予算委員会 第2号
- 発言数
- 91 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1950/07/26
会議録
○小坂委員長 これより会議を開きます。 会議を開きました趣旨につきまして簡單に一言申し上げます。本日は特に本委員会に付託せられました予算案その他の法案はないのでありまするが、時あたかも昭和二十六年度の予算の編成期にあたりまするし、一方隣国におきまする不幸なる事態の発生を見まして、その日本経済に及ぼす影響もまた少からざるを考えまする次第であります。この際特に委員会を開き、日本経済の現状について、また特に予算編成方針並びに予算の執行状況等を中心にいたしまして、政府の説明並びに意見を聽取することはきわめて必要なことであると考えまするので、委員会を開催いたした次第でございます。大蔵大臣が急に関係方面との連絡のため、二時半まで不在でありますので、理事会の申合せによりまして、河野主計局長の説明を求めたいと思います。
○河野政府委員 まず私から事務的な説明を申し上げたいと思います。 二十六年度の予算編成方針でありますが、これはお手元に差げてあると思います。この編成方針は七月十一日に閣議決定になつております。その以前において、大綱と申しますか、そういうものについて、一応閣議において決定があつたのでありまするが、それを多少敷衍いたしますのと、また事務的な手続に乘るようにという意味合いで書きましたものがそれでございます。 まず冒頭にございます編成の基本的方針でありますが、経済の自主自立態勢を一層推進して、米国対日援助の漸減に備えることを建前とする。これがために経済の安定と復興に重要な役割を果して来た従来の財政政策を原則的に踏襲する。対日援助資金というものは、いわゆるガリオアでありますが、この七月から開始しております米国の年度におきましては、一億七千万ドルということのようであります。その先はまた五十二年度をもつて一応打切られるわけでありますが、その後どういうふうになりますか、それは予測がつきませんが、かりにその半分程度ということにいたしますと、来年の七月以降の分が一億五千万ドルということに相なります。明二十六年度におきまして入つて来まするガリオアの関係は、双方の半分ずつということにいたしますれば、二億二、三千万ドルというふうに一応想像いたされます。そういたしますと、今年の予算に組んでおりますのは三億七千万ドル程度でありますので、相当減るということを一応覚悟して予算を組まなければならないということを書いたつもりでございます。従つて経済の自立、復興安定ということの趣旨として財政政策をやつて行くのでありますが、最近の予算執行の状態の推移にかんがみまして、健全な経済基盤の育成と公正な国際競争力の充実に寄與し得るように、必要なる政策の転換を行うということが必要と増えておるのであります。 その方針のもとに、以下数項目にわたりまして具体的な方針を書いておるのでありますが、まず財政收支の均衡を保持するということは、明年もその通りやつて参りたい。それとともに、予算総額を相当減らしたい。従つて予算総額を削減いたしまして国民負担の軽減をはかる。このためにはすべての経費につきましてその緊要度と効率を精査する。それから物件費の節用に努める。 それから明年度におきましては、一般会計では原則として債務償還をやめる。これも法律の規定によるもの以外はやめるというのでありまして、現在やつております債務償還には三種類のものがあるわけであります。前年度首の国債総額の万分の百十六の二分の一という系統、これは今年の予算で申しますと約十億程度であります。それから前年度剩余位の二分の一を、財政法の規定によつて国債償還に充てます。これは今年度の予算で申しますと二百六億、そのほかに本年度の予算では五百億という別の政策的な意味の債務償還をやつておるのでありますが、明年度においては、万分の百十六の三分の一、及び財政法の規定によります債務償還以外はやらない。従つて当然五百億だけは明年度は減るという計算をいたしておりまして、万分の百十六の三分の一の系統は、明年度においても大体同じ額の程度でありましようが、前年度剩余金——と申しますのは、昭和二十四年度の剩余金でありますが、現在のところはつきり計数的に確定いたしておりませんが、百七、八十億程度のものが見込まれております。この二分の一は、財政法の規定によつて債務償還をいたすのでありますが、それ以外は一切やるまいというつもりでおります。従つて債務償還を通ずる、産業資金の供給というものに不足が生ずるということも考えられるのでありますが、これについては見返り資金と、国民の自発的貯蓄による資金によるのであるという意味であります。 それから配給及び価格に対する統制の問題でありますが、これは今年度も明年度も順次行われるでありましようが、石油程度のものを残して、ほとんどなくなるのではないかというような見方をいたしております。それから補給金も大幅に削減いたして行くつもりであります。今年度の価格補給金は九百億円でありますが、これは予算に計上いたしました鉄鋼の補給金が七月以降やめられる。あるいは肥料の補給金が八月以降撤廃される。それから食糧価格の値下りがある等で、本年度においても相当余裕は生ずる見込みでありますが、そういう既定の方針を貴きましても、少くとも五百億以上は明年度は減るというふうに考えております。それから公団の廃止でありますが、公団は今年度一ぱいで大体廃止になるのでありますが、この方針はそのまま続けて行く。但し清算事務というものは多少残るかと存じております。 それから国際小麦協定への参加であります。これは現在いろいろ参加を懇請しておるのでありますが、明年度においてはぜひとも国際小麦協定に入りたいという考えを持つております。国際小麦協定に入りますことによりまして相当価格が下ります。現在ガリオアで入つて来ております小麦は九十五ドル程度であります。それから普通一般に買つておりますものが八十五、六ドル程度でありますが、もし国際小麦協定に入りまして、こちらのオツフアーによつて最高価格で買うということになりますと、CIFで八十四、五ドルで買えるように相なると考えております。輸入補給金はそれによつて相当削減ができるというふうに考えております。 それから第二段の項目として、行政の合理化と公務員給與の改善でありますが、経済の統制も撤廃に相なりますし、その他一般の経済の落ちつきに伴いまして、行政の全般にわたりまして事務の再検討、機構の再検討というようなものをやりたいということであります。現在行政刷新審議会でいろいろだ案があるようでありますが、そういうような点を参考にいたしまして徹底的な刷新を加えたいというふうに考えておるわけです。 それから公務員の給與の改善の問題であります。これは政府の公約にもあることでありますが、明年度においては必ず実現いたしたい。できれば年度内からでもやる考えでありますが、その程度及び時期等につきましては、目下愼重に研究中であります。 第三の経済基盤の充実の問題でありますが、公共事業費はその重点を治山治水、それから災害の防除、復旧、道路、港湾その他農業土木、運輸通信等の施設の改良復興事業に置き、それとともに従来の公共事業の範囲につきましては、必ずしも国土の総合的保全開発ということでなしに、官庁の営繕でありますとか、あるいは六・三関係でありますとか、そういつたものが入つておつたのでありますが、この点につきましては、公共事業の範囲を、こういう本来の国土の総合的開発保全ということに限つて、重点的にいたして行くという考え方にいたしております。 その次は農業問題でありますが、農業生産を確保して農家経済を健全にするために、土地改良その他の農地関係の事業を積極的にやつて行く。それから農業金融についても特段の措置を考える。それから価格の問題でありますが、今後の農業問題において価格、特に食糧の価格というものは、相当大きな問題でありますが、この点につきましては、国際価格というようなものを考えながら、この価格を相当上げて行く。それから現在縮まつております米と麦との価格比率を、最近の食糧事情からして直して行きたいというふうに考えます。 その次は見返り資金の問題と預金部資金の問題であります。基礎産業であつて一般の金融機関で融通困難なものは、見返り資金と預金部資金を考えて行くというつもりでおります。 その次は輸出の振興の問題であります。第一は輸出金融公庫でありますが、輸出金融公庫につきましては、現在関係方面と折衝中であることは御存じの通りであります。それから見返り資金の活用によりまして、その他の輸出産業に対する金融を考えるのでありますが、また中小企業にも相当貸付を増加するという考え方をいたしております。また国際通貨基金、国際開発銀行への参加を懇請するということも、公約にある通りであります。 その次に社会政策の問題であります。社会保障制度は社会保障制度審議会において最近案が出ておるのであります。この点につきましては、相当積極的に考えて行きたいと思つております。しかしその考え方の中心というものを公約扶助制度の運営と、ことに結核問題を中心とした医療機関の整備と、公衆衞生の向上、この二つの点について重点を置いて考えて行く考え方でございます。これは社会保障に関する経費の見方いかんによることでもございますが、大体三百八、九十億程度のものが本年度予算にあるのでありますが、審議会の案を事務的に見まするとおそらく八百四、五十億程度の金額になるのではないかと思います。この全部ということは、現在の財政状況からすれば、なかなか困難かと考えるのでありますが、先ほど申し上げました点について、重点的にこの充実をはかつて行くという考え方をしております。 生業資金と住宅資金、これは前年度におきましては、国民金融公庫に十二億、住宅資金につきましては、公庫に対する出資といたしまして、五十億を組んであつたのでありますが、明年度においてもこの金額を確保して計上して参りたいという考えであります。 失業対策の問題につきましては、公共事業による吸收も考えられますが、これをもつて救い得ない者の失業応急事業も考えて行く。本年度において約四十億でありますが、現在の見込みでは相当不足するように考えられますので、その不足経費につきましては、適当な機会に補正予算を組みたいというふうに考えております。 次に文教及び科学の振興であります。文教の振興については、義務教育すなわち六・三制の問題について重点を置いて考えて行く。それから最近の状況にかんがみまして、育英資金をふやして行きたい。ことに高等、專門学校以上の高級の学生に対する育英資金の増加ということを考えて行きたいと思うのであります。 科学の振興でありますが、これについては技術金庫とかいういろいろな考え方もございますが、従来の科学の研究費というものが、基礎的方面の研究にやや重点を置き過ぎているというような点もなきにしもあらずと考えられますので、今後の問題としては直接産業経済の発展に寄與し得るよう、これに結びついた科学の振興ということについて、積極的に経費を盛りたいと考えております。 その次は、治安の確保と平和態勢の整備もあります。これは申し上げるまでもなく、わかりきつたことでありますが、ちようどこの予算編成方針をつくります際におきまして朝鮮における事件等の影響もありまして、またマ書簡も出ました関係もありまして、警察及び海上保安の施設の充実に相当の金をさかざるを得ないと考えております。 次は税制の改正と、地方財政の問題でありますが、減税は所得税を中心としてやることは当然であります。関税の問題もここに書いた通りであります。 地方財政につきましてでありますが、地方財政も積極的にかくせよという通牒なり命令なりは、政府の建前としてはできないのでありますが、国と同じように、同調して行政の合理化と経費の節減を期待しております。また地方財政執行の状況という点から考えまして、国と地方との事務、それから経費の負担区分というものを相当確立して行かねばならぬと思うのであります。災害復旧費の全額国庫負担ということは、今年度における特別の臨時的な措置でありまして、これを明年度以降に続けるかどうか、いろいろ議論があるのであります。いろいろ弊害等も考えられる点からいたしまして、また経費の負担区分の点からいいましても、適当でないというふうな考え方がございますので、これを廃止するというふうに一応きめております。今年度の予算が約六千六百億でありますが、そのうち債務償還費で五百億程度減少する。それから価格調整補給金でおそらく五百億程度は減少すると考えております。 そのほかタバコの増産等による收入——これは売れ行きの点は別にいたしまして、明年度におきましては、新しくできました工場が動き出すというようなことを考えまして、おそらく五分程度のタバコの増産があるのではないかというようなことを考えますと、今のところ見込み得る財源といたしましては、千億ないし千百億程度のものか一応考えられるわけであります。もちろんよく検討いたしませんければならぬのでありますが、そのうち七百億程度を減税に充てまして、あとの四百億につきまして、給與ベースの問題、あるいは社会保障制度の問題、あるいは公共事業、文教の問題というようなことを増えて行きたい。最近の情勢といたしまして、警察及び海上保安の問題がありますので、この方面においても相当さかねばならぬと思います。今言つたような考え方で、財源の配分を目下考えておる次第であります。 この予算編成方針のうち、至急に要するものは本年度内にその実現をいたすつもりでありますが、ただいま各省はこの予算編成方針に基きまして、各原局において、その省の予算を編成中であります。その概算要求と申しまするものを今月一ぱい、すなわち来る三十一日までに大蔵省の方に提出するということに相なつております。その結果に基きまして、事務的な説明を聞き、また関係方面とも御連絡し、政府及び関係方面においていろいろ検討の上、編成いたすわけでありますが、私どもの考え方といたしましては、十月末日までに編成を完了する。そうして十二月、できれば十二月早々にでも国会に提出いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。以上は予算編成方針について申し上げたのであります。 次は予算の執行状況でありますが、第一・四半期におきます支出負担行為すなわち契約をなし得る額は、三千四百七十一億円ということに相なつております。これは契約をなし得る額でありまして、これに対しまして、その間における現金の支拂いになるものは、千七百四十八億円と一般会計において予定したのでありますが、その実績は千二百九十七億円で、約五百億円ほど少かつたのでありますが、このおもなる原因は、公共事業等におきまして、補助金の支出が予定の通りに行かなかつたためであります。もちろんこの支出は前年度に比べまして、非常に成績がいいのでありますが、なお予定の通り行かなかつた点があるのであります。この点につきましては、目下督励をいたしておる次第であります。