外務委員会 第6号
- 発言数
- 74 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1950/10/04
会議録
○守島委員長 それではただいまより委員会を開会いたします。 本日は国際情勢等に関します件を議題といたしまして、まず太田外務次官より国際情勢に関する説明を聞き、それから委員諸君の御質問に移るつもりでございましたが、安本の副長官がおいでになりまして、非常にお急ぎになるということでございますから、順序をかえまして並木委員の発言を許します。
○並木委員 朝鮮動乱に関しての特需についてちよつとお尋ねしておきたいと思います。まずこの特需と一般輸出との取扱いの上における相違はどういうところにありますか、その点を伺いたいと思います。
○福島説明員 お答えいたします。特需と一般輸出との性質の違いというものはいろいろの面でございますが、これが外貨によつて支拂われるという点は同じなのであります。特需が当初のころには円小切手によつて支拂われたというようなことが少しありましたために、これが全部外貨拂いであるということについて多少疑念を持たれた点がありましたけれども、それはさようなことではございません。 それからもう一つは特別調達庁の購買とそれから軍需品の購買との混同というような点を多少当初は心配いたしておりましたが、これも区別がついております。ただ私どもで特需と称しますものの中に、沖縄等へ向けます一部の商品が一朝鮮動乱に伴います特需との区別を多少混乱している点もあります。その点が分別が少し困難であります。そういうことからいわゆる一般の輸出と特需との境界が、その面ではちよつと違う、混乱している点がございます。その他ははつきりしております。取扱いにつきましては、一般の輸出がやはり一般の輸出業者にじかに注文が参りますと同様に、特需につきましても、向うの購買官からじかに各企業に参ります。ただ一般の取扱いと多少違いますことは、この特需の購買をESSでまとめていただきまして、そして安定本部に向けてその情報を一切提供していただいております。一般の輸出につきましては、もちろん通産省がまとめておりますけれども、ESSの方でさようなとりまとめを責任持つてしてくださることはございません。通産省が責任持つて一般の輸出につきましてはまとめております。その点は特需関係につきましては、特にESSが協力してくださいまして、情報を全部一括して私どもの方に提供していただいております。その理由は、金の一般輸出状況が国際情勢によりまして、だんだん好転して来ておりますことは御承知の通りであります。それでこの特需関係が日本の生産力とうまく合いません場合には、一般輸出に惡影響がある、また内地のいろいろな需給関係にも惡影響があるということをおそれましたために、その出方、それからどういう種類のものが需要されるかということについての詳細な報告を要求いたしまして、快くこれを承諾してもらいまして、多少事前のものもありますが、軍需関係でありますためにいろいろな軍機上の関係から大体事後に極秘をもつて報告して参つております。そういう違いだけで、ただ商業上の取扱いは一般の輸出と同じようなものです。
○並木委員 値段の点などがどうなつていますか、つまり特需と一般の輸出との関係の相違の一つですけれども、一般の輸出の場合には、輸出業者の値段というものが相当反映するのじやないかと思いますが、特需の場合には、値が合わないからこれは出さないというような人があつた場合に、そういうものに対する関係は円滑に行つておるかどうか。それからまた代金の支拂いはどういうルートを通つて生産者のところに入つて来るか、円滑に入つて来るかどうか、こういうような点についてお尋ねいたします。
○福島説明員 値段の点は動乱勃発当初は多少購買調弁官の秩序が乱れた——というよりも、動乱が勃発したために系統がありませんので、各出先機関からじかに各企業に注文がありまして、非常に積出しな急いだため値段が講にまちまちでありました。あるものについてはたいへん高い値段で購買されておる、従つて部分的に特需景気というようなものが現われましたが、その後大きな構造材、つまり鉄骨であるとか鉄板あるいは薄板とかいうような方面の需要が日鉄などに参りました。その価格は相当嚴重な価格で、むしろ向うのプライス・コントロールなどから集めた数字で相当値切つた形で收買されております。それは向うの調弁のルートが多少まちまちでありまして、八軍がじかに当る場合もありますし、中には特別調達庁を使つて来るものもありますが、これは少しであります。こういうような調弁のルートによつてどうも値段のとり方が非常に甘かつたり辛かつたりすることがあります。その一つの例として八軍の調弁の出先が横浜にありますが、腕袋の調達を非常に急いで特に連絡がありましたので、食糧公団、油糧配給公団等が麻袋を非常にたくさん扱つていますからただちに連絡をして、大体向うの希望の数量は調弁するようにいたしましたが、その価格について、一部の納品については向うが非常に安い値段を押しつけたのでありますが、一部の納品については、割合に楽な値段で調弁に応じているというようなことがありまして、どうもその辺はルートによつて一様でありません。
○守島委員長 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○守島委員長 速記を始めてください。
○福島説明員 支拂いの点については、通産省あたりの方がいろいろ生の情報が参ると思いますが、安定本部においては、石炭業者から支拂いがおそいからどうこうという苦情はじかには聞いておりません。大体そうおそくなく支拂われておることと思つております。
○並木委員 特殊需要の本質というか、性質というものは、どういうものなんでしようか。たとえば一般の輸出の方へ向けた方が確かに有利であるというような場合に、そのオプシヨンが生産者の方にあるのかどうか。業者の方にあるのかどうか。そういう点で迷つている向きもありますから、この際明らかにしておいていただきたい。
○福島説明員 今の輸出につきましては、やはり私どもは特需を優先にしてもらいたいというふうに考えております。そのために私どもが要求しておりますことは、需要される商品の種類をできるだけ早くこちらへ——数量的なことはあるいは多少機微にわたるからいかぬかもしれませんが、どういうものが一番先に来るかという商品の種類について、早く連絡してもらいたいということを当初から申しております。それがために一般の輸出が阻害されるということはあまり聞いておりません。ただ一般の輸出業者としましては、その同じ商品を一般の輸出で外国へ売る場合と、特需へとられる場合と單価の差が多少生ずるだろうと思います。これは今申し上げたように、單価が必ずしもきちつと一定していないために、その場合には一般に出した方が有利である場合もあろうし、またかえつて特需にとられた方が採算がいいという場合もあろうかと思います。その一つの証拠は、まず苛性ソーダを大分たくさん調弁されたのであります。ところが最近に至つては、苛性ソーダが大分市場からの供給が苦しくなつたので、業者としてはなるべくごめんこうむりたいという態度であつたために、多少見積り額が市価より高かつた。それにもかかわらずほとんど在庫の全部が調弁されたという実例があります。従つて鉄鋼製品などは比較的單価が安いのでありますけれども、そういうふうな特別のものは緊急度に従つて高い値段で支拂われる。ですから必ずしもこれが一般輸出の方がいいとか特需の方が損だということは、一般的には申し上げられない。個々々々の場合、同じ鉄鋼製品でも、ある場合は高くなろうし、ある場合は安くなるが、それはちよつと今画一的には申し上げられないと思います。それからもう一つは特需される商品をずつと見て参りますと、それが一般商品にどういうふうな影響があるかということは、私どもは非常に関心を持つております。このために一般商品が阻害される、あるいは国内の需給関係が乱されるから、特にその点は注意したのでありますが、現在出ておるものから見ますと——多少はありますが、大体内地の市場が煩わされたり、輸出がそのために阻害されるということはないのであります。一番心配されるのはトラツクであります。トラツクはこれが生産能力の約七割ぐらいを需要されております。従つて内地へ出るものが制約されるし、それによつてタイヤ、チユーブが当然それについて出ますので、その方面では内地の市場に圧迫を加えている。それふらトラツクやタイヤが輸出されないのですから、まだよろしゆうございますが、もしも下ラツクなどの輸出が割合に有望になつて来たときには、この生産力を増強しないと、せつかくの好機を逸するとい、うふうな状況になりますが、その他の製品については、目下のところそう心配なものはなく、あとは電線管ぐらいなものでありまして、特に私どもが一般の輸出に悪影響があるということを今心配しているのは少うございます。但しようやく三十八度線ぐらいまで片づいた。その南から三十八度線に至るまでの戰跡がどのくらい荒廃しているか、それをどのくらいの速度で復旧なければならないかという点で今後内地の重要物資、あるいは重要輸出商品がその方面に引かれるということが起るであろうと思います。それが原材料の輸入ということでうまくバツク・アツプできれば仕合せでありますが、その点を多少懸念しております。今まででなく、むしろ将来、朝鮮の復興ということについて私どもが協力したいときに、多少の圧迫なり摩擦なりが起るということを心配しております。
○並木委員 勢い原料の手当ということが重要牲を帯びて来ると思います。それで輸出のみならず、輸入に対しても、国家として相当の計画性を持つてやつて行かないと思わぬ損を来す。従つて国内的にもいろいろの面で計画及び統制というものが復活ないし強化されて来るのではないかと思うのですが、こういう点に対しても安本の見通しをお伺いしたいと思います。
