運輸委員会 第20号
- 発言数
- 74 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1951/05/12
会議録
○前田委員長 これより会議を開きます。 この際公聴会開会承認要求の件についてお諮りいたします。理事会におきまして、道路運送法案、道路運送法施行法案、自動車抵当法案、自動車抵当法施行法案、道路運送車両法案及び道路運送車両法施行法案について、その審議の慎重を期し、公聴会を開くことに意見が一致いたしましたので、本案に対し公聴会を開きたいと存じます。つきましては衆議院規則第七十七條により、公聴会開会承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前田委員長 それではさよう決定いたします。 なお議長におきまして、公聴会承認要求書に対し許可せられましたならば、委員長より衆議院規則第七十九條に基き、議長に報告いたしたいと思いますが、その報告につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前田委員長 さよう決定いたします。 —————————————
○前田委員長 次に去る四月二十四日の桜木町構内における電車火災事故につき、運輸大臣より発言を求められております。これを許します。
○原(彪)委員 議事進行について…。昨日公報には二時半から運輸委員会を開かれることに載つておつたのでありまして、われわれは定刻に参りまして、委員会が開かれるのを待つておつたのであります。ところが四時になつても開かれない、四時半になつても開かれないような始末でございまして、実情を調べてみますと、自由党では運輸大臣初め運輸省の方々も御出席の上で、自由党だけで運輸行政について政務調査会をやつておられたようであります。しかもそのあと委員会を開かれず、うやむやのうちに散会してしまつたことは、まことにわれわれとしては遺憾千万でございます。もし自由党に政務調査会を開かれる御意思があるならば、二時半に委員長は委員会にお出になつて、委員の了解を得た上で、散会された後に、政務調査会を開いてしかるべきだと私は思います。いかに絶対多数とはいいながら、あまりにわれわれ民主党及び社会党、共産党を無視した行動だと私は思うのであります。自由党の政調会が重いのか国会の委員会が重いのか、これについて委員長の御意見を承りたいのであります。まことに運営上今後の問題もありますので、委員長の明確な御答弁をいただきたいと思います。
○前田委員長 私よりお答えいたします。実はかねて各党の方々に御相談を申し上げておきました国鉄法の一部改正の法律案でありますが、この問題はぜひとも今期国会に出したいというわけで、理事会で今まで数回にわたりまして御協議を願つたわけでありまして、その問題につきまして自由党の政務調査会に諮りまして、一日も早く成案を得て上程いたしたい、こういうわけでございまして、実は昨日は午前から午後にかけて非常に熱心にやつておりまして、それで途中で事務の方から、もう社会党あるいは民主党の方も見えておいでになるけれども、おそいならばきようはこれを流会してはどうかという意見だつたものですから、それならばちようど非常に熱心に論議をしておる最中でございましたので、一応それではきようはこのまま流会するということで御承認を願いたい、こういうわけで事務の方によく話をいたしてやつたわけでございます。実はこの運輸委員会でただいま最も重大な問題にされておる問題でありましたので、決して委員会を軽視してやつたのではなくして、一日も早くこの法案を各派の理事の方にもお目にかけ——大体の草案も一応は皆さんのお手元に差上げた問題でありまして、自由党の方を早く片づけて、そして皆さんに御相談したい、こういうわけでやつたのでありまして、決して委員会を無視したわけではなく、むしろ委員会に早く提案したいという熱心の結果、そういうことになつたのでありまして、どうかあしからず御了承願いたいと思います。
○原(彪)委員 社会党もお聞きにならぬそうですが、私の方も全然そういう了解事項があつたとは聞いておりません。もう自由党だけで運輸行政をやつて行こうというような、まるでそれではほんとうに独裁政治のような行き方で、国会の反対党を認めないというような行き方で、まことに運営上遺憾である。今後どういう方針で臨まれるか、はつきりした委員長のお考えを承らないと、われわれは今後とも非常に困るわけであまりす。はつきりした御見解を承りたいと思います。
○前田委員長 先ほど申し上げました通り、非常に重大な法案でありますので、その法案を一日も早く程をいたしたい、委員会にかけたい、こういうことで、ちようど一箇月の間休会がありまして、そうして急にオーケーが来たというわけでありまして、あと余日もないし、自由党の意見を先にまとめることが必要と思いまして、実はそのために遅れまして、多少手違いがありましたことは、私がおわびいたしますが、決して委員会を無視したというようなわけではなかつたのでございまして、また事務の方からも連絡がありまして、事務の方にもその状況を詳しく話をしまして、御了解を求めるように申しておいたわけであります。
○木下委員 どうも前田委員長のお話は、われわれにはどうしても了承できない。案が重要であるから、自由党が先に相談をした上で、それで委員会を開く、しかも公報をもつて二時半に開くということを言うておいて、そして自由党の政務調査会で、この運輸委員の方がみな集つて話をして、そして四時半になつてもなお開かずに、流会にしておいて、事が重大だからわれわれが相談していたなんて、そういう言われ方では、われわれ国会の運営というものはできないと思います。だから悪かつたなら悪かつたと、はつきりおつしやいよ。これは大きな問題ですよ。単に運輸委員会だけの問題ではない。もつと良心的にはつきり言うてください。ただ事が重要だからわれわれだけが集まつて相談したのだ、それで流会したのだ。そんなことがありますか、いやしくも国会において……。
○前田委員長 それは私の方で一応開会して散会をするとか、あるいはまたいろいろ御相談申し上げることをやらなかつたことは、これは私も謝罪いたします。いたしますが、事情はそういうわけで、御了解をお願いしたいのであります。決して委員会を無視したとか、国会を軽視したとかいうわけではありませんから、その点はぜひひとつ御了承を願いたいと思います。山崎運輸大臣。
○山崎国務大臣 先月二十四日、桜木町駅における国鉄電車の事故の件につきましては、過日衆議院の本会議場においてその概要を御報告申し上げた次第でありますが、当運輸委員会には、爾来出席して御報告申し上げる機会を得ませんでしたが、本日初めてその機会に接した次第であります。概要は先日申し上げておきましたが、繰返して申し上げるまでもなく、返す返すも申訳のない悲惨きわまる事態であり、国民に対し恐縮をいたしておるような次第であります。 その後の対策等につきましては、第一に国鉄当事者をして、最善を盡して善後処置の一切に当るべしという内面指示をいたしております。すなわち死傷者並びにその関係の遺家族の諸君に対しまして、まずもつて弔意を表し、できるだけのお世話を申し上げる。第二段には、できるだけ早く事故を引起した真相を確める。第三には、それを確かめて、事故が起つたような原因を明らかにして、一般の国鉄電車を利用する大衆に対して、国鉄電車に対する必要以上の不安感を一刻も早くぬぐい去る。第四には、広く将来にわたつて一般の、国鉄電車のみならず、汽車、自動車に対する安全調査、並びにその対策の方法を講ずる。こういうふうな順序で善後の処置を今着々とりつつある次第であります。 その中で原因を確実に握るという一点につきましては、故障の起つた現場における物による現実の姿、すなわち機械的の面から推断を下して行つて、ここに原因があろうということの大体の把握はできたのでありますけれども、しかしながらかりにその機械的の故障の原因について把握ができましても、当時それに直面して当つた関係者みずからの、当時の状況に対する説明がない限りは、原因の調査としてはその半ばにとどまるわけなのであります。しかるにその直接の関係者は、御承知の通り今日横浜地検において、もつぱらその取調べに当られており、身柄は拘束されているような関係上、われわれが親しく直接その関係者について報告を聽取することができませんので、これには多少の時日をかさなければならないような状態にあるのであります。大体そういうふうな手配を一応取進めているのでありますが、今日までの状態ではもう少しの時日をかしさえすれば、善後処置、対策等についても一段落を告げるであろうという段階に進みつつあるような次第であります。 繰返すまでもなく、電車一台の焼失によつて百六人の死者を出し、九十二名の負傷者を出したというようなことは、実に近来まれに見る悲惨なできごとでありますので、その影響の重大なることを考えて、愼重な態度で調査を進めるばかりでなしに、善後の処置についても考慮して、対策を講じておるような次第であります。まことにこのたびのできことは申訳のない事態であり、国民に対して恐縮いたしているような次第であります、概略御報告を申し上げます。
○前田委員長 なお国鉄総裁が発言を求められております、加賀山説明員。
