法務委員会 第9号
- 発言数
- 39 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1950/07/31
会議録
○田嶋委員長代理 これより会議を開きます。 先日の委員会におきまして御協議いただきましたいわゆる限時法に関する経済統制諸法令の整備の問題につきまして、引続いて御協議を願いたいと思います。
○北川委員 限時法の取扱いに関しましては、学問的にも幾多の議論もありますし、またこの法律の制定せられるにつきまして、その及ぶ効果がきわめて大きいのでありまして、もつともつと資料を集めていろいろ研究をするとか、十分なる準備が必要であると思われるのであります。従いまして継続審議として取扱いますよりも、専門員におきましてこの法律の施行によつて及ぶ範囲などを、実際問題につきまして研究する必要があると思うのであります。さような意味合いからいたしまして、継続審議といたさないで、専門員において十分なる調査をするという限度にとどめておかれることを希望いたします。
○田嶋委員長代理 北川君からただいまのような動議が出ましたが、北川君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田嶋委員長代理 それでは北川君の動議に異議なきものと認めまして、さようとりはからいます。 それではこれにて休憩いたします。 午前十一時十五分休憩 ————◇————— 午前十一時三十八分開議
○安部委員長 これより再開いたします。 梨木委員より新聞記者及び放送記者の追放に関する件について発言を求めておられます。これを許します。梨木委員。
○梨木委員 去る二十七日に、放送局の従業員並びに新聞社の従業員に対しまして、突如相当数の人々が解雇された事実があるのであります。われわれの入手した情報によりますと、その解雇にあたりましては、こういうようなことが言われているのであります。解雇した人間に対してその解雇理由といたしまして、五月三日付憲法記念日に際し行われたマ元帥からの吉田首相あての書簡並びに六月以降マ元帥から吉田首相あてに出された書簡の趣旨に従つて今回関係当局から重大な示唆がありましたので、共産主義者またはその同調者を解雇することになつたので解雇する、即刻職場から退職してほしい、こういうような趣旨のことを申し渡されて解雇されたという事実があるのであります。そこでお伺いいたしたいのは、放送局並びに新聞記者の追放は、私どもの得た情報によりますと、関係当局からの重大な示唆に基いてなされたものであるというように受取れるのでありますが、そうなりますと、放送局や新聞社の記者たちをこれこれの人間を追放しろという指令が、関係方面から日本政府に対してなされて、その政府の指令に基いて、これらの放送局や新聞社が解雇したものなのか、それとも関係当局から直接新聞社に対して追放を指示して来たものなのか、この点が明確でないのであります。そこでこれらの点について政府はどの程度承知しておるのか、まずこれをお伺いいたしたいと思います。
○大橋国務大臣 二十七日に行われました言論、報道機関におきまする共産主義者並びに共産主義同調者に対しまする解雇の処置については、これは経営者自身の自主的な判断によりまして行われたものであると聞いております。しかしながらこの自主的な判断が経営者によつてなされるにあたりましては、もとより関係当局の重大なる示唆があつたものと推察する理由があるわけであります。政府といたしましては、この新聞報道機関の経営者諸君の自主的な行動に対しましては、共産主義者に関しまするマツカーサー元帥のたびたびの書簡の全趣旨から考えまして、全幅的に賛意を表しますると同時に、かつ極力これを支援いたすものであることを申し上げます。すなわち、かくのごとき解雇は、報道の自由と真実とを使命といたしておりまするところの新聞報道機関の本来の目的にかんがみまして、今日のわが国といたしましてはきわめて適切なる処置であり、解雇につきもとより正当の理由あるものと考えておる次第であります。
