経済安定委員会 第8号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1951/02/20
会議録
○圖司委員長 これより会議を開きます。 ただいまより自立経済計画に関する件を議題に供し、特に物資の確保と輸入計画を中心として質疑を行います。多田勇君。
○多田委員 自立経済計画の最も中心になる輸入確保の件について、自立計画では相当程度輸入量を見込んでおりますが、月報の二月号にもありますように、二十五年度の輸入計画すら相当程度計画を下まわるような現状になつております。これらについて三十五年度の実績、あるいは三月までの見通し等を入れましたものから見まして、自立経済が目途とするところの輸入計画というものが、はたして完全に行われるという自信を持たれておるかどうか、その点についての見通しをお聞かせ願いたいと思います。
○小峯政府委員 御指摘のように、自立経済計画の中で重要な柱になつておりますのは、輸入の確保の問題であります。しかしその輸入の問題も世界の環境の変化、特に中共貿易をやめましたこと等の影響がありまして、多少はずれておりますことは事実であります。しかし私どもが自立経済計画を策定いたしました場合に、その取上げ方は数字そのものを追つかけますよりは、総合的な計画を策定する場合に、どういう点に努力しなければならないか、どういうところに問題の所在があるか、というようなつかみ出しかをしたいという方が、主たる念願でございます。そこで世界の環境の変化等でずれを来しました場合には、特にそういう努力を要するという結論が出て来るわけでありますが、輸入は必ずしも不可能ではないと考えておりますので、輸送すなわち船腹の問題を強力にやる手はずを進めております。いういうことで多少の時間的なずれはありましても、それを取返すだけの手は打てるものと考えます。二十五年度のものも、現在判明いたしております数字では、多少足りないところがありましても、補い得ると考えております。引続いて二十六年度の問題も、船腹の問題を中心とする新しい事態に即応した努力態勢によつて、大過なく行ける、かように考えております。なお詳細の数字は事務当局から説明いたします。
○松尾政府委員 二十五年度の輸入実績の点でございますが、最近までの数字を会計年度で申し上げますと、比較的正確な数字で、四月から十一月までで六億一千万ドルくらいの通関実績になつております。十二月以降、御承知のように最近月一億ドル以上の通関実績の傾向が見られますし、その他LCの開設状況その他を見まして、現在の見込みでは、総金額としては、二十工年度におつて十一億ドル前後の輸入実績を見るようになるであろうというのが、現在の実情でございます。
○多田委員 自立計画の基本の価格は、昨年の九月の価格を基本にしておられたようでありますので、ただいま十一億ドル程度の輸入が見込まれるというようなお話でございますが、これは相当程度、数量の面では計画から離れるというおそれがないかどうか、大体十一億程度の輸入があれば、二十五年度の買付計画に近い程度の数字、あるいはそれをオーバーする程度の実際の数量の確保が可能かどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
○松尾政府委員 総金額から申しますと、本年度の当初の輸入計画は十二億ドル程度を見ておつたわけでございますから、計画通りの金額には、若干欠けるであろうと思います。それから値上りの点を御指摘になつておると思いますが、これも大体本年度の計画としましては、下半期に動乱の影響で若干の値上り——私どもの推定では、日本の現在の輸入の構成のウエートで推定いたしますと、せいぜい二、三割程度の輸入の單価の値上りではないかと思つておりますが、それくらい本年度の下半期において値上りをしておる。従つて年間計画令部の三、三割全額がふえなければ、数量が確保できないのではなかと思います。むしろ日本の現在の経済の面で特に重要だと患われる重要物資についての輸入の全額でなくて、数量を見なければならないと思うのであります。これも今重要物資について私どもの手元で調査しておりますところでは、物資によつてそれぞれ事情が違つておりますけれども、概観しまして八、九割程度までは、当初の輸入計画の数量確保ができておるように思います。かりに若干の物資について御説明申し上げますと、一番心配されておりますのは塩でございますが、それ以外の物資は物によつては、たとえば綿花でありますとか、羊毛でありますとか、そういうものについては、三十五年度として代計画を越える輸入の見込みが立つております。鉄鋼原料その他についても、大体七、八割見当の輸入が、本年一月末までに到着するであろうという見込みを持つておる次第であります。
○多田委員 たとえば強粘結炭等につきましては、自立計画によりますと、中共地区から供給を仰ぐべきものを、ほとんどアメリカ区域に振りかえておるというような感じがいたすのでありますが、かりに三十七年度以降においても、中共地区からの輸入が困難だという場合には、この計画通りの数字をアメリカから供給を仰ぐことが可能だというような、一つの目安を持つておるかどうか、その点について伺いたいと思います。
○小峯政府委員 御指摘の通りであります。重要な資材でありますので、振りかえて確保する見通しかつきませんと、計画が非常に齟齬を来します。私どもはただいま必ず振りかえて入手ができるものだという確信を持つております。
○多田委員 小峯政務次官から下半期輸出の量が一時非常停滯したことは、船腹の関係によることが非常に大きな問題だというようなお話がございましたが、船腹についての見通しをお話し願いたい。
○小峯政府委員 外航適格船の保有量が非常に少くてそのために日本で必要とする輸入原材料の、おそらく二割何分くらいしか、私どもの船では運んでいないのじやないかと考えます。従つて船腹の問題が外国の船舶に依存している関係で、外国の船まわりによりまして非常に影響を受けるのでありますが、どうしても自分たちの貨物を自分たちの船で運ぶ割合を引上げたい。かように考えまして目下進歩中の新造船を促進する方法、あるいは沈船の引揚げ、修理を促進するような方法、あるいは買船、用船、特に用買船の問題は、外貨でも特別なわくをつくりまして、この問題はかなり進んでおります。すでに契約ができ達したものも数はいを数える状態だと思います。なおまた私どもとしましては、できますかどうか、あるいはまだ申し上げてはいけないのかもしれませんが、アメリカで保有しております船舶の借入れ方の交渉をお願いいたしておりましてれこれも必ずしも不可能ではない、あるいは近く吉報が得られるのではないかという見通しを持つております。何にいたしましてもそういうふうな、あの手この手を合せまして、年度末あるいは四月一ぱいまでには、相当の数の外航船がふえるというふうに見通しております。
