農林委員会水稲単作地帯対策小委員会 第1号
- 発言数
- 53 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1950/02/07
会議録
○委員長(石川準吉君) それではこれより農林委員会の水稻單作地帶対策小委員会を開会いたします。 本日は昨日委員会においてお諮りいたしましたように、水稻單作地帶の問題の中で、米の生産費、或いは米価の補償というような問題に絡みまして、農家経済調査及び米の生産費というものを通じまして御説明を伺いたいと思います。幸い本日は農業総合研究所の稻葉研究員、及び全国指導農業協同組合連合会の杉村調査部長がおいで下さつておりますので、農家経済の調査につきまして單作地帶、非單作地帶と区別して比較対照の説明を伺いたいと思います。米の生産費につきましては、それぞれ調査の結果につきまして御説明を願いたいとかように思います。それでは先ず最初に総合研究所の稻葉さんからお願いいたします。
○説明員(稻葉泰三君) 私総合研究所の稻葉でございます。ちよつと御了解願つて置きたいと思いますが、私の方の研究所は下部組織を持ちませんので、資料を直接調査するということができませんので、大体資料は農林省、その他の官庁、或いは民間団体ででき上つたものを分折総合するというような研究になりますので、どうしても長期的な保存的な研究に陷り易いのであります。資料といたしましては、大体皆さん御承知のものばかりでございますから、特に資料を作つて参りませんけれども、その点御了承願いたいと思います。 私がこの單作地帶の研究を今やつておる方法から申上げますと、單作地帶がなぜ問題になつたかと申しますと、統制経済ということが大きな原因じやないかと考えておるのであります。で、統制経済の下において、單作農業というものがどういう影響を受けたか。これを確かめることが対策を立てる一番大きな問題ではないかと考えて、この方面から研究して見たのであります。單作農業といいましても、自由経済においては勿論成立したのでありますから、これが問題となるとすればやはり統制経済が影響をしておるのだということが先ず考えられるのであります。單作経済の歴史を考えますと、第一次大戰当時山形の庄内地方でやはり問題になつたのでありまして、当時養蚕が非常に景気が好かつたのですが、庄内の農家は非常に單作で苦しいということを言つたのであります。然るにその後間もなく米価が非常に暴騰しましたので、その問題はそのまま解消したのでありますが、こういう状態で自由経済の下においては單作農業は成立しておつたのであります。そういう関係から見まして單作地帶に先ず影響を及ぼすものとして考えるものは、供出とその価格、それから必需物資の配給の量と、その価格が問題となるのではないかと思います。これは單作地帶というものは農家の技術的な特殊性とどういう関係にあるかということを、研究して見たいと思つてこれまでやつて来たのであります。第一に單作地帶というものは一体あるのかないのか。これが先ず第一に問題になるのではないかと思います。地帶としましては確かにあるのでありますが、我が国の農業経営というものは、いわゆる散地経営と称しまして、外国のような方式の農場というものはないのであります。その関係で、畑作の農家も水田地帶に行つて耕作をしますし、水田地帶の農家も又畑作の地帶へ行つて耕作をしている。而もこれは最近リヤカーができましたので、非常に相当広範囲に亘つて出作、入作の関係になつておる。こんな関係で、單作地帶を決めるということはなかなか困難な問題じやないか。対策を立てる場合にどうしてもこの点を決めなければならんのじやないかと思います。なかなかむずかしい問題があるということで、先ず第一にこの点へ手をつけて見ました。それで日本のこの水田の利用の状況を見ますというと、一毛作田というのが非常に多いんであります。東北、北海道は一〇〇%大体一毛作田で、單作地帶というのはこの辺であるというのが分るだろうと思います。併し関東地帶も七〇%乃至八〇%、千葉のごときは九〇%以上もある。それから裏日本は非常に多いのでありまして、大体七〇%がら九〇%くらいあるのです。新潟は特に多く大体一〇〇%に近い。冨山は少し少なくなりまして四五%、こういうのを全国的に平均して見ますというと、六六%というものは單作地帶になつておるのであります。單作の水田なんであります。三〇%以下の県というものは九州とか、四国に極く僅かあるに過ぎないのでありまして、こういう方面から見ますというと、單作地帶というものは非常に大きな地域に亘つておるということが一応考えられるのであります。 然らばこの農家の状況はどうかと言いますというと、この調査は余り正確なものはないのでございますが、米單作の農家というものは極く僅かでありまして、全国で約十七万戸程度なのであります。だからして、單作地帶の問題になるものは決してこれだけの農家じやないので、もつと大きな数に上るのじやないかという疑問が先ず起るのでありますが、そこで單作の問題が、供出とか税金という方面に仮にあるとしますれば、先ず供出の対象になる農家が問題じやないかということで、この五反以上の米作農家を見ますというと、約二百二十四万六千戸くらいになるのであります。米作をしている農家は全農家の約八四・五%に当りまして、この中の相当部分のものが米を供出しておる、こういう工合に見られるのであります。そこでこの供出している農家が米に依存している程度はどうかという方面から見ますというと、ちよつと先の説明と年度は違いますが、二十二年度、先程の数字は二十一年の数字でございます。二十二年の八月一日現在で見ますというと、農業現金收入で四割以上の米作收入を占める農家というものは約二百万四千戸、農家全体の三四・八%約、三五%農家というものが大体米の收入に依存しているということになるのでありますが、こういう点から考えて見ますというと、この單作地帶という問題は非常にむずかしいのでありまして、或る一地帶に限つた問題じやなくて、相当大きな全国に亘つた問題じやないかというように考えおのであります。この問題はこれ以上の資料がないので、更に突込んで今のところ研究できないでおりますが、然らばこの單作問題の原因というものは、果して何であろうかということを、次に考えて見ますというと、これも余りいい資料がないのでありますけれども、幸い農地局から出ました耕作放棄の調査があるのであります。耕作放棄ということはこれは農家にとつては、最後の手段でありまして、いろいろな原因から来るのでありますから、この資料が一番原因を調べるにはいいのじやないかと思いまして、一応この資料に当つて見ました。この数字を少し申上げて見ますというと、この調査では耕作放棄というものを二つの方面から研究しております。一つは放棄されて荒廃した面積、それから一つは、これは放棄と言つていいかどうか分りませんが、一応或る農家が放棄して或る農家がそれを継承した、つまり單なる耕地の移動であります。この二つの方面から調査しております。