人事委員会 第7号
- 発言数
- 27 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1950/12/02
会議録
○田中委員長 これより人事委員会を開会いたします。 ただいまより一般職の職員の給與に関する法律の一応を改正する法律案、内閣提出第一二号を議題といたします。 本法律案につきましては、昨日をもつ大体の質疑を終了しかけておるのでありますが、この際特に御質疑があれば、許可をすることにいたしたいと思います。何か御質疑ございますか。
○藤枝委員 昨日の質問でもう大体明らかにたつたのでありますが、一応念のため伺つておきます。例の特別俸給表並びに調整号俸の適用を受ける現業職員あるいは特殊勤務者等の引上率を、一般職員のそれよりも低いところに置いた里山につきましては一応了承いたしたのでありますが、しかしながら現実の問題として幾多の困難な事態が生ずるおそれがありますので、これらについて昨日適当な調整をするとの御答弁でありましたが、この現業職員あるいは特殊勤務者の今回の切りかえによつて起ります不都合正について、どのような処置をとられるおつもりでありますか、この点を念のために、さらにお伺いいたしておきます。
○菅野政府委員 ただいまの点につきましては、昨日もお答え申し上げました通りに、今回の改正法律案の中に盛られました昇給制度でございますが、これは現在の政令できめてあります昇給の基準に比べまして、相当有利にできております。また人によりまして、特に成績のよい職につきましては、特別の昇給もできるようになつておりますので、こういうような規定の條文を活用いたしまして、一方におきましては昇給資金を、調整号俸、特別俸給表等によりまして今回格差を下げられました職員については、特に考慮して予算を配付するとともに、その條文の適用によりまして昇給の方法によつて調整をして行きたいと考えております。なおまた法律の切りかえ等の上では一応調整号俸がなくなつたような形になつておりますのにつきましては、将来人事院とも相談いたしまして、一般の原則であるおおむね格差を半分にするという原則に基きまして、適当な調整を加えたいと考えて、おります。
○松澤委員 こまかい点でありますけれども、ちよつとお聞きいたしたいことは、食糧配給公団の給與が今回の切りかえによつて切り下げられるということになるのでありますが、もはや食糧配給公団もあと幾ばくも存続期間がないということになつておるのでありまして、ことさらに法律によつてこれを切り下げる必要もなかろうと思うのでありますが、この点につきまして政府の御意見を伺いいたいと思います。
○磯田政府委員 ただいま御指摘になりました食糧配給公団の問題につきましては、今回の給與改訂に際しましては、各少目の職員はその本俸、扶養手当、地域手当等につきましては、一般職の職員とまつたく同じような給與体系がつくられておりますが、それに特別の加俸といたしまして、従来二割の公団手当と称するものが與えられていたのでございます、この点につきまして、今回の改正におきましては、他の一般職であるところの公団の職員と同様に、それからまた他の一般職の特別俸給表あるいは調整号俸の適用されるところの職員と同じように、原則といたしましてこれら調整号俸及び特別俸給表によるところの特別な取扱いを半分にするというような建前と歩調を合せまして、この食糧配給公団の特別手当につきましても、従来の二割を一割にするという結果になつでおります。しかしながらその特別手当の二割を一割に引下げをいたしましても、なお一般の公務員に比較いたしますときには、相当有利な給與を受けるということに相なつておりますので、大した支障はないのではないかと思つております。
○平川委員 大蔵当局でなしに、これは人事院の方の関係になるのかもしれませんが、しかしただいまのところ、まだ人事院では案がないだろうと思いますので、政府の方へお尋ねをしたいと思います。最近十二月において昇給をする予定の者があるのでありますが、そういうものは昇給をしたあとに、号俸の切りかえをすることができるかどうか。それから昇給の問題につきまして、いわゆる、直近上位三百円以下の場合は六箇月で昇給できるということになるのでありますが、来年度に公務員の約九割というものが二回の増俸を受けることになります。この昇給についての予算の措置がどれだけ講じられておりますか、この二点について承りたい。
○磯田政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、今回の昇給規定の改正は菅野副長官からたびたび御説明がありましたように、能率給的な観点からこれを改正することといたしておるので、ございまして、従いまして、従来の昇給期限を六箇月、九箇月、一年というふうに短縮はいたすのでございますが、その昇給につきましては予算の総額の範囲内でなければいかぬという規定があるのでございます。もちろんそれに相当する程度の昇給の財源というものは、来年度の予算に見込んであるつもりでございます。 なお十二月に昇給期限の来ておる者につきましては、十二月に昇給されたその結果に基いて切りかえられるということに相なります。
○平川委員 なお教育職員につきましては特別の推定表というものがで、きておるのであります。ところが地方財源り関係上、これをまだなかなか実施し得ないところもあるように聞いておるのでありますが、こういうものにつきましても早急に、この法律が実施に至ります前に上げておかないと、非常な不利を見るというようなことが起りはしませんか、その点について大蔵当局の御見解を示していたかきたい。
○磯田政府委員 ただいま教職員の問題につきましてお話があつたのでございますが、その教職員で昇給期限に達しましたものを、規定通りに昇給させるかどうかということは、各庁々々、それぞれの長の権限の問題でございます。なお従来昇給期限に到達いたさないで、往々にして規定を破つておるような問題もあるのでありますが、そういう点につきましてはこの附則の規定によつて、不当に、たとえば本年の十二月末日におきまして昇給するような者につきましては、あとで調整させることに規定上きまつております。従つてその規定によつて全体としてバランスはとれるというふうに見ております。
○田中委員長 他に御質疑はありませんか。——御質疑がなければこれにて本法案に対する質疑を終了いたします。 引続き本法案を議題として討論を行います。討論は通告順によつてこれを許します。
