水産委員会 第22号
- 発言数
- 41 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1951/03/20
会議録
○二階堂委員長代理 これより水産委員会を開会いたします。 本日は委員長に都合がありますので、私が委員長にかわつて委員長の職務を行います。 会議に入る前にお諮りいたします。去る十七日に田渕光一君が委員を辞任されましたので、漁業制度、漁業経営安定、水産金融、水産資源及び沿岸漁業の基本的復興対策に関する各小委員が一名ずつ欠員となつておりますが、同日田渕光一君が委員に選任されましたので、この際委員長において同君を以上の各小委員に指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○二階堂委員長代理 異議なしと認めまして、田淵君を漁業制度、漁業経営安定、水産金融、水産資源及び沿岸漁業の基本的復興対策に関する各小委員に選任いたします。 —————————————
○二階堂委員長代理 これより漁船保険に関する件を議題といたします。質疑を許します。田口君。
○田口委員 最近北海道及び東支那海におきまして、適正に日本の漁業者が仕事をしておるにもかかわらず、中国あるいはソ連から拿捕される船が年々多くなり、ことに二十四年、二十五年の情勢を見ますと、前の年に比べますと、相当隻数がふえておるというような状態と、それから国際情勢がますます逼迫する、この二つのことから考えまして、二十六年、二十七年もなお相当数こういう漁船が出るだろうということが予想されるのであります。しかしこのことは、国家的に考えまして、そんなに危険であれば撃船して沖に出ないようにする、こういうような考え方では解決できないのであります。非常に危険でありますけれども、やはり国民の食糧を供給するという意味合いにおきまして、出漁させなければならない。しかし個々の船主あるいは船員から考えてみますと、一旦拿捕されますれば、とにかく生産手段でありますところの漁船をなくしてしまう。しかもこの漁船はいずれも借金したものであつて、一旦漁船をなくすと、生業をなくすばかりでなく、借金はそのまま残る、こういうような実情にあるのでございます。かかる状態からいたしまして、われわれは、拿捕船に対しましては、少くとも国家補償を必要とする、かように考えるのでございますが、国家財政その他の関係から考えますと、ただちに国家償補制度をつくるというようなことがなかなか容易でない。こういう観点からいたしまして、とりあえずわれわれは、この問題は漁船保険制度を拡充強化することによつて、ある程度解決できるのではないかと考えるのでございますが、この問題に対して、政府は漁船保険制度拡充によつて拿捕船の災害をある程度補償する、こういうような方法について、どの程度御研究になり、またどの程度に推進されつつあるか、その点をまず第一にお伺いしたいと思います。
○山本(豐)政府委員 田口委員の御質問の点でありますが、先般来また集団的な拿捕事件が起りまして、政府としましても、応急対策あるいは恒久対策につきまして、いろいろ研究をいたしているわけであります。今お話のありましたように、根本的には国家補償ということになるのが至当であると考えるのでありますが、しかし国家補償となると、本来ならば拿捕国に対しましてこれを請求するような手続も考えなければならならないと思うのでありましで、この点が今日、日本の置かれております情勢から見ますと、なかなか容易でないという事情もありますので、この問題は今後の問題としてなお研究して行きたい。少くとも拿捕による被害の調査等は、そのときどきにある程度まとめ上げまして、これをいつかの機会に備えるべく用意をすることは、ぜひしたいと思つているのでありますが、そういうような意味合いにおきまして、国家補償の問題は、財源の関係もありますし、なかなか簡単に行かないので、とにかく次善の策として、漁船保険制度を至急に拡充いたしまして、拿捕漁船に対して保険が払えるような措置をとりたいと考えまして、先般来いろいろ関係方面と折衝を続けて来たわけであります。当初は、国家補償も考慮に入れるわけでありますが、一体現在の漁船保険制度というものは、御承知のように非常に財政的には微弱なものでありまして、これらのことも考えに置きまして、国にこの際相当な額を出してもらつてもいいではないかというふうな考えのもとに、いろいろと話し合つたのおります。ところが大蔵省の考えといたしましては、一応やはり独立採算制のとれるようなかつこうでないと、非常に大蔵省としてはのみにくい、こういうふうなお話もありました。そこで要するに、危険率の算定とか、いろいろ細部の問題になるのでありますが、それらの点も、大蔵省の主張に合いますようにいろいろとくふういたしまして、大体大蔵省の方にも話はつけました。なおまた関係方面にも、二日ほど前でありますが持ち込みまして、これも多少の異論はあつたのでありますが、最終的にはよかろうということになりまして、今週中にも次官会議あるいは閣議にもかけまして、来週ぐらいには参議院の方からこの改正案を提案していただくような段取りになつております。
○田口委員 ただいま山本次長からの御答弁によりまして、本問題が、御努力によつて相当進んでおるということを承りまして、非常に欣快に考える次第でございます。御承知の通り、漁業が六月程度から一齊に休業になりまして、そうして夏の間にすべての整備をして、秋になつてさらに新しい整備のもとに出漁する、こういうような実情にありまして、漁業者の立場からいたしますと、この六月以降遊んでいる間に、しかも船の修理費その他非常な多額の資金を要する、この資金の調達ということが、今日の漁業では、各漁業ともに容易なことでないのであります。こういうような実情におきまして、この拿捕事件が再三起つておる。金融業者からいいますと、金を貸しておきましても、一旦拿捕問題が起ると元も子もなくなる。拿捕問題のために銀行方面から漁業者が信用をなくしておるということは、非常に大きいのでございます。この保険制度を早く実施して、そうして万一の場合がありましても、保険金がこれだけとれるのだ、こういうことでなければ、この六月から九月までの金融を、漁業者はいかにしてもつけることができない、こういうような実情にあるのであります。私は、拿捕によつて直接に漁業者が非常に困るこの問題を、国家が何とかするという意味と、同時にこの拿捕船のために水産の金融を著しく阻害をしておりますために、その問題を解決することもあわせて重大な問題と考えるのでございます。