これは資料としましては非常に不備なものでありまして、各県に紹介して調べたものでありますが、各県のこの問題に対する関心の程度と言いますか、その点必ずしも統一が取れておりませんので、必ずしもこの数字を以て全国にこの耕作放棄の分布している状況というものは分りませんですけれども、大体この原因というものはこれで分るのじやないかと思うのであります。でちよつと数字を申上げて見ますというと、放棄されて荒廃した、土地を放棄した農家の戸数、これが大体八千五百五十五戸ばかりになつております。勿論この荒廃の面積には災害による放棄は除いて見ました。この八千五百余の農家の放棄した原因を見ますというと、供出が一三%税金が高いというものが四%で、両者のどちらとも区別がつかない、とにかく供出と租税の両方からであるというものが三五%になるのであります。それ以外の、その他という原因になつている……、この内容がよく分りませんが、それが大体四八%というのが、この数字に出ているのでございます。 その次に單なる耕地の移動、つまり或る農家が放棄しまして、或る農家がそれを継承して耕作したというものの戸数もやはり八千九百五十九戸、大体似たような数字になつております。でこれも災害による場合を除いてのことでありますが、その原因を見ますというと、やはり供出が一番多くありまして、一六%は供出がきついという理由になつております。それから税金の高いというのが四%で、前と同じになつております。そうして両者の区別のつかない、どつちであるか区別がつかないが、両者を原因とするものが五四%ということになつております。そうして原因の分らないその他というものが二六%ということになつております。このその他の原因が何であるかということを、この調査では事例で示しておりますが、その事例が山形県の單作、とは言えませんが、まあ水田地帶十ヶ村の例を挙げておりますが、それによりますというと、大体労働の雇用が問題だというのが多いようであります。それから転業したような者もありますが、大体労働の雇用関係から来ているのが多いように考えられます。でこれを面積から見ますというと、荒廃した面積が、供出を原因として放棄されたもので荒廃したものか、田で百四十五町歩、税金で二十町歩、両者の区別のつかない原因のやつが二百二十五町歩、総面積に対して六三%、畑地におきましては供出が百十七町歩、税金が百十九町歩で、税金の重いという理由は田よりもむしろ畑に多くなつております。そうしてこの両者併せてどちらか分らないというものが百七十大町歩、この三者を合計しますというと、全体の六四%がとにかく供出と税金の高いということで放棄され、而もそれが荒廃に帰したということになつております。その他の原因というものは田が三百三十町歩、畑が三百五十一町歩で、畑の方がやや大きくなうております。比率から言いますというと大体両者とも三六・七%ということになつております。 それから單なる移動として、継承という名目で調査されているものを見ますというと、やはり田では供出が一番多くありまして二百四十九町歩、税金では三十町歩、両者の区別のつかないが五百三十四町歩、この三つを合せますと、全体の約七七%というものが税金、供出の関係になります。畑にありましては供出が百二十七町歩、税金では九十七町歩、両者の区別のつかないものが二百二十一町歩で、割合から見ますというと七九%ということになつています。その他の原因によりますものは田が二百四十町歩、畑が百十九町歩、割合から見ますというと田が二三%、畑が二一%、こういう状況になつていますところから見ますというと、畑も田も大体同じである。供出、税金の面から見ますと供出は断然多いが、税金という点から見ますというと田よりも畑の方が多い、こういうことになつております。それではこの移動から見ますというと、田が断然多くなりまして大体畑の倍になりますが、これは一体田が畑よりも経済が苦しいのかどうかということになりますというと、簡單に結論は下せないじやないかと思います。と言いますのは畑をやつている者は食糧関係から非常に田を希望するということ、それから田を專門にやつている者から言いますと、畑を非常に希望するというような現状にありますので、田と畑の交換が相当にあるということが一つ考えられることと、もう一つは水田地帶内部において経営の大小によつて耕作が移動しておる。こういう関係から田の方に多く出て来るんじやないかということが考えられるのであります。大体こういうことで單作地帶の見当をつけまして、それではこの税金、供出というものが單作地帶にどういう工合に影響するかという点を突込んで見たいと思つているのですが、現在のところ食糧庁にある資料以外のことは分りませんので、そういう資料で計算した限りにおいては、どちらが有利か不利かというような資料は出て来ないのであります。ただその供出の量から考えますというと、二十二年は收量が前年に比して減つたのに拘わらず供出が非常に多かつたという点が一つ考えられます。併しこれはこの供出量の中には雑穀とか或いは代替の「いも」とかが入つておりますので、これも必ずしも水田がきついのかどうかということは、この数字からの限りでは結論が出て来ないのであります。この点もなかなかむずかしい問題であります。それから税金の問題でありますが、税金も目下のところ余りいい資料がないのでありまして、私が主として統計調査部で調べました関係の調査によつて、少し当つて見たのでありますが、これによりましても所得と税金との関係だけを見ますというと、必ずしも水田とか畑作に不公平があるというような結論は出来ないのであります。尤もこの資料というものは非常に不備なものでありまして、扶養家族の数とかいういろいろな点が欠けておりますので、この資料から直ちに結論は下せませんが、ただこのアンケートの下の方に少し下つて見ますというと、相当課税の関係からアンバランスがあるのじやないかという点がありますが、併しそれも水田地帶と或いは畑作地帶と、或いは果樹地帶と分けてはどうかということは、今のところ当つておりませんので、はつきりした数字は申上げられません。 その次に価格が問題になるのでありますが、この価格の点につきましては非常にむずかしい問題がありますので、まだ私はそこまで入つておりません。一応バリテイ方式というものがいろいろ批判されなければならないとしましても、現在與えられたるものとしましてそれを前提としまして、実態がどうなつておるかということを研究して見たのであります。その理由はなぜかと申しますというと、現在この農家の経済の実態を見ますというと、一方統制経済で供出その他のもので押えられているに拘わらず、半面におきましては非常に闇売も又あるというような関係で、單にパリテイ方式、いわゆる公定価格というものだけを対象にしましては非常にむずかしい、実態を掴めない。そこで先ず差当り農家の実態から農家経済の状況がどうであろうかということから入つて行きたい。 第二段として価格の方面に更に入つて行きたいという考えで、先ず農家経済の実態に入つて行つたのであります。