○加藤(充)委員 議事進行について、ただいまの時刻において地方行政、文部、労働、それから当人事委員会との連合審査が、問題は地方公務員法の案件についてでありますけれども、事の性質は決して簡單な問題の審議ではなしに、年末の差迫つた昨今における年末手当の問題、あるいは焦眉の急になつております給與一般の問題との関連において連合審査がなされておると思うのであります。当委員会におけるいわゆるベース・アツプの案件についての質疑は、大体において一応は終了されたと思うのでありまして、そういう限りにおいては一応質疑を打切るということは、私は妥当ではないと思いましても、しいて反対はいたしませんけれども、少くともこのベース・アツプに関する質疑を打切つたにいたしましても、討論の段階に至るには、今開かれております連合審査の結果を待つのが至当である。それが当然だと思います。別に議事の審議を遅らせるとかなんとかいうやましい根性ではなしに、委員会の権威、各党の立場、そういうようなものも考慮の上、その終了まで討論は延期をしていただきたいと思います。
○田中委員長 加藤君のただいまの議事進行に関する御発言でございますが、かねてよりこの法条の取扱いにつきましては、本日の本会議に上程をするのに間に合うように討論を終局するという理事会の打合せがあり、このことは本委員会においても委員より御報告を申し上げておつた通りであります。そこで私ただいま連合審査会に参りまして、その状況を確かめて参りましたところが、各委員より要求しております政府委員もいまだ出そろわない、そこで本日一日中、夜までこの連合審査会は時間を要するという見通しでございます。そういうことになりますと、ただいまの加藤君の御意見のようにいたしますと、本日中の本会議にはとうてい上程できないというようなことになつて参ります。なお質問は本数名の人が立つのでありまして、当委員会の質問の順位はあとにまわしてもらうように、私よりかつてながら話しておきました。そういう状態でございますので、ここでごく短かい時間をさいて審議をいたし、討論をする時間をとりましても、連合審査会の審議にはさほどさしさわりはない、こう考えますので、このまま討論に入ることにいたします。
○加藤(充)委員 それはなるほど当委員会の理事会などで一応の目途を立てられたことは当然でありまして、その点について私は何もとやかく言うのではございませんが、大体において全体の議会の運営上、そういうことが不可能になつてしまつたのであります。連合審査の予定ですらが十時から始まつて十一時に終る予定で、しかるべき方たちが集まつてそういう目途を立てられたと思うのでありますが、今委員長が確4されて御報告に相なつたように、きようのそういう目途がはずれてしまうような状態になつたのでありますので、そういう全体の運営の問題と切り離して、当委員会だけの目途だけを一方的に主張されるということは、委員長と議論のやりとりをするつもりありませんけれども、それはあまりに非論理的であると思うのであります。当委員会の問題だけではなしに、全体がそういう運びになつてしまつた現実におきましては、そのことによつて委員会の理事会あたりの最初の目途が、その通り実現されないことになつたといたしましても、それは当委員の理事並びに当委員会の責任ではないと思いますので、私は委員長の御説明では納得できません。あえて委員会の権威のためにも、全体とのつり合いのためにも、やはり問題の本質上からいつて先ほど発言いたしました議事進行を御採用になつていただきたいと思います。
○田中委員長 ただいまの加藤君の御発言は、討論をこの際延期せよとの動議と承ります。この動議に対する討論は省略をいたしまして、ただちに採決をいたします。加藤君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立少数。 討論に入ることにいたします。討論は通告順によつて許します。藤枝君。
○藤枝委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題になりました公務員の給與改善に関しまする法律案に賛成をいたします。 政府職員の給與が相当低位に置かれておりまして、その生活状態や民間賃金との比較その他からいたしまして、改善をはからなければならない状態になつておりましたことは皆様御承知の通りであります。しかしながらこの政府職員の給更改害ということは、一面民間賃金への影響、さらにひいては一般物価への響き等も考慮いたさなければなりませんし、国民の負担能力とも関係いたすものでありまして、愼重に考慮する必要があろうと思います。幸いに最近の経済状態、あるいは国民負担の関係からいたしまして、公務員の給與を引上げましても、民間賃金ひいては一般物価への影響も断ち切ることができる状態であります。また国民負担の増加をこれ以上求めないでも、給與改善ができるという状態に立ち至つたこの機会に、来年一月一日現在におきまして、平均一月八千円程度に給與を引上げることに至りましたことにつきまして私はまず賛成をいたすものであります。 今回の法律案が去る八月九日に出されました人事院の勧告をそのまま内容にいたしておりません点に幾多の反対があるのでありますが、その主要な点につきまして、私は本法案の妥当性を申し上げたいと思うのであります。 第一に去る八月九日に出されました人事院勧告のおもなる考え方と申しますものは、御承知の通り独立の生計を営むところの成年男子が、国民の水準的な生活を営むに足る給與を與えるということであり、そうしてこれを土台といたしまして、民間賃金との均衡をはかつたというところであろうと思うのであります。言いかえますならば、公務員の給與が、少くとも国民の生活水準を維持し得るようにしようとするのが、その人事院勧告の大眼目の一つであろうと思います。今回提出されました法律案におきましても、この精神は貫かれておるのでありまして、すなわち独身の成年男子が、国民の生活水準を維持するに必要な経費、一月三千三百五十円というものを土台といたしましては、上は民間給與との均衡をはかつておるのであります。こういう戸から考えますならば、今回の法律案が、人事院の勧告の精神を生かしつつ、適当な結論を得たものといわなければならぬと思うのであります。ただ人事院との違いは、この三千三百五十円という独立の生計を営むところのものの基準をどこに置くかという点にあるのでありますが、人事院勧告によりますれば、十六歳も含むクラスに置いておるのでありますが、これを今回の法律案は、平均十八歳のクラスに置いておるという点でありまして、この点はむしろ少くとも独立の生計を営む公務員というところを基準にいたしますならば、この法律案の考え方で妥当ではないかと思つております。 第二に今回の法律案が上に厚く、下に薄いという議論があるのでありますけれども、先ほども申しましたように、基準を独立の生計を営む公務員の成年男子というところに置きまして、民間給與との上を、民間給與の平均に謎きました結果が、今回の俸給表になつたのでありまして、必ずしも下級者の犠牲におきまして、上級職員の待遇を改善いたしたと言うことはできないと思います。