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10回国会衆議院1951/08/15

行政監察特別委員会 第15号

発言数
26
登壇者
7
会派数
2
開催日
1951/08/15

会議録

篠田弘作自由党

○篠田委員長 これより会議を開きます。  不正入出国に関する件について、派遣委員の報告を聴取することにいたします。佐々木秀世君。

佐々木秀世自由党

○佐々木(秀)委員 不正出入国及び密輸事犯取締り行政機関の実地監察報告をいたしたいと思います。私の方は九州班でありまして、九州班の御報告をいたします。お手元にプリントで差上げてありますのは調査の本文でありますが、その前にわれわれの参りましたところから申し上げたいと思います。  ただいま申し上げました表記の目的のため、福岡、長崎、熊本の三県を視察し、各地において関係機関の監察を行い、かつ関係者との懇談、現地実情の聴取を行いました。まず第一に門司市におきましては、海上保安庁第七管区本部並びに門司税関であります。その次は福岡に参りました。福岡におきましては、国警福岡警察管区本部、国警福岡県本部、福岡県庁、出入国管理庁福岡出張所、福岡海上保安部、福岡市警察局との懇談をいたしました。その次は長崎に参りまして、長崎におきましては厳原町、長崎県対馬支庁、国警長崎県本部、国警下県地区署、厳原海上保安部、厳原税関支署との懇談をいたしました。それから長崎県佐須奈村におきましては、国警上県地区署、佐須奈村の有力者あるいは関係者との懇談をいたしました。その次は大村市に参りまして、出入国管理庁大村入国者収容所の監察を行つたのであります。次は長崎であります。長崎海上保安部、国警長崎県本部、長崎県庁等において、関係者との懇談会をいたしました。最後に熊本に参りまして、国警熊本県本部、それからこれはその場所に行かなかつたのですが、いわゆる菊池恵楓園の園長さんに来ていただきまして、熊本市において懇談をいたしたのであります。大体以上がわれわれの歩いて来た行程でありまして、その実地調査をいたしましたことを逐次申し上げたいと思います。  密出入国及び密輸の事件において、九州の占める位置から申し上げたいと思います。九州は北に朝鮮を、南に南西諸島、台湾を、西に支那大陸を控えている地理的條件から、全国密入国事犯のほとんど大半、二十五年度における国警の検挙数二千四百十六名中、九州七県におきましては千七百七十名、いわゆる比率にいたしまして、七三%がこの地で行われておるのであります。しかしてこのうち朝鮮人の密入国の占める数は圧倒的多数で、本年度上半期国警、福岡警察管区内の検挙数で見ますと、総数の八八%強を占め、さらにこれを県別に見ますれば、長崎県がその九三%を占め、しかしてその大半は対馬で検挙されているのであります。密輸についても国警が扱つた九州の件数は、二十五年度三百四十三件、総額一億一千九万七千円で、全国検挙数の約六〇%を占めているのであります。  以上の概況でありますので、今回の委員一行の現地監察は、この種事件に対し活動している現地第一線の、いわゆる行政機関の志気を振作高揚し、またこの機会に複雑多岐をきわむる各機関の連絡協同の上に裨益したところ少くなかつたと信じます。  以下各機関別に監察の結果ないし意見の聴取結果をとりまとめ報告いたします。  海上保安庁の方から申し上げますと、海上における取締りの中心は、言うまでもなく海上保安庁でありますが、同庁は門司に第七管区海上保安本部を置き、全九州及び山口県の一部の海域を管轄しているのであります。今回は右保安本部及びその下部機関たる福岡、厳原、佐世保、長崎、三魚の各海上保安部及び三池警備救難署の監察を行いました。この結果を通観いたしますと、まず人員の整備でありますが、各地において増員の要望が熾烈であり、管区本部長は五割増しの希望があつたのであります。現状はたしかに第一線機関の一層の充実を必要と認めたのでありますが、右につきましては質の向上並びに欠員の充足、特に末端警備救難署の欠員に対するすみやかなる充足等については、さらに努力を傾くる必要があると思われます。  その次は船舶でありますが、漸時新造船の配備によりまして、現有船舶の性能は向上しつつありまするけれども、現在なお多数配備せられておる中におきましては、戰時中駆潜目的に使用した標準型木造船、いわゆる駆特型と申すのでありますが、その性能は著しく不良でありまして、各地におきましては、すでにもてあましている実情にあるのであります。このすみやかなる更新が、さしあたり重要であろうと思われます。また末端警備救難署に全然船舶の配置のないところもありますが、少くとも救命艇の配置だけは、これはぜひとも必要であろうと認められました。なお右に関連し、現在海上保安庁法の規定によりまして、海上保安庁の船舶は十五ノット以上の速力を有することができないのでありますが、これはすみやかに改正し、能率を向上する必要があると思われます。  第三番目は装備でありますが、現在は大体無装備であると言つてもさしつかえはないと思います。少くとも停船命令を維持し得る程度の装備は、ぜひとも必要と認められました。  また四番目は、燈台の増設でありますが、海難を防止するためには燈台の増設がぜひとも必要であります。この管内にもさらに増設を必要とするところが少くなかつたようであります。  