法務委員会 第7号
- 発言数
- 127 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1950/07/28
会議録
○安部委員長 これより会議を開きます。 まず検察行政及びこれと関連する国内治安に関する件を議題といたします。発言の通告がありますからこれを許します。猪俣浩三君。
○猪俣委員 特審局長にちよつとお尋ねいたします。昨日、在日朝鮮民主女性同盟の代表者が党へ陳情に参りまして、党の参議院議員の加藤シヅエ女史が面会いたし、詳細に事情を聽取いたしたのであります。在日朝鮮民主女性同盟なる団体が解散を命ぜられるにあらずやというような趣旨が、去る二十日の都下の新聞紙上に出たというので、特審局へもたびたび質問に行つておるけれども、要領を得ないということであります。この朝鮮民主女性同盟というものは、三分の一は日本人だそうでありまして、日本人にして朝鮮人の妻になつておる人たちだろうと思うのでありますが、何ら政治的の活動をしているにあらずして、朝鮮語の練習とか文化活動のようなことをやつておる団体であつて、どうしても解散を命ぜられるような団体じやないのであるけれども、何だかそこに薄気味の悪い点があるのではつきりさせていただきたいということを陳情に参りました。加藤女史がいろいろテストをいたしましても、どうも政治的にはあまり思想のない人たちだつたそうであります。そこで局長にお尋ねいたしたいことは、この在日朝鮮民主女性同盟なる団体について、特審局で何らかの措置をおとりになるのであるかどうか。その点をお聞かせ願いたい。なお措置をとるものなりとするならば、どういう理由で、いかなる点が団体等規正令に違反するのであるかということを御説明願いたいと思うのであります。
○吉河政府委員 御質問の趣旨に御答弁いたしますが、本日詳細な資料を持参いたしませんので、私が覚えておる範囲内でお答えいたしたいと思います。 御質問の女性同盟につきましては、その活動が団体等規正令第六條の活動をなすものということが具体的に認められましたので、先般団体等規正令に基く要届出団体と認定いたしまして、その代表を特別審査局に招致いたしまして届出を勧奬いたしました。ところが女性同盟の代表者はその趣旨を了としまして、これを全国の支部末端組織に至るまで通牒を発して、届出を励行しようということをお約束して帰りました。その後女性同盟につきましては、他の団体と同様にその動向は監視しておりますが、先般御質問のような解散云々の新聞記事につきましては、全然関知しない事柄でございまして、どうかこの点御了承願います。
○猪俣委員 そうしますと、団体等規正令第六條によつて届出をしろという注意をなさつたのにすぎないのでございますな、ただいまのところでは……。
○吉河政府委員 私どもはこの団体等規正令の運用といたしまして、民主化促進の見地から、いわゆる政治的な活動をする団体は届出を勧奬いたしておりますが、しいてこれに応じない場合は罰則の問題も出て来ると思いますが、非常に愼重な態度で勧奬をいたして、逐次届出があるものと考えております。
○猪俣委員 同じく特審局長に、これは実は私突如としてきよう御質問申し上げるのでありますから、局長もあるいは材料をお持ちになつておらぬと思いますので、御存じないならば、次の機会に御答弁願えばけつこうと思うのであります。ただお尋ねだけしておくのでありますが、それは千葉県の印旛郡の志津村の村長以下の追放令違反問題についてでありまして、これはこの村におきまして、村の村議会の書記やら農地委員会の主任書記やら、そういうものが、いわゆる追放令該当者が就任しておつて、これが社会党の志津支部の摘発によりまして特審局が活動せられまして、この追放令該当者の書記あるいは農地委員会の書記、そういうような人数名にわたりまして辞職をし、なお村会議員が十六名のうち、十一名もそういう問題にからんで辞職をしたという村でありますが、その後なお時の村長の奥津昌雄という人物にたびたび反省を促したにかかからず、依然前村長にして追放に該当されて、今引退しておりますところの鈴木覚之助、あるいはなお追放者としてやはり引退しておるはずの秋本市太郎、こういう者たちが選挙管理委員長である友野富三郎、こういう者と、あるいは村会議員の選挙、あるいは農地委員の選挙について、その謀議をするとともに、実際の運動の指令を出しておるというような事実があつて、これも特審局に上申しておるのであるが、何らのお取調べがないことであるから、どういういう事情であるか調査してみてくれろという請願が出て来ておるのであります。この千葉県印旛郡志津村のかかる事案につきまして、特審局で何か材料をお持ちでありましたら御答弁願い、材料がなかつたならば、なおお調べの上次会に御答弁願いたいと思うのであります。
○吉河政府委員 実はただいまその資料を持つておりませんし、また失礼でございますが、記憶にございませんので、具体的なことは御答弁できませんが、いやしくも追放者の勅令一号違反の申告がございました以上、できる限りすみやかに調査しまして、違反の有無を決定して処置いたすということは必ずお約束いたします。本件につきましても、至急に、いかなる処置が講ぜられておりますか、調査いたしまして、後日御答弁いたしたいと思います。御了承願います。
○安部委員長 猪俣君にお諮りいたします。ただいま大橋法務総裁が見えておるのでありますが、法務総裁は他の委員会にも出席しなければならぬのでありますし、ただいまの問題はしばらく中止いたしまして、法務総裁に対する御質問から始めていただきたいと思います。
○猪俣委員 法務総裁が他にお急ぎであるかもしれませんが、簡單に、これは答弁は今ここでただちに要求するのじやないのであります。ただ法務総裁として御記憶願いたいのみならず、これを調査して、他日本委員会にその結果を発表していただきたいと思います。これは刑政長官でもいいのでありますけれども、法務総裁がおいでになつておりますから、お聞き願いたいと思います。これは横浜の地方検察庁の検察事務官山森政雄なる人物に関する奇々怪々なる事実が私の耳に入つたのであります。この山森政雄なる検察事務官が昭和二十二年四月に横須賀の追浜の附近にあります博徒の親方の飯島某なる者を強盗の嫌疑でもつて取調べた、ところがこれをそのまま釈放してしまつたのであります。しかるに同年の夏になりまするとこの山森検察事務官が、自分の取調べきした飯島某なる博徒の家へ訪問いたしまして、五万円の借疑を申し込んだ、ちようど飯島はそのとき金の持合せがなかつたが、雑談の末に、自分はピストルがあるけれども、たまがないのであるが、何とかたまの心配をしてもらえぬかと相談をしかけた。山森は自分にたまがあるから売つてやると称しまして、二十数発ピストルのたまをこの飯島の使いとしてとりに参りました子分の松本という者に売つてやつたのであります。飯島はこのたまを裏の山でもつて試射をした。これはいずれも九四式のピストルのたまであります。かような事情がなぜ発覚したかと申しますと、この飯島某なる者は強盗罪で懲役十年の刑が確定いたしまして、今日千葉刑務所に服役しておるのでありますが、この千葉刑務所の中から横須賀の市警察署に対しまして、こういう事情一切を書きましたるところの手紙が来たのであります。この手紙によりまして、山森検察事務官の非行が新たに出て来た。この山森という人は、元横須賀の警察署の巡査部長か何かをやつておつた男だそうでありますが、その当時占領軍の命によりまして、一般の民間からピストルを出させて、これを連合軍に引渡すということをやつた。しかるにその間にピストルが三ちよう及びたまが行方不明になつておつた。それがどうもこの山森が隠したのではないかという疑惑が生じまして、横須賀市警はその手紙を受取りますと、横浜検察庁の石渡検事に請求いたしまして、この山森検察事務官を逮捕したのであります。しかるに逮捕後、山森の自宅を捜索いたしましたところが、短刀が二本出て来た。数万円の金が出て来た。なおこの山森が検察事務官をやつておるころ、山森の自宅附近に強盗殺人事件があり、なおこの逮捕に向いましたるところの巡査が一名射殺されておるのであります。これは戸村という横須賀市警の巡査でありますが、そのまま迷宮入りに相なつてしまつた、はなはだ疑惑に満ちた事件であります。この山森検察官を石渡検事が調べておりますると、彼は石渡検事に対しまして、おれを調べるならば、自分の知つている検察庁の内部のことを洗いざらいぶちまけるということを言つて、脅迫したのであります。そういたしますると、どういう話がついたのでありまするか、この山森は釈放された。しかしその受取人として出ておつたのは、元横浜の地方検察庁の検事をやつておりました村山という人、今は弁護士をやつておる人が、もらい下げて帰つたというので、横須賀の市警、あるいは田浦の警察署、あるいはその他の警察関係に対して、多大の衝動を與えておるという事案があるのであります。この件につきまして御調査を願いたい。これは田浦警察署の巡査部長をやつておりまする長島、あるいは横須賀市の市警本部に勤めておりまして、今三崎の警察署長になつておりまする渡辺、こういうものをお調べくださるのみならず、千葉の刑務所に今服役いたしておりまする飯島某をお調べくださるならば、事理はきわめて明白に相なると思います。検察庁におきましてこれをお調べいただきますとともに、なお委員長にお願いいたしまするが、当法務委員会におきましても、国政調査としてこれをお取上げいただきまして、この事実の徹底的糾明をしていただきたいと思います。