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7回国会参議院1949/12/16

労働委員会 第1号

発言数
85
登壇者
11
会派数
4
開催日
1949/12/16

会議録

山田節男日本社会党

○委員長(山田節男君) これより労働委員会を開会いたします。開会に先だちまして一応委員の皆様方にご了解を求めたいのですが、実は本日公共企業体労働関係法に基きまする仲裁委員会の制定について、本日仲裁委員長の末弘嚴太郎君を招待いたしまして喚問いたすことになつております。実は昨日労働委員会で正式にご承認を求める筈でありましたけれども、時日が非常に切迫いたしました関係上、委員会の正式承認なくして今日末弘承認を招いたわけでございまして、この件につきまして委員の各位の承認を求めたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田節男日本社会党

○委員長(山田節男君) 御異議ないと認めます。而して本日の労働委員会におきまして、先程申上げましたように末弘仲裁委員長から、国鉄の問題に対しまする制定についての説明がございまするが、尚これに続きまして、加賀山日本国有鉄道総裁並びに賀來仲裁委事務局長が見えておられますので、これにつきましていろいろ御質問等をお願いすることにいたします。尚本日は問題の性質に鑑みまして、労働委員以外の議員各位がお見えになつておりますし、衆議院からもいろいろ議員がお見えになつておりますので、この説明の聽取並びに政府側の説明に基ずきまして、これら委員以外の議員並びに衆議院議員の質問を、議事の進行上障害のない限り、発言を許すことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田節男日本社会党

○委員長(山田節男君) 尚先程衆議院議員の発言ということを申上げましたけれどもこれは議院規則によつて許可できないことになつておりますので、さよう御了承願いまして、衆議院議員は参議院議員並びに参議院の労働委員を通じて御発言を願うことにいたします。末弘仲裁委員長は三時までにお見えになることになつておりますが、幸い今日国鉄労働の幹部が見えておりますので、殊に国鉄労働の副委員長菊川君がお見えになつておりますので、その時間が空いておりますので、一つ菊川国鉄労働副委員長からこの問題に関しての説明をお願いすることに御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原虎一日本社会党

○原虎一君 異議はありませんが、事務的手続は済んでおるのですか。

山田節男日本社会党

○委員長(山田節男君) これは今の、委員長のご承認があれば……懇談というお話がありましたけれども、懇談ではなくて、この問題の経過について説明を……

原虎一日本社会党

○原虎一君 私はやつて貰うことはいいのであつて、事務的手続が済んでおるかどうかということをお聽きしておるのです。いま末弘さんを証人として喚問するという承認が得られましたけれども、国鉄の方は得ていないのですね。それであれば、懇談会なら懇談会としてやられるということでないと、速記がついていますし……

山田節男日本社会党

○委員長(山田節男君) 今末弘先生が見えましたから、それは後程……  それでは只今より公共企業体労働関係法に基きます仲裁委員会の委員長末弘嚴太郎君の証言について発言を許します。それでは初めに宣誓書を……    〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 末弘嚴太郎   —————————————

末弘嚴太郎公共企業体仲裁委員会委員長

○証人(末弘嚴太郎君) それでは、いずれ御質問によりましていろいろ御疑念の点は後程お答えをいたしますことといたしまして、大体この仲裁裁定を出しますにつきまして、先ず第一には法律的の見解、これをお述べすることが一番いいのだろうと思つております。であとは裁定の具体的の内容と、且つそれの理由という点になりますと、必ずしもここで細かくお述べをすることは私一人では不適当で、三人揃つて説明しなければならない細かいことがいろいろあるだろうと思います。それから又いずれ御必要がありますれば、この裁定書の中のいろいろの計算については、もつと非常に細かい材料を印刷してその後拵えましたから、これを御覧下さると相当納得の行く点があると思いますが、それだけを申上げて置きます。  それで私共この事件を扱いまして、それからその後新聞紙等で政府がこれを受諾するとかしないとか、承認するとかしないとかいつておられるのを聞きまして、実は公共企業体関係法及び国有鉄道法の精神が十分に一般に御了解が行つていないのではないかという疑問も持ちましたので、私共この仲裁に臨みまするに当りまして、その点をどう考えたかと言うことを初めに一言申上げます。  私共といたしましては、この公共企業体関係法というものは、ご承知のように昨年の七月二十三日のマッカーサー元帥の書簡の精神に従つて、特に国鉄及び專売局の労働者については、これは公務員ではなくして、公共企業体という、一つのやはり公務員、行政機関ではない、民間の企業体、但しこれが政府の全額出資であるという、そういう関係上、又事柄が公益的であるという関係上、いろいろな制限がついているが、飽くまでも一つの企業体に過ぎないのだ、従つてこの企業体の従業員は公務員ではなくして、民間の労働者である、で法律につきましても、原則としては労働組合法及び労働基準法の適用を全部受けているわけなんであります。それで国有鉄道法を見ましても、予算の問題がありますが、この予算の提出方法なども、国の予算と共に提出しろというようなことが書いてありまして、実は公共企業体の公共性若しくは政府が全額出資をしているという関係から、国有鉄道の予算も国会の審議を受けるという建前になつておりますけれども、そもそも国の予算ではないのであります。それで私共そういう建前から考えておりますので、問題のこの関係法の十六條及び後の仲裁の拘束力に関するあの規定、この両者を通じまして結局仲裁によつて民法上の司法上の債務が発生するのである。そうして予算上及び資金上可能なる限りにおいては、公社は直ちに無条件に、司法上の債務がある、そうして予算上資金上可能なりや否やということは客観的には決まつているわけであります。つまりそれが幾らであるかは、いろいろ公社の経理を調査したりいろいろのことによつて分るわけであります。無論そういう調査については人によつ意見が違つて、いろいろ議論もありましようが、客観的には決まつておる事柄であります。つまり何億円は、これは特に国会の承認を経なくても、予算上資金上公社限りにおいて出せるべきものだということは決まつているわけであります。その限りにおいては国会の審議を経ずに公社としては直ちに債務があるわけで、私は現在すでに債務があるのだ、こう考えております。  そこで手続きとしてはどうするかといえば、それは公社が先ず責任者としてここまでは、予算上資金上自分限りでできるということを判断をしまして、そうして国有鉄道法にありますように、一つは運輸大臣に相談をする、それから進んでは大蔵大臣に相談をするという場面があります。それで細かに申しますと、恐らくあとは支出権、つまり公社としての予算に縛られた支出権の問題がありますので、予算を濫りに流用することはできませんから、金があつても支出権がなければ支出できないという面が拘束として出て参りますが、それを勘定に入れましても、まず第一に全然公社限りで支出権がある面というものが或る程度あるわけであります。その点は運輸大臣まで相談をして支出権のある面があり得ると思います。理論的に……それからあと大蔵大臣に行くわけです。実際上は恐らく大蔵大臣のところまで相談をして、大蔵大臣も国の予算がどうだとかこうだとかいうことは全然問題はないので、公社の経理上今回仲裁によつてこういう債務を負わされたについては、どの程度までは公社の予算上質金上拂わせるということが、法律上及び公社の現在の経理上、合理的であるかという事を判断をして、そうしてその限りは公社に、つまり国会に提出をせずに拂わせる、そうしてその残りの部分は国会に出して、そうして予算を立てて、これだけの公社が今回債務を負うたが、これから以上の金は予算上資金上できないと思うから改めて予算を国会に提出する。そうして最後の決定者は国会であるわけなんです。その前に大蔵大臣若しくは内閣が国の財政上どうこうというようなことで、客観的に予算上資金上ある金は抑えるべきものであるところのものを、そういう政治的の考慮から濫りに縮めたり何かすることはこれはやつてはいけないので、仮にそういうことをやりますとどういうことが起りますかというと、民法上の責務が発生する。そうして予算上資金上可能な限りは国会の審議を経ずに拂わなければならないのですから、これはそういう、例えば仮に三十億円抑える資力が、誰が見ても、つまり常識がある公平な第三者が公社の経理を調べると三十億円はこれは抑える、こういう場合に、政府がこれは五億円しか拂わしてはいけないと言つて、あとは承認しないというようなことをやれば、あとの二十五億円について労働組合は普通の民事の裁判所に訴えることができるような債務があるのじやないか、こういうふうに考えられる法律であるわけなんであります。つまり公共企業体というものは民間の一つの企業団体で、そうして労働組合との間の労働関係は、公務員の場合のように、いわゆる公務員の関係ではないのですから、そこで仲裁という、ああいう制度もあつて、そういう仲裁で決まつた以上はこれで争議を解決してやつて行くということであります。従つて私共仲裁委員としては非常に責任を感じまして十分実はできるだけの力を注ぎまして、あれもどのくらいは拂うべきものであるかということ、及びほぼ私共としてはどの程度は一体拂えるのではないか、それから進みましても、或る程度以上は今の予算及び予算上資金上抑えない部分があるということも私共分ります。併し企業体という性質上合理的に考えて例えばこういうことも考えられます。今年の場合、十万人ものあの解雇者を出した、そういたしますとこの結果として、今後、つまり六月に首を切つたので七月以降は予算上、人件費について六分の一からゆとりができて来ておるわけです。そこで経理学的に考えますと、そのために出すべきところの解雇手当というものを今年度の経上費で全部落すのだというのは非常に不合理なことであります。ですから普通の民間の場合には、銀行が特に金を引締めておる今日においてさへ、首切りに対しては銀行が民間に金を貸して首を切つて、あと合理化させることをやつておるわけです。然るに政府は今回の場合は、国鉄の今年度の予算について約十八億程度の退職金しか見積つておらないのであります。そうして結局においては四十何億という金が出たわけです。約三十億のそこに欠損が出たこれを今までに実際上どうして拂つたかというと、結局国鉄の予算の方々から削つて拂つた、恐らくそれは国会には全然承認を得ないで予算の中から、方々から削つて出しているのだろう、これには運輸大臣が承認を与えるとか、大蔵大臣が承認を与えるようなことをしてやつておられるのだと思います。この三十億というようなものが、今年度について予算にはないのです。それを外かから削つて出したのは、結局ないことだ、これを経理学的に合理的に言えば、この六分の一の人の首を切つたということによつて経理を合理化するために要した費用というものは、やはり今年度だけで賄おうとしないで、来年度、できれば再来年度ぐらいまで延ばして、毎月々々幾らかずつ返すような仕組みにやるということは、これは凡そ商売をなすつた人ならば当然のことなのです。それで私共は結局、仮にここで三十億足りないといたしましても、一月以降については運賃の値上げが出ますと、そうすると仮に一年で返すとすれば一月から十五ケ月、予算にすると二億ずつ返す、或いはそこでこれを一般会計から融通するというようなことを考えないで、尤も私は現在の政府の一般会計の残余額がどのくらいあるだろうかというようなことは、これは実は推算できるので、或る程度私共委員会では調べて見ました。それから特に預金部の金を借りるということは困難だろうかということも、預金部の金のことも相当調べました。そういうことをしますと、今の国有鉄道法が、一体国有鉄道を公共企業体にしながら一文も金を借りることができないという法律を作つたことがそもそも実に無理な話で、金の借りられない企業体というものぐらい始末の惡いものは実はないと思うのであります。そこでどうしてもこの貸すということには法律を作るなり、或いは予算を建てるなり何とかして貸してやればいいのであります。一般会計から出さないで今の預金部からか、何かから三十億、あの大きな企業体に僅か三十億なんです。これを貸してやりますと、今年の退職手当のために欠損ができたところのあの金は、もう経営として極めて合理的に返つて行く金に過ぎないのであります。そういうことが大体私共見透しにありますので、支出面について結局予算及び会計法に縛られるから、支出権というものを得るためにどうしても国会の議を経なければ、そして新しい予算を組んで頂かなければならい部分は無論ならないし、そこまで行かないでできる分は政府の部内限りでやるということで解決を付けて頂けるものと実は信じて、ああいうものを出したのであります。従つて初めから政府が承認するとか、しないとかいうことが、私共には実に無意味千万のことで、承認するもしないもないので、つまり公社が予算上、資金上できない部分は政府が、自分の方では反対なら反対と言われてもよろしいが、予算だけは国会に出して、国会がその予算を認めるか認めないかということで決まるということが、あの法律の建前で、それで仮に国会がその分を否決すれば、恐らくこの点は法律解釈上議論があると思いますが、あの裁定の結果出た公社の債務が、その部分については履行しないでもいいという抗弁権でも恐らく法律上発生するというような関係になるのではないかとこう考えております。要するに国の予算若しくは財政法等の問題からは問題はないので、あとは予算……私共のこれはやはり考えたことでありますが、これが果して政府のいわゆる賃金政策一般にどういう影響があるだろうかという問題で、法律問題ではこれはないわけであります。つまり丁度政府が今一般公務員の給与を引上げることはインフレを助長するからいけないということを言つておられる。その問題とからんだ問題であるので、法律問題では全然ないので、いわゆる……だから政府の財政問題ではないのであります。  そこで裁定の実体に入りますが、私共は組合の要求もありますから、当然賃金の水準引上げということをなすべきかどうかということを検討いたしまして、これにつきましては労働関係法の中にありますように、一般民間の給与との比較もしなければならないし、或いは一般公務員との比較もしなければならない。この公務員との比較をしなければならないという点は、公務員だからというのではなくして、やはり国が金額出資をしておる企業体であり、そうして予算が国会にやはり掛かるというようなこと、それからついこの間までは公務員であつたというような関係上、過渡的には公務員とやはり比較を取るということは極く合理的なことで、そういうことが規定されておるものだと思いますが、そこで私共調べましたのは、前の調停委員会の場合には專ら、民間の私鉄の賃金水準及びいわゆるCPS若しくはCPIを調べられておるのでありますが、私共はそういうことをいたしました外に、実は国鉄の労働者の職種を分けて見まして、そうして国鉄の駅長さん、同じぐらいの規模の駅の駅長さんが私鉄の駅長さんではどのくらい給与を貰つておるか、或いは運転手はどうであるか、これが実はあの労働関係法の要求していることなんで、アメリカにおいては、いわゆる職階制と称するのは、お上に働こうが民間に働こうが、同じような職種のものには同じような賃金をやるというのが、司令部の賃金に関する根本の原則であるわけであります。ですから、私鉄がどのくらい賃金を拂つているかというようなことと比較するのは正確でないのであります。何故かと申しますと、私鉄の如何に大きなものと雖も国鉄とは殆んど比較にならないような小さな企業体で、それで大きい企業体と小さい企業体では経費金の上に、いろいろな違いが出て来ます体から、私鉄が幾ら拂つているから国鉄は幾ら拂えということも、考えていいことですが、それだけでは決まらないので、むしろ職種別に相当の検討をいたしました。ただこれは時間がありませんでしたから、完全なことはできませんでしたが、これはよろしく今後国有鉄道におかれてはそういう研究を十分にやられる必要があるんだということを、今回痛感いたしました。それであらゆる面から調べてみますと、組合が要求している程度に賃上げすべきものかどうかという具体的の数字については、多少の疑問がありますけれども、この裁定書に書いてありますように、少くともこの程度の上げ方をする必要があるんじやないかということの一応結論を出しました。併し同時に、政府があれほど熱心にインフレを止めるために、いわゆるドツジ氏の勧告に基いて賃金をなるたけ上がらないように止めておる政策を採つておられ、そうしてやがて税制改革その他によつてこの点は何とかなるということを大いに言つておられます以上、私共としてこの際その賃金を上げるということをただすらりとやつて行くということは、如何にも一つ国のやはり機関としてこの仲裁委員会として採るべき態度ではあるまい。    〔委員長退席、理事平野善治郎君委員長席に着く〕

