農林委員会 第17号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1950/10/05
会議録
○千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。 まず農業関係公団の整理に関し肥料の問題を議題といたし調査を進めます。質疑の通告がございます。これを許します。河野謙三君。
○河野(謙)委員 肥料の輸出の問題につきまして、通産省にいわゆるやみ輸出の事件があつたのでありますが、本日御出席いただきました安本は、この問題には直接関係がありませんので、この問題とは別に、今夜肥料の輸出が可能であるか、不可能であるかということについて、率直に御答弁いただきたいと思います。前提といたしまして、昨日まで農林省なり通産省から伺いますと、今後の輸出につきましては、安本におきまして輸出のわくを設定して、これを両省に相談してきめる。どこまでも安本が主管となつておやりになるということを伺つておりますが、安本の方もさように打合せが済んでおりましたか。
○増岡説明員 お答えいたします。今までここで農林省なり通産省からどういうお話があつたか私は存じませんけれども、この前肥料の配給統制を廃止いたします際にも、肥料の輸出の関係を今後どういうふうにするかという問題が取上げられましたが、そのときにも大体今河野委員からお話のように、安本が中心となりまして、農林省なり通産省なりと協議いたしまして、国内需給の関係とにらみ合せまして、輸出の可能性について検討し、その計画を立てるという話合いになつておるのであります。その具体的な問題といたしまして、二十五肥料年度の化学肥料の輸出の可能性の問題でありますが、私どもの方で二十五年度の肥料の需給の見通しを目下立てております。その需給の見通しを立てますにつきましては、申すまでもなく供給と需要の見通しを立てねばならぬわけでありますが、現在のところ、御承知のように消費の方につきましては、すでに配給の統制をやめておる関係から、これは大体従来の資料に基きまして推定するというほかはない状況になつております。それから供給の方につきましても、肥料の配給統制を廃止して後は生産計画というようなものを立てまして、その立てました数字を確実に遂行するという手はずにつきましてはかわつて参つておりますから、いろいろ供給に、ついても見通しの域を脱しないといううらみがあるのであります。従つて需給関係の見通しは、供給需要ともにできるだけ過去の資料、あるいは将来の見通しによりまして、正確を期しておりますが、従来のような正確さはないということが言えるのであります。しかしながら今申しましたような趣旨に従つて、従来手に入りました資料を基礎にして、現在需給の見通しを立てております。一応見通しを立てましたところでは、硫安の化学肥料の生産量といたしましては、電力の需要が、ことに来年の一月以後の状況がまだ確実に推定ができませんので、正確を期しがたいのでありますが、大体昨年程度の水が予想されるということであれば、昨肥料年度程度の化学肥料の供給は確保できるのではないかと考えております。これに対しまして消費の方でありますが、これの見積りが、実は統制がはずれました結果、あるいは補給金がなくなつて価格が値上りした結果、どれだけの消費があるかということの見積りが、生産の見込みよりも困難なのであります。窒素についてだけ申しましても、二百万トンと言われあるいは二百十万トンと言われるという関係もございまして、見積りが実は現在のところまだ立たないような状況にあります。そういうような状況で、消費の方をもう少し固めませんと、ほんとうの需給の見通しが立たない。それに伴う輸出余力の検討ということもできないので、私どもといたしましては、現在とり急いでその見込みを固める作業をやつておるのであります。消費の関係では、大体十月の終りごろに行けば、この価格によりました消費の見込みというものが、現在よりも相当正確につかめるのではないかという感じもいたしておりますし、すでに御承知のように、とりあえずの需給の問題で、公団の手持肥料を放出するということについて、司令部との話合いも一応しておりました関係上、今の消費見込みあるいは供給の見込を検討した上で、安本といたしましては一応需給見通し、さらにこれに関連した輸出の可能性という案をつくつて、今月中ぐらいには関係の各省と協議ができるというところに持つて行きたいつもりで、目下作業いたしております。
○河野(謙)委員 今後の問題でなくて、今までも安本中心でやつておつたのだ。こういうことであれば私はこの機会に伺いたいのですが、今問題になつておりますいわゆるやみ輸出、これは通産省からも安本に御相談がなかつたようでありますが、もしその当時二万数千トンの輸出について御相談があつた場合には、安本としては——農林省は拒否しておるが、承認される御意向でありましたか。それとも農林省同様に拒否される御意向であつたか、これを一つ伺いたいと思う。
○増岡説明員 その当時は実は通産省から安定本部の方へは話はございませんでしたので、その当時話があればどういうことであつたかというような話はちよつとただいま申し上げかねるのでありますが、当時の状況といたしますれば、そう多量でないものについては、あるいは輸出余力があるというふうにも考え得られましたので、あるいはその数量のいかんによりましては、この輸出の承認ということが可能であつたのではないかとも考えます。ただ現在非常に問題になつておる事項でありますので、その当時どうであつたかということについて申し上げますと、かえつていかがかと存じますので、この点は遠慮をさしていただきたいと思います。
○河野(謙)委員 ちよつとお断りしますが、私は語気が荒いそうで、けんか腰のように聞えるそうでありますが、気はいいのですからそのつもりで聞いていただきたいと思います。そこで今まで伺つたあなたの御答弁には非常に矛盾があります。第一段に伺つた御答弁によると、今消費生産の面を検討中です、輸出の可否についてはまだ結論が出ない、従つてこの半ばまでもう少し検討さしてもらいたい、こういう御答弁が確かにあつた。ところが今の二万数千トンの問題が、もし安本に相談があつた場合には、数量が少いから可能であつたかもしれないと思う。こういうことは矛盾があるではないか。私はこの問題は、一昨日相当声を大にして言つておりますが、この委員会で扱つておるのも最近における一番大きな問題であるからであります。と申しますのは、農民には何といつても肥料の価格というものが一番大きな影響がある。これは御承知の通りだ。ところがその肥料の価格が何によつて動くかというと、政府の肥料の扱い方いかんによつて動く。自由経済と言つても今の肥料は政府が完全に管理しておる、公団手持のものを管理しておる。この輸出の管理、公団の手持品の管理によつて肥料の市価は自由自在に動くのです。でありますからこの政府の態度というものは非常に農民の関心を持つておるところであります。政府はすみやかに、この政府の態度を決定しなければならぬ。しかも今は私の肥料の最盛期であります。われわれから見れば、肥料がメーカー本位に価格がつり上げられておる。その裏に政府の一部の力が動いておるというふうに、思わざるを得ないような結果になつております。そういう誤解を解かなければならない。そこで私は、今あなたのおつしやつた御答弁の中の矛盾は矛盾として、さらに質問を続けますが、私が輸出が可能であるか不可能であるかと言うことは、今あなたのおつしやるように、今後の生産の数字は不確定である。消費量も不確定である。この不確定の数字の上に立つてはなかなか問題の結論が出にくい、こうおつしやいますが、一応今の通産省の立てておる生産の予定数量、百八十万トンなら百八十万トン、それに繰越しの四十数万トンという仮定でけつこうでありますが、この仮定の数字、消費の方は農家の方から二百十五万トンいるという数字が出ている。今後の経済界の変動によりまして、米価の決定いかんによりまして、消費の方も動くでありましようけれども、一応農家から二百十五万トンほしいといつている。これも仮定なら仮定でけつこうですが、この消費の二百十五万トンの数量と、生産の方の百八十万トンプラス四十数万トンの繰越し、それを差引きいたしまして、その仮定の数字の上に立つて、なおかつ輸出の可能性があるかどうかということについての、御判断を伺いたい。 なお私はこの機会につけ加えておきますが、私が輸出が可能であるか、不可能であるかと言うことは、あなたがかりに不可能であると言つても、それは司令部から今後かりに命令で出て来るようなものがあつた場合、その数量は含まない。これは仕方がない。たとえば朝鮮に何万トン輸出しろ、あるいは台湾に輸出しろという命令が来た場合は別ですが、今ここであなたが輸出が不可能であるとおつしやいましても、その中にはそういう数字は入りません。一応そういうものを除いて、今の仮定の数字の上に立つて輸出が可能であるか、不可能であるかということを伺いたい。
○増岡説明員 現在窒素質肥料だけについてみますと、一応供給と需要とのにらみ合せをやつておりますが、現在通産省の方の供給見込みからいいますと、二百三十六万トンばかりを見込んでおります。それから消費につきましては、今お話のように二百十五万トンという数字がありますし、そのほかに業者の手持操作用というものを考えて、二百二十二万トンぐらいの需要ということになりますと、その差は約十万トンぐらい、十万ちよつと越しますか、そのくらいの数字が一応バランスとしては出て来ると考えるのであります。しかしその供給、需要の点については、それは通産省なり農林省なりの一応の推定数字でありますので、私どもとしては、さらに固めた上で、バランスを出さなければならぬというふうに考えております。
○河野(謙)委員 同じ質問を何度もささないようにしてもらいたい。私は今の二百三十何万トンと需要の二百十五万トン、この数字は今後検討の結果動くかもしれません。動くかもしれませんけれども、一応基礎を持たなければならぬ。この仮定の数字の基礎に立つての場合には、一体安本としてはどういうふうにお考えになるか。それともなおかつ輸出は可能であるとおつしやるのか。この程度の数字であるならば輸出は不可能であると言われるのか。それを承つておる。少しどうも何か固くなられておると思うのでありますが、私も楽に質問しますから、あなたもひとつ楽に答弁してください。
○増岡説明員 今申しましたように十万トン程度では非常に輸出はむずかしい、もう少し余裕があるのでなければ、輸出は非常に困難だという感じがいたします。しかし繰返して申しますが、二百十五万トンという需要に対しては、今河野委員は、農村の方ではそういう需要が確実にあるというふうにお話でありますが、その点については、先ほど申しました意味で検討すれば、減るというようなことも考えられないでもないということになれば、その十万トンのバランスがさらに大きくなる。あるいは生産量の方でもなお検討の余地があるので確実なことを申せないというふうに繰返して申しておるのでありますが、十万トン程度のバランスが出たのならそれは安心して輸出するという状況ではなかろうと考えます。
○河野(謙)委員 大分話が違つて来ました。二百三十数万トンの供給に対して、二百十五万トンの需要であると仮定した場合にはきゆうくつである、私もそう思う。だから輸出はできないと思う。ところがそれがさらに生産が十万トン、十五万トンとふえる。また一方農家の消費の方が二百十五万トンが二百万トンになり、百九十万トンになる場合には、双方の開きが大きくなるから、輸出は可能になる。ところが肥料の七割を消費するのは来年の春である。来年の春になつてみなければ、えらそうなことを言つてみても、一月先のことはだれにもわからない。でありますから、そこで政府としては、来年の春に備えて肥料行政をやつて行く以上は、十分なるそこに余裕を見なければならぬ。今から今年の冬や来年の春の電力なんというものは見込みがつかない。しかもきのうから、たびたび言つておりますが、あの十年来初めて惠まれた豊富なる電力というものは、今年の冬や来年の春には大体見込めないのですよ。それを見込んで、今生産計画を立てておる。そこで私はなおもう一つ申上げますが、同時にこういうふうな国際情勢に置かれて、朝鮮が安定した場合には、朝鮮に肥料の輸出の命令が来るといううわささえも飛んでおる、司令部のある人がそういうことを言つたといううわさも飛んでおる。日台協定の問題も胸につかえておる。その他どういう形で十万トン、十五万トンの輸出の命令が来るかもしれない。この来るかもしれないという用意は政府はなくちやいけない。かりに十万トンや十五トンふえても、ふえた分については、そういう来るかもしれない命令に備えて十万トンなり十五万トン置かなければならぬ。そういうことを考えますと、今までわずかではありますが、二万トン、三万トン輸出したことも、これはまつたくめちやであります。同時にこの段階に来て今後のことについて、ことしの秋に輸出は少くともできないというくらいの言明をしなければ、農家は安心して肥料が買えない。同時にこの間において商人が、これもたびたび言つておるのですが、政府の態度を非常にいい道具にして、政府が輸出を許可すると言つておる。台湾に出る、朝鮮に出る、興南の工場が爆撃された、こういうことを材料にして肥料をあおつておる。このあおつておる問題は、少くとも政府は明確なる態度によつて押えなければいかぬ。それに対して、安本の方ではどういうふうにお考えになつておるか。特に私が伺いたいのは、朝鮮や台湾に今後輸出の命令が来るであろうということを巷間伝えております。これははつきりあなたは言えないでしようが、そういうことを予想して、それらに対して十万トンなり、十五万トンのリサーブをしておかなければいかぬということについては、どういうお考えであるか、それを伺いたい。
