運輸委員会 第4号
- 発言数
- 135 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1950/12/06
会議録
○前田委員長 これより会議を開きます。 昨日付託になりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。まず政府より本案に対する趣旨の説明を求めます。 —————————————
○山崎国務大臣 ただいま議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。 日本国有鉄道法第二十六條第二項によりまして、国有鉄道職員は、地方公共団体の議会の議員を兼職することが不可能となつておるのでありますが、国鉄職員の地方公共団体との関係についてこれを見まするのに、鉄道路線の分岐駅、操車場、工場などの存在する地方におきましては、鉄道職員の居住割合はきわめて多いのでありまして、現に埼玉県の大宮市のごときは住民の約五〇%、福岡県志免町のごときに至つては特に多くありまして、住民の七五%が国鉄職員によつて占められている現状であるのであります。このうちから一名の代表も選出することができないといたしますれば、地方自治行政の民主的運営に種々なる支障を来たすことも当然であり、考慮されるのであります。この点につきましては、国鉄職員並びに関係町村より、今日まで幾たびか陳情を受けている実情であるのであります。 昨年六月、国有鉄道の公共企業体移行の当時、地方公共団体の議会の議員をその当時すでに兼職していた者につきましては、日本国有鉄道法施行法第三條によりまして、暫定措置といたしまして、その任期中は引続き議員たることを認めておるのでありますが、議員の改選の時期を明年に差控え、この点何らかの措置を講じなければならないと考える次第なのであります。 翻つて、国鉄職員に対して、地方公共団体の議会の議員の兼職の制限を解くことによりまして、職員の勤務に支障を来し、あるいはひいては国有鉄道の能率的な経営に、惡影響を及ぼすようなことがあるかいなかを愼重に検討いたしました結果、そのような懸念はないものと認めましたので、この際地方自治の本旨にのつとりまして、以上のような制限を解くことをいたしたいと考えた次第であります。 よつて本法案を国会に上程いたしまして、国会の御審議を願う次第であります。何とぞ愼重御審議の上に御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
○前田委員長 これより質疑に入ります。質疑は通告順にこれを許します。岡田五郎君。
○岡田(五)委員 まずお尋ねいたしたいことは、これにつきましては、私個人の意見もありまするが、まず国有鉄道職員に何がゆえに国会議員の兼職を許さないのか。これについての政府の考え方をまずお尋ねいたしたいと思います。
○足羽政府委員 実は日本国有鉄道法の制定当時から、地方公共団体の議員あるいは国会議員の兼職を認めるか認めないかということは、相当問題になつた点の一つでございますが、国有鉄道の職員は、その国有鉄道の職員としての職務に邁進をするという建前から、国会議員あるいは地方公共団体の議会の議員であることは認めないということで、この日本国有鉄道法は当初御審議をいただいて成立したわけなのでございます。その後地方の実際の運用と実情から見ますと、地方自治体の議会の議員というものは、日常生活、そこに住んでおられる職員の実生活と非常に深い関係がございます。そこの住民から直接構成をされておる議会の議員で、地方自治を運営して行くという本旨から考えてみますと、非常にたくさんの鉄道職員が居住しておる地域で、地方議会の議員の兼任を認めないということは、実際的に支障がないというので、その点をひとつ考慮してはどうかという考え方が強くなつて参つた。またそれに対して、ただいま提案理由で御説明がありましたように、非常に地方からの陳情があるわけでございます。従つてそういう点と両方を考えて、本来でありますれば、やはり職員としての兼職を認めないということが、初めの国有鉄道法では建前になつておつたのでありますが、そういう現実の問題を考え、かつそれの実際の運用と実情とを照し合せてよく検討いたしまして、地方議会の議員との兼職を認めることが妥当であろう、こういう結論になつたわけでございまして、広く無制限に国会議員との兼職も認めるという方向までは考えておらない。住んでおる地方自治体との結びつきという特殊な点を考慮いたしまして、その実情から、一方職員の勤務に対する影響いかんという点等も考慮して、そうしてこういうふうに改正したい、こういうことで今度の改正の法案を御協議願う、こういうふうに考えておる次第であります。
○岡田(五)委員 地方公共団体の議員になること、国家公務員になることへこれは根本的な人権である、かように考えるのでありまして、適格者であるならば被選挙権もある。また選挙権を持たせることは、憲法上許された当然のことで、これを制限するには相当政治的、一般的な理由がなければならない、かように私は考えるのであります。先ほど鉄道職員の国会議員の兼職につきまして、鉄道職員としての職務に精励するとういう意味合いからいつて、非常に不都合であるから、国会議員にしないのだ、兼職を許さないのだ、こういうような御答弁があつたようであります参が、私は国有鉄道のような公共企業体には国会議員、すなわち国会議員になれば、どうしても政治色かつく、現在の政党政治下における国会議員に——中立、公正であるべき公共企業体の国有鉄道に、政治色を持たせたくない。そういう意味から、鉄道職員の国会議員兼職を許さないのじやないか、かように考えるのでありますが、この辺の考え方につきまして、もう一度政府委員から御答弁を願いたいと思います。
○足羽政府委員 先ほど御説明を申し上げた通りでございます。
○岡田(五)委員 質問いたしました私の考えとは、全然別なお考えであるかどうか。この辺多少聞き漏したかもしれぬので、ひとつお考えを聞かせていただきたいと思います。
○足羽政府委員 やはり先ほど御説明申し上げましたように、国鉄職員は鉄道の仕事を一生懸命やるということが建前でございまして、その建前を国有鉄道法としては、当初から貫いておるわけでございます。ただその後の実際の運用の状況と照し合せまして、地方公共一体の議会は、その土地から選出をされて、その土地に住んでおられる人の日常生活に非常に密接な関係もあり、そうしてそこにたくさんの鉄道職員も住んでおるというようなところも、今説明申し上げましたようにたくさんあるわけでございますから、そういうところで議員の兼職を認めないということは、実情と非常に齟齬を来し、困難な点があるというので、実際に国鉄職員として仕事をするということと矛盾しない、支障がないということを慎重に検討いたしまして、今回の提案をいたしました。御説明申し上げる点は以上に盡きる、こう考えておるわけでございます。
○岡田(五)委員 それでは次の質問に移ります。地方公共団体の議員は、このたびの法律では兼職できるということになつておるのでありまして、地方公共団体、すなわち府県議会議員以下、町村会議員というようなものが含まれておると思うのでありますが、最近の県政の実情、かよう点から申しまして、県議員もまた国会議員と同様相当繁劇なる仕事にといいますか、しよつちゆう県会を開きまして、あるいは国有鉄道職員の本職をある程度犠牲にいたさなければ、県会議員としての職務を遂行できない場合があり得るのではないか、かようにも考えられます。なるほどこの提案理由は、町村会議員を主としてのような説明になつておりますが、県会議員の場合においては多少趣が違つて来るのではないか、かように私は考えるのであります。この県会議員の場合については、どういうようなお考えを持つておられるか、御答弁を願います。
○足羽政府委員 そういう御疑念も実はあろうかと思うのであります。もちろん都道府県会あるいは平町村会とによりまして、その居住地と、それから府県会あるいは市町村会の開かれます場所との相違なり、あるいは一費消時間、あるいは繁忙さ等、いろいろ程度の差はあると思うのでございますが、それをどこで線を切つて取扱いをかえるかということは、相当困難な問題でございます。または実情から見まして、府県会議員に出ております数もきわめてわずかでございまして、実情に着眼いたします場合には、都道府県会議員を含めて考えても大した支障はない。また地方府議会をも含めまして、そうした地方自治体としての性格を、特にあるいは市町村会以下と差をつけるということは、相当困難なように思われますので、府県会以下地方自治体の議会の議員というものに対して兼職を認める、こういうふうにいたした次第であります。
○岡田(五)委員 この法案の重点を一応府県会に置きますと、私個人の意見でありますが、日本国有鉄道のような公共企業体は、できるだけ政府色を除き、政治的中立性を維持させることによつて、ほんとうに純然と、冷静に公共の福祉の増進ができるのではないか、またこうあるべきではないか、かように考えるのでありますが、府県会議員を重点に置いてみますると、地方県会議員におきましても、政党政治ますます盛んとならんとする時代におきましては、政党色が濃くなつて来るのではないかと私は考えるのであります。もし国有鉄道職員にして、今後県会議員に相当出ることあるならば、国有鉄道もまた相当政党色に塗られる可能性があるのではないか、あるいは杞憂に終るかもしれませんが、かように考えるのでありますが、この辺についての政府委員の感じでけつこうでございますから、御答弁を願いたい。
○足羽政府委員 あるいはそういうふうに御心配になり点もあるかもしれませんが、私たちとしましては、それが非常に困るような事態になろうというふうにはあまり考えておりません。府県会議員以下の地方自治体においては、まず大体支障はないのではないか、そういうふうに考えているわけであります。
○岡田(五)委員 次に法文と多少離れるかもしれませんが、お尋ね申し上げます。国有鉄道職員は、民生委員だとか公安委員だとか、あるいはその他いろいろ最近委員会制度が発達いたしましてたくさんの委員会ができておるようでありますが、かような委員会の委員を兼職できるのかどうか、一応お尋ね申したいと思います。
○足羽政府委員 実ははつきりお答えをしかねるのでございますが、大体さしつかえがないかと考えております。
○坪内委員 二、三お尋ねしたいと思います。昨日われわれ地方公務員に対する政治的行為の制限を、法律によつて制限いたしたのでありますが、もちろん国鉄の職員は公務員ではありませんけれども、何か地方公務員に対して政治活動といつたものを制限した、こういつた考え方から、むしろこの法案はそれに遂行するような印象を與えるのであるが、その点どういうようにお考えになりますか。
○山崎国務大臣 お答えいたします。ただいま岡田君もお尋ねになつておる点で、岡田君も十分御納得が行かないで、話題を転じられたような感じも私は受けたのであります。今また坪内君からも、おそらくその点に触れて、同じ方向のお尋ねであろうかと考えるのであります。私は法律家でもなく、憲法学者でもないのでありますが、私の留年にわたる選挙法をしばしば改正をして来た政治的の経験、感じ、それから地方議員の選挙法を改正して来た見地から考えて行きまして、特に国会議員の選挙法の場合において、私の脳裡に深く印せられてあることは、国民投票であり、一般投票日であり、常識投棄であつて、職域代表ではないという建前であります。しかし選挙の結果においては、職域に関係した人が、依然同じ利益代表のような意味で連絡をとつて投票をするという具体的な事実は出ておりますけれども、建前としては一般投票であり、常識投票であつて、職域代表という制度ではない。かつての貴族院の場合における多額納税議員というようなものは、漠然とはしておりますけれども一種の職域代表である。あそこの中にあるいは土建業者の職域代表があり、醸造業者の職域代表も出て来る、あるいは地主階級の職域代表が出て来る、あるいは金融機関の関係の職域代表が出て来るというように、職域代表とはいわないけれども、多額納税議員というような二種の職域代表が出て来るようなわくを設けてあつたと思うのであります。その後戦争中に職域代表説が非常に多くなつて来て、戦争中のあの翼賛選挙なんかは、鉱山業者から出すとか、機械業者から出すとか、軍需工業をしている者から代表を出すとか、ずいぶん露骨な職域代表が出て来たと思うのであります。私はそのときは議員に出ませんでした。なぜかというと、国会議員は常識代表であるべきものだ、そういう職域の代表、利益代表になれば、一部の利益の代表はできるけれども、全国民の代表は人間としては自然できにくい。国会議員というものは、職域にとらわれざる見地に立つて、初めて議員の職責を果し得るものであろうというふうに考えておつたのであります。その後戦争が済んだ後にこのたびの憲法が新たに制定され、選挙法も自然改正をされる場合に、一部分においては職域代表的のものを参議院の方に明らかにしたらどうかという議論もあつたのであります。これは学者としても政治家としてもごく一部であつて、やはり参議院もそういう職域代表という形には参らずに、全国的あるいは地区的ということでおるような次第であるのであります。この間に自然に職域的あるいは階級的の代表者が出て来るということも、全面的にこれを封ずるのにはあらずして、その間に自然の調節の姿を残しておいて、そういう意見を持つ人の意見もその間に達成せられるという形になつたと思うのであります。同じ国会でも、衆議院の場合におきましては、私はそれが学説であるか、何であるかは知らぬが、私の持論としては、どこまでもこれは国民代表でなければならない、職域代表であつてはいけない、こういうことを議員の側の建前からは言い得るわけなのであります。そうすると国有鉄道という一つのかたまりの中から出て来るのはまた別問題でありまして、公共企業体の従事員としてその仕事に專念しておる者は、仕事の上からも許されないのみならず、これがまた一つのかたまりになつて動くということになることは、私の平生の持論から行くとそうでなしに、やはり国民代表という形で選挙権を持つておるのでありますから、もし選挙されたければ、国有鉄道の職員を離れて自由の立場に立つて選挙されたならば、その選挙権は国民としても決して何ものにも制限されないであろう、こういうふうに私は考えておるのであります。それで地方自治体の議員はどうかというと、これは何といつても市町村かねらいでありまして、これは市町村の住民としての生活に密接な面についての議員であるのでありますから、これはぜひ許されなければならない問題である。この法の示すように、兼職を認めて行くということが本筋の建前でなければならない、こういうふうに私は考えるのであります。それから都道府県会議員の方はどうなるか、これはやはり地方公共団体の範疇の中に入れて考えて行つてしかるべきであると私は考えるのであります。私の申し上げることが十分徹底したかどうかわかりませんが、要するにこの点がただいま岡田君と坪内君の、なぜ国会議員の兼職を許さないかという点であろうかと思うのであります。あるいは違うかもしれませんが、公共企業体あるいは国有鉄道公社というようなものは、役人にもあらず、民間にもあらず、何だか中途半端な変なものだという感じを、われわれ政治的に見ると感ずるのであります。御承知の通り国会議員が兼ね得る職は、大臣とか政務次官とか、はつきりきまつておるのであります。その他の政府の役人になることは、院の許しを得なければなれないことであり、ならないのが本体なのでありますから、私は国会議員を兼ねしめないということの方が、政治的に考えて行くと本筋であると考えるのであります。法律上の議論は私はしろうとですから申し上げません。
○坪内委員 ただいま私の質問に対しまして、大臣よりまことに傾聽に値する御答弁がございましたが、地方公務員と国鉄職員、この件につきましては、非常にこれは重大な関係があると思いますので、私はさらにこれを十分検討いたしたいのでありますが、この点はこれで打切つておきます。 次に、この提案理由の説明にもそのようなことが一、二述べてありますが、実際問題として兼職した場合に、はたしてその任務に支障がないというふうなことでございますが、しからばどうして支障が起きないのか、これについて具体的に御説明願いたいと思います。私もかつて教育界にありまして、地方議員を兼職したことがありますが、地方自治法によつて、地方議会は年六回以上の議会を開かなければならないようになつておりまして、ひつきりなしに議会が開かれ、その間委員会あるいは出張というようなことで、自分の本職である教育の仕事がほとんどできなかつたので、ついに私は教職をやめまして、議員一本の仕事をしたというような体験も持つておるわけでありますが、国鉄の場合はどういう関係で、職務に支障がないというような根拠があるのか、その点についてもう少し伺いたいと思うのであります。
○足羽政府委員 国有鉄道の職員が、ある一定の職場に職を奉じております際に、地方公共団体の議員を兼職いたしますれば、やはり自分の本来の仕事以外の仕事が加わるわけでありますから、勤務に支障があるのではないかという観点からながめます場合には、多少の支障はもちろん考えられると思うのであります。ただしかし地方団体ではその土地に住んでいる人がそれぞれ職員になり、議員になるという、地域的にも非常に近いという点もありまして、自分の非番の日だとか、いろいろそういうふうな利用し得る日も多少はあるかと思います。そうした点をあわせて考えますと、全然支障がないとは言えないかと思いますが、実情から見まして、特に困るような積極的な支障があるということは万々なかろう、こういうふうに実情を検討して考えておるような次第であります。
○坪内委員 局長は地方公共団体の実体を御存じないので、そのようなことをおつしやるのだろうと思います。現実の問題として、地方自治法によつて運営されておる公共団体の現在の運営は、今局長がお考えになつておるような状態ではないのであります。そこでこの職員が兼職をした場合は、私たちの過去の経験からしても、職務に支障が多分にあるものと思うのであります。なおお話の模様を伺いますと、大体特定の市町村会議員を兼職するようなことになるであろうというようなお話でございますけれども、実際問題としては、先ほど岡田委員からもお話がありましたが、県会議員を兼ねるような事態も生じて来るのではないかと思うのであります。たとえば福岡県の志免町のごときは、住民の七五%が国鉄の職員だということになつておる。住民の七五%も国鉄職員が住んでおると、その七五%の人々が結束いたしますれば、当然立候補して当選できるところの得票をとり得るというような事態も起り得るのでありますが、そういう点は十分お考えの上であるかどうか、もう一度お答え願いたいと思います。