末弘嚴太郎公共企業体仲裁委員会委員長

○証人(末弘嚴太郎君) そういうことをしても実現性がない。それでそういうことをした結果、いつかは出る……今度の人事院の勧告のように、いつでもいいから幾らに上げろというのは、これは公務員及び労働者は困るので、いつになるか分らない。それまでに干乾しになつてしまいますので、苟くも出します以上は、いつまでに実現するということが問題だと考えなければならない。それで私共といたしましては、賃金水準を上げるということはこの際止めよう。併し、そこでどういうことを考えたかと申しますと、一体国鉄の現在の賃金というものを分析をしてみたのであります。過去に遡りまして……そういたしますと、発見されることは、これは電産の場合と非常に一つは似ておりますが、電産の賃金というのは、世間では電産は高い高いと言つておりますけれども、電産の賃金は現在はお気の毒なほど低いのであります。それは何故か言うと、電気料金は不当に安いからで、つまり産業全体のために仕方なしに電気料金を安くしているわけであります。御承知のように今度のように高くしますと直ぐ、各種の産業が影響を受けるのですが、つまり全体の産業のために統制経済上電気料金が抑さえられているから、それでああいうことが起つて困つておるのであります。国鉄の場合も、国鉄の運賃というものが、政府の経済政策の結果として不当に安くなつておる。ここにそもそも経済上の困難というものが発しておるのであります。従つてこれを国有鉄道即ち公共企業体に切り換える際には、実は独立採算制というならば本当に独立採算でやつて行けるようなだけの万事の條件を一体拵えて渡してやらなければいけなかつたと思うのです。然るに実際はむしろその逆でありまして、運賃は運賃のまま据え置き、殊に貨物運賃の方を据え置いて、そうして六月からでありますか、確か六月から、人間を運ぶ方の運賃だけ上げたのでありますが、あれでは必要な收益は挙がらないことは始めから分り切つておつたことで、これは誰でも言つておつたことなのであります。そうして非常に切り詰めた予算、これは若しも十分にお調べ願えれば、今年度の予算について、似たような仕事としては、逓信省の予算と国鉄の予算を較べて御覧になりますと、すぐ分ります。予算のことを少し御研究になつた方ならばすぐ分ると思いますが、非常な無理な予算が組んでございます。その結果結局公社は直接間接の人件費を削つたのであります。つまり労働者の利益に関する面を削りまして、そうしていろいろなことで労働者は損をした。これは結局生計費に響いておることをやつておるわけです。そうして公社の方はそれだけ金が余る結果を出して、これを一般の経費に当てているのであります。そこで私共はこれを仔細に計算し、而も私共勝手にいたしませんで、公社からあらゆる材料を出してもらいまして綿密な計算をいたしました。これは仲裁裁定に書いてありますのとは別に、やはりガリ版刷にした細かいものがございます。こういう事柄については一人当り何円だけ労働者が損をしているとか或いは公社の経費がそれで浮いているとか、細かい計算をした。そうして結局それを合計すると一人当りにして千円程のものが出て参ります。これは無論実際のことを計算するのですから、計算の仕方によつて、千円をめぐつて金額が不正確だというような議論は幾らでも、多少の伸び縮みは無論いたしますが、我々の推算上少くとも千円というものが出るということを見たわけであります。つきましては、公社は六月から出発しておりますが、七月に解雇を実行しておりますので、そこでこの年末までのところを六ケ月間採りまして、そうしてこの六ケ月間はその千円というものを従業員にまとめてお渡しをして頂きたい、こういうことを申したわけです。それから来年の一月以降は、何か今言つたような点が改正されるまでは千円づつ毎月一つお拂い願いたい、これは決していわゆる賃金水準を上げるものではなくして、公社に移行するために及び政府の経済政策の面から無理なことを独立採算制である公共企業体に強いている、その結果が結局労働者の犠牲において実行されておる、これは何と申しても不公正であるから、これを直して頂きたいということを私共の仲裁においては申しておるのが主なる部分でございます。それで実は一番問題にしましたのは、公社は何億までは予算上、資金上抑えるということを仲裁裁定に書こうか、書けば一番問題はなかつたのであります。無論それはそれが客観的の実情とは違うと言えば訴訟になる余地のある事柄なんですが、書くと或るまとまりがつくきつかけにはなる。併し何分にもあの大きな経営の中からいくらは出せるということはなかなかこれは申せるものではない。それで総額を出しまして、後は公社、運輸大臣及び大蔵大臣の公正な判断というものにお委せをする。それで公正な判断をして、誰が見てもなるほどこれなら尤もだということになれば組合も納得をして争議は片付くであろうということを私共も考えたわけです。それでああいう裁定をしたのであります。  それからおそらく後で御質問あると思いますので、あの第三項に、今回組合は年末一時資金の請求をしておる、これは認めないが、年度末に予算に余剩を生じた場合に賞与金を出すようにしたらどうだということを申しております。これはちよつと仲裁の本体から外ずれておるようでありますが、とにかくあの年末一時金というようなものは今の財政法或いは給与法には根拠のないもので、そういうものを組合は要求しておるので、それはもう理窟を言えば、頭から問題にならないと言つてしまつていい事柄なんであります。併し実は私共凡そ公共企業体のような半ば半官的な、或いは国営の事業、従つて予算を初めから与えられて経営をする、外国のいろいろな企業においては賃銀というものについてどういう形を採つているだろうかということを少しく比較して研究をしてみました。そうしますと、一定の予算を与えて仕事をやらせますと、従業員が皆で一生懸命に働いて節約をし、或いは收入を余計得たという場合には、それを年度末に若しくは国によつては三月毎くらいに過去の三月の計算の結果から出て来る金をボーナスとして皆に与えてやるというようなことで、皆が働き甲斐のあるような仕組のことをやつておるのであります。それでこの問題は、ですから今後国鉄の賃銀の水準をいくらにするかという問題と非常な関係があるので、例えばもう賞与金というような制度は作らないで、その代りべースをずつと上げてやつてしまうというのも一つの方法であるし、ベースは或る所で止めておいて、今言つたような賞与金のような制度をやつて行くというのも一つの考だと思いますが、ああいう公共企業体のような、予算を与えられてやるものであり且つ收益が世の中の景気不景気、荷動きというような偶然の事情で決まるような産業においては、そういうように仕事をした後でこのくらいの剩余が出た、これは皆で勉強したのだからと言つて皆にやるというような形態がいいのじやないか、それだから外国にもそういうことが行われておるのじやないかというので、丁度年末一時金をよこせという要求がありますので、それではこれは認められないが、将来としてはそういう制度を作られたらどうか、但しこれは無論、そういうことを認めるためには法律若しくは予算を作らなければできないことだと思います。そういうことを申したわけでありまして、そういう措置がやはり裁定の一部分でありますから公社によつて採られ、そうして政府によつて国会の承認を得て頂く、そういう筋道になつて行く事柄である。こういうふうに考えております。  初めのお話としては大体こんなところで宜しいのではないかと思いますが、あと御質問に応じまして何でもお答えいたします。但し私のところは三人がかりでやりましたので、今日は三分の一しか能力がありませんから、若し必要あらばあとは後詰を幾らでも出しますからどうぞ宜しくお願いいたします。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 末弘先生にお尋ねするのは国会として迂遠のように思うのでありますが、公労法の三十五條と十六條を合わして見た場合に、これは常識的な考えですが、協定の場合と裁定の場合と違うのじやないですか。十六條の第一項、第二項は協定の場合のことを主に規定してあるので、直ちに三十五條の場合、この予算外支出に関するものは十六條に倣うということになつておりまするが、今度政府の採つておるように、裁定書そのままを国会の承認か不承認かというように提出されていることは、我々は取扱上非常に困つているが、協定の場合であつたならば、予算外支出をしなければならんような協定は、その協定を結ぶことそのものも一応国会の承認を得なければならんように解釈するのですが、裁定になつた場合に、裁定を国会の承認、不承認を求めて来られても、裁定は最終決定であるから、国会としては何ら審議する必要がないと考えておりますが、この点に対する先生のお考えを……  それから極めて重要な問題になるのでありますが、裁定の一部が履行されて一部が不履行に終つた場合のことを考えまして、この裁定の効力とその期間ということは、仲裁委の方でどういうふうにお考えになつておるか、この二点だけ…

