労働委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 31 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1950/10/11
会議録
○委員長(赤松常子君) それではお待たせいたしました。今から開会いたします。 先ず地方の視察報告をして頂きたうございますが、御準備の都合もあるようでございますので、後に廻しまして、先にちよつと御相談いたしたいことが二三ございますので、今日いたしたいと存じます。先ず第一に、公労法の改正案に対して、この前の委員会で一応証人といたしましてのいろいろ人選の問題が協議されたのでございますか、もう一度皆さんの御意見を伺いたいと存じております。専門員の方から詳しく御説明申上げます。
○専門員(磯部巖君) お決め願いたいと思いますのは、仲裁委員会の委員は五名でございまして、その中で今井さんと荒井さんをお願いすることにしたいと思つておりますが、委員長が今アメリカに行つていらつしやいますので、その不在中關口泰さんが委員長代理をしていらつしやるのでございますが、關口さんにも証人をお願いしますかどうですか。それから次に学識経験者として末弘先生外二名ぐらいお願いするというふうなお話でございましたが、外は弁護士として先般の訴訟に出られた方を一名ぐらい出て頂いたらどうかという意見も昨日あつたようです。それにつきまして……。
○委員長(赤松常子君) ちよつと速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(赤松常子君) それではどうぞ速記を始めて下さい。 では、この休会中に地方の視察をおのおのいたしましたので、その御報告を順次お願いいたしたいと思います。先ず関東班原先生御準備できておりましようか……関西班の方は堀木先生……それでは堀木委員よりお願いいたします。
○堀木鎌三君 それでは御報告申上げます。 私共近畿地方の労働事情視察に参りました者一行は堀議員と私と磯部専門員になつておまして、兵庫、大阪、京都、愛知の四県を視察して参りました。詳しく申上げるのもどうかと思いますので、概要を御報告申上げますが、予定の三日の日はいわゆるジェーン台風の当日でありまして、東京を出ますときは大したことはないという考え方で参りましたが、列車が段々向うに参りますにつれて遅れて参りまして、汽車の窓から見ました被害状況並びに翌日阪神国道をずつと通つて参りましたが、実にその被害状況は甚だしいものがある。従いまして、私共も労働問題につきまして余り徹底的に各現場官庁を動員するというふうな形は、丁度そういう際でもありますので遠慮しなければなりませんような状況で、併し調査そのものについての不便はさして感じなかつたように考えます。まあその中で主な問題を取上げて見ますと、何と申しましても、失業に関する問題でありまするが、これはもう事実各方面の報告にありますように、段々慢性的な症状を来たして、そうして求職者は非常に殖えて参りますに対して求人数が一向増加しないのみならず、逆に減つて参つておる、殊に民間事業の求人数というものは非常に少いという状況であります。それに加えまして、いわゆる昨年の夏から非常に各方面に起りました、企業整備というものが、最初は非常に大企業にその現象が見られておつたのでありますが、段々この頃は中小企業に及んで参りました。中小企業の企業整備状況というものは、事実私共が中央におつて予想いたしておりまするより遥かに深刻なものがあるというふうな情勢であます。数字等は別にございますから、余詳しく申上げませんが、その例は一例をとつて見ましても、企業整備の対象になります工場数は、段々何と申しまするか、その労働者の雇用量の関係から見ても中小企業に移つて来ているというふうな状況が見られます。又日雇労務者の問題につきましては、やはり関西におきましても、春頃は非常にひどかつたらしいのでありますが、最近はやや職よこせのデモも幾分下火になつている、何と申しますか、やや平常状態に回復しつつある、併しながら実情といたしましては、やはり求職者は激増して参つておりますのに対しまして、日雇求人数は少いというふうな状況でありまして、日々発生しているあぶれは大阪で二分の一、京都で三分の一、名古屋で三分の一強というふうな情勢で、失業対策事業による就職率というものによつて見ますと、国庫の事業といたしまして、各県とも大体十一日乃至十三、三日くらいで、失業保険の資格を取るのに不足である、各県とも何とか失業保険を取れる資格が付く程度には事業を起したいというふうなことで努力いたしておりまして、割合にその点については関係者は熱心にやつているようであります。特に府県において、府県費を支出いたしまして、事業を起して、辛うじて十四日乃至十五日を就職せしめるというふうな実情にあります。例を挙げますると、兵庫県では一千万円、延十万人分の予算をこのために計上いたしました。