○加賀山説明員 昨月二十四日の、時刻は午後一時四十二分ころと推定されるのでございますが、櫻木町駅構内におきまして、電車火災事故を惹起いたしまして、国鉄電車始まつて以来の重大な結果を招来いたしましたことは、まことに申訳ない次第でありまして、このために遭難された方々並びにその御家族の方々、ひいては国民各位に非常な御不安をおかけしたということにつきまして、まことに何ともおわび申し上げる言葉もない次第であります。本委員会におかれましても、たいへんな御心痛を煩わしましたことにつきましては、この機会に深くおわびを申し上げさしていただきたいと思います。 ただいま大臣御発言の通り、事故の発生の原因につきましては、目下直接関係者に当つて聞きただすことが十分でございません関係上、推定も入つておる次第でありまして、最後のところは、まだ今後さらに糾明をするところが多々ございますが、明らかなことは、これは不可抗力ではないということでございまして、従つて国鉄の全責任であるということを、私どもといたしましてははつきり承知いたし、その責任を痛感している次第でございます。何といたしましても、この事故が起りました以上は、ただちに遭難された方々の救護、弔意に万全を期するということでございまして、私みずから、並びに職員を動員いたしまして、これに誠心誠意当つておる次第でございます。 五月七日はふた七日にあたりまして、鶴見の総持寺におきまして合同慰霊祭を営ませていただき、遺族の自宅にも、私が時間のあります限りみずからお線香を上げさしていただいておりますが、なお今後の慰藉の方法といたしまして、担当の者をつかわして、きわめて遠方以外のお方につきましては、今日までにその御家庭の御状況に ついて、大体において調査を完了いたしております。これから一々の御家庭につきまして、慰藉の具体的方法を講ずるという段階にありますことを、御報告申し上げたいと存じます。 なおこのために負傷されました方々は、横浜並びに東京市内の病院にお入り願いまして、あらゆる手を盡して、御治癒が一日も早いことを念願いたしております。ただいまのところ二十名の方が入院をされておりまして、他は自宅において御療養をされておる方も残つておるわけであります。病院の方につきましては、お見舞もそのときどきに申し上げておりますと同時に、何と申しましてもこれは専門医の治療が第一でございますので、十二分の手を盡していただくことを各病院にお願いし、もちろんその間の費用全般は、われわれの方で負担をいたしますと同時に、なおその後の状態に応じまして慰問の方法を講ずるということにいたしておるわけでございますが、何といたしましてもこれらのことにつきましては、心を込めてするということが最もかんじんのことであると存じまして、単に金銭、経済的万両のみならず、各般の事情も伺いまして、手を盡し、御援助できるところは御援助して参りたいと念願をいたしておる次第でございます。 次に事故の今後の対策を立てます上に、何といたしましても最も大切なことは、その真因をつかむということでございますが、この真因につきましては、この直接の原因とまたこのよつて来たる原因が那辺にあるかということも、十分検討しなければならないところでございます。 直接の原因につきましては、先ほども申しましたように、その当時の関係者がまだ手元におりませんので、まだ一部不完全なまま推定を下しておるという点もあるわけでございまして、これらの点に関しましては、今後十分に調査をいたしまして、修正、追加を要する点も出て参ろうかと考えられるのであります。ただいままでわれわれの手に入つております範囲におきましては、当日は午前中から横浜、桜木町駅間におきまして、上り線の架線碍子の取替作業を実施しておつた次第でございます。この作業は、電流を通しながら古くなつた碍子をとりかえて行く作業でございまして、熟練をもつてすればさようにむずかしい作業とは言えないのでございますが、電流を通したままやるというところに困難もあるわけでございます。これは午前中の作業は無事に終了いたしたのでございますが、午後続けてその作業を始めまして、桜木町寄りの工事にとりかかつたわけでございます。この末尾の方の横に長い図面をごらんいただきたいと思うのでございますが、四号から九号柱という柱の位置が示してございます。当時四号、五号、六号の三本で工事をしておつたのでありますが、事の起りは、この四号の工事中誤つてメツセンジヤー・ワイヤー、これは御承知と存じますが、電車線路におきましては、上にパンタグラフが伝わつて電流を受けるトロリー・ワイヤーと、その上にそれをつつているメツセンジヤー・ワイヤーの二本があるわけでございますが、この二本とも電流が通じているわけであります、このメッセンジャー・ワイヤーをアースさせまして、そのためにメッセンジャー・ワイヤーが切断して、それによつてつられているトロリー線がゆるんだ。これがまず直接の最初の事故の原因に相なつております。これは上り線でございましたので、下り線には関係がないようでございますが、この図面でごらんいただくとわかります、ごとく、左の方に交叉している線がございまして、続けて桜木町駅のプラットホームに入つておるわけでございます。この電車は下り線からこの交叉点を渡りまして、上り線の方のプラットホーム——下が海側で、上が山側になつておりますが、山側のプラットホームに入るという予定に相なつておつたのでございます。この渡り線のところで、渡り線と上り線との間に高さの差を生じて、パンタグラフがその高低の差のすき間へすり板をつつ込みまして、そこで架線を切るという事故を起したというふうに推定されるのであります。当時この工事をしておりましたのは、八名の電力工手でございまして、上に上つている人と下にいる人がおるのでございますが、電力工手長が下におつてこれらの工事を監視をしていたわけでございます。電力工手長は、この状態では電車を運転することは危険と感じた。これも推定が入つております。その架線が垂下した程度がどの程度であつたかということについては、いまだつまびらかにされておりませんが、ただちに電車をとめるために、付近にある信号扱所におもむきました。この左の下部の方に信号扱所がありまして、ここで電車を振りわける仕事をやつているわけでありますが、そこへ下り線一二七一B電車が渡り線を渡つて進行して来たために、電車をとめることが間に合わず、その電車の最前部のパンタグラフが上り線のトロリー線にひつかかりまして、トロリー線が切断した。そこで流れておりました電流が切断した線を通り、電車のある部分にアースをいたしまして、屋根の木部等の可燃物に引火をしまして燃え広がつた、かように考えられるわけであります。従つてこの事故は、モーターからスパークを起してそれが燃えたというのではなくして、架線が切れて、そこから電流が流れて屋根から燃えたということが、特徴に相なつているわけであります。 被害を大きくしたのは、きわめて火のまわりが早かつたということに起因するのでありますが、その原因はなお糾明を要する点が多くございまして、その後入手しました写真等の資料によりますと、ますますその火のまわりが早かつたということが実証されるのであります。きわめて早くて、運転士が非常制動をかけて、パンタグラフをおろしてうしろが向いたら、もう一面の火と煙だつたと言つておりますが、実際それに近い状態であつたように推定されるわけであります。かかる場合に、電流が通じたことが非常に高熱を与えて焼失を早くしたわけでありますので、こういつた事故電流が流れます場合には、電力を送つておりまするところの変電所におきまして、自動的に高速度遮断器というのが働いて、電流が切れる装置がしてあるわけであります。この場所はたまたま横浜と鶴見の二つの変電区から併列給電、つまり両方から電流を送つている所でございまして、近くの横浜の方は自動的にとまりましたが、鶴見の方はまだ自動的にはとまらない。三分ないし五分の間は電流が流れておつたというふうに推定されるわけであります。この電流をただちに遮断できなかつたことが、火勢を強めることに相なつた、かように推定をいたしております。また場所が高架橋上でございまして、前方から約十メートルの強風があおつておつた。また運転士台の近くにございますベンチレーターが明いておりまして、……ここから風が吹き込み、一層風をあおりつけた。それからこれにはこの車両に限りませんが、車両の内部は、外部と違いまして木造部分を多く使用しております。これは不燃性ではございません。それがために非常に強い火勢によつて早く火がまわつた、かように推定を下しておるのでございますが、先ほども申しましたように、この点につきましてはなお実験等を行いまして、さらにその状況を糾明いたしたい、かように存じております。それと今回の事故によりまして、六三型電車が非常に批判されたようでございますが、これは戦時中おもにつくりまして、ただいまは七百両ございます。主として電動車、モーター付の電車に相なつております。当時資材難等の関係から、資材等をできるだけ軽易にいたしまして、車体も比較的軽くできておる。また窓は、当時窓ガラスが割れることにかんがみまして、三段にして割りにくくなつておるというの一が特徴でございます。六三型が例の三鷹事件で批判されました当時には、電動機の部分に簡易な取扱いがしてございまして、使つております電線がチューブに入つていないというようなことがございまして、これらがああいう場合にシヨートし、スパークを起すというようなことがあつたけわでございます。この最も重要な運転機器に関します部分は、その後改善を加えまして、ほとんどそれらの点については標準の電車と異ならないものになつておるのでございますが、窓の三段式と、それから屋根に天井が張つてない。この電車は最近におきまして関西の方からこちらへ転入したものでございまして、天井が張つてあつたことがその後明らかにされたのですが、多くの場合、天井に肋骨のようなものが見えておるのでございまして、天井が張つてないということが特徴に相なつております。これらのことから、今後におきましては、いわゆる施設の面、人の動き方並びにその心構えの点、この二点について十分に対策を講じて参りませんと、真の対策に相ならないと存ずるのでございます。