農林委員会 第21号
- 発言数
- 30 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1950/04/06
会議録
○委員長(楠見義男君) 只今から委員会を開会いたします。 本日は主として「自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案」につきまして、その提案の理由を伺い、更にその内容についての一応の説明を先ず以つて伺うことにいたします。最初に政務次官から提案理由の説明を伺います。
○政府委員(坂本實君) 自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案の提案理由を御説明いたします。 御承知のごとく農地改革の事業は、農地及び牧野の買收並びに売渡を終りまして、目下はこれに伴う登記事務の促進に努めている段階でありまして、概ね所期のごとき目的を達成すること証かできました。この間における多数関係者の努力に対し敬意を表しますると共にこの大事業がさしたる支障なくここに一応の完了を見ましたことは同慶に存ずる次第であります。 さて右のごとき農地改革の段階に臨みまして今や問題は農地改革によつて達成せられた成果を恒久的に保持するところの方策を確立すべき時期であると考えます。即ち今回提案致しました農地関係改正法案は、この趣旨におきまして、現行制度によりまする政府の農地及び牧野の買收につき、一時点を劃しますると共に、今後に一定の制限を超えて生ずる小作地につきましては、農地改革によつて立てられた諸原則を恒久的に実現して行くとの精神基いて、その自作地化を図つて参るための新たなる方法を規定いたしておるのであります。 改正法案の骨子を申上げますと、第一に、本年二月十一日以後に自作農創設特別措置法第三條に該当する小作地が生じたいといたしましても、同法による政府買收はこれを行わないことであります。尤も同期日以前の事実に基いて当然政府が買收すべきであつた小作地等いわゆる買收洩れのものにつきましては、飽くまでも同法の規定を適用して政府買收を続けることは申すまでもありません。 第二に、本年二月十日以後に自作農創設特別措置法によれば政府買收に相当する小作地、即ち不在地主の小作地又は平均一町歩を超える小作地を生じました場合には、政府買收に代えて、農地委員会の定める計画により、土地所有者より耕作者に強制的に譲渡せしめることといたしたのであります。従つて土地所有者に対し新たに農地証券を発行することを廃すると共に、土地を取得せんとする者に対しては、政府において適当なる資金供給の方途を講じたいと考えておるのであります。尚従来のいわゆる認定買收及び宅地の買收は、現行法により買收すべきものを除いて、将來は、これを取止め、農政問題の処理を農地委員会において簡單明確お処理し得るものに止めましたが、その理由は恒久制度といたしましては、問題を重要点に限定して、その正確且つ円滑なる実施を確保したいと考えるからであります。 第三に市町村における農地委員会と農業調整委員会を合体して新たに農業委員会を設け、農業に関する諸般の問題をこの委員会において処理することといたしたのであります。このことは財政上の理由によりますると同時に、今後の状況におきましては、一個の農民を代表する委員において直接農民に利害関係の緊切な問題を全般的に処理して行こうとするのでありまして、いわば恒久的な制度としての農地委員会の発展の当然の帰結であると存ずるのであります。又新たなる農業委員会といたしましては、委員会の構成について現行制度よりも一層実態に即するように小作農及び中位以下の経営規模に属するもので小作的と考えられるものを一号階層として五名、耕作の業務を営む者で右に該当しないものを二号階層として十名、合計十五名といたしました。 以上の外改正を加えた事項もございますが、御参考のため御手許に法律案の要綱をお配りしてありますから、それについて御覧いただきたいと思います。何とぞ愼重御審議の上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
○委員長(楠見義男君) 只今政務次官から御説明がありましたように、お手許に法律案の要綱が配布されておりますので、この要綱に従つて先ず予め説明を伺つた方が審議の便宜上いいと思いますから、そういうふうにいたします。要綱について説明して頂きたいと思います。
○政府委員(山添利作君) その要綱につきましては、只今の提案理由に書いてあることで盡きおりまするので、もう一つ別に「自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案における改正事項」というのが配つてございます。これにつきまして極く簡單に御説明を申上げた方がいいと思います。この活版になりました「自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案要綱」の第一の一に「此の改正法律施行の日以後」とありますのが、法律案では今年の二月十一日とこういうふうになつております。その点だけ変わつた点でございます。ここにあります要綱につきましては、以上申上げましたように全部が提案理由の説明の中に出ておりまするので、「自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案における改正事項」というのを御説明いたします。 