○多田委員 その次に中共貿易の現在と将来の見通しについて、御説明を願いたいと思います。
○小峯政府委員 事務的な説明はあとで補つていただくといたしまして現在御承知のようなことで、中共貿易がとまつていることは事実であります。ただ香港あるいはその他の地域を通して、実質的には取引も相当あるのじやないかという感じがいたします。私どもは地理的な関係からいいまして、中共貿易の重大性もよく承知いたしておりますが、講和の問題ともからみ合せまして、できれば元の取引もぜひ考えたいとは思つておりますが、現在のところは御承知のような環境で、思うように行つておりませんことは遺憾であります。
○松尾政府委員 中共貿易の関係で、御承知の昨年の十二月、中共貿易の制限措置がとられたのであります。その影響を輸出の面で申し上げますと、輸出の制限をされました日日は、中国向けの輸出品目の中で相当大きな幅を示しております。従来の実績で御承知のように、日本から中共向けの転出は、日本の輸出総額の中で占めます比率が、実績においても非常に低いようでありますが、昨年の上半期におきましては、この実績で見ますとせいぜい五、六パーセント程度のものでありますので、それについての制限の日本の輸出貿易全体への影響は、少くとも輸出の面ではあまり大きな影響はないであろう、こういうふうに考えております。問題はむしろ日本側からいつて輸入の面であろうと思うのでありますが、これにつきましては先ほど御指摘のございましたように、鉄鉱石、強粘結炭あるいは塩、大豆というようなものにつきましては、その買付地域の転換を、すでにそれだけの手を打つて参つたのであります。しかし強粘結炭、特に御承知の開らん炭につきましては、最近でもまだ若干入荷をしております。その経過を申し上げますと、三十五年度におきまして開らん炭について百万トン程度の期待を、計画の上では持つておつたのでありますが、二十五年度の四月以降におきまして開らん炭を含めて中共地区からの石炭の入荷、輸入の契約は約八十万トン程度の契約ができておつたのであります。それが昨年の十二月貿易制限に伴い、あの前後の関係から申しまして、その当時すでに入荷しておつたものは約その半分であります。約四十万トン以上の若干のものがすでに入荷しておつたのでありますが、残りのものは契約の上ではまだ入荷を見ない残量として残つているわけであります。それが最近に至りまして、三月に至りましてもやはり三、三万トン程度の入荷はまだ引続いていておるような状態でありますので、開らん炭については、まだすべてが入荷の見込みがないというわけではないようであります。それから鉄鉱石でありますが、これは元々中共地区に対する期待はあまり大きなものでもありませんでした。契約高も三十五年度においてはごくわずかであります。塩、大豆につきましてはかなり期待量もあつたのでありますが、これも制限措置前後からの入荷は、現在までのところ、あまりその後の入荷は見込めないというつもりで、先ほど申し上げましたような意味で、転換措置をとつておりまするし、おそらく来年度の見通しとしましても、開らん炭以外について、あまり大きな期待をすることは困難であろうというようなつもりで計画はいたしております。
○多田委員 安本の月報によりますと、今年度の四月から十二月までの輸入実績が非常に下まわつている。しかも一月、三月を加えましても、ことにただいまの強粘結炭、あるいは鉄鉱石につきましては、七〇%程度しか輸入の見込みがないというような数字が、正式に発表されております。そういたしますと二十六年度以降自立経済の達成のための目標としては一応考えられまするけれども、その目標がどの程度達成されるかということが、一番大きな問題になつて来ると思います。これらの問題について、この計画を現在の国際情勢の変化から照し合せまして、自立経済をさらに再検討する必要があるじやないかというようなことが感ぜられまするけれども、そういつた点についての御見解を承りたい。
○小峯政府委員 月報の数字は、おそらく事務当局で作成したものでありましてこの推定の分も事務的な推定になつていると思います。私どもは先ほど申し上げましたように、計画を達成します上で、特にひつかかつて来るような問題につきましては特別の努力もしておりまして、今事務的に推定されたものよりも、相当上まわり得るという見通しを実は持つております。なお全体の計画につきましては、先ほども触れましたようなこまかい数字の上の多少の食い違いがありましても、そういう総合的な体系のある計画を進めて行くためには、どういう点で、またどう努力をすべきか。また御指摘のような市場の変化による誤差、偏差というものを、どういう努力でカバーをするかという資料に使いたいと思つておりますので、現在のところ計画をかえるあるいは再検討する必要があるとは考えておりません。
○多田委員 非常に自信のある計画で、われわれも計画通り達成することを期待しているものでございますが、たとえば砂糖について考えてみますと二十五年度の一応の見通しとしましては、四十一万八千トンの計画の達成が八三%しか見込まれないという状態にもかかわらず、二十六年度には六十万トン、二十七年度には七十万トン、二十八年度には八十万トンという数字があげられておるのであります。そのうち最も大きな供給地としましてはキユーバがあげられておりますが、キユーバは御承知のようにアメリカにおいて相当強度な買付その他を行つております関係上、コマーシヤルとして入るべき数量がない。将来どの程度に見込まれるかという点については、相当不安があるような感じがいたすのでございます。ただ援助その他の各員で、ある程度の数量の確保は可能だというように聞いておりますが、四十一万トンの数字すら、二十五年度に確保することができないという状態において、二十六年度、二十七年度、三十八年度、二十八年度には八十万トン程度の数字を確保することができるという、一つの見通しを持つておられる目標としてはけつこうでございますが、目標は必ず現実からかけ離れた目標であつてはならないと思います。ことに二十八年度は、台湾から三十五万トンの、一応の見込みを立てておられるようでございますが、そういつた点について、台湾の製糖業が将来性があるかどうかという、一つの大きな危機に立つているような状態にあると聞いております。こういつた状態においてこのような計画が立てられたということに対しては、砂糖自体については相当程度検討する必要があるのではないか、従つて砂糖という一つの物資を取上げましても、そのような状態であるとすれば、その他の物資についても、やはり国際情勢とにらみ合せて相当検討する必要があるのではないか、ただいま政務次官は一つの目標で、これを達成するためのあらゆる手段を講ぜられるという、その努力と誠意とには、われわれは大いに感謝するわけでございますが、一応の目安だけでなしに、やはり将来のはつきりしたかつたつかみ得る目安を、ここに再検討する必要があるというような感じがするのであります。その点についていま一度お答え願いたいと思います。