ただ現在の漁船保険の実情から申しますと、国家の資金を実際に組合の会計に相当金額流し込まなければ、現在の漁船保険の資金そのままでこの特殊保険をつけるということになりますと、漁船保険を危機に追い込むというような心配が非常に大きいのでございます。ただいま山本次長は、大蔵省といろいろ折衝した結果、一応保険の独立採算制ということでやつてみたらどうかというような話で、大体そういう線に沿うた立案によつて進めておる、こういうようなお話でありますけれども、漁船保険の実際を知つております者といたしましては、この特殊保険をそのまま国家の資金なしに実施をされるということは、非常に危険であるという考えを強く持つておるのでございますが、その点に関しまして、あくまでも漁船保険の独立採算制、これで実施しなさいという大蔵省の主張であるか、あるいは多少そこにゆとりがある、一応独立採算制で実施をするのだが、保険の収支によつて、この特殊保険でできた損害に対しては、何か将来考えようというような意味の折衝であるか。その点をはつきりお伺いいたしたいと思うのであります。
○山本(豐)政府委員 ただいまのお話は、しごくわれわれも同感であります。従いまして、まずこの特殊保険の関係は、一般保険と切り離して経理をするという方法をとりたいと考えておるのであります。ところで、さようにいたしましても、この拿捕件数の危険率の算定の問題があるのでありますが、これを非常に大事を踏んでとりますと——と申しましても、保険料をむやみに高率にするということも考えものでありますので、やはり終局するところ、国家財政の相当な援助がなければうまく参らないということは、われわれもとみに気がついておるのでありまして、そういう意味で、五千万円から一億円程度のものを当初から用意しておこうというふうな意味で、大蔵省とも再々折衝したのであります。ところが先ほど申しましたような意味合いで、大蔵省としては、とにかく出発に際してそういう金を用意するのは困る。そこで一応つじつまの合うような形で持出しはいたしますが、これも大蔵省といろいろ話合いをいたしまして、いよいよ最悪の場合に備える意味で、漁船保険法第十七条ノ二の、特約による保険の再保険による漁船再保険特別会計の不足金又は剰余金の処理に関する法律案、こういうものを一本考えまして、この内容を申しますと、要するにこの特別保険の継続しておる間——これは一年とは限りません。二年になりますか、三年になりますかわかりませんが、その間におきまして、剰余金が出た場合には一般会計に入れる、また不足金が出た場合には一般会計からもらう、こういう意味合いのたつた一条の法律でありますが、これを同時に一つ出していただきまして、これでもつてそういう場合には備える、こういうところで大蔵省と話合いをつけたのであります。本来ならば、初めから一億円程度のものを用意をしておきたいという、強い希案をわれわれとしては持つておつたのでありますが、いろいろ交渉の結果、ただいま申しましたような、一応の安全弁をつけることによりまして、とにかく出発を急ぐ関係もありますので、早くこれを実施に移したい、かように考えておるのであります。
○田口委員 漁船保険法第十七条ノ二の、特約による保険の再保険による漁船再保険特別会計の不定金又は剰余金の処理に関する法律案、この問題につきましては、ただいまの話で大蔵省と大体了解済みでお進みになつておる、こういうふうに受取りました。その点は了承いたします。 次に、国の財政から五千万円ないし一億円程度の注入ですが、その被害船舶の隻数をどの程度にごらんになつておるのでございますか。その基礎とともに、簡単でよろしゆうございますから御説明を願いたいと思います。
○伊藤説明員 御説明申し上げます。ただいま次長から申し上げました通り、一応独立採算の線に沿つて計画しておりますが、お手元にあります要綱の方の三枚目に料率表が書いてございますが、これによりますと、全損、救助費填補が一箇月百円につきまして十九銭、全損、分損、救助費補填が二十一銭、こういうことで、拿捕填補対象に関するものは、年にいたしまして二円二十八銭、二円五十二銭とそれぞれなりますが、この平均は、どちらも半分ずつ入るものとしまして、まず二十銭という線を出しておるのでございます。一箇月百円につきまして二十銭、一年に二円四十銭、その計算の基礎におきましては、お手元に差上げてあります資料をごらん願いますれば、その三枚目に「国別拿捕調」というのがございますが、これによりますと、拿捕の実績は昭和二十年度から発生しておるわけでありますが、顕著になつて参りましたのは昭和二十三年度でありまして、この二十三年、二十四年、二十五年のそれぞれ合計の欄におきまして、未帰還というところをごらんくださいますと十八隻、四十五隻、二十八隻ということになつておりますが、ただいまその平均をとりまして三十隻と仮定したわけであります。それから二枚目の表をごらん願いますと、その一番下がその填補額の算定でございます。大略三十隻の事故が出るものといたしまして、以西底びき、トロール、以東底びき並びに北海道近海ということにそれぞれわけまして危険率を算定いたしますと、その平均数が、危険率といたしまして百分の一・九八、つまり百円について一円九十八銭という数字が出るわけであります。これが四十五億の保険契約見込額に対しまして、支払保険金が約九千万円という数字が出るわけであります。これをそのページの真中の数字に移しまして、保険料の内訳という表がございますが、その一番右端に九千四十二万円という数字が入つております。これに政府事務費の五%並びに組合事務費の一〇%を加えますと、漁業者の負担が一億五百万円、こういう数字に保険料としてなります。これを一番上の表の右端に保険料一億五百七十六万円というのを移しまして、保険契約金額四十五億円で負担いたしますと、総保険料といたしまして二円三十二銭、つまり一年百円につきまして二円三十二銭という数字が出たわけであります。これを基礎にいたしまして平均一月百円について二十銭、すなわち一年について二円四十銭という数字を押えまして、先ほど申し上げました料率表をつくつたわけでごごいます。この線におきまして大蔵省と先ほどの約束を結びまして、大略了解を得たわけでございます。