○増岡説明員 最後の点につきましては、お話のようなこともあるようでありますので、相当程度そういうものに対する余力はとつておく必要があると思います。 それから最初の、本年内には輸出を絶対にしないのだというふうに安本として、政府として言明をする方がよろしいのだという点につきましては、私ただちにここでお答えはできませんが、今申しましたような肥料の需給のバランスのもとに立ちまして判断をしていただきまして、そういう必要な場合には明らかに示した方がよろしいというふうに私は考えております。
○河野(謙)委員 そうしますと、この席では何ですが、少くともあなたがおつしやつた今月の半ばまでには、さらに仮定の数字でなくて、もう少し確実な数字を通産、農林を両翼にして、安本がよく検討した上で態度を決定する、こういうことであります。 これは今肥料の時期でありまして、一日も急ぐ問題でありますから、必ず先ほどの御言明の通りに、この半ばに肥料の輸出の可能か不可能かについて表明されることを、必ずお約束されることを私は信じて、一応私の質問を終ります。
○大森委員 現在の肥料の価格は安本によつてきめられておるようでありますが、何を標準にしてきめられたかということを、お尋ねいたしたいと思います。
○増岡説明員 肥料の価格につきましては、ただいまのところ、いわゆる自由価格になつておりまして、安本としてはきめておらないのでありますけれども、ただいまお話になりました点は、おそらく最近決定いたしました公団の放出します肥料の価格の問題だと存じますが、あの問題につきましても、私どもといたしましては、別にきめるということではないのでありますが関係方面から最高価格を出す方がよろしいということで、一応最高価格を立てておりますけれども、あの範囲内でいわゆる自由価格がきまつて行くという関係になつておるのであります。
○大森委員 私は先ほど買入れ価格が幾らであるかということを調べたのでありますが、政府の買入れ価格は大体一トン二千六百円くらいである。そうすると一袋が大体二百五十何円と相なるのであります。それが現在放出価格をきめられてあるものは七百十一円かになるということであります。それはいかなる算定によつて、またどういう点からそうした放出の価格を、そういうふうにきめられたかということを、なおお尋ねいたしたい。
○増岡説明員 現在の放出肥料の最高価格のきめ方といたしましては、先ほど申しましたように、現在の市価というものを一応標準にいたしまして最高価格をきめて、その最高価格の範囲内で入札をするという建前で、その最高価格をきめました標準は、大体メーカーが全購連と取引をしている価格が標準になつておるという形であります。
○大森委員 実は私はその点に対して、私の意見も申し上げて安本の御意見をさらに伺いたい。この間農林大臣が出席した場合において、この手持肥料によつて肥料の価格の調整を行うことが適当ではないかということを私から言つた。それに対しましては、農林大臣もその通りだ、こう言つておる。しかし今の答弁を聞きますと、メーカーが商いをしている。そこでそのメーカーの商いをしている原価価格にならつて、放出価格を大体そういうふうに示したのであるということでありますならば、あなた方は今日メーカーが統制を解かれて、自由販売によつて売つておるその肥料価格というものが適当であると考えておられるかどうか。私は決してこれを安いとは考えておりません。昨年は四百四十円ですでに農村が配給を受けておる。それが今七百十一円にきめることが適当なりと考えられるということならば、私はこれを承服できない。なぜかと申しますと、今や安本は自由販売に対しましても、あまり高く売つたものに対しては暴利取締法というものを適用しておる。しかるに政府が二百五十何円で買い入れた硫安を、七百十一円に売れというのは暴利取締りにかかりはしないか。実にけしからぬ。政府自体暴利をとつている。そうして他の自由販売者に対しては暴利取締法を適用しておる。しかも農村は申し上げるまでもなく、肥料に対しましては夢にまで、寝言までに言うほど大切なものである。その大切な肥料が、あなた方一官吏の手によつて価格をつり上げられるような政策をとられることは、実に遺憾である。われわれはどうしたら一銭でも安く農家の手に肥料を買い付けさせることができるかということを考えておるのである。しかるにあなた方は、メーカーの販売しているその価格が適当なりとしてきめるというがごときは、実に不都合ではないか、なおまたあなた方が価格をきめられるにあたりまして、今の価格が適当だということを考えておられることはどうでありましようか。この点をさらに伺つて、なおお尋ねをいたしたい。これが安いと思つておられるか、この価格が適当であると思うておられるか。かくのごとき暴利、二百五十何円のものを七百十円に売つて、そうしてそれが正しい値段であるというがごときことを言われることは、実にけしからぬ。この点を伺つて、なおあらためてお伺いしたい。
○増岡説明員 先ほど申上げたように、公団の放出価格は、一応市価を標準として最高価格をきめたということでありますから、別にこれで売るという価格ではないのでありまして、これ以下の取引はさしつかえないということであります。なお硫安について申しますると、補給金を全部はずした場合に概算される去年の十二月末の価格に対して七割上げという線よりは、かなり低い価格で最高価格もきめているわけでありまして、この範囲内でおそらくそれだけ供給が円滑になるわけでありますから、硫安の価格のレベルもむしろ下向きになるというふうに見てよいのだと考えます。
○大森委員 どうも私納得できないのは、最高価格をきめたので、幾らに売つてもよろしいと言われるが、ところが私のところで現在入札してみると、七百円に入れた者に対しては落札しておる、しかしながら六百九十五円に入札した者には落さない。そうすると一定の方針をはつきりきめて、これ以下にやつてはいけないということを明示してあるか、そうなると、あなたの言われることは詭弁であつて、この場において、ただかつてにあなたが言い拔けのために言われるように私は受取るのであります。そこで私は、政府がこの手持の肥料を市場に、自由にでなく買つた値段に、さもなくば四百四十円という昨年の値段で売り出すということが適当ではないか。そうすることが農家にとつて、今度の上つた肥料の価格を下げることになるのである。あなた方は肥料メーカーのために値段をつり上げるために調整をいたしておられる。私どもの調整というのは、安くしてもらうための調整をしてもらいたい。政府の持つておられるものは、金もうけするために買つた肥料ではない。二百五十何円で買つたものを、それを七百十一円に売らなければならぬというために買つたのではない。これは農家に配給すべく買つたのである。しからばこれによつて調整するということは、私は上げてくれというのではなく、これを安くせよというのが私どもの目的である。しかるにあなた方の考えておられることは、これは変な言い方であるが、メーカーとあなた方安本の方の間に何かあるのではないか、いろいろつながりがあるのではないか、さもなくば何のために値段を協定して、そうしてあなた方が最高値段をきめられるのであるか、政府の持つておる品物じやないか、政府が持つておる品物でありまする以上は、この価格は、農村にとつて、あるいは国民にとつて政府が金もうけしなくともよろしいのだということでこれを放出するならば、やはり四百四十円で売ることが適当ではないか、かように考えるのでありますが、これに対して局長はどういうふうに考えておられますか。
○増岡説明員 繰返して申し上げますが、われわれとしては一応最高価格をきめたということでありまして、その以下で入札する分には幾らでもよろしいし、また何円以上の入札でなければ落さないというような、具体的なことは一つもきめておらないのでありまして、公団の清算に関連いたしまして、その具体的な運営はやつて行くということになります。別にわれわれとして、特にメーカーの利益を擁護するということのために、肥料価格をつり上げるような操作をやつておるつもりはありません。
○大森委員 それならば、大体しつこく申し上げてもどうかと思うから、私はこの程度で終りたいと思います。終りにあなたにお尋ねいたしたいのは、あなたの御答弁から申しますと、最高価格は大体こうだときめたが、しからばあとは幾らに売つてもよろしい、こういうふうに聞いていいのでありますか。しかしながら幾らに売つてもよろしいが、それは一体何ものが采配するのであるか。しからばどういう人がこれに対して権限を持つておるのであるか。幾らに売るか売らぬかという権限はだれが持つておるのであるか。この点をひとつはつきり聞かしておいてもらいたい。私ども農業協同組合に関係を持つておりますので、この間入札をした結果をもつて私は申し上げておる。そうすると、私どもの地方においては、七百円でなければ売らないということがはつきりいたしておる。するとあなたの言つておられることとは全然違うのである。この点だれが権限を持つておつて、あなたの言われるように、七百円以下でも売ることができるのであるか、この点を伺いたい。そしてもう一言あとでお尋ねをいたしたいと思います。
○増岡説明員 公団の手持肥料の販売の実際は、公団の清算人が、ただいま非常に大きなわくできめました範囲内で運営をしておるわけであります。公団の清算を担当しております公団の清算人が、実際の入札等の実務はやつておるわけであります。さらに公団の清算の正否につきましては、すでに御承知だと思いますが、大蔵省の管財局に公団清算室というものがございまして、そこが、公団の清算人の清算の適否ということを見ておるわけでありますが、現実に売り買いということになりますと、公団の清算人が実務を担当しておるわけであります。
○大森委員 それならばその実権は大蔵省の清算人が持つておられる。そこでいよいよ販売のときは、公団の整理人が行うのだというようなお話であつたが、しからば安本の産業局長が今申されたごとく、最高の価格はきめたが、幾らに売つてもよろしいということをはつきり言つたが、どうだこれが間違いないかということを、あなたの名前をあげて清算人に私どもがいつてもさしつかえないかどうか。そしてその場合において、やはり大蔵省の清算人に聞かなくちやわからぬというようなことがあるとするならば、あなた方が言われたことは、価格をきめて、どうでもよい、いくらでもよろしいとは言いながら、それ以下に行つてはならないということをはつきりいたしたことに相なると思うのでありますが、この点はどうでありましようか。
○増岡説明員 私は先ほどから申しましたように、最近の拂下げ肥料の価格の問題は、最高価格として、物価庁が、硫安についてはトン当り一万八千何がしというような数字をきめたのであつて、その範囲内で入札が行われるということを申し上げたのでありますが、実は幾らで売つてもいいというところまでおとりになつたようでありますけれども、その点については、私は公団の清算の内容で、どういうふうになつておるのか、今のところ具体的に承知いたしておりませんので、あるいは公団の内部といたしましては、最低価格というような線を持つておるのかもしれません。その点は今申しましたように承知をいたしておりませんが、きめました値段はあくまで市價を標準にした最高価格である。従つてこれが絶対の価格であるということでなくて、これよりも安い価格で取引できることは可能であるということを申し上げておるわけであります。