○小峯政府委員 この計画を立てます前提の中に書いてありますように、私どもはこの三箇年の間に、世界に非常に大きな戰争などはあり得ないものだという前提で計画いたしております。またいろいろの情報あるいは見方を総合いたしましても、私どもにはそういうふうに信ぜられるのでありますが、そういたしますと世界経済の回復というものもこれは大方の部面で相当順調に進むのではないか、御指摘の台湾の砂糖などにつきましても、荒廃が復旧するというようなこと、あるいは製糖設備の補充というようなことも考えられるのであります。現に昨年夏から、日本の肥料が相当台湾に供給することができるようになつた。その物物交換のような意味で、バーター式に砂糖も入れようじやないかというお話もあつたことは事実でありますが、わが国の肥料の生産が、電力その他の関係で十分でありませんでした関係上、そのバーターが実現いたさずに終つております。もちろん電力の問題もありますが、肥料もふやしたい。肥料と交換に砂糖ももらつて来たい、一つの考え方でありますが、そういうふうに世界経済が、この三箇年の間に回復するのだ、整備するのだ、日本の工業生産力も、この計画に従つて相当進むのだ、そういたしますと、今申し上げた一つの例でありますが、いろいろな物資についても、当然考え得られる、そういう考え方でその数字が出ていると考えております。
○多田委員 砂糖についてはこれ以上申し上げない方がいいと思いますが、ただいまのお話のように、輸入を確保する、輸入を促進するというために相当強度な輸入促進案が講ぜられなければならないと思います。その輸入促進策と、さらにいま一つは、アメリカあるいは国際割当等の物資について、どうしても国際割当、あるいはアメリカにおいて統制されておる物資等について、日本に輸入する場合に、輸入された後のその物資をどう使うかというような点について、当然一つの計画性を持たなければならないだろうというような意見、あるいはそういつた見通しが、方々で持たれておるようでございます。これは統制の再開というような形で、相当大きな影響を各方面に與えておるようであります。政務次官は先般神奈川下の討論会で、統制は絶対にやらないのだというような非常に強い御見解がありましたし、さらに昨日の閣議におきましても、これらの問題が取上げられ、あるいはマル公の問題等が取上げられまして、やはりある程度統制を拡大するような傾向がありはしないかというふうな一般の心配があるようでありますが、この際はつきりと政府の考え方をお示し願いたいと思います。それからいま一つは、貿易促進策について考え方をお示し願いたいと思います。
○小峯政府委員 私どもは自由経済政策を標榜しておるから統制しないのだという、しやくし定規的な意味でなしに、統制といつても、いろいろ広い意味に使われておるような場面もありますが、私どもはマル公と割当を内容とするような統制、そういうふうに統制の意味を限局いたしますと、そういう形ほもちろんただいまの日本の経済状態には、害があつて益がないのだ、なるほど割当やマル公で表ざしきをきれいにいたしましても、割当と配給だけで、万般の物資あるいは経済活動ができるはずがありませんから、自然裏ざしきが暗くなることは、今までの経験に徴しても明らかであります。一番日本の経済で今私が困ると思います点は、まだ生産力にも彈力がないのでありますから、もしそうことで正常な取引を阻害して、流通商品量を減らすというようなことになり、あるいはまたそのことによつて、せつかく世界の信用をとりもどした日本の経済、企業家が、マル公や割当で横着になつて品物を落す。サービスを落すというようなことになると、せつかく伸びつつある貿易にも支障が来る、そういう意味で私はマル公、割当を内容とする統制は行うべきでない、しかし現在もマル公あるいは割当の問題は若干残つております。私の申し上げますのは、これ以上積極的に広げることは考えないのだ、考えてはないのだ、今私どもの役所が中心になりまして、マル公の再検討をいたしておりますことは、あるいは御承知かと思います。統制をするのだという一般の雰囲気の中で、むしろ私どもは現存するマル公を洗い直しまして、このマル公の中でとれるものはとりたい。むしろそういう積極的な意欲を示しまして一般国民の御懸念を拂拭するような行き方をしておるわけであります。但し私どもは、先ほども触れましたように、何から何まで、いついかなる場合でも、経済は自由でなければならぬとうような、そういう素朴な主張をするつもりはありません。御指摘になりましたように、かりに国際割当が始まり、物資をちようだいいたします場合に、特に好意でプラスさせるような判当の面に対しましては、その使い方に愼重であるべきがむしろ国際道義から申しましても、当然のことだろうと考えます。従つてそういう形で国際割当の物資の中で、特に好意をもつてプラスされるような面につきましては、そのものに対する調整措置、ある程度のひもをつけて、輸出に確保するとか、あるいは特需に確保するくらいのことは、当然考えていいじやないかと思います。一般の自由取引の中におきましても、親工場と協力工場の関係で、材料を支給するからこの加工をしてくれというような例が間々ございます。これは私は統制経済じやないと考えております。そういう意味の調整措置は重要な資材、ことに国際的な割当の行われるような資材に関して特に好意を寄せられたような場合には、ある程度の調整措置というものは、当然考うべきだと思いますが、全般の傾向といたしまして、統制を再開いたしまして、経済の正常な流通をくずすようなことは、絶対いたさない考えであります。 なおまた輸入促進の問題でありますが、この問題はへたな統制をやつて、日本経済の能率を落しませんためにも、実は輸入確保対策が非常に大きく浮び上つて来るのであります。すなわちポンプの元を封じて筒先をいじるようなことはやりたくない。要は需給調整を中心として、再統制の問題が議論されるのでありますから、輸入原材料を確保することができさえいたしますれば、その問題はおのずから解消するはずであります。輸入の促進策につきましては、今は国家貿易がだんだん民間貿易に移つて来てはおりますが、まだその残渣も残つております。そういうふうな国家貿易というものの姿を、だんだん民貿に拡大するというふうなことになりますと、何といつても商売人の扱け目なさというものが、ものを言うと思います。加えて戰争中の経済とは違いまして、日本は今日封鎖経済ではありません。孤立経済ではありませんで、世界経済の中の一環をして存在いたしておりますから、もしその民貿によりまた適宜な処置がとられるようになりますれば、私は輸入の問題は解決できる問題だと考えております。また輸入市場につきましても、今まで日本はしばらく盲にされておりましたが、最近幾らかその目が明きつつあります。在外事務所の問題、海外支店、出張所の問題等は、その盲を目明にする一つの動きだろうと思うのでありますし、買付はできはしないかと思います。幸いに外貨も多少はたまつて来ておりますので、自由なドルをもつて、しかも機敏に世界の市場をあさりますならば、私は輸入契約はできると思う。問題は先ほども触れました船腹の問題であります。その船腹の問題は、これも先ほど申し上げましたように、着々実効を上げるような手が打てております。彼此相思い合せまして、輸入の問題も予定くらいには大過なく行ける。そうしますと、再統制の問題は、おのずから解決して来るのだ、かような考えで行つておる次第であります。
