、これはくどいように言うのですが、非常にその事実が顯著でありまして、そういうことについて、しばしば陳情も行つていると思うのですが、国税庁としてそういうことをどういうぐあいに処理されているかお聞きしたい。
○高橋(衞)政府委員 卸承知かと思いますが、農業関係の納税の割合は割合良好なのでありまして、全般的には農村においてそれほど滯納処分をしなければならないというような、必要に迫られている地方は多くないのであります。しかしながら農村のうちにも、地域的に非常に納税思想が惡くて、どうしても強行処分をとらなければ納まらないという地方がありますので、そういう場合におきましては、法律上当然認められておりますところの財産、または物件を差押えをすることは、これはやむを得ない事柄であろうかと思うのであります。しかしながらそういう場合におきましても、事前に何回も督促または催告等の方法によつて、いろいろとお納め願うように御注意もいたしておりまするし、突然とお話になりまするけれども、おそらくはそういうような税については、納期を過ぐるごと相当経過したものが多いのではないかと思うのであります。私どもといたしましては、できるだけ意を盡して十分に御納得を得て、しかもなおお納め願えないという場合においては、最後の手段として強制処分をなさざるを得ないというぐあいに考えておる次第であります。
○田中(織)委員 今深澤委員から質問になりました農地の差押えの問題、高橋長官はほとんどそういうことはレヤー・ケースのようにおつしやつたのですが、これは大阪国税局の管内ではかなり広範囲に行われておるのです。これは去年の夏国政調査に私兵庫県の龍野税務署へ参りましたときに龍野の税務署で相当広範囲に農地の差押えを行つておる。しかもその説明によると、これは女の子でも簡單にできる。税務署の中で、とにかくこれは書類の手続を登記所へとればできる問題だ、こういうことを、そのときの税務署長の名前は私は今ちよつと記憶にありませんけれども、はつきり言つておるのであります。そのことが農地に対する農民の生産意欲を、非常に阻害していることに相なつているのであります。元来農地改革の進行途上において、農地に対する差押えの問題については、これは農地改革の進行上やらないという建前であつたのでありまするが、そのことについてもやはりこれは農林省の、たしか農務局長——次官通牒まで行つていなかつたと思うのでありますが、これは平田主税局長もここにおられるのでありますが、農地の問題について大蔵、農林両省間において、これはどこかの税務署からの照会によつて、大蔵省の主税局長から農務局長に問い合せまのたときの面答が、この農地に関する差押えの一つの根拠のように、龍野税務署長は説明しておつたのでありますが、こういうことは、もちろん非常に惡質の場合に、ことにまた法が積極的にこれを禁止しておらないという建前で、やつてもさしつかえないのだということは、法理上は言えるかと思うのでありますが、これはやはり農民の生産手段で、片方に国の大きな政策としての農地改革ということを遂行しておる見地から見るならば、こうした農地に対する差押えという形の徴税の強行は避けてもらいたいと思うのであります。先ほど長官がほとんどやつておらないというふうにおつしやられたのもありますが、大阪国務局の管内でわれわれ農村へまわりますと、しばしばそのことについての陳情を受けるのでありますが、重ねて高橋長官の御所見を伺つておきたいと思います。
○高橋(衞)政府委員 昭和二十二年の農地改革の当時、お話の通り他に差押え物件がある限り、できるだけ農地の差押えは避けるようにという通牒を出しているようであります。われわれといたしましては、農地の差押えをすることによつて実收を上げることはなかなか困難でありますので、そういうふうな面からもできるだけ避けたいという趣旨をもつて、指導して参つているのであります。しかして昨年国政調査の際における大阪局管内の特殊の事例についても、私は耳にしているのでありますが、それはむしろ私どもはこういうふうな批判をしているの噂あります。実際その滯納者の家に臨んで、具体的に物を差押えするということは非常に困難でありますので、しかも何とかして努力いたしたいという熱心さのいたすところでありましようが、そういうふうな関係から、差押えをやつた件数を多くするような傾向もあつたのじやないかと考えまして、そんな点の調査を命じておつた次第であります。しかしながら他の地域においては、私どもはそういうふうなケースはほとんど聞いていないのであります。
○西村(直)委員長代理 深澤君にお伺いしますが、ほかにまだ一、二質問の御希望者がありますから、その点をどうぞ……。
○深澤委員 簡單にやります。それからこれは新聞でも問題になつているのですが、例の日発の隠し利益という三十六億の問題があつたのです。あれは税務当局としてはどういうぐあいに考えておられるのか。あれに当然課税すべきものであるというふうにわれわれは考えているのですが、どうですか。
○高橋(衞)政府委員 先月の中ごろでありましたが、日発総裁の談話が新聞に発表になつたのでありますが、その翌日日発の総裁がすぐ見えまして、そして会社内部においてこういうような含み利益があることを発見したから、これについてはただちに修正申告をいたしたいという話があつたのであります。しこうして実は日発につきましては当初の考課表、新聞等に発表になりました利益が、昭和二十五年の三月末日までの事業年度につきましては、公表された利益が二億四千五百万円でありましたが、税務署に申告された利益は十七億四千六百万円になつておるのであります。しかしてその後先般小坂日発総裁の発表等に伴つて、さらに追加して申告されました金額が、当初の申告十七億四千六百万円を修正いたしまして、三十四億五千八百万円として申告された次第であります。小坂総裁の発表の分にあるところの三十六億円のその他の部分につきましては、これは二十五年の四月以降の年度にわたる分であると考えるのであります。
○深澤委員 この日発の問題に端を発していろいろな問題があるようですが、日発を調査した公益事業委員会の監理課員が、利益を隠すことは脱税になるが、一般会社の経理技術としては常識であるというぐあいに今言つておるわけです。これは雑誌に載つたいますが、こういうところに相当の脱税問題があると私は思うのです。これは各会社の経理技術の常識になつている、こういうことすら公の横関である公益事業委員会の監理課員が言つているわけです。こういう問題について税務当局はどう考えられておるのか、ひとつその点をお聞きしたい。
○高橋(衞)政府委員 二十三年の八月から査察の制度を開始いたしまして、その後これが拡充をはかつて参つたのでありますが、この査察の対象といたしましては、そういうふうな相当巨額な脱税を包容すると認められるものについて集中して、脱税の摘発をして参つたのであります。しこうして昭和二十二、三年ごろにおきましては、そういうふうな傾向が相当あつたのでありまするけれども、査察が強化されるに従い、また税法等も合理化されるに従いまして、その後会社側から自発的に修正申告をせられるものが非常に多くなつて参りまして、ただいまにおいてはかくのごとき大きな、何と申しますか、含み利益と申しますか、課税の対象となるべき所得が隠されていると思われるものが、そう一般的にあるというふうには私ども見てないのであります。いま一つつけ加えておきたいと思いますが、一般に公表されるところの利益と税務署に申告されるところの利益は、普通の場合相当大幅に違つております。少くともわれわれ税務署に対しては、大きな会社におきましては最近非常に申告成績がよくなりまして、ほとんど税法にのつとつたところの正しい申告がなされているものと見ている次第であります。
○西村(直)委員長代理 松尾委員。
○松尾委員 私の質問はむしろ大臣にお伺いした方がいい点が多いのですけれども、なかなかお見えになりませんから、きようからしてみようと思います。質問は、政府は今回七百四十三億の減税を行つたといつて非常に公約を履行したようなことをおつしやつておりますけれども、これが租税の收入の方を見ますと、二十五年度の四千四百五十億六千五百万円に対し、二十六年度の四千四百四十五億何がしというもの、これと差引きしますと五億六千百万円でありまして、税の負担者側からいいますと、これは税措置で生れた七百四十三億円云々でなくして、負担が去年と今年はどう違うかということを聞きたがつておるのじやないかと思うのです。この予算面からいえば、国民負担が昨年と二十六年度とは同じくらいに思うのですけれども、いかがですか。
○平田政府委員 今の点は大分先般来私からもお答えした点でありますが、もう一ぺん要点を繰返しておきますと、そういう税額は予算で比較しましてお話の通り同様でございます。問題は所得がふえておるということだと思います。国民所得は二十四年、二十五年一二十六年と相当増加を見込んでおります。しかもこれは大部分が生産の増加に基くものでありまして、実質的な所得の増加であります。それに対応します税の負担がどうなるかというのを見るのが、一つの見方じやないかと思います。そういう点から見ますと、二十四年度が先般申し上げましたように、国民所得二兆八千七百四十七億に対しまして、税金の総額が国税、地方税、專売益金を加えまして七千八百八十八億七千万円、その比率が二割七分四厘であつたのでございます。それが二十五年度におきましては国民所得が三兆三千百四十億、これは最近の安本の見積りになるかと思います。それに対しまして税金が七千四百八十九億六千五百万円で、二二・六%になるのでございます。それに対しまして、さらに来年度といたしましては、これも最近の安本の見積りによりますと、国民所得が三兆八千四億ですか、それに対しまして税金の総額が七千六百七十億八千九百万円、二〇・二%という負担になるのであります。私どもは税法の改正によりまして、このような結果になつたということは、これはとりもなおさずやはり実質的な意味における減税であると考えております。なおこれに対しましては、いろいろな見方があると思いますけれども、いかような御質問がありましても、またそういうふうにお答えいたしたいと思います。