○大森委員 なおもう一言お尋ねいたしたい。今の御答弁は大体それでわかりましたが、それは政府の意向であるかどうか。政府の一貫したところの意向であつて、その他肥料の値段というものは、今日の市価によつて定めることが一番よろしいのだ。すなわち吉田内閣の方針はこうなんだというようなふうに承つてよいかどうか。そういたしますると、吉田内閣は、政府は、要するにこの現在の肥料価格というものは、これが適当であるというふうに考えておられるというふうに承知していいかどうか。この点をなおお尋ねしておきます。
○増岡説明員 一応標準最高価格といたしましては、今申しましたような価格が適当であるというふうに考えておるといつていいわけであります。
○深澤委員 関連して一言だけ……。私は当面問題になつております通産省が農林省の同意を得ずして輸出した問題について、ちよつとお伺いいたしたいのでありますが、先ほどの局長のお話によりますと、当時の事情から言うと、輸出してもさしつかえないような事情があつたような口吻を漏らされております。そうして安本の輸出問題を容認にされているような口吻があつたわけであります。ところが先般農林委員会で問題にいたしましたときに、通産省の方といたしましては、農林省ははつきり同意はしていないけれども、これは同意が得られる可能性があるということを前提として輸出をしたのだと、こういうふうに言つておるわけであります。そうすると、どうも安本か何かと打合せをして、これは輸出してもよかろうというような話があつたのじやないかというぐあいに、私はあなたの答弁の中に感ずるものがあつたわけです。一体安本としては、農林省の同意を得ずして通産省がやつたあの輸出問題については、どういう考えを持たれて、その当時どういうことを承知しておられたか。その点をちよつとお伺いしたい。
○増岡説明員 その当時は、私どもの方では実はほんとうのところ承知いたしておりません。ただ先ほど河野委員からも御指摘になりまして、私の答弁が非常に矛盾しておるというお話があつたのでありますが、ともかくその当時におきましては、私どもは知らなかつた、あるいは計画についてまだ立案しておらなかつたという点があるのでありますが、一応農林省に通産省が輸出の打合せをして、そのできる範囲内では輸出が可能であつた情勢であつたということでありまして、許可の承認が、農林省へ通産省から打合せをして、そのまだ承認がなかつたものについて、輸出したものについて安本が承知しておつたかという点は、最初に申しましたように、私は承知をいたしておりません。
○深澤委員 そういたしますと、八月の下旬に安本において、安本、通産、農林の打合せ会議があつたわけです。そのときに日台協定の二十五万トン輸出の問題が出まして、そこで農林省は実は驚いて、今後小口の輸出も同意を與えないということを言明したそうです。その当時なおかつ安本は小口の二万トン、三万トン程度ならば、輸出してもよかろうという考えをお持ちになつておつたということを、今言われたようですが、その当時として、どの程度の輸出を安本はしてもよろしいというお考えを持つておつたのでしようか、もう一ぺんその点をお伺いいたしたいと思います。
○増岡説明員 その当時別に具体的にそうわくのような考え方で、小口ならばどの程度のものはいいという考え方は持つておりません。
○吉川委員 深澤委員から尋ねられた問題について、私も実は同様な感じを持つたわけです。これだけの問題を、通産省の事務当局だけでおやりになるということは、私どもには想像もできないのですが、もし安本でただいま局長がお答えになつたような実情であるとするならば、これは通産省の事務当局の独裁で、これは実に日本の官僚政治のゆゆしき問題なんです。これは肥料小委員会などで徹底的にひとつ究明していただきたいと思いますし、今の深澤君の質問に対してのお答えも、これ以上私も伺つてもしかたがないと思いますから私はやめますが、ついでに一つ伺つておきたいことは、大森委員の伺つた価格の問題ですが、これは米価を決定する上に重大な影響を持つているのでありますから、伺うのですが、市価を基準にして最高価格をきめられた、こういうことでございますが、その七百十円ですか、その内容をお聞かせを願いたいと思います。このただいま資料がなければ、あとでけつこうでございます。 それから公団の買上げ価格が二百五十何円というのですが、今まで補給金がありました。その補給金を打切ることによつて、七割方の値上げをしなければならないと言われていたのでありますが、七百十円の最高価格をおきめになるところから、逆に考えてみますと、今までの補給金というものは、メーカーの保護に過ぎるところの政策ではなかつたかと思うのですが、これは参考のためにひとつ伺つておきたいと思うのです。
○増岡説明員 前の点につきましては、もう少し資料を整備してからお答えをいたします。あとの点につきましては、いろいろそういう見方もあるかと思うのでありますが、当時といたしましては、肥料の消費者価格と生産者価格の開きを補給金として出すということで、物価庁において嚴密なる原価計算をやつた上で算出したものでありますが、おそらくその後の状況が七割アップより多少減つてもさしつかえないという点につきましては、第一番には何といつても肥料の需要の面から押えられて、メーカーが勉強しなければならぬという点が出て来ておると思います。統制時代よりも勉強しなければならぬということで、幾らか原価について切下げをやるという考え方が、どうしても入つて来ておるのいう点と、それからなお漸次肥料の生産数量が上昇するに伴い、あるいは生産が安定するに伴つて、物価庁の算定いたしました当時のものよりは、さらに合理化を促進するという気配が見えて来ておるという結果、必ずしも七割アップにならなかつたという結果になつておるのでありまして、その点はメーカーの合理化、特に消費者の需要の状況からいつて、合理化が促進されたというふうに見ていいのだというふうに考えます。
○河野(謙)委員 先ほど大森さんの御質問で、七百円の肥料価格は吉田内閣の方針のように言われたのですが、これはわれわれ政府と一体の責任の立場にある者としてゆゆしき問題であります。政府もわれわれ與党も、七百円を妥当な価格であると言つたことは決して一ぺんもありませんよ。それで価格の問題について一つお尋ねしておきたいのですが、安本はこういうことは御存じないのですか。通産省は肥料の統制時代に、もし統制が続くとしても、七百円の価格の改訂のときには、七割上げを六割上げに下げる、一割は引下げるということを言つておつた。でありますから、統制時代からもうすでに六割上げというものは、妥当の価格であるということを言つておつた。しかる後に統制が撤廃になつた、統制が撤廃になりますと六割上げの価格をさらに公団による非常にむだの多い中間経費の統制が排除された以上は、この公団の中間経費を大いに節約して、その六割アップから中間経費の節約分だけはさらに安くするということは当然であります。従つてわれわれは通産省が言つた六割上げの価格から推定して行つて、五割とか五割五分上げの価格というものは、当然結果として出て来るのです。これがわれわれは妥当なる価格であるということは、常にその当時の政府も言つておつたし、われわれも言つておつた。たまたま今市価により七百円である。同時に政府の市価の操作がまずいために、中間的に、経過的に今七百円という価格が出ておるのであつて、われわれは今七百円という価格を適正なる価格ということは一ぺんも言つたことはない。そんなことは考えない。そういうことを、大森さんの質問に対して、政府はそれを妥当なる価格であるということを御答弁なさつて、大森さんが選挙区へ行つて、吉田内閣は七百円を硫安の適正価格だと言つた。こう言われることは非常に迷惑をこうむる。そういう点について、もう少し明確に、価格についてははつきりしたお示しを願います。かように考えます。 それからもう一つは、先ほどの二万数千トンのあの問題が起つた当時には、それが可能であつた。こうおつしやいましたが、その当時と今の事情がどういうふうに違いますか。供給、消費面でどういうふうに違うか。八月末当時と今の事情が違うかのような口吻でありますが、その当時と今の肥料の供給の違つておる面について、どういうふうに違いますか。これもひとつお答え願いたい。
○増岡説明員 最初の点はどうも答弁がまずかつたので誤解を招いたかもしれませんが、むしろ河野さんがはつきり言われましたから、私は言わない方がいいのかもしれません。先ほど申しましたように、操返すようでありますが、最高価格としては一応あれが適当なりというか、ほかに標準になるものがないから、こういう数字を出して公団としては放出するので、その範囲内で取引の価格がきまるということでこれがきまれば、あるいはさらにメーカーの売り出しておる価格がそれにつれてさらにかわつて行くということもあつて、結局はいわゆる妥当の線に落ちつくということになるわけでありまして、別に最高価格そのものが妥当だと言つておるのではなくて、最高価格としては今ほかに寄るべき数字がないから、市価なり、あるいは公団の買入れ価格を参酌してきめたものを、最高として出しておるのだという意味に御了解を願いたいと思います。 それから第二の点でありますが、状況については格別かわつた点はないので、需給の関係は先ほども申しましたような状況になつております。それからその当時においては、生産が特に多かつたとか、あるいは消費がきわめて少く見積られたという状況はなかつたのでありますが、ともかくその当時においては、先ほど申しましたような意味で、正確な計画は立つておらなかつたということにかんがみまして、一応農林省として了解をしたということであればその点については何と言いますか、事後的に見て、事情が許されたという意味で申し上げた次第であります。
○河野(謙)委員 これはどうもまた矛盾ができて来たのだが、その当時と今の肥料事情はかわらないということであれば、その当時輸出を可能としたというならば、今もまた輸出を可能とする、こういうことになる。もし先ほどのように、仮定ではありますけれども、今の需給推算から行けば、もう少し考えなければならぬというならば、その当時の輸出もちよつと早計であつた、こういうことになる。どつちか一つに、あなたの思想を統一してもらわぬと、このまま置いておいては矛盾がある。これは悪いことは悪いのですが、輸出そのものは、安本と通産省が一致して可能であつたということになるのか。これは非常に重大な問題であります。でありますから、あなたの思想を統一してその当時も今と同様に、輸出については可否の結論を出すには早かつたのだということなのか。それとも、その当時出してもよかつたのだから、今も出してもいいということになるのか。どちらかに、はつきりしてもらわぬと困る。
○増岡説明員 今申しましたように、事情はかわつておりませんのですから、輸出の可否を総体的に決定するのには、その当時は、まだ早かつたと言つてよろしいと思います。
○河野(謙)委員 そうしますと、先ほどのその当時は輸出が可能であつたということは、言葉が少し過ぎたので、その当時は、まだ輸出の可否について決定するには早かつた、こういうように解釈してよろしいですな。
○増岡説明員 それでよろしゆうございます。
○小笠原委員 ちよつと私は安本の局長さんにお伺いいたしますが、この肥料の問題の一番の今日の問題になつておるのは、農林省の許可を得ずして通産省が輸出したということである。まずこの問題を解決をつけたいと思つておるのでありますが、先刻来局長さんは、そこの問題に触れると、その当時は、やはり通産省の方で許す限り、輸出してもいい情勢にあるというような御答弁にうかがわれるのでありますが、私はどうもふしぎにたえない。一体肥料を輸出するということについて、私はほんとうの一年生から聞かなくてはわからなくなつてしまう。これに対してあなた方の安本ではどういう関係があるか。計画を立てなければなぬか。協議しなければならぬ事項か。まるつきりあなた方に少しも協議せぬで、かつてに通産省は輸出していいのか。それにはあずかり知らぬでいいのか。そこの責任問題をはつきりしていただきたい。
○増岡説明員 肥料の需給関係は、先ほど申し上げましたように、また皆様方からお話のように、非常に重要な問題でありますから、国内需給の関係を見ました上で、輸出の可否ということを検討することが適当なわけであります。従つて例の問題が起きました当時におきましては、一応安本といたしましては、まだ計画を立てませんで、通産省から具体的に農林省へ協議をいたしまして、農林省の方で支障がないというふうに認められるものについては、輸出をするという建前をとつておつたのであります。しかしながら問題は、当初に申しましたように、重要な事項でありますし、ただいま申しましたように、お話のさしさわりの点もありましたので、今後は最初に申しましたように、安本において両省と協議した上で、わくをきめて、その範囲でやつてもらうということにいたしたいと考えております。