○梨木委員 経営者当局に当つた印象から言いますと、関係方面からの指令があつたかどうかも明確にしないのであります。そこで実際どういうように解雇措置がなされたかと申しますと、二十七日の午後三時に解雇通知を発表したらしいのでありますが、ひどいところになると、発表と同時に、五分以内に職場を追出しておる。警官がピストルを突きつけて退出を迫つたというような事実、あるいは自分の私物を職場へ取りに行きたいと言つても、それも許されない。それからどういう理由で解雇するのか、その解雇の理由を納得の行くように説明してもらいたいということを要求しても、これも問答無用で、その理由がまつたく明示されないというようなことがあつたと聞いておるのであります。こういうことになりますと、法務総裁の今の答弁によりますと、経営者が自主的にこういう解雇をやつたものだろうというように言われておるのであります。そうするならば、明らかに日本の法律に従つた解雇の措置がとられなければなりません。日本の法律に従いますならば、あらかじめ三十日以前に解雇の予告通知をしなければならない。また解雇の理由の説明を求められたならば、これを説明しなければならぬ。それから解雇されたからといつて職場に出入りする自由が即座に禁止されるものではない。ひどいのになると、特に本件の場合におきましては、労働組合へ出入りすることもいけないというようなことを言つておるというのであります。解雇通知が会社から一方的になされましても、その解雇を争う権利は労働者にあるわけであります。従つて単に解雇通知がなされたからといつて、従業員たる身分をただちに喪失するわけのもので、ありません。こういう関係から、日本の法律から申しまして、その職場に出入する自由はもちろんありますし、労働組合に出人する自由もなければなりません。こういうことも一切認めないようなことをやつておるのであります。この点は明らかに経営者側が日本の法律を蹂躙したやり方であると思うのでありますが、この点については政府はどういうように考えておるか。
○大橋国務大臣 これらの措置につきまして、特に法律に定めたる手続に違反して行われたということは考えておらないのであります。おそらく法律上必要な手続を経て行われたものと思つておるのであります。たとえば梨木君は、三十日の予告通知なくして、即刻解雇の効力を発生せしむるというような措置をとつたことが違法ではないかと言つておられまするが、しかしこれはわが国現行法規によりますると、三十日の予告期間を与えるか、あるいはこの期間に相当いたしまするところの労務に対する対価を提供するか、この二つの方法は、雇用の解約を申し入れる者の選択にゆだねられておるのでありまして、経営者側がその場合においてどちらの方法を選択いたしましても、それは違法と申すべき限りではないのであります。 次に解雇の理由の説明において欠くるところがあつた。こう言つておられるそうでございまするが、これは実情をいまだつまびらかにしておりませんが、しかし梨木君の御説明自体から判断いたしましても、共産主義者並びにその同調者として解雇するということでありまするならば、今日の日本の現状から見まして、報道の自由と報道の真実とを使命といたしておるところの、新聞報道機関におきまして、その本来の使命から考えまして、かかる人人を解雇するということは、これはきわめて正当なる理由があるものと考えなければならぬと思います。それからさらに、解雇せられた後においてただちに職場より退去させられなければならないという点が不当である。こう言つておられまするが、最初に申し上げました通り、解雇の契約がただちに効力を生ずるという方法において申し渡されました場合におきましては、その解雇によつて当然雇用契約に伴う一切の権利義務は一応消滅するわけでありまして、爾後職場の立ち入りについては新たなる許可を必要とすることは当然でありまして、これが退去を要求されるということについては、何ら権利が害されたというべき性質のものではなかろうと存ずるのであります。
○梨木委員 まことに驚いたことを聞くわけでありまするが、今日労働法における常識といたしまして、会社側から一方的に解雇通知がなされたからといつて、それによつてただちに解雇の効果が発生し、それ以後はその従業員が会社に出入りすることができないなどということは、これはまつたく事実に反したことでありまして、会社が一方的に解雇通知をなし、それに対しては労働者が争う権利は認められておる。だからこそ、そこにいろいろな争議の発生する余地があり、労働者が会社から一方的になされた解雇を争つておる限りにおきまして、会社に出入することを認めない限りは、労働者がこの一方的な解雇を争うことができなくなるわけであります。従いまして、こういうことは今日の労働争議においての常識でありまして、会社が解雇通知を発したからそれによつてただちに効果を発生するというようなことはないのであります。ところで今の法務総裁の答弁によりますと、それは会社が解雇通知を発すると同時に効果が発生するような形においてなされたものであろう、こう言われるのであります。だからこの点につきましては、もしも関係方面の命令が会社に直接来まして、この命令に基いてなされたいというのならば、これは日本の法律以上のものでありますから、私はこの点についてはとやかく言うのではありません。