施設の点につきましては、ただちにできますものと、今後多少の予算、時日を要するものとあるわけでございますが、今回の事故にかんがみまして、万一の場合が起きても、お客様の安全を期するという立場から、その対策をやつておりますし、さらに今後、たとえば窓の問題についても、なお続いて検討して参りたい、かように存じております。火災になつてからではすでにおそいのでありまして、問題はまず火災に至らしめない。今回の場合のごときは、電車の運転を安全サイドにとめる。あるいはこの原因が、工事をやつておつて、その工事がしくじつたというようなことから起きておりますので、工事をやる時間の選定でございますとか、工事のやり方もよく検討する必要があるわけであります。なおこういつた場合に、先ほど申しましたように電車、列車を安全サイドにとめるという考え方、従来はどちらかと申しますと線路保安設備等を中心として信号機がございまして、運転をいたします者は、信号が青でありますならば、少しでも先へ進むということを訓練いたしておりまして、結局列車、電車の運転の正確と円滑を期するというのが、従来の訓練と相なつております。そしてその正確が、列車、電車の運転の安全を期する最も大事な要素に相なるわけでございますが、今回の場合等を考えますと、単に進めるだけが能ではなくて、多少電車を遅らし、疑問はあつても、ちよつと危険を感じたらとめるというような事柄が、きわめて大切な問題であるとも考えられるのであります。従来もかような考え方を持つて来てはおりますが、それらの事柄に徹底を欠いておりはしなかつたか、さような点につきまして十分な反省もし、今後の対策を十分講じなければならない、かように存じておるのであります。 設備の点におきましては、すでに新聞等で御承知かとも存じますが、ドアがあかなかつたということが、非常に重大な結果を生んだ大きな原因になつたことにかんがみまして、いざという場合にはドアをあけられる状態に置く。これはとりあえず腰かけ下の非常コックを操作していただくということを表示いたしまして、お客様の御協力を願つたわけでございますが、改造を施しまして、腰かけの下というようなことではなくて、もつと手の届きやすいところで、しかも平常はいじれないというようなものにしておき、非常の場合には、たとえばガラス等でおおつて、それを割つてさえいただけば扱えるようになるというふうにして行きたいのであります。この六三型につきましては、両方にドアが四つずつございますので、これがあいてくれさえすれば、脱出をされる場合には窓等よりもずつと早く行くのではないかというふうに考えております。また横須賀線、湘南電車等は通り拔け式になつておるのでございますが、この近くの電車はドアはございますが、内開きになつておる。そのために役をなさなかつたというようなことにかんがみて、横須賀線あるいは湘南電車と同じように、ほろをつけて中を貫通できるようにするというふうに改造をいたすことに決定して、着手いたした次第であります。その他ブザーをつけて、お客様等から運転手なり車掌なりに、非常の場合連絡願えるようにいたしますとか、また車体の下にもドアを一ぺんに操作するコックがあるのでございますが、このコックが片側についておるのを両側につけまして、いざという場合には外にいれば、だれでもそれを扱つてドアがあく状態に置くというような改良を加えて参りたい、かように存じておる次第であります。 それからモーター・カーの特にパンタグラフの下部の絶縁をさらに厳重にいたしますとか、電動車につきましては天井を鉄板で張り、また車体を不燃性の金属等によつてつくるといつた方法を、今後のものについては考えて行かなければならない、かように考えております。これはもちろん経費その他車両の重量等のみから考えますと、もちろん得策ではないわけでございますが、こういう事故が出たといたしますれば、そういうことは言つていられない、かように存じておる次第であります。 なお遠方の高速度遮断器が働かなかつたということも、非常に重要な問題でございまして、これは従来とも技術的に研究を続けて参つておつたのでございますが、技術的になかなか困難面もありますために、解決をいたさないで今日まで来たのであります。これらの点につきましても、さらに精一ぱいの研究をいたしまして、何か最も適切なる方法を講ずることにいたしたい、かように考えて、研究が推進いたしておる現状でございます。 なお従事員の訓練の問題といたしまして、さらに列車防護についての万全を期するためには、あらゆることを犠牲にしてやる。さらに万一事故が発生するというようなあぶない状態を感じたときには、責任者が果断な措置をその場でとる。なお車輌やほかのことに目をくれて、乗客の救助をおろそかにするようなことがあつてはたいへんなことに相なりますので、これらの点につきまして、従来ももちろんそういつた心構えをもつて進んで来ておるはずでございますが、今回のとうとい教訓にかんがみまして、断固この点を徹底いたしまして、訓練をいたして参りたい。なおこのことが起きまして、国鉄全体に自省の念が高まりまして、上からでなく、ほんとうに現場の従事員から、お互いの手で絶対に事故を阻止しようとする運動が広く、また心から叫ばれて起きて参つたということを、御報告申し上げたいと思うのであります。これがやはり国有鉄道といたしましては、設備の問題ももちろんございます。技術的な問題ももちろんございますが、何よりもかんじんなことであるように、私どもとして痛感をいたしておる次第であります。 以上はまことに緊急の措置として、今日までの原因の糾明から得た結果から、さつそく考えて着手をいたしたことでございますが、先ほども申し上げましたごとく、この事故に限らず、あらゆる事故、特に重大事故をを絶対に防止いたしますためには、さらに深く深く検討いたしまして、やつて行かなければならぬ問題が多くあるように考えておる次第でありまして、目下それらの問題の糾明と、その解決に鋭意努力を傾注いたしておる次第でございます。重ねて今回の事故に関しまして、皆様方の深い御心痛を煩わしましたことに対しまして、おわびを申し上げる次第でございます。
○前田委員長 ただいまの発言に対し、質疑の通告がありますのでこれを許します。玉置信一君。
○玉置(信)委員 私は桜木町駅構内における電車事故に対して、国鉄当局に質問をいたしたいと存じます。質問をする前に、私は今次のこの未層有の大事故のために犠牲となられました多数の市民の方々に対しまして、この国会を通じて、つつしんで弔意を表し、同時に負傷されました各方々に対しまして、お見舞の言葉を呈したいと存じます。 さて先ほどから加賀山総裁より、電車事故に対する責任の立場において、いろいろと陳謝の意が表せられ、同時にまた所管下の事故であるというところから、直接関係のない山崎運輸大臣より丁重な経過報告、国民に対する敬弔並びにわびを兼ねたようなお言葉もあり、さらに先般は本会議におきまして経過報告等がありましたので、この際つつ込んで御質問申し上げることは、あるいは聞く人にとりましては追打ちをかけるようにとられるかもしれませんので、私以下申し上げることについては、実はあまりつつ込んでの御質問はどうかといろいろ考えてみましたが、しかし翻つてこの問題を考えますと、当時私は北海道に帰つておりまして、ラジオ、新聞等によつてあの事実を承つたときは、実に戦慄を感じたのでありますが、上京いたしまして、国会再会以来今日まで省線に乗つて往来するうちに、各乗容とも今日なおこの問題を取上げて、非常に恐怖感を持つて乗つておる。一面この事故のために、押し合いへし合いする混雑も自然自粛されたようで、この点はまことにいい現象とは思いますが、しかしこれらの事故の発生原因等につきまして、先ほど来加賀山総裁に承つた以外に、私は運営上における日ごろの訓練の度合いが行き届かなかつたのではないかという点を痛感しておる二、三のこともありますので、この際責任の所在を明確にいたしまして、だれによつて、どこの箇所がどういうことによつてこれが起きたか、その事前防止はいかなる処置をすればできたかというような点に思いをいたしまして、私はいささかつつ込んだ質問を試みてみたいと思うのであります。 先ほどの御報告の中に、電車の進む、あるいは停止の状況等についてのお話があり、またこの報告書におきましては、電力工手長が桜木町駅信号扱所におもむいて連絡したというようなことを述べておりますが、これではこうした事故が未然に防止せられないということも道理だと思つて、はなはだ遺憾に思つておるわけであります。そこでお伺いいたしたいことは、この信号所へかけつける前に、このトロリー線が切断して落ちておるという事実から、しかもこの線に通つておる電流を聞きますと、千五百ボルトのものであるということでありますから、これはだれでも非常な大事故になるということは、しろうとが考えても明らかであります。従つてとつさの場合に、みずからてくてく歩いて行く先に、赤旗でも出して停車させるというような応急措置を講ずべきであつたと思うが、この処置を講じておつたかどうか、この一点をまずお伺いしたいと思います。
○加賀山説明員 その点に関しましては先ほど申し上げた通り、とことんまでの糾明は実は関係者がおりませんで、できないのでございますが、車掌の言によれば、一人の電力工手が手を振つておつたということを陳述しておるようであります。手を振るということは、むしろ鉄道で申しますと進行を意味するのでございまして、意味のない行動のように思います。電力工手長はそこで旗を出して、電車をとめるという手配はいたさなかつたと見るべきであります。たまたま信号扱所が近かつたせいか、そこへ行つて信号扱所で信号機によつてとめる処置をとるということを考えたようであります。問題はただいまお話のございました電力工手長が、下におつて見張つておりましたのですが、これがどの程度の危険を感じたか。つまりこういう結果を起すおそれがあるということを認識したかどうかということが、非常に問題のポイントに相なると考えるのでございますが、その点につきましての糾明は、実は今日のところまだ本人が取調べを受けておりまして、私ども直接本人から糾明をいたすことができませんために、明らかにされない点なのでございます。