ことに責任の地位にあり、しかも生活的にも相当困難を感じておりました中堅幹部クラス以上の人たちが、今までむしろ税金との関係等も考え合すならば、給與が非常に薄かつたのではないか、それを回復したものだといつてもさしつかえないと思います。戰前上下の差か二十五倍以上もあつたことは別論といたしましても、あの生活給的な色彩の非常に強かつた二千九百円ベース当時におきましても、上下の差が十倍程度にありましたことをあわせ考えますならば、今回の法律案の給與体系は妥当なものであろうと考えるのであります。 次に特別号俸表、あるいは調整号俸の適用を受けるいわゆる現業職員、特殊勤務者等につきまして、引上げ率の調整をはかつた点におきましてでありますが、この点も例の三千九百円ベースに切りかえる当時のいろいろな歴史的な事情も勘案いたしますならば、最近の勤務時間の問題、あるいは職務の困難性等の事情の変化からいたしまして、この程度はあるいはやむを得ないのではないかというふうに考えるのでございます。しかしながらこの点に関しましては、先ほど質問にもあつたのでありますけれども、とにかく今までかような現業職員、あるいは特殊な勤務に従事しておられる人たちの、いわば一種の既得権みたいに考えられておりまするものの調整をいたすのでありますから、俸給の切りかえにあたりましては、幾多の困難左事態が生じて参ると思います。この点に関しましては、先ほど答弁をお聞きしたのでありますけれども、本法律の実施にあたりましては、特に十分な御考慮を願いまして、この切りかえ後の処置が、あまり事情の大きな変化を来さないような特別の考慮をしていただきたいと思うのであります。 また地域給の問題でありますが、これは法律におきまして、すべて人事院の勧告をまつて、人事院の考え方のようにいたそうとし、おりまして、それまでの暫定処置でありますけれども、地域給は御承知の通り、言うまでもなく生活費の地域差に基くものでありますから、最近の統計によりまして、その上下の差を縮めたことは、むしる妥当であろうと考えておるのであります。 以上人事院の勧告と本法律案の違いにつきましては、もちろん十分その趣旨を尊重すべきではありますけれども、今申しました各諸点につきまして、本法律案がむしろ妥当であろうと私は考えたのであります。さらに本法律案につきましての重要な点は、昇給につきましての規定を置いたのであります。元来昇給期間いかんということは、給與の問題そのものに、給與の内容に触れまする重要な問題でありまするけれども、これが政令にゆだねられておつたのであります。今回これを法律の中に規定するとともに、昇給期間を短縮し、あるいは成績優秀たる者には期間を超越し、また二号俸以上の昇給ができるというふうな改善をはかりましたことは、給與引上げと相まちまして、公務員の給與改善に十分な役割を果すものとして賛成するものであります。 以上簡單に私はこの法律案が政府職員の給與改善につきまして、相当現在のわが国の経済事情、あるいは国民の負担、また国民の生活水準等を考慮いたしまして、最も妥当な処置であると考えまして、賛成をいたす次第でございます。
○田中委員長 次に下川篤雄君。
○平川委員 私は国民民主党を代表いたしまして、本案に対して反対の意を表するものであります。 ただいま自由党の方から、るる賛成の意見がございましたが、私どもはそのいかなる点につきましても異なつた見解を持つでおるのであります。こまかな点を申し上げますならば、地域給の率の引下げにつきましても、ただいまやることは尚早であると考えます。現在のごとき態度を、暫定的ならば続けるべきである。また号俸調整はこれまた廃止すべきであると考えるのであります。昇給につきましても、法文に現われました字句はその通りでありますけれども、ただいまもただしましたように、どこまでもこれは予算のわくに縛られる昇給であります。しかもこの国家公務員に正する給與法に準じまして行われまする地方公務員、これは非常な多数に及ぶのでありますが、これらの給與改正につきましては、今もつて例の平衡交付金の増額の問題で、同会全体をあげてもんでおるような状態であります。私は必ずしも十分に行くとは考えられないのであります。 そもそもこの生活給から能率給へ進むべきであるということは、私どもの理想であります。あるいは地域給をできれば廃止する、あるいはその差を縮めるということも、家族手当やあるいは特種勤務手当なんかも考慮を加えるということは、これは一つの行き方としては当然のことだと思うのでありますが、ただ問題は、かようなものが発生いたしましたのは、国家の経済の実態からやむを得ず出て来たものであります。名誉とか体面とかを維持するに足るような給與が公務員にもし與えられておるのならば、こういうものはない方がいいにきまつておるのであります。また職業の選択が自由であり、やめてもすぐ他の仕事につくことができるような状態ならば、またこれも問題がないだろうと思うのでありますが、現在の内閣のごとく社会保障の点におきましても、失業の対策についても、きわめて貧困な政策しか持ち合せていない実情におきましては、かようなものが存在するのは、まことにのつぴきならぬ現実であるといわざるを得ないのであります。こうした意味で十分な生活の保障のなし得る給與基準を與えずして、ただいまのごとく地域給の率を引下げましたり、号俸の調整をいたしましたり、あるいは能率給へ進むと称して、高級官吏の大幅の増額をやるというような事柄は、まことに野蛮きわまるやり方であるといわざるを得ないのであります。私は現在の国家の経済状態の上から、かような点を実施することには、はなはだ不満の意を表せざるを得ないのであります。ことにただいま自由党の方からのお話がありましたように、三千三百四十四円の人事院勧告に対して三千三百五十円とやつておるのは妥当であると言われたのでありますが、やはりこれは二級一号を標準にして考えるべきであつて、その限りにおいては人心院の勧告が三千三百四十円であるものを、やはり三千五十円のようにいつておるのであります。ここから出発しておると考えざるを得ないのであります。比較する場合にはどうしてもそう比較すべきである。私はいわゆる八千円ベースであるとか八千五十八円ベースというような言葉に、識者のうちにも誤解を招くので、今後はこうした通俗的な名前を改めて、個々の基礎の上に立ちまして、政府案は三千五十円ベース、人事院勧告は三千三百四十円べースであると呼称していただきたいと思います。その方がよはどはつきりいたすと思うのであります。また藤枝さんは、民間給與の上位をとつておるし、片方は平均値であるから、こういうふうな差ができたと言われるのであります。