大蔵委員会 第3号
- 発言数
- 119 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1950/11/28
会議録
○夏堀委員長 ただいまより会議を開きます。 本日本委員会に付託に相なりました酒税法の一部を改正する法律案、所得税法臨時特別法案、砂糖消費税法の一部を改正する法律案、及び揮発油税法の一部を改正する法律案の四法律案を一括議題といたしまして、まず政府当局より提案趣旨の説明を求めます。 —————————————
○西川政府委員 所得税法臨時特例法案外三法案の提案理由の御説明を申し上げます。 政府は本年すでに国税、地方税を通ずる税制の大改正を行い、国民租税負担の軽減、合理化をはかつたのでありまするが、国民の租税負担は現在なお相当重いものがありますので、協力歳出の削減に努め、もつて所得税を中心として一層の軽減、合理化を行うよう検討を加えて参つたのであります。しかるところ昭和二十六年度予算におきましても、また本年度補正予算におきましても、相当の減税財源を生ずる見込みを得ましたので、まず昭和二十五年度補正予算に関連しまして、所得税につきましては、昭和三十六年一月一日から同年三月末日までの間に支払われる給與に対する源泉徴收税額を暫定的に軽減し、また酒税につきましては、本年十二月一日からその税率を引下げ、さらに昭和二十六年一月一日からは物品税、揮発油税及び砂糖消費税につきましても軽減を行うこととしてここに関係法律案を提出いたした次第でございます。 まず所得税法臨時特例法案について申し上げます。政府としましては、国民租税負担の現状にかんがみ、昭和二十六年から所得税の負担の一層の軽減、合理花をはかるよう目下検討中であげますが、さしあたり昭和二十六年一月一日から、同年三月三十一日までの間に支拂われる給與に対する所得税の源泉徴收税額につき、暫定的に軽減を行う特例を設けることといたしたのであります。すなわち、とりあえず基礎控除を年三万円、扶養控除を年一万五千円、税率を課税所得金額五万円以下に対する百分の二十から始まり、百万円を越える金額に対する百分の五十五に至る超過累進税率として計算した場合の税額程度まで、その負担の軽減をはかることといたしました。これがため、給與の金額並びに扶養親族及び不具者の有無及びその数に応じて、所得税法別表第二の源泉徴收額表の月額表、または日額表の各甲欄に掲げる税額から、それぞれこの法律の別表に定められた一定額を控除した税額によつて源泉徴收することといたしたのであります。これによりまして、勤労所得者は相当負担の軽減を受けることとなるのでありまして、たとえば月收五千円の独身の勤労者では、現在の四百三十三円が八十円軽減されて三百五十三円となり、また扶養親族二人の月收一万円の勤労者について見れば、現行の八百九十五円が百九十五円軽減されて七百円となり、さらに扶養親族四人の月收二万円の勤労者は、現行三千百七円が七百円軽減されて二千四百七円となるのであります。なお日雇い労務者の源泉徴收税額につきましても、右と同一の基準でその軽減をはかることとし、また賞與についても同様の軽減措置を及ぼすことといたしました。 次に税制の執行にあたりましては、特に申告所得税の執行状況を改善することが焦眉の急務となつておりますが、その一助としまして、課税年度終了後から申告期限までに相当の余裕を置いて、納税者の十分な協力によつて自主的な申告及び納税の向上を期するとともに、税務官庁が納税者の所得の実態を的確に調査し、公平かつ適正な課税を行うことができるように、確定申告書の提出期限及びその納期を一箇月延長することといたしておるのであります。 次に、酒税法の一部を改正する法律案について申し上げます。酒税につきましては、本年度当初予算編成当時に比して、原料事情の好転等に伴い酒類の生産が著しく増加したにもかかわらず、現在の税率及び酒類の価格が高きに過ぎ、購買力がこれに伴わないため、正規酒類の需給に混乱を生ぜしめ酒税の円滑な徴收に支障を與えるとともに、酒類密通の弊害を大きくしている現状であります。政府といたしましては、これらの事情を考慮し、酒類の円滑な需給をはかるとともに、密造の防止に資するため、今回税率につき、特にしようちゆう及び清酒第二級等、一般の需要の多い酒類に重点を置いてその引下げを行うごとといたしました。すなわちこれによりまして、自由販売の酒類の小売価格は、清酒一級は一升当り現行九百五十円が七百五十円程度に、二級は六百四十五円が四百六十円程度に、合成清酒一級は一升五百円が三百七十円程度に、しようちゆうは一升四百五十円が三百三十円程度に、またビールは一本百二十二円が百十五円程度にそれぞれ安くなる見込みでありまして、配給酒類におきましても同様に若干の値下げとなることを予定しております。しかしてその実施時期は、酒類の年末年始における特殊な需給関係を考慮いたしまして、来る十二月一日を予定し、すみやかに実施いたしたいと考えておるのであります。 次に砂糖消費税法の一部を改正する法律案について申し上げます。砂糖消費税につきましては、最近における輸入砂糖及びあめ、ぶどう糖等の甘味品の増加によりまして、国内産糖の価格が相当値下りを来しており、その負担が相当重くなつておりますので、今回その税率を黒糖及び白下糖については現行百斤当り千八百円を四百円に、日砂糖については二千円を千円にそれぞれ引下げ、昭和二十六年一月一日から実施することといたしました。このほか砂糖消費税延納の際の担保物件の範囲を社債及び保証人等にまで拡張する等、所要の改正を行うこととしております。 揮発油税は昨年五月以降、揮発油の小売価格の百分の百という、相当高い税率で課税いたして参つたのでありますが、その後における揮発油の供給の増加及び代用燃料価格の下落等によつてその税率がきわめて重いものとなりましたので、今回その税率を約三五%万引下げ、一キロリットル当り一万一千円とするとともに、従来の従価税率を従量税率に改めることにいたしました。この軽減は昭和二十六年一月一日から行う予定でありまするが、徴收猶予の関係から、本年度の税收入額には影響はないのであります。 以上各法案につきまして、その大要を申し上げたのでありますが、今回の税制改正による減收額は、源泉徴收の所得税において約五千六億、三千百万円となり、物品税においては約八億一千万円の予定にして、砂糖消費税においては約八千五百万円となり、酒税においては相当の減税を行うのでありますが、酒税率の引下げに伴う酒類の消費増加等により、結局におきまして一億二千九百万円の増收が見込まれておるのであります従つて税法改正による減税額は通計六十三億九千七百万円となる予定でございます。他面本年度当初予算の租税及び印紙收入額四千四百四十六億円に対し、最近における経済諸情勢の推移、徴收の状況等を勘案して、総額において約六十八億六千二百万円の自然増收を見込みましたので、右申し上げました税法改正による減收額を通算いたしますると、本年度の租税及び印紙收入の総額は四千四百五十億円と相なるのであります。 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを切望してやまない次第でございます。
○夏堀委員長 酒税法の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。奥村君。
○奧村委員 昨日主税局長に対して、この密造対策に関して質疑が行われたのでありますが、本日はここに国税庁の間税部長がお見えでありますから、当の責任者として、今後の密造対策についてその御方針を承つておきたいと思うのであります。 密造が全国に氾濫し、その害毒ははかり知れないものがあるのでありますが、これに対する対策はわれわれも十分問題にし、当局に迫つておつたのであります。しかしいかにせん正規の酒類の価格があまり高かつたために、密造対策は効果を現わすことができなかつた。しかるに今回この法律案によりまして、十二月一日から相当程度酒価が引下るのでありますから、これと符節を合わせて、密造対策はこの際うんとその実効を上げていただかねばならぬと思うのであります。この際に密造対策を十分にやられて、どの程度まで密造を防止することができるか、間税部長のお見込をお尋ねいたしたいと思うのであります。昨日の主税局長の御答弁によりますと、大体全国で二百七、八十万石の密造が行われている。すなわち正規酒類の増石数と同じ、あるいはそれ以上の密造酒があると言われておるが、今回の酒価引下げ、密造対策によつてどの程度この密造が防止されるか、お見通しをお伺いいたしたいと思います。
○原説明員 御説明申し上げます。密造対策の問題は、私どもの最も頭を脳ましているところでございますが、これについては、第一の対策としては、何といつても税率の引下げということにあるわけでありまして、今回提案いたしました酒税引下案は、その密造対策の最も中心をなす一つと考えておるのであります。全体の密造数量は、密造の性質上はつきり把握できませんが、昨日主税局長から申し上げましたように、大体二百七、八十万石というふうに一般に言われておるのでありまして、そのうち大体半分が自家用、半分が集会とか一般の販売用というふうに推定を下しております。今後税が引下りまして、あわせて現在根本的な対策をいろいろくふうしておりますが、そういうものがある程度効果を発揮するといたしたと見ますと、その一般自家用につくられている密造の数量をどの程度駆逐できるかと申しますと、これは比較的割合においては少かろう。一割か二割程度と固く踏んでおるのでありますが、こちらの密造対策の中心は、とりあえずは集団的な惡質密造者、大体部落をなしているようなところを集中的にやつて参りたい。これの八、九割ぐらいを根絶したい。これには相当の費用と人手を要するわけでありますが、それくらいの決意を持つておるのであります。実際におきましては、その程度に行かぬかもしれませんけれども、少なくとも目標としては、大体集団密造部落は根絶する態勢で参りたい。そのための予算といたしましては、来年度八千万円を一応計上しております。これは十分というわけには参らぬのでありますけれども、一応その程度の予算を最高度に活用して参つてなお国税の一般の予算として百二十億ばかりございますが、その中で流用できるものをこれに充当し、将来さらに足らない場合におきましては、補正予算も考慮する段階に至ろうかと思うのでありますが、現在の段階におきましては、一応八千万円を前提として、これを最も有効に活用して参りたいと考えております。
○奧村委員 今年度の密造対策費は、約三千万円ばかりであります。来年度八千万円というのは、来年度の予算に八千万円を計上するという意味でありましてそれは来年の四月一日から使用できる、こういう意味であろうと思います。もしそうであるとせば、十二月一日この酒価引下げと同時に徹底して行われる密造対策に対してその金をどこから出すか。補正予算におきまして組まれておるかどうか。またどの面から流用をなさるおつもりかどうか。十二月から来年の三月までの最も重大な時期における対策をお伺いいたします。
○原説明員 今ほど説明が落ちましたが、本年度は、ただいま申し上げましたように、当初予算は三千万円、今回補正をいたしまして二千万円を追加していただきました。さらにこの二千万円と、従来の三千万円のうち若干残つているもの、これを当面の目標に考えておるのでありますが、必要に応じましては、さらにすでに組まれました予算のうち、流用のきくもの等をこの方に充てる。たとえば旅費その他において若干まわし得るかどうか、目下検討中でありまして、わずかばかりではありますけれども、それを最高度に活用しようという気持で現在進んでおるのであります。
○奧村委員 第一ただいまお話の二千万円とかあるいは八千万円とかいう程度では、密造対策としてははなはだ心もとないと思います。私ども大蔵委員会で、今年の夏各地方を国政調査に歩いた場合に、各地における実情を尋ねてみますと一・四半期に一税務署に割当てられるところの密造対策の費用なるものは、二万円あるいは三万円というふうな程度であります。一・四半期にそれだけであります。おそらく一年を通じて各税務署に十万円程度ではなかろうかと思うのであります。今のお話の集団密造に対しての対策となれば、おそらく集団部落に対しては一回の取締りで十万円では不足するだろう。ところによりますと、警察署及び税務署員総計三、四百名が一時に行かなければ、対策の徹底を期せられないところが多いのであります。これは実例をもつて申し上げねばならぬのでありますが、これは昨日同僚川野委員からもるるお話が出ましたからやめておきますが、いかに密造対策が大がかりでやらなければ実効を期せられないかということは、もうすでに御当局御承知の捕りであります。それならば一回に十万円あるいは数十万円いる密造対策、それが一税務署に一年に十万円ぐらいの経費でもつてそれが実効を期せられるかどうか。それでおそらく今日密造部落においては、一ぺんや二へん雷が落ちても、もう四、五日すればまたもとの通りにやる。これは継続して一箇月に少くとも三、四回やらなければ実効を期せられない。そうすれば、当然この経費は二千万円や三千万円ではとうてい足りない。千億円以上の酒税を徴收する、この酒税の徴收費ということから考えましても、少くともその一割を、あるいは一割は多過ぎましても、一分を考えても十億は見積れる。その程度でも実効を期し得られないと思うが、わずか二千万円の補正予算の追加で、八割、九割の密造防止が責任もつてできるとお考えになるか、重ねてお尋ねいたします。
○原説明員 どの程度に根絶できるかということを考えまして、これは責任を持つて実行できるとは実は断言できないわけであります。あらゆる機会をつかまえてできるだけ少い金で、要するに効果を上げるというのが私たちの当然の務めでありますが、そこに限界がありますので、予算の点につきましては今後適当な機会に、また補正の問題が起きるかもしれませんけれども、その点そういう場合にはよろしく御審議をお願いしたいと思つております。
○奧村委員 密造対策の当の責任者である間税部長の御答弁としてのただいまの御答弁は不満足であります。あるだけの金でできるだけのことはいたします。はたしてそれで国の当の、責任者としての答弁になりますか。少くとも八、九割方はこの密造を防止いたしたいというならば、それに対する経費はこれで十分かということをお尋ねしている。二千万円くらいの補正予算を組んだ程度で、一体集団密造部落に対して八、九割程度の密造防止ができるお見込みであるかどうか伺いたい。
○西川政府委員 今おつしやいます通り、私も先般来各地方をまわりましてやはり今おつしやつたような感を強くしておつたのであります。今までの密造酒との差額が五割くらい高かつたのが、今度の改正によりまして大体二割くらいやみ酒よりも高いということになりますが、そこにアルコール分とか何かの関係で、実際は一割高くらいの見積りとなりそのほかに危險を合してやるという関係上、今日までの取締りの心配しておつた程度以下に、密造酒の製造が減るのじやないかと考えます。そこで今申し上げました二千万円ですが、大体その範囲で極力やつて行けば何とかなるのじやないかと思うのであります。
○奧村委員 この点はまた国税庁長官にもお伺いしたいと思いますが、間税部長にもう一点お尋ねいたしたいと思います。集団密造については八、九割程度防止をいたす。ところが農村における自家用の密造、これは大して実効は期せられない。一、二割程度しか効果は上らないだろうというお言葉でありますが、このお言葉の裏に私は特に農村に対する特配酒の価格がまだ高い。これが私は大きな原因でなかろうかと思うのであります。今回の特配酒の価格の引下げはわずかに五円であります。三百九十五円の価格がわずか五円引下げで三百九十円、これが農村に対する供米の報奨、あるいはその他でもつて特配されるのでありますが、これでは農家としてはこの酒価引下げの恩典に十分浴することはできない。特にどぶろく及び農家における密造の酒類の価格と比べれば、この特配なるものの三百九十円はまだ高過ぎるので、それでもつて農家のどぶろくあるいは密造を防止することはできない、こういうように私は考えるのでありますが、間税部長はどういうふうにお考えになりますか。——御答弁がありませんからまた少し本筋をかえて申し上げます。この密造対策につきまして、税務署が密造者を検挙いたしまして裁判所の方へこれを告発いたしましても、なかなかこれを体刑処分にはしていません。従つてこの犯罪の防止が十分できない。そこで密造について体刑処分を受けた者が全国で最近一箇年間にどのくらいあるか。この密造検挙の総数と、体刑処分の数との比率をお示し願いたいと思います。