農家経済の実態ということになりますと、資料は農林省の農家経済調査に限られているのでありまして、この点の詳しい数字は杉村さんからお話になると思いますが、私はこの農家経済調査のまだ確定数字の出ない前の数字で一応概算を当つて見たのでありますが、これで見ますと、農業收入のうち供出といいますか、統制を受けている部面と、自由販売した部面との割合がどういう工合になつているかということを先ず当つて見ました。それによりますと一毛作田は六九%が供出で收入になつております。それから二毛作地帶は五五%、普通畑作地帶が四九%、蔬菜地帶三五%、果樹地帶五一%、これは案外多くなつているのが意外でありますが、一応こういう数字が出ております。養蚕地帶が五四%、それで支出の方は然らばどうかということを見ますと、農業関係の支出におきましては一毛作田の農家におきましては二二%、二毛作の農家では二四%、普通畑作農家では二九%、蔬菜の農家が一七%、果樹が一二%、養蚕が二八%、それから家計上の方で見ますと、一毛作で一九%、二毛作田で一七%、細作が一八%、蔬菜がちよつと計算しておりませんが、大体一七、八%となつておると思います。それから果樹がやはり同様であります。かように供出とか或いは配給とかいう統制を受けている部面が非常に多いのに、支出の方では非常に配給の方が少い。自由購入の面が多くなつている。而も單作地帶といいますか、一毛作田におきましては供出の占めている部分が非常に強いということになつておるようであります。然らば農家の最後の余剰はどうであるか。この点を突込んで見ますと、これは先程も申しましたように私のやりましたのはまだ決算前のことでありまして、正確な数字ではありませんけれども、大体において全部黒字になつておりますが、ただ養蚕だけが赤字という結果になります。非常に大ざつはな数字で間違が相当あると思いますが、これは決算前の数字ですから、あとでその点は杉村さんから訂正して頂くことにしまして、私の計算した範囲内で数字を申上げますと、一毛作田四万三千円、二毛作田一万八千円、普通畑作二万円蔬菜が一方三千円、これが非常に少いのはどういうのか、尚研究して見なければならんと考えておりますが、果樹が一番多くありまして十八万円、養蚕が二千円の赤字ということになります。この赤字というのは私の計算しましたのは兼業收入は考えておりません。農業の所得で家計費を賄えるかどうかという見地からやつて行つたものであります。従いまして農家に実際にこれだけの余剰が残つているとか、赤字になつているという意味じやありません。この外に農家には兼業の收入があるわけなのです、これで見ますと、ずつと私は農家経済調査をやつておりましたが、農業所得だけで家計上賄えたということは、農家経済調査では殆んどなかつたのでありまして、昭和十四年に確かこういう結果が出て来ましたが、後は常に兼業で家計上を賄つておるという結果になつておつたんであります。この最近の結果によりまするというと、こういう工合に農業所得でとにかく家計上が賄われておるということは、これは一つやはりインフレの関係じやないかと考えられます。でこの結果で見ますというと、單作といいますか、一毛作田が必ずしも悪い数字は出て来ておりません。ただここでちよつと考えなければならんのは、先程の数そのものを余剰とは見られないだろうと思います。と申しますのは、インフレの進行中でありますから、稻作のような或る一定時期に資本を投下しまして、それを回收するまでの期間が相当長いという場合は、その間の物価の値上りがあります。従つて先に投下した資本よりも利益が非常に多くなります。名目上の利益が非常に多くなる。それに反しまして蔬菜のような作付期間の短いものにつきましては、物価の値上りが少く出て来ますから、結果としては余剰の小さな数字になるだろうと思います。こういう工合に数字そのものは單作地帶は大きく出て来ますが、それ程單作地帶はよいという数字にはならないのであります。この点は收入と支出の種類分別、物価の値上りの状況等、諸種の点からはつきりしたことは申上げられませんが、これをやりますには相当の日数を要するということでまだ手を付けておりませんが、いずれやつて見たいと思つておりますが、併しこれはどこまでできますか自信がないので、非常にむずかしい問題になります。併しこういう結果から見まして單作地帶はいいとも申せませんが、必ずしも悪いということも申上げられないのではないかと思います。それでは單作地帶はどこに問題があるかということですが、一毛作田を耕作面積の大小によりましてその内容を見てみました。それによりますというと、大体私は農業の、先程計算しました農業の所得を耕作面積で割りまして、反当の所得と、それから農業に従事している人数で一人当りの所得と、二つを出して見ました。そうすると一町歩未満の農家では約一万一千円の反当所得になります。それから一町歩から一町五反歩になりますと、これもやはり一万一千円になります。大体似たところでありまして、それから一町五反歩から二町歩になりますと、少し落ちまして一万円一二町から三町になりますと又落ちまして九千円、それから三町以上になりますと、ぐつと落ちて六千円というような恰好になりますと。どこにこういう欠陥がありますかというと、大体大きい程段々支出が大きくなつているというのが大きな原因であります。その内容に至つてはまだ検討しておりませんが、いずれ統計調査部に行つて、その資料を全部借りまして内容を分析したいと思つておりますが、今のところ原因ははつきりしたところは分つておりません。今度これを一人当りの所得から見ますというと、逆に小さい方が少くなります。一町未満では二万五千円、それから一町から一町五反になると三万五千円、それから一町五反から二町になると四万五千円、それから二町から三町になると下りまして四万三千円、それから三町以上になりますと四万五千円ということになります。これは二町から三町の間で少し減つたのは、従業者が非常に多いのでありまして、この関係じやないかと思います。かように二町を境にしまして反当の、一人当りの所得も下つて来るということは、一つの研究問題じやないかと思います。ただここで申上げたいことは、農林統計を見ましても、大きい農家が非常に減つて、小さい農家が殖えておるという原因は、この辺にあるのじやないかということが考えられます。先程申上げました山形県十ヶ村の耕地の移動の状況から見ても、三町以上の農家がやはり放棄しておる者が多いのでありまして、それを受けておる、つまり継承して耕作した農家は一町、二町のところ大体集中しておるというような格好になつております。この原因を考えて見ますと、單作地帶におきましては従来大きい農家と、小さい農家の二つに分れる傾向があつたのであります。つまり大きい農家は雇用労働を入れて経営する。小さい農家はそれに労働を提供するというような傾向が強く現われておつたのであります。それが戰後になりまして雇用労賃が非常に高くなつた。