○小笠原委員 いや、私はそんなことを聞いておるのじやない。今後はどうのこうの、そんなことは関係ない。起きた問題に対して、あなたの方に何ら協議せぬで、かつてに通産省が輸出して、あなた方はそれにあずかり知らぬでいいのかどうか。それについてあなた方は、通産省に対して抗議を申込むだけの権限、あるいは役人の道義権念として、やはりあなた方はそれに対して文句を言うだけの権限がある。それを少しもせぬで、ここへ来て答弁するには、その当時の状況は、その承認さえ得るならば輸出していい状態だ。それはわかり切つておるが、承認を得ないでやつたんだ。それに対してあなた方の方は、それは農林省と通産省の関係で、われわれは関係がないとおつしやるのか。そうじやない、そこに関係があるのだ。これはほうつておかれぬ、ここに対して一応の文句を言わなくてはならぬとか、何かそこにあなた方ありそうなものだ。これは通産省がかつてに輸出した。それでもあなた方はあずかり知らぬというならば、安本はなくてもいいじやないか。役人がおるのはむだじやないか。今後は自由に出してしまつて、そのあとで当時の情勢からやむを得ない、やむを得ない。そんなことを言うくらいなら、あなた方の存在は何の権限がある。何の必要がある。それをぼくは疑うのだ。安本だ安本だと、すべての支配権があるような顏をして、いざとなれば知らぬふりをしている。とんでもない話だ。そこを先にきめなければ、この今の肥料の話は進まない。今後はどうのこうの、ちつとも言わぬでもいい、この問題に対して、はつきりした御答弁があればいい。いかぬならいかぬ。手落ちなら手落ち。はつきりしなさい。あずかり知らぬ。それはわれわれの権限の知らざるところだ。こういうことならそれでもよろしい。あなた方の存在の必要がなければないで、それで退却する。それならそれでよろしい。何でもいいから、はつきりしたことを聞きたい。それがここの問題になつておりますが、あつちへ延ばし、こつちへ延ばし、いたずらに時間ばかりとつて、もやもやする。それが閉口するのだ。この間からこの問題で困つておる。しかも安本から来る役人が、どれも引延し策をやるので参つてしまう。とても降参するが、あなたは局長だから、その点をはつきりしていただきたい。
○増岡説明員 承認を得ないで輸出をしたということは、通産省としてはきわめて不当なことでありまして、安本といたしましても、それに対しては、そういうことがあつてはいかぬということを言つておるのであります。ただ御承知のように、法規に関係をいたしますと、一応通産省、農林省の関係でありまして、安本といたしましては、その間を調整するという建前にありますので、これを何といいますか、権限的に処分をするとか、あるいはどうするということはできないのであります。事実上といたしましては、そういうことは非常にいけないことであるということで、今後そういうことがないように申し入れて、そういうことが起きないような予防措置を講ずることにいたします。
○小笠原委員 今後起きないように、善後措置を講ずるとおつしやるが、今後起きても、あなた方に権限がないというならば、安本という存在が、肥料に関しては関係がないものになるじやないか、こう私は申し上げておる。そこで、それを関係ないようにしないで、関係のあるものにして、今後善後措置をなさるというが、どんな善後措置ですか。ただ善後措置ではわからぬ。またやられたら困る。この次もまた善後措置、善後措置で、ただ月日を数えるだけの話では、むだな話だ。農民の苦痛は見ていられない。だからこういう遺憾なことが起きた時分には起きたなりに、安本としては、あなた方の協議内容であるにかかわらず、それが実行できないならば、あなたは席をけつてやめるなり、大臣に抗議を申し込むなり、何か目鼻がついていなければならぬ。それを、農民がどうなつても、役所同士のあやまちをお互いに塗り合せて、間に合せて、いいあんばいにしようじやないかという考えならば、とんでもない。それで、今後の善後措置とはどういう措置か、それを明らかにしてもらいたい。
○増岡説明員 それは最初に申しましたように、今後におきましても、一定の計画を立てまして、それ以上はやらないということを、官庁間において約束をするということであります。
○小笠原委員 それは当然な話です。この間だつて計画を立ててやるようなことになつておつたのです。それはこれまでだつて、農林省が同意しなければできないことに、法律でちやんとなつておる。その法律を破ることを、あなた方に相談ぐらいしたことは朝飯前だ。商人どもが来て、どうだこうだと背中をちよつとたたいたら、すぐ連中は判を押すことになつている。それを押えるのには、そんななまぬるい手で、あなた方は安本としての顏が立つか。あなた方の職務の権限がこれからほんとうに実行できると思つているのか。法律さえ破る役人に、そんななまぬるい官庁同士の狂言くらいで間に合うわけがない。法律さえ破る役人に対して、そんななまぬるいことでできると思いますか。鉄筋コンクリートの倉を破るどろぼうに対して、板張りを破らぬようにと言つて、あなたがどろぼうに約束したつてどうなりますか。下手な答弁を聞くためにわれわれは立つているのではない。法律を破る役人に対しては、何かの手がありそうなものではないか。それをあなたはおつしやらずに、今後はどうのこうのという。それだから困るというのだ。それだからいつまでたつても、何年たつてもこの委員会はだめだ。それをあなたは答弁できなければ、大臣と相談して来て、しつかりした御答弁をなさい。それができなければ、しかたがないから、当委員会は大臣も証人に呼び出して、しつかりしたことを聞こうじやないか。そうでなければ收まりつこはない。そこまで行かなければだめだ。われわれは與党だ、野党だといつて、擁護することは擁護するけれども、あまり委員会をばかにされたり、なめられたりするというのは、それがためにわれわれは白毛がはえているのではないから、もう少ししつかりしたことをなさい。
○増岡説明員 どうも私の答弁では御満足はおそらく行かないと思うのでありますが、安本の立場といたしましては、各省の調整というかつこうになつておりまして、別に権限をもつて命令するという事項については、きめられておる関係上、約束をし、またそれを法律に基いて実行するという建前になつておる実施の官庁におきまして、実施の係官がこれを無視してやつたという場合に、直接安本として処置する手はないのでありまして、やはり各省間の審議の打合せによりまして、それを各省において実行してもらうということよりは、今の制度といたしましては手がないのであります。
○小笠原委員 あなたの答弁を聞くと、法律を破るようなああいう役人を相手にしては、とてもかなわぬということの答弁なんだ。よし、わかりました。
○千賀委員長 この際お諮りをいたします。肥料の輸出許可の問題について、本院法制局より参考意見を聞きたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千賀委員長 御異議なしと認めます。平野三郎君。
○平野委員 法制局第三部長に対してお尋ねいたします。お聞き及びの通り、最近政府において、肥料の輸出に関し、政治的に考えれば理解することのできないようなきわめて不当な行為が行われているのでありますが、これに対して法的にどういうことになるのかということについて、お尋ねをいたすのであります。 われわれ立法府は、單に法律をつくり放しだけで事足れりとするわけではなしに、この法律が正しく施行されるということを監視する義務もあるのでありまするが、最近の政府の行為を見ますると、法律を片つぱしから破るようなことをやる役人がおるのであつて、かようなこととでは、とうてい安心して政府にまかすということもできませんし、場合によりましては、この際法律の改正もしなければならぬとわれわれ考えているような次第でありまするが、ここで法制局に対しお尋ねしたいことは、まず第一点は、今回の通産省の行つた肥料の輸出は、明らかに農林大臣の同意を得なければならないというのにかかわらず、それを行わずして三万数千トンのものを輸出許可を與えた。しかもその一部には、農林省に対して同意を求める手続すら全然とらずに行つたというような事実があるのであります。この輸出の許可は、通産大臣の判もあつて、許可書そのものは一見有効のように見えますけれども、これは重大な法的の欠陥のある許可書であるから、一種の公文書偽造である、当然この許可は無効であるというふうに考えられるのでありまするが、この有効であるか、無効であるかという点について、もし無効であるとすれば、当然これは取消すことができるわけである。少くとも農林省の同意を得ずして行つたような許可書は、農林省からそれに無効であるから取消すべきであるという意思表示は行うことができると思うのでありますが、この点について一応参考意見としてお尋ねをいたします。
○鮫島法制局第三部長 お答えいたします。まず御質問の趣旨は、この法律及び政令の規定によりますと、通産大臣が肥料の輸出を承認するという場合におきましても、農林大臣に協議してその同意を得なければならぬということになつておるのであるが、その同意を得ずに承認したその承認がどういうことになるかという御質問の趣旨であろうかと思います。ちよつと一般論になりますけれども、行政行為に瑕疵がある場合に、その行政行為がどういうような効力を持つかということにつきましては、これは別に何も法律の規定も何もないのでありますが、ただ従来の裁判所の見解、あるいは学者の見解、そういうものによりますると、そういう瑕疵ある行政行為は二つの種類がありまして、その行政行為が無効であるという場合が一つあるわけであります。それからもう一つは、その行政行為は無効ではない、あくまで有効ではあるが、しかし瑕疵があつたのであるから、それは取消すことができる。言いかえますれば、結局その行政行為は当然無効である場合と、無効ではないが、その行政行為をした者が取消しをすることができる、この二つの場合があるのであります。それで本件の場合は、そのいずれに該当するかということになるのでございますが、その行政行為がいかなる場合に無効になるか、またいかなる場合にそのある行政行為は無効ではなくして、單に取消し得る場合に該当するか。これにつきましても、別に法律の規定にございませんで、やはり従来の裁判所の見解とか、あるいは学者の論じているところによつて、総合的に判断するよりほかないのでございますが、それによりますと、この瑕疵ある行政行為というのは、能力規定に違反するか、あるいは命令規定に違反するかというので大体その区別をしておるようであります。すなわちその能力規定に違反する場合というのは、行政官庁がある行為をする場合には、必ずその通りやらなければできないのであるという場合が能力規定でありますし、命令規定というのは、行政官庁が單独になすことはできる、ただほかの官庁に同意を求めたり何かそういうことをする義務があるという命令規定と、そういう二つの場合があるわけであります。この法律の建前といたしましては、一旦行政官庁がやりました行為が無効になる、これは国民の側から見ますると、非常に重大なことでありまするので、そういう無効になるような要件は、必ず法律に規定するのが建前であるというふうに言うべきではないか。またたといある行政官庁があることをするについて、こういうことをしなければならぬという義務が命ぜられましても、それがこの法律でございませんで、法律以下の命令——命令には省令とか政令がございますが、そういつた事柄からそういう義務が命ぜられておる場合には、これは大体論といたしましては、單に義務違反を生ずるというふうに解するのが普通ではないか。すなわち行政行為を無効にするような要件は法律の上ではつきり書くべきであつて、命令でそういう要件を書くというのは、民主主義のもとにおきます法律のあり方としては、普通のあり方ではないのではないか、こういうふうに考えられるのであります。ひるがえつて本件の場合を見ますと、外国為替及び外国貿易、管理法の第四十八條に今の輸出の関係があるのでございます。この第四十八條によりますと、「特定の種類の貨物を輸出しようとする者又は特定の取引若しくは支拂の方法により貨物を輸出しようとする者は、政令で定めるところにより、通商産業大臣の承認を受ける義務を課せられることがある。」とございます。この四十八條を受けまして、輸出貿易管理令という政令がございまして、その政令におきまして、肥料とかその他別表に掲げてありまするところの貨物を輸出しようとするには、通商産業大臣の書面による承認を受けなければならない。