厚生委員会 第5号
- 発言数
- 94 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1950/12/05
会議録
○寺島委員長 これより会議を開きます。 船員保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を通告順にこれを許します。青柳一郎君。
○青柳委員 まず第一に、船員保険の現在の経理の状態を御説明願いたいと思うのです。資料がありまするが、この資料に基いてひとつ御親切に御説明を願いたいと思います。
○安田政府委員 もしお許し願えますならば、船員保険課長が参つておりますから、詳しく御説明いたさせます。
○牛丸説明員 お手元の資料のうち、数理統計資料の4「短期給付の赤字を積立金として積立てるべき金で補填している状況」というところをごらんになつていただきたいと思います。昭和十五年から二十四年までの短期、長期、失業の各積立金の状況を書いてあります。船員保険法は昭和十五年度から施行されたわけでございますが、初めの方の各年度の収支の状況は、給付の支出の額と、収入の額とのバランスが大体とれておつたわけでありますが、昭和二十二年あたりから財政の収支のバランスが不均衡になつて来ておるわけでございます。これはどういう理由でこういうふうになつたかと申しますと、船員保険は、陸上の保険に例をとりますと、陸上の健康保険部門というのが、船員保険の短期給付に相当するわけでございます。それから厚生年金というのが、長期給付の部門に相当します。そのほかに、陸上の労災保険、災害補償の給付と、失業保険に相当する給付と、この四つの保険が、船員保険の一つの保険の中で総合的に運営されておるわけでございますが、昭和二十一、二年あたりから、このうちの短期の、陸上の健康保険の相当部門の財政収支が非常に不均衡になりまして、結局疾病率というものが非常に高くなつた結果におきまして、保険収入と支出とのバランスがとれなくなつたような状況でございます。この「短期給付の赤字を積立金として積立てるべき金で補填している状況」という欄の二十二年度のところをごらんになりますと、短期給付においてマイナス二千七百九万四千百六十七円という数字が、各年度積立額というところに出ております。これは三十一年度末におきましては、九百二十八万九千二百五十二円という積立額の累計があつたわけでありますが、二十二年度におきまして二千七百万の赤字を出したわけでありまして、二十二年度末におきまして、その差引き千七百八十万円程度の赤字が出た、ここから船員保険の財政の危機が出発したわけでございます。これは先ほども申しましたように、原因は主として短期給付のアンバランスにありますが、短期給付がどういうわけでアンバランスになつたかと申しますと、結局料率と実際の給付の支出額とのバランスがとれない。船員保険の本来の料率は千分の二百十四という数字でありますが、それをこの昭和二十二年のころより法律を改正いたしまして、暫定料率というものを規定したわけでございます。そうしてその暫定料率が千分の百三十ということになつたわけであります。その千分の百三十の料率で収支の計算をいたしますと、主として短期給付の支出と収入のバランスがとれないということから、昭和二十二度におきまして二千七百万円の赤字が出た。それがさらに二十三年度におきましては、一けた飛びまして一億八百十七万円の短期給付の赤字を出したというような状態でございます。そして昨年の二十四年度におきましては、さらにその額が二億一千九百万円まで上昇した、こういうわけで二十四年度末の短期給付の赤字と申しますものが、累計で三億四千五百万円になつたわけでございます。 それでこの短期給付の赤字をどういうふうにして償つて来たかと申しますと、船員保険は短期の積立金と長期の積立金と全部総合的に一つの船員保険特別会計という会計で運営しております関係上、長期の積立金を短期給付の資に充当して参つたわけでございます。それで二十四年度におきまして、その末の長期給付の欄の最後のところを見ますと、長期給付としての積立金は長期だけとして計算しますと、約六億四千三百九十八万円の積立金があるわけでございます。それに失業保険が二十二年度から始まりまして、これも二十二、二十三、二十四の三箇年は失業保険の給付というものがあまりなかつたわけでございますので、その金額も約一億六千万円の積立てができております。それで長期の積立金と、それから失業給付の残額の積立て、この両方の額が約八億以上になるわけでございますが、この八億の積立ての中から短期給付の赤字を補填して行つて、ようやく収支のバランスをとつて行つた、こういうふうな状況をこの二、三年間続けて来たわけでございますが、今度の二十五年度におきまして、いよいよ養老年金も近く開始する、実際に給付が始まつて来る、こういうふうなわけで、短期給付のバランスを従来のように長期給付の積立金から補填するというふうな弥縫策をとつて行くわけには行かないということで今度の料率改正になつた、こういうふうな状況でございまして、短期給付、長期給付、失業給付という三つの保険がそれぞれにおいてバランスをとるようにすべきであるというのが、今回の料率改訂の趣旨にもなつておるような状況でございます。
○青柳委員 従前、ひとり船員保険ばかりではなく、厚生年金保険におきましても、その積立金を預金部でもつて各公益事業に使つておつたのでございますが、船員保険につきましては、そういうことはなかつたのでございます。従いまして、そういうふうに彼此融通できる、こういうふうに相なつておるのかどうか、その点につきましてお尋ねいたします。
○安田政府委員 船員保険の積立金もやはり政府の預金部の方へ入れておりますから、預金部の資金の運用方針に従つて運用されておるわけでございます。
○青柳委員 そういたしますると、長期給付と失業給付におきまして約八億の積立金があるのでありますが、これらはただちに短期給付の方に、いつ何時でも使えるという状態にあるのかどうか、その点をお尋ねいたします。
○安田政府委員 失業保険の方は、その年の年度内ではできるわけでございますけれども、しかし長期給付の積立金というのは、御承知のように、長期の給付が始まる、その準備のための積立金でありますから、計算上それだけのものがなければ、将来給付が始まりました場合に、困つて来るわけであります。従いまして、それを使うということは、いわば邪道のようなことになるのでありますから、慎みたいと思います。
○青柳委員 そういたしますと、今まで邪道を押してやつておられた、こういうことになるのでありますか。
○安田政府委員 大体、そういうことでございます。
○青柳委員 それ以上は追及するのをしばらくやめておきますが、その次に伺いたいのは、標準報酬につきまして、今回船員の最低標準報酬月額が二千円から三千五百円に引上げられたのであります。これを三千五百円にしたという根拠につきまして承りたいのと、それから法文を検討いたしますると、当分の間こういう措置をとるということが附則にうたつてありますが、この「当分の間」という、この二つについて承りたいと思います。
