経済安定委員会 第3号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1951/01/30
会議録
○圖司委員長 ただいまより会議を開きます。
○竹山委員 ちよつと政府の説明を伺う前に一言お願いを申し上げたい。それは昨日の朝日新聞におきまして、ニユーヨーク・タイムスのリンゼイ・パロツト氏の言つている、いわゆる日本の経済には、今度のダレス氏の講和の問題に関連して、相当の抑制を加えられるであろうという問題が報ぜられております。これは支局長が言うていることで根拠のないことでないと思います。われわれは、今政府を初め国民が一致して講和の問題について、重大関心事を寄せているそのダレス氏の訪日について、経済の自主性を相当強度に抑制をされるということでありますならば、われわれの今望んでいる日本の自主性の問題の大半は失うことになり、政治的自主性を與えられても経済的の自主性を抑制されたのでは、われわれは国民の期待に反すると考えます。この点、今政府もまたわれわれも、今後の努力をしなければならぬ重大な問題でありますから、適当の機会に総理あるいは安本長官なりから、この問題に関して政府の所見をひとつ伺うことを、委員長において御連絡を願いたい。
○圖司委員長 ただいまより自立経済計画に関する件を議題に供し、政府より説明を聽取することにいたします。小峯政務次官。
○小峯政府委員 事務的な説明は、佐々木室長からしていただくことにいたしまして、私から今日こういう環境の中で、自立経済の計画を安定本部が中心でやつて来ましたそのいきさつ、考え方などを申し上げて御了承をいただきたいと思います。 講和の問題は、御承知のように非常に接近しておるように見受けられますが、政治的な独立は、経済的な独立に裏打ちされません限り成立ちませんけれども、そういう根本的な問題を離れましても、なるべく早い機会に経済の一人立ちができるように考えることが、経済政策の当然の目標でなければならないと考えます。そういう意味で、日本の経済を自立させるのには、どういうふうな経済のかじの取り方をして行つたらよいか、そのかじの取り方の問題を主にねらいまして、自立経済計画策定の主眼を一応置いたわけであります。私どもの考えております自立経済の内容は、外形的には国際收支のバランスをはかるのだということにあるわけでありますが、内容的にはその国際收支のバランスをとりながら、国民生活の水準をなるべく引上げるということが考えられなければなりませんし、同時に経済循環の合理的な運営を確保するというものも考えまして、外に国際收支のバランスを考えながら、内に国民生活の維持向上と、経済の合理的な循環というものを考えて案を立てたわけであります。そしてこういうものの特徴は、これは少し手前みそになりますが、今までの日本の政治の中でも例がなかつたのではないか、いろいろな計画はありますが、それを総合的に組み上げたという点では、少し手前みそを申し上げてもよいのではないか。と申しますのは、各省、各部面における計画はそれぞれあつたと思いますが、その間のかみ合せの問題であります。資金が無制限に使えますならば、産業の復興計画は大幅にできるはずであります。しかし当然それは財政金融的な、ことに日本の資本蓄積の現段階からの制約があるはずでありますし、そういうかみ合せが当然に必要になつて参ります。そういうふうに各省、各部面の計画を総合的に組み合せて、いわば最大公約数というふうなものをつかみ旧したところに、この計画の特徴があると考えるのであります。 わが内閣では、経済の方針といたしましては、自由経済を標榜はいたしておりますが、私は自由経済というものと経済計画というものが抵触するものではないと考えます。自由経済、ことに企業の自由活動を確保するためにも、その裏に経済計画というものを、しつかりとつかんで進めて行かなければ、自由経済というものは成り立たない、かような考えで、私どもは特にこの自立経済計画に深い関心を持つてやつて参つたわけであります。この自立経済計画の前に、一部に伝えられましたように、安定本部ではすでに五箇年計画の案を採用したこともあるのでありますが、その当時はインフレが非常に高進しておる真最中でありまして、貨幣価値の動揺もひどかつたような状態もあるし、国際関係の読み方も今日ほどにも実はできないような状態で、アンノウン・フアクターが多過ぎたものですから、あの当時は成案を得てお目にかける段階にまでは至らなかつたのであります。しかしその後一応経済の安定計画が——一応ではありますが、実を結び、また国際関係の経済の動きも、どうやら曲りなりにも読めるようになりましたものですから、さきに五箇年計画で研究しましたものも一部は参考にいたしまして、今回三箇年を目標とする自立経済計画を立てたわけであります。そしてその三箇年の計画を立てましたが、その作業をやつております過程におきまして、あるいは当初から、朝鮮の問題にぶつかつたわけであります。作業は約半年かかりまして、かなり大規模な、そしてまた事務局の非常に熱心な結果結実したわけでありますが、その当初から実は朝鮮問題とからみ合いまして、こんなふうに国際の政局や国際経済が動揺するときに、三箇年の計画を立てることがいいか悪いか、あるいは意義がないのじやないかという批判も一部にはあつたのであります。しかし私どもの考え方では、講和が近づいて当然経済の自立をはかることが、経済政策の目標として考えられなければならない以上、たといその間国際政局の変化があり、国際的な経済の激動がありましても、むしろ基本線を一本通しておいて、その基本線を中心としながら、国際政局の動き、あるいは国際経済の動きをつかんで行く方が、経済自立の目標を失わずに行けるのじやないか、激動期には長期の計画を立てることは困難でありますが、同時に激動期であればあるほど、あまりにも目先の政策を追つかけますと、前後の問題、体系の問題、国民経済全体としての効果に、非常に疑問が持たれるようになるという考えがありますものですから、むずかしいにはむずかしいのでありますが、一応基本線を引いて、その基本線において取上げた前提條件がかわつて来ました場合には、その基本線と今の現実がどのくらい離れて来るか、その偏差と言いますか、誤差をつかみ出して、その誤差をなるべく小さくするような形で、経済政策の重点をきめて行くことが必要なのであろう。