第五番目は陸上職員に対する制服の貸與であります。規律の維持と執務能率の向上に資するために、全職員の服装を統一することが必要であろうと思われます。現在の給與をもつてしては購買せしめることは困難でありまするから、貸與の道を開くことが必要であろうと考えます。  次は警察機関について申し上げます。陸上における取締りの中心は、言うまでもなく国家地方警察並びに自治体警察であるのでありますが、九州が密出入及び密貿易事件の上において占むる重要性から見ましても、国警福岡管区本部、同福岡県本部、また対馬を管轄する長崎県本部等のこの方面に対する努力は、並々ならぬものがあります。自治体警察もまた他地方に見るごとく、全然この種事件に無関心であるようなこともなく、相当の関心を持つて努力していることは事実であります。  警察の手による密出入国の検挙率が問題でありますが、対馬上県地区署長は、警察は三割だけしか検挙していないと言われていたので、着任以来努力して五割くらいはやつているつもりであると述べておりますが、国警福岡管区本部では、六七%の検挙率と報告しております。まつたく視察線上に上つていない上陸推定の数を考えると、この率は下まわるものと見なければなりません。しかして国警、自治警の検挙数の比率は、国警九〇%、自治警一〇%であろうかと思われます。  警察行政庁の活動に対し、著しく出遅れて整備されておらぬものに出入国管理庁があります。出入国管理庁には入国警備官があり、退去強制令書の執行、入国者収容所の警備に当るほか、登録令第三條及び渡航制限臨時措置令第一條違反事件に関しては、司法警察職員としての職務を行い、警察職員は、前記違反事件の被疑者を逮捕したときは、すみやかに入国警備官に引渡さなければならないのであります。しかして昭和二十五年十一月二十五日出入国管理庁と国警本部との間に協定が結ばれ、逮捕は、原則とし、て精察官が、立件送致は原則として入国警備官が行うことになつたのでありまするが、出入国管理庁の整備は遅々として進まず、現在なお警察官がすべて逮捕、立件送致を行つておる現況であります。この現況をもつてすれば、出入国管理庁は、不正出入国取締りの見地においては、いたずらに機構を複雑化し、むしろ足手まといの感がないでもないと言われましよう。  以下、各地における監察の結果及び要望等をとりまとめて報告いたしまするが、まずその第一点といたしまして、登録証明書の偽造及び偽製発行の問題でございます。密出入国者の日本居住の先決問題は偽造登録証明書の入手でありまして、従つて偽造登録証明書は、釜山において一万円前後、内地におきましては五千円前後の価格をもつて売買されている模様でありますが、この偽造を不可能ならしめ、また不正発行を防止することは、密出入国取締上の中心問題であろうかと思われます。この点に関し現地機関の意見を聴取いたしましたが、登録証明書発布官庁たる市町村の吏員の綱紀を粛正し、不正事件の根絶を期することがまず根本であろうかと思われます。さらに登録証明書の現在の有効期間三年は長きに失するゆえに、一年くらいに短縮し、また安貞貼布のかわりに指紋制を採用することが最も適切であるとの意見もあり、急速にこれを改正する必要があると認められます。  第二に検挙上の困難性でございますが、密出入国等には必ずブローカーが介在するのでありますが、挙証の関係上この検挙がはなはだむずかしいのであります。また令状がなければ家宅捜索ができぬため、検挙能率が上らないのは遺憾のきわみでございます。  第三に対馬に密出入国者の収容所の設置の問題でございます。対馬には集団的密航が多くなつて来ましたが、現在国警、町警全部を通じて二百五十名しか収容の場所がなく、各機関とも出入国管理庁がこの地に百程度の収容所を設置するよう要望がありました。現在は対馬において検挙した密出入国著は、これを大村収容所に移送し、さらに佐世保から送還しているのでありますが、直接対馬より送還することとすれば能率的であり、かつ予算上も相当あ削減ができるので考究を要する問題であろうかと考えます。  第四は警察における船舶所有の問題であります。国警には現在一隻の艦船も所有を許されておりませんが、対馬のごとき地方においては、少くとも通航程度の船舶を国警にも認める必要があるとの要望があつたのであります。それに対し海上保安庁は、同庁の船舶が充実すれば国警の使用に対しても遺憾なからしめることができると主張しておりますが、海上取締りのためでなく、交通機関として通航程度の船舶の保持は認める必要があるとも思われます。  第五は監視哨の整備であります。現在福岡警察管区本部管内には百九十六箇所、国警維持百四十一、自警維持五十五の監視哨を設置し、海岸の警備に当らしめておりますが、これは地元町村青年団、漁業組合等の負担によるところ多く、予算増加額を必要と認めます。一名月三千五百円、七百四十八名はその内訳であります。  第六は税関の問題であります。門司の税関及び下部機関たる厳原税関支署につき事情聴取を行いましたが、門司税関は九州一円及び山口県を管轄する関係上、昭和二十五年中に九百五十六件に上る密輸事件を処理し、全国税関の四九%を占めております。密貿易の根絶をはかるためには、特に正常貿易の進展をはかることが要諦でありましようが、これがためには貿易管理の実施による諸手続の簡易化が必要であります。同時に検疫施設の並行が問題となります。