しかしながら何ゆえにその上位を選び、何ゆえにその平均を選んだかということについては、これは給與に対する考え方というものが、根本の思想が大きく違うておるのであります。決して單純にそのどちらかをとつたということにはならないのであります。ここにおきまして、この人事院の勧告と政府の今度の案というものは、まつたく別個のものであると私どもは考えざるを得ないのであります。 さて、そういうような意味におきまして、政府の提案いたした理由を見ますと、しきりに人事院の勧告を尊重しておるかのごとく言つておるのであります。私はむしろこのところに、かえつて政府のきたない根性が現われておるように思わざるを得ないのであります。私は結論的には、人事院の勧告はまつたく無視せられ、葬り去られたと断ぜざるを得ないのであります。前にも質疑において明らかにいたしましたように、政府案が成立をいたしました過程を考えてみますのに、まず政府は人事院の数字をもとにしたと言つておられますが、結局人事院の資料は八月に提出せられた勧告案ないしはその付属文書以外の何ものでもないのでありまして、朝鮮動乱が勃発をいたしました以後の経済情勢に即応いたしました数字とは何らなつていないのであります。また人来院は、この成立の温和において、提案までに意見を求められたことはあるかもしれませんが、協力はいたしていないと私どもは信じておるのであります。またこれをやりました内閣審議室の機構というものは、あれをもつてしては科学的、合理的な権威ある結論というものは出るはずがないのであります。また官房長官は各省の給與関係のエキスパートを相談にのせておると言われたのでありますが、本委員会における一参考人の言葉をもつていたしましても、さような事実がないということが明らかであります。ここにおいて私どもは大蔵大臣が與えた僅少のわくの中で、なるべく体裁をうまくつけるために、官房長官と大蔵省の給與当局が秘密裡に作成をいたしたものが、この政府原案であるということを断ぜざるを得ないのであります。またさきにも申したことでありますが、この勧告案の給與体系をそのままにとつたというのでありますが、昨日の委員会の質疑においても明らかにいたしました通り、基準の置き方も違う、また比率の数字も違うということになつて、どうしてその資料や方法をまつたく人事院勧告の通りをやつたということができるでありましようか。方法というものは目的があつて初めて方法たり得るのであります。また資料であるという数字も、その目的によつてどんなふうにも使うことができるのであります。かような児戯にひとしいりくつをもつてわれわれに説明をいたすものは、まつたくこれは委員会を欺くものであつて、当人事委員会に対する重大な侮辱であると考えざるを得ないのであります。まつたくこの勧告案の給與体系は、人事院の勧告とは別物であります。労働三法に認められた働く者の権利、あるいは憲法において認められた基本的な人権の維持さえも制約されておる公務員が、しかも国民の公僕として忠実に奉仕する義務を與えられておるのであります。政治的な行動はもちろんのことであり、経済的な要求についても十分に行動の自由を許されてはいないのであります。給與法というものはこういう状態に置かれておる公務員に対して、科学的な合理的な方法によつて適正な給與の基準を定め、彼らの要求があるに先んじて満足な勤労の代償を支拂うということを精神とするものでなければならないと思います。この意味において人事院が存在をするのであります。従つてその権限でありますところの勧告というものは、單に給與の法律をつくりますための手続として解釈せられてはならぬのであります。また勧告の内容自体は、これは單なる理想案として葬られてはいけないのであります。私どもは、公務員は国家に勤労をささげるものであるから、この公務員の忠誠にこたえんとするところの国民自体の公務員に対する義務の心を表現をいたしたものが、人事院の勧告案として理解すべきであると思うのであります。なるほどしばしば政府当局が言われますように、給與というものが国家財政というものに左右せられるということは、これは当然のことであります。国家の経済状態に左右せられるということは当然なことだと思うのであります。給與に関して科学性とか合理性とかを論ずる場合には、確かに現実の国家の経済事情というものを無視しては考えることができない。しかしながら、国家の経済事情というものは、決して吉田内閣の財政政策と同じ意味ではないのであります。この点ははつきりと峻別せられなければならない。私どもは、今回のごとく財政政策によつて給與が曲げられておるということについては、はなはだ反対の意見を述べざるを得ないフであります。 吉田政府はしばしば、戰後におきまして国民の経済不安をもたらす一つの大きな原因として公務員の数が多いということを申しまして、大幅の行政整理を公約をいたして参つたのであります。しかしそれは公約通り実現をしておらぬのであります。しかも今回の質疑におきまして、政府は明らかに現在の定員には一名も剰員はない、これ以上首を切る必要はないのであり、これは国務をやつて行くのにはぜひとも必要な定員であるというふうに言明をせられておられると思うのです。それならば民間給與を下まわる給與をもつて遇するということは、いかなる意味においてもこれは理由が立たないのであります。国民に対する奉仕ということは、これは至高の最も国難な責任でなければならぬのであります。戰前そうでありましたように、責任のある業務に対しては民間の給與を上まわるものでなくてはならぬと思うのです。また政府はしきりに国民の血税を濫費してはならぬと言つております。なるほど減税は必要でありましよう。しかしながら、政府の減税たるや次第々々に細つて参りまして、ただいまの六百五十億にいたしましても、この実態というものは決して国民のふところから出て来ます税額を減すものではない。單なる法律上の減税にすぎないのであります。しかも地方負担というものは増加しておるような状態であります。かような減税の面子を立てるために公務員の給與を犠牲にするということは、これは最も罪悪的なことと私どもは考えるのであります。国民はなるほど一部の公務員の非能率、不親切、怠慢、悪徳、こういうものに対して非常に不満を持つておりましよう。しかしながら、それは、一面におきましては苛酷な税に対する憤懣のやり場所として、さような点に向けられておるということも事実であります。真に忠実にして有能な公務員に対しまして、名誉と高い俸給によつて遇することに反対をいたさないのであります。むしろ当然必要な数の公務員を低い給與をもつて遇さなければならないということは、これは商売でいいますならば、政府が経営に対して失敗したことであり、経営に対して怠慢であるということであります。資本を出しでおります国民のその資本を濫費しておるというのは、むしろこういうところにあるのであります。