末弘嚴太郎公共企業体仲裁委員会委員長

○証人(末弘嚴太郎君) 最初の問題は、仲裁というものは法律的性質に関係があると思いますが、公労法では仲裁の性質を判断する材料はございません。併し労働関係の仲裁についてはやはり労調法が一般法だと思います。そこで労調法の場合には強制仲裁はありませんので、当事者双方から申請した場合、及び労働協約によつて問題は仲裁にかかるということを決めた場合には、その協約の中で一方から仲裁の申請があつて仲裁をする、この二つが労調法の規定であります。そうしてその結果これは初めから両方が従うということを要するに承諾しておるわけですから、そこで労調法では、仲裁が出た場合にはこれは労働協約と同一の効力を有するというので、今言う協定と同じ意味でありまして、そこで公共企業体労働関係法においては強制仲裁を認めたわけで、当事者一方だけの申請で仲裁ができるというわけであります。そこで法律解釈としては、それは公共企業体という公共性に鑑みて、而も本来ならば、民間の鉄道と同じように争議権があるべきものです。併しこれは争議権を失う代りに仲裁で片付けようということになつて、そういう性質からいわゆる仲裁制が出た。で、仲裁そのものの本質までは関係がない。ですからやはり仲裁裁定は労働関係調整法におけると同じように、労働協約と同一の効力を有するという、あの一般法の適用があるのだという見解であります。及び今度の国鉄の場合には、公社と組合の間に若しも調停で事が片付かない場合には仲裁で片付けるという労働協約を今年の十月にやつている。そうして今度の申請はその労働協約によつて申請している。ですから、言わば丁度労調法の労働協約に基いて申請している場合に似ている。ですから、言わば拘束力の法律的根拠は二つあると言つていいのであります。そこで三十三條のあの協定というものと、つまり仲裁というものは、実質的には同じものであります。つまり仲裁裁定のあつた結果協定がなされたと同じ法律上の効力が出る。それでちよつと先程申しました司法上の民法上の債務が発生しておる。こういうことが大筋であります。  それから第二の一部不履行になるという場合には、国会が承認を与えなければ、それは法律によつては債務が消滅するという人もありますし、或いは承認されないから拂わないという拘束権が出るのだという人もおりますが、これは同じだと思いますので、それは拂わないでもいい。当時再三申上げましたように、現在の公社の経理、つまり仲裁が出ましたその日の経理状態、これを合理的なる経理的見地から見て、一体この程度のものは拂わるべきものだということ、これはむずかしい事実ですが、できないことはありません。訴訟にでもなれば裁判所は証人を喚んだり関係人を喚んだりしてやることはできましよう。それで、その範囲内でできる、これを拂わなければ民法上の債務不履行になる、こういうふうに思つております。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 くどいようですけれども、現実の問題でお尋ねするのはよくないのですけれども、私の方が頭が單純ですから、現実の問題でお尋ねするのですが、今政府は裁定に対して極めて、経費のやり繰りでもつて或る金額を支拂うように努力しておる。つまり公社がそれを支拂つてこの裁定の一部を履行するという見通しはつくわけなんです。ところがその拂えない部分に対して政府は国会の拂えないという承認を求めて来るわけなんです。その拂えないという承認が衆参両院を通過した場合には、私の解釈によりますと、労働組合の方は裁定がそこで終りを告げて、後に債権が残らないようにも考えられる。まあ先生のお話によつて、裁定当日の経理の面から訴訟の余地は残るということにはなるのですが、国会がこれを簡單に承認した場合は、一応今の政府の解釈に……今運営委員会で官房長官にやつて来たのですが、政府はそれで消滅するという解釈を採つている、私達は仲裁委の裁定が最終決定であつて、両者を拘束するものであるが、ただそれが十六條の各項に該当するように、予算外支出に関する場合、資金のない場合は国会の承認を得れば義務を免除されるようにも解釈されるが、そうばかりとも思われないのですけれども、今の政府の説明ではそうなつて来る。そうすると私達議員としては、大体公労法によつて両者の紛争は法律の定める仲裁委員会で決定したものを最終決定として、この裁定される内容については検討しないのが、国会の建前ではないかと思つておつたのですけれども、政府の解釈のように、一部履行して後の不履行の分に対して国会の承認を求めて来る。国会が簡單にこれを承認した場合には労働組合は、この嚴正なる裁定による権利が喪失するというようなことになれば、我々はこの内容を国会で審議する必要ができて来るのではないか、これは公労法の精神からいいますと、大体仲裁裁定というものは最終決定であるから……殊に今度の御勧告の理由の後段におきましても、裁定の理由の第八項でも「国鉄法第三十八條以下の規定により速かに予算を作成し、所定の手続をとられたい。」とある。ところが今日の官房長官の説明を聴くと、補正予算を組む意思はない。意思はあつても組まれないのかも知れないが、答弁からいうと補正予算を組む意思がないというようなことを言われておる。勢いこの委員会は関係委員会と合同で、この仲裁の内容について、先程お話しの十二月二日現在における国鉄の経理内容まで入らなければ、良心的のこの政府の提案されたものに対して審議が進められない。これを簡單に三日や四日で承認だ、不承認だというわけには行かないという場合ができて来る。非常に厄介なことになるんですが、政府が補正予算を組んで、全部一〇〇%履行さえして呉れれば問題はないのですが、一部履行して、後一部は、或いは衆議院における多数を恃んで、履行できないということに対して承認を求めて来る慮れが十分ある。それで今私は委員会でも言つたんですが、若しそういうことをやれば、我々は参議院として、この公労法を嚴重に守り、この仲裁裁定を権威あるものとする上において、相当愼重なる審議をするということは、政府も覚悟して置いて呉れということは言うて来たんですが、非常に取留のないようなことになりましたが、実際問題の質問です。先生の御意向をお尋ねしたい。

末弘嚴太郎公共企業体仲裁委員会委員長

○証人(末弘嚴太郎君) お答えいたします。法律解釈というものは幾らでも、いろいろな解釈ができますもので、私がこう解釈すると申上げて見たところでどうにもならないもので、水掛論になります。それよりも問題は、これだけはつきりしているんで、国鉄公社が、予算上、資金上誰が見ても、公平な第三者が見れば拂えると思う或る金額があると考えられますね。それを故なく、えらく削つたようなものを出して、後は拂えないといつたような調子のことを言われれば、これでは法律は片付きません。当然そこまでは、国会が承認しようがしまいが法律の解釈上債務がある。ですから国会は政府が今のような態度で臨まれるとしたらば、そこまではやはり公社としては抑えるべきものということについて……これはそうして、政府が立証の義務があると思います。つまり裁定で以てこれだけ拂えと言われている。それでそこまでしか予算上、資金上できませんということの説明は、国会が進んでお調べにならないでも、向うが御納得が行くまでに説明をしなければ私はいけないと思います。つまり予算を提出するしないは、これは支出権の問題なのです。全くの予算法上の問題でありますから支出権の問題だけれども、政府としては飽くまでもこの際公社の予算上、資金上拂える金はこれだけですということの立証、証拠を出して御説明する義務というものはどうしてもあると思います。そうして、それに対しての国会としての御意見は当然あるべきだと思う。それで国会がそれを認めるとおつしやれば、今度ということなんで、それ以上債務はなくなるのではないわけで、そこまでは国会の権限かも知れないという点なんです。予算上資金上抑えるという点、それ以上の部分は仲裁の裁定が出ているのであります。これは国会の承認をどうしても得なければいけない。でその承認を得るのを、予算の形をとるかどうかということの法律問題が残つているだけだと思う。私共はやはり予算の形をとるべきだと思う。それでなければ決めてみたところで支出権が出て参りませんのでどうにもならない。それで予算の形をとるのが、こういう公社が今度はこういう裁定を受けたについては、これを実施するとすればこういう予算を組まざるを得ないが、政府としてはそれは反対だ、組めればこういうものを組むのだ。それは困るということを言えば言うのですが、今は予算を組むより前の部分のことを、これを政府の力で何か縮めることができると思つておられる点に、どうも変な間違いがあるという感じが私にはします。尤も直接政府から伺わないので……新聞でありますから甚だあれですが、政府から何か説明しろと言われればそういうことを申上げて置きます。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 それでもう一つ先生にお伺いしたいのですが、裁定書にもあるように、政府は補正予算を組んで早くこれを支拂えというふうに裁定されているのであります。それから法の三十五條の場合にも、これが十六條の資金の追加支出に対する国会の承認要求の件ですから、私はこの十六條の「公共企業体の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。」というこの「政府を拘束するものではない」というのは、今の政府が金科玉条として、これはもう拘束を受けないとして頑張つているのですが、私はこれは拘束するものではないと読みぱなしではなくして、この裏から行きますならば、この裁定に基いて、政府は予算上の資金上の処置をとらなければならないというふうに考えるべきだと思うのですが、これは法律解釈ですから、政府は政府の解釈で来ているが、今もお話がありましたように、新聞だけではなしに、議運等の委員会では既定経費のやりくりでできるだけやつて、補正予算は今日のところ組む意思はないということをはつきり言つている。これは国会としても相当審議が長引くようになると思うのですが、この裁定書の内容に亘つて、いろいろの資料を、政府の方からこう出て来ると思う今の予想から行きますと、既定経費のやりくりではこれだけ拂える。補正予算は組む意思はないから、もうこれ以上のことは履行できない、それを承認して呉れと持つて来ると思う。大体今提案されているものなんかは、どこをどうとつていいか訳の分らんものを出されている、そういうところから考えると、恐らく拂わないでいいということの承認を求めて来ると思う。これは非常に困ると思うのですが、その場合、不幸にして国会がそれを両院通過した場合の労働組合の方はどうなるのか、念のためお伺いしたいのですが。