○福島説明員 私どもが一番心配しておりますのは、鉄鉱石の輸入と粘結炭の輸入の問題であります。現在輸出に影響なしに特需として今後非常に出るだろうと思われるものは鉄道車両関係であります。これはまだ内地の潜在製造力というものがかなりありますから、製造力の範囲においては心配ないのでありますが、それの構造材料等が、はたして間に合うかどうか。一例を申し上げますと、機関車の車輪などにはめますスチールのタイヤがございますが、これなどの製造がはたして間に合うかどうかということが多少心配になります。その元は粘結炭の輸入、鉄鉱石の輸入、スクラツプの供給ということがすぐ問題になる。これは始終司令部とも連絡しまして、鉄鉱石の輸入の予定表等について司令部の持つておるバジェツトと私どもの予定と始終照し合せております。その司令部の持つておるバジェツトの範囲内においては、大体現在の能力一ぱいつくりましても、どうやら供給ができると思うのであります。ただ心配なのはゴム等につきまして、生ゴムの輸入——自動車のタイヤなどでありますが、生ゴムの輸入などがうまくこれににくつついて来るかどうかが心配であつたのと、それから一応あの事変が一段落して、あとに起るであろう繊維関係の需要というものが、はたしてうまくマツチするかどうかということが心配でありましたが、これは皆さん御存じだと思いますが、最近のアメリカの綿花の事情というものは、本年の八割増しの栽培をするということにきまつたので、従つて綿花の相場が先安になつて来たということが、それを有力に裏書きしている。それから南方におけるゴムの栽培も、大体戰前にもどつて来た。従つてシンガポールの相場が大分下向きになつて来たということでありまして、将来生ゴムの輸入、綿花の輸入ということについては、一ころのような心配は薄らいで来た、こういうふうに思います。従つてこの機会に朝鮮事変のための戰後経営といいますか、たいへん言葉が大きいですけれども、そういうことのために起る大きな需要に、どうやらこうやらくつついて行ける。紡績関係については増錘の問題が解決しましたから、これの需要に見合つてすぐ増錘を急がなければならないという結果になつております。そのほかに特に需要されるものとしましては、セメント等がありますが、セメント等はこれは石炭の問題だけで、能力も十分にありますし、これは多々ますます弁ずる方であります。それからもう一つ、これは心配でありますが、石炭の問題であります。これから冬になりますと、ことに南鮮でありましても、日本より寒いのであります。国連軍の相当多数の人があそこで越冬する場合に、石炭がいるであろう、それを日本から供給するとしますと、多少今日はゆとりのある需給関係でありますが、それが少し傾斜が傾いて来るという心配があります。私どもが今後の特需の関係で心配しております点はそんなことでありまして、そのほかに木材なども相当需要が来るだろうと思いますが、どうやらこうやら行くのじやないか、むろんこれは内地の値上りの要素になりますけれども、特にそうひどいことにはならぬのじやないか。特に心配しておりますのはそんなような点であります。
○並木委員 もう一点だけお尋ねしておきます。物だけでなく人の問題はどうでしようか。たとえば建設業者なんかで復興の事業に挺身したいというような人もぼつぼつ出ているのですが、これと一緒に食糧の問題があると思うのです。朝鮮から輸入しておつた状態と反対に、このごろは食糧が出て行くのではないか。ことに肥料工場などが爆破されておりますから、逆に日本から肥料も出て行くのではないか。そうすると、従来政府が輸出によつて外貨を確保していますが、少くともその三分の一ぐらいは、外国食糧を買うことによつて、つまり一般貿易を促進しております。こういう方針をとつていたのが、勢い食糧というものがきゆうくつになつて来て、国内的の増産あるいは自給自足をやつて行かなければならないと思うのですが、一つの計画性のもとに転換が行われているというふうに考えていいかどうか、そういうふうな点についてお尋ねいたします。
○福島説明員 労務の点は、今までの状況を申し上げますと、大体この七月から一箇月半、八月の半ばごろまでの統計が出ておりますが、日雇い労務者の延総数が八万人であります。それが特需関係で需要された延人員であります。その間の一般の全国の延人員日雇い労務者の総就職数が八百万人であります。従つて特需でもつて起つた労務需要というものは、一般の需要の一%、こういう数字になつております。従つて今までの経過から行きまして、内地におけるそういう日雇い労務者等がそのためにどういう影響をこうむつたということは、比較的少い。ただし需要される性質が割合に高度な技術者——臨時雇いとしては高度な技術者、旋盤工とか、佐官とか、大工とか比較的技術を持つた人が要求される。単純な労務者でないというところに特徴がありますけれども、人数から見ますと、全体の雇用関係から行くと非常に少い。それで求人数と充足数との関係からいいますと、大体九五%から九七%充足しております。大体向うの要求はほぼ充足しておるということであります。 それから次に、御質問の要旨は、今後日本の労務者が朝鮮に渡つて仕事があるかどうかという御質問じやないかと思いますが、これはむしろ渡る情勢になり得るのかどうかということは、私どもよくわかりません。占領下にありますので、司令部の外交関係といいますか、何と申しますか、そういう関係が先決問題であろうと思います。もしもそういう障害が除かれて行けるとなりますれば、第一に鉄道の復旧、橋梁の復旧ということだけ考えても、向うにおります労務者、技術者ではおそらく建設がうまくできないのではないか。それでそれはアメリカのエンジニーアが行くか、あるいは日本から持つて行くかということが当然予想されると思います。ことに私どもは、司令部によく言つておりますが、朝鮮の鉄道は日本がつくつたのだ、向うの車両の規格であるとか、橋梁の規格であるとか、もつと極端なことを言えば、全部青写真があるのだから、全部われわれにやらせろ、立ちどころにできる。何も心配することはない。こつちから貨車を持つて行つても、向うに残つている貨車とぴしやつとつながるようなものができるから、おれたちにやらせろというふうに持つて行つております。また向うも十分了解しております。従つてそういう建設等のことは、おそらく日本の技術、労力が需要されると思いますし、またそうありたいと思います。
○仲内委員 並木委員から特需関係の物及び人の面について御質問があり、非常に有意義な御答弁があつたのでありますが、これに関係して私の伺いたいことは金の面、つまり金融であります。特需に限らず、最近日本の経済の根底が、朝鮮事変いなそれにかかわらず、世界の情勢に応じてかわつて来ている一方、日本国内の経済復興も進展しておりますし、ことに特需並びに貿易が非常に大きな増産を要求しておるという情勢は、何人も疑いないところであると思うのであります。問題はいわゆる金詰まり、これが予想外にひどいのではないか。しかも根底のかわつた日本の経済に即応しない金融政策がとられているのではないかと思います。最近財界での最も大きな問題は、それは増産も増資も必要でありましようが、そのもとになる資金の面があまりにもきゆうくつである。ことに最近ドツジさんがまた見えられるとのことで、むしろ市中銀行初め中央銀行も、現に詰まつておる金融をさらに引締めにかかるという声を、強くわれわれ耳にするのであります。せつかく立直ろうとする日本の経済、ことに国際的な環境からいつて講和を控えて、総理も先日の談話で話したように、いわゆる経済の自主が先決だ——これには異論はないと思うのであります。その点から考えましても、日本の経済のあり方がもつと自主的にならなければならない。その動脈ともいうべき金融が非常に逼迫し、そしてむしろ人工的に引締められるというようなことであつては、せつかく波に乗ろうとするこの日本の経済復興あるいは貿易を中心とする経済の発展への絶好の機会を、のがすような懸念があるというように考えるのでありますが、特需並びに貿易その他に関連して、安本当局はこの資金の面、金融の面をどう考えるか。
○福島説明員 御説の通りでありまして、そういう輸出の面並びに輸出を増大するために、同時に輸入も増大しなければならない。それからもう一つ大事なことは、国際価格がどんどん上つておりますから、今の安い手持ちの原料で製造して出してしまえば、それからかわりに入つても三割、四割、五割高いものが入つて来る。どうしても早く輸入して、そしてその値上りの不利をできるだけ早くカバーしなければならぬという関係にありますので、先般来繰上げ輸入ということが非常にやかましくいわれておりますが、第二・四半期におきましては、一億八千万ドルくらいの外貨予算であつたものが、第三・四半期には三億ドルもつけたわけです。その面は多少その趣旨が盛り込まれております。しかしそれが輸入並びに加工輸出の面が、同時に円資金の面でバツク・アップされないとこれができない。この間来も新聞を非常ににぎわしたユーザンスの問題もその一つの現れでありまして、幸いに司令部が非常に同情ある態度に出てくれまして、むしろ私たちが気がつかなかつた点を向うから指示されて、そしてうまく解決したというふうなこともありました。しかし今のお話のように、輸出加工のもとになる仕込金を渡して行かなければならぬ。しかもそれが原材料が三割ないし五割上つておりますから、従来の運転資金の幅ではどうしても生産が低くなります。でありますから、通貨の発行高も三割前後は増加しなければ、この状況に合うわけには行かないというふうなことで、いろいろな面からその資金の出どころを追求しておるわけであります。日本銀行から出まする一般のルートというものは、御承知の通り市中銀行を通りますので、市中銀行というものは、やはり自分のリスクで金を貸すのでありますから、回收という面ではつきりしなければ金がなかなか出ない。いかに裏打ちがありましても、その面でチエツクされてしまう。ことに輸出商品の一部は、中小企業が分担しておる点がありますので、中小企業に対する金融の面が、ずいぶんやかましくいわれておるにかかわらず、実際の市中銀行から出る段階においてストツプしてしまう。何がしかこれに損失補償というような裏打ちがないと、これが円満に出て行かないといううらみがあります。 それからその他に見返り資金によりましてこれをバツク・アツプするとか、預金部資金をまわして輸出金融金庫をつくるとかいうような、いろいろな手段が考えられておりますが、どうも私たちの考えておりまする緊急度に合うような程度に金融がまだ動いておりません。それで、今度の補正予算あるいは来年度の見返り資金の運用等で、何とかこれを補充して行きたい、こういうふうに考えております。