○玉置(信)委員 ただいまの御答弁によりますと、手を振つておられたということでありますが、そういう事実があつたことは私ども想像ができます。しかしああした場所の応急復旧工事に対しては、おそらく赤旗などを用意してしかるべきであり、そうなくてはならぬと思うのでありますが、どうもこれが欠けておつたようであります。こうした場合に赤旗を用意してかかるか、かからぬかということについてお伺いしたい。 次はドアをあける一つとして、運転手が停車後において車体の下にもぐり込んで、車体の下のコツクを処理してドアをあけるという処置をすればできるということも聞いておるのでありますが、一体こういうような訓練をされておつたかどうか、その点をお伺いいたします。
○加賀山説明員 旗はこうした工事をいたしますときには、必ず所持するという建前になつておりますので、そのときにももちろん持つていたことと私ども考えております。ただその旗を使つてとめることをしなかつたということは、明らかにされておるわけであります。それから運転手の行動といたしまして、この電車運転手がそれを知つていたかどうかということにつきましては、これもまだ十分明らかにされていないのでございますが、それを扱おうとした形跡はないのでございまして、煙と火焔で車内一ぱいで、お客様は後部の方へ全部お集まりになつており、下へおりてうしろから救出しようという気持がとつさに浮びましたのか、後部へ行つて後部のドアから救出することに努力しておるようでございます。従いまして車体の下のコツクにつきましては、考え及ばなかつたのか、あるいはこの点を初めから知らなかつたのか、その点については十分まだ糾明いたしてないのでございますが、駅員全般等につきましては、このコツクを知らしていなかつたということが言えると思うのでございます。全般的に申しまして、特にこのコツクは、検修用のために設けられましす、平常はあまり人に知らしておかないというような建前をとつていたように私どもは解しております。
○玉置(信)委員 こうした事故を引起すという点において、あるいは人的の面に不足があつてどうこうというようなお考えはないのですか、あるのですか。これをまず先にお伺いしたい。
○加賀山説明員 私といたしましては、人が足りないためにこういうことになる、あるいは訓練ができないというふうには考えておりません。
○玉置(信)委員 今の総裁のお言葉で、人的の問題だけについては了解でできますが、欧米のように機械力が発達しておるところ、たとえば緊急に電気のスイツチを切つてもらうときも、工手が無線電話を用いておるというようなことで、機械的にきわめて進歩せる国においては、こうした事故も相当事前に防ぐことができると思うのですが、日本の場合は、そうした高度の機械施設がないために、こうしたことも起るのであろうということは一応了承できるのであります。しかしそれをカバーするために、アメリカあたりの鉄道の人員等に比較しまして、日本は相当たくさんの人員を使つてやつておるのでありまして、今の御答弁によりましても明らかな通り、人が足らないためにこうした事故が起つたとはいえないのであります。そこで何としてもこの問題は、国鉄経営の責任者として、かかる事故発生の場合を想定しての日ごろの訓練ということが、一番大切でなくてはならないと同時に、またこれは不可欠の仕事であろうと思うのであります。先ほどの御答弁によりますと、旗も振つたろうと思うがというお話でありましたが、そういう場合には、必ず旗を持つて線路の横に立たなければならぬはずのものもやつてない、ことにまたとぼとぼと信号所まで歩いて行くというようなことは、どう考えて見ましても、非常に事故に対する応急措置の面においてのくふう研究が行き届いていない、従つてこれは日ごろの訓練がこうした方面になされていないように思うのでありますが、ひとり車掌、工手のみに限らず、私は全般として事故防止に対する日ごろの訓練が、徹底せなければならぬと思うのであります。かような点に対して、今日までいかなる訓練をなしておられるか、この点をお伺いしたいのでございます。
○加賀山説明員 御説に対しましては、私どもまことにお答えする言葉もございません。確かに訓練、心構えが不足しておつたということを、はつきり申し上げねばならないと存じます。ただ従来鉄道の事故にも非常に種類が多うございまして、線路なり施設から来ますものや、また信号の見誤りでございますとか、各種の事故があるわけでありまして、平常から中央には事故防止委員会を組織いたしまして、事故防止の対策を立てるということに專念いたしておる次第でございます。また現場の鉄道管理局としての仕事は、まつたくこの事故をなくする、事故が起きた場合にその処置をよくするということが、仕事の中心に相なつておるわけであります。いかにサービスを口にいたしましても、一つの事故を起しますれば、これはみなすつ飛ぶわけでございますので、鉄道に職をおきます者は、この事故という言葉ほどこわいものはない次第でございまして、この防止にはあらゆる知恵をしぼり、能力をそこえ向けておる次第でございますが、今回の落ちがあつたということにつきましては、何とも私お答する言葉も知らない次第でございます。
○玉置(信)委員 国有鉄道がコーポレーシヨンになりまして以来、特に加賀山総裁御就任以来、非常な御努力によりまして、全国的に見まして、車両の改善その他サービス等も急速度に改善されて参りましたことに対して、私は日ごろ敬意を表しておる一人でございます。しかるにこうしたかんじんな事故防止に対する訓練という面において欠けていたということは、非常に総裁としての一失であろうと思いまして、心から御同情申し上げておるのであります。しかし劈頭に申し上げましたように、事きわめて重大であり、しかも百余名の犠牲となられた霊も、このままでは地下に瞑することもできないのではないかというほどに、私ども心配をいたしておるのであります。もつとも先般来合同葬におけるところの加賀山総裁のあの敬虔なる態度、気持等を新聞を通じて拜承いたしまして、まことに加賀山総裁の御人格の現われとして、この点敬意を表しておるのでありますが、しかしながら事故はあくまで事故で、この嚴然たる事実の前において、これを完全に再び繰返さないようにすることに対しましては、今後の経営の面におきまして、それぞれの部署に対して責任を明確にいたして、運営の面に確固たる指導方針を立てなければ、私はかような事故が再び起るのではないかということを杞憂するものであります。かつて愛媛県におけるバス事故の際におきましても、当委員会におきましては相当問題となりまして、各委員からそれぞれの角度から主張せられ、しかも当局者の弁明によりますと、車掌は酒を飲んでないということであつたが、委員側のキヤツチしたニユースによりますと、ぐでんぐでんに酔つておつた事実もあるわけであります。かようにいたしまして、総裁は高いところから見ておられるために、各現場におけるそれぞれの中間責任者、ことに末端第一線に働く従業員のところまでは、なかなか目が届かぬだろうと思うのであつて、そこでこれらの責任を明確にし総裁としてもこの責任をどういうようにされるかというところまでお考えになつて今後に対処せなければ、繰返して申し上げますが、私はかような事故がひとり電車に限らず、列車あるいはバス等にも、再び繰返すことのなきを保しがたいのではないかというように感ぜられるのであります。そこで私は、今この事故発生の原因を糾明中であつて、まだつまびらかになつていないために、総裁も詳しく御答弁ができないようではありますが、これに対してはあくまでも責任を明確にしておくことが、今後に処する重大なポイントではないか、かように考えますので、ここにあらためて加賀山総裁の所信をお伺いしたいのであります。
○加賀山説明員 先ほども申し上げましたごとく、ただいまの段階といたしましては、国鉄全体としての責任はきわめて明らかでございますので、その点につきまして、国鉄の経営の責任を持つております者といたしまして私が責任を十分に痛感をいたしておるということにつきましては、御了承願いたいと存ずるのであります。しかし私だけがこの責任を感じておるというようなことだけでは、もちろん今後の事故の絶滅には役に立たないのでありまして、それはおつしやいましたように、内部における実情をよく取調べ、また当時の状況をさらに深く糾明いたしまして、それぞれの持場々々におきまするところの責任の追究ということは、これも十分いたすつもりでございますが、ただいまの段階といたしましては、まだそこまで行けない事情があることを御了承願いたいと思うのでございます。 なお国鉄も戦争中の酷使、戦後の荒廃からやや立て直つて参つておりますが、まだ実を申しますと、内部的には設備が完全でない、と申しますことは、あらゆる施設が完備しているというところまでは言えないのでございまして、その点をほんとうに補つて守りますのは、従事員の最も重大な職責に相なつております。国鉄に職を奉じます者は、この気持に欠くるところないと私は信じますけれども、今回のような事故が起きたということ、あるいは言及されました自動車事故等が起きるということを考えますなら、やはりまだ足りない点があることは確実であり、われわれもこれを自覚しなければならないのでございます。先ほども申し上げました従事員の訓練、心構えをさらにりつぱにして行くということには、今後いろいろな方策と、またわれわれの努力がいるというように確信をいたしているものであります。