失業対策事業について考えられますことは、事業種目の選定に地方の自主性が少いこと、それから資材費が見込んでない点というふうな点が非常に実際上にこの日々発生する失業者或いは就業者の問題につきましても、全体としてこういう費用が少い外に、今申した地方の宿主性がない、資材費がないというので、緊急失業対策費としては非常に不安を感じていると申しまするか、有効に活用されるのに対して支障があるということが一致いたした意見であます。そして尚現在の失業対策事業がもう少しその場限りの仕事に限られないで、計画的なそして建設的な事業に振向けられるように考えること、緊急失業対策の仕事ですなら、その本質的な非常に何と申しますか、波動性の強い、その場、その場で適切に応じなければならないというふうな本質は含んでいるのでありますが、併しながら大体最近の日雇労務者の職安に参ります状況を見ておつても、もう少し恒常化して参つておりまするから、今申上げたような事業を適当に起すべきじやないか、そういう恒久的な、建設的な事業計画というものがもう少しあつていいじやないか、こういうふうに考えられるのであります。もう一つ考えられますことは、公共事業費で以て失業者を相当救済しているという事実でありますが、これも御承知の通りの公共事業費の種目に応じまして失業者の吸收率というものを決めているわけでありますが、事業によつてはもう少し吸收率を多くしてもいいということが考えられますし、それから全体として見まするときに、この公共事業に対する失業者の吸收量の増大ということをもつと図るべきである、現実に現場では中央から割当られましたものに対して上廻つた比率をやつております。実際問題として吸收率が少い、予算が多いに拘わらず私は吸收率が少いようなことを感じたのであります。例えば大阪府の労働局で以て調査しましたら、求職活動しつつある失業者の数が十一万一千人あるのでありますが、この中で五万五千人、約四九・五%という救済率があるわけですが、その中で公共職業に就労いたしております者は、千二百三十四人というふうな統計が出ております。これを見ましても、公共事業は失業救済のために起される、むしろ公共事業そのものは失業救済だけを目的にいたしておりますので、失業者の求職率をもつと雇用量を多つくするような観点からものを考えて行きたい、こういうふうに考えるのであります。大阪の一つの職業安定所の話でありますが、あらゆる角度から検討して、その職安の管理の人口三十三万について一万九千の失業者が存在するというふうなことを申しておりますが、更に大阪府の監督署で、今回の水害で打撃を受けて再起本能のものは恐らく中小企業の三分の二に上るかもしれないというふうなことを申しておりましたのですが、こういうふうに失業問題というものは現場に参りますれば、参りますだけ、現実の事情に直面するので、非常に関係している者も心配しておりまするが、私共現場に参りまして、もう少し中央の諸般の施策が迅速に行われて欲しいというふうに考えるものであります。もう一面、私共こういう産業地帶を歩きましたので、今回の特需の影響はどうか、朝鮮事変に関連いたしまして特需の影響はどうかということを見ましたのですが、全体として見ますときは、どうも特需景気というものが一般産業に均霑するといいますか、滲透するというところまでは行つておらないような状況であります。これも個々の例を詳しく取りました実例を持つておりますが、概観してそういうことが言える。そうして雇用量の増大まではなかなか来ていない、否大企業もむしろ雇用量を増加するよりも現在の労働を強化して行こうという形の方が多いように考えられるのであります。でありまするから雇用量の増加として顕著な実例はない、むしろ例外的とも言えませんが、ものによりましてはこういう状態になりましても依然として減員をいたしたいという事業すらあるわけであります。特需関係で幾分魔用量に影響が出て参つたかと思いますことは、名古屋でございますか愛知県でございますが、愛知県は兵庫、大阪に比しますと、全体の産業規模的に見まして大きいとも言えませんし、その中で而も自動車関係が今度の特需の発註の首位を占めておりますが、愛知県では自動車関係の割合が大きく占めております。自動車関係その他鉄鋼、造船、車輌等に幾分の特需関係とみなされる雇用量を増大したものがある。例を言いますと、今これら関係諸工場六十八工場の中で、労働者を増加したものが二十七工場、併し雇用量の増大としては僅か六百四十人、時間延長をしておるのが三十八工場、こういうふうな情勢であります。それから各方面の労働基準局に参りまして、共通の現象は最近の災害増加の傾向であります。これはもう労働基準局の一致したもので、これが一番事故件数の多いものでありますが、的確にその原因とみなされるものを正確に一つ一つ具体的に深く調査ずるまでの段階には調査はどうも行届いていないように考えるのでありますが、ただ全体として考えられますことはやはり労働が強化されている。それから休養が不足してい。そして賃金等も場合によると遅欠配に在る。