それから現物給與を要求されるという点、それから家畜の飼料が不足したというような点から、大きい農家が相当経営が苦しくなつて来たというのが大きな原因じやないかと考えられます。 大体私の研究の現在のところはそんなところでありますが、これにつきまして結論を簡單に申上げますというと、こういう單作地帶の結果がよく出ておるというのはなぜかと申しますというと、結局現在の早場米奨励金、超過供出という特殊な政策があるためじやないかと考えております。若しこの制度がなくなれば、單作地帶は相当打撃を受けるのじやないか。農林省の調査課の資料によりましても山形県の僅かの例ではありますが、はつきりと記憶がありませんが、三町歩以下の農家ではこの超過供出と早場米の奨励金がない場合は、すべて赤字になる。三町歩以上だけがこの制度がなくても僅かの余剰が出て来るという結果が出ておつたように思います。こういう結果から見ますというと、結局單作地帶の問題というものは、片方において供出が強化されるに拘わらず、購入方面において闇と言いますか、有田経済に放任されておるという、ここに問題があるのでありまして、これが早場米奨励金と超過供出でカバーされておると見て、大体いいのじやないかと私は考えております、單作地帶の農業の特に特徴といたしましては、收入が或る一時期に限つておる。従いまして金融上の不便があるという点が、單作地帶としては特に考えなければならん点じやないか。それからもう一つは作付転換が不能であるという点であります。これは畑作地帶になりますというと、事前割合によりまして自分の経営を最も合理的に経営できるように、或る程度作物の選択が自由なのであります。従いましてここに自由取引と言いますか、闇取引の余裕も生れて来る。ところが單作地帶ではこういうことが大体において不可能であるということが一つの特徴じやないかと思います。以上が大体私の話の結論であります。で今後私としましては、更に單作地帶の先程申上げました経営の階層別の相違が、どこから出来るかという問題それからもう一つ單作地帶と比較する意味におきまして、農業一般の、他の農業の状態をこういう工合に一つ階層別に分析して見たい。それからもう一つは最後に価格の問題、これを今後研究したいと思つておりますが、又いろいろ皆様の御批判を頂きまして、今後の研究の方法を進めて行きたいと思います。簡單ですが御報告申上げます。
○委員長(石川準吉君) 同じような問題でございますので、引続き指導連の杉村さんのお話を願い、それから質疑応答に入れたいと思います。その前に宣誓書に捺印をお願いいたします。 〔証人宣誓書に捺印〕
○委員長(石川準吉君) それではどうぞ杉村さん。
○證人(杉村乾君) お手許に行つている資料で一つ綴込みの資料と、それからも一つは、二枚になつております農家経済調査概要(昭和二十三年度)というのがありますからお出しを願います。それで冊子の方は、これは実は農家経済調査の仮集計でありまして、中に少々誤差がありますので、これによる説明は止めまして、二枚刷りの方の農家経済調査概要の方によつて御説明をしたいと思います。これは二枚でこういうふうに続けて見て頂くと、非常にいいわけでございます。これは全国農業会が調査をしまして、農林省の統計部が引続いて集計をいたしました昭和二十三年度の農家経済調査の概要でございます。田作地帶で、田作の一毛作と二毛作とに分けまして、経営規模別に経済の内容を比較いたしております。細部に亘ることは、あとで説明しながら出るでありましようが、それで一枚目の下から四行目にあります差引農業所得、そこを御覧願います。差引農業所得であります。最初の半分は一毛作の方で、それから右手の半分は二毛作でありますが、一町未満の方の差引農業所得を見ますというと、六万七千五百九十円であります。今度は右手の方の二毛作を見ますというと、十一万五千円であります。従つて一毛作田の方の一町未満の農業所得は、遥かに少いというふうになつておるわけであります。それから一町から一町五反の間を比較して見ますというと、一毛作田が十二万五千円で、二毛作田の方が十六万円であります。これも一毛作田の方が、農業所得が少いというふうに出でおります。その次に一町五反から二町を比較して見ますというと、一毛作田の方が十六万七千円でございます。ところが二毛作田の方は十九万一千円でありまして、これも一毛作田の方が農業所得が少い。それから二町から三町を見ますというと、一毛作田が二十四万六千円でございますが、二毛作田の方は二十四万四千円で、若干一毛作田の方が所得が多いというふうになつております。それから次に三町以上を見ますというと、二十八万円と三十五万円でありまして、一毛作田の方が遥かに少い。平均して見ますというと、一毛作田の方か十八万円で、二毛作田の方が十六万円でございまして、これは一毛作田の方が若干多いというふうな工合になつております。それから次に農家純所得の欄を御覧願います。そこで見ますというと、同じような傾向が出て参ります。一町未満は一毛作田の方が九万六千円で少い。それから一町乃至一町五反の方も、一毛作田が十四万二千円で少い。それから一町五反と二町未満の方も十八万円で少い。それから二町から三町も、二毛作が二十六万円に対して二十五万円で少いわけであります。それから三町以上を見ましても、二毛作田が三才五万冊に対しまして、三町以上の一毛作田が三十万円で、これも少しということになつております。但し平均を見ますというと、若干一毛作田の方が多いというふうなことになつております。それから二枚目の紙の方へ行きまして税引所得額というのがございます。これは農家所得から租税公課を引いて見た所得額でありますが、それを比較して見ますと、一町未満の二毛作田の方は十一万円でございますが、一毛作田の方は七万九千円で、一毛作田の方が少い。それから一町五反の方に行きますというと、二毛作田の十四万六千円に対しまして十二万一千円というふうで、一毛作田の方がやはり少い。それから一町五反から二町の方を見ますというと、二毛作田が十五万三千円に対しまして、一毛作田の方が十四万五千円で少い。それから二町から三町になつて参りますというと、二毛作田の方が十九万円に対しまして一毛作田が二十万七千円というふうで、これは若干一毛作田の方が多い。それから三町以上について見ますというと、二毛作田の方が二十七万八千円に対しまして、一毛作田は二十三万七千円というふうで、一毛作田の方が少いわけであります。併し平均して見ますというと、一毛作田の万が二毛作田の十四万二千円に対しまして十六万三千円で、多いというふうになつておるわけであります。 それから家計費を比較して見ますというと、家計費の計欄でございます。計欄を見ますというと、一町未満の一毛作田が十万四千円で、これは二毛作田の十一万五千円に比べれば少い。それから一町乃至一町五反の一毛作田の方も十二万二千円で少い。それから次の一町五反乃至二町の方も一毛作田が二毛作田の方より少い。それから二町から三町になりますというと、これは一毛作田の方が若干多いわけであります。