激動するときに現象だけを追つかけて参りますと、まつたく支離滅裂になりかねないものでありますから、そういう意味でむずかしいことは承知しながら、この作業に取組んだわけであります。年限も比較的短かく取上げておりますのも、前の五箇年に比べて三箇年といたしておりますのも、多少そういう考慮がありましたし、また同時にただ計画だけで到達の可能性の少いものを議論いたしますと、これは経済政策といたしましては価値の少いものになると思いますので、期間を比較的短かくいたしまして、しかも到達のできそうな、その可能性を重く見て諸計画を盛り上げております。一応私どもは人口はどのくらいに想定する、あるいは国民生活の水準をどのくらいに想定する。そういうものを基本線にいたしまして、産業の事業活動の面、貿易の面、あらゆるものを作業して数字に組み上げておるのでありますが、むしろ重点はその数字を表面的に読んでいただくよりも、そういうバランスのとれた数字を中心として、日本経済を自立の域に持つて行くまでには、どういう点で特別の努力を必要とするか、むしろ問題点のつかみ出しに努力をしたわけであります。従つて本計画は数学的にずいぶんこまかく組みあげられておりますが、その数字もさることながら、むしろそういう形で、この激動期にもかかわらず、バランスのとれた、一応総合的な計画を組み上げるためには、政府はどういう点に力を置いて施策しなければならないかという問題点の抽出に、むしろ重点を置いたような感じであります。そういう形で一応自立経済計画というものができましたわけで、ただこの扱いにつきましては、私どもの自立経済審議会で一応の成案としてこれを決定いたしましたが、しかしこまかい数字の上の調整などもまだ多少残つておる点もありまして、最終案といたしたわけではありません。しかしこういう計画ができます以上、二十六年度予算との関連におきまして、早目に政治の施策の上に反映する必要がありますし、また国会の皆さん方の御審議もいただきたいと考えまして、一応の成案としてまとめた次第であります。このことはさきに閣議にも報告いたしましたし、また関係方面にもこういうものができたという知らせはいたしております。ところが関係方面では自分の方でも少しこれについては検討したい点もあるから、公表を差控えて、しばらく検討させてくれというふうな申出でがありました。従つて私どもでは正式にこの計画を内外に発表するという段階にまでは至つておりません。もし司令部の方の意向さえなければ、これを英訳いたしまして発表するつもりでありましたが、そういう関係で今までこれを消極的に扱つて参つた次第であります。しかし今事務局からのお話で許可を得たようでありますから、これをもつと広く知らせるようにいたしまして、日本の経済論議というものが、この資料を中心にして活発に行われるようになることが、私どもも非常に仕合せだと考える次第であります。そういうふうなまだ一応の成案だということを御承知置き願います。しかし無責任のものでなしに、私どもは十分できるだけの段階で練つたつもりでありますから、これを二十六年度の予算の中に、あるいは今後の予算の中にも十分生かすように考えて参りたいと思うのであります。 なおこの自立経済計画とは姉妹関係にあります国土総合開発計画の問題でありますが、この方も御承知のように審議会が出発いたしております。大体これは国土に取組む計画でありますから、十年を期間に考えておりますが、しかしその十年のうち第一期を三箇年、第二期を七箇年というふうに区別いたしまして、この自立経済審議会の裏打ちにも、最初の第一期計画がなりますように、平仄を合せたいと考えておる次第であります。 以上概略ではありましたが、私どもがこの計画を策定するにあたりまして考えました点を御報告申し上げた次第であります。事務的な報告は佐々木室長からいたさせます。
○圖司委員長 引続き佐々木経済計画室長よりの説明を聽取いたします。
○佐々木説明員 それではただいまの次官の御説明に引続きまして、この報告書の内容を御説明いたしたいと思います。 お手元に報告書がありますが、その目次をまずごらん願いますと、一番目が自立経済計画策定の必要性、二番目が自立経済計画の基本構想、三番目が自立経済計画の規模と構成、四番目が自立経済達成上の問題点と対策、それから最後に結論というふうな構成になつております。三番目の自立経済の規模と構成というのが本論でありまして、この規模と構成の中には、計数的には最終的な計数のみを載せておりまして、その裏にある厖大な資料は載せておりません。従いましてこの規模と構成に出て参りました計数は、その背後に部会等から答申されました厖大な計数があるということを御承知願いたいと思います。 一番目の自立経済計画策定の必要性に関しましては、ただいま政務次官の方からお話がございましたので、重ねての御説明は省略いたしたいと思います。 二番目の四ページに参りまして、自立経済計画の基本構想でございますが、これも大体政務次官の方から御説明いたしました通りであります。ただこの自立経済の意義の点でございますが、この点に関しましては、長い間いろいろ新聞雑誌等でも、現在における自立経済とはどういうものかという内容規定に関しまして、論議が活発に闘わされたようでございますが、本審議会といたしましては、当初から大体三本のねらいで自立経済の内容を規定しております。その三本と申しますのは、一つは申すまでもなく国際收支の均衡の問題でありまして、まず国際收支の均衡をとつて、援助等なしに日本経済を運営して行くという意味のねらいが第一点であります。但しそれのみでありましては、たとえますと経済規模が非常に小さくても均衡する可能性があるのでありまして、昨年の八月と九月はまつたく均衡したわけでありますが、それは瞬間的なわずかの間の均衡でありまして、当時の経済事情から申しますと非常に小さい規模でありますので、そういう均衡は長く続きません。従いまして国際收支が均衡したその均衡状態を、長く継続するという要素が非常に必要なわけでございます。