○原説明員 体刑の数字はちようど今持つて参りませんが、後ほど確かめまして申し上げます。検挙件数は昨年の今ごろですと、毎月千二、三百件、現在ですとこれが五千二、三百件に上つております。件数は非常にふえておりまするが、取締りは非常に強化されておると思います。そのうちのどの程度に体刑があつたか。これは手元に資料がありませんから後ほど御連絡いたしたいと思います。
○有田(二)委員 間税部長にお尋ねいたしたいと思います。惡質な密造部落の取締り、あるいは密造に対する取締りの対策はどういうようにお立てになつているか。たとえば国警との間にこういうような会議を開いて、そして全国的にこういう指令を出している、各国税局管内の間税部とどういうふうにしてやつている、あるいは検察庁とどういう連絡をとつてやつているとか、各地々々であるでしようけれども、国税庁の間税部長として、検事総長であるとか、あるいは国警長官であるとかいう方面と、どういう総合的な連絡をとつておられますか。そういうことをやつておりませんか、お尋ねいたします。
○原説明員 お答えいたします。現在密造対策協議会というものが全国及び地方にそれぞれございまして、これがいろいろの形において、定期的なものというよりも、その必要に応じて中央、地方で連絡をやつておるわけでありまして、検察庁、警察とは中央、現地とも連絡があるわけであります。ただ従来徹底的に密造対策をやるという場合、相当税の重かつた関係上、正規の酒を飲むということが、購買力の関係その他からいつて若干むりがあるというような気分が一部にありまして、ほんとうにつつ込んだところまで行けなかつたような節もあるように聞いておるのでありますが、今後は相当合理的な線まで下つて参りましたので、こういう空気はほとんど解消するのではないか。従いまして、同じ連絡協力のもとにやるにしましても、今までよりはかなり迫力のある措置がとれる。その点形式的には同じような措置であつても、内容においてはかなり好転して来るのではなかろうかと、この点に大きな期待を持つておるのであります。なお今後さらに新しい手としていろいろ考えておりますけれども、まだ成案を見るに至つておりませんので、いずれここ十日ぐらいの間には何とか大体の内容、構想をきめて、十二月中にその具体的な措置が出て来るような運びにしたいと考えております。
○有田(二)委員 今奥村委員からお話があつたように、農村の特配酒の価格があまり安くなつていない。従つてこの方面の密造は避けられない。今の部長のお話では、確信のあるようなお言葉ですけれども、私は疑わしいと思う。最近の話ですが、ある国税局長が郷里である土佐の高知へ行つて、学友が全部集まつてくれて一緒に飲んだ。ところが持つて来た酒が全部どぶろくであつたという。自分の管内でないから黙つて帰つたけれども、困つたことである。こういう報告を現在国税局長をしておられる人から直接聞いた。今度の酒税の問題として、農村の特配酒の価格が思うように下つていないので、農村の密造を防止する面が非常にむずかしいのではないか、こう考えるのですが、間税局長の御所見を承りたい。
○原説明員 ただいま確信あるがごとく申し上げたというのは、主として集団部団を取締りの対象にする関係上、そういうものを連想して申し上げたのですが、一般の農家のことになりますと、ただいま有田委員からお話がありましたような傾向も相当あろうかと思います。これにつきましては、やはり新しいくふうを別途立てる必要があろうかと思つておりますが、まだ答弁をする段階まで至つておらないことをまことに遺憾に存ずるのであります。
○有田(二)委員 ひとつすみやかに対策を間税部長はお立て願つて、本国会にその案をお示し願いたいと思います。 さらに昨年度三千万円当初予定されました予算は、どういうわけ方をなさつておるのか。今の奥村委員の国政調査の結果では、各税務署に二万円、三万円——私も自分のいなかに行つて調べましたところ、やはりそういうような傾向があつたようですが、とにかく三千万円のうち、どういう比率でわけられたか。各国税局に対して幾ら、あるいは国税局でなく、税務署にどういう比率でわけて行つたのかということを、ひとつ承りたいと思います。
○原説明員 今局別、署別の内訳表はありませんが、配つた基準を申し上げますと、各局ごとにまとまつて来た罰科金あるいは検挙件数、そういういろいろな資料に基きまして、それに按分して配付するのであります。各局ではまたその配付になつた数学を同じような基準で按分して行く、そういうような方法で三千万円を配付しております。
○有田(二)委員 私はこの一点だけを申し上げて質問を打切りたいと思います。間税部長としてでなく、私見でけつこうですが、今の奥村委員の、一千億の酒税に対して少くとも一%、すなわち十億程度を密造対策に充てるべきであるという御所見は正しい。これらに対して間税部長は、そんな金はいらない。八千万円で十分事足りる、かようにお考えになりますか。少くとも十億くらいはちようだいした方がよいとお考えになりますか、御所見を伺いたい。
○原説明員 個人的な意見を申し上げます。私ども直接密造対策の責任に当る立場におきましては、もちろん多々ますます弁ずでありまして、定員も非常に少い現状でありますし、予算も御指摘のように少いのでありまして、多多ますます弁ずとは思いますけれども、しかし私たち税務の執行をやつておりますと、これ以上税の負担を国民にさせたくないという気持が、何といつても頭の根本にしみついておるのでありまして、私たちの経費がふえるということは、またひいて税金を重くするというような点もありますので、そういう点を考えまして、それではどの程度がよかろうかということになりますと、今の八千万円程度では十分でない。これを数倍くらいまでにしたら相当自信のある措置を考え得るというふうに考えておるのであります。ただこの問題に関連しまして、国税庁の予算だけでは問題が解決しない面があるのでございまして、御承知のように、相当大規模の密造対策をやります場合には、警察の非常に大きな協力を必要とします。現在の自治体警察あるいは国家警察の予知も、非常にきゆうくつでありますので、警察の方のある程度の予算の増額がないと、並行した立体化した取締りが十分行かぬという関係がありまして両々相まつて問題を見なければならぬ、こういうふうに考えております。
○有田(二)委員 私の本案に対する質問につきましては、国税庁長官並びに主税局長がお越しになつたら続行いたすといたしまして、今の間税部長のお答えの中に、なるべく国民の税金を軽減するとおつしやいましたが、酒税を正しくとつて、正直者が損をして、惡い者が得をすることのないようにするためには、私は密造の取締りの費用をふやすべきだと申し上げた。取締りの費用をふやすということは、国民の税負担を多くするという意味では断じてない、正直な者が得をして、惡い者が損をする、そういつたまじめな世の中に持つて行くために、密造取締りの費用を多くすべきだということを申し上げた。そういうようなつもりで御協力を願いたいと思います。
○三宅(則)委員 私は昨日も質問をいたしたのでありますが、税務当局、ことに国税局の間税部長もおいででございますから、よく聞いていただきたいと思います。実は昨日主税局長のお帰りになるときに、わざわざ同僚川野委員は言を強く発言いたしまして、密造対策は、今後の酒税の徴收面に対しましても、当然厳格にしなければならぬと何時に、相当額を見込まなければ、とうてい不可能であるという名論卓説をはいたわけであります。主税局長一人がこれを聞いただけではまだ足らない。ぜひ国税庁長官も間税部長も、また酒税の係官も、この速記を読んで、しかる後に答弁すべきことを私は要求いたしたいと思います。それだけの努力と用意を持つておられるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
○原説明員 さつそく速記録を読ましていただきたいと思います。
○夏堀委員長 三宅君、今高橋国税長官が参りますから、あなたの質問が高橋国税庁長官に対する質問であれば、その際にお願いすればよいと思います。
○三宅(則)委員 承知いたしました。——もう一つ間税部長に申し上げたいと思います。あとから主税局長並びに国税庁長官が来ますから、そのときに強く要求いたしますが、せつかく間税部長並びに酒税の係官がおられますから申し上げたい。 私も北海道並びに東北地方をまわつてみまして各税務署をまわりましたが、ほとんど密造取締りは形式に流れている。密造取締りという名目であるかもしれませんが、むしろ実際面はやつていない。実はこれを見て来たわけです。間税部長は各税務署をまわつて、どういう態度をもつて、実際職員が密造対策をしておるかということを見て参りましたか。その実情を話してもらいたい。
○原説明員 私のまわつた範囲で申し上げますと、印象としては、むしろよくやつておると考えておるのであります。非常な條件の惡いところ——警察の方でも若干しり込みするような場合にも非常にむりをして、けがまでしてやつている例も、目のあたり見ておるのでありまして私は間税部長であるからという意味でなくして、その点の努力に対しては、非常な敬意を実は拂つておるのであります。もちろん全国広うございますから、一部御意見のような点もあるかと思いますけれども、幸か不幸かわかりませんが、私の拝見しておるところでは、逆のような印象を持つておるようなわけであります。
○三宅(則)委員 私は、間税部長が非常に甘く見ていることを遺憾に思うのです。東北地方におきましては、ほとんど全家庭が密造をなければならぬといわれておるのでありまして、これについては、相当価格を引下げることによつて救済すると、昨日主税局長は答弁になりましたが、同僚議員からも質問がありました通り、この国会と次の国会で、もう一段と努力する用意を持つておるかどうか。間税部長としての心構えを伺えれば仕合せだと思います。
○西川政府委員 先ほど申し上げました通りに、今年の密造の取締りと、そうして今度酒税が下つた場合の取締りとにおいて、その量が違つて来ると思うのであります。たとえば今までの酒と比べまして、五割高かつたものが、今度二割くらいの差ができておるとすれば、その間にその酒の量、質でありますとか、また危險を負担しなければならないというこの考え、この二つが寄りますと密造が相当減つて来ると思いますから、そこにその密造を取締る方面におきましてもその範囲が相当縮まつて参ります。しかしながらおつしやいます通り、私も今年方々まわつて参りまして、密造の取締りというものは局部的にやつておりますが、ちようどはいを追うようなかつこうでございまして、ほんとうに十分の取締りができてないことを私も認めております。それでありますから、密造の範囲が縮まりますと同時に、来年度は八千万円でありますか、これを有効に使いまして、局部的に減つて参りますその範囲内をさらに強硬にやれば、何とか取締りができるのではないかと思います。但し農村における配給酒が高い。これはやはり何と申しましても、自家用のものが大体密造酒の半分を占めております関係上、やはりそこにしわが寄つて来るのではないかと思いますから、この方面の取締りも十分にやらなければならない。それで大蔵省、政府におきましても、皆様の御意見の通りに、賢明なる取締りになおさら力を入れてやりたいと存ずる次第であります。
○天野(久)委員 密造対策についていろいろ御協議を承つたのでありますが、これは密造対策が最も必要であることはよくわかつております、そこで今政務次官の答弁を聞きましても、対策を立てよう、こういうこと——一体いかなる法律をもつてしても、人間の食欲を押え得られないということを、まず根本から考えなければならぬ。そこで人間のこの食欲、しかも勤労者においては酒というものは欠くべからざるものであるということをよく考えなければならぬ。しかし生活するには收入が根源となつて行かなければならぬ。そこで現在の酒の値段、これは今回値下げをしましても、農家は一俵の米をもつてして酒五升とか買えないという状態である。そこで私は予算を置いて取締ることも最も必要でありましようが、しかしただほこをもつてこれを治め得るかというと、絶対治め得られないということを、御当局によく考えていただきたい。それはたくさんの農民が、みずからの收入によつてみずからの栄養をとることができないときに、いかに嚴重なる法律と莫大なる予算をもつてこれを取締ろうとしても、それのみによつては絶対に取締り得ないということを考えなければならない。そこでわれわれは現在の勤労階級に、自分のきようの收入によつて一日の労をいやす一ぱいの酒が飲み得る程度にしなければ、取締りができないのではないかとわれわれは考える。そこで現在において一度に値下げは、それはでき得ないでしようが、しかし先ほどから聞いておりますると、予算と取締り方法のみにおいて御答弁願つておるが、こういうほんとうの、いわゆる仁政をもつて社会を導いて、そうしてここに不純な密造を撲滅しようというお考えがあるかどうか、その点をひとつ承りたいと思います。
○平田政府委員 配給酒につきましても、できますれば、私どももう少し低いのがほんとうじやないと実は思つております。ただ現在は実際からいたしまして、とにかく自由販売酒の高いということは、目下是正しなくてはならぬ最大の急務だと私は考えております。従いまして今回の改正は主として自由販売酒の引下げ、なかんずく清酒の二級、それから合成酒の二級、しようちゆう、この三つの引下げに全力を注いだのであります。さらに理想を申し上げますれば、あるいは配給酒ももう少し引下げた方がいいというお考えは、ごもつともかと思いますが、ただ一面におきましては、やはりある程度の財政需要とのにらみ合せも考えなくてはならぬのでありまして、そういう点を考えますと、配給酒につきましては今回程度の改正でも、しんぼうできないことはないのじやないか、このように考えておるのであります。それで実際の問題といたしましても、最近まで合成酒等は相当配給いたしましても辞退があつたようであります。しかし清酒に関する限りは——もちろん若干の例外はありますが、相当配給しますと大部分が受配されているというような実情もございまするが、今といたしましてはこの程度の改正で、われわれとしてもしんぼうするよりほかない。それがいい道だ。このように今のところは考えておる次第でございます。
○天野(久)委員 この程度の値下げでがまんができるではないかという、これは今まで高くても日々は送つて来ましたが、しかしここにわれわれが社会の情勢を見て、がまんのできないということは、言葉の上や行動においてがまんができないでなく、実際においてがまんができない実証は、これは国民ひとしく善良であつて、法を犯すことを好む国民はおそらくないのである。しかしその高価なる税金のために、自分の收入によつて自分の栄養をとることができ得ないので、ここに密造しなければならぬ。ここにはつきりと社会国民は、この税金に屈従ができないというりつぱな証拠であると私は考えます。そこでわれわれは、今日のせつかく大蔵省がここまでやられたこの案に対して、別に反対をいたしませんが、またすぐ本国会がありましよう。また来るべき四月には酒価の改正もいたさなければならぬ。そのときにこそ勤労階級が自分の收入によつて、一ぱいの晩酌がなし得る程度に値下げをいたして、法による密造取締りと仁政による密造取締りと両建いたして密造を撲滅するように持つて行かれるお考えがあるかどうか。これを承つておきたいのであります。