そして通商産業大臣がその承認をするにあたりましては、農林大臣の同意を得なければならないというのが、この政令でありますところの輸出貿易管理令にあるのでございます。すなわちこの肥料その他特定の貨物を輸出する場合に、通商産業大臣の承認を受けなければならないということは法律の上ではつきり根拠が出ておるのでございます。それから承認を與えるについて農林大臣の同音を得なければならないというのは、この法律の上には出ておらないのでありまして、その法律の施行命令でありますところの輸出貿易管理令の中にそういうことが書いてあるのであります。そういうところから見まして、先ほど申し上げましたような関係からいいまして、この肥料の輸出について通産大臣の承認、これは絶対的な要件になるということはわかるのでございますが、その承認を與えるについて同意を得なかつた場合にどうなるかということは、この法律の上でははつきりしないのでございますけれども、先ほど来私が申し上げました趣旨から判断いたしますと、その同意がなかつたということ自体から、ただちにこの輸出が無効になるということは言えないのではないか、もしこの同意がなければ輸出承認そのものが無効であるという場合には、明らかに法律自体においてそういうことを規定するのが、最近の立法のあり方ではないかというふうに考えるのであります。従いまして、この同意のなかつた輸出の承認ということは、これは当然には無効ではないというふうに解するのが普通の考え方ではないかと考えるのであります。 次にはこの通産大臣の承認は無効ではないが、はたしてそれは取消すべきものかどうかという問題が、この第二として出て来るのであります。この場合も通産大臣の承認が違法である、これはもう明々白々であるのであります。たとい法律でなくても、政令の上ではつきり農林大臣の同意を得なければならぬというふうになつております。この同意のなかつた承認が違法であるということは、これはもう問題のないところであります。ただこの場合にその承認が取消し得ることになるかどうかという問題になるのでございますが、これも行政行為がどういう場合に取消し得るかということは、やはり法律の規定がございませんで、これも従来の行政裁判所の判例とか、学者の説によつて総合的に判断するよりほかないのでございますけれども、そういうのを総合いたしますと、瑕疵のある行政行為は必ず取消し得るかどうかということになりますと、必ずしもそうとは限らないのであります。それはどういうわけかと申しますと、いやしくも行政官庁がやつた行為、それは国民の側から見ますれば、非常に公の信用力のある行為でございますので、官庁が自分のやつた行為に手続上違反があるというので、一々取消されるということでは、国民の側から見ますればこれは非常に困ることでございますので、瑕疵ある行政行為は常に取消し得るとはならないのでございます。しかし行政行為が瑕疵ある場合がありますので、その行政行為をそのままほつたらかしておくということによりまして非常に公益上、社会秩序上害があるという場合が当然あり得るわけであります。あるいは瑕疵ある行政行為を取消すことによつて、相手方なりその他に生ずる損害、あるいはその行政行為を必ず取消さなければならない何らかの公益上の理由があるかどうか。そういう瑕疵ある行政行為をそのままにして消すことによつて生ずる害、それを取消すことによつて生ずる損害、そういうようないろいろな利益を考慮した上で、取消すべきか、取消すことができないか、そういうことを判断しなければならない、こういうふうになつておるのでございます。従いまして、本件の場合が、具体的に取消し得ることになるかどうかということは、今申し上げましたように、その輸出の承認をそのままにほつたらかしておくことによつて生ずる損害と、それからその承認を取消すことによつて相手方に及ぼす損害と、そういう事情をいろいろ比較考慮いたしまして判断するよりほかないわけになるのでございます。非常にりくつぽくなりましたけれども……。
○平野委員 政治論としてはいろいろ議論もありますけれども、法律論としては私はきわめて明々白々、單純な理論ができると思いましたが、今伺いますと、まことにあいまい模糊として、政治論よりもかえつて複雑怪奇をきわめる印象を受けて、実に意外に感じたのでありますが、ただいまの非常にあいまいな御議論は、結局これは必ずしも無効とは限らない、有効の場合もあるが、これを取消すか取消さないかということは、その取消すことによつて起る公益上の損害が大きいか小さいかという、結局そうした政治上の判断によつてきめる、こういうことでございますか。
○鮫島法制局第三部長 政治上の判断と言われると非常にあれですが、結局瑕疵ある行政行為をそのまま——政治上と言われたですが、いわゆる社会観念上と申し上げた方がいいかもしれませんが、大体御趣旨は同じになると思います。
○平野委員 どうもそう單に政治的、社会通念的と申しますか、そういうような判断を加えて法律論を立てるということは、非常に私は疑問に感じますが、それは別といたしまして、さらにもう一点お伺いいたしたいことは、少くともこれはそうした行政上の過失を犯したという公務員としての法的責任が重大だと思いますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。実はこれはそういう行為をした公務員が、これを一つの過失として行つたか、あるいは故意に行つたかということによつて非常に大きな違いがあるわけであります。もちろんわれわれはこの場合は過失ではなく故意でやつたと断定せざるを得ないのでありますけれども、万一過失であつた場合には、これはどういうような法的責任を生ずるか、故意でやつた場合にはどうなるか。同時にこれは通産大臣、政務次官等は知らなかつたと言われておるのでありますけれども、もちろん法律上通産大臣の責任でありますが、実際には下僚官僚にまかしておつて知らなんだという御説明をしておりますが、大臣としての法的の責任はどうなるか、その点もう一点お伺いいたします。
○鮫島法制局第三部長 これは先ほども申し上げましたように、今回の通産大臣の承認が農林大臣の同意を得ていなかつたから、これは違法であるということははつきりしておるのであります。従いまして、この違法の行政行為をいたしました者に法律上の責任がある。職務怠慢といいますか、あるいは職務の執行を正しく行わなかつたという点において責任があるということは、これははつきりいたすのであります。 それから今の下僚がやつた行為、これは本来通産大臣のやるべき行為でありまして、ただ具体的な場合において、局長なり、課長なり、あるいは課長以下の方に委任してやらせることがあるわけでありますが、その委任してやつた相手方が、委任された者が職務を法規に従つて正しく行つていなかつたということにつきましては、やはり監督上の責任があるということははつきり申し上げられると思います。
○平野委員 今お伺いしたのは、故意にやつた場合はどうなるか、過失の場合はどうなるかということで、その差異について伺いたい。
○鮫島法制局第三部長 その場合には、農林大臣の同意を得なければならぬということがはつきり政令に出ておりますので、故意とか過失とかいう問題はなく、これは政令であくまで出ておるのであつて、はつきり知つておるべきはずでありますし、それからことに肥料の関係をやつております担当官でもありますので、もう法の不知ということは、刑法にも法の不知は弁解にならぬということになつておりますから、政令ではつきり書いておりますので、この場合には、過失、故意ということは問題じやなくて当然知つておくべき行為にも匹敵する場合だと思うのであります。
○平野委員 そうすると、結局これは過失の場合であつても、故意の場合であつても、そういうことはあり得ない。要するに明らかに故意でやつた、こう断定されるわけですね。 もう一点伺いますが、この不法輸出をしたことについて通産政務次官は、本委員会においてもただちにそれのさしとめをあらゆる手段を盡して行うということを言明をせられたのでありますが、今日に至るまでそのさしとめについて法的な措置を何にもおとりになつていない。ただ許可を與えた業者に対して衷訴歎願して、農林委員会でうるさいことを言うから、何とかしてくれというようなことを、ただ個人的に頼んで歩いたというだけのことをもつて終つているような次第でありますが、しかるに今の外国貿易管理法の第五十一條においては、明らかに「通商産業大臣は、特に緊急の必要があると認めるときは、命令で定めるところにより、一月以内の期限を限り、品目又は仕向地を指定し、貨物の船積を差し止めることができる。」という法的の権限を與えられているのであります。しかも本委員会が三日に行われたので、それまでわずか十日ほどの間である。決して一箇月の長い期間じやない。十日ほどの間であるから、せめて十日間だけでも委員会の開かれるまではこの五十一條を発動して、一応船積みをさしとめるようにしてくれということを要求いたしたにもかかわらず、その措置も何らとらない。むしろいろいろ調べてみると、かえつて業者に対して、うるさくならぬうちに早く出してしまえと言つて、輸出の促進に協力したというような事実さえ見えているのでありますが、この第五十一條の権限を発動しなかつたという点については、どういうふうに考えられますか。
○鮫島法制局第三部長 お尋ねの第五十一條には、通産大臣は特に緊急の必要があると認めるときには一月以内の期限を限つてさしとめをできるということが書いてありまして、特に緊急の必要があるかどうかという認定権を通産大臣に與えているのであります。それで、もし通産大臣が特に緊急の必要があると認めました場合には、船積みをさしとめるということが法を執行する者としては当然であるわけでありますが、特に緊急の必要があると認める認定権が、法律によつて通産大臣に與えられておりますので、通産大臣がどういう認定をされておるのであるか。もし緊急の必要があると認めるなら、当然さしとめを命ずるべきでありましようし、また緊急の必要がないという通産大臣の認定であるならば、そのままにしておくことになるわけでございます。これは通産大臣がその認定をいかにされておるかということによつて判断されることになろうかと思います。
○小笠原委員 ただいま法制局の部長さんのお話を承つておると、一役人の過失によつて国民に及ぼす影響が大きいとなれば、それを取消さぬでもいいというお話は、通産大臣が権限を持つておるから、これは緊急取消すべきものと認めたのはそれを取消し得る。そうでない場合には取消さぬでもいいというところに結びつくと考えられます。そこで考えまするに、今度の問題は、農林省は何ゆえに同意しなかつたかということになると、これは農民に及ぼす影響が大きい。肥料は不足だ、しかも一割増産しておるときにこの肥料を動かしたならば、値段の関係でも暴騰して、精神的に及ぼす影響も重大であるというところから、農林省は同意しなかつた。ところが通産省の方では、一役人の過失であるとしても、一旦これを許可した以上は、もしこれを取消すならば海外に及ぼす信用の重大性があるというので、これを許したということに見られる。そうすると、われわれ聞くところによると、通産大臣は農民の方の増産はともあれ、海外に及ぼす影響の方を大きく見てこれの取消しを実行しなかつたのだということになる。そうなるとこれは通商大臣を呼んで、国民の食糧増産に重きをおくか、海外に対するところの取引に重きをおくか、今日の状態はどうであるかということを、突きとめてやらなければならぬので、この点はきわめて重要な問題がここに取残されたということなのだ。農民の方をちつとも顧みず、自分が商人の親方だから一商人さえよければいいというような考え方を持つておる閣僚がおるならば、たいへんなことになる。この点はとくと委員長に次の機会に——われわれは小委員会を至急開いてこれもやりますが、委員長はこの点を考えておいて、ぜひ小委員会を開いた時分には、委員長から通産大臣に、絶対に必要があるから出席するようにひとつ御連絡をとつていただきたい。これだけを申し上げます。
○千賀委員長 承知しました。
○井上(良)委員 きわめて重大な点でありますが、今部長さんの御説明を伺つておりますと、政令にはつきり農林大臣の同意を得なければならぬと明記してある。それを同意を得ずにやつた行為については取消す必要がない。無効でないという根拠は、どういうところから言えるか、その解釈はどういう解釈ですか。もしそれが無効でないというのならば、法的にそういうことは規定してないから——今あなたのおつしやつたように、二つの解釈をしておるようでありますが、明らかにそういうことを規定してあるにもかかわらず、その規定してあることを当然実行しなければならぬ担当官が、実行しないで発行した文書はこれは無効でありますよ。ただその行為が故意であるか過失であるかという問題は批判すべき問題でありますけれども、やつた行為が明らかに同意を得なければ公文書に成立たない。公文書に成立たない一方的な文書を出している以上は無効ですよ。そういう解釈はつきませんか。