比較的労働強化のために休養不足も起つて来ている。或いは設備が敗戰後の非常に老朽化しつつある、下完備であるというふうなことが原因でなかろうかというふうに考えられます。これはまあ非常に件数が殖えて参つているので、一例だけ挙げますと、大阪の統計だと、昭和二十三年死者が百四十七に対しまして、二十四年は百五十九になつております。重傷が三千五百六十一人に対して六千百二十九、軽傷が四千三百十六に対して一万九百六十三、こういうふうな倍以上の数字を示している、こういうふうな情勢でありまして、尚二十五年度には月別にも殖えて来ている。災害防止に対する施策は強力にこの際推進しなくてはならないのではなかろうかというふうに考えられます。今大阪の例を挙げましたが、丁度大阪と神戸は港湾地帶が水害で視察できませんでしたので、名古屋の港湾だけは調査して参つたのであります歩、名古屋の港湾労務者におきましても、毎月四十名ぐらいが平均災害を受けている。うち十九名は長期休養を要するというような状況であります。労災保険はこれに対しまして非常に係官が少い。そしてこの手続が煩瑣のために事故後七日以内に決定すべきであるのに、調査から決定までが一ヶ月乃至三ヶ月を要しているというふうな情勢であります。愛知県においては、丁度見ましたときに三千百万円ぐらいの未拂いがあつた。この点につきましては相当考慮されるものがなければならん、こういうふうに考えられますし、災害増加のために、やはり保険経済としても十三億の赤字を生じているという点も併せ改善しなければならん点だと思うのであります。更に各地方で、これも現場に参ります程現実的に実感が伴うのでありますが、賃金の遅欠配及び不拙いというものがこれはもうやはり災害に次ぎまして共通に多い現象であります。殊に最近におきまして、中小企業の購買力の減退と金詰りの点から賃金不拂いが起つて参りまして、大阪、兵庫、愛知等におきまして、府県費で一千万から四千万ぐらいの金額を出しまして、特別会計を設置しまして、この遅欠配の工場に賃金の不拂いを解消するように貸付をいたしております。こういう点につきましては、地方は可なり効果的な措置をとつておるということが考えられるのであります。 尚、中小企業で特に私共京都におきまして見ました例として、全体として中小企業について、労働時間の延長或いは労働強化という現象も見られるのでありますが、京都というところは特に中小企業が盛んなところであつて、殊にあそこの地方の西陣でありますとが、或いは清水燒でありますとか、そういうふうな典型的な家内工業的中小企業というものを見たのでありますが、こういう点についてはもう実際何と申しますか、一日中働いている、拘束十二時間、実働十一時間といいますが、未だにどういうふうにこれを処置すべきかという問題、これらに非常に考えさせられる点があります。殊にその労働の対象が婦人、少年が多いのでありまして、この点については十分考えなければならん、こう考えております。兵庫県は全体として非常によく行つている、労働問題の解決についてよく行つておりますが、労働研究所、あそこにあります労働研究所でありますか……、それから大阪の母子の町にあります職業補導所、これは一体母子の町として殆んどアパートも立派なアパートを持つております。そういうふうな点も見られたのであります。これらについては詳しいことは省略いたします。 職業補導関係につきましては惡いという考え方が前提であつたためでありまするか、全体としては予想よりはいい成績を挙げております。で、その補導所を出ました者について特に考えられましたことは、就職率が非常にいいということであります。その補導の種目につきましてはいろいろ多種多様でございますが、県によつては県の産業と結び着いたような形でこの補導を発展させたいというふうなことを狙いとして持つております。そういう点から見ましてもなかなか積極的にやつている面が可なりに多いのであります。兵庫県の例で申しますると、県費で以もまして播摩造船だとか富士製鉄所の設備と技術を利用して技能者を養成しておる。こういうふうな点もありますし、或いは会社の簿記、将来どうしてもああいうところですから、簿記でありますとか、そういうことを習わせるような職業補導、その外につきましては自動車修理ですとか、ラジオ修理ですとか、タイプ謄写とか、簿記、珠算ですとか、或いは洋裁ですとか、塗装ですとか、或いは木工ですとか、そういうふうなのは各県共通でございます。 最後に労働行政を担当する機構としての問題ですが、現場へ参りまして考えられますことは、どうも労働基準局へ行けば労働基準局が非常に定員が少い、又は予算が減らされているというふうなことは、もう共通で、基準局のみならず職安に参りましてもそうであります。つまり二十五年度の予算を編成いたしますときと、二十五年度に入つて参りまして社会の深刻さというものの変転を睨み合せますと、確かにそういう点は肯けられるのであります。