○平田政府委員 私はやはり今の密造の問題は、自由販売酒との関係が一番原因をなしているのじやないかと思う。現在でも配給酒でありますと、さつき申しましたように、合成酒、しようちゆうは少し高過ぎて辞退が生じておるようでございますが、清酒につきましては——もちろん高いと思つているだろうと思いますが、受取つておるという事実がございまするし、配給酒についてはこの程度でしんぼうしても、やむを得ないのじやないかと考えております。自由販売酒は今度、ごらんのように二級酒は約三〇%下げておる。今まで大百四十五円のものが四百六十円で三〇%の引下げになる。それで税率は四百六十三円の税率を、これも相当大幅に引下げておりまして二百九十円になつております。三割七分の減です。この程度下げますと私は相当な引下げを意味するのじやないかと考えます。もちろん酒を一般大衆に健全に飲んでもらうという見地からだけしますると、御説ごもつともでございまするが、一方においてはやはり酒の税收入は国家の財政の收入としましても、相当な重要性を有するのでございまするし、またその原料も食糧に貴重な米とか麦とかを相当使用しております。そういう状況でございますので、今の段階といたしましては、この程度でしんぼうしきれないということはないのではないかという——酒だけの見地から理想を申しますれば、御意見もございましようがその他諸般の情勢、一般の情勢を見まして、私どもこの程度の案で提案するのが、今日の段階としましては最も妥当であるかように考えております。
○天野(久)委員 日ごろ業務のために御專念される局長あるいは各位のお考えは、それはごもつともだと思います。しかしものは根本を考えなければいけません。この酒税がこれまでに上つたのは敗戰の結果、われわれからいえば、どさくさ紛れにその予算の不足のしつぽを酒に持つて来た、こういうことも言い得るかとも考えられるのであります。従つてこれはどさくさ紛れに予算のつじつまをしわ寄せして、酒に持つて来たということを考えずして、ただ表から二割下げた、三割下げたということ——これは率からいえば大きな値下げであつて、その当局のお骨折りはまことに偉大なものだつたと感謝いたします。しかもその根本においてこの租税なるものが非常に当を失しておつたということは、今密造が社会の至るところに行われておる。この事例を見てもいかに税金が高いかということは、よく考えなければならぬのであります。従つてどうか賢明なる局長でありますので、くどく申し上げなくともおわかりでありましようが、密造酒が行われる。これは收入と支出とが合わない。いわゆる一俵の米を百姓が持つて行つて値下げをしてもまだ自由酒が五升しか買えないということは、これはどうしても税が高いということを考えなければならぬ、むりがあるということ、むりがあるから初めてそこに密造が行われる。これを私は申し上げておきます。この今の税金ですら、このまま行くならば、いかなる莫大なる予算でもつていかなる嚴重なる方法をもつてしても、農家における密造の撲滅は期し得ないと思います。従つて密造を撲滅させるために、あるいはまた生産に励む勤労者が労をいやすための酒ぐらいは、安んじて飲み得るように——終戰後もう五年もたつて各業界も各階層もそれぞれおちついて参つたのであります。勤労者にもそのくらいの慰安を與えてそうして産業に專念させることが日本のためではないか。従つて先ほども申しましたが密造取締りは一つの強いほこをもつて行く。取締りの方法と、一方に採算から割出して、このくらいの額ならば、甘んじて国法に従つて税のかかつた酒をわれわれは飲んで、そして産業に書そう、こういう考えを持たせる仁政と両両相まつて取締るようにしていただきたい。従つて次の改正には、妥当なる税金に訂正していただくよう、なお一層の御努力を願いたいと思います。私の質問はこれで終ります。
○平田政府委員 今回改正しますものは、大体来年度も二十六年度に関する限りは一体として実は考えておりまして、これを少くとも十二月一日から実行いたしまして、来年度一ぱいは繰越す、その次の段階になりましてから、また原料事情等もかわり、あるいは一般の事情等もかわりますれば、そういう際はまた検討する機会もあろうかと思います。それでお話の趣旨は私も賛成するところが多いのであります。ただしかし酒は酒だけの見地で物事をきめるわけには行かない。それはやはりわれわれとしては酒の状況あるいは酒の税等をきめる場合において、判断の中に入れておかなければならないのじやないか、このように考えまして、四囲の情勢、ことに食糧事情等の関連もよく考えまして、そのときどきにおいて妥当な税が実行になりますように、政府は努力いたしたいと考えておる次第であります。
○夏堀委員長 高橋長官が見えましたから、質疑を許します。
○川野委員 密造の対策は相当大きな問題になつておりますが、この密造酒の中には、実はアルコールを密売するのも出ておるわけでございます。そこで先般シヤウプ勧告に上りますると、アルコールの所管が現在通産省に相なつておりまするので、これを大蔵省の所管にしたらというような意見がシヤウプ勧告に盛られておつたかと私考えるわけでございまするが、この点について大蔵当局はどうお考えになつておるのか。この点をお尋ねいたします。
○平田政府委員 今アルコールは通産省の所管になつておりましてその関係から密造酒の原料アルコールが流れる、これはおそらく役所の側におきましては、意識的にやつているのはもちろんございませんし、極力そういうことを防止すべく努めておると思いますが、受けた方で飲料に供しているものがあるようであります。従いまして、これは酒税との関係を考慮して單純に取締りという点を考えますと、大蔵省で一元的にやつた方が上り効果があるのじやないか、こういうのがシヤウプ勧告の意見であるように考えます。そういう勧告もありますのですが、他方におきましては、燃料、ことに工業原料でございますので、そういうような関係、それから專売自体を将来どうするかというような問題もございますので、そういう問題と関連しましてこの問題は検討しまして、結論を下したいと思いますが、現在のところはまだ決定しておらない次第でございます。
○川野委員 実はアルコールの工場を視察いたしますると、アルコールの工場の労務員に対して、賃金のかわりにアルコールをある程度與えておる実情があります。そこで現在の通産省の監督下では監督が不十分である。こういう点からいたしましてアルコールの監督は大蔵省に一元的にやらしたがよかろう。こういうような意味合のもとに、私はシヤウプ氏がああいう勧告をいたしたものであると思うわけであります。そこで実は政府がシヤウプ勧告というものを非常に強く重んじておられますので、どうかこの問題はシヤウプ勧告に従うように、通産省の所管から大蔵省の所管に移すように大蔵当局におきましても最大の努力を携われんことを切望する次第であります。
○高橋(衞)政府委員 アルコールの工場の取締りにつきましては、実は私どももアルコールの横流しその他のうわさをときどき耳にいたしますので、税務官庁といたしましてもこれに相当の関心を持ちまして、通商産業省と協議をいたしました上、最近約千名ばかりの税務官吏を通商産業省の官吏と兼官をいたしまして、直接その取締りの衝に関與するということにいたしまして、これが万全を期したいと考えておる次第であります。 なお行政機構の問題につきましては、先ほど主税局長から答申しました通り、ただいま各方面の観点から愼重に検討をいたしておる次第でございます。
○川島委員 国税庁の長官にもちよつとこの機会にお尋ねをしておきたいのですが、この酒税法の改正をしたということは、すでに與党自体の中からさえも深刻な批判が行われておるわけであります。しかもその値下げの仕方に対して、必ずしも国民経済と折り合つておらないというところに熾烈な批判がなされておる、これは現内閣における失態であり、また與党の醜態でもある。きのう主税局長のお話で受取ると、酒はつくつたが売れない。売れないから税金も入らない。端的に言えばこういうわけである。税金を入れるために値下げをする、国民に安い酒を飲ませようというのじやなくて、税金をいかにとるかということが中心で、この改正案がなされた、こういう形なんだ。その手腕たるやまことに敬服に値する。そこでお尋ねするのですが、すでにこの年度の第三・四半期も終ろうとしている政府は酒税において当初千三十余億を計上して来た。その千三十余億円に対してこの十一月、もうすでに来月第三・四半期が終る。これまでの間に従来どのくらいの庫出しがあつて、そしてそれに対する税收がどのくらいあつたか。これをまず長官が見えたのですから聞かしてもらいたい。それによつてまた二、三この機会にお尋ねしておきたいと思う。
○高橋(衞)政府委員 今年の三月から十月までの課税高の増額は、六百九十億円余と相なつております。
○川島委員 それで大蔵省の説明によれば、本年は自由販売、配給両方合せて二千八百万余石の醸造をやつておるわけであります。この六百九十億円を税收するにあたりまして、どの程度の庫出し石数があつたか。そしてどのくらい今残つておるのか。これは国税長官にわからなければほかの方でもよろしいです。
○平田政府委員 昨日私から、当初予算で二百八十九万四千石と申し上げたつもりですが、二千万石と申し上げておりましたら、私の間違いでございました。二百八十九万四千石見込んでおりましたのを、今度の補正で三百三十二万九千石見込んでいるということを申し上げたわけでございます。この十一月までの課税の実績を申し上げますと、庫出しで二百三十四万九千石出ることにいたしております。従いまして、あとの百万石近くは、十二月以後の庫出し見込み、こういうことで計算をいたしておるわけであります。なおこの計算の資料は今プリントしておりますので、詳しいのをお出しします。
○川島委員 そこで長官にお伺いしますが、三月から十月まで六百九十億現実に税收があつた、残るは五箇月であります。この五箇月間に、しかもこれだけの引下げのよしあしは別として、税率の引下げをいたしておる。そしてさらに大蔵省自体は一億二千何がしの増收を見込んでいるわけであります。こういう増收の見込みの通り、はたして税收が可能な状況にあるかどうかこれは長い間その方の專門的な担当者である国税庁長官に、その確信ある見通しがあるかどうか。その点についてひとつ……。
○高橋(衞)政府委員 税收の見積りにつきましては、これは主税局の主管になつておりますので、私からお答えいたしますのはいかがかと存ずるのでありますが、ただ直接徴税の衝に当つている者として、どういうふうな見解であるかというお尋ねでありますので、お答えいたしますが、われわれの見るところでは現在酒の価格が非常に高いために、相当多量の密造酒が氾濫しておるというふうに見ておるのであります。密造酒の取締りについて相当力を入れました関係もございますが、今年の三月から九月までのたとえば密造の検挙件数にいたしましても、昨年が一万二千件余でありましたのが、今年は二万四千件に上つている。しかもそのやり方響につきましても、漸次惡質になつて参つているというふうな点から考えまして、相当多量の密造酒が現にあるというふうに見ているのであります。しかしながら今回相当大幅な値下げがなされるということであれば、これによつてこういうふうな密造酒の進出がチェックされまして、相当正規に製造された酒の販売数量が増加するものと見込まれますので、大体この程度の歳入は得られると考えておるのであります。
○川島委員 長官として、一応そういう答弁をされるであろうと思うのでありますが、政府の説明によれば、年間の、昭和二十五年度においての密造酒は、おおよそにおいて二百七十万石ぐらいだ、こう踏んでおるわけであります。もうすでに年度は半ばを過ぎておる。二百七十万石と踏まれた密造酒の大部分も醸造済みのものと予想されるわけであります。一方この程度の値下げによつて、政府はしきりと密造酒が激減するだろうと思惑しておるわけですが、しかしもうすでに年度も大部分を過ぎてしまつておるのですから、密造酒というものがにわかに激減するという予想を立てるということは、そこにちよつとむりがあるように私は思う。それから一方値下げをすることによつて、さらにしかも増收を見込むということになれば、少くとも百五十億から二百億ぐらいよけいに酒税が入るだけの酒が売れなければならぬということに計算の上からいつてなるわけであります。そういうふうに分析をいたしてみると、この政府が今度立てました一億二千何がしの酒税増徴というものが、非常に理論からいつてもまた実際上からいつても、数字の立て方をむりにやつて来ておるという感じが、非常に強くいたすわけであります。主税局長は、この程度ならばむしろ逆に増收になるのだときのうは説明して強く自信のほどをほのめかしておるのですが、どうも今度の補正予算全体を見ますと、所得税においてもそういう感じがする。一方において減税だと言いながら、実は増收をはかつておる。酒の方もまた減税だと言いながら、税金全体の上においては増收をはかつておる。国民は、俗な言葉で言えば何が何だかわからない。こういうところに今度の補正予算の、私はあまり芳ばしくない特質があるような感じが強くいたします。そこで重ねてお伺いするのですけれども、このような程度の値下げによつて、ほんとうにはたしてこれだけの増收ができるという、理論的な実際的な根拠が一体どこにあるのか。この点をひとつぜひとも、われわれのような頭の惡い者には、(「ノーノー」)できるだけ納得のできるような形で、くどいようですが、もう一ぺん局長から御説明が願いたい、こういうふうに思うわけであります。
○平田政府委員 この点はむしろ私どもりくつをもてあそぶ者よりも、川島委員のごとく実際の勘で行かれる方が、いい判断を下されるのではないかと思いますが、ちようど今お酒は正月の需要期に向つております。これは非常な一つの判断すべき重大なファクターであります。清酒、合成酒も同様でございますが、こういう種類の酒は十二月から一月にかけて相当多く例年消費される。今度はちようど需要期に向いましたときに相当大幅な実は値下げをやつた、三割下げるのであります。二級清酒は、六百四十五円が四百大十円になりますと、これは私は消費者として相当下つたという感じを一一百円札が二枚近く少くて済むのでありますから——持つことが常識ではないか、こう思いますが、それに今申しましたように密造酒は現実に相当飲んでいた。しようちゆう等も三百三十円にいたしますと、いなかではまだ三百二十円の方が密造酒よりも高いのですが、都会になつて来ますと、大分すれすれになつて来た、まだもう少し高いかもしれませんが……。そうなりますと、昨日も申し上げましたように、危いしようちゆうを飲まないで、正規のしようちゆうを飲むというような傾向が助長されて参りますので、私どもこの程度の税收の増加を見るということは、決して楽観し過ぎてはいないというふうに考えております。昨年しようちゆうを値下げしましたときにも、その後の売れ行き増加の趨勢は顯著なものがありまして、都会附近のかすとりなんかも、相当一ぺんに駆逐したような例もございますので、今の情勢からいたしまして、この程度の引下げを行いますれば、必ず予算に計上しました千四十六億の歳入はほとんど確保できるものと、実は私確信しております。先日も申し上げましたように、酒は大部分はすでにできておりますし、原料のいも等も昨年相当獲得いたしまして、それがまだストックされておるという状態であります。従いましてこれが全部売れるなら、お話のように実はもつと増收になると思われるのですが、売れないでおりますものですから、なかなか收入がふえてない。結局値下げしましてその滞貨がはけますと、收入としましては、やはり予定通り入つて来る、こういう関係にあるわけでございまして私どもとしましても、今回最も値下げを緊切に痛感し、かつそれの引下げを強硬に主張しまして、本案を提出した事情でございますので、その辺の事情をおわかり願えますれば、私は決してこの見積りがむりではないということを、御了解が願えるのではないかと思います。
○夏堀委員長 それでは休憩いたします。午後は一時半より会議を開きます。 午後零時十五分休憩 ————◇————— 午後一時五十七分開議
○夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 酒税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。川島金次君。
