海外同胞引揚に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 21 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1951/01/30
会議録
○若林委員長 これより会議を開きます。
○佐々木(秀)委員 大蔵省の方にちよつとお聞きしたいと思うのですが、在外公館等借入金整理準備審査会法という法律に関連する法律案が今国会に提出されるということを聞いておるのでありますが、これは御承知の通り海外同胞に関する問題でありますので、当委員会においてもよくその内容等を知つおかなければ、いろいろな問題に対しても不便を感ずると思いますので、もちろん大蔵省としてはその原案を作成中であろうと思われますが、十分にこの委員会に御説明を願つて、しかる後あるいは閣議にかけるとか、そしてその当該委員会——大蔵委員会なら大蔵委員会にかけるということならけつこうでありますが、とりあえずこの委員会において、今までの準備されておる程度でけつこうですから御説明願いたいと思います。
○吉田説明員 今御質問のございました点につきましては、目下準備中でありますが、この問題に関しましては、先般閣議におきまして基本方針が決定されまして、新聞発表等もございましたが、その要旨を申しますならば、在外公館等借入金整理準備審査会法の規定に基き、国の債務として、外務大臣がすでに確認し及び今後確認する借入金は昭和三十六年度中に返済を開始する。右の返済に関し現地通貨の円評価、返済の限度、支払いの手続等を定める法律案並びに右の返済に要する経費予算は、昭和二十六年度中に国会に提出するということの閣議決定がございました。この問題につきましては、一つには支払いに関する具体的な法律が必要でございますし、またそれに関する予算が必要であろうかと思われます。しかし現在本国会にただちにその全貌を示した予算案及び法律案を提出いたしまするには、いささか準備不足の点があるかと存ぜられますので、必ず昭和二十六年度中にはこういう法律案及び予算案を提出するという方針のもとに、その準備を進めようということになつております。そうしてその実施の準備に関する所要の法律案を今期国会に提出するということに閣議できまつております。従いまして私どもの方といたしましては、この法律案を研究しておるわけでございます。それがどういう形になるかということは、まだ結論が出ておりませんので何とも申しかねるのでありますが、要するに問題といたしましては、今何がどこまでがきめられるかということを検討いたしておる次第でございまして、この二十六年度中に国会に提案すべき支払いに関する法律案については、その支払いの手続のみならず、現地通貨をいかに円に評価するかとか、あるいはその支払いに関しては全額を支払うか、また一時に支払うか一部を支払うかというような問題が、いろいろ広汎にわたつて出て来るだろうと思いますが、現在の段階においては、まずその総額が円でどのくらいになるかということをつかまなければ、国の負担としてどの程度になるかということも具体的には見当がつかない情況であります。従いまして今回提出する法律案につきましては、そういつた準備——ことに円に評価したら幾らになるかということにつきましての具体的な評価の方法をきめる手段に関する法律案、あるいはまたこの支払いにあたつてどういう精神で支払いをやるかというようなことを盛るべきではなかろうかというふうに考えておる次第であります。大体そういつた方向で今研究いたしておる次第であります。
○佐々木(秀)委員 そういたしますと、閣議決定は基本方針だけはさまつたが、その他の具体的な方面では今考究中だというふうに承つてよろしいですね——そうしますと昭和二十六年においてこれを行いたいという御意向のように承り、かつまた関係法律案は本通常国会に提出したいが、ただ予算上その他の関係があるので、今国会にはその点は間に合わないかもしれないということになると、予算的な措置についてはあるいは臨時国会とか、そういうものをお目当にしてのお考えでありますか、それを承りたいと思います。
○吉田説明員 ただいま申しました点は、法律案につきましても、法律案の具体的な内容につきましては、やはり予算がきまらないと法律案も書けないんじやなかろうか。たとえばどの程度にお支払いするかということも、結局予算とにらみ合せての問題でございますので、そういつた詳細な点につきましては、予算案と一緒に二十六年度中に臨時国会か、あるいはその他の機会がありますれば——いずれにいたしましても二十六年度中に国会に付議するという考え方でございましてさしあたりの問題といたしましては、そういつた予算案、法律案をつくるについての基本的な精心と、それから評価問題に関する準備を進めるための方法、評価問題を解決する方法を規定するような法律案を提案いたしたいというようなつもりで準備を進めております。しかしこれは目下のところ事務当局としての案の進め方でございまするので、それが確定的だとは申し上げかねるのでございますが、事務当局といたしましては、今そういう方針で準備を進めておるということでございます。
