内閣委員会 閉会後第8号
- 発言数
- 36 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1950/11/16
会議録
○委員長(河井彌八君) 内閣委員会を開会いたします。 本日は海上保安庁法を政令で以て改正いたします件につきまして政府の説明を求めることになつております。保安庁の長官はお差支えがありまして只今はお見えがありませんから、次長と警備救難部の警備課長から御説明を聞くことになりました。政府の説明を聞く前に、杉田專門員から審査の要点につきまして発言を聞くことにいたします。杉田專門員。
○專門員(杉田正三郎君) 海上保安庁法等の一部を改正する政令につきまして、一応御参考になる点をお話して置きたいと思うのでございます。 本年の七月八日にマツカーサー元帥から内閣総理大臣に宛てて書簡の出たことは御承知の通りでありまするが、この書簡に基きまして、一方におきましては警察予備隊の創設、他方におきましては海上保安庁の定員の増加が詐されることになつたのでありまして、この書簡に基きまして警察予備隊が創設せられることになり、ポツダム政令によつて警察予備隊令の出たことはこれ又御承知の通りであります。他方におきましてこの書簡に基きまして海上保安庁の増強が許されることになりましたのに伴いまして、十月二十三日に海上保安庁法等の一部を改正する政令がポツダム政令の形で公布せられることになつたのでございます。海上保安庁法等の一部を改正する政令におきましては、マツカーサー元帥の書簡によつて許されました海上保安庁の定員の増加、即ち八千名の増員が規定せられ、尚海上保安庁の機構の増強につきましても規定が設けられることになつておるのでありまして、例えば海上保安庁の保有する船舶、従来は百二十五隻でありましたのが二百隻に、又その船舶の総トン数、従来は五万総トン数でありましたのが今度は八万排水トンに増されることになつたような次第でございます。尚海上保安庁の幹部の職員の再教育のために海上保安大学校が設けられることになつておるのであります。尚この定員の増加に伴いまして、行政機関職員定員法の一部を改正する必要がありまするので、このポツダム政令によつて定員法の一部が改正せられることになりまして、本年度におきましてはこの八千名の増員が許されておりまするうちの二千二百四十五名だけがこの定員法で増すことになております。このマツカーサー元帥の書簡によれば、「日本の沿岸及び諸港の海上保安に関する限り海上保安庁は極めて満足すべき成果を挙げた。併し非合法な密航や密貿易活動に対し日本の長い沿岸線を防備するには、現存法律で規定されている人員より更に多くの人員が必要とされることは明らかである。私は日本政府に対し七万五千人の国家警察予備隊の創設と海上保安庁既存定員の八千名増加に必要な措置を採ることを許可する。これに要する当座の経費は先に予算で債務の補填に割当てた基金を流用することができる。」ということになつておりますので、本年度におきましては、一般会計予算のうち国債費の金額のうち四十六億円をこの海上保安庁に必要な経費に流用することができるように規定せられまして、この四十六億円の範囲内において本年度は定員の増加、機構の拡大、或いは船の増加などがせられることになつたのであります。そこで当委員会といたしましては、先に即ち九月の十一日に委員会が開れまして、その席におきまして大久保海上保安庁長官から大体このマツカーサ元帥の書簡に基いて、将来の海上保安庁の機構拡大の構想について御説明があつたのでありまするが、当時はまだこの政令が出ていないときでもありましたので、大体の構想に止つておつたのであります。ところが先に申しましたようにこのポツダム政令が発布せられましたので、ここに改めてこの海上保安庁の機構、定員の増加などについてかくのごときポツダム政令による必要があるかないか、どういう理由に基いてこういう必要があつたのかというような点、或いは又本年度増員になりまする二千二百四十五名の保安官などの募集の状態はどういう状態であるか、又これらの配置はどうであるか、或いは又海上保安庁の保有しておりまする巡視船が今日のところ速力が十五ノツトに限定せられておるのでありまするが、今日の治安維持の点から申しまして、これらの船舶の速力を増すことが必要であるのではなかろうか。そういう点を更に総司令部の方に交渉して改める必要があるのではなかろうかというようなことも考えられるのでありまして、そういう点について、今日御出席になりました海上保安庁当局から御説明を当委員会としては承わることが必要ではなかろうかというように考える次第でございます。一応私からそれらの点を御説明するに止めておきます。