○安田政府委員 この数理統計資料の四ページをごらんになりますと「標準報酬等級別被保険者数」というのがございます。これによりますと、一級の二千円が——普通保険の一番右のところの百分率でございますが、二千円のものが○・○五六、二千五百円のものが○・○二八、三千円のものが〇・一○○、これが大体三千円になつて来るわけでございます。これで大体全被保険者数の一八・三二%が一、二、三級に該当いたします。これが三千五百円に上つて来るわけであります。これはわが国の一般的な給与水準から考えましても、船員の給与の実態から見ましても、こういう低額の報酬は実はあり得ないのではないかという気がいたすのであります。普通船員の給与が、常識から申しまして、陸上よりは海上の方が低いということは、通常考えられないのでありますが、現在におきましては、なかなか標準報酬が的確につかみにくいというような点もございまして、こういうような状況になつておるのではないかと思つております。そういつたような給与の実態に合せるという意味と、それからやはり保険経済の建て直しという意味から、最初の三等級というものをこれにあわせて引上げたわけであります。それから「当分の間」というのは、これを全部直しましてもよろしゆうございますけれども、他の社会保険がやはりこの給付を使つておりますので、船員だけを別なものにいたしますと、いろいろまた不便や混乱を来す。そこでいずれ近い将来にまた年金制度につきましてはかえなければいけませんから、その時まで条文を読んだりいたします便宜のために、こういう形にいたした方がよろしかろう、こういうことで暫定的にという言葉を入れたのであります。
○青柳委員 昨年の改正によりますと、漁船乗組員につきましても、相当の改正がいたされたのであります。漁船乗組員は季節的な労務に従事する者でございますから、三千五百円以下の者があるいはないとは言えないと思いますので、それをしも押して三千五百円にした場合に、そういう船員につきまして非常に気の毒な場面が出て来ると思うのでありますが、御当局はいかにお考えになりますか。
○安田政府委員 お話のような場合もあるかもしれませんけれども、大体半農半漁にいたしましても、年間を通じまして月二千円というのは、ほとんどあり得ないのではないかということを考えております。またそういうふうなところで、利用率というものは相当なものでございまして、これに給付いたしております額というものも相当なものだと思つておるわけでございます。それらのことを考え合せまして、まあこのぐらいならば問題ないのではないか、この点につきましては、保険審議会の船員部会におきましても、事業主側もそれから海員組合の方も異議がございませんでした。なお社会保険審議会におきましても、この点につきましては問題なく認めていただいておるようなわけであります。
○青柳委員 次に給付の改善の面であります。今回職務上の事由によるものの障害年金及び遺族年金の額を、一昨年五倍に上げましたのを、さらに二倍に上げようとする点、また職務外の事由による障害年金に対しまして従前の十倍にしようとする点、これは双手をあげて賛成するものでございまするが、ここで承りたいのは、厚生年金との均衡であります。昨年厚生年金の改正におきまして、厚生年金につきましては、従前給の付額を五倍にしたと思うのであります。船員につきましては、昨年取残されて非常に気の毒だと思つた記憶があるのでございまするが、今回は逆に船員の方を十倍にしてしまう。それで厚生年金を五倍でとめおくというのは、いかにもふに落ちないのであります。この点につきましてお尋ねいたします。
○安田政府委員 数理統計資料の十一ページをごらんになつていただきますと「昭和二十二年十二月前の低額年金受給者数」というのがございます。その下の傷害年金のところの職務上の欄は百三十四件で、一人当り金額が三千八百五十四円、職務外が八件で四百六円、こういうふうになつております。これは三千八百五十四円が今度二倍になります、それから四百六円が十倍になるわけであります。これは職務外の方は二十三年の九日一日に改正いたしましたときに、予算の関係で実はこの方に手が及ばなかつた。従いまして、これは当然、当時五倍にさるべきであつたものが、予算の関係上五倍にならなかつたわけでありますから、今度それを、さきの五倍分と今度の二倍分と合せまして十倍、それでただいま申しましたように、大体これでバランスが合つて来るわけであります。 それから厚生年金の方の御心配でございますけれども、これは予算の関係で通常国会の方の法律案に入り、同様に二倍の引上げを法案として御審議願いたいと思つて準備いたしております。
○青柳委員 厚生年金の改正につきまして、御考慮願つておるというようなお話を承つて、これはまた非常にうれしいのでありますが、どの程度の改正をされようとするか、大体の心持をお伺いしたいと思います。
○安田政府委員 船長保険と同様でございまして、従前五倍に引上げられましたものを、また二倍に引上げるということでございます。
○青柳委員 厚生年金を来年度において改正する、船員保険につきましては本年度、たしかこれは来年の一月一日から施行されると思うのであります。その点、時間的のずれがありまするが、その点につきましての御意見を承りたいと思います。
○安田政府委員 この年金の施行は、これにも書いてありますが、昭和二十六年の五月分から支給するということになつております。それで二、三、四、五でございますか、それから適用して行きますので、ちよつとずれがございますけれども、これは主として予算の関係と事務上の都合からであります。
○青柳委員 次に料率の問題でありますが、今回の改正法案の付則の三によりますると、一六%、一四%の引上げを行つておるのであります。その根拠につきましてお尋ねします。
○安田政府委員 この数理統計資料の第一のところでございますが、保険料率というところでございます。種別のところの普通保険の方が傷病給付が従来が六・八九六、長期給付が三・三九八、福祉施設が〇・七○○、計といたしまして一〇・九九四。これが今回は傷病給付が九・三四九、長期給付が三・八九八、福祉施設が〇・七○○、合計で十三・九四七。失業保険は同様に二・○○○こういうことになるのであります。ごらんになりますように傷病給付のところで大体上つておるわけであります。これは先ほども牛丸課長から申し上げたように、傷病給付が高くなつておりますので、マイナスがあるということと、そのために長期給付の積立金を食つておりますので、それを償還するというのが、この中に入つているわけであります。
○青柳委員 平均標準報酬の引上げ並びに保険料率の引上げによりまして、先ほど課長からお話がありましたように、短期給付、長期給付、失業給付、それぞれのバランスが合うようにするということに相なるかと思いますが。それは来年度をにらんでの問題であつて、その後におきましては、引上げをしなくても済むというお見通しであるかどうか。
