地方行政委員会 第11号
- 発言数
- 14 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1950/07/24
会議録
○前尾委員長 これより会議を開きます。 行政書士法案起草の件を議題といたします。本件につきましては、第七国会及び閉会中も継続して起草に努力して参りましたが、ただいまお手元に配付いたしましたような案ができましたので、案の内容について三浦法制局第一部長がお見えになつておりますから、まず簡単にその概要の説明を願いたいと思います。 ————————————— —————————————
○三浦法制局参事 私から行政書士法案の概要を説明いたします。お手元にさし上げました案は二十三条になつておりまして、それに附則が十項あがつております。行政書士につきましては、法律的に規制するものがありませんが、すでに司法書士関係が法律になつておりまするし、その他公認会計士、あるいは弁理士、税務代理士等、大体これらと密接な関係にあるものは法律化されておりますが、これはまだそういうことになつておりませんので、法律化したらどうかというようなことで、立案いたしたわけでございます。 第一条に大体業務の目的を書いてございますが、行政書士のやりますのは、戸籍事務とか地方税の関係であるとか、あるいは警察関係の統計の書類とか、あるいは場合によりますと、個人関係では契約書類の作成とか、また履歴書等もいたすことになつておるそうでありますが、それらの事柄を主としてやりますことを本体といたすことに第一条で規定してあるわけでございます。つまり官公署に提出する書類として、戸籍事務その他の書類を作成する、これは他人の依頼を受けてそういう仕事をやる。しかしながら官公署に提出する書類と申しますと、先ほど申し上げましたように、関係範囲が広うございますので、ほかの書士関係の人がやります場合と抵触いたす関係もありますので、二項におきまして、その業務抵触の範囲を限定いたしまして、行政書士と他のこれらと同様の業務を行つております人たちとの矛盾衝突のないように、規定してあるわけでございます。それから行政書士の品位を高めます意味においては、試験制度を採用することが適当であろうというような観点から、第二条、第三条、第四条等におきまして試験制度に関しますことを規定してあるわけでございまして、試験に通りませんと、行政書士となる資格はない。試験につきましては、全国で統一しますのも一つの方法でありますが、現在におきましては、各府県におきまして条例で、いろいろきめておるわけでございます。その基準につきましては、古い時代に内務省令が出ておりまして、その基準をきめておつたのでありますが、最近の地方自治の建前から条例できめておるのでありまして、これらの事項につきましては大体の原則を示しまして、知事にまかせまして、今度はまた知事が国家事務委任の形式におきまして知事がきめるというようなことにした方が、地方の実情にも合うというように考えるのでありまして、さようなことに規定いたしてあるわけでございます。試験等の資格につきましては、三条に規定してございまして、そうひどく高い学歴は必ずしも必要とはいたしませんが、例を申し上げますれば三条の一号に書いてありますのは、いわゆる旧制の專門学校一年程度を出た人、新制におきます高等学校を卒業したもの、こういうことに大体資格がなつております。なお、公務員をやつておつた人とか、あるいはこれと同等の能力を持つた人も同様に受験の資格があるものとしました。 それから四条におきまして、試験は一年一回は少くともやる、こういうことにいたしておるわけであります。それから第五条におきましては行政書士となる場合の資格であります。これは権利関係その他の事項を取扱いますので、そういう点から考えまして適当でないという事項を欠格事由としてあるわけでございまして、他の司法書士等におきまして、やはり同様なことになつております。 それから第六条におきましては、行政書士となる資格を有するもの、つまり試験に合格いたしまして、資格を獲得いたしたものは、都道府県ごとに備える行政書士名簿に登録をさせる、こういうようにいたしておるわけでございます。登録しなければ業務ができないということになつております。 それから第七条におきましては登録事項について、ある一定の事由に該当する場合においての登録の取消し、抹消等を規定いたしておるわけでございます。 第八条におきましては、行政書士は事務所を必ず設けるということにいたしましてその事務所は一箇所にいたしまして、必要に応じ、出張所を設けるということになつております。 第九条におきましては、行政書士のとります報酬の額でありますが、これは現在地方においてそれぞれ基準をきめておるわけでありますが、各県ごとにそれぞれ都道府県知事において、行政書士会等と連絡いたしまして、適当の額をきめてもらうことがよかろうというようなことに、第九条はなつておるわけでございます。 それから第十条におきましては、行政書士の仕事をやります場合におきまして、書士自体に対して、その必要帳簿の備えつけの義務を課するという規定であります。