○松尾委員 今のお話でいろいろ数字を伺いましたけれども、国民所得の増加ということ、それに対して生産の増強だとおつしやいましたけれども、結局私から言わせますと、一般国民の中にはこの生産増強から得る收入が一般的でないと思うのです。というのは、今原料は高いけれども製品にして店に出すと売れない、こういうかつこうになつて、もとがどんどん上つている関係から、そのもとと関連した商売をしておる人だけは多くの收入を得るけれども、その他の多くの国民は收入はむしろ昔のままで、そのかわりに外国の余波を受けて衣料あるいはその他日常必需品が上つておりますので、今の労働賃金ではちよつとやつて行けないじやないかというところに来ておると思うのです。従いまして担税力が去年よりも落ちておるということになるし、税金は同じだということになりますから、結局は非常に大衆に過重になるのではないか、こういうふうに思われるのです。それで收入のふえる点というものがある一定の階層にあつて、多くの国民は生活必需品の値上りから来る苦しさで担税力が下つておる。それでこうした税金がとれないのではないかということなのですけれども……。
○平田政府委員 今の点も先ほど大分御説明申し上げましたが、数字をひとつ申し上げます。生産がふえてないとおつしやるのですが、非常にふえております。昭和二十四年の平均を一〇〇としました鉱工業の生産指数ですが、それによりますと二十五年一ぱいで二三%ふえておる。それから去年の十二月の水準は一四八という高さにある。私どもはこの水準が持続し、もちろん本年もなお若干向上する。向上するためにあらゆる政策をやるということになつておるわけでございますが、これは私ども率直に申しまして、最近の実績は明らかに生産が増加して来たし、今後し得るということを物語つているというふうに考えます。しかしその問題にいたしますと、原材料の輸入確保といつたような相当大きな問題があることは、これはもちろん率直に認めるのでございます。そういう方面につきまして万全の措置を講じますれば、これは相当ふえて行くのではないか、こういうふうに見ております。 それからもう一つは、物価ですが、物価にはいろいろな物価がありますが、一番代表的な物価は、松尾さんも御存じのCPIだろうと思います。ことに一般の勤労者の家計費等に影響するものはCPIですが、二十四年の平均を一〇〇といたしまして、去年の十二月が九七・五、むしろ二十四年の平均にしますと、朝鮮動乱後少し上つておりますが、なおまだ低い。これに対しまして、労働省で調べております全産業の支払い賃金ですが、この賃金は二十四年の平均が八千十九円、それに対しまして昨年の十一月—十二月は特別ですから十一月をとりますと、一万五十一円ということになつて、やはり二割五分程度高くなつております。従いましてこのような点から行きますと、私どもは、やはり最近までの足取りは、実質賃金は相当増加している。これははつきり数学的に明らかであると思うのでございます。物価の動向につきましては、なかなか予定しがたいところがございますが、政府はあらゆる努力を払いまして、安定をはかることにいたしておりますし、ことに若干の基礎物資の価格が上りましても、食糧その他一般の生活必需品の価格が上りませんと、CPIはそれほど上りません。そういう点から行きまして、私どもはこの好ましい傾向を極力持続するように政策を立てて行くし、またそのことは不可能ではないというふうに今考えておるのでございまして、このような点から考えましても、少くとも最近までのこの数字に現われた実績をもとにする限り、相当の減税になるということは、これは私ども事務的に考えましても、そう考えている次第でございますことを、重ねて申し上げておきたいと思います。
○松尾委員 主税局長は減税とおつしやいますけれども、私は自分で身をもつて感じているのですが、なかなかふえているのです。それで私の立場からいいますと、ほんとうに国民の税負担を軽くするということは、基本的には歳出が少くならなければ、とてもこれはほんとうに減税になる問題じやないと思うのです。租税上の問題では、数字的、観念的には伺いますけれども、現実的な国民負担の軽減ということは、やはりそこにあるのではないかと思うのですけれども、この点いかがですか。
○平田政府委員 租税の絶対額が総額で減るということになりますれば、その方がもつと望ましい、こういう意味におきまする御議論ならば、これは私も別に反対するものではございません。しかし国民の所得が生産の増加等によりましてふえるということは、とりもなおさず担税力が増加するわけであります。それに伴いまして租税の自然増加が出て来る。これはほんとうの意味の自然増加でありますが、自然増加の分を税法の改正によつて減じてしまう。額はもとの額と同額にとるということになりますと、増加しました担税力に対しましては、納めてもらう総税額は、比率から行きますと下るわけであります。これはとりもなおさず逆に申しますと、国民の税を払つたあとの残りの手取りの実質賃金は増加することになりまして、このような税法の改正を行うことは、学問上からいつても実質的減税だ、こういうふうに考えるのでございます。その辺は私どもこの際はつきりいたしておきたいと思います。
○松尾委員 今の話でないのですけれども一部所得が非常にふえる人と、それからふえない人がありますので、私はそのふえない大勢の人のためには、今度の減税はもつとしなくちやいけないだろうというところにあるのです。それと同時に、今の段階では減税にな十五年度より重くなるのじやないかというふうに考えられるのです。その一つの例を申し上げますと、專売益金なんですが、この專売益金が二十五年度において、当初予算では千二百億が計上したと思うのです。けれどもタバコは押しつけて税金をとるものではなしに、買つてくれなければそれだけで、收入がはかれませんで、補正でたしか八十億切捨てたと思います。こういう例がございますので、今年の一千百三十八億何がしというものはおとりになれるのでしようか。しかも四月からは値段も下るし、製造本数も比較的昨年より多いというわけではございませんし、二十五年度が七百八十億本で、二十六年度が八百二十億本となると、とてもこの数字はとれなくなるのじやないかと思います。もしとれない場合には補正で切捨てるとか、あるいは他の水増し増徴でとるということになると、国民生活の税金の上にどうも了解できないのです。国の政治が計画を立ててやると同じように、一人々々の生活の計画を立ててやらないと、突然に税金が来ると、まことに面くらうので、私は心配するのです。
○平田政府委員 お話の点、私どもも所得の増加がどこもここもまんべんなくするということは、必ずしも申し上げておるわけではないのでありますが、概して言いますと、一般的にやはり増加の傾向にあるということは言えると思います。課税にあたりましては、もちろん先ほどもお答えしましたように、それぞれ所得者の個別的事情をよく把握いたしまして、各所得者個人々々に即応するような調査及び決定をやつて行きたいという考えでございます。 (西村(直)委員長代理退席、委員 長着席〕 なおそれから今お話のタバコの收入の見積りの点でございますが、これは私所管が違いますので、はつきりしたことを申し上げるのはどうかと思いますが、酒の例をもつてしますと、タバコは光、ピースを三十円、四十円くらいに値下げした方が、タバコの收入がかえつてふえるのじやないか、数量が増加するので、値下げをしても若干はむしろ増加し得るという傾向にあるのではないかと思います。国民所得の増加等が期待できない場合におきましては、これはまた相当問題があると思いますが、ある程度国民所得が増加し、しかもタバコの生産量がふえるということになりますと、大体予算に計上した額の程度は、私も確保できるのではないかと考えております。しかしもちろんこれができないということが途中でわかりますと、それはわかつたのに応じて修正すべきことは、昨年の例によりましても明らかなように、やぶさかでないと思います。ただこの結果、ほかの税金を適当に水増してとるのじやないかということでありますが、こういう議論だけは、少くとも大蔵委員会ではなさらないようにしていただきたいと思います。たびたび申上げております通りに、税金はあくまでも税法に従つて、各納税者の個別的事情に応じて、必要な納むべき税金を納めてもらう、役所の方も法律に従つて決定をして納めてもらうということになりますので、そういうことは全然杞憂と考えますので、御了承願いたいと思います。しかしもちろん税の收入の際におきましては、将来予測した情勢と相当かわつて来ました場合におきましては、それはそのときにおきまして必要な補正等を加えることがあることは、これは過去の例においても示す通りでありまして、その際に修正を加えたから、ただちにそれが減税だ、増税だということは言いにくい。昨年も申告所得税は補正予算で三百三十億ほど見積りを減らしましたが、これは決して減税とは言わないで、やはりその当時の経済情勢から見て、最初の見積りがどうも税法通り執行してうまく行かないという前提で、見積りをかえたわけでございます。またその半面、法人税は減税したにもかかわらず、かえつて予算上は二十五年度よりも二十六年度は増加いたしております。その辺は予算上ふえたから増税だというわけではないのでありまして、やはり自然増減と税法の改正による増減税というものとは、はつきり区別して考える必要があるのじやないかということを、重ねてつけ加えておきたいと思います。
○松尾委員 増徴するときは、国民所得がふえたからとおつしやればいいのですから、ごくやさしいことだと思いますが、それで結局誤解を招くのですから、そうしたことがないようにしていただきたいと思います。 それから所管が違うとおつしやいますから、これ以上お尋ねするのもどうかと思いますが、ついでですからお伺いしておきます。毎年度予算を立てるときに、いつも收支のバランスが合わないと、專売益金のタバコにつつ込むということを聞いておりますが、本年はそういうことはなかつたのですか。またお聞きしたことは、ございませんか。