○委員長(河井彌八君) それでは柳澤海上保安庁次長どうぞ……。
○説明員(柳澤米一君) 保安庁法の改正に関しまして御説明申上げます。 今お話がありました通り、海上保安庁が去る七月の八日に日本政府に交付されましたマツカーサー元帥の書簡、これによりまして八千名の職員の増加を指示されたのであります。この職員増加に伴いまして。海上保安庁といたしましてはどうしても船舶の建造ということを伴つて行なわねばならんことに相成ります。又その他の関係につきましても増強をせねばならんということに粗成つております。この件に関しまして関係の各方面と折衝をいたしまして、大体その了解が成立いたしましたので、海上保安庁法の一部の改正をする政令を出すということに相成つたわけでございます。この件につきましては、非常に早急を要するということで、極力急いだのでございますが、諸種の手続きその他をやつております中に十月の二十日に閣議の決定やお願いいたしまして、十月二十三日に政令第三百十八号を以ちまして公布を見た次第でございます。その改正の主なる点を申上げますと、第一には海上保安庁法において定められました職員の制限の数、これを書簡に基きまして八千名を追加して拡張いたしたことでございます。第二の点といたしましては、海上保安庁において人員の拡張と同時に先程申上げました通り船舶の増強が、これが裏腹の関係になつておりますので、海上保安庁法に定められております船舶の制限、即ち隻数及びトン数をそれぞれ百二十五隻を二百隻、五万総トンを八万排水トンに改めたわけでございます。第三の点といたしましては、職員の教育機関といたしまして、幹部の教育のために海上保安大学校というものを設置いたすことに相成ります。尚準幹部といたします人間の再教育のために海上保安学校というものを作る、又新採用者の教育のために海上保安訓練所というものを設置いたしまして、三つの学校によりまして職員の教育をいたす。これによりまして職員の質的の向上を確保しなければならないというふうに考えておる次第でございます。第四の問題といたしましては、海上保安庁に海上保安官補というものを設けたことでございます。御承知の通り海上保安庁の船は小型舶も相、当ございます。この小型船によりまして警備その他に当ります場合に、司法権の行使ができます者は、海上保安官に限られておつたのでございます。ところが小型船に乗組みますものが保安官か常に乗つておるというわけに行かないのでありまして、小型船の中に乗つておる人が警察権の行使ができなかつた場合しばしば起りまして、非常に不便でございましたので、保安官補というものを作りまして、この保安官補に警察権の行使ができるような権限を與える、これによりまして今までの不便を一掃するという考え方でございます。 以上が大体今回海上保安庁法の一部を改正いたしました要旨でございますが、次に行政機関の職員定員法の一部がこれに伴つて改正せられねばならんということになりまして、マ書簡に基きます八千人の増員の中、差当り昭和二十五年度に竣工する船舶の乗組員等の充足というために約二千二百名程度の増員をすることにいたしました。これによりまして海上保安庁に関する定員表の改正ということを政令の中に謳つたわけでございます。 最後に附則といたしまして、経費について謳つておりますが、この点について一言御説明申上げます。今回の増強に必要とする経費につきましては、早急を必要とする建前で、マ書簡に基きまして、本年度に限り国債費の中から四十六億円の移用をできるように示されておりますがこれにつきまして四十六億円の移用ということを政令の附則として謳つてございます。これによりまして巡視船及び警備艇を造つて行く、或いは職員の増強をやつて行くということでございますが、船舶の建造というものは年度内に全部これを竣工することは非常に困難であるというふうに考えておるので、ございまして、このために船舶の建造に当ります経費は大体三十三億程度と考えられますが、この経費を年度内の消化ということが困難なために翌年度に繰越すことができるように、それに対する繰越し措置を本政令の中に謳つておるわけでございます。