○渡部委員 ちよつと関連して……。先ほど並木委員からの質問で、特需関係の求人、求職の問題ですが、これは先ほどはパーセンテージを出されて、何とか順調に行つておるというようなお話でありましたが、一体特需関係における求人と求職との調節は、どういうふうな機構をもつてやられておるか。
○福島説明員 これはやはり職業安定所を通してやつておりますのが、大体のラインであります。そうしてそこに求人への性質を言つて来まして、これが旋盤工何人とか、機械工何人とか左官は何人というようなことを言うて来ておりますので、どういう順序で、向うのどういう係から、どこの安定所に、どういうふうに行くかという順序は、私はあまりつまびらかに承知いたしておりませんが、御質問の要旨は、向うの需要が十分に充足されていないという御懸念でありましようか。
○渡部委員 というよりも、向うの特需関係における求人の仕方について、いろいろ世間で問題になつておるわけであります。これはたとえば朝鮮問題が起つて以来、横浜から六千人ずつ四回にわたつてすでに自由勞働者が送られておるというようなことがいわれておるわけですが、その場合に、今あなたがおつしやつたとは異なつて、職安では、どういうふうな仕事で、しかもどこにいつてどのようなことをするかということは、全然明らかにしないで、ただ横浜の方に仕事がある、しかも一万五千円の收入であるというふうな條件で出かけて行くと、横浜においては、一定の所に置かれて、もう出ることができない、外に一歩も出れない。そうしてそれが自分の要望するような仕事ではなかつたということで、特需関係でようやく求職して出かけて行つた自由労働君たちが、逃亡するというような事件もしばしば起きておるわけなのです。これはそういうような自由労働者にとつては非常に重大な問題でありまして、どうにか生きて行かなければならないから職を求めれば、それが今申し上げたように、自分たちがまつたく希望していないような、あるいは自分たちが全然反映するようなことのために、強制的に、行方も定めないで送られるというようなことになつては、その自由労働者たちにとつては、基本的な人権が問題になつて来ると思うのです。同時にまたこれは、われわれ日本人にとつては、外国の帝国主義者が日本人をかつてに、いわば人さらい的に、人間の掠奪の仕方で、かつてな所に日本人を使用するということになるのであつて、これは日本民族としてもどうしても許すことのできない、がまんすることのできない問題であると思うのです。こういう問題が今後も頻発するようになるとすれば、もちろん日本の勤労者たちはこれに対して徹底的に闘うでありましよう、またこれを徹底的に拒否して、そのような日本人を人さらい的に奴隷的な苦力にし、あるいは肉弾ともし得るような條件を粉砕するために闘うでありましようけれども、しかしこれについては当然政府として勤労者の基本的な人権を守るためにも、あるいは日本民族のはつきりした独立の立場を主張し得るためにも、適当な手を打たれなければならぬと思うわけなのですが、この点で先ほど申し上げたような求職あるいは求人関係における政府の処置がどのような形で考えられておるのか、これをお聞きしたいわけなのです。
○福島説明員 私ども経済安定本部といたしましては、主として物資並びに金融の方面を特にやつているものですから、労協関係の数字は労働省からもらつております程度でありまして、その内容等についてあまりつまびらかに知つておりません。こういう関係は主として特調の方でおせわしているように思いますので、なおそういうことがありましたら、私どもとして調べることもひとつでありますけれども、もしもそういうことがありますれば、労働省あたりに材料があろうかと思います。そういうことで私は聞いておりませんで、今日御答弁申し上げられたいのはたいへん遺憾と思います。
○守島委員長 それでは太田外務次官から国際情勢に関する説明を聞きます。
○太田説明員 それでは私から簡單に国際情勢の御説明をいたしますけれども、また御質問でもありましたらお答えいたします。お手元に西欧再軍備の現状と朝鮮事変以後のアメリカ国内経済統制機構というようなものをお配りしておきましたから、それについてごらんを願いたいと思います。 国際情勢についていろいろ問題があると思いますけれども、その一つの問題といたしまして、朝鮮における三十八度線の問題についてまず簡單に御説明いたします。三十八度線を突破するかどうかという問題につきましては、トルーマン大統領の声明にもあります通り、これは国際連合において決定されるものということになつておりますが、この問題に関しまして、いろいろ各国から提案があつたということを新聞で承知いたしております。しかしながらまだそれについては何らの決定を見ていないようであります。今まで三十八度線あるいは朝鮮の戰後処理の問題につきまして出ております提案のうち、多少御参考になるかと思う点について御説明いたしますと、九月の二十九日にイギリスがイニシアチーブをとつて、米国の同意を得て八箇国の共同提案、すなわちイギリス、オーストラリア、ブラジル、キユーバ、オランダ、ノールウェー、パキスタン、フイリピンの八箇国の共同提案が出されておりますが、その要旨を申し上げますと、一つは国連は全朝鮮にわたる安定條件を確保するためにあらゆる適当な処置をとること、第二には統一、独立、かつ民主的政府樹立のため国連管理下において朝鮮の総選挙をやること、それから第三には国連軍は今申し上げました二つの目的達成の必要限度以上に朝鮮のいかなる地域にもとどまることができない、すなわち入つて行つて後にとどまることができない、こういうことが書いてございます。それから朝鮮の救済と復興工作を管理するために委員会を設置してはどうか。第五番目には国連の経済社会委員会が戰争終了後の朝鮮の救済復興計画を立てることこういうような共同提案が出ております。 また十月二日ソ連邦、ウクライナ、白露、ポーランド四箇国共同提案は戰闘行為を即時に停止すること、それから外国人部隊の即時撤退というようなことを要求しております七項目の決議案が出ておりますが、これに対する各国態度をごく簡單に申し上げますと、米国といたしましては戰後の心理については、国連管理下の全朝鮮の自由選挙と、国連による統一朝鮮民主政府樹立の援助ということと、三十八度線突破問題については国際連合が最後的に決定すべきものであるというようなことをオースチン代表や、あるいはアチソン長官が述べております。また緯国側におきましては韓国を中心とする朝鮮の統一、独立の達成というようなことや、三十八度線というものはこれは存在しないものであるという前提に立つて主張をしております。この朝鮮問題に関して米国の要人その他が言つていることでおもなことを拾つてみますと、たとえば九月二十七日に旧称省のスポークスマンは、マツカーサー元帥は軍事的に必要な場合三十八度線を越ゆる権限を持つているということを言つたそうであります。また九月二十八日にトルーマン大統領は、三十八度線突破の決定は国連が行うべきで、国連は広汎な権をマツカーサー元帥に與えているが、マツカーサー元帥は大統領及び統合参謀本部の指揮下にあるというような意味のことも言つております。それからまたアメリカの国連代表でありますところのオースチン氏は、九月三十日に三十八度線は架空の国境であつて、存在の基礎を持たないというようなことも、言つております。英国側におきましては九月二十五日ベヴイン外相が朝鮮の戰後処理について朝鮮が再び二つにわかれるというようなことがあつてはならない、朝鮮の平和と統一の回復方法を発見することは、国連総会の義務であるということを述べて、ただ三十八度線突破問題について、国連軍はこれを越ゆべきであるということを強調したということが新聞に出ております。インドは御承知の通り戰後処理について国連最後の目標は朝鮮の統一であり、軍事作戦を最後のところまで推し進めてしまつては、政治目的というものを有効に達成することはできないから、三十八度線突破について、国連軍は越えるべきではないということをネール首相が述べたそうであります。またフイリピンにおきましては、マ元帥は三十八度線を越えて進撃する権限を持つているのだというふうにロムロ国連代表は言つたそうであります。一方北鮮側におきましては、新聞によりますと、これは真相はどうであるかわかりません。われわれは何もそれに関して信頼できる情報を持つておりませんが、北鮮側の和平提案説というものが、新聞に出ていることは御承知の通りであります。そのおもなるものは、九月十八日のロンドンにおけるインド人筋からの情報として新聞に出ておりますが、それによりますと、北鮮当局が中共に申入れを行い、中共はインドに対し国連との和平会議開催のあつせんを行うよう要請した。しかし條件は明らかにされず、各国政府はこれを否定しているという情報があります。また九月二十二日ロンドンの信頼すべき筋に達した情報としてこういうようなことがあります。それは中共政府はみずからインド政府に対し、朝鮮政府の平和解決案を提示した。その條件は、北鮮軍の三十八度線以北への撤退と、国連軍の緯国撤退、それから国連委員会の管理下に南北鮮統一問題に関する人民投票をやる。それから統一政府樹立のための総選挙の実施というようなことがありますし、さらに国際連合側から出た情報といたしましては、九月二十七日に朝鮮側の和平提案説といたしまして、北鮮軍を三十八度線以北に撤退させる、それから米軍を釜山近辺の橋頭堡陣地まで撤退させる、南鮮の残りの地域を米国軍隊以外の国際連合軍が占領する。そうして全鮮を通ずる選挙を国際連合の管理下において行うという情報であります。