横浜検察庁につきましては、前から幾多の疑惑がありまして、第六国会のときにも、われわれ法務委員会が相当活躍したのでありますけれども、どうも事がその徹底的の核心まで迫らなかつたうらみがあるのであります。またこういう事案が起きて参りましたので、これをきつかけにいたしまして、この検察庁内部にもし腐敗がありまするならば、これを爬羅剔抉しなければならぬ。今日公団初めその他におきまするところの官紀の紊乱は、言語に絶し、その大元締めでありますところの検察庁内部にもし腐敗がありまするならば、救うべからざる国家の状態に陥ると考えまするので、私は徹底的にこれを糾明していただきたい。法務府におきまする御調査と相まつて、当委員会におきましても、これを御調査くださらんことをお願いしたいと思いまして、法務総裁のお忙しいのをお引きとめて、お耳にだけ入れておくのであります。これは突然持ち出したことでありますから、御答弁は、調査の上していただいてもけつこうなのであります。これは容易ならざる事案だと私は考えるのであります。こういう事実についての調査方を要求するだけでありまするので、しかるべくお願いいたします。調査していただけますかどうかについてだけ、御答弁をいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 ただいま猪俣君からお述べになりました事実は、最も官紀の嚴粛なることを必要といたしまする検察庁に関することでございますので、はたして事実なりといたしますならば、重大なる問題であると存じまするので、即刻調査に着手するつもりであります。
○安部委員長 ただいまの猪俣君の御提案による横須賀の検察事務官の件について、調査することに本委員会としてはいかがいたしましようか。
○猪俣委員 それはあとで理事会でも開いて、適当なときに決定していただきたい。
○安部委員長 それではさよういたしましよう。
○猪俣委員 なお法務総裁にお尋ねしたいと思いますが、これはわれわれ新聞によつて拜見するのでありまするから、その真意がわかりませんので、はなはだ執拗にして御迷惑かも存じませんけれども、確かめておきたいと思いますのは、今の日本の現状におきまして、容易ならざる点であろうと思いまするから、お尋ねするのであります。 先般当法務委員会におきまして、義勇兵の問題につきまして質問を申し上げましたところが、これは好ましからざることである。もちろんこれは総理大臣が実に明瞭に言つていらつしやいまして、その点につきましては私ども大いに安堵をいたしたのであります。法務総裁もさような答弁でありました。ところが外務委員会における法務総裁の答弁は、何だかいささかそうでもなさそうのようなふうに、新聞に書かれております。それで現在の日本の状態におきまして、これは憲法の精神のみならず、デリケートな国際状況から判断いたしましても、この朝鮮の事件に対しまして、日本が義勇兵を送るというがごとき印象を、朝鮮民族あるいは世界に與えますることは、国家百年の大計のために、実に深憂にたえないことでありまして、私は政府が強くこれを否定するとともに、なお進んで、こういう妄動を起す者に対しては、何らかの取締りをすべきことを要望いたします。しかるに当委員会におきましても、世耕委員のごときは、何らさしつかえない、どしどし積極的にやるべきだというような御意見もあり、私の質問に対する法務総裁の態度と、世耕委員が今度は反対の立場からする追究に対しまして、どうも総裁の腰が、ふらふらしているように私は観察をいたしますが、はなはだ失礼かも存じませんが、そこでなおそれに対しまする確信ある御答弁を願いたい。 第一は、朝鮮問題なんかに関して、義勇兵に応募するがごときは、政府としては絶対に好まないことであるかどうか。なおこれにしいて応募する者については、法規をつくらずしても、政府が何らかの行政的な措置をとる考えがあるのかないのか、それを明確にお答え願いたい。
○大橋国務大臣 あらかじめ御了解を得ておきたいのでありまするが、先般外務委員会におきまして問題になりました義勇兵の関係は朝鮮問題に関する義勇兵の問題ではないのでございます。そのとき私よりもはつきり申し上げました通り、わが国の現在の国際的な地位から考えまして、今回の朝鮮問題のごとき場合において、わが国内において朝鮮へ出動するような義勇兵の応募が行われるということにつきましては、これは憲法上の論議は別といたしまして、政府は好まないということをはつきり申し上げたつもりでございます。そうしてこれに対しましては、さしあたり立法的な措置は別といたしまして、事実上かかる応募が行われまする場合には、これを妨げるためのできる限りの行政措置を講じて参りたい、こういうふうに御答弁を申した次第であります。
○猪俣委員 これは総理大臣の答弁でありまするから、法務総裁が知らないと申すならばそれまででありますが、総理大臣は参議院の答弁におきまして、共産軍の侵入に対しましてこれを防衞するために国家警察隊が必要であるるというような答弁をされたと思うのであります。そこでこの国家警察予備隊のことにつきまして、なお私は御質問申し上げたいと思うのでありまするが、先般当委員が質問した際には、まださつぱり構想がきまつておらぬという御答弁でありました。しかるに新聞にはその構想なるものが次々に現われて来ておる。そこでまだ最終的な決定がなさられないにいたしましても、現段階におきまして大体の見通しはおつきになつておるだろうと思います。八月一日から政令を出すというまでの段階にもし達しておるとするならば、なおまたその筋と交渉なさるとするならば、ある程度の構想というものがあつて交渉なさつておると思う。そこで私は現段階における最終決定でないにしても、大体の構想につきまして国民がひとしく聞かんとしておるところでありますし、われわれ法務委員会としても重大な問題だと考えられますので、現段階における、現時におけるまでの大体の政府の構想の、また予想と申しますか、最終的にきまらぬにしても、現段階の程度における構想についてお聞かせ願いたいと思うのであります。 それは第一点は、この国家警察予備隊に関するいろいろの機構についてのことを政令で出すのであるかどうか。 それから第二点は、この五百億円と称せられておりまするところの財政的処置に対して、これもやはり政令にまかせるという意思であるかどうか。 それから第三点といたしましては、これは中央集権的な一大臣あるいは一長官のもとに全国的な中央集権的、あるいは集団的な構想のものであるかどうか。なお新聞の発表するところによるならば、農村の青年なんかを募集して、二年か三年の年期でこれを交替させる、そうして一定の宿舎にこれを收容しておいて、そして万一の場合に備える。なお大橋総裁は当法務委員会においては明らかにされなかつたのでありますが、たしか外務委員会なんかにおいては軽火器を使うということを申されたように記憶しておりますが、あるいは機関銃なり、あるいは軽戰車なり、そういうものを使うようなことになるのかどうか、そういう大体の構想について承りたいと思います。
○大橋国務大臣 猪俣君の御質問になりました第一点は警察予備隊の創設について法律を出すか、政令を出すかという問題でございます。これはただいまの予想といたしましては、おそらくポツダム政令になるものと予想いたしております。 次に財政的措置はどうするか。これもまた現行予算の施行のためにポツダム政令による措置がとられるのではなかろうかと予想をいたしております。 第三番目に、この警察予備隊が中央集権的な一人の長官をかしらとする全国的な一体として編制されるものであるかどうかという点でございますが、予想といたしましては、さように相なろうと存じます。 第四番目の、これらの部隊が二年あるいは三年の年限によつて交代して参るという点でございますが、この点は全然私ども予想をいたしておりません。それから宿舎に收容するかということでありますが、これはおそらくさようになることと存じます。 最後の軽火器を持つかという点でありますが、これもまた他の点同様目下研究中ではございますが、予想といたしましては、おそらく少くとも小型小銃程度の装備を持つものであろう、かように予想をいたしております。
○猪俣委員 そこで今法務総裁の予想を承つたのでありますが、さような機構を有する警察隊、さような装備を持つ警察隊が存在する、そして吉田総理大臣は共産軍の侵入に対するというふうな意味におきましてかような警察の存在を肯定されているのでありますが、私が非常に憂うるゆえんのものは、いわゆるこういう警察の名を付しておりましても、これが国防軍的な存在として外国に印象せられるようなことがあるかないか、その点について私どもは心配しているのであります。御承知の通り日本に対して侵略国であるというような印象はまだ薄らいでおらぬのであります。われわれは新しい憲法を打立てまして、どこまでもこの憲法の趣旨に従つて、この憲法に殉ずるという気魄で進まねばならぬと思うのでありますけれども、まだ諸外国におきましては日本人を信用しておらぬ。これは将来に対しまして私どもは実に警戒をしなければならぬ点であると思う。吉田総理大臣が言うような、共産軍という外国の軍隊に対するその防衞のためにかような警察隊を置くということになれば、これは私は憲法の第九條の解釈からもはなはだ疑問が出て来るのでありまして、一切の軍備を廃止するのみならず、一切の交戰権を否認しておる。学者の説明はこの交戰権は自衞権の発動としての戰争にも適用があるのだという説明に相なつておりまして、われわれも真に憲法のこの前文の平和思想から九條をながめまするならば、ここまで日本の憲法は徹底しておるものだと理解しておるのであります。国内治安のための警察隊は必要であるが、これは自衞権の問題ではない。それと混同されるような傾向があるのであります。