第十一条におきましては、書士の仕事に伴います当然のことでありますが、依頼に応ずる。第十二条におきましては、その取扱いました業務に関しまして秘密を守る義務等でありまして、これも他の規定と同様であります。第十三条は立入り検査の規定でございまして、都道府県知事がその監督をいたします場合に、必要があるときは、立入り検査ができるという規定であります。第十四条におきましては、行政書士の登録につきまして、法律、命令その他に違反いたしました場合におきまして、それの処分の規定でありまして、監督権の発動に基く規定を置いてあるわけでございます。ただかつてに知事がそういう処分をいたしますことは好ましくありませんので、そういうことをいたします場合におきましては、聴問会を開いて聴問を行う、こういうことにいたしておるのでございます。十五条におきましては、行政書士につきましては行政書士会というものが、現在各府県ごとに適当にあるようでございますが、全国的なまとまつた組織までは行つていないようであります。行政書士自体の発意にまつことにして、行政書士会をつくらせることにいたしまして、強制加入等の方法にはいたしておりませんが、とにかく行政書士会をこの法律の規定に基いてつくり得るということにして、任意加入の形にしております。そのことが十五条、十六条、十七条、十八条に規定してあります。司法書士会におきましても、大体同様な立て方をとつております。第十九条は行政書士でない者の取締りの規定でありまして、これは行政書士をつくります以上、行政書士でない者が、その名称を用いて業務をやつた場合につきましての取締りでありまして、大体同様の事柄についてこういう規定があるわけでございます。第二十条はその実施命令等の規定でありまして、二十一条以下二十三条までが罰則の規定でありますが、これも大体ほかのこういう規定の罰則、ことに司法書士等の罰則の規定と照応いたしまして、適当に内容の事項に応じて規定したのであります。 附則でありますが、これは一応九月一日から施行する。準備等の関係もありますので、そういうことにしてございます。それからこの行政書士法が通過成立いたしました場合におきまして、現在行政書士の仕事を事実上やつておる人は、どうなるかという事柄が二項以下に規定いたしてあるわけでございまして、将来は試験を受けなくちやならぬことになつているけれども、この法律施行の際に、現に引続き一年以上行政書士と同じ仕事、つまり第一条の規定しております仕事と同様なことをやつておつて、その業務に携わつております期間が三年以上になつております者につきましては、これをこの法律の規定によつて、行政書士とみなすということが第二項の規定であります。その場合におきまして、その人たちにつきまして登録させまして、それをはつきりさせる必要がありますので、三項においてそれを規定してあるわけでございます。それから二項で申し上げましたように、この法律施行の際、一年以上業務をやつておる人で、三年間継続しておる場合は二項になりまするが、そうでなくして、三年以上の年限に該当しない、この法律施行の際に行政書士の仕事と同様なことはやつておるけれども、三年以上に該当しないというものにつきましては、この法律施行後一年間だけは行政書士ではないけれども、実質上行政書士と同様の待遇を与えることにいたしまして、行政書士の名称を用いてその仕事をやれるということが、附則の四項に規定してあるわけでございます。そうしましてそれらの人々に対しまするところの登録規定を第五項に置いてあるわけであります。六項においては、この法律施行後最初の試験をいつ行うかという経過措置でありまして、施行後六箇月以内に最初の試験を行うということにしてあるわけであります。第七項はやはり試験に関係するわけでございますが、第一条の実質上の行政書士に当る仕事を行つておる人、それからこの法律施行の際、その年限を通算いたしまして一年以上になつておる人たちにつきましては、特別に例外といたしまして試験を受けることができるということになつておるわけでございます。第八項におきましては、報酬額等については、今度は知事が定める、こういうことになつておりますので、知事が定めますまでは、従来の額を報酬額となすことにしてあります。地方の条例等におきまして、罰則の規定がありますので、その罰則の規定の処理を附則の九項で規定しております。行政書士の仕事をどこでやるかという問題でございますが、これは事務的にいろいろ打合せたのでありますが、地方自治庁において取扱うことが適当であろうということでございましたので、地方自治庁設置法の中に、特に行政書士に関する事項を取扱うことにいたしまして、その所管権限を明瞭にしたわけであります。 大体以上がその概要であります。
○前尾委員長 それでは本案について御意見があれば、この際承りたいと思います。またただいまの説明に対して、三浦法制局第一部長に対し質疑があれば許します。