なお中共政府を通じて、北京駐在インド大使に対し、休職を提案したというのがあります。これらのことについては、各国政府はいずれもこれを確認しておりませんので、どういうふうになつておるのかわからないのでありますが、そういう新聞の報道がございます。 それからその次の問題といたしまして、最近の新聞をにぎわしております問題は、対日講和の問題でありますが、これは御承知の通り九月十四日にトルーマン大統領が声明を出しまして、対日講和問題に関して、極東委員会の構成諸国と今後の進め方について非公式な討議を開始する権限を国務省に與えたということを発表しております。また国務省の発表によりますと、国務省のその方の係官が極東委員会の各国代表と個別的に話をすでに開始いたしまして、米国は二週間以内に非公式な対日講和に関する討議を開始したいと思つているということを極東委員会の関係諸国に通達したというような情報があります。また九月十五日には国務省当局者の談話として、米国の考えておる対日講和條約の内容について、日本の再軍備は條約では制限しないのだというようなことであるとか、あるいは講和後も日本に米軍を駐屯させたいと思つておるというようなこと、その他琉球、小笠原諸島、硫黄島を信託統治にしておくというような意向が国務省のスポークスマンによつて語られたということでありまして、新聞によりますと、目下英国、濠州、カナダ、フイリピンというような国との間には確かに話が進められておるということであります。 こういうような動きに対しまして、これは新聞でありますのでよくわかりませんが、各国の態度を簡単に申し上げますと、新聞に出ておるところは左の通りであります。それは九月十六日英国外務省のスポークスマンの談話といたしまして、日本の再武装に対する英国の政策は不変更で、従来とも日本の非武装化を英国は主張して来た、こう述べており、また対日予備交渉をソ連を除外しても進めることに英国側は意見が一致したということをスポークスマンが語つたということであります。また濠州におきましては、日本の無制限の再軍備という問題に対しては反対であるということをスペンダー外相が述べたという新聞の報道があります。フィリピンにつきましては、フイリピンとして嚴酷な対日講和は希望しないというようなことを述べた新聞情報もありますが、同時に無制限な再軍備だとかには反対であるし、それから賠償の問題や、日本の島の問題については相当きつい考えを持つているというように新聞は伝えております。ソ連邦については特に取上げて申し上げるべきものがありませんが、九月二十六日のモスクワ放送によりますと、ソ連は先ほど申しましたトルーマンの声明は、米国側が日本占領を続行し、日本を侵略の具に供さないために、ソ連と中共除外の対日講和を結ばんとしていることを示したものであると言つて、非常な攻撃を加えております。また中共の北京放送によりますと、米国帝国主義者は日本を再武装して、米国の極東侵略を拡大するために対日單独講和を結ばんと努力しているのであるということを言つて、非常に非難しているそうであります。 以上最近新聞に出ております西欧の軍備の問題であるとか、朝鮮事変以後のアメリカの国内経済の統制機構であるとか、あるいは対日講和の問題であるとか、あるいは三十八度線の問題というような問題につきまして、思いつきましたままに簡単に御報告申し上げました。
○守島委員長 それではこれから質疑に入ります。質疑は通告順にこれを許します。菊池君。
○菊池委員 ただいま日本の再武装の問題についての情報をお聞かせくださいましたが、吉田総理も再武装はしたくないということを言つておられます。またわが自由党の国際問題調査会の意見といたしましても、あくまで憲法の精神を貫いて再武装はしないということをはつきりと言つておりますが、濠州、フイリピン、英国の意見も表明を聞いてみますと、無制限の再武装には反対であるが、制限せる武装には反対であるという意思は、まだ表明されていないように思います。フイリピン、濠州は、そういうようにただいま承りましたが、われわれがただおそれておりまするのは、から手でもつて国際連合諸国に対しまして、日本の安全保障をまかせるといたす場合に、多少とも軍隊を持つ能力のある日本がそれでいいのか。日本の安全保障を頼みながら、戰えば戰えるだけの訓練された三百五十万の軍隊もある。そのうちからピツク・アツプして、たとい二十万なり三十万なりの軍備を持つということは、国際道義の上からも、当然の態度ではないかというように考えております。計理の専門家の話によりますると、七万五千の警察予備隊を持つ金があるならば、今までの徴兵制度によれば、三十万以上の軍隊を持つことができるということを言つております、われわれはあくまでも憲法の精神を貫いて、軍備は持ちたくないのでありますが、いやしくも安全保障を他国にたよるという以上は、国際道義の上から、できるだけの軍備は日本としても持つことが、当然ではないかというように考える。政府といたしましても、わが党といたしましても、すでにその意思は表明しておりまするが、しかしながら国連諸国から日本の再軍備を要望された場合においても、それをけり飛ばすということが、はたして国際道義にかなうゆえんであるかどうかということをわれわれは心配するのでありまするが、それらに対する外務当局の見解をお伺いしたいと思うのであります。
○太田説明員 ただいま菊池さんから、再武装の問題について御質問がありました。私が先ほど言及いたしましたのは、新聞に伝えられますところのアメリカ政府側の対日講和條約案の一つといたしまして、講和條約の中に、條約の規定としては、再軍備を禁止する規定は置かないようにしたいという希望があるということが、新聞に出ておつたということを申したのでありまして、そういう條約ができた後に、日本が再軍備をするかどうかという問題は、これは條約ができた後の問題であります。のみならず、これは日本の憲法の問題その他と関係いたすところでありまして、われわれ外務省事務当局として、何とも申し上げることのできない大きな問題である、こういうふうに考えております。
○菊池委員 アメリカの輿論を見ますると、日本に再軍備を許すという議論が、大分沸騰しております、許すということは、何も日本が軍備を持たなければならぬということではない。持つと持たないとは、日本の自由であります。国際情勢から判断して、向うの輿論を総合してみますると、どうも日本に対して軍備を要望して来るということは、必至のように思われるのでありますが、そういう場合に、それをけり飛ばすということはどうであるか、その見解であります。
○太田説明員 日本の国内の問題といたしまして、軍備を持たせるかどうかということについて、向うが要望して来る、あるいは要望しておつたというようなことにつきましては、私はまだ何も聞いておらないのであります。従いまして、実際軍備をやるかどうかという問題については、これは私ども事務当局として、全然わからない問題であります。
○守島委員長 並木君。
○並木委員 外務次官の施政方針だか何だかしれませんが、さつきの報告を聞いたのでありますが、思いついたところを申し上げたと言いましたけれども、あれは見つけたところを申し上げたもので、新聞の切抜きをただぽつんぽつんとつなぎ合したような報告で、はなはだ私どもは失呈したわけなのであります。今までとかく仮定の問題であるとか、あるいは将来の問題であるとかいうように言われて来た対日講和会議あるいは平和條約という問題も、いよいよこれは仮定でもなければ将来の問題でもない、現実の問題になつて来たじやないかと思う。そこでまず私はお尋ねしたいのは、刺鮮動乱に伴つて対日講和会議、平和條約というものが非常に早められて来たという点について、外務当局はどういう見解を持つておられるかということをお聞きしたい。
○太田説明員 これはこの間の国会における総理大臣の演説、それからその後におきまするところの総理大臣の工業倶楽部その他における演説にもありました通り、私どもといたしましては、従来日本の講和問題についていろいろな議論がありましたが、そのうちで国民が一番関心を持つておりますところの、日本のためにする安全保障というような問題が、今回の朝鮮事件によつてある程度の示唆を受けたというような点から、講和問題は朝鮮の動乱によつて遅れるものではなく、むしろ今申しましたような見地から促進されるべきものであるというようにかねて考えておつたのでありますが、その考え方は今日においてもちよつともかわつておりません。
○並木委員 予見されるいろいろの手続などを考えて、大体の見当として、しからばいつごろ会議の取運び、條約の締結の運びに至るかという見当をお尋ねしたいと思います。
○太田説明員 見当はまつたくつきません。但し多少敷衍いたしますと、先ほど申しました通り、国際連合の総会が十九日から開かれておりますが、その間会議には各国の外相その他が大勢集まつておりまして、新聞の伝えるところによりますと、ダレス顧問あるいはアチソン局長というような方が、極東委員会を構成する十二箇国と個別的に話を進めている。それがまた一体どれくらいかかるか私どもにはわかりません。新聞の伝えるところによりますと、四つ五つの国との間にすでに話が開始されたということであります。まだ相当の国との話が残つているものと想像いたされます。それにどのくらいかかるのか、そういう各国との個別的な話合いの後におそらく今度みな関係国が、大体話のついた国と寄り集まつての話があるじやないかと思いますので、そういうことを考えますと、一体いつごろになるのかということは、私どもとして全然見当がつきませんが、新聞の報道によりますと、来年の二月とか三月というようなことも新聞には書いてありますが、会議がそういうふうに運ばれるものと伝えられておりますので、見当はまつたくつかないという情勢でございます。