以上が大体海上保安庁法の一部改正に関する御説明でございます。 尚、海上保安庁におきましての新造船の計画は現在のところ本年度を約三十三億、これに対しまして約五十四隻の船舶の建造をいたしたいと考えておりますが、この五十四隻につきまして、その内容は大体現在のところ予算折衝をいたして、一応了解を得ておりますものは、最大が四百五十トン型の巡視船でございます。小さいものは港内艇十二メートル型というものでございました。これらの隻数及び型につきましては関係当局の意思が相当働いておりまして、現在まだ明確な結論が出ておりませんが、今後の変更が或る程度あるものと考えられますが、一応御説明申上げますと、四百五十トン型が五隻、二百七十トン型が五隻、二十三メートルの内火艇が九隻、十一メートルの内火艇が二十隻、これに日本各所において随時に人命の救助に当る救命艇というものを十隻、消防艇を五隻、これが現在におきます五十四隻の内容でございます。先程申上げました通り、この隻数或いは型というものは只今折衝中でございますが、或る程度の変更があるものとお考え置き願いたいと、かように考えますが、大体の方針は以上のような方針でございます。簡單でございますが、保安庁法の改正に伴いましての御説明を一応終ります。
○委員長(河井彌八君) 御質疑がありますれば、この際どうぞ。
○梅津錦一君 第四條の終りの方ですが、「十五ノツト以上の速力を有するものであつてはならない。」こういうことになつておるのでございますが、この前も問題をお聞きしたのですが、これで言換えれば密航船や何か拿捕できると、まあ実際の場からできるとお考えになつておるのか、或いはそれはできないとお考えになつておるか。その間の具体的な事例があればお聞かせ願いたいとこう思うのですが。
○説明員(柳澤米一君) 巡視船その他の船舶の速力の制限でございますが、我々といたしましては、現在十五ノツトという速力によりまして十分とは毛頭考えておりません。尚この速力制限によりまして、各所におきまして今まで不便を感じました事例は多々持つております。従いましてこの速力制限を撤去したいという考えは我々常に願望しておる次第でございまして、今後てきるだけこの制限の撤去の方向に進みたい、かように考えておる次第でございます。
○梅津錦一君 例えば密漁船、或いは密航船が同じ十五ノツトの速力を持つでおればいつになつても掴えることができない、そういう場合は何か停止命令をする、併し停止命令をしても向うが十五ノツトであるということを知つておればいつになつても平行線になつて行くわけだし、こつちが武装を持つておらなければ尚更彼らは悠々密漁なり密航ができると思う。そういうようなことは物理学上簡單な理窟で分ると思う。そういう簡單な理窟で分るものをなぜ関係筋がこれに対してOKを與えないかというその理由が、若しこれは速記を止めてということならば速記を止めても結構だと思います。それが了解が得られるか得られないか、その間の事情を一つお聞かせ願いたいと思うのです。
○説明員(柳澤米一君) ちよつと速記を止めて頂いた方がいいと思います。
○委員長(河井彌八君) 速記を止めて。 〔速記中止〕
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて下さい。
○梅津錦一君 保安庁の職員を採用する場合に一定の條件があると思うのですが、この間も船に乗つたときにもお話を伺つたのですが、相当の年月をかけないと海上勤務というものはできない、こういう関係から従つて職員を採用する場合にも或る必要な條件が考えられる、その採用した職員が警察予備隊のような工合で期間を二年と切つてしまうことはそういう意味からできない。相当長い間の経験を経ないと優秀な技術者になれない、こういうことが前提になつておるので、採用に当つては一定の條件が伴なうものだと私は考えるのですが、その條件に対してどういうような條件が主なる條件の内容になつているか、それをお聞かせ願いたい、こう思つております。