国内の治安を維持するという意味ならば、それは自衞権の発動でも何でもない。自衞権の発動とは、外国の侵入に対する場合に使われる言葉であろうと思うのであります。そこで問題は、自衞権という言葉を振りまわし、そうしてこういう警察隊を組織することが、いわゆる軍隊が存在するような印象を外国に與えはせぬかということであります。ゆえにどこまでもこれは共産軍に対抗するというような意味にあらずして、国内の治安を維持するためのものであるとの態度をはつきりさせていただかなければならぬ。その意味におきまして、警察法の前文あるいは第一條におきまして、真に民主警察のあり方を徹底的に鮮明いたしておりますがゆえに、この警察法の改正によつて、今度創設せられるところの警察を規律してもらいたいということを、先般から要望しておつたのであります。警察法があるにもかかわらず、これをそのままにしておいて、国会の開会中であるにかかわらず、国会に諮ることもせず、特別な中央集権的、集団的な、そしていわゆる兵器と思われるような装備をしますところのこういうものを、突如として国会を素通りしてつくり上げるということに対しましては、ここに多大な疑惑があろうと思うのであります。警察法の改正によりましていくらでも事がなし遂げられるにかかわらず、かような疑問を諸外国に與えるような態度をとつたことにつきましては、われわれは納得する理由がないのであります。今お聞きするところによれば、政令で出すことは自然のようでありますが、私は返す返すも遺憾であります。そこでこれが国防軍にあらず、憲法第九條の交戰権否認の思想と何ら矛盾にあらずということを、いかように外国に印象せしめ、あるいは国内の迷える民衆にいかにこれを説明なさるか。法務総裁の御決心を承りたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 新設せられまする警察予備隊の目的というものは、あくまでもわが国内におきまする平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するに必要なる限度で、国家地方警察及び自治体警察の警察力を補助するという趣旨で設けられるものでございます。もとより外国との交戰を予想するというがごときものでは毛頭ない、かように固く確信をいたしておる次第でございます。ことにただいま猪俣君は、自衞権云々ということを申されましたが、自衞権という観念は、御承知の通り單なる国際法上の観念でございまして、この国際法上の自衞権という観念は、国内法たる日本国憲法に何ら関係なきものである。いかに自衞権として行われる場合におきましても、政府のあらゆる行動は日本国憲法の範囲内においてのみなされるべきものである、こう私は確信をいたしておるのであります。従つてかような日本国憲法のもとにおいて創設せられまする警察予備隊というものが、憲法第九條の精神に違反するというがごときことは、絶対にあり得ざることであるわけであります。しかしてこの警察隊の創設は、さらに装備その他の点において従来のものと多少違つております。しかしながらあくまでもその装備は国内治安の維持に必要なる限度に限られるべきものでありまして、さような構想のもとに進められておるということをも、あわせて御了承を願いたいと存ずるのであります。
○猪俣委員 私は今の法務総裁の御答弁のように、どこまでも自治体警察及び国家地方警察の補強の意味においての警察隊だと申されるならば、ますますもつて、何がゆえに警察法のらち外において、政令というようなことでこういうものをつくるかに対して、理解ができないのであります。なおまたそういう補強の意味でありますならば、これを国家地方警察の増員という方面に振り向けてもよかろうし、また一方においては、一旦緩急ある際に一元的な活動ができないならば、総理大臣の非常時宣言でも間に合う。ここに特別なる政令を公布し、特別なる処置をとるがゆえに、いろいろの疑惑が出て来る。ことに国際環境が現在のような状態におきまして、かようなことが突如として行われるというところに、はなはだ疑惑が出て来るのであります。私は今の警察法における警察の補強、ほんとうの予備隊という意味の警察であるとするならば、政令で出すということに対して、実に不可解千万に存ずるのであります。これは議論のわかれるところでありますし、なお自衞権の問題につきましては、私は相互御質問申し上げたい点もあるのでありますけれども、先へ急がれるようでもありますし、他の質問者もあられるようでありますので、本日はこの程度にしておきます。ただ私が御注文申し上げたいことは、これは政府のみならず、民間におきましても、今いろいろのデマが飛んでおります。私は最近かようなことを耳にした。今度の警察予備隊におきましては、その予備隊員に戰時中のいわゆる特高グループと称せられる旧官僚たちが、自分の部下を入れ込もうとして狂奔しおる。なおまた陸軍大佐の参謀でありましたが、辻政信、あるいは岩村某という将官たちが、やはり自分の部下を入れ込もうとして狂奔しておるという情報が耳に入つておるのであります。かようなことが真にあるといたしますならば、私はこの警察隊の性格というものがはなはだ危險千万な存在に転化するのではないかというふうにも考えられるのでありまして、この警察隊の上位の官僚、こういうものの人選につきましても、そういうひもつきであるかないかというようなことを十分に御考慮願いたい。今まで報道せられました構想を見ますならば、旧警察官僚をもつてみなこれに充てるようにわれわれには見受けられるのでありますが、彼らに一体ひもがついておるかいないか。相当のひもつきを出して、事実これを自分らの勢力範囲において動かして行つて、事来らば、また終戰前のような日本の軍閥官僚横暴の勢力を実現しようという野望を持つておる者なきにしもあらず、この点につきまして十二分なる調査御研究を願いたいが、法務総裁はさような御心配があるかないか。私の聞きましたことは一片のデマであるかどうかということについて、御感想を承りたいと思います。
○大橋国務大臣 人選につきましてさようなデマがあるかないかは私存じませんが、決してさような事実はないと断言をいたします。
○安部委員長 世耕弘一君
○世耕委員 私は簡單に数点、治安問題その他について法務総裁に御質問いたしたいと思います。現在の日本の警察組織で、はたして犯罪その他治安の維持ができるかどうか、お見込みはどうですか。私は現在の警察のような組織では、あのままの形で七万五千ふやしてみても、決して所期の目的は達せられないものだという前提のもとにお尋ねしておるのでありますが、この点はいかかですか。
○大橋国務大臣 警察予備隊は、現在のものの單なる増員というような形では構想されておりません。
○世耕委員 今お尋ねしました半分の御返答だけいただいたのだが、その前半分の、現在の警察組織で治安の維持ができるかどうか、犯罪捜査その他についてあれで満足しておるのか、組織変更の必要がないかということをお尋ねしておるのです。
○大橋国務大臣 現行の制度の過去における実績から見ますと、いろいろな点において改善すべき余地がたくさんある、かように考えております。
○世耕委員 それについてどういうようなお考えがあるかということを聞きたいのです。その理由として、私は現在の警察制度その他の欠陷からせつかくの犯罪捜査の上に敏速を欠いておる、実力を発揮できないという点から、特に改善の必要を要求するのです。一例を申し上げます。たとえば現在の交番のようなものは廃止をしたらいいだろう。あれを全部移動制にしてしまつて機動化する。最近われわれは道を通つてみましても、数名あるいは大きいところでもつと多く警察官が増員されておるようでありますけれども、一箇所に固まつておるようですが、あれで非常事態の発生したときに、はたして完全なる動員活動ができるかどうか、機動的な活動ができるかどうか。私はできないと思う。こういう点があるから、当然法務総裁の新しいお考えの上に新しい構想が生れて来なくてはならぬはずだと思う。そうしなければ国民は安心できません。もう一つの例を私は申し上げます。なぜ徳田君外数名がいまだに逮捕できないのですか。これはどういうところから欠陷が出ておるのですか。それとも遊ばせておくのですか。あれでつかまえるお見込みがあるのですか。それとももぐらせたままで置いておくのか。この点についても国民は疑惑を持つております。ああしておく方がいいのだというのか、あるいはつかまらないのだというのか。この点において警察の無能無力が暴露されて、実は不安を生んでおるわけなんです。そういう点を考えて、くどいようですがお尋ねするわけであります。
○大橋国務大臣 現行警察の能力が完全に発揮せられておらない原因といたしましては、急激なる警察制度の改正が行われました結果、この新しい警察制度の運用がいまだ完璧を得ておらないという点が一つあろうと存じます。この点に関しましては、でき得る限り運用上のくふう、改善によりまして、その全能力を発揮するようにいたさなければならぬと存じます。 次に新しいわが国の社会の事態というものと、はたして現行の制度とがマツチしておるかどうか、こういう点も研究すべき点だと思うのです。この点において多少食い違いがあるといたしますならば、適当な機会にこれが改善の措置を、制度の改正というような方法によりまして考えて行かなければならない。かように考えております。