○川島委員 それでは主税局長はおらぬようですけれども、別な方でもよろしいです。これはあまり大きなことではないのですが、ついでのことでお尋ねしておきたいと思います。主税局長が来ましたらまた別にお尋ねします。私の承知しております事柄で、税務署の職員、ことに間税課の職員、その職員の中でも係長級の幹部の職員が、たまたま醸造家の所有する借家に住んでおる。あるいはまた税務職員の、しかも間税課の子弟が醸造会社の職員に就職しておる。こういうことがあるやに私は聞いておる。また事実あるんです。これは普通の常識ではそれがいろいろ風評を生む原因になるということは、常識上当然なことだと思うのです、従つてその間にいろいろ世間から疑惑を受けなくても済むような疑惑を受けるような事柄が起りがちであるということも、想像にかたくないのであります。大蔵省としてはそういう事柄に対してどのような指導が針をもつて臨んでおるか。もちろん職員というよりは、日本全体の住宅のきわめて著しい拂底のときでありますので、自分の住居を自由意思によつて選択するということは、もちろん困難であるということは私もよく承知しておる、しかしたまたまそういうことがありますと、それでなくとも世間の見る目というものは違つた目で見やすい。そういう事実があつたといたしますれば、それに対して当局はどういう指示をされるか。その点について従来考えられておるところがございますれば、ひとつこの際示しておいてもらいたい、こう思うわけであります。
○高橋(衞)政府委員 單に間税関係のみにとどまりませず、税務官吏全般といたしまして、終戰後の社会の混乱等の関係もあつたものと存じまするけれども、非常に多数の汚職事件を出しておりましたことは、私としても申訳ない次第だと考えておる次第でございます。従いまして、特に国税庁発足以来は汚職の一掃ということに非常な注意を向けまして、監察官を新しく設けまするとか、また今年四月からは監察官に特別な警察権まで付與いたしまして、積極的にこれが摘発を期するということに努めて参つておるのであります。もともと税務官吏は非常な権限を持つておりまするし、また何と申しましても、非常に納税者に大きな利害関係を持つております職責でもありまするので、私どもは常々昔から言いならわされておりまするところの梨下の冠、瓜田の靴と申しまするか、そういうふうな疑いを受けることのないようにという注意はいたして参つておるのであります。しかしながら酒と言わず、その他の税と言いませず、税の関係におきまして、税に関係のない人から家を借りるということは、これはほとんど不可能に近いのであります。たまたまその方が酒造家であるという場合におきましても、もしもそれに不相当な安い価格で貸したとか、またその入る過程において非常な不当なことがあるというような場合におきましては、これは十分に取締る必要があると思いますが、そういうことでない限りは、この住宅難の時代にどつかに住宅を求めるということに狂奔せざるを得ない。しかも税務官吏につきましては、転勤を割合に今まで頻繁にやつて参りました。今後におきましては転勤はできるだけ避けたいという考えは持つておりますが、なおかつ住宅はある程度のものが必要である。しかも国庫の予算ではそれがなかなか充足できないという実情にありまする範囲におきましては、何とかして住宅をあちこちに求めたいというようなところから、正しい形においてそういうような住宅を獲得するということについては、あまりやかましいことも言いかねるかと考えるのであります。
○川島委員 実は私が聞いておりまする範囲で、世間常識に言う昨今の賃借料を払つておる間柄でありますれば、一歩しりぞいて考える余地もないではないのでありますが、ほとんどただみたいに借りておる。こういう事柄があるらしいのであります、しかもその税務署の管内にございます醸造家、これは当然そういう形になりますことは、本人はそうでなくても、醸造家の方でも別に便宜にあずかるようなことをしておらぬという聖人君子のような方でありまして、やはり社会的には疑惑の眼をもつてこれが見られるということは、当然ありがちなことであります。といいまして、もとより先ほども私が申し上げました通り住宅がない。そういう所を越すべきだと言われましても、さだめし本人は行くところもないことだと私は思うのです。ですから指導的な方針としては、なるべくそういうことをむしろ避けて行くという方向に持つて行くことが、私は当局の心構えであるべきだと思う。借家人の問題のみならず、ただいまも申し上げましたように、その醸造会社の事務員として間税課の有力な人の子弟が就職しておる。これは就職の自由は憲法で保障されたものでありまして、それにとやかく言うべき筋合いのものではないと思いますけれども、しかしながら今日国民は税務署に対していろいろな批判を持つております。また批判のあるような事柄もあり得るのです。従つてその批判がややもすれば過大な傾きもないではないが、あり得ると思いますので、そういうことについては、やはり当局としてはでき得べくんばそういう形がない方に持つて行つて、国民が税務署に対する信頼を少しでも高めるという事柄は、たいへん必要なことだと私は思いますので、この機会に実際の例をあげて、当局の考え方と今後の指導方針を望んでおくわけであります。 それからもう一つ長官にお尋ねするので、これもこまかいことですが、最近こういう事実があるのです。従来果樹をもつて醸造をする、いわばぶどう酒、ぶどう園を持ちながらみずから醸造をいたしますことを免許されて、引続き営業をやつて来た者が、いろいろの事情で今度は法人組織にかわる。その場合に、その醸造を従来個人でやつて参りました本人が、法人組織となると同時に社長となる。いわゆる責任者となる。その場合に、従来の個人でありました免許を法人に書きかえるという申請を出された。これに対して税務署は却下をしている。その理由はいろいろなことを言つておりましたが、個人の営業でさしつかえなく免許されているものが、法人に組織がえされて、しかもそれが責任者になる。別に公衆に大きな障害を與えるとか、迷惑を與えるということはあり得るわけではありません。ところが醸造法か何かの規定によりまして、それができないのだというような事柄を出先の税務官は言つている。ところが、たまたまその当面の人が東京国税局の間税課にいる人にそれをただすと、そんなばかなことはない。こういうことで国税局の人々の意見と出先の税務職員の意見とが、非常な食い違いを来している。何かそういつたことについて、どちらがほんとうなのか。私どもは別にこまかい法律を覚えておりませんので、詳しく知つておりませんが、従つてそのために本人が非常に困惑をいたしておるというような事実があるわけであります。その点について当局ではどんなような方針でありますか。
○高橋(衞)政府委員 個人が法人に組織がえをいたしまして、しかもその実体において差異がないという場合におきましては、その免許を拒否するということは私どもとしてはいたしておりません、従つてただいまのお話の件は、具体的な事例として何かその人に、たとえば役員に入つて来る人が酒税法違反の前科があるとか、何か新しい法人形態において酒税の担保力が足りないとか、何か具体的なケースを拝見いたしまして、十分研究してみなければ、ただいまの例示の点についてははつきりしたお答えはいたしかねるのでありますが、一般的な抽象論としては、実質が同じであれば免許の許可について何らわれわれが阻止するという考えは持つていないのであります。
○川島委員 それでよくわかりました。実はそういう今あげられました事例というものは全然ないんです。全然そう惡い條件というものはないんです。それにもかかわらず、出先の税務官はそれができないんだという主張をいまだに貫いております。ところが、国税局の役人は、そんなばかな話はないといつておるんです。今せつかくの長官の話で了解いたしましたので、さらに私も勉強いたしましてしかるべく当面の人の指導をして行きたいと考えるわけであります。そこでこの酒税の問題についての質問を私は終りたいと思うんですが、終るに先だつて、この際長官が出ておりますので、特に私は強く長官に訴えておかなければならぬ問題が一、二ありますので、重ねてお尋ねかたがたお訴えを申し上げておきたいと思います。 税務官職員の待遇がもちろん今日のごとき状態であつては、われわれといたしましてもまことに同情にたえないし、税務職員の過激な仕事に対するに、その報いのきわめて少いということに対しましては、われわれも非常に関心を寄せておる一人であります。しかしながらさればとて税務署の職員の諸君が、その行政事務の上において過大に怠りをしたり、また不当なことをするということは、断じて私は許されないものであろうと思う。待遇の問題と仕事の問題とは、これは当然截然として別個の問題であると思う。ところがしばしばこの委員会でも、私どもその他同僚の諸君から申し上げられておるところでありますけれども、いまだに第一線におきまする税務署の、ことに若き職員の納税者に対する態度というものは非常に高圧的であり、非常に独善的であつて、中には威嚇的な態度をもつて終始するという、不親切きわまる態度がいまなお跡を断つておらない。少くとも今日の困難な国民の経済と生活にとつて、政府みずからが今日の税は過当なりと天下に告白しておる。そういう告白をしておるほど高い税金を、国民は泣き泣き負担をしなければならぬような現実の面にぶつかつておる、そういう困難な納税者に対して、税務選の多くの人たちが非常に不親切きわまる態度で接するということは、断じて捨てておけない事柄だと、私はしばしば事実を見聞いたして感じを深くしておる。いまだにそういう跡を断たないのはまことに残念だと私は思う。ことに労働組合、職員組合などがあるせいもあり、職員組合自体の問題に対してはわれわれはわれわれとしてのまた考え方も持ち、理解も同情も十分に持つておるつもりでありますが、しかし行政を執行する上においてのそれらの人の態度というものに対して、いやしくも国民に対してそのようなことでありますることは、断固としてやはりこれは監督し、指導してもらわなければならぬと私は思う。そのためにずいぶん困惑し、迷惑をこうむつておる納税者が、今日でも大げさに言えば無数にあるのじやないかと私は思う。一例をあげるとこういうことがある。ごく最近の事柄ですが、昭和二十五年度の所得税の徴收のことについて、兄弟である俸給生活者が昭和二十四年の三月中にはその同一家族から拔けておつて、他の独立した家族になつておる。その事柄がもうすでに申告されておるにもかかわらず、依然として二十五年もその同一家族に勤労者がおるものとして税務署が所得税の合算課税をかけておる。そこで納税者はあわてふためいて税務署に乗り出す。しかもそれが未亡人であります。そうすると直税課の若い課員がその未亡人に向つて、税務署が一旦きめたことをとやかく言うことは非国民であるかのごとき口吻である。これは事実です。そうして自分のところにおつた者がよそに出かけて行つても、それはまたどこかで收入があるんだから当然納むべきた。しかも戸籍は同じところにあるじやないか。戸籍が同じところにある以上は、他の家族にあつても当然税金はお前が納むべきだというような、実に乱暴きわまる言葉を言つて年老いた者でありますが、婦人をまるで非国民扱いにしてやつておる。その事柄についてその婦人がいろいろと常識的に抗弁をすると、もう威たけ高になつて机をたたいておどした。そうしてその婦人が泣き泣き私のところに来たという事実もある。しかもその税務署員のわきにおりました二、三人の同僚がこそこそ話しながら、そんなむりなことを言つたつてしようがないということがその婦人の耳に聞えておる。にもかかわらずその男は、もう一ぺん令書を出したんだから、その令書は変更できない、こういう態度、こんなことは一つの例でありまして今もつて至るところの税務署の税務官は、非常に独善的に威圧的に国民に接するという話を絶え間なく聞いておる。これは地方だけでなく東京にもあります。東京でもずいぶん聞いておる。長官はそういう事柄についてずいぶん親切な指導をしておるというように承つておるのですが、なかなか改まつておらない。ですから地方の人たちは税務署へ行くことをまるで警察か刑務署へ行くように思つておる。まるでとらの穴へでも入つて行くような気持であるということも、これは事実です。そういうことであつてはならぬ。むしろ国民は平然とした気持で税務署に出入りして、税務署の人たちといろいろ話合いをし、不審なことは尋ね合い、惡いところは直してもらうというような、円滑に往来がで、きるような形に窓口はならなければならぬと思うのですが、いまだにそういうことがある。まことに私は心外にも思い残念にも思つている。こういう事柄について長官はどういう指導方針をとつておるのか。また今後どういう態度でもつて、これらのことに対して対処して行こうとされておるのか。この点非常に国民の重大関心の事柄でありますので、この機会にお考えを聞かしておいてもらいたいと思う。
○高橋(衞)政府委員 税務官吏が、特に若い税務官吏の態度が非常によくないというふうな事柄につきましては以前からよくあちこちから御批判をいただいておりますので、実は昨年国税庁ができますると同時に、相当厳重な訓示も出しておりまするし、またその後それらの具体的なケースについて、そういうふうな事実のわかつた者につきましては懲戒処置を相当にとつて参つておるのであります。従事のようにそれを内部で庇護するというような形でなく、何とかしてそういうふうな空気をすつかりかえて行きたいという考え方をもちまして指導に当つておるのであります。何分にも非常に多数なことでもありまするし、また今まであまりに過当な仕事を押しつけて来たというふうな関係もございまして、なお遺憾な分子があり、また態度が改まつてない者が存しておりますることは、まことに遺憾にたえないところでありますので、この前も委員会で申し上げたことと思うのでありまするが、私どもは歳入の確保も非常に大切であるけれども税務行政自体を画期的に民主化するということが絶対に必要なことである。国民の税務であるのだから、何も税務署と納税者が対立し、お互いに信頼しないというふうな現在の情勢は、非常に今遺憾とするところであるのでありまして、特に今年度は單に税率の人ならず税制全般について、そういうふうな方向についての法律自体は改正になりましたので、この機会に税務官吏の根本的な心構えと申しますか、考え方というものについて反省して行つてもらいたいという趣旨をもちまして実は先般も全職員に対して特に親切にやるように、また信頼されるところの税務官吏になるように、また正直な納税者をできるだけ発見し、そういうふうな人を尊敬して行くように、またほんとうに納税者に信頼して行くところの態勢をつくり上げるようにという訓示を、出しておるような次第であります。御承知の通り私どもの方では各局單位に苦情相談所を設けておりまして、これに相当な件数、各税務官吏の個々の行動につきまして通報を得ておりますので、ぜひそういうふうなケースにつきまして、私ども具体的に一々直して行くなり、どうしても直らぬ者なら除いて行くという方向でもつて、空気を直して行きたいと考えておりますので、お知らせをお願いいたしたいと考えておるのであります。なおいま一つ、従来は税務署の仕事を、内部の書類の整理をする人も、外部に行つて仕事をする人も、みな同じようにしてやつた来たのであります。ところがそれでは内部の書類の整理が完璧に行かないということが感ぜられますので、先般来大きな税務署につきましては、内外事務の分離ということを確実に実行させるようにいたして参つておるのであります。特に試験的に基準税務署——全国で二十二あるのでありますが、基準税務署のみにつきましては、課のわけ方もかえまして、すつかり内部事務と外部事務にはつきりわけて行くようにいたしたのであります。しこうして外部事務、要するに納税者に直接応接するところの職員は、特にそういうふうな点について遺憾のない人として、調査能力ももちろん必要でありまするが、同時に納税者に対していい感じを與え、決してそういうふうな摩擦を起さない、また苛酷なことがないという人間をそういう方面に選び、そういうふうな外部の仕事について適当でない人は内部に向けて、内部の書類の整理に当らせるということにいたしまして、ただいまその経過を見ておるのであります。もちろん現在のように非常に小さな税務署が多数あるという場合におきましては、必ずしも能率的に格段の向上を見るということが、こういうふうな方法によつては困難なのでありますが、こういうふうなことに創意くふうを凝らしまして要するに内部事務の書類の整理も完璧にする。同時にまた外部に出て納税者に直接応接する人については、特に厳選をして、そういう遺憾なことが起らないようにいたしたい、こう考えておる次第であります。