末弘嚴太郎公共企業体仲裁委員会委員長

○証人(末弘嚴太郎君) 余りそういう最惡な場合まで想像して私から法律意見を述べるのは、非常にいけないのじやないかと思うから、お答えはいたしませんが、先程最初に申しましたように、予算上及び資金上という、一体あの文字は非常に問題なんであります。つまり公社限りでやれる分は、これはもう問題ない。又運輸大臣限りでやれる場合はこれはどうだ、つまり予算のやり繰りについて承認を与える、ここまでは大体よいと思うのですが、非常に私はこの際皆さんに申上げたいと思うのは、不都合なことはまだ仲裁には出ておりませんが、専売局の場合のごときは、大蔵大臣というものと、いわゆる大蔵大臣と、それから専売公社の監督官庁である大蔵大臣というものを混同して、そうして公社の当局においては、調停を受諾してもよいといつておるものを、監督官庁としての大蔵大臣がやつてはいけないということで抑えておる。これは明らかに財政大臣としての大蔵大臣と、監督官庁としての大蔵大臣の権限を完全に混同しておると思うのです。それでこの鉄道公社の場合についても同じことです、つまりこの公社としてはあの裁定を受けた以上は、ここまでは自分が拂います。これが一つであります。それからここまでは予算では拂えますが、予算の組替をしなければならないから、そこで組替を許して下さいと言つたら、私はこれは公社を今度は予算的に見るのではなくてむしろ公社という経営体として例えば修繕費をこんなに削つて人件費を拂うことは、国鉄が労働者に金を拂つたが、鉄道が止つてしまつたら大変だというような、そういう技術的な面から見るべき問題、然るにそうではなくして、今金を幾ら出すとインフレがどうだとか、それから官吏の給与をこうするのだから、それとの釣合を取らないと体裁が惡いとか、そんなことを一体大蔵大臣は考えてはいけないので、その大蔵大臣は今の公社の予算では、ある金を組替をする。それについては公社という企業の性質上、そういう組替をすることが合理的か、不合理かということを考えなければならん。ちよつとこれは速記を……

平野善治郎民主党

○理事(平野善治郎君) 速記を止めて。    〔速記中止〕

平野善治郎民主党

○理事(平野善治郎君) 速記を始めて。

内村清次日本社会党

○委員外議員(内村清次君) 私末弘委員長に二点聞きたいと思うのです。その前に今回の問題につきまして、一ケ月に亘つて詳細に専門的な立場から仲裁されましたことにつきまして、国民の一人として感謝いたします。  先程の公労法の三十五條によつて、第一項で、公社に対して債務償還の義務の点につきましては、門屋君から聞かれましたので、その点は抜きまして、今回の裁定の第一項に三十億本年末までに支拂えということになつておりまするが、これは裁定書の中を見て見ましても、公社の経理の犠牲になつている。それから物価の高騰のために、従業員一人当りが約千円くらいの損失をしておるのだというようなことになつて、月別には大体七月から十二月まで、この六ケ月間の間が三十億になつていると私は考えておりまするが、そういたしますると、これを分割していわゆる公社の経理能力のある点、例えば十八億でこれを打切つてしまうというようなことは、裁定の本質に適つておらないと思うのですが、この点につきましての御意見を承わりたいのが一つであります。  それから第二点は、理由書の第八項に書いてありますように、「現有の経理能力で独自に処理し得べき分は直ちに準備に着手して所定の時日までにこれを履行し、経理能力を超える部分については、国鉄法第三十八條以下の規定により速かに予算を作成し、」ということが書いてあります。この点になりますと当然公社は自分の経理能力を考えて、追加予算の形式で運輸大臣に出さなくちやならんと思いますが、どうもその手続をしておらないような点も見受けられるのでありますが、こういうようなことは公社の責任といたしまして、裁定を尊重する責任といたしまして、委員長といたしましては、どうお考えになつておるか、この二点を一つ伺いたいと思います。

末弘嚴太郎公共企業体仲裁委員会委員長

○証人(末弘嚴太郎君) 只今のお尋ねの点はおつしやる通りであります。つまり経理能力のある限りはすぐに拂う義務があるわけです。そこで今年度の三十億と申しますうちの、みずから計算して見て拂えると思う分はすぐ拂う、残りの分は拂えないと思うならば、予算を組んで運輸大臣を通して大蔵大臣に掛け合うというところまでは、何としても公社総裁としてはしなければならない。それから後の話は先程門屋さんにも申上げたような経緯になると思います。

内村清次日本社会党

○委員外議員(内村清次君) それから一番最初の分割拂いの点は……

末弘嚴太郎公共企業体仲裁委員会委員長

○証人(末弘嚴太郎君) ですから後は予算を今年度、つまり法律はああいうふうに国会が開かれてから何日というようなことをいつておるが、遅れちやいかんということも、何日も問題ではないので、出た以上は早くやれ。そこで公社としては十八億なら十八億は自分で拂えます。後は拂えないからどうか国会で御審議下さつて、一つ拂えるようにして下さいと、こういうことを大蔵大臣を通してやるわけだと思います。そこで先程から二回も申しましたが、後の残りの部分というても実をいえば一般会計、そして一般国民に何か負担をかけるという金じや実はないのであります。金そのものはつまり公共企業体というものを健全に育てるつもりならば、経営学的にいつたら、極めて当り前の……民間の会社なら皆がやつておる。ただ不幸にして公社は金を借りることができないように法律でできておるから、後の十二億だけ借りることを許す予算を出しなさいということをいつておるので、非常に実は遠慮がちなことを申上げておるつもりでおります。

原虎一日本社会党

○原虎一君 一つお尋ねいたしたいと思いますが、それは今お話になりました金に関連いたしますが、公社経理能力の範囲で支拂えという。これは先程門屋委員からいつておりました中に、政府は公社経理能力の範囲外のものを国会に出している。そうすると公社の経理能力範囲内のものを我々は知つていなければならんと思うのであります。この裁定をされたところの末弘委員長初め三氏の方々は、單に国鉄経理の犠牲に労働者がなつておるから、これだけを拂えというだけのお考えでなくして、やはり経理の……国鉄経営上から支拂能力も相当あるのだという点をお考えになつて我々は裁定されたとは思いませんのであります。政府がこういう態度をとつておる以上は、是非公なるところにおきまして、裁定委員の方々の公なる御意見を伺つて、国会審議に当るべきが我々の責任だと考えますので、お伺いいたすのでありまするが、少くとも裁定委員会が国鉄経理の範囲内において拂えるところの額は委員会としてはどう睨んだか。併しそれは発表していないという点がございましたならば、是非お聞かせを願いたいと思います。

末弘嚴太郎公共企業体仲裁委員会委員長

○証人(末弘嚴太郎君) その問題は先程ちよつと申しましたように、凡そI・O・P企業体でどこまでが自前で拂えるかという金額を決めることは相当議論があります。ですから最終的に決定する権限のあるものは何としてでも決めなければならないし、決めることができますが、私共は十分検討いたします。それでこれにはいろいろの金額が出て参ります。併し私共の方は今政府がとつておるようなことになるとは夢にも思いませんので、政府としては一方は予算を組換えないでも拂え、或いは予算を簡單に款項目の融通みたいなことをすれば拂えるというような部分は簡單に許して、そしてそれ以上、少くとも今年度の三十億に達する部分はこれを他所から金を借りるなり何なりのことを、予算として出されるようなことをされるのであろうことを期待しているわけなんであります。従つて、だからその拂える金額は幾らだということは、実は問題を十分検討しましたが、余り気にいたしませんので後の部分を幾らかこの際予算として出してやつて頂けないものだろうかということを考えているわけであります。金額の問題はどのくらいだろうかということは、これは若しも本当にそういうことを審議する段階になつて、私共が調べた事実はどうかといつて、証人に喚ばれる段階が若しあれば、或いはそこで意見を述べる機会があるかと思いますが、今この段階で申上げては却つて拙いことじやないかと、こんなふうに思います。それで御諒承を願いたいと思います。

内村清次日本社会党

○委員外議員(内村清次君) 今回の発表のことですが、これはもう申すまでもないことと存じますが、この法の制定の目的が企業体の重要性を考えて、特殊機能という点を重視して、友好的に平和的に解決すべきものであるということになつておるのでありますが、この点から考えて見ますると、従業員の方では憲法に許されましたいわゆる団体行動の権、それも制限されて罷業権が取れない。こういう法の下においての労働闘争は調停委員会から仲裁委員会に掛つて、そうして裁定を受けた時を以て、この合法闘争の労働運動は終末を告げるのだと、こういうふうに解釈をするのでありますが、その運動の方針の限界点、闘争の終末について御意見を伺いたいのが一つと、只今では裁定は下つておりまして、これは三十五條の第一項では「当事者双方とも最終決定として」というような、これを中心としまして、現在では労働運動というものが労組体制の運動になつておるような形になつておるのですが、こういうようなことは、この法の立法精神に適つておらない。又それでマツカーサー元帥の書簡に適つておらないというふうに考えますが、その点の御意見を伺いたい。

末弘嚴太郎公共企業体仲裁委員会委員長

○証人(末弘嚴太郎君) 初めのお尋ねの点はおつしやる通りでありまして、先日仲裁裁定を当事者双方にお渡しをするときにはつきり申しましたのは、在来の調停をお受けになつたときと違つて、これに対してもう返事を頂くわけではない。この機会に債務は明らかに発生をした。同時に争議も解決した。不満かも知れないが解決したのだ。だから組合においてはそのつもりでおられるだろうし、それから公社においては即日にも支拂の準備をして頂きたい。そうして自力でできない分は予算に組んで政府に拂つて貰うようにしなさいということを申しました。

内村清次日本社会党

○委員外議員(内村清次君) 第二の点は。

末弘嚴太郎公共企業体仲裁委員会委員長

○証人(末弘嚴太郎君) 第二の点は、これはもう問題のないことで、本来……実は私は、驚くくらい、あの七月二十三日のマツカーサーの手紙を一般の方がお読みになつておられないので、あの非常に長いものなんですが、あの中で国鉄及び専売に関する部分全部をよく読んで見ますと、これはもう公社にして普通の公務員とは分けてやる。そうして、だから本来ならば一般の労働者と同じ扱いを受けるべきものの分なんであります。憲法から言つて……併しこれを後に公共企業体であれだけの制限をしたわけです。ですから事を片付けるのはそれは私共みずから仲裁者として、自分の仲裁は非常に上等である。だからこれに従うのは当り前だというような怪しからんことは申しませんが、仲裁が出た以上は、その争議を片付ける以上は、公社としてはともかく義務があるわけです。そうすれば、政府は無論のこと、それを実現して行くことの運びだけは、国会まではつけなければいけないと思う。国会が広い見地から見て、どうもこんなに国鉄にこの際金をやることは、こういう見地からどうだとか、こうだとかおつしやるなら、これは国会は最後の主権者ですから、これは仕方がないのでありますが、政府としては、後者がそういう債務を負つた以上は、それを国会を通して国民の審判を受けるところまで運ぶ、この義務はある。これが法律の精神であり、そして三十五條の文字がどうだとか、こうだとかいうのは、私はこれは裁判所に、弁護士でもおつしやるならともかく、一国の政治の責任者のおつしやることじやないと、私はそう考えております。