それから三町以上になりますというと、一毛作田の方が十九万七千円で、二毛作田の方が二十万円で、一毛作田の方が少いということになつております。 それでは一人当りはどうかということは、最初の頁の一番前の方に家族員数がありますので、それによつて出て来るわけでございますが、一毛作田と二毛作田を見ますというと、男女計のところで一町未満が六・七人、二毛作の方は六・八人、一町乃至一町五反は七・一人で同じであります。これで割当てて行きますと、農家の生活水準から行きましても、一毛作の法は二町乃至三町を除いては、階層別に見ますというと少いというふうになつておるわけであります。二枚目の方の家計費の更に下に行きまして、差引農家経済余剰又は不足の方に行きたいと思います。それを見ますと、やはりここでも同じような傾向が出ておりまして、一毛作の方の一町未満の赤字が二万五千円であり、二毛作田の方は四千七百円でありますので、差引農家経済の赤字は一毛作田の方が多い。それから一町乃至一町五反を見ましても、同じように二毛作田の方が黒字の五千五百円でありますが、一毛作田の方は赤字の一千円になつており、一町五反から二町を見ますと、二毛作田地帶が赤字七百円に対して一毛作田は黒字の百四十円で趣が変つて来ております。二町乃至三町を見ますというと、二毛作田の二万五千円に対して二万八千円、それから三町以上を見ますというと、一毛作田の方が少いというふうになつておるわけであります。それから一番下のところに経営耕地一反歩当りの農業所得、総所得が出ておりますから、そこも序でに御覧願いたいと思います。これで見ますというと、一町未満を見ますというと、農業所得の場合は、二毛作田が一万四千円に対して、一毛作田が七千八百五十九円で、これは一毛作田が少い。それからその次の一町から一町五反においても同じく一毛作が少い。その次一町五反から二町においても同じく一毛作が少い。それから二町から三町の間も一毛作田が少い。三町以上も同じく一毛作田の方が一反当り農業所得は少いのであります。それから農業総所得でございますが、それを見ても同じように一毛作田の方がいずれも二毛作田よりも少いというようなことになつております。それで総平均を見ますというと、一毛作田の万が所得が少いという傾向であります。総平均について見ますと、それぞれ違いが出ておりますか、この調査は調査農家の捕え方が戸数において、一町未満が一毛作の場合に六戸というふうに調査戸数による影響が相当あるのじやないかというふうに思われるのであります。それで傾向として一毛作は二毛作に比して経営農家の経済が良くないというふうに言い得るわけであります。昭和二十三年度の一ケ年間の調査によりまして、全体の傾向を推し計ることができるかどうかということは、いろいろ問題がございましようけれども、この一毛作二毛作の開きが今後どういうふうに展開するかは、爾後取らるべきところの農業政策の如何によつて非常に違つて来ると思います。單作地帶は申上げるまでもなく災害の発生が多いわけでありますが、終戰後はまだ大きな特記すべき事項というものはございません。従つて單作地帶の農家は一般的に言いますれば、その経営形態の脆弱牲がまだ露呈されないでおるという段階であると思います。一度大きな冷害とか災害が来ますと、につちもさつちも立上れないようになつて来る危險性が相当大きいわけであります。それから先程稻葉さんのお話のように、米作に対する依存度は、二毛作よりも一毛作の方が多いわけでありますが、終戰後の政策を見ますと、稻葉さんのお話のように早場米、供出奨励金等によりまして、單作地帶の農家は比較的二毛作地帶よりも半価の上において有利な立場に置かれておる、その面において有利であるというふうに言えると思います。従つてそうした制度が撤廃された曉においては、單作地帶の農家経営はどうなるかということは、非常に大きな問題として採上げなければならんというふうに思うわけでございます。それから終戰前に比べての一毛作地帶の経営の変化を見ますと、農地改革によるところの経済的な好影響は、二毛作地帶よりも一毛作地帶の方がより多く受けているということが言えるかと思います。それからこれも先程稻葉さんのお話がありましたけれども、一毛作と二毛作を比べて見るというと、農業收入の入り方が一毛作の方は一定の期間に限られて多くのものが入つて来る。従つてインフレが進行する過程においては、経営経済の運営が頗るむずかしくなつて来るので、お手許に農業手形の状況の調査が行つておりますけれども、これは昨年の六月頃のもので古いわけでありますけれども、單作地帶等において、その金額が多いというようなことは当然なことであります。 それから税の問題等から見ますというと、單作地帶の方が農業生産の公開性と申しましようか、それより裸になされて税が取られるというような結果になつて、これも單作地帶の農家から見ますというと、不利な立場に置かれておるのじやなかろうかと思われる点だと思います。供出の場合においても二毛作に比べて、單作地帶の農家は生産量が直ぐ掴まれるので、うま味のないところの供出になつて行くわけであります。そんなふうなことで二毛作地帶に比べますというと、單作地帶の農家はどうしても経済上において不利な点にあるというふうに思うわけであります。それから生産費において、單作地帶と二毛作地帶との差が、どうかというような点を見ますというと、実はこれは余り大きな差異は出て来ないようであります。それで反当所得を見ますというと、昭和二十三年度の米生産費調査によつて見ますというと、全国平均が九千九百三十一円、これが反当でありますが、東北八千八百九十四円、関東が一万一千百十九円、東海地区が一万七百九十八円、それから北陸が八千九百九十七円、近畿が一万一千八百五十六円、中国が八千六百八十九円、四国が一万十九円、それから九州が八千七百三十円、これが農林省の昭和二十三年度産米生産費の数字でございます。ここでは單作地帶の方が反当生産費が高くつくということは、一概には言い得ないのじやないかというふうに思うわけであります。お手許に行つておる生産費の調査は、実は昭和二十四年度の推定生産費の数字でございますが、これは実は收量が確定しないときの調査でございまして、これは二十四年度の止め草までの実績と、それからあとは推定によつたものでありますけれども、大体七割程度は実績でありまして三割程度が推定でございますけれども、これによりましても單作地帶の方が生産費が少ないというふうな傾向は出ておりません。それで今申上げたことを結論的にもう一度申上げますというと、昭和二十三年度の農家経済調査によりますれば、單作地帶の方の経営は二毛作地帶に比して良くない。併し良くない経営経済も終戰後におけるところの早場米の供出奨励金や、その他によつて辛うじて支えられておる。それでこの政策が撤廃されたとしますというと、経済が相当困つた場面にぶつかるだろう。それから終戰後は大きな災害等はなかつたので、比較的に單作地帶の農家もどうやらこうやら経営はやつて来られたけれども、一旦大きな冷害等がありますというと、につちもさつちも動かないような事態に入るのじやないか、従つてこうした点を考慮しまして現在今から早急にもつと強靭な経営が成立つような諸施策が講じられなければならないというふうに思うわけであります。以上簡單でございますけれども、御報告といたします。