○米原委員 昨日からの質疑で大体盡きているようでありますから、一点だけお尋ねします。農村におけるところの密造酒の問題ですが、昨日からいろいろ議論を聞いておりますと、やはり密造の取締りの強化ということだけで、これが解決つくというような話もありますが、今度米が五千五百円となつて一升五十五円、これで四百六十円の酒が農家に買えると思うかどうか。この点をひとつ長官から明らかにしてもらいたいと思います。
○高橋(衞)政府委員 密造の防止につきましては、主税局長から十分に御説明申し上げたと思うのでありまするが、單に税務官吏がいかに強力にこれが防止に当りましても、同時に価格のある程度の引下げがなければ、これの完璧を期するということは非常に困難なのであります。そのことは米原さんもよく御承知のことだと思うのでありますが、そういう趣旨をもちまして今般酒税の相当の大幅な減税をいたしたのでありますしこうして農村の密造につきましては、現在の米価からいたして、この程度の価格ではたして十分であるかどうかという面については、密造の観点から申しまするならば、私は、さらにさらに減税して行きたいというふうに考えておるのであります。あるいはこういうことは主税局長から答弁申し上げるべき筋合いかと思うのでありますが、何と申しましても相当供給量が減つており、なおかつ国家財政をまかなうために、ある程度の税收入をどうしても必要とするというふうな国家財政の必要と、密造の防止というような面と、双方比較勘案いたしまして、この程度の価格で行くよりほかやむを得ないのではないか。しかもこの程度の引下げをいたしましても、なおかつ密造の防止には相当大きな裏打ちをされるわけでありまして、私どもの密造防止についての努力も、相当効果を上げ得るのではないかというふうに期待しておる次第であります、なお農村の密賣につきましては、御承知の通り刈入れとか田植えとかいうときには、特別の配給酒を配給いたすことにしておるのであります。配給酒の価格は今般はおおむね三百九十円であります。これに引下げておりますので、従来よりも相当楽になつて来るのではないかというふうに考えておる次第であります。
○米原委員 その配給酒がわずか五円しか下つていない。これでは長官も認められたようでありますが、実際問題として現在の農家の密造が絶えるということはあり得ないと思う。そこで私は特にお聞きしたいのですが、單に国家財政とおつしやつても、実際問題としてこれでは農家は酒を合法的には飲めない。この問題は依然としてつきまとつている。そこで、これは農村の方でもそういう要望が非常に多いようでありますが、農家にそういう酒を委託醸造させる、こういう特例を今後設けるような意図はないかどうか。もちろん委託醸造をしましても、この税率ではとうてい成立たないわけでありますが、特例としてもつと低くして、われわれが考えるところでは、米が五十五円なら百二、三十円でもいいというくらいに、税金をその程度に引下げる特例を、今後設けるお考えはないか。この点をひとつ聞いておきたい。
○高橋(衞)政府委員 委託醸造の問題につきましては、ただいまも御指摘の通り、税率自体が相当引下りません場合におきましては、しかも委託醸造のために供出される米については、ある程度酒以外の、つまり食糧にも振り向けてもらいたいと農林省側の強い要望もありますような関係もあつて、なかなか魅力のある委託醸造の方式が、私どもとしては答案が出て来ないわけであります。それで何とかいたしまして、むしろ一般の酒に対する原料米の増配をできるだけ努力いたしまして、そういうふうな供給量を増すことによつて、今後さらに酒税の減税を、密造防止の建前からやつていただくような方向井努力して行きたい、そういうふうに考えている次第であります。御承知の通り二十五年度におきましても、当初の予算におきましては、酒造用の原料米は四十三万石と予定しておつたのでありますが、それを七万石だけ増配していただきまして、五十万石と相なつた次第であります。そういうふうに原料が漸次増加して参れば、財政の需要と見合せまして、漸次農村におけるこういうふうな配給酒または自由販売価格で、十分やつて行けるという状態が来ることを期待している次第であります。
○夏堀委員長 ほかに本案に対する質疑はありませんか。
○内藤(友)委員 高橋さんにお尋ねしたいのですが、特級酒、一級酒、二級酒という区別があるのですが、これはどこで棒を引くかという問題です。私この間酒屋さんに行きましたら、特級酒なんだけれども売れないから一級酒にしようじやないかと、税務署と相談で一級酒にして売る、こういうふうなことをしておられるのですが、それは相談ずくでそういうことをやれるものですか。どういうことなんですか。だから一級酒を二級酒に売る。(「格下げだ」と呼ぶ者あり)格下げでもない、事実それはそれだけの値打があるけれども、売れないから、売れる方で売ろうじやないかという相談をしておられるということが実はあるのですが、それだけひとつ……。
○高橋(衞)政府委員 どういう事例か、ちよつと私には理解しかねるのでございますが、実は酒の特級、一級、二級の区分につきましては、中央酒類審査委員会並びに地方酒類審査委員会というものが法律上設けられておりましてその委員会におきまして、酒の專門の鑑定家が相当多数おられますが、そういうふうな人が一々格付をいたしまして決定するのでございます。従つて税務署と相談をしてこうするのだというふうなことは、ちよつと私には考え得られないのであります。ただ、一応品質が確定いたしましてから相当期間がたちますと、これはたとえばわれわれの言葉で言いますと、日が来たとか言つて、品質が相当惡くなるという場合があり得るわけであります。そういう場合におきましては、さらにそれを手直しをしてそしてあらためてその品質を検定する。そういう場合に、特級酒が一級酒になるというようなことを認める場合日はございます。おそらくそういう場合についてのお話ではないかと思います。
○内藤(友)委員 いやそうじやありません。特級酒と審査されたのですが、売れないからひとつ一級酒にしようじやないかと、そういうふうな談合があるのですが、そうすると特級酒と一級酒の境はどこにおくかという問題——それは明確な線は出せないかしれませんけれども、御相談で自由に働くものかどうかということをお尋ねしたわけです。
○高橋(衞)政府委員 それはいずれも委員会において決定することでありまして、特にお話のように税務署と相談をしてかえるということは、なし得ざることであります。先ほどもお話しましたように、特級酒が一定の期間置かれたために品質が低下いたしまして、それをその特級の品質で売るということは妥当でないという状態になつた場合には、それをさらに手入れをしまして、審査委員会にもう一度かけまして、もう一度それの格付をするということはあり得るのであります。
○原説明員 午前中奥村委員から御質問になりました、体刑の実績はどの程度になつておるだろうかというお話でありますが、今年の一月から九月までまとめて申し上げますと、検挙件数が三万一千九百十件、告発件数が四千八百五十三件、懲役が八十三件、それからそのほかに懲役と罰金刑を併科されましたものが四百十件、結局御質疑の体刑は、合せまして四百九十三件になつております。
○夏堀委員長 あと御質疑ありませんか。
○奧村委員 本案につきましては昨日来質疑を行い、すでに質疑も盡されたと思われますので、質疑はこの程度で打切り、討論採決に入られんことを望みます。
○夏堀委員長 ただいまの奥村君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○夏堀委員長 御異議ないようでありますから、本案に対する質疑は以上をもつて打切ることに決定いたします。 これより酒税法の一部を改正する法律案を議題として討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。奧村又十郎君。
○奧村委員 自由党を代表いたしまして、本案に賛成の意を述べるものであります。 前国会におきまして大蔵委員会で酒価引下げの請願書を採択いたしましたのが約百七十数通に及びまして、各請願書中最高の数を記録したのであります。なおそのほかに全国民がこぞつて要望しておりまして、この酒価引下げに対しまして、前国会中におきまして、約三百五十万通に及ぶ陳情書がこの国会に持ち込まれたのであります。この陳情書の内容の主たるものは、まず現行酒価があまりにも高過ぎたということであります。これはもうすでにくどく申し上げるまでもないことでありまして、ただ一つ例をとつて申し上げるならば、戰前に比較いたしまして農民は米約三升ないし四升の代価でもつて普通清酒一升が購入できましたのが、現在におきましては、農民の供米価約一斗四升代金をもつて、ようやく二級酒一升があがなえるという状態であります。これではとうてい農民のふところぐあいによつては正規の酒はあがなえない、こういう実情でありまするから、自然全国農村に密造どぶろくが氾濫するに至つたのであります。しかもかかる不当に高価であれば、密造するのは当然であるという観念が全国に瀰漫して参りまして政府がいかに密造対策をおやりになりましても、ほとんどその効果が上らぬということになつて参つたのであります。 その次に、この密造が次第に氾濫すると同時に、この密造のために国民の思想、社会の秩序、保健、衞生に及ぼすところの害毒またはかり知れないものがあるのであります。この酒価の引下げあるいは密造対策の要望か、こういう陳情書となつて国会に提出された。これらの事態に対する対策として、今回政府がこの法律案によつて酒価を適正に引下げて、そして密賣対策と相まつて、正当な酒の売れ行きを増すとともに、税收をふやすという本案は、まことに一石三鳥をねらつたところの最も適切なる法律案と考えるのであります。われわれはむろんこの法律案の価格をもつて、これで十分な農民あるいは国民大衆の適当な価格であるとは申さないのでありますが、今日のいろいろな国内の事情からいたしまして、これはやむを得ないと考えるのであります。ただしかし特配酒の価格につきましては、いささかわれわれとしてはいま少しこの際価格を引下げたかつたという希望を持つのであります。何となれば、特配酒は主として農家の供出用などの農家特配にまわされ、あるいは労務者特配にまわされるのでありまするが、この価格の引下げが足らなかつた。これを現行特配酒に比較いたしますと、現行特配酒は二級酒で、もつて自由販売と比較して二百四十五円安くなつております。今回の政府案によりますると、二級酒でとつてみますると、自由販売酒と比べてわずか七十円の差であります。これでは特配酒の意味がかなり薄くなつて参るということになると思うので、これはひとつ今後なるべく早い機会に、適当な機会をもつてぜひともいま少し価格引下げをやつていただきたいと思うのであります。なおまたこの法律案が通過いたしまして実施と同時に、密造対策についてこの際予算措置を十分講ぜられ、また当局の奮起をもつてこの法律の実効を期せられんことを、特に望んでやまないものであります。 以上を申し述べて、私の賛成意見にかえるものであります。
○夏堀委員長 次は国民民主党の天野久君。
○天野(久)委員 国民民主党を代表いたしまして、討論に入ります。結論から申し上げますと、本案に賛成いたします。 そこで一、二の希望條件を付したいと存じます。人類と酒、これは神代の時代より離れない。今世界において、人類の存するところに酒のないところはないのであります。いかに人類に対して酒が必要であるかということが、はつきりわかるのであります。そこでこの酒は、由来わが国においては、戰争のあるたびにその戰費をまかなうためか、あるいはそのあとの財政を補うためか、酒に対する税金は、たびたび加重されて参つておるのであります。しかも今回の戰後における増税は非常なものがあるのでありましてその結果は至るところに密造が氾濫いたしまして日本国民をしてこのために遵法精神を相当傷つけて参つておるのであります。そこでわれわれは、この際わずかではあるが、政府が行われたこの減税案に対しては、当局の非常な労苦に感謝を捧げます。しかしいまだこれではとうてい国民が納得行くところまで参つておりません。しかし内外の情勢からこれはやむを得ないと存じまするので、今回はこれに対して賛意を表しまするが、次会におきましては、国民の牧人と相マッチいたしまする税額になるように、御努力を願いたいと考えておるのであります。 なお配給酒等につきましても、先ほど同僚奥村委員からもお話がありましたが、今回の下げ方が、わずか一升に対して奇ということは、農民階層あるいは勤労階層の酒に対する情勢と解せざるも、はなはだしいかと考えております。この際私は自由酒よりより以上下げて、勤労階級に安い酒を飲まし、そして勤労に励まし、しかも密造対策とともに、遵法精神を国民の上に養うように施策を講ずることこそ、善政であると考えております。この配給酒に対する五月の値下げは、はなはだ遺憾に存じております。しかして今後におきまして、もし自由、配給の二本建の制度で参りまするならば、次会の改正においては、配給酒において特段の御配慮を拂つてもらいたいと思うのであります。 なおつけ加えて申し上げたいが、この加算税というものは、おそらく税制設置のときに、いわゆるやみ価格をこれに加重したものである。いわゆる市場におけるやみの酒は、公定価格上りそれだけ上まわつておるので、税金としてもこれを加算して、自由酒として販売したらどうか、こういうようなことが加算税を課した一つの動機となつておるのではないかと考えております。今財界も自然におちついて参つたと政府当局は言つておられます。われわれはそう考えておらぬが、そう言われる政府当局は、財界がおちつくとともに、やみ価格として課した加算税をとつて、一本として、国民が收入の範囲内で一日の勤労をいやすために、飲み得るように訂正あらんことを要望いたしまして、本案に賛成をいたします。
○夏堀委員長 社会党、川島金次君。
○川島委員 私は日本社会党を代表いたしまして政府に若干の注意と條件を付しまして、本案に賛成いたすものでございます。 言うまでもなく税制の改正というものは、できるだけ国民生活の安定と確保ということに重点がなければならない。政府は過般来国民負担の軽減ということを有力な看板の一つといたしまして、この臨時国会に臨んで参つた。その中で今回補正予算におきまして、所得税に関する税制の改正並びに酒税等の改正を出して来たわけであります。われわれは政府の減税政策というものが、真に国民の負担を軽減し、国民生活の安定と確保とを重点としての減税政策であろうと、常識的には期待しておつたわけであります。ところが現われて参りました所得税におきましてはもちろん、この酒税の改正におきましても、なるほど税率の上ではそれぞれ若干ずつつの引下げを見ておることは、あえて否定をいたすものではございません。しかしながらその反面において、予算上から見れば逆に一億二千九百余万円の増收を見込んでおるという、まことに奇怪な数字がここに現われている。国民の負担を軽減するということが重点であるべき減税政策が、法律そのものは率を引下げて軽減した名目にはなるけれども、実質的には逆に国民のふところから余分に酒を通じて收奪をするという、まぎれもない予算をここにおくめんもなく出して来ておる。政府は酒を通じて右のほおをなでながら、実は左のほおをぴしやつとたたくという形、これが吉田内閣の減税政策のむしろ正体だと思う。ことに與党の諸君でさえもこの減税の問題についてかつてない近来まれなる批判を試みておる。まことに與党の諸君健在なりと私は思う。(笑声)ことに配給酒のごときに至りましては、與党全員が税の引下げに対する政府の不熱意にほこを集中して、攻撃的な論戰を張つておる。まことに奇妙な委員会の風景をすらも展開しておる。政府はこの状況に対して大いに再思三省すべき点があるのではないかという感じを、私はつらつら深くいたしました。今日の国民経済の実体、政府の諸政策の失敗から起つておりまするところの大衆生活の逼迫等からいたしまして、大衆にとつてむしろ生活必需品と言われておりまするこれらの酒のごときは、本来でありますれば配給酒値段程度に小売価格を引下げるということを、われわれは先般来主張して参つて来たのであります。しかしながらそれができないで、辛うじて二割内外の引下げで糊塗し、しかも実質的には大衆から余分に金をとるという酒の税金の改正案、まことに水谷長三郎君の言いぐさではないが、羊頭を掲げて狗肉を売るというのは、このたぐいだと私は信じて疑いません。しかも配給酒の問題につきましては、また與党の諸君から要望があり、鋭い批判も出ておるようなありさまであります。これは、こういう問題に対する吉田内閣の熱意の不足、さらに進んで言えば、むしろ與党諸君の怠慢から、かくのごときことになつたのだとさえ言えると思う。もう少し酒の問題について、安く国民に提供のできるような酒とさせたいという熱意をもつて、すべからく與党の諸君は結束して政府を鞭撻し、一日も早く諸君の希望するような販売価格引下げの方向に向つて精力的に闘うべきだと私は思う。そういう意味で、わが党はこの酒税の改正が、必ずしも国民全体の上からいつて負担の軽減になつておらぬということと、酒の価格の引下げが必ずしも今日の国民経済が要望する程度にまで引下げられておらぬということから、一日もすみやかに政府は国民の輿望にこたえて、できるだけ早くこれらの酒類の小売価格の引下げを実施するように、最善の努力を傾注すべきであるということを強く要望いたしまして、不本意ではありまするけれども、本案に賛成をいたすものであります。(拍手)