○足羽政府委員 いろいろ地方々々から、非常に住民の多い所などで、ぜひ兼職を認めてもらいたいという陳情なども出ておりますように、兼職を認めない場合には非常に困る状態もできる。また一般問題として、国鉄の運営上積極的に非常に支障になるという点も考えられない。実情としてはそういうふうに観察されるものですから、こういう道を開きたいというのがこの趣旨でございまして、実際問題といたしまして——これは私の想像でございますが、あるいは地方公共団体の議員になつた人の中でも、特にまたその職によつて非常に忙しい立場になる人もあるかもしれません。あるいは特に忙しくなく、議員として仕事をされる人もあるかもしれません。そしてまたそのときの実情によつて、その人の判断によつて、あるいは実際問題としては、そういうので両立しないということで、いずれかをやめるというようなことが、本人の自発的意思によつてあり得るかもしれないのでありますが、しかしそういう兼職し得る道を開いておくということが、結果として特に支障を免じない、こういうふうに考えまして、これを提案した次第でありまして、そうした場合のことを予想して、何が具体的にそれに対して考えておるかという御質問に対しましては、特にそういう点については、具体的にどうするという対策は考えておりません。
○坪内委員 国鉄職員に対して、地方公共団体の議会の議員を兼職させることが、はたしてどうかということにつきましては、先ほどの大臣のお話もありましたように、またわれわれも憲法の建前から、あるいは法律的な関係からへあるいは国民の権利義務の建前に立つと、同感の点もあるわけでありますけれども、実際問題としては、兼職をした場合に職務に支障がないということは、私は言えないと思うのであります。現に私は長崎県でございまするが、長崎県は日本一の島の多い所でございまして、そこに炭鉱なんかたくさんございまして、その住民の一〇〇%が炭鉱関係の職員が住んでおるというような地方公共団体がありますが、いずれもそういつた職域からは、地方公共団体の議員は出さないような習慣になつております。たまたま出ましても、職務上支障があるために、次々に終戦後今日までやめてしまつておるというような実情でもありますので、この点もさらに愼重に当局におきましても御検討になられて、そうして将来の国鉄の運営に支障がないように、十分考慮を拂われて検討されるよう、要望いたしまして質問を終ります。
○玉置(信)委員 私は先ほど大臣から提案理由の御説明のありましたその内容と、先刻来の足羽局長の御答弁の内容とに、食い違いがあるように思うのです。それは提案理由に「地方自治行政の民主的運営に支障を来すことも考慮される」云々とあります。これについて、もつとも足羽局長の御答弁がきわめて抽象的であるので、はつきり私にはのみ込めないのかもしれませんが、特に住民の居住率の多い福岡県志免町の例をとつておられますが、これはこうじやないでしようか。住民のうち七五%が国鉄職員で、あと二五%が一般住民であるということになりますと、一般住民のみから地方議会の議員を選ぶということになると、少数の輿論が多数の輿論を無視するようなおそれがあつて、地方行政運営の面に悪影響を及ぼすのではないかというようなところに、ねらいがあるのではないかと私は思うのですが、この点どうか。それから、もしそうだとするならば、先ほど来岡田委員、坪内委員の御意見にもありましたように、この根本的な、地方議員を兼ねさせるという根拠がそうであるとするならば、私は道府県会議員に対して兼職せしめるということは、少しこの法案の精神から逸脱し、行き過ぎたものではないかと思うのです。この二点についてまずお伺いいたしたいと思います。
○足羽政府委員 ただいまの御質問の「地方自治行政の民主的運営に支障を来すことも考慮される」ということの意味は、非常にたくさんの鉄道職員がある自治体の住民である場合に、それの意向を反映しない、全然そのうちから議員が出せないということが困るという意味ではないかという御質問でございますが、地方の住民として、非常にたくさんの人が住民のある部分を構成しているという場合に、それから議員を出せないということが、この提案理由に書いてあります今御質問の点の意味だ、こういうふうに考えております。従つて、そういうわけでございますので、そういう職員のうちから議員になる道を開くということによつて、その点を考慮する必要があるのではないか、こういうつもりなのであります。 そこで県会議員までこれで認めるということについての御質問でございますが、それは先ほど岡田委員から御質問がありましたときにお話申し上げましたように、市町村会議員と県会議員とあるいは考え方——感じの違いと申しますと何ですが、多少考え方としては、気持の上に食い違いがあると思いますが、しかしそこではつきり線を画するということも困難なようにも思われます。また事実従来の実情を見ておりましても、県会議員というのは非常に数も少うございますし、これもあわせて地方自治体議員一般を含めて、これの兼職を認めるというようにしても支障はないのではないか、こういうふうに考えた次第でありまして、あるいはお話のように、多少市町村会議員と府県会議員との間には感じの違いと申しますか、程度の差はあると考えられるのですけれども、この法案におきましては、同一の取扱いとしてやつて参りたい、こう考えておる次第であります。
○玉置(信)委員 ただいまの御答弁では、はなはだまだ納得できないのであります。くどいようでありますが、この提案理由の、いわゆるこうした法律案をつくるという精神、根拠からいいますと、私の申し上げたことがその通りであるというお話であるので、私は再確認をして、重ねて御質問申し上げるのですが、先ほど申しましたように、七五%も国鉄関係の人がおる所において、これを認めない場合においては、地方自治体の運営機関をなすところの議員が、特定の者のみによつて構成されることによつて、その自治運営の上に非常に欠陥を来すということを考えて、こういうことになるとするならば、私はこうした特定の地域というもの、たとえば福岡県志免町のごときは、全国的にそう数は多くないと思うが、もしあるとするならば、この機会にその市町村の所在、並びに市町村会議員に出ておる議員の数、これらもあわせてお伺いしたいのであります。それから先ほどの足羽局長の御答弁によりますと、議員に出さないと、国鉄の職員が非常に支障を来すのだというようなことの趣旨に私は受取つたのでありますが、もしそうだとするならば、どういうふうにしたらいいのか、私どもこの法案の趣旨から考えてみますると、たとえば市町村におきまして、こうしたたくさんの国鉄職員がおる所におきまして、その地域からの議員が出ないことによつて、市町村民税その他税の審議等においても、非常に支障を来すという面があるわけで、私はかつて市町村会議員にもなり、議長もやりして、いろいろそうした面にぶつかつて経験しておるわけなので、特に私はこういうことを申し上げるのでありますが、なお現在の私どもの管内では、鉄道職員が市町村会の議員になつているのもあるわけであります。なお道府県会議員にもなつておりますが、ことに最近におきましては、先ほどもお話のありましたように、道府県会の議員になりますると、ほとんど国会議員と同じように年中議会に招集されておりまして、その職務に携わつておるということは、年におそらく二、三箇月しかないのじやないか、こういうことを考えてみますると、ほんとうに職員である人ならば、これはとうてい職務を続けることができないと私は思うのですが、こういう点につきましても、なお詳しく御説明願いたいのであります。
○足羽政府委員 鉄道の職員が非常にたくさんおる所はどういう所かという御質問は、実はここに資料をちよつと持つておりませんので、はつきり御返答申し上げかねますが、先ほどあげました志免とかあるいは大宮、あるいは大きな工機部の所在をしております所、あるいは大きな操車場のございます所、そういう所は、鉄道の職員が三千、五千と固まつておりますので、ことにその所在が小さな町村なんかであります場合には、相当な部分を国鉄職員か占めておる所が相当あろうかと思います。なお御参考までに、都道府県会あるいは以下の議員は、大体現在どういう程度の人数になつておるかと申しますと、都道府県会は七人であります。それから市会が六十七人、それから町村会が三百九人、以上三百八十三人というのが、八月一日現在で調べた数字でございます。次に鉄道職員が住民の大部分を占めておる所で、それから議員を出さぬと自治体の運営に支障を来すということの点についての御質問でありますが、それはそういうふうな地方からの話をわれわれは受入れるのでございまして、また事実そういうことも実情をしてはあろうかと思います。たとえば鉄道職員が住民の大きな部分を構成しております場合に、そのうちから議員が出せないということは事実支障があるだろう、こういう点はわれわれはすなおにそうであろうと考えるわけでありますが、われわれといたしましては、そういう推定、想像、あるいは実情によつて、さて議員として国鉄の職員の兼職を認めることが、国鉄職員との間に支障があるかないか、こういう点を検討いたす次第でありますが、はなはだ抽象的ではありますが、いろいろ従来の実際の運用なり、あるいは実情から見て、特に積極的な、ほんとうに困るような支障はない、こういうふうに、国鉄で調査させましても言つて参つておるわけでありまして、われわれといたしましてはそのために特段の支障があるというふうには考えておらぬ。あるいは職場の人がお互いに助け合い、譲り合つて、その兼職をしている職員の、職員としての仕事もできるだけやれるようにやつて行くということで、特に仕事の運営面に重大な支障はない、こういうふうに結論的に考えておるわけでございます。
○畠山(鶴)委員 ただいま坪内さん、玉置さん、岡田さんが言われたことは、私も同感でありますが、私も一つの体験がありますので申し上げますが、いやしくも市町村長、議員となる場合には、第一職場の関係からして、服装等にも非常に違いがある。これに対する補助問題、補助をしない場合に、その議員となつた場合には、経済的にどういう関係があるか。私どもは実際の例を見てみますと、服装もりつぱな服装をしており、交際費もよけいかかるが、この点についてお考えがあるかどうか、お伺いしてみたいと思います。
○足羽政府委員 それはそれぞれその立場において、その人の個人的な問題でございますから、われわれといたしましては、法案を提出するについて、その点については別段考えておりません。
○畠山(鶴)委員 今のお答えでは、私どもよく納得ができません。一例を見てみますと、その服装やあるいは交際の関係からして、ややもすれば惡いことをしておることをしばしば耳にしておりますが、こういうような点につきまして、何か参考資料はございますか。
○足羽政府委員 別段ございません。
○畠山(鶴)委員 先ほどのお答えのうちに、仕事には支障がないというお話でありましたが、私ども見ておりますと、ある遠い所になりますと、行くだけ一日以上かかつて、帰りに一日かかつて、向うへ行つて二日間用があると、ややもすれば一週間の日時を経過するのに、職務上支障がないというお話でありましたが、こういうような特殊の場合には、どういうふうに考慮されているか、お伺いしてみたいと思います。
○足羽政府委員 そういう特殊な場合がございますかどうですか、もしありといたしましても、きわめて例外の場合でありまして、大数観察として、大体鉄道の職員としての勤務をする上に、鉄道の全体の運営上大きな支障はない、こういうふうに考えております。
○畠山(鶴)委員 職務を持つておる人が、一週間もその職場を離れても支障がないということは、私ども了解できませんけれども、今のお答えは非常に薄弱な、ちよつと不明瞭なところがあるのじやないかと思いますが、私ども実際面に当つて一応お伺いしてみたいと思います。もう少し提案理由をこまかく御説明願えればけつこうだと思います。
○足羽政府委員 どういう場合のことを前提として御質問になつたのか知りませんが、あるいは往復を含めて一週間かかるというような場合は、普通の自治体の場合は特例ではないかと思うのでありますが、そういう場合にはあるいは本人が休暇もございますし、特にその場合に具体的に考慮して解決のつく問題ではないかと思います。
○坪内委員 その点は、先ほど来各委員が御質問になつておる点でありますが、特に地方自治法によつて六回以上も議会を開かなければならぬ、その会期は相当長期間にわたつて行われる。しかも休会中において委員会がある、出張がある、あるいは緊急に議会を招集しなくてはならない。こういう議会に出席する職員が、職務に支障がまつたくないのだというような局長のお話は、まつたくこれは納得行かないのでありますが、その点はどうでございますか。
○足羽政府委員 その点は全然支障がないと言い切れぬと私初めに申し上げたつもりでございまして、あるいは多少支障がある場合があるかもしれませんが、しかし全体としては特に大なる支障がないものと考えられるので御提案をいたした、こういうふうに私御説明申し上げたつもりでございまして、全然支障がない、絶対に支障がない、こういうふうには私御説明いたしておらぬつもりであります。
○山崎国務大臣 今委員諸君より、支障があるかないかというところに重点を置いての鋭いお尋ねがあつたのでありますが、この提案者といたしましても、これは支障があろうと思うのです。当然あるはずだ、あるのがあたりまえである。しかしその支障は遊びに出かけるのではないのであります。野球の試合に職場を捨てて出て行くのではないのであります。一番極端な例で七五%かりに出ないまでも、あるいは一〇%の地方においても、その家族がその町で居住をして生活をしておる以上は、これは厚生施設とは違いますけれども、町の住民として何人かの人を出して、代表的に地方の自治の福利その他課税もありましようし、仕事もありましようが、そういうものに人を特に出して当然じやないか、こう思うのであります。出さずにおいて、公共企業体の従業員は、民主主義の時代にいつも欠席裁判で、少数の人が、あるいは多数者でもよろしい、公共企業体の従業員でない人たちがきめたのに対して、まつたくあずかり知ることができないというようなことがあつたのでは、声を出すことのできない少数者ができるということになろうと考えますから、これは支障が多少あつても、そこのところは十分公共企業体の内部のやり繰りをして、そうしてその居住をしておる従業員全体が、地方自治体の政治とぴつたり合うように、調節をとつて行くだけの仕事があつてしかるべきだと思いますから、それを法外もなくたくさん出るかというと、先ほど局長が御説明申し上げました通りに、昨年の大月公共企業体、国有鉄道公社ができなかつた以前、自由であつた時代に、都道府県からどれくらい出ておるかと見ますと、鉄道管理局のあつた所ですが、ことしの八月現在、つまりこの前の地方選挙のときです。その後補欠選挙等がありましたから多少増減はありましようが、都道府県会に七人となつています。それはどこから出たかというと、鉄道管理局の所在地、全国に元の鉄道局が九つあつて、その七つの地方から都道府県会議員が出ております。それから市会に出ている人が六十七です、市の数ははつきりわかりませんが百五十内外、もつとあるかもしれませんが、それで市会議員が六十七人であります。それから町村会議員が、町村が一万以上ありまして三百九、これは何らの制限なしに、前回の地方選挙のときに立候補して選ばれた人であり、その後補欠等があつて、きわめてわずかな増減があつたろうかと思いますが、全部合計して三百八十三、こういうことになつております。鉄道管理局は現在は二十七、市会の場合の六十七の内訳を見ますと、鉄道管理局所在地に六十四でみな散らばつています。それから地方営業事務所の管内に一人、地方自動車事務所で一人、地方資材事務所に一人でございます。それから町村会の場合は本庁に一人、直轄付属機関に十四、鉄道管理局の管内に二百八十四、地方自動車事務所に六、地方経理事務所に二、地方資材事務所に二、合計三百九という計算になつているわけであります。結果からいえば大体これが存続されるわけであります。鉄道の従業員の全体の数は、昨年鉄道当局の非常な努力で十何万の人員整理を行つておりますから、今年度においては鉄道従業員数は六十何万ではなくして、四十九万台に激減をしているわけであります。
○滿尾委員 私も少しお尋ねしたいのでありますが、大体におきまして国鉄の従業員に今回の制限を撤廃していただくことについては賛成であります。今大臣からお話がありました通り、国鉄従業員なるがゆえに、地方公共団体の自治代表として立ち得ないということは不合理でありますから、私はその趣旨につきまして大賛成であります。ただこれを実行しますにつきまして、若干考慮しなければならぬ問題がある。業務上支障があるかないかという議論がたくさん出ましたが、私は業務上の支障というよりも、むしろ立候補するときに相当に支障があると思う。でありますから、国鉄も無條件にただ資格を與えてしまうということは考えものである。これはやはり上長の許可を得てなることができる、総裁の許可を必要とするというふうな方向に持つて行かなければならない。それをいずれの段階において許可するかということが問題だ。第一、立候補するときに、立候補したいという意思を表明して、許しを得て立候補するのか、立候補は自由にしておいて、当選したあかつきにおいて議員に就任することを許可するようにするのか、ここのところはテクニックとしまして相当研究する余地があります。しかしいずれにしましても、法律がいきなり議員になることができるというふうに開放してしまいますと、いかなる職名の人間でも、立候補したいという希望を申し出でたときに、国鉄の現在の組織において、法律上当然認められた志を奪うことはできない。ここに私は相当問題があると思う。従つてこの法律の改正は、必ず命令の定めるところによるとかなんとかいう逃げ口を開いておいて、さらにその命令をもつて国鉄のこれこれの職名の者は、議員たることを得ないというふうに制限するとか、あるいは立候補するときに許可をとるようにするとか、あるいは当選した後に許しを得て就任することにするとか、ちよつと縛つておく必要があるように思う。私の考えといたしましては、どうしても立候補のときに許可をとるというようなことは、やはりいろいろな政党関係の波動等もありまして、むやみと人の意思を押えるようなきらいがありますから、ここに相当の問題がある。従つて就任するときの條件とした方がいいかどうかという問題がある。これについての当局の御意見を承りたい。また特定の職名を列挙式として、左の職名の者は立候補することを得ないという命令を大臣がきめておくこともいいだろう。どうしてもその人間が立候補したいときは、事前に内部的に、その職から他の職に転職させるがよい。これこれの職務にある者は、議員たる仕事と両立しないという者につきましては、内部的にこれを明確にされておきまして、あらかじめ立候補したい者は事前にその職名からはずれた他の立候補可能な地位に転出させていただくというような方向をとるとすれば、大して害はなかろうと思いますが、どうしても今回の法律案の改正は、御提案になりました原案のままでは、はなはだ不完全だと考えますが、今私が申し上げましたような点について、提案者としては私のようなお考えをお持ちになつておりましたか、お考えを承りたい。