○大澤委員 私は一言、玉置委員の質問に対してつけ加えてお伺いしておきたいと思うのです。実は国鉄の機構の改革も昨年行われたようでありますが、このたびの事故は、国鉄電車が始まつて初めての事故であるということでございます。この機構改革の前はそういう大きな事故はもちろんなくて、ことに戦時中、あるいは戦後のどさくさのときでさえも、そういう事故が起きなかつた。現在一応は国鉄自体が立ち直つた段階に入つているにもかかわらず、昨年の機構の改革をしたがために、すべて監督等の問題も第一線まで行き渡つておらぬというような点から、こういう事故が起きたのではないかということも考えられまするので、昨年の機構改革をもう一歩愼重に考えなければならなかつたのではないかということや、あるいは昨年の機構改革前は、管理部等におきましても全国に四十数箇所もあつたものを、管理局にしてその半分にも減らした。要するに非常に数が減つたというので、末端の第一線の監督が届かないという面から、こういう事故が起つたのではないかということが考えられますが、総裁といたしましてはそういう点に対して御配意をしておられるか伺いたい。
○加賀山説明員 ただいまのお言葉でございますが、私といたしましては、今回の事故が機構改正に関係を持つておるということは、絶対に考えておらないのでございます。と申しますことは、むしろ機構改正によりまして、運営面の監督指導がはつきりいたしまして、これだけを抜き出して鉄道管理局長の最も重要な役割にいたしたわけでございまして、その他の経理、資材等の事務は離して、身を軽くしております。従つて鉄道管理局長は、これを指導監督すればよろしいのでございます。特に機構改正の影響は、現場には何も及んでおりません。そういうような点からいたしまして、機構改正が今回の事故に因果関係があるということは、ただいま私といたしましては考えておらない次第でございます。
○坪内委員 大澤君の質問と関連しておるのでありますが、今般の事故につきましては十分その真相を糾明いたしまして、その原因を明らかにして、総裁以下それぞれの立場で責任をとらなくちやならぬ。信賞必罰を明らかにして、再びかくのごとき問題を惹起しないように、われわれは十分慎重な検討を加えなくちやならぬということを考えておるわけでありますが、ただいま大澤君の御質問によつて、加賀山総裁のお話でございまするが、昨年八月の国鉄開闢以来の機構改革によつて、この事故がそういつた機構上のことについて、あるいは関連があるのじやないかというようなことをわれわれは聞いておるのでありますが、昨年の機構改革については、御承知の通り大体師団長がおつて、その下に部隊長がなくて、直接中隊長に師団長の命令が行くというような関連になつておる。そういう関係から、師団長の命令がただちに部隊長に通じ、部隊長の命令がそれぞれの隊長に通ずるような組織になつておれば、こういう事故もあるいは起きなかつたであろうというようなことがいわれておるのでありますが、今の機構では、師団長がおつて、その間に中間的な部隊長がなくて、直接現場を師団長が見なくちやならぬというような関連にあるために、いわゆる総裁の監督、指導、そういつた面のいろいろな命令、監督というものが浸透しなかつた。そういうところに一つの原因があるのじやないかというようなこともいわれておるのでありますが、ただいまの総裁のお話では、そういう点については、まつたくそういう関係はないというようなことでありますが、私はそういうところに多少関連があると、かように総裁とは違つた考えを持つておりますので、そういう点は今後の真相調査にあたつても、十分検討を加えていただく必要があると、かように考えておる次第であります。その点でもう一度総裁の御意見を伺つておきたい。
○加賀山説明員 私実はこれとの関係につきましては今日まで、もちろんどんなことでも因果の関係というものは非常に深いものでございますから、関係がないなどと私が人間が申しますことすらがおかしいのかもしれませんが、私どもの経営に関しまする知識、頭の程度で考えました場合に、機構改正には面接の関係がないという判断を有して参つた次第でございますが、ただいまの坪内先生のお話が、それに関係がありはしないかというお話でございまするがゆえに、私どもといたしましては、さらにこの点については十分振り返つて、その間の事情も究明し、反省をいたしますつもりでございます。
○原(彪)委員 このたびの桜木町事件になくなられました百六人のお方々の御遺族の心中を察すると、まことに痛恨きわまりないことでございます。この御遺族の御心中を察しましても、どうしてもこの事故の原因を糾明し、その責任の所在を明確にしなければならぬと痛感いたします。ただいまも御質問がありましたが、責任の所在を明確に国鉄総裁はされていただきたいと存じます。反面においては、過失致死罪というようなことにも関連がありますので、司直の手でお調べになつていることだろうと思いますが、側面におきまして、かような事故を起した原因について、ただいまいろいろ御説明がありましたが、まだ詳細な点については、われわれの納得の行く御説明がないのでございます。簡単なことでありますが、一点承りたいのでありますが、この工事がやられたのは請負でやられたのですか、本省の直営でおやりになつたのですか。またその工事の工手は、保線の工手がやられたのでありますか、あるいは臨時がおやりになつたのですか。その点をちよつと承りたいと思います。
○加賀山説明員 もちろん直営でやる修繕工事でございまして、臨時でも何でもございません。大船電力の工手長並びにそれに所属する電力工手が、その仕事に当つておつたわけであります。
○原(彪)委員 ただいまの御答弁によりますと、ますます国鉄の責任の重大さを痛感されるのでありますが、先ほどの総裁の御答弁では、まだ十分調査が進行されていないというお話でございますので、またこの次なるべく早く調査資料を国会に御報告願いたいと存じます。 私はこの際特に運輸大臣に対しまして御意向をただしたいのでありますが、運輸大臣は国鉄に対する監督上の責任があるはずであります。国有鉄道法の五十四條に明記してあります通り、国鉄に対する監督上の責任があることは明白でありますが、今までの山崎大臣が御就任になつて以来の国鉄に対する監督上の行き方について、私は非常に疑義を持ち、ふがいなく感じている一人でございます。私は郷土の先輩として、山崎大臣とは御懇意にしております。また渡米団長としての山崎団長の国民外交を十分おやりになつた御功績は、まことにりつぱなものであると思つておりますし、また衆議院議長としての御功績はまことにりつぱなものだと存じておりますが、運輸大臣としての今日までの行き方については、非常にふがいなく感じておるものでございます。それは国鉄に対する監督上の問題とも関連して来るのでありますが、たびたびこの委員会において決議をなされたことが、いまだに実行されていないということが、まことに遺憾でございます。昨年の七月にも、国鉄総裁だけではあの厖大なる機構を運営するのには困難であることを、この委員会は認識いたしまして、早急に副総裁を置くべしという決議すらなしておるのであります。さらにまた行政機構の改革についても、昨年の九月にこの委員会より委員を派遣して実地調査して、その結果決議までなしております。かような二つの大きな決議に対して、いまだに実施されていないということは、国民の代表機関であり、国権の最高機関としてのこの委員会の決議を十分尊重されて、大臣が実行に移しておられるかどうかということについて、私は非常に疑問を持つておるものでございます。かようなことがひいては、国鉄に対する監督を弱めるというような結果になるのじやないかと私は考えておるのでありまして、それがひいてはさらにまたこういう国鉄職員の志気の弛緩ということにまで影響して、かような大事件の勃発になるというようなことにまで、私は考えが及んでおるのであります。その見方は人によつては違いましようが、私はさように感じております。このことにつきまして、大臣のお考えを承りたいと思います。
○山崎国務大臣 原君からのお尋ねということでありますけれども、お話の大部分は、原君の御観察の御意見の発表ということに承れるのであります。私といたしましては、運輸大臣としてのなすべき仕事、私のこれで是なりと信ずる線に沿うて、今日まで対処いたして参つているのでありまして、これに対して原君の御意見、御批評はおまかせいたします。私としては、私のこれまで運輸大臣として参つて来たその範囲内において、今度の事件が起るような方向に向けておつたとは考えておりません。この点ははつきりお答えを申し上げておきたいと思うのであります。
○原(彪)委員 それは大臣としては、是なりと信ぜられたことをやられることは当然でありまするが、いやしくもこの委員会において決議されたことが半年以上、もう八箇月以上にもなんなんとしておつて、何ら国会に対してその間の報告も、先般一回やつたきりでありますが、これもはなはだあいまいな御答弁でありまして、見通しのつかない御答弁をいただいたいるようでありますが、ここで決議した問題をちつとも実行に移しておらないということは、非常に遺憾でございます。私の感想でなく、これは実際の問題でありまして、今後この二つの決議についてどのように大臣は御努力されるかを承りたいと存じます。
○山崎国務大臣 それらの決議の問題につきましては、しばしばこの委員会において、その後の経過をお話いたしているところで盡きていると考えております。さらにさかのぼつてその当時のことを繰返すということも煩雑な次第でありますから、そのときどきに処して片がついておると考えているわけであります。
○原(彪)委員 今までの委員会の大臣の答弁で盡きておるとおつしやられますが、今まで一向実行の実が上つていないのであります。そうすると、国会で決議したということがほとんど蹂躙される結果になるのでありまして、大臣はこの決議された行政機構の改革を御実行する意思がないような御答弁でありますが、御実行される意思があるのかないのか、この点をひとつ承りたいと思います。