○多田委員 非常に明るい見通し、御自信のある御見解、私ども非常に意を強ういたすのであります。そこで、再統制が実施されるだろうという不安が、政府自体が再統制をしないと言いながらも、なお一般に相当濃厚になつて来ておるのであります。そこでこの際再統制を上ないというような形を、具体的に現わす意味において、現在一般消費物資で統制されておるものは、主食と砂糖だと思います。主食については統制を撤廃することは非常に問題があると思いますが、砂糖については、ただいまお話がありましたように、二十六年度に六十万トン程度の輸入が可能であるとすれば、統制を撤廃してもいいのではないか。殊に最近における砂糖のやみ価格とマル公とのさや寄せが、相当近ずいて来ておりますので、そういつた見地からしましても、この際砂糖の配給統制を撤廃することが、一般の不安を除去するための、一つの大きな役割を果すのではないかというように考えておりますが、砂糖の配給統制を撤廃しようというお考えはないかどうか、この点をひとつ承りたいと思います。
○小峯政府委員 砂糖の問題の前に、御指摘のような、私どもがそういう自信を表明いたしましても、一般がなかなかそれについて来ない。戰争中、かなり政府の見通しなり、言明と違つた事実が現出いたしましたような関係で、あるいはそういうふうな気分になる方も、一部にはあると思います。しかし私は砂糖の問題だけではなしに、全面的に事実をもつてこれを証明する以外には方法はないと思いまするし、またこんな場合に、つり込まれて腰があやふやになりますと、統制の気構えが、政府の言明いかんにかかわらず、国民には強く映る。映ると、事実以上にまた物が隠れるということになりまして、その事自体が原因になつて、統制の問題がまたやかましくなるような傾向になります。そこで私どもは、そういういろいろな一般の風潮もかかわらず、自信を持つてここのところは切り抜けるつもりでありまするし、またその自信、その事実がだんだん明らかになつて参りますれば、なるほど今度の政府のいうことはしつかりしている。間違いないということを国民がお考えくださると思います。その一つの証左にも——砂糖というお話でありますが、砂糖の問題は十分これを研究いたします。お考えは私も同感であります。ただ先ほどあなたからの御指摘もありましたように、よそから持つて来るのだから、海外の市場等もにらみ合せまして、方向としましてはその方向にぜひ考えたい。また今マル公の洗い直しをして、とるものはとるという態度に出ておりますのも、私どもの言明の裏づけとして実施いたしておるのでありまして、どうかその点御信頼くださいまして、一般の国民の方々を御啓蒙願いたいと思います。
○竹山委員 私大臣が見えたらこの間の問題に関連して伺いたいと思いますが、その前に政務次官に伺つておきたいのは、今政府の御見解の発表がありましたが、今日の段階は、一ころやかましくいわれたような、物の量の問題とまた一段飛躍をして、インフレをいかに押えるかという問題があると思います。そこで経済閣僚懇談会が開かれておるようですから、その方向もまた伺いたいと思いますが、要は今お話のあつたマル公を撤廃するということ、これも考え方によつては、統制撤廃の方向として当然のようにも考えられる。しかし私は逆に、これは政府が今のマル公を維持することが不可能になつて来た現実の事態から、どんどん物価が上つて行つて、マル公の訂正のしようがなくなつたのだというふうにも考えられる。この問題は政府がどうして押えて行くのかという問題だと思います。もちろん農村といい、物の上る面を必ずしも喜ばない、立場が違う面もありますけれども、今のように、主食だけを押えておいて、肥料は上りつぱなしにして行くというような政策をとつて行く、従つて繊維を先頭にして一般物価が引続いてどんどん上つて行くということになると、消費者の生活は非常に脅威を受ける。そのことが政府があわを食つている面ではないかと思う。従つて、きようは問題が貿易の点でありますから、物価の問題は、ひとつ委員長にこの次の委員会でこの問題を取上げてやつていただきたいことを希望しておきまして、今関連だけを伺つておきます。 私もう一つ伺いたいのは、貿易の問で、最近の情勢は、ドル資金がある、ドル資金があると言つておるけれども、一体いつまで続くか。われわれの聞くところによると、緊急輸入をやるためにここ一、二箇月は急速に物が殺倒するかもしれないけれども、その後が一体続くのか続かぬのか。その辺が今の物価高の問題、いろいろ商人の先の見通しの問題から起つて来ている問題であつて、ただここわずかの面だけを切り拔けるということだけでは、決して物価の安定は期し得られない。だから資金的に、金融的に、はたしてこの先一箇年間——今の予算審議の建前からいえば、一箇年間押し通せる政府のお見通しがあるかどうか。これは貿易当局からひとつ数字的に伺つておきたい点であります。 それからなぜ私がそういうことを申すかというと、今予算委員会で問題になつている東銀の問題を通じても、ユーザンスの問題が私は一つの誤りのもとだと思う。従つてここで通貨の收縮をはかれば、貿易が締つて来ることは当然であると思う。そういう財政金融政策とのにらみ合せから考えまして、根本は物価の安定をどうはかるという見地に立つての、貿易政策のお見通しを、今日の段階としての新しい角度で、念のためにもう一度伺つておきたいのであります。