○佐々木(秀)委員 そうすると今回大蔵省で考えていることは、いわゆる評価の問題とか、あるいはまた日本金とドル換算の問題とか、そういうようなものをいろいろ協議するために法律をもつて委員会を設置する法律案ということに了承してよろしいのですか。
○吉田説明員 大体そういう委員会に関するものと、それからただいま読み上げました閣議決定の精神を織り込んだものをつくりたいということで進めております。
○中山委員 ちよつとお尋ねいたしますが、兵庫県の留守家族の中の一人がこういうことを尋ねてくれと申しておるのです。弟が中共地区におる、去年の八月に手紙が来た、もし旅費を送つてもらえば帰られるが、これはどうしたものであろうかというような相談を受けたのでございますが、引揚げのためにとつてございます予算のお金を外貨にかえていただいて、そういう旅費に向けていただくという方法ができるものでございましようか、できないものでございましようか、御説明願いたいと思います。
○吉田説明員 ただいま私ちよつとそれをお答えする知識を持ちませんので、後刻調べまして御説明申し上げたいと思います。
○中山委員 それではこの次のときでもよろしゆうございます。
○若林委員長 なおこの在外公館借入れに関する件について御質疑はありませんか。——では本件はこれにて打切ります。 —————————————
○若林委員長 この際お諮りをいたしますが、先日の委員会におきまして、委員中山マサ君より提出されました調査要求書につきましては、事慎重を要するものでありましたので、理事会においてその取扱いについて協議いたしました結果、大体この調査要求については三団体の代表を呼んで事情を聞く等、慎重に調査すべきであると意見がまとまりましたので、本日この調査要求書を正式に委員会において取上げ、調査することにいたしたいと思いますが、御意見のある方はありませんか。
○高田(富)委員 この前中山委員から御報告がありました際にちよつと申し上げましたが、どうもその調査を要求される趣旨におきまして、はなはだ一方的な、独断的な観念に基いておるというふうに考えましたので、その点を私としましては撤回せられるようにということを申しましたが、そういうこともできないというので、理事会におきましていろいろお話しいたしました際にも、私としましてはあくまでこの要求書自体の趣旨、要求書の文面に出ておる字句からいたしましても、たとえば三団体の背後関係をどうとか、とにかく非常にこの三団体が引揚げの妨害者として糾弾さるべき対象であるというふうな見地からの調査要求でありましたので、こういうふうなことには応じかねると申しましたが、ともかくそういう問題にされた団体でありますから、それら三団体の方からも意見を聞き、中山さんの意見も聞くのもよかろうという意味であつたわけであります。しかるにその後私といたしましても、なお事情を調査する必要があると思いまして、三団体がどういうものを出したかということを調べてみましたところが、三団体が国連に出しましたものは、一般的にも広く配付されておるようでありまして、印刷物があるのでありますが、その印刷物を見ますと、中山さんの言われておるのとは非常に違うわけでありまして、妨害しておるとか、そういうふうなものに関係なくて、非常に誠心誠意引揚げに努力をして来た。これらの団体といたしましても、現在の段階において、特にソ連地区残留者の数字の問題、そのほかいろいろなデリケートな問題がありますので、こういうふうなことが政治的な企図に基いてことさらに大きく取上げられるということがありますれば、これは非常に不本意な結果になるというふうな見地から意見を述べたのであります。従いまししこういうふうなことに対しまして、何かことさらにこれを曲解するような印象を国民に与えるということは、はなはだ軽率で、はなはだ私はそういう態度は遺憾であると思うのでありますが、この三団体について、その後中山さんたちは全国をあちらこちらまわられまして事情を報告された際にも、やはりこの間本委員会でちよつと私が感じられましたような印象を一般に与えておる、特別にこの三団体を非難攻撃するような立場に立つておるということは、この三団体にしましても非常に遺憾なことであつて、そういうことはないという声明書も出ておるわけであります。その声明書によりましても、まつたく斎藤、中山両氏の言つておることはデマにひとしいものであるということを述べておるのでありますが、なるほどこの引揚げ問題に関しての国連への要請の文書を見ましても、まつたく中山さんの言われておるような性質のものでないということは明確であるのであります。従つてあのような調査要求に基いて調査をするということになれば、結局調査のやり方その他におきましても、おそらくそういう一方的なものをねじ上げるようなことになる危険性も大いにあるわけであります。この際われわれは事が非常に重大であり、国際的にも問題になつているような事態でありますので、そういう一方的な、政治的な意図を持つたことでやるということにはあくまで反対であります。ことに本委員会の性格といたしましても、もつと冷静に、客観的に事を処理しなければならないのでありますので、今回の中山さん提出のこの要求書は、その趣旨から言いまして、私どもは賛成いたしかねる、こういう結論にただいま到達いたしておるのであります。従つてこの調査をやらない方がいいというふうに考えますので、反対いたしたいと思います。