○安田政府委員 大体三個年ぐらいでもつて借りたものを返して行くという次第になつております。千分の百六十というのは、当分の間これでよいのではないかと思います。しかし年金の問題は将来給付がふえて来るということになりますと、この点については、根本的にもう少し研究してみなければならぬと思います。これは陸上の年金と同様の問題でございまして、これは社会保障制度審議会の方の勧告もありますので、その方とにらみ合せて十分研究してみたいと思います。
○青柳委員 大体こまかい点についてはわかつたのでありますが、あと三点ほど従前から問題になつております点につきましてお尋ねいたしまして御当局の御意回を承りたいと思います。 まず第一点は、漁船乗組員については、資格期間を十五年に短縮されました。その当時も問題にいたしたのでありますが、漁船乗組員と同じような労働過重であるところの機帆船の乗組員並びに火夫につきましては、その当時私がお尋ねいたしました際には、なお研究をするというお話であつたのでございます。私は機帆船の乗組員あるいは火夫につきましても、漁船乗組員と同じような取扱いをされたいという気持を現在まだ持つておるのでありますが、その点についての御研究並びに将来のお見通しにつきましてお伺いしたい。
○安田政府委員 その点につきましては、社会保障制度審議会の勧告もありましたので、十分研究したいと思いますが、しかし漁船の場合に資格期間が短縮されたというのは、半農半漁でありますので、全期間乗つていない者が相当ある。一年の間全部漁船に乗り組んでいないというのが、相当ありますので、そういつたものにつきましては、資格期間が十五年ということで、ほとんど年金をもらう期間を縮めることができないというのが主たる理由であります。そこで労働過重というだけの問題でございませんので、その点もあわせて考えて行きたいと思います。
○青柳委員 なおこの問題は、研究されるというお話でありますから、どしどし研究を続行していただきたいと思います。 第二の問題は、漁船乗組員の養老年金の支給額は、平均標準報酬の二箇月分であります。これはいかにも少額に過ぎると私は存じます。この問題と、もう一つは、被保険者たりし期間十年以上十五年未満の者に対しましては、一律に二箇月分を支給して、加給がないのであります。十年勤めても、十五年勤めても同じであるという船員保険法における欠陥は、なお存続して行くのでございますが、いかにもこの点も不合理であると私は思うのであります。保険收入の増加をはかるため、この際何とかして、この点につきまして御考慮を願えなかつたものか、その点につきまして伺います。
○安田政府委員 年金の問題は、御承知のように、陸上の厚生年金の問題も、いろいろ問題がたくさんございまして、社会保障制度審議会の勧告では、フラツトの定額制をとつておるのでございますけれども、これにつきましてもいろいろ問題があると思いますので、あわせて十分研究して、なるべく早く結論を出したいと思つております。
○青柳委員 一番大きな問題として最後に残ります問題は、船員保険の養老年金に関連いたしまして、船員保険と厚生年金保険との間の通算の問題、すなわち船員と一般勤労者との間の通算の問題でございます。この問題は船員保険始まつて以来の大きい問題でありまして、この点につきましても、ひとついつの日にか解決いたしたい思いますが、この点につきましての御意見を承らせていただきたいと思います。
○安田政府委員 お話の通り、その点も非常に不合理だ、あまりおもしろくないと思うのでありまして、これも近い将来の問題といたしまして、十分研究いたしたいと思います。
○青柳委員 ただいま最後に質問いたしました三つの点は、船員保険の本質的な問題としまして、ずつと研究を続けておられる問題でありまして、どうぞ社会保障制度が確立されようとしておるこの際に、その研究を早目にしていただきまして、できるだけ早い機会に実現をはかつていただきたいことを希望いたしまして私の質問を終らせていただきます。
○丸山委員 ちよつとお伺いいたします。船員保険法の改生を要する事態が、なぜ起つたかと申しますと、ただいまの御説明にございましたように、短期給付が急速にふえて来たということであります。この資料を拝見いたしましても、療養給付の件数が急速に増加しておるということが、数字にはつきり現われておるのであります。これは他方目下本委員会において審議中の健康保険法の一部を改正する法律案においても、やはりこれと同様な現象がある。これが保険というものの運用において赤字を起しておる一番の原因であると考えております。しかし一方考えますると、被保険者がこの保険制度を利用して件数がふえるということは、これは喜ぶべき現象であると考える次第でございますが、これはどういうわけで近年こうあらゆる面において急速にふえて来たというふうにお考えであるか。これは私の私見でございますが、従来は比較的保険における治療は制限を受けた、きゆうくつな不満足な治療であつたということから忌避せられて、棄権しておつた人が相当あつた。それか近来改善せられたために、利用者がふえたものであると、私は実は了解しておるわけであります。その意味におきまして、保険の経済を潤沢にしてこれに対応して行くということは、これは当然であろうと考えます。しかしこれが対応しきれない場合においては、再び制限診療のようなことが一方において行われまして、また古い時代の、保険の治療はいけないというようなことから棄権者がふえて来るというような、悪い方へ逆行する危険があるようにも考えられます。従いまして、この程度の改正で、この保険の給付件数の増加の趨勢をカバーして行けるかどうか、将来のお見通し、その辺についての御意見を承らせていただきたい。
○安田政府委員 お話のように、お医者さんの御協力によりまして、たいへん健康保険の制度が円滑に行つております。そのためにあるいは給付の額がふえたかとも思うのでありますが、船員保険の場合は、実は陸上の場合と違いまして業務上のものもこの中に入つておるわけです。それにいたしましてもやはりふえ方がひどい。これを分析いたしますと、性病が三〇%あるのです。本年の六月十日から二十日間の統計によりますと、治療費の中で四〇%ばかりが性病になつておる。これは非常にゆゆしいことでございまして、單に保険経済のことだけではなくて、船員の保健上の立場から見ましても、たいへんな問題でございますので、いろいろこの対策については考えて、予防具を買いまして、それを各船主に渡すというようなこともやつておりますし、また海員組合ともよく連絡いたしまして、性病の対策につきまして機関をつくつて、現に案を練つて、おります。そういう意味でこの方面にもう少しくふうをいたしまするならば、案外治療費の上昇というものはとまるのではないか。これは現にこの法律案でも示しておりますけれども、そういうふうに一部の人がどんどんそういつた病気にかかりまして治療費がふえますことは、結局は保険料率の引上げとなつて自分の肩にかかつて来るわけでございますので、そういう意味から申しましても、海員組合の方からも、全面的な協力の申出がございます。近い将来この問題につきましても、何とかひとつ診療費がこれ以上に及ばないように、船員が性病にもりとかからないような方法を講じて参りたいと思います。