現在対馬には税関支署が置かれ、当地の主要輸出品たるまきについては手続簡易化の処置が講ぜられましたが、検疫施設がないために実際には活用されていないとの現地意見がありました。従来検疫は税関の一部でありましたが、現在は厚生省に移管されたため、この間の関係が円滑を欠いておるとすれば、考究を要する問題であろうと思われます。  五番目は出入国管理庁の問題であります。福岡出張所及び大村入国者収容所を監察いたしましたが、出入国管理庁の設置は、密入国者の取扱いに関しては、いたずらに事務を輻湊ならしめ、関係を複雑にしておる感が深いのであります。同庁の所管は外務省でありますが、設置後実務の開始まで日数を要し、すなわち福岡出張所は昨年十月開始せられたが、実務は本年一月以降護送事務を、三月以降退去強制令書発布事務を、その他の在留嘆願令書執行一時停止許可事務などは、おおむね四月以降それぞれ開始されたような現状であります。さらに大村入国者収容所はその位置も適当でなく、強制送還の船は佐世保港から出港しておるのでありますが、大村湾はその入口が狭いために、大型船が入れず、団平船を引舟いたしまして、佐世保まで送致乗船せしめる等の煩雑さであります。かつ人国者収容所は所長以下二百数十名の職員を擁しておるにもかかわらず、いたずらにはれものにさわるがごとく監視しておる状況で、収容期間中、収容者の調査等についても何ら積極的に行われている点は見受けられず、運営上改善の余地があると認められました。  六番目は各機関の連絡協同は完全であるかどうかということであります。警察、海上保安庁、税関、出入国管理庁、特審局支局等関係各機関の連絡、協同がはたして円滑に行われているか、さらに国警と自警との関係はいかん等の点も今回の監察の一眼目であつたのでありますが、表面はともかくとして、実際には必ずしも完全であるとは認めがたいのであります。この主要な原因の一つとしては、出入国管理庁新設の問題が考えられるのでありますが、従来でも複雑多岐であつた取締か機構が、出入国監理庁の取置によりまして、さらに屋上屋を架し、しかも形式上は同庁が全責任を掌握することになつていて、警察、海上保安庁がこれに協力する建前になつている点に問題があろうかと思います。出入国監理庁は最高司令官の覚書によつて設置されたものでありますが、不露出入国者の大部分が朝鮮人であることを考えますれば、正規出入国の関係は別として、不正出入国の関係を取扱う官署として外務省所管官庁を設置したことには至大な無理があるのであります、朝鮮人は。外国人登録令でもその第十一條に「この勅令の適用については、当分の間、これを外国人とみなす」としているように、單純な外国人ではありません。しかも現在国内に百万に近い人口を擁していることに思いをいたすと、権力のない機関を新設してこれに当らしめるところに無理があり、この間関係機関の協同の上に欠陥の発生することは当然のことであろうと思います。さらに警察行政庁におきましても、国警、自警の対立の問題があり、対馬厳原における懇談会の席上、国警と自警に対する委員の質問に対し、当地のごとき事件が多く人員の不足な地方では、国警、自警の対立など考えておれぬとの微妙な回答が町警察署長によつてなされました。またむしろ国境警備隊のごとき特殊警備隊の設置を希望する旨の発言が、厳原町長によつてなされたことも注目されます。右に関し、朝鮮人漁夫の遭難を救助し来たれる海上保安庁の船が、韓国側の引取り能力がないために、船員の食費、送還費の支出につきまして、関係機関のいずれにおいても引取りが行われず、民間業者に依頼、処理したことが第七管区海上保安本部で四件発生しておりますが、右は中央において急速に解決すべき問題であろうと思われます。  七番目には、密入国及び密輸以外の問題であります。  その第一点といたしましては、福岡市に起きました事件について、これは委員と県庁との問いろいろ意見の交換をやつたのでありますが、占領軍の飛行機事故のいわゆる慰藉金の問題であります。五月十日朝、福岡市内吉塚町において発生せる飛行機墜落事故は、死者十一名、火災被害千二百万円に及んだのでありますが、右に関する委員の質問に対しまして福岡県当局より厚生省の現行規程に共き百五十万円を終戦処理費から支出されるとの答弁があつたのでありますが、右は全額僅少に失する点、いまだ支拂いを完了いたしておらず、その処置敏速を欠く点が県市等において見られ、いまだ何らの慰藉の措置も講じられていない点等を指摘し、善処方を要望したのであります。  第二点といたしましては、水難救済会組織機構の法制化であります。これは地元の人から陳情を受けたのでありますが、今回の監察を機会に福岡市において、日本水難救済会福岡支部長上り委員並びに海上保安庁長官あて同会の組織機構について法律的措置を講じ、同会の運営に要する経費の一部補助、救難職員の公務による死亡、傷害に対する災害補償について処置せられるよう別紙のごとき陳情がございました。  三番目は、対馬のいわゆる総合開発計画であります。これも陳情でありますが、長崎県庁において、対馬総合開発計画につき別紙計画書に基き説明を行い、国会の協力を要望せられました。  四番目は、税務当局の越権行為に対する陳情でございます。共栄企業組合福岡市生活擁護同盟より、山口委員を通じて税務署、財務事務所等税務当局の越権的行為に対し調査方の陳情がありました。  以上はなはだ粗雑でございますが、九州班の現地調査の報告をいたしました。