○平田政府委員 タバコの收入につつ込むと申しますのは変かもしれませんが、大体予算の均衡をとります場合において、最後にしりが合わぬ場合に、タバコを値上げするとかあるいは酒を増税するとかいうことを、率直に申しまして私も三年ほど前に考えたこともございます。しかしあくまでもやはり必要な措置を講じまして、それぞれ收入増を期待するというわけでありまして、見積りにあたりまして適当にするというようなことは、それはおのずから限度があるというふうに考えておるわけでございます。ごく端数程度でしたら、それによつて限界の差がございますから、出し方の意見はございますが、相当な額をそのような方法で左右することは困難なことではないかと考えます。
○松尾委員 減税にからんでもう一つ例をあげたいのですけれども、諸般の事情から、方々の声を聞きますと、警察予備隊の増員ということを相当にもくろんでいることでありますが、もしこれをやつた場合には、各省から何か財源のしぼり出しというものをおやりにならない限りは、そこに税金がふえるというような懸念があるのですけれども、そうしたことはございませんか。
○平田政府委員 今の問題はちよつと私がお答えするのは不適当かもしれませんが、もちろん財政の歳出の事情がかわりまして、かりに追加財源を必要とするような場合におきましては、政府としては適当な機会に補正予算等の措置を講じまして、必要な措置を考えて行きたい。その際に歳出の駐源を何に求めるかということは、そのときの情勢によりまして適正な方策を考えて、予算として提出するということに相なるかと思うのでありまして、いまただちにお話のようなことになるとは限らないと思います。
○松尾委員 そういたしますと、大体二十六年度は結果的には減税にならないということに承知してよろしいのでしようか。
○平田政府委員 私どもそういうことがきまつていることは全然存じておりませんし、そういう議論をこの際しますのはどうかと思いますが、仮定の話としまして、そういう場合に出し方の問題としてお答えいたしたわけでありまして、こういう方法になる、しかしそうなるかならぬかは全然私の答弁の限りではありません。
○松尾委員 減税問題はこのくらいにいたしておきまして、またもつとうまい表現によつて大蔵大臣に聞いてみましよう。 次にばかばかしい質問のようですけれども、平衡交付金の意味をちよつと御説明願いたいと思います。
○平田政府委員 どうもお尋ねの趣旨が、なかなかお答えしにくい問題だと思いますが、一般的なことでございますれば、これは地方団体の最低需要と申しますか、最小限度の必要な経費を各地方団体ともまかない得るように交付金を国から交付する。と申しますのは、基準財政需要額と基準財政收入額、これは地方税法等で見込みましたあぐべき收入額、これと比較いたしまして、マイナスの分を地方団体に国から交付いたしまして、それで各地方団体とも必要最小限度の仕事をやつて行くようにするというのが、この平衡交付金の主たるねらいではないかと思います。しかしこういう一般論を申し上げてもいかがかと思いますので、何か具体的に問題がございましたら、それによつてお答えいたしたいと思います。
○松尾委員 そういたしますと直税と地方税との比率を、一個人の税金についてどういうふうにおわけになるのが妥当だとお考えになるのですか。
○平田政府委員 今の問題は平衡交付金の問題と関連してだと思いますが、平衡交付今立の問題として考えますと、基準財政收入額、これは地方税法で定めております標準税率を適用して、各地方団体が適正に税務行政をやつて租税收入をあげるならば幾ら入つて来るか。これをいろいろな資料によつて報告調査をいたしまして、それを基準にするわけでございます。もちろんそれぞれ市町村の場合でございますと、固定資産税、市町村民税あるいはその他の税がそれぞれ標準になります。直税と地方税というような考えをそこの中に織り込みますのはちよつとどうかと思います。一般的に直接税と間接税というような問題になると、これはまた考え方なり議論があるかと思いますので、お尋ね次第によりましてお答えいたしたいと思います。
○松尾委員 そういたしますと、今日の制度から言いますと、教育も消防も警察も地方に委譲されておりますので、そのために平衡交付金を政府からもらう分で足りないという声が高いと思いますが、この制度で行くのだつたならば、直税の範囲をもつと地方に委譲するようなことをお考えになられないものですか。
○平田政府委員 地方の財政が苦しいということは私どもよく聞くわけでございますが、昨年の改正で、たとえば固定資産税は地方団体の非常にいい財源でありまして、全額市町村がとれるようにしてある。昔は御承知の通り地租はずつと国で徴收しておりまして、明治政府のほとんど重大な財源は地租であつたのでありますが、この地租の変形たる固定資産税は全部地方に讓つております。家屋税も一時国でとつておりましたが、これも全部固定資産税の中に入りまして市町村の財源になりました。そのほかに工場設備等に対する課税を新しく認めまして、これを市町村の財源にする。こういうわけで市町村の固定資産税は、市町村にとりまして確固たる財源だと想います。こういう代表的な直接税を認めております。しかもそのほかに市町村民税という五百七十億に達する一種の所得課税を、市町村に認めておるわけでありまして、この代表的な物税たる固定資産税と、代表的な人税の所得税の附加税的な性質を有する市町村民税、この二つで市町村に千億を越ゆる財源を与えておるわけであります。こういうことで地方団体の財源の独立確保ということには、昨年の改正はあずかつて力があつたと思います。府県につきましても今の事業税、将来は附加価値税、それから入場税、遊興飲食税を認めておるわけであります。そういう点から申しますと、世界各国の例に徹しまして、地方の税源というものは昨年の改正で相当よくなつているのではないか。この上さらに税源を国から地方に譲るか譲らないか、これはいろいろ問題もございますので、もちろん十分研究しなければならないと思いますが、しかし相当私は確保されているように考えておるのであります。だだ府県の方が若干税種が少くて、財源の確保の仕方が少いという声があるようでございますが、その辺のところにつきましてはなお将来実態をよく調べまして、研究をして行きたいというふうに考えておるのであります。
○松尾委員 お話でよくわかりましたが、地方によつては固定資産もないし、あるいは入場税が許可されても、いなかのまん中で映画館もないというようなところがあると思うのです。それで何とか税の徴收の問題で、別な方法をお考えになつたことはありませんでしようか、というのは、地方の財源が非常に枯渇している。もちろん徴收方法も惡いのだと思いますけれども、何か特別のいい措置を講じて、今の官治行政のきらいがあるように言われているこの状態を脱することはできないものでしようか。
○平田政府委員 固定資産税というのは御承知の通り地租家屋税ですから、これは財源が全国ほとんど普遍的にございまして、償却資産のある工場などのある市町村は特によくなります。市町村民税も御承知の通り均等割と所得割からなつておりまして、これは相当まんべんなく納税者がおる財源でありまして、市町村に関する限りは昨年の改正で非常によくなつております。アメリカやイギリスでは日本の固定資産税に相当する財源は持つておりますが、市町村民税に相当する財源は実は市町村に認められてなく、大部分固定資産税でまかなつておる状況であります。それに比べますとよほど日本の場合はよくなつております。しかも平衡交付金を相当多額に出しますので、それと比べまして相当よくなつているのではないかと思います。ただしかし中には例外もあるかと思いますが、その例外的なものにつきましては、極力平衡交付金の配分方法等につきまして適正化をはかりまして、各地方団体とも必要な財政支出ができるようにして参りたい。ただ府県の方は若干そういうわけにも行かぬかと思いますが、事業税の農業とか漁業とかの原始産業に対しましての課税を廃止しましたので、農業府県、小府県の方は、どちらかと申しますとあまり財源に恵まれてないようであります。これは率直に申し上げまして、私どもははつきりわかつておるのであります。従いましてこの点につきましては平衡交付金の配分方法を、貧弱県によほどよけい行くように考えなければならないのと、それからまたさらに場合によりましたら、税の配分等につきましてもいかにするか、検討の余地が若干残つております。そのような点につきましてはなお検討してみたいと思います。
○松尾委員 次に資本蓄積のことでちよつとお伺いしたいのですが、今度の改正で資本蓄積に対していろいろな考慮を払つておるようでありますけれども、私はそもそも資本蓄積というものは、政府が課税上の措置を構じて、特定の人たちに補給金みたいなかつこうで蓄積をはかるべきではないかと思うのです。みずから他の方法を講じて行かない限りは、健全な発展がないのではないかと思うのです。たとえば一つの会社が課税の税率を引下げてもらつて得るものでは、そうなかなか続くものでもないし、また一方にそれに見合うところの階層に圧迫を加えるともなきにしもあらずですから、結局のところは配当の制限とかあるいはその会社の経営費の節約をはかるとか、こういうものによつてやるべきだと思うのですけれども、いかがですか。