○小峯政府委員 非常に広汎な問題の御意見でありましたが、私は物価高すなわちインフレだと考えることは誤りのように思います。財政的な原因、すなわちインフレ予算から、少い物資に対して有効需要が殺倒しますような場合には、物価高がそのままインフレになるものだと私は思います。ただ今日ただいまのように、国際的な物価が日本経済に反映して、輸入原材料が高い、輸出品も高いというような形において招来されておる物価高、その物価高をすなわちインフレだと御指摘になることに、私は少し考え方が違うと思います。もちろん今の物価高の中には、單にそういう国際物価の反映だけでなしに、日本経済の一つの弱み、先ほど触れましたような船腹が少いとか、そのために船運賃がかなり不利な條件に立つております。また思惑の需要もありましよう。今御指摘のように、先行きに対する商人の一つの見通しの問題もありましよう。そういうふうな附加的な條件はありますが、根本的には、私は今日の国際物価高が日本の物価高に反映しているものだと思います。そういうふうに国際物価高が、日本経済に反映する姿は、かりに統制経済でやりましても、自由経済でやりましても、国際経済の影響がないということはないと思います。ただこれを遮断するためには、為替でもいじる以外に方法はないのであります。今日為替をいじるというようなことは、夢にも考えられないと私たち信じております。問題になりません。そうしますと物価だけを押えるということだけでなしに、すなわち物価の安定ということだけでなしに、物価は高くなつても、その高い物価が国民生活の收支の上に、あるいは企業会計の收支の上に、合理的に循環するような形で考えて参りますれば、経済の安定になると私は考えるのであります。また事実日本だけの物価を、どうしても押えようというようなことがあり得るとは思わないのであります。そういう意味で、單に物価荷をつかまえるということでなしに、その物価高の中に、十分に活発な経済循環というものが伴うかどうか、こういうところにポイントを置いて政策は考えるべきものじやないかと思つております。また輸入の問題でありますが、非常にいい御指摘をいただいたので、今の輸入の外貨は多少あるが、これを買つて行けば、緊急輸入して行けば、なくなつてしまうのじやないかという御指摘であります。実は私もそういう心配がありますから、輸入々々とおつしやいますが、輸出のことも重点を忘れないつもりなんであります。日本の経済はその日暮しでありまして、働きながら食つて行く。働きながら多少でもためて行くという姿でありますから、もし日本の輸出の問題が、考慮しなくてもいいだけの実力がありますれば、輸出の調整、あるい代外貨による備蓄の問題等、もつと積極的に、あるいは一方的に進まれる方法もあるだろうと思います。かような意味からいいまして、まだ経済の立省りは日が浅くて、働きながら食つて行く、働きながらためて行くという今日の段階で、その点のむずかしいことは指摘の通りであります。ただそういうふうな経済でありますがゆえに、従つて国際経済との関連をよく頭に入れながら、日本だけの経済、日本だけの物価というものは、あり得ないような感じが私はするのであります。率直に申し上げますと、御教示をいただきましたが、私どもはどうも国際経済に対する問題は、今のような関係になるのじやないかというふうに考えまして、その中で、しからばどうして日本の経済を、あるいは物価を安定させる面で、一歩でも二歩でも前進するかと申しますと、先ほどから申し上げますように、船の問題で、日本の経済のある弱みを直して行きたい。そうして国際的な動きにプラスして、日本経済に加わつておるその附加的條件を除去するということが、一ぱいではないかと私に考えております。物価の統制の問題等も、そういう線で、すなわち輸出貿易にさしさわりのないように、日本の経済的な活動にブレーキがかからないように、その点に根幹を置きまして、不必要な、あるいは思想的な統制、あるいは統制のための統制というようなことは、絶対に避けたい、かような考え々で、政策の切り盛りをして行つておると御承知願いたいのであります。
○竹山委員 筋はよくわかりましたが、そういう御答弁から想像される感じは、政府としてはこの際物価を全面的に高くして行くんだ。国際物価に追随して高くして行くんだという結論になるように私には受取れた。それも一つの行き方だと思いますし、それを無理に押える方法は、政府の力ではできないのだということでありますれば、これは主食を先買にして急速に改訂をしませんと、肥料は上りつぱなしにしておいて、農産物を押えるというような——ことに今の麦のごときは、対米比率の六四を、一挙に二〇%も下げておる。これは私が前の国会のときに、乱暴千万だ、そんなことをするとあとで後悔をするぞと言つたのですが、これは率直に反省をされて改訂しなければ、維持のできない問題です。そうなつて来ますと、今わずかに国民生活のうちで安定しておるのは、主食の価格が低く押えられておるというだけだと私は思う。それを、麦をまつ先きに改訂をせざるを得ない情勢に追られておるということになつて来ますと、これは今インフレじやないとおつしやつたかもしれぬが、そうなりますと今年の予算はこのまま通しても意味をなさぬ。賃金ベースを直して、全予算の組みかえをしなければ、この予算を通す意味をなさぬことになると思う。私は今も通産の分科会で、一体政府の事務当局は、ことしの予算で、このままやつて行けるお見通しがあるのかということを言つたら、補正を必要とするという説明がありましたが、これは大蔵大臣がいくら力んでみたところが、ただちに予算の全面的な改訂をしなければならぬということになると思うのであります。私はそこを、予算を目睫の間にひかえておりますので、政府御当局の見解を伺つたわけであります。なおこれはひとつ委員長にお願いをして、次会に物価の問題をぜひお取上げを願いたいと思います。きようはこの程度でやめます。
○小峯政府委員 せつかくの御指摘でありますから、つけ加えて申し上げたいと思います。物価の問題を非常に御心配なさつておりますが、今の物価の中には、いろいろな見通しなり、いろいろな思惑的な動きもありまして、相当国際情勢以上に、物価高は響いているような感じがいたします。先ほど来申し上げますように、輸入の問題に対する努力、あるいは政府の確固たる方針というものが、だんだん浸透して参りますれば、物価もおちつきやせぬか。また農産物価に対する御指摘は、あなたは御專門でありますから、いつでも傾聽して伺うのでありますが、特に肥料問題、過燐酸のことに対しましては、主食が安定の基盤になつておりますことは御指摘の通りでありますから、農村に御迷惑をかけませんように、私どももただほうつておくという意味ではありません。いろいろな面で、これに対する補給のようなことも必要とあれば考慮したい。先般も私たちの長官が申し上げた通りであります。でありますから今の物価というものは、正常な国際物価以上に、国内的な需要、あるいは日本経済の弱みというものもつけ加わつておると思いますので、それを除去することに努力し、かたがた主食を生産する農村に対する対策につきましては、特段の考慮を拂いながら、またそういう手を盡しますれば、への物価をもつて、ただちに補正予算云々の問題までは至らないと思いますが、私たちはしばらく推移を見たい、かように考えておる次第であります。