○松田委員 ただいままでいろいろと漁船保険の料率の話も出ましたが、拿捕の問題については、大体水産庁はどのようにお考えになつておるのか。この問題は、憲法で擁護している日本国民の人権の問題である。それをたとい現在、日本は講和が成立しておらないために国際社会に加入ができ得ないとしても、日本には憲法が厳存しているのであつて、国民はこれを心から遵奉して、自己の生命、自己の財産を守ることを、また守り得ることを念願として、国の治安も維持されておるのである。こうした重大な問題に対して、法務府、法務総裁の意見を求めたことがあるかどうか。日本政府はどのような考えを持つておるか。まずそれが根本の問題でなければならない。(「だから完全講和が必要なんだ」と呼ぶ者あり)ただ保険額が四十八億であるとか、また漁業者の負担が一億五百万円であるとか、かような抽象的な小さな考え方を持つてこの漁船保険を行うなんということは、非常な誤謬ではないかとわれわれは考えるのであります。しかしこうしてまでも漁船保険を行つて行かなければならないということに対しては、われわれも同意をするものでありますが、もつともつと日本の政府は、これに対して真剣になつて、まじめな営業を営もうとする——日々憲法を守つて、国民としての生活を営まんとする者に対して、もつと大きな観点からこれを保護し、またその損害を補填する方法をとらなかつたならば、先ほど田口委員のお話のように、金融業者がどのような考え方を持つかというようなことから言つても、非常に大きな問題であると思う。ただ大蔵省と水産庁との話合いによつてこうした保険を行うなどということは、あまりにも抽象的であると思う。また今ここで野次を飛ばしている井之口君などというのは問題外の話である。こんなことが全面講和を行うことによつて解決できるとしたならば、私は井之口君に質問するが、いつ、何年の何月ごろ、全面講和を行える可能性があるか。こういうようなことであつて、夢のような考え、夢のようなことを井之口君が水産委員として——現在拿捕されて非常に困つている方々に、共産党は最も愚劣な言葉を使うなどということは、まことに心外にたえないと考えるものである。そこでこの問題は、憲法とどういう不可分の問題があるか。これによつて漁業者が、もつともつと安心して営業をやつて行けるという方法を考えて行かなければならない。しかし予算において、五千万円や一億円の政府の出資金だとか援助金だとか、かような小さいことで、はたして漁民はこれに対して満足し得るやいなや。その点に対して、水産庁は大蔵省とのみ折衝をされたのか、また法務府と折衝をされたか、この点に対する御意見を承りたい。
○山本(豐)政府委員 ただいまの松田委員の申されました点はごもつともと思うのであります。ただ先般来、この事件が起きましてからも、関係各省、外務省と海上保安庁と水産庁とは、たびたび会合いたしまして、この善後措置その他について懇談をしたのであります。しかしその席での空気は、国家補償という問題は、これはりくつはあると思うのでありますが、なかなかこれは急には行くまいというので、いろいろそのほかの点について取進めをいたしました。たとえばつかまつた船の返還方でありますとか、あるいは船員の帰還方でありますとか、これらの点につきまして、即時それぞれ文書でもつて関係方面にも申入れいたしました。最後には、吉田総理から申入れをやつてもらつたわけであります。これは応急的な措置でありますが、恒久的な問題といたしましては、やはり国家補償の問題と保険の問題が、これは比較にならぬかもしれませんが、考えられると思うのであります。とにかく国家補償の問題をわれわれといたしましてもあきらめておるわけではないのでありますが、これはひとつ今後の問題として研究はしたい。しかし、とにかく早くできる漁船保険の問題を次善の策として解決することもまたよいことじやないかというので、とりあえず漁船保険の問題を取上げたのであります。国家補償の問題等につきましては、なおよく研究いたしたいと考えておるわけであります。 法務府に違憲であるという点の交渉をしたかという点でありますが、その点は、率直に申しましてまだやつておりません。しかしなおこれは研究いたしまして、また法務府の見解もひとつ伺いたいと考えております。
○松田委員 外務省や海上保安庁に対して御協議されたことは、それは水産庁として事務的な考え方であつて、至当なことだと思います。しかし憲法を守り、憲法によつて日本国民の生命、財産を守つて行かなければならないという観点から、こういう問題を論議する前に、もつと官房長官であるとか、法務総裁であるとか、これらのものを当委員会に招致して、いかなる方法をもつて日本国民の生命、財産を守るかということを、根本的にやつて行かなければならないと私は考えるのである。しかしこの漁船保険を制定することに対しては、私は臨時の措置として適切なることであると考えておるものであるが、もつと大きな観点をなぜやらないか。こういう漁船に対して最も必要なる事柄であるから、午後からでも官房長官、法務総裁を当委員会に招致して、そして憲法上の問題を論議して、そこで政府は憲法上からいつてどこまでも日本国民に対する生命、財産を守る意思ありとしたならば、こうした予算措置などは簡単にできる問題だと、私は思うのであります。この問題はこの問題で論議する必要はあるが、午後において法務総裁、官房長官、これらを招致することを私は希望いたします。
○福田(喜)委員 漁船保険法の趣旨は、今までの各委員の御発言まことにけつこうで、私はしごく賛成なのでございますが、その前に、わが国の置かれておりまする特殊の地位にかんがみまして、国際法上の措置をまず講ずる、それによりまして国家的かつ国際的に、政府当局はいかなる損失補填の処置を講ぜられておるかということが第一点。 第二点は、船舶の拿捕ということは、この要綱の第二の二を見ますと、この保険の性質は一体いかなるものか、私ははなはだ疑いなきを得ないのでございます。この保険の性質は、平たく申しますれば、平時の保険か戦時の保険か、こういうことにつきましてまず御意見を承りたい。第一条の二の四を見ましても、「戦争又は変乱」ということが書いてある。戦争または変乱か起つた事故は一切損害を補填するものか。そういう観点から見ますと、一から三までのものはいらぬことになるということも考えらまするし、小さい問題を拾つてみますと、襲撃、爆撃というようなものをその観念の中に入れるかどうか、そういう点につきまして、保険の性質というもの等の問題につきまして、もう少し詳しく承りたい。