○足羽政府委員 話が元にもどるわけでありますが、国会議員あるいは府県会議員あるいは市町村会議員の兼職の問題については、一面、御承知の專売公社の方ではこれは無制限に認めているわけであります。従つて一番初めからそれとの均衡論というものが、非常にいろいろ闘わされたわけであります。本来は、現行法を離れて、法律を離れて考えますと、実際は国会議員にいたしましても、あるいは府県会、市町村会議員にいたしましても、これに対して制限があるということは、特に法律によつて制限を設けられて、初めてなれないということであろうかと思うのでありますが、専売公社と国有鉄道と、おのずからそこに実際業務上との関連においての差異もありますので、国有鉄道法においては、全部兼職は認めないという建前を、結論において初めの法規ではとつたのであります。しかし実際の運用なり実情から見て、市町村を主にいたしまして、ぜひこれの兼職ということが認めらるべきではないかという議論が非常に出まして、事情からも、いろいろそれの職務面との関連なり、あるいは実際に住んでおる自治体との関係を考えて、今御提案申し上げておるような、府県以下のものについては、特に著しい支障がないであろうということで、こういうふうな改正案を実は御審議を願つておるわけであります。 それで今立候補の場合、あるいは就任の場合、いずれかの時期を画して條件をつける、あるいは職名によつてそれに條件をつける、あるいは制限をするということについてはどうかという御提案でございますが、そういう点も考えられなくはないと思いますが、しかし専売公社法との振合いなども考えまして、一応こういう府県会以下については、ここに御提案をいたしましたような趣旨で、そうした條件をつけないで改正をいたしても、実際に支障はなかろう、こういうことで提出した次第でございます。
○滿尾委員 私は專売公社と国有鉄道と、この面において機械的に平等といいますか、同じように取扱う必要は毛頭ないと思う。專売公社の場合は、タバコをつくつている。これは生産事業にすぎない。なるほどタバコは社会生活における重要さは大きなものでありますけれども、その業務遂行上の地方公共団体との事務とは、大体両立するだろうと思う。ところが国鉄の場合には、先ほどからいろいろの委員が御指摘になりましたように、だれが考えても国鉄のある職名は、公共団体議員と両立しないものが多々ある。しかるにそれをまつたく一緒に扱つて、制限なしで、野放しで、これを開放しようという考えは、実情に合わないのではないか。なぜ私がさようなことを申し上げるかというと、いやしくも法律でこの権利を認めた場合に、将来国鉄の内部組織の力で、それを阻止することが非常に困難になる。従つて私は国鉄の総裁が、国鉄の事業送行上において、この程度に野放しにいたしますことは、将来非常に運営上不便を感ずるような事態が出て来はせぬか、その点を心配いたしました。事柄の実態は大賛成であつて、一日も早くこれが実現することを熱望しておりますけれども、どうしても国鉄の統制上の見地からいたしまして、若干のひもをつけておく必要がある。そのひもは法律に根拠して、頭を出しておきませんと、その他の事実上の統制力で、この国民の権利義務に関する問題を関與いたそうということになりますと、非常にむずかしい問題がここに発生するおそれがある。従つて今回の法律改正は、この原案では私は非常に不十分だと思う。ぜひ別に命令の定めるところによりとかなんとかいうことで、ちよつと逃げ品をつくつておいて、禍根のないような命令を今後おつくりになることを希望いたしまして、私の質問を終ります。
○山崎(岩)委員 大臣の御答弁を承りましたが、大臣はまことに大政治家としまして、今日まで堪能なところの立場に立たれた方ですから、いろいろ親心を示されるということもよくわかるのでありますが、しかし私は国鉄当局は、政治の実態から離れようとする気配を濃厚に持つているのではないかと思います。従いまして国鉄の幹部は、はたしてただいまのこの提案に対しまして、満腔の賛意を表しているかどうかということに対して、疑いを持たなければならないと思います。というのは、本委員会におきまして、たびたび総裁その他国鉄の幹部の諸君と、いろいろ討議を重ねて参つておるのでありますが、その討議の結果に照してみましても、国鉄はなるべく政治から離れようという傾向を持つているのではないかということを、私は疑わざるを得ないのであります。それはなぜかと申しまするならば、コーポレーシヨン、全共企業体になつたのであるがゆえに、われわれは国会と非常な大きな隔りを持つておる。それに対して影響を受けたくない、こういう考えを持つておるということは、多数の委員諸君は御承知のこと私は思うのであります。しかるに先ほど岡田委員の質問の中にもありました通りに、これが議員となつて選ばれましたる以上は、必ず政党の中に入つて来る傾向を持たなければなりません。たとい町村会でありましても、あるいは市会でありましても、県会でありましても、政党にくみせざるところの議員の存在価値というものは、これは価値のないものであるということは、私がここで喋々するまでもないのであります。私もかつては大湊という小さな町でありますが、そこの町長として町政運用の衝に当つて、あまたの町議議員諸君といろいろな折衝を遂げて参つたのでありますが、やはり政党に参加して政党的なる色彩を持たなければ、仕事ができないということを、私は体験によつてはつきり知つておるのであります。従いましてたとい市会でありましても、町村会でありましても、政党に参加せざるを得ない。政党に参加して来るということになれば、いろいろな面において政治的なる行動をとつて来るということになるのであります。そうなつて来ると当局の最高幹部は、はたしてこれを喜ぶか喜ばないかということを私は疑います。そこで本案を提案するにあたつて、国鉄の幹部と御協議の上でこの提案をなされたかどうか、この点を一点承りたい。
○足羽政府委員 本案につきましては、国有鉄道の方からこれに対しての希望が参つております。
○山崎(岩)委員 私はそこでお尋ね申し上げたいのでありますが、今度の委員会においていろいろ問題になつておりまするところの管理局設置の問題につきまして、私どもは地方の鉄道局に対しましても、いろいろな調査の資料の提供方についていろいろ要望しております。ところがそれに対して、ただいまの職員は非常な不安を持つておるのであります。それはなぜであるかと申しますると、われわれが政治家と結託をして、いろいろな材料を提供し、情報を提供することによつて、当局からにらまれてあるいは首になりはしないかということをおそれた結果であるのでございます。そうすると職員というものは、政党とかあるいは政治家と連絡をとるということを極力避けておる。その実情を私ははつきり知つておるのであります。そのことはなぜそういう結果になつたかというと、ただいまのように、これは公共企業体でありながら、選挙権が拘束を受けておるという結果に基いてやつておるのであつて、今度のこの案が法律となりまして晴れて公民権を持つということになるならば、その疑いがない、心配もない、われわれは政治とよく組んでやつて行こうというのであれば、私はもちろんこれはまことに喜ばしいことでありますので、本提案を一日も早く協賛を與えて法律にしたい、そういう気持には私は寸毫もやぶさかならざるものを持つておるのであります。しかしながら現在の状態からいうと、どうしても国鉄の当局は、政治家と組むとか政治的な行動をとるとかいうことを避けておる、そういうふうに私は思う。従いまして国鉄が今本案の上程方を要求されるというのであれば、その考え方は二つにわかれておる。国家的な意味においての政治の部面にはわれわれはなるべく避けて、さわらぬ神にたたりなし、なるべく神様のたたりは受けたくないという気持を持つておるようである。しかしながら一般職員の立場から考えて、地方的な政治の分野においては、うんと働いてもらわなければならないという、二つの考え方を持つておるのではないかということを疑うのであります、監督当局である大臣並びに足羽局長は、この点についてどうお考えになつておられまするか、承りたいと思います。
○足羽政府委員 率直に御返答させていただきます。これは私の想像でございますが、国有鉄道として、この地方の問題に対して、特に積極的である、あるいは消極的である、そういう点については、態度は白紙であろうと考えます。問題は、地方からも、地方自治体の議員に兼職を認めさせることが必要であるという実情がるる参つております。その点を受けて、国鉄職員をして兼職を認めるということが、鉄道の業務との関係において、特に重大なる支障があるかないかという点を検討いたしまして、提案をいたした次第でありまして、特に今御質問になりました点については、積極的な意思も消極的な意思もない、白紙である、こういうふうにお答え申し上げたいと思います。
○山崎(岩)委員 先ほど滿尾委員のお言葉の中にもございましたが、これは同じ公共企業体でありましても、專売公社とは断じてその業態が違つておることは申し上げるまでもないことなのであります。従いまして国有鉄道というものは、えんえん二万キロにわたるところの市場と申しましようか、お客様をかかえておるのでございます。従つていろいろな部面において、その委員とかあるいは議員というものに選ばれますと、自分の職務にさしさわりを生じて来る。この点は先ほども大臣のお認めになつた通りと私は考えるのでございます。しかし当局自身がそういう点についても十分判断をされて、そしてりつぱな国民としての公務を果させ、また非常な熱意をもつてこの公共企業体としての声価を上げしめるためには、與えるものは與えて、その公民たるの自覚に根拠を置いて御奉公させようという気持から、進んでこの案を出されたというのであれば、私はまことに喜ばしいことだと考える。ただ私は先ほど申しました通りに、どうも国鉄当局は、政治といろいろ組むということに対しては、おそれを抱いているのじやないか。われわれは公共企業体になつたのであつて、いわばこれは一つの会社なんである。その会社に対して政党があれこれくちばしを入れたり、あるいはまた政府がいろいろな干渉を持つて来るということは、やつかいしごくであるという考え方を持つているのであるならば、私はこの提案に対しましては反対せざるを得ない。しかしそういう考えを持たずに、すこぶる進歩的な考えを持つて、公共企業体になつたのだから、この際公民権を與えて、地方の政治のためにも一働きさせようという進歩的な考えを持つと同時に、われわれ国権の最高機関である国会ともよく組んで、相談ずくで、日本のこの国有鉄道の仕事をりつばに仕上げて行くのだという考え方を持つた上で、本案に対して進んで協力されようというのであるならば、私はその説に賛成しようとするのであります。だがどうも今までのようなやり方から見ると、一抹の不安なきにしもあらず、そこで私はただいま当局のお考えを承つたような次第であります。返答がありませんですか。
○前田委員長 石野君。
○石野委員 本法の趣旨を承りまして、私は改正の趣旨にはまつたく同感でありまするし、そのように一日も早くその法案の改正が行われることを望んでおります。同僚委員からもいろいろと質問がありましたことと存じまするので、あるいは重複する点があるかとも思いまするけれども、ただ一点だけこの際監督当局または国有鉄道の当局者にも、お聞きしておきたいと思うのでございます。立候補しました後に当選する。そしてそこで出て来る兼職の問題が、業務上にどういうような支障を来すかということについて、特に監督当局は、立候補した方がめでたく当選してそれぞれ公職につかれたときに、その人々をどういうふうに処置なさろうとするお考えであるかということについて、全然それは考えていないのであるかという点を、一点まずお聞きしたい。
○足羽政府委員 業務上支障があるかどうかという御質問のようでございますがその点につきましては今まで御答弁申し上げましたように、もちろん多少の支障は、具体的な場合にあろうかと思うのでありますが、しかし特に全体の運営上の支障というものは考えられない、こういうふうに考えておる次第でございます。
○石野委員 先ほど滿尾委員から、この法の提案の中には、非常に不備な点があるという御意見がありました。そういう点についての先ほどの足羽局長からの話も承つておるのでございますが、現実の問題として、おそらくは業務上には全般的には支障はないとは言いまするけれども、実際に当選いたしましたときに、仕事の上とかち合うものが出て来ることは必定だと思うのでございます。そのときに実際当局者は、これをどういうふうに処置するかという問題が、いつも残されます。特にこれは、私自身がやはり一つの職場の中から出ておりまして、そういうときに、民間の企業におきましても、この問題は出て来ておるわけでございます。従つてこういう問題について、別段私は法の中に何かひつかかりをつくつておかなければならぬということではなしに、むしろそういう問題についての一応の将来を見通した見解が、当局者においてはつきりしておりませんと、将来むしろそういうことのために、当選した人なり、あるいはそういうことを望んでおる人が、いろいろ危惧を持たれ、そのためにせつかく立候補しようとする人さえも、自分の意思を押えて立候補できないような場合さえも出て来るのであります。従つて私は、ここでただ概念的にそういうことがないであろうということでなしに、もしそういう問題ができたときには、どういうふうな処置をしようというお考えがあるかどうかということについて、いま一応監督の立場におる鉄道当局、あるいはまた国有鉄道自体における上長の方の御意見を、この際承つておきたい、こういうふうに思います。
○足羽政府委員 勤務に支障がありやいなやという点を、御質問いただいているのでございますか、その点につきましては先ほど申し上げましたように、現在相当数が地方議会の議員もいたしまして、そうした人たちが、現にそれぞれ市町村会あるいは府県会議員として、りつぱに活躍をいたしておるわけであります。そしてその実情を見て、国有鉄道からは、事実上さしたる支障はないという結論をもつて、改正をしてもらいたいということについての意見を具して参つておるわけであります。 なおこれは私の承知しておる例でございますが、同じ市町村会議員にいたしましても、個人的に、非常に忙しい中でさらに忙しい立場の人と、そうでない場合もある。そういうわけで、非常に忙しい立場の、数種の委員なんかもさらに兼務しての立場の人であつて、いよいよ国有鉄道の職員としてはどうも仕事が両立できない。やはりいずれを選ぶべきかというので、自分としては他方自治体の議員として進みたいというので、鉄道を退職して進まれた例も承知をいたしております。あるいは今職場々々によつて、非常に事情は違うと思うのでありますが、日勤の場所にいたしましても、ある時期々々には同僚との仕事の差繰りによつて、その場所の上司が許可をして、議員としての仕事ができるように、差繰りの都合をつけるとか、いろいろその実情に即して解決されて、総括的にさしたる支障がないということが、結論として出ておるものと考えますので、その点につきましては、過去の経験に照して、支障がないという結論が出ておるものと考えております。
○石野委員 この際、大体支障がないというような結論の御意見でございますが、私もその通りだろうと思つておるのです。そこでちよつと大臣にお伺いしておきたいのでございますが、この法律を改正する趣旨に基きまして、特に公職の立場ということと、それから職場における勤務ということについて、職場における勤務によつて、公職を制限するとか何とかいうごとについての考え方でございますが、大臣はそういう職場の勤務によつて、公職につこうとする者を押えるということは、決していいことでないというようにお考えであろうと思うのでございますけれども、この際はつきりした大臣の御意見だけ聞いておきたいと思います。
○山崎国務大臣 お答えします。あんまりきゆうくつに追い込まないように——の意味で率直にお話しますが、かけがえのない職場、その人が特にその職場に練達堪能で、他の人の追随を許さないような職場がかりに一箇所あつたとするのです。そういう場合には、これは法律で禁止しなくても、そういう人がむりに立とうとも思わないし、その職場全体が、君が出ては困るというような話合いもつぐごとではないかと私思います。そういうこともかまわずに、おれはどうしても立候補して出て行くのだという気持は、公共企業体の従事員としては、それはもう不適格だと断言してさしつかえないと思うのです。これは先ほどからしばしばお話がありましたが、ころやつて改正をして行くというのは、公共企業体というもののあり方をほんとうに民心的に、いい形に誘導して行きたいという気持を多分に含んでおるのであります。ここを足場にして、政治的混乱の足場をつくつて行こうという考えであれば、これはもうとてもお話にも何もなりません。そういう者は、別にこれまである服務紀律といいますか、何かによつて当然押えられるとも思うのであります。要は地方自治体の中における利益を代表して行くのです。その代表者になる当番幹事のようなわけで出て行くのでありますから、従つて先ほど申し上げたように、極力その仕事には支障が起きないように、自分ばかりでなしに、そこの職場に勤める者は、すべて相寄り相助けて、差繰りをして出て行くことであろうと考えます。また従来そういうことで、現在三百八十三人の都道府県市町村の議員が出ておつて、顯著なる障害にはなつていないのが実情なのであります。そういう気持でおります。しかし先ほど滿尾委員の御発言のような趣旨も、十分われわれ考慮して対処しなければならないかと思うのであります。そのことによつて、石野君のお尋ねになつたことと、これが正面衝突するように、毫も私考えません。お話を伺つて私の頭に残る印象は、まるで方角違いのことを議論し合つておるようには思われないのであります。ただその間に技術的にどういう程度で、これをあらかじめ防ぐ方法をとつて行くか、あるいはこのままで行つていいだろうか、これまでの成績はどうであつたろうかというようなことを、十分考える必要があるか思うのであります。われわれもきよういろいろな御質問を伺つて、非常にヒントも與えられておるように考えるのであります。でき得るならば、愼重審議を重ねるという見地から、きようここで質問打切りになさらないで、もう一ぺんくらいお開きになつて、十分御検討を願つたならばけつこうではないか、こういうふうに私は考えます。そういうことを言うと、まるで攻撃面を広くして、わざわざ風当りを歓迎するようにもとれるかもしれませんけれども、これは重大な問題であると思いますから、十分御研究も願い、御審議も願つて、そうして最もいいところの法律におつくり上げになるように、お願いいたす次第であります。