○丸山委員 被保険者数の増加の中には、性病が四〇%も占めておるということが原因の大部分であるというお話を承りまして、実は驚いたわけであります。御承知のように性病の治療は、ペニシリンの注射でございますとか、非常に治療費もかさむ疾病でございます。また国民の道徳面から考えましても、また将来の国民の体位ということから考えましても、これは軽々に看過することのできない問題だと考えます。ただいまこれに対する対策を着々とお講じになつておるということで、たいへん安心したわけでございますが、なお一層この問題に関しましては、社会保険は、予防的の方面に相当のくふうをなされまして、給付を抑えて行くということに御努力あらんことを、特に私はもう一ぺんお願いしておきます。 —————————————
○寺島委員長 船員保険法等の一部を改正する法律案に関しまして、委員長の手元に質疑の通告はただいま参つておりませんか、ほかに本件に関して御質疑はありませんか。——御質疑がないようでございますから、次に健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き通告順に質問を許します。福田昌子君。
○福田(昌)委員 健康保険で療養の給付の場合ですが、これには結核の給付が費用としてどのくらい含まれておりますか。
○安田政府委員 大体三割五分ぐらいでございます。
○福田(昌)委員 船員保険にはどのくらいですか。
○安田政府委員 一三%か一四%ぐらいです。
○福田(昌)委員 今回結核予防ということが重点的に取上げられておりまして、予算の面において約六十億の増額がなされたということは、まつたく喜ぶべきことでございます。相当薬剤の面におきましても政府の後援がなされておりまするが、そういつた薬剤は、健康保険の面において何パーセントぐらい使用されておりますか。
○安田政府委員 ほんとうの意味の薬代というのは、ちよつと今数字を覚えておりませんけれども、いわゆる健康保険の方で言つておる薬治料というのが大体三十七、八パーセントぐらいじやないかと思つております。
○福田(昌)委員 その薬治料の中で、政府買上げになるところのストレプトマイシンとかパスとかいうようなものは、どのくらい影響して参りますか。
○安田政府委員 もう一度伺いますが、健康保険の薬治料の中に、ストレプトマイシンというのは、どれだけ入つておるかということでありますか。
○福田(昌)委員 そうです。
○安田政府委員 ちよつと資料を持合せておりませんので、あとで調べましてお答えいたします。
○福田(昌)委員 船員保険についてのお尋ねは恐縮ですが、船員保険の医療給付が増加しておる。それが疾病の分類において性病が四割もあるというお話でございました。性病増加に対して結局船員保険の療養の給付面の費用の回転基金において、経済危機が起つて来たわけでありまするが、その打開策として、たとえば性病の一つの治療剤でありますペニシリン、サルヴアルサン、そういつた薬を買い上げられて船員保険に充てるというお考えはありませんか。
○安田政府委員 お尋ねの趣旨は、つまりそういつたような薬を国庫負担にしろ、こういうことでございますか。
○福田(昌)委員 そうでございます。
○安田政府委員 今のところまだ考えておりません。
○福田(昌)委員 健保の経済危機のために、保険料率の引上げがなされましたが、今回のこの引上げをもつて、将来保険経済はこれでやや安定する、またさらに短かい将来において、健保の一部改正をするようなことがあるかないか、そういうところの政府のお考えを聞きたいと思います。
○安田政府委員 健康保険の方の医療の給付、医療報酬の支払い方法その他につきまして、社会保障制度審議会の勧告もありますので、それらとにらみ合せまして十分根本的な検討をいたしたいと思つておりまするが、そういうことを別にいたしまするならば、この料率を引上げていただくことによりまして少くとも本年度及び来年度あたりは、どうにかこれでやつて行けるのではないかというふうな考えでおります。あまり先のことは、御承知のように受診率が上りましたならば別でありますけれども、まだそこまで私が明言するわけに参りません。
○福田(昌)委員 保険局長の御努力、私どももよく了解できるのでございます。また今回の改正案なるものが一時の弥縫策であるということは、保険局長自身もおつしやつておられまして、私も同感であります。では根本対策はどういうところにあると局長はお考えですか。
○安田政府委員 これは社会保障制度審議会の勧告もございますので、そういうものを十分参考にいたしまして解決策を立てたいと思います。なかなか複雑でむずかしい問題でございますので、もうしばらく考えてみたいと思つております。
○福田(昌)委員 たいへん恐縮でございますが、もう少し内容がどこにあるかということと、具体的にお聞かせ願いたいと思います。
○安田政府委員 社会保障制度審議会の勧告の中には、御承知のように国庫負担を一割、結核については五割をやれというような勧告もございます。それからなお医療報酬の支払い方法といたしましては、診療について制限点数というものを設けて、それによつて健康保険の経済を安定させようというようなこともあるようでございます。また一部には若干の負担を課しまして、それによりまして受診が濫に流れることを防ぐと同時に、それによつて保険経済な安定させるというようなことを言つておる人もございます。私が今申し上げましたようなことを参考にいたしまして、なるべくいい案をつくつて行きたいと考えております。
○寺島委員長 堤委員。
○堤委員 局長にお尋ねいたします。これは前々の国会あたりでも私たち社会党の方から申し上げた問題でございますが、労働者の厚生年金積立てはすでに三百億近くになつておるはずでございます。これをたしか大蔵省の方で五分五厘の金利でもつてお使いになつておるわけでありますが、局長はこの三百億の金に対して、この保険法の一部を改正する以前に、何かこれに関連してお考えになり、また努力になつたことがあるかお伺いいたしたいと思います。
○安田政府委員 堤委員の御質問の御趣旨が、厚生年金の積立金を、何か従来言われておりましたように、被保険者の福祉施設の方に還元して使えるという御趣旨なのか、あるいはまた今度の料率の引上げに関連いたしまして、その金をこちらに流して、保険経済の足しにしたらどうだという御意見なのか、その点先に承らせていただきたいと思います。
○堤委員 これは私どもの考えといたしましては、この国庫の苦しい場合におきまして、積立ててあるところの厚生年金は、一時これを流用してここに充ててしかるべきではないかという考えを持つておるわけです。
○安田政府委員 苦しいときに一時流用いたします、つまり年度内で融通いたします場合には、実は前回にも御説明申し上げましたように、国庫予備金を振りかえて余裕金三十億受けております。しかし厚生年金積五金を使うということになると、これは将来給付いたします場合に、それがちやんと確実に保管されていなければ先で困るわけでありまして、一応保険経済として目安が立つて、たとえば二十六年度に行くならば、こういうふうに收支のバランスがとれるぞというような案があつてでないと、かつてに借りて来るというわけにいかぬのじやないか、こういうふうに思つております。