○山本(豐)政府委員 国際法上の措置を講ずるかという御質問でありますが、現在の日本の置かれておる立場から申しますと、かりに漁船の返還を一つ要求するにいたしましても、外務省を通じまして関係方面に依頼する方法しかないのであります。しかもまたこの方法を講じましても、韓国でありますとか、あるいはもとの中国でありますとかいうようなところは、こちらにも駐在官等がおりまして、そのときどき出入国管理部でありますか、そこからも電話をしていただいたり、いろいろいたしまして、そのときに応じた交渉はある程度できるのでありますが、中共の方につきましては、関係方面でもなかなかこれは簡単に交渉ができにくい事情もあるようでございます。しかしわれわれといたしましては、どの国ということを限定せずに、問題が起きますと関係方面に強く要請をいたしておるわけであります。また損害の問題につきましては、たとえばずつと前にありました場合にも、損害の調査等をいたしまして、それを外務省を通じて文書ではこれもやつたのでありますけれども、これも現在の状況ではどうにもならないような事情があるのであります。しからばごれにかわる国内的な補償を考えようじやないかというところに、また議論が起るとも思うのであります。私は国際法をよく知りませんが、国際法の観点から言いますれば、本来ならば不法拿捕でありますので、その不法を加えた国が出すべきものであると思うのであります。しかしそのことはわかつておりましても、実際の交渉がこういう情勢にありますと、なかなか困難であるという事情にあると思うのであります。 それから保険の言葉等の問題につきましては、漁船保険課長から答弁いたします。
○伊藤説明員 今保険の性質につきまして御質問がございましたが、これはお手元にあります填補対象の政令案、あるいは要綱の方をごらんくださつてもわかりますけれども、「一き、暴動、同盟罷業、政治又は社会騒擾」ということが入つておりますが、これは平時の国内的のものも含めたつもりでございます。戦争保険と言いませんで、特殊保険という言葉をとつたのもその意味でございます。
○福田(喜)委員 私は私の質問の第一点について、まずお答えいただきたいと思うのでございます。国内法上の賠償、拿捕船に対する補償を講ずる前に、まず国際的に拿捕されないような措置を外務委員会で講じて、司令部を通ずるなり何なりして、その安全の道を講じてもらいたい。つまり捕獲審検所は今日まだ生きておるのか、拿捕船とか抑留されたものに対する補償はどうなつておるのか、そういうことを、まず占領治下のわれわれとしては、司令部に対して要求することが、国際法上の第一義であります。
○井之口委員 唯一の野党として共産党が明瞭に申し上げることが必要だと思うのですが、さきに当委員会において拿捕問題がいろいろ取上げられまして、証人を喚問したりして審議が進められております。この拿捕問題については、李承晩政府並びに蒋介石政府において、従来百数十そうの船が拿捕されておる。しかるにその問題は従来委員会において問題にされずして、この間中華人民共和国によつてやつと五そうくちいの船が青島近在において拿捕されておるということでありますが、そういうふうな問題を取上げて、そして反ソ反共の思想の拠点に水産問題を利用するというふうな傾向が現われておる。今度現われて来たのは、漁船保険法による特殊保険制度の要綱というもので、これは水産庁から出ておるのでありますが、何に対して保険をかけるかと言えば、「一き、暴動、同盟罷業、政治又は社会騒擾その他類似の事変」によつて起つた損害。第二番目には「襲撃、捕獲、拿捕又は抑留」に対して受けた損害に対して保険をかける。第三番目には「水上若しくは水中に停止若しくは移動中の水雷その他の爆発物又は航空機より落下若しくは発射した物体又は流弾」から受ける損害に保険をかける。第四番目に最もひどいのは「戦争又は変乱」なんだそうであります。これから受ける損害に対して保険をかけよう。こういうふうになつております。一連のこの問題に対するところの発展の経過を見ますると、明らかにこれはわれわれ日本国民を戦争に追い込むような下準備をやつておる。われわれは天災、地変、大風が吹いて船がどうかなつた、あるいは火災によつて、社会的な不可避な現象によつて、そして損害を受けた、こういう場合には日本国民全体の負担をよつて保険をつけて、その人の財産をまた回復させてやるということも必要でありましよう。しかるにここに出ておる問題は、同盟罷業から受けた損害のごときもここに入つておる。同盟罷業なるものはストライキであります。これは今日団結権、罷業権が憲法において認められておる。しかも当委員会において松田委員がただいま仰せられました通り、憲法をわれわれは守らなければならぬ。その憲法によつてやるべきだということを言つておられましたが、この言葉を延長いたしますれば、この変乱でも、もうすぐこうしたストライキなんかによつて受けるところの資本家船主の損害を国家が補償し、これは当然一般会計をもつて補償することになりますが、さらに拿捕問題につきましては、従来北方方面においてずつと前、十数年以前から拿捕事件というものが起つておる。そしてこれは松田委員もかつて仰せられたことでありまするが、北方において拿捕されるのは、明らかにやはり日本の漁船が掠奪漁業をやつて、そして不当なるところの漁法をやつて拿捕されたものであるというようなことも言つておられたのであります。そういうふうなことで、前からこうした事件が起つておる。こういうふうなものの根絶はどういうふうにしてやるか。これは一定の国と一定の国との間に漁業協定を結んで、平和なうちに、真にその漁業協定を各国民が守ることによつて、こうした不祥事件の拿捕というものは起らずに済み得るのであります。しかるに今反共的な思想のもとに、むしろこの損害を国民全体の租税をもつて負担し、そして漁民を北の方へ行け、西の方へ行け、あるいは中華人民共和国の方へ行け、こういうふうにして、けしかけるような、こうした保険制度を採用し、ひどいことになると戦争又は変乱から起つた損害に対しでまでも保険をつけるというふうな、もう戦争、変乱を前提に置いて、そして損害を国民が税金の中から負担し、個人の資本家には損害量かけさせないようにやりたい。こういうことをやつたら、資本家は、今でさへも国際間のいろいろな協定を侵して、そして拿捕されるようなことを刺激し、船に乗つておるところの漁民の危険をどんどん増加させておるような状態、これはますます事態を激発することは明らかであります。
○二階堂委員長代理 井之口君に申し上げます。質問の要点だけを簡単にお願いします。