○平田政府委員 資本の蓄積の問題につきましては、政府としましてはいろいろな方策を考えまして、極力目的を達成いたしたいというふうに考えております。ことに強制貯蓄的なことよりも、国民の自発的な貯蓄の増加をはかるというのが、この際望ましいのではないかという考え方からいたしまして、預貯金に対する優遇その他いろいろな方法を考えております。それと会社の企業におきましても、極力社内留保を増加いたしまして、それによつて自己資金の調達を増加する、さらに減価償却等につきましてもでき得る限り償却の増加を認めまして、それによつてやるということにいたしておるのであります。たとえば償却でございますが、これは一つの推計でございますけれども、昭和二十四年度におきまして、会社の固定資産の減価償却は、私どもの計算で約九十億円程度の償却にすぎなかつたのであります。それが二十六年度におきまして、この一連の再評価と一連の計画を実行いたしますれば、六百九十億、約七百億程度になるのではないか。これにもしも電力会社が料金の改訂をして再評価をやり、そして償却をするということになりますと、約百億円ほど償却がふえるのでありまして、それを全部合せますと、八百七十億円程度の償却が二十六年度にできるというふうな計算もできるようであります。これはもちろん一つの推定計算でありまして正確なものではございません。そういう点から申しますと、会社の社内留保の増加によります自己資金の調達、これが相当期待できるのではないか。それを容易ならしめるような措置をとりますことは、この際きわめて望ましいのではないかと考えております。
○松尾委員 お話はかわるのですが、財閥も解体いたしましたし、産業の水準ももつと上げようというときに、金はないし、しようがないから小さいものをみんな犠牲にして、富士の山のような資本家をつくろうとされているというように考えられるのですが、資本の蓄積というものは、必ずしも法人が持たなくても、個人も持つてさしつかえないと思うのであります。それが預託になつて産業資金にまわつて行くということもあり得るのですから、個人の場合にもそうした一つの方法をつくつていただかないと困ると思うのです。同時にサラリーマンが富の蓄積をして、産業資金に貢献するということもございますのですから、どうか国民全体のふところが公平によくなつて、一部を犠牲にして他のものに大きな冨士山の資産を築き上げさせて、そうして大きい産業を起し、一部の者が富の把握をするということのないようにやつていただきたいと思います。
○平田政府委員 ただいまのお話は非常に考慮すべき点だと考えますが、最近会社は、御承知の通り財閥と申しますか、一部の非常に巨大な持分を持つておるものがほとんどなくなりまして、非常に分散されております。株式の所有層も違つておりまして、会社に資本の蓄積をはかるということは、一部の者に多くするというよりも、会社自体は大きくなりますが、所有者は相当昔とは違いまして分散されておりますので、お話のような点はよほど少いのではないかと考えております。それからもう一つは相続税、富裕税といつたような税がほかにありまして、あまり大きく個人にまとまつた富が集中しますと、相当高い税がかかるという税制の仕組みになつております。それに反しまして相当広く大衆が株式投資なり預金を持ち、あるいは資産を持つということになりまして、税金はある一人に富がまとまつた場合に比較します。と、非常に低い。これが昨年度の改正の特徴だと私は称しておるのですが、そういう仕組みになつておるのでございます。従いましてこの際会社の社内留保の増加をしたりあるいは預貯金の優遇をやつたり、あるいは生命保險の控除の方法等によつて、生命保險の資本蓄積をはかつたりすることは、いずれも私は相当広汎な投資者と申しますか、貯蓄者に結果におきまして利益が均霑し得るのではないかと考えておるものでございますので、このこともつけ加えておきたいと思います。
○松尾委員 次に退職金の税金のことについてちよつと伺いたいのですが、恩給に税金がつくのですから無理はないと思うのですけれども、現在の状態はあながちその期限を勤めまして、他の商売に転向するからやめるというのではなくて、整理期間に入つたり、いろいろ採算が合わないからというのでやめさせられる人が多いと思うのです。こういう人は失業時代に幾ばくでも充てなくてはならないのでありまして、そういう人に向いましてだれにでも退職金から、一般論からいつて同じような税率でとるというのはどうかと思うのです。一つの退職金に対する免税点を求めたいと思うのですが、いかがでしようか。
○平田政府委員 お話のような考え方は、実はずつと昔はそういう考え方をとつておりまして、退職金につきましては特別の控除をしておつた時代もございました、また最近までも全額の二分の一控除をして課税するという制度をとつたこともあるのですが、どうも所得税の趣旨から行きますと、そこまで行くのはいかがであろうかというので、昨年の改正で金額総合課税と申しまして、全部に課税することにいたしたのであります。ただ所得はあくまでも勤労所得的性質を持つておりますので、ほかの所得と違いまして、勤労所得には一割五分の控除をするときには、最高三万円を限つておるのですが、その限度を置いて一割五分の控除をする。そうしてさらにある年にまとまつた退職金がばつと入つてきた。そのために高い累進税率の適用を受けて、納税者の負担が重くなると適当でないから、変動所得の平均課税という方法によりまして、五分五乘の方法で負担の軽減をはかるということにいたしております。まず私ども理論通りに行きますれば、今の制度は相当整備した制度皆はないかと考えております。特別にお話のような点について考慮を加えるか加えないかということは、これは将来ひとつ考える余地はあろうかと思いますが、今のところは今申しましたような趣旨からいたしまして、退職金といたしましては所得税の理論に従つて税い課たしておる理論に関する限りにおきましては、私ども決して無理なところはないのではないかと考えております。
○松尾委員 通行税のことでちよつとお伺いいたしたいのですが、通行税については別に異議はないのです。しかしささいな給料で通つておる勤め人に対する定期券に対しては、税金をとらないようにする方法はないのでしようか。
○平田政府委員 通行税は定期券には課税いたしておりません。それで通行税は大分大衆課税という非難はございましたが、三等には課税した時代はあるのですが、定期券には今まで一回も課税いたしておりません。三等の方は普通の乘客にも昨年課税を廃止したくらいでございますから、その点は御安心願います。
○田中(織)委員 同僚諸君から連日にわたつて質問がありましたから、できるだけ簡單に若干の質問をいたしたいと思います。委員会にはあまり出席できない事情にありますので、重複する点はお許しを願いたいと思います。 まず所得税について二、三お伺いしたいのでありますが、所得税は言うまでもなく国民所得の再分配という観点から実施しなければならぬと思うのです。ところが最近は、資本蓄積は経済再建のために必要なことであるが、これに名をかりまして高額所得に対しまする累進課税等も、今度は百万円まで引上げて五五%ということに相なつたわけであります。こういうような方面に比較的所得税の軽減が行われて参つておりますが、低額所得者に対する面における考慮は、たとえば勤労控除の面にいたしましても、農漁民あるいは中小企業者に対する勤労控除の問題にいたしましても十分でない。そういう点から実質的には所得税が大衆課税的な性格を最近は非常に顯著に現わしておる。その点をわれわれは税体系の上から見て遺憾に思うのでありますが、そういう傾向は相当出て来ておると思う。たとえば一月末の税收入の成績の上に現われておる関係から見て、申告所得はわずかに四七%、二方法人所得ははるかに予定收入を上まわつておるという点があるのであります。これは私は法人税の面で後ほど伺いますけれども、法人税は税制の改正が行われるたびに軽減される。しかしその反面に、個人を中心といたしまする所得については、いわゆる生活の根源になる所得の面に対する徴税というものが、やはり相当強行されておると見ておるのであります。 まず第一に伺いたい点は、シヤウプの第二次勧告にもありました農漁民、中小企業者に対する若干の勤労控除というものが、今回もなお実現されないということについて、これは勧告の他の面、ことに法人税の軽減というような面は忠実に実行されるのでありますが、こういう勤労所得並びに勤労所得に準ずる面に対しまする基本的な軽減というものが行われないのは、一体どういう理由に基くのか。まずこれをお伺いしたいのであります。 それから同時にこの点から見まして、今度は八万円と十二万円の税率についての段階が撤廃されまして、その関係から来る若干の軽減が行われるようでありますが、いわゆる五万円以下の百分の二十というこの課税率であります。これを思い切つて一〇%程度まで引下げてもらいたいと思うのです。大体五万円以下の百分の二十の適用を受ける納税者というものの税收入の上における比率、これを伺えばその点からまた私らの主張する論拠が出て来ると思うのでありますが、大体五万円以下の、百分の二十の課税をされる部分の納税者というものがどの程度現在あるか。それをかりにわが党の主張しておるように、百分の十まで引下げるということになれば、税收入の上にどれだけの減收を来すことになるか。その算定の基礎をつくりたいと思います。その二点をまずお伺いしたいと思います。