○夏堀委員長 共産党、米原昶君。
○米原委員 共産党を代表しまして政府に対して二、三の希望條件を付して賛成の意見を述べます。(拍手) 川島君から基本的な問題について指摘されましたので、繰返すことは省略いたしますが、われわれの希望しております條件は、第二に與野党を通じて指摘されました、この程度の値下げでは勤労大衆は決して酒は飲めない。ことに配給酒に対してわずか五円しか下つていない。これでは今度の若干のベースの引上げ程度に対しては、あまりにもまだ酒の値段は古過ぎる。この点をぜひ今後改正してもらいたい。これが第一の点であります。 第二に、先ほども質問いたしましたが、農家の密造酒の問題であります。これは單なる密造の取締りの対策を強化する費用を出す、こういうことによつては、絶対にこの程度の引下げでは解決しない。それだけの金があるならば、むしろさらに値下げする方にその金を使うべきである、われわれとしましては先ほども申しました通り、税率を大体百パーセントくらいの程度のものにして、農家に対しては委託醸造を許すというような形にまで持つて行かなければ解決しないと思う。そういうような特例を一日も早く設けられることを希望するものであります。 さらに一般的な点につきましても、先ほど川島君からるる指摘されました通り、今度のこの値下げによつて、実は予算の面から見るとむしろ国民からさらに大きな收奪をやつている。この根本的な点についてわれわれは非常遺憾に思うのであります。われわれといたしましては、單に農家だけでなくて 一般的にも酒の税金は百パーセント程度にまで下げるよう今後大いに努力してもらいたい、これを第三の希望條件としましてそういう事態ではありますが、少くとも税率が若干下つて酒が安くなるということに対しては、われわれ決して反対するもの直ない。そういう意味で賛成するものであります。(拍手)
○夏堀委員長 討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。 〔総員起立〕
○夏堀委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。 なお報告書作成の件につきましては委員長に御一任を願いたいと存じます。 〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕 —————————————
○夏堀委員長 次に所得税法臨時特例法案、揮発油税法の一部を改正する法律案、及び砂糖消費税法の一部を改正する法事案の三案を一括議題として質疑に入ります。宮幡君。
○宮幡委員 ただいまの税制改正法案につきまして、各法案にわたるきわめてこまかいこと、あるいは総括的なこと、これだけをお尋ねして行きたいと思います。時間の関係もありましようし、まだ公聽会も相済んでおりませんので、一応公聽会に備える意味もありまして、はらごなしという意味でお伺いします。しばらく税というものから離れておりました関係で、感覚もかなり違つておるだろうから、間遣いがありましたらどうぞ御遠慮なく正していただきたい。 まず第一番にお伺いいたしたいのは、今後の予算補正に対します税の関係で、租税及び印紙收入の自然増加というものが大十八億六千二行万円でございますか、盛り込んであります。減税は六十三億九千七百万円、こういうことでありまして、実質におきましてはどうも減税になりにくいような感じの持てるものであります。しかし制度として税率は下り、個々の負担について検討いたしますれば、税の減つたということは明らかな事実であります。しかし数仏を並べてみると、どうもわれわれと十義、主張を同じくしない方面の方々からは、いわゆる水増し補正予算などという言葉で、片づけられはしないかとおそれるものであります。そこでこの六十八億六千二百万円の内容につきまして、数字はすでにお示しをいただいております。そのうちで特に大きく掲げられてあります法人税の百八十六億七千六百万円は、内容を申すとむずかしくなるかもしれませんが、どういう関係でどういう税源から生まれて来て増收になるかという御説明を一応伺いたいのであります。もしこまかい数字にわたることでございましたならば、公聽会に間に合いますまででけつこうであります。 それから申告所得税が税法改正によりまして、増減がないように表示されておりますが、一体税制改正によつて、申告所得税がもし百万円のけたに乗らない程度の増減であるということで、集約されておりますならば、これはそれでけつこうでありますが、もしあのような増減が何もないような感覚でありますと、私の考えから行きますと、どうも矛盾があるように思います。やはり申告所得税につきましても、若干の影響のあることが当然推定されるわけであります。この点を明らかにしていただきたいと思います。まずこの二点をお伺いいたします。
○平田政府委員 今のあとの問題から先にお答えいたしますが、申告所得税は御承知の通り来年度から実行するわけであります。従つて本年度は予算には載らない。来年度の見込みにはやはり相当の減税が出て来ます。今出しておりますのは本年度の分でございますので、影響がないというふうに考えます。本年度は勤労所得税につきまして一月から三月までやる。それが五十六億の減でございます。それから水ぶくれにつきましては、先日も予算委員会で説明したのでありますが、水ぶくれどころではない。私ども相当確実だと確信いたしております。ことに御指摘の法人は、最近の新聞紙等に載つております決算状況等から見ましても、絶対に大丈夫だと確信しておるところの一人でございます。この算定の基礎を、法人税について御指摘がありましたから申し上げますと、いずれもこれは最近までの課税実績をもとにいたしております。今年の四月から十月までの法人税の牧人の実績が、二百九十九億七千四百万円でございます。これを一番の土台にいたしております。それに対しまして十一月以降の課税見込み額を計算いたしたのであります。これを計算する際に、まず昨年の同期におきまして、一箇年の法人税の收入に対して昨年の十月までに幾らの割合で入つたか。その比率を求めたのであります。その比率を求めますと、この十月までの法人税の收入が昨年の全体の法人税の收入に対しまして、昨年は四一・七%に当つております。従いまして下中期の分は一〇〇から四一・七を差引きました五八・一が入つて来る。全体を一〇〇といたしまして、そういうな計算が可能でございますが、ただ最近は非常に申告の成績がよくなつております。昨年は年度末に大分更正決定をしたような事情もありますので、むしろ下中期の分は去年よりも割合からいつて若干少いという手がたい見積りをいたしまして、結局十一月以後の分を五三・七%とふんでありますが、下半期は去年より少し圧縮したわけでございます。それで計算しますと、三百四十六億七千九百カ月というものが十一月以降に入つて来る。しこうしてこれからさらにこれを單純に合計しますと、約六百四十五億になるのでございますが、この今年の上半期の分には超過所税得の分がある程度入つておりますので、それを一〇%と見て、三十四億を下半期の分から落しました。それから落した数字が六百十一億でございます。それと下中期はもう一つ再評価を行いましたので、再評価によつて減価償却がふえて、それで税金が減るのであります。その分を三十九億五百万円さらに差引きまして、本年度の見込み額を五百七十二億七千八百万円、このように見たのでございます。これは最近までの実績の減るべきものは相当減らして計算しておりますので、確実ではなかろうか。ことに九月の決算状況等から見ますと、私どもますます確信を持つておる次第でございます。
○宮幡委員 ただいま主税局長さんの御説明を聞きまして、非常に安心いたしました。確実なところに確実な税收がある、こういうことによりましてまずこの予算補正の基礎というものはきわめて強固なものであることを、われわれは確信いたしたいのであります。 次にお尋ねいたしたいのは、この算書の上に、税の関係で現われております租税拂いもどし金の増加八億という数字がございますが、これはどういう関係で発生し、どういうふうに処理されるお見込みのものでありますか。
○平田政府委員 これは卒直に申し上げまして、最初決定したが誤謬があつて直す、納めた税金を返す、あるいは納税が善意に納め過ぎまして、あとで調べてみたら納め過ぎだから返す、そういうのが租税拂いもどし金の大部分でございます。当初予算で計上しておりましたのが九億でしたか十億でしたか、これはあとで調べたのでありますが、それに不足を生ずる見込みが出て来ましたので、補正予算で計上して拙いもどしに遺憾なきを期そうという考え方でございます。あまり体裁のいいものではないのでございますが、間違いははつきり直しまして、返すべきは返すという考えで予算に計上したわけでございます。
○宮幡委員 ただいまの御説明によりますと、もし更正決定あるいはその他の決定におきましてあるいは事務的の過誤等がございましたならば、これはすみやかに訂正し、そしてもどすべきものはもどすということを、徹底させようという予算処置だと了承してよろしゆうございますか。
○平田政府委員 お話の通りでございます。今までどうも一度税務署に拂い込むとなかなか返さぬので、それが納税思想に惡影響を與えておりますから、そういう点につきましては最近国税庁、大蔵省ともに、むしろ返す方も全然スピードで返すようにすると、自然にまた入つて来るのだから、返す方を促進してやるようにということで、現場を督励いたしておりますことを御参考までに申し上げておきたいと思います。
○宮幡委員 ただいまの御答弁はことごとく了承いたしました。 次に予算書の末尾にあります旧税の自然増に十一億五千六百万円を計上されておりますが、この旧税として掲げられております税目の内訳がわかりましたらお聞かせ願いたい。これはできましたら資料としてあとからでけつこうでありますが、いただきたいと思うのでございます。そしてこの場合に考えられますのは、本年七月末日におきまして滞納、ことに過年度分のみで九百六十五億の滞納があるわけでありますが、うち申告所得税に対して六百七十億の滞納がありますが、これらの処理とその旧税の自然増というものとの関連を、御説明願いたいと思います。
○平田政府委員 旧税はすでに廃止になりました税でありまして、清涼飲料税、織物消費税、取引高税、その他のものがありますが、これらの税ですでに十月分まで清涼飲料税が三千六百万、織物消費税七千九百万、取引高税が五億一千四百万、その他で四千九百万ほど入つております、これに今後の見込みを若干プラスしましてここに予算を計上いたした次第でございます。 なお所得税の方の滞納は、これはやはり所得税という料目がちやんとありますので、過年度分も当年度分も予算の上におきましては、同じ科目の中に入つて来ることになるのでございます。これは見積りにおきましては、今度の新しい見なりにおきましても、過年度分と当年度分とわけて計算いたしておりまして、昨日算委員会で説明いたしましたが、その結果を申し上げますと、今度の申告所得税は二百三十二億だけ当初予算から減額修正したわけでございます。減額修正で千百七十一億を見込んでおります。補正予算ではそのうち当年度分の收入が八百九十五億五千二百万円、それから過年度分から本年に滞納になつておる分の入る分を二百七十五億五千六百万円、これは当初予算通りになつております。それを合計しまして千百七十一億見込んでおる次第でございます。
○宮幡委員 その点もよくわかりました。 次は、今度の申告納税の期限を一箇月延長されるようになつておりますが、農業所得者の申告納入期間が、これは延長されておらないように私の見方では見えるのでありますが、その理由は何かございますか。
○平田政府委員 農業所得者につきましては、納務の時期、納税資金等の関係から考えまして、一月ずらしておるわけでございますが、これは二月でございますので、もう一月ずらす必要はあるまい。あまりこれをずらしますと年度の收入に影響しまして、翌年度に大部分を繰越すということになりますと、その年度は非常に歳入に欠陷を生じますので、二月まで延ばすのがぎりぎりじやないか、かように考えておるのでございます。従いまして農業も一般も来年度は同じくなるというような考えであります。
○宮幡委員 次にこれに関連してちよつと伺いますが、米価の改訂がすでに公表されておると申しますか、米価審議会の議を経なければ確定しないと申しますか、いずれにしましても、生産者価格がはつきりして参りました。そういたしますと、本年の当初の予定申告をしましたときの状況よりは、一応増收になる方々があるわけであります。そこで申告納税者の数がふえて来ることになるはずであろう。もちろんその所得額は千円とか千二百円程度のものが多かろうと思う。しかしとにかく今まで限界であつたという方々が頭を出して来るの。はなかろうかと思いますが、これに対します大体の増加見込みの数、並びにこれを更正決定等の方法によるか、あるいは追加申告をやるか、あるいは当初申告のような取扱いで処理されて行くのか、その取扱い方法との二つをお伺いいたします。
○平田政府委員 お話の通り農家の所得はほとんど限界点に近いところにあります関係上、所得が少しふえますと納税者になり、少し減るとへこむ。控除を少し上げますとたちまちまた免税になる、こういう関係がございまして、なかなか計算のむずかしいところでございますが、私ども今度の所得の見込みにおきましては、農業は生産が前年に比べまして二%ふえ、物価は主として米価の引上げによりまして一六%程度ふえる。合せまして一割八分九厘所得が前年に比べましてふえるだろう、こう見ております。それをもとにしましてそれぞれ前年の所得で本年予定申告をいたしておりますので、それをもとにしたこの課税所得金額に対しまして、今の指数を適用しまして、本年の見込みを出しておるわけでございます。それによりますと納税者が二百四十二万人くらいありはしないか、本年農家の税額が、来年度入る分といたしまして二百一億くらいになりはしないか、このように見ております。
○宮幡委員 次に揮発油税につきまして、一応概括的なお尋ねをしてみたいと思います。これは従価課税を従量課税に変更しまして、税額において三五%程度の軽減になるように御説明では見受けられるわけでありますが、一体この揮発油の配給量の増加の関係を、どういう数量にお見込みになつておるか。その点をおわかりでしたら伺いたいと思います。
○平田政府委員 揮発油税につきましては、最近までの課税実績をもとにしましてそれに安本の計画がございますので、その計画を見まして算定をいたしたわけでございます。それによりますと、当初の計画に比較しまして二割程度見込みがふえるようでございます。その分を自然増として計上いたしておるわけでございます。具体的に配給がどうなるかというこまかいことは、私今ここで申し上げるだけの知識がございませんので、必要がございますれば、また後ほど政府委員に来てもらつてもけつこうであります。