○門司委員 従来は適当にやれておつたわけでありますが、小さな町村に参りますと、実際従来の代書という商売はできないということになる。これは今までは大体適当に行われておつたと思いますが、こういうふうに法律ではつきり定められて参りますと、行政書士でなければそういう業務ができない。報酬を得る目的でなければいいように解釈もできるのでありますが、実際上の問題としては、そういう行政書士のいない町村が、私はあると思いますが、これに対してはどういうふうにお考えになりますか。
○三浦法制局参事 御承知の通り、行政書士に関しましては、条例できめておりますが、大体はつきりしたものがまだございませんけれども、全国のうちで約半分ぐらいは条例できめておると思つております。それ以外は、事実上御指摘のように代書人とかいうことで、条例とか何とかいう規律はない。こういうことで自由にやつておるだろうと思つております。第一条にも規定してございますように、行政書士の仕事は、報酬を受けてこういう職務をやるということが本体でございますので、報酬を受けませんで、人から依頼されてただコッピーするとかいうことは、行政書士という仕事の中に入つておりません。しかしながらそういうことをやつておる者は、すべて将来行政書士法の適用を受けますので、試験に合格しなければ仕事をやれない状態になりますし、また名称も行政書士の名前を使うことはできませんが、先ほど申し上げましたように、附則の二項と四項におきまして、そういう人については特別に例外として一定期間そのままの形で仕事がやれる。しかしながらこの例外を長く認めますと、せつかく行政書士法をつくりました趣旨にも反しますので、その後は、もし試験を受けなければならぬ人であるならば、試験を受けていただくということで調整しておるわけであります。
○門司委員 その点はよくわかるのであります。なお規定の中にも報酬を受けないで、報酬を目的としてやらなければ、だれでもできるような規定もありますので、便宜上その点はさしつかえないかと考えるのでありますが、往々にして何か訴訟事件でも起る問題になつて来ると、そういうことで引かかる危険性を持つておりますので、聞いておきたいと思いますのは、先ほど申したように、適当にいろいろ代書の業務にひとしいものが行われておると思いますが、こういう書士法ができて参りまして、そうでなければできないということになつて参りますと、実際上ほとんど一年にごくわずかの件数しかないような町村に参りますと、今でもおそらく代書というふうなはつきりしたものはないと思う。村で少しものを知つた人が依頼を受けて書いておると思う。そうして届出は適当に行われておる。あるいは役場のたれかが便宜そういうものを書いて始末をしておることだと私は考える。そういう場合に行政書士法との関係は、一体どうなつて来るかということであります。
○三浦法制局参事 その点は、もしそういうことで仕事をやつておる方が、先ほど御説明申し上げましたように、将来附則等の経過措置に該当いたさない場合におきましては、それ以後は業務ができないことになると思います。
○門司委員 そうすると、こういうふうに解釈していいのですか。住民の便不便の問題ですが、行政書士法に該当した行政書士がいなければ、何か事が起つた場合は、どこかの村か、どこかの町まで探しに行つて、その人に書いてもらわなければ、自分の所在している役場にも書類が出せないことになるのですか。
○三浦法制局参事 その点は先ほどちよつと申し上げましたように、報酬を得てそういうことを業態としてやることが、行政書士の本体になりますので、便宜知つておる人に依頼して書いてもらうとか、なるべくそういうことに明るい人に便宜書いてもらうというだけのことであれば、依頼を受けた人がそれを商売としてやるということでなければ、そういうこと自体をこれで禁止する趣旨ではございません。従いましてそういうことでありますれば、行政書士法違反ということにならない、かように考えております。
○河原委員 第一条第二項の禁止条項でありますが、これの具体的実例を示していただきたい。
○三浦法制局参事 たとえば司法書士法について申し上げますと、先般の国会で通過いたしたのでございますが、その第一条におきましては、司法書士は裁判所とか検察庁または法務局もしくは地方法務局に提出するいわゆる司法関係の書類を作成することを業とする。かようになつておるわけであります。ところが第一条におきまして、官公署に提出する書類と申しますると、司法関係の場合も、もちろん広く含むことになりまするので、司法書士も司法関係の仕事ができるし、行政書士もそういうことができる。こういうことになりますると、両方の関係が不明瞭になるし、業務関係がいろいろ錯綜して参りまするので、第二項におきまして、前項の書類作成であつても、その業務を行うことが、他の法律において制限されておるものについては、これを除くという趣旨で、司法書士と行政書士の関係で申しますれば、司法書士のやる仕事は行政書士はやれない。このことはほかの公認会計士あるいは税務代理士についても同様であります。ただ、つけ加えて申し上げておきますが、弁護士法につきましては、弁護士は法律関係の事務をやることになつておりまして、仕事の種類につきましては、端的な規定はありませんが、それに伴う付随的な仕事は当然やれることになつておりますので、弁護士は広般に依頼の範囲内におきましては、行政書士のやる仕事もやれるこういうことになると思います。