これは予算の面から見ました支出負担行為と支拂計画との関係でございますが、これを国庫收支の方面から見ますと第一・四半期におきましては、財政資金の問題でありますが、一般会計におきまして、收入が千四百五十億円であります。このうち租税が八百五十億円それから專売局の益金で流用現金と称するものが二百六十九億円、その他が三百三十一億円、收入が十四百五十億円程度であります。これに対しまして支出が千四百三億円でありまして、ここに四十七億円という揚げ超に一般会計だけではなつておるわけであります。 それから特別会計は、これはちようど手持ちの食糧を売る時期でありまして、食管はむしろ揚げ超になるのが当然でありますが、食管におきまして、五百四十億円程度の揚げ超になり、結局特別会計全体では、五百十一億円の揚げ超になつております。これに対して国債の償還を百六十億円いたしまして、ために財政資金全体としては三百九十八億円の揚げ超でございます。これに対して預金部資金の放出が二百十億円、それから郵便局の過剩現金等も考えまして、結局この期間におきまして三百四億円の揚げ超になつております。これは前年度も大体この時期においては同様なのでありますが、なおこの揚げ超の程度を少くすベくいろいろ努力したのでありますが、結局結論といたしまして三百四億円の揚げ超になつたわけであります。 第二・四半期以降につきましては、目下集計中でありますが、おそらく第二・四半期においてはほとんどとんとんに行き、第三・四半期、第四・四半期以降において相当の散布超過になるというふうに考えておるわけであります。 次は見返り資金の問題でありますが、見返り資金の発足以来、今年の七月の上旬までに積み立てられた見返り資金の総額は、千六百二十四億円でございます。そのうち解除いたしましたものが千四百二十八億円ということに相なつております。そのうち解除して現実に実行して使つておる額が千二百七十八億円であります。この千二百七十八億円が公企業に三百十六億円、私企業に三百十九億円、債務償還に六百二十四億円、それから経済の再建及び安定と申しまして、C・I・E図書館であるとかあるいは学童の給食であるとかいうようなことのために、二十六億円程度出ております。私企業のうち二十四年度内に約二百五十四億円出ておりますが、これは電力に百億円、海運に八十四億円、石炭に四十一億円、鉄鋼に十四億円、それから化学肥料に二億八千万円、化学薬品に三億八千万円、農業に七千万円、中小企業に三億円というふうに出ております。今年度におきましては、優先株式の引受けで五十二億円、それから海運関係で五億八千万円、中小企業へ三億円というふうに出ておるわけであります。 大体以上をもちまして、最近までの予算の執行状況を申し上げた次第であります。
○小坂委員長 それでは大臣が見えるまで速記をとめて御懇談を願います。 〔速記中止〕
○小坂委員長 それでは速記を始めて……。大臣は関係方面との急な折衝のため、しばらく遅参されたわけでありますが、すでに河野主計局長から予算の編成方針並びに執行状況について事務的な詳細の説明があつたわけでありまするし、反復いたしまして大臣から聞くこともないのではないかと考えまするから、これよりただちに質疑を行いたいと思います。通告順に従いまして質疑をしていただきます。橋本龍伍君。
○橋本(龍)委員 本日の予算委員会は先ほど委員長から趣旨についてお話がありました通り、昭和二十六年度の予算編成方針並びに朝鮮事件後のいろいろな影響等について審議をするという趣旨でございまするので、私もその両者を込めて少しく質問いたしたいと思います。 まず朝鮮事件勃発後の日本の財政、経済全体に対する考え方の問題でありますが、朝鮮事件が勃発いたしまして以来、国内でいろいろな議論が行われ、また考え方に対する混乱があると思うのであります。それで今日まで、つまり経済安定九原則が出まして以来、わが国は根本方針として平和持続ということをあくまでも前提として、財政経済の合理化を徹底し、貿易を大いにやりつつ、日本経済の自立をはかるということでやつて参つたわけであります。それで今日私どもは一体この根本方針が、朝鮮事件後の国際情勢によつて考え直す必要があるのか、ないのかということをまず問題にしなければならないと思うのであります。そうして今日のいろいろな議論の中には、あたかももう第三次大戰が始まるかのごとく考えて、しかもその第三次大戰下において、何らか日本の自給自足体制ができるかのごとく考えて、過去の大戰中におけるいわゆる準戰時体制と同じようなことを唱える人かあるのでありますが、少くとも私といたしましては今後の世界において、單に中立である。つまりどちらにもくみしない、ないしくみしないことはけつこうでありますが、何らの防備も世界中どこにも行われないで、平和が維持されるということは考えられないのであります。北鮮事件を見ましても、朝目がさめてみると、戰車が入つて来ておるという状態においては、どうしても力の均衡を保ちつつ武装平和が保たれなければならないと思うのでありますが、こういう観点を考慮して現実を考えますならば、民主主義諸国の側におきましても、あるいはまた別の勢力の側におきましても、戰争の勃発ということは決して欲しないのでありますから、第三次大戰ということは考える必要がないし、またこの第三次大戰に備えるような日本の経済体制なんというものは考えられるものでも決してないと思うのであります。そこで根本方針としては、少くともあくまで従来のように財政経済の合理化を徹底しながら貿易を大いにやつて、日本経済の自立をはかるという方針をかえる必要は毫末もないし、この非能率をあえてして自給自足に向うという考え方をする必要はないと考えるのでありますが、まずこの点に対する政府の所見を伺いたいのであります。 それからもう一つはこういつた考え方から、今までやつて来たのを何も変更する必要もないし、変化もないのだという考え方は、実は間違いだと思うのであります。つまり今日朝鮮事件後ただちに起つて来た事態として債務償還をやめて、この経費をさいて警察予備隊を創設するということも、経済的にいろいろな影響がありますし、また特別需要の関係で外貨の手取額もふえて来るというような問題もありますし、世界が軍備拡先の方向に向つて参りましたから、価格の動きだとか、貿易の内容等にも相当の変化があると思うのであります。つまり現実にいろいろの変化が起つているということによつて、根本的にもう戰争が始まるんだという態勢で物を考えるのも間違いであると思いますし、また第三次大戰は始まらないからといつて、今までと同じようなやり方で行くというのも間違いであると思うのでありますが、経済安定九原則以来とつて来た根本方針について、政府がどう思つておられるかという点、それからその根本方針をかえる必要がないとして、いろいろ起つて来たところの現実の変化というものからして、どういう影響が日本の経済に現われて来るだろうかという、この二点についてまず御質問いたしたいのであります。
○池田国務大臣 第一の問題は、やはり今までの安定自立の計画にかわりはございません。私はこれをますます推し進めて行きたいという考えでございます。 第二の朝鮮事件によりまする影響につきましては、いろいろな問題があると思うのであります。すなわち今まで輸出超過、輸出が予定以上に伸びておりますが、それがますます伸びて参ります。このためにドルにかわる資金の手配をしなくてはならぬと同時に、輸出超過によりまする物資不足を輸入して補わなければならぬ、こういうことが起つて来るのでありますが、朝鮮事件によりましてどれだけドルが不足になりますか、ただいまのところはつきりいたしませんが、いずれにしても相当額に上ると思うのであります。その全体の金額、また時期的な問題等も勘案いたしまして、輸入を促進して行かなければならぬ。また最近の状況では朝鮮事件を契機といたしまして、ある程度の物価高を来しつつあるのであります。これに対しましても適当な措置をとりたいと考えております。
○橋本(龍)委員 ただいまの問題に関連してでありまするか、ちようど農林大臣が見えられましたので、お伺いいたします。ただいま政府側からの平和の持続を前提として自立をはかつて行くという根本方針をかえる必要を認めないという答弁は、私もまことに欣快とするところでありまするが、現在の国内にはやはりいろいろな不安が横行いたしまして、特にただちに出て参るのが食糧の問題であります。今日東京等におきましても、従来米のやみ値が百二、三十円だつたのが、百八十円から二百円に近くなりつつある。また大阪あたりではもつとひどくなつているという状態であります。そこで食糧の問題につきましても、一体政府としての見通しはどんなものか、御所見を承りたいのであります。
○廣川国務大臣 食糧の問題でありまするが、現在のところは手持ちが四箇月ございますので、目先のところは大して問題はないと思います。なおそれを消費しているうちにいもなり、麦なり米が入つて参ります。船繰り等も現在のところ順調に行ておりますから大丈夫であろうと考えております。しかし朝鮮事件を契機として、国内に食糧の自給度を高めろという輿論が出て来ておりますので、われわれといたしましては、来年度予算を通して食糧自給度確立のために、十分注意をしてやりたいと考えます。
○橋本(龍)委員 ただいまの農林大臣の御説明に関連してなお確めたいのでありますが、ただいま朝鮮事件に関連して自給度を高めろという要望が起つて来たというお話でありますが、これと若干関連して強くなつておるかは存じませんが、わが党などで考えておりますのは、日本の将来の自立を考える限りにおいて、食糧などのために外貨を多く使うということは非常に不利である。そこでこれはやはり農家経済の安定のためからいつても、日本の経済自立のためからいつても、土地改良その他に大いに力を入れて、自給度を高める方がよいと考えておつたのであります。従つて朝鮮事件等を契機といたしまして、非常に非能率な投資をやつて、むしろむりな自給度の高め方をするという意味ではないと思うのでありますが、その点を確かめておきたいと思います。
○廣川国務大臣 大分外国食糧を入れるために、たくさんの金を拂つて、非常に損をしているということは、まつたくその通りでありまして、日本民族自立のためにも、あなたのお考えの通りに進まなければならぬのであります。しかしここ一、二年以来、外国から入つて来る食糧が非常に順調なものでありましたから、自給度を高めろという声がかすれて来ておつたのでありますが、それを再認識いたしまして、ここでその自給度を高めるために全力を盡したいと考えておるのであります。
○橋本(龍)委員 日本の財政経済持つて行き方の根本方針について、先ほど大蔵大臣からはつきりした御答弁があつたのでありますが、私は質問でなく政府側へ要望しておきたいのでありますが、この趣旨が必ずしも日本の国民一般に十分に徹底していないように思われるので、政府のとつておる方針を機会あるごとにもつと力強く闡明していただきたいということを要望しておく次第であります。 それから当面の問題といたしましては、いろいろ問題が起つて来ておるわけでありますが、まず第一に警察予備隊の設置の問題であります。これはいずれ法務総裁からその目的、組織等について伺いたいと思うのでありますが、この警察予備隊の設置につきましても、厖大な予算が必要とされ、マツカーサー元帥の書簡にも、債務償還費から流用するということになつておるのでありますが、これは法務総裁所管のことでありますが、来られる前にでも、その目的、組織、そして設置の法規がいつごろできるか、また予算をどういうふうに扱われるのかということについて、説明をお願いいたしたいのであります。
○池田国務大臣 警察予備隊の創設、並びに海上保安庁の拡充につきましての事柄は、マツカーサー元帥の書簡以外に私はまだ存じておりせん。この問題につきましては、閣議の議に上つたこともあります。しかし私の所管の予算上の問題につきまして、まだ要求も何もありません。従つてただいまのところ申し上げ得る段階に至つておりません。
○橋本(龍)委員 それでは次に当面起つている問題として大きな問題である特別需要のことについて伺いたいのであります。朝鮮事件に関する特別需要に関しましては、まじめな経済団体等におきましても、これは相当大きな金額で、しかも短期間に出る。しかもそれをどこで聞いたのか、デマかほんとうか知りませんが、金額などを言うものがあるという状態でございます。これは金額と特別需要の出る期間ないしまた品物の種類の片寄り方というようなものによつて、日本経済への影響がいろいろ異なつて参ると思うのでありますが、この特別需用の額だとか、量だとか、あるいはまたどのくらいの期間に出るものであるかというようなことについて、政府側として知つておられる程度をお話を願いたい。それからまたこれはいろいろなデリケートな関係もあると思いますので、必しもその金額はどうであるとか、時期がどうであるとかいうようなことのみでなく、政府として連絡をとつてやつておられるかどうかということについてひとつ承りたいと思います。
○池田国務大臣 朝鮮事件によりまする日本のドル資金の獲得あるいはドル資金を獲得します高、あるいはその時期等につきましては一切私の方ではわかりません。しかしわれわれとしてほつておくわけに行きません。すなわち物価あるいは金融に相当の影響がありますので、ただいま手を盡して調査をいたしておるのであります。どれだけの金をいつどういうふうに使われるかということは、もつぱらアメリカのお考えになつているところでありますので、われわれは買われた品物あるいはドルをあとから調査して行く、大体今までの状況から今後の見通しをつけるというようなことよりほかにないと思います。関係方面とお話をいたしておりますのは、支拂われるべきドルの支拂い方法につきましては、関係方面と常に緊密なる連絡をとりまして、金融の円滑を阻害しないような方法でやつていただきたいとお願いしておるわけであります。
○橋本(龍)委員 いろいろ苦心をしておられることであろうと思います。ただ私はこの特別需要が相当多額で、しかも短期間で来る場合に、今大蔵大臣からもお話があつた通り、相当な影響がいろいろ出て来ると思いまするので、目下調査し、また連絡をしておられるということでありますから、ここで私の希望を申し述べておくものでありますが、先般来いろいろの経済団体の会合等に出まして耳にいたします言葉は、たとえば物資の調達などでも相当の量のものが、日本政府の少くとも初めの間知らないところですぽつと出るのがある。それから船舶などでも現場で必要とされる場合がある。あるいはまた土木工事等についても、終戰処理費関係でなく、ドル小切手拂いの方の工事があるというような話でありまして、その量というものが相当多額であり、急いでいる場合には、相当の影響があると思われるので、やはり日本政府の方へできるだけ通じてもらつて、日本政府の手でまとめて調達をする方がよいのではないかと思うのでありまするが、ひとつこういう点についてできるものかできないものか、お考えを願いたいと思うのであります。 それから次に今輸出の増加、それからまた特別需要に基くドルの入手というようなことについて、繰上げ輸入のお話がありましたが、これはきわめて緊切な問題であると考えておるのであります。これも單にこの戰争の気構えでほうつておくと物資がなくなるから、あわてて入れるという意味は毛頭ない。日本としては輸出が伸び、また一種の見えざる輸出であるところの特別需要によつてドル貨が入る。インフレを防止して、かつまたこの機会に日本の生産を伸ばすというような趣旨で、あるだけの外貨で繰上げ輸入をやるという建前のものであろうと思うのでありますが、大体この運びがどんなふうになつておるものか。本日の日本経済新聞にも、これは漏れたのだと思いますが、一億ドルとか、一億七千万ドルとか、またこのやり方について外国為替管理委員会とほかの意見とが合つておるとか違つておるとかいう話があるのでありますが、これの事情について少しく承りたい。