第一は、一定期日後における政府による農地の強制買收及び認定買收の特例と書きましたのはこれは、本年の二月十一以後におきまして、自作農創設特別措置法第三條に該当するような不在地主の小作地、不在地主の小作地と言うとおかしいのですが、不在地主になりましたとか、或いは小作地が都府県平均一町歩を超えました場合の、超えた部分というようなものを政府が買收するということをしない。でありまするから、事実上、自作農創設特別措置法の運用は買收洩れのものを除きまして、今後新たに生じまするいろいろな農地の事情の変化についてはこれを適用していかない、こういう即ち一時期を劃する、こういうのであります。これは牧野におきましても同様でございます。この事柄は、第三條の但し書をつけておるわけでありまして、この農地改正法案新旧対照の第三條第一項の但し書を御覧下さいますと、こういうことになるのであります。それから認定買收の特例と申しまするのは、第三條五項の但し書にございまして、耕作の業務が不適正であるというような認定の下に、政府が強制買收する規定がございまするが、これは五年も六年も先に経つて、お前のやつているところは不適正じやないか、こういうのでは問題がこんがらかつてしまいますので、現に二月十一日以前の状態で不適正であるというその状態が、依然として将來も続いておるというときにのみ、この第三條第五項が適用になるという意味であります。 それから二番目の農地買収に附帶して買收する牧野、宅地又は建物について、その買收の申請の期日の制限、これは第十五條でございまして、この第十五條の但し書に、昭和二十五年六月二十旧までに政府が買收すべき旨の申請があつたものに限つて買收する、こういうので期限を付けまして、それ以後におきましては、こういうことをやらないというわけであります。 それから第三番目の交換分合により生ずる交換差金の徴収、第二十六條の二といいまするのは、これは極めて簡單なことでありまして、現在政府が農地を売りました年賦金の取立てを市町村にやつて貰う規定がございます。これは農地の政府の売拂代金のみならず、政府が農地の交換分合するそのときの交換差金につきましても、同様市町村に取扱つて貰う、こういう意味であります。 四番目は、政府にによる農地先買制度の廃止、第二十八條であります。これは消えるのでございますか、この規定は、政府が農地を売渡した、ところが売渡した人は、これを自作農目的に共まして、自分で自作を止めよう、百姓を止めようというときには、政府がこれを買戻しまして、そして又、次の自作農になるべき人に売渡すという規定でありましたのを廃止をいたしました。これは廃止のしつ放しかと申しますると、実はそうではないのでありまして、農地調整法の方に規定を設けまして、このような場合におきましては、市町村農地委員会、今度の制度によりますると、市町村の農業委員会におきまして強制移転の計画を立てる、その市町村の農地委員会の立てました計画に従つて、元の所有者から新たなる耕作者に土地が強制的に移転されて行く、即ち政府が中に入るという、介入することだけを除いたのであります。実質的には、こういう制度が、別の形で残るわけであります。 それから五番目の未墾地の買收対価の基準、第三十一條第三項であります。これは中央農地委員会というのが法文の上に顏を出したということでありまして従來も時価を参酌してこれを定めるということになつておりましたが、当該土地の近傍類似の農地を参酌し、土地以外のものにあつては、時価を参酌するということになつておつたのでございまするが、これを要するに中央農地委員会というものを表に出したのでありまして、これは現在でも中央農地委員会が、そういう基準を定めておりました。内容的には変更はございません。 それから、六番目の一定期日後における牧野の強制買收及び認定買收の特例、第四十條の二。この事柄は、先に農地について申上げましたのと同様でありまして、今年の二月十一日以後、自作農創設特別措置によりまして政府が買收すべきものというような牧野が、小作牧野等が生じましても、これは政府が買收をしないというのであります。 それから第七番目は、未墾地の売渡し計画についての公告、縦覧、異議申立及び訴願の手続等についての規定でありまして、第四十一條第二項であります。これは従來と内容的に変つたことはございませんのでありまするが、法律の準用規定等の手続上の関係で直したのであります。 八番目に、未墾地牧野の売渡対価の概定、第四十一條の四、これも内容的には従來と何ら変りはございません。今までは、この條文、未墾地等の対価の関係は、規則等で規定しておりましたのでありますが、これは当然法律に規定すべきであるというので、これも実質的には変つてはおりませんが規定の整理であります。この八の未墾地牧野の売渡対価の規定というのは、結局原則的に申しまして、政府が買いました値段そのままで売る、若しくは政府の所有でありましたものを、保管転換をいたしまして、開拓財産等として売るということであれば、その地における類地の価格を保管転換の価格とし、それによるという原価主義でございます。ただ問題は、四十一條の四の一番しまいに、未墾地を、政府若しくは農地開発営団が、すでに自分の直営の開墾で開墾して農地にした、これを売拂う場合には、当然近傍の類似の農地の価格による、こういうわけであります。從來と何ら変つたことはございません。 九番目は、未墾地先買の規定であります。