○竹山委員 政務次官は十分理解があるから私ども敬意を表しております。 重ねてお願いを申し上げておくのは燐鉱石の補給金の問題を、先般の委員会で、あなたと大臣と非常に誠意を示して努力をしてくださつて感謝をしておる。ところが昨日の経済閣僚懇談会の結果を新聞を論じて見ますと、大蔵大臣はそんな必要はないというようなことの記事が出ております。これは大蔵当局として言いそうなことだと同情すればそのままですが、これはひとつ経済閣僚としてれ先般安本長官が言明をされたような筋によつて、政務次官にも特段の御努力をお願い申し上げたいと思います。
○圖司委員長 森山欽司君。
○森山委員 自立経済の計画についてお尋ねしたいのでありますが、輸出について中国市場を除かれておるわけでございます。特に二十六年度については除かれておるわけですが、通常であれば、二十六年度においてはどの程度中国市場に依存すべきであつたかという、詳細なデータがあつたならばいただきたいと思います。
○小峯政府委員 今次長のところで見ておりますから、次長より答弁いたさせます。
○森山委員 もしなんでしたらあとで資料をいただきます。
○小峯政府委員 ひとつ資料をつくりまして、データにしてお目にかけたいと思います。
○森山委員 三十五年度の実績とか、本来あり得べきものがここで押えられておるとか、それから普通であれば二十六年度はこれだけほしかつたが、これだけしか認められなかつたというような数字を……。
○小峯政府委員 中共貿易が正常なりせば、どういうような形になるという……。
○森山委員 そうです、それを具体的に……。ドル圏ならドル園の方に依存すべきかというような御計画ですが、いただいた資料では……。
○小峯政府委員 承知いたしました。後刻調製しまして……。
○森山委員 それからこれは物価に関連してでありますが、次回の委員会でこの問題をお取上げになると思いますが、その前にごく簡單に伺いたいのであります。きよく安本の調査課の方で、週間物価動向という、二十六年一月二十七日から二月三日までの間の資料をいただきました。その一番最初のページに、総合市場物価として、朝鮮事変勃発直前、六月二十四日に比べますと、大体今日四割以上、総合市場物価が上つておるというふうなグラフが出ております。これは総合市場物価というのは生産財のことでございますか。——全部だとしますと、とにかく朝鮮事変勃発直前に比べて、四割物価が上つているというふうに見てさしつかえないと思います。この四割上つた物価のしわは、一体どこに寄つておるとお思いか、これを伺いたい。
○小峯政府委員 もう少しそのかぎになるような御質問をしていただきたいのです。なぞをかけるようでちよつとお答えしにくいのですが、どうぞお願いいたします。
○森山委員 総合市場物価でありますから、分析すればいろいろな分析の仕方ができると思うのですが、ともかく先ほど来政務次官は、統制はやらぬ、上つたら上つたで、合理的な活発な経済循環をすればよろしいと、おつしやる。これだけ物価が上つて来るということになりますと、たとえばさしあたり勤労者の立場を考えます。これは月給も四割上げてもらわなければ困る。これはごく楽な議論ですけれども、そういうようなことになつて来ると思う。しかし実際的にそういうようなことが、そう合理的に行われるかどうか、そういうふうに賃金の方も追随して来ることが、政務次官のいわゆる物価高を合理的な、活発な経済循環において消化するということなのであるかどうか伺いたい。あるいは物価が上つても、もう賃金の方はそのままでよろしいというお考えなのか、そういうような段階に、もうそろそろ参つて来つつあるのではないかと思いますので……。
○小峯政府委員 総合物価の指数だからというお断りがございましたが、生活にも響くだろうという御越意であります。これは分析していただきますと見当がつくと思いますが、物価高の主たる理由になつておりますのは、おそらく生産財のうち、基礎物資の材料に関するものが多かろうと思います。私どもこれを分析しましてまた研究いたしますが……。そういたしますと、必ずしもその数字が、生活の上にそれだけ重圧になつておるとは考えません。またかりにそういうふうに生産資材が高くても、その基礎資材が製品に至るまでの間で消化される面も出て参ります。また私が合理的循環と申し上げましたのは、物価が高くなりましても、企業の操業度が引上げられますと、関接費が下つて原価の上では相当吸收できるような面も出て来ると思います。ですから單に物価の指政だけの問題でなしに、経済の合理的な循環によつてそれを吸收できる面があるし、また主食に対する問題などは、その一般のウエートが違つて、マル公でも押えておりますから、そのままになるとは考えません。もちろん利益は出ておりましよう。全体の考え方から申しますと、私は今日ただいまの段階では、まだ給與の問題は、まことに申しかねますが、しばらくごしんぼう願つて、何といつても企業の採算、事業の安定というものを確保しませんならば、日本の経済安定の実質的な確保というものは——私は一応の安定にはあると思いますが、資本蓄積などといわれる言葉もこれに該当するのでありまして、もちろんその間できるだけ勤労者の生活に対しましては、社会政策的な面でカバーして参ります。しかし分配よりも蓄積が先だということだけは、私ははつきり申し上げていいのじやないかとかように考えまして、賃金をいつまでも放つておくという意味ではございませんが、当面やはり事案の安定、企業の安定、そしてやはり事業の安定が生活の安定に響いて来る、それに及んで来るというふうな考え方をしませんならば、この穴だらけな日本経済を再建復興することができぬ、かように考えております。決して賃金と物価高と離していいとは考えておりません。ただ段階として企業の安定というものが先行すべきで、ごしんぼう願つて、そしてそれにおつつけて当然生活の安定、賃金の引上げにまで及んで来るような施策をとつて参りたい、かように考えておる次第であります。