で、こういうことはその出先の機関についてもう少し中央が何と申しますか、実情に適した手を打つ必要があるのじやないか、同時に労働省全体がどうも新らしい省であるだけに、予算的には非常に不足しておるのじやなかろうかということも考えられます。まあ一例を挙げますると、或る職業安定所で長期欠勤者が七%で、結核が主としてですが長期欠勤者が七%で、要注意者というのが二〇%からある。これは非常なまあ劇務から来たのです。誰にでも考えられますように、職業安定所では朝も早くから参りまして、それから帰りがやはりとても遅くなる。そして定員が少いためにレポートも十分とれない。こういうような情勢である。又仕事の性質からもそういつたような情勢である。それに対しまして勤務がそういうふうであるのみならず、どうも超過勤務手当だとかいうふうなものも十分に取れていないというふうな情勢で、むしろ率直に言いますと、労働基準法違反を労働関係のお役所の人間が一番やつているのじやなかろうかというふうな疑念さえ起つておるのであります。それからもう一つ行政機構的な、系統的なものが同一な仕事を扱うのにいろいろ分れておる。この点につきまして、而も待遇が異るというふうなこと、例えば労働基準局の関係、労働省の出先機関としての労働基準局、職安の職員というふうなものの待遇、給與というものが、地方庁のそれらを扱つておる労働部の人間、その他の系統の人間との関係がやはり一割以上の差がついておるというふうな状況にある。これらの出先機関と中央との関係及び地方の自治体の職員との関係というものは、これは或る程度どうしても行政機構としても考えなければならないし、待遇問題としても考えなければならないのではなかろうか、こういうふうに痛感されるのであります。極く簡單でございますが、一応私の視察して参りました主な点を御報告申上げ、尚一緒に参りました堀君がおいでですから、何かございましたら……。
○委員長(赤松常子君) では只今の御報告に加えて、堀委員の方から加えて何かございましたら……。
○堀眞琴君 何もないと思います。これはやはり専門員の方で私と堀木さんの見ておることを大体メモしたところを総合されてやつておられますから、結構だと思います。
○委員長(赤松常子君) それでは次に、関東班の原委員からお願いいたします。
○原虎一君 私とそれから鈴木強平さんと二人で九月四百から十日まで七日間に亘つて、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県の関東四県に亘つて一般労働事情の調査視察をして参つたのでありますが、その結果から見ての大要を御報告いたします。 第一番目に労政関係業務といいますか、この方面で一番力を入れなければならん問題は、御承知のように団体協約締結でありますが、最近の傾向は上昇していない。むしろ下がる、下降の状態にあるということは今言えると思うのであります。殊に大組合には団体協約締結が比較的多く結ばれておりますが、小組合になりますと殆んどないのが多い、締結されていないという状態が多いのであります。これはまあ原因を見ますと、小工場における労働者の最近における経済上の不況等から来ます萎縮、事業主側のいわゆる攻勢といいますが、そういう点から労働協約を締結するのに熱意が使用者側に勿論ないということが言えると思います。労政事務局職員が可なり勧奬いたしておるようでありますが、この労政事務局が今日の労働組合のそうした方面に一つのアドバイスするという点から言いますと、非常にまあ極端な表現を用いますれば、貧弱過ぎると言えると思うのであります。それば人的構成から申しましても、又経済的な、財的な方面から申しましても貧弱過ぎる、事業主にいたしましても、労働組合の幹部職員にいたしましても、相当今日まあ労働問題、労働協約等については検討されている者が多い。つまり貧弱な陣容で以てこれにアドバイスするといたしましても、それは能率的に効果を上げ得ないのは言うまでもないと思う。そういうまあ印象を労政関係におきましては受けたのです。又事実そういうものを見受けたわけであります。 第二番目には、職業安定業務、一般の失業者は御承知のようにやはり増加の傾向にあるということがはつきり言えると思うのです。殊に茨城、栃木、千葉には先だつてたきな争議が起きました。日立製作の五千数百人の首切りが行われて、その大部分が茨城県下にあり、第二は栃木、千葉とこういうふうにあります。こういう大工場の大解雇という問題等があつて可なりこの四県下に亘りましては、失業者が増加するという傾向にあります。求人の率と求職の率とはますます反比例して離れて行くという状態にあつたと思います。ただ製糸関係は製糸の値上り等による活況から、求人が熟練者を求めるという傾向が見えたのであります。 次に公共事業ででありますが、失業者を公共事業に吸收をするという考は可なり強く持たれて、その考慮が佛われておるようでありますが、問題は失業労働者の居住の関係で、なかなかそう思うように公共事業に失業者が使用されていることになつていないようであります、ということがそれぞれ関係者からその点を主張されておつたのであります。