○平田政府委員 最初に農漁民の特別控除の問題につきましてお答えいたしますが、これはお指摘の通り、シヤウプの第二次勧告で実行したらどうかという勧告をされている事項であります。ところでこの点につきましては、私ども愼重に研究してみたのでございますが、農漁民に対して一割控除をやつた場合におきまして、今の一般の給与所得者の一割五分の控除はこれでいいかどうか。これは一つの相当大きな問題じやないかと思います。それからもう一つ、ひとり農漁民についてだけやる理由がはたしてあるか。営業者、中小商工業者等に対しまして同様な控除を認める必要があるかどうか。この辺が私は相当問題であろうと思います。ひとり農漁民に対する控除だけをやるということでございますれば、シヤウプ勧告にありまするように四、五十億の減收にとどまるのでございます。もしも勤労所得者、中小の営業者に関連して考えると、なお相当な減收を覚悟しなければ、なかなか実行しにくいという問題もございまして、もう少しこの問題はよく研究することにしてみたい。と申しますのは、一つは、今年は扶養控除の引上げによりまして、農民の負担はことに一番顕著に減るのでございます。しかしその点につきましてはシヤウプ勧告と異なりまして、シヤウプ勧告は、扶養家族を二人まで一万五千円まで引上げたらどうかと言つておりますが、私どもはそのシヤウプ勧告に従いませんで、全部について一万五千円に引上げております。この家族控除の引上げは、相当大きな影響力を持つものでありまして、税の減收額から言いましても、所得税の六百二十億の減税のうち、家族控除の引上げによる減が二百四十億という大きな額を占めておるのであります。これによりまして一番利益を受けるのは、家族の多い農民層でございます。農民は大体昨年の実績によりますと、扶養家族が四・六人あるようでございます。これは実は相当な負担の軽減になる。そういう際でもございますので、今年はこの問題はもう少し研究するということにいたしましても、ちようどいいのじやないかということも考えまして、あれしたのでございます。勤労控除は一割五分の控除でいいかどうかの問題、それから営業者の問題をどうするか、そういう問題と関連して、もう少しこの問題は将来研究してみたいというふうに考えております。それからシヤウプ勧告は何でもかんでも従うのに、これだけは従わないのかと言われますが、勤労控除も実は昨年従わなかつたのでありまして、これは田中さん御存じでしようが、シヤウプ勧告は一割控除を主張したのでありますが、私どもは一割五分の控除をしておるわけでありまして、大体尊重することにしておりますが、やはり日本の実情に即するようにできるだけしたという考えでございますので、その点御了承願いたいと思います。 それから五万円以下の税率を、二十を十に下げた場合どうなるか。これは計算してみたいと思いますので、詳しく説明をお伺いしておきたいと思いますのは、五万円以下十で、五万円を越え十万円までの分はどうするか。またそのあとはどうするか。その辺の具体案をお聞かせ願いまして、その上で計算しまして、税の收入はどうなるか、これをひとつ正確なところをお答えいたしたいと思いますからどうぞ……。
○田中(織)委員 それではこれは今おわかりになるだろうと思うのですが、五万円以下の、いわゆる百分の二十の税率の適用を受けておる所得者は、全体の納税者のうちの何パーセントを占めるか、そういうような面から来る階層別の納税額がどの程度あるかという点を、まずお答え願いたいと思います。 なお私の申し上げる点から申しますと、五万円以下は一〇%、五万円以上十万円までは一五%、十万円以上二十%、十五万円以上二五%、二十万円以上が三〇%、あとは十万円刻みで五%ずつで参りたい。そうなりますと、われわれの計画から参りますと、五十万円で四五%で、七十万円以上百万円までが五〇%、百万円以上が政府の今度の原案のように五五%として、でき得ればわれわれは二百万円、三百万円というように、百万円刻みで大体五%くらいの累進にしてはどうか。実は私の方の党でも一応計算しておるのでありますが、これはわれわれ別に事務機構を持たないひとつの腰だめ的なものでありますから、いずれできますれば資料としてでも出していただきたいと思うのであります。 なお農漁民の勤労控除の問題でありますが、これはもつと研究したいということですが、研究の段階はすでに通り過ぎておると思う。シヤウプ氏も二回にわたつて来朝したことで、これは平田主税局長の言われる通り中小企業者も含めなければならないと思うのでありますが、これらの所得のうち少くとも申分程度と目されるものは、明らかに勤労所得であるという日本の国情は、なかなか理解しにくいと言われるアメリカさんでさえが、理解をされておるのであります。この点はすでに勧告で実施したらどうかということでありますから、政府は大英断をもつて、中小企業者も含めまして実施すべき段階に来ておると思う。ところが今回の改正は、いわば税制改正の仕上げ的な性格を持つておると、大蔵大臣の御説明がありましたにもかかわらず、これがないことはまさに画竜点睛を欠くうらみがあると思うので、この点について、できればまた本案の審議中にそうした方向へ向けて——関連する予算もまだ本院に係属中でありますから、出していただければ、農漁民並びに中小企業者等のいわゆる勤労所得者は、非常に現内閣並びに大蔵当局を厚く受けるであろうと私は思うのであります。御考慮を願いたいと思うのであります。 同時に私お伺いをしたいのでありますが、これはあるいは資料でくださつておるのかもしれませんけれども、最近どうも滯納が相当多くて、滯納の整理に高橋長官以下御苦心のようでありますが、二十五年度における新たに出て参りました滯納額は、現在どの程度に踏まれるかということであります。われわれ今去年の十一月末の数字を持つておるわけでありまして、過年度分六百九十二億、本年度分三百四億と、たしか発表されたように記憶するのでありますが、そういう関係から見ると、昭和二十五年度における新規滯納額は、八百三十三億という数字になるのではないかというふうに、私の党で一応計算してみたのであります。その点がまだあと二月あるわけでありますが、どういうように見られるかという点を、これは滯納整理の状況がどうなつておるかという、かいつまんだ御説明と同時に伺いたいと思う。この予算に現われております剰余金の問題と関連して、次の質問をいたしたいと思いますので、まずこの点をお答えを願いたいと思います。
○高橋(衞)政府委員 昨年の十二月末におけるところの滯納の総税額は、九百九十六億円であります。そのうち過年度に属するものが六百十四億円、新年度分に属するものが三百八十二億円に相なつております。
○田中(織)委員 そうしますと大体過年度分の六百億余りのものは、今年三月末までの年度内にどの程度処理されるか。そうすると相当税收で——ことに申告所得は十一月末で四七%だということになりますと、年度末までに相当徴税を強行いたしましても、相当のやはり二十五年度分における新たなる滯納というものが出て来ると思うのでありますが、その点のお見込みはいかがですか。
○高橋(衞)政府委員 今後の見込みにつきましては、これは歳入の見込みと同様に非常に困難な問題であります。と申しますのは、昨年との比較におきましては、申告所得税の割合はむしろ補正予算によつて三百二十億の減額をいたしたにもかかわらず、予算に対する割合は昨年を下まわつておるという状況に相なつておるのであります。しかしながら一方において、本年度はできるだけよく納得をしていただきまして、そうしてよい申告を出していただくという趣旨をもちまして、申告の時期を一箇月だけ遅らしたのであります。その遅らした結果といたしまして、昨年は一月末が申告時期でありました関係上、一月末から二月の初めにかけて相当大きな税額が毎日納入になつたのであります。本年は二月末が申告時期であります関係上、二月末にそれが集中するということになるかと思うのであります。従つて現在の段階におきまして先の見通しを立てることは非常に困難でありますけれども、最近都内または各地の税務署等の申告の指導の状況を見ておりますると、申告の指導によつて、よい申告を出していただける人の割合が非常に多いようであります。従つて、私どもは、相当昨年よりは飛躍的に改善された申告を出していただけるというふうに、実は期待いたしておるのであります。そういうふうに考えますと、大体申告所得税自体としては、ある程度の赤を生ずるおそれはあるかと思いますが、租税全体としては、大体今年度の予算額を破保できるのではないかというふうに考えておるのであります。そういうふうな前提に基いて、年度末において昭和二十五年度から二十六年度に繰越される滯納税額というものについて考えますれば、昨年度がちようど千二百五十八億円の繰越しと相なつておるのでありますが、それはよりある程度——私どもは大体百億円程度下まわるところの繰越しで、済みはしないかというふうに考えておるのであります。
○田中(織)委員 去年も千二百億、ことしは百億程度減りましても、千百億程度の結局滯納額が、過年度及び二十五年度分として新年度に持ち越されなければならないということ自体が、必ずしもこの財政の面における健全性を物語るものではないと思う。ことに剰余金の問題に関連いたしますと、そういうものがありますから、たとえば予算の説明書の二十二ページにわれわれが見まするように、二十四年度の、これは收納の歳入、歳出関係でありますけれども、歳計剰余金が五百九十一億という厖大なものが出て、この中から翌年度へ繰越す分、あるいは二十三年度において使用した分、二十四年度の予算に計上している分というような形で、こまかく使いわけをしておる。国民の方から見ますると、約一千億からの滯納があるということになると、かりに国の予算を六千億と押えても、その中で一千億の滯納があるということになれば、予算の中で六千億と押えた場合にも、一千億というものは税金が入らぬから支出ができないはずじやないか。そこにどうも税金は——これは先般大蔵大臣の答弁で、前々国会であつたか、予算編成上は大体税收というものは七〇%まで年度内にとれればよいということで、予算を組んでおるという実に大胆率直な御答弁を得て、われわれも実は驚きを新たにしたようなことなんですが、現実に剰余金の取扱いの面でこれは予算の面に現われて来ておると思う。しかしこれは先ほど同僚の松尾委員から御質問申し上げましたように、結局減税というようなことは、確かに数字の上ではそういうように相なつて来るのでありますけれども、毎年尨大な一千億を越えるところの滯納額というものが、次年度へ持越されておるというような形、一方法人税等においてははるかに予算を越えたものが出て来る。これは法人税の自然増收だと言つておる。しかし私はそこに法人税については過小見積りがあり、所得税ことに個人所得の面におきましては過大見積りがあるところに、こういう滯納の問題が出て参つたり、現実には、やはり政府が数字をもつて減税を説明されるにもかかわらず、実際の負担の上においては、何ら軽減を見ないという結果が現われて来ると思うのであります。