どうしてもやつて行けないならば、剰員がありますれば、むしろ整理したらよろしい。しかし剰員がないということを言明されました以上、管理の責任はすべで政府にあるのであります。だからこれは財政政策の一つのはね返りとして給與を下げるのではなくして、その財政政策の根本として給與の問題は考えてもらわなければならぬと思う。 なお一言つけ加えたいことは、国家公務員は吉田自由党内閣の使用人ではないのであります。自民の使用人である。これに妥当な行遇を與える、それに誠意を盡すということが、政府の責任でなくてはならぬと思います。私どもは、かような意味におきまして、人事院の勧告案が必ずしも最上のものとは思いません。しかしながら、あれたけのスタツフをもつて、そうして法的な根拠に基いて努力を続けております人事院の数字以外には、科学的なものとして推奨するに足るものはないと考えます。従つて、かような意味において権威あるものとして、人事院の勧告を取上げざるを得ないのであります。私どもは、政府がすみやかにこの案を撤回せられまして、あらためて人事院の勧告通りの法律を御提出せらるることを望んでやまない次第であります。 現在提案をせられております給與法案に対しましては、以上のような理由において絶対に反対の意見を表明する次第であります。
○田中委員長 次に松澤兼人君。
○松澤委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、この法律案に対して反対の意を表明いたします。 第一に、今平川君が指摘されましたように、この法律は表面的には人事院の勧告を尊重しているごとく見えているのでありますが、実質的には少しも尊重していない。私どもは人事院しあり方についていろいろ考えるのでありますが、それはどこまでも政府職員に対する一つの保護機関として與えられた権限を十分に果すことを望んでいるものであります。従つて人事院の勧告したのはぎりぎりの線でありまして、この線は財政上の都合もあることながら、少くとも政府は、この勧告に基いて給與を改めるという方針をとることが、第一の要諦であると考えるのであります。御承知のように、先ほど給與の問題については権威者といわれており序す今井一男君が、民間給與を比較するならば、一万円の給與が必要であるということを言つておられるのであります。先ほど藤枝君は民間給與との関連について、この際給與を引上げても民間給與に影響はない、民間給與を引上げるという原因がないのでベース・アツプが妥当であるということを言われたのであります。これは明らかに自由党あるいは現在の政府がとつております政策の本質的な現われであると思うのでありまして、政府職員の給與を引上げることが、民間労働者の給與を引上げることになりさえしなければ引上げてもよろしい、こういうところに自由党あるいは現在の政府の根本的な特質があると思うであります。藤枝君はもちろんよく御存じのけずでありますが、公務員の給與は民間給與と均衡を得ていなければならない。民間給與とつり合いがとれていなければならない。そういう点を考慮するならば、現在の八千円弱のベースでは不十分であるとはつきり言えると思います。この資本家的な考え方からいつて、民間給與が引上げられないように政府職員の給與をきめるこの根本的な考え方に、私どもはどうしても賛成することはできないのであります。なお現在予算は審議中でありますし、かつまた当然この法律案と関連して審議しなければならない政府職員の年末手当に関する法律案というものは、まだ出ておらない。人事院の勧告は明らかに十三箇月の給與を拂わなければならないという趣旨であるのであります。従いまして年末手当は給與の一部分として、十三箇分を通じたものでなければならない、こういうふうな意味の勧告であるのであります。しかるに政府はこの給與の問題とは切り離して、わずか半箇月ばかりを、しかも思恵的に政府職員に與えようとしているのであります。この点を考えてみますと、私どもは少くとも給與の改正と、それから年末手当支給というものは一体として考えられなければならない。現在予算も審議中であるし、年末手当の法律案は出ておらないという段階に、政府は給與改訂の案だけを先に出しているので、この点につきましては、われわれは政府の真意を疑わざるを得ないのであります。 それから上下の幅の問題でありますが、私どもはやはり給與政策としては、人事院総裁も言われましたように、常識的な言葉でありますけれども、下に厚く上に薄いということがやはりとられて行かなければならない。今回の政府の案によりますと、非常に上の方に幅広く給與が引上げられており、下の方には低くなつておるということは、せつかく戰前の非常に大きな幅から漸次これを圧縮して参つた人事院の努力が、またもう一度幅が広くなるということになるのでありまして、この点も私たちは承服できないのであります。 なお地域給及び調整号俸の問題につきましては、いろいろと論議がありました。私どもは、地域給が人事院の案ができるまで暫定的に打われるということであるならば、やはり現行を維持することが妥当であると考えるのであります。かりに二割五分を最高として五分減らしという方法をとりましても、やはり不合理というものは是正されないのであります。もしどちらの方法においても不合理が存在するというのであれば、政府職員の生活に響かないようにすることが、政府として当然とるべきことであると考えますので、地域給の問題につきましても、私どもは反対の意見を表明しなければならないのであります。 調整号俸の問題につきまして、いろいろとお話もあり、かつまた藤枝君も多少遺憾の意を表明しながら、やむを得ずこれをのまなければならないというような意見を漏らされたのでありますが、なるほど時間の点につきましては、あるいは幅が狭くなつたかもしれない。しかしその職務の危險性あるいは特殊性ということは少しもかわつておらないのであります。従いまして、こういつた危險な特殊な職務に対する政府職員を希望する人々というものは、今後急激に減少し、あるいは結核や癩、その他の国民の保健上きわめて必要である施設に対する政府職員を充実するということは困難になつて来る。これらの点を考えますならば、調整号俸の問題も現状を維持しなければならないと考えるのであります。 以上の点を申し上げましてわれわれといたしましては今回の法律案に対して反対せざるを得ないということを表明するわけであります。
○田中委員長 加藤充君。