普通の農地におきましては、政府が賣渡した人について、自作をやめようとするときに、政府が先ず買戻しをして、次の人に売つて行くという規定を廃止したのでありますが、未墾地につきましては、その規定を在置をいたすというのでありまして、これは未墾地の場合におきましては、政府は現在の方針といたしまして、開墾完了を待たずに所有地のまま、若し計画がはつきり立ちますれば、できるだけ早く土地の所有権を開拓者の方に移すという方針を採つております。今まで場合によりましては、土地は買受けたけれども開墾がよく進まない、若しくは極端な場合には開墾せんというような場合が起るわけでありまして、そういう場合には、結局未墾地のままになつておりまするので、これを次の入植希望者等にいきなり売り渡すということにしないで、政府が買戻しをして新しい開拓者に売り渡す、これはどういうことが起るかと申しますると、政府が中に入る制度を廃止いたしますと、低利資金の貸付或いは斡旋等土地を買受ける人に対する資金的措置はこの法律で規定はしておりまするけれども、何といつもそれは未だ具体的に現在定まつておりませんので、近い機会にその具体化を図りたいと思つておりまするが、それよりも、現在政府が買つて売るという制度になりますれば年賦の期間も二十四年、それから利子は将来変るかも知れませんが、現在では三分ニ厘乏いろ非常に有利な條件でございまするので、開拓者の保護或いは開墾の助成という意味から考えまするときにについては先買制度をそのまま存置する、そのためにはいままでは先買の制度を準用しておりますけれども、先のを削りましたからここに規定をするというのであります。 それから第十番目の政府の所有の土地及び物件の開放のための所管換、及び所管換の改正規定第四十三條の二及第四十三條の三、この規定におきましても内容的にはいままでと変つたことはございません。政令で規定してありましたのをかような仕事は、仕事と言いまするか、事項は、法律に書く方が正しいという意味におきまして法律の新しい規定といたしまして、第四十三條の三というその第五項でありまして、河川敷等で、これを農地に使つた方がよろしいという場合におきまして、その河川敷等につきまして今まで府県でありますとか、地方公共団体が管理の費用を負担しておつたものがございます。その場合にその土地を政府が保管転換を受けて売つてしまう、市町村がなんらの関係がないということでは工合が悪いのでありまして、この場合におきまして市町村が負担しておる費用の範囲内において土地の対價を都道府縣等に交付するというのでありまして、これは実際的に申しますれば、河川敷その他の土地を農地にして、開拓者と言いますか、増反者でもよろしうございますか、売ります場合には、その代金を都道府県等に交付するという規定であります。 それから十一番目は買收又は買取によつて取得した國有の土地及び物件で農林大臣が自作農創設の用に供しないと認めたものの売渡の特例第四十六條の二であります。これは普通農地につきましても、又開拓の用に供するために取得しました未墾地につきましても、生ずるわけでありまするが、これをやむを得ない事情によりまして、鉄道の敷地にした方がよろしいか、道路敷地にした方がよろしいとか、或いは又学校の敷地等にどうしてもそれを充てなければならん、こいいうふうに農地としての用途を変更する、開墾用地でございますければ開拓以外の用に供するという場合が生ずるのでありまして、かような場合に如何に措置するか、この場合におきましては、これの手にある場合の規定でございまするがこのような場合におきましては、元の所有者にこれを引渡すというのでございます。これは自作農創設特別措置法によりまする政府の買收は、自作農の創設という特別の限られたるもののために取得したのでございまするから、その目的を達することが不可能であるというときには、結局その全体の行爲を元に返すというのでありまして、從前の所有者又は一般承継人にその取得の対価に相当する額で元の額で賣渡をする、尤もこのような関係を認めまするのには、永久ということはこれは不適当、煩雑に過ぎるのでありまして、政府が土地の買收後十年を経過いたしましたときには、これは別に農林大臣において適当にこれを措置できる、かようにいたしたのであります。こういう場合にそれでは、実際上どういう取扱になるのかと申しますれば、現にその土地の上で耕作をしておる人等につきましては、これは作離料を貰うわけでありまして、それから元の所有者は恐らくそのような場合におきましては、実際問題として相当土地が高く売れまするので、その土地が高く売れた価格の中から作離料を拂つて、尚それ以上の増加するような点ある部分は旧所有者の手に入るこういうことであります。でありますから、用途変更をいたしましたときに相当土地の価格が増加する、それを元の所有者と並びに現にその土地の上に耕作等をやつておるというような人の間で適正なる配分、価格上の配分がされる、こういうわけであります。 それからその次は農地調整法関係でありまして、第一番目はこれは自作地小作地、自作採草地、小作採草地、自作放牧地、小作放牧地の定義でありますが、この定義につきましては、新らしいことはございません。自作農創設特別措置法等において定義せられておる通りでございます。ただ後の條文を書き易くするため、分り易くするためにこういう定義を掲げたのであります。 二番目は農地、採草地及び放牧地の移動統制の規定の明確化、第四條であります。