○井之口委員 簡単に結論に入りますが、中華人民共和国から拿捕された五そうくらいの船の乗組員たちで、帰つて来た人の話を聞きましても、そこに乗つておりましたところの漁業労働者は非常に歓待を受け、帰るときには送別会まで受けて、船までもらつて帰つて来ておる。その漁船の船主は、なるほどマッカーサー・ラインを越えたために拿捕されておりますが、しかしながらその船員に対しては実に手厚いやり方をやつておる。向うでは戦争を回避しておる。できるだけ平和で、日本と結びたい。そして現に日本に対するところの全面講和を主張しておる。そういう場合に、こうした法案を日本の政府が出して、そしていきなりどんどん行つてもよろしい、お前さん方のあとはこつちで骨を拾つてやるからというふうな、こういう保険法を出したならば、これは明らかに事実上戦争を挑発しておるものといわざるを得ない。戦争挑発の原因になる、という、この根本的な点を考えておるのかどうか。この点、第一番にかんじんな点ですから、お伺いしたい。
○松田委員 私は今井之口委員の質問に対して、いささか共産党の宣伝演説をやつておられるような節もあるので、まことに答弁するのに政府当局は困ることだろうと思うのでありますが、しかしそれに対しては、私は関連質問として一言申し上げておきたい。 井之口君は戦争誘発に使うものであるという考え方を持つておられるようであります。かような点は、私どもの考え方とは根本的に違う点があるのであります。これは法案の内容から行きましても、一つもそういう問題はないのである。現に拿捕されているものの中でも、私はこの前の委員会にも、井之口委員がただいま話されたようなことを申し上げた。日本国民の侵略漁業のために、みずからマッカーサー・ラインを越えて、そして漁獲をせんがために行くものに対しては、当然日本の政府としては処罰こそすれ、何らこれを救済する必要のないものであるということを、私は申し上げたことがある。しかしそれは、漁夫に対してのみは、日本国民であるがゆえに最善の努力を講じてやらなければなるまい。しかし今日拿捕されておるあまたのこの資料から行きましても、マッカーサー・ラインを越えて拿捕されたものがあるかどうか。またそれ以内において拿捕されたものがどの程度であるか。私はこのたび北海道へ参りまして歯舞島の調査をしたときにも、不法なる拿捕である、かようなことは、決してソ同盟を攻撃するものでないが、井之口君のような、ソ同盟に対して爾光尊的な考え方を持つておるものとは違う。——現に日本とは不可侵条約を結び、また中立条約を結んでおつた八月九日に、満州においてどのような行為をしたか。かようなものの思想を経た中共においては、日本の漁船を不法拿捕することによつて損害を与える。それによつて非常なる心配をし、困つておるのが日本の漁船であるがゆえに、かような点から言つて今日この問題を審議し、これを成立させなければならない。私が先ほど申したように、憲法の上から言つて、日本国民の生命財産を擁護してやらなければならぬ、また保障してやらなければならないということを、われわれは強く政府に要求しなければならない。かような考え方を持つておるものでありまして、重ねて申し上げますが、井之口委員の現在行われておることは、ソ同盟に対して爾光尊的な考え方を持つておられるので——言論を抑制するわけには参りませんが、かような議論はとうてい聞く必要のないものと私は思います。
○二階堂委員長代理 いろいろほかにもたくさん本日の委員会において審議される問題もありますので、この問題につきましてはこの程度にいたします。 —————————————
○二階堂委員長代理 次に漁業経営安定に関する件及び水産資源に関する件を議題とし、特にさんまの取締り規則及び中央卸売市場の問題について審査いたしたいと思います。松田委員。
○松田委員 まず私は卸売市場の問題で一言お話をしたいのであります。東京都において、中央市場では今日整備を行わんとしておるのであります。この問題は水産庁といたしましては何らの権限がないのであつて、どのようにそれを整備改革しようとしても、権限のないものと私は考えておるのであります。そこで東京都、その担当者、またはこの整備に尽力をしております東京都の市場協議会とかの会長寺田省一氏、この人々からその内容を承りたいと考えるのであります。その理由は、水産庁は地方庁に市場の許可またはその内容に対する一切の問題はまかしておるものでありますが、水産庁は東京卸売市場に対してのみは市場口銭の値上げ問題、またはこの整備機構に対して相当の融資をあつせんするとか、この整備統合とか、かような点を推進されて来たものであつて、そこに初めて水産庁の責任があるものでありまして、当委員会といたしましても、この問題を論議することに誤つておるやり方をしておつたならば、水産庁の非常なる迷惑となるものであると私どもは考えるのでありまして、後刻中央市場長及び寺田省一氏をここへ御招致いたされまして、この問題を論議してみたいと、かように考えるものでありまするから、二人を招致することを委員会で御決議くださることをお願いしまして、後刻に譲りたいと思います。
○二階堂委員長代理 この際お諮りいたします。ただいま松田委員からの御提議がありましたが、中央市場から二人をここにお招きすることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○二階堂委員長代理 異議なしと認めまして、さよう決定いたします。
○松田委員 その次はさんまの問題について水産庁から御説明を願いたいと思います。
○高橋説明員 それではさんまの問題につきまして簡単に御説明いたします。さんまの漁業は、戦前では大体六百隻ないし七百隻内外の漁船で、御承知のように刺網を操業して大体四百万貫ないし六百万貫程度の漁業をしておつたのでありますが、戦後はこれが棒受網漁業に変化いたしまして、現在では大体二千隻、三千万貫程度の漁獲が行われておるのであります。ところが二十五年度の結果を見ますと、さんまが非常に小型になりまして、三年魚の単一の魚群が主体であつて、四年魚以上のさんまは非常に僅少となりました。従つてこのように年の若いさんまが主体を占めておりますままでさんま漁業を継続することになりますと、非常に資源上の問題がありますので、現在の状況では、はたして数箇年このままで続けて行かれるかどうかということについては、十分の警戒と研究がいるだろう、こういうふうに判定いたしておるわけなんでございます。従つてこのままではいずれにしてもいけませんので、資源の問題からする対策については、特に先日五ポイントということでGHQ方面より勧告を受けておる次第でありますので、私どもとしては、本年度のさんまについては一応従来と違つた行き方をとつてみたいというふうに考えておる次第であります。その大体の基本のねらいといたしましては、さんま漁業につきましては操業期間を去年以上短縮いたしまして、その操業期間の短縮ということで漁獲努力を制限いたしまして、それによつて資源を保護して、さんま漁業の永続をはかつて参りたい、こういうふうに基本的に考えております。なおちようど二十二日に、関係の係官ないしは関係の漁業者も集まる機会がありますので、私どもの基本的な考え方を申し上げまして、本年度のさんまの取締り規則の改正についてお諮りし、その御意見によつて私どもとしては対策を立てて参りたい、以上のように考えておる次第でございます。