篠田弘作自由党

○篠田委員長 田渕光一君。

田渕光一自由党

○田渕委員 北海道班の不正入国及び密輸事犯取締り行政機関の実地監察について報告をいたします。  一、前項の目的のために去る六月二十四日より七月三日まで左記の各地につきそれぞれの関係機関担当者より実情を聴取いたしました。一、函館市におきましては国家地方警察函館方面本部、函館海上保安部 二、小樽市におきましては第一管区海上保安本部三、札幌市におきましては国家地方警察北海道管区本部、同札幌方面本部、札幌電波管理局、同じく札幌電波監視局 四、釧路市におきましては、釧路海上保安部、国家地方警察釧路方面本部 五、根室町におきましては、根室町警察署、納沙布燈台 六、室蘭市におきましては室蘭市警察署、室蘭海上保安部であります。  二、海上の取締りは小樽にある第一管区海上保安本部が全道をその管轄皮域としておりますが、現在の配置人目は陸上四百五十七名、海上三百七十八名で、巡視船八隻、内火艇七隻、ほかに港内艇五隻を配属するにすぎないのであります。濃霧の来襲頻発する海域でありますにもかかわらず、レーダーの設備のないもの四艇に及んでおりますから、その行動能力にはなはだしい劣勢を認めるのであります。噴火湾方面その他において漁期に海難がしばしば起るが、かかる場合人命救助を優先的に行う建前から、自然密航、密輸取締りに手がまわらないという実情であります。道南の離島奥尻島は密航、密輸の中継地であるという情報が少からず入りますが、函館海上保安部では、主として巡視船の保有数の少いのと、その航続能力のない点より、いまだ同島方面に監視のため出動したことは一度もないのであります。また国警も人員並びに経費の点より同島に特に取締りを行うことはなく、従つて同島はこの取締りの盲点をなしているという状態であります。また根室方面納沙布岬と貝殻島との間は約三・四キロであり、その中央にマッカーサー・ラインが引かれているのでありますから、航行可能はわずか幅員一・七キロの海域であり、同地方は夏季には非常に濃霧が多く、連日のごとく来襲する上に潮流がはげしいので、知らざるうちにマ・ラインを越えるというのであります。  マ・ラインは根室より稚内へは沿岸三海里をもつて線を引かれております。稚内北部では緯度四十五度三十分をその線と定められておりますために、これを実際に引ぐならば、宗谷村大岬のごとき人口千三百五十二名を擁する地域は完全にライン外となるために、特に沿岸三海里までを航行可能区域としているありさまであります。また礼文島の一部は陸地すれすれにラインが引かれており、かつ特例を認められないので、事実上この地域は航行が不可能であるという状態であります。  要するにマ・ラインは、北海道の東海岸及び北海岸の一部においては、これあるがために知らず知らずラインを越えて密出国と認められる場合がきわめて多いのであります。マ・ラインが沿岸三海里というがごとき狭い幅員のもとに引かれておりますので、漁業の活動範囲が極度に制限されるという経済上の不利を招いているのであります。これは今回の調査の範囲外でありますからここに述べることを省略いたしまするが、密出入国問題より見ても決して等閑に付し得ない問題であるということを、調査のため出張した委員一同は異議なくこれを認めたのであります。  三、陸上の取締りは国家地方警察に属する北海道管区本部を札幌市に置き、五方面本部をその下部組織としているのでありますが、全道における派出所、駐在所は総計四百九十二、このほかに自治体警察に属する派出所、駐在所は四百四十九であります。しかし北海道はその面積他府県に比しきわめて大で、たとえば札幌方面本部の管轄区域は新潟県にほぼ匹敵し、旭川方面本部のそれは、岩手県よりも広いのであります。従つて札幌管区本部の管轄区域内人口は、全国平均よりも下まわつているにもかかわらず、その面積は全国平均の四倍、東京管区に比すれば実に五・七倍に上つているのであります。またたとえば根室の別海村は、一村が香川県に匹敵するほどの広さであります。従つて人口を基礎として警察定員を割当てる現行制度のもとにおきましては、北海道にあつては警察職員一人当りの担当区域はすこぶる広大となり、言葉をかえれば、北海道の警備は、面積の点上り見ればきわめて手薄といわなければならないのであります。しかし通信施設、交通設備が充実しておれば、人員の不足もこれをもつて補うことができるのでありますが、北海道の駐在所、派出所中、電話設備のないものは百七十に及び、自転車は辛うじて一台を保有するという状況である上に、陸路交通きわめて悪く、自動車はもとより、自転車も通わざる箇所さえ少くないのであります。たとえば釧路市から羅臼へ行くのに、冬季は往復六日間もかかるという状態であります。稚内管内の宗谷村派出所より本署に行くのには、二日がかりであります。函館管内の大櫓村には一村唯一の派出所に、定員二名が配属されておるだけであります。一名がかりに学校に入るといたしますと、他の一名に事故が起きたときには、付近より補充することが不可能で、無警察状態を続けざるを得なかつた。こういう実例もあつたのであります。国警は船舶の所有を認められていないので、船舶以外をもつてしては往来ができず、しかも海上保安部の応援を得られないという地方もまれでないので、かかる地方の取締りには、きわめて困難を感じているのであります。  