そこでその継続性を維持するということはどういうことかと申しますと、少くとも国民の生活水準を向上せしめ、同時に物資の需給バランスがとれるような大きい生産規模を持つたもの、この内容を持ちませんと対外的には国際收支が均衡しておつても、その国民経済の循環は、日ならずして必ずもう一ぺん、対外的な援助を仰がざるを得ないという結論になるので、こういう内容を持つたものを、自立経済の一つの意義としようじやないかというのであります。それからもう一点は、日本の経済は、皆さん御承知のように、非常に対外依存度が多うございますので、情勢が險悪になりますと、不安定な要素が非常に強くなる。そこででき得べくんば国内自給度の向上をはかりまして、国民経済の安定度というものを増したいという、このねらいを一つつけ加えまして、この三つの内容を持つたものを自立経済と考えようということにいたしまして、こういう柱を中心にいたしまして、爾後の作業の展開をはかつて、一応の成案を得た次第であります。 それから五ページに行きまして、前提條件でありますが、この前提條件の(イ)と(ロ)は国際情勢の判断であります。これは作業を進めます上におきまして、それぞれの部会、非常に広汎な何千という人が作業に参加しているわけでございますので、それぞれの人がばらばらな頭で作業いたしますと、全体の統制がとれませんから、作業の当初から一応この国際情勢に対する判断をきめておきまして、そこでその判断に基いて作業を進めまして、そこで一本の太いレールをつくつておきまして、爾後情勢の変化に応じまして部分的にこれに対して調整を加えて行くという方が、作業としては妥当な行き方ではなかろうかというような議論が圧倒的でありましたので、一応作業の便宜上、国際情勢の判定を下したその最も大きいフアクターが、(イ)と(ロ)の二点でございます。第一点は第三次大戰はこの期間中には起らない。しかしその間に米ソの緊張した空気というものは継続するのだ、従つて軍拡の今の傾向はますます発展するという、二つの柱を中心にいたしまして作業を進めた次第であります。但し二十六年度に関しましては、この計画を進めました以後、昨年の十二月ごろの中共の朝鮮動乱に対する参加以来、相当情勢がかわつて参りましたので、その情勢も織り込みまして計画を組んでおります。それから(ハ)のインフレの問題でございますが、この計画を達成しますのに、赤字公債等を発行いたしまして、インフレを回避せずに、甘んじてインフレでもつてこの計画をやるということにいたしますと、あるいは産業の伸び等は、先ほど政務次官からもお話がございましたように、楽に行けるかもわかりません。しかしあくまでもそういう態勢は、少くとも国内的にはとらないという意味で、赤字公債等を発行してまでこの計画を達成するという意味ではございません。そこで先ほど申しましたように、割合に実行の可能な、かたい計画だというふうに考えていいのではなかろうかと考えます。それから国際物価と国内物価の関係でありますが、これに関しましては、為替レートを変更して、従つてそれによつて国際物価の国内物価に反映する点を調整するというようなことは考えないで、国際物価の変動は国内物価で一応受ける、従いまして、これはまた逆に輸出等で緩和いたしまして、その国際物価に、国内物価的には追随と申しますか、そういうふうな考え方で行つたらどうだろうかということで問題を進めております。それから生活水準に関しましては、過去の傾向をそのまま傾向線にとりまして、二十八年度まで延ばして行つた次第であります。従いまして、終戰以来今まで伸びました生活水準の伸びの傾向を大体そのままとつております。但し、あとでも申し上げますが、生産の上昇のカーブは、もちろん上昇はいたしますけれども、二十六年度以降二十八年度までは、上昇のカーブが若干鈍化するというような傾向になつております。それから見ますと、生活水準の方は、それにもかかわらずむしろ従来の傾向線をそのまま上げて行くという態勢でございますので、相当思いきつた考え方というふうに言つてさしつかえないのではなかろうかと思います。それではこれで十分なのかという点に関しましては、もちろんまだ不十分だとは思いまするが、少くともこのくらいの生活水準になりますれば、ある程度のところは、がまんしてしかるべきではなかろうかというふうにも考えます。それからその次の人口の問題であります。この人口の調査をいたしたのは去年の十月でありますが、爾後終戰以来現在まで、逐年人口の計算に若干の相違が生じまして、これよりも大体百万くらい減つておりますが、しかしこの方はまだ正式に発表になつておりませんので、大体前の計算をそのまま採用して計画しております。 次に今のような前提條件あるいは基本構想を根本にいたしまして、各産業ないしは貿易等の計算に入つたわけでありますが、六ページ、七ページに大体その要約がございますので、まずこの要約を御説明いたしたいと思います。 七ページの総括表でございますが、この総括で行きますと、二十五年度がありませんので、今度新しく出しますのには載せるつもりでありますが、それと今年度から来年度にかけてどういうように伸びるかという、現実からのつなぎを理解していただくために、今年度の見通しを申し上げますから、一応お書き取り願えば非常に好都合でございます。 国民所得は、二十五年度は三兆二千六百五十億でございます。それから次の産業活動指数は二十四年が九六、今年度が一一六であります。それから次の鉱工業生産指数は二十四年度が八 ○、二十五年度が一〇九、それから電力に関しましては三百四十八億一千四百万キロワツト・アワー、それから鋼材は、本年度はおそらく三百四十九万トンくらいだと思います。硫安は、今年度は百五十万トン程度だと思います。綿糸は五億七千万ポンド、次の農林水産業生産指数でございますが、二十四年度は九四、六九、それから今年度は九六、八七でございます。それからその次の米でございますが、これは米穀年度にいたしまして六千二百八十七万石、次の麦は二千四百八十九万六千石でございます。それから造船でございますが、これは着工分でございますので、二十五年度の着工分を想定いたしますと、二十四万総トンであります。それから輸出の見通しでございますが、今年度は輸出プロパーの分が八億九千二百万ドル、それから特需関係でサーヴイスを拔かしました物の面の特需の面を見ますと、一億三千五百万ドル程度だと思います。これは手取りであります。