○委員長(石川準吉君) 只今の総合研究所の稻葉さんと、全指導連の杉村さんの御説明に対する御質問がございましたらば、一つお願いをいたしたいと思います。
○羽生三七君 内容に入つてのお尋ねではないのですが、非常な詳しい調査を教えられて非常に敬意を表するわけでありますけれども、この調査の対象になつた戸数が非常に少いようでありますが、若しこれを全般的にもつと広範囲の対象農家を調査した場合に、やはり大体同じような結論に到達するというようなお考えですか、その辺どうでございましよう。
○證人(杉村乾君) 昭和二十四年度は農家経済調査を五千やつておりますから、それによつて見ないと分りません。
○羽生三七君 ですから、そういう広い範囲の調査をした場合には、現在いろいろ御検討願つたようなことと多少、若干の相違があることもあり得るということは言えるのじやないですか。
○證人(杉村乾君) あり得るが、まあやつてみなければ分かりませんですが、大体こうした傾向は出て来るだろうというふうに想定されます。それで現に生活程度なんか見てみましても、はつきり看得されると思いますけれども、こうした傾向は恐らくより多くの数を掴えても出て来るだろうというふうに考えます。
○羽生三七君 それからもう一つお尋ねしたいのですが、そういう場合の調査対象になる場合には五千戸なら五千戸を、地理的に或る地方に偏すいるとか、何か地理的分布を全般的にお考えになつておるとか、その点どうでしよう。
○説明員(稻葉泰三君) 明日ですか、明後日ですか、統計の経済課長が来て詳しくお話になると思いますが、これはサンプリングの理論に基きまして代表的なものを選んでおりますから、偏することは恐らくないと思います。ただ五千戸というものの分布が果して適当かどうかということは問題があると思います。普通の家計調査なんかですと、大体千分の一ぐらいですか、ですからその数から言えば農家経済調査も大体いいのじやなかと思います。
○羽生三七君 もう一つさつき杉村さんの御発言の中だと思いますが、農地改革の結果として現われた経営上の有利な條件というお話ですが、單作地帶の方が多くなつているという、これをもうちよつと詳しく御説明願いないでしうか。
○證人(杉村乾君) 実は資料等作つておりませんけれども、従来、戰争前に比べて單作地帶の経営がどうかという問題で、米の生産費を見ましても、そう二毛作地帶と一毛作地盤と大きな相違がないというようなこと、それから農家経済の状況を見ましても先程説明のような開きはございますけれども、通年的にはもつとひどい広がりがあるのじやないかというふうに思われるわけでありますが、それが單作地帶の方は一つは農地改革によるところの好影響によつて緩和されるのじやないかというような感じなんです。それで従来の地主的な支配と申しまするか、言葉は変ですけれども、こうしたものがやはり東北や北陸の方に多かつたと思うわけです。それが農地改革によつてなくなつたので、相対的には單作地帶の方が有利になつたと、こういうふうに見たのです。
○羽生三七君 そういう場合はまあ古い支配的な勢力が後退し、いわゆる封建的な支配という点では非常にそういうものの勢力が退却したわけですが、純経済的な面で何かそれを示唆するようなものがありましたら……。
○説明員(稻葉泰三君) それは私の言いたいのは、政治的なものでなくてやはり小作料そのものの低下ということなんです。
○羽生三七君 成る程、具体的に言えばね。
○岡村文四郎君 稻葉さんにちよつとお尋ねしたいと思うのですが、稻葉さんのお話に單作地帶というものの区分が非常に面倒だ、というのは我々もそう考えておるのですが、二毛作ができるのに、経営その他の関係でやらないところもありますが、全国的にどこの県でも單作のないという県は殆んどありません。そこで私共は單作と見たいという場所は、今東北で二毛作の研究をやつておりますが、まだ自信のある成果が上つておりません。そこで大体二毛作ができないという地帶は無理すればできるのですがいまだ結果を見ておらんから、先ず東北六県、その外に二県もありますが、北海道のような所が單作地帶と、こういう目で見ることが妥当であるのに、今までも随分政府当局にも相談をしましたが、一毛作の限界が非常に面倒で、例えば北海道のような豊凶の非常に激しいところ、これは何かせんければいけないというので一昨年でしたか、去年でしたかから、一億円を今貰つておるわけなんでありますが、今後もそういうわけで例えば、この関東地帶で私は二毛作ができるのに一毛作しかやつておらんという地帶の面積を、拾つてみたのですが、非常にこれは多くなる。そこでこれは單にやらないというのでなしに、経費その他労働の関係でできないのがあるようですが、こいつをその限界がはつきりしないと非常に面倒なので、それを一つ答弁のできるような限界点を、握るような御説明を願いたいと思うのです。 それからもう一つは、今後調査をされる場合に、これは稻葉さんにも杉村さんにも両方なんですが、單作地帶と二毛作地帶の農家の家計費が、割合に変らん統計が出ておるのであります。そこで、支出したものを掴んで言うのでなしに、單作地帶の農家そのものと、二毛作地帶の農家そのものの風俗なんです、身の廻りなんです、そこで温かい所と寒い所は当然支出が違うようなんですが、どれだけ辛抱して金を出さないでおるかというところを見て貰わないと、單なる数字に上つているものを見て貰つては駄目だと思うのです。日本で本当に單作よりできないという場所は今になつてみると、研究しておりますが、北海道以外には非常に疑義を持つておるわけでありますが、そうすると私共廻つて見た目によりますと、二毛作のやれますところの農家は、家計費においてはさ程違わんかも知れないが、いわゆるそのものについては実にみじめな風俗であると思うのです。その点大いに研究して貰わないと、一毛作地帶の悪さも分らんと思うのです。
○證人(杉村乾君) 稻葉さんも私も同じ東北の者ですが、先程のこの数序において、家計費において二毛作より一毛作の方が悪いという、余り大きな変化がないという問題、これはやはり東北地帶は冷害があれば一遍に参つてしまつて、それで固定資本的な、そのものがやはり買えないでいるのです。それが終戰後は早場米奨励金等によつて、一応インフレでこの線までようよう来たのだということを示しておると思うのです。私はこの線でありながらやはりそういう購入するのに金のかかる物はなかなか購入しないでおつて、生活程度の実質的内容が低いということだと思います。今後価格政策等がどう変るか知りませんけれども、若しも今の早場米奨励金等がなくなれば、相当程度落ちて来ると思います。