○説明員(柳澤米一君) 海上保安庁といたしましては、職員の採用に当りまして職員の技術面につきましての制限、或いは條件というものにつきましては次のように考えておるわけであります。第一が海の経験を持つた者ということが第一の條件でございますが、この條件につきましても議論が二つに分れるわけでございまして、海の経験を持たん人、これを採用いたしてこれに新らしい訓練をして行くという考え方が一つある。この新らしい訓練につきましては中学程度、或いはその近所の若い人で学校を卒業したばかりの方、これはいずれの点におきましても海の経験を持たん方が多いのであります。この新採用者のうち比較的若い少壯な年小の方々につきましては、これは海上保安訓練所におきまして訓練をいたしまして、保安庁の職員の仕事を覚えさせるという考え方であります。併しながら一面現在急速に船舶の建造をいたします場合、これに直ちに乗せなければならない職員というものが相当あります。今後にもそういう問題が起きて来る、これにつきましては大体海の経験を持つた人を乗せない限り直ちにこれが使用できないということになりますので、これらの人々に対しましてはその船に乗るべき地位及びその資格に応じまして成る程度の制限を加えているわけでございます。海上保安官として今回採用いたしました者は、海上保安官といたしまして採る者は二十三才から四十五才までの間を指定いたしました。年齢により一応の制限を加えておるわけであります。これを上級の幹部の人間の年齢制限といたしますと同時に、補助用員といたしましては十六歳から三十五歳までの間に線を引きましたのでございます。こういう分け方をいたしまして、これによりまして海上の経験を持つた者、海上の経験を持たん者というふうに分けまして、採用條件といたしたのであります。
○梅津錦一君 そこで中学卒業者のうち、中学というのは新制高校ですか、旧制中学の方ですか。
○説明員(柳澤米一君) 新制中学の方を訓練所へ入れるのです。
○カニエ邦彦君 海上保安庁が今日までやつておられました業務の中で、密入国の取締りに当つて、今までおやりになつて来たことによつて十二分な成果が挙らなんだというようなことはなかつたのか。或いはどの程度に密入国の取締り、或いはその結果ができているか。その点について御説明を願いたい。
○説明員(柳澤米一君) 密入国その他密貿易、これに関しましては、朝鮮事変が始まります以前と始まりました後とを比べますと、始まりました後相当多くなるのではないかというふうに憂えていたのでございますが、始まりまして後はその数がむしろ減つて来ているような状態でございます。これは一面におきまして、相当朝鮮水域その他の警備が嚴重になつた、こういうことが大きな原因だろうと思うのでございます。同時に南の方の台湾その他の他の関係の密入国、密輸入というような点につきましてもその数が減つて来ているのであります。併し九月以後は大分下火にはなつて来ておりますが、最近殊に又殖えて来ているのではないかというふうに考えます。併し朝鮮事変以前の数に比べますと減つているというふうに考えます。大体密輸入品につきましては、黒砂糖とか或いは米軍の軍需品と思われるものが主体でございます。密輸出の方を考えますと、これは大体朝鮮方面を主体といたしまして、アルミだとかアルマイトの製品、或いは文房具というようなものが多いように考えられます。 大体以上のような趨勢でございますが、これに対しまして海上保安庁といたしましては十分に手配をいたしまして、朝鮮事変勃発と共に西の方の海面に対しましてと、北の海面に対しまして船舶の増強をいたしまして、これが対策に充てているのでございます。併しながら御質問のように万全を期しているかといわれますと、現在の船舶の程度その他から申上げまして、甚だ残念ながらでき得る限りのことをやつておりますが、完全にこれが防止ができているということは申上げられないのは甚だ遺憾でございますが、今後新造船その他の整備が着々としてできますれば、完全なる設備ができるとかように考えます。
○カニエ邦彦君 そこで只今の密入国についてですが、これに対する最近或いはまあ既往に遡つて一、二年の間の実績というか、具体的数字はお分りでないでしようか。