そういたしますと、大体両方で十億二千七百万ドル、これが輸出の本年度の実績になるだろうと思います。それから輸入に関しましては十一億ドルでございます。それから設備資金は千四百九十八億、それから運転資金は三千二百七十九億、それから人口は八千四百十七万人、完全失業者数は四十五万六千人でございます。そういたしますと、産業の活動、鉱工業生産指数並びに農林水産指数をごらん願いますと、二十六、二十七、二十八と次第に伸びております。しかもほとんど戰前をオーバーして伸びております。 そこで大体この中からまず第一点として言い得ることは、今年度でもつて、大体事変前の水準に日本の生産活動というものは回復いたしまして、今後それを拡張して行くという、現政府の声明しております——今までは安定で、今後は拡張だというラインが、大体これで看取できるのではなかろうかと思います。但しその伸びの点について見て参りますと、終戰以来今までの伸びは非常に急カーブで伸びておりますが、今後は復旧面からむしろほんとうの生産の面に入つて参りますので、いろいろ制約條等を考えますと、上昇のカーブはそれほど急カーブではありません。非常に緩和されます。従つて急カーブに上昇しないけれども、この程度の上昇は好ましいということでございます。 それからもう一つ非常によく目につく点は、輸入の点でございまして、今年度の実績は十一億であろうということで、来年度十五億と非常に飛躍的に増加を見ております。これは一見非常に奇異な感じでありますが、この来年度の十五億という單価は、去年の九月の基準單価であります。ところが先ほど述べました今年度の見通しの十一億というものは、大体今年度の年間平均の單価になつておりますので、二十五年度のほぼ中ほど、九月、十月くらいまでは、昔の安い値段で契約したものが、その値段でそのまま輸入されております。そういうものを勘案して行きますと、この十一億という見通しは、もつとほんとうは高く見積つてしかるべきものなのでございます。従つて当初二十五年度の輸入計画は、十億三千万ドルでございますのが、その後国際物価の上昇に伴いまして相当輸入物価が上つております。それは年間平均で押えますと、はつきりした計数はまだ出ておりませんで、大体二割くらいといたしましても、本来ならば十二億四、五千万ドルくらい、輸入があつてしかるべきものでございますが、昨年の八、九、十に、相当輸入の実数といいますか、物資そのものが減りまして、それを現在カバーしつつある最中でございまして、減りました関係上、まず物量の面で、輸入計画そのものが実績に齟齬を来した点と、それから先ほど申しました点は、物価の押え方が平均的に押えておりますので、十一億というような数字に見たというように御理解願いたいと思います。そういうように考えて行きますと、十一億から十五億まで伸びる点は決して無理でございませんので、大体来年度十五億程度の需要というものは、当然要求してしかるべきものではなかろうかというふうに考えられます。 それから最後にもう一点ふしぎな点がありますが、これは完全失業者の面でございまして、生産が今のように伸びますのに完全失業者の数はあまり減つておりません。ほとんど減つておりません。これはどういうことかと申しますと、その理由に関しましては後ほど説明いたしたいと思います。大体この総括表から見られますおもな特徴と申しますか、そういう点は今申し上げた通りでございまして、その各産業等に対する内訳は、以下順を追うて説明して参ります。 まず第一番目は貿易でございますが、貿易に関しましては、輸出は市場の輸出可能性と申しますか、相手の受入れ態勢、受入れ能力等を勘案いたしまして、極力確実な見通しを立てたというふうに考えております。それから輸入に関しましては、スクラツプあるいはパルプ等、割合はつきり見通しされたような物資は確実に押えますが、全般といたしましては、先ほど申し上げましたように国内の生活水準を維持し、拡張し、あるいは国内、国外の需給バランスをとり得るような大きい生産増強の規模を持つて参りますために、どうしてもこれほどの輸入は必要だという、この必要性を輸入面ではそのまま採用しております。なぜかと申しますと、この本計画の特徴は、要は基本的なこの一点に問題があるのでありまして、こういう輸入量をどうしても確保する、かりに確保できないというような場合には、根本的にくずれるのでありまして、日本経済を維持する最後の一つのバローメーターといたしまして、この輸入量を確保するのだという、これを対外的にも国内的にも、一つの目標にして今後の施策を進めたらどうかという点に、重要な意義を認めておりますので、この輸入量に関しましては大胆に必要な分だけをそのままにしております。 それから次のもう一点は、中国市場の問題でございます。これに関しましては先ほど申しましたように、二十六年度に関しましては、香港を除いて若干の期待をしておりますが、二十七、八年度に関しましては期待をいたしておりません。大体こういう考え方で貿易計画を組んで行つたのでありますが、その結論的な部面といたしまして、次に掲げます国際收支の推移のごときものが出て来た次第でございます。 この国際收支の内容は説明するまでもございませんので、一応省略いたしたいと思います。但し註の(b)に対日援助の問題がございまして、これを簡單に説明いたしますと、二十六年度に相当いたします五一=五二米会計年度の援助の期待量は、一億から一億五千万ドルというふうに見ております。先般の新聞によりますと、トルーマンの教書の中に出て来ます数字では、大体一億五千万程度の予算をとつておりますから、まずこのくらいの要求は非常に妥当ではなかろうかというふうに考えます。それから二十七年度に相当いたします五二=五三米会計年度は、一億の援助をさらに期待しまして、二十八年度に相当する五三=五四米会計年度は、援助は大体なくてもやつて行けるという計算になつております。国際收支には投資勘定の問題が入るのは必然でございますが、民間会社の導入の問題あるいは日本が南方等に投資をして、資源を開発するといつた問題等に関しましては、見通しがはつきりいたしませんでしたので、ここでは拔いております。貿易單価に関しましては、先ほど申しましたように、昨年の九月末ぐらいを基準としております。 