○松田委員 たいへんけつこうな御意見でありまして、私どももこれに対しては全幅の信頼を持つものであります。しかしそのうち七百隻内外の漁船は、従来流し網をもつて漁業を営んでおつた。今日は二千隻の漁船をもつて操業をやつておる。しかも漁獲は年々増加いたしまして、三千万貫という尨大なる漁獲がされるようになつた。数字の上から行けば非常に宴ぶべき結果になつておるのでありますが、たまたま第八国会かと思いますが、魚価維持対策という問題が水産庁の二十六年度の予算の中にも盛られておつたことであり、いかにしたならば魚価維持対策ができ得るかということは、論議されたことであつたと私は記憶するものであります。そのうちに、せつかくとつた魚族を肥料にするとか、またはその他安売りをもつて漁民が困つておるようなことでは困るから、見返り資金をもつて冷蔵庫をつくつて、魚価の維持対策に資するという案もできたし、また漁業法の制定された結果において、今までやつておつた侵略漁業の域を脱して、資源維持を根本とする日本の漁業に改訂をしなければならないという、この精神をくんで十分に論議が進められて行つたことであると、私は記憶しておるものであります。そこで現在行われておる二千隻の棒受網によつて、今まで四年生が主となつておつたさんまが、三年生ないしは二年生が漁獲されて、四、五年経たならば資源の維持がどのようになるかという当局の御心配も、先ほどお話があつたのでありまして、われわれもこの点に関して非常に関心を持つものであります。そこでこの漁獲の方法が、現在科学の進歩によつて、集魚燈をもつて安易なる方法による漁獲をしておる。棒受漁業というものは非常に進歩した漁業と考えておりますが、これによつて二年生ないし三年生の稚魚の濫獲ということが、漁業法の根本的考え方から言つても、現在の魚価維持対策の面から行きましても、なかなか容易ならざるものがあるのでなかろうかと、私は考えておるのであつて、私はこの問題に対して、前委員会二回にわたつて私の意見を述べておつたのであります。そこで今日さんま漁業の方針を改訂するという御意見であり、この案を示されておるのでありますが、稚魚の濫獲に対してどのような方法をお考えになつておるか、二回にわたつて私が述べた参考意見が是なりや非なりやということに対しては、私今日議論をするものではありませんが、あの意見に対してどのようにお考えになつておられるか。また単なる期間の短縮だけでもつて、さんまの漁獲が制限されて、稚魚をとらなくて済むことであるかどうかという御見解を持つておられるか、この点に対して御意見を承りたいと思うのであります。
○高橋説明員 ただいまの松田委員の御質問に対してお答えいたします。棒受網、ことに戦後発達いたしました棒受網漁業が、さんまの稚魚の濫獲になりはせぬかという点でありますが、この点につきましては二つの考え方がございますので、まだ私どもとしては、どちらが正しいか判定する域にまで達しておりません。その一つは、さんま漁業は全体的に濫獲になつた結果、年をとつた魚が少くなつたために、魚体が小さくなつたのではないかという意見と、もう一つは、棒受けをやつたから全体の資源に非常に影響があつたのではないか、特に棒受けでは小さいさんまをとるから、稚魚が少くなつたのではないか、こういう二通りの御意見が今各方面から出されておるわけなのであります。それに対して、私どもとしては、どちらの意見が正しいかわかりませんが、その方の研究は続けることにいたしまして、さしあたりは棒受けによる漁獲努力を制限したらどうか。と申しますのは、棒受けによるさんまのとり方を制限すればいいのではないか、こう考えておる次第でございます。棒受けがいいか悪いかということはなお研究を続けてやることにいたしまして、ただいますぐ棒受けを禁止して、昔のような流し網にするかどうかという点については研究は続行いたしますが、さしあたりは棒受けによる漁獲努力を制限しよう、こういうふうに考えて立案したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○小高委員 いささか専門的になるのでありますが、私もこのさんまの魚体が非常に小さくなつて、このまま手を尽さないならば、さんま資源は枯渇をしやしないかと非常に苦慮しておる一人でございます。先ほど来松田委員との間にいろいろ御議論がございましたが、いやしくもさんまの資源を語る場合に、一体どこでさんまが卵を産むのか、これを突きとめないでこの問題の解決はできないのでございます。一昨年、その前年はさんまが非常に不漁でございまして、房総半島一帯に二、三百隻のさんま舟が待つておつたのでありますが、遂に来なかつた。その来なかつた一つの議論として、どこでさんまが卵を産むのかという際に、房総半島沖で流し網を張るならばこれに卵を産みつける。そうすれば房総半島沖合いが産卵場所ではないか、産卵場所に来るまでにとり尽すことは危険千万であるという議論が相当強かつたのであります。しかるところ一昨年の夏でございます、和歌山県へ私は漁港調査に参つたのでありますが、勝浦、串本へ参りましたところ、さんまが非常にとれないために、火の消えたようなさびしさを訴えておつた。そのときに和歌山県の沖合いで産卵する、私どもは古くからそこが産卵場所であるというふうに観念的に考えているんだ、そう決定しているんだということを漁民から聞かされたのでありますが、そうすればさんまは北海道沖合いで卵を産むのであるか、房総半島沖合いで卵を産むのであるか、はたまた和歌山県の沖合いで卵を産むのであるか、こういうことが非常にまちまちであるのであります。そこで稚魚の繁殖保護、これももとより考えなくてはいけない。また稚魚を濫獲してはいけないが、産卵場所、産卵季節を把握しなければ、真の繁殖がはかり得ないので、この点につきまして、どこでだれが研究して、的確なる調査報告をするのだということになりますと、それは国立水産研究所が当然なさなければならぬことでありまして、こういう問題を解決する意味におきまして、昨年の暮以来、水産庁長官に向つて、すみやかに全国八箇所にわたるところの水産研究所の調査報告をしてもらいたいということを要求してあるにもかかわらず、日を延ばされまして、近くするということでありますが、それらの基礎資料によつて、ただ稚魚の制限ばかりでなく、産卵場所の測定をいたしまして、それから出発して行かなければならないと思うのでありますが、これらに対して水産庁当局はどういうような考えを持つておられるか、御答弁願いたいのであります。