以上の諸点について、委員はいずれもその事実を肯定したのでありますが、北海道の警察定員の配当には、人口以外に管轄面積及び沿岸線の長さ等をも考慮に入れなければならないということを認めました。従つて今回の国家地方警察の定員増加にあたり、特に北海道に比較的多数を割当てた政府の措置は妥当であるが、なお北海道の警備に対しましては、ひとり人員の増配の点のみならず、特に通信及び道路、船舶、自動車等の交通機関の充実のため、特別の予算割当を行う必要があるということを認めました。  四、警察当局と海上保安庁関係機関その他との連絡協同は、室蘭市警察と室蘭海上保安部との間のごとき例外を除き、相当緊密に行われていることも認めましたが、情報交換につきましては必ずしも十分とは言いがたいのであります。特に情報網を持たず、警察側に依存せざるを得ない海上保安庁関係機関に対しましては、警察側より積極的に情報を提供しているかいなか。また国警と自治警との相互間に迅速かつ正確詳細に交換が行われているかいなかにつきましては、関係機関の説明によつても、いまだ万全であるとは言いがたいものがあるのを考えさせられました。  五、北海道が他府県に比し種々の点で特殊性を有し、ことに開発途上である点、本州よりも物価が高い点、文化施設が十分でない点等よりしまして、この地に優秀な人材を配置するためには、給與、昇進その他につき、特別の考慮を拂う必要があることを認めました。これがためかえつて東京、名青嵐等の地方より転任すれば、手当が約一割減少するという状態で、転任の時期によつては、冬期に赴任しても石炭代の支給を受け得ないというがごとき不合理な制度が現行されておるのであります。また国家公務員のための国設宿舎に関する法律のため住宅が得がたく、従つて予算も定員もあるにかかわらず、実際には赴任させることができないという矛盾もあることがわかりました。  これらの諸点は、不正出入国問題に直接の関連がないまうに思われますが、上述の降路のために地方公務員が国家公務員となることを欲しない、自治体の方が給與がはるかによい、こういうような点で自治体に流れるというような点も見受けたのであります。悪條件の土地に誠実に勤務しても、これがため何らの恩恵にも浴さないどころか、経済的に不遇な地位に置かれているという事実は、不正出入国の取締りにも決してよい結果をもたらさないことは言をまたないのであります。ゆえに派潰委員一同は、この点につき北海道の国家公務員に特別の優遇法を講ずる必要があるということにつき、意見の一致を見ました次第であります。  六、最後に本出張中、六月三十日夜、マ・ライン越境のためソ連に抑留されておりまして帰還いたしました、道水産試験場所有白鴎丸船長以下十二名、根室町門間氏所有かに漁船第三福壽丸船長以下五名及び野付郡別海村波見氏所有の大洋丸機関士以下四名がCICで取調べ中であるということを伝聞いたしましたので、七月一日、乗りかえ時間を利用いたしまして釧路駅渉外室で、特にCICの了解のもとに白鴎丸、船長浦口外一名、第二福壽丸船長高岡外一名について事情を聴取いたしました。白鴎丸は濃霧のため針路を誤つて水晶島に座礁いたしたのであります。ソ連側官憲も海難者として取扱つてくれた由でありますが、第二福壽丸はマ・ライン以内で漁獲に従事中、監視船のため拉致されたと主張しております。これはちようど五月一日のメーデーでありましたので、なぜメーデーの日に働くかというような意味で尋問を受けた、こういうように現地で聞いております。拷問を受け、食糧は不十分であり、寝具も與えられなかつたというような供述を受けました。事の真相は所管官憲の取調べの結果にまつべきといたしまして、委員が出張中はからずも親しくマ・ライン越境者を尋問し得たことは一つの収穫でありました。特に道水産試験場の般ですら濃霧の際には針路を誤り、水晶良を根室半島と誤解して上陸したという事実をもつて、小型漁船がときどきマ・ラインを知らずく知らず越えて密漁をやるというようなことは虚構であるとすることを得ないと確認いたしました。また第二福壽丸船長供述中に、日本の新聞雑誌が勇留島という小さい島にもたくさん入つておつたということを聞いております。あるいは定期的に内地とひそかに連絡しておるのではないかという疑問も抱き得たわけであります。従つて根室、釧路方面においてかかる密航の行われないようにするのには、一層み取締りをなすべき必要を痛感したのであります。  七、室蘭港外砂崎に燈台がないために海難を防止するに困難なる事情があるが、予算その他の関係で実現ができないという次第であります。この燈台がないために昨年九件の海難があり、多数の人命を失つておる事実にかんがみ、これが実現をはかられたいという現地の陳情を受けたのであります。  なお室蘭の密輸は大型船で多く行われておるもののごとく、取締りは至つて至難であります。これらの点にかんがみまして、相当にわれわれはこの密輸あるいは密貿易というものに対して考慮をする必要があるのではないかと考えるのであります。事実の詳細を調査する必要ありと認めました。  大体以上の通りでありますが、ことにこの報告に関連いたしましてわれわれが調査いたしました結果、マ・ラインの三マイルという点において、講和後における日本の水産漁業等に対しましても重大なる関心を持たなければならないのでありますが、これは当該水産委員会の方でまた調査をいたしておるのでありますから、この点については省略いたします。  以上をもつて北海道班の報告を終ります。     ―――――――――――――