○池田国務大臣 朝鮮事件の起りました結果、物資調達その他につきまして統一的にやつたらどうかというお考えのようでありますが、われわれも初め特別調達庁をお使いになつたらどうかというようなことも考えてみたのでありますが、実際問題としましては、現地々々で各向うのセクシヨンがやつておるようであります。これをしいてこちらの方から、統一なさつたらどうかというようなことは、言わない方が実際に沿うのじやないかと思います。しかし特別調達庁でやつた方が便利がいいような場合につきましては、やり得る手配はきめておるのであります。これははつきり申し上げますが、この分の仕事は日本のいわゆる予算には全然関係のないようにしてもらいたいということははつきり了解をつけております。こまかい問題につきましても、たとえば終戰処理費関係の労務者に、ちよつと夜勤手当をそのためにやるような場合におきましても、夜勤手当の分は別にドルで拂つてもらうというところまで事務的には折衝を重ねて、非常にこまかく規定いたしております。とにかくこれは終戰処理費とは別個の関係だということを原則にして進んでおるのでありす。 次に見越し輸入その他の問題が御質問にありましたが、七—九の予算をつけます場合におきましても、私は見越し輸入の意味をもちまして、当初一億五、六千万ドルの輸入計画を、二億数千万ドルまで引上げまして、相当見越し輸入のつもりで行つておるのでありますが、情勢によつてまだ輸入しておく必要があるとするならば、ここに外貨予算の補正と申しますか、追つていつでもできるような方法で行きたいということにしておるのであります。新聞に載つております外為会計の問題でありますが、これは十分事柄がわかつていずに載つておるのじやないかと思います。ただ私事情を知つておりますから、多分こういうところから出たと思うのであります。それは御承知の通りに、外為会計では今借入れ限度五百億円になつております。しこうしてただいままでの借入れが三百七、八十億円、あるいはきようあたりで四百億円くらいになつておるかと思います。そうしますと、相当ドルが入つて来て、為替集中制度を原則としておりますから、外為がドルを買い入れる。買入れるということになりますと、五百億円の借入限度では足りなくなる。こういうことで限度をふやすという議論もあります。それからまたこういう場合において、外為が市中の為替銀行に信用を與える。こういう方法なんかも唱えられておるようであります。私はそういうふうな外為が昔の正金銀行のようなことをしなくても、日本銀行にドルをまわすとか、あるいは為替銀行の持つておるドルを担保に日本銀行から為替銀行に融資をするとか、いろいろな方法でできると思うのであります。この問題は正式に私のところへ話を持つて来たわけじやないのでありまして、私は朝鮮事件が起りました後の状況を見まして、ドルが入つて来る場合の政府としてのとるべき措置につきましては、一つの考えを持つておるのであります。私のとこへ来ずに、途中でいろいろなことがあるから、問題が起ると思うのであります。この点は関係方面とも私は話合いをしておるのであります。朝鮮事件のためのいわゆる特殊需要に基きます金融につきましては、日本銀行と十分連絡して、また関係方面と十分連絡して、特に不円滑が起らないように手配をいたしておるのであります。
○橋本(龍)委員 先ほど私特別需要のことについて希望意見を申しておきましたが、事情を伺つてなお私希望として申しますのは、公表などはできぬ問題ではありましようが、おそらく政府側も努力しておられると思うので、少くとも一本に通じてやらないにしても、どれくらいの数量がどれくらいの期間に調達をされたかということは、時々わかつて対策が立てられるように、ひとつ十分な御連絡を願いたいということを希望いたしておく次第であります。 それから繰上げ輸入の問題についてもなお私伺いたいのであります。この繰上げ輸入の必要性その他の問題については、これはくどく申し上げる必要もないと思うのでありますが、ただ私けさの新聞記事を見て感じますのは、一億ドル案から一億七千万ドル案までありましていわゆる非常に計画的にやつておるようであります。そうして将来の外貨收支の見通し等についてもやかましく計算をしておるというようなことも聞いております。おそらくは物資等についても、細分していろいろ何を入れるというようなことも審議しているのではないかと思うのでありますが、私は海外の事情で、日本があわてて買うんだからということで、値をつり上げたりするようなばかなことにならないように、大よその見通しを立てた上は、むしろ食糧を入れるなら食糧、あるいは粘結炭を入れるなる粘結炭を入れるというふうに、きまつたものから早く適当に逐次入れて、あまり紙に書いたプランで、足りない物資を何にするというようなことを、初めからがちやがちややつておらぬ方がいいと思うのでありまするが、その点どんなふうな方針でこの問題を扱つておられるのかを伺いたい。
○池田国務大臣 このごろこういう問題でよく新聞に出ますが、あの通りにはなかなか行かぬのでございます。事務当局が当局間でいろいろ話をしたのがすぐ出るようでございますが、外貨予算は、御承知の通りに、閣僚審議会できめますので、私は大蔵大臣としての一つの考えを持つて行つておるのであります。あれにどうこうまどわされないようにしていただきたい。今私ここに来るとき、見返り資金が三百億円出るということがぎようぎようしく新聞に載つておりました。そういう考え方は、見返り資金を早く使う方法として、私前から考えておる。三百億円ということはどこから出たのか知らないが、あれによつて非常に世間の人をまどわすと言つては言葉が強うございますが、まだ海のものとも山のものともわからぬものがどんどん出ます。新聞に出ているというので、これを信じ、どうこうということになりましては、経済政策上よくないことがあるのであります。私はそういうことにならないように、きまつたらなるべく早く発表しますが、今の外貨予算の問題に対しましても、一億ドルの見越し輸入をする、あるいは一億七千万ドルの見越し輸入をする、それはどこから出たのか、閣僚審議会の委員の私にはわかりません。ただいま申しましたように、七—九の外貨予算で、大体朝鮮事件が起ります以前に考えておつた程度よりも六、七千万ドルはふやしておるのであります。私、向うから帰りまして、今までの日本の買い方が少し下手だつた。外貨予算できめられたものしかやらない。そういうことよりも、もつと予算上ゆとりを持たして、たとえば大豆が安ければ先物を買つておくとか、綿花にしましても、今のように上らぬ前に、もう少しドルを予算に組んでおいて買つたらどうかという、ビジネスライクに外貨予算を使つて行きたいという考えを最近持ちまして、そういう方法で行つておるのであります。朝鮮事件が起つたから見越し輸入をするというのでなしに、予算としてはビジネスライクにやつて行くべきだと考えるのであります。従いまして今の日本の持つておるドル資金の見方の問題でございますが、拂わねばならぬ金はぴつたり置いておかねばならぬ。そうして輸出によつて入つて来るドルは、現実には入つておらぬのだから、よけておく。こういう考えを持つておる間は外貨資金は入りません。しかし輸出が当然行われて、拂わなければならぬ輸入の代金をためておくというならば、将来受取るべきドル資金を計算に入れなければならぬ。そういう点がまだ関係方面との折衝が十分に行つておりません。しかし私はこれをビジネスライクにやつて行くという建前から行けば、一億五千万ドルあるか一億七千万ドルあるかここで申し上げられませんが、相当の金額の外貨予算を日本政府として持つておると確信しております。そうしてまた朝鮮事件によりましてドルが入つて来る、これはいろいろな説がありますが、ドルの入つて来るのを、見通しをつけまして、時期的のずれをできるだけ少くする。言葉の示すごとく、見越し輸入、見越し外貨予算、こういう方針でやつて行きたいと考えておるのであります。
○小坂委員長 橋本君に申し上げますが、あなたの御要求になつた安本長官も来ておられますから、そのつもりでお願いいたします。
○橋本(龍)委員 ただいまの大蔵大臣のお話はまことに同感であります。そういうふうにあまり当るか当らぬかわからぬ計画を先までやつて行かないで、ぜひビジネスライクに、スムースに日本経済に役立つような輸入が行われるようにお願いをいたしたいのであります。 そこでもう一つお尋ねをいたしたいのでありますが、さつきから話をいたしました警察予備隊の設置に伴つて、債務償還が振りかえになつて行くという問題だとか、あるいはまた特別需要の影響であるとか、こういつたふうな問題、あるいはまた世界的ないろいろな事情の変化に基く内外の物価の変動であるとかいうふうなものを見まするのに、今までいわゆる経済安定九原則を実行せられて、きわめて安心をして参つたのでありますが、日本の将来としてはどうしても物価騰貴の心配というものが、明らかに現実に出て来て参つた思うのであります。そこでこれの見通しなり対処策について、どういうふうにやつて行くつもりか、ひとつ承りたいと思います。なおこれに関連をいたしまして、給與ベースの改訂及び米価の改訂に対する政府の御所見を承りたい。
○池田国務大臣 アメリカの物価は最近朝鮮事件が起る前、私向うを立ちますときから、相当上昇の傾向をたどつておりました。これはやはりユニオンの力が非常に強くなりつつありまして、退職金その他が物価に影響することも向うでは見込まれておつたのであります。私は物価の上昇の傾向があると考えております。また朝鮮事件が起りましてから、相当上つて来つつあるようであります。またこれに応じましてイギリスも昨年ポンドの切下げ以来、強力に押えておりましたが、だんだん上る傾向が強くなつて来たのであります。しかしまだアメリカほどには行かない、従つてわが国の物価も、この二月ごろいろいろな問題で下つておりましたが、ある程度はやはり国際物価にさや寄せするような状況になつて来ると思います。これは国際的に見まして、鉄鋼などはある程度高い。アメリカとは大体似ておるのでありますが、イギリス、ベルギーなどに比べると、ほとんど十ドル以上も高い。こういう状況であつたのであります。今度補給金を減らしましても、外国の鉄鋼価格は上つて来ますので、その影響は少くなつて来ると思う。しかし個々の物価にいたしますと、たとえば米にいたしましても、最近非常な高騰を続けております。パルプにいたしましても、パルプなんかはスカンジナビアのパルプに比べまして、日本より向うの方が六、七割くらい高い。個々に調べますと、日本は非常に物価が使い面がありますが、これがある程度国際物価にさや寄せするようになつて参りましよう。そうしますと全体の情勢としましては、ある程度物価が全般的に上つて行くのではないか。しかしわれわれはできるだけ物価が安定するように考えまして、激変のないようにいたしたいと思うのであります。しかしこれは理想でございまして、今の米の問題につきましては、これはわが国経済にもたらす非常な影響——ことに今の農家の状況を考えますと、私は思い切つて上げるべきだと思うのであります。国際的に申しましても、非常に安いと考えます。これが農家の疲弊困憊を来し、わが国経済のマイナスの面になりますので、できるだけ上げたいと思うのであります。米価の問題がきまりましてから、それにつれていわゆる公務員の給與べースをマツチさせるように上げて行かなければならぬと思います。しかしこの公務員の給與ベースは、米価だけに関係するものではありません。来年の中央、地方を通ずる税制ということも考えなければなりませんので、来年の四月、新平度におきまして、はつきりした根本的給與ベースの改訂を、米価の改訂とともに、また減税の度合いとともにきめて行きたいと思うのであります。ではそれまでどうするかという問題でありますが、これは十五箇月予算の組み方でありまして、できればこれは一月からでも給與ベースの根本的な改訂をやつて行きたい。それができなければ、暫定的に改訂までの措置を考えて行きたいというのが、私の今考えておる点であるのでありす。
○橋本(龍)委員 ただいま来年度の予算の話が出ましたが、先ほど河野主計局長から来年度の予算編成方針の概略については話を伺つたのであります。そこで私があまり時間をとつても何でありますから、この予算のことについては大づかみのことだけ一つ伺いたいのであります。 来年度予算について私どもが一番主眼点を置いているのは、ぜひ再度相当の額の減税をやりたいということであります。しかも一方において農業生産力を上昇させるための土地改良費、それからまた社会保障制度の本格的な第一歩、また今お話がありました給與ベースの改訂の問題、それからまた警察予備隊の経費が今年度は債務償還でやるにしても、来年度は本格的に出て来るという点から見て、減税といろいろやらなければならない仕事をかみ合して、どういうふうに予算を組んで行くかということはきわめて重大な問題でありますが、今年度の予算に比して減らし得る大きな項目と、その大づかみな金額的な見通し、それからふえる項目とその金額的な見通し、従つてまた結論として減税はどうなるかということについて承りたいのであります。 なお先ほど懇談の最中に社会党の側から質問されておられましたが、来年度予算について、一般会計の予算の大体の規模、貿易の規模、対日援助の規模についての一応の見通しを承りたい。