○並木委員 とにかく相当早く締結の運びになるということは言えると思うのです。それで外務省としてはこれが準備に万遺漏なきを期しておることであろうと思います。先般も太田次官と西村局長ですか、吉田さんのところに会いに行つたとか言つているのですけれども、そういう準備のことや何かで相談に行つたのじやないかと思いますが、現在講和條約に備えるために、具体的にどういう準備を進めておられるかそれをお伺いします。 それから当然いろいろな費用などもかかつて来るでしようが、そういう点に対する予算などもどういうふうに見積つておるか、あわせてお伺いします。
○太田説明員 準備と申しましても、今日特に準備しておることは何もございません。率直に申し上げますと、要するに日本が降伏いたしました以後、外交機構は開店休業というような情勢でありましたので、われわれちいたしましては、とにかく講和がこんなにおそくなるとは考えませんので、この五年間にあらゆる場合を想定いたしまして準備を進めて来たつもりであります。従いまして、今に至つて特に何をどうするとか、あるいは何をしなければならぬというようなものはないのでありまして、外務省全体をあげてこの五年間にあらゆる準備を進めて来たというのが真相でございます。 それから予算につきましては、占領管理下にありまして、外交の活動は停止されておりました関係上、外務省の予算は非常な緊縮予算でありますし、また人も非常に大整理をやつて来た実情でございます。もしかりに近い将来においてそういうために金がいるという場合におきましては、これは大蔵省の方で準備しておりますところの、そういう目的のために拂う金から出していただけるもの、こういうふうに考えております。
○並木委員 平和條約締結に至る前に、日本側の意見なり希望なりを聞かれると思うのです。今までの例においてこういう場合があつたときに、大体外務大臣とかあるいは総理大臣が出ているのですか、どういう人が、つまりどういう肩書を持つた人が行つておるか。ということは、條約の調印に派遣された人は全権大使といいますか、全権代表でしようが、今までのおもな條約では総理自身が行つておるか、あるいは外物大臣とか、どういう人が行つておるか、そういう点をちよつとお伺いいたします。
○太田説明員 原則を申し上げますと、対日講和條約の内容につきましては、連合国がこれをきめまして、連合国側の意見が一致いたしましたときに、これを日本に示して意見を聞く。しかしはたしてその意見を聞いてもらつてそれが通るかどうかということはわからないわけです。ところが新聞の伝えるところによると、今度の対日講和條約につきましては、その進行過程、そこまで行かない過程において、日本側の意向もでき得る限りこれを聞いてやろうというふうに、ダレス顧問その他が言つておられるということであります。従つてそういうような過程において意見を聞かれる場合に、どういうような人からどういうような人に聞かれるかということについては、まだ私どもは命然承知いたしておりません。イタリア講和條約及びベルサイユ講和條約の場合、すなわち日本と今申しましたのと多少性質が違う。イタリア講和條約の場合、さらに進みましてはその前のベルサイユ講和條約のときの全権の資格その他については、私ははつきりしたことは覚えておりませんが、イタリアの場合におきましては、連合国間の話が大体つきました後に、ガスペリ首相が呼ばれて意見を言つたはずであります。それからベルサイユのときは、これまた連合国側の意見がすつかりきまりましたときに、ドイツの外務大臣が呼ばれてそれを示され、また期限付で回答を要求されました。しかしどうしてもそれについて連合国側に意見が聞いてもらえなかつたために、二度か内閣がかわつて、あらためて全権を選んだという実情だつたと記憶しております。
○並木委員 意見または希望というものが徴せられる機会が正式に與えられる、またそれまでに非公式に、それを待たずしていろいろこちらの意向も聞かれる、この二つの場合があると思いますか、いずれにしましても政府としては政府だけの意向を十分用意しておるかどうか、與党の長老である幣原さんが今非常に熱心に超党派外交というものを説かれて奔走しておるのです。ある人が、まだ先のことだから急がないでというようなことを言つたときに、いやもう目前に来ておる、いつどういうことを聞かれるかもわからない、そのときに国民を代表する回答ができないようでは困る、ということは、要するに日本のための答弁ができるような準備をしておくべきだ。また今のまま推移いたしますと、現在の政府またそれを支持する與党だけの意向が反映されるのではないか、そこで私どもは強力に超党派外交の必要を考えておるのですけれども、政府自体は超党派外交についてどういうふうに考えておるか。一番心配いたしますのは、最後に平和條約というものが国会に上程されて表決を求める段階になつたときに、これに反対、つまり青票を投ずるものがあるようなことになるかもしれない。それでも政府としてはかまわないか、今の自分たちの趣旨に向つて、單独内閣でもつてどんどん講和條約を進めて行くという信念を持つておるのかどうか、そういうことをあわせてお伺いいたします。
○太田説明員 準備につきまして外務省事務当局といたしましては、もしかりに関係国から意見を聞かれるようなことがありました場合に一体どうするかということは、そのときの問題になつてまた考えなくてはなりませんが、意見を聞かれた場合に、外務省事務当局として、日本側の意見を答える際に、参考となると思われるような準備は、この五年間にいろいろ準備して来ております。なお御質問の超党派外交云々につきましては、これは外務省とまつたく関係のない問題でありますからして、事務次官から何ともお答えはできません。
○並木委員 平和会議及び條約に対してソ連が参加すれば非常にけつこうですが、参加しない場合もあり得るのじやないか、そういう場合にソ連が日本を進駐管理をするということも考えられる。もしそういうようなことが起つたときにどういうふうな関係になるか。今講和の形式において、いわゆる多数講和あるいは全面講和両方ありまして、それを判断する国民の側から見ますと、この点は非常に重要なポイントになつておるようです。率直に今国民の声というものを私は反映してお尋ねする。もう一つ別途に新しい條約を締結しよう、こういうことを日本に対して言つて来た場合、そういう場合にどうなるかということをお聞きしておきたいと思います。
○太田説明員 第一点につきましては、目下ソ連と米国との間に個別的な話が進んでおるかどうかということは全然知りませんが、各国ともそういう個別的の話合いの内容が、單に対日講和会議を招集するための手続の問題をやつておるのであるか、あるいは内容の問題にも触れておるのであるかどうかというような点も、私どもとしてはよくわかつておりません。ただ新聞の伝えるところによりますと、形式及び内容の両方について先ほど申しましたような国との間には、すでに話が始まつたのであろうというように想像いたしております。そこでソ連が入つて来るかどうかということは、手続と内容と両方の関係になつて来るのではないかと思いますので、私どもとしてはわかりません。御質問のかりにソ連が対日講和條約に参加しないという場合には、ソ連が日本に進駐して来るのではないかというような一般の心配があるということでありますが、御承知の通りまだ講和條約ができませんから、できるまではいわゆる法律上の戰争状態というものがあることはその通りでありますが、何も挑発しないのに新しく戰鬪が始まる、講和條約に入つていないから侵略して来るということは、法律上から言いましても、また事実上から言いましても、そういうようなことは心配する必要はない、こういうように思います。またそういう意図がかりにどこかの国にあるといたしました場合には、これはやはり日本の安全を保障する問題といたしまして、講和條約の際に十分そういう問題は討議されるべきものであろうと考えております。またある国が、今度の多数講和には参加しないで、日本と新しい條約を結ぶようになりはしないかという問題でありますが、これは今アメリカその他において進められておりますところの講和條約ができてからの問題であるのみならず、おそらく今度の講和條約の内容の一つとしてそういう新條約の問題に関してもおそらく規定が設けられるのではないか、これは私の想像でありますが、そういうふうに考えるのであります。
○並木委員 朝鮮の動乱についてさつき三十八度線云々のお話がありましたが、私どもはやはり国民の皆さんの心配しておるところを聞いておると、このまま第三次大戰に拡大して行くのじやないかということが自然大きな問題になつております。こういう点に対する見通しはどうですか。外務省として今までの経過からかんがみて、第三次大戰に拡大しないことを望んでおる声に対する答えとして、どういうふうな見解を持つておられるかお尋ねいたします。
○太田説明員 今度の朝鮮動乱に際しまして、民主国家が国際連合憲章の範囲におきまして、いち早く行動をとつたこの事実があるので、私の想像によりますと、第三次戦争というもののおそれは非常になくなつたというふうに考えております。中共の動きその他から考えまして、第三次世界大戰というものは起らないと思いますし、また並木さんのおつしやる通りに、こういうふうなものが起つてもらつてはまことに困るというふうに考えております。
○並木委員 これも率直に私が皆さんからお聞きしたところを伝えるので問題にならないとは思いますが、念のためにお伺いいたします。先般募集された警察予備隊のごく一部がすでに朝鮮に送られたのではないかというような、これはデマであり、流説であると思いますが、真剣にそういうことを聞いて来る人もありますので、この際その点についてお伺いいたします。
○太田説明員 そのことについては私どもは全然聞いておりません。
○並木委員 朝鮮の方からの密入国といいますか、今度の動乱によつて難を日本に避ける、そういう人々は相当にあつたのじやないかと思いますが、その方面の状況はどうなつておりますか。