しかし少くとも日本の法律に従つて解雇するというのでありますならば、会社が単に一方的に解雇通知をなしたからといつて、それによつて従業員たる身分を失い、会社へ出入りすることができなくなるというような筋合のものでは絶対にありません。しかるに、五分間以内に出て行け、こういうことは、常識的に考えましても、基本的な人権を無視しておることであります。これが一つ。もう一つは、共産主義者並びにその同調者を追放するというのでありますが、一体どういう根拠によつて共産主義者と認定したのか、これらの問題についても争うことが認められない限りは、共産主義者並びにその同調者というレッテルを張ることによつて、経営者によつて都合の悪い者を全部追放することができるというような、まつたく労働者の基本的人権を蹂躙するような結果になり、また当時の支配者によつて都合の悪い記者を全部追放するというようなことになりまして、言論報道の自由に対する弾圧になるということは明白であります。どういう理由によつて共産主義者と認定したか、どういう理由によつて共産主義の同調者であるということを認定したか、これらのことも、解雇された人間に対してこれを明白に説明もしないで、五分間以内に出て行けというようなことで、一体どこに基本的人権の保障がありますか。こういう点について私はもう少し詳しい答弁を求めたいと思います。
○大橋国務大臣 報道機関の性質から考えまして、報道の自由並びに報道の真実を守るために、共産主義者並びにこれの同調者につきましては解雇はやむを得ないというのがわれわれの考えであります。この考えのもとに政府といたしましては、経営者諸君のこれらの行動に対しては賛意を表しておる次第であります。
○梨木委員 私は共産主義者並びに共産主義の同調者を特別に差別扱いするということは、これは憲法に違反した違法行為であると考えるのでありますが、これは一応別といたしましよう。どういう理由で、お前は共産主義者である。お前は共産主義同調者であると認定したか。この認定の基礎を示さない限りは、しまいには自由主義者までも、赤のレッテルを張ることによつて、この基本的人権を蹂躙するようなことになるのであります。はつきりした理由を示すような処置を政府は講じなければ、基本人権の保障ということはできないと思います。このことが一つと、もう一つは、今の法務総裁の答弁によりますと、共産主義者は言論報道の分野から追放してもよろしいのだ。こういうことをはつきりおつしやるが、一体どういう理由で共産主義者だけそういうことをしてよろしいか。憲法に思想信条によつて差別扱いをしてはいかぬということが書いてあるではありませんか。これは明らかに憲法を無視することではありませんか。どういう理由でそういうことが言えるのですか。
○大橋国務大臣 憲法全体の趣旨は、憲法の目的、すなわち民主主義を守るという精神において解釈せらるべきでありまして、私どもは報道の自由並びにその内容の真実性が確保せられることが必要であるところの新聞報道機関の性質から考えまして、共産主義者諸君が好ましからざる存在として追放せられるのは、これは何ら憲法上さしつかえない、かように考えております。
○安部委員長 梨木委員にちよつと御相談申し上げますが、法務総裁は地方行政委員会の方に出席しなければならぬのでありますから、できるだけ簡潔にお願いいたします。
○梨木委員 私も共産党員であります。今日共産党の党員で国会に多数の議員が出ております。一体共産党員だからといつて、ただちに憲法上保障されたこの権利を剥脱するようなことがどうしてできるのでありますか。われわれは憲法のもとにおいて国会にも出て来ておるのではありませんか。それを共産主義者だという名前によつて言論や報道の陣営からこれを追放してよろしいということは、この憲法のどこからも出て来ないのであります。あなたのおつしやるように、関係方面のそういう指令があつたからというのなら、それは別ですよ。しかしそれを別にいたしまして、共産党員を別扱いにしてよろしいという根拠は、どの憲法のどこからも出て来ません。これは明らかに憲法を否認することであります。あなたはこの憲法を否認されるのですか。
○大橋国務大臣 最初に申し上げました通り、この措置は政府の発意による措置ではなく、経営者が自主的な判断に基いてなされたものであります。従いまして政府といたしましては、これについて憲法云々というようなことを言われる筋合にはないわけでありまして、ただ政府として言い得ることは、言論報道機関の社会的使命から考えまして、真実を歪曲する、あるいは特殊の政治的意図のもとに報道の内容をゆがめるというような傾向に走りやすいところの一部の分子が追放されるということは、政府として当然全面的に賛意を表せざるを得ない、こういうことを申し上げた次第であります。