原虎一日本社会党

○原虎一君 もう一つお伺いいたしたいと思いますが、それは裁定書にございます四項の「本裁定の解釈又はその実施に関し当事者間に意見の一致を見ないときは本委員会の指示によつて決定するものとする。」この解釈に基いて、労働組合は活動する範囲でございますね、勿論、法が優先することは決まつておりますけれども、先程私がお伺いいたしましたことと関連いたしまして、当局は十八億円しか予算措置が国鉄経理範囲内においてできない、併し従業員側は二十五億円できる、こういう見解の相違を生じた場合におきまして、委員会がこれにより、こういう問題を取り上げるところの意味を有するものでありますかどうか、その点をお伺いいたしたい。

末弘嚴太郎公共企業体仲裁委員会委員長

○証人(末弘嚴太郎君) その項目を加えました重な意味は、折角仲裁を出しましても、仲裁の解釈運用について争いが起つたときに、又改めて調停の申請をして、そこでだんだん仲裁まで上つてこなきやならんというようなことになると困ると思いまして加えたのでありますが、十八億か、二十五億かというような判定は、これは事実の判定で、解釈又は運用ではない、こう思つておる。更になぜ加えたかと申しますと、実はこの三十億の分け方でございますね、分け方について、実は私共の委員会ですつかり、いざ当事者で話が会わないときには、こういうふうにお分けになつたらよかろうという案がすつかりすべてできておる。併しそれぞれ御自分で納得のいくようにおやりになつた方がいい。若しもお決まりにならないときは、直ぐ拂えないと困るから、直ぐ出す、だがそれは仲裁の一部分だから従わざるを得ない。それで即時に拂つて頂こうというのが、あれを設けた理由で、拂い方について改めて調停の申請なぞはないようにしようという実はあれでございます。今お尋ねの十八億か、二十五億かを判断するというのは、文句からいつても解釈運用というのは、ちよつと無理、やはり事実の判断だろうと思つております。ですからどうしても一応は、やはり後者に一番あれです、十八億だとか、二十億だということを、経理者は、これは義務を負つておりますから、これ以上できないから、政府助けて下さいと言つて来るわけでしよう。政府は、いやお前のところで、もう少しある筈だというようなことを言うて、そうして残りのところを国会に出す、ここらが、常識だと思つて実は考えたのであります。そうしたら逆に政府が、お前のところはもつとない筈だと言つてるのは、私には話が、分らないということであります。

原虎一日本社会党

○原虎一君 第四項の趣旨は分りましたが、文字の上から行きますと、「その実施に関し当事者間に意見の一致を見ない」というのを広く解釈すると、私の言うことも成立つのじやないかということを申上げたのでありますが、その点はよく分りました。結局これは委員長、質問ではありませんが、政府が今度我々に審議をして欲しいとして国会に提出したものは、実に曖昧たるものである。従つて政府は、どういう根拠に立つてこういうものを提案したかということを、皆さんの末弘先生に対する質問が終つた後に、先生のおられるところで聞いて置く必要があるのじやないかと思いますので、質問が終りましたら、政府から、我々にこの審議しろ、後者側が、どれだけできるから、あとできないという点を審議してくれという、いわゆる予算措置を付けずして、ただこういう裁定ができたから、これを第十六條の二項により審議に付すという出し方について、法的根拠を十分に伺つて置く必要があると思う。と申しますのは、運営委員会ではこれは相当議論されております。けれども、労働委員会は、本法案を、法律を作るために関与いたしておりますし、労働関係の法律の解釈が出まして、それを委員会が権威ある調査をして、場合によつては、社会に発表すべき責任があるのではないかと考える私一人でありまして、十分にこの点を、やはり公開の席上で政府の説明を聞きたいと思うのであります。

平野善治郎民主党

○理事(平野善治郎君) 外に末弘先生……

小泉秀吉日本社会党

○委員外議員(小泉秀吉君) ちよつと末弘先生にお伺いします。先刻内村委員の御質問に対してのお答えで、一応分つたつもりなんですが、この争議は、仲裁委員会の裁定によつて、双方とも結了したので、そういうことについて、もう一度その仲裁を、一方が履行しなかつた、今のところだと使用者側で、或いは政府と申しますか、それが裁定の通りに履行ができなかつたというか、しなかつたというときに、争議が済んだ後の行き方というものは、又別に同じようなことをする権利といいますか、そういうことができ得るのか、もうそれで、外の方法で仲裁委員会の方では、なんかそれを指示するとか、見守つて行くとかいう行き方があるかどうか、一応伺つて置きたいと思います。

末弘嚴太郎公共企業体仲裁委員会委員長

○証人(末弘嚴太郎君) 一応普通の争議の後の協定に関しても、協定が成立つた後、履行をしないというときにどうなるかという問題は、今の日本の労組法は、かなり不公平にできております。例えば公益企業の場合に、若しもですね、調印したが、後履行をしない場合に、又一ケ月冷却期間を置かなければならないのだといつたら、ずるい会社の人がいたら、調印だけはどんどんしておいて、又履行しない、そうして又一ケ月して、又調印して又やらない。今度電産の……去年の場合は、これは電産の会社だけが惡いのじやない、政府が押えたから、ああいうことが起つたのでありますが、あのときに、組合が申したことは尤もだと思つております。それで今の国鉄の場合は、それ以上で、争議権がないのでありますから、組合が納得しないような方法の不履行をしてはいけないということを言つたらいいと思います。そこで組合は、その代り国会に言うことは一つ納得して頂きたい。国会がここまでだというならばこれは仕方がない、法律も書いてある。それ以外には国会……そうでなしに国会が納得が行かないような不履行をして置いて、法律で一方で争議行為を抑えておる、こういうことで労働問題というものは決してかたづくものじやございません。それで労調法の公益事業の場合でさえ今の不履行問題については、今の法律は非常にできが惡いと私は思つておるのですが、この公共企業体の場合には争議権そのものが頭から押えられておるのですから、これにおよそ理由のない、不履行なんということは、考えられるということそれ自身に、私は非常な遺憾な感じを持つておるということを申上げたいと思います。

平野善治郎民主党

○理事(平野善治郎君) 外に末弘委員長に御質問ございませんですか……  それでは末弘委員長に対する御質問はこれで終ることにいたします。只今加賀山総裁が向うを出られたそうでありますから、暫時休憩いたしますか、どうですか。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 労働大臣もまだですね。