第四條は、もともとこういう規定は、たしか昨年の春頃だつたと思いまするが、最近における農地調整法の改正でこの第四條を入れたのでございまするが、その趣旨は前と現在と変つておりませんが、規定の仕方を明確にするというために若干字句を変えたのでありまして、即ち第四條第二項に但し書が入つておるのでありますが、農地、採草地又は放牧地に関する所有権その他の権利の設定又は移転について、原則的に第二項一号からずつと六号までの、かような場合には承認をしないということを規定しておるのでありまするが、ただこの場合に、このような規定はこういう場合には当嵌まらない、これは当り前のことが書いてあるわけでありますが、農地、採草地又は放牧地を本来それら要求以外の用に供するための権利の設定、即ち農地を潰して宅地にしよう、しなければならんというような場合には、当然一号乃至六号の規定は当嵌まらないのでありまして、それは別の規定で、農地の改廃統制という規定で処置をされるのでありまして、この規定には関係がない、当り前のことを法律ですから書いたわけであります。その外いろいろ所有権その他の権利の中で抵当権の設定ということも亦別に承認をするとかせんかということを別に掲げる必要はない、こういうのが但し書の意味でありまして、この第一号は「小作地、小作採草地又は小作放牧地、小作農以外ノ者ガ当該土地ノ所有権ヲ取得セントスル場合」これは「小作放牧地」となつておりますが、これはミスプリントでありまして、「小作放牧地小作農以外ノ者ガ……」というのであります。これは前にもこういう同様の規定があるのでありますが、これを明確にいたしました。併しながらこの場合、即ち土地というものは元來自作化して行くもので、その土地の耕作者が取得して行くというわけでありますが、併し自分で欲しくない、こういう場合には、無理に押付けるわけにも行かない。従つて又その場合、全然土地の所有権に対して権利の移動を認めないということも、これ亦不当でございますので、事情止むを得んという場合は市町村農地委員会が、これを証明するということによりまして他の人に所有権が移つてもこれは止むを得ない、こういう規定でございます。 それからその次の「前項ニ掲グル権利ヲ取得セントスル者ガ」、これも前からある規定でございまして、畢竟第四條は大体前からある規定でございますが、これは今後における農地調整法及び自作農創設特別措置法によつて達成せられた自作農の維持という事柄を規制して行く根本の規定になると思います。 それから第七号を新たに加えたのでありますが、これは政府が一度自作農創設特別措置法等によりまして売渡した土地即ち言い換えますと、この農地改革に因縁のある土地でございますが、これらの土地につきましては、農地委員会が個人と個人の間における所有権の移転等をそのまま認めない、これは相対づくはいけない、農地委員会が、独自と言うとおかしいですが、農地委員会が計画を定めるところによつて移転して行く、こういう意味が、第七号であります。 三番目は一定期日域後新たに生じた不在地主及び在村地主の法定制限面積を超える小作地、小作採草地及び小作放牧地の強制譲渡について沢山のことが書いてあります。この規定は先程申しましたように、自作農創設特別措置法におきまして、今後生ずる不在地主とか、平均一町歩を超える小作地について政府買收を行わない、それに代うるのに、政府はそこに介入しませんけれども、農地委員会においてかような場合におきましては土地の移転計画を立てる、その移転計画に從つて土地が譲渡されるという規定をずらつと書いてあるのでありまして、これが第五條ノ二から第五條の二十までの規定であります。先ずそのように、新しく誰か都市に農家の人が引越して不在地主になつた。かような事実がございます場合におきまして、市町村農地委員会がそれを公告する。誰それの土地で所有者は誰というような必要な事項を公告するわけでありまして、そうして二ケ月以内にその土地について耕作をしておる人、その他の関係者が買受の申込をするわけであります。その買受の申込を斟酌いたしまして市町村農地委員会が移転計画を立て、それについて又異議の申立等があればやつて貰う。かような手続が済みました場合に都道府県農地委員会に持つて行き、都道府県農地委員会がよろしいということであれば知事が令書を出す。この強制移転の手続は現在まで行われました自作農創設特別措置法による農地の買收及び売渡の手続と何ら変りはございませんのであります。ただその間に政府が介入するということがないだけであります。ただ政府が介入しないことによつて生じます差違はどういうところにあるかと申しますると、第一に、政府は先ずこういう場合に農地証券を発行しない。ですから現金で決済するということになるわけです。その土地を買受ける人には政府が低利資金の供給について措置を講ずる、こういうわけです。そういうところが違うのでありまして、尤も都道府県農地委員会においてよろしいという議決をいたしましても、今度は政府が中に入つておりませんから、やはりその値段、対價を拂つて貰わんことには、やはり完全に所有権を移転さすわけには行かないのでありまして、従つてその令書の中には対価並びに対価受理の方法等が規定してございますが、そこに書いてあります期限までに対価を支拂わなければならん、若し支拂わなければ、これは令書そのものは効力を失う。 但し移転計画そのものは効力を失うわけではないので、もう一遍適当な時に令書を出し直せばいいわけです。併しどうもこれは金を拂う能力がないのだ、或いは買う意思がない、こういうようなことがはつきりしますれば、これは元の計画そのものも無効になる。まあこういう建て方をいたしております。條文の数は多いのでございまするけれども、その手続規定等が多いのでありまして、現在やつておりますることとは手続上の関係においては大して変更はございません。