○鮫島法制局第三部長 この行政行為をやりますについて、一定の手続をふんでやるということを定めた場合は、これはたくさんあるわけでございますが、そういう一定の手続に従わないでなされた行政行為が無効であるかどうか、これは行政行為の相手方であります国民の側から見ますると、非常にまた重大な事柄であることはおわかりの通りであると思います。それでそういう行政行為を無効にするような手続は、これは先ほども申しましたように法律の上ではつきり書くべきではないか。それから行政行為をするについて、やはりいろいろな手続きを義務として命ずることがありますけれども、やはりその間軽重の差があるわけでございましてそれに違反すればそれは法規を無視したことになりますので、懲戒とかいろいろな責任は生じます。それかといつて行政行為を無効にするほどではないというようなことでございますならば、あるいは命令以下で規定してもよろしい。そういうようなことが立法するものの大体の考え方ではないかというような前提から申しまして、この場合同には、この承認ということは法律の上ではつきり書いてあるが、その同意ということは政令で書いてあるので、この場合は一応行政官庁のやつた行為を、法律違反でやつた場合には無効と書いてもよろしいが、政令でやつた場合には、そこまで解するのは、今度は行政行為を信用してやつた国民の側からいつて、少し行き過ぎではないかというような建前から、先ほどの答弁をいたしたのであります。
○井上(良)委員 法律に明文化されてないのだ、政令でそういうことが規定してあるのだからと非常に軽く解釈をしている御答弁のように承りますが、少くとも政令は法律的な裏づけの上に発せられる政令でありまして、当然その政令の違反行為は、法律によつて罰せられることになり得るのです。そこで問題は、さきにお話しをされておりました通り、肥料なら肥料を扱う担当官としてその行政行為を行います場合は、当然自分が知つておらなければならぬところの法令の規定を常に知つておらなければならぬ。しかもその規定に基いて規定政事務を執行して行くわけです。その規定による農林大臣の同意を要するこの行為を、すでに前回一回やつておるのです。初めから問題を起しているのではない。最初は農林大臣の同意を得て七千トンの同意書をもらつておるのです。その後当然同意を得なければならぬものについて同意を得ずに、いわゆる不同意の文書を出しているわけです。そうしますと、その不同意の文書は、自分が行政官として当然行うべきところの事務を執行していないことになる。執行してないことから起つた公文書が正文書であるとは言い得ない。それは国民に與える影響は別の問題であつて、国民がそれによつて損害を生じたなら、政府相手の損害賠償をやればいいし、それは別の問題である。それをあなたが解釈をしている。それは国民の側から言えばはなはだ迷惑な話だ。通産大臣の方から輸出許可証をもらつておりますから、別にその間において何ら行政がどう手落ちがあるか知りませんから、そういうことは国民の側から言えばはなはだ迷惑な話である。しかし発行しましたものがにせものであつた。正文のものでなかつたということになると、当然そのものを取消しして新しく正文のものを出すということの行為を、行政官庁として行うべきであります。あなたのような解釈ならば行政はできませんよ。その点どうですか。
○鮫島法制局第三部長 その法規に命ぜられた手続に従わないでやつた行政行為は無効であるということは問題でないのであります。ただこの場合におけることは、法律の上では輸出については通産大臣の承認がなければいけないとなつております。これは国民と通産大臣との間を規定したことでございます。それから通産大臣が承認を與えるにつきましては農林大臣の同意を得なければならぬ。これは行政官庁内部の間柄を規定したことであるのであります。従つて国民の側から言いますれば、通産大臣を相手にしまして、通産大臣の承認を求める、これでいいわけでございまして、ただその承認の申請を受けました通産大臣が、内部手続において農林大臣の同意を得なければならぬということでございますので、そういう政府部内の手続違背ということは、国民の側から言いますと、これは全然わからないことでございます。それでこの場合に農林大臣の同意がなかつたら通産大臣の承認ということは、やはりこの内部手続においては違反があつたのでありますけれども、一応有効であるというふうに見なければならないのじやないか。すべて行政行為がございますれば、国民はそれに従つて行為をする。その他すべての法律関係が、それを基礎にしてどんどん発展して参りますので、やはり今申し上げたようなことになるのではないか。もし農林大臣の同意が絶対的な要件であるならば、ここはあるいは通産大臣と農林大臣の共管みたいに、通産大臣及び農林大臣の承認を受けなければならぬというように、法律の上ではつきり書いておくべきでないかという趣旨で申し上げておるのであります。
○河野(謙)委員 ちよつと第三部長に伺いますが、先ほど平野委員の申された五十一條の問題は、過日の本委員会で、私からこの條項を適用すべきではないかという質問をしたのですが、その後の回答に、あたかも第三者、すなわち法制局の御意向を聞きまして、この場合にはこの條項に当てはまらぬ。この緊急な場合、今度の事件は当てはまらぬというような回答を受けたのですが、法制局に通産省から何か問合せがありましたか。
○鮫島法制局第三部長 そういうことはございません。
○河野(謙)委員 そうしますと、先ほどの御答弁をもう一度繰返して伺うのですが、五十一條の緊急の場合——この緊急であるかないかという判断は、一に通産大臣が認定すべきであつて、それ以外の何者の掣肘も受けない。一に通産大臣の認定によつてこの條項を当てはめるか当てはめないかということはきめるのだ。こういうことに解釈していいのですか。
○鮫島法制局第三部長 五十一條の規定はそうなつておると思います。
○河野(謙)委員 そうしますと、現在までこの事件について通産大臣はこの條項を当てはめていない。適用していない。ということは、通産大臣がこの條項を当てはめるほど緊急の事態でないと解釈しておる。こういうことになるわけですね。
○鮫島法制局第三部長 それは緊急の必要があると認めておりながら、この五十一條を発動しておられないのか。もし認めていながら発動していないと、この五十一條の規定を正しく執行していないことになりますが、そういうふうに緊急必要があると認めながら、何らかの理由で五十一條を発動しておられないのか、あるいはこの緊急必要はなしと認めて、全然この五十一條は問題にならぬというふうにお考えになつておるのか、その辺の事情はちよつとわかりませんが……。
○河野(謙)委員 緊急なる場合、それを適用しないということは、通産大臣が緊急でないということに解釈していることは明瞭じやないですか。そこは緊急であるけれども、当てはめないということがありますか。
○鮫島法制局第三部長 緊急な必要があると認めた場合には、この法律を正しく執行する建前から、五十一條を発動するということになるのでありますが、今回のような法規違反をやる場合もありますので、発動しない場合には認めていないのだというふうに、大体は断定していいのだろうと思いますが、しかしこれはちよつと……。
○遠藤委員 今の御質問の許可の取消し問題についての法律論については、第三部長の意見はもつともだと思う。ただ問題は、先ほど河野委員からも指摘され、小笠原委員からも指摘されたように、この輸出許可を取消すことによつて、その許可を受けた業者に與える損害、さらにまた外国に及ぼす影響の大きさと、その許可を受けることによつて農村に及ぼす影響の大きさの比較考量の問題になると思います。ところが通産大臣は、いかに農村の方に肥料価格の暴騰によつて與える影響が大きいかということについての、認識が足りないのだと思う。問題はやはり現在の段階では、通産大臣は依然として貿易を尊重し、貿易業者の利益を擁護し、外国の利益を擁護するという建前を重視しておると、私どもは認めざるを得ないのであります。そこで農村の事情、農村の肥料價格に及ぼす影響がいかに緊急重大な問題であるかということを、通産大臣に認識させる以外にないと思うのであります。そういう意味において、この委員会へ通産大臣を呼び出して問題の検討をすることが、この問題解決の唯一の道であると思うのであります。従つて通産大臣をでき得る限り早い機会に、この委員会へ呼んでいただくことを要望します。
○千賀委員長 それでは午後の委員会に通産大臣が出るように極力交渉をいたしてみます。 暫時休憩いたします。 午後零時四十七分休憩 ————◇————— 午後三時二十九分開議
○千賀委員長 午前中に引続き農林委員会を開会いたします。 議題は畜産に関する件を上程いたします。質疑を許します。
○遠藤委員 私はこの際畜産の問題につきまして、特に数次にわたりまして畜産小委員会で議論をして参りまして、一応の結論が出て参りました飼料の問題について皆さんにお諮りしたいと思うのであります。昨今非常に飼料が不足して参りまして、その結果として價格も非常に暴騰して参りまして、農村の方では飼料不足のため、しかも價格の暴騰のために、非常に困難を来しております。その原因にはいろいろあると思うのでありますが、特にふすまの問題については、製粉の操作がきわめてまずく行つておるのではないか。毎日々々出て来べきはずのふすまが、その製粉を單なる食糧の事情からのみ考えて製粉をやつておるために、ふすまが最近はほとんど出て来ておらない。これは明らかに製粉をする場合における飼料に対する考慮が足りないのではないか、この問題が一つあります。 さらに公団の手持の大豆かすが約六万トンもあるのでありますが、今日非常に飼料が不足しておるのに、その手持の飼料の放出を考えない。これはすみやかに飼料用として公団の手持の大豆かすを放出しなければ、この窮状を救うことができないのではないか、こういうことが問題になつております。さらに飼料用の大豆かすの輸入の問題等についても、これは本委員会におきまして再三論議され、要望されておつたのでありますが、なかなか進展しておりません。この国内の需給事情から見ましても、一日もすみやかに飼料用の大豆かすの輸入を促進すべきである。こういう問題がやはり議論になつておりました。なお特に問題になつておりましたのは製粉業者がいろいろふすまを供給する場合に、品不足に名をかりて、ややともすると価格のつり上げをやつておるのではないか、そういう問題が一つの問題として論議されておりました。そこでこれらの問題を一括いたしまして本委員会として、政府に対して嚴重なる申入れをしたらどうか、ここで決議をしていただきたいというふうに思いまして、その案をつくりましたので、皆さんにお諮りしたいと思います。その案を読んでみます。 飼料対策に関する件最近飼料の不足甚しく、為に飼料価格の高騰を来し、畜産業を著しく困難ならしめている現状に鑑み、政府は速かに左記対策を講ずべきである。 一、公団手持の大豆粕六万トンの放出を速急に実施し之を挙げて家畜飼料用として畜産業者に拂い下げる事。 二、飼料用大豆粕の輸入を促進すること。 三、製粉事業の操作に留意し、フスマの供給不円滑を緩和する事。 なお右に付て製粉業者に対する嚴重なる監督を行う事。 四、政府手持の食糧中飼料に供すべきものは速かに飼料用として拂下げる事。 右決議する。 どうぞ委員会の満場の御賛成を得まして、この畜産小委員会の案に対して、当委員会の決議として政府に要望されんことをお願いする次第であります。
○千賀委員長 お諮りいたします。 ただいま畜産小委員長から提案になりました件は、本委員会において了承することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千賀委員長 御異議なしと認めます。了承に決しました。 これを政府に送達いたします手続その他に関しては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千賀委員長 御異議なしと認めます。さようにおとりはからいいたします。 ほかに畜産に関する件で御発言がありませんか。