それから日雇労働者の就労状態、先程関西方面の視察をされた御報告の中に、堀木委員からされておりましたように、法の改正前におきましては、いわゆるあの日雇労働者の失業保険法の改正前におきましては、殆んどその資格を取る稼働ができない、働く日数がないという状態がありましたのが、改正されて、第一の資格を取るのが二十八日間働きます。これが二ヶ月間における二十八日間働く。これが多少可能性を持つて来たので、日座労働者の失業保険というのに関心を労働者が深めるようになつて来た。但し一ヶ月間に十四日以上就労するということはなかなか困難の状態であります。各地におきまして、労働者にも接触いたしましたが、皆この点を何とか改正して貰いたい、もつと就労日数の殖えるようにして貰いたいという要望が各所にあつたのであります。 次に、緊急失業対策事業についてでありますが、国の補助によつてはなかなか失業者が吸收できないので、県費を以てやるということがそれぞれ四県とも考えられておりますが、問題は失業対策事業に全然資材費を国が持たないという関係から、なかなか県が資材費を持ちそれから労働賃金も負担して、ということは困難であります。どうしても失業救済事業に資材費を国の予算に計上して欲しいという要望が強かつたわけであります。 次は、労働基準関係でありますが、御承知の賃金不拂がどこでも一番大きな問題になつております。特に惡質な賃金下柳に対しては司法処分に訴えているのでありますが、これらの数は各県とも十件、十数件というふうなものはありませんで、数件が大抵まあ各県とも司法処分にするというよう状態でありましたが、司法処分にして裁判沙汰になりましても、事業主が支拂能力がないために結局労働者の不利益になつて来る。従つてこれは努めてまあ支拂を督促するという手段をとるよりいたし方がないとして、監督署としてもその方針で努力しておるというのが全体的な傾向であります。併しながら多くの賃金小柳件数に対して、限られた監督官で絶えず督促して、早く拂わすということもなかなか容易な事業でないということは、これ又実情であります。まあ賃金不拂問題の原因を見ますというと、第一番にその生産品の売行の不振、第二は売掛代金の回收難、第三番目はまあ金融難ということに分けることができると思いますが、この全面的解決には、当然経済面の対策が必要でありますが、差当り不拂賃金に対して労働者の債権を確保するような、簡單に確保ができるような法的根拠を要望する声か強いものがあつたのであります。 次には、不当労働行為でありますが、時間外労働の問題、これも相当ありましたが、これらについてはまあ事業主は基準法を知つておりながら計画的に知らない顔をしたり、又労働者自身に監督官が来ても、それだけの答弁方法まで教えてそうしてやつているという惡質なものが殊に製糸業の小さい工場には多数あるように見受けられたのであります。 以上が大要でありますが、最後に地方労働委員会関係の問題について一つ問題にされておるものがありましたが、それは関東民事部の係の者から労働委員会の改組案について委員会で諮問されておるような、委員の意見を聞いておることがあるのであります。これに対しましては反対、又は時期尚早という意見が全部でありましたが、その問題の改組というもの、改組案は現在の労働委員会が持つておりまする斡旋、調停の機能を別個の公的機関に移して委員会の仕事を専ら純司法的機能に限定するということを前提とするもののようであります。これに対し、それとそ労働問題の解決を官僚の手にゆだねるものである、まだ実情はそこまでになつていない、こういう理由で時期尚早又は反対の意見がなされておつたのであります。地方労働委員会関係者の意見としましては、現在の労働委員会が能率的に行われていないというような点についてはやはり遺憾ながら認めなければならないと思うけれども、それは簡單な事実の調査や、或いは資料の收集まで準備的な仕事を労働委員みずからがやらなければならんというようなことであつて、現在の職員の待遇をよくして、事務局を強化拡充すれば、もつと能率を上げることができ、他面に実情に即した労働問題が解決できるという、この意見を是非国会に反映して貰いたいという要望がありましたわけであります。結論的に申しますれば、折角の労働諸法規がいずれも所期の効果を挙げておるとは言えない。これは一つには労働省関係予算が足りない、少いというその結果から来る人員の不足、事務所の不完全、直轄の職員と地方公務員の待遇の不均衡のために折角の熟練した直轄職員が地方の公務員に変るというようなことも起きるということさえ言われておるのであります。そういう訴えが強いものがあつたわけであります。特に職安の関係の職員の待遇改善は急速にされなければ、先程堀木委員から言われたように、労働関係職員みずからが破らなければならんという結果が来ておるように見受けるのであります。 最後に附加えて申上げますが、各県に婦人少年室というのがございますが、やはりこれは存置しなければならない。これを廃止するような意見も中央には少し窺われるようでありますが、これは存置し置く必要があるのが日本の労働婦人のレベルだ、即ち婦人職員を置いて、僅かの職員でありますが、二名くらいの婦人職員がおるのでありますが、その二名くらいの婦人職員が活動することによつて多数の労働婦人が啓蒙されておる事実は軽視してはならんと思うのであります。以上大要を申上げまして報告を終りたいと思います。