○太田説明員 六月二十五日の動乱勃発以来の俗に申します密入国ということでございますが、密入国すなわち成規の手続を経ずして入つて来た人たち、これをかりにここでは密入国と言わしていただきますが、七月中には合計百三十六人ありました。これは要するに検挙したり逃走したりした人、現実に見た人間を言うのでありますが、百三十六人、それから八月中に非常にふえまして二百八十三人でございます。九月の統計はまだ全部についてでき上つておりませんが、密入国の一番多い長崎と福岡について見ますと、百三十二名でありまして、八月の長崎及び福岡の密入国の数字よりは減つておるのであります。数字はこの通りでありますが、要するに朝鮮動乱が起りましてから密入国というものは朝鮮側においても非常に取締つておりますし、こちらにおいても取締つておりますので、従来から比べると数字は七月は非常に減つた。ところが八月に入りますと戰況の関係で、密入国のほかに、いわゆる避難をして来るというような意味の人が非常に多かつたために、先ほど申しました二百八十三人という数字が出ておりますが、九月においては戰況が好転いたしました。で、また数字が減つて来るのではないかというふうに考えております、私どもが今やつております方針といたしましては、とにかく成規の手続をふんで入つて来ない人は、いわゆる戰災をこうむつておるところの避難民と確かに認められるような人、そういうような人も一応密入国者としてこれを取扱つておるような次第であります。
○並木委員 安全保障の点についてちよつとお伺いしておきます。これは日本に万一のことが起つた場合に、朝鮮の例がいい前例となつて、大体日本の安全は国際連合によつて保障されるものとの確信を深めた、こういうのが最近の結論的なものなのです。そこで日本の場合でも、朝鮮の場合と同じように、必ず安全の保障が得られるかどうか、その確信を持つているか。特に外からの侵略であるならば、これはあるいはそうかもしれませんけれども、内乱でございますね。内乱のようなものが起つたときにでも、迅速果敢に今度国連がとつたような方法がとられるかどうか。仏印における、ボオダイ政権に対するホーチミンとの関係において、国際連合はどういうふうな態度をとつているか、そういうようなのが参考になると思います。要するにあらゆる場合に日本の安全が保障されるかどうか。もしそうでないと、そこに時のギヤツプができますと、わずかに数日の間に日本の安全というものが台なしになるというおそれもなきにしもあらず、こういうところの間隙を埋めること正対して、政府として十分に確信を持つておられるかどうか。おるとすればどういうふうな方法でそれが行われるか承りたい。
○太田説明員 イタリア講和條約の規定等を見ましても、講和條約の効力が発生いたしましたすぐその翌日から、占領軍というものがいなくなつてしまうというようなものではないようでありますし、また今御心配になつております御指摘の点については、外電などによりましても、日本の安全保障という問題に関連いたしまして、米国その他において十分そういうことを考えているというふうに承知いたしております。それから国内治安の問題につきましては、これは講和條約の規定の範囲内において国内でとらるべき措置の問題と考えますが、そういう点につきましては、これは講和條約ができてみないとわかりませんが、私どもといたしましては、朝鮮動乱に関連いたしまして、国際連合軍がいち早く立ち上つたということは、もしかりに排発されないのに侵略が日本にあつた場合には、同様な措置がとられるであろう、とられるかどうかはそのときになつてみないとわかりませんけれども、とられるであろうと一応考えていい問題であるし、また條約の討議にあたりましては、そういう問題が必ず取上げられるであろうということは、多電その他において問違いのないところであろうと考えております。
○並木委員 同じく安全保障に関する問題ですが、大国の拒否権が発動して、安全保障理事会の決議が得られなかつた場合にどうなるか、そういうものに対するはつきりした見通しがあるかどうか。それから国際連合に日本がすぐ入れなくても大丈夫だというふうに聞いているのですが、この点は、はたしてその通りであるか、また国際連合に日本は一刻も早く入りたいという希望を表明しておりますけれども、入り得る可能性、容易に入り得るかどうか、そういう点をお伺いしたいと思います。
○太田説明員 たいへんむずかしい問題で、また将来の問題でありますので、御返事に自信がないわけでありますが、いわゆる安全保障理事会における大国の拒否権というような問題のために、国際連合。機能が非常に阻害されておるというような関係は、今度の事変においても確かに示されておると思います。そこで今度の国際連合総会の集まりにおきまして、米国からそういう緊急の事態が起つた場合に、二十四時間以内に緊急総会、すなわち拒否権のない総会というものを開くために、すなわち国際連合が、そういう緊急な場合に処して十分機能を発揮せしめるように、国際連合のやり方をかえて行ころという努力が、関係国によつてなされておるということは、並木さんも御承知のところと思います。それから国際連合に加入の問題につきましては、イタリア講和條約の場合などにおきましては、なるたけ早くイタリアを国際連合に加入させるように、関係国は努力するというような一條があつたように記憶しておりますし、われわれといたしましては、講和條約の成立を一日も早くして国際連合に入れてもらいたい、こういうふうに考えております。それからまた、かりに国際連合に入つていたいからといつて、たとえば朝鮮動乱のようなこと、が起りましたときに、国際連合の決意いかんによつては、この間のような措置がとられるということは、国際連合に入つていない大韓民国というものがこの一つの例である、こういうふうに考えます。
○並木委員 大分時間をいただきましたからあと二つだけ、信託統治のことと、賠債の問題にだけとどめたいと思います。 まず信託統治について簡單に御質問いたします。今まで委任統治という言葉で私どもはなれていたのでありますが、それと信託統治とはどういうふうに違うでしようか。全然同じものかどうか。琉球とか、小笠原諸島、硫黄島などを信託統治にしたいというような意向も伝えられておりますけれども、この問題は日本人の中でも相当希望者がありますし、現地の人々もやはり熱望しておるようですが、ぜひ日本にそのままとどめておいていただきたい、離さないでおいていただきたいというような要望もあり、外務省の方にもそういう陳情ないし請願が行つておると思いますけれども、こういうものに対してどういう御見解を持つておられますか。 〔委員長退席、北澤委員長代理着席〕
○太田説明員 国際連合の憲章によりますところの信託統治というものにつきましては、その内容といたしまして、戰略的の信託統治と一般的の信託統治というものの二つがあることは御承知の通りでありますし、また信託統治となるべき地域については、旧国際連盟の委任統治の地域及び今次の戰争で、すなわち同盟国の領土であつたものが、そこから切離された地域、及びその他のその国が希望して信託統治にするという三つ、すなわち内容の問題と地域の問題について、そういう区別のあることは御承知の通りであります。ただ具体的に沖縄であるとか、小笠原であるとかいうような島が、信託統治になるということは新聞でも外電で見ましたが、その信託統治の範囲がどうであるのか、あるいはそれがどういう種類の信託統治であるか、従つてそれと領土権との関係がどうなるのであるかというようなことについては、まだ的確なことは全然わかつておりません。委任統治と信託統治の区別については、條約局長から説明させます。
○西村説明員 簡單に御説明申し上げますが、信託統治と委任統治の差というものは、ほとんどないとお考えださればいいと思います。たとえば横田先生の著書を拜借して恐縮ですが、信託統治の説明の冒頭に、これは国際連盟における委任統治に非常に似たもので、委任統治制度を少し修正して信託統治制とした程度のものであるということでありまして、今、次官から申し上げましたように、従来はA、B、C式と言われる委任統治地域となされる地域の民度の程度に従つて、A式、B式、C式として、委任統治を行う施政権者の権限に階段を設けたのですが、今度はそういうことがない。それからまた今度の制度は戰略地区制度というものを設けました。そういう制度は委任統治制にはなかつた。むしろ委任統治制においてA式は別といたしまして、B式、C式においてはこれを禁じられている。利用するということは嚴禁されていたわけです。今度の信託統治制度におきましては、そういうふうに軍事的に使用することを嚴禁するというような原則はとられないのでありまして、むしろ施政権者は国際の平和と安全の維持のために信託統治地域を利用する、提供するという義務があるというところに主点が置かれております。 また先刻次官が述べましたように、この前の委任統治制度におきましては、委任統治制度になす地域は、大体戰敗国から切離された植民地的地域、但し例外として中央アジヤにおきますトルコの地域だけはそれに入つておりませんが、大体戰敗国に所属していた植民地を切離すという、こういう制度がなされたのでありますが、今度の信託統治制度におきましては、委任統治地域とそれから新たに戰敗国から切離される地域と、第三に国際連合加盟国が自発的に提供する自己の植民地、これにつきましても信託統治制度を認むるということになつております。 それからもう一つの違つた点は、委任統治制度につきましてはその監督は主として国際連盟の理事会のもとにある委任統治委員会というものが当つたわけでありますが、今回の信託統治制度におきましては、一般信託統治地域につきましては、国際連合の総会とその総会のもとに立つております信託統治理事会、この二つが監督に当り、戰略的地域につきましては安全保障理事会が監督に当つて、総会はこれに関與しない、こういう点が大きく違つているわけであります。一体に今度の制度は信託統治制度というものを、国際の平和と安全の維持のために活用しようという面が強く出ておるという点が先ほど申し上げた通りであります。