○世耕委員 現在の警察の状況を見ますと、組織その他の関係からというようなところもあつたのだろうが、あまりに能力を発揮していないということを、あらゆる点についてうかがうことができるのでございます。大きな事件としては下山事件、あるいはその他の事件のごときも、ようとして一向に警察能力を発揮しておらぬ。これは警察の欠陷から来るのだろうと私は思います。もし警察の欠陷から来るということがはつきり認識されるとすれば、英断をもつて改革すべきである。ことに新任の法務総裁が大いにこの点は改善をなさるべきことをわれわれは希望いたしております。 これはこの点でおきますが、先ほど猪俣君から義勇軍の問題に関連して私の名前が出ましたから、一応私もそれについて意見を述べておきます。 私はこの間、義勇軍の問題は、憲法上の学説から学理から引例をして、義勇軍を組織してもさしつかえないという結論を申し上げたのであります。のみならず、それに対して、それぞれ権威者の意見の発表も加えて申し上げたつもりであります。私はこの機会に、その問題に触れたから、もう一歩進んで申し上げたい。 義勇軍の組織云々の問題は、実に今日現実の問題となつて現われて来ておる。憲法上の問題をひねくる時期ではなくなつて来ておる、私はかように考えております。それは朝鮮におけるところの戰況であります。三十八度線突破以来三十五度に伸びて、もうすでに大邱、釜山の一角に、連合軍側が閉じこもつておるような状態であります。もし北鮮軍が一挙に押しまくれば九州に上陸するでしよう。こういうことが想像できるのです。そういうことを言うたら悪いといつても、実は巷間そういうことが伝えられておる。なおまたその勢いをもつて北海道に上陸するであろうと言つております。北海道に上陸して、九州に上陸したら、日本がどういう結果になるかということは、おのずから明らかだろうと私は思う。先ほどのお話を承つてみると、それは三十八度線を突破した時代の話で、きわめてのんびりした議論であります。もうすでに三十五度線に侵入して朝鮮を席巻せんというときに、政府側が改めた決意を示すべきじやないか、私はかように思う。韓国軍は幸いにして武器がある。軍隊を持つておつたからよかつた。われわれは軍隊も何も持つていない。もしかりに想像してみますと、北鮮軍の背後にソビエト軍、中共軍が参加してやつて来たとするなれば、日本は一挙に葬られる。葬られた結果は、最悪の場合を想定してみましよう。ヨーロッパの実例を見ると、日本には人的資源をねらつて来るでしよう。人的資源をねらつて来て、もし米軍が一時退却することによつて日本が完全に占領されたときは、少くとも一千万人くらいの日本人は、侵入軍によつてこの人的資源を逆用される。もし世間の想像するように、世界大戰が発生するとすれば、西部戰線に送られるということは、あえて戰術家の議論を聞かなくても、われわれは常識論で一応考えられるのであります。今日世間や政府の一部ではいまだになお永世中立とか、あるいは安全保障とかいうことを言うておられるけれども、だれがわれわれの生命財産を保護してくれるのか、退却してしまわれたら保護してくれる人は、われわれにはない。無手勝流じやありませんか。空手空拳だ。上陸して来れば、われわれは手をあげるだけだ。だから中立論は、すなわち今日から念仏である。何事もあきらめて、そういうときは念仏をとなえろ。それよりはるかに方法がないのだということを政府が御指導くださるならば、またこれは考えようがある。こういう事態に差迫つて来ておるということをおそらく政府の諸君も感覚がないということはなかろうと私は思う。言うて悪いことなら言うてくれとは言わないけれども、少しは国民の気持もくんでもらいたいということを私は言いたい。どうです。その点について。
○大橋国務大臣 義勇軍の問題につきましては、先ほど来申し上げた通りに、政府といたしましては考えております。
○世耕委員 大橋法務総裁の御答弁は、結局三十八度線で戰鬪を開始した時代のお考えとかわつていない。聞いているとそういう感じがする。そういうことではなかろうと思うけれども、それ以上は申し上げません。 ついでに聞きますが、先ほどお尋ねしてまだ御返事がないのだが、徳田君外数名の逮捕状を出されたが、逮捕状を発した体面上何とかこれはあと始末をつけなければ、政府の体面もございましよう。見込みがあるのですか、見込みがないのですか。
○吉河政府委員 法務総裁にかわつて御答弁申し上げます。徳田球一氏外数名の方々の所在の発見につきましては、私どもは必ずこれを発見し得るという確信をもつて調査を進めております。どうぞ御了承を願いたいと存じます。
○世耕委員 くどいようですが、いつごろまでの御確信ですか。確信という以上、日はきめられるでしよう。確信という以上、余裕はないはずである。それともその日にちを切ることがぐあいが悪いというなら申しません。確信をなさつてから相当長くかかつておる。もつと信用のできる確信、私はこういうことを言いたい。確信がないのなら、逮捕状を取消した方がいいでしよう。その方が男らしいじやないか。逮捕状を出した以上、なぜ日が切れないのですか。これは率直な話、国民の感情ですよ。
○吉河政府委員 数々の御鞭撻をたまわりまして、まことに慙愧にたえないのであります。捜査と申し、調査と申し、いついつがという日限を限つてやるべき筋合いのものでございません。本来迅速的確にこれを取運ぶのが、その使命となつておるのであります。全力があげて努力するつもりであります。御了承を願いたいと存じます。
○世耕委員 ほかの方はそういう答弁であるいはごまかし得るかもしれないが、それはあまりにも誠意のない御答弁である。確信があるとおつしやつた。確信がおありになる以上、一応確信を信頼いたします。どうぞあざやかに結末をつけていただきたい。 次にこの機会になお一言義勇軍の問題に触れてお尋ねいたしますが、今日の北鮮軍の行き方、ソビエトの行き方を総合してみますると、これは世界各国の例を一例にとつても明らかでありますが、結局暴力をもつて世界を統一するという行き方がソビエトの行き方である。連合国側は宗教と道徳を基本にして平和のうちに世界を平和に導いて行こうというのが、すなわち国連側の行き方であります。その点はつきりしているのです。しからばわれわれはいずれに加担するかということは、これまた明らかである。この機会に中立なんていうのはあり得ない。右行きのバスか左行きのバスしか出ない。もし中立を守ることがきわめて利口なやり方だというような功利的な考えでもつて中立論をする人がかりにあつたとすれば、それはへそをかむときが来る。侵入者はあらゆる日本の資源、特に人的資源をねらつて来る。侵入者は必ず少くとも一千万くらいの日本の人的資源を西部戰線に活用するであろうという想像は、必ずしも想像として排斥できないのであります。われわれは悪い場合の結果の想像と、いい場合の想像とを双方想像して、そこに安心立命の自衞権を生み出そうと努力しているのであります。政府の指導原理というものが、もうそろそろ出て来てもいいのではないか。右か左か国民はいずれに歩むべきか。それともしばらく黙つていたらいいのかどうか。この点を私は遠慮なくはつきりしていただいたらどうか。今ずつと先ほど来の法務総裁の御説を聞いておると、まだ三十八度線あたりをうろうろしている時分の御説である。ところが三十五度線まで来て、朝鮮が全部席巻されるのもここ一週間くらいのうちでしよう。幸いに連合軍側が反撃に出ればいいかもしれぬけれども、今までの結果から見ると、反撃に出るかどうか私はあの戰況の状況を見てはつきり申し上げられない。不安を持つのであります。私と同様な国民が多数あろうと思うのであります。だから不安のないような、すつとするような暑気の下るような、きわめて大胆率直な理論をこの際発表していただきたい。しかもあなたは大政党から選ばれて出た法務総裁として、もうそろそろ腹をきめて、この際説明して下さつても、われわれの期待を裏切るものじやないと考えるのですが、その点はどうですか。
○大橋国務大臣 朝鮮におきまする事件は、世耕委員の予想しておられるような方向とは違つた方向において解決せられ得るものと私は予想いたしております。
○世耕委員 見解の相違でありますからこれ以上は申しませんが、幸いにして私の悲観的観測より、法務総裁の楽観的観測か当ることを国民ひとしく念願するものであります。しかし最悪の場合にさあ義勇軍だ、そら警官隊だ、場合によれば自衞団を組織しろとあわてないように、私は今万一の場合を予想していただきたい。火災が起つてから消火器を買いに行くような、そういう不手際はやつていただきたくない。私は三十八度線を突破したときに、ただちにそれにおつとり刀でかけつけて、一週間を出でずして三十八度線を回復するであろうということを期待していたのが、裏切られて来ているのです。それだからそういう点を考えるというと、国内が非常に不安を感じている。おそらくその不安を感じた意味から七万五千という警察隊の組織ということになつたのでございましよう。皮肉な質問をするというと、さような楽観論ならば、七万五千の警察官の募集を一時御中止になりますかということを私は言わなければならぬ。それほど楽観的に考えてよろしゆうございますか。
○大橋国務大臣 戰局の推移につきましては、私はただいま申し述べた通りに確信をいたしております。なおしからばなぜ七万五千名の予備隊が必要であるかというお尋ねでございますが、これはマッカーサー元帥の指令に基く措置であると御了承願いたいのであります。
○世耕委員 最後に一点お尋ねをいたします。今猪俣君並びに法務総裁から憲法論がお出になりましたが、相手が憲法をを守つてくれればいい。しかし侵入して来るものが憲法をやめろと言つたときにどうしますか。それでもやはり憲法を捧持して、拱手傍観しますか。そういう場合の用意がありますかどうですか。
○大橋国務大臣 憲法を守り得るものと考えております。
○世耕委員 どういうふうにして守りますか。