○佐々木(秀)委員 まあ共産党の高田君からこの調査は反対だという御意見がありまして、その御意見の中に、その三団体の出された趣旨あるいはまた三団体としての考え方、ことに引揚者のいわゆる数の問題等に対しての考え方が、根底からわれわれと違うような点があるのであります。数字においてもいろいろでたらめだ、あるいは中山君外二名のいろいろな報告もでたらめだということを三団体の人が申しているということになれば、なおさらさうした疑惑を一掃するためにも、われわれは決してこの人たちを糾弾するというようなことは今考えておりません。ただその真実が那辺にあるかということを究明することは、ひとりこの委員会の方々の納得だけでなく、留守家族あるいは全国民としてもそういうことを明らかにしてもらいたいということが要望だろうと思います。ことに私考えまするに、小沢常次郎という人の名前もそこに出ているようであります。その方が御承知の通り徳田要請問題のときにも、もうソ連には日本人はいないのだということをはつきりと証言しているのであります。そういうものの考え方で行動されるということになりますと、なおさらわれわれはその疑念を深くするのでありまして、決してこの人たちを糾弾するという意味でなく、なおその人たちが、ほんとうに数字において違つているのだ、あるいはもういないのだというところの根拠が那辺にあるかということを調査して、国民の前に明らかにするということがこの委員会の仕事であると考えますので、理事会において大体相談がまとまつているようでありますから、早急にこれを調査するように本委員会で決定して、そして進めてもらいたいということを私は希望するのであります。
○天野(久)委員 私ちよつと留守しましてよく事情がわかりませんので、あるいは間違うかもわかわませんが、今議題となりました調査のことは、私は佐々木君の言われることがもつともだと思います。そこで共産党の方の言われることも今承りましたが、共産党の方が言われるがごとくであればあるほど、私は本委員会において調査する必要がある。これは決してわれわれはその人たちを糾弾しようとか、あるいは政治的にこれを持つて行こうとか、そういうものではない。 それからまた中山さん外二名の言つたことはデマであるというようなお話であるが、われわれはこれはデマであるとは考えておりません。実際において現実にあちらまで行つて来られたことでありますので、そうは信じませんが、しかしそれがデマであるかないか、これは実際に双方をよんで調査するということによつて初めて明らかになる。佐々木君の言われるごとく、本委員会は決して人を窮地に陥れようということでなくして、これを明らかにさばいて社会に示すということが、委員会の責任であると考えますので、理事会できめられた通り、その三団体の方々をここえお呼び願つて、そうしていろいろと事情を承つて、われわれはそれによつて正しい判断をして処置いたすべきだと思いますので、どうかひとつその調査を進めるようにおはからいを願いたいと思います。
○池見委員 私は第一に前日の理事会で決定いたしましたように、その調査をぜひ実現するということに賛成いたします。 さらに共産党議員から、今国連に対する要請書はすでに印刷物その他で配付してあるということを聞きましたが、これを調査する以前に、その要請書を委員にひとつ配付していただきたいということが一つ。 さらに今共産党議員は、本委員会の性格ということを言われましたが、本委員会の性格は、いまさら言うまでもなく、共産党を除く——これは共産党は昨年の五月二十日におけるタス通信によつて、一応抑留者のないということを認めておることであろうと私は信じておる。それであるがゆえに、政治的意図を持つてこの調査を行うといつたふうなことは、これはきわめて偏見的な考え方であつて、少くとも国際連合がいかなる性格でもつてこれを調査するものであるかということをお考え願いたいと思う。その意味において、過日発表になりました中山さんの報告から聞きましても、国際連合の人道委員会においては、あくまでも政治的意図を持たない人をこの三人委員に選定するということを決定しておるのであります。それらのことを考えて、共産党議員の言われることがすなわち一方的であつて、少くとも本元員会としては、公正なる立場において私はこれを調査すべきであるということを申し上げておきます。