○梨木委員 だから私がお伺いするのでありますが、つまり真実を曲げて報道するとか、そういう事実があるから、お前さんはこういうことをするから、これは解雇に値いするのだ、こういう理由を説明するならよろしい。しかしながら今度のやり方は、お前は共産主義者である、お前は共産主義同調者であるから解雇するという。これは思想の自由を蹂躙することではありませんか。憲法において、思想信条によつて差別扱いをしないと保障されておる日本人に対して、お前は共産主義者であるから、言論報道の分野から追放するのであるというのは、明らかに憲法違反ではありませんか。これが関係方面の指令によつて来たというのなら、私はこれを別にします。しかしそうでもなくて、今日われわれは憲法によつて思想信条の自由が保障されておるにもかかわらず、共産主義だといい、共産主義同調者だという理由で解雇するということは、明らかに憲法違反である。この点を憲法違反でないとあなたはお認めになるのですか。これを私は明確にしていただきたいのです。だから今度の解雇にあたりましても、明らかに共産主義者だ、あるいは共産主義同調者だという理由で解雇することは憲法違反です。こういう事由がある、事実を歪曲したとか、なんとかいう具体的な事実に基いてこれは報道機関として好ましくない、適切でないという理由で経営者が解雇するのなら、これはまた別でありましよう。そういうことが非常に明確を欠いておる。これをこのままにしおきますならば、まつたくこれは支配者にとつては不都合な言論報道が全部封鎖されることになる。私はこれを恐れるから、この点をこの際明確にしていただきたい。だから政府といたしましても、経営者に向いましては、単に共産主義者だから、共産主義同調者だからという理由で解雇することはよろしくない、やはり具体的な事実を示すべきであるというように指導監督することが、言論報道の自由を保障するゆえんであると思うのでありますが、政府の見解を伺いたいのであります。
○大橋国務大臣 梨木君のお話を伺つておりますと、思想だけで区別をしてはいけない、行動があればこれはまた別である。こういうお話であります。しかしながら私どもは、共産主義の諸君が単なるその思想においてのみ共産主義であつて、行動はまつたくこれと別であるというようなことを考えることは、かえつて常識に反するのではないかと思います。思想と行動というものは常に一致すべきものであり、またいつか必ず一致すべきものであると考えるのが、一般の考え方であります。従いまして共産主義者諸君の一般的な行動についての傾向でありまするところの、報道の自由並びに真実に対する妨害、これを考えまする場合におきましては、私どもは過去においてその実際の行動の立証がなかつたからといつて、経営者諸君がその思想に照して、将来新聞の社会的使命に考えまして、有害なる行動に出るであろうという心配をなさることは、これは当然のことであります。そしてかかる理由によつて解雇が行われる場合においては、これもまた解雇の理由をしては正当であろう、こう考えるものであります。
○梨木委員 最後にもう一点、私はこういうぐあいに考えておる。今度の解雇はこれはいわゆる具体的にはどういう行動があつたということはまだはつきりしておらないが、共産主義者であるということ、そして共産主義者は単なる思想だけでなく、行動と常に結びついたものである、そして将来この言論報道にとつて、政府にとつて好ましくないような行動をするおそれがある、危険がある。そういう危険を予想して解雇したということに承つてよろしいのでありますか。
○大橋国務大臣 政府にとつて好ましくない行動に出る危険があるというのではなく、言論報道機関そのものの本来の使命に照して好ましくない行動に出る危険がある、こういうことを申し上げたわけであります。
○梨木委員 つまりそうすると過去の行動から将来の行動を予想して将来そういう危険があるということで解雇したのだと、こういうことに承つてよろしいわけでありますね。
○大橋国務大臣 経営者諸君におかれましては、おそらく将来において危険なる行動があるということを、信ずべき十分なる理由があつてなされたものと考えております。