○池田国務大臣 広汎な御質問でお答えが足りなかつたらまた再度御注意いただけばお答えいたしますが、大体私はさきの国会で参議院の本会議で和田君の御質問にお答えしたか、あるいはまた委員会におきまして申し上げた通りの経過をたどつておるのであります。スケールといたしましては千三百億程度の予算のわくが減になります。こまかく申しますと、前年度剩余金によつて国債を償還いたす分が、本年の三百六億円が百四十億に減つて参る、こういうことはありますが、実際のいわゆる新規の財源といたしまして一千億円ないし一千五十億円程度の財源が出て参ります。そこで私は七百億円と自由党で言つております国税の減はできるのじやないか、またやりたい——確信をもつて、やりたいという気持を持つております。残りの四百五十億円で公務員の給與の引上げ、これも私どもとしては一般会計と郵政事業の方への分、その他はやはり独立採算制の原則で行つてもらいたい、そうして公務員の給與ベースを引上げる、あるいは社会保障制度とか失業対策とかあるいは農村関係の問題をその残りの金でやる、また教育施設の改善にも充てる、大体こういう腹づもりでおつたのであります。しかるところ警察予備隊等の費用がどれだけいりますかわかりませんが、こうやつて参りますと、今積極的方面への支出、あるいは減税へある程度の影響が来ることは当然でありますので、それをできるだけいわゆる基本方針を持つて行くとすれば、私が考えているよりもほかに相当の節約をしなければならぬのではないかという気持を持つております。歳入の方におきましては現行税制で参り、またその他の点で行きましても、ある程度の減少がございます。これは大きい減少はございませんが、価格差益金とかいろいろな点で一、二百億円は出ると思うのであります。歳出の方の減少は、終戰処理費はできるだけ減らしてもらうように懇請いたしますと同時に、今私のところで減る見込みのものは、価格補給金の九百億がどのくらいになりまするか、米価の上げ方によりまして百億や百五十億円はすぐ狂うのでありますが、大体九百億円のところで少くとも五百億円は減らす、あるいは六億円くらい減らしたいという考えで行つておるのであります。これも主食をどれくらい輸入するか、小麦協定に入るか入らぬか、これによつて米価の引上げ方も同様であります。それから債務償還に予定しておりまする五百億円がなくなります。これもいわゆる歳出財源あるいは減税財源に充てられる、それから公団の補助金もなくなりましよう。たとえば配炭公団の損失見込み四十二億円がなくなります。それから公団融資の方もなくなつて来る。あれやこれやでかなりの歳出減——先ほど申し上げました千三百億上まわるくらいの歳出減ができるのではないか、またできなければいろいろな手を講じてやりたいと考えております。従いまして財政の計画としては本年の六千六百億円が私は五千四、五百億くらいになるのではないかと考えております。これは警察費の割合によつて動きまするが、見当がつきませんので、大体の私の腹づもりを見込んで申しますと、六千六百億くらいが五千四、五百億円程度になるのではないかと考えておる次第でございます。 それから貿易の規模は、御承知の通りに本年は輸出六億三百万ドル見込んでおりまするが、この予定がさきの国会でいろいろな議論がありまして、不振だとか言つておりましたが、私は本年七億は越えると見ております。来年は八億ドルを越える、エイド・フアンドが切れる一九五二年におきましては九億ドル近くになつて行つて、今まで通りの輸入をして行く、すなわちエイドを入れた十億ドルに対しまして一九五二年度には一億ドルぐらいな不足ではないか、そこを補うために、私は運賃收入あるいは観光收入というものをもつて埋めたいと思うのであります。戰前は大体二億五千万ドルぐらいの輸入超過であつたものを、保險料收入とか、運賃收入とか海外同胞の送金あるいは観光收入で埋めておつたのであります。一九五二年に一億ドルぐらいの輸入超過でとまれば運賃收入、観光收入その他でまかなえる。若干まかない切れないところは外資の導入というふうに行きますと、あまり心配いたしておりません。一九五二年に打切られても大したことはない、われわれのこれからの努力によつて十分自立ができると思つております。エイドの問題につきましては、御承知の通り一九五二年で打切ると言つております。今年は二億七千五百万ドルであつたのでありますが、前年度のずれもありますので、今から正確なことは申し上げられませんが、前年度のずれと二億七千五百万ドルが後年度にずれるということをお考えくださればおのずから数字は出て来ると思います。
○橋本(龍)委員 大蔵大臣に最後に一つだけ質問いたしたいと思います。金融の問題につきましてはいろいろな問題——預部金資金の問題だとか、見返り資金の問題だとかいろいろあるわけであります。これについては委員会なりあるいはまた本会議なりでも、しばしば質問のあつたことでありまするので、私は一点だけ伺いたいのであります。 最近のコールの実績を見てみますと、非常に大きくなつておるわけであります。日本銀行の調べによりますると、六月一日に東京コール残高が二十八億でありまして、これがずつとふえまして六月十五日五十八億になり、それからあと少し下つた時期がありましたが、三十日にはやはり五十四億になり、七月に入りましてからは、七月の一日に五十七億、その後一番低かつたのが四月四日の四十三億でありまして、一番多かつたのが十三日の七十九億、最近は東京コール残高は大体五、六十億から七十億円もあつた、多いときは八十億近いという状態なのであります。しかも世の中には金詰まり金詰まりという声が非常に高い。これは大蔵省なり日本銀行なり、安本なりで資金の流れについて始終相談をされておれば、少くともコールがこんなに出るくらいならば、この中で三十億や四十億は一月なり三月の金融にまわし得るのではないか、コールが非常に大きく、しかも常続的にあるという状態はどういう原因であり、しかもこういう状態にあるのならば、いくらかでも長い金融をつけるために改善の余地がないかということについて、ひとつ所見を承りたいのであります。
○池田国務大臣 お話の通りに、ただいまコールは六、七十億を保つており、しかもその日歩は一銭六厘、非常に低利になつておるのであります。しかしただ一方で一時千四百六十億円の日銀の貸出しが、ただいまは千百七十億円くらいに減つております。こういう状況その他を見ますと、口に言われるほどの金詰まりでないという一つの証拠になるのであります。しかしコールが多いから金詰まりでないとも言えません。コールが適当な貸出し先がない、貸出し先に選ばれぬ人が金詰まりでありますが、これは銀行経営者がお話の通りに、とにかくコールをできるだけ少くして、運転資金なりあるいは手形の割引に向けるべきなのでありますが、やはりその銀行銀行の営業者がそれぞれやることでありまして、われわれはコールの多いことを望んでおるのではありません。できるだけ少いようにし、また思い切つて工業全般に貸し出すことを勧めておるのでありまして、コールが多かつたり少かつたりするということは、経済社会の当然なことであります。できるだけ少くするようにはいたしておるのであります。ただ問題は五月におきまして銀行も非常な金詰まりになつて、預金の増加ぐあいがはつきりわからないというときには、やはり銀行政策上大事をとりまして、コールにまわしておるということがありがちであると思うのであります。御承知の通り第一・四半期におきましては、預金の増加は五月が九十億、六月が百八十億というわけで、去年に比べますとほとんど半分ぐらいである。こういうことによりまして、銀行も七月の預金がどうであろうかということを心配して、ある程度コールに置いておくということはやむを得ぬことではないかと思うのであります。経済再建の過渡期におきましては、ときどきこういうことが起ることはやむを得ぬと思うけれども、しかしわれわれとしては、できるだけそういうことの少いように、程度を少くするようには努力いたしております。
○橋本(龍)委員 ただいまのお話を承りましたが、何せ常続的にコールが七、八十億もあるということは、まことにもつたいないことだと思いまするので、どうかひとつなお一段のごくふうを願いたいと思うのであります。 そこで最後に安定本部の総務長官に伺いたいのでありますが、実はこの朝鮮事件勃発後の日本の経済全体の考え方であるとか、あるいはまた食糧の問題、繰上げ輸入の問題等についても、安本長官の御意見も承りたいと思いましたが、大蔵大臣から伺いましたので、私は重ねて所見をただすことをいたしません。ただ一点伺いたいのであります。先ほど大蔵大臣から御答弁のありましたように、朝鮮事件後いろいろな状態によつて、経済の面にいろいろな変化が出て来た。それに対応して考えなければならぬ点が一面において多々あると同時に、やはりまた根本の方針といたしましては、あくまでも第三次大戰というようなものは始まらない。平和の持続を前提として、合理化を徹底し、貿易をやりながら日本の安定自立をはかつて行くという方向を進めるべきだと思うのであります。そこで今後の問題といたしましては、資本の少い日本として、財政投資の使い方であるとか、あるいはまたいろいろな点についてわれわれの考えている自由経済、つまり公定価格と割当切符の制度はなるべく早くなくして、その上でいろいろな面での政策的な調整をはかりながら、所期の目的を達成して、日本の経済を自立し、かつわくをできるだけ広げて行くということをやつて行くための計画目標が必要なわけであります。先般来新聞で拜見いたしますると、安定本部においても新たにいろいろ考えておられるということでありまするが、周東長官が就任されて以来出ました、日本の経済自立計画の持つて行き方というようなことについての——たとえばどういう審議会にかけて、いつごろまでに案を立てるとか、あるいはまたその方針をどうしておるというような事情について、簡單でよろしゆうございますから、今の概略のお考え方を承りたい。
○周東国務大臣 橋本さん御存じのように、日本の国民経済の安定を阻害し、産業の発展を妨げておつた一番大きな原因の一つであるインフレの收束ということは、幸いにして過去一年間の強力な施策によつて一応目的を達したのであります。そこで当然来るべき問題としては、今後は積極的に生産の増強をし、積極的に産業の振興、復興をはかるべく、それらに対する総合的立場に立つて計画を立てることが必要になつて来たのであります。またその面に向つて財政金融政策が発展して行くことを私も考えております。ところが同時に考えられることは、ただいま大蔵大臣からも申しましたように、普通の形に行けば、在来の多額の援助資金がなくなるということになるのでありますから、かりにあらゆる他の面から、他の方法で援助があるかどうか、その点は別といたしましても、一応打切られるべき場合を考えて、なおかつ自立して行き得る態勢をとることが一つの行き方であります。そういう両面からいたしまして、ただいまそれらを元として総合的な施策を立てつつあります。その支柱の一つは、何と申しましても貿易の振興計画であります。もう一つは国内の総合的資源の開発計画というもの、これを両方の支柱といたしまして、あらゆる計画を立てるべく、目下施策中であります。それに対しましては、今お話のありましたように、復興審議会と申しまするか、自立経済審議会と申しまするか、そういうものを設けまして、各方面の権威者の知識を参考としまして、われわれの立てつつある案を審議していただきたい、こう思つております。たまたま朝鮮事件が勃発しましたが、それはお話のように、平和的処理が早くできるものと一応考えつつ、なお事案に即応して調整をしつつ案を立てたいと考えております。
○小坂委員長 橋本君、あなたの御質問中に法務総裁に対するものがありましたが、法務総裁がお見えになりましたから御質問を願いたいと思います。
○橋本(龍)委員 法務総裁に伺いたいのでありますが、この警察予備隊の設置に関しましては、この間マツカーサー元帥の手紙が新聞に出ておつた。それ以外にわれわれ正式に知るところがないのでありますが、この警察予備隊の設置の目的、それからまた組織というものはどういうふうになるのであるか、またこの設置法その他の準備というものが大体どんなふうになつておるか。それについての事情を承りたいのであります。
○大橋国務大臣 御質問の警察予備隊の目的につきましては、これはマツカーサー元帥の書簡にもありまする通り、日本国内におきまする治安の確保ということがその目的になつております。すなわち書簡によりますると、日本の治安の現在の良好な状態を維持し、かつ法の違反や平和と公安を乱すことを常習といたしまする不法な少数者によつて乗ぜられるすきを與えられないような対策を確保する。これがために民主主義社会の公費維持に必要な範囲で警察力を拡充する、こういうことに相なつておるのでございます。しこうしてこの組織につきましては、その警察官の人数が七万五千人である、こういうふうに掲げられてございまするが、この配置並びに付属人数、及びこれらの人員をいかなる隊に編成するかということにつきましては、目下関係当局と交渉中でございます。なお準備の状況でございまするが、ただいままでに政府といたしましてとりました準備の措置といたしましては、この書簡を実施いたしまするために、今後司令部と緊密なる連絡をとつて立案を進めることに相なつておりますが、その連絡をとりつつ立案の衝に当るべき日本側の代表的な責任者を選任するようにという要請を受けましたので、ただいまその者の人選の内定をいたしまして、この者によつて目下折衝を進めておるというような状況でございます。従いまして、いまだこれか法的措置をいかにすべきかということを申し上げる段階に達しておらない次第でございますから、御了承をお願いいたします。
○小坂委員長 庄司一郎君。
○庄司委員 委員長のおとりはからいによつて、来年度政府の予算編成上の基本的な方針等についてお伺いする機会を得、かつわれわれが政府の方針に対していろいろ考えておるわれわれの立場から、協力的なあるいは献策的な意味において御注意を與え、あるいは警告を申し上げ、あるいは要望を申し上げる機会を與えられたことを感謝いたします。 そこでごくあつさりと二、三のお尋ねをしてみたいと思うのでありまするが、昭和二十六年度の予算編成の上において、先ほどごく簡單な片鱗だけ承つたのでがざいますが、総合的な国土開発あるいは国土保全、そういう面におけるところの予算はどのくらいの額を予定されておるのであるか、総合国土開発の計画の結果は、当然公共的な土木関係あるいは治山治水あるいは水源涵養、港湾その他電源の開発等々に及ぶのでありまするが、政府の歳出を通して支出されるところの政府資金等はどのくらい予定されておるものであるか、大体昭和二十五年度、本年度の公共事業費と比べて、どのくらい増加される御意向であるかという点を大ざつぱながら承つておきたいと思います。
○池田国務大臣 総合的な国土開発計画、ことに治山治水、農林関係については、できるだけ事業分量をふやしたいと考えておるのであります。しかし片一方には失業問題、社会保障制度あるいは文教施設等もございますし、また大きく減税するといたしますると、なかなか十分ということには参らないかもしれませんが、できるだけその方面に力を入れたいと考えております。なお私がただいまのところ災害復旧その他につきまして全額国庫負担案を改めて、地方にもある程度の負担をしていただこうということも、これは十木工事をもつとふやしたいという意図から一部出ておるのであります。できるだけ早く災害の復旧あるいは国土資源の保全に手をつけたい。こういう念願は持つておるのでありますが、ただいまのところ各省からの要求も出ておりませんので、他との見合いできまるわけでございますが、ふやしたいという気持を持つておるわけでございます。