○高田(富)委員 ただいまの委員諸君のお話を承つておりますと、これはある点では中山氏の文書とはちよつと違うわけなんです。中山氏の出されました文書によりますと、そうではなくて、もう初めから結論は出ておるのであります。その団体に対する、ちようど考査委員会が不正事実を確かめるために嫌疑者を呼ぶという立場に立つておるわけであります。だから私がそういうことを言つたわけでありまして、現在、国際関係も非常に微妙なとき、ことに講和問題が論ぜられておるときでありまして、われわれいやしくもこのことと非常に重大な関連のある引揚げ問題、この引揚げ問題がいかなる意図をもつて特定のブロツクから、特にその問題が強く国際的にも主張され、またこれに便乗してわが国においても一部の人々が盛んにこれを振りまいておるということは、この国際的な関係とのからみ合いにおきまして非常に重大な問題であります。つまりこれを政治的な意図を持つてする者というふうに考えても、これは何ら不当なところはないのであります。従来引揚委員会その他におきましても、数の問題はもうここ何年となく論議され、今もつて確定的な資料を添えてこれだけの数がどこどこにおるということが言えない状態である。そういうまだまだあいまいであつて、調査をこれからやらなければならない問題を、あたかも確定的なものであるかのごとく徹底的にこれを宣伝し、そうしてこれを特定国の責任に帰することによつて反ソ的な感情をあおるというようなことは、まつたく今日私どもとしましてはこれを抑えまして、そうして慎重に客観的に調査しなければならない非常に重大な問題であります。従つて、ここでそういうあらかじめ出されました偏見に基く断定に基いて証人を喚問するような態度でやるということになれば、結果はもうわかつておる。先ほど委員の方々は非常に公正な、冷静な立場で意見を聞くのだということを言われましたけれども、これは従来の例に徹しても、そういうふうな何らかの意図を持つてやられます場合には、表面いかにうまいことを言いましても、かならずそういうふうな誤つた結論をでつち上げてこれを宣伝する、これはもう従来の考査委員会その他の例を見ても、一点の疑いをいれる余地はないのであります。従つてこれは委員の皆様方が、その三団体の意見を聞くのはいいじやないかという気持には賛成でありますけれども、これを今こういう機会に中山さんの提案に基いて行うということになれば、その結果は明瞭であります。実はそのような政治的な意図に基くデマ宣伝の具に供せられることは、日本の国民としましても非常な損害である。今日講和問題を前にいたしまして、われわれはこの種の国際関係をかえつて悪化せしめる、われわれの平和の要望に対して傷つけるような行動は、絶対にとられることのないようにということで、あくまでこの証人喚問には反対いたす次第であります。
○受田委員 今の高田さんの御説によると、国連に出されたところの三団体の要望書というものは、これは虚偽のものであるようなことになつておると思うのです。そうすると、中山さんが携えて来られた資料は国連から持つて来られたもので、確実だということになつておるわけですが、その双方の疑惑を一掃するために、今のような懲罰的な意味の委員会、考査委員会のような性格のものでないこの委員会の性格からいつて、これは人道的な問題を取扱う委員会でありますから、三人の人に来ていただいて、その率直な意見を開陳してもらいたい、そして中山さんが携えて来られた国連に対する要望書というものの食い違いをここではつきりさせるということは、決して一方的な、弾圧的な立場のものでなくて、むしろ国民の疑惑を一掃するという立場で大事なことだと思うので、高田さんが要望されていることは、むしろこの委員会が公正な立場で取扱うことによつて——高田さんの今言われた三人の考えておられることがあちらへ出されたことは、単なる引揚げ問題に対する非常に高い人道的な立場の要望書であるという立場になれば、より一層ここでこれな明らかにする必要があるので、その取扱い方法において、高田さんが不安に思つておられるような考査委員会的なものでなくして、もつと人道的なものとしてこの委員会がお取扱いになることを希望して、私はこの三人の参考人の御意見を聞くことに賛成するものです。
○若林委員長 では採決いたします。この調査要求書を取上げて、調査するに賛成の方の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○若林委員長 起立多数。それでは中山マサ君提出の調査要求書を取上げ、調査することに決定をいたしました。なお本件に関しまして参考人として——証人でなしに参考人として、日ソ親善友好協会議長菅道君、日本復員者連盟議長小沢常次郎君、民主主義擁護連盟事務局長和田敏明君より事情を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○若林委員長 御異議なきものと認め、それでは三君を参考人として、事情を聴取することに決定いたします。 なお手続き及び日時については委員長に御一任を願います。 本日はこれにて散会をいたします。 午後零時二十三分散会