○委員長(赤松常子君) それでは次に、東北班を山花委員からお順いいたします。
○山花秀雄君 九月の三百から十日間赤松委員長と共に東北地方の労働事情を視察調査して参りましたので、簡單にその結果か御報告申上げたいと思います。先程各委員から各地の報告がございましたので、成るべく重複しないように報告をしたいと思うのであります。 視察の地域は青森、岩手、宮城、山形、福島の五県でありました。秋田県には期間の制限がありました関係上廻ることができなかつたのであります。調査に当つては各県庁、労働省の出先機関に対する資料提出の要求、説明聽取、事業場の視察、労使の懇談会における意見の聽取等、時宜に適した方法によりまして、いろいろな角度から問題の所在を究めて参つたのであります。その結果今後委員会として検討を要すべき諸問題には各県共通したものが少くありませんので、以下簡單にこれらの事案について問題別に述べたいと思う者であります。 先ず進駐軍労務者関係についてでありますが、先の国会において朝鮮動乱の突発により一時この種労働者について強制労働等特殊な問題があつたのではないかということが委員会において論議された関係もありますので、特にこの問題に重点々置いて調査したのであります。各県庁の労務管理担当官と懇談をして事情を聽取する外、青森県、山形県の労務場を実地に視察して参つたのであります。その結果朝鮮動乱の急発による緊急事態が過去つた現在においては、問題となつた強制労働というようなことは行なわれていないようでありました。ただ次のような点が労務管理上種々支障となつておつたのであります。即ち第一に連合軍労務者の管理と労働基準法との関係であります。労働者の衞生管理に関しては本年六月二十九日附の最高指揮官よりの各軍司令官に発した書簡によつて基準法に則り実行することになり、同法に抵触する部面については予算的措置を取ることになつておつたのでありますが、このたび関係方面の命令でその措置は急に中止となつたのであります。この間の経緯については未だ日本側においてはつきりした情報を得ていないような次第であります。又動乱を契機として職種により相違はありますが、 一般的傾向として労務者数は段々減少の傾向にあることと関連し、被解雇者と基準法の規定との関係が問題になつていたのであります。即ち関係方面の一方的措置により自己の責に帰すべき事由ありとして解雇された労務者が、この取扱を不当であると言つて、関係の係に異議を申込見み、各県の労務管理当局がその理由ありと認めたものについては関係方面と折衝し、復職或いは自己退職に変更するよう努力していますが、未だ未解決のものが相当残つていたのであります。労務管理当局においては極力基準法の趣旨を尊重し、これに沿うよう盡力していますが、やはり相当困難があつて事務処理の上に大変苦心をしておるようであります。この点については中央と地方との連絡を十分取つて遺憾のないようにすべきでありまして、委員会においてもその措置について考えられたいと思うのであります。 第二に、進駐軍労務者の管理に必要なる事務的、事務処理費の問題であります。これは地方公共団体終戰処理事務委託費として全額国庫負担により賄わるべきものでありましようが、配付費用の少いため純県費によりその不足分を補つておるような実情であります。この点に関しては純県費を食込むことのないようにして貰いたいとのことでありました。その他オーバー・タイムの賃金が正当に支拂われていない。代替休暇などが多く、命令作業などで思うように休暇が取れない。解雇の予告をやり直ちに休職を命じて賃金を六〇%しか支拂わない。夜間仕事を突然命令されて十一時、十二時まで働いても食事の支給もやらない等々の問題が各事業所において知り得ることができたのであります。以上大ざつぱでございましたが、進駐軍労務関係に関するものを終りたいと思います。 次に労働基準行政の関係に関するものを申上げます。第一に、零細企業と労働金庫の問題であります。東北地方は産業形態の規模から申しますと、被用者十人以下の小企業が圧倒的に多く、而もその経営は相当に困難な状態であります。そこで賃金の下拂い、遅拂い等の問題が起きて来るでありましようが、今の法令の下においては十分労働者を保護することができません。これは前の国会においでも取上げられ、その対策について政府委員に質したことでありますが、真に経営不振で給料を拂わん場合は、その保護策として資金難を打開してやる以外に途はないのであります。ここに労働金庫設立に対する国家援助を積極的に取上げられたいという声が起きて参るのであります。