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8回国会衆議院1950/10/06

内閣委員会 第6号

発言数
3
登壇者
3
会派数
1
開催日
1950/10/06

会議録

青木正自由党

○青木委員長代理 それではこれより会議を開きます。委員長が御用のため、私が委員長が来られるまで委員長の職務を行います。  本日は行政機構に関する件を議題といたし、参考人より意見を聽取いたしたいと存じます。  御意見を述べられます前に、一言ごあいさつを申し上げます。本日はご多用中のところわざわざ本委員会のために御出席くださいましたことを厚く御礼申し上げます。  申し上げるまでもなく、行政機構の改革、すなわち行政事務の簡素化、合理化は、わが国政上の重要な問題でありまして、これを断行し、真に能率的な官庁運営を行うようにいたすことは国会に課せられました重大な任務であり、また国会がこれを行わなければ、なかなか実行が困難であると存ずる次第であります。そこで本委員会は先国会より特に小委員会を設けましてこの調査研究に努めて参りましたが、閉会中もなお小委員会を継続いたし、各省より順次その意見を求めて参つたのであります、  ここでさらに広く学識経験者の方々よりそれぞれの御体験、御見識に基き、真に公平な、そして正しい意見を忌憚なくお述べいただくことができれば、本委員会としてまことに幸いと存ずる次第であります。そこで本日は経済団体連合会の常務理事であり、同時に事務局長の堀越禎三さんに御意見を拝聽いたしたいと存ずる次第であります。どうぞ御意見をお述べ願います。