○岡村文四郎君 そこでよく御理解されておるのでありますから、大変結構なんでありますが、單作農地といいますと、御承知のように多く冷害、凶作を受け易い場所であります。そこで二毛作地帶は割合に少いのと、どつちか一方悪くても一方取れるという安心感がある。一毛作は悪ければそれつきりでそういう口で言えないものも統計に何らかの方法によつて出す必要がある。これは一生懸命やつて貰つておるつもりですし、非常に御研究を願つて敬意を表するのでありますが、我々も共にそういうことを御研究して貰う人方の手足になつて、そうしてこれをものにするのでなければ、研究ばかりしていたのではものにもならんので、今あせつておるわけでありますから、特段の御協力をして頂いて、何とか目鼻をつけたいという考えでありますから、よろしく願います。
○説明員(稻葉泰三君) 私からもちよつと申上げます。先程申上げましたように、現在の資料ではなかなかその点が突込めない、今後の研究として残つておる問題であります。実際一毛作で行くか、二毛作で行くか、農家の資力の問題に非常に関係する。自然的には決まらない。現在のところそういう調査というものはありません。いろいろな方面において今後土地利用調査というものを大々的にやれば、その点も明らかになつて来ると思います。
○岡村文四郎君 杉村さんからのお話のように、早場米奨励金というもの、これは單に東化、北海道だけでなく、早場米奨励金ですから、これはどこでも出さなければならないことになつておりますが、狙いはそこであります。政府も苦しいがよくやつておる。一昨年は九十億、去年は七十三億で終つておると思いますが、あれで潤おつておるので、御承知の通りあれがなくなるということもそう遠くないと思います。幸いに終戰後、戰争始まつて以来割合に農家の経済がどうにもならんというような調査がないものですから、これは大変恵まれて来たと思うわけでありますが、これは前にあつたから今後もあるということが、私は言い得ると思う。そこでそれの準備ができておりませんから、杉村さんのお話の通りに若しあるとべしやんこになる。單作地帶は国家の大きな非難の的、救済の的になつて、実にみじめなことが来ると思います。又今にそういうことになることがあるということで、特段の努力を願います。
○委員長(石川準吉君) 御質問ございませんか。今杉村さんの御説明になつた「農家経済調査概要」、この平均ということは何の平均ですか。
○證人(杉村乾君) これは全戸数の平均だと思います。
○委員長(石川準吉君) 調査戸数でなくて、全戸数の……。それで私非常に気にかけたのは下から三つ目の「差引農家経済余剰又は不足」というのがありますね、ここで一毛作の方は、調査戸数では殆んどマイナスですね。平均で行きますと、一毛作の方が一万七十円、二毛作の方は僅か四千一百二十三円であります。
○證人(杉村乾君) 説明を省きましたが、一毛作の方は六戸、二毛作の方は五十七戸入つている。それでこの戸数によつて非常に大きな影響を受ける。従つて平均の方は意味がないというふうにむしろおとり願つた方がいいのじやないだろうかと思います。
○委員長(石川準吉君) 人口平均の方は、一毛作の方が有利で、二毛作が不利だという結果が出て来るので……。
○説明員(稻葉泰三君) そこはそういう意味でございますから……。
○委員長(石川準吉君) 今、お話があつたのですが、成る程農村インフレによつて單作地帶と称する東北、北海道の寒冷地帶の方は、一応基礎ができたので、こういう結果が出て来たと思いますけれども、例の水害、あれによつて打撃を受けたわけであります。今後いろいろな打撃が来ると思いますが、現在我々が東北、北海道を廻つて見ますと同じ目で関西を見て参りますと、数字は変らなくても実際の内容がうんと変つている。従つて本当の原因はどこにあるか、数字上の問題でなく、勿論数字上の問題は必要であるけれども、更に突つ込んで実態の原因、これが欲しいと思います。それらにつきまして十分一つお願い申上げたいと思います。
○證人(杉村乾君) 今の東北地帶は戰前も非常に悪かつたということと、三、四年に一遍冷害があれば、それで何ケ年の余剰というものは赤字になつて負債になるということであります。関四方面の二毛作地帶になれば、比較的弾力性を持つているので、毎年一定のものを蓄積ができて来る、そういう相違が出て来ると思います。ここで一毛作、二毛作ではこれだけの相違があつて、ここまで来たというのも一時的な現象かも分らん。又一毛作田に帰るかも知れないという心配を非常に持たれると思います。
○委員長(石川準吉君) 速記を止めて。 〔速記中止〕
○委員長(石川準吉君) 速記を始めて。
○小川久義君 どうも單作地帶の定義がはつきりせんために、富山県なんか單作地帶でないという学者の説が出ている。なぜ單作地帶でないかというと、紫雲英を作るから二毛作だ、こういう学説が出たのですが、御承知の通り冨山県は全耕地の九二%が水田であります。僅かに麦なんか無理に作らしているけれども、これは殆んど自然害、病虫害でできておらんという実情にも拘わらず、紫雲英を作るから二毛作地帶だ、こういう学説が出ているのですから、御面倒なはつきりしない問題でしようが、僕は二毛作をやろうにもやれんということですね。冬期に雪が降るということもありますね。東北にしても、北海道にしても、北陸にしても雪が降るために、その期間の作業ができんそれから作れましても雪に水分が多いために濕潤害と言いますか、そのためにやれんということ、作りたくても作れんということも、單作地帶の一つの重大な條件じやないかと考えられるのでございますので、その点をお含みの上で成るべく早く單作地帶の定義をはつきりして頂いて、特に先程からお話のある、又この表に現われておる通り、早場米の奨励金であるとか、いろいろな施策があつてさえ、二毛作地帶よりも恵まれていないということは確かですから、これがなくなつたときは……。我々は一生懸命にやりますから、あなたの方も一つ速かに何かの結論を出して頂くようにお願いをして置きたいと思います。
○羽生三七君 これはどうでしよう。例えば單作地帶は、先程お話があつたように、統計上必ずしもそう著しく不利ということは出て来ないが、併しそれは早場米の奨励金その他の関係で今カバーされておる、これはよく分るのでありますが、その反対に二毛作地帶のものが、非常に経済市況に影響されて、換金作物を不断に次から次へと考慮して行かなければならん、そういう面もあるわけです。そういうのがちつとも安定していないというのも一面にはあるわけなんで、そういうことはやはり調査なんかには多少御考慮になつておるかどうか、一つの例を挙げて申しますと、例えば私は長野県ですが、比較的二毛作地帶が多いわけなんです。勿論一毛作の所も相当ありますが、そういう場合に、果樹をやつたり、桑園をやつたり或いは果樹なんかこれは別の問題ですけれども、桑園をやる、それから野菜を作る、今度は野菜の中でも附近の町で需要するものを作つて見たり、或いはそれじやいかんということで、何か花なんかを作つて見たりして町に出すとか、不断に変化して、少しも安定しておらない。ですから経済市況の影響で不断に対象の作物を変えておる、非常に不安定だという話が出ておるのですが、今日対象になつておる問題は、單作地帶の例ですけれども、統計上そういうものを比較する場合には、そういう状況も多少は今後対象として調査する必要があるのじやないかと思うのであります。