○説明員(渡邉信義君) それでは御質問のつい最近の状況を御報告申上げます。 事変勃発後現在までの不法入国者は八十一名でございます。それから密輸事件は十九件で、これに関係いたしました人は百五十八名になつております。これを昨年度の同時期に比較いたしますと、不法入国者は二百五十四名に対しまして百七十三名の減となつております。密輸事件につきましては、二十五件の二百三十一名に対しまして六件、七十三名減というような実情になつております。これは事変が勃発いたしましてついこの十月末日までの実情でございます。
○カニエ邦彦君 只今の数字を後程資料としてこちらの方へ出して頂きたいと思います。
○委員長(河井彌八君) よろしうございますね。
○説明員(渡邉信義君) 了承いたしました。
○カニエ邦彦君 只今の御説明によると、非常にこの密入国、密輸入等も減つて来ておるということを聞くのですが、そこで実際この業務をやつておられる保安庁として、今度新しく出入国の管理庁が外務省にできてこの業務を扱うことになつたのでありますが、これがその外務省の一外局としてその業務を扱う方が適当であるか、実際効果が十二分に挙げられるか、或いはやはりこれは海上保安庁の業務として行う方が十二分な効果を挙げ得られるか、これについては今まで海上保安庁でこの業務をやつて参つたのでありますから、その経験等によつていずれがいいのかということについて御説明を願いたいと思います。
○説明員(柳澤米一君) 不法入国の管理問題につきましては、この業務が不法入国する者を逮捕いたしまして、逮捕した者を又建前といたしまして本国に送還するということになつております。従いましてこの不法入国者に対するいろいろの取扱いは、逮捕いたしまして後送還までの期間、成る程度の期間を抑留しておかねばならん状態にあるであろうと思うのでありまするが、この期間の業務、それから逮捕しましてから抑留場所まで送還する送る業務、尚不法入国者の逮捕等につきましても、逮捕した場所が陸上各地で起ると思いますが、それを逮捕いたしました者を一定の抑留地まで送還いたしましてこれを抑留いたしまして、この抑留した者を又本国に送還する。この送還業務、抑留業務等につきましては、保安庁の船舶を使つて送還することも非常に困難がございますので、他の船舶を使つて送還いたします。これらに対する経費等は海上保安庁でやらねばなりませんし、逮捕等は海上保安庁でやらねばなりませんが、事務の輻湊の関係から申しまして、只今のところといたしましては逮捕の後これを抑留地までの送致及び抑留の世話、それから抑留地から本国への送還というものは一定の他の機関でやる方がいいのではないか、かように現在の状態では保安庁としては考えられておる次第でございます。
○カニエ邦彦君 抑留、送還等の業務を他の機関でやる方が今の場合でよいというようなお話ですが、その今の場合ということがどうもはつきり了解し難いのですが、そういう業務を他の機関で、官庁で新らしく拵えて持つておるよりも、むしろその海上保安庁の中にそういう業務を持つてやる方が、逮捕から送還に至るまで一元的にこれが行われる、この点ではむしろその方がいいのではないかということが考えられえること、先ずその点が第一点、それから第二点としてはこの逮捕に関しても新らしくできた出入国管理庁が警備員を置いて、そうして逮捕の業務をやつておる、こういうことになると、その役所でも警備員を派して逮捕の業務をやり、海上保安庁でもやる、こういうことになると、勢いそれによるところの行政上の責任の所在がややもすると明確を欠くのでないか。従つてそういうような結果がその業務の遂行に却つて不便を来すのではないか。だからいずれにしましても或る一方の機関に責任の分野を明かにするというような仕組にやつた方が、むしろこの業務の実施遂行に当つては能率的であり、而も責任の所在も明らかになるんじやないか。こういつた点についてまだ新らしくできたものでありますから、私達も両方の御意見をよく聞かねば分らないのでありますが、先ず海上保安庁としてはそういう意味において今までやつて来た関係からして、実際国家のためにどういう方法がいいのであるかということを一つ率直に御説明を願いたい。