篠田弘作自由党

○篠田委員長 次にお諮りいたします。すでにお手元に配付してある通り不正入出国に関する件につきまして、委員長において調査報告書の原案を作成したのでありますが、この報告書原案につきまして御意見のある方の発言を許します。山口君。

山口武秀日本共産党

○山口(武)委員 ここに報告書という形で結論が出されておるわけでありますが、実はけさこれを見まして十分な検討をするのは不可能な状態に置かれていたわけであります。一通り読んだのでありますが、私は結論から申しますと、この報告書に出された結論というものには承服しがたい。監察の観点において、それからこの調査を進めて行く上におきまして、幾多問題点がありまして、さらに検討し直す必要があるのではないか、かように考えておるわけなのであります。それで気づきました数点の問題をまずあげたいと思うのでありますが、この報告書によりますと、当委員会といたしましては十万前後の未検挙者が――これは不正入国者についてでありますが、あるということを推定しても誤りがないであろうというようなことを言つておりまして、当委員会の見解というものを明らかにしたのでありますが、すでにこの前に掲げておりますように、国警その他関係方面におきます数字というものは、それぞれ違つておりまして、この十万前後の未検挙者があるという当委員会の報告というものも、実は何らの根拠というものがない、むしろ国警あるいはそれぞれの機関におきましては、それぞれの推定の根拠というものはあつたのでありましようけれども、ここの場合におきましては、特に何らの根拠がないということを申し上げておきたいと思うのです。  それからすでにこれはどなたの目にも明らかでありますが、特に見捨てられておりますのは、この不正入国者の検挙数が累年減少しておるという事案をあげていないのであります。これは終戦後の状況から現在までの累年の状態を考えますときに、当然最近に至るほど取締りの状況が整備されまして、検挙件数というものは、実態がありますならば、多くなるべきであるにもかかわらず、累年減少を見せておる。これについて特に触れた点がないというのは故意であつたのかどうであつたのか。この点ひとつやはり結論を出す上におきまして、問題点を誤らせる一つの問題があるのではないか、かように考えられるわけであります。  それから次の問題といたしましては、この報告書におきまして、国警と自治警の連絡につきまして、田中証人がわれわれの方からの連絡の点につき遺憾の点があるというように証言しておるということを載せておりますが、この引例は私は正確なものではなかつたろう、かように考えるわけであります。出入国管理庁第一部長である田中証人は、必要な場合十分な協力を受けておると申してもさしつかえないと思いますということも言つておりますし、なおここで連絡の点につきまして遺憾の点があるというのは、田中証言の中の一部分をとつたのでありまして、全体の言葉を引用いたしまするならば、必ずしもこのような意味にはなつて来ない、この点につきましても納得できないものがあるし、誤りではなかろうか、かように考えるわけであります。  それから第三点でありまするが、特審局長の吉河証人を喚問いたしましたときに、吉河証人から台湾の義勇軍の問題等が出されておりまするが、この報告書におきましては、台湾方面への密出国者も相当あることを特記しておくというだけに終つておりまして、これは先ほどの理事会におきまして、現在この問題については軍事裁判を受けている関係があるので、調査をやることはできなかつたというようなことでありましたが、しかしながらこの台湾義勇軍の問題、それから幾多これに関連して出て参りますいわゆる右翼関係者の密出国の問題につきましては、現在の国際情勢の関係から、見ましても、日本が平和国家として進む点から考えまして、当然重大なる関心を拂わるべきであり、これに対する取締りも愼重を期さなければならなかつたのでありまするが、この点に関しましては、特に当委員会の審議も十分なものがあつたとは申せませんし、この結論の出し方におきましても、はなはだ不十分なものがあるではないかかように考えるわけであります。  それから第四点でありますが、徐裕相の問題につきまして、徐裕相が裁判にかかりまして、控訴中に保釈になつた。このとき保釈金の一万円というものを、根室町警の岡川巡査部長が私財で立てかえたこういうような、少くとも正常でない形における保釈金の捻出ということが行われたのでありますが、これに対する追究というものも当然あるべきであるにかかわらず、これがなされていない。  第五点におきましては根室町警と国警との間に連絡上の不備があつたということを書いておりますが、先般の根室町警の細川署長の証言によりますれば、十分その連絡はとつていたというようなことを証言いたしておりますのに、何ゆえにこのような結論を出されたか、この点なのであります。  さらに第六点におきましては高田進事件におきまして、中冨という検事が高田進が妻君を郷里に置いて二号さんを東京に置いて、二級事務官としては当然できないようなくらしをしておる。しかもそれが前から継続されておる、と言つておる。そういうようなことであれば、その間の生活費がどこから捻出されたかということが考えられるので、ここに現われた一つの事件の追究でなくて、その以前にも何らかの不正の問題があつたのではないか、当然これは考えられることであるし、これに対する追究をしたか、取調べをしたか、こう申したのでありますが、それの結論は出てないのでありまして、上司が部下の素行や私生活にも注意することは綱紀維持の上から必要なことであつて、決してデモクラシーに反する行為ではない。このことも政府においても注意しておく必要がある。それがこのようなきわめて不可解な結論を出されておるのであります。  さらに第七点におきまして、江川証言でありますが、江川証言の中で、ここに呼ばれた永山証人と、それから椎野共産党の臨時中央指導部議長とこれらの相談があつたときに、亀山という人間の名前があがつたのでありますが、これは江川証人の記憶違いで、ただ折尾駅の購買部の責任者某が同席したという証言として訂正さるべきであろう。何をもつてこのような結論を出されたのか、証言に忠実なる報告をしたらよいではないか、さらにここで申しまするならば、このような推定的なことを申されまするならば、われわれの調査によりますると、昭和二十二年におきましては、江川証言においでなされましたところの椎野議長と江川証人などが会談したという共産党の事務所は、当時そこには存在していなかつたことが判明しております。椎野議長は昭和二十二年に若松におもむかれたことがないということも、われわれの調査におきましては出ているわけであります。こうなつて参りますと、推定を入れますならば、これはいろいろと余分なことを入れなければならぬことになりはしないか。この点におきましても、われわれは納得できないものがある。  さらに先般九州班の国政調査の際におきまして、事務局の山口調査員が、江川証言からたまたま名前を出されましたところの苅田町の町会議員藤本真一君を海上保安庁の九州の事務所に呼びまして、個人的にこれを調査している。これを聞きましたところ、藤本君をあるいは委員会へ喚問することになるかもわからないので、本人がしやべることができる人かどうか確めるために調査したんだ、このような答弁をしておりまするが、これはどこでそのような決定がなされて、山口調査員は何をもつてこのような調査をなされたのか、もちろん町会議員であるということから考えてみまして、しやべることができるかできないかというようなことはすでに明白なことでありまして、わざわざ下打合せのような調査をする必要がどこにあるか。そのような調査というものは、きわめて不当なことではないか。ここにおきまして、はなはだわれわれが承服できがたい問題があるわけであります。  さらにこの報告書の中におきまして、国警に交通用の船舶を多く有することも認めらるべきであるということを言つておりまするが、われわれが国警につきまして調査いたしましたところ、国警は船舶を所有しているというような事実がありますので、この点につきましてさらにこの報告書は検討さるべきものがあるだろうと考えられるわけなのであります。  さらに全体を通じまして、私が今申しましたような諸点を調査をすれば、さらに幾多の点が出て来るだろうと思うのでありますが、これらの問題の結論がゆがんでいる、あるいは事実の問題について正常な監察というものからいうと不備な点がある、あるいは片面に片寄り過ぎている。たとえば江川証言の面におきまして、きわめて長い間調査を行いまして、行政監察委員会というよりも、共産党監察委員会というような感じを呈したことはだれの目にも明らかでありますが、そのような結果から、私はこの運営の仕方というものが、初め行政監察委員会がつくられたときの趣旨から相当それている、そういうことがこのような幾多の誤りを生み出しているのではないか、こう考えられるのであります。  さらに全体の結論を見ますると、このような状態から取締り機構を強化しなければならない、このような結論を出しておりまするが、私はこれまでの調査の結果から見ましても、そういうことにはならないのが当然ではないか、こういうふうに考えるわけであります。なぜかと申しまするならば、密入国がこの問題におきまして一番主眼をなしたことでありますし、その密入国の状況を考えてみまするときに、大半が朝鮮人であり、しかもこの密入国がなぜ行われるかということにおきましては、その理由は三つにわけられる。これは現実の調査で明らかになつたことでありますし、さらに当委員会においての証人喚問においても明白にされたことでありますが、その密入国の目的は、朝鮮の青少年が日本において勉学をしたい、このようなことがあります。朝鮮人は朝鮮の国内におきましては生活問題が楽でないので、日本において就職をしたい、このような点が第二点である。さらに第三番目の理由といたしましては、家族が日本におり、それが終戦後不自然にはばまれ共同の生活を営むことができないので、対面するかあるいはともに生活をしたい、このような理由で密入国がなされているということが明瞭にされたのでありまするが、こうなりますると、こういう問題は取締りの強化というようなものでなくして、当然に外交関係の問題として、あるいはその他の手続上の問題として考えるべきではなかつたろうか。たとえば対馬に行つてみましたところ、対馬の町長は、対馬の開発のために朝鮮人が対馬に入国して来ることを大いに歓迎する、このような言葉もあつたので、このような結論が出さるべきではないだろう私はそういう意味におきましてこの報告書に反対せざるを得ないのであります。  なお私は私どもの意見をつくり上げるのに多少の時間を……。