○證人(杉村乾君) これは実は私説明が不十分だつたと思いますが、二毛件より一毛作がそう悪くはないという表現は、私は使つたかも知れませんけれども、内容をよく検討して参りますと、例えば農業收入の面でもう一度御覧願いますと、一枚目に農業收入とありますが、現金、現物の計がございますね。尚一町未満を見ますと、二毛作の方が十五万円ですが、一毛作は九万三千円、それから一町五反が二十万円に対して十六万円というふうに相当大きな開きがあるのです。これは而も現在の農家の経営から見ますというと、一町歩の農家が絶対的に多いということが言えるのです。それが一番下に行つて二枚月の一反歩当りの農業所得を見ましても、一番しまいの経営耕地一反歩当り農業所得、これは二毛作の方が一万四千に対して一毛作は七千八百円という数字なんです。それから一町乃至一町五反は一万三千円に対して一万円という数字です。さつきの平均という問題はこれは相当戸数によつて違いますが、それによつてもその平均をとつても一万二千円に対して九千二百円というのは相当大きな開きである。この調査はこういうふうに言えると思います。これだけのものを、現在は或る程度の政策によつて実施しておるんだかう、もつともつとその政策を実施されにや私共はやつて行けないということの説明になるわけなんです。これはその農業所得の面であとは見ても、大体同じような傾向で相当大きな開きがあるというように一つ御覧願つた方がいいのじやないかと思います。
○專門員(安樂城敏男君) この單作地帶というものを論じられております前提は、單純に單作地帶であるということと、一つ裏腹に寒冷積雪地方が食いついて論じられておると思いますが、そこで一毛作、二毛作農家経済調査によりまして、この一毛作というのは全国に拡がつた單作地帶というものが総平均して考えられておるか、或いは北海道、東北、北陸という寒冷積雪地一帶というものに重点を置いた一つの何を拾い上げておりましようか。内容は分りませんでしようか。
○説明員(稻葉泰三君) 数字をはつきり覚えておりませんですが、大体において一毛作田は東北に多いんです。全体が五百二十五戸ばかり、その中百四十何戸が一毛作田の農家になつておると思います。その大部分は東北とか、いわゆる單作地帶と言われておるところに集中しておつたと考えております。
○專門員(安樂城敏男君) この一毛作として挙げられておりますのは、数字は北海道、東北、北陸……
○説明員(稻葉泰三君) 北海道は大してありません。
○專門員(安樂城敏男君) この数字の拾われておるのは……
○説明員(稻葉泰三君) 大体において多く拾われています。二毛作は全国で西に多くなつています。
○專門員(安樂城敏男君) 寒冷積雪單作地帶であるというものと、然らざる地帶との開きと考えてよろしうございますか。
○説明員(稻葉泰三君) 大体そういうような工合に考えています。誤差が非常に少のうございますから、農家の個性が強く現われておるという一般的な傾向として、歪められた点が出て来るのじやないかと思います。
○專門員(安樂城敏男君) それから先程お話になりました統制経済によつて温存されたと考えられる、特に早場米奨励金だとか、超過供出奨励金とかいうようなものを差引いた場合にどうなるかというような御調査はありませんか。これを計算上作り変えたような……。
○證人(杉村乾君) それがどの程度かということは、実は四枚綴つておるやつです。この方の二枚目の裏にb一町—一町五反平均、そこで一毛作田現金收入、供出收入合計六万円、奨励金は五千五百五十九円というのが載つております。これは仮集計ですから誤差があると思いますけれども、大体の程度は分ると思います。
○説明員(稻葉泰三君) 私からもちよつと、あの経済調査は戸別的に当つて見ないと正確な数字は出ないと思います。もう一つ山形県の二十戸だかについて調査課でやられました資料の中に、それを省いた場合の数字が出た資料があるのでございますが、極く僅か二十戸ばかりの農家について、先程もちよつと触れましたが、それによりますというと、三町歩以上は大体黒字になるのでございますが、三町歩未満の経営ではその奨励金がなくなれば全部赤字になるという結果が確か出ておつたと思います。
○委員長(石川準吉君) と言うことは米価が安いということですね。
○羽生三七君 これは変なお尋ねですが、農家支出の場合、單作地帶と二毛作地帶という場合ですが、例えば單作地帶の人が、さつき岡村さんのお話になつたように非常に乏しい生活をしてみずからを守るに汲々としている、そういう実情は正にその通りでありますが、そういう場合に本当に必要な物が買えたというやつが出て来ておるのか、それとも一般的な一年々々平均するとこの程度の衣料、こういう物がいるという、そういう統計のとり方でしようか。どうなつておりましまうか。
○證人(杉村乾君) もう一度これの一番しまいの頁を御覧願います。そうすると家計費の比較を実はしてあります。これは実は第一生活費の飲食費の中に、嗜好費は便宜上入れてありますけれども、こんなふうになつておるわけです。第一生活費、第二生活費に分けまして、飲食費として主食物、米、麦その他、副食、調味、嗜好、この嗜好というのを実は第一生活費から取るべきでしようけれども、実は集計上便宜的に入れて見たわけです。それと第二生活費の比較をして、一毛作、二毛作の全体及び一町—一町五反を見ておるわけですけれども、これになつて見ますと、主食物は一町乃至一町五反のところを見ますと、一毛作田の方が二五・九%で多いということです。それから嗜好飲食費の方を見ますと、七・一%で、これは少いということが出ております。それで非常に大きな相違というのは、いずれにしても出て来ませんが、若干の傾向はこれから見られるわけなんです。それでこの調査は勿論現実に使つた現金と現物を押さえておるわけなんです。
○羽生三七君 分りました。
○專門員(安樂城敏男君) それからいま一つ、戰前の農家経営調査の成績を單作地帶と二毛作地帶というふうに分けて検討せられたものがないでしようか。
○説明員(稻葉泰三君) ありません。
○委員長(石川準吉君) 別に御質問もなければ、時間も参つたようですから、今日はこの程度にして委員会を閉じたいと思います。 午後零時三分散会 出席者は左の通り。 委員長 石川 準吉君 委員 門田 定藏君 羽生 三七君 柴田 政次君 加賀 操君 岡村文四郎君 小川 久義君 事務局側 常任委員会專門 員 安樂城敏男君 説明員 農林事務官 (農業総合研究 所研究員) 稻葉 泰三君 証人 全国指導農業共 同組合連合会調 査部長 杉村 乾君