○梨木委員 政府といたしまして言論報道、これは非常に影響するところが大きいのでありまして、これらの従業員に対しまして、解雇するにあたつて、具体的に事実を示さないで解雇するということは、これはちようど戦争中に赤というレッテルをはつて、非常な基本的な人権が侵害されたと同じような危険が私は生ずると思うのでありますが、これらの点について、先ほどからも承つておるのでありまするが、政府としてはこれらの経営者に向つて、やはり解雇する場合には、もつと具体的に本人並びに世間一般が納得するような解雇理由を明示してやるべきだ。こういうように勧告なさる御意思はありませんか。そうすることによつて初めて基本的人権が保障されると思うのでありますが、これを最後に伺つて私の質問を終ります。
○大橋国務大臣 今回の措置につきましては、政府といたしましては全面的に支持をいたしております。従いましてこれに対して梨木君のおつしやつたような処置をとるつもりは持つておりません。
○上村委員 関連してちよつと……。
○安部委員長 総裁は地方行政委員会の方にいらつしやるそうですから簡単にお願いします。
○上村委員 法務総裁にお伺いしますが、共産主義者、同調者が事実の報道を歪曲する、そしてその報道が有害であるというのですが、時局は決してそんなものではないと思うのです。今世界で争つておるのは、資本主義と共産主義の争いであります。そしてお隣りに起きておる事態もまた資本主義と共産主義の争い、動乱であろうと思うのであります。そして日本はその危険の中に、この渦中に巻き込まれるおそれがあるかないかということが、非常に日本民族の興廃にとつて重大なものであろうと考えております。その時において、一方的な報道のみが真実であるというのならば、それは非常な間違いであろう。共産主義と資本主義の争いの場合に、共産主義の報道を全然封鎖して、一方の資本主義だけの報道をするということがいかに危険のものであるか、民族の興廃にとつて最も重要なる時期において、さような考え方を持つということは、これはまつたくその方が報道の危険を冒すのでないかと私は思うのでありますが、それに対する明確なる御答弁を要求いたしておきます。
○大橋国務大臣 言論報道機関の本来の使命といたしましては、資本主義の立場からする報道とか、あるいは共産主義の立場からする報道というような、さような二通りの報道があるべきものではない、報道はただ唯一の真実のみを公正に伝えるべきものである。これがすなわち私は報道の使命であると考えております。
○上村委員 その点でいわゆる共産主義者が真実の報道をしないというその認識が、一方的であり独断的であろうと思うのであります。いやしくも新聞記者である以上は、思想は自由であり、その思想に基いて観察し、その観察に基く事実というものがあるならば、それはどんどん報道してどこに報道の歪曲があり、どこに報道の有害があるか。その点を明確にお答え願いたい。
○大橋国務大臣 従来の実績によつて明らかであります。
○梨木委員 今法務総裁が答弁されたようなそういうことをやつておられますと、戦時中にわれわれが経験したように大本営発表だけしかわれわれは耳に聞かされなかつたのだ。その結果八月十五日ふたをあけてみたら、われわれは勝つたと言われていたのが負けていた。こういうことが今後起らないか。この点です。従つて今法務総裁が私にこう答弁された。今度の経営者のとつたこのような措置を、政府は支持するとおつしやつた。政府がこういう経営者のとつた措置を支持することになりますならば、どういうことになりますか。今度の経営者のとつた措置というものは、何ら具体的な事実を示さないで、お前は共産主義者である。お前は共産主義同調者であるということで、解雇の発表と同時に五分以内に退去しろというような、こういう乱暴なことを政府が支持するということになりますならば、これは明らかに国民に一方的な報道をしいることになる。明らかに言論報道の自由に対する弾圧を政府が支持し、支援するということになります。そう解釈してもよろしいのでありますか。
○大橋国務大臣 民主主義的な基礎に立ちまする真に公正なる真実のみが報道せられまして、共産主義者諸君の一方的なる報道の機会が妨げられるということは、私は決して言論の圧迫でもなく、また軍国主義時代における新聞統制とはまつたく趣を異にしておるものである、かように考えます。
○安部委員長 梨木委員、いかがですか。
○梨木委員 もう一点であります。ところが法務総裁はそうおつしやるけれども事実現在の首切りの問題に関連いたしましても、首を切る者と首を切られる者があるのですよ。切る方はいろいろなことを一方的に報道する。切られる人間は、この切られたことについて大衆に訴える。この自由が保障されないで、一体この首切問題一つとらえましても、大衆に真実を報道できますか。そういうような事実を無視した現在の社会においては、支配する者と支配される者、搾取する者と搾取される者、首を切る者と切られる者、この二つの対立がある。この対立する一方の人間のいろいろな事実の報道を禁止しておいて、それで真実が報道されておるということは、明らかに観念的であり、現実を無視した見方である。そういうやり方に対しては、政府のそういう考え方、そういう政治のとり方に対しては、私は絶対反対します。
