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9回国会衆議院1950/12/05

水産委員会 第7号

発言数
16
登壇者
7
会派数
1
開催日
1950/12/05

会議録

冨永格五郎自由党

○冨永委員長 これより水産委員会を開きます。  漁業資材、特に燃油の件を議題といたします。発言を求められておりますのでこれを許します。田口委員。

田口長治郎自由党

○田口委員 漁業用燃油の価格問題につきまして、先般来閣議におきまして一応延期をするということが決定されたようでございますが、その後の経過につきまして、当局から御説明を求めたいと思います。

後藤眞吉経済安定事務官

○後藤説明員 石油の価格につきましては、私ども安定本部の方ではほとんど物価庁と連絡がとれておりません。昨日も聞きに参りましたけれども、はつきりした返事を受取れませんでしたが、まだ決定されていないようであります。ただ聞くところによりますと、多少の歩み寄りで、重油は一八%か一六%ぐらいになるのではないかということを聞いておりますが、これははつきりしておりません。

田口長治郎自由党

○田口委員 先般来の委員会で、水産庁と物価庁との関連ということについて詳細質問をしたのでありますが、やはりこの間においても連繋がとれていない。ただいま安本との連繋を調べてみますと、やはりとれていない。こういうようなことでは、迷惑をこうむるのは水産業者ばかりであります。実際官庁のほんとうの仕事が安全にできていない、こういうふうに考える次第でございます。先般水産庁に対しましても、物価庁とよく連絡をとつて、今回の改訂については非常に不合理な点が多いから、この不合理な点を計数的に是正をし整理をしなさいということを申し上げたのでありますが、安本におかれましても、企画の総合官庁として、物価庁と全然連絡がないということでは、みずからの職権を放棄しておられるようなふうに考えるのであります。どうか水産庁と一緒に物価庁とも密接なる関連を持ちまして、従来漁業用重油は免税で処置されておつたという点もお考えになりまして、不合理な点をよく是正していただきたいのであります。私らが不合理な点と申しますのは、原油から精油をされます場合に歩減りを一割と見ておる。われわれの調査によりますと、大体二%ないし四%程度が精油の際の歩減りと考えておるのでありますが、あの基礎資料によりますとそれを一割と見ておる。それから卸及び小売のマージンが、販売価格のほとんど三〇%を占めておる。あらゆる商売で、三〇%のマージンというものは、ほかに例がないと思うのであります。そういう点はいろいろな各地の油屋の現実からいたしまして、少し利潤の幅が広過ぎるのではないか。こういう点からいたしまして、この三〇%の利潤はまだ相当圧縮できる、こういうような感じを持つております。第三に重油とガソリン、との関係でありますが、ガソリンは税金のことを考慮いたしますと、むしろ現在よりも値が下つておる。にもかかわらず重油の方は一八%値上をする。こういうような数字は、漁業の現況からいたしましてどうしても納得できないのでありまして、ガソリンの値上りの分まで、電油でこれを負担しておると申し上げましても過言でないと思うのでございますが、この点、運輸省関係、あるいはガソリンを使用する者、こういう方面の猛烈なる運動によつて、かくのごとき数字が出たというような風評もあります。もしかりにさようといたしますと、はたはだ穏当でないと考えますから、ガソリンと重油とのバランスということについて、特に御研究を願いたいと思うのであります。最後に漁業用の燃油はガリオア資金で輸入されておる。このガリオア資金で輸入されたものを一般の油とプールして、そうしてことさらに値を高くしておる。われわれの見解によりますと、ガリオア資金で輸入したものは一般のものとは別である。いわゆる原価で供給してよろしいもので はないか、こういうふうに考える次第でございますが、現在一般の燃油とプールにして、そうしてそのために値上りの幅が高くなつておると考えます。百歩譲りまして、これが一般のものとプ—ルしてよいというふうにいたしました場合に、その差益というものはどういう方面に使われるか、その点もひとつはつきりとお伺いしたいのであります。燃油の価格問題につきましては、大体さような点についてお尋ねいたしますが、あと数量の問題につきまして多少質問いたします。