○前田委員長 本法案に対する質疑は、本日はこの程度にし、明日引続き審議を続行いたします。 —————————————
○前田委員長 次に新線建設に関する件を議題といたします。 質疑の通告があります。これを許します。岡田五郎君。
○岡田(五)委員 せつかく大臣がおいでになつておりますこの機会に、新線建設につきましての大臣のお考え方を、一、二ただしておきたいと思うのでありまする。 この鉄道新線建設につきましては、もう私から申し上げるまでもなく、前前国会、前国会に、運輸委員の尾崎代議士から決議案を出され、本会議におきまして満場一致で決議されまして、政府におかれましても、あらゆる角度から十分努力する、こういう御説明をいただいておるのであります。もちろんこの鉄道新線建設につきましては、幸いにいたしまして戦後わが国の経済も安定いたしまして、安定から復興へと向いておる。このやさきに、また関係方面におきましても、もつぱら戰後鉄道の復旧、補修ということにのみ重点を置いておりましたが、新線建設につきましても、相当のゆとりある考慮を拂われておるかのごとく私は承つておるのであります。ところがいろいろ財源関係、あるいは資金関係、あるいは鉄道の独立採算制というものの堅持というような見地からいたしまして、われわれが最も希望いたしております新線建設計画並びにこれが実施は、遅遅として進まないのであります。この点につきましての大臣の抱負、大臣の御意思の強弱——というと言葉は少し足りませんか——のほどをこの席において明らかにしていただきたい、かように考えるのであります。まずこの点から大臣の御答弁を承りたいと思います。
○山崎国務大臣 お答えをいたします。お尋ねは、相当国策に関する重大なる意味を含んでおるお尋ねであると了解をいたします。お尋ねのお言葉にありました、国有鉄道の企業経営の状態における資金関係の面から行きますれば、御説の通りに、現状におきましてはまつたく新線に対して、大幅に考慮をする余裕を持つておらないことは、御承知の通りであります。しかし今日の日本の経済復興、経済のみならず、新日本の建設という見地から考えて参りますと、どうしても鉄道というものの新線を敷設するということに、相当重い力を入れなければなるまいと考えるのであります。今岡田君のお話の通りに、独立採算制というこの強い制約のもとに、資金の余裕は大幅には認め得ないのでありますけれども、国家が要求するところのものは、非常に大きいと思うのであります。従つて独立採算制の国有鉄道の中のやり繰りだけでは、新しい線を敷設するということは、百年河清を待つという言葉通りだと思うのでありまする。敷設よりも修繕、維持の方が第一先になつて来るのであります。継ぎ張りのために、何年かかつても新しい線の敷設に発展して行くことは、どうしてもできないのであります。のみならず今日の国有鉄道一万八千何百キロ、約二万キロのうちで、赤字線が五割五分で黒字線か四割五分、四割五分をもつて五割五分をまかなつて行くというような苦しいやり繰り経済になつておる以上は、とうてい新線の敷設というようなことは、急速には期待し得ないということは、数字が明瞭に示しておると思うのであります。私は就任まことに日が浅いのでありますけれども、これはどうしても別途に大きなまとまつた資金を調達して、そして大幅に急速に新線敷設の方向に手を打つて行くのでなければ、復興日本、新日本が要求する望みの何分の一をも満たすことができないであろう、こう思うのであります。特にまた今日われわれはこの前の戰争で、必要以上の侵略主義者の誤解を受けておるのであります。物騒なる国、危険なる国民というふうに、国際的に判定を下されて、まだそれはぬぐい去られておらないのであります。のみならず、国際情勢はきわめて複雑にして多岐、ちよつと見通したところでは、われわれのこのあふれた国民を移住させて、新天地を開拓させるということは、どんなに民主的である、文化的であるといつても、まだそれは許されない。植民地が自由に開放されようとは考えられない現在の段階においては、国内の未開発の土地を大幅に開拓する方法を講じなければ、この埋合せはできないであろうと考えるのであります。まあ百年、二百年の後は別問題として、差迫つた現下の問題を解決するのには、国内の未開発の地帯を開発して行く、これにはどうしても鉄道でなければならぬ。道路も必要でありますけれども、道路と同時に鉄道が必要である、こういうふうに思われるのであります。これまでの鉄道は、経済鉄道であつて、経済的にある程度の段階に達した都会と都会、住産地と生産地との間を結び合せる、鉄道の敷設がねらいでありましたけれども、明日の差迫つた日本の国の要求は、むしろ人のおらぬ所に鉄道を敷設して、人を鉄道が運ぶというのでなくてはならず、極端な言葉でいえば、きつね、たぬきを運ぶ鉄道を開くくらいのつもりで、未開地に新しい鉄道をどんどん広めて行くにあらざれば、この八千何百万の国民が、こう都合にばかり集まつて、共食いをしておる現状から、日本全体の地ならしをするような国情に持つて行くことはできなかろうと考えるのであります。人のいない所へ持つて行く鉄道、すなわち開拓鉄道の必要が要求されるものではないかと私は考えるのであります。それでそのためには今日国有鉄道が四五%の黒字線で、五五%の赤字線をまかなうというようなところから、今日の国家が要求するこの開拓鉄道の架設の費用が出ないと思うのであります。ごれは別途に大幅に資金のくふうをしなければなるまいと考えるのであります。たとえて申すならば、見返り資金のごときものによつてこれをまかなうか、しからざれば預金部資金のようなものをまわしてこれに持つて行くか。かつて預金部資金は農村に還元すべしという論が、戰争の前にあつたのであります。われわれはそれを主張したのであります。零細な三等郵便局の窓口を通して集められたる国民の資金は、よろしくこれを農村に還元すべしという叫びであつたのでありますが、今日の場合においては、そういう種類の資金こそ、今申し上げたような開拓鉄道の方に向けることができたならば、趣意もきわめて一貫するようにも考えられるのであります。今の段階におきましては、いろいろの関係から支障があり、簡單率直に見返り資金をもつてこれに充当すべし、あるいは預金部資金をもつてこれに充つべしということを、運輸大臣としてはここでそれができるということの断言はできないのでありますけれども、それをでかすことについての努力をいたしたいと考えておるような次第であります。 さらにまた岡田委員のお尋ねの末尾にあつたかと考えますが、どういうふうな新線を選んで行くか、こういう点であります。かつての鉄道省時代の国有鉄道当時に制定せられました敷設法が、今日生きておるのであります。大体の予定線ができておるのであります。その予定線のあるものは工事に着手して、あるものは半ば、あるものは九〇%以上もできておつたのを、戰時中のいろいろな事情からあるいは中止し、あるいは一旦架設したレールをもう一ぺんはぎとつて、溶鉱炉の中にぶち込んだというような状態で、中途半端になつておるようなものがあり、あるいは三十マイル、四十マイルの一本の線路が、そのうちの九五%以上も運転を立しておりながら、最後の四、五パーセントのところがレールがない、停車場がない、橋がないというようなことによつて眠つておる。一〇〇%の資本の転回ができない線などもあるのでありますから、こういうものを急速にやつて行くという方法も考えなければならないことであり、同時にまた先刻申し上げたような無人の野にむしろ新しい鉄道を開いて、これによつて人口の疎開をはかつて行く。そうして天然資源を開発するというような向きも考えなければなるまい、こう思つておるのであります。こういうことを胸中に描きつつ、これがはたして岡田君の言われる運輸大臣の経綸抱負に値するやいなやは別問題といたしまして、新任日の浅い鉄道の経験において、こういう方向のことを将来企画して行くにあらざれば、ただ利益線だけを往復して、その他方の人だけにサービスを提供しておつただけでは、国有鉄道の名にもとるものであり、さらにまた今日の復興、日本の要求に応ずるゆえんではなかろう、こういうふうに考えておる次第であります。お恥しいが一応申し上げておきます。
○岡田(五)委員 ただいま運輸大臣から非常に力強い御決意のほどを承りまして、私たち非常に喜びといたす次第であります。ただもう一つ承つておきたいことは、先ほど現在の鉄道敷設法別表によりまして、いろいろ建設途中にしてレールをはずされ、また橋けたをはずされて、中途半端でほつたらかしてある線もあるから、そういうような線もやらなくちやならないというお話もあつたかと思うのでありますが、ただ私はここで承りたいことは、戰前の日本の経済情勢、戰前の日本の交通政策というものと、戰後の日本の交通政策というものは、おのずから違つた面が相当出て来ているのではないか、かように私は考えるのであります。と申しますのは、戰前の交通政策の中には、国防的な、軍事的な意味合いのものも相当入つている線もあるかと思うのであります。また相当政略的な線もあつたかと思うのでありますが、終戰後の日本の現住におきましては、純然たる平和的な文化的な国家として、その、基幹をなす鉄道の建設につきましては、おのずから違つた見地をもつて、この鉄道網の完成を考えなければならないのではないか、かように私見として考えるのであります。従いまして日本の鉄道網、いわゆる交通網の形を一応つくつております鉄道敷設法の別表につきまして、大臣としてはこの際白紙に返つて、戰後日本の経済上の立場に立つて、別表の再検討をする。すなわち新しい鉄道綱政策を立てられるだけの決意をお持ちになつておるか、この辺のところも承りたいのであります。
○山崎国務大臣 鉄道敷設法を制定した当時における日本の政治的、軍事的、経済的事情と、今日の新日本建設の国情とは、御説の通り非常なる相違のあるということを私も認識するものであります。従つて国有鉄道敷設法そのものをうのみにするということは、今日の事情に即せざるものであるという点においては、御同感であるのであります。しかしながら敷設法もある意味においては、その地方の地方民にとつては一種の既得権の感じを持つて、戰後になつたならばあるいはおいおいにできるであろうと非常に希望を持つており、それがその地方における学校の建築の場合においても、経済的な施設の場合においても、それらを目当にして経済的、あるいは社会的、政治的、そういう意味の施設もあろうかと考えます。こういうことを総合して、私は一種の既得権であろうと考えるのでありますから、これを簡單に運輸大臣の一存において左右するということは、非常に愼まなければならないかと、こう考えるのであります。さらにまた新しい情勢に応ずる要求が、先刻申し上げましたように、経済的にも政治的にも現われている。また政治的に現われないでも、国情が要求する開拓鉄道の必要というようなこともあるのでありますから、それらを総合していかなる点に重点を置き、あとや先になるものも、いかなるものを先にし、いかなるものをあとにするかということも、考えなければならないと思われまするし、また従来のように、ただ鉄道は漫然と網の目のごとく大判ぶるまいをするようなふうに敷いて行くというだけでなしに、この細長い島国に対して、海岸線とにらみ合せて、ここに動脈的なものを設ける、あるいはそれに肋骨のようなふうに組織的に鉄道の予定線も整理し、調整して、将来の国土開発の方途に合せるようにしなければならないというような点も多々あるように思うのであります。また機関車ばかりで行くべきにあらず、電車も考えなければならないのであります。レールばかりで行くべきにあらず、道路によつてそれとおのずから相援助し合つて、そうして鉄道と道路と両々相まつて効果を現わすというふうなことも考えて行かなければなりませんし、さらにまた港湾との連絡をいかにするかということも、十分に考えて行かなければならないと思うのであります。そういうことを考え、大きくいえば産業の開発であり、人口の疎開であり、そうして国土全体の開発ということになるのでありますから、これらのことをいよいよ取進める場合においては、ここに何らかの衆知を集めて、判断のよろしきを保つという方法等も考えなければなるまいかと、胸中では一種の腹案を持つておるような次第なのであります。
○岡田(五)委員 先ほど大臣のお話もありましたように、まつたく日本の鉄道政策、いわゆる交通網の完成ということは、国土開発上大きな国家の基本問題である、かように考えるのでありますから、かような大きな問題を解決いたしまするためには、国家のあらゆる階層の知識を集めまして、資金の調達にいたしましても、財政的措置にいたしましても、建設計画にいたしましても、恒久にして誤らざる百年の大計を立てまして、これに乗せるべきであると、私はかように考えるのであります。と申しますのは、私の浅い過去の経験でございまするが、過去におきましては、あるいは政友会時代には建設を主にし、あるいは憲政会時代には改良に主を置くというように、時の政府によりまして建設をないがしろにされ、あるいは建設が非常に膨脹させられる、かかような時の政府によりまして、国土開発上に重要な問題が消長を示すということは、百年の大計を誤るゆえんではないか、かように考えまするがゆえに、私は日本国家のあるゆる階層の知識を集められまして、この知識に基きまして、所管大臣として運輸大臣が国策の実行に移られるような新しい組織、新しい審議会といいまするか、委員会というようなものを早急におつくりになりまして、財政的な処置につきまして、一時的な見返り資金によつてこの恒久的な建設費を支弁する方途を講じて一時をごまかす、と言つては語弊がありますが、一時を糊塗するような政策で行くか、またあるいは特別な金庫を設けて、恒久的な財源によつて恒久的な建設を計画的に進めて行く、こういう方法を講ぜられるか、あるいは国有鉄道法にちやんときめられておりまするが、鉄道債券の発行によりまして民間資金を吸収してこれをやつて行くか、あるいはまた現在の国鉄財政の——まだよくわかりませんが、来年度の工事費勘定は百五十億は大体自己の益金で行ける、百億は外部資金、すなわち預金部資金で行き、工事勘定三百五十億なり二百八十億で改良をやり、一部建設をやる、こういうふうなお話になつておりまするが、この二百八十億のうち、どの程度まで改良を切り詰めて建設の方へやられるか。昔はよく建設公債を発行いたしておりましたが、この建設公債を改良費の方へ使つてしまつて建設をやらなかつたり、あるいは建設の方へどんどん使つて建設公債の金は改良費の方にあまり使わなかつたり、一定のわく内において建主改従、あるいは改主建従でやつておつたかと思うのでありますが、こういういわゆる資金計画をどうすればいいかというような問題につきましても、くどいようでありまするが、日本国家のあらゆる階層の人をお集めになり、これを諮問機関として実施せられることが、私は非常に望ましいことであり、また日本の現在の交通政策の完備を、部分的ではありまするがこいねがつてやまない国民の声に沿うゆえんであり、また計画を実行に一日も早く移すゆえんではないか、かように考えるのでありまするが、いわゆる俗説新線建設審議会というような構想につきまして、運輸大臣は具体的にまだ案もないようなお話のようであり、またあるようなお話のようでありまするが、もし具体的に腹案でもおありのようでございますれば、この機会にお示しを願えれば非常にけつこうだと考えるのであります。
○山崎国務大臣 先刻も申し上げましたように、この重大なる国策を検討決定いたしまするについては、微力なる運輸大臣一人のよくなすところではないのでありますから、どうしてもお話の通りに、衆知を集めて行くということでなければなるまいかと考えます。ただいま鉄道新線建設審議会と申しますか、そういうふうなことを考えておるか、おるようでもあり、おらぬようでもあるとおつしやつたのでありますが、漠然とおるのであります。どういうふうにしたらよいかというようなことは、いろいろ考慮し、研究をいたしておる次第であります。今日即席ここで御返答申し上げる段階には達しておりませんけれども、ただいまこの席で申し述べましたような考え方と方向、また国情の許す範囲の経済事情というようなことをも考えて、もう少し大ぶろしきでない、引締つた話合いをして、自分みずからとりまとめまして、できるだけ早い機会において、御構想にあるいは一致するだろうと思いますが、そういう方向の策に出たいと考えておる次第であります。
○岡田(五)委員 根本問題になるか、あるいは多少事務的になるかしれませんが、ちよつとお尋ね申し上げたいのであります。この新線建設計画を運輸大臣がおこしらえになりまして、国鉄総裁に命令されるような形をおとりになりますか、勧告されるような形をおとりになりますか、また国鉄総裁が建設計画草案というものを策定いたしまして、運輸大臣に上申いたしまして、運輸大臣が新線建設審議会だとか、あるいはその他の諮問機関に諮られてされるのか、その辺のところを承りたいと思うのであります。と申しますのは、私は国鉄総裁という公共企業体の総裁である立場からいたしまして、採算制、不採算制、あるいは独立採算制という採算制ということにとらわれまして、先ほど大臣がおつしやいましたように、国家の根本的、基本的に重大なこの交通網の完成に、やや消極的になるおそれがあるのではないか、かような意味、かような気持からいたしますると、私はいろいろと立法手続を御変更になつても、運輸大臣が大所高所から国家最高の国策を執行する意味におきまして、建設計画を運輸大臣がおきめになりまして、そうしてややもすると採算制的頭にとらわれておる国鉄総裁をして建設工事に着手させる、こういうようなかつこうに持つて行かれるほどの御決意があるかどうか、この辺のところもお尋ね申し上げておきます。