これにむしろ予算編成の面から見て考慮していただかなければならぬ点でありますが、まあ本年度は大体百億程度減徴して、一千百億程度のものが、結局新年度にやはり繰越されるというようなことは、今高橋長官の御答弁から伺つたのでありますが、これは私らは決して健全なことではないと思うのであります。その面からも税率の決定その他について、考えていただかなければならぬ点があると思うのであります。これは私の意見になりますから、この程度にとどめまして、次の問題に移りたいと思います。 次の問題は、主として企業組合に対する課税の問題についてお伺いをしたいのであります。その前に、今度シヤウプ勧告に従つて法人税は全般的に三五%ということに相なつたのでありますが、アメリカにおきましても最近の軍拡景気に基いて、最近の増税案によりますと、いわゆる一部に超過法人所得税という考え方が持ち上つておるように、われわれ伺つておるのであります。先ほど同僚松尾委員の指摘にもありましたように、朝鮮事変以来の日本の生産増加というような面が、やはり特需景気というものを中心にいたしまして、一部企業に対する莫大なる利潤を生んでおることは、いなめないと思うのであります。そういう面から見まして、私は負担の公平を期する意味から、法人所得税について、いわゆる超過法人所得税を復活すべき段階に来ておると思うのでありますが、この点については、主税局長は原案作成にあたつて考慮せられたかどうかという点を、まずお伺いをしたいと思います。 それから同時に法人税の問題でございますが、これは従来は特殊法人として取扱つて参つたのでありますが、いわゆる生活協同組合、農業協同組合その他の中小企業等の事業協同組合、こういう協同組合に対しましては、私はこれは一般法人と区別して行くべきであると考えるのであります。この点に対しまして今度の法人税の改正にあたつて、法人税を軽減するということになれば、こういう中小産業者の協同体である法人に対して、なぜ配慮がされなかつたかという点に、われわれ疑いを持つのであります。われわれの考えといたしましては、生活協同組合は当然免税、農業協同組合その他につきましては、少くとも普通法人の半額程度に軽減すべきであると、法人税については考えておるわけでありますが、この点に対する主税局長の御見解を伺いたいと思うのであります。
○平田政府委員 ちよつと最初に触れられた問題について申し上げておきます。私どもも滯納が多いということは健全でない、その点に関する限りはまつたく同じ意見を持つておるものであります。ただしかしお話になりました点の中で、二、三点申し上げておきたいと思いますが、二十四年度の五百億の剰余金、これは大部分は実は歳出の側から出たのでありまして、税收入といたしましては、たしか二十数億円の増收になつたにすぎないのであります。大部分の原因は、歳出の需要額から来ておると見ております。いわんや滯納等はこの剰余金の中には入つておりません。いろいろな強行措置等もとりまして、そうしてぎりぎり入つたところが、予算に対しまして二十数億円の増收に二十四年度はとどまつた状況でございます。それを一点申し上げておきます。 もう一点は、予算を見る際に七〇%の收入額しか見ないというお話でありますが、これはすべての点について、そのような見方をとつておるわけではございません。たとえば勤労所得税なんかは成績がよろしゆうございますから、ほとんど九五%くらい当年度に課税すべきものが当年度に入つて来る。こういう見方をとつておりますし、その他の国税につきましても同様でありますがいただ申告所得税だけにつきましては、これは御承知の通り確定申告の申告期限が、今まで一月末、今度は二月末でございますから、そのころ来る。その後税務署がよく調べまして更正決定をやりまして、できる限り年度内にこの税收入を上げることに努力するわけでございますが、なかなかそう短期間に完全には行かない。こういう事情がございまして、従来から申告所得税につきましては、その毎年の課税すべき所得税額のうちの七〇%ないし七五%が、当年度の收入になる。こういう実は見込みを立てておるのであります。これは見込みは甘いと申しますか辛いと申しますか、決して甘いわけではないのでありまして、実際今までの経験から申しますと、なかなか七〇%までも入つていないときが実は多かつたのでございます。今年はこの資料に示してございますように、税負担の合理化もできましたので、七五%実は当年度に入つて来る。二五%だけが翌年に繰越されるという計画にいたしております。従いましてこれは、もしも確定申告後に申告の成績が十分に出て、しかも税金が納まらないとか、あるいは申告の成績が惡いために更正決定をやりまして、なお税金が納まりませんと、その分は滯納として残つて行く、こういうことに相なるわけでございまして、そういう若干の、何と申しますか、技術的な見地から来る滯納額の発生ということは、これはどうもなかなか理想通り行きましても、完璧な理想は期せられない以上、完全は期し得ないのではないかということを感じております点を、さらにつけ加えておきたいと思います。従いまして今の実情から申しますと、やはりある程度滯納が繰越されて行くということは、どうもいたしかたないのではないか。しかしできるだけ私どもといたしましてはそれを少くなるように計画も立て、実行もして行くということに努むべきであるという点は、お話の点同意見でありますので、御了承を願いたいと思います。 それからもう一つは超過所得税の問題でございます。これは御指摘のように、アメリカもすでに先般の国会で実行いたしまして、法人の超過所得に対しまして、やはり戰時中の超過利得税と類似の課税を実行いたしたようでございますが、わが国におきましてこの税をこの際設けるか設けないか。これはもちろん私どもも相当関心を持つておるわけでございますが、ただ先日もお答えいたしました通り、わが国の産業はどうもまだまだ基礎が健全になつていない。ちよつともうけた企業もあるようですけれども、はたしてその企業がほんとうの意味において経理及び経営が立ち直つておるかと申しますと、なかなかそうも言いがたいところが多いのじやないか。従いまして、少し情勢がいいからといつてこのような超過利潤税を起しまして特別に課税するというよりも、むしろ企業の基礎を品強固にいたしまして将来に備える。社内留保を多くしまして、設備の拡張あるいは運転資金の増加等に努めるという方が、この際としては妥当であろうという考え方からいたしまして、超過所得税を実行するという考えは今のところ持つていないのでございます。配当等も大分ふえておりますが、昔の資本金を最近の貨幣価値に換算して計算いたしますと、私はほとんど高率配当はないのじやないかと見ております。いかにも表面上は配当率が高いようですけれども、額から申しますとわずかな額でありまして、大した額ではないようでございます。むしろ今の段階では、産業の基礎をつちかつた方がいいのじやないかという考え方でおることを申し上げておきたいと思います。 それから生活協同組合に対する課税の問題でございますが、これにつきましては昨年の国会でも、実は田中さんからも大分いろいろ御意見を承つて、お答えいたしたかと思いますが、課税の上におきましては、要するにおよそこういう組合が收益と申しますか、利益を上げた場合だけ所得税がかかるわけでございます。そうしまして組合員に対しまして、事業の分量に応じて配当する。これがこういう組合の非常な特殊性のあるところで、特徴だと考えますが、その配当に対しましては実は課税いたしていない。しかしこういう組合という一つの法人体をつくりまして、出資があつて、その出資を中心に経済事業を行いまして、それで收益、利益が組合の内部に生れる。つまり組合員に対しまして事業分量に応じて分配されないで、組合のものとなる。そこでそれが一部は出資に応じて配当される、一部は社内に留保されて積立金としての役目を果して行く、こういう面に関する限りにおきましては、経済的に見ますと、会社の場合とやはり特別に差をつける経済的な理由は少くともないのではないか。特別の国家の保護政策をとるとかいう見地をとれば別でありますが、私ども今の段階といたしましては、そのような課税方法が公平を得るゆえんじやないか。生活協同組合のお話がございましたが、中小の企業者との普通税金のコストの比較といつた問題もあるわけでありまして、産業組合に対しては、中小商工業者からはやはり免税特典でけしからぬという声が、大分出たというような事情もあるのでありまして、これはやはり相互の協同組合に影響して参りますので、やはり課税としましては昨年改めました今の制度の方がいいのじやないかと考えております。しかし非常に弱い者に対して何か補助金を出すとか、課税を免除するとかいう見地から、もう一ぺん考えなければならぬ一つの問題であろうと思うのでありますが、今のところはさつき申し上げましたように考えておりますことを、御了承願いたいと思います。