○井上(良)委員 私はこの際特に畜産に関連しまして伺いたい点は、わが国の食糧構成の問題でございますが、御存じの通り、わが国の食糧構成は、現在澱粉質を中心にして、わずかに動物、植物蛋白質と油脂をもつて構成をいたしております。しかし現状の食物構成では、わが国の国民の体位また労働の生産性の高揚、そういう面から考えましてこれを飛躍的に引上げる必要があります。御存じの通り、日本の国民経済の非常に低い関係から、栄養価の高い動物性蛋白質を、また脂肪を豊富にとろうといたしましても、とり得ない現状にありまして、これを補うのには、政府が積極的に有畜農業と並行しました国民の食糧構成の見地から、畜産の増殖計画というものを積極的に立てる必要があろう、こう私は考えております。そこで伺いたい点は、たしか私が政務次官、遠藤氏が畜産局長の時分に、敗戰後のあの荒廃しました畜産の現状から、何とかこれを復興し、すみやかに戰前の状態にこれを引きもどしたいということから、畜産五箇年計画なるものを立案いたしたのであります。爾来この計画が具体化されまして、最近ほとんどうさぎとか、あるいはまた一部の家畜を除く以外は、主要家畜にありましては、大体この計画を上まわる実情にございます。この数字を見ましてから政府も一応安心しておるのじやないか。特に畜産増殖に重大な予算を受持つております大蔵省の方では、この数字だけを見まして、もうすでに計画を上まわる増殖ができておるから、ひとまずこの程度にとめておいてはどうか、こういう動きさえあるように私どもうかがわれるのであります。これはまつたく誤つた目先の自己陶酔の考えでありまして、少くともわが国将来人口の増殖と、国民体位の向上と同時に、わが農業の有畜化という面から総合的に考えます場合、もつと積極的に、畜産局としては家畜増殖計画というものを立てる必要があろう、こう考えておるのであります。そこで大体日本人の将来の食糧構成を、かりに一日の総量から考えますと、総熱量を約一千百カロリーという点で押えましても、蛋白質は約八十グラムを必要といたしますし、脂肪は三十グラムとされております。その中に畜産関係の占めるものは、肉類による蛋白四グラム、脂肪約十グラム、卵による蛋白質一・六グラム、脂肪一・七グラム、牛乳による蛋白三グラム、脂肪三グラム、こういうようにきわめて重要な計画を占めておるのでありまして、これらの食糧を供給するに必要な家畜の頭数を、一体政府としてはどれだけ計画するかということが、ここに問題になつて来ます。こういう一つの食糧構成と、わが国有畜農業の全般の立場から逆算をいたしまして、今後一体畜産局としては、家畜頭数をどの程度にふやし、これに伴う飼料はどうなる、これに必要な予算はどうなるという計画をお持ちでございますか、この際それを伺いたいと思います。
○山根説明員 お答えいたします。御高見の通りに、私どもも畜産の持つ意義を、国民食生活の改善ということの一つの大きな点に実は置いておるわけであります。しかしながらこのことは、従来どちらかと言えば、あまり重きを置かれなかつたうらみがあることは、私どもも認めておるわけであります。特に御承知のように、最近食糧の一割増産計画というようなものが唱えられまして、この政策の一環として、総合的な食糧対策として、水産物とあわせて、畜産物の増殖をはかるということも織り込まれておりまして、そういう意味から、私どもあらためて日本の国民食糧生活において、私どもの分野でどういう役割を果して行かなければならぬかということを、実は考え直しておるわけであります。ただいま数字的にお話がありましたように、脂肪なり蛋白質をそれぞれ畜産物から——乳肉卵というものを通して、私どもが受持たなければならないと思つておるわけでありますが。現状の畜産では——これはこまかい数字もございまするので、さらにお手元に後刻差上げたいと思うのでありますが、まことにそのごく小部分しか果していない現状にあるのであります。例を申しますと、たとえばただいまの数字を満すためには、牛乳でありますと、年間一人四升を消費するということによつて、初めて所要の脂肪、蛋白の供給は可能でありますか、現状においてはわずかに二升しか供給していない。肉でありますと、九百七十匁年間一人当り消費するのを理想とするのに対しまして、現状においては、わずかに三分の一の三百十八匁。卵は六十六個程度食べねばならぬのが、現状においては十二個しか食えないというような実情にあるのでありまして、いずれも三分の一足らずの供給しかいたしていないのであります。これははなはだ遺憾の点でありまして、私どもの計画も、最終の目標は、そうした日本人の食生活の一応の理想量であります、乳にいたしますれば四升、肉にいたしますれば九百七十匁、卵六十六個という、一つの目標に、これを進めて行きたいという念願を持つておるのでありますが、現在の計画によりますと、昭和三十三年の末に至りまして、ようやくその目標に到達することになるのであります。家畜の頭数から申しますと、総頭数六百九十五万頭、約七百万頭であります。これは家畜別に内訳があるわけでございますけれども、大ざつぱに申しまして家畜を六百九十五万頭、約七百万頭に増加いたしましたあかつきに、実はこれだけの所要の動物蛋白が攝取できるということになる計画になつております。この間約十年近い間は、しからば国民栄養の見地から言いましてはなはだ好ましくない期間として過ぎるわけでありまして、その間においては、もちろん若干の輸入も見込まれることもございましようし、また畜産物にかわるに、水産物なりあるいはその他のものを通じて、これらの栄養を補給して行くということも考えなければならぬと思うのであります。そこで私どもとしましては、さらに三十三年までこの計画を既定の計画で進めるか、あるいはこれを繰上げて、この理想に一年でも早く到達するように考えるかということが問題になるわけでありますので、ただいまのところ私どもとしましては、すでにできました五箇年計画を、できるだけ早い機会に再検討いたしまして三十三年を待たないうちに、こうした理想に一年でも早く到達したいということで、種々検討いたしておるわけであります。そのために具体的に、たとえば予算の面でどういう手が打たれたかというようなことになりますと、実は取立てて麗々しく申し上げるほどのこともないのでありますけれども、たとえて申しまするならば人工授精の計画、あるいは家畜保健衞生所の計画を、今後三箇年で一応の目標に到達する計画を、年次計画として今日まで持つて来ておつたのでありますが、これを来年度に一気に繰上げて完成したいというようなことも予算措置としてとつたわけであります。なおこのほかにもいろいろあると思うのでありますが、できるだけ一年でも早くこの目標に到達することに努力したいというような気持でおるわけであります。さような意味で、できております五箇年計画を、できるだけ早い機会に再検討いたしまして、そうした国家的な要請に、私どもの分野においてこたえて行きたいというような気持でおるわけでございます。
○井上(良)委員 非常に意を強うする御答弁をいただいたのでありますが、しかしそのあなたのいまお話しになりました昭和三十三年までに、大体日本人の将来理想とする食糧構成の一部分を、家畜において受持つ役割はこうだという、一つの計画数字が示されたのでありますが、その数字というものは、またその計画の内容というものについては、食糧庁なり安本なり厚生省等の関係各政府機関の中で相談をしてまとめられた案でありますか、それは一畜産局内部でそういう計画を持つているという案でありますか、それを承りたい。
○山根説明員 御承知のように、五箇年計画は関係方面と十分連絡した案であります。それの延長として、三十三年といえばちようど十箇年目になるわけでありますが、この計画につきましては、五箇年計画でそれぞれの方面と連絡したと同じような連絡はできていないのでありまして、言いかえれば、私どもが今腹案として持つているというふうにひとつ御了承願いたいと思います。
○井上(良)委員 この点は私は将来わが国の食糧構成の上、特に国民体位の関係と、それから農家の経済、わが国農業の将来という総合的な見地から、少くともこの線が明確にならなければならぬ。この線が明確になつて初めてこれから一体、たとえば米麦なら米麦を何ぼ耕作する。その耕作にはどれだけの政府として必要なる施策をやる、また今お話のような家畜を七百万頭なら七百万頭にふやすための政府として行わなければならぬ増殖計画として、またその裏づけの政策として、こういうことをやらなければならぬという計画が、そこにちやんとできて行きますから、これをぜひ至急に関係各省で相談されて、わが国将来の食糧構成の全体の構図について、不動なものをここにひとつつくり上げる、その線にあなた方の方も努力されて行くようにしていただく、こういう行き方でなければならぬと私は考えておりますが、ぜひそういうことにひとつ進んで手を打つていただきたい。なおこの際特にお伺いいたしますが、そういうあなた方の一つのプランを裏づける重要な問題は、一つは家畜の増殖に必要な予算関係であり、一つはまた今問題になつております飼料計画、この飼料の裏づけというものについて、一体どういう計画をお持ちでございますか。今ここの委員会で御審議になりました、かりに政府の手持の大豆かすを、一時市価のきゆうくつな現状を緩和するために放出したとしましても、それが消費されたあとはまた行き詰まることは明らかであります。そうなりました場合、大体国内における需給はこういう状態だ、またこの計画がかりに進めばこうなるのだ、そこで附属するところの飼料は、外国なら外国からどれだけ輸入を仰ぐなら仰ぐ、それも考えて、飼料作物なら作物を奨励してこうなるという、増殖計画に伴つた家畜飼料計画というものが、必然にここに明確化されませんというと、これは何の役にも立たぬ数字になりますから、その点について一応の御計画なり、御方針なりをお聞かせを願いたい。
○山根説明員 五箇年計画を、先ほど申しましたような線で検討して行きたいと思つておりますが、もちろんその際に、その裏づけになります飼料計画は、お話のようにがつちりしたものをあわせてつくつて行きたいと思つております。ただここでそうした計画を考えます考え方だけ御披露申し上げておきたいと思いますが、やはり私の方としましては、日本の畜産はどうしても購入飼料に依存するのでなしに、自給飼料に主として依存して行くという大きな一つの線をとつて行きたい。そのためにたとえば牧野の改良奨励——これも前国会で牧野法を改正いたしまして、新しい構想で出発いたしたのでありまして、今年度の追加予算あるいは来年度の新規事業として、牧野の改良にはさつそくに手を染めたいという考え方をしております。また牧草の種子の供給確保の点で、国営の原種圃を規模を拡大して、そうして優良牧草の種子を供給して行くというようなことも、さしあたり考えておるわけでありますから、これらのものを総合いたしまして、飼料の自給面の対策を樹立して行くということが、十箇年計画を狹い国土で推進して行く上における、一つの基本の線になるというような考え方をもつて進んでおります。
○井上(良)委員 もう一度ここで念を押して伺つておきます。最前私が申しました、従来立てておりました五箇年計画は、大体来年度で終るというのでありますか。
○山根説明員 二十八年度です。
○井上(良)委員 それにまた引続いて、今あなたのおつしやる五箇年計画をそれにつぎ足そうというのでありますか。それはそれにしておいて、明年度なら明年度から、新しく畜産局として有畜農業の立場と、いわゆる食糧増産の見地と、国民の食糧構成の見地から逆算して、家畜統計、これだけは立てておかなければならぬという上に立つた計画を新しく立てておるのでありますか、この点を明確にしていただきたい。
○山根説明員 形として二十八年までの五箇年計画を修正するという形をとりますか。来年度から新たに新しい年次計画として発足いたしますか。その点は実は嚴密にはつきりいたしておりませんけれども、私ども大体考え方としては、一応二十八年までの計画ができ上つておりますので、その数字を現状に即して改訂して行きたい。さらにそれの何と申しますか、補足的な計画として、三十三年度程度までの計画を同時に考えて行きたい、こういうような形をとりたいというふうにただいま考えております。