○山崎国務大臣 ただいまのお尋ねというよりも御意見としてわれわれの今後の調査、研究、腹案を決定する重要なる資料といたしたいと考えます。
○岡田(五)委員 それでは結末をつけます。先ほど大臣は運輸省で新線建設審議会というようなものを、現在ぼやつと胸中に考えておる。言葉が悪くて失礼でございますが、さようなお言葉をお使いになつたと思うのでありますが、私たちは一日も早く大臣におきまして、具体的にこの重要な新線建設計画を審議し、またこの問題を愼重に調査いたしまする新線建設審議会の設置をされまして、新線建設につきまして有形無形の実行に移られんことを、私は運輸委員会の各委員の今までの新線建設に関する御意見の一部をも代表すると言つてははなはだ僭越でございますが、気分を反映いたしまして、大臣にぜひ新線建設審議会の早急実施方を要望いたしまして、私の質問を打切ります。
○滿尾委員 新線建設の問題につきましては、国民の中から非常に熱心な希望が出ておりまして、それが国会に反映いたしまして、本委員会においても皆さん非常に熱心に考えておるわけでありまするが、それだけに私はどうしてもこのいろいろ論議をかわしておりますと、少しずつ思想を統一する必要がある。これは長年にわたる計画であつて、また非常に大きな問題でございまするから、それぞれの面からする御自分の御解釈が行われておつて、なかなか話が合わぬところがある。従つて私はこの際運輸大臣といたされましては、どうしてもこの新線建設をめぐる基本的問題というものを幾つか取上げて、それについて十分論議を鬪かわして、そうして思想を統一して、力を合せて行かなければならない。何でかようなことを申し上げるかというと、たとえば日本国有鉄道法の五十四條を見ますると、「運輸大臣は、公共の福祉を増進するため特に必要があると認めるときは、日本国有鉄道に対し監督上必要な命令をすることができる。」と書いてある。ところがある種の人たちは、この條文を読みまして、運輸大臣は新線建設を国鉄総裁に命令できるという見解をとつておる。この角度からもいろいろな議論が進んでおる。私もこれは私見でありまするが、この五十四條の運輸大臣の権限は、さような権限はさらにない。現行法の許しまするところでは、その五十三條によりまして、国鉄の総裁が草案をつくりまして、運輸大臣に、これでよろしゆうございますかとお伺いを立てることしかできない。従つて運輸大臣が積極的にこれを命ずることができないという見解を私は持つておる。ところが、そうでない見解も多々行われておる。そうすると、こういうふうにお互いに食い違つた認識の上に立つていろいろな議論が出ますので、いたずらにこれは錯雑するだけである。もし将来、これは現行法にこだわる必要はない、今の法律が間違つておるということになつて、国策を遂行する上におきまして間違つておるというならば、この次の機会に、日本国有鉄道法の改正法をお出しになつたらよろしいと思う。私がなぜかようなことを申し上げるかというと、もし五十四條で運輸大臣が新線計画を国鉄総裁に命令できるといたしましたならば、必ずや他の條項において運輸大臣は国鉄総裁に対して損失補償の條項を設けなければ、ものの裏表が一致しないわけであります。しかしただいま四十一條の二というのによつて、政府は日本国有鉄道に損失を生じた場合において、特別の必要があると認めるときは、その損失の額を交付金を限度として交付金を出すことができると書いてある。しかしこの四十一條の二をもつて新線建設をやらせた場合に、損失が出たからといつて、それについて交付金をやろうということは、私はこの四十一條の解釈として間違つておると思う。四十一條の二できめておるところは、国鉄が通常の運営におきまして、やむを得ざる損失が出た。その運営上の損失に関して、これを国家が補償できるのであつて、決して新しい仕事を命じて、それがそろばんに合わぬからといつて、この四十一條の二では補償ができないという見解を持つておるのであります。これらの点についてどうしてもお互いに誤解を一掃して、新線建設の問題をもう少しすつきりした形体において論議を進めることが、非常に必要ではなかろうかと思います。私はいささか意見になりましたけれども、第一にこのことを申し上げたい。 第二に、一体この国鉄の新線建設というものについて、根本的にどういうふうに考えているのか。これはあくまでも国の一般経費の中から、あるいは預金部資金とか、あるいは今年、来年の見返り資金とか、そういつたような国鉄以外の外部の資金でこれを注入して、新線計画をやつて行くのだ。国鉄が将来あげるであろう利益金は、あげて既設線の改良にこれを使うということに原則がきまるなら、私はその建設計画も非常におもしろいと思う。しかしその点もまだきまつておらぬ。あるときには外部の力を借りよう、あるときは内部の力を借りよう、建設改良のバランスをどういうふうにとつて行くかというようなことも、これは非常に大きな問題である。しかし私がこの際大臣にひとつ伺つておきたいと思うことは、一体国鉄の将来というようなことは——私は今年や来年のことを言つているのではない。今年や来年の状態というものは、国鉄の立場としてみれば、これは非常にアブノーマルの状態である。戰争のあとを受けて、非常に疲弊して、従つて国鉄が黒字にならない。しかしもし三年か五年後、日本の経済が普通の状態に返つた場合に、一体日本国有鉄道というものはそのときでも赤字を出すだろうか、こう考える。ノーマルな経済状態において、戰争の痛手がいえたあかつきにおいては、国鉄は必ずや黒字の経営をしなければならぬと私は考えている。でありますから、建設線の問題では、長い将来にわたつて本質的の国鉄の建設線というものを、いかなる費用をもつてまかなうのを妥当とするかということを、私は一応空論のようでありますが、基本的な考え方として、一ぺん大臣のお考えを伺つておきたいと考える次第であります。
○山崎国務大臣 今の満尾君のお尋ねよりもいわゆる御意見、ごもつともだと思います。そういう点は十分に検討し、落ちつくところに落ちつけておく必要があろうかと考えております。それはただいま條文についてお話がありましたけれども、さらに私はもつと全面的に、今日の日本国有鉄道公社なるもののあり方が、一体二階の住人なりや、一階の住人なりや、二階と一階の中間に住んでいる住人であるような姿の場合が、運輸大臣になつて日の浅い今日ではありますけれども、一再ならずそういうところに出会つたのであります。公共企業体といい、独立採算例というようなこともいわれつつ、これに従事している人が、あるいは官吏なるがごとく、あるいは民間人なるがごとく、そしてそこには仲裁委員会があるというようなことで、われわれ日本人のこれまで明治以来経て来た経験に従つて、一つの形態がここに大きな組織機構を持つて存在することになつておるのであります。今アブノーマルの今日の日本の状態とおつしやいましたが、まつたくこの鉄道自体のあり方が、またきわめてわれわれの過去の経験知識から言うと、間違つた姿になつておる。この形で行つて、将来ノーマルになつた政治経済状態に置かれた日本の場合に、これでいいかしらというような疑問も、自問自答しておるような現状であります。今お話の通りの條文等についての表裏相整わざる解釈の仕方が出て来たりするのでありますが、国有鉄道公社全体についても、また右様なことを私は考えるのであります。それで先刻申し上げました開拓鉄道というようなものは、これはもうはつきりした赤字線でありますが、事業そのものは赤字ですけれども、国家的には大きな黒字だと考えて行かなくちやならないと考えております。一年、二年の問題じやない、おそらく十年、二十年の後には、赤字が黒字に当然なるべきものでなければならない。事業そのものは赤字であつても、国は大きな黒字である。こういう仕事を今日の国有鉄道にやらせて、借金をさせて、事業公債を募らせてやらせて、国有鉄道が引受けつこはないと思います。初めからこれは当分赤字にきまつておるのでありますから、これは国有鉄道の総裁がいかに勇敢にやつても、これは引受けつこはないと思います。こういうものはどういうふうな置き方にしたらいいのであろうか。これは一応国がやつてできた線路の経営を、国有鉄道にやらせたらいいのじやないか。それまでの赤字は国が国費で負担してしかるべきではなかろうか。国土の開発、産業の開発というようなことも、これまた岡田君にはしかられるのでありますが、漠然とそういうこともいろいろ考えて来ておるわけなのであります。このごろ補助金、補給金、助成金とかいうような、ドツジ・ラインの強い指示もあつて、私はまことにけつこうだと思いますが、開拓鉄道のごときは、補助金なしに、助成金なしに行けるものじやないのであります。利子の補給をしなければならない。利子どころではない、建設費も持たなければならないのじやないか、こう思うのであります。こういうことをあわせ考えて参りますと、相当大きな疑問が、国有鉄道の現状及び将来にかけ得る、こういうふうに私は思つております。この疑問は大いに解決して、最もよき状態に展開させるように研究もし、調査もしなければならない。これは一個人のよくなすところにあらず、衆知を集めて行くべきじやないか、こういうことも課題ではなかろうかと考えておるような次第であります。
○滿尾委員 今大臣から建設について特別の考慮を拂いたいというお話は、私も非常に御同感であります。国の費用で建設して、でき上つたものの運営を現在の鉄道公社というものに引渡すという考えは、確かに成立ち得るのでありまするから、大臣のこの御着想につきまして十分御研究いただきまして、実を結ぶようにお願いいたしたいと思います。 別な角度からちよつと伺いたいのですが、建設線の一つの保護の政策といたしまして、交通銀行というものをおつくりになつたらどうか。そして国有鉄道及び地方鉄道、その他陸上交通あるいは船舶関係、いわゆる交通運輸機関全部の金融機関としてこれが働く、そうすると、これは日本の経済界において非常に大きな部分を占めます。それでみんなが協力してこれを盛り立てれば、りつぱな、有力な銀行が全国にわたつてできる。そうしてまたこの銀行の金融力を土台にして、長期の資金、債券を発行するというような行き方もそこに出て来る。もちろんそれは鉄道債券も当然発行するというようなことにする。これはときどきこういう説が行われておつたのでありますが、大臣はこの問題を取上げて、御研究になる御意思があるかどうか、お伺いいたしたい。 〔委員長退席、坪内委員長代理着席〕
○山崎国務大臣 交通銀行の御構想、実は類似のことは考えて参りました。海運造船の面において、どうしても長期にして低利の資金を要するという特殊事情により、一般市中銀行の條件では応じ切れない、銀行も応じ切れず、業者も応じ切れないという状態にありますので、この一つの構想を持つておるわけであります。これはある程度具体的に草案なども運輸省としてつくつてやつておるようなわけであります。鉄道の場合には、実はただいま私は初めて構想を承つたような次第でございますけれども、これもあわせて研究の重大なる項目ではなかろうかと考えております。
○坪内委員長代理 滿尾委員並びに各委員に要望を申し上げます。新線建設の問題は、先ほど岡田委員から新線建設の審議会の設置のことについての要望があり、あらためてこの問題を特別な委員会を設けて根本的に検討しようということを考えられておるので、あとでまだ議題も相当ありますし、なるべく簡單に、きようはこの程度でとどめていただきたい、かように思つておるのですが、いかがですか。
○滿尾委員 大臣はなかなか御出席がありませんので、きようは千載一遇の機会でありますので……。
○坪内委員長代理 今まで大臣にいろいろ御支障がありましたけれども、今度は将来たびたび御出席願うことにいたしますから、きようはこの問題はこの程度でとどめておきたいと思います。
○滿尾委員 もう少しやらしてもらいたい。
○坪内委員長代理 それでは滿尾君、簡單に願います。
○滿尾委員 今度は角度をかえて、新線に関してもう一言申し上げます。なるほど大臣の御構想のように、将来国鉄の財政以外の資金をなるだけ上手に使つて行きたい。それは鉄道の負担も軽くしますから、それができればけつこうです。それを原則的に確保する方策をいろいろ御研究願わなければならぬわけでありますが、一面におきまして、現在の国鉄公社の経営状態につきまして、ある程度の収益性というものを確保することが、私は絶対に必要だと思うのであります。名目は約八十九億でありますが、実際の歳出は千億を越えるであろうという投下資本を実は持つている。全国に網の目を張りめぐらされている。これだけの国家投下貸本が、その資本効率と申しますか、経営状態が非常に低下いたしますことは、国家的に見て非常に大きな損失でございます。従つてこの国鉄の経営効率を、どうしてもある線に維持して行かなければならぬと思うのであります。そして国鉄自身の財政上の余裕を生み出して、十分なる改良をいたし、また年々歳々計画的な建設線ができれば、これが一番理想だと思う。それができぬから、皆さんはよそから金を持つて来てやろうということになつて来る。一足飛びには行きませんけれども、基本の考え方としては、私はどうしても国鉄にある程度の収益性を持たせなければならぬと思う。その収益性を持たせるための一つの方法は、経営の合理化である。この点は国鉄総裁のしりをひつぱたいてやつていただかなければならぬ。われわれもその驥尾に付して努力をいたします。 第二の問題は、陸上交通機関並びに陸上だけに限りません。日本は四面海でありますから、海陸の全体の運輸機構の中における国鉄の関係的な立場、位置というものを十分お考え願つて、その他の競争機関との競合関係について、全体の運輸機関を御監督になつておる運輸大臣としても、愼重な御考慮を願わねばならぬと思う。いかに国鉄自体が経営の合理化をいたしましても、他の競合いたしまする運輸機関に対する御政策が、国鉄の肉をそぎ、足を切り、手を切るという方向に行きますれば、この目的は達せられない。今日いまだそれほどひどく出ておりません。しかしこの問題は、その萌芽のうちに手当をしなければならぬ。私が今日さしあたり心配しておりますることは、海運の方は船賃が大分高いようでありますから、まだ直接の害は出ていないのじやないかと思いまするが、陸上の関係で申しますと、自動車の発達が非常に大きい。しかも将来の見通しといたしましては、この自動車の発明は、いわば一種の陸上交通機関の産業革命であります。新しい機械ができて能率がよくて、古い老大国の鉄道をやつつけるという運命にある。これは一つの必然的な勢いにある。そこで運輸大臣は、国内の自動車運送事業の免許を持つておられる。この免許をやられるときに、国鉄との調整ということを十分お考えになつて、免許せられておるかどうか。その点について率直に申し上げて、私は一抹の疑念を持つておる。その点につきまして大臣のお考えをお伺いいたしたい。 〔坪内委員長代理退席、委員長着席〕
○山崎国務大臣 そういうふうに專門的になつて来ると、私はしろうとなんです。しかし、こう考えます。免許の調整いかんにかかわらず、今滿尾さんの御意見の通りに、必然的に自動車は優勝劣敗で、鉄道を凌駕して行くという傾向にあることは、アメリカの事例がきわめて適切であります。これはむろん道路の発達が沿わなければならぬけれども、おそらく日本の道路は、今後急速に発達すると思いますから、この形はやはり日本においても来ると思います。ただガソリン等の関係から、アメリカほどの自由なるガソリンを持たざるために、その同じスピードで行くかどうかは疑問でありますけれども、われわれがしろうととして日常接触するトラックの動き方、小運送がトラックによつて敏活に、きわめてサービスよく動いているというような実情を見まして、鉄道の弱点を自動車がつきつつあるということは、争うことのできない事実であると思うのであります。これは結局トラックにとられるものは当然とられるのであります。鉄道は鉄道としてのトラックの及ばざる使命、トラックをもつてしては凌駕することのできないところの、おのずから違つた特徴も鉄道にはあり得ると考えられますので、むしろこれは二重に競争をして行くよりも、どちらかに行つて、鉄道は鉄道、トラックはトラックの持つてやる特徴を十分に発揮して行くことに、免許によつて調整をするとせざるとにかかわらず、自然の結果はそこに陷るのではなかろうかというふうに私は考えるのであります。しかし現段階において運輸省は、右の手に国有鉄道を監督し、独立採算制を強調し、むちを與えつつ、一方においては自動車局を支配しておるのでありますから、御心配になるような末端的の乱競争に陷る、みずからを食うようなことについては、十分注意をするように、当局に申しておきたいと思つております。
○江崎(一)委員 ただいままで運輸大臣の抱負をるる聞いたのでありますが、日本の鉄道の新線計画は御存じの通り、鉄道敷設法の別表にきめられている。地方ではこれは一つの特権として考えておりまして、しかもずいぶん長い間戰争中、この新線計画は全然とまつておつたので、地方へ参りますと、新線計画の熱望か非常に旺盛なものであります。われわれ運輸委員会がこの地方をまわりますと、まつたく天皇の地方旅行のような大歓迎をやり、われわれにどうしてもこれはつけてくれと言うのであります。このように地方ではどんなこと、どんな手を講じても、ここ優先的にやつてもらうという運動が非常に強いのです。そういうわけでありますから、新線計画は優先的にどこから手をつけるかということについては、よほど慎重にやりませんと、この問題はまつたく不正腐敗の巣になる危險があるのであります。先ほど鉄道敷設審議委員会というようなものをつくろうと思うというような腹案がおありのようでありますが、その人選については、最も民主的な方法でやらなければならぬと思うのですが、具体的にはまだきまつておらなくても、運輸大臣の腹案があればお聞かせを願いたいと考えるのであります。
○山崎国務大臣 腹案があるのではありません。漠然とさようなことを考えておる程度でありますから、いわんや人選などについては考えておりません。あなたは民主的という言葉をお使いになりましたが、私は古い人間だものですから、衆智を集めると言つたのですが、同じことです。