○堤委員 他の委員から御質問があつたかと思いまするが、わが党の方から要求いたしました資料を拜見いたしますと、なるほど先進諸国の保険料率は、千分の六十前後を中心といたしておるようでございまして、これで考えますれば、一応妥当であるので、わが国でもこの辺でいいじやないかというようなお考えがあるのじやないかと思いますが、御存じの通り、生活水準、また賃金というものが特別現在問題になつておるのでございます。この点私はむしろ諸外国の例を強引にこちらに持つておいでになつたのじやないかという気がするのでありますが、局長いかがですか。
○安田政府委員 御要求がありましたので、さつそく調べましてこの程度の資料ができた。その生のままをお目にかけたので、決して意見はございません。
○堤委員 私ども、はなはだこれに不満でございます。局長は弥縫策に次ぐに弥縫策をもつて来られたようでありますが、千円のべース・アツプを見込んで、これくらいとつてもいいのではないかというような、実に冷酷なお考えを持つておられる。しかもただいま福田委員の質問に対しての答弁を聞いておりましても、そう自信がおありになりそうもないということを考えますと、私はその根本策というものを、どうしてもつと政府がお考えにならないのかということを、残念に思うものでございます。これはどうしようもない、他に方法がないからというので、いつもこれで押して行くというような手をおやめになつて、緊急にしかるべき手を打つべく、局長の方で御努力される考えがあるかどうか、そこのところをお伺いしたいと思います。
○安田政府委員 この法律案をここで御審議願いまして、幸いに通していただきますならば、十分そういつた点につきましても、当然やらなければならぬと考えて、努力いたしたいと思います。
○堤委員 努力いたしたいというお考えでございますが、この前の料率を上げますときにも、私の方の岡委員からこれは強く要望をしたはずでございまして、今日のこうした状態はもうない約束になつておるわけなんです。それをまたほこにしておやりになるのでございますから、私から申しますならば、信じられないのでございます。でありますので、私は保険料を給料の中から源泉として引かれておるところの被用者のために、何とか被伊者圧迫の慣習を——局長並びにこの衝に当られる方々がもつと真剣にお考えにならなければ、どこまで行つても、被用者に負担させればいいではないか、そうして未收の原因になつているのは、経営者側であるというような事実を考えて見ましても、私はどうしてもこれには賛成することができないという考えを持つておるものであります。与党の自由党におきましては、どういうお考えがあるかしりませんけれども、私の方ではもう一度党に帰りまして、これを相談いたしませんと、簡單にオーケーと手をあけるわけには行かないのであります。私は局長がどうしてもこれをこの国会に上げて何とかして危機を救わなければならないというようなお考えをお持ちのように拝見いたしますので、あまりこずら憎いことを言わないでおこうという気持もなきにしもあらずでございますが、六千三百七円ベースをわずか千円ベース・アツプしてもらうために、年末労働攻勢をやつております労働者のために、何とか私たちはこれを食いとめたいというような気持で、実は一ぱいなのであります。昭和二十六年度に繰込みましたところの二十五億の赤字にいたしましても、非常に不安でありまして、重ねがさね申しておりまするように、弥縫策をもう一度考え直して食いとめて、何とか大蔵省と折衝して何かの方法はないか、考え賞してもらえないかと実は思うのでありますが、もう万策尽きて、ほんとうにどうにもこうにもしかたがないのか、そこのところをもう一度承りたいと思います。
○安田政府委員 この前も申したのでありますが、私ども料率を上げましたり、それから給付の内容を制限いたしますことは、実は本意ではございません。でありますから、堤委員とまつたく同意見であります。しかしいろいろ他の方法も考えましたけれども、今早急に間に合う手段といたしましては、これしかない。しかもこの程度ならば被保険者に対して与える影響も最小ではないか、こういうことで、やむを得ずここに持つて来たようなわけであります。今となりまして、ほかの方法をまた根本的に考え直すということになりますれば、むしろそのために健康保険制度に作間的に一つのブランクができはしないかということを、非常におそれているわけでございます。ぜひひとつこういうところで当座を切り拔けて行きまして、さらに将来におきまして、根本的な対策についても十分私ども努力いたす覚悟でございますので、堤委員におかれましても、この点十分御協力いただきたいと思います。
○堤委員 ブランクのできますようなところを、もう一度大蔵当局に当られまして、借金でもしておいて、次の国会ででもゆつくり審議するようにお考え願えないものですか。
○安田政府委員 先ほどから何度も申すのでありますけれども、借金と申しましても、その次に埋める当てかなければ、これは貸さないのが普通だと思うのでありまして、そういう計画を立てなければ、借金はできないのであります。従いまして、もしこれをやらないということならば、一時借入れをいたしましても、次の通常国会でまた補正予算をやらなければならないということで、そういう見通しがつきますれば、これは別でありますけれども、今のところ、私どもの判断といたしましては、やはりこの際はこれ以外に方法がないのではないかという考えで、実はお願いいたしておるわけであります。
○堤委員 私も、これには初めから相当反対をいたしておりますので、そちら様の方からきらわれているのだろうと思うのでありますが、どうやらいくら問答をいたしておりましても、しかたがないといたしますれば、これ以上質問をしてもしかたがないと思いますし、また他の委員も相当御質問になつたところが速記録に載つておるようでございますから、この辺で、賛成するしないは別といたしまして、私の質問は遠慮いたしておきます。