小高熹郎自由党

○小高委員 関連して質問いたします。わが国の産業を語る場合に、当然の結果として考えられるものは動力源であらねばならぬと思われます。その動力源とは何があるか、第一が電力であり、第二が石炭であり、それと並行するものにこの石油類があると思うのであります。こういうことを考えまする際に、今回石油類の値上げに関しまして、先般自由党の政務調査会及び閣議の問題となつておるということを聞いておるのでございまするが、わが国重要産業の大なる現われとしての水産業の動力源としての重油及び石油類の値上げを、このまま政府は見のがすことができるかということについて、どの程度の論議をされたかということについて、私動力源という一つ根本問題に立ち至りますとき、ひとつその内容及び今まで政府のとり来りました過程をお聞きいたしたいのであります。なぜこういうことを申すかというと、重油の値上りによつて、魚類が順のこぶしであたかも肥料が値上りしたために、米価が順のこぶしで値上りできるという環境に置かれるならばともかくとして、ただいまの漁業はとうていそういう状況は許されない。重油が高くなつても魚価安は魚価安だというようなことで、この産業全体が石油類の値上げによつて萎縮するおそれなしと言えないのでありまして、大所高所から論断いたしますときに、政策的に考える意味において、石油類の値上げをある程度押えなくちやいかぬ。もしそれを認めなければならないところの理由がありといたしまするならば、水産業の萎靡沈滞を来すおそれなしとは言えないのでございますから、それに対する解決方法をどう思つておるか、この点についてお尋ねいたしたいのであります。

後藤眞吉経済安定事務官

○後藤説明員 田口委員の御質問の第三まではごもつともだと思うのであります。私どもも上司と連絡をとりまして、できるだけ物価庁の方に申入れをしていただくようにしたいと思います。  それから第四の、従来水産用の石油はガリオアで入つておつたと言われるのはごもつともでありますが、これは水産ばかりではありませんで、従来ネイビー・スペシヤルで入つておりましたものは全部ガリオアです。本年度の当初におきますところの安定本部の一応の需給の見通しでは、重油のうちB重油、これはネイビー・スペシヤルでありますが、これの水産用の使用は大体半分くらいである。ですから、ガリオアで入つた安いものを高く売つて、一部の利益を国産の原油の助成金に従来はまわしていたようでありますが、今度の価格改訂ではそれはなくなるように出ております。もちろん水産のこうむつた不利益は非常に大きいのでありますが、これは水産ばかりではなく、ほかの関係にもあるということだけお答えいたします。  それから小高委員の御質問はごもつともでございますが、今の状態では、もつと上の方でないと私どもでは御返事ができないのであります。

田口長治郎自由党

○田口委員 今回の値上りで、最も高くなつておりますのは軽油でございます。この軽油は、政府も御承知の通り、四馬力、五馬力、六馬力という小機械の、いわゆる沿岸漁業の小漁業者が使つている油であります。こういう点から考えまして、軽油を四八%も上げるということはもつてのほかと考えるのでございますから、物価庁と折衝いたします場合は、前三項とともに、軽油が著しく値上りしておることは一番困るということについて、強く御折衝を願いたいと思うのであります。  さらに量の問題でございますが、昨年前借り制度が全然停止をされた、その関係からいたしまして、各種漁業ともに、実際に油不足のために漁業ができない状態が現在頻発しております。このことは、あの当時われわれが前借り制度を廃止するとすれば絶対量の不足をどうするか、絶対量が不足しておるのに前借り制度を停止するということは、結局業者に対して仕事をやめろということと同じであるということを言いましたところ、これに対して、この絶対量の増加ということについて、最大の努力をするというような言明があつたように、私記憶するのでございますがいずれにいたしましても、絶対量が足りない場合におきましてあの制度を廃止するということは、業者に対して仕事を放棄しろと言うことと同様でありまして、昨年以来われわれはそのことを考えておつたのでございますが、ちようどわれわれの予想通り、不幸にも各種漁業が燃油不足のために仕事を休まなければならぬ、あるいは操短をしなければならぬというような実情になつております。さなきだに生産費は非常に高くつく現状におきまして、仕事を短縮する、あるいはある期間休むということによつて、非常に生産費がかさばつておるのに魚価は下つておる、これに対処するのには、われわれはどうしても生産費を切り下げなければならぬ。こういうことで行くよりほか道はないと考えておるのでありますが、油不足のために操短をする、そのために非常に生産費が高くなつておる、こういうような実情になりますと、実際において漁業者は仕事ができないようなかつこうになつております。これに対しまして政府はいかようにお考えになつておるのでございますか。あるいは油の量の増加ということについて、現益までどの程度に努力をされて、どういう結果が出ておるのでございますか、その点をひとつはつきり御説明を願いたいと思います。