○江崎(一)委員 漠然と言われましたけれども、だれそれをその審議会の委員にするということは、あるいはおきまりになつておらぬかもしれませんが、どういう形でこれをつくるかという腹案がおありにならなければならぬと思うのですが、その点について抱負を聞かしていただきたい。
○山崎国務大臣 あなたはよほど先まで見通しておられるが、私はまだそこまで行つていないのです。そういうもので行つたらよかろう、こう考えるのであります。
○石野委員 私は今質問をいたしたいのですが、坪内氏から先を急がれておりますので、今この際にすぐ打切られるのも困りますので、一応留保しまして、明日の質問の第一番によせていただきたいと思います。
○滿尾委員 大臣のお話を聞いて大体わかりましたが、最後に私は一言希望を申し上げたい。つまり国鉄の経営効率、資本効率の低下せざるような点につきまして、いま一段の御考慮を煩わしたい。それについては自動車と鉄道と両面の調整について、大臣として十分御監督をいただきたい希望を申し述べて、私の質問を終ります。
○前田委員長 次に永田節君より委員外の発言を求められております。これを許可するに御異議がございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前田委員長 それでは永田君に許します。
○永田節君 ただいま発言のお許しを得ましたので、大分県大分交通豊州線について陳情をいたして、運輸委員会及び運輸大臣にお願いいたしたいと存じます。豊州線と申しますのは、九州国鉄の日豊線善光寺を基点といたしまして二日市に通ずる、約三十キロの路線でありまして、これは先般国政調査に派遣されました黒澤委員及び前田正男委員に詳細に視察していただきまして、本委員会にも報告されましたので、概略は御承知のことと存じますが、重ねて地元の私といたしまして御説明を申し上げ、同時にこれに対し特段の御配慮をお願いいたしたいと存じます。 この路線は、明治四十五年創立以來今日まで四十有余年間経営して参つたのでありますが、終戰後諸情勢の激変に伴い、経営不振に陥り、最近におきましては車両、軌道ともに文字通り荒廃の極に達し、定時の運転にも支障を来している状態で、まつたく悲惨な実情であります。この沿線は農産、林産物の豊庫でありまして、これらの重要物資の搬出には、当該地方における唯一の交通機関である本線にたよらなければならないのでありますが、経営者側は採算上、この経営を維持する意思はないばかりか、最近は全面的に営業休止の意思表示をしているようであります。さらに会社といたしまして、私に将来はこの鉄道を廃線いたしまして、バス並びにトラックに代行する予定なりというふうな電報が参つておるのでありますが、道路の幅員と現状と燃料とその他の條件が、必ずしも会社側の要求のようにはございません。さらにまた会社側はそのような御計画はあるにしても、その実現はさらに遠い将来であると私は考えるのであります。もしそうすれば、地方交通上ゆゆしき問題でありまして、沿線住民に及ぼす影響はきわめて重大でありますので、交通機関の公共性という点から申しまして、何らかの救済策を講じ、地方の利便をはかる必要があると思うのでありますが、本線の施設は年々保守を怠つた経果、荒廃しているのみならず、車両もきわめて劣悪で、これを改善し、運輸能力の増強をはかる必要があるのでありまするが、現在会社では年間六、七、八百万円の赤字に苦しんでいる状態なので、会社だけにまかしておいたのでは、とうてい救済の目的は達し得られないのであります。よつて本日地方民を代表いたしまして、この実情を運輸委員会並びに運輸大臣に訴えまして、鉄道公社に買収するとか、ないしは公社がこれを代行するとか、何らかの救済策を研究の上、これが具体策について格段の御高配をお願いいたす次第でございます。これにつきまして当該運輸大臣の御所見の一端でも承ることができまするならば、きわめて幸甚に存じます。
○山崎国務大臣 ただいまの陳情の御趣意はよく拜聽いたしました。しかしまだ会社当局の方から運輸省の方には、それらの公式の申出がないようであります。その申出がありましたならば、その実情に即して十分考慮いたしたい、こう考えております。
○坪内委員 私は先ほど来発言をいたしたいと思つておりましたけれども、他の委員諸君に御遠慮を申し上げておつたのであります。この際すでに大臣もお帰りになるのじやないかと思いますので、二点お尋ね申し上げたいと思うのであります。これは先の議題外の関係でありますけれども、実は長崎県の川南造船所の何と申しますか、お家騒動について、私は大臣から御意見を伺いたいのであります。実は川南造船所が私の隣村にあるのでございまして、その点につきましては、この争議の関係上、市町村の経済的あるいは思想的、その他いろいろな点について影響が甚大でございまして、すみやかにその解決をわれわれは要望いたしておるのであります。聞くところによりますと、運輸大臣がこの騒動の仲裁を一任されておられるように承り、最近では三井関係の者が、重役陣のメンバーもそろえて、何か積極的な解決策に乗り出したというようなことを承つておるのでありますが、その後この問題がいつになつたら解決するのか、その関係の経過をひとつお願いいたしたいと思います。さらにまた後ほど岡田海運局長より造船融資の問題がお話があるのじやないかと思いますが、解決後の造船融資の問題はどうなるか、発注関係はどうなるのか。この点につきましても大臣の御所見を承りたいと思うのであります。 それからもう一点、これは委員長にも関係があることです。これは重要な問題でございますが、先ほど来新線建設の問題が議題となつて、活発な論議が展開されましたが、結局問題は財源の問題である。ところが来年新線計画の予算として、二十億の予算を考えておる。その二十億の予算が、何でも大蔵大臣の認識不足によつて、何かぐらついて来ておるというようなことを伺つておるのでありますが、この点についての大臣の決意を私は伺いたいのであります。同時に委員長がこの際、その認識不足であるところの大蔵大臣に当委員会においでを願つて、そうしてわれわれがあらゆる角度からもつと大蔵大臣に積極的な意見を申し述べて、その予算の獲得にわれわれは善処いた大したい、かように考えておりますので、適当な機会に大蔵大臣に本委員会においで願うような措置をしてもらいたい。この点につきましては委員長の御意見を伺いたい、かように考えるわけであります。
○山崎国務大臣 ただいま長崎県の川南工業株式会社のお家騒動の件ということで、お尋ねがあつたのであります。これは前提として申し上げますが、運輸大臣は民間の株式会社の興廃について、心配をしなければならない責任はないと考えておるのであります。株式会社が盛んになろうが、衰えようが、これは運輸大臣の関係するところにあらず、こういう前提を私は持つておるのであります。しかしながら川南工業株式会社においては、第五次船を二隻やつております。A型改装というのが四、五隻あるようであります。これに対しては天下公知の通り見返り資金も、当然第五次船でありますから、約五億に近いものが融資されておるわけであります。同時にこれを注文した船主の経済状態ということも考えなければならない。なぜかというのに、それらの第五次船にしても、改装工事にしても、予定より数箇月以上遅れておるというような状態なのであります。これは日本の置かれてある今日の海運状態において、一トンでも、一日も早く多く海に浮べて、海運の活動を促したいという運輸大臣の立場から考えてみますると、この工事の遅れておるということは、容易ならざる影響を国策に又ぼすものであるということを痛感し、憂慮しておるものなのであります。いわんやまた一船主といえども、それらの者にもし大きな工事の遅延等によつて、重大な経済的な打撃を與えるというようなことは、その経済界に及ぼす影響も軽からずと考えております。特にまたこれは社会問題でありますが、四、五千人の従業員あり、その背後の家族の想像するならば、おそらく二万に上るであろう、こういうことも考えられるのであります。これらの人が川南工業株式会社の事業不振のために、その生活を脅かされるというようなことであるならば、容易ならざる社会問題であると憂慮しておる次第であります。さらにまたその置かられてある村の税金の関係を考えても、この村の財政がどうしてやつて行かれるであろうか、これらの点も考えるのであります。むろんこれらの問題は、單なる経済問題ばかりにあらず、海運の問題であるばかりにあらず、社会問題であり、総括して一つの大きな政治的に考慮を拂わなければならない問題であろうということも考えておるのであります。こういうことを未然に防ごう、できるだけ収拾しよう、こう考えれば、どうしてもあの川南工業会社というものを、混乱状態から秩序ある状態にひきもどし、不信用の状態から信用のある状態にとりもどして、そうして引締めた形において、これらの経済的に社会的に、あるいは地方自治体に及ぼすような影響を、最小限度に切り詰めるというように、力を注いでやらなければなるまいというところに、私は運輸大臣として、あるいは運輸大臣の領分以外でありまする分までも憂慮をして、できることならば、権限外のことであつても、こういうことは影響の大きいことを考えて、手助けをしてやりたいというふうに考えておる次第であります。 その後社長以下当事者たちの間に内紛、いわゆるお家騒動があつたのでありますけれども、みな辞表をとりまとめて一括して、運輸大臣に裁断をまつというようなことで持ち込んで来たのであります。先刻前提として申し上げたように、私が一つの会社の内紛に介入して、そして裁断をするというのは、よほど筋が違つた話なのであります。それで一応はそれを断りました。自分の引受ける仕事じやない。しかし今申し上げたような事情で、非常にこれには心配をしておるから、できるだけの協力をして行こう、お手伝いもして行こうということで、今日に至つておるような次第であります。なおまた私はかねて、民間の問題に官憲が介入するということはよけいなことだ、間違つておると考えておるのであります。民間のことはよろしく民間において解決すべし、処理すべし、その間へ官憲が入つて行つて口をきくというようなことは、弊害あつて決して利益のあるものじやないというようなことも、持論として私は持つておるのであります。そういう考えもありますから、事は重大であるから心配をするけれども、できるだけの助力はするけれども、君たちみずからが過去のしくじりに対する責任を痛感して、辞表を出しさえすれば責任は済んだというような、形式的な責任回避の態度はよろしくない、今日あるのは社長以下重役の責任なんだ、辞表を出しても決して責任はのがれられぬということを、それらの人を集めてはつきり私は申し、かつまた今後ともこれを紛糾させないように持つて行くという、重大なる責任は継続しておるのだということを、強く勧告しておいたような次第であります。その後いろいろの曲折を経まして、できるだけ早く、まずもつて従業員に飯の食えるようにしてやりたいということを考え、地方の自治体でも税金をとれるようにしてやりたいと考え、同時に船主も息のつけるように、安心のできるように持つて行きたいということを目標にして、これに金融をしておつた富士銀行に対して、私はこの趣意をはつきり述べて、銀行においても、むろん銀行はそろばんをとつて他人の金を預かつて運転するのであつて、慈善事業じやないから、むりな注文はできないけれども、こういう大きな見地に立つて、自分も心配するのだから、この線に沿うて協力してくれということを相談したのでありますが、冨士銀行も心持よく、その趣意はよくわかる、ただ安全に確実に事の進むようにひとつ進めたいと思う、ごまかしやほら吹きでは治まらぬという意味で話をしつつ、せつかくその準備を今進めつつあるような次第であります。その間に裁判事件などがあつて、古い重役、新しい重役というものが、いまなお裁判で懸案になつておるわけでありますけれども、裁判所の方ではその解決をつけずに、判決を下さずに、代行取締役を大西弁護士に命じまして、そしてあとの重役にかわつて管理をいたしておるような次第でありまするが、そういう富士銀行、大西代行取締役などと再三再四協議を進めて、何とか解決をしてやりたいということで、目下最後の段階に入つて、きわめて近いうちにわれわれの助力、協力したかいのあつたような結果に持つて行きたい、こういうことで話を進めておるような次第であります。年末も差迫つておりますので、一刻も猶予ならずというので、早いことを必要とするという見地から、急いでやつておるようなわけであります。本日こうして委員会に出て答弁をしておる間にも、先刻からなるべく早く打切つて、この方の問題について意見が聞きたいというようなことを、関係して心配しておる者から電話があつたような次第であります。ところがちようどこの臨時国会が開かれましてから、国鉄裁定問題などがあつて、私も国会が忙しかつたために、その方はしばらく思うように会見することができないで、遅れておりますけれども、そういう状態で進みつつあるということを御了承願いたいのであります。 それから二十億円の方は、実はまだ事務的折衝を進めておるような程度でありまして、私は運輸大臣として大蔵大臣に、どういう程度でどういう計画で行くかということの詳細なる話はまだいたしておりません。しかし二十億じやない、三十億、五十億あつてもなお足りないと思うのでありますけれども、かりに三十億、五十億出ても、技術的に受入れ態勢もないような形でありますから、二十億というようなところが限度ではないかと考えております。事務的にそういうものが進む場合には、大いにやるようにということを、私は言つておる次第であります。安本の方では大体、事務的ではありますけれども、これを了として、積極的の態度をとつておるように聞いております。もちろんこの国会中には、この問題は急速に進展解決ということには行けないと思いますけれども、臨時国会の多忙期を過ぎた後においては、急速に進めたいと思うのであります。但し大蔵大臣をお招きになつて意見をお聞きになるということは、これは私の関係する以外のことでありまして、委員諸君の御意思に従つてしかるべきであろうと考えます。
○前田委員長 坪内理事の先刻委員長に対する申出でございますが、明日引続いて新線建設の問題につきまして御協議願いたいと思いますので、そのときに大蔵大臣の出席を得まして、そうして新線建設に関する費用の問題をお聞きいたしたいと考えております。
○坪内委員 時間がございませんので、運輸大臣にお礼やら要望を一言申し上げまして、話を終りたいと思います。いわゆる川南造船所のお家騒動については、権限外のことにつきましても、運輸大臣が公私ともに御多忙の中で、日本造船界の円満な発達のためにいろいろ御配慮くださいもしたことは、関係の地元民としてまことに感謝申し上げる次第であります。これらの騒動の問題につきましては、双方の事情を十分承知しておるのでありまして、申すまでもなく両面の真相を十分に把握されまして、一方的な措置に陷らぬように、何分の御高配を切にお願いする次第であります。簡單でございますが一言御礼申し上げまして、またこの問題が可及的すみやかに解決されることを要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。 —————————————
○前田委員長 次に請願の審査に入ります。請願日程一八及び四一を議題として紹介議員の説明を求めます。山崎君。
○山崎(岩)委員 請願の趣旨を申し上げたいと思います。津軽環状線を早急に開通していただきたい、これが請願の趣旨でございますが、その理由といたしまするところは、現在まで津軽環状鉄道がどういう経過を経て来ておるかと申しますと、西紀一九一二年、すなわち大正元年に帝国議会に提出されて請願は採択されました。その後再三再四国会に請願書を提出いたしました結果、昭和十四年、一九三九年には予算が確定いたしまして、ただちに工事に着工されたのであります。 〔委員長退席、坪内委員長代理着席〕 その後一九四三年、昭和十七年には青森、蟹田間に鉄道線路、駅舎その他一切の設備が完成し、建設列車を利用して、重要物資はもちろんのこと、一部地元民の輸送をも開始するに至りまして、運輸営業を開始したと同様の輸送が行われ、営業開始の公示直前にあつたのであります。しかるところ今次戰争の進展に伴いまして、国内資材の不足によつて、戰時中線路及び建物を他に転用してしまいました。関係地元民の熱意によつて獲得した絶大なる歓喜が、営業開始直前に一朝にしてぬぐいきれない悲運にかわり、地元民の熱意を裏切つて線路の撤去されたことは、まことに残念なことであると考えるのであります。終戰後昭和二十一年、一九四六年にはこの鉄道を復活するため、現在までに駅建物、官舎建物等を全部完成し、かつて敷設され、その後他に転用されました軌道を敷設することが残つているのが、現在の状況なのであります。昭和二十一年度の鉄道敷設計画の予定の中に、この路線が開始されるということがはつきりと明示されまして、本委員会におきまして時の岡田施設局長から、昭和二十二年の三月三十一日までのうちには、この鉄道を完成するという言明をされておつたのでありますが、まことに残念ながら昭和二十二年三月三十一日までには、その筋の命令によりまして、これが鉄道の駅の建物、官舎の建物等を完成しただけで、路線の敷設を見ることができずして、ただいま休止の状態になつておるような次第であります。 この鉄道の背後資源関係につきまして、いろいろ申し上げたいと思うのでありますけれども、本日は時間もありませんし、また幾たびも本委員会において討議されたことであり、しかも本年の八月十二日には、運輸委員会の十一人の委員の方々が直接に御視察なされたというような、いわくつきのものでございますので、この問題は一日も早く実施されて、そうして地方民の期待に沿うと同時に、日本再建のために、経済開発の一助に資せられるようにお願い申し上げたいのでございます。これが趣旨弁明でございます。当局の御意見を承りたいと思います。