○大橋国務大臣 私どもは真実はただ一つでありまして、真の使命を自覚いたしましたる言論報道機関は、常にただ一つの真実を公正に報道すべきものである、こう考えます。今梨木君はこの問題について、あるいは社会のもろもろの問題について、いろいろな利害の対立がある。こう言われまするが、しかしながら真実の報道という面におきましては、私は何ら対立のあるべきものでない。この間においてただ一つの真実のみが、社会の国民のために公正に報道せらるべきものである。かように確信をいたします。これが政府の考えるところであります。
○猪俣委員 これは別問題でありますが、今言論の自由が問題になつておりますが、先般私が当委員会でもつて横浜地検の問題につきまして調査方を御依頼しておつた。ところが、三十日付の東京新聞を見ますると、「猪俣代議士に反撃」という題でもつて、「二十八日の衆議院法務委員会で社会党猪俣浩三代議士の投じた横浜地検粛正問題について、同地検栗岡検事正は廿九日声明を行い、猪俣代議士の言は横浜地検を冒涜するものであり同代議士の行為につき何らかの手段をとると強硬態度を示している」かような記事が出ておるのであります。私はこの声明の本文を読んでおりませんが、法務総裁にお願いいたしたいことは、どういう声明を横浜地検が出したのであるか。「同代議士の行為につき何らかの手段をとると強硬態度を示している」とあるが、どういう態度をおとりになるのであるか、私の院内においての発言でありまして、憲法に保障せられたる議員の職責に基く発言に対して、かような声明を発せられ、何か私の行為について適当な「何らかの手段をとる」という強硬意見を発表されておる。そこで横浜地検が私に対してどういう強硬態度をおとりになるのであるか、ひとつお答え願いたい。なお私のところにはいろいろな情報が入つて参りますけれども、私はそのうち最も確実なりと信ずるものだけ当委員会に発言をいたして調査方を依頼した。先般私が質問いたしましたことは、最も確実なる情報なのであります。これは私が人名をあげますならば、皆さんもうなずかれる。その情報に基いて私が質問申し上げたもので、荒唐無稽な暴露質問をやつたのではない。しかも私は人の言うことだけを信ずるわけに行かないから、調査してくれいうことを、法務総裁に御依頼申し上げた。しかるにかような脅迫がましいところの声明を発せられるにおいては、院内におけるわれわれの言論の自由さえ圧迫せられるのではないかと思われる。この点につきまして、横浜地検の声明書に表明せられております私の行為につき何らかの手段をとるという強硬態度というものは、どういう意味であるか、お調べ願つて、休会になりましたならば、専門員室へひとつ調査の結果を御報告を願いたいと思うのであります。私どもの党といたしましても、私はこの議員の憲法に保障されましたる言論の自由に基きまして、対策を講じなければならぬとも考えられるので、法務総裁にお願いいたしておきます。
○田嶋(好)委員 私からも一言、猪俣委員の質問に対して関連して申し上げます。かりに、あの新聞記事の声明の伝える内容が真実のものであるといたしまするならば、これはたいへんな検察当局の、特に横浜検察庁の行き過ぎだと断定せざるを得ません。特に法務委員会の権威、名誉というものを傷つけたところ大なるものがあると思いますので、特に私からもこの点に対しまして、発言をいたしまして、法務総裁の御善処を願いたいと思います。
○大橋国務大臣 法務府といたしましては、先般猪俣君からの調査の御要請に対しましては、なるべくすみやかに調査を進めるということを当時お答え申し上げました。その通りただいま調査をいたしておる次第でございます。その結果につきましては、近くお答え申し得ると存じております。またただいまの声明書云々のことにつきましては、私うかつにもただいま初めてお話しによつて伺いましたような次第でございまして、これまたきわめて重大なる問題でございまするので、すみやかにその内容を明らかにいたしまして、適当なる方法によつてお答えをいたしたいと思います。
○安部委員長 各委員の方に一言ごあいさつ申し上げます。法務委員会におきましては、内閣提出の諸案、並びに当委員会提出の法案、いずれも審議いたしまして、きわめて迅速に取運びました。皆様方の御努力に対しまして、委員長といたしまして、深甚の感謝の意を表するものであります。 これをもつて散会いたします。 午後零時十八分散会