十川正夫農林技官(水産庁生産部長)

○十川説明員 第一点の軽油の値上りの問題につきましては、これは田口委員の御説明になりました数字は、どれをとられましたか知りませんが、物価庁案として聞きましたところの最終のものは、軽油は三一%の値上りになつております。これに対しまして、水産庁といたしましては、物価庁に話をいたしまして、申入れをいたしてありますのですが、その申入れば、もともと油の値上りの問題は、原油が上りましたことが一つと、もう一つはタンカーの輸送賃金が上りましたことが一つと、それが原因になりまして、それにガソリンの値下げを考慮に入れてきめられたものと考えるのであります、それで物価庁原案といたしまして一応示されましたものは、税を入れますとガソリンの値段が現在の九六%になるわけでありますから、現在から四%低くなるわけであります。その他の油につきましては、おおむね軽油及びB重油が上つておりまして、その他も上つておりますが、一番よけい上つているものは軽油及びB重油であり、特に軽油の値上りが多くなつているわけであります。このことは水産にとりまして、軽油及びB重油が水産の燃料でありますから、非常に困るわけでありまして、一応私の方の案として示しましたものは、値上りが原油の輸入及びタンカーの輸送に基くものならば、これはやむを得ないかもしれません。しかしながら上げるには同率に上げてもらいたい、ガソリンを下げて水産の油を上げるということ、原油及びタンカーの運賃が上つているにもかかわらず、一部の石油製品の値段を下げて、水産用燃油を上げるということには不賛成である。上げるならば同率に上げてもらいたい。同率に上げることにいたしますと、一応私どもの方の積算では、五%程度上げればよろしいことになるわけであります。しかしこれは正確な数字を私どもの方に持つておりませんから——と申しますのは、原油からいろいろの種類の石油製品を出します割合がこの値段に響いて来ますわけでありますから、はたして五%というのが動かせない数字か、あるいは計算をこまかくいたしますと、多少の動きはあるかもしれませんが、一応私どもの方で計算いたしましたところでは、五%程度の値上りになるわけであります。そのようにしてもらいたいということを申入れてあるわけでありますが、しかし事務当局で話合いをいたしましたのでは、なかなか話合いがつきませんわけであります。そこでこれは上の方で政治的に御解決願うほかはないと思いまして、大臣にもその趣旨をよく説明いたしまして、閣議でもありました時分には、その趣旨を説明していただくということになつておる現状でございます。  第二の量の問題につきましては、これは前に水産部長が日本の石油の配給を増加する場合のステートメントを発表されたわけであります。それは資源を枯渇することなくして、漁獲の増加をでき得る漁業には増加配給をする、それから魚の繁殖保護について完全な法制的な措置がとられているものについては増加配給して行く、こういう点を発表されましたのであります。増加配給と申しましても、ひとしく一口になつて参りますからして、どれだけもらつておつて、その上増加配給であるかというその基礎数字があるわけであります。それでその基礎数字につきましていろいろと突き詰めて考えましたところ、その基礎数字は、すべての石油製品を入れまして四十八万八千キロリツトルである。そういうことが明らかになつたわけであります。それに先ほど申しました二つの増加配給をし得る場合について今までもらいましたものは、さんまの漁業について七千五百キロリツトルの増加配給をすでに受けております。それから台風による流失、損失、これにつきまして八百四十キロリツトルすでに受けております。その上に南方のまぐろ船団に対して千八百キロリツトル受けておりまして、これを加えますと一万百四十キロリツトルになります。それでありますから現在約束されておりますもの及びすでにもらいましたものを総計いたしますと、四十九万八千百四十キロリツトルになるわけであります。目下追加配給につきまして申請いたしてありますものが二万四千キロリツトルありますが、この分につきましてはまだ説明が十分でありませんために、増加配給が決定いたしておりません。なお今申請いたしております二万四千キロリツトルの内容は、かつお、まぐろ、いか漁業、つきん棒漁業、その他何かもう一種類あつたと思いますが、その漁業について増加配給を申し入れてあるのでありますが、なお資料の整い次第、その他の漁業の種類につきましても、今後増加配給をお願いいたす考えでおります。