○山崎国務大臣 国会の決議であれば、むろんそれを尊重して参ることは当然でありますけれども、今日の日本は理論一片では参らない国情に置かれておるのでありまして、そこに政治的な相当の含みを持つたる御判断を願わなければ相ならぬ国情であるということを、御同様に日本の政治家として悲しまなければならないのであります。繰返して申し上げることを避けたいと思います。
○原(彪)委員 ちようどそこに加賀山総裁もおられますが、国鉄の行政機構の改革の際に、加賀山総裁に私が御質問申し上げた際、加賀山総裁は、行政機構の改革については、司令部よりは地域的な示唆を受けないと私に答弁されたことを私は記憶いたしております。今日大臣は、置かれている立場がどうとかおつしやられますが、加賀山総裁はそうような答弁をなさつておつて、置かれている日本の立場がどこにあるか、その点を承りたいと思います。
○山崎国務大臣 そのことは、この前の議会でありましたか、原君にこの委員室においてお答えをいたしてあります。加賀山総裁は国鉄運営の事務の最高の責任者でありまして、事務的に何らさような指示は受けていないのであります。受けたという報告を私は加賀山総裁から聞いておりません。従つて加賀山総裁は何らの指示をも受けておらないのであります。
○原(彪)委員 どうも私はその点が解しかねるのであります。加賀山総裁は、司令部よりは行政機構の改革について地域的な示唆を受けないとおつしやつておつて、大臣は、さも受けられるような、受けなければならぬようなお考えである。そうすると、監督機関の大臣の立場と、監督を受ける総裁の立場と、そこに一致しない点があるのですが、加賀山総裁からこの点御答弁いただきたいと思います。
○加賀山説明員 この前どういうふうに申し上げたか、私そのときの答弁について正確に記憶いたしておりませんが、とにかく機構改正についての事の起りは、もちろん関係方面からの指示があつたわけでございまして、これをわれわれの手でどうするのが運営上一番よいかということをきめます場合に、当然関係方面との話もそこの間に出て来るわけでありますが、私どもといたしましては運営の責任を持ちます関係上、だれがどう言つたからといつてそれできめることもできませんし、またきめたくないのでありまして、あくまでもこれでできるという自信を持つてやるのだという意味で、私はさように申し上げた次第であります。
○前田委員長 今野君。
○今野委員 私神奈川県出身でもありますので、本問題は非常に身近に起つた問題で、たいへん残念に思つている次第であります。それでいろいろ調査もしておりますが、本日はそのうちの二、三の点についてお伺いしたいと思います。 第一は賠償関係でありますが、先ほど総裁のお話では、十分にやるということでありますが、それを具体的にいたしますと、百六人ですか、その方々に対して、従来からの処置についてはここにも書いてありますし、ある程度存じておりますが、これからどの程度の金額を出すつもりか、その点をお答え願いたいと思います。
○加賀山説明員 ただいますぐに具体的の金額について申し上げられるとたいへんよいと思うのでございますし、またそれらの事務につきまして、一日も早くというふうに、私関係の者に指示をいたしておりますが、先ほど御報告申し上げましたように、今日まで非常に広範囲にわたる御家庭の御遺族を御訪問申し上げ、御事情を逐一お話を承るという段階でございまして、それらの問題につきましては、今後至急これをとりまとめて、計算をいたすということに相なるわけであります。ただ計算方式といたしまして、形式的にだけ申しますと、労働基法における殉職の場合でございますとか、あるいは鉄道自体が採用して来ておりましたものに、ホフマン式と申しまして、受領権者がきまりまして、残された遺族の人数でありますとか、その御状態、またおなくなりになつた方の御生活なり御収入の状態といつたものを一切調査をいたしまして、それに合うような計算方式をして、補償金を出すということに相なつております。しかしながら先ほど申し上げましたように、これはあくまでも標準を出す形式的な算出方式でございまして、単にこれだけではいけないのであつて、そこにわれわれの気持が加わつて、たとえばそれに金額的にもさようでございますし、またたとえばお子さんだけがお残りになつたというような場合を考えますときに、ただ金を包んで差上げるというだけでは足りないのではないか、ほんとうに親がわりになつて、今後長い間養育してくださる方を見つけ出して、その方にお願いするといつたような方法もとらなければなりませし、またある御家庭では、心配はないが、税金だけがというようなことで、泣いてわれわれに、何とかこのことをもう少しお願いできないかというように言われた方もあつたのでございますが、女手になられたとすれば、それらの面についてもわれわれ御相談相手になり、できることをお手伝いして行く、こういつた立場で考えて参りたいと思うのであります。
○今野委員 それはできるだけ早くやつていただきたいと思うのですが、今まで国鉄でこういうふうな事故があつた場合、大体最高どのくらい出しておられるか、それをちよつとお聞かせ願いたい。
○加賀山説明員 ただいままでのところでは、私正確に記憶をいたしておりませんが、三鷹事件のときの最高が、お一人七十五万円という金額であつたように記憶しております。但しそれは私の記憶でございまして、確かな数字として最高と申し上げることはどうかと思いますけれども……。
○今野委員 今回の事故はまつたく国鉄の責任による事故であります。従つてこれはもう最大級に賠償しなければならないことだと思うのです。以前浅草でもつて、たしか巡査が誤つて人を射殺した事件がありました。何か物を持つておるのを誰何したら逃げた、それでもつて射殺したという事件だつた。その当時のことを私新聞や何かで記憶しておりますが、八十何万円か出したように記憶しております。そういうような点から見ても、これは最高のものを出して、そうして全然心配がないようにして行かなければいけない、こういうふうに考えたのですけれども、その点についての腹構えといいますか、お覚悟、そういうものを伺わせていただきたい。
○加賀山説明員 今言われた通り、私は必ずやるというように申し上げたつもりでありますが、言葉がたりなかつたために、なお念を押されることになりまして、まことに申訳ないと思います。
○今野委員 次にこの直接の原因になりましたあの架線工事でございますが、先ほどこれは直営でやつておるというようなお話でしたが、あれは年度計画に載つておる改修工事でございますか、それとも突発的事故によつて起る応急工事でありますか、どちらでありますか。
○加賀山説明員 突発的な修繕工事ではございませんで、結局東京付近の電車架線は非常に広汎にございますので、それらの碍子は部分的に古くなつて参つて、これを順次とりかえて参つておるわけであります。その一部分の作業をしておつたというわけであります。
○今野委員 そうするとそういうような改修工事は、すべて直営でやつておられるのでありますか、その点をお伺いしたい。
○加賀山説明員 直営で実施しております。
○今野委員 しかし私の住んでいる近所のことをちよつと申し上げますが、東海道線の平塚と大磯との間でもつて、これは国道が新しく改修されるので、そこでガードをつくる工事をやつております。それに伴つて架線工事もしておりますが、この工事の模様を調べてみましたところが、これは直営ではなくて、やはりある会社がやつておる。そうしてその会社側からは現場を監督する人が一人と、それから工事をやる者が六名出ておつて、あとは全部国府津の電力区からほとんど全員がそれに参加し工工事しておる、こういうようなことがある。あるいはその他の東京付近の模様を調べてみましても、直営でなくやつておる事例が多数上つておりますが、これはお言葉とは違うように思われますけれども、一体どういうわけか、ちよつと聞かせていただきたいと思います。
○加賀山説明員 ただいまのお言葉では、その工事の内容もはつきりいたしませんが、私の申しましたのは、日常的な線路でございますとか、電話線、電車線路等の保守工事は、原則として国鉄直営で、国鉄職員の手で実施するということを申し上げたのでありまして、これがいわゆる改良工事でございますとか、あるいは一部の他の施設を伴うような工事、いわゆる工事経費をもつて支弁するような工事の中には、もちろん請負も入りまして行う工事もございますし、直轄工事もございます。
○今野委員 ではもう一度確かめますけれども、あれは原則的にはというお話で、あの桜木町のはそれであるかないか、この点は先ほど非常に明瞭にお答えになつたようですけれども、桜木町のあれは直営である、こういうふうにしかと承つてよろしいのですね。 それでは次にお伺いしたい点は、何しろ電車に乗つておるのが、あれ以来非常に不安になつて来ました。しかしながら私ども朝早く通勤いたしますときに、あの翌日もそうでありますが、横浜駅を通りましたら、あの桜木町で電車がとまつておる。車掌さんがあとから電車に押し込んでおるわけです。こういうふうに非常に混雑しておる。しかも事故があつた翌日です。しかし電車に乗らないわけに行かない。やはり乗つておる。従つて私どもとしても何か非常に不安なのであります。原因が今まで十分確かめられてないとおつしやいますけれども、こういうようなことをなくすることが、一体いつごろまでにできるか、こまかい点は抜きにいたしまして、その点をお伺いしたいと思います。