平野善治郎民主党

○理事(平野善治郎君) まだ労働大臣も来ていません。どうですか、新谷さん。

新谷寅三郎緑風会労働政務次官

○政府委員(新谷寅三郎君) 今労働大臣か、官房長官か来て貰つて説明いたします。

平野善治郎民主党

○理事(平野善治郎君) では暫時休憩いたします。    午後四時二十二分休憩    —————・—————    午後四時三十八分開会

平野善治郎民主党

○理事(平野善治郎君) それでは只今から労働委員会を再開いたします。加賀山総裁が見えられましたから、同総裁に対する質問を願います。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 加賀山国鉄総裁に、今回の仲裁委裁定の問題について二、三お質しして置きたいと思うのでありますが、大体総裁は国鉄総裁になられる前から国鉄におられたのでありますから、この公共企業体関係労働法の国会に提出せられ国会を通過した間の事情は御存じであつたと思う。たまには政府委員として出られたことがおつたと記憶しております。そうしまするとこの公労法がマ書簡に基いて出されたものであり、又そのときの労働大臣の増田君からの提案理由の説明等でも公労法の性格上いうものははつきりされておる。今五十万の国鉄従業員と専売公社の従業員はこれによつて極めて迅速なる苦情の処理をし、又調停をなし、又純正な仲裁裁定を受けるということになつていることは御存知のことと思うのであります。そこでお尋ねしたいのは今回十二月二日に、公共企業体仲裁委員会から下されましたところの、この裁定書を国鉄総裁は合理的のものとお認めになつているか、又は不合理のものとお認めになるか、若し不合理とお認めになつた場合、どういう点が不合理であるかということを明らかに明快に御答弁願いたいと思うのであります。  第二点は十二月二日、この裁定をお受取りになつてから今日まで十五日を経過しておると思いますが、この間において如何なる処置をお取りになつたかということ、例えて申しますならば、所定経費の問題に対する関係方面との折衝の状況、関係方面と申しますのは、まあいろいろの関係方面であります。それから次は国鉄自体の既定経費で支拂いできない面に対して、若しできない面があるとしますならばそのできない面に対して、国鉄自体の予算補正の作業に入られたかどうか、予算補正の措置をおとりになりつつあるかどうか、又その予算補正の意思があるかどうか。  それから第三点としましては、裁定書の内容から見ますと、国鉄は二十四年度においてこれはまあ内容のほんの一部なんですが、その一部から見ましても二十四年度において行政整理によつて、五十四億の利点を挙げられておるのであります。総裁はあの行政整理発表の当時から国有鉄道におられたのでありますから、あの行政整理発表の当時から今日までの状態を考てみますとあれだけの大整理が極めて穏便に行きましたことには、当時の国鉄従業員でありへ現在も両国鉄に協力しつつあるところの現在の国鉄の労組の理解のある協力があつたからできたものと私は信じております。従つて言葉を換えて言いますならば、その五十四億の国鉄の二十四年度における利点というものは、あの行政整理に円満に協力したところの現在の国鉄労組によつて、その利点が生じておるということをお認めになるかどうかということ、その次は私は現在の国鉄労組は国鉄の能率増進に十分協力しておる。問将来も協力し得るものであると信じておるのでありますが、それは総裁は現在の国鉄労組をどういうふうに見られておるか、又現在の国鉄労組は協力性が薄くて非協力性のものと見られておるかどうか、若し私と同じように今後とも協力し得るものとお認めになつておるならば、補正予算の構想を立てられる折に、厄介な方法を取らずに借入金によつて賄つても二十四年度には償却し得る可能性があると私は思うのであります。大体国鉄の経理なんかは、その年度限りに考えるべきものでなくして、ずつと継続して、あれだけの大世帯の国鉄が、この問題はちよつと横に外れますけれども、業績が惡いために九十億なり三十億の赤字が出る。その赤字が出るから、それをその年限りの決算をしてそうして一般会計からこれを繰入れるというような立て方にも私は疑問を持つのでありまして、これが我我民間業者でありましたならば、一時借入金で以てその欠損を次年度に繰入れて行くということさえとられておるのでありますから、いろいろ法律の制約は受けておるとしても、精神としては国鉄はその能率主義の独立採算制を探られなければならんという建前から行けば、私はこの三十億ぐらいな金は政府からの借入金で賄うべきものでないか。借入金以外に補正予算の方法があれば尚結構だが、ない場合は借入金で賄うべきものでないか。殊に裁定書は十五ケ月予算でいろいろ考えられておるようである。こういう点から考えまして他の委員の御質問があると思いますから、私は最後に簡單に現在加賀山総裁は所定経費のやり繰りのみによるべきものでなく、補正予算の措置をおとりになるかどうか。おとりになるとすれば、ここ一日や二日とは行きますまいが、大体何十日か何ケ月ぐらい後にその補正予算の措置がとり得るか。早い程よいのですが、いつ頃になつたらその補正予算の措置がとれるか。これは私共が今度政府から不完全ながらも一応提出されておる問題につきまして可否を決する上において、又その審議を進める上におきましても国鉄がその予算的措置をとる時期というものに非常に関係がありますので、以上の点について明快にお答え願いたい。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) お答え申上げます。御承知の通り公共企業体労働関係法に基いて今回仲裁委員会の裁定があつたのでございますが、我々といたしましてはこの裁定が不合理であるとかないとかという立場にあるものではございませんで、裁定があればこの裁定に専ら忠実に従う義務が法律にあるのみであります。従いまして我々といたしましては裁定がありました以上、この裁定の趣旨に順応いたしましてあらん限りの方策を講じ、我々のカにおいてなし得ることはいたさなければならないと同時に、我々の力の及ばない点、法律上におきましては予算上、資金上の措置を伴わないと措置ができない部分に相当するわけでございますが、そういうことに対しましては政府並びに国会に対して善処を要望するいうことが我々のなすべき仕事であると、かように考えております。  次の予算補正の意思があるかどうかとい問題でございますが、御承知の通わ予算の編成権を持つ政府に対して我々といたしましては先程の予算補市を必要とする部分に対して大蔵大臣並びに運輸大臣に只今までとつた資料を附けて要請をいたしたということでございまして、補正の問題に至りますと、これは政府当局としての考えがそこに加えられることに相成ろうかと存ずるのであります。  次に本年七月に行われました行政整理につきましては、組合の協力があつたかどうか、そのために事がうまくできたか、というお尋ねでございますが、勿論只今国鉄の従事員としては、組合を結成しておりまする従事員は、行政整理という事柄でございますので、これに手助けをするようなことは勿論できなかつたと思うのでございますが、終始法律の枠を守りまして行動をとつたということは確実に申上げられる次第であります。従つてその後の行政整理並びにその後の国鉄の経営の合理化、その中には物件費の節約も含まれるわけでございますが、それらに対しましてとつた現在の、国鉄労働組合の態度は、これは誠に私は国民全般九ら見ても賞讃を受けてもいいもかであろうかと考えるのであります。  五十四億の節約ができる筈であろが、これは組合の協力によるものであるかといことでございますが、先程申上げました通りこの行政整理によあまするところの人件費の節減並びに脇件費の節約、これらは従事員の、真に国鉄の経営を思い、国民のためにするという真剣な活動がなければできなかつたと思うのでございまして、本年度の千百五十二億の支出予算の実施に当りましてこれに協力した国鉄労働組合、並びに国鉄従事員全般の協力は私は高く評価をいたしております。国鉄として賄い切れないものは借入金による外はないが、これはその年度だけで償却をするというのは無理であろうというお尋ねでございますが、勿論これが一般の会社でございますならば、退職金に特に沢山その年必要であつた、或いは止むを得ない経費としてどうしても支弁しなければならない不時の支出があつた。それをその年度内の経理のみで賄うということは非常にむずかしいことであろう。これでできれば勿論結構でございますが、国鉄財政の現状からいたしまして、これはどうしてもでき得ないことでございまして、先へこれを引延ばしてこれを返還しなければならないことに相成るわけであります。その場合昭和二十五年度の予算は、これから国会の審議を受ける段取りになるわけでございまして、まだ編成をいたしておりませんが、結果は昭和二十五年度以降の予算に関係を持つ事柄に相成る、かように存ずる次第でございます。  只今までに国鉄経営者側としてとつた措置如何ということでございますが、仲裁委員会にかかりまして以来我我といたしましては、委員会の招請を受けまして、我々の考え並びに計数についてしばしば委員長以下に申上げた次第でありますが、十二月二日に裁定が下りまして、我々は更にその全貌を拝見して、これに対する策を検討いたしまして、五日にはすでに大蔵事務当局と折衝を始めている次第でございます。十日までに大体国有鉄道総裁としてなすべき範囲、又なし得る範囲というものをはつきりと見通しをつけまして、運輸大臣にこれを申請しそれ以外のものについては政府並びに国会の善処を要望する資料並びに要請を正式に提出いたした次第であります。今日までのところ各方面との折衝に当つておりまして、了解を得ることに最善の努力をいたしておりますが、一部にはなかなか難関と見える点もあるのでございまして、関係方面の意向も必ずしも次々の見解をそのまま支持して呉れておるという状態ではございません。併しながら私といたしましてはあらん限りの努力を注ぎまして、了解を得ることに狂奔いたしておるというのが現状でございます。以上御質問の要旨に外れた点があるかも知れませんがお答え申上げます。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 要するにこの裁定書には忠実に従わなければならんというお考えを持つておられることと、非常に国鉄労組は経営に協力しておるということははつきりしたのですが、その最後の方になつて五日に大蔵当局と折衝して、十日に国鉄総裁としての賄い得るものを出して、後は資料を添えで運輸、大蔵の両大臣と折衝中であるという御答弁なんでありますが、この際質して置かなければならんことは、我々の仄聞するところによりますと、補正予算に対して余り熱意がない。今の御答弁でも察知できるのですが、既定経費のやり繰りは国鉄総裁としてできるだけのことはするが、予算を組むのは大蔵大臣と運輸大臣の責任になるというふうにとれるのですが、それでは私は五十万の従業員を預かつておる国鉄総裁として今後の能率経営はできない。一番今度の裁定に忠実に従うものであると言われるとするならば、裁定理由の第八にも示されたようにやはり予算的措置をとらなければならんことになつておりますが、どういう予算的措置の資料を運輸大蔵大臣にお出しになつておるか、それを伺いたい。或いは我々の仄聞するがごとく加賀山総裁は予算的措置はとれないのであるというのが本当か。重要な分岐点になるのですから資料を出しておるとすればどういう角度で資料を出しておるか、その資料としては借入金によることを立てておるか、或いは償却の方法をどういうふうに考えておるか、いろいろ資料をお出しになつたろうが予算的措置をとるような資料を出したのか、或いはもうこれまでは私でできるが、これから先は私でできませんからよろしくお願いしますというて投出してしまつたのか、この点はつきりして置いて頂きたい。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) お説誠に御尤もと存じます。第一段に国鉄総裁としてなすべきことはこれを真に、国鉄の経理の範囲内でなし得る範囲を先ず検討することにあるわけでございまして、これにつきまして我々は鋭意検討を続け、その結論に達してこれを政府に要望をいたしておる。御承知の通りその範囲におきましても、国鉄総裁といたしましては勝手に経理内のものと雖も流用ができないのでありまして、支出負担行為変更ということで大蔵大臣の認承を必要とすることは御承知の通りだと存ずるのであります。それの範囲がはつきりいたしまして初めて、その残りをどういう措置をとるかということに相成るので、ございまして、これにつきましては我々の方といたしましては財源といたしましては借入れ、又これをどこから借入れるか、これは我々として指定をすることはできないのでございまして、とにかくこれを借入れなり繰入れなり、又その他の方法なりで以て、これを政府としての措置を講じて貰つて、そうして又、これの予算支出権がないわけでございますので、それに対する支出権を国会において認めて頂く、これがあつて初めて成立つわけでございます。これを具体的の数字に触れておりませんのでこれを今詳細に将来の計画について申上げることはできないのでございますけれども、残余の予算は何とか大蔵大臣並びに運輸大臣、政府においてこれを立てて頂きたい、如何にも国鉄としてそれを預けつ放しのようにおとりになろうと思うのでありますけれども、我々といたしましては全くこの点は何と申しますか、いわゆる他力本願に相成るわけでございまして、相手方が動いて頂くことが必須の條件に相成る、かような状態でございます。併しながら、我々はそれを單に政府だけのこととして放りつぱなしにして置くという気持は毛頭ございません。前段の部内において流用しようとする額と同じ気持を持つて他のものにも予算外のものについても最善の努力をする覚悟は持つている次第でございます。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 大分詰つて来るのですが、そうしますと私は最初申上げましたようにその予算的措置をとる意思はある、とる意思はあるが、資料を運輸大臣並びに大蔵大臣に出したと言われるのですが、この三十五條から、三十五條を受入れた十六條第二項の規定によつて十日以内に国会の承認を要するということになつておる、その十日目の十二日に持て来たものは、運輸大臣や本多国務大臣には持つて来られたのですけれども、併しこれに関連も何もない、ただ裁定書だけ持つて来たのです。そこで今後は正式に付託になつておらんのですけれども、正式にこれを受取らずに置くか、受取るかということは、議運としては他から文句を言われても、これは保留の形に置いているということは国鉄の事情を察しておりますので、十二月二日にこの裁定が出されて、勿論出される前から分つておつたのだから保留の準備ができておつたと思うのでありますが、十二月二日にいよいよ決定して、十日間に現在の客観情勢等から見ますれば、経理面から幾ら出せる、あと予算的措置をこれだけとらなければならんという結論を得ることは困難である、その辺の運輸大臣の説明を了として今運輸大臣はその操作をやつておるというので今先ず案そのものを議運で保留して止めて置いてあるわけです。今日の官房長官の説明によりますと、経理面から出すだけで、政府は予算的措置をとる意思がないようにとれるのですが、あなたは国鉄の責任者として資料を持つて大蔵大臣や運輸大臣に予算的措置を請求なさつたのかなさらないのか、請求なさつたとすればそれに対して関係監督官の方からは如何なるお返事が今日までにあつたかなかつたかこれを一つ質問して置きたいと思います。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) 勿論この予算的措置につきましては要望をいたしておるのでございますけれども、客観的情勢は非常に惡いと申しますか、新たな予算的措置につきましては非常に見通しが惡いという情勢が出ておるのでございまして、その点我々といたしましてはその情勢を知つておりますだけに、又非常に動きにくい点もあるわけであります。併しながら先程の門屋さんの御質問に対しましては勿論この予算的措置につきましても、政府と十分協議をいたしておる、私自身も直接当つておるということをお答え申上げます。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 どうも抽象的の答えで、私のお尋ねしたのは関係監督大臣からあなたの要請に対してどういうお答えがあつたか、お答えがないのであるかそれを聽かして頂けばいいのです。あなたが加賀山総裁の見られておる客観情勢によつて政府の苦衷が察せられるから聽かずにおるというのでは、これは一定の日にちが付してあるのです。今度の人事院勧告と違つて裁定書をお読みになれば十二月中に支給すべしという裁定の期限があるのです。裁定の期限、そのものに今日十五日経つているのであるから、あなたが一人がどうしても忠実になさるという御精神であればあなた御一身のことは問題じやないと思うのです。前総裁は犠牲になられておる。あなたの命まで捨てなくてもいいのだ。これは一つ運輸大臣や大蔵大臣と正面衝突してでも予算はどうしてくれるのだということについて何かお尋ねになつたことがあるかないかということをお尋ねした。あなたがお尋ねになつても向うが返事なさらなかつた、とあなたが察しているから尋ねずにじつとしておる。尋ねずにじつとしているとすればこの五十万従業員を見殺しにする。あなた一人が行きにくいとか顔が惡いということを言つている場合じやないのだ。実際問題として五十万従業員を見殺しにて、又立法府にしましても我々がマ書簡に基いて熱心に拵えたところの公労法というものが反故になつてしまう。こういう重大時期に我々より相当教育もあられるあなたがそういう曖昧なことじや困る、所管大臣の方からお答えがあつたのかないのか、又現在、これは国会でどういう姿になつておるかということも、いろいろ情報によつて御存知であると思います。今官房長官の言うがごとき、これが経理面からのみ見て予算的措置をとらなければならないならば、この裁定が一部履行になつて一部不履行になる、そういう点を考えますから簡單にあなたの責任においてこれが停滞しているのか、関係大臣の方で停滞しているのか、それを突止めたいのです。はつきり一つ。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) 何も自分の一身について申上げたのではないので、私は勿論門屋さんの言われますように、今回の問題に対しましては一つの決意を持つて当つておるつもりでございます。先程客観的情勢と申しましたのは、広い意味で申上げましたので、勿論主管大臣大蔵、運輸両大臣に話しました結果といたしまして、政府においてはこの予算の枠を変えることは見通し困難であるということを、はつきりと聞いております。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 そうしますと、先刻議運で官房長官の言われたのと一致しますので、政府は経理面からのみ見ることをやつて、一部履行して、そうして予算的措置はとらないということがほぼ分つたんです。そうなるとこの裁定書には、予算的措置をとれということが書いてある。予算的措置をとつて、それを国会が否決した場合は、これは国会の責任になる。けれどもこの裁定書を受けられたあなたが予算的措置をとらずに白紙のままとか、或いは一部履行して、経理面だけで履行して、予算的措置をとることができないというようなものを国会に持つて来られるということは、これは国鉄の方はこの裁定に違反するわけです。それはどういうふうにお考えになりますか。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) 一人で決められますことならばと、非常に遺憾に考えるわけでありますが、如何にやりましても、国鉄総裁としてなし得る範囲というものは明らかであります。でそれ以上のことに対しましては、最善を盡して関係方面を説得する、関係方面に要請するということが我々にあるのみであります。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 大体分りましたのですが、最後に、そうしますと、こういうふうに了解してよろしうございますか。今一応国鉄総裁として盡すべきあらゆることは盡したが、尚現在も監督の任にあるところの運輸大蔵両相を初め、関係方面にも百%履行の線に向つて努力を続けられておる最中であると了解してよろしいですか。又はもうその手は打つだけは打つて、もう手を上げている。これはどつちになるのですか。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) どちらにおとり頂いてもよろしうございますが、私といたしましては、最後まで努力を続け、とにかく問題は決定するまで、国会の最後の決議があるまでが問題が残つておるわけでございますから、最後まで私は諦めないで努力をいたす所存であります。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 結構です。