次に通貨別に国際收支を見て参りますと、現在の状況では、ポンドが非常にネツクになつているような状況でございますけれども、将来を考えますと、さつき申しましたように、かりに輸入の規模を確保いたすといたしますと、どうしても再びドルが足らないというふうな計算になつて参ります。輸出の面に関しましては、品目別に見ますと、やはり最終年度は繊維が約五三%、鉄鋼か——鉄関係を合せまして約二四%で、繊維あるいは鉄関係のものが、日本は絶対多数を占めております。それから各地区への伸びを見ますと、オープン・アカウント地区に対して一番伸ばす、次にポンド地区が伸びて、ドル地区はそれほど伸びないという建前になつております。これは当初から輸出はできるだけオープン・アカウント圏、あるいはポンド地区に伸ばしまして、そこでそつちの方で得ました收入を、ドル地区のアンバランスの方にまわすという建前で立てておりますので、それらを兼ね合せますと、どうしてもこうした結論にならざるを得ないようであります。輸入に関しまして品目別に見ますと、繊維が大体三六%と見まして、食糧は後にも申しますが、この案の特徴は食糧の自給度を極力高めるということも一案になつておりますが、順次主食の輸入を減ずるという建前にしておりますので、食糧の輸入上全体のウエイトというものは、次第に減退するという見通しになつております。 次は鉱工業生産でございますが、鉱工業生産の中間をごらん願いますと、鉱工業生産を制約する三つの條件があります。一つは電力の供給面の問題、一つは原材料の入手の問題、特に輸入原材料の入手の問題、もう一つは設備資金の調達の問題、この三つが非常にネツクになつております。日本の産業はまだ遊んでおる設備は相当あります。従いましてそれでは原料なり何なり、全部思い切つて動かそうとしますと、まず電気に問題があります。そういつたような状態、なかなか日本の産業は、伸びに対しては今後この三つの面から非常に制約されまして、今までのように急カーブに上るという点は、それほど期待できないのではなかろうかというふうに考えられます。鉱工業部会で出しましたこの程度の規模の生産が欲しいという案は、電力あるいは原材料の入手、特に鉄関係が一番ひどかつたのでありますが、あるいは長期資金の見通しから、大体一割程度に見ております。その結果出ました結論が、先ほど申しましたような産業の規模になつたわけでございます。 そこでそれをさらに電力、鉄鋼、繊維、化学肥料に関しまして若干申し上げて参りますと、電力は先ほど申しましたように、日本の経済を伸ばす上におきまして、一番基本的な制約條件でございますので、何とかして生産を増したい、同時にロスを軽減したいというので、A案、B案等つくりまして問題を進めて参つたのでありますが、大体このくらいが日本の今の実力から行きますと、最大限ではなかろうかと思われまして、ここに掲げた数字が出て来た次第であります。それを見ますと、水火力合せまして、合計九十七万キロワツト・アワーの電源を開発いたしますと、反面ロスは現在三〇%程度でございますが、これを二五・五%まで落しまして、一方今申しましたように、生産を伸ばす、一方はロスを軽減して、極力供給をふやしたいということにいたしまして、平水で二十五年度に比べまして最終年度には約四十一億キロワツト・アワーという供給量を増加したいということを、この案は含んでおります。 それではこの九十七万キロワツト・アワーの電源開発というものはどういうことなのかと申しますと、資金で申し上げますと、その規模が一番明瞭でございますが、大体このくらい開発するのに、四百億から五百億近くいるのであります。そこで来年度の電力に対する見返り資金の、現在ほぼ内定しております量は、百五十億でございますので、二百五十億程度まだ誤差があります。それを来年度何かの形式で調達させるということをいたしませんと、こういう電源の開発はなかなかできないということでございます。それほど無理と言いますか、思い切つてこの電力を開発するという案にいたしておる次第であります。それでは各列強の電源開発のスピード等を勘案いたしまして、これが大きい量かと申しますと、決してそういうものではございません。大体外国の例で見ますと、年間現状の設備能力の一割程度の伸ばしでございますが、しかしこれは三年で約一割ちよつと程度伸びる程度でございまして、まだまだこれではほんとうは足らないのでございますけれども、今申しましたように、資金の面に相当セーブがございまして、まずこの程度が今考えられる最高ではなかろうかということでございます。 それから次の鉄鋼に関しましては、鉄鉱石あるいはスクラツプの入手状況を勘案いたしまして、来年度三百六十万トン、最終年度三百九十万トンにしてございますが、これはあるいはそういう原材料の入手の見通しいかんによりましては、もつとふやし得るのではなかろうかというふうに見ております。 それから繊維に関しましては、綿紡は大体紡機の製造能力並びに原綿の入手状況によつて制約されますので、それを勘案して、一応こういうケースを掲げ、それからスフ、人絹等の化学繊維に関しましては、主として電気並びにパルプの入手状況が中心になりまして、それからソーダ関係あるいは硫黄関係等を考えまして、需要よりも約一割程度超過いたしまして掲げたような数字になつております。 それから合成繊維に関しまして、これはほとんど国内に資源がございますので、衣料関係の少い日本におきまして、今後伸ばし得る最も至要な産業の一つでございますが、残念なことには電気の点で制約を受けまして、日産三十五トン程度に押えた次第でございます。 次の化学肥料に関しましては、これもできるだけ伸ばせばいいのでありまするけれども、主として電気の関係で、当初の予定より、二十八年度は二百万トンまで下げております。しかしこれは輸出の面を考えまして、国内の食糧増産のためには齟齬を来さない数量にしてございます。 それからそれ以外の主要な産業に関しましては、石炭、銅、アルミニウム等に関しまして、それぞれ掲げてございますのでお読みくださればけつこうなんであります。 それから次に農林水筆業でございますが、これは従来資本効率あるいは国際市場等の競争の関係を考慮いたしまして、極力この生産コストを切り下げるという点に重点を置かれたように考えられておりますが、今後は再びこの量をいかに増大するかという問題に重点を置きまして、国際情勢等を勘案して、極力米麦吾の主食の増産を計画いたした次第でございます。