○加賀山説明員 私といたしましては、全部が、ほんとうに今回の事故に関します限りは、先ほど申しましたように、やはりそこに手拔かりがあつたということを申し上げたのでありまして、私といたしましては、こういう事故が続いて起るというふうなことは、絶対に信じないのでございまして、何とか御安心願いたい。すぐにも御安心願いたいと私は申し上げたいのであります。しかしながらただ根拠なしに、私がどうぞ御安心願いたいと申し上げても、なかなか御安心いただけるものではなかろうと思うのでありまして、とりあえずドアがあかなかつたことが非常に大きな点だということから、このドアを先ほども申しましたように、とつさの間にあけていただくということをお客様に御協力を願つて、とりあえず車体の改良にただちにとりかかつたわけでございますが、先ほど申し上げたうち、この貫通のドアでございますとか、いわゆるコツクを適当な場所にとりつける点でございますとか、ブザーをつけるというような点につきましては、この秋ごろまでには完成をいたすつもりでおります。
○今野委員 これは非常に重大なことなんでありますが、ああいう非常に混雑しておるときになりますと、たといドアをあけましても、みんな出るまでに非常に時間を要します。そうして事故が起つた模様をいろいろ調べてみますと、あの事故が起り、同時に塗料が揮発して有害なガスが発生した。しかも可燃性ガスであつて、それが一ぺんにパツと燃えて広くずつと広がつております。そういうような状況で、負傷者などは鼻が糜爛しておる、こういうような状態でございます。そうすると、これはドアをあけるあけないということでは——若干食いとめることができるにしても、ああいう事故が起ることはとても防止できない。従つてどうしても火災が起らないようにしなければならない。しかも私は東鉄の責任ある方々に、わざわざ出向いてお伺いしたわけです。そうすると、ああいう架線が切れるという事件は、月に五、六回ある。ああいう工事の場合ばかりではなくて、過去一年間に月五、六回平均してある、こういうお話でございます。しかもそういうときに、先ほどお話になつたように、パンタグラフが二重絶縁になつておらないために、そういう火災が起り得るということであります。こういうことも言われておるわけです。そうすると、それの改修が秋までかかるということになりますと、その間非常に長い間、通勤者は非常な不安のうちに電車に乗つていなければならない、こういうことになるわけでございます。この点もつと急速にその改修を進める方法がないものかどうか、お伺いしたいと思います。
○加賀山説明員 先ほど申しましたことが一部の車両でございますならば、さようなことも当然できるのでございますが、先ほど申し上げたことは、六三型だけの問題ではございませんで、先ほど申しました横須賀線、湘南電車を除いたほとんど全部、この東京地方だけでもうしましても千八百両余の車についてでございまして、これを動かしながら直して行くわけでございますので、それまでは全部直らないというのではございませんで、少しずつ直つて行つて、全部が完成するのが秋までであるということを申し上げた次第であります。
○前田委員長 今野君、御相談ですが、ただいま取調べ中で、原因がはつきりしますればあらためてまた御報告を願うことになつているのでありますから、こまかいことはそのときにお願いしたいと思います。
○今野委員 もう一点だけ……。次に当時の責任者として五人の人が、何か横浜地検に拘束されて取調べを受けておるそうでございます。非常に厳重な拘束で、弁護士や家族の者が行つても絶対に会わせない、非常に厳重な拘束を受けて取調べを受けているようであります。総裁としては運転手や何かの——われわれもみんな新聞やその他で承知している範囲のことでけつこうでありますが、運転士の措置とか、あるいはその他の人たちの措置に、職務上当然行うべきことを行わなかつた、そういうようなところがあつたとお考えになるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○加賀山説明員 その点がはつきりいたしておりますれば、先ほどの私の御報告ももう少しはつきりした点について申し上げることができたと思うのですが、それらの点についての急所がまだ判然といたしてない次第でございます。
○前田委員長 石野君。
○石野委員 今回の事件が不可抗力でない、国鉄に責任のある事件として、百六名の死者を出し、九十二名の負傷者を出しておるということは、まことに痛ましいことだと存ずるのでございます。今まで同僚議員の方々から、いろいろな点について、事の真相についての糾明もあり、また総裁並びに運輸大臣の、それに対するいろいろな御説明もあつたわけでございますが、私は二、三の点について、この際将来の対策のためにも、徹底的にひとつ考えておかなければならぬと思うような点をお伺いしたいと思います。技術的な面においてのいろいろな過失の出た原因については、事の直接原因としていろいろ説明がありましたが、特に今回の事故がトロリー線の切断によつて起つた。 〔委員長退席、坪内委員長代理着席〕 それから六三型並びにそれの機能といいますか、そういつたものの調査が十分なされなかつたために、こういう結果が出たということを承つたわけであります。もし六三型でない、他の電車であつた場合の事故をこの場合想定しましたときに、事故の結果は、やはりこのような悲惨な結果になつたものでありましようか、一応総裁からお伺いしたいと思います。
○加賀山説明員 まことにむずかしい御質問でございまして、当時の状況がほんとうに手にとるように明らかにされませんと、私は何とも申し上げられないのでございますが、他の電車でありましても、同じ火災が起きたであろうということは推定できることであります。ことにほかの條件さえ違わないとすれば、同じ状態になつたであろう、ただ窓の関係が、いわゆる六三型で三段になつておつて割らなければならない。他の窓は、これもかなり力がいりますけれども、下から上へ上げる式になつております。これもからだ一つ出るのがようやく程度のものであつたろうと思いますが、この窓の関係が、三段の場合と他の場合とどうであつたかという推定は、なかなか困難に相なろう、しかしそれはたとえばその当時の火のまわり方、車の中の状態といつたものをよく考えませんと、軽々には考えられないのではないか。火災の状況は他の條件にして同じならば、同じようになつたであろうということを申し上げます。
○石野委員 今の他の條件が同じならば他の場合でも同じだろう、窓のぐあいの問題だけは違うというお話でありますが、先ほどお話のありましたパンタグラフの二重絶縁の問題なんか、明らかに考慮さるべき点だろうと思うのであります。私は最近この問題の原因ということよりも、むしろこのような事態をもたらしめるに至つた遠因の問題を、相当われわれは考えなければならぬじやないかと思うのであります。そのことについては直接やはり国鉄の予算の問題等とも関連するのではないか、こういうふうに考えるわけであります。たまたまこの事件は人員を非常にたくさん積んでおつたとか、そのために事故が起きたとか、あるいはまた電車が非常に古いものであつたからというようなことにはなつていないのでございまするが、それにもかかわらず、やはり非常に人員が混み合つて、いもを洗うような形で乗つておつたということも、一つの大きな原因だろうと思うのであります。少くとも車両が非常に少いために生ずる過剰人員を、これに乗せて走つておる現況の電車の事態というものが、過失を一のものを十にするというようなことになつたことも考えなければならぬと思うのです。このようなことを考えますると、たとえば二十六年度予算において、車両の計画が二百五十数両というものを考えておつたのを、電車車両が百台に減らされるというような事態があつたということを、われわれは記憶しておるのであります。しかもこういうような事態の他面においては、貨車の増強というようなことが行われておる。その型はたとえばワキだとか、トキだとかいうような、一般に民需の側に使われるものではなくして、日本の国内産業の問題よりも違つた面に使われるようなものを、非常に多く予算的措置によつてとられるというような事態、こうよう結果として電車計画が非常に削減されて行つたということが、この問題をより大きくせしむるところの遠因であつたというふうにも私は考えるのでございますけれども、総裁はそういう点については特に予算的措置における不如意をかこつておる実情が、こういうことになつたということ、そのことをどのようにお考えでありましようか。
○加賀山説明員 終戦後車両の整備につきましては、もちろん車両だけではなくして、線路の方も、あらゆるものがそうだつたのでございますが、戦争中の酷使と、戦災による損失をカバーして行きますためには、非常な努力が必要とされたわけでありますが、資材とか予算がそれに対して十二分であつたかというと、私は十二分であつたということはとても申し上げられないのであります。やはり大きな金をつぎ込んで、一ぺんに資材も間に合えば、もつとこれが早く整備されたであろうということは申せるのであります。しかしながらこれは国有鉄道のみでこういうことを考えても、たとえば車両工業の状態であるとか、いろいろの他の産業の状態も考えなければなりません。従つて日本経済全体の姿の中で、国鉄が復旧を遂げて行くということ以外には、私はなかつたと考えるのでありまして、従つて日本経済全般が今ありますような姿でありますと同じように、国鉄もその経済の復興なり秩序の回視に従つて回復して参つたということでありまして、そういう点から申しますと、いまだ足りない点はたくさんある。車両の数につきましても、欲を言えば、まだまだわれわれとしてふやしたいという気持はありますが、全般の観点から、そう身がつてなことばかりも許されないような状況にあると御了察願いたいと思います。ただそれが関係方面のみの所要とするものをつくつておつて、他をかまわないということは絶対にございませんで、たとえば貨車にいたしましても、当初予算面は、なるほどワキとして申請がしてありますが、これは私どもの実行予算面ではもつと実用的なワム、いわゆる十五トン車にかえて建造して行くつもりでございますので、その点のたしか御心配であつたと思うのでありまして、お答えさせていただきたいと思います。