○石井政府委員 津軽線の復活に関しまする御請願でございまするが、ただいま山崎委員から詳細に経緯その他の事情の御説明があつた通りでありまして、本区間は青森、五所川原間の延長約百十七キロでありまして、第六十七議会におきまして、資源開発並びに運輸系絡上の見地から、建設線に編入いたしたのでありまして、この青森、蟹田間延長約二十七キロは、すでに土工工事が進行いたしております。なお蟹田、三厩間延長約二十七キロも、工事に着手いたしております。三厩、五所川原間の延長約六十キロは、いまだ線路の設計は未済でございます。当局といたしましては、このうち青森、蟹田間につきましては、できるだけすみやかにこれが実現をいたしたいと存じておりましたが、ただいまお話がありましたごとく、関係方面のおさしずによりまして、一時中止いたしておりました。明二十六年度にはぜひこれが実現を期したいと考えております。なおその他の区間につきましても、今後できるだけすみやかに促進いたしたい考えでございます。
○山崎(岩)委員 明年度におきまして、これが着手になるというようなことをただいま御説明で承つた次第でございますが、明年度からできるということを確信してさしつかえございませんか。ちよつと承りたいと思います。
○石井政府委員 ただいま明年度の予算につきましては、一応政府の案としては決定いたしまして、関係方面と折衝中でございます。これが折衝を終りまして、政府原案のごとく国会に提出せられ、国会の御承認が得られますれば、着手することはできるのでございます。
○山崎(岩)委員 了解いたしました。何とぞよろしくお願い申し上げます。 —————————————
○山崎(岩)委員 次に奥羽本線の鶴ヶ坂駅に貨物取扱い開始の請願でございますが、奥羽本線鶴ヶ坂駅は、昭和四年十一月信号所として発足し、さらに昭和八年一月旅客取扱いを開始され、今日に至つておりますが、いまだに貨物取扱いが開始されないために、当地方住民の不便はもちろん、さらにまた地方開発のために少からざる遺憾を感じておる次第であります。鶴ヶ坂駅を中心とする同地方は、東津軽郡滝内村の孫内、岩渡の二部落と東津軽郡新城村の鶴ヶ坂、下鶴ヶ坂、戸門の三部落を合して、都合五部落を包括し、背後に津軽梵珠山を中心とする内真部営林署管括の厖大なる国有林野を控え、さらにまた東津軽郡内唯一の広大なる原野を保有し、最近漸次これが開拓の歩が進められつつある現状であります。従つて国有林野より生産する木炭およそ三万俵並びに原木生産量六千石、さらにまたりんご年産十万箱、これに当地在住りんご業者の南北両郡から集荷するもの年々三十万箱、山林としては国有林より伐採される以外に、三百五十町歩の官行造林地、五十町歩の県行造林地を有し、これらからの生産はいずれも中心地たる鶴ヶ坂駅に運搬されることになりますが、現在の状況では営林当局も少からず不便を感じている実情であります。現在のところにおいては、これらの生産物は全部小運送により、隣駅もしくは青森市まで搬出されている現状であります。ことに積雪量において県下一位にある冬季の運送の現状は、まつたく言語に絶するものがあります。同地域が広大なる山林原野を保有しながらも、その開拓が今日まで遅々として進まなかつた理由はここにあつたのであります。しかるところ、ただいまこの駅の隣になつております大釈迦峠に、国鉄のいろいろな事情に基きまして大工事を始めておりますが、あの大釈迦峠は二両ないし三両の機関車でなければ、運搬することのできない急勾配になつておるのでございます。そこにただいまトンネルのつけかえその他いろいろな工事をやつておるのであります。この工事とにらみ合せまするならば、その大釈迦峠の下にありまするこの鶴ヶ坂に、貨物の路線を持つて来るということは、まことに容易なことと考えられるので、この機会にぜひともこの実現を期したいというのが、地元民の熱望でございます。何とぞ請願の趣旨を達成せしめられるよう、御配慮のほどをお願い申し上げます。
○石井政府委員 奥羽本線鶴ケ坂駅におきまして、貨物取扱いを開始せよとの御要望でございまするが、ただいま山崎先生のお話のように、相当の資源出荷のあることは認めらるのでございまするが、ただいま国鉄当局におきまして、現地において調査中でございまするので、その結果によりまして、なるべく御要望に沿い得るように善処いたしたいと存じます。
○山崎(岩)委員 現地において御調査の由承りまして、まことにありがたく存じます。何とぞ本請願の趣旨を達成せしめられるよう御配慮のほどをお願い申し上げます。 —————————————
○坪内委員長代理 次に造船融資に関する件を議題といたします。当局より説明を求めます。岡田海運局長。
○岡田説明員 造船資金につきましては、終戰後今日まで五回の造船をやりました。従つて民間からこの造船に対して出されておりまする資金が、非常に巨額に上つております。民間銀行から設備資金として出ておりまする資金は、二百数十億に達しておる状況でございます。従いまして本年度第六次造船をやりまする場合に、市中からさらに巨額の資金を仰ぐということは、非常に困難な情勢になつたのでございます。市中銀行の意見では、第六次造船に出し得る資金の限度は四十億ということである。本年度内に出し得るものは二十三、四億しかない。もしそうだといたしますと、本年度の造船は十万総トン程度しかできない。これでは日本の造船事業にとつて非常な問題でございますし、また日本の海運のためにもたいへん残念なことでございますので、昨年は新造に対する見返り資金の比率は五割でございましたが、ことしは七割にして、市中銀行から出る金をできるだけセーブし、本年度見返り資金から船舶に割当てられました金が全体で百三十五億でございますが、そのうち七十二億は昨年からの継続事業に充てられております。六十三億が新規のものでございます。そのうち約九億が捕鯨母船一隻の新造と一隻の沈船引揚げ並びに修理、それからA型戰標船二隻の改造、これに充てられまして、新造には五十四億充てられることに予定されているのでございます。これを七割として使いますると、大体十六万総トン余りでありまして、全体の計画に対しまして本年度市中から二十三、四億出してもらえば足りる、こういうことに相なるのでございます。先ほど申しましたように、市中からは四十億しか出ない。これを五割五割ですると十万トン程度しかできない。これではたいへんなので、ぜひとも七割に上げてもらいたいという交渉を関係方面にしたのでございます。関係方面では当初七割の線が非常に強かつたのでございまするが、その後関係方面内部のいろいろないきさつを経て、昨年と同様に五割ということに決定されたのでございます。そこでさらに関係方面の考慮を願うべく、いろいろの手を通じて折衝を重ね、その間約二箇月を浪費することになつたのでありますが、結局関係方面の了解を得ることができないで、もし市中銀行から金が出ない場合には、これを日銀の特別融資によつて補うという了解のもとに、本年度の造船計画を実施したのでございます。五十四億の見返り資金を五割五割に使いました場合には、約二十万トンから二十一万トンできるのでございます。ところがただいま申しましたように、市中からの融資が非常に困難でございまして、十一月の十日に公募して二十日に締切つたのでありますが、その結果出て参りましたのが約十七万総トン、見返り資金の本年度に使用する額からいたしますると約四十四億で、そこに十四億円見返り資金の余裕が出たわけでございます。しかし私どもとしては、その十億の見返りの余裕と、さらにその後いろいろ精査いたしましたところ、A型改造船で本年度完成できないものが一隻あり、また前年度からの継続事業費として充てておりました七十二億のうち、約一億余りを新造の方へ振向け得るという見込みが立ちまして、さらに約十三億新造船に充てる見返り資金が残つておるのであります。これを至急使つて、さらに新造用として五万トン程度のものが期待できる。この五万トン程度のものにつきまして早急にもう一度公募いたす、かように考えております。さようにして、長期資金についての政策も確定の方向に進んでおります。公募いたしましても、市中銀行からの融資は相当続くではないかという考えを持つておりますので、できるだけ早い機会にこの公募をいたしたい、かように考えております。そういたしました場合に、大体今まで申込みのあつた船の平均船価をとりますと、ただいま申しましたように、その残つておる見返り資金の貸付率を五割として使つて約五万トンであります。従つてすでに申込済みの十二万トンと、それにプラスの五万トン、計十七万トンが本年度の貨物船の新造量に相なるわけであります。造船所の能力からいたしまして、十七万トンの建造量では非常なアイドルが出るわけであります。そこで五万トン程度ではまだ燒け石に水かもしれませんが、それでもなお造船所に対して相当の仕事を付與し得ることになるわけであります。先ほど御説明申し上げました通りに、今日日本の外航適格船がまだ非常に不足を感じられておりまして、これに対して多少とも船舶がふえることは、日本海運として非常に望ましいと考えて、早急にその措置をとりたい、かように考えております。
○岡田(五)委員 今海運局長の説明では、大体第六次造船、また今後起り得るであろう見返り資金の余裕による造船というものを合せて、大体二十万トン足らずの造船計画が実施されるのではないかと思うのでありますが、日本の造船能力は大体四十万総トンの造船能力を持つているかのように私たちは承知いたしておるのであります。そういたしますと、造船能力に対しまして、約半分しか受注がないということになるようにも考えるのであります。しかるに船舶のように、鉄道車両でも同様でありますが、市場性のない製品につきましては、できるだけ計画的に、定量的に受注をし、発注いたしまして、生産を計画的にやるここが、経営の合理化を導き、また経営の安全性を来すゆえんではないか、かように考えるのであります。今朝ほどの新聞を見ましても、相当鋼造船といいますか、鉄船をこしらえている造船会社等も、ひどいところは能力の大体一六%、多いところで七〇%ということでありまして、造船所で休廃止をしなければならぬところも相当続出しているかのように聞き及んでおるのであります。また木造船に至つてもしかりであります。かような面につきまして、造船工業を監督指導しておられます運輸省として、造船工業の指導育成、またはこれが合理化、または現在の受注量に伴う失業関係、その他の関係につきましての御方針と見通しとをお話し願いたいと思います。
○甘利説明員 先ほど岡田委員からお話がありましたことについて、海運局長から一応御説明申し上げましたが、お説の通り今度の六次船を引受けました造船所においては、一部一〇〇%の仕事量を持つたところもありますが、全体を平均いたしますと、約四八%という数字が出ておりますので、大体設備能力に比べて半分ということになります。この設備能力と申しますのは、実際の造船所の現在稼働できる設備と、現在の八万二千人くらいの工員とから割出しました工数から勘案したもので、まだ陸上の方の工事に携わつておる工員もおりますが、この中にはそれを含めておりませんから、今の四八%という数字はある程度、もつと多くなるのではないかと考えております。また六次造船の追加と、保安庁の第二次の追加を入れますと、相当数量になるのではないかと考えております。なおまた外国からの輸出船の注文も相当あるのでありますが、これらも船価の点においていろいろ行き悩みを生じまして、思うように契約ができません。この船価の問題も、主として鋼材が外国に比べて高いという点から引合わないのでありまして、鋼材の価格を適正にすることと、一部造船業の合理化をすることによりまして、船価を相当切り下げ得るとわれわれも考えております。こういう点がうまく行きますれば、輸出船が相当とれるのじやないかと考えておりますので、十分とは申しませんが、これらの輸出船がある程度とれれば、造船所の失業者を出さずに済むのじやないか、こういうふうに考えております。また造船所育成の方針といたしまして、現在の造船施設でありましては、とうてい十分船価の引下げができませんので、私先般外国へ行つてみまして、特に造船所のクレーンの設備とか、運搬機関の設備とか、あるいは溶接の設備とか、こういうようなものを早急に近代化いたしまして、工数を減らすことをやりたいと考えております。そういう面と、銑鋼の価格を合理的に引下げるということさえできれば、先ほど来申しますように、輸出船が相当とれる。これがわが国の造船業を救う唯一の道じやないか、こういうふうに考えております。
○岡田(五)委員 今甘利局長から、船価をできるだけ安くするというお話がありましたが、なるほど経営合理化あるいは技術の改善ということによりましての船価の切下げということは、私は相当期待できると考えるのでありますが、悲しいかな主要原則であります鋼材が、朝鮮動乱の影響を受けて、世界の軍拡の勢いに乗りまして、非常に上つておるように私は考えるのであります。先々委員会におきまして秋山次官から、トン当り七万幾らでしたか、八万幾らでしたか、そのくらいの船価で第六次造船は終りそうだ、こういうお話がありましたが、これも第六次造船の後半の分、あるいはまた第七次造船に至りましては、私はおそらくトン当り七万円とか八万円では納まるまい。私は狭い知識ですが、かように推定をいたしておるのであります。聞くところによれば、ベルギーのマル公ベースがすでに百ドルを突破した。おそらく日本のマル公ベースも、近く百ドル近くになるのではないか。かようなことからいたしまして、また一方八幡の鋼材の建値も、刻々に上昇をきわめておるのでありまして、かような主要原料たる鉄鋼の値上りのために、日本の船価は非常に高くなるのではないか、かような障害からいたしまして、私は局長とは多少違つた考え方、すなわち外国船の受注ということにつきましては、比較的見込みが少いのではないか、かように私は考えておるのであります。これもあるいは局長と見方の相違、見解の相違ということに終るかもしれませんが、かように私は考えておるのであります。 先ほど申し上げました点につきましては、御答弁がなかつたように思うのでありますが、鉄道車両と同じように、造船のような市場性のない製品を生産するにあたつての生産工場、造船工場に対する指導といいますか、そういう面につきまして、どういうお考えを持つておられるか、その御答弁を願いたいと思います。
○甘利説明員 先に鋼材の問題について一言触れますが、岡田委員からお話のように、確かに外国も上つております。私の方も現在造船用材としては、大体九十三ドルくらいになつておりますが、来年の四月以降銑鉄の補給金が全廃になれば、これがたしか百十七ドルくらいになるのじやないか、こういうふうに考えております。欧米の鉄鋼も、アメリカの造船材は八十ドルないし八十三ドル、ベルギー、ドイツあたりの鉄鋼が大体ベース価格で五十六ドルといつておりますが、いろいろな規格料を入れますと六十五ドル、イギリスが輸出価格で大体七十五ドル、そういう状態であります。これはもちろん造船材でありまして、今お話のありましたように無規格材につきましては、全般的に日本も上つておりますし、これよりさらに高いのでありますが、造船材は特殊の用途でもある関係上、そうほかの無規格品のように一律には上らないとは思いますが、しかし全般として今後鉄鋼の価格の上ることは避け得ないと思いますので、これにはあまり期待はできませんが、しかし少くとも欧州の鉄鋼価格並にわが国の造船用鋼材の価格をある程度——補給金はつけないにしても、いろいろな点政府として通産省方面と連絡して、合理的に押えておくということは、ぜひ講じて置かなければならぬと考えますし、また次の御質問の非常に造船事業に波があるということは、従来からも造船事業に対してはそういう波があつて、非常に船価の合理化並びに工員の失業を防ぎ得なかつたのでありますが、当時は海軍の注文がその間にありまして、この波を適当に平均いたしまして、非常に合理的にやると同時に、それによつて技術の改善もできたのでありますが、海軍なき後におきましては、そういう点においては非常に調節が困難であります。特に最近のように見返り資金にたよつて造船をやるということになりますと、年間に一度ぐらい、しかも年末に差迫つたような時期において、一ぺんに計画が実現されるということになれば、自然それまでの間におけるアイドル——その他鉄鋼にしましても、一ぺんに受注が殺倒いたしますために、非常に高い値で買わなければならぬ。また政府受注の方も非常に不平均があるために、ある場合には二交代でやつたものが、次には休止しなければならぬというふうな状態になりますので、国内的に造船の注文を戰前のように少くとも年に二回、できれば三回なり四回にある程度わけまして、受注の平均をはかるということになれば、価格の面においても、また労務の面においても、相当いい結果が得られるのではないかと考えております。しかしいずれにせよ、根本問題は、現在のように船主に資本蓄積がなくて、全部見返り資金なりあるいは借入金によつてやつているような状態においては、わが国の造船業が健全なる発達はできないと思いますので、こういう点については特に政府全般といたしまして何らかの——従前のように、三分の二以上は自己資金でやれるような方向に向わなければならぬような施策もとらなければならぬと思いますし、また造船の注文もそうなつて来れば年間にばらまかれますので、そういう点においても非常に有利な点が出て来るのではないかと思います。しかしいずれにいたしましても、造船能力が非常に多いことは争われないのでありまして、これらについては設備の近代化をやる一方、ある程度造船所の一部を陸上のあるいは発電機、タービンであるとか、あるいは水車であるとか、あるいはボイラーであるとか、そういう陸上の電力関係の方の仕事、並びに国土計画に伴いまして橋梁とか、そういうようなものにある程度工員の一部をさいて、その方面の仕事量を持つて行くことによつて、大体現在の工員をある程度維持することができるのではないか、こういうふうに考えております。
○岡田(五)委員 次に海運局長にお尋ねいたしますが、先ほどの第六次造船の融資につきまして、新聞によりますと、これは銀行造船であるというような皮肉をまじえた記事を掲げているのであります。この銀行造船であるという言葉を見まして、私たち多少懸念いたしますのは、この時代の当然の特徴といたしまして、金融が相当力を持つということはやむを得ない。また造船の融資につきましても、金融が支配するということもやむを得ないのでありますが、ただおそれることは、この銀行造船があまりに強く現われるがために、運輸省として外航配船上一定の方針といいますか、心づもりを持つておつたその心づもりと違つたような形の造船というものが出て来はしないか、こういうことを私懸念いたすのでありますが、第六次造船に至つてはさような傾向はなかつたのかどうかという点と、もう一つは第六次造船の計画を見ますと、最近最も有利とし、また採算性ありと考えておられるタンカー船が一隻も——銀行融資の関係でありますか、銀行造船の関係でありますか、一隻も計画に載つていない、かような点につきましての事情をお話願いたいと思います。