田口長治郎自由党

○田口委員 ただいま生産部長からの御説明によりまして、一部の油は値下げをし、その値下げをした部分までを一部の油に負つかぶせる、こういうことでガソリン関係において現在よりも値が安くなり、その他の油、ことにB重油及び軽油において非常に値上りがはなはだしいということは、とりもなおさずガソリン使用者が非常に利益をして、水産業者がその分まで負担をしている、こういうことになつていることがはつきりするのであります。ただいま部長は、この問題は政治的の折衝でなければ解決がつかないというような話でございました。この各種油についてのアンバランスの是正につきましては、なるほど政治的の折衝を必要とすると考えますが、また一面この計数の不合理な点を合理化するという点につきましては、どうしても事務的に折衝しなければならないと考えるのであります。水産庁におかれましても、あるいは安本でも專門外のことではなはだむずかしいと思いますが、油の各種の計数について十分調査研究をされて、はつきりした資料を持つてあらためて物価庁と折衝されるように、その点強く要請する次第であります。  油の量の問題につきましては、ただいま大体お話がありまして、その筋の関係もなかなか思つたように行かないというようなことでございますが、この資源が枯渇状態に向つているか、あるいはさようでないかということは、現在のわれわれの知識では、なかなかそう簡單に判定がつかないのであります。今年は非常に漁が悪くて、資源がある程度枯渇に瀕している、こういうふうに考える漁業におきましても、また来年は非常な大漁に遭遇する、こういうようなことを繰返しているのが現在の水産業と思うのであります。資源を枯渇させない漁業にのみ油を増加するということはけつこうでございますが、この資源がどういう状態になつているかということがはつきりしないのでありますから、現実において油のために非常に操短をしなければならないというような実情にある漁業につきましては、何とか油をふやしてやる、こういうようなことが、あるいは適当な方法を考慮になりまして、まさに休業せんとするこの各種漁業を継続させるということについて、もう一段の努力をされるように、この際望んでやまないのでございます。私はこれだけのことをつけ足しまして、この数量について努力されんことを要請いたします。