大体目標数字を申し上げますと千二百万石、これは二十八年度に投下した資本が、二十九年度に実を結ぶという体制になつておりますので、二十八年度そのものに出ると見込まれる数字は、約九百九十三万石でございます。そういうふうに生産を増強いたしまして、半面輸入量は、二十六年度が三百二十万トン、二十八年度は二百五十万トンまで落しまして、食糧の自給体制を強化するという方針を明確にしております。次の畜産、林業、水産業等に関しましては、自給度の向上という面で極力原案を尊重いたしまして、現在日本が考えられ得る、可能性のある数字をそのまま採用いたしてございます。 それから交通に関しましては、今まで申し上げました対外的な貿易の問題、対内的には各種の生産の輸送の問題等を勘案いたしまして、それを輸送の面から可能ならしめるような数字を把握しようということを、まず一つの目標といたしまして、それに見合う数字をそれぞれ掲げてございます。大体輸送の面ではこのくらいで行けば、ある程度やり得るのじやなかろうかと思われます。但し一番この中で問題になりまするのは、商船隊の拡充の問題でございまして、この問題に関しましては、この計画を立てました最中あるいは最後に至りまして、相当最近の情勢の推移に応じて新しい対策を講じつつありますので、その一部を盛りまして、ここにに若干付記的に問題を提供しております。 船舶の点を若干申し上げますと、去年の十二月一日現在におきまして、わが国の保有量は百七十三万総トンでございます。その中で航洋船がたつた四十三万総トンしかございません。事変前では最高の、当時は皆様御承知のように大体六百万総トンございまして、うち航洋船が四百万総トンございましたので、十分の一ぐらいになつておるというように御理解願えればいいのじやないかと思います。それが今年度の末には七十四万総トンぐらいになるのではなかろうかと思います。それを二十八年度に至つて、貿易の全物資量を換算いたして、それに二五%を航洋船で積みとるという計算でいたしますと、約二百万総トン程度の船舶が必要でございます。その二百万総トンを現在から年間三十五万総トンずつ建造いたしまして、それに沈船引揚げ、あるいは非国際船級船の改造等をいたしまして、大体それに近い船舶を確保しようというのが本案のねらいでございます。但しその後貿易情勢が、CIF契約からFOB契約に順次移行しつつあるような態度になつておりまして、航船をさらにもつと補充しませんと、先ほど申しました輸入の確保が非常に困難になる実情でございますので、二十八年度に二百万総トン持つという態勢は、非常に手ぬるいと考えられて参りましたので、ただいまのところでは三十五万総トンの建造を四十万総トンまで下げる。一方外国船の購入ないしは用船の対策を促進するように、それぞれ対策を講じております。 次に二十七ページでございますが、一つここで問題になりますのは、外国貿易港の整備の問題でございまして、戰後日本の主たる貿易港の大部分は接收されております。そこで今後日本の船で貿易をするという建前が順次顯著になつて参りますと、外国貿易港をどういうふうに整備するかという問題が非常に大きい問題になつて参ります。同時にそれに付帶いたしまして、倉庫あるいははしけ等、いろいろ問題がございまして、この問題が今後航船の貿易伸張に伴いまして大きい問題になつて来ると思われます。そこでそれに対する対策等をいろいろ掲げてございます。 二十八ページには国鉄の電化、電話サービス等の問題がございますが、これに関しましては一応説明を省略いたしたいと思います。 それから建設でございます。これは公共事業費に盛られる内容のものでございますが、今度の案では、公共事業費は来年度はもちろん、現在きまりました予算の範囲をそのまま踏襲しておりますが、二十七年、二十八年度に関しましては、農業生産力の増大ということに根本的に重点を置きまして、それを中心にして、それに必要な限度で、治山治水あるいはその他の諸施設を建設したらどうかというふうに、問題のウエートを、はるかに農業生産力という点に集約して展開さしております。極端に言えばその点が違いまして、それを思い切つていたしますと、先ほど申し上げました千二百万石の米麦を増産するためには、非常に経費がかさばりまして、その大部分を公共費によつて見て参るということにいたしますと、来年度約千百億ぐらいの公共事業費が、爾後二十七年度には千五百億、二十八年度には千七百億、こういうふうに非常な公共事業費の増強になります。これをいかにして確保するか、また確保できない場合には、いかにしてほかの対策で農業生産の増強をはかるかという問題が、今後実際の問題となつて出て来るのではないかと思います。建設の各分野、言いかえますと農林水産施設、あるいは治山治水施設、道路、港湾、航路標式等の施設、都市関係の施設、戰災都市の復旧とか、上下水道の復旧、あるいは住宅建設、あるいは公共建築、あるいは災害の防除並びに復旧の問題等に関しましては、お読みくださればおわかりのことだと思いますので省きます。そういうことで大体建設計画を終えました。 次に雇用の問題でありますが、雇用の面では、先ほど申したように、生産が伸びるにもかかわらず完全失業の減少率が非常に少うございます。なぜかと申しますと、人口が増加するという点が第一点、従つて労働人口がふえるという点が一点、さらに労働の生産性を非常に高めるというのが一つの眼目になつております。輸出振興等のためには、どうしてもこういう機会に産業の合理化なり、近代化というものを徹底して行うべきだというラインをくずさずに持つておりますので、生産性が非常に上昇いたします。その結果産業の生産は伸びましても、完全失業者の率は減らないという実情になつております。そこで生産性はどれだけ伸びるかと申しますと、この計画では七—十一年を一〇〇といたしますと、マイニングで今年は七八・九四であります。それから二十八年度には、九九・七三まで上げたい、大体戰前に返したいということであります。それから製造工業に関しましては、二十五年度は七三・〇八の能率であります。これを最終年度には一一一・〇八まで上げたい。