尚それではそういう強制移転をなすべきような小作地等が生じた場合に、市町村農地委員会が怠けておつたらどうなるかという問題がございますが、この場合には関係者の方から移転計画を立てるような、請求を市町村の農地委員会に出すわけで、市町村農地委員会が動かなければ都道府県農地委員会において立てろという指示をする。その指示にも従わなければまあ代執行をする。こういうことに相成るわけであります。 それから尚買手がない場合にはどうなるのか、これは農地につきまして、本来土地は買いたいけれども、ちよつと手元の都合があるので見送りたいという場合があり得ると思うのです。でそのような場合におきましては、市町村農地委員会は政府を買受人と立て計画を立てる。で政府が一応それを買つて置きまして、相手方が、相手方と言いますか、耕作者の方で買いたいというときにそれらの方に売渡す。まあ言い換えてみれば政府が一時金融をしておる。自作農創設の用に供するための土地を一時取得しているというふうに扱いたいと考えておるのであります。そういう規定になつております。尚非常に生産力の低い土地等につきましては、これは強制移転の対象にしない、切換畑でありますとか、非常に経済的価値の少い、自作農創設ということに適切でないような土地は問題外に置く。そのような事柄は現在の自作農創設特別措置法におけると同様でございます。でまあ大体自作農創設特別措置法と同じような扱いで、ただ政府がその中に人らんというようなところに違いがあるのでございます。 四番目は、自作農創設及び維持に必要な資金の貸付及び斡旋をなし得る規定、第五條ノ二十一でありますが、その一号は「耕作ノ業務ヲ営ム者が農地ノ所有権ヲ取得スルニ必要ナル資金」即ち自作農創設資金であります。二番目は「耕作ノ業務ヲ営ム者が農地ヲ相続スルに必要ナル資金」これはまあ現在は実際的の問題はございませんのでありますが、農地は御承知のように、実際問題としては一子相続がされておるのです。新民法で均分相続、そういうことが設けられましても、事実は一子相続になつておるのでありますが、そうすれば他の共同相続人に補償金を拂う必要があるわけです。そういうことは、その場合に必要な資金を要求する、現在実際は他の共同相続人が相続権を放棄するという形で処理されておるのが実際でありますがまあ段々そういうことがいいとも言えないし、段々そういうことも変つて来るであろうと思いますので、ここに相続の場合の資金についても掲げたわけであります。第三番目は、「耕作ノ業務ヲ営ム者ガ農地ノ所有権ヲ維持スルニ必要ナル資金」即ち維持の資金でありまして、これらの場合に政府は資金の貸付又は斡旋をなすことができる、こういう規定を明確にしたのであります。元來農地改革前に引続いて長い間政府が農地政策として行なつておりましたのは、まあ小作調停の制度は別といたしまして、いわゆる自作農創設維持金融措置によるところの自作農創設維持でございます。農地改革による成果を維持しまするためには、今後こういう金融措置が中心的な問題になるわけであります。ただ現在昭和二十五年度予算におきましては、これに関する具体的な措置は講ぜられておりません。関係方面等におきましても余程問題の重要性に鑑みて愼重なる檢討はされたのでございまするけれども、何しろドッジ・プリンシプルの下におきまして、又大規模に土地を農地改革によりまして移転いたしました直後でございまするので、その需要等もそう多くはない、こういう二つの理由から具体的な措置は決められておりませんのでありまして、できるだけ早い機会にこういう金融上の具体的措置を講じたい。ただ法律といたしましては、まあ政策の目玉の一つでございまするので、ここに掲げたのでございます。 次は五日番、許可無しに農地を潰廃した場合農林大臣又は都道府県知事の潰廃禁止又は停止処分(第六條)であります。第六條の第五項で、農林大臣の許可を得ずして農地を潰廃した場合には、予め農林大臣又は都道府県知事が、そのような農地について耕作以外の用に供することを禁止するとか、或いはこれを潰廃しようというような場合に、それを停止するところの必要な措置を命ずることができる、このいう規定を入れたのであります。結局これは実際に如何に動くかということは別問題といたしまして、余りに低い罰則だけでは、なかなか法規の励行が困難であるというような場合も予想せられまするので、從つて法規を励行するという建前におきましてこの第五項を入れたのであります。この運用は運用として適正を期したいというつもりであります。 第六番目は農地改革の基準及び統制決定法式の変更、第六條の二でありますが、農地の價格にいたしましても、それから小作料にいたしましても、農地調整法におきましては、一定の時点を掴まえて、それでストップをするというのが建前と言いまするか、そういう建前で規定が設けられてあつたのでありまするが、漸く農地改革の一応の完了を見ました機会におきまして、又その後非常に経済情勢も違つて参りました機会におきまして、その規定を改めまして、これはストップ価格という考え方でなしに、適正價格を設定して行くという、こういう思想に変えたのでありまして、この農地価格を設定する目的は農地を取得する自作農の経営を安定せしむることを旨として、農地価格というものが作られなければならん、農地價格が高いということでありますれば、折角それを取得いたしましても、経営が長く続き得ない、非常に危なつかしいというので、これは土地を取得した自作農の経営を安定せしむることを精神として、農地価格を決めとるいう、その決め方は、農林大臣が中央農地委員会に諮問をして、一定の基準を定めるその基準に従つて、市町村の方では、これを地方長官、都道府県知事の認可を受けて、一筆ごとに価格を定めるという、こういうやり方でございます。