○説明員(柳澤米一君) 只今の御質問に対しまして、第一の問題は後で申し上げますが、第二の問題といたしまして、逮捕の関係は大体海上保安庁及び国警、自治警等におきまして逮捕いたしまして、これを不法入国管理庁の方に渡すことに相成つております。併し第一の点のお説のようにこれを一本建にして責任の限界を明らかにするということは必要なことであり、又海上保安庁としても一本にでき得れば、その来るべき原因が海上にあるということから考えますと、当然な帰結になるのではないか、かように考えられる次第であります。そこで只今現状におきましてと申上げましたのは、現在におきましてはこの不法入国者の取扱い、その他は一面抑留その他の問題、抑留地の建物の問題及び抑留の間のいろいろの経費、これが管理費、いろいろの点につきまして海上保安庁として果してそこまで積極的にそれを自分の方でやるというふうに出掛けて行つて、他の面、これも重要な業務でございますが、海上の警備、或いは海上の安全を期する方向に若しも手ぬかりがあつてはならん、他の官庁でそれをやると考えておるのをこちらでそこまで出掛けて行くだけの準備と他の業務との関係から申しまして、設立まだ日の浅い海上保安庁としては一応理論としてはお説のようなことが分考えられるのでございますが、現在の状況というふうに申上げましたのは以上のような理由を以ちまして、そこまで積極的に乗り出せないということは非常に我々としても御叱正のあるのは御尤もでございまして、遺憾と存ずる次第であります。
○カニエ邦彦君 只今の御説明ですが、海上保安庁としては他の業務がそういうものに力を入れることによつて阻害されるということを恐れると、これは一応御尤もであろうと思うのです。併しながら我々の言いますのは、新らしく役所ができるのでありまするから、他の業務に支障が起らなくともでき得るというのは外にそれだけの分が殖えるのでありますから、その殖えたものを、その所属業務の担当責任者が誰に帰属するかということだけでありまして、別にそのために外の業務が粗漏になるということはこれは理論的に成立たんのじやないか、新らしく出入国のそういうものができれば、それだけ国としては別にやはり予算の上におきましてもそれだけのものを使うのでありますから、だからそれが一本建になつた方がいいのか、或いはそういう工合に現在のような形になつた方がいいのかということをお聞きしておるので、只今御説明になつたような懸念は当然にないのじやないかと思うのです。若しも海上保安庁として実際には今までやつて来た経験からその方が能率的であろ、而も国家の情勢の上から言つてもその機構の方がいいということがあれば、さように直すことも国会としてはやぶさかでないのじやないか。
○説明員(柳澤米一君) お話御尤でございまして、我々の思つているのも大体御説の通りというふうに考えるのでございますが、この点に関しまして現在のところ先程申上げました通り、今の業務を専念してやろうということを申上げたのでございますが、これは御叱正の通り確かに他の方面でそれだけの人員と経費を以てやるものを、管理を変えればいいのでありまして、やりいいところでやるのが至当でございますが、我々の方としましてこの辺に関しましてはお説のような意見を相当強く持つておつたのでございますが、関係方面といたしまして、海上保安庁はまだ現在やつておる業務が完全に行われているというふうにも考えられないので、お前の方は現在の設備として、現在の人員としてはやつておるけれども、これに対する改善はまだまだ相当大きな研究課題が残つておるではないか、これに対して十分な力を注ぐべきであるというような考え方でございまして、この辺我々といたしましても御質問のようなお説も甚だ御尤でございますし、関係方面の御指示もまた甚だ御尤もなのでございまして、現存におきましては一応先程申上げました通り、現況といたしましては我々が今後努力いたしまして、そちらの方面まで関係当局の了解が得られるくらいまで努力いたして政善をして行き、この業務も我々の方の業務としてやつて行きたいと、かように考えておる次第でございます。
○カニエ邦彦君 大体御意向は分りましたが、私達のこれは希望でございますが、我々は行政組織機構をでき得る限りこれを簡素化して行こう、そうしてそれによつて事務能率の増進を図つて行くと合いうことを絶えず念頭に置いて委員会でも議論をしておるのでありますから、そういつた点からして今のような形で行くなれば、二つの役所を一つにし、三つの役所を二つにしとう現在の簡素化の方向と逆行して行くようなことは、やはり十二分に避けねばならない、こういう点からして尚一層海上保安庁としても御研究の上、そういつた方向に努力されるように願いたいと思います。