従つて戰前のオーバーしてはるかに高い近代化をはかりたいという目標でありますので、完全失業の上昇率は割合に少いということになります。但し低所得就業者、あるいは副職就業者、言いかえますと、働けども賃金が少くてなかなか食えない。あるいは收入はあるけれども不規則だとか、あるいは稼働日数が少いとか、稼働時間が不足だとかいうような不完全な就業者、つまり潜在的な失業者が日本の現状では非常に多いのでありますが、こういう面は生産の上昇によつて完全失業者に順次転化して行くのではなかろうかと思われます。従いまして全般的に見ますと雇用の面は非常に改善されるというふうに考えられます。 次に資本蓄積と生活水準の問題でありますが、資本の蓄積と国民所得の量に関しましては先ほど申した通りでありますので、省略いたします。 最後に国民経済予算でありますが、これを簡單に申し上げますと、国民所得の総支出部門であります。その左の部分は年間の総生産量を市場価格で評価したものであります。従つて初めに国民所得が出て来まして、その国民所得に載つてないもの、つまりそれ以外のフアクターのものをこの中に入れる必要がございますので、まず減価償却の部門、あるいは間接税、あるいは海外收支差を入れまして、年間の市場価格で評価いたしました。この生産力と申しますか、価値と申しますか、これは全体で大体こういうような所得になるという計算になるわけであります。そこでこれをそれぞれ配分するわけでありますが、配分の方法はもちろん個人別の消費の問題、財政消費支出の問題、あるいは民間資本形成の問題の三つにわかれるのでありますが、個人消費の支出の面に関しましては、従来の傾向を基準といたしまして、これに今後の人口の増加及びさつき申しました生活收入の上昇率を勘案いたしますと、大体個人消費のはつきりした傾向が出て参りますので、その傾向を押えまして、大体このくらいならば十分だと考えました。その次には先ほど申しました間接税、あるいはこの国民所得の中に含まれまする直接税等を、この所得の上昇のみで押えますと、自然増收の点が出て参りますが、その三分の一は減税、三分の二は公共事業費で使うという建前で予算を組んでございますが、そういたしますと、大体財政の規模が出て参りますので、その財政の規模を、次に財政消費支出、あるいは財政資本形成といつたものにわけまして出ております。従いましてこれを除きますと、最後の民間資本形成が残るわけでありますけれども、この案では別途民間資本の区分を入れまして、そこで民間貸本の蓄積の傾向を勘案いたしまして、産業別に自己蓄積の部門、あるいは株、社債で調達する部門、あるいは銀行等に預貯金をさせる部門等を選びまして、それに対する伸びをずつと見て参りますと、大体今までの計画が今年度を基準として来年度以降、このくらいしか伸びないだろうということで出て来た数字が、ここに出て来ました。二十六年度七千四百九十九億、二十七年度が七千六百四十三億、二十八年度が八千十七億という数字でございます。それを足しますと、残りがなくなるはずでございますが、どうしても先ほど申しました部門との調整がとれませんで、ここに配分未済所得というものが出て参ります。この厖大なものは一体何であるかと申しますと、これは計算の手違いから出たものなのか、あるいはそうではなくて、現実にタンス預金とか、個人所得がもつとふえるといつたように、それぞれ分配されている性質のものか、それは明瞭ではございませんが、もしかりにこういう配分未済の所得がございますれば、こういうものをいかにして資金のルートに乗せ、産業の形成に役立たせるかということが、非常に大きな問題になると思います。 以上で大体この案の概要を御説明いたしたのでございますが、爾後この経済規模を確保する上におきまして必要な諸対策を述べているのでございます。 第一点はもちろんこの計画を達成しますためには、まず輸入の確保が絶対必要だ。それに関しましては、三十八ページ以降に対策を掲げてありまして、まず第一は外貨資金運用の効率化と機動化の問題、第二は輸入金融の円滑化の問題、第三は貿易協定の彈力的な活用の問題、その次は備蓄輸入の推進の問題、その次は在外買付機構充実の問題、その次は輸入力の背景をなす外貨の獲得の問題、その次は原料輸入を確保するための対外投資の問題、その次は外航船舶の拡充の問題というようにわけまして、これにそれぞれ必要な対策を盛り込んでおります。その具体的な内容に関しましてはお読みくださればわかると思いますので、お読み願いたいと思います。 それからこういう輸入を確保する上においてまず船舶の拡充が最も必要でございますので、これには船舶の拡充の問題が掲げてございます。これは先ほど説明申し上げましたので、省略いたします。 その次は自給度の向上の問題でございまして、自給度の向上の問題に関しましては、主として本案では米麦の自給度の向上を主眼にしております。但し鉱工面におきましても、地下資源開発の問題、あるいは合成繊維工業の振興の問題等を問題として提出しております。 それから次には電力の確保の問題でございまして、先ほど申しましたように、電力は日本の産業を伸ばす上におきまして最も基本的な要素でございます。そこで本案では、極力電気ののびを考えたのでございますけれども、あれほど伸ばしても、まだ、さつき申しましたように、産業の規模を確保するためには、豊水でもつて毎年十億キロワツト・アワーの電力が不足だという建前になつております。そこで今後とも、さつき申しましたような開発あるいはロスの軽減を、さらに強化し、あるいは使用の面の合理化等をはかつて、何とか十億キロワツト・アワーの下足は補つて行きたいものだという考えでございます。この案では大規模電源の開発は仕組んでおりません。大規模電源の開発に関しましては、日本の資本ではとうてい開発が不可能だという結論になつておりまして、これに関しましてはどうしても外資の導入を期待せざるを得ないというふうに考えております。 それから次の物資の需給バランスでございますが、先ほどから申し上げましたように、輸入を確保すると仮定いたしますと、需給のバランスは大体均衡はとれます。一部鉱材中の特定品種あるいは非鉄金属等の問題は別にいたしまして、大部分は均衡はとれます。従いまして今いろいろ問題になつておるような調整の問題等は、このくらいの輸入が確保されれば問題はない、そういうふうに考えております。