○田中(織)委員 農業協同組合、中小企業等の協同組合及び生活協同組合等につきまして、これは純然たる営利を目的とする事業会社等とは、法人といたしましても根本的に性格が違うのでありますから、これらの法人に対しまする税のかけ方の問題につきましては、本質的な相違点を十分認めていただきたいと思うのであります。そういう前提の上に立つて、この甲小企業等協同組合法に基いて、最近全国に約七千近くできております企業組合の課税の問題について、お伺いをいたしたいのであります。この企業組合が燎原の火のごとく全国にできましたことは、これは大蔵省の一部、国税庁の一部が考えておるように、脱税組合として燎原の火のごとくできたのではないと思う。これはあくまでもドツジ・ラインによる金融難その他の面から来る重圧に、中小企業者としてあくまで対抗して行こうという点から、自力更正の策として昭和二十四年七月に施行されたこの法律に基いて、企業組合というものができて参つたと私らは確信するばかりでなく、現実に私らも企業組合の指導に当つておるものでございます。これに対する課税については、御承知のように中小企業等協同組合法の第八十一條に、はつきりと規定があるわけであります。ところが、これに関連いたしまして、たしか昭和二十五年の三月三十一日に出ましたところの政令第六十九号がございます。これについて、われわれの解釈からいたしますると、法律できまつておる中小企業等協同組合法第八十一條の規定が、新たに出ました政令の六十九号の、ことに七條の四によつて根本的に変更されて参つたように、われわれ印象受けるのであります。この点については国税庁並びに末端税務署の意見も一致しないので、私らの方でしばしば国税庁と今まで折衝して参りました。特に昨年の八月三日に全国の企業組合代表者と中小企業庁並びに国税庁と懇談をいたしました席上で、村山国税庁所得税課長が、過去の取扱量または現在の取扱量により支払われるものは給与所得と認めない。従来は純法理論的に政令第六十九号の七條の四を適用していたが、現下の実情にかんがみ、当面は七條の四は便宜的に適用しない。そして組合法第八十一條の規定に基いて、他の従業者と同額の部分については個人所得をかけない。これをオーバーする場合には、いわゆる決算上の益金として三五%の法人としての課税を行う。これはその前の晩に中小企業庁の当事者との間に、村山所得税課長が徹夜をして相談された結論であるということで、衆議院第一議員会館の懇談会の席上で発表せられたのでありますが、それをわれわれとの間では、この中小企業庁との間の解釈に基いて、協議に基いて出て結論であるから、これをひとつ末端税務署に流すことにしようということで、村山さんと当日わかれたのでありますが、これが実施されないどころか、十月二十四日付になつて国税庁長官の通達が出ております。これはいわゆる企業組合の法人格の認定についての九原則を出されておるのでありますが、私ここでまずお伺いをしたいのは、中小企業等協同組合法の八十一條の規定が、後に出ました政令によつて変更し得るものかどうか。そういう観点からこの政令というものが解釈上優先するものであるかどうかということについて、まず国税庁長官の所見をお伺いしたいのであります。
○高橋(衞)政府委員 非常にむずかしい法理論についての御質問でありますが、私どもの見解といたしましては、この取扱い方針を決定いたします過程においては、いろいろの議論も出たのでありますが、最終的にはこの二つの、つまり中小企業等協同組合法第八十一條の規定と並びに七條の四でございますかの規定とは抵触するものではない。七條の四は中小企業等協同組合法の規定する以外の分野についての規定をしているのだという解釈をもつて、取扱い方針を決定いたしているのであります。
○田中(織)委員 その点は私こういうことになるだろうと思うのです。所得税法施行規則の第七條の四の第一項の規定が、組合法の八十一條に現実に優先して適用されているようにわれわれは考えるのであります。しかしその根拠は、やはり私は所得税法の第十條の五項にある「所得の計算に関し必要な事項は、命令でこれを定める。」という規定を準用されて来ているのじやないかと思う。ところ現実に出ておりまするこの政令、並びにこの政令に基いて出されたという国税庁長官の二十五年十月二十四日の通達は、この所得税法第十條の五項にある所得の計算に関し必要な事項だけを定めたものだとは、私らは見られないのであります。所得の計算に関係のない部分まで入つていると私は思う。そういう点から見ると、あるいは政令に委任されている範囲を、はるかに越えたものだというふうに相なると思うのでありますが、その点について重ねて長官の御所見を伺いたいのであります。
○高橋(衞)政府委員 協同組合法第八十一條に「給料、賃金、費用弁償、賞与及び退職給与並びにこれらの性質を有する給与と同一の基準によつて受けるものは、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の適用については、給与所得又は退職所得とする。」というふうに規定しているのでありますが、それがはたして給料なりやいなや、これらの性質を有するものであるかいなかの問題は、所得税法施行規則によつて委任されているものであるというふうに解釈している次第であります。
○田中(織)委員 ところが、この政令がさらに国税庁長官の通達によつて、また解釈が現実には違つて来ておると思うのです。ことに問題になるのは、いわゆる国税庁長官の通達にありまする企業組合の法人格認定に関する九原則の問題であります。しかし一旦法律に基いて法人格を与えられているものについて、さらにそれが法人であるかどうかということについて、九つにわたつて基準を定められるというようなことは、他の法人についてもあるでしようか。
○高橋(衞)政府委員 法人格を否認するというものではないのであります。問題はそれが給与所得なりやいなやということの解釈を、通牒で詳しく説明をしているという性質のものであります。
○田中(織)委員 給与所得であるかどうかという点についての認定の基準を定めたにすぎないという点でありますけれども、その点は出されました通達並びに政令を、もう一度よく読んでいただきたいと思うのであります。その問題でたとえばこういうことがあります。看板に企業組合の営業所ということじやなくて、個人の名前があつた。あるいはいわゆる年末の売出しのために刷つておつたような、個人商店名義のビラが出されたというようなことで、それは企業組合の営業所じやないというような方向へ向いて、従つてそれがある意味から見まするならば、税金の面においては、いわゆる法人の従業員という建前を認められなくて、個人営業者として取扱われるという大きな問題を引起して来るのであります。ところが現実には——これは私最後にお伺いしようと思つておつたのでありますが、現在各税務署において企業組合の法人であるかいなかの診断がなされておる。それに基いて、今度は結局そのうちで税務署の認定によるところの、組合員個々に対する個人所得の更正決定がなされる段階に来ておるのであります。しかし一面に、あれは去年の六月でありましたか、例の事前の減額承認というものも各企業組合は出しております。これは六箇月以内に却下されなければ、承認されたと同じ効果が出ることは当然であります。さらに片一方におきましてはすでに法人税を企業組合からとつておる。さらに法人における従業員であるという見地から、源泉徴收もとつております。法人税等が決定されたものを納めない場合には、滯納処分としてやかましく督促を受けておる。ことに源泉徴收の部分については、源泉徴收係から矢のように的確な納税ということを強要されておるのであります。これは法人税並びに源泉納税の分については、的確に納めることは当然のことであると思うのでありますが、それでいて現在企業組合というものは日この通達並びに政令等の関係から見まして、はたして中小企業等協同組合法によつて認められた法人としてやつて行けるのかどうか。全国六千有余にわたる企業組合の、はつきりと国税当局によつて法律で認められた法人格が、今や風前のともし火という不安定な状態にあると思うのですが、その点について国税庁当局としては、特に中小企業者の協同組合組織であるだけに、愼重に考えてもらわなければならぬ問題であると思います。たとえば現実の企業組合の診断の結果、もし企業組合として認められない場合には、現在まで徴收して参りました法人税なりあるいは源泉徴收の部分が、一体個人の更正決定との間にどうなる。あるいはこれが協議団に持ち出された場合には、一箇月ないし二箇月の期間を要しまするが、その間におけるたとえば個人の更正決定に対する滯納処分等が強行せられるということになれば、明らかに二重課税になるばかりでなく、非常に中小企業に対する混乱を起すと思うのですが、そこまで深刻な問題として、国税庁長官が企業組合の課税の問題をお考えになつておられるかどうかということをお伺いしたい。
○高橋(衞)政府委員 私ども企業組合が健全にまた法律の意図する通りに発達することを、非常に熱望しておるものであります。しかしながら企業組合の形を仮裝して、個人の事業所得者が税を回避するということがあつては、税法の意図する公平が達成できませんので、そういうふうなことのないような措置を講じておる次第であります。私どもは企業組合としての法人格を否定するとか何とかいうことは全然考えておりません。その所得がその個人の事業所得に該当するや、または給与所得に該当するやというものを、事実に基いて認定しようということを考えておるだけであります。しこうして法人税並びに源泉徴收にかかる所得税の納付は、田中さん御承知の通り申告納税でありますから、自発的に申告なさつてお納めになつたものをそのまま受取つておる次第でありますが、その後それが事業所得に該当すべきものであるということがはつきりいたしますれば、それは返還するなり、またはその納税者の御意思によりまして、あるいは事業所得の個人所得税に充当するとか、それぞれ善処いたしまして、二重課税になるというふうなことがないようにいたしたいと考えておる次第であります。
○田中(織)委員 そこであと二、三点まだお伺いをいたしますが、十月二十四日に出ておる国税庁長官の通達の十四項では、いわゆる企業組合の実際のあり方について九項目を指示しております。これは昭和二十五年度中にそういう條件を整備しろ、こういう意味合いで出ておると思うのです。しかしその中には、年初にさかのぼつて更正するものというようなものを掲げておるのであります。しかし先ほど申しました規則の七條の四が、これは昭和二十五年の四月一日に施行された規定でございます。それにもかかわらず年初にさかのぼつてやるということになると、四月一日以後に効力を発する政令が、その政令の実施前にまでさかのぼつて、法的な拘束力を持つというような一つの矛盾が生じて来ると思うのです。この点は規則の七條の四が適用された四月一日以後の問題でありまして、それ以前はこれは普通の法人としての取扱いでいいのじやないかと思うのですが、その点の解釈はどうすればいいのですか。