小高熹郎自由党

○小高委員 先ほど私の質問に対して後藤説明員から、私ではわからぬから、上の者から開いてもらいたいということでございましたが、水産庁の生産部長がお見えになりましたので、部長にお尋ねいたしますが、私が先ほどお尋ねしました要点は、産業の重要なる動力源として電力あり、あるいは石炭あり、あるいは石油がある、まず電力とか石炭類の値上げをする場合に、政府においてはどういうふうな審議機関を経て値上げをするのであるか、物価庁の一方的な考えでそれに従わなければいけないのか、あるいはまた適当なる機関の審議を経て、初めてこれが妥当なりという決定を得てから値上げを承認するようになつたのであるか、それをお尋ねいたしたいのが先ほどの論旨でございまして、従つてそういうような動力とか石炭とか石油類の値上げは、どういうような扱いを受けて今次行われんとするのであるかということを、お尋ねしたいのであります。従いまして、もしそういう機関を経て来たとすれば、これは農業の面にも、水産の面にも石油類は大いに使われる。当然水産庁等の意見が相当これに入りまして、先ほど田口委員の質問に対してお答えになつたところの、値上げのむらが非常に多いというようなことは、その機関において論議されて、あとからさような論議が出なくてよいはずである、こういう点をお尋ねいたしておるのでありますから、それらの機関があるのかどうか、物価庁が一方的にきめて、それに従わなければいけないのであるか、そういう機関がございましたらお知らせを願いたい。もしないとすれば、今からでもそういう機関を設置して、むらのない適当な価格を認めるということができないものであろうか、この点をお尋ねいたしたいのであります。

十川正夫農林技官(水産庁生産部長)

○十川説明員 石油製品の値上げの問題につきましては、物価庁の第三部において主導性をとりまして立案をいたしまして、産業に及ぼす影響につきましては、物価庁の内部において会議をいたしまして、二部が必要あれば関係各省等の意見も聞いて、一応物価庁の原案をつくりまして、それから次官会議にかけて決定をいたし——実は決定をしなかつたのでありますが、それから閣議を経て決定することになるわけであります。それでこのたびの値上げにつきましては、遺憾ながら水産庁が知りましたのは先々週の土曜日でありまして、それもこちらから積極的にいろいろと情報を得まして、大体の物価庁案を察知したわけであります。しかしその水産庁で得ました材料は、物価庁の現在持つております原案とは違つていたことをその後に発見いたしました。先ほど私が申し上げました数量は、最近の事情によつて申し上げたのでありまして、これは物価庁の原案と今のところ考えてさしつかえないと思いますが、これが先々週の土曜日に知りました材料は、この原案とは違つております。この点につきましてはまことに申訳ない次第でありまして、非常に時期が切迫いたしておりまして、すでにその時分は、土曜日でありましたか金曜日でありましたか、とにかく次官会議の前日でございました。それで取急いで一応決定を延ばしてもらいまして、今事務的折衝をいたしておるわけであります。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 十二月二日付の北海道新聞に、機船底曳網漁業取締規則違反の裁判をめぐりまして、農林省令の罰則は行き過ぎたものであり、漁業法を無規せる憲法違反である、こういう記事が報道されておるのであります。これは農林省令の機船底曳網漁業取締規則を適用いたしまして、旭川地裁の留萠支部が第一審の判決をいたしましたのに対しまして被告人が控訴をいたし、それを札幌高裁で竹村裁判長のもとに審理をいたしました結果、農林省令は法律を無視したものであるということでこの原判決を破棄せよ、こういう裁定が下されておるのであります。事件は、本年三月三十日宮城県七ケ浜村の漁業者渡辺源吉が天売島付近で農林大臣の許可証なしに魚類約八千貫を漁獲して留萌海上保安警備所員につかまり、五月二十一日旭川地裁留萠支部で農林省令第十九号第二十七條を適用されまして、機船底曳網漁業取締規則違反として懲役六箇月及び罰金五万円の判決を言い渡されたのであります。これは法律によれば、漁業法第六十五條に懲役二年以下罰金五万円以下、こういうことになつておりまして、札幌高裁の解釈によりますと、この懲役と罰金は双方併科できない、こういう解釈のもとに旭川地裁留萠支部の原判決を破棄せよという裁定をいたしておるのであります。こういう問題が今惹起いたしておるのでありますが、私ども国会の法制高等におきまして調査いたしましたところによりますと、この農林省令は漁業法の第六十五條の範囲内において規定したものでございまして、省令と法律との間には何ら矛盾はない。農林省令において併科できるということを規定いたしておることは、決して漁業法六十五條を逸脱したものではない、こういう解釈が成立つのでございますが、これに対しまして農林当局はいかように考えておられるか。札幌高裁の原判決破棄という問題に対しましていかなる見解をおとりになつておるか、この点を明確にしていただきたいと思うのであります。