篠田弘作自由党

○篠田委員長 ただいま山口君から反対意見が提出されましたが、その中で、先ほどの理事会の内容を公開の席上で発表されましたが、これは前々からの申合せによりまして、理事会は秘密会でありまして、公開の席上で発表しないことになつておりますから御注意を申し上げておきます。  それから検挙数が減つたということが出ていないと言われましたが、これは委員長の名前で書いておることでありますから申し上げますが、これは取締りが厳重になつたのであるか、あるいはまた密入国の方法が上手になつたのであるか、結論がなかなか出しにくいので出しておらぬのであります。  その他いろいろな点につきまして反対意見がありましたが、大体において多数の委員とは御意見が違つておるようであります。

岡延右エ門自由党

○岡(延)委員 実は対馬は私の県でありまして、私が一番よくその実情を知つておるのであります。今の山口委員の発言中、町長が対馬の開発上朝鮮人の入国を非常に歓迎していると言われましたが、その町長はだれですか。

山口武秀日本共産党

○山口(武)委員 北部の佐須奈町長です。

岡延右エ門自由党

○岡(延)委員 それはおそらく山口君の聞き違いであろうと思う。非常に迷惑しておる。何とかして対馬の周辺の取締りを強化してくれ、これが対馬の支庁長を初め町村長、あるいは島民全部の念願であり、希望である。これはまつたく間違いのないことで、山口君の言うことはでたらめである。

山口武秀日本共産党

○山口(武)委員 ただいま私の言つたことがでたらめであると言われましたが、これはもう少し愼重な態度をとつていただきたい。私は向うで聞いて来た事実をそのまま言つただけであります。

篠田弘作自由党

○篠田委員長 山口君にちよつと御注意いたします。委員会は密入国の調査をやつておるのであつて、密入国は国法に違反するから調査するのであつて、一地方の、たとえば町長がそう言つたからといつて、委員会が密入国を認める一つの理由にはならないのであります。そういう要求は要求として別途に考慮せらるべきものであつて、委員会の報告書にはそういうことを載せるわけには参りません。

佐々木秀世自由党

○佐々木(秀)委員 これは山口君の言いまわしがいかにも密入国を歓迎するごとく言われたのですが、これはそうじやないのです。佐須奈の町長さんの言われるのには、対馬というところは朝鮮と非常に関連が深かつた、朝鮮の人たちも相当参りまして、あの地方においては炭焼き等の、いわゆる忠実なる職務に従事していた。そういう密出入国は取締つてもらわなければいかぬ。しかしまじめな朝鮮人であつて働く人であるならば、これは働いてもらうことを歓迎するという意味のことを言われたのです。密出入国を許してもらいたいという意味ではありませんから、誤解のないように願います。

篠田弘作自由党

○篠田委員長 他に御発言がありますか。――加藤君。

加藤充日本共産党

○加藤(充)委員 山口委員からも、党を代表しての意見の開陳ではありませでしたが、発言がありましたので、私もその意味で一、二私の感じた事柄を、山口君の補足意見として申し述べてみたいと思います。大体国会の当行政監察委員会の仕事の仕方、そしていわゆる行政監察の実を上げて行く諸活動のうちの調査活動、資料の収集等々につきまして、その結論が出て来るまでの間にとられましたこと、それだけを区切つて申し上げましたも、遺憾の点があるのではないか。これは当委員会の権威のためにも考えてみなければならない節々だと私は思うから重し上げます。  大体においていわゆる監察の対象になる行政官庁方面の、言葉は少し直截過ぎるかもしれませんが、陳情、請願的な言葉、あるいはそういう内容を持つた資料に立脚し過ぎて、それを採用したままで、たとえば、一、二の部分的なことをとらえれば、にもかかわらず云々というような独自の判断をした節々も見えるかのごとく思われるようでありますけれども、全体として見ますと、監察の対象になつております行政官寺機関の陳情的な申分を一つの資料にして、その出された資料を行政監察委員会の観察職務の執行として、吟味検討を加えることなくして結論に持つて行つた。こういうことを重ねて参りますと、結局当行政監察委員会の仕事というのは、監察の対象となるべき官庁の傀儡の機関になる。その陳情、苦情の窓口を官庁に開いたということになつて参りまして、そういうことでは当行政監察委員会の本来の行政監察の任務、職責に反する面がたいへんに多くなつて来る。こういうことを私は感ずるのであります。従いまして、その結論として、治安省の設立、あるいは中央情報所の設置、海上保安庁、国警、または自治警の強化、外国人登録法の改正、改悪、それから罰則の強化、それから強制送還、そして犯罪摘発、防衛について人民に同意させ、警察と一体化せしめる。そのこと自体を申し述べれば、人民が自分の警察を持ち、警察力を強化するという言葉自体には問題はないようなのでありますが、一貫して中央集権的な、こういうきわめて否民主的なあまりにも悪名高い弾圧機構、警察機構の強化というものに、犯罪の摘発防遏ということを中心にして人民を協力せしめる。協力が足りないというような点を指摘し過ぎると、これは新しい国会における行政監察委員会の貴重なる権威ある発言とははなはだ方向を異にする感を強くするのであります。従いまして、たとえてみますならば、地方に出張いたしました代表なども任意的には、委員の方々の御努力で、民情に触れる点は触れたと思いますけれども、やはり正式な資料として結論になるもの、あるいは調査の報告に正式な資料としてそういう民間の事情なり、調べなりが記録の上に正式な価値あるものとして出て参らない、たとえてみれば九州班の報告の中にも、あるいは北海道舞の報告の中にも、一、二民情に触れた点が報告されたのも私耳にいたします。これは正しいことだと思いますが、それは案の定、一応こういうことがあつたと触れておくにとどめるというふうな扱いになつて来ております。私は北海道班に所属しましたから私の経験を一つだけ申し述べますが、あのマ・ラインを越境して取調べを受け、抑留され、そうして帰つて来た者。外国で処罰された者を国内法でさらにそれを調べ、さらに処罰すべきものは処罰するというように二重の制裁を受けることになつておりまするから、帰つて来た者を海上保安庁なり、国警なり、それぞれの所管が調べますると、乗子はいざ知らず、船長機関長というような当面の責任者は、私どもは知らずくに越境したとは思わないけれどもつかまりしたということを、国内の機関には言わざるを得ない。そういう法律の制度上の羽がい締めの論理的な結論に追いやられておるのでありまして、こういうような点も、国政調査なり何なりの、そういう調査の結論がどういうところから出て来るか。それも、その結論そのものをまるで金科玉條のように、鬼の首でもとつたように羅列するのではなく、その証言自体に十分な価値判断、評価、検討を委員会の責任と名誉においてやらなければならないのであります。たとえてみれば、同僚の田淵委員が報脅した点に関連いたしますが、御承知のようにガスが非常に多い。濃霧であります。これはお立会いの方々みな御承知の通りでありますが、年がら年中ガスにおおわれている。三海里、四海里というようなところは肉眼でもわかる。ガスにまぎれて行かなければマ・ラインの外にある漁区には入つて行くことができない。悪い言葉で言うならび、昭和の霧隠才蔵的なやり方で霧にまぎれて行くので、霧が晴れたとときにたまたま正体を現わした者だけがつかまつておるというような状態になつておる心それは、根室あたりの船五はいを持つておつた相当の業者、資本家でありまして、しかも不幸にして三ばいほど抑留されましたその方が、私に実情を訴えて来ておる。不公平きわまる情ないと思うと言う。私の船ばかりが三ばいつかまつている。ほかの人のものはつかまらないが、私の船ばかりがやつているのではございませんと言う。これなどは、先ほどの機関長、船長などがたまさかの機会を得て、その実情を調査の中に言うたならば、このような根室の業者の実情、こういうような民間の重要な発言、行政監察として意味のある発言というようなものも当委員会の報告書並びにそれに基く結論には当然出て来なければならぬと思うのであります。こういうような点は、やはり将来改めて行かなければならない点だと思うのであります。たとえばその一、二を指摘いたしまするならば、山口君の触れた点ですが、江川証人の購買部の責任者某が同席したという証言は訂正さるべきであろう。これは不見識である。証言に対する侮辱でもあります。江川君が聞いたら怒ると思う。何となれば二回目の喚問のときの速記録をごらんになればよくわかる。一回目から二回目までの喚問の間に、わざわざ九州に出向いてはつきりとその男の名前を調べて来た、これはわかつた。この前は購買部の責任者某と言つたが、今度ははつきりした名前を調べて来たので、間違いないと断言しておるのであります。それから第二点は永山証言もそれに続いて、報告書の六十九ページの終りから四行目に「このことは永山証人も肯定している事実である。」たとえば「九州地方委員会議長山本齊氏が、麻薬密輸の嫌疑で起訴されて居り、このことは」に続くのでありますが、これは速記録を調べてもらえればはつきりわかります。永山証人は断じて九州地方委員会の議長の山本齊君が麻薬密輸の嫌疑で起訴されておる、取引をしたというような、そのことを肯定した証言はいたしておらないのであります。証人が断固として自信を持つて述べた証言をかつてに都合よく訂正したり、かつてに解釈したり、あるいは永山証人の証言の速記録に即して結論を出さずに、かつてに委員会が証言を左右するというようなことは、先ほどから申し上げましたような点に関連して、当委員会の活動が反共の一線に終始しておるというそしりを受けたとしても、弁解の辞なしと言わざるを得ないのであります。ですから……。