○加藤(充)委員 日本共産党を代表して本法案に反対の意見を申し述べます。 まず形式的に問題を見ました場合に、ベースという言葉が一応通用しておりまする立場から言いますならば、現行の六千三百七円ベースにXをプラスしたものでなければならないと思いますし、私どもは次に述べるような理由をもつて、現行六千五百円ベースに少くとも五千四百円を一律に加えた額、いわゆる九千七百円ベースをとるべきであると思うにもかかわらず、本案はそれを採用しておらぬという点がまず反対の第一点であります。なぜ九千七百円ベースをとれというのか。それをとりきれない給與案に対してわが党か反対するか。九千七百円ベースは全公務員労働者のむりからぬ統一した要求である。民間給與に比して正当な、まさしく給與上のつり合いを得た妥当な額である。この点について付言いたしますが、先ほど民主党の平川君からの御発言もあつたようでありますけれども、国家といえども、勤労者たる公務員の雇い主としての性格におきまして、雇い主としての責務におきましては、民間の一般事業主体と別個なものではあり得い性格を本質的に持つているものだと思うからであります。朝鮮事変以来の経済的な諸計数、労働者に関する労働省の毎月の勤労統計や、全国工業平均賃金、その他によつて案出した正当な額を加味するならば、当然にそれはいわゆる九千七百円ベースならざるを得ないのであります。そもそも人事院の勧告案の立つところの計数的な基礎にいたしましても、それ自体が非常に性質上問題が多い、むずかしいものであるということを認めるにやぶさかでありませんが、私どもの手元に集められました京都の一例をもつてしても次のようなことが言われるのであります。京都のCPS、FISの調査世帯数は著しく少くて、それぞれ約二百五十、千二百にすぎない。京都市における調査地域ははなはだ局限されておりまして、伏見とか上京とか下京の三区にすぎなくて、官庁労務者の多い左京区、東山区、中京区の調査が行われていないというのであります。また調査世帯数の真実の報告は調査員によつていろいろ加工されて、むしろ真実をゆがめられて修正され、真実が削除されて行われているということも訴えられて来ております。特に調査の信頼度が少いということについては、総理府の統計局調べの京都市のFIS、CPSと、京都市の総務局統計課の調査と、はなはだしく相違しており、総理府の方が著しく低くなつている、こういうような実例を訴えて来ているのでありまして、この点から見ますならば、先ほど言いましたように六千三百円ベースにXをプラスするというような建前に立つたといたしましても、人事院の勧告案がそれ自体科学的な、合理的な、しかも真実に裏づけられたものであるとは言い得ないのでありますけれども、しかし本法案がその問題の多い人事院の勧告案すらも無視しているという点においては、わが党はこれに反対せざるを得ないのであります。それ自体問題の余地のある人事院の勧告すらも無視したというこのことは、現在の制度上公務員に関する給與、人事管理の点についての人事院の存在の意義と関連して、まことに重大なるものを意味しておる本法案であることを、私は指摘せざるを得ないのでありまして、また同時にきのうも失礼な言葉をはきましたけれども、人事院はほんとうに日曜娯楽版のラヂオの放送のように、ふらふらふんらのようなその腰をしつかりと固めた態度と、毅然としてこの際責任を全うするというような熱情を込めて、形式的 論議じやなしに、公務員の生活を守り、その上に人事管理を執行するという責任のある熱情を裏づけとされた態度をこの際表明しないだらば、まさしく人事院自体は、その労働者のためにならざるところの本質を、この機会に暴露したものになることを私はここに指摘し、人事院の奮起を促さざるを得ないのであります。さもなければ、人事院は人事院規則、あるいはまたこのたび上程されております地方公務員法、そしてまた先ほど問題を含んだまま通過しました国家公務員法の制約の諸規則と相まつて、まさしくそれは一方的な締め上げ的な機関、機能、役割を持つたものになるということにならざるを得ない。そしてまたその非難に対していかに陳弁したところで、事実の解決にはならないことを申し上げざるを得ないのであります。以上がこの法案に反対をいたします形式的な論点であります。 第二には、その内容について反対の意見を申し上げたいと思うのであります。六千三百円のベースをきめました当時においては、少くとも生活給というものが中心になつてベースが考えられたのであります。このベースがはたして生活給を保障しておるかどうかについては論外といたしましても、そういう点が一応問題になつたことは特筆さるべきであります。しかしながらこのたびのいわゆる千円ベース・アツプといわれております本法案の内容を見まするならば、それは生活給を無視し蹂躙して、そしてその結果が形式的に明らかに人事院の勧告を蹂躙した形で出て来た。いわゆる平均給與という形になつて現われて来たのであります。そのことで最も端的にその矛盾の現われております点は、いわゆる三千五十円の十八歳独身の最下級の生きとし十ける者の食わなければならぬ人々の問題でありまして、三千五十円で一人前の成年男子が食えるか、問題はこの一事で片づけ得ると思うのであります。平川君の発言遮り、それは八千円ベースであるとか、あるいはいろいろな粉飾されたベースの加工よりも、まさしく三千五十円ベースであるといわざるを得ない、そういう本質を持つたものだと言われましたが、まさしくその通りだと思うのであります。予算措置、財源の裏づけというような点から、政府は極力いろいろな口実を構えていかに粉飾しようとも、ない金は出せないというようなことにたつて来ておりますが、これはあたかも戰争中の主食の配給が、軍用米を全部天引きいたしまして、残りのものでお前たち民間人は食らえ。それで生活維持のカロリー数が出ようが出まいが、これだけで食つておれというようなことで、幾多のやみ取引や、たけのこ生活や、あるいはいろいろな犯罪や、まさしく気の弱い者に街頭に栄養失調で餓死をして行つたというような結果をもたらしましたあの考え方と、まさしく同じであり、金がないのだからこれだけしかしようがない。それだけで生活が保てるかといえば、そんなことはかつてにお前たちが処理しろということになれば、まさしくこれは人に食えない、公務員に食えたい給料を押しつけたところの、まことに人を食つたやり方であり、極端な言葉を許されるならば、それはまつたく、くそ食らえというような人を食つたやり方で、これほど無慈悲な、残忍な、人道を無視したやり方はないと思うのであります。しかもこういうようなベースを押しつけながら、一方においては先ほど申し上げましたような、地方公務員法の上程を急ぎ、先ほど通過いたしました国家公務員法、それに基きますところの人事院のいろいろな罰則、制裁、組合活動の禁止、制約、こういうようなものと相まちまして、まさしく実体的にこの法案は天皇制官僚の再現の方向に導くものである。一方に天くだり的な押しつけ命令を唯々諾々として公共のためだ、国家のためだとかいうことになつて、文字通り人民に伝達をすることになります。