堀越禎三日本経済団体連合会常務理事

○堀越参考人 もちろん私はこの点については皆様はおぬかりないことと存じております。行政制度を簡素化して現在非常に複雑になつております行政機構を簡素化していただきたいということは、財界のみなの一致した意見であると思うのであります。しかし私が前提としてひとつお話申し上げたい点でありまして、この点はおぬかりのないことであると存ずるのでありますが、行政制度審議会の案、あるいは行政管理庁の案——行政管理庁の案は新聞に出ておつたのを見ましたので、あるいはほんとうのと違うかもわかりませんが、いずれも相当大がかりに各省の廃合をお考えになつておるようでございます。行政制度の改革と申しますと、どうしてもやはり各省の廃合ということがあるということは当然のことと存ずるのでありますが、私たちの一番心配いたしておりますのは、特に朝鮮事変以後の国際情勢の変転と日本の経済界がかなり活況を帶びて参りましたということ、さらに講和條約が近いという点等を考え合せまして、われわれといたしましては各省の行政事務はできるだけ簡素化していただきたいのでありますが、この際大きな機構いじりをしていただくことについて、多少の危惧を抱いておるものの一人であります。と申しますのは、商工省が通産省になりましたり、またいろいろなことをいたしますたびごとに、迷惑をこうむる者は財界人であります。従つて現在の機構を簡素化していただくのには、できるだけ現状のままで現在の機構を簡素化していただいて、講和條約締結後に考えるべき点は考えて、大きく変更していただくということでやつていただくのが、最も大切な時期に処するゆえんではないだろうか、はなはだ僣越でございますが、こういう考えに立つておるものでございます。     〔青木委員長代理退席、土倉委員長代理着席〕  その考え方から委員会のお方から八つの御質問をいただいたのでございますが、その一つ一つについて申し上げますと、まず第一が経済安定本部の性格及びその運営に対する意見という御質問であります。私もつい一年前までは、経済安定本部の副長官を一年半いたしておりました経験もございますので、さらに率直に申し上げますが、現在の経済安定本部を相当改革し、そしてその性格をかえなければならないということは、私もその必要を痛感するものであります。しかしこれを総理府の一つの庁にしてしまうという点については、相当の疑念を持つものであります。と申しますのは、現在相当統制がはずれまして、自由経済にはなつて来たとは言え貿易あるいは輸入その他につきましてなお五十パーセント以上の統制が残つております。そのほか電力につきましては、依然として割当をしなければならない現状であります、従いまして企業の根底をなしておりまする動力面において、なお相当長期にわたつて統制が残るということ、そして貿易の面においても、外貨の面からかなりな統制が残つて行くということは、日本の経済事情からやむを得ないものではないかと思うのであります。さらには現在非常に自由主義になりておりまするアメリカでさえも、相当国民所得の配分の状況を詳しく調べまして、本年の国民所得の配分はこういうふうになつているから、来年はこの点をこう是正し、こうして行かなければこの経費を維持することができない。つまり国民の生活水準を向上させ、かつ完全雇用を持続させるということについては、政治としてはこういう手を打たなければならないというような根本的な企画立案につきましては、経済安定本部的な性格のものが相当強力に動いておるのであります。さらにイギリスにおきましては、申すまでもなく経済の計画を非常に詳細に立てておるような状態でありまして、今日の資本主義と申しましても、また自由経済と申しましても、非常に戰争前の自由主義経済あるいは資本主義というものとはよほど性格がかわつて来ておる。そして一国がある一つの資本主義を政府の力で巧みに握りつつ不況を防いで行くというところに大きな性格があるように考えるのであります。つまりそれは完全雇用ということに対する要請から来る面が大きいのじやないかと思うのであります。特に申し上げたいのは、経済安定本部はやはり総合企画機関としていろいろな企画面、つまり政府の行政の総合をやるといつた一つの最も任務の重いものにして、そうしてここに有力な大臣を置くということ、金の面では大蔵省が担当し、物の面は商工省、農林省その他が担当しており、そうしてその両者の調和をはかりつつ国の大きな総合的な行政面においての一つの発言を持つということは、ちようど三者が物の面と金の面の中心に立つてこれを調整して行くものとして、今後とも相当重く見るべきではないかと考えるのでございます。ことに海外に対しまする関係におきましては、今後講和條約の以後におきましても、アメリカとの関係については、特にいろいろと日本の経済事情を先方に訴えなければならないようなときも、たびたびあることと思うのでありますが、そういう場合には、やはりそういう金の面の方も、また物の面の方も、両方を総合しておるような一つのものが発言し、そしてその統計を発表するというようなことが、非常に大切になつて来るのじやないだろうかとひそかに想像しておる次第であります。従つて私の意見で申し上げますると、第三の大蔵省主計局を総理府に移管するのはおもしろくないという意見を持つております。大蔵大臣というものは、やはり歳入と歳出を持つて、ここに金の面は大蔵大臣が全責任を持つてやり、物の面については商工、農林が責任を持つてやる。そうしてその間を経済安定本部が総合し、調整して行くというところに妙味があるのではないかと思うのであります。御承知のごとくアメリカの大蔵大臣は予算の権限を持つておりませんから、アメリカのやり方と日本とは私は少し違う方が、日本人の気質にはぴつたり合うのではないか、むしろイギリスの大蔵大臣式の方が日本人の気質に合うのではないかと考えておるのであります。要するにこれは人を得る問題ではないかというふうに考えるのであります。従いましてさらに第四の総理府に移管しまして、安本と主計局とを一つにするということにつきましては、私はあまり賛成いたしかねる次第なのであります。  次に資源の保全及び開発並びに治山治水または災害防除の見地よりする現行行政機関に対する批判及び改革の方途でございますが、これは一番大きな問題で、実は私はつきりした自信のあるお答えはできないのでございます。従来から治山治水その他につきましての行政のやり方、むしろそれは中央政府と地方行政機関との間に問題があるのであつて、中央政府における行政機構を一本にするということは問題なく賛成でありまするが、そのためにここにまた新しい国土省を設けるとかいうようなことは、先ほど最初に申し上げました意見によりまして、まだ時期ではないのではないかといつた感じがいたすのであります。私が安本にいました経験で申しまして、公共事業の予算割当を安本でやつておりますることは、おもしろくないと思うのであります。建設省と大蔵省でやればいいことだと思うのでありますが、ただ予算がむだに使われないように、そしてかけた橋を大事にするようにやはり地方行政面におきましても相当の責任を背負うべきではないかという感じがいたすのであります。国費でもつて全部やるといつた制度ははなはだおもしろくないという感じを持つております。  それから七の外国為替及び外国貿易管理に関する現行行政機構に対する批判及びその改善策であります。