基準は結局どういうことにいたしまするか、今後研究をいたしますわけでありまするが、結局現在できておりまする賃貸價格等を基準にしに、その何倍とか何とかいうようなことを基準のべースにいたしましてその基準の一定の又上下の幅の中で、市町村農地委員会が、それぞれの各筆について価格を決める、こういうことに相成るわけであります。これは丁度地方税法におきまして、これが課税の標準価格というものがございまして、これは毎年御承知のように一月一日に決めることになるわけであります。それと大体長い先、シヤウプ勧告によりますると、昭和二十七年十月一日から農地の公定價格と課税標準は一致するわけでありますが、それまでは一致をしないのでありまするが、ここに又観念的と言いまするか、額は違いましても、観念的、手続的には同じようなことになるわけでございます。尚これにつきましては、第九項に永小作権、地上権等がありまして、それに価格があるという場合には、これは農地の価格に本来含まれておる、まあこういうようなことを明らかにしておるのであります。 それから七番目の小作料の決定基準及び統制方式の変更、第九條ノ三でございますが、どれも或る時点でストップするという規定の仕方でありましたのを、小作農の経営を安定せしむることを旨として云々ということで、経済情勢に応じて適当なる小作料額を決めるというわけであります。この規定につきましては第九條ノ八というのがありまするが、小作料について絶対的な最高制限を規定したのが第九條ノ八でありまして、これの範囲内で第九條ノ三が動くということでありまして、尚不作等の場合における減免というようなことにつきましては、これをそういう観念を削除いたしております。これは金納にいたしましたこと、或いは農業災害補償法が今段々整備されつつある、こういう両面の理由から最近やつておりませんけれども、減免ということは考の中に入れておりません。 八番目は、農地の利用上必要な農業施設等に関する賃借権の設定、第十四條ノ九であります。これは自作農創特別措置法におきましては、農地を受けた人がその農地を利用するため必要な農業用施設等の買受けという規定があつたのでございますが、これはなかなか運用上といたしまして価格問題その他もございまする関係上、買受けという制度に代うるのに、ここに第十四條ノ九として、賃借権を強制的に設定する、こういう規定を設けたのであります。且つこれを或る程度広い規定にいたしたのであります。これが第十四條ノ九であります。 それから九番目は、市町村農地委員会は市町村農業委員会に改組、第十五條ノ二であります。これは今回は二階條になつたのであります。御承知のように現在の制度、これもたつた一年きり実は施行をしないのでありますが、これは三階層になつているのでありまして、一号、即ち小作的なものとしては、二反歩以上を借受けている人、それから二号は二反歩以上の小作地を人に貸している者、それから三番目が前二号に該当しない者、こういう分け方をしたのでございますが、今回におきましては、農地委員会を農業委員会に変えて、即ち農業全般のことを取扱う耕作者の、……耕作者と言いましても、小作という意味ではありません、耕作する農業者の委員会ということにいたしました。元來階層別の選挙がいいのか、そういうことで選挙がよろしいのかということにつきましては、当委員会におきましてもしばしばこの御意見を承つているのでありまするが、昨年十月マツカーサー元帥が農地改革に関しまして内閣総理大臣宛の書簡の形で声明を発表せられました。その中には適当なる農地委員会という、農地委員会と言いますか、適当なる委員会という言葉が使つてありました。それを天然資源局のウイリアムソン農業課長が註釈をされたのにおきましては、十分なる小作農の利益が代表されている委員会、こういうふうに書いてあるのでありまして、そこで一号が小作者及び小作的な人でありまして、「其ノ耕作ノ業務ヲ営ム小作地ノ面積ガ自作地ノ面積ヲ超ユル者」、即ち半分以上は小作地であるという從來からのいわゆる小作の者、それから(ロ)の方が、「二反歩ヲ超ユル面積ノ小作地ニ就キ耕作ノ業務ヲ」営む者、即ちこの現行制度と同じでありまするが、併し非常に経営規模の大きい人はこれを小作的と見ることはできませんで、これを農林大臣が都府県別に定むる面積を超えない者即ち平均一町歩未満、即ち大きな農家でなくて、中小の農家であつて、二反歩以上耕作しておる。これを一まとめにいたしまして、一号とする。この人数は五名、全員十五名中五名であります。 実際のこれらの、(イ)及び(ロ)の合計が全農家の何%を占めておるかということにつきましては、大体この前、この前、と言いまするとおかしいのでありますが、現在の一号と大した差違はなかろうと思います。即ち約二割強程度に考えていいと思うのであります。併し苟くも或る一定のグループの利益を代表するということのためには余り小人数でも目的を達しませんので、これを五名ということにいたしたのでありまして、約三割相当になつております。それから、その他の人を二号としまして十名であります。今回は農業委員会という性格に鑑みまして、一反歩以上耕作しておる人が選挙権及び被選挙権の資格になつております。單なる所有ということでは選挙権、被選挙権がないということになつております。尚、年齢二十以上の家族、常時農業に従事しておる者、こういう人が選挙権等を持つておりますことは従來と変りはございません。