しかもその結果食えないのは食えないのでありますから、そこには意識すると、いなとにかかわらず、悪質良質を加えまして腐敗が起り、怠慢が起りまして、その電圧は物質的に精神的に一般公務員の主人公であるところの一般の人民に事実上の負担を増大させる結果になつてしまうと思いますの外れこれは大きく言つて民主的な、国家の公務員の人事管理の点にも重大な危機を告げるのであると信ぜざるを得ないのであり、その点をここに指摘せざるを得ないのであります。内容から見まして、上級に厚く下級に薄い、これは明らかなことでありまして、しかも人事院の次長の御説明にもあつたかと思うのでありますが、昔ならば金鶏勲章に相当するようなものに対しては拔群の成績を上げたものに対しては、特進的な二号の昇給を許すというようなことすら設けた点、これは超勤手当の不拂いというようなもの 自主的な、自発的な超勤であるといつて何一つ当然拂うべきところの手当を出さない。そうして一方においては特進的な昇給制度を設けたということは、性格的に軍事的な昔の特進制度を思い出さざるを得ないとともに、非常な労働強化に相なると思うのであります。給與昇給期間の短縮の問題についても、上級に厚く下級に薄いことは、先日の公聽会ですか、公述人の方々の意見の中にも現われた通りであります。このたびの千円のベース・アツプというようなものは事実上参生活給でありますところの地域給を引下げたり、あるいは事実上院生活給でありますところ調整号俸を動かしたりいたしまして、まことに残忍な方法でありまして、千円のベース・アツプというようなことは数次の今までの下級職員を中心にした大量の首切り、今申し上げました点と相まつて、これはまさしくやらずぶつたくりのやり方である。朝鮮事変以来、主食の値上り、家賃、地代、あるいは地方税の増額と合せるならば、失うものばかりであつて、このことによつてプラスする幾ばくも持たないということであり、政府の説明によりましても、一〇%から一三%の事実上のわずかな手取りの増額では、この経済的な荒波をまともに食つて生きて行くことは、公務員としてまともに生活する限りできないといわざるを得ないのであります。そこで先ほど申し上げ幸したように、そこへ持つて来て国家公務員法と地方公務員法の制定とにらみ合せるならば、まさしくこれは悪逆なるやり方ここにきわまれりと言つても過言でないと思うのであります。 これらが内容の点から見た反対意見でありますが、財源がないという政府の逃げ口上は絶対に許されないと思うのであります。国連協力の口実のもとに事実上日本の政治、経済、従つて予算というものが非常に戰時的な性格を持つで来たものである。そういう方面をほんとうに民主的な平和的な点からこれを徹底的に批判し、徹底的に組みかえるならば、われわれは今金がないということは言われないのでありまして、これは明らかに予算の組み方あるいは現在の吉田内閣の政治の基本方針が、この当然拂うべきところの公務員の給與すらも拂わずに、ひたすら他の戰争政策へまつしぐらに突き進んでおるためのしわ寄せが、公務員の面から言つても、こういうようなべらぼうな、残忍な給與ベースというようなことに相なつて来たものであつて、予算がないということは簡單に見ても許されないと思うのであります。なお公務員の低ベース、低給與、それから労働強化は、いろいろなことで肺病王国といわれておる日本民族のあまり名誉にならない大きな地盤を公務員の人たちがつくり出していると思うのであります。つまびらかな数字は今ここに持ち合せておりませんが、占領下にある西ドイツの生活すらが日本の生活水準の三倍に達し、アメリカあたりの労働者の最低労働賃金が一時間七十五セントである。大体において月給六百ドルであるというようなことをわれわれは聞いております。そうなれば一体日本人はアメリカ人の何分の一の生活をしておるのか。アメリカの経済的、政治的なあるいけ歴史的なものと、日本のそれと、一時に竹馬に乗つたり何かして背比べはいたされないといたしましても、肺病王国というような点、こういう劣悪な給與水準、民間あるいは公務員をおしなべてのこういう劣悪な水準というものが基礎であり、私はこの給與法の審議をやるにあたりまして、日本民族の生活水準ということを、講和の内容とも関連さして、私どもはいま少し責任と熱情と民族に対する愛情を持つて強く考慮する必要があるのではないか。ひたすらに地域給の引下げだとか、あるいは号俸調整の問題だとか、民間給與との関連だとか、言つておりまするが、問題は、それは当然でありまするが、ただこまか過ぎる、みみつち過ぎるという感もなきにしもあらずでありまして、こういう点すらか考慮されておらないこの法案には、私どもは断固として——大きく言えば日本民族の立場から、あるいはまた働く人の立場から、また小さく言えば国家公務員の立場から、私どもは断固として反対せざるを得ないのでありまして、これらがわが党がこの法案に反対をするおもな理由であります。
○田中委員長 岡田君。
○岡田(春)委員 労農党を代表いたしまして、簡單に反対をいたします。 先はどの加藤君あるいは松澤君からの反対討論もありましたように、今度の政府案をもつてしては、とうていわれわれを満足させることができない。この点はうまでもないのであります。私は少くとも先ほど加藤君の言いましたように、最低九千七百円べースが実現されなければ、公務員の生活の保障ができないという考え方を持つておりますけれども、今度の政府原案は、今年の朝鮮事変が始まる前の状態を基準にして算出いたしました人事院の勧告すらも守らないで、実際には八千円のベースであると言いながらも、実際にはまつたく八千円というようなベース・アツプにならない。われわれから考えるならば、六千三百円のべースに千円をアツプするならば、七千三百円にしかならないベースをここに出しているわけであります。しかもこの政府の内容を見れば見るほどわれわれは驚くのでありますが、今度千円アツプして八千円ベースになつたと政府が言つておるのは、実際には今年の十二月——今月が七千円に大体平均給としてなるから、これに千円を加えて八千円になるのだと言つておるのでありますが、この七千円というものは、物価の騰貴に応じて給與が引上げられたのではなくて、あくまでもこれは首切りと昇給、扶養家族の増加によつて六千九百円になつているのにすぎない。あくまでも給與ベースは六三ベースであつて、この六三ベースの基準の上に組み立てられた給與でしかないのであります。しかもこの七千円の平均給の上に千円をアツプしたと言つておりますが、この十円のアツプというのも、地域給の減額と調整号俸の削減と二つの犠牲の上において千円をアツプしておるのであり、千円のアツプも実際は下級職員の犠牲の上において上級職員が厖大な昇給をしておるという結果を招いておるのであります。先ほども各議員から反対の中に申されましたように、上に厚く下に薄いということは、まつたく明確に現われておるのであります。