水橋藤作労働者農民党

○水橋藤作君 お尋ねいたしますが、若し借入金によつてこの支出ができ得るということに仮定いたしますると、二十五年度内にこれを償還できる見通しを持つておられるか。又その償還すべく企業体として努力をする決意があるかどうか。その点をお伺いしたい。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) 非常にこれはむずかしい過程があると思うのでありまして、先程も申上げましたように二十五年度の本予算は、これから審議を受ける段取りになるわけであります。でもう一つお考え願いたいことは、この裁定の内容といたしまして一人千円、月にいたしまして五億円、これをずつと続けて、ベースの改訂あるまではこれで行くのだというふうに、私共は解釈いたしておるのでございます。一方ベースの改訂は非常に困難であるという事情と考え合わせますと、来年度昭和二十五年度においても、そうすればこれで押して行くということに相成る。従いましてこれを年間にいたしますと六十億になる。で只今考えておりますところの予算面では、これは勿論考えておらない数字でございます。それで只今の御質問は、四十五億のうち、国鉄の経理で賄い得るものは支出ができるのです。それ以外の金額を借入による。その借入が返済できるかどうかということでございますが、勿論今後の運輸量が如何になつて参るか。従つて運輸收入が如何になつて行くかということに関連して参りますし、又我々並びに各方面の御援助によつて如何に今後経費が節減されて来るか、節約の余地があるかということにも関連して参るわけでございますが、今本年度に出ようとしますところの数字を想定いたしますと、これを年間に返済してしまうということは、来年度の予算にとつては可なりの負担に相成ろうか。来年度の予算編成上そういつた措置がとられれば格別でございますが、これを従事員の簡約のみによつて返済して行くということは、困難ではなかろうかと考える次第であります。

水橋藤作労働者農民党

○水橋藤作君 そうしますとこういうふうに解釈してよろしいですか。借入金によつてこれを賄うということが仮に決定されても、その借入金を二十五年度に償還する能力がない。こういうふうに解釈してよろしいですか。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) そういうふうに申上げたつもりはないのでございまして、これは予算編成の如何によると私は思うのでありまして、予算の編成がそういう形に組まれまして、例えばこれは例として申上げるので恐縮でございますが、来年度仮に百五十億の取替費用をこのいわゆる損益勘定の中から出すということになつておるといたします。これをそれではそういつた損益勘定から百五十億出すのを止めて、その中から借入金を返済とて取替費用に充てるものは百二十億でいいではないか、こういうふうな予算にいたしますれば、それは返済できないとは言えないと思うのでございます。併しながらその場合、国鉄の約一兆億に達せんとしておりますところの資産に対しまして、如何にしても相当金額の取替費用的のものを見るということは、健全な経理には重要なことでありますので、そういつた予算編成上の考え方に私はよろうかと存ずるわけであります。でその無理を来年度の予算に負わすというようなことに相成ろうか。ただほぼ百五十億の取替はそのままやるのだ。そうしてその借りた分は、すべて非常にデビツトに組まれた予算の中から従事員の節約で生み出すのだ。こういうことになれば、これは非常に困難であろう、かように申上げたのであります。

内村清次日本社会党

○委員外議員(内村清次君) 先程門屋委員からの質問に対しまして総裁御答弁があつたんですが、今回のこの問題が国会においてやがて決まりましようが、もうすでに時期的に非常に切迫しておる。で、早急にこれは解決をさせることが公共企業体の円満な運営ができると私は思つておりまして、ただ質問の答弁内容だけにおきましては、五日の日に大蔵省の方と事務的折衝をした。そうすると十日に運輸大臣に資料を提出をした。こういうようなことでありまして、私は総裁とされましたならば、いわゆる十六條の可能な即ち部分の経理面、不可能な経理而の状態はおのずと分るものであるからして、この間即ち二日に裁定を受けて、五日の日に大蔵省と事務的折衝をされたというようなことでなくして、いわゆるその直接監督の任にあるところの運輸大臣の方にそれをなぜ赤裸々に早く出されなかつたかこの点に私は総裁としての事務上の点に少し欠陷がありはせんかと思います点が一つ。それからその次に又資料は出しておるとおつしやるが、その資料の内容をはつきりさせて頂かないと、今回の国会審議の面につきましても、例えばそれは当の責任者の運輸大臣から聞けばいいものの、いわゆる責任者のあなたから聽いて置かないと、照合いたしましてはつきりいたさない点がありまするが、一体どれくらい可能な内容で額があるかどうか、この点も一つここに明確にして頂きたい。先ずその二点について御質問いたします。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) お答えいたします。大蔵省と申しましたが、これは勿論日本国有鉄道といたしましては、大蔵省に相談いたします前に当然運輸省に相談をいたしまして、運輸大臣の耳にも入れて、結局運輸省を経由すると申す方が適切なのかも知れないのでありまして、これは内村さんも手続的には御承知のことではないかと考えるのであります。額の問題に触れられたのでございますが、只今主として大蔵省が関係方面との折衝に当つているわけでございまして、私としてその内容を申上げる資格はないわけでありますが、国有鉄道といたしまして、今回の裁定に対し、国有鉄道総裁としてこれは無理をしてなし得る範囲、これは容易にこの予算の中に余裕があるわけがないことは、この今回の補正予算成立の経緯から見て御承知の通りと思うのでございまして、その中で誠に非常の思いをしてこれを流用をいたさなければならない。私共の考えといたしましては、修理、修繕を繰延べる、それから一部は石炭の節減から出た経費を充てる、この二つの費用を財源に充てております。この修繕につきましては、勿論この修繕は早くやつて行かなければならないということは申すまでもないことでありますが、これが又旅客、貨物の輸送の安全に支障を来すというようなことがあつては、これは到底耐え得ないところで、如何なることありと雖もこれはやらなければならないと考えるのでありますが、例えば三月までに終る修繕を四月に繰延べても、国鉄の経営に非常なひびが入らない、国民に非常な迷惑をかけない、こういうことでありますならば、これは取返しがつくことでございます。で、これは一つこの際は流用して、そうしてこれを今回の仲裁の内容として国鉄経理上から搾り出す、これが我々の探るべき方策である、又我々のなし得る範囲であるというふうに考えたのでございますが、その額が約十八億万円であります。

内村清次日本社会党

○委員外議員(内村清次君) 総裁は先般国鉄労組が悲壯ないわゆる抗議をしてハンストに入つた際に、人命の尊いことを述べられて、その終止を放送されたことは私確認いたしております。労組も声明の中には、総裁のいわゆる今後の処理、全幅的な努力に対して期待をしてその中止をいたした点も中止の要点の一項目になつたようであります。先程経理能力において十八億はできる、そうしますると、聞きたいことは、予算は本年度においては裁定によりまして三十億はこれは出さなくてはならないということが明記されておる。そうしますると後十二億はやはり不可能な分として本年度内にはやはり政府の予算措置を要請されなくちやならない、勿論後に残つた十五億は来年度組むといたしましても、附加えなくちやなりませんが、要するに分割的な支拂いで本年度を終ろうとされるのであるかどうか、この点を一つお聞きしたい。これは政府の方で、或いは国会の審議過程、又終結過程においてそういうような、即ち無道な政府の態度と、それから与党議員の点について、これが若しも分割的な額になつた場合においては、総裁としてはどういうような即ちお考えであられるか。先程の労組が確認をして、そうしで信じておつたそのことに対して、総裁の即ち御見解を合せて一つ披瀝して頂きたい。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) 先程門屋さんのお問いに対しまして私が述べた通りでございまして、国鉄経理としてなし得ることを全部果し、これを関係方面との折衝によりましてこの流用を認めて頂く、これは何としても実現しなければならないと存じますし、それが達成いたしましたとして尚三十億に対しましては、十二億の残額が出るわけでございまして、これに対しましては先程から繰返し申上げておりまするように、関係方面、政府に対しましてこれを強く要望いたしまして、この実現に努力するということが私に残つておる義務であるというふうに考えておるわけであります。