○説明員(柳澤米一君) お説のように尚十分努力いたしたいと考えます。
○楠見義男君 ちよつと伺いますが、八千名の増員の中で約二千名だけが本年度で増員されて、あとは後年度、こういうことになるわけですか。、そうしますと、只今のカニエ君の御質問、御意見とも関連して伺いたいのですが、海上保安庁を整備することの急務であるということをかねがね海上保安庁官からも伺つており、そして又その故にマツカーサー元帥から日本政府に対する覚書も出たのだろうと思いますが、そこでそういう観点からいたしますと、折角整備をするために八千名の増員が要請せられながら、その中の二千名しか本年度内には増員しないということは、特に今まで私共伺つておつた点から考えましても、そして又只今カニエ君との質疑応答の中に伺われた模様から伺つても、ちよと奇異の感に打たれるのですが、その理由はどういう理由なんでしようか。特にポツダム政令まで出してこういうふうに増員しようという点と睨合せいたしましても、ますます奇異の感に打たれるのですが、その事情を伺いたいと思います。
○説明員(柳澤米一君) 大体先程も申上げました通り、保安庁の人員の整備というものは、とれに直ちに船舶の建造というものが裏腹になつて考えられるわけであります。今回マ書簡によつて八千名の増員ということを早急にやれというお話でございますが、この船舶の建造というものを考えましたときに、相当の期間を要する。併しその中で極力早く整備したらどの程度になるということで大分研究いたし、その結果現在でき得る船舶の最も大きなネツクといたしましては、日本の現在の状況といたしまして、機関の製造が非常に遅れておる。甲板或いは外板等いわゆる船体の建造というものは左程時間がかからずにやれる。併し中へ入れます腸の製造というものが高性能の機関になればなる程その数が非常に少くなりまして、従いまして現在の建造経過から申上げまして、大体エンジンの製造効率によりまして造船の数が限定されるというようなことに相成つております。これを如何にして早くやるかということで極力鞭撻いたしました案が、今年度中におきまして大体五十四隻というようなことになりました。これを来年、再来年、二十七年にはぜひ完成したいというふうな考え方を持つております。
○楠見義男君 そうしますと舶ができたときに直ちにそれに乗り込める海上保安官なり保安官補なり、こういうものをあらかじめ用意しておかないと、船ができた、今度は別に新たに募集ということになると、折角そういうふうに用意を急がしてできた船がしばらく遊ぶということになるわけですね。従つて私は特に訓練を要する保安官なり保安官補であればあるだけに、あらかじめ人間を用意して置かなければいけないのじやないか、こういうふうに思うのですが、その増員計画と建治計画との進み工合ですね。この点を一つお伺いいたしたい。
○説明員(柳澤米一君) お説のように、海上保安庁の人間は必ず或る程度の訓練期間を必要とするわけであります。従いまして少くとも船舶のできます平年乃至一年前に、相当経験者でありましても半年前くらいに採用いたしまして、これを再訓練いたしまして船舶に乗せる、下級船員におきましても大体一年くらいは素人の人だとどうしても訓練をして置かなくちやならん。従いましてこれらの数字を考に入れまして、今年度の約二千二百という数字は今年度建造いたしますものに対しましての補充というふうに考えております。この建造と補充とは常に密接な関係を持つておりますので、無駄のないように船舶の建造に睨み合せてその以前に訓練期間を見込みまして増員計画を立てておるわけでございます。
○委員長(河井彌八君) 諸君にお諮りしますが、今日は一時から出かけにやならん用件がありますから、本日は委員会はこの程度にして置こうと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。それでは委員会はこれを以て散会いたします。 午後零時七分散会 出席者は左の通り。 委員長 河井 彌八君 理事 大島 定吉君 仁田 竹一君 梅津 錦一君 郡 祐一君 委員 上條 愛一君 カニエ邦彦君 楠見 義男君 油井賢太郎君 ――――――――――――― 事務局側 常任委員会專門 員 杉田正三郎君 説明員 海上保安庁次長 柳澤 米一君 海上保安庁警備 救難部警備課長 渡邉 信義君