○井上(良)委員 そうしますと、これは私勉強が足らぬところもありますが、今お話になりました三十三年度の目標をかりに七百万頭を増殖すればいい。こういう目標を立てられておるそうでありますが、その場合の特に動物蛋白のうちの、家畜の占める蛋白及び脂肪の摂取量、それの大体の目標摂取量を、われわれは大体八十グラムぐらいに全体を押えて、これは動物植物両方でありますが、その中に動物蛋白の占めます部分は三十三グラムほどと押えております。そこでかりに三十三グラムを一日所要量といたした場合に、逆算をいたしまして、その場合にかりに肉が何ぼ、その肉をまかなうところの肉牛が何ぼ、牛乳が何合、その牛乳をまかなうための乳牛が何頭、鶏卵何個、その場合鶏が何ぼ、こういう逆算計算でもつて所要の家畜頭数、それからそれに必要な飼料、それから飼料作物の種類、それからそういうことを計画いたしますための必要な予算、これはたとえば水産関係、それから植物蛋白の方面の大豆その他の関係等を総合的に計算し、計画する必要を認めますので、ぜひその資料を至急におまとめ願いまして、お出しをいただきたいと思います。これをお願いしておきます。
○大森委員 大体私がお尋ねしようと思つた点は、井上委員から尋ねられて、詳細に局長からはお答えがあつたのであります。今お答えのあつたうちに、自給飼料だけでは今後はいけない。その点は私は強調いたしたいと思います。自給飼料の点でありますが、幾ら五箇年の計画を立てられても、十箇年の計画を立てられても、今日まで、あるいは有畜農業は農業会の時代から十数年これを主張して参りました。しかしながらどうしてもこれが成功せない。それは何かと申しますと、その飼料の高価である。あるいは安価であるということによつて左右されておることは申すまでもないのであります。そこで今申された自給飼料は、ただ計画のできるものではないと思うのであります。そこで私は農村に対しまして、自給飼料をつくる家畜舎に対しましては、あるいは一反歩に対して幾らの補助をするとか、幾らの助成をするからこれをつくるべし、こういう方法をもつて行くことでなければ、私たちは実行ができないのではないか、こういう点に対して、局長が予算を相当大きく要求すべきものではないか。それはなぜかと申しますと、これは農村の経済動物でありますから、これを育成することによつて利益を得るのでありますけれども、今までの習慣はどうなつておるかというと、安い飼料を買つて、そうして家畜を養うというのか、農村の今までの家畜を養つておる畜産業の習慣であります。でありますから、これをかえて、自給飼料でなければならないという習慣を持たすこと、それには飼料を耕作する者に対して幾らかの補助金をやるということによつて、農民に対してその習慣をつけさせることが、最大の仕事であると私は考えるのであります。そういうことに関しまして、本年の畜産の予算において、一反歩の飼料栽培に対して幾らの補助をするというようなことで、要求をされるお考えはないかどうか。私はこれによつてやらなければ、ただ卓上の計画を幾ら立てても、無意味なものであるというふうに考えております。私は畜産の組合長をやりましてから、ちようど十五、六年になります。そしていつもこれがいいことであると唱えており、またやらなければならぬことであるが、しかし農村はただいま申し上げましたように、その習慣で、安いものを買つて、それによつて飼育して行く、それが利益になるということしか考えていないのでありますから、重ねて申し上げますが、自分がつくつた、いわゆる自給飼料によつてやることによつて、われわれの畜産が成立つものであるという習慣をつけさせるには、どうしてもこの耕作に対して、幾分の補助をしてやるということが適当ではないか。こういうふうに考えるのでありますが、局長はどういうふうに考えておられるか、ちよつとお尋ねいたします。
○山根説明員 自給飼料の奨励につきましては、先ほども申し上げましたように、まつたくお話の通りに考えております。ただ自給飼料の栽培の助成金を、予算上計上しておるかどうかということになりますと、助成金としましては計上はいたしておりません。ただ先ほどちよつと申し上げましたように、栽培いたします牧草の種子を供給してやるという施設を、国が直営いたしておりますが、それに対する予算を持つております。さらに牧野等におきましても、従来の、ただ木柵を設けたり、土疊を築いたりということでなしに、できるだけ優良な牧草をそこに植栽する。言いかえれば、草生の改良というようなことに、今後は相当力を入れて行きたいというようなことで考えておるわけでありまして、あるいはただいま御希望の御趣旨と、私どもが今やつておりますこととは、必ずしも完全には一致していないと思うのでありますが、ただいまのところそういう考え方をしておるわけであります。今後自給飼料が大事だということを、もつと認識させる必要があるという御意見に対しましては、私どももまつたく同感でございまして、これのために助成金を計上するかどうかという点は、さらに研究をいたしてみたいと思いますが、そういう線に向いまして、私ども今後十分努力をいたしたい、こういうふうに考えます。
○大森委員 大体局長の御趣旨はわかりますが、私はこの畜産の重要性を考えるときに、畜産の予算が少な過ぎる。昨年はわずか五億何がし、今また局長の仰せられるのには、何か牧草の種子に対して補助金を要求したというような、小規模であつては、この畜産の改良はできない。こういう点から今申し上げたので、ここに遠藤前局長もおられますが、どうしても畜産というものは、日本の経済動物として、そして有畜農業として、今、日本の農村には欠くべからざるものである。この畜産を育成することによつて肥料が豊富になる。あるいは金肥が必要ないという時代が来るかもしれない。そういうふうにいたすことが、私は畜産の使命ではなかろうかと思うのであります。そういう点を考えるときに、小規模の、わずかな牧草の栽培のごときもので満足することなく、もう少し大規模で、今申し上げた、あるいは一反歩幾らというようなものを要求して、そうして畜産飼料の栽培、耕作に対してはこれこれであるというようなところまで持つて行く方が、国家のためにいいのではないか。今までこの畜産というものを軽視しておる。そのために、申し上げるまでもなく、繁殖しようとすれば今七割の繁殖ができる、それだけの繁殖率を持つた、しかも経済動物としてなくてはならない、あるいは食糧の改善、食生活の改善等、いろいろな問題に対して貢献をなすべき畜産が、今日まで、かくのごとく軽視されておつたことは、まことに遺憾なのでありますから、くどいようでありますが、この点をよく考慮されて、ここに遠藤畜産小委員長もおられますが、この次の予算には何とかして、幾分のこうした問題を盛ることができれば、畜産業者のために最も幸いなことであると思うのでありますが、これに対して局長は努力してもらいたい。 —————————————
○千賀委員長 お諮りいたします。次に米麦供出についてを議題といたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千賀委員長 御異議なしと認めます。 これについて発言の通告があります。お許しします。井上良二君。
○井上(良)委員 米麦の供出問題に関連して質問いたしたいのですが、かんじんの政府委員が見えておりませんから、そこでこれに関連をいたしまして、昨報の課長さんがお見えでありますから、作報がただいままで入手いたしております、二十五年度産米の收穫予想の最も新しい数字を、この際発表願いたい。それからジエーン、その他の被害の具体的な数字も、この際明らかに御発表願いたい。なおこれらのことにつきましては、一応明日でも本委員会にその資料を御提出を願いたい。各県別の被害実績についての資料、それから收穫予想の実績という資料、これをぜひ本委員会に御提出を願いたい。ただいまは、今お持ちになつております收穫予想の大体の数字だけを、最初の事前割当がこれ、第一回の收穫予想がこれ、第二回がどう、それから被害がどう、こういうことで御説明願いたいと思います。
○山下説明員 それではお答え申し上げます。書類が全部そろつておりませんで、はなはだ申訳ございませんが、明日お届けいたしたいと思います。 最初に、ことしの米の予想について話せというお話でございますが、統計調査部といたしましては、実は九月の十日ころまでおもに面積の方の調査をいたしておりまして、作況につきましての調査は、大体それから一生懸命やるような計画になつております。従いまして、ただいままで作柄概況として調査いたしましたのも、石数にいたしまして十分責任を持つて発表できるような調査はしておらないわけでございます。しかしながら、その結果といたしまして、水稻につきましては、八月十日現在で平年に対しまして全国で一○二・七%という指数を出しております。なおその際陸稻につきまして一〇七・八%という非常にいい指数を出しております。九月十日現在になりまして、水稲につきましては一〇〇・一%ほとんど平年並の指数を出しました。陸稲につきましては前回より作況が好転いたしまして、一一一・九%という指数を出したわけでございます。こういう指数を出しました場合に、平年の收量が幾らであるかというのがきまつておれば、さつそくそれが今年の予想收穫高に直るわけでございます。ただ残念なところ、統計調査部あるいは地方の統計調査事務所で、まだほんとうの平年反收の計算ができておりません。平年反收と申しますものは、大体あまりでこぼこのない年でありますと、その過去の七箇年くらいの間から、一番收量の多かつた年、一番收量の少なかつた年を除きまして、五箇年の平均を出すと、大体平年反收というものがつかまえられるのでございますが、最近七箇年と申しましても、戰時中が入りまして、その時期が非常に統計上おかしな数字が残つております。またそのころの肥料事情、あるいは動力事情が現在の事情と違いますので、そういう資料に基いた平年というものがなかなかつかみにくいという、非常に苦しい立場に立つておるわけでございます。ただ私どもといたしまして、平年に対する指数をとります際に、一応去年に比べればどのくらいの数字になるかということを、参考のためにとつた数字がございますので、一応その数字を本にしまして計算をしてみたわけでございます。これは統計調査部としましては全然公表いたしておりません。ただ私が個人的な興味で計算した数字でございます。それによりますと、本年の生産割当は、水稲につきまして六千二百四十三万八千九百四十三石、陸稻につきましては八十四万七千三百四十五石という数字が出ております。合計いたしまして六千三百二十八万一千二百八十八石が生産割当として一応出ている米の数字でございます。それに対しまして、先ほど申しました非常に不十分な資料でありますが、私が計算してみたところによりますと、八月十日現在におきまして、水稻におきましては六千四百二万一千石、陸稻におきましては百十四万九千二百石という数字が出たのでございます。これを合計いたしますと、六千五百十七万二百石という計算になりました。これを先ほど申し上げました生産割当の数量と比べますと、水陸合計で一〇三%で、要するに生産割当より三%増收という計算になつたのであります。このようにいたしまして、九月十日の数字を計算いたしましたところ、水陸合計で申し上げまして六千三百七十九万六千三百石という数字が出たわけでございますが、この数字は生産割当に対しまして一〇〇・八%、つまり〇・八増であるという数字が出たのであります。しかしながら、これは最後のキジア台風、これが九月十三日ごろから参りましたが、その被害を含んでおりませんので、一応別の統計調査部から速報で来ました被害の方を申し上げますと、ジェーン台風によります被害は二百四万三千石という数字が来ておるのであります。なおキジア台風につきましては百六十万四千石という数字が来ております。先ほどの数字がキジア台風を含んでいない数字でありますので、これを引きますと六千二百二十万石くらいの数字が出るのであります。ただキジア台風の被害が速報で百六十万石と来ましたけれども、これもその後精密な調査をすれば、なお幾分直るべきものではないかと考えます。ついでにほかの被害を全部含めまして、統計調査部から速報として来ております分が幾らになるかというのを申し上げますと、ただいま差上げた資料に書いていたかと思いますが、水稻につきまして五百六十九万石くらいの数字が出ております。その中で、先ほど申し上げました通り、ジェーン台風によりますものが約二百万石、キジア台風によりますものが百六十万石というくらいの数字になつておるわけでございます。ただ被害につきましては、先ほど申し上げましたように、これから精密な調査によつて動く可能性があるということと、それから先ほどから申し上げました作況指数に基く計算が、現在のところ個人的な思いつきによつてやられたものでありますから、その正確な調査は今月の二十五日にまとめて発表する段階に達しております。
○千賀委員長 ほかに御発言がなければ、今日はこの程度で散会をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千賀委員長 御異議なければさように決します。 明日は午前十時から開会いたします。 午後四時十九分散会