○庄司委員 まだ各省の要求等がまとまらない。従つて予算面においてまとまつていないというのでは、これ以上お伺いするわけには行きませんが、大体昭和二十五年度、今年度の予算と比べて、公共事業費全般にわたつてふえる方針でありますか、あるいは減る方針でございますか。
○池田国務大臣 ふやしたい方針でございます。減ることは考えておりません。
○庄司委員 それでは、大体一千億以上になり得ると了承してよろしゆうございますか。
○池田国務大臣 まあふやしたいというのでありまするから、今年度が九百九十億円でございますから、一千億以上にしたい、こう申し上げるほかはございません。
○庄司委員 けさの新聞の報道では、従来政府の預金部に統合されて一元的に管理運営されておりました郵便年金あるいは簡易生命保險の集計したるまとまつた金の保管あるいは管理等が、郵政大臣の方に移管されるように閣議決定をしたというような新聞報道を見たのでございまするが、その通りでございましようか。なお念のために、もしさように閣議決定を見た上は、昔のように郵政大臣が大蔵大臣の了承のもとに、地方の市町村あるいはその他の公共団体等に、あるいは水道あるいは学校の建築費等々にある一定の起債のわく内においてそれを運営して貸し付けるというような制度もまた復活したものと了承してよろしいのでございましようか。
○池田国務大臣 昨日閣議決定いたしました、今まで拠金部資金として運用いたしておりまする簡易保險あるいは厚生年金の分は、今後郵政省で運用することに相なると思うのであります。これは議論はございまするが、二回にわたりまして両院全会一致の要望でありますので、先般来一応閣議決定をいたしまして、関係方面と折衝いたしておるのであります。まだまとまりませんので、再度閣議決定をいたしまして、申し込むことにいたしておるのであります。しこうして御承知の通り、ただいま郵便貯金あるいは簡易保險、郵便年金、これらの預金部資金は、昭和二十一年一月の覚書によりまして、国債、地方債以外に運用は相ならぬ、ただ最近食糧関係五公団への貸付金と、一回だけ銀行に昨年末預けた百億円だけでございます。原則は国債、地方債、公団こういうことに相なつておるのであります。従いましてこの覚書が動かざる限りにおきましては、これが郵政省に参りましても、この範囲で運用されることと私は考えております。
○庄司委員 歳入の関係の大蔵大臣の方針であり、また現内閣の方針である減税問題についてちよつと承つてみたい。大蔵大臣は目下のところ七百億円の減税を企図されておる旨の御言明がただいまあつたのでありまするが、それらはもつぱら所得税その他のいわゆる直税、国税の面において減税をされようという御意図でございますか。また酒税のごときものはあまりにも国民一般の常識から言えば高過ぎる。酒税が高いのに従いまして、一升びんの最終の小売が高い。従つてどぶろくやあるいは私設專売局のしようちゆうが出て来るというような状態になつておりまするが、この酒税方面の間税関係の減税を企図されておるというような状態はございませんですか。
○池田国務大臣 ただいまのわが国の税で一番高いのは、所得税と酒税だと思います。次に来るものは物品税の一部だと思うのであります。私といたしましては、所得税等にまず手を打つて、その次には酒税だとこう考えておるのであります。これはできるだけ安くすることが大衆のためでもありますし、また密造をやめまして、税收を確保するというゆえんでもありますので、最近の酒類の消費状況、あるいは密造の状況を見まして、十分酒につきましても減税をいたしたいという念願でございます。
○庄司委員 それでは六・三制の義務教育関係の国庫補助関係について伺つておきます。先ほど局長より簡單に承つてはおりましたけれども、具体的な計数等はまだ承つておりません。六・三制の義務教育、学校建築費に対する補助〇・七の割合の補助でございますが、明二十六年度においてはどのくらいの額を予想されておるか、本年度はたしか四十五億、そのほかに学校関係の施設費の補助が五億五千万円ほどあつたようでございますが、全国の一万二千の市町村はまだまだ六・三制関係の学校建築は未了になつております。特に自治団体の各長あるいは地方議員は要望されておるのでございますが、相当がんばつてこの方面における予算だけは確保していただいて、真に文化国家建設のために、せめてはこの六・三の教育の国庫補助を本年度より減さないように、できるだけこれをまわしてもらえるように、一般国民もあるいは地方町村のPTAもその他教育関係の諸団体等が熱望しておるのでございますが、目下のところどういう御意図で六・三関係の補助予算を編成されんとするものであるか。もし大体の数字がおわかりであれば承つておきたいと思うのであります。 なおこれに関連して育英資金の問題でありますが、育英資金を増額したい旨このプリントの中にはお示しをいただいておるのでありますが、育英資金の問題は、大学あるいは高專学生の七〇%が今やアルバイトをやつておる。かような場合において、育英資金を幾らでも逐年増してやるということは、当分わが国の情勢においては適当なることであると念願しておるのでございますが、育英資金等の額についても、ただいまの御意図されておる金額がおわかりであるならば、承つておきたいと思います。
○池田国務大臣 六・三制の建築費につきましては、私は一応〇・七で今年度で打切るということに、文部省との話は一応はついておるのであります。しかし今の状況を見ますると、打切るとは申しましても、かなりのでこぼこがあるのであります。従いまして私は、やはり来年度におきまして、ある程度のものは出さなければならぬのじやないかという気持を持つております。どれだけ出すかという問題でありまするが、まだ文部省からの要求が来ておりません。多分本年度くらいの要求が来るのじやないかという想像はついておりますが、ほかに必要な費目がありますので、今年度ほどにはもちろん出せないのじやないかと思います。しかしできるだけやりくりをして出すべきじやないかと考えておりますが、歳出全体の問題でありますので、はつきりしたことは申し上げられません。なお育英資金は昨年度九億円で、今年度十五億円だつたかと思うのでありますが、まあ五割程度はふやすべきではないかという気持を持つておるのであります。これまた五割にしましても七億円もいるのでございますから、全体の歳出の状況を見て出したいと思つております。
○庄司委員 六・三制の補助の問題は打切りたいと思つておつたというような御意向が伝えられましたが、まことに遺憾千万であります。もつとも文部省よりまだ具体的なる要請もないからという御答弁もありましたが、この六・三制の補助関係が始まつて以来今日までまだ建築しあたわない町村というのは、その実態を調査してみますと、いわゆる昔の言葉で言えば貧弱町村であります。特別町村であります。学校の敷地、場所のために紛争を起して、そのために一両年遅れたという町村もありますが、大体ただいま建築未了に終つておる町村は、特に私の郷里の東北地方においてなどは、いずれも貧弱町村であります。そこで町村民が学校建築のための寄付をまとめるために、学校建築貯蓄組合というようなものを起して、涙ぐましいところの計画のもとに、あるいは三年あるいは五年計画をもつて当該町村のある一定の建築費をまとめておるような次第であります。昭和二十五年度をもつて打切られるようなことがあつたならば一番困つて一番難儀して一番最後に残つた町村は、まことにこれはみじめなものである。ぜひ昭和二十六年度においても、文部省方面の周到なる調査の上において提出されるところの補助額については、よく御考慮の上ひとつ善処を願いたいと思うのであります。 育英資金の問題については五割ほど増額したいというような御意向のようでございますが、まことにこれはけつこうでございまして、ただ育英資金を貸し付けるわくといいましようか、限度といいましようか、そのラインをひとつ拡大強化してもらいませんと、これは困るのであります。この育英資金制度の問題は、ここにおられる社会党の三宅君が昭和十五年にみずからこの試案をつくられて、粒々辛苦、不肖私なんかもその際微力ながら御協力申し上げてつくり上げた育英制度でございます。まことに感慨無量でございます。これらの問題についてはひとつぜひわが党においてあたたかい愛の手を伸ばして一層貸付の資金を増額すると同時に、貸し付ける範囲を拡大強化されて、できるだけ多くの苦学生諸君に均霑することができるような措置をとつてもらいたいという希望を申し上げて、私の質問を一応終ります。
○小坂委員長 早川崇君。
○早川委員 それでは大蔵大臣がおられますので、大蔵大臣、農林大臣、安本長官、文部大臣に逐次御質問いたしたいと思います。先ほど自由党の橋本龍五君から第一に御質問ありました現下の国際情勢と日本のこれに対する経済政策の問題につきまして、私は大蔵大臣の御答弁は、根本的に日本を危うくするものであるという非常に不安を感ずるのであります。どういう点かと申しますと、現在の日本経済を考える場合には、当然世界情勢とその変動に即応して有効適切に施策を講じて行かなければ、たいへんなことになるということであります。そういう意味から申しまして、大蔵大臣は依然として今までの方式を踏襲する、言いかえれば、完全な平和時代における自由経済方式によつて施策をやつて行かれるというこういうお考えであります。しかしながらあの戰略的にきわめて防衞されておりますところのスイスにおいてすら、すでに第三次大戰とか、国際情勢の起り得る事態に備えまして、二年間の食糧ストツクを始め、すでにその目的を完成しておるということであります。かような差迫つた現況から申しまして、食糧問題一つとりましても、われわれとして考えるならば、三百五万トンも輸入せられ、あるいはいもその他を辞退しておるようなきわめてぜいたくな現代の政治情勢に対して、根本的に私は危惧を感ずるのであります。言いかえればかかる事態に備えて、今こそ十分輸入せられる食糧をストツクして、多少不便ではありますけれども、麦なり、あるいはいもなり、いろいろな方法を講じて有事の際に不安なからしめることが絶対必要であります。 さらに不可解なのは、船舶に対する考え方である。最近運輸省の提出しようとする法案の中に、数十万トンに及ぶところの戰標船なり、あるいは五百トン以上の建造年数の非常に古い船をこの際政府で買い上げて、これをスクラツプにしようという案を出そうとしておる。時代錯誤もはなはだしいのである。これは一例であります。 さらに重要物資生産におきましても、かかる国際情勢下においては、最低限必要な生活物資は、やはりこの際計画経済によつて統制して行くということこそ必要であると思うのであります。アメリカは、御承知のようにトルーマン教書によつて、徹底的な戰時動員とまでは行きませんけれども、重要物資の統制時代に突入しようとしておると思う。私はかかる意味において、大蔵大臣のお考えが非常に危險である、かように思うのでありますけれども、まずこの点からひとつ話を進めて行きたいと思うのであります。
○池田国務大臣 各人各様にその経済政策は持つのであります。今の主食の問題でも、さきの国会では米換算三百十六万トンは非常に多過ぎる、農民を圧迫するものなりという議論が非常に多かつたのであります。まあみんな議論の建てようはあるのであります。私は三百十六万トン輸入計画を立て、しかも第一・四半期につきましては、小麦は予定以上に入つております。米も予定以上に入つております。しかして大麦は三十二万トン、二万トンばかり減つておりますが、全体といたしましては計画以上に入つております。従つて農林大臣が四箇月分の主食があるというのは、こういうような状態をいうのであります。スイスの例をおとりになりましたが、スイスはお話のようにやつておりますけれども、ほとんど問題になりません。そういう考え方をスイスがしておるということは知つております。しかし分量的にはほとんど問題になりません。私はただいまの政策でやつて行つていいと考えておるのであります。 船の問題、これは日本の今の船がどのくらいあるか、われわれの計画では戰標船、その他あまり使いものにならぬものが百万トンと計算いたしております。六十万トンくらいをつぶしたらどうか。朝鮮事件が起つた、あるいは南方の問題もあるということで、船の需要はありましようが、どんなに見積つたつて、今の戰標船その他繋船しておる船のうち四十万トンも使うということはないと思う。六十万トンをつぶした方が財政的に見ましても、四十二億円の商船管理委員会のあの費用で船がスクラツプにできるのであります。そうして日本の造船界の発達を促し、困つているスクラツプの補給にもなる。第一次世界大戰後のドイツ、イギリスの船舶価関係の情勢、やり方をごらんになれば、役に立たぬ船は何も金をかけてつないでおく必要はない、新しいいい船につくりかえるのが、私は造船政策の万人の認めるいい方法だと考えております。財政的にもこれによりまして非常に助かつて来るのであります。
○早川委員 池田大蔵大臣の非常に楽観的な平和的なお考えが、日本国民を有事の際に非常に危險の状態に陥らさせなければ、私は非常にけつこうだと思うのでありますけれども、スイスの例で申し上げましたように、もつと真劍に国際情勢をながめて、船の問題、食糧の問題、さらに先ほど質問した中で重要物資の統制問題に対してお答えがなかつたのでありますが、この問題もひとつお答え願いたいのであります。私の言うのは、大蔵大臣の国際情勢に対する考え方が根本的に違いますので、やむを得ない点もありますけれども、もう一点重要物資に対する計画的統制の問題についてお答え願いたいと思います。
○池田国務大臣 これは及ばずながら国際情勢につきましては、つとめて目を向けて考えておるのでございます。えてして楽観的だとおつしやいますけれども、何も私は楽観しておるのではない。われわれ努力して、これを切り拔けようとすれば、そこを切り拔け得る見通しがあると言つておるのであります。手をこまねいて寝ころんでいていいというふうな気持は毛頭持つておりません。 次に重要物資の統制でございますが、主食につきましては、御承知のようにやつております。私は主食につきましてもできれば早くはずしたい、この点はあなたと見解を異にいたしております。