○森山委員 私は先ほど総合市場特価というものについて、これがどういう内容かお尋ねしたのは、もとよりこれは生産財もあり消費財もあり、これをひつくるめて言うのも、非常に粗離な議論になると思いましたのですが、両方含んでいるというお話ですから——ともかく物価が相当上つて来たことは事実です。そのために勤労者の立場においては、その影響を相当受けつつあるという一般傾向だけは言つておられると思う。翻つてCPIがどの程度まで上つておるかということも御説の通りですが、生産財の騰貴ほどの上昇を示してないことも事実でございます。しかし従来の物価の上り方を見ますと、まず生産財、消費財にこれは当然波及して来ざるを得ない。その生産財から消費財に転嫁する間においてのみ込める限界というものは、そう幅の大きいものとも言い切れない面があると私は思う。ですから朝鮮事変が勃発いたしたのが六月こ十五日といたしますれば、爾来七箇月経つております。もうそろそろそういう面についての消費財への反映というものが、はつきり出て来る時期が逐次近づきつつあるのじやないか、そういうことになりますと、今政務次官がおつしやつたような考え方で、やつて行けるかどうかという限界が来るのじやないか。ということは、政務次官の根本的な考え方の中には、できるだけこの経済の動きを、自由経済的に運営するという前提のもとにおいて、勤労者の生活というものについて、ある程度資本の蓄積とか、その他の面から考えて、しばらくがまんしてもらうというお考えでありますが、こういう経済の激変期において、自由経済に運営して行く場合においては、相当限度が別の面から来る可能性があるのじやないかと思うのです。ということは、今はまだそうでありませんけれどもまた従来の政府のいろいろな手の打ち方の関係等もあつて、労働賃金を中心として、労働攻勢というような問題がそう問題になつておらないようですけれども、私は今のままで行つたら、近い将来こういうことが再び燃え上るような可能性があるのじやないか、政府のいわゆる統制はやらぬけれども、調整はやるというような程度の考え方であつては、そういう意味の破綻が来るのではないかというような、ごく大ざつぱな心配をしているのですが、いかがですか。
○小峯政府委員 前段御指摘の、生産財が消費財にだんだん転嫁されて来る。私はその段階では当然賃金にもいい影響が出て来るものだと考えております。現に部分的ではありますが、事業界における給與が相当上つておる面も御承知だろうと思います。そういうことで生産財が消費財に来るからというときには、給與に対する好影響も当然出て来る時期だと実は見ております。また後段の、一般原則としての自由経済で行き詰まりはせぬかということでありますが、ここでどういうことを、その反対の統制経済とお考えにたるかはまだ承つておりませんが、私は逆に、統制経済をやることによつて、せつかく拡大しつつある日本の経済規模を縮小しやせぬか、むしろ私はそれを憂えるのであります。私は主義として自由経済だけを、実際の政治の上でやつているのじやありませんで、今日ただいまの段階では、自由経済を生かす方が経済規模を拡大するだろう、小さなままでここで凍りついてしまうような経済政策をとるならば、それは知りません。問題はこんな小さな規模で、こんな中途はんぱな形で凍りついてしまうような経済政策をとつてはいかぬと思うのであります。何にいたしましても、経済規模を拡大し、その中で失業者を吸收して行くというような方法、また操業度を引上げることに十つて、企業の收益度を確保するような方法、結局もうかりませんところに給與を引上げることは、率直に申しまして、とも倒れになるでありましよう。そういうような面から、私は主義としてこれを固執するのではありませんが、今日ただいま御指摘のような統制を始めることが、かえつて日本の経済の規模を縮小し、小さいままで固定させてしまつて、勤労者の利益にもなりませんし、また給與の引上げにもならない。むしろこのところ、自由経済というものの行き方を生かしながら、必要な調整ということは当然やるべきでありましよう。そういうものを併用しながら、経済の運行を合理的に、むしろ活発に持つて行くことが、当面とるべき道だという考えはかわつておりません。従つて抽象論として、自由経済か統制経済かということではなしに、具体的な問題で御指摘いただきますれば、十分私どもは反省すべきものは反省させていただきたいと考えております。
○森山委員 私も政務次官のお考えで事態が推移することを希望するわけでございますが、どうもそうばかり行かない価があるのではないかということを考えますので、詳細は次回の本委員会で質問したいと思います。もう一つだけお尋ねしておきます。自立経済計画の基礎となつた物価水準なるものが、今日相当破れて来ておるということはお認めになると思いますが、いかがでありますか。
○小峯政府委員 御指摘のことは、先ほどの指数の御指摘でも明らかでございます。但し私どもが数字に盛りましたものは、総合関係を数字で現わしただけでありまして、物価が上りましたということによりましては、材料が上れば製品が上る、輸出が応えれば輸入もふえるという形で、もちろん誤差はありますが、全体のこの計画が、すぐにどうのこうのということにはならないと考えております。
○森山委員 私は小峯政務次官のお考えの中に、重大な忘れたことが一つあるのではないかと思います。それは時間的なずれということが、政務次官のお話の中にあると思います。たとえば物価が上り、賃金も上るでしよう。しかし上るために、その間時間がかかります。それから輸出価格が上り、輸入価格が上るという問題、これにいたしましても、同時的には行かないと思います。ですからそういう意味で、ごく安直に、物価が上つても、必ずしも全般的に合理的な、活発な経済循環ができるように実態が動かない面が私はあると思います。だからたとえばこの自立経済計画にしろ、物価が倍になつたところで、数量的には同じだというようなお考えが基本にあるのじやないかと私は思います。そういうことは、こういうふうに物価がじりじり上つて行く情勢においては、過去の経験によれば、時間的なずれのために、必ずしもうまく行かない面がたくなんあるのではないかと思います。こういうことは今までの経済の動きにおいてもたくさん見られたのですが、どうでしよう。私はたとえばこの自立経済計画による資金計画等を見ましても、この計画の基礎になつておる物価の指数等がかわつたことが、一つの大きな原因にもなつておると思いますが、この資金計画等ができたのは一月二十一日——それは構想がある程度まとまつたのは昨年の末かもしれませんが、二月の初めには、資金計画自体が財政金融上違つた数字が出て来ております。これは実態は何も差がないとおつしやるけれども、実態が何ら差がないで済むかどうか。物価が上つたからただ値段だけが倍になつたのであつて、数量的には差がないのだというような簡單な進み方で、必ずしも経済の連行がなされるとは思えない。