○床次委員 この受験資格がほかの司法書士その他と比べて、大体同じものと考えますが、何か違つておるところがあるのかどうかということを承つておきたい。第二点は、今後役所との関係におきましては、行政書士は法律の民主化に非常に役立つ人間だと思う。この者が適当に活動いたしませんと、役所との行政事務の運用について支障がいろいろ出て来ると思う。その意味におきまして、行政書士の報酬その他が条例等によつてきめられるようでありますが、なるべく一般の者が利用しやすいようにする必要があるのではないかと思う。従来代書の実情を見て参りますと、非常につまらぬことで相当金をとつておる。一件いくら、あるいは枚数が少くて済むものを、枚数をふやしているというような弊害もあつたと思うのでありますが、でき得る限り、かような弊害をなくすることと、同時に行政書士にあらずんばこれができないという形に、一応形式上なつておりますが、官公署においてできる限り、いわゆる報酬を受けずして、こういう仕事をつかさどる者を置くことが必要ではないか。ただいまも御質問がありましたが、小さい役場では便宜扱つてやる。住民の相談を受けて、無料で扱つてやるという親切さがなければ、せつかくこの行政書士法ができましても、かえつて支障を多くすると思う。この点は執行にあたつては相当注意を要すると思いますが、どういうふうに考えておられますか。
○三浦法制局参事 試験の点でございますが、司法書士におきましては、試験制度を採用いたしておりません。司法書士法におきましては認可制度をとつておりまして、その認可を受け得る資格の者は、裁判所の事務官とか、裁判所の書記官とか、法務府の事務官等通算して三年以上それに携わつておつた者、あるいはこれと同等以上の教養、学歴を有する者、こういうように司法書士の方は規定してあります。それから弁理士等につきましては、試験制度を採用しておりまするが、これは相当高い程度をとつておりまして、弁護士法によつて弁護士の資格を有する者とか、高等試験の行政科試験司法科試験に合格した者あるいは特許庁に在職しておつた者、またはそういう者以外で、弁理士試験に合格した者、こういうことになつております。弁理士の仕事の性質上、資格が高いようでございます。それから御承知のように、公認会計士につきましては、なお一層高くなつておりまして、大学出でなければ第三次試験等につきましては資格がない。こういうふうなことになつております。しかしながら行政書士につきましては、従来の長い間の歴史等にかんがみまして、あまり高い試験を要請することもないと考えられますので、先ほど申しましたように、新制高等学校卒業程度を受験資格ということにしておるわけであります。それから試験制度をとりましたのは、先ほど申しましたような趣旨で、特にむずかしい試験をしてこれをふるい落すようなことよりも、大体一般的に行政書士の仕事ができる範囲において、受験資格を与えまして、できるだけ素質をよくして行こうということでありまして、ことに知事等において、その認定を三条の三号に書いてございますように、適当に認定して受験もさせ得るのでありまして、そう受験資格を高度にする必要はないと考えておるわけであります。 それから報酬の問題につきまして、司法書士と比較して申し上げますと、行政書士の報酬は知事がきめるということになつておるわけであります。行政書士より司法書士の方が多少いろいろむずかしい仕事が多いかと思つておりますが、行政書士等は特に困つた人たちを助ける仕事でありますので、あまり高くすることはどうかと考えておるのでありまして、現在条例ができておるところは府県知事でいろいろきめておりますので、それらを適当に参酌して、今のような点を加味してきめていただいたらどうか。法律上特にそれの最高限度というようなことは、限定してないわけであります。 最後の点につきましては、行政書士の会ができておりますが、幹部の人たちの意見によりますと、各府県でまとまつた行政書士会というようなものはないそうでありますが、事実上行政書士、代書人の仕事をやつておる方が、方々にあるそうでありまして、それらの人たちがこれに該当いたしますれば、すべて新しい行政書士として乗り移ることになります。特にその人たちがその資格に該当しないような場合だけ、そういう仕事が将来やれないというようなことが起つて来るかと思つておりますが、大体この法案によりますと、私の承りました範囲においては、今までやつておる人が、それほど支障を生ずることはなかろうという話を聞いておりますので、御趣旨の点はごもつともだと思いますが、大体そういうことになるのじやないかと想像するわけであります。
○前尾委員長 ほかに御意見または御質疑がなければ、本日はこの程度にいたしまして、次会は明二十五日午前十時より開会することとして本日はこれをもつて散会いたします。 午後零時二十一分散会