○高橋説明員 お答えいたします。ただいまのさんまの調査につきましては、本年度新しい予算が通りまして、東北区の水産研究所でこの調査に専念するという話を承つております。これが明らかになりますれば、私どもの施策も大分はつきりした目標を持つてやることができるのではないかというように考えております。ただ現在までのところ、大体私どもでわかつております点は、さんまの産卵は、従来言われておりましたよりも相当長い期間にわたつて、数回卵を産むのではないかということが言われて参つております。従いまして、これは高年魚では、北海道からただいまお話のありました和歌山県に至る海区でも、いずれも産卵するのではないかというように、まだはつきりはしておりませんが、そういうような報告もわれわれ聞いて参つておりますので、その点はお話のように、房総地区だけに限るものではないということだけは、ほぼ言い得るのではないかというふうに考えております。
○田渕委員 和歌山県の話が出ましたから申し上げますが、大体戦前は七百隻で四百万貫しかとれなかつた。戦前の七百隻の船が二千隻になつて三千万貫がとれている。そうしますと、戦前の船よりも戦後は三倍にふえている。しかも漁獲高においては八倍に上昇している。それに終戦直後一、二年というものは、私も和歌山県の選出でありますからわかりますが、勝浦からあるいは紀伊半島の連中は、さんまをもつて生活を営んでおつた。ところが本年の一月、昨年の一月と、この二年ほどというものは、ほとんど勝浦にはさんまが一匹も上らない。あれだけたくさんの船が出て、ほとんど火の消えたような状態である。こういうような状態であるのに、七百隻の船を二千隻にまでいつふやしたかということが第一点。 それから四百万貫しかとれなかつたものが三千万貫もとれているのは、一体どの地区でとれているのかというのが第二点。それから第三点は、集魚燈によつてほとんど稚魚をとつている。それで同僚松田委員からもお話がありましたが、あれは魚価の上に非常にひどい結果を来している。魚族蛋白を持つて来て、食糧の何ぼか補助にしようというときに、また食えなくて困つている人間がおるのに、とり過ぎて魚価が維持できないから、これを肥料にするということは納得できない。 それから和歌山県の沖合いで産卵することは聞いておりますが、なるほど終戦直後において、さんまの網に卵を住みつける、またさんまの塩づけと言いましようか、あれまでとつてやつていたものが、このごろは一つもとれない。こういうような点において、和歌山県の沖合い、あるいは黒潮の関係で生むかどうかということは、今研究されておりますから、私にはわかりませんけれども、この産卵の地域はどこであるかということはともかくも、今高橋調整課長に伺いたいのは、戦前の七百隻を二千隻にふやしたということは、ある地域的にこれをふやしていたのであるか、和歌山県ではふえておりません。そういうような意味で、四百万貫しかとれなかつたものが三千万貫、八倍も上昇している。それがわが紀伊半島に一匹もとれないということはどういうことであるか、これらに対して水産庁ではどういう態度をとつておるか、はつきりお答え願いたい。
○高橋説明員 ただいまの田淵委員の質問に対してお答えいたします。まず第一点は、いつ船をふやしたかということでありますが、これは御存じのように、さんまの漁業につきましては、ただいま自由漁業になつておりますので、戦後急にふえたというようにお答えするしかないと思つております。またこのままでいいとはもちろん思いませんが、ただいまのところ自由漁業になつておりますので、棒受けがきつかけになつて非常に船がふえたのであろうと思います。それから第二点は、さんまは戦後どの地区で主としてとつているかという御質問ですが、これは東北六県が主体となつて、北海道もこれに加わりまして、それに茨城、千葉、静岡の辺が中心になつてとられているのであります。それから肥料になつている事実を知つているかどうかというお話でございますが、これは確かに昨年度におきましては、北海道では輸送関係が思わしくなかつたために、一部肥料に供せられた所もあつたということは承知しております。
○松田委員 さんまは十二度から十五度の水温によつて産卵されるものである。ゆえに大体において北海道の沖合いからアリユーシヤンの沖において産卵されるものであります。そうした結果から言つて、内地沿岸において産卵される場合は、寒流に乗つて来て魚が南へ下り、十二度から十五度の温度によつて適当なときにおいて産卵する、これは場違いの産卵である、さようにわれわれは考えているものであります。かわつているかもしれませんが、まず産卵の時期と水温というものは、私ども大体そのように考えているのであります。ところで自由漁業なるがゆえに七百隻が二千隻にふえたことはやむを得ないことと思うのであります。現在あらゆる漁業において非常なる隘路を来している。たとえば機船底びきにおいても、またはいなわ漁業においても、定置制の底びき漁業を対象としている漁船は非常なる隘路を来している。これが現在日本の漁業の実態であります。しからばさんまというものはどういうようなものであるかといつたならば、回遊性の魚族であつて、この回遊性の魚族が、海流に乗つて北海道から千葉、和歌山まで行くというようなことが、今までの習慣であつた。一部日本海に入るものもあつたが、こうしたものが、寒流が和歌山県の沖合いまで行かない場合には、和歌山県には一匹もさんまは上らないという結論になるのであります。さような意味で、田淵君の言われるように、和歌山県にさんまが行かないということは自然の原理であつて、決して取締りが悪いわけではないと私は考えておるのであります。そこでこの三千万貫漁獲されているという喜ばしいことも、稚魚が濫獲され、多数の漁民がこれから出漁したいと思つても、あまりにも大きな棒受網、集魚燈によつて集められるようなことがあつたならば、とうてい小さな漁民は漁獲することができない。