○大橋国務大臣 世耕委員の御質問の御趣意は、外国の軍隊がわが国土に侵入するようなことがあるのではないかという御心配に基ぐものと存じますが、私はさようなことはあり得ないと確信いたしております。
○世耕委員 よくわかりました。あり得ない場合と想像しておられますが、私はあり得ることを想像しておる。なぜかと言えば、隣の国は外国の軍隊が入つて来ておる。日本は海一つ隔てて、かきがあるわけでもなく、もし摘当な船舶を利用したらわけなく来るのです。だから私は朝鮮の事件を一つの隣の火事だと見ておる。だからあわてた議論をしておるわけであります。お立場がお立場だから、これ以上お尋ねすることはむりだと思いますが、かりに国内で憲法を破つたような行動に出た場合はどうなりますか。外国の軍隊でなくして、それは何によつて彼らを防止できますか。
○大橋国務大臣 憲法を破つた行動に対しては、それぞれこれに対する措置は憲法自体に準備してあることと思います。
○世耕委員 憲法を破つたときの対策は、憲法の中に書いてないと私は見ておりますが、最悪の場合を想定しなければならないと私は思う。大橋総裁の気持はよくわかります。わかりますけれども、私はしいて国民の心情をあなたの感情に映しておきたいから、しつつこくお尋ねをするのであります。実際を言うと、これは意地の悪い質問ではない。憲法を破るような行動が発生した場合に、今の警察で守れるかと言うのです。わずか七人や八人のもぐつたような者すらつかまえられない警察が、たまたま今の話によると、歩兵銃くらい持たしてもらう。しかしそれはむちやです。あんなものに頼つて、われわれ安心しておられない。もうすでに疎開している人があるではありませんか。疎開の必要はないと、なぜあなたは言われないのか。政府はのんびりしているかしらぬが、国民は神経を非常にとがらしておる。できればこの機会に、大船に乗つた気持でおれにまかしてくれと一言言つてくれぬかと、実は根掘り葉掘りあなたに聞いているのです。今私は飛び飛びに申し上げておりますが、総合的にお答えくださるならば、ひとつ総理と相談して当局の腹構えをお聞かせ願いたい。私は今日、時間がおありにならないようだから、この程度に留保させていただきます。重ねて申しますが、三十八度線が突破されて五度になつて、まさに朝鮮が食うか食われるかの最後の段階になつて来ているのだ。そういう場合になつているときに、政府どんな腹を持つているのでありますか、お伺いいたします。
○安部委員長 世耕委員にお諮りいたします。ほかに発言の通告もありますから、どうでしようかこの辺でひとつ……。
○世耕委員 先ほど申しましたように私の質問は一応これで打切りますが、この次はひとつ総理とも御相談くださいまして、国民の安心の行くような御答弁が願いたい。
○大橋国務大臣 政府といたしましては、朝鮮事件の現在の段階ともにらみ合せまして、国内の治安につきましては万全の態勢を確保いたしておるわけでありまして、この点は吉田総理とあらためて御相談申し上げる必要はございません。私から以上お答えを申し上げます。
○安部委員長 この際ちよつとおはかりいたします。ただいま議題になつておりまする国家警察予備隊その他国内治安に関する件につきまして、尾崎末吉君より委員外発言を求めておられます。これを許すに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安部委員長 御異議がなければこれを許します。尾崎末吉君。
○尾崎末吉君 実にこの問題に関しまして、昨日私の所属する予算委員会、本日同様に私の所属する運輸委員会におきまして法務庁総裁の御出席を求めたのでありますが、お時間の都合上おいでが願えませんでしたので、委員長の御了解を得まして出ましたようなわけであります。その段御了承を願います。 先ほど猪俣委員並びに世耕委員のお尋ねになつたことの一部にも該当するのでありますが、時間の関係もあるようでありますから、ごく簡單に四点だけをお尋ねいたします。その第一点は、先ほど猪俣委員から御質問になつたことの一つに関連をいたすのであります。警察予備隊七万五千を新しく設けるのでありますが、一方におきましては、海上保安官八千人の増員を行う。この二つのものをもつていたしまして、共産党のごとき方面から起つて来ることを予想される非合法化の蜂起を許さぬだけの確信があるのかどうかということと、先ほど猪俣委員から繰返してお触れになつたようでありますが、この新設並びに増員の目的は、先ほど総裁から御答弁になつて、ややわかつたのでありますが、なお一層この新設並びに増員の目的を明瞭にいたしておかなければ、国民がとかく迷いがちであると思いますので、この二つの点につきまして、簡明率直な御答弁をいただきたいのであります。
○大橋国務大臣 ただいまの段階におきましては、私はこの七万五千の予備隊の新設並びに海上保安庁におきまする八千名の増員、これによりまして国内の治安は万全の態勢をとり得るものと確信をいたしております。また警察予備隊の目的につきまして重ねての御質問があつた次第でありますが、これは外国との交戰のごときものを予想した、いわゆる軍隊化するおそれの決してない、あくまで国内治安それ自体を目的とした警察力である、かように考えております。
○尾崎末吉君 その点了承いたしましたが、いわゆる国家警察の補助的の役割をなすのであるが、ただ非常時に備えて——現在警察がやつているようなすべての仕事をやるのではなくて、いわゆる非常時等が起つた場合に備えて現在の警察力を強化する方向に行くのだ、こういうことになるわけでありますか。
○大橋国務大臣 おそらくそういうことに落ちつくと存じます。
○尾崎末吉君 その点、はつきり了承いたしました。つきましては警察予備隊の編成のいたし方でありますが、これはもとより現在の情勢から考えれば急いでやらなければいけないことだと思いますので、その急ぐあまりに、編成をされた隊員等の中に思想的その他いわゆる好ましからざるという程度をはるかに越したような者が入つておつた場合に、いわゆるしし身中の虫的の役割をいたすようなことになりましては、逆効果を来たすおそれがあるということを心配いたすのであります。従いましてこの編成に当つては応急的の措置と、この応急的な措置をすぐにでもとりかえることのできるような恒久的の編成のやり方との二段構え等によつてなされるべきものである、こういうふうに考えておるのでありますが、そうした御構想があるのかどうかを簡單に伺いたいのであります。
○大橋国務大臣 ただいま尾崎君の御心配になりました点は、政府といたしましても最も注意しなければならない点であると考えておりまして、この募集に当りましては、相当な力をこの面に注ぐべきものであると考えております。なおまたこれがために応急的に一応募集した者で、さような点から遺憾のあつた者はどしどしと排斥をして、二段構として、ほんとうの思想的に間違いのない人たちだけをそろえるという御提案もございましたのでございましたので、御提案の趣旨をも含めまして、これが実施の際には十分に研究調査を重ねたい、かように考えます。
○尾崎末吉君 以上二点了承いたしました。あと二つであります。これは率直に御見解を伺いたいのでありますが、先ほども御質問が出ました、追放せられた共産党員の中の数名がなぜ地下にもぐつたかということについての御見解を伺いたいのであります。大体は地下にもぐらない方が安全であるべきはずである。つつ込んで申しますならば、刑法等によつて処断されるおそれがないのでありますから、地下にもぐらない方がよいはずであるのに、なぜ地下にもぐつたかということは、長い間繰返して参つておつたあの日立争議のごときを見ましても、最近盛んに起つておりますところのいわゆる職安デモの問題等から考えてみましても、また最近しきりに出て参つております列車妨害等々の問題から考慮いたしてみましても、どうも共産党あたりから非合法的のことが行われるのではなかろうか。いわゆる非合法の準備のために、地下にもぐつたのではないかというような不安を国民が非常に多く持つております。(「でたらめ言うな」と呼ぶ者あり)従いまして、なぜ地下にもぐつたかということについての御見解を伺つておきたいのであります。 〔発言する者あり〕
○安部委員長 私語を禁じます。
○吉河政府委員 法務総裁にかわつて御答弁申し上げます。徳田球一氏ほか数名の追放者の方々が、その所在を不明ならしめた原因についての御質問でありますが、この原因につきましては、捜査並びに調査の方向と関連する問題でもございますので、目下私どもにおいて研究中でありますが、まとめて申し上げる結論に到達しておりません。御了承を願いたいと思います。
○尾崎末吉君 もう一点であります。これは私どもの耳に情報として入つておるだけではなくして、二、三日前に新聞にも発表されておつたことでありますが、特に重大と思いますので御答弁を願いたいのであります。それはわが官庁の中に秘密組織ができ上つておる。それはちようど軍隊と検察庁と警察の三つを突きまぜたような組織か行われておる。その三つのうちの一つは全国オルグ団である。第二はモツプルであり、第三は官庁グループの青葉会というものである。この青葉会というものは、去る二十三年に土曜会として発足したのでありますが、本年三月青葉会という名前に改称いたしたのである。その任務につきましては、共産党の調査部直属グループとして国会議員団事務局と連絡をとるというのがその一つ、その二は、政治局から土曜日ごとに出席して会合を開き、渉外、情報、部外秘密情報等の調査データーを提供する等であつたのであるが、去る十七日から特別の指令が発せられて、さらに右任務のほかに新任務が與えられた。それは追放幹部隠匿のための情報の交換や、捜査を撹乱することを目的とするものである。そしていわゆる追放幹部の隠匿に対して、積極的の援助をするということがその任務だと言われておるのであります。組織といたしましてはAとBの二班にわかれておつて、そのA班におきましては一般官庁対策というものであつて、農林省、通産省、大蔵省、安本がA班に含まれまして、最近のリストによると、二級官以上が農林省の局長一名、課長七名、大蔵省の課長級二名、通産省の局長一名、課長級六名、安本の課長級四名というのがA班、B班においては特別官庁対策というものであつて、検察庁三名、特審局三名、警視庁と国警合せて六名、この組織をもつてやつておる。このほかに積極的援助をしておる二つの官庁グループ団がある。こういう情報を耳にいたしておるのでありますが、こういうものがあるのか、あるいはあるということを御承知の上で何らかの対策をお考えになつておるのか。これはきわめて重大でありますので、御答弁を願いたいのであります。