○早川委員 第二に、私は補給金問題、その他貿易問題と関連いたしまして、御質問いたしたいのであります。基本的の私の考え方は、日本の経済情勢というものは東洋的特殊性を持つておる、かように思うのであります。わかりやすく申し上げましたならば、資本主義の後進性であります。遅れておるということであります。従つて今までの明治、大正以来の日本の産業の発展、さらに中国その他の産業発展をながめました場合に、成功いたしまして目的を達した産業は国営事業であるか、しからずんば強力な政府並びに国家の財政金融その他における補助育成ということによつて、初めてこの資本主義の後進性をカバーいたしまして、日本経済が西欧諸国の奴隷的植民地化から免れて参つたのであります。ところが池田大蔵大臣は今までは官僚の中心、相当重要なるポストにおられたころは、その線を踏襲されておつたと思うのでありますが、一たび終戰後あなたが経済政策を取り始めますと、いわゆる全然日本的なそういう東洋的デモクラシーの産業の特殊性を無視して、ただいちずに自由経済方式によつてそういう国家的補助育成をはずして行く、かような政策を強行されておるのであります。その結果どういう事態が生じて参つたかと申しますと、鉄にいたしましても、石炭にいたしましても、ほとんど合理化し得る余地がなくなつておる。そのためにかような補助育成政策を一擲して参りますと、これはとうてい国際競争に耐えられない。輸出もその面において影響を受けて、非常に大きい制約を受けるというような事態に立至つておるということを考えてもらわなくてはならないと思うのであります。従つて二十六年度予算編成に貿易振興などといつておりますけれども、当然その面において目的は達しないと思うのであります。レートを切下げるとか、そういう方法でもとれば別でありますけれども、大蔵大臣が考えておられるように楽観的の見通しはその面においてとり得ない。さらにこのことは金融面においても同じことが言えると思いますので、一括してお願いしたいのですが、要するに大蔵大臣のとられようという方策は、市中金融機関にすべての金融をまかして行け、そうすることが一番経済的、合理的であるというお考えで進んで行つておると私は思うのであります。その結果当然これは営利事業でございますので、その貸出しその他の面において国家的力が働かない結果、あるいは中小企業なりあるいは農漁村の事業なりという面において、非常な金詰まりが来ておる。私はかような意味においても、現在の政府のやり方が非常に誤つていると思うけれども、当然これは金融機関に対しても国家的な関與という面がいれられて、初めて日本の実情に沿つた、戰災のために非常に被害をこうむつているというような特殊性を生かして行き得ると思いますけれども、まずこういつた面について大蔵大臣の考え方を聞きたいのであります。
○池田国務大臣 第一の問題につきましては、私は早川君とまつたく意見を異にするのであります。日本で世界に誇るに足る産業の発達は、やはり民間事業であつたと私は考えるのでありますが、政府の育成保護というものは、なかなかうまくいくものではないのであります。補給金に関連して言われておりますが、鉄鋼の補給金もだんだん少くすることによつて、日鉄あるいは富士製鉄の一人当りの昨年度の生産数量と今年度の生産数量とをお比べになつたならば、いかに自立生産方策をとつた方がよいかということがおわかりになると思うのであります。えてして補給金なんかやりますと、自立経済を阻害すると申しますか、それを時間的に非常に遅らせるということになるのであります。 次に貿易に対する影響ということでありますが、どのくらい影響するか、たとえば今船の輸出が非常に困る、こういうふうに言われましたが、補給金をはずして船舶の輸出ということについて影響するのは、従来も輸出の鋼材については補給金を出しておりませんので、銑鉄に対する補給金の八千数百円が四千四、五百円になるということだけで大した影響はないのであります。それからまた国内般の造船につきましても、鉄鋼の値上りによりまして、船賃あるいは償却等に影響いたしますものは、ごく小部分でございます。これによりましてさしたる影響はないと私は思うのであります。幸か不幸か、最近は鉄鋼の値段も国際的には相当上つて参つておりまして、鉄鋼補給金をはずすには非常によいときであると私は考えております。どうも自分のことばかり考えてすぐ為替レートとか、何とかいう問題を起すのでありますが、全体的に見て参りますと、私は、日本の輸出貿易は、先ほどお答えいたしましたように今後相当伸びて行くと思つております。今年度におきましても、予定の六億ドル余りのものよりも相当伸びて一、二割伸びると思つておりますし、また伸ばさなければなりません。来年におきましても相当伸びると考えておるのであります。
○早川委員 大蔵大臣はよほどよく私の質問を聞いてもらわなければ困る。すぐ忘れてふまじめな答弁をされてはあとの質問品にもさしつかえますので、よく聞いていただきたいのですが、金融問題に対するお答えがなかつたので、私はさらに詳しくお聞きしたいのであります。どういうことかと申しますと、先ほど橋本君もるる話されましたが、どうしても現在の金融打開の方法は、預金部資金を事業方面に活用することと、見返り資金の活用に盡きると思います。その意味において、私は政府の、特に見返り資金でありますけれども、かような活用面において、非常に司令部に対する働きかけが弱いのではないかと思う。言いかえれば私をして言わしめれば、ドツジさん自身が非常に古典的な自由経済論者のように思うのでありますけれども、そういう線にさらに政府が便乘して行くというような弊害から、いろいろな預金部資金なり、あるいはまた見返り資金の活用において、十分な実情に即した放出がなされておらない。かかる意味において、財界その他事業家の一致した意見は、どうしても司令部の責任者と政府を入れてコンフアレンスを開け、経済会議を開いて実情を訴えるというような方式によつて、実情を説明して金融打開をはかるべしというような強い要望が、われわれのところにも来ておるのでありますが、大蔵大臣は、経済その他各界の連中を通じて、あわせて司令部に当つて行き、コンフアレンスの方式をもつてこの金融難を打開して行くという熱意なら、お考えを持たれないかどうか、お聞きしたいと思うのであります。 もう一点は、最初に質問いたしましたように、あなたのお考えのように、すべて金融資本に一任して行けば、非常に合理的だという純粋な資本主義的な考え方というものは、日本の実情に合わない。どうしても国家がそれに関與して行き——復金の型を再現しようというのではありませんけれども、たとえば中小企業の救済とか、あるいは長期資金の面において、そういう面をあわせて考慮して行くのが実情に即した金融政策と思うのでありますが、かような点に対してお答えがなかつたので、この点もつけ加えて御答弁願いたいと思うのであります。
○池田国務大臣 金融の問題でございまするが、私は、金融の点は市中銀行にまかせきりだという考えではないのであります。金融事務につきましては、たとえば長期資金とか、あるいは短期資金とか、いろいろな面があります。長期資金の方にはまわりにくいから、長期資金にまわりいいような方法をとるということはわれわれの責任だと思うのであります。そういうところが政府の考えているところであつて、ただ單に何に貸せということは政府が言うところではないと思うのであります。戰争中ならば特に強力な措置をとりますが、私は今はそういう措置をとるべきではないと思います。たとえば長期資金が非常に枯渇しておるとすれば、金融債を発行して長期資金の方に金が流れるような制度を設けるとか、また中小企業の方につきましては、全般的に考えて別わく融資をやるとか、あるいは中小企業專門の店舗をつくらせるとか、あるいはまた私どもが考えておりますように、中小金融の国家保險制度を設けるとか、政府としては、全体的な措置はこういうふうに考えなければならないと思いますが、個々の具体的な問題について、だれだれに貸し付けろとかいうことは、私はやるべきではないと考えておるのであります。 次に見返り資金とか、あるいは預金部資金の運用につきまして、熱意が足りないというおしかりでございますが、私が今一番やつておる仕事は、この問題よりほかにないと言つてもいいくらいにやつておるのであります。係員の者は毎日のように折衝しておるのであります。何と申しましても、自分の思うように行かないのはまことに残念でございますが、私の精力の九割五分まではこれに使つておるということを御了承願つておきたいと思います。民間の方がこの事情を説明に関係方面においでくださることも私はしごくけつこうだと思うのであります。みなが行つて、いわゆる日本の経済の事情を説明して、また財政の状況も他からお話し願えれば、われわれの言うことも非常に力強くなるのではないかというので、あらゆる手段方法をとつておるのであります。輸出金融金庫等に見返り資金あるいは預金部資金等を使う問題につきましても、私は向うから帰つてからすぐ、ずつとやつておるのでありますが、今日に至るまで結論が出ません。午前中も参りまして、とにかく早く出してもらうように話しました。明日中には何とか解決するということになつておるのでありますが、決してこの金融問題——ことに見返り資金、預金部資金の運用につきましては、等閑に付しているわけではございません。私の全精力をこれに打込んでおると言つてもいいくらいに努力しておるのであります。
○早川委員 次に失業問題と給與問題について少しお聞きしたいと思うのであります。池田大蔵大臣の雇用問題に対する考え方が、私と若干食い違いがあるということを本会議の席上において発見したのであります。言いかえれば十九世紀の資本主義的な自由経済の考え方では、企業の自由を認めて行くという点でよかつたのです。ところが二十世紀になり、現代に至つた場合に、雇用政策の基本問題は、企業の自由のみならず、すべての人に職を與える完全雇用というものを国家の力によつて保障して行くということに、私は新しい経済政策の最も特徴的な基本があろう、かように思う。そういう観点から申しますと、ただ日本の現在の実情からいつて、戰災で弱つて経済力が非常に弱いから、完全雇用という方向に進むには日本の力が足らぬというような考え方は、根本的に私は誤りであると思う。なぜなれば、もし百万、二百万の人たちが職を失つておる場合に、この人たちが死んでしまえば別です、移住してしまえば別ですけれども、国民経済全般からこれを考えた場合に、だれかが一人当り五千円、一万円という生活費を負担しなければならぬ。しかもそれが生産に携わらないで、ただ遊んでぶらぶらして、悪くなると犯罪を犯して、その人たちを養つて行かなければならないということを考えた場合に、多少赤字公債を発行しても、あるいは建設公債、あるいはまたその他の予算的措置を講じても、事業を起し、あるいはダムでも何でもよろしいが、生産的な面に支出をやつて職を與えて行くという方が、たとい若干の赤字支出になりましても、よりベターである、かようにその点において私は少しく池田さんと考えの相違があるのである。この問題と関連いたしまして、現政府は二十六年度の予算において、どれだけこの完全雇用を目ざした積極的な失業対策に対して予算を組もうとするのであるか。私はそういう意味において、非常な貧乏であつたら完全雇用はできないということは、間違いであるということを事実をもつて申し上げたい。たとえばあのベルサイユ條約のドイツのヒトラーのナチス政権においてすら完全雇用である。ニユー・デイールのあの不況時代においてすらルーズベルトは完全雇用政策を土木事業でとつた。ソ連が現在しかり、行き方は違いまするけれども、ともかく非常に困つておるから完全雇用はできないという考え方は、どうしてもこの際お改めにならなければならない。何も百パーセント完全雇用をせいと私は言うのではありません。季節的な失業もありましようし、そこに二割、三割のことはやむを得ませんけれども、今のような失業問題、雇用問題に対するお考え方で行かれるということ自体に、私は根本的な疑問を持つておる。まずこの点について大蔵大臣の所信を伺いたいと思います。
○池田国務大臣 完全雇用の理論につきましてはもつともな点が多いのであります。これは経済の理想で、そういうふうにして行くことに何も私は反対するものではありません。アメリカに参りましても、向うの予算局の連中と会つてみますると、ほとんどケインズ派のような考え方で、私はアメリカにおきましてはそういうことがやり得ると思うのであります。何と申しましても非常に物資の多い富める国は、予算なんかにいたしましても今度百億ドルの歳出をやるといいますが、二年くらい前に二千七百億ドルの国債発行権をトルーマンは持つておつた。しかし今は二千五百五十億ドルで、まだ百五十億ドルくらいの国債発行権を持つておる。こういう日本の予算から比べますと、非常にのんびりしたやり方の国は、完全雇用ができますけれども、日本のような今病気のなおりかけたときに私は完全雇用説にすぐ賛成するわけには行かない。現実の問題といたしましては、公共事業費をふやし、あるいは直接需要をふやして行く政策はだんだんとつてはおりますが、あなたのように一挙は完全雇用を目標にしてやるということはまだ早いのではないか、私は経済が安定自立して行つた場合におきまして、何も均衡予算というものは将来絶対に守らなければならぬ問題だとは思つておりません。日本にも経済力がついて行けば、ほんとうに自立の見通しがつけば、これは加速度的に赤字公債あるいは建設公債も必要だと思う。私う大体の考え方はそれなんです。しかし今の日本の現状といたしましては、新しいと言われまするか、あなたの言うケインズ的な考え方をただちに適用することは、もう少し地盤を固めてからやりたいと考えております。
○早川委員 次に公務員の給與問題に関して御質問したいのでありますが、私は池田大蔵大臣がときどき失言なり放言をされるので、この点を特にお聞きしたいのでありますが、公務員の給與ベース改訂に関しましては、大蔵大臣は参議院の選挙直前であつたかと思いますが、給與ベースの引上げを実施するという言葉を新聞紙上で発表せられたのであります。私はその言をこの予算委員会において再確認し、その時期についは私は追究したいのであります。御承知のように食糧輸入が三百七十五万トンから三百五万トンに減つており、七十万トン程度のものに対する補給金の予定というものが減つておる。私は大蔵大臣に対して公務員の給與引上げに対して財源がないとは言わせない。そのほか国庫剰余金なり復金残額は前年度剩余金、その他を合せますと、当然あなたがこの前の参議院選挙で公約され、労働者に対して一つの希望を與えられたことをすみやかに実行し得る段階が来ておると私は思うのであります。かかる意味においてまず大蔵大臣がいつこれを実行されるおつもりであるか、その点をお聞きしたのであります。