篠田弘作自由党

○篠田委員長 もうそのくらいでけつこうです。あなたの言わんとするところはみなわかつている。

加藤充日本共産党

○加藤(充)委員 たとえばそれから中国、朝鮮というような国々の民族をことごとく敵視し、おのれにまつろわぬ者はこれを圧服するというようなやり方である。今ソ同盟すらが九月四日のサンフランシスコの講和会議に参加するというときに、また印度あたりが中共を加えろと言つておるときに、こういう隣邦諸国を敵視して、数十万の戦争以前の警察軍よりもさらに充実した、さらに強化したようなやり方をこの委員会が発表するということは、私は絶対に差控えるべきであろうという意見を申し上げます。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 私はただいまのことには、はなはだおもしろくないものを感じます。今の話を聞いておりますと、根本には密出入国はいいのだ、さしつかえないのだ、こういう大前提に立つていると思う。北海道ではマ・ラインはみな越境している、たまたま霧の晴れたときに見つかつた者がつかまつている、そうでない者は逃げているということは、これは北海道の漁民のためにここで大いに改めてもらわなければならぬと思う。今問題になつた五はい持つておつて、三ばいつかまつたのは、私の生れた町の漁師です……。

篠田弘作自由党

○篠田委員長 簡単にしてください。もうわかつているから……。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 おれの船だけ三ばい帰つて来ない、こう言つておる。それから霧であやまつて行つた事実ば、本人が根室の厚床半島のところへ着いたと思つて上つたら、勇留だというのでつかまつた。そんなことは絶対にありません。これは北海道漁民の名誉のために訂正しておきます。

篠田弘作自由党

○篠田委員長 ただいまの共産党の加藤君並びに山口君の御発言中、江川証人の証言の中で、委員会が証言を推定したような形になつておるという御指摘の点がありましたが、これは後ほど委員長において、字句その他文字等の修正をやる場合に、速記録と照し合せまして、もしそういう印象を與えるようでありましたならば、これは削除いたします。その他の点につきましては、根本的に考え方が違つておるようであります。  なおただいま山口委員から、この報告書の決定を延期されたいとの申出がありましたが、これは御希望でありますか、動議でありますか、動議であれば採決いたします。

山口武秀日本共産党

○山口(武)委員 動議にしてください。

篠田弘作自由党

○篠田委員長 それでは山口委員から本委員会の報告書の決定を延期してもらいたいという動議が出ております。採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

篠田弘作自由党

○篠田委員長 起立少数。よつて山口君の動議は否決されました。  この報告書の原案を委員会の報告書と決定するに御賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立)

篠田弘作自由党

○篠田委員長 起立多数。よつてこの報告書は可決されました。報告書の原案は委員会の報告書と決定いたします。  なお字句の修正等は委員長に御一任願いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

篠田弘作自由党

○篠田委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十六分散会

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