○金子委員 この健康保險並びに船員保險の改正のうち、被保險者の料率の問題につきまして、最初に、私は懇談の形で、与党だとか野党だとかいうような感覚でなく、この問題に対して一番よく知つておるのは厚生委員だから、その厚生委員の人たちが、安田局長としては、一応打つだけの手を打つて、いかんともしかたがありませんと言われている。しかしながら、役人が政治を全部やつておるのではないから、そこでこの厚生委員会として、折合いの上で一致した考え方で、もう一度、なるかならないかは別といたしまして、国民のために手を打とうではないかということを懇談いたしたのであります。現に本国会におきましても、地方自治の問題につきましては、地本行政委員会が与党野党一体になりまして、今度の地方財政交付金の問題について、一致した決議を持つて予算委員会に対して申入れをしておるのであります。不幸にしてそれはものになりませんでしたけれども、しかしそれだけの誠意は持つべきだということを私は考えておるがゆえに、そういうことを懇談いたしたのであります。その後聞くところによりますと、自由党の政調といたしましても、これは万策尽きたから、これで賛成するよりほかないということになつたかのように漏れ承つておるのでありますが、その点私は非常に遺憾なことだと思うのであります。そこで、先ほどから堤委員の質問に対しても、安田局長としましては、これは万策尽きた、従つてこの危機を救うためにいいことだとは思わないけれども、一応こうするよりしかたがなかつた、こういうようなことでありまして、決してこれが正しいという見解は持つていらつしやらない。私はこの問題につきまして、もし国家が近き将来に、この社会保障なり、社会保険の制度について、根本的な考え方をかえなければならない、あるいは新しく再出発をしなければならないという段階に来ておらなければ、現在の社会保険の数ある中で、船員保険や、いわゆる組織労働者の被保険者の負担率というものは、非常に過重になる。でありますから、私はただ労働者のためになんということは言いません、国民全体の上から見れば、このくらいの料率の引上げは何でもない。国民全体の人たちが機会均等の立場に立つ社会保険で行くならば、私はこのくらいの料率引上げは当然であると思います。まだ軽いと思います。しかしながら、これを来年度予算からも、今の十五箇月の予算に組んだとか組まぬとかいうけれども、これは今の政府の方針として一応こうしたのであつて、今組まれておるところの予算というものは、決して日本の来年度財政の金城鉄壁でも何でもないのであります。これは今の段階において、自由党が絶対多数でありますがゆえに、それか一致したときに、必ず国会の形式はとるのであります。しかしながら、国民感覚から言つたときに、これ以上の予算はないのだということは言い得ない。そのために、野党も半分はおるのであります。約半分近くおる。そうしてその人たちの意見が、たとい少数なりとも正しかつたならば、それを通すことが民主国会なのであります。にもかかわらず、ここの会議のあり方は、常に徒党を組んだ——政党政治でなくて 一つの徒党政治だ。そしていつもけんか腰でものをきめるということが、この国会のあり方であるとしか、今の政府の予算の組み方というものは解釈できないのだ。これが絶対鉄壁のものであるというのならば、安田課長のいう、これはやむを得ないから通さなければならぬということになるかもしれませんが、私はそういうふうに考えたくない。あれだけの予算があるなら、百億や五十億の金がこの重大な問題に対して出ないということは絶対にない。なるほど、厚生省は政治力はない、また厚生委員会などというのは、おとなしい、はつたりのふがない連中ばかり集まつておるから、委員会にも力がない。しかしながら、ほんとうの国民感覚からこれを考えるならば、そうあつてにならないと思うのであります。でありまするから、私はそういう意味から行きまして、これに対して最後にお聞きしておきたいことは、かりに今年これを改正しないでおいたときに、本年度一ぱいにどれだけの赤字に、健康保険あるいは船員保険でなるか。かりに十五箇月予算というものを金城鉄壁なものとして、どうにもならなかつたとして、昭和二十六年度、来年度の年度末においてどれだけの赤字になつて来るか、その厳格な数字をひとつお聞きしたいのであります。
○安田政府委員 ちよつと計算いたしましても、健康保険の方でもし料率を上げませんと、今年の年度末に大体十一億ばかりの純赤字が出ます。これに徴收が遅れますのが一割くらいございますので、大体二十八億くらいであります。
○金子委員 十一億で徴收の遅れるのが幾ら……。
○安田政府委員 徴收の遅れますのを含めまして大体二十八億であります。
○金子委員 純赤字が十一億ですか。
○安田政府委員 さようでございます。それから船員保険の方は問題にならぬくらいの赤字になります。給付費の五割ぐらいが赤字になると思います。これはもうほうつておけませんし、現に給付に、つまり支払いに影響いたしておりまして、困つております。そういうことでございますので、もしこれが通らないということになりますと、先ほど私が申し上げましたように、医者に対する支払いが遅れて来るというような事態が起つて来るのではないか。それによりまして、また医者が協力しないというような事態が起る。協力しないから、被保険者の方は保険を信頼しなくなるというようなことで、そういつた悪い條件がだんだん重なり合つて来ますと、やはり大きな問題になつて来るような気がいたします。
○大石(武)委員 ただいま金子委員より、いろいろと御見解を申し述べられたのであります。これに対してわが党の意見というものを申し上げたいところでございますが、それは討論になりますので、いずれ討論が行われるとき、われわれの見解を十分に申上げたいと思うのであります。ただ一言申し上げておきたいのでありますが、ただいま金子君は、国民の機会均等ということを申されたのでありますが、これはまつたく同感であります。われわれは、日本国民を代表する国会議員であり、またわれわれの仲間は、全部の国民を代表するところの政党であると考えておりますので、われわれは特定の一部の利害だけを考えず、全国民の利害、全国民の機会均等ということを中心として、われわれは政治を行いたい、こう思つておるのでございます。今回問題になつております。健康保険法の一部改正、これは政府管掌の健康保険の改正でございますが、日本の現在の健康保険の状態をよく見ますと、国民健康保険、政府管掌の健康保険及び組合管掌の健康保険、この二つがいかなる状態にあるかということは、いまさら私が喋々するまでもなく、その実体は十分に御承知のところであると思うのであります。この政府管掌の健康保険が、いかにいい条件にあるか、その受診率においても、その医療費においても、いかに国民健康保険その他のものに数倍するいい成績をあげておるかということは、今ここに政府に質問するまでもないところであります。従つてわれわれは、何もこの政府管掌の健康保険が惡くなることを希望するのではない、これ以上よくなることをもちろん希望しておりますが、国民全体の立場として考えます場合に、何ゆえに政府管掌の健康保険のみが、ずば拔けたいい待遇を受けなければならないかということを、われわれは疑うのであります。今回健康保険の一部値上げによつて、大体一万円につき一箇月五十円の値上げになるわけでありますが、これが勤労者にそう重大な負担を及ぼすとは考えられないのであります。従つて、もしこの値上げができなければ、健康保険の危機をいかにして打開するかという問題になりますが、これはすべての健康保険の危機を打開するためには、根本的な方法がとられなければなりません。その方法は何であるかと申しますと、結論的に言いまして、要するに医療費の国庫負担と、もう一つは適正なる診療の基準をきめようというこの二つ以外にないのであります。しかしながら、この点われわれもこの法律案が出ます前に、来年度の予算が決定される前におきまして、この問題を解決したいという念願のもとに、社会保障制度審議会、あるいは党の立場において、あらゆる努力を払つて参つたのでありますが、不幸にして来年度においても、あらゆる角度から検討しまして、この根本的な対策をとり得ないという結論に到達したのであります。