○宮幡委員 こまかい配給数量等の問題はよろしいといたしましても、総体的の観念としましてこの減税が予算の面から見ましても、やはり配給量がふえます分で当初予算を減額しない程度の課税の引下げをした、こういうことになりまして、これは言葉が不適当かもしれませんが、減税という観念から行くと、これは真の減税にならぬと私は思う。小さな税でありますからいいのですが、大きな税でしたら、かつての自由党の千億減税断行の大看板に対しまして、若干の非難を受けるものではなかろうかと心配いたしております。関係業者の要望をとりまとめますと、まずもつて五割の減税が適当であるということで、それを非常に希望しておるのであります。それにはちよつと届きかねるわけでありましてしかもなお市場の状況というものは、残念ながらやみガソリンが盛んに出ておる。すでに太平洋岸の七会社九箇工場も全操業に入つておりまして——数量は申し上げる必要はありませんが、二十七万キロリツターくらいのガソリンの供給ができるわけであります。これはもう少し税率を引下げられましても、当初予算の税額は確保できる。従いましてあまりに事務的に、数量がふえる分でまかない得る減税、こういうことにあまり見え過ぎて残念に思います。その他今回の予算補正に対する措置につきましては、すでに簡單な御説明を受けました中でも、自然増の問題もかなり確実に見ておられます。この点に少しの不安もありません。アメリカはすでに国民の負担が五倍になんなんとしており、かような時期に財戰国でありながら減税をするということは、その程度が徴弱であるとかいうような非難は、少し愼しむべきこととさえ私どもは考えております。しかしながらそれぞれの立場において、生計に不安なり、また民生安定の十分に得られないときにおきましては、まず減税が第一番である。そういう意味において、少しでもその方向に向われるのはよいことであつて少しも異義を申し上げる意図はございませんけれども、どうも揮発油税の組み方だけは、ちよつと感心ができないのであります。将来におきまして、相当配給数量が増加し、あるいはそれぞれの外国の営業所、エージエント等の販売が自由販売的傾向になつて参りました場合におきましては、一層減税をなさる御用意があるのか。さもなければ財政需要全般からいつて、まだしばらく揮発油税をこの程度にとどめなければならない段階にあるのか。このお見込みだけをちよつと伺つておきたいのであります。
○平田政府委員 この揮発油税が本年度減税の数字に出て来ないのは、実は徴收猶予を三月認めております関係でございまして来年度四月からこの効果が出て来るわけでございます。従いまして来年度は、二十億近くの減税という数字が出て来ると思いますが、本年は三月までに徴收する分は、減税にならぬ税金だけを徴收するという関係でございまして、この点に関する限り、御心配の点はございません。
○宮幡委員 まことに明快な御答弁で、それでこそ真の減税になるかと思います。そういう意味におきまして、ゆつくりと公聽会の公述人の御意見を聞きまして、あらためて必要なところをお尋ねするとしまして、本日は他の方の御希望もありますので、この程度で終らしていただきます。
○川島委員 まず所得税の問題でちよつとお伺いするのですが、ここに出ました改正案は、とりあえず本年度内に限る暫定的な改正案であつて、政府は明年度においても何か大幅な減税をやると、本会議でも総理大臣、大蔵大臣などが言明しておるわけであります。そこでお伺いしておきたいのは、今般出ましたこの所得税の改正案が、そのまま来年度に持ち越されて行くものになるのか。来年度は来年度で、また別な所得税の改正案が、基礎控除あるいは税率等において出て来るのか。出て来るとすれば、どのような形になつて出て来るお見込みであるか。その点をまず聞かしてもらいたいと思います。
○平田政府委員 所得税に関する限りにおきましては、来年度も大体暫定案と同じ控除、税率等を適用しました改正を、目下のところ提案する見込みでございます。ただ法律案を今出しませんでしたのは、やはり来年度の予算と一緒に審議すべきものであるという考え方のもとに、本年度限りの暫定的なものを今回は出した次第でございます。目下のところは所得税の方につきましては、ここに示しましたような控除、税率で本格的な改正を行う案としまして、来年度の予算と一緒に提出する見込みでございます。
○川島委員 暫定案が明年度においても実施されることを前提とすると、明年度の国民負担の軽減が、所得税においてはどのくらいを政府は見通しておりますか、それをお聞きします。
○平田政府委員 これは予算がきまりました上でないとはつきりいたさないのでありますが、六百億近くになると思います。勤労所得税にすでに出ておりますが、五十六億というのは大体二箇月強の数字であります。これを六倍しますと三百億くらいになるわけであります。勤労所得税は御承知の通り本年度内一月以後軽減された分、本年度に入つて来る分は二月分とちよつと入るわけでありまして、その数字は五十六億であります。年間に延ばしますとやはり三百億くらい、申告所得税、勤労所得税とも大体三百億前後の減税になると思います。
○川島委員 その点は詳しくあとでお伺いいたしますが、先ほど宮幡君からお話が出たのでありますが、滞納額が大分あるわけであります。宮幡氏のお話によると、約一千億になつておりますが、過年度の滞納、本年度の滞納、この具体的な数字はどのくらいになつておりますか。まずお示しを願いたい。
○平田政府委員 本年の九月末現在で申し上げますと、過年度分の滞納税額の総額が七百三十七億四千三百万円、本年度分が二百六十四億六百万円、合せまして千一億五千万円、これは九月の滞納の額でございます。
○川島委員 この厖大な滞納額の中には申告所得が多いのだと思いますが、そのパーセンテージはどのくらいになつておりますか。
○平田政府委員 申告所得税が本年度分が百二十億、前年度分五百六億、合せて六百二十七億になつております。
○川島委員 過年度において五百億、本年度はまだ年度中であるにかかわらず百二十億、まだ年度末には相当なものになろうと思いますが、この申告所得に関する滞納が著しく積み重なつて参つたということは、要するに中小企業の不振、金詰まり等から来ておるということと、税自体が非常に過重であるということからであろうと私は思いますが、大蔵省の調査いたしておりまする範囲において、このような滞納は一体根本原因はどこにあるのか。そういうことについて調査がありましたならば、その結果をお示し願いたい。
○平田政府委員 滞納自体は非常に私どもは重要問題としまして、いろいろの角度から実は調査もし、対策も考えておるのでございますが、やはり昨年度の申告所得税の滞納が大きかつた理由は、何と申しましても昨年の秋ごろから、ことしの三、四月ごろまで物価が相価下落の傾向にありまして経済界は全体としてはよほどいい姿になつたと思いますが、やはり一部の方面におきましては、相当不振であつた事業が多かつたようでございます。これが響いたのでございましよう。それはいわば金詰まりという形で一方において表現されておりますが、そういう事態が一方においてはございました。それとやはり二十四年度の税金は、御承知の通り所得税も相当高いものでございまして、納税者もなかなか思う通り納めにくかつたということも、これは率直に申し上げましてあつただろうと考えます。それといろいろ政治情勢、社会の一般的情勢、それに関連しまして、私どもとしましてまことに遺憾ながら、デモ的反税闘争があつたといつたようなことも、考慮に入れざるを得ないのでありますが、そういう事情がございまして、なかなか納まりにくかつたという点があつたのではなかろうかと思うのであります。従いまして、私どもこれに対しましては、できる限り納税者の実態をよく調べるように、そうしましてほんとうに納められる納税者と、なかなか納めにくい納税者とよくよりわけまして、納められる納税者に対しましては極力督励を加え、中には金はあり拝しても納税にはまわさないで自分の生活にまわしたり、次の仕入れに充てるというような傾向が大分ございまして、そういう向きに対しましてはやはり役所の方で督励せざるを得ない。惡質な場合は差押えという処分まで行かざるを得ない。そうやりまして極力納税の促進をはかると同時に、他面どうしても納めにくいと認められるようなものにつきましては、たとえば一時に納めないである程度わけて納めることを認める。あるいは時期を約束させまして、その時期までに必ず納めるといつたような措置をとるとか、いろいろ滞納者の個人的事情に応じまして、極力收納をはかるように考えて参つて来たわけでございます。その結課大分申告所得税も入りつつあるようでございますが、しかりなかなか簡單に参りませんで、九月末日現在におきましても、今申し上げましたような通りでございます。その後十月、十一月と申告所得税につきましては特別の滞納整理期間を設けまして、鋭意努力いたしておりますが、なかなかむずかしいところもあるようでございます。ただ最近朝鮮動乱以来経済情勢がよほどかわつて来まして、すでに一部の大きな産業にはその影響は十分現われているようでございます。紡績、金属、鉱山等のビッグ・コンパニーには下期においては相当よい成績をあげておるようでございますが、これらの状況はやはりめぐりめぐつて遠からず中小企業にも及ぶのじやないか。早く及ぶところと、遅れるところと、なかなか及ばないところとあるかと思いますが、漸次そういう情勢はよくなつて来るのではないか。そういうようなことと、一緒になりますれば、またこの滞納もある程度解決しやすいということにもなりますし、そういう事情ともよくにらみ合せまして、極力整理に遺憾なきを期したいと考えておるのでございます。やり方としましてどうせとれないものは帳面から落してしまえという議論もあるのですが、それを簡單に落しますと、かえつてむりして納めた納税者との間に不公平を起しますので、できる限り滞納整理の方法にくふうをこらすことにいたしまして、この問題を漸進的に解決をはかるようにいたしたい。このように現在のところ考えておる次第でございます。
○川島委員 実は過年度の滞納額が七百三十何億かあるわけですが、そこで私の記憶違いか何か知りませんが、二十四年度の所得税は勤労、申告両方合せて、当初予算では実際的に收入済み額というものは、約百億近くに上まわつておるというふうに記憶いたしておるのであります。それは事実ですか。
○平田政府委員 昨年は勤労所得税は相当上まわりましたが、申告所得税は相当大きな赤字を示しました。
○川島委員 どのくらいですか。
○平田政府委員 予算で千七百億見ておりましたのが、千三百七十億でございましたから、三百億強の自然減を生じたわけでございます。
○川島委員 そこで全体的には余分に入つた形だが、申告所得は非常に不成績であつた。しかもことしもまた不成績の事態が改まつておらないということは、一面業者、申告納税義務者の納税精神の面にも若干原因があると思うのですが、結論的に言えば、業者に対する税務署の査定が非常に過当に失するという点も、かなり広範囲にあるのではないかと私は懸念をしておるものであります。この状態で行きまして、なお一部特需関係の景気は多少よくなる面もありましようが、まだ全体的にこの特需関係が日本全体の産業経済を潤すというほどでもないと私は思つておる。ドツジさんなどもそういうようなことを言われて、日本の楽観論を戒めておるというようなありさまである。そこでこの中小企業家に対する税務署担当の査定というものが、ややもすれば過当になるという傾向が多いのではないか。それが滞納の原因をなす大きな理由だというふうにも思われております。他にもいろいろ事情がありますが、主としてそういうものが滞納を大きくさせておる一つの原因ではないかというふうに思われる節が多いのであります。一線の税務担当官が、かなり小さな裏長屋的な小店に対しても、われわれが常識的に考えても非常にそれは不当ではないかと思うほどの査定をしておりますることを、しばしば見受けるのであります。異議の申請をしても一向にそれを取合わないというようなことも、かなり具体的の事実としてあるわけであります。そういう事柄もありますので、これは国税庁長官の方に対する私どもの希望にもなるわけでありますが、中小企業方面の、ことに零細業者の滞納に対して、他の一般的な滞納と同様に差押え、公売を強行する、こういうことであつてはいかぬと私は常に心配をしておる一人であるのであります。聞くところによると、年末を控えてまたまた徴税旋風、差押え、公売旋風をまき起すように聞いておるのでありますが、そういう面が滞納の大きな原因ではないかと私は思うのです。主税局長はそのことについてどういうふうに考えられておるか。局長の所見をひとつこの際伺つておきたいと私は思います。
○平田政府委員 率直に申し上げまして、御指摘の通り賦課と申しますか、査定が私をして言わしめれば、どつちかといいますと、むしろ公平に行つていないと申しますか、過当という言葉は少し避けたいと思いますが、バランスを得ていないというのが、納税者の納税思想をよくならしめていない一つの原因であることは、御指摘の通りであると思います。これはやはり特に零細な納税者になりますと、なかなか調査が徹底しない間に、勢い更正決定を年度末にせざるを得ないというような番もありまして、なかなかむずかしい問題でありますために、うまく行つていない。その結果納税者にとつてみますと、ある人がこれだけなのに、自分はこれだけだ、こういう感じが非常に納税思想におもしろくない影響を與えているということは、これは事実だと思います。ただ全体としての高さを申しますと、最近市町村民税をやつてみてよくわかりましたが、勤労所得者に比べますと、営業者等の査定が一般に高かつたということはいまだあまりないので、むしろ勤労所得者の市町村民税にくらべると、相当なくらしをして、相当の家に住んでいながら、どうも市町村民税が低いのはおかしいじやないか、こういう非難の方が、どつちかというと多いように私ども聞いておるのでございます。従いまして問題は、あくまでも営業者なり農家等におきましても、ほんとうの所得に応じました公平な査定をするということが、何よりもこれは緊要だと考えます。その点におきまして、率直に申し上げまして従来なかなかうまく行つていないと私ども考えておるわけでございます。今回はその一端としまして、できるだけひとつ申告を指導しまして、極力バランスのとれた申告をしてもらおうというので、一月延ばすことにいたしました。そしてさらによくその結果を調べて、申告が思うように出て来ない者に対しましては、相当的確な調査を経た上で更正決定をやる。青色申告者に対しましては、これはまず帳面をしさいに検討し、何がゆえに納税者の申告と税務署の決定が違うか。その理由を納税決定書に明らかに書いてやらなければならぬことに法律ではなつております。これは税務署で今おかしなことはできない。よく調べまして原因を指摘しなければならぬ。それで不服ならば、納税者は訴訟で堂々と争いますし、そういうコースで自然道が開かれて行く、こういうことになると思います。青色申告者以外の場合におきましても、本年度は営業所得等につきましては、できるならば全体の三〇%ないし四〇%、これは自治庁としまして、実際に営業者の帳面を見る。帳面のないものにつきましては、伝票そのあるだけの書類を調べまして、それ他に基いて的確な所得を把握するという方向で、先般来国税庁が計画を立てて、目下税務署が一生懸命やつておるところであります。そうしまして自信のあるところでひとつ更正決定をやるようにしよう。これはもう少し実は二、三箇月余裕期間がありまして五、六月ごろ決定するということでございますと、実はもう少しよく手がまわりましてできるのでございますが、何しろ会計年度と課税年度とがしまいが非常に接近しております関係上、なかなか思うように行かないのが一つの大きな問題でございます。従いましてこの申告次第では、やはり今年もある程度の更正決定はやらざるを得ぬと思いますが、しかし方針としましては、でき得る限りつまり推定調査と申しますか、権衡調査等の方法による決定は少くするという方向へ行きまして、数年のうちにはほとんど全部が申告で行くか、あるいは実際に調べたものに対して決定するか、その二つで行くような方向になるべく早くもつて行きたいということで、目下国税庁も一生懸命勉強しておるようでございます。申告納税制の本旨から申しますと、もちろん当然そう行くべきものでありまして、申告が相当出て来るとそういうことができるが、申告が非常に少いと勢い多少ふつかけざるを得ない。一種の惡循環みたいな形になつておるのでございます。従いまして申告成績がもう少し上りますと、決定はあまり急がない。ゆつくり調べて、それで決定するということもできまするし、鋭意そういう方向に進みまして、一刻も早く申告納税の本旨にかなう所得税の運用ができるように、しかもそれが課税漏れが少くて、勤労所得者から文句を言われないで、申告納税者も相当納めるような方向に行くようにというようなことを理想にしまして、税務行政の推進をはかることになつておりましてこれは国税庁も確固たる決意を固めましてそういう方針に進んでおりますので、私は漸次改善をされて行くのではないかと確信いたしておる次第であります。