○吉河政府委員 総裁にかわりまして、御答弁申し上げます。私どもは、団体等規正令並びに追放令の運用といたしまして、民間に行われる各種の風説ないし情報には、相当の関心を拂つておるのであります。最近新聞紙上を通じまして、いろいろな具体的な情報が掲載せられるような事態になつて参りました。これらの情報につきましては十分にこれに関心を拂い、これを調査しておる次第でございます。ただいま御質問の情報につきましても、その出所並びに内容の虚実について目下調査中でございます。いずれ近き将来におきまして、その結果をまとめて法務総裁、またはこれにかわりまして私から、御報告申し上げることができると思つております。御了承を願いたいと思います。
○尾崎末吉君 ただいまの問題といわゆる朝鮮事件なるものとは関連をいたしまして、国民の間に急速に大きな不安をかもし出して参つておることは御承知の通りでありまするので、以上質問を申し上げました事柄に対しましての万全の策と御決断とをお持ち願うことを希望いたしまして、発言をお許しくださつたことを感謝し、御答弁に対しまして一応の了承をいたします。
○梨木委員 法務総裁にお尋ねいたします。先ほど猪俣委員の警察予備隊の問題に関連する質問におきまして、警察予備隊を運営、管理するについて、一人の人間がこれを指揮統率するような機構になるという趣旨に伺つたのでありますが、これは国務大臣がやるのか、それとも総理大臣がやるのか、その辺の構想はどうなつておりますか、お伺いしておきます。
○大橋国務大臣 先ほど猪俣君に申し上げましたる趣旨の一人というのは、つまりこの警察予備隊の全体を統括する隊長と申しまするか、そういつたふうな人の指揮のもとに全体の隊が編成されるであろう、こういうことを申し上げたわけであります。そしてその者が国務大臣となるのかどうかという御質問でございますが、国務大臣の問題は、ただいま考えておりません。今後において、あるいは必要が生じればそういつた問題をもあわせて考えられるのでありますが、ただいまのところは、そういつたことは考えておりません。
○梨木委員 ところでこの隊長に対しては、総理大臣が指揮命令することは、今の行政組織法上当然できることになると思うのでありますが、構想の中には——現在の警察の場合においては一応民主的な形を装つた公安委員会というものがその運営、管理に当つておるのでありますが、でき上ろうとする警察予備隊の場合におきましては、警察予備隊の運営監理に当つて、これに民主的なものの組織の一応の監視とか制約とかを受けるような仕組みにしなければ、この警察予備隊を実際握つておる者が、以前の統帥権的な強大な支配権を持つて来て、政治が二元化する危險性があると思うのでありますが、それについての構想がどうなつておるかお伺いいたします。
○大橋国務大臣 かような隊長と申しますか、この部隊の長となるべき者は内閣総理大臣の統轄に属し、また内閣総理大臣によつて任命せられることとなるであろうと存じます。そうして内閣総理大臣それ自体は最も民主的なる日本国憲法に基きまして、国会において民主的に指名せられたるものであります。その者によつて任命せられ、内閣の責任においてこれを指揮監督いたすのでありまするから、この機構それ自体きわめて民主的なる警察のあり方に一致しておると考えるのであります。
○梨木委員 その点について私は異論があるのでありまして、なるほど内閣総理大臣は国会から指名されておりますが、そういう論議をただちに警察予備隊のところに持つて来て、内閣総理大臣の指名する警察予備隊隊長であるから、その任免もきわめて民主的だということの論理はきわめて飛躍的であろうと思うのであります。そういうことになりますならば、現在の警察法におきまして、なぜ公安委員会というものを設けなければならなくなつたかという理由の説明ができなくなるのでありまして、私は内閣総理大臣が隊長を任免し、また運営監理が内閣総理大臣の他の何らの制約なくしてこれをでき得るような仕組みにするということは、明らかに内閣総理大臣に警察以上の軍隊的な統帥権というものを與えることになりまして、きわめて危險であると思うのであります。この点につきましては、今法務総裁の言われたような構想でやられることについては——もちろん警察予備隊の設置については、われわれは根本的に反対なのでありますが、特にそういう内容を持つたものについては反対であるということだけを表明しておきます。 それからその次にお伺いいたしたいのでありますが、先ほど警察予備隊員を募集するにあたりまして、尾崎議員からその募集にあたつては、思想的に好ましからざる者が入つて来ないように留意してもらいたい、この思想的というのは共産主義者が入つておるのかどうか(「もちろん」と呼ぶ者あり)入つておるとするならば、警察予備隊に共産党員並びに共産主義者を採用しないという基準によつてこれを募集しようとされておるのかどうか、これをお伺いしたい。
○大橋国務大臣 思想的と申しましたのは、警察予備隊の目的から考えまして、警察力を強化する趣旨に沿うておるかどうかという点を考えて参りたい、こういう趣旨であります。
○梨木委員 それでは警察予備隊を設置する趣旨からいつて、思想的に合致しないものはなるべく採用しないようにする、こうおつしやつたのでありますが、共産党員並びに共産主義者は採用しないという基準はないと了承してよろしゆうございますか。
○大橋国務大臣 別に党派とか、あるいは主義の問題でなく、思想そのものであります。
○梨木委員 おかしい、ちよつと私にはわからないのでありまして、はつきり具体的に申し上げますならば、共産党員あるいは共産主義者は警察予備隊の採用資格の中から排除するのだという、はつきりした基準をお立てになつておるのかどうかを伺いたいのであります。
○大橋国務大臣 共産党員並びに共産主義者というそれだけで、この警察隊の隊員となる資格がないということは毛頭考えておりません。その者の過去の言動その他からみまして、警察隊の趣旨からみて適当かどうかということを判断するだけであります。
○梨木委員 この前法務総裁は本会議におきまして、共産主義運動取締りに関する緊急質問に関連しての答弁の中で、共産党の中央委員、その他アカハタの幹部を追放した、ところで現在日本共産党は合法的政党であるが、その活動については監視しておるとおつしやいましたが、最近共産党の議員に尾行がついている事実があるのであります。これは法務総裁といたしまして、いわゆる共産党の活動を監視するためにこういう尾行をつけるという方針が決定されて、その決定の線に沿うてこういうことが行われておるのでありましようか。
○大橋国務大臣 共産党の議員諸君に尾行をつける方針がきまつたということは聞いておりません。
○梨木委員 それでは尾行をしておる事実を突き詰めたならば、これは政府の方針に反するからといつてその警官並びに監督者についてその旨をよく注意してよろしいと了承してよろしゆうございますか。
○大橋国務大臣 適当にお願いいたします。
○安部委員長 梨木委員にお諮りいたしますが、梨木委員は検務局長並びに特審局長に対しても発言の通告があるのでありますが、もし大橋総裁の方が簡單に済むならば簡單にお願いいたします。
○梨木委員 それから義勇兵の問題でありますが、義勇兵につきましては、組織的に義勇兵を国内において募集するということ、これは団体等規正令に違反すると私は考えるのでありますが、この問題に関連して個人々々がそれぞれ義勇兵として応募するということは、これは職業選択の自由から言つてこれを禁止することはできないだろうという議論があるのであります。しかし私は憲法第九條によりまして、日本は戰争を放棄しておるということが一つ、もう一つは団体等規正令第二條の第六号によりまして、軍国主義もしくは軍人的精神を存続することを目的とした団体を組織することは禁止されておる。個人としてもそういう行動をしてはならぬということは第三條に規定されておるのであります。そこから参りますと、憲法の精神並びに団体等規正令から行きまして、職業として義勇兵になるということは、私は許されないと思うのでありますが、この点についての法務総裁の御見解を伺いたいと思います。
○佐藤(達)政府委員 私より便宜お答えを申し上げます。先日来この委員会においてもお話の出ておりますように、またただいま御指摘のありましたように団体等規正令もございますし、また出国についての取締りの法制もございます。かたがた今においてただいまお尋ねのような問題を取り上げるのは、仮定の問題というように考えます。実益がないのでお答えをするのを差控えたいと思います。