従つてわれわれは、この国民の医療に最も重大なるところの健康保険というものを破壊したくないために、これを正しく伸ばすためには、どうしてもこの際これらの処置をとらなければならぬという結論に到達したのでありまして、決してわれわれも、この問題に対して無差別に国民を圧迫して、何でもかんでも健康保険の維持をはかろうという考えではないのであります。しかも社会保障制度といつたものは、わが国の国民にとつて最も重大なものの一つであります。しかしながら、このようなわが国の哀れな経済の状態において、しかも最近このような思想が起つたということを考えます場合に、現在の日本のばらばらな非常に哀れな社会保障制度というものを、一挙にして、一瞬の間にこれを完全なものにするということは、絶対不可能なことであります。やはり五年なり十年なりの長い期間をもつて、初めて完全なものができ上るとわれわれは思わなければならぬのであります。このような問題を考え合せます場合に、いたずらにこの問題が社会保障制度に相反するものであるということのお考えは、なるほど近視眼的に見ればそういうお考えもできると思いますが、長い立場から見ます場合には、一歩前進して、要するに飛び上る前に体を曲げるという考えのもとに、ぜひともこれはやむを得ない措置であるとわれわれは考えるのでありまして、一応ここにわれわれの見解を申し述べる次第でございます。
○堤委員 ただいま大石委員からお言葉がございましたので、私はちよつと反駁させていただきます。一万円につき五十円上げることが、いかほどの影響かあるかというお言葉かあつたのでございますが、その言葉自体の中に問題があるのでございます。ドツジ・ラインの犠牲になつて、六千三百七円べースを今まで押しつけられて来たのはだれか、特に医療の保険の問題で苦しんでおるのはどの階層かということを、特に見てやる必要があるというところの見解に立つて——何も差別をつけようというのではありませんが、そういう点において、私は差別のあるのを無差別にせんがために主張しておるのでありまして、そこは見解の相違かもしれませんが、私は一万円のうち五十円上げること自体に、いかほどの影響があるかというような頭をもつて、自由党が今日政策をおやりになつておるから、こういうことになるのではないかと考えるのでございます。なお私がついでに自由党の委員諸公に希望いたしたいことは、たとえばこの健康保険法の一部を改正する法律案の審議されます以前から、自由党にお帰りになつて、党内でどれだけの御努力をあそばされたか。たとえば大蔵委員会との連合審議などは、この委員会の委員諸公が党へ帰つて御主張になれば、おそらく私は実現可能であつたのではないかと思います。そうした努力さえも、委員長みずから一度もなさつたことがないように私は拜見するのでございます。そういうことをやつておつて、おこがましくも、それが社会保障制度への一歩前進、あるいはバネの縮みであるというな御意見をお持ちになりますということは、盗人たけだけしいも、これくらいはなはだしいものはなしと思うのであります。 それから議事進行について、委員長にお願いいたしたいことは、いま一度私たちは、この委員会の名において、大蔵委員会との連合委員会を開かれてはどうかということを、この委員会に提案するものでございます。なすべき努力がまだなされていないで、金子委員のおつしやるように、これを一種の党内事情によつて持つて行こうとなさるところの自由党と私は同調することはできないのであります。あまり党利的な言葉を発しますと、空気にかどが立ちますので、この辺でとどめておきますが、大蔵委員会との連合委員会をもう一度持ち直していただくように努力していただきたい。委員長はそれについて努力される意思がありますか、また自由党の委員諸公は、なおその努力をなされる余地があるか、また熱意があるかどうかお聞かせ願つて、できるならば諮つて、できるだけもう度連合委員会の審議に持つて行きたいと思います。
○福田(昌)委員 一点だけお尋ねいたします。結核の予防対策というものは強化されましたが、それが船員保険及び国保、健保にどれだけ影響があるかというところの概略を、金額の上において御答弁願いたい。
○安田政府委員 結核に対する対策は、来年度の予算に計上されておるわけでございまして、なおまたその具体的な実施の方法につきましては、決定したところまで行つておらぬように聞いておるのでありますが、一応私どもが推算いたしました数字によりますと、政府管掌の健康保険で一億一千六百五十三万六千円、それから船員保険におきまして四百八十一万円ばかり、これが今度の結核対策によつて保険にいい影響を与えるだろうという数字でございます。もつともこれは国庫負担の額でございまして、今のところの案では、この国庫負担が四分の一に働きますから、結核対策としては、それが四倍に使われるわけであります。
○寺島委員長 ちよつと速記をやめて…… 〔速記中止〕
○寺島委員長 速記を始めて……
○池田(峯)委員 五分ということでありますが、そういう制限は私不賛成です。五分でできれば打切りますが、できなければ少し延ばしていただきます。健康保険法の一部を改正する法律案ですが、健康保険という制度が、はたして実際にうまく運営されているものかどうか。うまく行つていないとすれば、どういうところに根本的な欠陥がありまして、それでうまく行つていないのか。しからばこの健康保険を改正するについては、そのうまく行つていないとこを、うまく行くように改正するのが、政府の立場であろうと思うのであります。健康保険が実施されておりますけれども、保険組合の財政が不如意で、なかなかお医者さんに金を払えなかつたり、いろいろ支障を来しておる。こういう根本原因ははたしてどこにあるのかということを、まず最初にお伺いしたいと思います。(「まじめに質問をしろ」と呼ぶ者あり)まじめに質問をしろと言うが、私は健康保険法の一部を改正する法律案について、その根本対策を質問しておるのであります。それをふまじめだという理由を聞きたい。
○寺島委員長 静粛に願います。
○安田政府委員 健康保険制度は、最近非常に運営がうまく参りまして、被保険者に喜ばれ、利用率が非常に高まつております。あまりうまく行き過ぎまして、経済面で少し赤字が出たというようなことになつておりますが、ここで御審議願つております若干の料率の引上げをいたしていただきますならば、大体つじつまが合うのではないかと思つております。
○池田(峯)委員 たいへん健康保険組合がうまく行つているという御答弁であります。私は土浦に住んでおりますが、土浦におきましては、健康保険料が非常に滞納が多くて、そのために組合が破綻に瀕しておる実情であります。こういうような状態が出ているのであります。実際にそういと窮状があるのでありますから、私は納得行かないので、どういうふうにうまく行つているのかということを、もう一ぺん御質問したいと思います。