○西村(榮)委員 関連してちよつと……。先ほど来領土の問題その他について並木委員から講和條約の問題について触れておられるのでありますが、私は講和会議に対して出席ができるかできないかということは、なおこれは未解決の問題だと考えているのであります。少くとも出席するという、できるという規定もなければ、できないという規定もない。結局日本の代表が講和会議に対して出席できるかできないかということは、関係諸国の正義と平和を守る熱意のいかんにかかつておることだと解釈せざるを得ません。ということは、当然それは講和條約の内容に関連するのであつて、日本国民が平和的に生存せんとする熱意を下自然にゆがめて講和條約が決定されるとするならば、この不自然さはいつか歴史の上に災いするということを考えてみますならば、ここに講和條約というものは最も合理的にしかも正義の観念にのつとつて解決すべきものである、そういうことを考えてみますならば、われわれの講和條約の基準というものは、先ほど次官から、一体雲をつかむようでどうなるかわからぬというような結論の御説明があつたようでありますけれども、私ははつきりこれは結論がつくと思う。領土の問題については一九四二年連合国共同宣言あるいはポツダム宣言、カイロ宣言に基準されて、日本の平和的生活のあり方というものが決定されるのが講和條約の大まかな筋ではないか、こういうふうなことを考えてみますると、今並木君が御質問になりました沖縄、小笠原諸島の問題でも、これは連合国共同宣言に従いますならば、この住民の同意、意思を主として帰属が決定される。しかも貧慾と暴力をもつて奪取せざる領土は、大体において日本の領土と認められるといたしますならば、私は次の講和会議において領土の問題としては、沖縄、千島、南樺太、小笠原諸島、こういうような諸島について、日本民族と血のつながりを持つ歴史的な日本の領土は、食慾と暴力をもつて奪取したものではないのでありますから、これは日本の領土権を確認してもらいたいということを当然要求できるのではないか、この点について太田次官の御見解は一体どうであるか。 それから第二点においては、次の講和会議において日本の自主権を認められるということは、これは明らかであります。あくまで内政不干渉の原則に基く国内の自主権の回復、これが第二点。 それから国民生活の水準の問題でありますが、この国民生活の水準を維持するために、現在いろいろ制約を受けておる経済上の諸制限の撤廃。それから過剰人口——もちろん人口の不自然な膨張はわれわれにおいて節約いたしますが、現実において過剰しておる人口の移民の問題は一体どう解決せられるかということが第三。 第四点には、先ほど問題になつておつたのでありますが、これは講和会議において国連加入の問題が決定されるのであります。 第五点においては、現在の日本の国民生活を制限しておる経済の問題でありますが、これは造船あるいは重化学工業の制限の撤廃、あるいは遠洋漁区の公海における制限の撤廃、あるいは国内における民間航空機関の許可、私は日本の民間航空が、外国に進出するということは今日のあれから言つては遠慮すべきでありますが、少くとも日本領土内における民間航空の営業は当然許可されるべきものである、こういうような点が第五点。 第六点においては、講和條約においてわれわれは解決しておかなければならぬことは、軍事基地の問題であります。軍事基地と安全保障の問題は関連しておりますが、特定国に軍事基地の提供をわれわれが拒否しなければならないという点は三点あります。それは軍事基地に対して当然一定地域の行政権が伴う。軍事基地に対して当然一定地域の行政権が伴うということでありますならば、これは一定地域の植民地化が生起する。同時に特定国家に軍事基地を提供するということは、将来特定国家の紛争の中に介入せしめられる危険がある。従つて、特定国家に対する軍事基地の提供には反対する。しかし国際連合軍が直接日本の防衛のために必要とするところの軍事基地の使用というものにつきましては、これはその都度考慮し、かつまた感謝をもつてその交渉に応ずべきものだと思うのでありますが、特に軍事基地を特定国家に提供する問題は、これは講和会議において明確にしておかなければならぬ。 以上私は太田次官にお伺いしたいと思う点は六点でございまして、その基本的な性格は、連合国共同宣言、カイロ宣言、ポヅダム宣言に準拠して、日本民族の平和的生存権というものは、正義の観念にのつとつて大体條約というものが草案されるべきであろうという点をます考えて、以上六点——内政不干渉の原則に基く国家の完全なる自主権の回復等、私どもは次の講和会議に対して日本国民の要望として関係国に要請すべきである、こう考えておるのでありますが、これら六項目のわれわれが希望する條件を、一体政府当局、太田政務次官は——あなたはよく外交白書や何か政治論をお書きになるので私はよく政務次官と間違えますが、外交白書の見解については私は根本的に違うから、いずれあらためてあなたと見解を鬪わしたいと思います。今関連して事務次官にお伺いしたいのですが、これは当然外務大臣にお伺いすべきでありますが、以上の六点の日本国民の一部の要望というものが、あなた方の考え方でむりであるかどうか、同時にそれはいかなる方法においてこれが貫徹をはかるべきかどうかというふうな点について御見解を承りたいと思います。
○太田説明員 ただいま西村さんが日本国民の一部の見解として述べられたことは、まことに論旨明確でありますが、そういうことを関係各国の方に国民の希望として述べるということについては、おのおのそういうことを希望される人の御意見によるべきものと存じますので、私としては何とも申し上げることができないのであります。なおそういうことがそれではその通り実現されるかどうかという問題になりますと、なおさら私としては何ともわからない、むずかしい問題になると思います。ただそういうようなことがむずかしいかどうか、あるいはむりであるかどうかというような点について私の意見をどうこうという仰せでありますが、この点はむりだろうとか、あるいはこの点はむりでないというようなことを言うことは、せつかくそういう希望を持つておられるのに対して実現に障害になると思いますので、差控えたいと考えます。
○北澤委員長代理 次の質疑者の順序は小川半次君になつておりますが、菊池義郎君から先ほどの質問の中で言い残した分がありまして、なお質問したいということでありますので、皆さんの御了解を得て発言を許したいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北澤委員長代理 菊池義郎君。
○菊池委員 先ほどの信託統治につきまして、具体的な問題についてお伺いしたいと思うのでありますが、いつも私は言つておりますが、小笠原の引揚げ六千人、これがもう帰れるような段階になりつつある、司令部からして要求されまして、向うへ帰つてからの生活をどういうふうにして維持するか、詳しいものを書いて、こんな厚いものを外務省へ出して翻訳して出すことになつているのです。そういう段階になつておりますが、あそこが信託統治になるというと、またこの問題がどう長引くかわからないというので、小笠原の連中は非常に心配しているのです。法の理論からいつて、信託統治するのなら、長らく日本の領土でありますから、もとの住民が引揚げるということにちつとも束縛があろうはずがないと思いますが、実際問題として何か支障を来すようなことが考えられるようなことがありましようかどうか、ちよつとお伺いしておきたいと思います。
○太田説明員 小笠原から来ておられる方々が小笠原に復帰したいという切なる御希望に対しては、ただいま菊池さんから申されました通り、われわれよく承知いたしておりますし、そういうことが実現できればいいというふうに考えておるのであります。やはりお話のありました通り、一番問題は帰つて行つた場合に、はたして十分自活ができるかどうかというところが、非常に問題になつておるのではないか、こういうふうに私は承知しております。
○菊池委員 それは心配のないように、向うに家もありますし、畑も何もあります。帰ればすぐかせぐようになります。小笠原は熱帯性だから、内地で一回しかとれないものも二回くらいとれます。それは生活できる自信を持つておりますので、それはみな書き出して出してあるわけであります。それさえできればよいというような次官のお話ですが、そうすれば帰ることに支障がないというふうに解してもよろしいのですか。
○太田説明員 そういう趣旨ではございません。まだ帰ることについては、努力はいたしておりますけれども、そういうことができるかどうかということについては、ここでお答えをするほどの自信がないのであります。
○菊池委員 それではその折衝は外務省におまかせすることにいたしまして、もう一つお伺いいたしたいことは、ジユネーブの世界連邦の団体から日本の同志に対して招請状が来ておる。欧州におきまして十七箇国の国会の中に世界連邦建設の委員会が設けられ、アメリカの四十八州のうちの二十六州もこの世界連邦建設の決議をしたわけでありまして、とうとうとして世界を風靡しておる運動でありますが、まだ国会法に基くパブリツクの委員会はできておりません。日本の委員会もプライベートの委員会で何ら公的なものではないのでありますが、外務省といたしましてはこういつたような運動を助成育成して行くというお考えはないかどうか。トルーマン大統領も、今日の国際連合を世界連邦まで発展させねばというふうな意味のことを——そう露骨ではありませんが、婉曲に言つておるような次第でありまして、世界の政治家はみなこれを支援しておるのでありますが、日本の外務省といたしましては、これを育成して行くかどうか、この運動に対して何らかの具体的の助力を與える考えはないかどうかお伺いしておきたいと思います。
○太田説明員 そういう会議があるために近くそれに大勢の日本側の関係者も出席したいというようなお話については承つたことがありますが、その会の性質その他については私はまだ十分に勉強しておりませんので、何とも申し上げかねます。ただ個人といたしましては、そういう運動は非常にけつこうなことと思いますが、外務省といたしましてそれに御質問のような助成をするとかなんとかいうようなことは、今のところ考えておらないのであります。