○池田国務大臣 三百七十五万トンの輸入が三百五万トン減つたから財源が出たのではありません。三百七十五万トンというのは四十万トン大豆を含めての輸入計画であります。四十万トン減りました三百三十五万トンというのは、これは大麦、小麦を入れたものであります。米に換算しますと三百十六万トン、その分は予定通り入つております。あなたはもつと入れろとおつしやいますが、もつと入れなくてもよいというのが先ほどの質問応答であります。予定通りには入つて来ております。ただ輸入補給金につきまして大体小麦がただいま八十六ドルくらいで入つて来ております。それで輸入補給金についてはある程度のゆとりが出て来たのであります。しかしこれとても将来小麦がどうなるかという問題もありましよう。私はあまり上らぬという見通しで、ある程度の余裕金はあると思いますが、歳出がそれだけ減つたからといつて、歳入が申告納税の千五百億が今の滞納の多いときに確保できるか。こういうことを考えあわせますと、今ある程度の財源は見通しがつきますが、はつきりこれだけあるとも言えない。しかし自分の腹では大体これくらいは出て来るというものを持つております。だから私は財源も大体ありそうだし、経済の不安ももう大丈夫だ、こういう見通しが最近つきましたので来年度は上げます。——あの自由常の発表にはただちにやるとは書いてない、来年度の予算とか新経済政策を言つておるのです。そのうちでき得るものは今年度内においても早くやりたい、こう言つておるのであります。それにかわりはございません。私が失言したり放言したとおつしやいますが、これの分には絶対に誤りがございません。それならばいつやるかという問題でございますが、この分につきましては昨日も参議院の委員会で申し上げましたように、いつでもできるように早くやつてほしいということを向うに申し出ておるのであります。会期が切迫しまして非常にあせつてはおりますが、もしできなければ次の最近の機会にやりたい。しかし何と申しましても、こういう重大な問題につきましては関係方面の承諾を得なければできないということは、早川君も十分御承知だろうと思います。
○早川委員 この機会に、收入の財源の問題が話に出ましたので御質問したいのであります。私の手元に来ておる報告によりますと、二十五年六月末現在におきまして、国税の滞納分が千百三十九億円に上つております。かような状況を見て、私は非常に憂慮をしておるものでありますが、このたび地方税法案が通りまして、当然予想される問題は、下半期に徴税がしわ寄せされるということであります。国税においてすでに千百三十九億の滞納があり、さらに地方税がこれにおぶさつて来る。このデフレ状況下において、その財源徴收に対して大蔵大臣はどういう見通しをつけておられるか。非常に憂慮にたえないので、この問題に対する見通しをこの機会にお聞きしたいと思います。
○池田国務大臣 国税並びに地方税におきましても、收入の確保をぜひともはからなければならぬと思います。困難さはありましても、できるだけとるようにいたしまして收入の確保をはかつておるのでありますが、何と申しましても、金詰まりその他の問題がございますので、滞納しておるからといつてすぐただちに全部を公売処分に付すわけにも行きません。また公売したところで、こういう状態では売ることがなかなか困難である。こういう問題もありますので、他の機会に申し上げましたように適時適当な方法をとりたいと思います。先ほどお話がありましたように、今月はただいまのところ債務償還をしなくても四—六の引揚げ超過がありまして、七月は百八、九十億円の散布超過になつております。また橋本君の質問のように、コールが相当ふえて来ております。こういうときにはできるだけ徴收を確保するようにしなければいかぬ。われわれといたしましては、地方税の納期を見るにいたしましても、国税の納期とあまりかち合わないよう彼此勘案してやつておるのであります。また地方税の問題につきましても、固定資産税の非常な増徴があります。たとえば土地、家屋については收入見込み額の九〇%、償却資産については八〇%ぐらいの收入見込みで大事をとつておつたわけであります。とにかく金融をできるだけ円滑にするとともに、片一方では徴收を確保する。こうやつて行けば非常な努力は要しますが、われわれといたしましては切り拔け得るのではないかと思う。それができない場合においては、たとえば申告納税分につきましてもある程度赤字が出るのではないか。こういうことを考えますと、いわゆる余裕財源ということにつきましてもかなりの問題があるということを申し上げたのであります。
○早川委員 税金は国民の血をしぼつたものであります。私はこの機会に、この予算がはたしてほんとうに生産に役立つように、日本再建に役立つように使われておるかどうかという点について二、三お聞きしたいのであります。 第一は、農地委員会と農業調整委員会とを一本にして、農業委員会にして節約して行こうという考え方がこのたびまた御破算になつたが、こういうものは一体予算に一本で組まれておるかどうか、私はこの点を非常に疑問に思うのであります。 さらに農林大臣もおいでになりますのでお聞きしますが、現在食糧事務所とか作物報告所そのほか県の割当に対する係というように三重、四重の出どこの同じ機構をつくつて年間四十五億程度の予算を使つておるのであります。さらに、これは小さいことでありますけれども、外務省の役人に聞くと、この失業時代、食うものも食わぬような状況下において、総理大臣の箱根における別莊をつくるために四百万円も出したということであるが、これは出したものであるかどうか大蔵大臣にお聞きしたいのであります。問題は小さいのでありますけれども、われわれとしては、血と汗による税金をかような不急不要なものに使つたり、同じものを二つも三つもつくることに浪費された理由を大蔵大臣にお聞きしたい。
○池田国務大臣 農地委員会の費用その他につきましてもできるだけ節約をはかつているのであります。 吉田総理の箱根の別莊の四百万円は、私は一切聞いておりません。
○早川委員 時間の制約もありまするので、次に農林大臣にお伺いいたしたいと思います。 私は廣川農林大臣が農業のしろうとであるという点をむしろ期待したいのでありますが、現在の農業恐慌というものは、今までのものと根本的に違うということをまずお話したいのであります。どういうことかと申しますと、今まで農業恐慌という場合には、タイとか仏印とかあるいはアメリカ大陸から食糧が安い値段で入つて来て日本の農業を圧迫して低米価になるための恐慌であつたのであります。ところが現在の政府のこの問題に対する措置は、二重に大きい犠牲を農民に課していると思うのであります。どういうことかと申しますと、日本であれだけの肥料と労力を使つてできた米なりあるいはその他の農産物が、あの肥料もいらず、あるいは天日で野放しで行けるタイ、仏印の米に比べまして、はるかに低く押えられているということ、逆に言えば、当然そこまで行くべきものが政府の統制価格によつて押えられているというような不合理なことによつて、農民は犠牲をしいられていると私は思うのであります。ほかの生産物は国際価格にどんどん近寄つて、自由公正な競争をしておりますけれども——米その他小麦もそうでありますが、これはまことに不合理な、いわゆるパリテイー計算によつて四千五百円というような低いところに押えられている。私は今までの政府のやり方は、農民の低米価の犠牲においてやつているという感を非常に深くするのです。司令部あたりでは、来年度からはアメリカの経済圏の小麦の値段とマツチさせて、日本の物価体系をアメリカの経済圏の一環として考えて行くというような大きい構想があると聞いておる。ともかく国際価格よりも三割も四割も低い状況においてはまことにけつこうであると思うが、それが進みますと、その次には、むしろ日本の方が高くて向うが安いという状況が来ないとも限らぬと思いますけれども、少くとも来年の一月からはほかの生産品と同じように、パリテイー計算というような実情に沿わない米価を根本的に改めて、国際価格にまで引上げることによつて、農村の米価問題を解決して行くのが正しいと思う。この点について廣川農林大臣の抱負なり考え方を伺つておきたいと思います。
○廣川国務大臣 お答えいたします。しろうとを礼讃していただきましたが、私はしろうとを恥じておる次第であります。米価についての問題、また農村の恐慌が非常に違つた角度から来ているというお話でありますが、農村の困難なる事情は、二十三年度において平均五百円の借金であつたものが、二十四年度には千円になつている。こういうふうにかわつておるのでありまして、その点は私ども非常に憂慮しておるのであります。米価の決定についてパリテイー計算がいかぬということは、これは非常に論議の的になつておるのであります。閣内におきましても、池田君のごときはパリテイー計算は絶対にいけない、これはやはり生産価格ではつきりきめろ、そしてもつと高くして、補給金等をそれによつて節減して行けというような意見もあります。また私たちもさように考えて、正当な価格を出すことが最も大事であると考えますので、これからきめられようとする米価の決定については、十分愼重に考えて行きたいと思つておる次第でございます。なおアメリカ等の考えにつきましては、まだ寡聞にして承知いたしておりません。
○早川委員 時間がございませんので、文部大臣に項目的にお聞きして私の質問を終りたいと思います。 第一は、地方公務員としての教員に対する政治活動を現在政府としては禁止するというような意向のようでございますが、これに対しての、所見を伺いたい。 第二には、標準義務教育費法というものを制定しろというほうはいたる要望が全国の学校からございますが、これに対する文部大臣の考え方いかん。 さらに免許法に基く認定講習費支出に関しまして、国庫補助という問題についてどうお考えになるか。 この三点を御質問して私の委員にかわりたいと思います。
○天野国務大臣 第一の教員の政治活動につきましては、教員の身分に関して一定の制約がつくことは当然であると思います。従つてある程度の制約はつきますが、地方公務員としての制約にとどまる。それだけの範囲の制約はいたしかたないと思つております。 それから標準義務教育費に関しましては、ぜひともこの法案は必要だというふうに考えて、ぜひこの通過をはかりたいというふうに思つております。 それから認定講習はいろいろな点において難点を持つております。その中の一つは、教員たちの経済的な非常な負担になるということでありますが、これは今後補正予算等の出せる機会がありましたならばぜひ出して、教員の経済的な負担を軽減したいという考えを持つております。
○小坂委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 私は昨年来懸案になつております賃金ベース引上げの問題について人事院総裁の所信をお伺いし、大蔵大臣に質問申し上げたいと思いましたが、大蔵大臣お帰りになりましたようなので、その質問を保留いたし、まず人事院総裁にお伺いいたしたいと思います。 実は二月十八日にサンフランシスコからニューヨークに参ります汽車の中でニユーヨーク・タイムスを読んでおりますと、日本の労働者が二十ドルから二十ドルの賃金闘争をしておるという記事が出ておりました。そばにおりましたアメリカの人が、これは一体一週間分の給料かと聞かれました。なるほど月收二百五十ドルから三百ドルのアメリカ人にとりましては、二十二ドルになつたところで、週給としても非常に少いと思われるのは当然だと思つたのであります。日本とアメリカとの経済的基盤はもちろん異なつておりますけれども、しかし日米両国の物価と賃金との割合を比較してみますならば、賃金は日本の約十二倍以上とつておりながら、物価は高いものもありますけれども、それほどかわつておりません。しかも都市労働者の生計費を見ますと、食費が三六%、住居費が二五%、衣料費が一五%というような割合になつておるのでございます。従つて收入の八〇%を占めている日本の国よりもずつと文化的生活をしているのでありますが、これはもちろん敗戰国として、資源に乏しい日本の国民として、そういうことは望めないとは思いますけれども、しかし日本におきましても最低の生活を維持するような政策をとり、あるいは国民生活を少しでも楽にするような政策をとつて行くのが政治であり、しかも政府でなければならないと思うのでございます。しかるにそれに対しては、現在政府は何ら好意的な態度をとつておりませんが、その中にあつて、終始一貫賃金ベースを引上げなければならないという勧告をせられておつたのが人事院総裁であり、私はひそかに尊敬し、かつまたその存在の意義を認めていたのでございました。ところが突如として先ごろ賃金べースの引上げはしないというようなことを言われましたので、私その真意がどこにあるか、まことに了解に苦しむものでありますし、私のみでなく、一般の国民は何が何だかわからないような気持がしているのではないかと思います。その証拠には、私のところへ毎日数十通の手紙が舞い込んで参りまして、一日も早く賃金を上げてもらわなければ暗やみになりそうな気がするというような、生産意欲を阻害する手紙を毎日よこしております。急にこのようにお考えをおかえになつた真意のほどをここではつきり伺いたいと思います。
○小坂委員長 戸叶君に申し上げますが、あなたの御要求は人事院総裁だけになつておりましたものですから、大蔵大臣の所用を許したのです。今後御要求の場合は前もつてお申出を願います。
○淺井政府委員 戸叶さんにお答え申し上げます。だんだんとお示しにあずかりまして、私としてはまことに恐縮にも考えている次第でございます。人事院といたしましては決して公務員の給與に対して無関心であるわけではなく、一番関心を持つてこれまでやつて参つたのでございます。ことに公務員法第二十八條の人事院の勧告権と申しますものは、実は一方において公務員の団体行動に制限を加えましたかわりになつているもののようにも思いますので、一層これを重要にわれわれは考えておりますし、また現在の給與が低きに過ぎるということも十分われわれが考えていることも、ほぼ御了解くださることと思います。ところが国家公務員法第二十八條の勧告をさて行いますにあたりましては、過去に三回の——今度も含めて三回の経験がございまするが、そのたびごとに困難に際会して参つたのでございます。六三ベースのときもしかり、七八べースのときもしかり、また今回においてもしかりでございまするが、過去におきましてはどうか、六三ベースは非常な困難におきまして、幸いに国会の力によつて実現することができました。七八ベースのときには不幸にして今日まで実現をいたしませんけれども、ともかく勧告をすることができる段階にまで立至りました。しかるに今回は、われわれは少くとも順調にこの会期中には勧告をなし得るつもりでおりましたところ、これをなし得ないような事情に立ち至りましたので、われわれとしては非常に責任を感ずる次第でございまするけれども、これはやむを得ない事情によるものと御了承願いたい。
○戸叶委員 なし得ない事情ということをおつしやいましたが、これは多分関係当局との折衝の結果、そういうふうになられたのではないかと私は了承いたしますが、もしそうであるといたしましたならば、事前に勧告なさるにつきましては、すでに了解を済ませていらしたことと思うのであります。その後において、そういう事態が生じたというのは、あるいは人事院の主張をくつがえすような、強力な主張をもつて、関係当局の了解を得た者があつたのではなかろうか。そうでなければ急にこういうふうな状態は起らないのじやないかと私は考えるものでございます。その点について、はつきり伺わせていただきたい。