○安田政府委員 ただいまお話の健康保険というのは、国民健康保険だと思います。差出がましいことでありますけれども、職域の勤労者を相手にした健康保険というのが、健康保険法の方でございまして、それから地域の保険険があります。土浦でおやりになつておりますというのは、地域を中心とした、つまり土浦の市であるか町であるか、それが主体になりました健康保険が、今お話の国民健康保険であります。それでただいまの話は国民健康保険のお話だと思いますけれども、やはり国民健康保険も、終戦以来いろいろ国民の経済状況を反映いたしまして、だんだんと利用率が高まつて参りました。これが保険経済を圧迫しておりますところの主たる理由であります。この利用率が高まりますことは、われわれの方から申しますと、しごくけつこうなことでございまして、これをかれこれ言うことはできないと思いますが、しかし同時に、利用率は高まりますれども、それにどういうような財源で裏づけするかということが問題になるので、現在国民生活がまだ一般にきゆうくつでございますし、国民経済もまたなかなか百パーセント戦前のような状態になつておりませんので、これをどういうふうに運営して行くかということが非常にむずかしい問題になつております。私どもといたしましては、そういつた市町村の個々の保険事業につきまして、具体的にひとつ御相談申し上げ、御指導御援助申し上げて行きたいと思つております。 —————————————
○寺島委員長 次に、薬事法の一部を改正する法律案、毒物及び劇物取締法案を議題といたし、金子君の質疑を許します。金子與重郎君。
○金子委員 毒物及び劇物取締法案の改正につきまして、実は過日の委員会におきまして、私がこの法案の全般に対しては賛成していながら、八条の第三号のことにつきまして、非常に皆さん方がごたいくつなさるほど、くどく当局と質問をかわしたのであります。なぜ私が最後に一点この点についてきつくお考えを聞いておかなくてはならぬかと申しますと、この毒物の問題は、全国の農業生産上非常に重大な問題であります。本年度の生産を見ましても、おそらく皆さんが数字をお聞きになると、失礼な話ではあるけれども、驚かれるほど尨大な数字になつておるのでありまして、たとえば本年度製造の数字を見ましても、農業用の砒素剤だけで千八百トンであります。それから石灰と合成しまして砒酸石灰の形にしたものが千五百トン、それからマンガンと砒素の合流したもの百トン、流酸ニコチン百二十トン、それから銅剤のごときになりますると千二百トン、粉剤で千二百トン、水銀剤におきまして五百トン、それから水銀塗布剤におきまして六百三十トンというような、非常に尨大な数量であります。これを取扱つておるものは、全国山村津々浦々の協同組合、大体これは約三万あります。そこで今までは一農業資材として売つたものを、今度はこういうふうな厳格な試験によつて、パスした者でなければ取扱いができぬということになりますと、非常に不便を感ずるということだけでなく、これはちようど今問題が起つておるところの医薬分業と同じように、薬剤師さんの一つの商権擁護運動がそこに横から働いて参りまして、彼らは一農協事務員じやないか、それがこれらの毒物を扱うということは、この法律によつて裏づけられなければならぬというような問題が、政治的に起つて参るのでございます。この問題では、私ども十年前から頭を悩ましておりまして、全国で問題が非常に数多く起つておるのであります。その関係上、この取扱い者の制限という八条の第三号につきまして、この方法では今の実際の社会に当てはめて、どうしても賛成できない。しかしながら、私がこれを賛成できないということになりましたところで、自由党の方方が大多数でありますから、当然これは通ります。通りますと、その通つたことが、農村においては非常に迷惑をするということになる。私はこの際これにかわるべき省令を必ず出すと思いますけれども、その省令の内容をここでお伺いいたしまして、その省令内容というものが実際に示されるならば、一応賛成してもよろしいという見解のもとに、今日は薬務局長から、どういう省令を出そうとするとするのか、その省令の具体的な案をここでお示し願いたいと思うのであります。
○慶松政府委員 省令におきまして具体的に私どもがただいま考えておりますのは、農業上必要な毒物または劇物を取扱います者につきましての試験は、地方長官が行いますところの講習会等におきまして行います課目、あるいは、いずれ講習会を行いましたら試験を行いますから、従いまして、講習会におきまして行います試験と同等な試験をもつて、これに通りました者をして農兼用の毒物劇物の事業管理人にいたすというようなことを、具体的に省令の中にうたいたいと考えておるのであります。さよう御了承願いたいと思います。
○金子委員 政府の方といたしまして、この三号の条文は非常に漠然としておりまするけれども、一応今の段階といたしまして——もちろんこれはあちらさんの一つの意見もあると思いますので、これ以上私はこだわりません。これは本来の行き方ではありませんが、どこまても私から申し上げたように、これだけの尨大な数量を、たくさんの人たちが扱つておりますし、ことに本年度政府は一割増産を掲げており、そうして農業費も相当とつておる。しかもこの一割増産の目標は、病虫害の駆除によつてとろうという面を、非常に期待しておるのであります。従つてこの取扱いに支障が来るようなことは万般困りますからして、この法文は一応こうあつても、決してこの法文が漫然としておるために商権擁護の争いを起したり、あるいは取扱い上支障が来ないように、先ほどあなたの御説明になつたような通牒その他によつて、問題を起さぬようにするということに対して、確信がございますか。
○慶松政府委員 私が先ほど申しましたように、その点につきましては、金子委員の御心配の解消いたしますような省令並びに省令のさらに詳細なる説明の通牒を出しますことを、薬務局長といたしまして、責任を持つてお答えいたします。 —————————————
○亘委員 この際質疑打切りの動議を提出いたします。健康保険法の一部を改正する法律案、船員保険法等の一部を改正する法律案、薬事法の一部を改正する法律案、毒物及び劇物取締法案、以上四法条はおおむね質疑を終つておると思いますので、この際質疑を打切られんことを望みます。
○寺島委員長 ただいま亘君より質疑打切りの動議が提出せられましたが、健庭保険法の一部を改正する法律案、船員保険法等の一部を改正する法律案、薬事法の一部を改正する法律案、毒物及び劇物取締法案、以上四法案の質疑を終了することに賛成の諸君の御起立を望みます。 〔賛成者起立〕
○寺島委員長 起立多数。よつて四法案は質疑を終了することにいたしました。 なおこの際、委員長より一言お断りいたしておきたいことは、健康保険法の一部を改正する法律案のみにつきましては、参議院よりあるいは合同審査会開会の申込みがありましたる場合においては、ただいまの決定にかかわらず、再び諸君と御相談する機会があろうかと存じますが、さよう御了承を願います。 明日は午後一時より開会いたします。本日はこれをもつて散会いたします。 午後零時四十二分散会