○平田政府委員 企業組合の問題は相当やつかいな問題でございますので、主税局でも研究しておるのでございますが、今のお尋ねに対してお答えいたします。 まず第一は企業組合法の八十一條の関係と、所得税法の施行規則の七條四の関係でございますが、八十一條には、ごらんになればわかりますように、「組合員以外の者で組合の行う事業に従事する者に対して支払う給料、賃金、費用弁償、賞与及び退職給与並びにこれらの性質を有する給与と同一の基準によつて受けるものは、」給与所得に見るということだけを実は規定しておりまして、その他のことは規定していないのであります。従いましてこの解釈は所得税法施行規則の七條の四の規定が出ていない時代においては、私はやはり反対解釈からいたしまして、その他のものはそれぞれ所得の実態に応じて、適正な課税をするという余地を残しておると実は思つております。所得税法の施行規則七條の四は、もちろん所得税法の所得の算定に関する法律を受けて規定したものでございますが、これはもちろん抵触しないように書いておるのでございまして、組合員の生産量、販売量その他の取扱い量を基準として受けるものは給与所得に見ない。一方組合の事業に従事するところの組合員以外の、組合に対してなすと同じ基準で給与しておるものは、これは給与所得に見る。所得税法施行規則の方はさにあらずして、生産量、販売量等に応じて給与しておるものは実質給与と見るべきでなくて、むしろやはり事業の一部を組合員がなお続行しているというふうに考えた方が正しいという意味からいたしまして、このような規定を設けておる。これは私は企業組合の特殊性から来ると思います。それで企業組合が合同をいたしまして、完全な姿になつた場合におきましては、私はほとんど問題はなくなつて来ると思うのであります。ところが実際の問題といたしまして、田中委員も御承知の通り、いろいろな中途の段階が多数あるのでございます。そういう中途の段階におけるいろいろの業務をやつております場合において、はたしてどういう方法で所得の認定をやつた方が、一番負担の公平になるか、あるいは納税者の担税力に即するかという点を考えまして、先ほど高橋さんからお話のありましたように、それぞれ事業関係に即して妥当な課税をせざるを得ない。むしろ私から申しますと、どうも企業組合の法的性格並びにそれに伴う実際の実情が、ものによりますと必ずしも法律通りなつていないとか、あるいは法律にもまだはつきりしない要素が残つているとかいう点がありますので、課税の扱い上も相当困つておるというのが、むしろ逆に実際なのでありまして、私どもは極力そういう場合におきましては、企業及び組合の営業の実態をよく調べまして、その実態に即しまして、課税の妥当な方針をきめるというふうにしたらどうだろうかということで、取扱い方もできておると思うのでございます。従いまして今の政令の関係も、この規定が設けられる前後を問わず、やはり同じような解釈はし得る余地がある。従つて取扱いの通達によりまして、通達の基準に当てはまらないというものにつきましては、それぞれその事実によりまして妥当な課税をして行く。給与所得と見ない分が相当出て来るということになりますと、これはむしろその方が営業の実態に即するのではないか、かように考えるのであります。しかしこの問題は具体問題でありますので、はたして具体的に企業組合としての本来のあり方の事業をしているか、していないか。これは結局個別々々によく調べて判定するほかはないと考えておるのでございます。
○田中(織)委員 その点は、少くとも私らの指導しておる企業組合については、所轄の税務署との間に緊密な連絡をとつて、ある面から見ますと、経理の面までの指導をお願いしておつて、比較的うまく行つているところもあるわけなのです。国税庁長官の通達に基いて、さらにそれの解釈についても詳細な説明が出ておることも、私らは実は承知しておるのです。ところがかんじんの末端の税務署になりますと、署長さんクラスの人でも、はたしてそういう通達があつたかどうかということすら、あまり関心を持たないような面が実は出て来ておると思うのであります。そういうところで画一的にやられるということになると、二十五年度は、なるほど企業組合は年度中途から出たような形のものがありますから、その面で個人所得として納めなければならぬ部分もあることは、確かに私らもその存在を認めます。同時に今平田局長も御説明をされましたように、たとえば給与のきめ方の面で、機械的に従来の取扱い量、販売量に基いて給与をきめたという部面がございます。それは私は否定しないのです。しかしそういうふうな部分については、他のいわゆる従業員として使つておるものの給与を越える部分についていわゆる個人所得としての課税をされるような取扱いが、私はどの辺で線を引くかということは可能だと思います。そういう面についての適切な指導を——長官の通達の中には、企業組合のまじめな者に対しては、指導援助をして行くようにという言葉が添えられておるのでありますが、現実にはそれがないというところに問題がある。現実的に二十五年度の分については確かにそういう取扱いがありますが、二十五年度の所得の問題の取扱いで、二十六年度の企業組合というものは存在し得ない、かような取扱いをされたのでは、中小企業等協同組合法にはつきりと企業組合という組織を認めたことの意味が、私はなくなると思います。そういう意味で私の御質問申し上げておる点は、要は適切なる指導をとるべくやつていただきたいというところに帰着するわけであります。 なおもう一点伺つておきますと、私ここにその通達を持つておりますが、企業組合としてはかくあるべきだという非常に強い線が出ております。しかしその企業組合にだけ、法人としてお前らはこうでなければいかぬ、こうでなければ法人としての税金の取扱いをしないのだということで、企業組合だけをなぜ目のかたきのようにされるかということは、私は企業組合に直接携わつておる者としてはちよつと理解に苦しむのです。このことは先ほどお答えがなかつたのですが、法人には有限会社、合名会社、株式会社というものがありますが、これはやはり登記すれば、その経理の面について、企業組合のように事こまかに税務署が一体めんどうを見られておるのですか。そういう点は私ら企業組合のほんとうの実質を備えるような面において、今度出された九原則というようなものは、これは企業組合として当然備えなければならないから、やりなさいということで積極的に指導をいたしたのであります。しかし一面高い立場から見ますならば、これはある意味から見ますと、他の法人に対するより、中小企業者として事こまかな七むずかしい條件をつけて——これは私ら企業組合の正しいよりよき発展のために、七むずかしい條件であろうと、お前らこの條件に当てはまるようにという指導はやつております。しかしほんとうは納税の立場から見ると、私は明らかに行き過ぎだと思いますが、その点について長官の御所信を承つておきたいと思います。
○高橋(衞)政府委員 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどの御質問の七條の四が四月一日から施行になつておりますが、その以前についてはどうかという点でありますが、これはあのもとになる所得税も、同様に昭和二十五年度の所得に適用するという建前になつておるのであります。従つて一月一日からの所得についての問題は、全部その適用を受けるわけであります。 それからただいまの御質問であります。企業組合に対してのみ非常に嚴格な措置をとるというような御見解のようでありますが、企業組合は田中さんも御指摘のように、非常に大きな六千数百にもなるような数になつて参りましたので、特に詳細な研究を必要としたという事情はもちろんございますが、要は企業組合を仮裝して、実体が個人事業者であるものが税をのがれるというようなことがあれば、これは公平を害するという観点から、そういうふうな措置をとつたのであります。
○田中(織)委員 私この問題の最後に、国税庁当局に要望しておきたいのでありますが、現在二十五年度の分について行われております企業組合の法人として取扱われるかどうかという診断は、これは企業組合の正しい発展の上から見ても、一つのいいチヤンスだというふうに見ております。そこでもちろん私らが連合会で、何か経理の面で統一ある態勢を整えようじやないかと呼びかけても、応じないような仮裝的企業組合があることは、私も否定はいたしません。そういうものは設立の当初から不純なものを持つているのですから、これは税金の診断の結果つぶれることは当然だと思うのであります。また純真な意図で出て来ておりますが、少くとも企業経理の面その他でいまだしというところで出て来ているものは、かりに二十五年度についてそういう部分についての個人別の更正決定を受けなければならぬ点も、私はこれはやむを得ないと思います。しかしそれは本年度において、それを完全にとういう方向で改めることによつて、企業組合として今後成長して行ける基盤をひとつ残してやるような御配慮を、管下の税務署に徹底していただきたい。同時にその点については、企業組合は私らも当初から指導いたしておりますけれども、税金の面だけじやなくて、金融経理の面においても、特に現金の取扱いまで完全にやつて、そういう点については税務署に協力する意味合いにおいて、現金等の取扱いについて一種の査察員制度まで設けておる組合も、実はあるような状態でございます。そういう線に従つてわれわれも現に指導して行きつつありますから、そういう意味で本年度の企業診断の結果、條件が完全に整つていないものはつぶるれよりほかしようがないという形でやることは、私は中小企業の育成の見地から見て適当でないと思うのです。それが完全なる企業協同体になり得るような面を、せつかくここまで研究されて、いろいろの條件をつくられておるのでありまするから、その点の取扱いについて下部に徹底するように御配慮を得たいという点を、最後にこれは要望として申し上げておいて、この点についての私の質問をこれで一応終りたいと思います。 なお徴收方法に関連した部分について二、三の質問を保留しておきたいと思います。
○夏堀委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十二分散会