ただし戰略物資等に関しましては、国際的な関連もございまして、政府輸入あるいは政府の何らかの形の補償による民間輸入といつたようなかつこうで、備蓄的な輸入をある程度やるとか、あるいは国内消費規正の問題、あるいは輸出調整の問題等は当然必要でございますので、こういう問題は早急に実行すべきだという答申になつております。それからそれぞれの物資に関しましては鉄、肥料繊維、木材、石炭等に関しましていろいろ書いてございますが、これは省略いたします。ただ木材に関しましてはどうしても需要面、言いかえますと、鉱工部会並びに建設部会から出ました需要面と、農林部会から出ました供給面とでは調整がとれません。そこでそれを輸入でもつて調整しようといたしましても、どうしても困難でございます。そこで大体来年度二千万石程度の未調整のものを残しましてこの案を一応置いていますが、この二千万石をほつておけば森林の過伐になることは必至だと思われますので、これを一体今後どう処置して行くのかという問題が大きい問題になるのではなかろうかと思います。ただし先ほど申し上げましたように、この問題は非常に複雑な要素を含んでおりまして、短日月でこの問題を解決するのは困難でございますので、一応二千万石の不足分を出したままで答申を終つております。 最後に資本蓄積の問題でございますが、何と申しましてもこの計画を国内的に実際達成するかしないかというウイーク・ポイントは、資本蓄積はどういうふうにやり、どれほど可能かという問題にかかつておるわけでございまして、それに関しましては、あくまでも従来の態度をそのまま延ばしまして、まず根本的には民間の資本蓄積に重点を買いて行くのだという建前を堅持しております。従つて個人の貯蓄増加、節約の問題、あるいは企業の社内留保等、企業の自己蓄積の増大の問題、あるいは証券市場の育成の問題等に関しまして、何べんも大蔵省、安本あるいは銀行の委員の方たちが集まりまして、いろいろ討論をした結果、五十九べージにその結論を掲げてありますので、詳細はそちらの方でごらん願いたいと思いますが、まず民間資本を極力推進する。この根本は、民間資本蓄積の問題を論ずる際にどうしても一番問題になるのは、現在の租税制度の改編の問題でございまして、これに対してはもう着々こういうラインで問題が現実面として進行しておるはずでございます。そういたしまして、民間資本を極力蓄積する方向をとつて参りましても、それのみをもつてしますと、まず量的にも不十分でありますし、それから強力な点にいたしましても非常に時間がかかりますので、時期的に間に合わないという観点から、どうしてもこういう計画を早急に進めるためには、民間資本形成のみに頼るわけに参りません。そこで財政資金の効率的な運用、言いかえますと、見返り資金、預金部資金、あるいは復金回收金等を中心にした財政資金の産業資金への効率的な活用をはかるということがまず第一点、もう一点は、これが本案の最後の結論でございますが、何らかの形で長期金融機関をつくつてもらいたい、それは今の開発銀行のような考えでもよろしいし、あるいは復金を直してもいい、あるいは興銀、勧銀等を普通銀行から特殊銀行に還元するという形でもいい、いろいろ方法はあるだろうが、何らかの形で長期金融機関を確立してもらいたい。現在のように長期金融機関が全然ないという態勢はどうしてもおかしい、この計画を進める上においては、どうしても長期金融を計画してもらいたいという提案を強く出しております。この点がこの計画を可能にするもせぬも、かかつて最も中心になる問題かと思います。 それから産業設備資金に関しましてもいろいろ問題がございますが、特に電力、海運、農業等の、国家として国民経済を伸ばす上に必要な産業であつて、しかもコマーシヤル・ベースではなかなか解決のつかないような産業に対して、どうしたらいいのかという対策を詳細に検討いたしまして、電力に関しましては、大体料金の早期の、しかも合理的な改訂の問題がまず一つ。従つて自己資金をなるべく今度の九分括の会社に持たせまして、そこで開発さしたらどうかという問題、大きい電源の開発に関しましても、日本の資本では問題ではありませんので、どうしても外資を入れてもらいたいというこの二つを柱にいたしまして、もしかりにこの電力料金の値上げ等がなかなか困難の場合には、先ほど申しましたような長期金融機関からの融資あるいは見返り資金からの直接融資の増加をはかつて、この問題を解決してもらいたいという提案を出しております。あるいは税の減免の問題も答申の中に載つております。それから海運に関しましても、これはなかなか自己資金の拡張という問題が困難でございますので、かかつて見返り資金のわくを拡大してもらうという点と、それから長期金融機関からの融資、あるいは何らかの形で財政からこれを見るということが、海運対策に対しては必要だということを言つております。農業に関しましても、この増産の対策といたしまして、農産物価格の改訂の問題がありますが、その面はあまり主張しておりません。そうでなくして、もう一つの方法、それは公共事業費を極力増して農業の増産をはかるという方向に、今度の答申案では重点を置いております。 次の公共事業、公企業、外資導入、それから輸出の促進あるいは労働対策等は省略いたします。 最後に結論でございますが、今まで申し上げましたような経済の規模は、少くとも日本の民主主義の基盤を確保するためには、最大の量でなくして、最小の量、どうしてもこれくらいは最小限度確保せぬと、ぐあいが悪いということ、しかしそれですら輸入の確保、あるいは自給度の向上、あるいは資本蓄積等の面からいろいろむずかしい問題があるけれども、これはどうしても解決しなければならぬ問題であるということ。それからさらに情勢が変化して参りますと、問題を集約いたしまして、緊急物資の貯蔵の問題、あるいは国内資源の開発の問題、あるいは船舶の急速な増強の問題等をさらに一段と強化すべきだということをもつて本文を終えております。 大体以上の通りであります。
○圖司委員長 自立経済計画に対する質疑は次会に譲り、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。 午後零時二十二分散会