○梨木委員 仮定の問題ではなくして、義勇兵として参加しておる事実があるのであります。従つてその危險性は現実の問題になつておるのであります。従つてその事実があり、しかも勇勇兵に応募する危險が、具体的に迫つておる。そのときにおいて政府としてこの義勇兵の問題が憲法上並びに法律上許されないということを、はつきりと明示することによつて、国民の向うところ、国民の行動を明確に規定することができると思うのでありまして、私は特に法制意見長官として憲法上この問題についての見解を表明することは、現在の段階においてきわめて必要であり、また適切であると思うのであります。それを仮定の問題とかいうようなことで逃げるということは、非常にいかぬことであると思うのでありますが、もう一度これはぜひとも答える必要があると私は考えてお聞しておるのでありますが、もう一度この点についての御答弁をしていただきたい。どうしてもできないとおつしやるならば、私はまたその御答弁によつて適当な処置をとりますが……。
○佐藤(達)政府委員 私としてはお答え申し上げる必要はないと考えております。
○梨木委員 お答えする必要がないと認めるなどということは、答えられぬのだろうと思うので、そういうふうに了承しておきます。ところで先ほど法務総裁は、自衞権の問題は国際法上の問題であつて、日本の憲法とは関係がない問題であるというような答弁があつたように私は承知したのであります。ところでそういう考え方の上に立つならば、現在日本は国際法上の外交権というものを持つておりません。従つてここでは自衞権という問題は全然生じないと思うのであります。そうするならば、自衞権の立場から義勇兵云云の問題が——これは田中最高裁判所長官が言つておるのでありますが、自衞権の観点から義勇兵の問題を憲法上肯定するような議論は、現在の日本の占領され、外交権のない状態のもとにおいては、自衞権云々は問題にならぬと思うのでありますが、この点はどういうぐあいにお考えでしようか。
○大橋国務大臣 憲法上許されておるかいなかということは、これは国内法の問題でありまして、この問題の解決につきましては、そのことが国際法上自衞権として認められることかどうかということと無関係に決定せらるべきである、こういうふうに考えます。
○梨木委員 つまりその点法務総裁は私の質問をよく受取つておられないのかもしれませんが、こういうことなのです。田中最高裁判所長官は、国内的には憲法を守らなければならない。ところが国際的に自衞権の立場からは、義勇兵は認められる、許されるだろう、こう言うのであります。だから憲法上からは、この点については義勇兵の問題は、どうも否定されておるような趣旨にとれるのであります。ただ自衞権というこのことの立場から義勇兵の問題が認められるだろうというようなことを言うのであります。そうすると自衞権という問題は、国際法的な観念であるとするならば、今われわれは外交自主権も持つていないのでありますから、自衞権云々の問題は問題にならぬじやないか。そうすれば自衞権を前提としての義勇兵の肯定ということは、あり得ないじやないか、こういうことを質問しておるのであります。
○大橋国務大臣 現段階におきましても、日本の場合自衞権というような観念を持ち得る余地はあり得ると私は考えます。
○梨木委員 これは見解の相違でありますから、これ以上法務総裁への質問はこの程度にいたしますが、法務総裁に、至急に調べる手配をしていただきたいことがあります。それは先ほども委員外の尾崎委員からの質問の中に、最近列車妨害などがひんぴんとして起つている。それがどうも共産党がやつておるのじやないかなどということを基礎にして質問されておるのであります。そこで昭和二十五年七月十八日付で、佐藤政一という、これは日本共産党の青森地区委員でありますが、この人から電産労働組合東北地方委員を被告発人として告発した事件があります。その告発の内容というのは、昭和二十五年七月十七日の十二時半ごろ、青森市大阪町東北配電会社二階会議室において職場大会が開かれた際、被告発人高橋武は、大要次のごとき演説をした。一、最近発電所、変電所を共産党が爆破するといううわさがある。二、現に福島県猪苗代発電所関係でも爆破について協議し、爆破の指令を共産党が指令したと聞いておる云々と、こういう演説を職場大会でしておるのであります。これはまつたく根も葉もない事実なのであります。ところがこういうようなデマ宣伝をやつて、ここで一つの具体的な事件が起ると、すぐ共産党とこの発電所の事故というものを結びつけて、検挙捜査が行われる。これが三鷹事件あるいは松川事件において顯著に現われておるのであります。そこでこういう事実があつたのでありまするから、高橋武という被告発人が、どこからこの情報を入手してこういう演説をしたのか、これを早急に徹底的に調べてもらいたい。そうすることによつてこういうデマがどこから出たかがはつきりわかる。共産党がそういうばかなことをやるはずがない。やるというなら今のうちに取締らなければならない。そういう点について、至急にこのデマを飛ばしておるデマの根源をはつきり調査することによつて、真犯人というものを摘発することができるのでありますから、私はこの告発を重要視して、早急に被告発人を調べていただきたいということをお願いする次第であります。
○大橋国務大臣 ただいまある告発が出ておるということに関連いたしまして、その被告発人に対してこれこれの事項を取調べろ、こういう御要求がありましたが、被告発人に対しましていかなる事項を取調べるべきであるかということは、その告発の全趣旨から見て関係官において適当に判断されることであろうと思います。特に私といたしまして、取調べる事項について指図をいたわけには参らないと思います。
○梨木委員 非常に重要な内容を含んだ告発でありますから、特に迅速に調べていただきたい。告発の内容がどういう犯罪に該当するか、ちやんと摘示してありますから、早急に調べるようにお手配を願いたい、こういう要望であります。
○安部委員長 それでは先ほど中止いたしました検務局長並びに特審局長に対する質問を継続いたします。猪俣浩三君。
○猪俣委員 検務局長に、これは早くお調べいただきたいということをきようは申し上げておくにとどめるのでありますが、それは横浜検察庁の検事正、次席、それから前田という課長そういう方々が箱根の三昧莊という旅館だか料理屋だかにたびたび集まつて飲食をなさる、しかも三昧莊の社長であられる石村幸作という人が参議院の候補に出た、その買收嫌疑の調査であります。この当の三昧莊の主人公であります人にかかる選挙違反事件の調査に、その旅館へ行つて検事正と次席と地検の刑事部長は二回、その他寺田課長、前田課長は三回ともに飲食をして饗応を受けておる疑いがあるのであります。あるいは饗応にあらず、そこに宿泊料を拂つておとまりになつたのかもしれませんが、周囲の者にはなはだ疑惑を與えるのであります。その当の調べる人の経営しておるところに行つて飲食をするということは不謹愼もはなはだしい、さような事実があるかどうか、これも御調査を願いたいと思います。なおここでは検察関係の人がとまりますと一泊三食付で三百円くらいでとめておるそうであります。これがやはり一般の評判に相なつておる。そこでさような事実があるかどうかこれをお調べいただいて、適当な時期に本法務委員会に御報告をいただきたいと思います。
○高橋(一)政府委員 十分調査をいたします。ただ三昧莊と申しますのは、私どもも知つておるのでありますが、大分前から私どもの方の関係で利用しておりまして、たとえば一昨年でありますが、刑訴の立案のときもここにしばらく立案関係者が行つて案を練つたということもございます。それが参議院の選挙に立つて違反の起つておる最中に、非常に格安にとまつたというようなお話でありますれば、まことに不穏当であると思いますので、さつそく調べて参りたいと思いますが、そういう関係にあることだけを申し上げておきます。
○猪俣委員 検察関係の人が特定な宿にとまられることは何もさしつかえない、それはあり得ることだと思いますが、ただ世間に疑惑を投じましたことは、あの主人公の買收違反取調中にここにとまつておられるということに対して、不謹愼ではないかと思われる点があるのであります。一応の御調査を願いたいと思います。ここには高検の検事もおいでになつておるということを聞いております。その名前はわかりませんが、そこでたびたび検察庁関係の人が打合会と称して、買收嫌疑の打合せを、高検の検事まで交えて、本人の経営する旅館でやつておるということに対しまして、事実を調査願いたいと思います。
○高橋(一)政府委員 了承いたしました。
○梨木委員 吉河特審局長にお伺いいたしたいのでありますが、この前の委員会で時間の関係で質問を途中で打切つたのでありますが、新宿地区委員会、それから大日本印刷の共産党の組織が解散を命ぜられたのでありますが、これは司令部の命令でやつたのか、それとも政府の自主的な判断によつて解散を命じたものか、まずこれを伺いたいと思います。
○吉河政府委員 連合国総司令部の命令を受けてやつたのではございません。日本政府の自主的な責任においてやつております。
○梨木委員 解散の理由を明示してもらいたいと思います。
○吉河政府委員 解散理由は解散させられた当日新聞にも発表いたしましたが、簡單に申しますれば、その両団体が団体等規正令二條に該当する団体と認めて解散いたしました。その該当の原因となつた事実は、反占領軍的行為つまり二條第一号違反の事実、並びに暴力主義的行為同條第七号違反の事実によるのであります。
○梨木委員 この組織の解散と同時に、組織の責任者を追放の処分に付しておるのでありますが、そのときの組織の責任者でないものが追放処分に付されておるのでありますが、これはどういう理由でありますか。