○川島委員 だんだん年度末が近ずくに従つて、更正決定も行われて来るでありましようし、また滞納者に対する最後の整理が強行されて行くであろうということは、見えすいておるのですが、その場合にどうぞひとつ、惡質な滞納者に対しては政府は断固たる態度をとつて望んでもらいたいとむしろ希望いたしますが、そうでない零細な業者で、事実上われわれが見ましても気の毒な申告納税者が、滞納した場合も相当あるわけであります。そういう者に対しても一律に仮借なく、血も涙もない方法をもつて処置をいたしますことはや十分ひとつ留意されることを国税庁の方へよく指示をして、できるだけゆるやかな形で、しかも最後にはその目的を達成できるような形で行くことの方が、好ましいのではないかと思いますので、そのことをこの機会に強く希望するわけであります。 それから申告制度そのものにつきましては、私も理想としては制度そのものには反対しておらないものであります。ただその申告制度が非常に不振を来したという原因は、やはり何といつても今の税が国民の実際の経済実情に沿つておらぬということが、重大な原因であろうと思う。それからまたさらにその原因に加えまして、昨年決定した税制改正の場合の実績主義といいますか、前年度の実績以上の所得を申告せよといつたような規定を設けたりなどしたことが、さらに一層その申告制度を沈滞させておる原因ではないかと私は思うのです、そこでお尋ねするのですが、あの何條か私は忘れましたが、前年度の決定所得額以上に必ず申告しなければならないというあの規定というものは、ひとつ大蔵省は思い切つてとりはずしてみたらどうかと私は思うのです、どうも所得が多くなろうとなるまいと、必ずそれをやらなければいかぬ。そして前年度の所得額よりは少く所得を申告する場合には、これこれこれといつて、いろいろな條件がくつついておつて、非常に国民としては、たいへん俗な言葉で言えば七めんどうなことを義務ずけておる。それはなかなかできるものではない。日常の帳簿をつけるのも容易でない国民が、申告の場合に、所得が前年より少くなつた理由はこれこれこれだといつて、事こまかに税務署の役人が納得のできるような形において文書にし、数字に書いて出すなんということは、やはりよほど專門家でもなければ実際はできない相談なんです。ああいうことは私は国民に煩わしさを加えるだけで、あまり利益はないのではないかというふうにさえ思うのです。どうですか。そういうことについて思い切つてひとつやめてみる方向に行く考えはないか、こういうふうに私は思うのですが、どんなものですか。
○平田政府委員 税の負担が重いので、なかなか更正決定もむりがかかるであろう、そういう話は私どもまつたく同感でございましてしかるがゆえにこそ減税に一生懸命になつておるわけでございます。今度の案もおそらく十分だとはもちろん申し上げにくいと思いますが、そういう方向については、従来に比べますと、相当改善になるということを確信いたしております。 それから今お話のありました、前年度実績による予定申告の制度でありますが、これはとりようによりましては、川島委員のごとくうまく話されますと、なるほどもつともだというふうにも聞えます。こう申し上げるとまたもつともだとお聞きになると思いますが、とにかく予定申告は前年までのところを申告しておけば、仮更正とかなんとかいうややこしいことはやらない、こういうことなんです。ほんとうのことを申しますと、條文が反対になつておりますので、いかにも今川島委員のお話のように聞えますし、またおかしな点も出て来るような感じもございますが、制度の本質は、むしろ前年の所得金額で申告さえしておけば、仮更正とかなんとかいう、中間で税務署といざこざは起さない。あとすべて勝負は本申告でつけよう。実はこういう制度でございます。しかし前年の所得金額ではしんぼうできぬ、こういう人はお話のように問題があろうと思いまして、こういう人につきましてはやはり若干見解の差で所得がふえるか減るか、二割前後を押えておるわけですが、減るかもしれぬ、ふえるかもしれぬというような人は、ひとつ前年のところで一応やつてもらおう。しかし災害を受けたとか、あるいは営業が半分しかなかつたとか、あるいは商品が値下りをしたとか、そういうはつきりしたことがある場合には、それは前年の所得の申告を認めよう、こういうわけでございましてこれは政府としましてはむしろ今までよりも簡單と申しますか、一応のところで切りをつけてしまおうという案でございます。ところがもちろん法律としましては、たとえば自分はことし所得がふえそうだ。そこで今納めておかなければ、あとでたいへんなことになりそうだという人が中にあります。そういう人には申告の道を開いておかなければならぬ。そこで申告せねばならぬという表現になつておりますが、ねばならぬということはそういう意味でございまして、以上でやつておけば政府は仮更正ができない。今までと違いまして、今まではやはり申告が低いと認めれば、税務署はまだあるはずだという認定のもとに、相当高い決定もできることになつていた。ところがそれが今度の改正によりましてできないことになつております。そういう意味におきまして、私はむしろあれは納税者にとりましても、役所にとりましても、手数はかかるが、そういう方向に行つて、税金も前年度の所得で計算した税金を納めてもらう。それで確定申告で一年の実績をよく計算いたしまして、正確なところを——納め過ぎれば三期分を低くする。それから納め足らぬ場合は三期分に追加して納める。そしてまたやはり最初にいたずらに低い申告で納めておきますと、どうしても確定申告の際に納まらなくて、滞納になるというような事情もございますから、経済情勢が非常に下り坂とか、非常に上り坂だという場合には、係数で補正するというような場合もございますが、最近御承知のように物価が大体上つたり下つたりしておる、横ばいというような場合におきましては、あの制度の方が簡便ではなかろうか、このように考えておるのでございます。もちろんこれは一つのそういうことをねらつた制度でございますので、本年実行しただけでありまして、実行の結果においては再検討の必要もあろうかと存じますが、今のところ私どもとしましては、決して惡かつたとは実は考えておりません。むしろことしなどは、米が上りまして農家などは若干所得がふえそうだ。ふえますと、前年の実績だけで納めてもらつた税金が大分足りそうもなくて、三期分には相当納めていただかざるを得ない、そういう方々にはもう少し以上で納めてもらうことを、少し勧奨しておけばよかつたと実は思つておるのでございますが、そのことは、そのときにはわかりにくい。わかりにくいから、そのときには一応のところでやつておこうじやないか、こういう制度でありますことをひとつよく御了承願いまして、もう少し様子を見ていただきたいと私考えておる次第であります。
○川島委員 その点についてはまだぼくにもいろいろ意見があるのですが、時間がありませんからこの次の機会にします。 そこでもう一つこの際、これは根本的な問題なのでお尋ねしておきたいのですが、大体基礎控除と扶養控除の制度の本質の問題なんです。現在の大蔵大臣の池田さんが、去年の一月の総選挙前後だと私は記憶しておりますが、本来から言えば、今日の免税点は月に一万円、年に十二万円ぐらいがほんとうなんだというようなことを実は方々で言い歩いたわけです。ぼくらもそうなればまことにけつこうだ、国民もそうなればけつこうだと思つておつたわけなんですがそういうことは池田氏自身の放談であると、かりに私は軽く受流すのですが、そうでないといたしましても、所得税を賦課する場合に、少くとも私は国民の最低生活、常識的に言う最低生活、そのときの経済事情等をにらみ合せて、国民の最低生活に税が食い込んで行くという形をとることは、断然避けて行かなければいかぬと思う。従つてこの基礎控除のごときは、少くともその納税義務者の最低生活に割込まぬということ、裏から言えば最低生活費を確保してやる、こういうところに私は主眼がなければならないというふうに思う。しかし最低生活費の確保といいましても、敗戰国民としての最低生活、あるいはアメリカ人、イギリス人の最低生活、それぞれおのおのその国によつて相違のあることはぼくらも認めますが、少くとも今日、財政も経済も政府みずからがやや安定して来たと言つておるほどの段階になつて来たのです。一般勤労者はもちろん、農民、零細な中小業者に至るまでの大衆国民生活の最低は、税が食い込んで行かぬということでなければならないと私は思うのですが、そういう点から行きますると、従来政府がしばしば出して来まする基礎控除、あるいは扶養控除という観点とは、およそ縁遠い控除額であります。従つて税金がややもすればまんべんなく最低生活に食い込んでしまうという形となり、それが国民生活の不安の一大原因ともなる。それがまた日本の経済再建にややもすれば重大な支障を来しておる、こういう循環的な形になつておるわけではないかと思うのです。そこで基礎控除のせつかくの改正でありますが、従来の二万五千円を五千円上げて、扶養控除は従来の一万二千円を一万五千円、こうなれば税率は若干改正もありましたから、なるほど税負担の軽減にはなろうと私は思いますけれども、そもそも最低生活の確保という観点から見れば、まだまだ至らざる点実に多いと私は考えるのであります。今回の改正がこのまま明年度も続くのだというお話であります以上、もう少し政府は強力に打つ手を打つて最低生活に近いものの確保のできるような税の体系をつくつてみるべきではなかつたか、こういうふうに私は思つておる一人でありますが、その点について、主税局長の率直なる見解や所見を、この際伺つておきたいと思うわけであります。
○平田政府委員 所得税の控除をどうするかという問題は、理論的に考えますと、なかなかむずかしい問題があるのでございます。財政学者の本等を読みますと、やはり今お話の通り、できる限り最低生活に食い入らざるような控除をすべきだというのが、一つの有力な説だと思います。従いましてそういう議論は議論として大いに尊重しなければならぬと思いますが、ただ最低生活費をどういうふうに見るかということはなかなかむずかしい問題でございまして、簡單に右から左に数字は出さないようでございます。これは見解によりまして、労働組合の主張する最低生活費と、現実に国民経済の許す最低生活費が、かつて二、三年前に非常にキャップがあつたというような事実は、私もよく知つておるのでありますが、そのときの経済生活において許す限度の最低生活費をどういうふうに見るか。これはなかなか実際問題としてむずかしい問題があるようです。ただ最近は大分経済も安定して来ましたので、最低賃金の制度と関連しまして、この問題を本格的に政府も取上げることで進んでおるように聞いておるのであります。しかし私どもははつきりその結論が出ているということはまだ聞いておりません。従つてこの議論としてありましても、なかなか簡單な結論は出て来ないのですが、私どもとしましては、でき得る限りそういう事情も考慮しつつ、他面財政の需要と申しますか、それが所得税にどの程度收入を期待しなければならないか。それから所得税にどの程度の收入を上げる場合において、ほかの税收とのバランスがどうであるか。かような点を考えまして所得税の免税点をきめているわけでございます。たとえば先ほども酒税をもつと大幅に値下げすべきだという議論がありましたが、私は今酒税をさらに一層半分ぐらい下げて、收入が三百億ぐらい減るような案よりも、そういう財政事情となりましたら、所得税の控除を引上げる方が先じやないかという感じがいたします。そういう点はすべてやはり相関連して財政需要とにらみ合せてきめる。財政政策といたしましても、あるいはこの程度の所得税の控除で收入を上げるとするならば、もつと歳出は切つてもいいかどうか。これは大いにやはり議論のあるところで、そういうことこそ国会において大いに検討していただきたいと思いまするが、しかし私どもが予定いたしておりまする来年度の歳入歳出、それから本年度の補正予算の状況等からにらみ合せますと、所得税といたしましては今までの関係もあり、この程度の改正を本年度並びに来年度において行いますのがまず妥当ではなかろうか、こういうふうにいろいろな点を考慮いたしまして、結局妥当なところにおちつけるということにならざるを得ないと思います。最低生活費控除一本やりでは問題は解決しない。もちろんそれも一つの重要な点だと思いまするが、その他の点もいろいろ考えまして、結局そのときとして妥当な解決をはかつて行くよりほかはないというふうに考えます。 それから先ほどちよつと大臣の十万円説をお出しになりましたが、今度も実は奥さんとお子さんが三人ですと、免税点は十万五千円になつてしまうのです。独身者の場合が三万五千円ですが、家族が子供が三人と奥さんがおられますと、免税点は実は十万五千八百八十八円になります。世間一般ではよく基礎控除だけが免税点のごとく受取つてしまうので、これは川島先生はそうじやないと思いますが、私どもは非常に誤解を受けるのです。ほんとうの免税点は、基礎控除プラス扶養控除、この一つが免税点になるわけで、普通の世帯は、むしろ独身者の世帯というよりも家族のある世界が通常でありますから、通常の勤労者の世帯、たとえば子供の三人の世帯で考えますと、十万五千八百八十八円が免税点であり、これを所得から控除するわけでございます。だから十一万円の所得がございますと、十万五千八百八十八円を引きますとわずか課税所得となりますのは四千百十二円、これだけが課税所得になる。二十万円の所得でありますと、二十万円から十万五千何がしを引きまして、やはりそういう課税所得になるという関係になるのでございまして、家族控除と両方考えて御判断願いますと、今度の改正でも相当な改善になつておるということを、お認め願いたいと考える次第であります。 なお沿革的に申し上げますると、昨年はとにかく一万五千円という基礎控除、それが二万五千円になり、来年は三万円になる。消費者物価指数は若干高くなつておりますが、ほとんど昨年の平均と最近とは、わずか高くなつておるというだけでございます。そうしますと実質的には、基礎控除はこの一年半くらいの間に、非常な引上げということが言い得るかと思いますが、そういういろいろな関係を考慮しまして、結局私どもといたしましては、この際としてはこの程度が妥当かということで、判断していただくようにお願いいたしたいと考えておる次第でございます。
○川島委員 今の局長の考え方に反駁するわけじやないのですが、もちろん基礎控除、扶養控除を合せたものが免税点になることはよくわかるのであります。しかし今度の税制改正は、それだけでは済まされない面があるのです。要するに地方税における大増徴が国民にかぶさつて来ておる。そういうことも十分に考え合せてみますと、なかなか勤労者や零細業者などは容易でない面ある。われわれ自身においてさえも身にしみて感ずるものが多々あるわけであります。そういうことを私は強く申し上げ、同時に政府の熟考を煩わしたいと思うので申し上げたような次第でございます。そこでまだいろいろお尋ねをいたしたいところがあるのですが、ことに私の爾余の質問は大蔵大臣の池田さんにお尋ねしたいことが多い。従つて今日のところは私の質問はこれで打切りまして、いずれ機会がありましたならばさらにお尋ねを続けたい、こういうふうに思います。
○夏堀委員 本日はこれをもつて散会いたします。 午後四時七分散会