これは実は皆様よく何事も御承知の方に申し上げても、釈迦に説法になりまして、たいへん恐縮でありますが、私が日本銀行におりましたころに、昭和十二年にアメリカから帰つて参りましたときに、ちようど輸出のみならず輸入の管理、あらゆる貿易の管理というものが始まりまして、特に輸入の管理制度というものが始まり、それで当時正金銀行は非常な多額の売持を持つておりまして、これを放置しておくならば、正金銀行が破綻するというような危險にさらされておつたのであります。そこで政府と日本銀行とがいろいろ相談いたしまして、外貨の集中制度というものをつくりまして、正金銀行以外の銀行に余つておる外貨をただちに日本銀行が買い上げまして、これを正金に売り渡すという一つの集中制度をやりまして私はその集中課の課長を担当して、為替管理には約三、四年くらいにわたりまして携つていたのでございます。そのときに私が最も痛感いたしましたことは、日本における為替管理制度がしかれますると、大蔵省に約四百人の人ができまして、これが担当をします日本銀行におきましては百名近い者がその管理の事務に当ります。そして市中の為替銀行におきましては、ほとんど管理事務に携わらないで、もつぱら陳情の取次及び申請書の取次をやるというだけであつたのであります。その当時イギリスが為替管理を施行いたしました。その制度を見ますと、日本とはまつたく対遮的で、実にイギリスの常識的なのに驚いたのでありますが、大蔵省の為替管理担当官吏は、イギリスにおきましては当時わずか二十一名であります。そして中央銀行に約四百名の者が統制事務に当つておる。そしてさらに出先の窓口は各為替銀行の窓口をして、いわゆる許可事務の窓口といたしたのであります。従いまして大蔵省は、單に中央銀行において、各為替銀行からの報告を中央銀行がまとめまして、これを大蔵省に提出する。それが国の政策に終局において合致したかどうかということを、二十一名の管理担当官が点検し、そして責任をすべて地方銀行及びその為替銀行自体に背負わしたというところに、非常な妙味を発揮したようでございます。従いまして日本におきましては、為替管理をやりますのには、日本銀行に一部百万円未満——当時の金で百万円未満でありますので相当大きいのでありますが、百万円未満の許可事務は日本銀行に委任されまして、私はその許可事務に当つた経験もございますが、何ら大きい指針——どういうものは許されない、こういうものは率先して許すといつたような、非常にはつきりした指針というものがなく、單に統制官吏の考え方で、こういうものは必要だとかいうことで、申請者の申請のやり方次第で許可がおりるような事態もあつたように感じたのであります。従いまして非常に申請書がたまりまして、逐に一時処理不可能となつて、再申請方を各業者に頼んだというような事態まで生じたことがあるのであります。これらはよほど今後の統制事務——為替管理につきましては、長くこの統制事務が残つて行くと思います。現在も為替管理につきましては、ずいぶん複雑なことになつております。貿易優先と言つております。またさらに朝鮮事変以後の輸入につきましては、非常に大切でありまして、輸入によつて物資を豊富にすることによつてインフレを防ぐということが、今最も緊急でありますにかかわらず、輸入事務が複雑で、実際の輸入業者といたしましては、四通も五通も同じ書類をつくらなければならないといつたようなたいへんな手数をかけさせられておるような現状であります。この点につきまして、当委員会におきまして、ひとつ十分お考えを願いたいと思つておる次第であります。  先般ユーザンス問題が解決いたしまして、日本銀行が外貨を持つというようなことになつたのであります。ただいま実情を申し上げますると、こういうものを輸入したいと輸入商が考え、そして外国と商談いたしますと、商談中に向うがおりて来て、こちらの指値にほぼ歩み寄つて来た。そのときにすぐ外貨がはたして自分の手に入るかどうか。これが一番問題であります。輸入商と外国の輸出商と契約ができてから、外貨が手に入らぬということになりますと、これは契約違反になりますから、商談を最後にとりきめます前には、必ず外貨がはたして入るかどうかということについての打診をしなければならないのでありますが、今日その打診をするについてたいへんな手数がかかつておる。しかも為替銀行について尋ねただけではわからない。あるいは商工省、あるいは外国為替管理委員会の方まで行かなければ、はつきりしたことがわからぬということで、商談が非常に不利な事態になつておるということは国家的にも大きな損失ではないかと思うのであります。もつともこれは占領下にあります関係上、その面から来ておる点もございますが、私は日本に対して経済活動については、政府の独立性が漸次認められて来るものと存じております。その日も近いと思つておりますので、その点につきまして、いたずらに国内で貿易を不利にしないように、行政面において十分な御検討をお願いいたしたいと思うのであります。  最後に、八の厚生、労働二省を一省に統括するの可否は、もちろん私は賛成であります。厚生省から労働省がわかれましたのは、わかれたときからの問題でありますし、これは今日となりましては、元にもどすのが当然ではないかと考えます。  ここで私自身として特に皆様にお願いいたしておきたいのは、日本においては農業はもちろん大事でありまするが、農業と並んで大事なのは、日本人の栄養源としての水産であります。水産につきましては、農林省の一外局のごとき形になつておつて、水産面について閣議における発言が非常に弱いように私は感じておるのであります。農林省におきましては、農業面においては閣議において相当強い発言がありますが、水産の面においては強い御発言がないようであります。先般太平洋におけるマツカーサー・ラインの拡張が決定されまして、マッカーサーの方からお許しが出たのでありますが、その当時も早くから水産業者面においては個々に運動をいたしておつたのであります。また私もその一翼を買いまして、向うから来ました漁業代表に対して陳情いたしたのでありますが、閣議においてこの面が強く取上げられたということを当時聞かなかつた。非常に水産の面における閣議の主張が弱いような感じがいたすのであります。むしろ農林省とせず、農林水産省くらいにしていただきたいような感じを持つのであります。  最後に締めくくりといたしまして、われわれ財界の者からの希望といたしましては、とにかく一つの業種につきましていろいろな面が各省にわたつておる現状をなるべく改めていただきたい。簡單に申しますならば、マニユフアクチユアー、いわゆる製造面は商工省一本にお願いいたしたい。たとえて申しますならば、繭については農林省が監督することは当然でありましよう。しかし製糸業というものは、商工省の管轄になるべきはずのものである。先般商工省において企業合理化委員会を持ちましたときも、生糸は商工省の管轄でないというので、纖維の合理化という委員会がありましたが、製糸業はそれからはずされておつた。さらに運輸の面においてもそういう面がある。運輸省は交通の取締りをしておいていただけば、それでいいじやないか。車両の製造、自動車の製造にまで入つていただくことについては、非常に疑問を持つのであります。この辺は各省の管轄権限につきまして、もつと思い切つた整理をしていただきたい、以上であります。

土倉宗明自由党

○土倉委員長代理 委員の方で何かお聞きになるようなことはありませんか——ないようでありますから、堀越参考人には御多忙のところいろいろ御熱心に有益なお話をいただきましてありがとうございました。  本日はこれで散会をいたしまして、引続き小委員会を開きます。     午後一時三十九分散会

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