新聞等においては政府案の上下の差が八・三倍であると言つておるけれども、実際に局長級と下級職員との比較を正した場合においては、十二倍以上の上下の差が現われており、上級職員の昇給額は下級職員に比べて実に三十八倍の昇給率を示しているのであり度す。こういう点から見ましても、まつたく今度の給與法というものは、上級職員のために下級職員の犠牲においてつくられた給與法であつて、これはあくまでもわれわれとしては賛成のできない点であります。また地域給の切り下げ、調整号俸の切り下げにつきましても、あるいはまた昇給期間の問題等につきましても、各反対の委員が申されました通りに、私も同様に反対いたしますか、詳細の内容についてはこれを省略いたします。 最後にこの法案がもし実施になつた場合に、どうなるかということについて簡單に申し上げておきたいと思いますが、まず第一に先ほども申し上げたように、下級職員の犠牲において高級職員の昇給が行われている。しかも今度の給與の財源というのは、地域給の減額と調整号俸の切り下げによつて、その余裕財源を詰め込んで、それ以外の財源と合せて今度の千円アツプという数字をつくり出したのであります。従つて下級職員の場合においては、明らかに国民生活の水準を維持し得ないということは、これはきわめて明確でありますし、昨日の私の質問に対して、淺井人事院総裁が二級の一号の場合においては政府案をもつてするならば、国民生活を維持し得ないということは、淺井人事院総裁みずから明確に言われておることによつても、この点はすでに明らかなのであります。こういう点から考えて参りますと、一昨年のマ書簡によつて、公務員に対しては労働者の基本的な人権である団体交渉権、罷業権を奪つて、そのかわりに最低生活を保障しなければならないという点についても、最近の給與法をもつてするならば、明らかに最低生活すらここに奪い去られたといわなければなりません。 第二は、この給與法が実施になるならば、おそらく戰争以前と同じような封建的な官僚制度が確立されるであろうという点であります。この点については、先ほど加藤君も申した通りに、戰争中陸軍が二階級の特進を実施したと同じように、上級官僚が職制を利用して、自分の思つた者を特進させて行くというような、封建的な階級的な、古い官僚制度が復活させられるのであります。このことは結局日本のフアシズムの一つの足を確立することである。東條内閣の場合における、軍閥と国内においては官僚との二つの柱においてフアシズムが確立されておつたことを考える場合において、吉田政府は再び日本の国を戰争に追い込むための国内態勢としてのフアシズムを、まず第一に給與の面から、官僚機構において確立して行こうとしていることを、端的に暴露していると私たちは考えます。 それから第三の点で、特に調整号俸の切下げによつて国立病院、あるいは癩病院、あるいはまた電通等の現業が危機に瀕するであろうということは非常に明確であります。癩病院の看護婦、あるいは雄核国立療養所の看護婦等が、現在でさえ不足であるにもかかわらず、調整号俸の切下げによつて、これが募集をますます困難ならしめている。この点について昨日菅野官房副長官は、その事実を知つているが、この機会にやらなければならないということまで公言をされている。この点は今後国立病院、現業等に大きな危機か現わされた場合において、政府はこの責任を当然知りながらも断行したのであるということを、副長官の口から明らかにされたものであろうと思います。こういう点においても、われわれ日本の国内態勢というものを、ますます危権に陥れて行くものであるといわなければなりません 最後に人事院の態度でありますが、最近の人事院の態度は、淺井さんの努力にもかかわらず、客観的には実はきわめて弱腰であります。現在の人事院はへそ的存在である。このような人事院があるならば、害になるとも益にはならないように私には感じられる。科学的な判断をもつて勧告をすると言いながらも、その勧告をあくまでも実施させるための努力が私は欠けていると考えるのであります。ただ單に勧告をして、政府がこれをどのように行うかということについては、あまり身をもつて負わないとするならば、これは勧告をしないと同じ結果に終るのであります。今後吉田政府が続くならば、ますますフアシヨ的な官吏制度の復活を試みるでしようが、これに対して人事院がただ反対の勧告をしたというだけならば、人事院自身の面目は立つても、官吏制度の封建的なフアシヨ化に対しての人事院の役割を果したということには私はならないと思うのであります。こういう点において、人事院はもつとしつかりと責任を持つて、この官吏制度のフアシヨ化に反対するために闘つてもらわなければならない。この点を特に要望いたしたいと思います。 最後に私も、予算の面からも財源は十分あるという点を申し上げたいと思うのでありますが、この点は加藤君も先ほど申されたようでありますから省略いたしますが、ただ簡單に二言だけ申さしていただきまするならば、年末手当も当初は一箇月の支給を予定いたしておりました。ところが近く提出されるであろうといわれている年末手当は、その半額になつている。この半額になつている根本の原因は、インベントリー・フアイナンスによつて、外為特別会計の繰入れをつくるために半箇月分に減額せざるを得なかつたと伝えられている。このことはどういうことかというと、朝鮮動乱によつて、特需輸出によつて行われた片貿易の現われが、別な賞葉にかえて申しまするならば、植民地的貿易の現われが、官公吏の給與の犠牲の上において行われつつある、このことを端的に現わしていると私たちは考えざるを得ません。こういう意味においても今度の法案には絶対に反対をいたします。少くとも最低九千七百円の給與が確保されることが望ましいと思う次第であります。 以上簡單に反対の理由を申し述べます。
○田中委員長 これにて討論は終局いたしました。 引続き本法案を議題として採決いたします。原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よつて本法案は原案の通り可決いたしました。 この際本法案に関する報告書作成の件についてお諮りを申し上げます。これは先例によりまして、委員長に御一任を願つておきたいと思いますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よつて報告作成の件は委員長に御一任をいただいたものと決しました。 本日はこの程度にとどめ、次会は明日曜は休んで、明後日午前十時三十分より理事会、十一時より本委員会を開くことにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十七分散会 ————◇—————