岡山県に設立された勤労者信用組合などの成行に対しても相当の関心が持たれておりました。経営者の立場からも真劍に論議されておりました。只今申上げましたのは賃金下拂いに関するものでありましようが、一般論としては中小企業が基準法の嚴正な実施によく耐え得るか、根本まで遡つて検討しなければならないのでありますが、これについては基準法はどこまでも本来の趣旨を貫徹し、労働者を保護すると同時に、その半面これら中小企業に対して国家として十分援助策を講ずる必要があると考えるものであります。 第二に、基準局関係の施設が非常に貧弱でありました。且つ職員の長期欠勤者が比較的に多いということでありました。各県を廻つて見ますと、基準関係の庁舎が劣惡なのが目立つておりますが、又その大半が同居関係が多く、事務の能率化は到底望み得ないような実情であります。これは是非改善されなくてはなりません。又車の設備が非常に不完全でありまして、事務能率の向上に必要な機動力に乏しいようでありましたが、予算面においても是非考慮を願いたい点でありました。 職員の健康衞生についてでありますが、他の官庁に比べて長期欠勤者が多いという話でありましたが、これなどは事務員が多いにも拘わらず定員が少くて過労から来るものではないかと思いますが、又厚生施設が不完全なことにもよるようであります。労働者保護の推進力たるべき官庁のことでありますので、この問題を特に重視されてよいと思います。 第三は、基準行政の地方委讓の問題であります。行政制度審議会の答申案は基準局の出先機関を地方に移管するよう勧めておりますが、これは各県においてそれぞれ相当な問題となつておりました。地方に委譲すべきか否かは全行政機構との関連において考えなくてはならない問題でありますが、二、三基準局関係者から地方委譲反対の要請がありました。この問題は職員に及ぼす心理的影響も相当あるようでありまして、速やかに何らかの処置をとつて動揺のないようにすべきであるというふうに感じたのであります。 次に、只今原委員からも言われておりましたが、俸給の問題であります。本省関係者の多くは地方の関係者よりも同じ仕事をしていながら二、三号俸給が下廻る待遇を受けていたのでありますが、これは速やかに改善されるべきであると考えました。 次に、失業対策に関する問題でありますが、この関係では失業対策事業費の増額、経済効果のある失業事業の実施などの要望が主なるものでありましたが、これは全国共通の問題であると共に、特に大都会におけるほど切実なものがあり、他の視察班よりもお話があつたので省略いたしますが、ただ一つ、身体障害者の職業補導所のことについて申上げたいと思います。仙台で宮城身体障害者職業補導所を視察いたしましたが、これは国立ということになつておりますが、実際には殆んど県の援助によつて経営しているような状態であります。この面についても国家としてもつと積極的であつてよいのではないかと思われるのであります。先程、原委員からも言及されましたが、婦人少年労働の問題について申上げたいと思います。各県にあります婦人少年局職員室は設立以来婦人少年の保護啓蒙のために積極的に活動し、婦人の民主的発展に関し種々成果を挙げておるのでありますが、その機構は誠に貧弱であります。設備の上においても、又自転車一つないというような実情であります。是非とも自転車の一つくらいは置いて貰いたいという要請が各婦人少年局職員室に働いておられる方々から要望がありました。他の問題に比べると、とかく婦人年少者補導の問題は忘れ勝ちでありますが、産業経済の近代化が不十分な地方においては特にこれら職員室の活動は期待すべきものが多々ありますので、機構の充実、施設の改善を図る必要があると思われたのであります。何とぞこの点においても委員会におかれては十分御配慮を願いたいと思います。 以上非常に簡單ではありましたが、視察の一般的報告を終ります。今後委員会においても問題になつた諸点を十分検討され、その由つて来る原因を究めて、国会の立場から適切な措置をお考え下さるよう、切にお願い申上げる次第であります。以上報告を終ります。
○委員長(赤松常子君) 各委員の御報告を伺いましたが、お互いに何か御質問の点などございましたらどうぞ。
○堀木鎌三君 労働金庫の問題が遅欠配に関連して起つて来ているのでございますか。
○山花秀雄君 それも一つの理由です。外にろいろいろ理由がございますが……。
○堀木鎌三君 兵庫県でも実は労働金庫設立の準備が進められておりますが、これは遅欠配よりも福利厚生資金と申しますか、労働組合が大体三千万円金を出して、県が二千万円金を出して、一種の信用組合式なもので、金庫と言いますけれども、本質は信用組合のようなものであります。これは近く認可が下りる予定だ、こういうことを言つておりました。
○山花秀雄君 只今東北各県で問題になつておりましたのは、岡山県にも出ておるそうだ、兵庫県にも出ておるそうだ。その実情が知りたいというのが大体中心の論議として問題になつておりました。