○並木委員 賠償についてちよつと伺いますが、実は小西次官にお尋ねしようと思つたのですが、この間石黒次長も一緒に出張されましたその結果、相当大きな問題があると思うのです。賠償の施設に対して、あるいは土地が抵当にならないとか、あるいは税金の問題、労働問題、そういうことについての結果をお聞きしようと思つておりました。もう一つは先ほどの朝鮮の特需に関連して、賠償施設を活用するいい機会ではないかと思う。そこで現存特需と関連して賠償施設がどういうふうに利用され、活用されておるか、その状況をお伺いします。特に軍工廠というものの行方については、私どもはまだはつきりした見通しを聞いておらなかつたのですけれども、そろそろ軍工廠というものは最終的にどうあるべきかという見通しが立つて来たのじやないかと思うのです。そういう点もお伺いしたいと思います。 それからアメリカ以外の国の賠償に関係ある諸国の意向というものはやはり今までとかわりないかどうか、今後やはり取立てについて何か希望などが出て来ておるかどうか。またこの間において日本の賠償施設から取立てられたようなものはないかどうか、あるいは特需の方へ向けられたような施設とか機会とか、そういうものはあつたかなかつたか。そういうような点について状況を御報告願います。 〔北澤委員長代理、退席、委員長着席〕
○石黒説明員 賠償問題についての御質問にお答えいたします。今並木委員から、順序は違うかもしれませんが、提起されました問題に一々御説明申し上げたいと思います。 土地を担保にすることができるかできないかという問題がございましたが、これは担保にすることができるのであります。おそらく並木委員のお考えになつておる問題も私らの承知しておる問題でありますが、片づいております。 特需につきましては、賠償関係だということで特別のことはございません。先ほど安本の方から御説明がありましたような一般の例にならいます。ただ賠償の方は、御承知のようにこれを操業いたします際に、司令部の許可を得なければなりませんので、われわれの承知しております限り、特需だからといつて特別に許可を得た例はほとんどございません。従来許可を得て操業しております工場が特需を引受けておるだけでございますから、特別に賠償関係として取立てて特需について申し上げることはございません。ただたとえば土地建物を利用したいということで、その賠償機械を動かしまして土地を明けて差上げた、あるいは若干の機械を緊急にいるというので占領軍に貸したというような二、三の例はございますが、われわれといたしましては正直なところ、それが特需であるのか、占領軍の用であるのか、実ははつきりいたしません次第であります。 労働の問題について、お話がございましたが、これは実は労働省の問題だと思います。私の方では特別に直接関係のないことだと思います。 それから問題の一つでありますが、いろいろの賠償施設でありますがために、司令部に申請をしてその許可を得なければならぬ事項がたくさんあります。それが日本全国に散布いたしております関係上、並びに経由いたしまする機関が府県初め出先機関、次いで中央官庁、さらにその上に司令部というような関係で時間がかかる。もつと早くできないかという不平、不満が実は相当大きなものがございました。もちろんこの問題は今日に始まつた問題でありません。われわれも随時勉強して、また司令部にも早くするようにお願いして、逐次改善しつつあります。但しこれでもう満足というところまで行つているとは申し上げかねますが、逐次改善されつつありますので、さよう御承知を願いたいと存じます。 軍工廠の問題はどうなるかというお話でありますが、これまた先ほど来お話の講和條約等に関係いたしておる問題でありまして、まずこれに関しましては昨年アメリカのマツコイ代表の声明を引用いたしますとかように言つております。アメリカ政府はかつて戰争目的に使用せられたすべての施設は、もし日本に残置されれば日本の平和経済に完全に転用し、かつ利用さるべきものとこう信ずる。またこのことが不可能な場合には、アメリカ政府はこれらの施設を解体してスクラツプにしてしまうべきであるということを言つております。もちろんこれはアメリカだけの意向であります。ほかの国の考えは承知しないのでありますが、われわれといたしましては、特別に軍事的目的あるいは軍事的性格を除きました残りは、日本の平和産業の一部として貢献したい、かように考えておる次第であります。 なお最後に米国以外の各国の最近の考えはどうかという御質問でありますが、さしあたつて従来とかわつた新しいことは何もございません。昨年の五月の撤去打切り声明の当時、あれが突然であつたために各国から相当意見が出ました。その際の反対意見の最も強いのはフイリピン、次いで中国というような国々が一番やかましかつたのでありまして、賠償打切りに強く反対いたしておりましたが、その後中国における政治的の変化があり、現在の国民政府としては重ねて賠償を要求するというようなことは最近は申しておりません。中共政府の方は賠償について意見を発表したことがございませんのでわかりません。大体におきまして最近の朝鮮事件以来あまり賠償問題などというものが論議の対象になつておりませんものですから、われわれとしては従来以上に緩和されたのではないかと希望的に観測いたしておりますが、この点一年以前の形勢とかわつてはおりません。 以上お答え申し上げます。
○北澤委員 先ほど太田次官から対日講和條約の内容として新聞に伝えられておるところを伺つたのでありますが、あの新聞に出ております講和條約の内容というものは、アメリカ側が持つております講和條約の内容を相当程度に反映しておるものかどうか、その点についてインサイドの方から何かの方法でインフオーメーシヨンがありましたら伺いたいと思います。
○島津説明員 ただいま御質問のようなインサイドの情報は何も持つておりません。
○北澤委員 新聞によりますと、アメリカ側としては講和條約の内容について一応意見の一致を見て、そうして関係国との間に話を進めておるということでありますが、新聞には、日本にもアメリカの方から——あまり高い地位の者ではないかもしれませんが、あるのを、それに提供しておるというふうなことが載つておるのでありますが、講和條約の内容について日本側の希望なり意見なりを聞くような人がアメリカ政府から来ているかどうか、それをお伺いいたしたいと思います。
○太田説明員 講和條約に関し、日本側の意見を聞くためにアメリカ側から人が来たかという御質問でありますが、私の承知する限り、そういう人は来ておりません。
○北澤委員 先ほども次官がお話になりましたが、そうしますと、外務省としての見通しでは、関係国との間の話が大体まとまらなければ、日本側の希望を聞くような段取りにならない、こういうふうにお考えでありますか。あるいは連合国の間の話と並行して日本側の希望なり意見なりを聞くようになるのか、それに対する見通しをお伺いいたします。
○太田説明員 その点についてはまだ全然見当がつきません。
○仲内委員 私も対日講和に関する太田次官からの先ほどの御説明に関連して、一点だけお伺いいたしたいと思います。各国の態度について新聞報道を中心にお話があつたのですが、英やソ連については別問題として、濠州ないしフイリピンについてもわれわれ新聞では一応承知しておるのでありますが、触れられなかつた中共とインドの態度であります。このうち中共につきましては、ソ連との特殊な関係からいつて多少想像もつくのでありますが、何か特に承れる点があればひとつ数えていただきたいと思います。ことに三十八度線突破の問題に関連し、あるいは朝鮮事変に関連し、中共の態度というものがずいぶん問題になつたのでありますが、今日までのところでは、予想以上に穏健といいますか、動きが露骨でないようであります。それで中共とアメリカとの関係、あるいは国連との関係というような点に触れていただきたいと思います。さらに一番微妙なのはインドの態度とネール首相の態度であると思うのであります。インドが最近米ソ間あるいは朝鮮問題等に関連して、相当クローズ・アツプされて来ているということは事実であるのでありまして、これに関連して雑誌などでは、インドがソ連に相当近づいている。その理由は、インドの必要とする小麦の供給を受けているが、アメリカからはあまり物的な援助がないというようなうがつた報道もあるようであります。要するに最近外交権を持つたインドというものが、極東の問題についてどういう態度をとるだろうか、また対日講和に対してどういう態度をとるであろうかということは、われわれに非常に大きな関心を持たせるものでありますので、インドとソ連ないしアメリカとの関係について、何か情報があれば承りたいと思います。
○太田説明員 インドとアメリカ及びソ連との関係について何か情報ということでありますが、新聞情報以外は何も持つておりません。ただ私が得ておりますところのごく一般的な感想を申し上げますと、これはもうすでに仲内さんも御存じのことでありますが、要するにインドの地理的位置並びにインド国内の事情というものが非常にわれわれと違うのでありますから、これらの関係でネール首相はできる限り中立の立場で世界の平和に貢献して行きたい。こういうふうな考えを持つておられるように見受けられます。また中共につきましては、これまたいろいろの機会に御説明、御報告申し上げたところでありますが、現在の中共は、先般の中央執行委員会の決議その他から見まして、よほどの圧迫あるいは誘いというものがない限り、国際的紛争に巻き込まれるということに対しては、愼重なる態度をとつておるものと考えております。なお台湾の国民政府におきましては、いち早く対日早期講和ということを決定しておりますし、また一方、もしほかの国ができない場合には、單独講和をやるという決意もしておるそうでありまして、最近の対日講和に関する外電などによりますと、再軍備その他の問題についても非常に寛大な考えを国民政府当局は持つておるようであります。
○守島委員長 それでは今日はこれで散会いたします。 午後三時四十七分散会