原虎一日本社会党

○原虎一君 一点伺いたいのですが、今の御答弁で十八億は国鉄の経理の範囲内で支出ができるということは言明されましたが、その残額は予算的の措置を講ぜられる、それをあらゆる関係方面にしたと言いますが、その予算措置はどういう形でなされたのですか。それをちよつとどういう形でおとりになつていますか。それをお伺いしたいと思います。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) 今の十八億も出し得る。これは国鉄経理として、これは大丈夫だということでございまして、更に大蔵大臣の認承が必要であるということはこれは御承知の通りであろうと考えるのでありまして、ここにもう一つまだ難関があるということは申上げるまでもないと思うのであります。我々は先ず第一段の達成に只今まで全力を傾注いたしておるというのが現状であります。その他の内容につきましては、これを来年度の経理をどうするかというところまではまだ来年度の予算が編成前でございまして、今後の問題になろうかと思うのでありますが、取敢えず残額は借入金を以て支出いたしたいということを書面を以て要請をいたしておる。かような状態でございます。

水橋藤作労働者農民党

○水橋藤作君 その残額の予算措置に対しての要請をいつのいつかにお出しになつたか。参考までにお伺いしたいと思います。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) 正式に書面として提出いたしましたのは十日でございます。

原虎一日本社会党

○原虎一君 時間もないようでございますが、簡單に一つお伺いしたいと思いますから、今後もあることでありますからこの公労法の建前と、それからそれに基く運営でありますけれども、あなたの方から十日までに予算的措置を要請されておるのですが、政府は国会に審議を提出して来たのは何ら予算的措置のことを書いて来ていないのであります。これはあなたの関知しないところといえばそれだけかも知れないけれども、この公労法の運営からこういうやり方に対してあなたは責任上どう考えるか。政府が何ら予算的なことを……あなたは十八億は国鉄経理面において捻出できる。勿論これは大蔵大臣の認承を受ける。これは大蔵大臣が認承しないことはおかしいので、これはあなたの方が出されれば当然認承さるべきである。後の残額を借入金でやるという予算的措置をあなたの方は要請されておるのにそれが国会に出て来るところの議案には何も附いて来ていないのです。簡單に申しますと、これを何も附いて出て来ていないので、議院運営委員会においてはそういうものは審議不可能じやないかという質問に対して、小澤大臣は要するに今日の場合においては全面的に不可能だから、全面的不可能という建前で審議して呉れ、こういう説明があつた。これは国鉄総裁としてこういう国会に出し方をされて、あなたの方は知らずにおられたということは私は言えんと思う。この点は御存じの上でやられたか、そうでなかつたか、この点をお伺いしたい。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) 国会に提出される様式につきましては、私は相談を受けておりません。相談は受けておりませんが、この認承につきましては申すまでもなく関係方面の了解が要るのであります。そういつたことが、まだ最後の結論的なところまで行つていない。従つて政府として予算的措置と申しますか、いわゆる内部的な予算並びに資金上可能、不可能の問題についてまだ終局に達していなかつたために法律的には十日後ということになつておりますので、国会に求める以外に方法はなかつたのではないか。これは私の推測でございますが、私はこの予算の支出方式につきましては相談を受けておらないのであります。

原虎一日本社会党

○原虎一君 御推測で御意見を御発表になつたが……これは公労法に基いて仲裁が行われて出て来たものである。一方の責任者はあなたです。そして政府は予算的措置をとつて国会に出す責任がある。あなたのところが一番関係のあるところです。こういうものを国会に提出する場合、あなたは知らなかつたといえばそれまでですが、私は敢て追及しようとは思いませんけれども、あなたの考え方が、先程から熱心にやつておられるといわれておりますけれども、その点は誠に不可解な話です。私達のお伺いするのは、あなたの方から相当に予算的措置がされたにも拘わらず、政府がそれを上なくて、いい加減の議案を出したために、国会は非常に迷惑をしたばかりでなしに、従業員は御承知のようにハンストまで行わなければならない止むに止まれん状態に追込まれた。これは一つには政府の議案提出の仕方の責任でもありますけれども、あなたの方、自身が今言われるような状態でありますならば、十日までに予算的措置をとつて国会に出すことが不可能であるからして、その期間の余裕を必要とするために法律を改正するとか何とかなればまだいいのでありますが全面的に予算措置が不可能だという建前で審議して呉れと出すということは、あなたは推測で申されたから申し上げますが、あなたは無責任である。そういうことを知らんで済ますということは、予算的措置が全面的に不可能であるという建前で審議して呉れという出し方は、これは一切政府に責任があるということは申上げるまでもないが、あなたにも責任がないとは言えない。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) 勿論ああいうことになりましたことにつきましては、私も責任があると思います。ただ相手方があることでありましで、なかなか問題が決まり得ない。そこで国会の御審議を受けて、そして政府並びに国有鉄道といたしまして、その間にあらゆる方策を講じて、そうして御審議を願うというつもりであつたろうと、これも推測でございますが思うのでありまして、この点につきましては早くいろいろの協議が整つていなかつたということにつきましては遺憾に思います。この十二日に提出されます前に十分な予算ができて提出されればこれは非常に何と申しますか、そうすべきであつたというふうに考えるのでありますが、政府といたしましては先程申しましたような事情によりまして、そのときまでには最後の結論に到達しないまま議決を受けるという法案として提出せざるを得なかつた、かような結果になつたと思うのでありまして、その点につきましては私も遺憾に存ずるのであります。

内村清次日本社会党

○委員外議員(内村清次君) もう一遍お尋ねしたいのですが、先程総裁はまあ経理内容の可能な部分において十八億は出す、後は極力努力をいたしますと、問題は総裁は裁定は最後の問題、これを忠実に実行して、又その義務を果すということも考えておられる、この点も一つ後で確言して頂きたいのですが、そう考えておられるように私は先程から答弁を聞いておつたわけですが、そうしますると当然公社といたしましては二十七億が不可能な分になつておる。そこでこれはその見地からいたしまして若しこの国会においてそういうような、即ち一部残額の点が起つたといたしましても公社としては裁定の理由の八にありまするような当然債務が起る、いわゆる民法上、私法上の債務があるということをはつきり謳つてありますが、総裁もそうお考えであるかどうか、この点一つ。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) その通り考えております。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 これは少し公労法の問題になるのですが、この裁定の理由の第八に「公社は裁定の指示するところに従つてそれぞれ所定の時日までに裁定の内容を履行すべき法律上の債務を負担する。」ということにもなつておりますし、大体私は裁定の効力の期間ということに対して当事者であるところの総裁の御意見だけを承つて置きたいのですが、どうせ私の質問に対してもこの裁定は忠実に従うということを言われておるのでありますが、いろいろな関係で総裁として行い得る面は究極するところ十八億しか行えないということになる。後はまあ総裁の責任のみではやれないので、まあ運輸大臣とか大蔵大臣の方に手続をとらなきやならん。そうしてその結果予算的措置がとられて国会の承認を得なければならないということになるのです。その場合一部十八億が履行された場合に残り二十七億に対しては義務が残るものとお考えになつているか。国会に政府が提出しないで、これはむずかしいのですよ。政府が二十七億の予算を組んで国会に提出して、そうしてそれが国会で否決された場合、これは国会の責任になる。ところが、これは非常にむずかしいのです。政府は予算を編成せずに、予算編成ができませんからこれを御承認下さいと出る公算大である。恐らくその線で来ると思う。そうなると国会は如何ともし難い。そういうことは罷りならん。予算を組めと言つてもこれはあれですよ、別に予算を組めという法律を別に作るかどうか、予算を組みませんというとそれまでになつてしまう。そういう場合に国会が、政府が予算を組んで来たのを否決すればこれは問題ない。国会の責任でこの義務の履行ができなくなる。政府がその義務の履行の途中において重大なる政府が義務の履行をやらない、予算を組まない。関係方面がどう言おうがこう言おうがこれは関係方面ということは表面上法律には載らない。例えば予算を組まないということを承認して呉れということで、これが不幸にして与党が多数のために国会の方でそれを承認した場合は債務を免れたということにお考えになるか。債務が残つておると、一部履行で、後の二十七億の債務が残つておるとお考えになるかどうですか。これは後で法廷で争うことをここで言えということは無理かもしれんが……

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) 実は実情を申上げますと、先程から問題になつておりますところの十八億円自体が非常に問題がありまして、私共といたしましてはまだその後の債務が残るか残らんかということを考えるよりも先決の十八億は何としても出したいということに今全力を注いでおるわけでありますが、その残りにつきましても、先程かち私共ははつきりと債務を負つておるわけでありまして、これを私自身の解釈といたしましては、国会の最後的な裁断がない限りは日本国有鉄道としては債務を残しておる、持つておるものと私は解釈いたすのであります。

原虎一日本社会党

○原虎一君 本日はこの程度で打切られんことをお願いいたします。

平野善治郎民主党

○理事(平野善治郎君) それでは本日は加賀山総裁に対する質問はこの程度で打切りたいと思いますが……

鈴木清一労働者農民党

○委員外議員(鈴木清一君) 委員外議員ですか……

平野善治郎民主党

○理事(平野善治郎君) それではどうぞ。

鈴木清一労働者農民党

○委員外議員(鈴木清一君) 今総裁が債権債務につきまして答えられたのでありますが、この門屋さんの御質問はいわゆる国会がこれを否決したような場合にはということの前提の下に質問されたと思うのですが、それに対して総裁は国会が否決されてもされなくても後まで残る、こういうふうに考えられておられるかおられないかということをお伺いして置きます。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) 国会の裁断がありまして、新たなる予算的措置はしないのであるというふうに裁断されました場合は、その場合は、日本国有鉄道としての債務もその部分についてはいわゆる裁定が無効になつてなくなるのではないかというように私は解釈しております。

鈴木清一労働者農民党

○委員外議員(鈴木清一君) なくなるのではないかと……

内村清次日本社会党

○委員外議員(内村清次君) それは先程の僕への答弁と大部分違うよ。

門屋盛一民主党

○門屋盛一君 それは法律解釈が違うからですよ。

内村清次日本社会党

○委員外議員(内村清次君) 先程僕が言つたのはどこまでも裁定を忠実に履行する、それは義務とお考えになる。それで二十七億だけは残るから、若しも残るというのが十八億は出せるが、その残つた部分の点が国会の即ち議決によつて残つた場合については一体総裁はどうしたらよいかと、こう聽いたのであります。これはまあそれは義務として残ると言つたのです。そう言われた。速記録を見て御覽なさい。

加賀山之雄日本国有鉄道総裁

○説明員(加賀山之雄君) 今仮りに二十七億といたしまして、これに対して政府が予算案を附して国会の議決に附さないという場合は、これは国会の審議にならないわけでございますので、日本国有鉄道としては、いわゆる裁定による義務を負うと思うのでありますが、然らば国会において、例えばこの十八億の支出はよろしいと、併し残りは新たに予算的措置をしないというふうに決定されました曉は、遡つて日本国有鉄道の債務もなくなるというふうに私は解釈いたしております。

原虎一日本社会党

○原虎一君 閉会を望みます。

平野善治郎民主党

○理事(平野善治郎君) これを以て本日の労働委員会を閉会いたします。    午後五時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事      田口政五郎君            平野善治郎君    委員      原  虎一君            村尾 重雄君            門屋 盛一君            田村 文吉君            水橋 藤作君   委員外議員            小泉 秀吉君            内村 清次君            鈴木 清一君   政府委員    労働政務次官  新谷寅三郎君   説明員    日本国有鉄道総    裁       加賀山之雄君    証     人    (公共企業体仲    裁委員会委員    長)      末弘嚴太郎君

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