あと選挙の規定が改正になつておりまするが、これは從來とそう変つた点はないのでありまして、ただ從来は地方の準用條文といたしましては、ちよつと不必要な細かい、実際に適せないようなことまで準用しておりましたのを直してあるわけであります。 十一番目は選挙規定の整備、これは今申上げました通りであります。それから何かこの附録というところで、数式が書いてございますが、これはこういうことなのでありまして、農地を政府から買受けた人が自作を止め、これを他に売る場合であります。ところが、まあ農地の公定價格も、改訂になる、その間買受けた價格と農地の價格とが非常に差が生じまする場合に、その差額をそのまま農地を買受けた人が得てしまうということは、これは公正の原則に合わない。そこで十年も経つてしまいますれば、こういうことは適用しないのでありまするが、十年以内の間でありまして、政府から土地を買受けて五年経つた、そこで自作を止める。ところが買受けた価格と売渡の価格とが、仮に五千円の差があつたといたしますれば、十年中五年持つておつたというのであればその十分の五、即ち二千五百円、二千五百円の増加分は農地の所有者が取得をすることになりまするが、あとの二千五百円は政府に拂つて貰う、こういう規定でございます。
○委員長(楠見義男君) それでは一応御説明も終つたようですからこれから総括的な問題、或いは内容に亘つての御質問をお願いいたします。
○羽生三七君 この間予算委員会で農林大臣から大要は伺いましたが、尚若干お尋ねしたい点があるのでありますが、第一番には、農地改革が実質上非常に振興して一時期を画するという政府の説明は或る程度これを了承しますけれども何も今まで直ぐ改正をしなければならないという理由が私は非常に薄弱だと思うのでありますたとえ買收未済の面積が非常に少く、少くと言つても数万町歩でありますが、非常に少くあつても、まだその他いろいろ若干の問題が残されており、特に新しくこの法律を改正しなければならないという理由が極みて私は薄弱だと考えておるのであります。それで若し自分のアイデアから言いますと、完全にこれが終了するか、改正は行わずにむしろこのままで置いて、そうして若し完全に農地改革が終つた後では、その後ではむしろ土地管理組合的なものを作つて、それで移動については処理を行うということ、或いは又それ以外に農業改革という問題でありますが、そういう問題、例えば土地の改良とか、交換分合などがそういう問題については別途に、例えば、農業改革に基くような基本的な法律を考えて行くというのがまあ筋であつて、まだ完全に終了しておらない今日、非常に複雑な法律を改めてここに作らんとする意思が極めて不明瞭である。無理にそれを改正しなければならないという理由はない。こういうように私は感ずるのでありますが、これについて当局の意見を伺いたいと思います。
○政府委員(山添利作君) これは無理に改正をするのでなくして、無理をなくするために改正をするのであります。と申しますのは正直に申しますと、農地の価格等についてどうしても変えて来なければ実際に適しないわけです。このままにおきまして、ずつと現在の農地価格で小作地、新たに生じまする不在地主の土地等を買收して行くということに対しましては、これは非常なる無理が伴う。そこでそのためにはどうしても一時期を画するという方法を取る必要があると思います。それから農地証券というような制度も、もう今後においては必要ないと思うのであります。そういたしますると、そこに無理に政府が買つて政府が売るのだという体制もこれは継続する必要はないのであります。そういうような点からいたしまして、とも角一時期を画する、一時期を画するということは半面から見ますると、ここに農地改革によつて建てられた諸原則を恒久化すというのでありまして、その事柄は農地調整法の第四條の移動統制を根幹とし、その締め括りのために、今度新しく設けた不在地主の農地等が出ました場合の強制移転というような規定及びこれに対する金融措置、こういうことによつて長く恒久的に自作農創設特別措置法によつて得た成果、それによつて打立てられた諸原則を恒久化して行こう、こういうのがこの改正の意図でありまして、法文は非常に複雑そうに見えまするけれども、内容は従来のやり方を多少変えまして、手続そのものとしては、これをむしろ単純化した、こういうところにあるのであります。
○羽生三七君 実質上むしろこの法律の精神を恒久化するという御説明であつたけれども、この法律の精神そのものを考えますと、大体日本の封建的な小作制度を撤廃して新しい自作農制度を創設するというのがこの法律の精神であるのでありますが、特に農地調整関係の方を見ましても、今度新しく農地委員会を改組して農業委員会にしたような場合においては、その選挙の際における、つまり委員の選挙の際における比率は全然前と変つて来ます。例えば一号層の五名は別として、二号委員の十名というものは大部分地主代表的の者若しくは極く貧農でありまして、大体地主勢力によつて代表される。而も農地を新たにその地主に返さなければならないような場合、或いは自分から手離すような場合には、以前の所有者に一應その内容を訊かなければならないというようなことになつて来ますと、実質上はその以前の所有者の考え方で可なりその土地の移動というものに支配力を持たせることができる。そういうことになつて來ますならば、農地改革の精神というものは全く没却される。私はこういうふうに考えるのであります。