○淺井政府委員 そのようなことは決してなく、人事院といたしましては、終始勧告をやるつもりでおります。現在といたしましても、この勧告を中止するとか、やめるとかいう意思は毛頭持ちません、ただこの会期にこれを具体化し得ないという客観的な事情に立ち至つただけでありまして、われわれといたしましては、来年度の予算の編成に間に合うように、これをやる決心には毫末もかわりはありません。
○戸叶委員 来年度の予算に間に合うようにというお話でございましたが、そうであるといたしましたならば、これからまた臨時国会もいろいろ開かれるでしようが、その間には一体どういうふうな態度をおとりになりますか。あるいはまた大蔵大臣が四月にならなければ引上げないというようなことを言われておりますが、それと同調してでなければ勧告をなさらないかどうかも、もう一度伺いたい。
○淺井政府委員 私は大蔵大臣と同調する意思を毛頭持ちません。それは望ましいことかも存じませんが、人事院といたしましては、過去においても決して政府と同調をいたして云々というようなことはないのであります。
○戸叶委員 ただいまの人事院総裁のお言葉で、安心していいのかもしれませんけれども、しかし実際の状態を見ますと、先ほど大蔵大臣もすでにお認めになつておりましたように、物価は上昇しつつあります。物価と賃金の均衡がとれなければならないと思いますが、そういう建前から、物価は上つているのは認めながら、賃金は来年まで上げないというような、鬼の笑うようなことを言われておるようでは、あちらこちらに自殺者や、食べられなくなつて行く人たちがたくさんできまして、重大な社会問題が起きて来ると思うのですが、それに対しまして人事院総裁はどういうふうにお考えになるかを伺いたいと思います。先ほど人事院総裁が第三十八條の勧告権については、はつきりお認めになつていらつしやるように了承いたしましたから、ぜひともこの際強力なる勧告をさらに政府にお続けになつていただきたいと思うのですが、その点についてはつきりお伺いしたい。
○淺井政府委員 人事院が勧告をやりますについての基礎となつております物価云々等のことにつきましては、人事院は決して大蔵大臣の見解に拘束されるものではございません。われわれは現在の給與ベース、六三ベースというものは低きに過ぎるという見解を持つておりますることは、すでに御存じの通りだと思つております。ただ前に出しました七八ベースの勧告は、すでに国会の手元にも出しており、これが今日死んでおるものとは決して私は考えませんし、参議院におきましては、実は継続審議をお願いいたしておるような次第になつております。ただこの勧告のデータは、昨年の七月でございまするからして、これをもう少し最近の取扱うべきデータに改めて、再び勧告をすることがわれわれの職責じやないか、そう思つた次第であります。大体の見当といたしましては、七千八百七十七円の勧告を下まわるような数字は決して出ないように思つております。
○勝間田委員 今人事院総裁は、来年度の予算には云々したいということを言われておりましたが、先ほども大蔵大臣は、できれば一月からでもやりたいということを実は答弁されておるのであります。そういたしますと、むしろ大蔵大臣の方が熱心であつて、あなたは来年の四月からと言うのであれば、これは非常な不熱心なことになろうと思います。結局それはなぜであるかといえば、あなたの考え方は、予算にとらわれがちな態度をとつていらつしやる。あなたが予算にとらわれて、人事院の勧告権というものを左右し、あるいは躊躇して行くということでありますならば、現在人事院が認められたあの特殊な地位、それから公務員を守らなければならぬ特殊な地位というものを、あなたの考えの基礎の上に立つてものを考えて行きますると、私は人事院そのものの存立に対して非常に認識が欠けているのではないかと思う。要するに、勧告権というものは物価なり生計費なりの問題が五%以上に増減する場合には勧告しなければならぬことになつておる。その生活の基礎というものを、あなたは正確につかまえておればよろしいのである。その正確につかまえられた勧告に対して、予算的に措置するかしないかは、政府であり、あるいは国会であるけである。その国会あるいは政府に関係なく、あなたは勤労階級の生活そのものをじつとながめて、それに対して勧告権を発動して行くのが真の人事院の運営ではないかと私は思う。今日はやむを得ざる事情ということを言われたが、この前の新聞を見ますると、参議院のあなたの答弁においては、財政上困難なる事情が生じたのでということが言われておる。私がそこに非常な疑惑を持つのは、財政上云々の問題ではなくして、あなは忠実に人事院の性格を守つて行くべきだと思う。それができなければ人事院の存在価値はない。私にはさように考えられるのであります。そして、先ほどの大蔵大臣の答弁にいたしましても、今の態度にいたしましても、またこの前のいかなる答弁にいたしましても、私はそこに人事院の性格そのものに対して非常な疑惑を持つものでありまして、この点について明快にやつていただかないと、今日まで仲裁裁定の問題につきましても、何の裁定にいたしましても、法律できめられたことが忠実に行われず、それを国会及び政府がいかに取扱うかは一応別問題といたしまして、全法律の運営が、及びその基礎がくずれて来るのではないかと思う。けの意味において私はあなたの所見をこの際はつきりお尋ね申したいと思います。
○淺井政府委員 勝間田さんにお答え申し上げます。第一の問題は、大蔵大臣が私よりも給與の引上げに熱心であるとおつしやるかのごとき御口吻でございますけれども、政府の考えておられますように、まず暫定的な何がしかの措置をいたし、さらにまた本格的に上げるというようなことは、私どもは考え得ないのであります。これに財政上の御都合によるところから来るのでございまして、私は暫定的であろうと、恒久的であろうと、公務員の給與というものはこれくらいにしなければならぬということだけしかできない。またそれでいいと思つておりまするからして、人事院が決して大蔵大臣よりも、この問題について不熱心であるとは、私どもは毛頭自覚はいたしていないのでございます。なお予算との関係についてお尋ねになりましたが、まことにごもつともではございまするけれども、私どもがこの勧告というものを、予算に拘束せられてなし得ないという方針をとつておることは絶対にないのでございまして、ただ現在この予算との間の拘束関係が生じておる客観的な事情によつておるということだけを申し上げたにとどまるのであります。
○勝間田委員 答弁にならないと私は思うのであります。現在の客観的情勢が予算との関係において、困難な事態に達しておると今御答弁になりましたが、予算との関係において困難な事情ということは、法の運営の基礎を私は誤つておるのではないかと思う。これはいかなる関係方面であられようとも、私は真に法治国家としてやつて行く上においては、正しきものは正しいと主張するのがしかるべきだと思う。予算の立場上困難なる客観情勢ということでありますならば、その立場は法の精神を間違つておると思う。だから人事院総裁は、その考え方に対してどうお考えになつていらつしやるかをお尋ね申し上げたい。
○淺井政府委員 私の答弁が少し不十分でありましたために重ねてお尋ねをこうむつて恐縮でありますが、公務員法の立場といたしましては、本来予算とは無関係に勧告ができるのである。この方針については、毫未も私の考えはかわつておりません。ただ現在の状態、予算と若干の拘束関係が生じておるとだけ申し上げましたが、そのために人事院の勧告も出し得ない状態にたつておる、こういうことでございます。
○林(百)委員 これは非常に重要な問題だと思いますが、人事院の勧告というのは、それを執行する政府の予算的な考慮、あるいは政治的の考慮とは別に、あなたの先ほど言われるように、公務員の給與は現段階においてはこうあるべきだというものを、あなたは示せばいいのである。それを政府がどう実行するかということは、これは政府の責任になると思う。ところがあなたの先ほどの答弁、またあなたの従来のいろいろの態度を見ますと、政府と打合せをして、政府が実現できそうだという、そういう見通しがない場合には、勧告もしないし、また勧告をしても政府が責任を持つて実行できないらしいということになれば、取消しまでしているようであります。それでは人事院規則の勧告権というものが、全然本来の立場を失つていると思う。だから人事院の勧告というものは、その勧告を実行する政府の政治的な責任、あるいは行政的な責任、それとは別個に勧告をなすべきだと思いますが、その点のあなたの所信をはつきりお聞きしたいと思います。先ほどのあなたの御答弁をお聞きしておりますと、政府の何か行政的な責任、予算を執行する責任、そういうものとからみ合せて、あなたの勧告権にブレーキをかけておるようなことをみずから言つておると思う。それは非常に本来の勧告権と違つた解釈をあなたはされておると思う。そしてそういう間違つた見解のもとで勧告をされておるということになりますれば、これは人事院の存在の意義がなくなると思う。その点もう一度、根本的なあなたの信念をお聞きしたいと思います。
○淺井政府委員 林さんからのお尋ねでございまするけれども、人事院が七千八百七十七円の勧告をまだいたしません先に、内閣総理大臣は施政方針の演説の中で、はつきりと給與ベースは上げないと仰せになつておることは、御記憶に新しいことだと思います。にもかかわらず、人事院はちやんと勧告をしておるのでございますから、決してただいま林さんの仰せになりましたように、人事院が内閣と談合して勧告をやめているとか、あるいは内閣の鼻息をうかがつてやめたというような事実はないのでありまして、私はその点は非常に心外に思つております。私どもといたしましては、勧告をできるだけ早くやり得るようになればすぐにでもやりたい、そういうふうに考えております。
○林(百)委員 これは重大な問題ですから、お尋ねしたいと思いますが、客観的な情勢、あるいは戸叶さんの話にもありましたように、すでに物価は上つております。それから家賃、地代その他もだんだん上つて来ております。そうすると昨年の七月勧告された七、八ベースは、すでに人事院の観測するところによつても、もう次の勧告をなすべきときだと思います。これをなぜあなたとしてなさらないか。先ほど申しましたように、政府と談合するのでないならば、あなたは公務員の賃金ベースという面だけで、何ものも顧慮することなくして、ここで再度の勧告をなすべきだと思います。それをしないというならば、なぜされないか。先ほどのあなたの言葉の中には、何か予算とからんだ客観的な拘束力というものがあつて、これが勧告をはばんでおるということを、はつきり言つておるのです。そうすると、あなたの先ほど言われた、純粋に、人事院というものは何らの政治的な顧慮もなくして、勧告をなすべきだというあなたのその信念が、今度の勧告については、それが非常にブレーキがかかつておるのです。だから私がここでお聞きしたいことは、ここであなたは再び断固新しい勧告をなすべきであるということが一つと、それから、このこととはあなたも一度認められているにもかかわらず、それを取消された、しかもその取消した理由としては、予算並びに予算とからんである客観的な情勢に拘束されて、遺憾ながら勧告はできないのだと言われておるけれども、これはどういうことか、もう少し具体的に言つてもらいたい。そうでないとあなたの先ほどの私に答弁をした、純粋に人事院は、経済的な面から、公務員の生活の面からだけで勧告ができるという、あなたの所信を貫いたことにはならないと思う、その点をもう一度答弁していただきたい。
○淺井政府委員 第一点といたしましては、人事院はできるだけすみやかに勧告をいたしたいと思つておる気持には毫末もかわりがないのであります。第三の、事情を詳しく説明せよという仰せでございますけれども、私といたしましては、その点に関してはこれ以上お話をいたす自由を持ちません。
○林(百)委員 これ以上説明できない事由というのは、それはどういうことですか。はつきり言つていただきたいと思います。人事院に対して何かそういう拘束があるのですか。
○淺井政府委員 政府の一機関である人事院といたしましてはこの問題についてはこれ以上お答えすることができない地位にありますので、この点はあしからず御了承を願いたと思います。
○林(百)委員 そうすると、答弁が矛盾しておると思うのです。あなたとしては、政府の予算的な、行政的な責任とは別個に、七八ベースの勧告もしたじやないか。談合なんか決しておらないと言つておきながら、七八ベースをわれわれに説明する場合には、政府と談合していないということをはつきり言つておきながら、今度の勧告を取消す抗弁としては、政府の一つ行政機関である以上、政府から拘束を受けるのだということになると、これは答弁が矛盾しているじやありませんか。
○淺井政府委員 そこのところは、私の答弁は決して矛盾していないと思うのであります。政府の一機関というのは、人事院が内閣の所轄庁である地位にあります関係上、その特殊の事情について、これ以上お話ができないということだけを申し上げたのでありまして、決して内閣の拘束を受けて勧告ができなかつたと、そういうことではないのでございます。
○林(百)委員 それでは私はもう結論を出しますが、いろいろと弁解はしておりますが、明らかに人事院総裁は、政府の手先として、政府と談合して、首鼠両端の態度でやつておられる。それでは私は、人事院の存在意義はないと思う。少くとも人事院総裁である以上は、政府の行政的な立場とは別個に、この苦しい——実際あなたは御存じだと思うが、せめてこの苦しい公務員の生活を、政府を督励して賃金べースを上げさせるためには、二度でも三度でもいいから、かりにむだだまになつてもいいから——人事院から勧告が出ない限り、しりの重い自由党がどうして動きますか。そこにこそあなたの人事院総裁としての立場があると思います。私は私一個の考えでなくして、全公務員の生活のことを思うならば、そういうあなたの保身の術や、あるいは政府に対する顧慮は捨てて、断固ここで、むだだまになつてもいいから、二度でも三度でもいいから、客観的な情勢に応じて、正しい勧告をどんどんすべきだということを、私はあなたに勧告して質問を終ります。
○淺井政府委員 一言申させていただきますが、人事院の過去の立場からごらんくださいますれば、決して内閣の手先でないということだけは、十分御了承くださることだと思つておる次第でございます。
○戸叶委員 法治国家として、関係当局にいらしたときも、おそらく日本の国の事情を最もよく知つている日本人が、科学的な、そしてまた合理的な理論の裏づけがあるならば、相当わかつてもらえると思うのであります。どうぞその誠意をもつて、一刻も早く、また前のお考え通り勧告をお続けくださることを私は要望いたしまして、質問を打切ります。
○小坂委員長 本日はこの程度にとどめまして、明日は午前十時より開会いたします。 これにて散会いたします。 午後四時五十九分散会