○小峯政府委員 非常に経済を静態的に、固定的におつかまえになつての議論のように思います。私は経済というものは生き物なので、こういう計画を立てましても、一月あるいは三月の間に、ずれがなく、びしつと行くということは、事の性質上から不可能だと思います。たとえば輸入の問題でも輸出の問題でも、上半期は少々計画には達しなかつたが、下半期で埋められるという調整はあつてしかるべきだと思います。われわれに與えられた條件が、刻々にかわつている経済情勢に対する計画でありますから、御指摘のような時間のずれをあまり問題にすることは、この計画の値を減らすゆえんにはなるまいと思います。そういう意味で、御指摘のことは重々心得ておるわけでありまして、たとえば物価が上つて、それでずれて来た数字は、あるいは実際の行政面より、それだけゆがんで来たものを、正常にもどすだけの努力はするつもりであります。いわばその元になりますのがこの計画なのでありまして、私どもの考え方、私どもの歩み方のレギユラー・コースが、この計画なのでありまして、変化に応じまして、行政上の努力もいたし、政治上の努力もいたします。しかし時間的のずれは、それをあまり克明に言いますことは、経済計画の持つ性格上、むしろ当を得ていない考えております。
○森山委員 経済の動きというものを静態的につかんであるという政務次官のお話ですが、政務次官のお考えの方が、動態的につかもうとしておられながらも、実際上は静態的にお考えではないか。先ほども竹山委員の質問に対して、物価高を合理的な、活発な経済循環に置いてやつて行ければ、これは計画通りとは言いませんけれども、それに近いもので進んで行くというお話は、どうも物価が上つても、かりに倍になつても、負金の方がそれにふさわしく上つて来れば、何ら生活に響かないじやないかという議論に近い議論になりがちな面がある。先ほど政務次官は、そういう賃金の問題については、企業がある程度基礎が固まるまでは、賃金の方で少しがまんしてもらわなければならぬというお話もありましたけれども、なかなかその実態においては、そう簡單にバランスがとれて行くというふうには私は考えない。そこでこういう物価高がだんだん進んで参つた場合において、二十六年度の産業資金計画等についても、いろいろなこれと違つた計画がすでにおできになつておる。まだその御説明は本委員会で個つておらないと思いますので、後にその御説明をお願いいしたいと思います。いずれにしても、私ども見ますと、自立経済計画の基礎であつたところの物価が、相当変動しているということは、この自立経済計画がまだ二十六年度に入らないうちに、相当の変容を受ける可能性がある。どういうような変容になるかということを私は今知りたい。それと今川町に審議しております予算案の問題にいたしましても、予算案の基礎になつた物価は、大体どういう物価か、まだはつきり示されておりませんけれども、これをしも今の政府では、正面切つては改訂しないでいいというふうなことを言つている。一体改訂しないで済むかどうか、予算もかわれば、やはりこういう自立経済計画の内容も、すでにつくつた当初において、相当な変容を受けざるを得ないのじやないかというふうに私は考えるのです。私はこの自立経済計画の内容を、何もこれをけなそうとは思つていない。レギユラーウエイとしてとれをお考えになつている。まことにけつこうだと思いますが、現実の物価高を前にして、ここに相当な修正をされなければならないような現状になりつつあるのじやないかというふうに私は感ずるのであります。特にこの報告書の内容の数字等について、相当かわつて参りつつあるのじやないかと思いますものですから、そういうような質疑をいたしたわけであります。 それからもう一つお伺いしたいのですが、この自立経済計画では、日本の産業構造については、どういうような基本的なお考えを持つておられるか、すなわち農業と工業との関連については、どういうような見解をお持ちであるか、さきの経済復興計画は、二十四年五月三十日に一応案ができたけれども、吉田総理の忌諱に触れましたか、遂に日の目を見なかつた。この計画には、農林水産業と鉱工業との関強については、当面の段階においては、鉱工業に重点を置くというような基本的な考え方があるのですが、そういうような基本的な考え方は、この自立経済計画においてはどういうふうに現われているか、それをひとつ伺いたい。
○佐々木政府委員 農業と工業との関連の問題でございますが、この審議会では、報告書の中に明示してありますように、農業に関しましては、従来この前の復興計画では、鉱工業に重点を置いて、農業を軽んずるわけではないのですが、若干鉱工業から見ますとウエイトが落ちたかつこうになつておりました。その原因は、主として資本効率の問題から出発したと考えております。ところがこの審議会ではそうではなくて、従来の農業政策の根幹となつているコストの切下げという問題、従いましてできるだけ農業に対する資本効率を高めるという考え方を、もう一歩出まして、最近の情勢を勘案した結果、さらに前に帰りまして、量を確保するという量産という面に重点を置いた結果、單に資本効率の面から見て、日本の将来を考えました、鉱工業に重点を置いた方がよいのではないかという従来の考え方を、修正せざるを得なかつたのでございます。従いまして農業と工業の関係に関しましては、どちらに重点を置くかという考え方というのではなくて、むしろ両方とも積極的に生産を伸ばしたい、こういう考え方であります。
○森山委員 それから次に、この自立経済計画の資本蓄積の項に、資本蓄積のために、その租税制度及び物価政策について特段の措置を講ずる必要があるということですが、資本蓄積のために物価政策について講ずべき特段の措置というのは、どういうことをお考えになつていますか。これは先ほどのお話ですと、マル公を再検討中であること、またマル公と割当という意味の統制は、今日意味がないというような小峯次官のお話もございましたが、今後の物価政策というものの上において、その問題と、この民間資本蓄積の見地からの物価政策が、どういう形で現われるか、お伺いしたい。
○佐々木政府委員 この審議会で物価の特段の措置と申し上げておりますのは、特に電力部門でございまして、それ以外の全般のマル公等には、あまり強く触れておりません。電力の部門では御承知のように、この計画では、来年度の見返資金を電力の方に充てる分が、大体百五十億の予定に対しまして、四百億ないし五百億という所要資金を見込んでの増産計画でございますので、その四百億から百五十億引きました残は、何で一体調達するのかという問題が中心問題でありまして、第一次的な考え方としては、できれば電力料金の改訂を法律的に行つて、その結果自己資金を調達させたいというのが、一つの有力な考えになつておりますので、その点を強く指しているのでございます。それから農業の増産に関しては、価格政策を急変してその結果食糧の増産をはかるという行き方でなくして、あくまでも農産物価格は合理的な価格で上昇して、ただ公共事業費等の支出増によつて、生産の基盤を培養しながら増産を促進したい、こう考えておりますので、そういう面にまでは、物価の特段の措置ということは触れておりません。
○森山委員 私はこれでよろしゆうございます。
○圖司委員長 他に御質疑がなければ、本日はこの程度で散会いたします。 次会は公報をもつてお知らせいたします。 午後零時三十五分散会