ここに漁民の苦しみがある。ゆえに漁民を救う意味において、もつと二千隻が五千隻になつてこの漁業に就業しても、一向さしつかえないことではなかろうかとも考える。但し現在の棒受けのように、一夜にして満船して帰るということは望み得ないであろうけれども、その結果が昨年のごとく稚魚においてたたかれる原因になつて、さんまのみが安くなればいざ知らず、漁獲された魚全部がその影響を受けて、魚価の安定のでき得ないのが昨年の実情であつたのであります。ゆえに漁民を救うためにたくさんの漁船を出漁させるという方法も考えなければなりますまい。魚価を維持する点からいつても、またない物高という原則からいつても、そうしたときのことを考えるならば、私は資源の維持、魚価の対策、または漁業を営む漁民を漁業に多数参加させることを考えたならば、棒受網の進歩した漁業のみではいけないことではないか、かように考えるのであつて、二、三回この問題を話したわけでありますが、先ほどの高橋課長の話も私には納得できますが、こうした考え方を持つておられるかどうかということを、お聞きしたいと思います。
○田渕委員 この点については松田委員は専門家でありますから、何も私は反駁を加えようとは思いません。しかし今高橋課長が、さんまは自由漁業だからという暴言を吐くならば、日本の水産資源の維持とか稚魚濫獲というものは何をもつて取締つて行くのか。自由漁業だからとり放題とつて行くので、魚の形が小さくなつて来ているのである。ですから私には自由漁業だからということは納得できない。そこで戦前の七百隻の船は、どの地区にどのくらい動いていたかという資料と、終戦後においてそれが何百隻にふえたかということの資料と、戦前の収獲高のいわゆる四百万貫というものは、一体どの地区でとれたのかという資料、それから終戦後二千隻にふえて、三千万貫のものがどういうふうにしてとれたかという資料を、次の委員会に御提出願いたい。そしてこれが集魚燈でとられているのであるか、棒受けでとられているのか、あるいは流し網でとられているのか、私は少くとも北海道あるいは茨城、千葉、和歌山県というような、小さいことを言うのではなく、日本の水産資源の擁護、稚魚濫獲防止という大きな線から言つているのであります。
○高橋説明員 ただいまの田淵委員の御質問に対してお答えいたします。まず自由漁業なるがゆえに、船がふえたことに対しては、このままではいけないので、何らかの対策をとりたいと思つております。一方松田委員の御質問にもあつた点でありますが、これはただちに許可制度をとるかどうかという点でおりますが、船の数を制限せずにたくさん出て行くことは、さんまについてはいいではないかという御意見ですが、この点につきましては、私どもとしてはこのままではいけないのでありますが、今ただちに農林大臣の許可制にするかどうかということについては、いささか疑問を持つているのであります。御存じのように、漁獲を制限するやり方にいろいろござい辛けれども、許可制度が、主として私どもの使う方式でございますが、これが必ずしも思うような効果を上げておらないのでございます。それで従来の役所のやり方の許可制度以外にいい方法がないか、それを検討せよということを中央漁業審議会その他からもやかましく言われているような次第でございますので、私どもとしては、このさんま漁業につきましては許可制度はとれない。許可制度をとれはいたしますが、ほかのたとえば操業期間の短縮といつたようなことで、さんまの資源を保護して参りたい、こういうふうな方法で今立案中でございます。 次に肥料の問題でございますが、これは確かに昨年度輸送がうまく行かなかつた点がありますので、本年度におきましては、よく北海道などの事情も聞いた上で、輸送対策についても連絡の上善処して参りたいと考えております。
○田口委員 さんま漁業の方針に関しましては、解禁日の問題が一つのポイントになつておりますが、解禁日の初期の分を、北海道におきまして二十トン以下の漁船を道庁の取締規則に譲つて、そして全般といたしましては十月一日に改める、この点は賢明な方法と思うのでございますが、ただこの解禁日の最終の日を従来六月三十日までとなつているのを、十二月十五日と改めるという問題に関しましては、大体さんまは北の方から漸次南の方でとれて行く、こういうような状態から、この十二月十五日前後にとれる府県が相当あると思いますが、大体全国のさんまの漁期について、各県別の資料がありますれば、その資料をいただきたい。 それからもう一点は、漁業の種類によつて取締つておられるのでございますか、あるいはさんまそれ自体について取締つておられるのでありますか。もし漁業の種類でなしに、さんま自体で取締るということになりますと、陸揚げ禁止の問題が、さんま専門の漁業でとれたさんま、あるいは混獲されたさんまというような問題が起るわけでございますが、この規則によつて捕獲されるものは、混獲されてとれるさんまには及ばない、こういう意味でありますか。その二点をお伺いいたしたいと思います
○高橋説明員 ただいまの各府県別の漁期の資料でございますが、これはこの次の委員会までに、私どもつくりまして、お手元にお届けするようにいたします。ただちよつと申し上げたい点は、このさんま漁業取締規則により適用される区域につきましては、千葉県野島崎から以北の太平洋海区へ今度新しく開設されるオホーツク海を入れることになりますので、問題の十二月十五日は……。
○田口委員 それでは了承しました。
○高橋説明員 これはなお資料によつてお答えいたしたいと思います。 それから混獲の問題と陸揚げ禁止の問題がございますが、これも一応確かに今御指摘になるような問題がありまして、たとえば定置漁業に入つたさんままで具体的に問題になるではないかという御指摘の点があると思われるのであります。もしもその需要度が非常に低いものでありますれば、さんまの全体の取締りのために、ここで規定しておりますさんま以外の漁業によつて陸揚げされたさんまも、一応陸揚げ禁止の規定に入るではないかという点でございますが、この点についても、実際の行政面としてはいろいろ問題があろうかと思いますので、この二十二日の会議で県の係官の意見を聞いた上で、はたしてやれるかやれないかきめて行きたい、こういうふうに考えております。
○二階堂委員長代理 本日はこの程度でやめます。なお松田委員の要求は都合によりまして後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十四分散会