○石野委員 電車計画が非常に少くなつて行つた結果が、少くとも遠因の一つであるということは、大体私はわかるような気がします。貨車計画については、今後できるだけそういうふうに民需に沿うような計画にやつていただきたいというように希望を申し上げまして、この際もう一つお伺いいたしたいのでございますが、それは今度の事故が、将来なるべくこういうことの起らないようにするために、先ほどの今野氏からの、質問にもありましたように、総裁の方では今年の秋までになるべくそういう不備な点を解消したい、こういう御意向でありましたが、これはささいな経費であろうと思いますけれども、そういうことをするために、他の面にまた計画上予算的な不足を来すとか何とかいうようなことなく、それが行われるのでありましようかどうかということを、一応お伺いしておきたいと思います。
○加賀山説明員 この席でどうかと思いますが、先ごろ御審議を煩わしました二十六年度の予算の全貌を見てみますると、御承知のように昨年度は早く編成されまして、国会に提出されましたために、その後の事情の含みを持つているかどうかということになりますと、非常にその点は困難な面が多々ございまして、今言われました事柄のほかに、実は経営上どうしても新しい考えで建て直していただかなければならぬ面が、もうすでにはつきりと推測されておるのでございまして、この点につきましては今後十分にまた御考察を煩わしたいと思いますが、もちろんそういう見地から申しまして、この関係が他の重要な部分に食い込むというようなことが、絶対にないようにいたさなければならない、それにはまた新たな見地から、二十六年度の予算自体について、もう一度御考察を願うというようなことになるのではないかということを、私どもとしてただいま検討いたしている次第でございます。まだ年度に入りましてさつそくでございますので、実行予算面といたしましては、修繕費なり、工事費なり、そういつた面は、ただいまのところとしては比較的自由がきく状態ではあるけれども、しかし本年度一年間の後のことを考えますと、われわれは非常にあとのことが心配に相なりますということを申し上げて、私のお答えといたしたいと思います。
○石野委員 ただいまのお話を聞いておりますと、秋までに修理するということは、先ほど明確に国鉄総裁としての御答弁をいただいたのでございますが、予算的措置の面からいたしますと、非常に困難であるということを察知されるのでありまして、ただいまの御答弁では、少くとも二十六年度の今日の段階において、予算を再検討をしなければ、実際にそういうことの実施が困難であるというふうに見受けられるのではないかとさえ思うのでございますけれども、この点について、やはり早急に補正予算等の処置をする必要をお感じになつておる、こういうようにお聞き取りしてよろしいのであるかどうかという点が一点。 それから第二点といたしましては、この事故によつて、多数の方々がそれぞれの被害を受けておりまして、特に死者百六名というものの中には、先ほど総裁から申されましたように、その家庭の事情等、まことに見るに忍びぬものがありまするし、将来これらの方々をどういうふうにして救済するかということは、国鉄当局はもとより、われわれ委員会の立場からいたしましても、重大だと思うのでございますけれども、現在の考え方としては、総裁は特に永年の救済対策といたしまして、一時的な措置としての一時金とか、ほかの何か特別に事故のために永年対策委員会とか何かというものでも考えておられるとかいう点、この二点をお伺いいたします。
○加賀山説明員 私はただいま補正予算云々というようなことを申し上げるつもりは実はございませんでして、またそういう段階でもないと存ずるのでございまして、これはよく政府その他関係方面との打合せを積んでのことに相なるわけでございますが、私どもとしては、先ほど申し上げたような考え方に立つておるということだけを申し上げておきたいと思います。ただそのために予算の前途が心配になつて、今の改良を澁りはせぬかという御疑念に対しましては、絶対そういうようなことはない。われわれは着手いたしました改良工事につきましては、一日も早く完成して、なお設備の上においても御安心を願う、従業員の心構えについては、きようあすにも御安心をお願いしたいという状況であるが、設備の上にもこの裏づけをして参りたいというのが、私どもの考え方でごごいます。 それから永年対策委員会というようなものをつくる意思はないかというお話でございますが、私どもは制度としてそういつたものを実は考えておるということを申し上げたことはございませんので、もちろん必要ならば制度として、今後のことも考えていいと思うのでございますが、国有鉄道の組織なり、つながりをもとといたしますれば、相当地域的に広い場合も、またこれが長年続く場合も、組織と人とのつながりは残りますので、必要であれば、これが次々と、次の時代の人に受継がれて行くという建前をとつております。先ほど申し上げましたのは、そういつた気持でその場限りにしないで、心を込めて将来までの御心配を御相談する、そして必要があれば御相談に乗つて、国鉄としてできるだけのお世話を申し上げたいということを申し上げたのであります。
○坪内委員長代理 次に山口シヅエ君。 〔坪内委員長代理退席、委員長着席〕
○山口(シ)委員 このたびの事故に際しまして、犠牲者の皆様の御冥福をお祈り申し上げ、また御遺族の方々のお心をお察し申し上げる次第でございます。なお今後再びこのような事態の出来いたしませんように、設備に対しまして一層御研究を願いたいと思うのでございます。先ほど設備の点に対しまして、総裁よりいろいろと御説明がございましたが、その中におきまして、二点ほど理解のできなかつた点がございますので、御質問を申し上げたいと存じます。 一点は、私は専門的なことはよくわかりませんので、あるいは質問が的をはずれているようなことがございますかも存じませんが、鶴見変電室の高速度遮断機の操作に時間を要したという点で、御質問申し上げたいのでございます。これは距離の関係で時を要したのでございましようか、それとも設備の不備のために時間を要したのか、またこれは技術的に時間を要さずに遮断できる方法はないものかという点を一点お答えを願いたいと存じます。 もう一点は、コツクの問題でございますが、緊急にとびらをあける場合に、いすの下にコックを設けてあるという御説明をなさつていたようでございますが、事故が起きました際に、もちろん乗客の多い場合などは、押し合いへし合いということが起きて来るでしようから、かがんでいすの下に手を入れてコックを動かすというような動作は、不可能じやないかと私には考えられます。その二点について御説明を願いたいと存じます。
○加賀山説明員 お答え申し上げます。最初の併列給電の問題でございますが、電力の流れを円滑にいたしますために、鉄道では片方が切れた場合にも片方が流れるということを建前にしております。つまり今度の桜木町の場合は、横浜からわかれて、近くと遠方、横浜と鶴見というふうに一直線上になりておるわけでございますが、事故が中間で起きます場合に、その両側に饋電室なり変電所があつて、両側から電流が来ておる。これも同じように相なるわけでございますが、必ずそういう場合に技術的に、事故電流が多く流れます場合にに、近くのものは自動的に遮断される。ところが近くは遮断されても、遠くのものに一応そのまま流れるということで、それでは事故の場合に役に立たぬから、これを何か両方インタラプトして、片方が飛んだ場合は、もう一方の遠方のものも一緒に遮断されるという方法は簡単にできはしないかということで、研究して参つたわけでありますが、まだなかなか簡単に結論が出ませんで、なおこの際この研究を至急やり遂げて、事故の場合には、必ず片方が切れた場合には片方も自動的に切れるというふうにいたしたいということで、研究を進めておる次第でございます。しかし一、二の案はございますが、なかなか技術的には簡単にできにくいのが現状でございます。鶴見の方が遠方だから連絡して切らなければ切れない、その連絡をするまでに要した時間は、三分ないし五分と見られるでありますが、電話で連絡してそこを切るまでの間電流が流れておつた、こういうことであります。 それから三万コツクの問題でございますが、これは腰かけの下では確かに不便で、現在はまあとりあえずそのコツクの位置をお知らせして、その扱い方をお書様に知つていただいて、いざというときには何をおいてもそれをひとつやつていただくということをしたわけでありますが、仰せのようにかがんでやるために操作がしにくい、またむき出しで、手をつつ込めばできるということからして、いたずらが起りやすい、両面の欠陥がございまして、これを先ほど申しましたようにもつと扱いいい位置にコックを移して、ただそれが扱いいためにだれでも手を触れては困るから、非常の場合だけということで、何かガラス張りでおおいをするというふうに改造するということを先ほど申し上げたのであります。
○山口(シ)委員 ただいまの御説明でよくわかりました。 最後に死傷者に対する賠償金の問題を質問申し上げたいと存じておりましたが、他の委員の方によつて御質問済みでございますので、でき得る限り犠牲者に対して誠意をもつて御処理願いたいということをお願い申し上げて、私の質問を終らせていただきます。
○前田委員長 本日はこれにて散会し、明後日午前十時より開会いたします。 午後四時五十五分散会