○堀眞琴君 遅欠配の措置として関西の方じや、大阪でもそれから京都でも愛知県でも大体まあ県費で、県の方から一千万円乃至四千万ぐらいの金を出して、それを特別会計にして貸付ける。それによつて賃金の下拂いというものをなくなそうというようなことをやつているのです。東北、まあ関東の方もそうでしようが、そういうふうな実例はあるのですか。
○山花秀雄君 ちよつと私の参つた所では気がつかなかつたです。
○原虎一君 その問題は基準監督所の方からは県に対してそういう措置を講じて貰いたいといういろいろな要請をやつている事実はありましたが、どの県も、四県ともまだ県費で今申しますような金融機関を持つというようなところまで行つておらないようでした。
○堀木鎌三君 名古屋の実例をここに持つているのですが、名古屋は賃金不緊急対策要綱というものを決めて、その中の一つとして約一千万円出した。そうしてやり方は県が社団法人愛知県商工信用保証協会に一千万円を出資する、そうして金融機関はこの保証協会の保証によつて融資をする。こういう形です。実際の現状として相当利用されております。五十九件で九百万円利用されております。現在までに返済されたものが五十九件中四十八件、七百十一万、返済未済のものは十一件で百九十万、それで本年に入つて更に第二回目として三百七十一万円を更に出資している。そういうふうな状況です。このやり方は相当有効に働いているようですね。
○委員長(赤松常子君) 外に御質問ございませんか。 〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○委員長(赤松常子君) では質問を打切りまして、それでは只今御報告の中にさまざま問題がございますので、明日の委員会で政府への要望をいたしたいと思つておりますが、それをどういうふうにいたしましようか。銘々でおつしやいますのも重複するような点もございますので、要領よくいたす方がいいのではないかと存じますが。
○原虎一君 今日労働省は来ていないんですか。
○委員長(赤松常子君) 係官が来ております。
○原虎一君 今の報告に基いたものに対する答弁を用意されるだろうと思うんですがね。その外まだありますね、機構の問題……。
○委員長(赤松常子君) そうです。ではついでに、御報告申上げます中に用意いたしておきましたけれども、ちよつと申上げたいことは、今度の行政機構の改革に関連いたしまして婦人少年局の弱体化というようなことが一部噂されておりますので、明日それに関しまして委員外質問といたしまして加藤シヅエさんがいたしたいという御要望がございますので、そういうふうなことも関連いたしまして、明日労働省から責任ある方の御出席を願いたいと思うのでございますが、どうぞ御連絡下さいますように……。こちらの要望といたしましては大臣及び当該局長の御列席を頂きたいと思いますが、それでよろしうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(赤松常子君) それから行政機構関係でございますから、行政管理庁次長及び管理部長の御出席も要望して置きたいと思つております。こちらから御連絡いたしまして明日御出席を願いたいと思つております。それからもう一つ明日は次の国会に提出いたされます労働関係の議案の説明及びそれに関連いたしまして予算の御説明も願いたいと思つておりますが、よろしうございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(赤松常子君) そういう点も御連絡下さい。労働省の方……。 それでは、今日大体予定いたしておりました御報告並びに議事も一応これで終了いたしましたですが、外に何かございましたらどうぞ。
○堀木鎌三君 私、皆さんにここでお聞きしたいのは、今各方面に触れられた中で一つ全然ない部分で日雇労務者の中で労働の意思もあり、能力もある以上、失業保険の外に本人の何から見て生活保護法の対象になるような人も相当あるのじやないか、そういう生活保護法の対象になるような人に対してどれだけの努力がされているのか、こういう問題が私個人としては非常に疑問に思つているんです。緊急失業対策要綱というものを閣議決定した点にはそういう項目が入つているんですがね、実際言うと……。そうでありながら一体労働省関係からこの生活保護法の問題になりますと、厚生省関係で、厚生省とどれだけの緊密な連繋を取つてやつているか、そういう形跡は一つも見られないんですがね。この問題実は疑問に思つているんです。今のお話になかつた中で生活保護法として今研究しなくちやならない問題……。
○委員長(赤松常子君) 明日労働省に一つやつて頂く、その上で厚生省に……。ちよつと速記を止めて。 〔速記中止〕
○委員長(赤松常子君) 速記を始めて。ではこれで本日の委員会は閉会いたします。 午後零時九分散会 出席者は左の通り。 委員長 赤松 常子君 理事 原 虎一君 波多野林一君 委員 城 義臣君 中村 正雄君 山花 秀雄君 堀木 鎌三君 堀 眞琴君 事務局側 常任委員会専門 員 磯部 巖君