○吉河政府委員 梨木さんに申し上げたいのでありますが、実は昨日共産党本部から岩田氏が代表となつておいでになりました。東京都委員会からも、名前は失念いたしましたが、御一緒においでになりまして、ただいま御質問の事項につきまして、詳細に氏名の一覽表をお持ちになりまして私のところに参りました。私の方からも団体等規正令の届出の原本によりまして、これを照合いたしまして、私どもがこの追放をしたのは最小限度にとどめた追放である。抽象的に該当者は数十名ある。だが最小限度にとどめたその次第を一々申し上げまして、御了承を得たのであります。どうかこれをもちまして御了解を願いたいと思います。
○梨木委員 そこでお伺いいたしたいのでありますが、たとえば新宿地区委員会が解散された。この新宿地区委員会が包括しておつた地区において、追放になつた人以外の人々が、ここへ新しく地区委員会を組織することは、これは可能と認められますか。
○吉河政府委員 団体等規正令第五條の規定がございまして、解散せられた団体の性格の温存並びに承継団体の発生は嚴に禁止されておりまして、また罰則にも再建団体は非常に重い罪に処せられることになつております。今回解散せられましたのは新宿地区委員会でありまして、下部の大多数の細胞はこれを除外しております。それから細胞の中でも大日本印刷だけは解散指定を受けたのであります。残されました解散されなかつた細胞が集まつて新宿地区委員会にかわるべき組織を結成されることは、嚴に禁止されておるのであります。御了承願いたいと思います。
○梨木委員 ちよつとわからないのでありますが、この新宿地区委員会という、この地区委員会を解散されて、下部の細胞は解散されておらないわけです。そうすると、地区委員の委員によつて構成されている組織が解散されたわけでありますから、新宿地区委員会という名前は、これを使う、使わないはともかくとして、新宿地区に包含されておる、解散されない細胞が、名前は別でもよろしいが、新宿地区を包含した細胞のさらに上部組織をつくるということは、今あなたが指摘されたところには該当しないと私は思うのでありますが、これはどうなのでありましようか。すぐお答えできなければ、この点はきわめて重要なことなのでありますから、いずれ私はまた伺つてもよろしいのであります。
○吉河政府委員 御質問が非常に法律また技術的にもなりまして、時間も大分過ぎましたので、どうぞ私のところへお出でくださつて、親しく御意見を伺わせていただきたいと思います。
○梨木委員 もう一つ、これは最高裁判所の事務総長か事務次長さんにお伺いしたいのでありますが、去る七月二十二日に田中最高裁判所長官が、大阪の高等裁判所内において、記者団との会見の際に、こういう趣旨の談話をされておつたのであります。国内的にはあくまで新憲法を維持しなければならないが、国際的には軍備撤廃後でも国の自衞権は持つているはずで、正当防衞の権利がある。朝鮮の動乱の進展から義勇兵問題が起つているが、この実現は困難である。しかし平和主義の見地から、国際連合の要請があれば、自衞権の立場から、日本人が国際連合軍に入ることは認められると思う、大体こういう趣旨の談話を発表せられたように、ラジオでも放送しましたし、新聞でも報道されており、さらにこれに対しましては岡崎官房長官は、義勇軍の参加は認めることはできない、とさらにこれを反駁する談話が二十四日に発表されておるのであります。そこでお伺いいたしたいのは、これは新聞の報道、またラジオの放送でありますから、こういう事実があつたのかどうか、これをまずお伺いいたしたい。
○安部委員長 ただいまの梨木委員の御質疑に対し、最高裁判所事務総局総務局長内藤頼博君より発言を求められております。これを許すに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安部委員長 御異議なければ、この際内藤総務局長の発言を許します。内藤総務局長。
○内藤説明員 事務総長、次長がただいま差支えておりますので、私からかわつてお答え申し上げます。田中長官の談話につきましては、出張中の出先のことでもございますし、現在私どもの方と十分連絡もとれませんので、その点につきまして御答弁申し上げる資料が実は得られない事情でございます。どうかその事情を御了承願いたいと思います。
○梨木委員 従来の最高裁判所の慣例、あるいは不文律、あるいは内規でもよろしいのでありますが、最高裁判所長官、あるいは最高裁判所の判事、こういう人たちの憲法上あるいは法律上の見解の表明という問題については、これは具体的に裁判となつて現われたときにのみ、そういうことが許されるのであつて、裁判にも何にもかからないときに、憲法上あるいは法律上の重大問題ついて、見解を表明することがあつたのかないのか、その慣例、内規、あるいは不文律、そういつたものをお伺いいたしたい。
○内藤説明員 裁判官が学究の立場から講演をしたり、講義をしたり、論文を書いたり、それによつて自分の法律上の見解を示しますことは、常にあつたようであります。
○梨木委員 学究の立場から論文を発表するとおつしやいますが、最高裁判所が開設されてから、そういう実例はどのくらいありますか、これをお知らせ願いたい。
○内藤説明員 回数その他についてはただいま明らかでございませんけれども、たとえば憲法記念日における講演会であるとか、あるいは大学における講義であるとか、その他雑誌、あるいは新聞に、談話なり論文なりが掲載されたことは数々あると存じます。
○梨木委員 憲法記念日とか、大学の講義とか、雑誌、新聞とおつしやいますが、しかしながら今度田中長官が発表されたと言われるような重大問題に匹敵するような事項についての、見解の表明があつたのでありましようか。
○内藤説明員 いずれの場合におきましても、法律学者としての見解の発表でありまして、重大とおつしやいますが、重大な問題についても、意見を述べられ、あるいは論文を書かれることは、すでにあつたことでございます。
○梨木委員 大学で講義するとおつしやいますが、一体最高裁判所の判事で大学へ講義に行くような人がおるのでありましようか。
○内藤説明員 ございます。
○梨木委員 どなたでしようか。
○内藤説明員 今私の記憶いたしておりますところでは、河村さんなんか中央大学で講義をしておられたと思います。
○梨木委員 大審院時代におきまして、大審院の判事さんが、生活上どうもあまり月給が安いから困るということで、内職で大学へ講義に行つているということは、われわれ聞いておつたのでありますが、しかし新しく出発した最高裁判所におきましては、最高裁判所の判事の待遇は非常に向上しているわけでりあます。国務大臣待遇ということになつて、それぞれのりつぱな部屋を與えられ、秘書官や、それから給仕さんも配置され、專用の自動車も與えられている。こういう状態のもとにおいて、私は最高裁判所の裁判官は、ほんとうにその職責を果さんとする熱意があるならば、大学へ講義に行くなどということは、もつてのほかだと思うのでありますが、一体こういうことは、どうして最高裁判所は許しておるのでありましようか。許すに至つた経過をお伺いいたしたいと思います。
○内藤説明員 裁判官がそういつた法学教育のために力をいたすということも、また一つの職務として、裁判官自体の仕事じやありませんが、許されることと存じております。
○梨木委員 第七国会におきましては、最高裁判所では非常に事件が輻湊しておるということで、民事訴訟法の上告を制限したのであります。そのときの制限の理由というものは、最高裁判所の判事は神経衰弱になるほど事件が殺倒しているということで、上告事件を制限したことをわれわれ知つおります。そんなに忙しいのに、私立大学の講義に行くなどということは、私はまつたく理解できないのでありますが、これはどういうわけなのでありましようか。
○内藤説明員 先ほど申しましたように、内職というような観念は毛頭ございません。学校からの要求がありましたときに、これは最高裁判所に限りませんけれども、そういつた事例があるわけであります。
○梨木委員 こういうことは裁判官会議にかけて、その了解を受けてやるのでしようか。それとも自由かつてにやれることになつておるのでしようか。
○内藤説明員 すべての最高裁判所の許可が必要であります。
○梨木委員 今の御答弁で大体わかつたわけでありますが、私が非公式に会つた最高裁判所の裁判官の意見によりますと、こういう憲法上、特に今非常に重大問題化している義勇兵の問題について、最高裁判所長官が見解を表明するということは、これはどうも好ましくないことだというような印象を受ける話を聞いたのでありますが、最高裁判所の判事の間において、この長官の談話をめぐつての何か動きというものがありましたらお伺いいたしておきます。
○内藤説明員 そういう見解もあり得ることは当然だと思います。現在のところ、別にこの談話をめぐつての動きは見えないのであります。
○安部委員長 この際お諮りいたします。本日請願及び陳情書の審査をいたすはずでありましたが、時間も大分経過いたしましたので、請願及び陳情書の審査は、これを明日に延期いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安部委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。 明日は午前十時より委員会を開きます。案件は、限時法に関する件につきまして、北川小委員長の報告があります。及び請願陳情書の審査であります。 本日はこれをもつて散会いたします。 午後一時三分散会