十川正夫農林技官(水産庁生産部長)

○十川説明員 この事件につきましては、私今はつきりと記憶いたしておりませんし、ちよつと所管も違いますから、できましたら間もなく漁政部長が参りますから、そのときにしていただいたらと思いますが……。

鈴木善幸自由党

○鈴木(善)委員 漁業法によりますと、漁業法第六十五條の第三項に「前項の罰則に規定することができる罰は、省令にあつては二年以下の懲役、五万円以下の罰金、拘留又は科料、規則にあつては六箇月以下の懲役、一万円以下の罰金、拘留又は科料とする。」こういうぐあいに規定いたしております。また農林省令によりますと、その第十四條に「第一條の規定に違反した者は、二年以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又は併科する。」こういうぐあいに規定をいたしておるのであります。この懲役と罰金とを併科するということが漁業法第六十五條の第三項に規定する「二年以下の懲役、五万円以下の罰金、拘留又は科料」というこの規定の範囲を逸脱するものである、こういろ見解が札幌高裁の原判決破棄の理由であります。私ども国会法制局のこれに対する見解を聽取いたしましたのに、併科することは農林省令において初めて規定しておる問題でなくて、昭和二十年勅令第五百四十二号の「「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」あるいは「施行に関スル件」、こういうような政令等におきましてもやはり併科するというようなことが行われておりまして、決して漁業法の罰則を逸脱したものでないという見解をとつておるのであります。従いまして農林省令は決して漁業法を無視したものでない、こういう結論が出ておるのであります。しかるに札幌高裁におきましてはこの農林省令を適用したところの旭川地裁の留萠支部の判決を、これは法律違反であるという見解のもとに原判決を破棄せよ、こういうことになつておるのであります。今後この農林省令の実施にあたりまして、先例にもなることでございますので、当局としては明確にせしむる責任があると思うのであります。

松任谷健太郎農林事務官(水産庁漁政部長)

○松任谷説明員 お話のような問題につきましては、当初規則をつくりまして公布いたしました場合におきまして、これは法務府とよく連絡いたしまして、妥当であるという見解のもとに出したのでございます。その理由といたしますところは、漁業法第六十五條三項の規定により、省令でもつて「二年以下の懲役、五万円以下の罰金、拘留又は科料」というような罰則を規定することができるというふうに規定されておりまして、これは罰の種類を列記しておるというような解釈をとつておるのでございまして、これらの罰を画一的な刑罰とするか、あるいは併科的な刑罰とするかについては六十五條そのものは何ら明記してないのでございます。そういつた意味合いにおきまして画一的にするか、併科的にするかということは、漁業法に基きました規則によりまして当該違反の性質、内容を考慮して、個別的に規定さるべきであるというふうな見解をとつておるのでございます。刑罰を併科するかしないかということは個人の基本的な人権に関連するものでありますから併科すると書かれていない場合は併科してはならないということはもちろんでございますが、そういう規定が明記されておらないというような考え方によりまして、本件につきましては漁業法第六十五條三項が、先ほど申し上げましたように、罰の種類だけをあげておりまして、それは個々の取締り規則に併科するかしないかということを讓つておるというふうに解釈をいたして、法務府とも協議いたしまして、それは妥当であるというふうに、私どもの見解はとつて参つたのでございます。ところがお話のような事件がございまして、とにかくこれは憲法の規定の趣旨からいたしまして、そういうふうな解釈をとつて規則を制定すべきではないというような判決があつたということでございますが、この問題につきましては、司法権に関する問題でもございまするので、水産庁といたしましては、もう一度法務府と十分協議をいたしまして、この問題の趣旨をはつきりいたしますように努力して参りたい、かように存ずるのでございます。

冨永格五郎自由党

○冨永委員長 本日はこの程度で終りたいと思います。次会は明後七日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時四十五分散会

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