○岡田説明員 造船につきましては、私ども海運政策の上から見て必要であると考える最小限の條件を付して、それ以外は自由にいたしております。その造船の條件というのは、外航に適するものだけをつくる。内航船はつくらない。外航に適する船として、総トン数六千トン以上の船をつくる。但し総トン数四千五百トンから六千トン未満のものは六隻以内、それからタンカーも、需給状況から見ますと、それほどたくさんつくる必要はないと思うのであるけれども、将来の船腹構成、それから現在の世界市況、そういう点から見て、タンカーの建造の最高リミツトを三隻以内、こういう條件をつけて、それ以外は一切船主の商業的センスにまかすという政策をとつておるのであります。これは私ども現在における海運行政の考え方として、間違いのない考え方であろうと考えておるのであります。銀行がいろいろ船主の造船について注文をつけたということは、私どももよく聞いておるのであります。これは先ほど御説明申し上げましたように、銀行として自分たちの腹から出る金に限度がある。この限度の金でいかにお得意である船主をたくさん満足させるか、あるいは船主よりもむしろ自分のところが養わなければならない造船所を、いかにして養つて行くかという見地からいろいろやつたようでございます。しかし出て来たところを見ますと、私どもの考えている方針に何ら抵触するところはないと考えるのであります。ただ一つ私どもの考えで抜けておつたと申しますか、それはタンカーにつきまして三隻以内という最高のリミツトをこしらえたことで、現在の市況からいつて、銀行も相当採算を考えて金を貸すという関係から、タンカーがゼロになるということは考えていなかつた。そういうばかなことはすまいと考えておつたのでありますが、ただいま申しますように、できるだけたくさんの船主を満足させ、あるいは自分の関係の造船所にできるだけ広く仕事をうまく配るというような観点からいたしまして、タンカーが一つも出て来なかつた。この点はたいへん残念であると考えるのでございます。しかしこの点につきましては、ただいまも申しましたように、なお見返り資金の余裕もございまして、五万トン余りの追加建造ができる予定でございます。そのときにこのタンカーの建造が一つも出て来なかつたという点は、十分是正できると考えておる次第でございます。世上でいろいろいつておりますが、どこの船会社につくらす、あるいはどこの造船所につくらす、こういう個々のことは海運行政として行き過ぎである。そういうことはもつぱら船主が自分の考えで、どこの造船所でどういう船型をつくるのが、一番自分の商売に適するかという、そのセンスにまかすべきである、こういう考え方であります。但しこれがどうしても役所でやらなければならぬ。たとえば役所の方の申請が非常にたくさん出て来た。その中からどうしてもえりわけなければ、結着がつかないという場合におきましては、それはやむを得ざる措置として役所の考えできめますけれども、そうであらざる限り自由に放任すべきである。お役所としては最小限度現在の海運政策から必要なる線を画して、その範囲では自由にやらしておく、かような考えで臨んでおるのでございます。何ら金融機関のそういう行動によつて、私どもの政策がジスターブされるというふうには考えていない次第であります。
○江崎(一)委員 先ほどから岡田海運局長からるる六次船に関する経過の説明があつたのでありますが、この六次船が今日までかくも遅れた理由について、御説明があまりなかつたようですが、その点をひとつ詳しくお話し願いたい。
○岡田説明員 その点は先ほどちよつと触れるには触れたのですが、あるいはお聞きのがしになつたのかと思います。それは見返り資金の貸付比率を七割にいたしませんと、市中から出る金が非常に少い。予定の建造量に達しないのでございます。そうするとたいへんなことになる。ぜひとも七割の貸付率に持つて行きたい。かように考えて関係方面と折衝したのでございます。先ほども申しましたように、当初関係方面の意向は七割を許容する空気が非常に強かつたのでございますが、いろいろ向うの内部で、どういういきさつか詳しくは知りませんが、関係方面で決定されるのに時日がかかり、これで約一箇月くらいかかつた。さらにその決定に対して、どうしても日本側としてはついて行けないというので、いろいろ折衝を続けた、そういうことでかれこれ三箇月余りが経過したというのが実情でございます。
○江崎(一)委員 われわれの聞きますところによりますと、当初日本の船主、それから運輸省はスクラップ・アンド・ビルドという方針で出ておつて、前国会におきましても、低性能の船舶の買上法をつくつて、これを優先的にスクラツプにした。船主が新船を建造できるというような方針であつたらしい。それからまた見返り資金の融資についても、その利息が七分五厘のものを五分に引下げて、そうして融資の割合も九〇%は見返り資金でまかないたいという意向が運輸省にはあつたようです。ところがこれはそのまま立消えになり、その後ESSのリード氏から七割まではよかろうという話があつたようです。ところがこれがまたおじやんになつてしまつた、こういうことを聞いております。その裏には、いろいろ聞くと、アメリカの商船業者、運輸業者の非常に大きな運動があつた、力がかかつておつたということを聞いておりますが、そういう点はどうでしようか。
○岡田説明員 関係方面が最後に五割になつた、五割にしなければいけないというふうに指示されるに至りました背後のいきさつについては、私ども一切存じません。ただ関係方面としては、日本の海運は北米にも配船されるし、第三国間の貿易もできるし、ほとんど外国の海運と同じベースについて活動ができる。そうすれば国家の援助というものは五割でも十分やつて行けるというふうな意見、それからもう一つは、最近の海運市況が非常によくなつた、だから十分それでやつて行けるじやないか、こういう多少日本側と違つた見解から、そういう指示に相なつたものと考えます。
○江崎(一)委員 この十一月二十日に締切られた第六次船について船種、それから性能、あるいは速力その他についての参考的なデーターがありましたら、お示しを願いたい。
○岡田説明員 これはまだ一応お申込みを受けた程度でございまして、これが最後的に決定いたしますためには、大蔵省並びに日銀の方で十分船主の資産状態、経理状態を調査し、そうして関係方面に提出して了解を得なければならぬのでございまして、まだ決定に至るまではちよつとお出しするわけには行かないかと思いますが、それが決定に至り次第、お手元に届くようにいたしたいと思います。
○江崎(一)委員 審議機関がずいぶんたくさんあるようですが、どういう順序でやつておるのですか。
○岡田説明員 これはほかの見返り資金の貸付と同様と存じますが、大蔵省の方に貸付申請を出すわけでございます。大蔵省はそれを日銀に委嘱しまして、日銀が実際に調査をいたします。そうしてその調査が完了次第、これを関係方面に提出して、関係方面の見返り資金放出の許可を得て確定するわけでございます。
○江崎(一)委員 十一月二十日で締切つた応募船舶に対して、どの程度まで審査が進んでおりますか。現情をお聞かせ願いたい。
○岡田説明員 関係方面の見返り資金の借受けの手続が相当複雑であり、いろいろこまかい調査もございますので、目下船主の方でそれを調整中でございます。しかしすでに何回か見返資金の貸付を受けて、その手続に習熟している船主は、もうすでに提出をして、日銀の方で調査に取りかかつておられると考えます。また一部調査の進みつつあるものもあるようでございますが、まだその数ははつきりいたしません。
○江崎(一)委員 今年中に見返り資金が交付されるというような程度にまで進んでいるものがあるかどうか。またありますればどれくらいあるか、それをお伺いします。
○岡田説明員 私どもといたしましては、少くとも年数は関係方面の許可を受けるように持つて行きたい、かように努力をいたしておりますが、何分手続も非常に複雑なものでございまして、また多額の国家の財政資金を貸すことにあるわけでございますから、この調査も綿密を要するわけでございまして、私どもの期待上、努力しておる通りに行きますかどうか、はつきりいたしません。しかし一応出ておりますものは、大体間違いなく貸付を受けられるのではないかというふうな気がいたしますし、従つて年末を越しますものも、許可を受けないにしましても、それを見返りに市中の方から年を越す金の金融を受け得るのではないかと考えます。
○江崎(一)委員 各造船所ではどこでも財政的にひどくなつておるようでありまして、特に労働者の年末手当その他の支給に対しても、見返り資金から年内に交付されるかどうかについて、非常に大きな問題になつておるようであります。この点十分努力をしてもらいたいと考える次第です。 また第六次船の船種でありますが、大体どれくらいのトン数のものが応募されておりますか、その点をお伺いしたいと思います。
○岡田説明員 ちよつと御質問の御趣旨がはつきりいたしませんが、申込みのある船の一番大きな型は、総トン数八千トン、速力は十六ノット程度の船の申込みがございます。
○江崎(一)委員 大体今度の申込みは外航に適する船であつて、小さな船舶がないということを聞いておりますが、それでは中小造船所では、とてもそういう船種ですと手がつかぬということになるのです。そういうものでは見返り資金は受けられぬとしますと、中小の造船所は立つて行く方法がないという状態になるのですが、監督の任にあるあなたたちはどういうふうに考えておられますか。
○岡田説明員 御承知の通りに、中型以下の船はむしろ過剰状態でございまして、財政資金で援助してつくらなければならない船は大きなものでありますから、従つてすべて大きい外航適格船に集中しておるわけでございます。それで中小造船所につきましては、非常に苦しい立場にあるわけでございますが、一面保安庁の船の建造、その他の中小造船所向きのものも多少出ておるわけです。従つてこういうものでそういうものの利潤をはかつて行き、少し事情の変遷を待つよりしかたがないかと思います。
○江崎(一)委員 造船業界の公然の祕密として、船主側に大体一割くらいのペイ・バツクをするということですが、これは大体習慣だそうですが、こういう習慣があるのですか。
○岡田説明員 そういう習慣は、戰前には自分の金でやられた場合には——あるいは一割は非常に大きいのでございますが、多少のものがあつたというふうに聞いております。しかし私どもいやしくも国家の金を借りてつくるというふうな場合に、そういうことは絶対にあつてはいけない。もしそういうものが出た場合にはその貸付を停止する、そういう相当の措置をするということで、そういうものに対して嚴戒を加えておるわけです。従つて私どもはそういうものは現在においてはない、かように信じております。
○江崎(一)委員 私が申し上げたのは、国家から多大の補助をもらう現状において、特にこの問題は重大だと思うので発言したわけです。 ついでにひとつお伺いしておきますが、日本の船がチャーターされておりますが、これの傭船料と、アメリカの国内における傭船料と、どれだけ開きがあるのか、それについてひとつお話願いたいと思います。
○岡田説明員 アメリカのおける傭船料ははつきりいたしませんが、現在日本の戰標船が米軍に傭船されておるものに対して、五割あるいはそれ以上も高率かと存じます。場合によれば十割も高率かと思います。しかし御承知の通り日本の船は戰時標準型の船で、もし関係方面の使用がなければ、過剰船腹として繋船しなければならない、あるいはそういう性能の低い点だけでも、相当の差があるわけです。これは昨日も御質問があつて御答弁申し上げたのでございまするが、これは自由なる契約に基いておりまして、船主がこれで採算がとれない、あるいはよそにまわしてより以上の採算がとれるという場合には、何も傭船に応じなくてもいい、自由に選択ができるわけです。従つて船主が今米軍の傭船に出しておりますことは、その傭船に出すことによつて相当の利益がある、経営上有利である。こういう観点のもとに出しておる次第でございます。
○江崎(一)委員 もちろんこれは商取引は自由取引であるでしようが、日本の船員の雇用條件というものは、アメリカの船員の雇用條件と雲泥の差があります。二倍や三倍の差ではありません。雲泥の差があります。そういう低賃金政策の上に、こういつた非常に安いダンピングが行われるというので、先ほども言いましたアメリカの海運界が、日本の見返り資金の融資に猛烈な反対をしたということと、相関連するところがあると思います。こういう点について、これは監督庁といたしましては、十分な指導があるべきだと考えるのですが、その点いかがでしよう。
○岡田説明員 船員につきましても、これは釈迦に説法かと存じますが、日本の全体の労働者の労銀というものは、アメリカに比べて低いわけです。船員だけが特に低いというわけではございません。この船員が朝鮮水域に出ます場合には、アメリカ船員が受けておると同様、あるいは私はちよつと所管外でありますので間違つておるかと存じますが、ある面においてはアメリカ船員よりもいい率において、特別の手当が米軍の方から支給されておる。全体としては低いかもしれませんが、その率においては、アメリカ船員と遜色のない率が支給されておる、かように考えます。
○坪内委員長代理 まだ長くかかりますか。ほかの日にまだ質疑する機会がありますから、なるべくひとつ簡單に願います。
○江崎(一)委員 まぐろ船が赤道附近までずつと出漁しているのですが、あそこは無風地帯で非常に労働が苦しいところです。そこでこの母船は零度にぴつたりくつついておるのですが、そのキヤツチヤー・ボートがどんどんマツカーサー・ラインを越えて、くろかわまぐろをとりに行くわけです。これは計画的にやつておる。もちろんこれは不法行為で、発見されれば必ず拿捕される事件です。これが見つかりますと、その責任者として船長が罰を受けるわけです。ところがこれは漁撈部長が命令して、お前行つて来いと言つてやらしておるわけですが、この命令した部長は何も罰を受けないで、船長だけが罰を受けるという矛盾した状態になつておる。またこの無風地帯の非常に暑いところで働く労働者は、一日に十八時間の労働、たつた四時間の睡眠、こういう苛酷な條件で非常な労働強化が行われておるが、こういう点について御存じかどうか、またそういう点について監督長官としてどういうふうに考えておられるか、伺いたいと考えます。
○岡田説明員 漁業の点につきましては、これは農林省の所管でありまする関係上、私どもの方ではあまり詳しくそういう実情は存じません。ただ漁船乗組員の船員につきましては、私どもの方の船員局の監督下にございますので、あるいは船員局の方でそういう面の情報が入つておるかと存じますが、十分そういう点、船員局の方に確かめました上、御返答いたすようにいたします。
○江崎(一)委員 本日はこれくらいにしておきます。
○坪内委員長代理 石野久男君。
○石野委員 大分おそくなつておりますから、簡單に一点だけお伺いしておきたいのですが、第六次の造船計画ができましてから後においては、造船資金の問題が大分やかましくいわれておることは、同僚議員がいろいろ質疑していることによつて明らかであります。それの最も根本的な問題としては、造船企業というものの今後について、特に最近ではあらゆる造船規模というものが、仕事がなくて困つておるというような事態が出ておるのでありますが、この問題について今当局としてはどういうふうにこれを収拾して行こうとしておるか。どういうような計画を持たれておるかということについて、先ほど国鉄の新線問題に関連して、山崎運輸相からも海運関係について何か資金繰りのことなどで、銀行なども構想を持つておるのだというようなこともありましたけれども、特にそれらのものに関連しまして、今監督庁におきまして、どういうような構想を持つておるかということの一点をお伺いしておきます。
○岡田説明員 先ほども船舶局長からお答え申し上げた中にあつたと思いますが、少くとも日本の造船能力を維持し、造船の合理化をはかつて行くためには、毎年四十万総トン程度以上の造船所がなくちやならぬ。これに対しまして海運の面、船舶の需要の面からいたしましても、毎年三十万総トンから三十五万総トンまではつくつて行かなくてはならぬ。いろいろ調査の結果、こういう結論が出ておるのです。ただ問題は、この造船資金をどうするかという点でございます。ことしは私どもは三十万トンまで持つて行きたい、かように考えましたが、どうしても見返り資金にたよらなければならぬ関係上、見返り資金の量で制約されておる。ことしはそれが五割・五割の比率で約二十二万トンまででき、そのほかに漁船の新造、改造を入れると、二十五万トン分ぐらいのものが、見返り資金でまかなわれておるのじやないかと思います。私どもは来年度も少くとも三十五万総トンまではつくるようにいたしたい、かように考えるのでございますが、一に見返り資金がどの程度に海運の方に割当てられるか、このことにかかつておるのでございます。目下来年度の見返り資金の配分についで、私どもの要望が充足されるようにということに、最善の努力をしておるような次第でございます。来年度は海事金融に関する特別な措置を講ずるにいたしましても、なかなかめんどうな点もあり、困難な向きもございまして、来年度は見返り資金を中心にやらなければ、他の方法はちよつと困難じやないかと思うのであります。しかしその次の年度になりますと、もう見返り資金というものにはまつたく依存することはできない。それまでには何とか海事金融に関する特別の措置は是が非でもでつち上げなければならない、かように考えておるのでございます。さようにいたしまして、国内の船舶、日本自体の必要とする商船を三十万トンないし三十五万トン、そのほかに漁船の建造もいたします。また海上保安庁の注文船もあるわけでございます。それに将来どのように伸びるかわかりませんが、外国の注文船、これは現在でも業者の努力によつて相当とりつつあるわけでございます。将来においてもある程度のものは期待できる。こういうことによつて、日本の造船事業の維持というものをはかつて行きたい。またはかつて行けるものと考えるものであります。ただ小さい造船所の方がどうなるかということは、これは一つの問題だと思います。
○坪内委員長代理 本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。 午後五時四十五分散会