何も私は個人的な反感で地主がどうこうということは考えておらんので、それは私機会ある毎に申しておるごとくに、現在の地主の、地主自身が耕作せる面積以外に小作人に貸與しておる面積は、一地主当り大体三、四反歩と私は聞いておりますが、そういうようなものを無理に持つておつても、所有権に膠着しておつても、地主自身の生活というものは余り成立たないのであります。そういう点から考えて見ましても、とにかく何かこう所有権に、曾ての封建的な所有権制度に再び復帰するというような含みがこの中にあるように考えられるので、むしろ私は積極的に先程申上げたように土地管理組合でも作つて、そこで耕地の移動等については、その家族の労力、或いは農業に対する熱意、そういうものを勘案して、そこで耕地の移動について十分対策を立てて行く、こういうことがいいと思うのであります。ちよつとお断りしておきますが、私は決して私有財産を否認するとか、所有権を全然認めないとか、そういうイデオロギーから言つておるのではないのであります。それとは別に実際問題として、僅少の小作地を地主が保有しておつても、地主自身の生活は成立たない。もうこの農地改革の精神が、自分で耕作をするということが根本的な精神になつておるのでありますから、所有権の移動のために特別の含みを持たせるということは、ちよつと私理解ができないのでありますが、この点如何でありますか。
○政府委員(山添利作君) 所有権の移動の場合におきまして、今回の改正法律は別に今までと変つた点は書いてないのであります。ただ特別の場合、即ち政府から買受けた農地の用途変更、これを鉄道の敷地にするとか、宅地に、どうしても情勢上社会的に見ましてやらなければならん、そういう特別な場合におきましては、そこに生ずるところのウインドフォールと言いますか、とにかく増加利益を如何に措置するかということのために、元の所有者に一應売渡して、それから新たな用途に使う人に売渡す、先程申しました耕作者が。そういうことを規定をいたししたのでありまして一般の農地は農地として移動する場合には別段従來と変つた点はございません。政府から買受けたものでございますれば、これは政府が顔を出さないだけでありまして、農地委員会が独自の立場で立てまする農地の移転計画に基いて移転せられる。こういうことになつておるのでありまして、その間旧地主、或いは現在の小作地でありますれば地主等との関係におきまして、今回の改正案は別段の変化というようなものは加えておらないのであります。 それから農地委員会の構成につきましては、これは第一回の場合におきましては、いわゆる小作者が半数で自作地主が寄つて半数ということになつておりましたが、現在の制度、即ち昨年の八月に選挙をいたしました農地委員会の構成は、小作的な者が二名、自作的な者が六名、地主的と見られるのが二名、こういうことになつておるのであります。これを農業委員会構想に基きまして一層整備をいたしまして、いわゆる小作という一号層を嚴格に実際に合うようにして、即ち二反歩は土地を借りておるけれども経営面積が一町五反である。一町五反の中二反の土地を借りておるというのは、実質におきましてはこれは小作的じやない。そういうものは一号から排除した、即ち一号のデフイニシヨンを小作的な者の利益代表的の者という意味において純化をしたというのであります。その割合においても今までは小作的な者は二割の勢力関係でありましたのを三分の一の勢力関係にした、こういうことであります。從つてお説の点とはちよつと見解が違うのであります。 その次に、元來農地委員会という制度若しくは農業委員会という制度よりも土地管理組合というような形の方が適当ではないかというお説でございます。これは手つ取り早く申しますと、現在の法制におきましては国の行いますような、農地の移動統制というような、国の行いますような、即ち政府の権限から淵源するような権能を民間の団体に移譲するということは、占領政策上認められていないのでありまして、特に最近はそういうことがやかましく言われて、いろいろな政府の提出せんとする法律案もその趣旨から直されておることは御承知の通りであります。やはり選挙によりまして代表者として選出された委員会の手にこれを委ねるというのが適当だと思います。但し若し土地管理組合というようなものが実質的にでき上がりますれば、これはそういうものが裏付といいますか、背後関係といいますか、実質上そういうところで運用して参るということがうまくいくような状態になりますれば、これは私共はそれを悪いとは言わない。そういうものができればそれは結構だ、そのためには余程経営の方面にいろな面におきましても、協同の部面というものが拡充されて來る。農業の経営方式にも多かれ少かれ変化が來ておるというような良い條件の下に、今おつしやつたような土地管理委員会というような団体の機能が発揮されるということは面白いと思つております。
○羽生三七君 それは直接には確かに地主勢力が強くなるとは今度の改正で考えられませんが、先程申上げたような旧所有者の意向を聽いてやらんければならんような場合においては、ただ結果としてはそういう勢力が強くなると考えておるのであります。特にこの点は国が例えば先にお話があつたように、農地証券の問題とか、農地價格の問題等で矛盾があつて、改正せんければならんというようなことを言われましたけれども、そういう技術的な問題の結果としてこういう改正案ができたことになりますと技術的なものであつても、根本的には国の力というものが非常に弱められて、むしろ全然なくなつて、市町村に新しく設けられる農業委員会に委ねられることになると、私の申すのは結果として旧地主勢力的なものを温存する傾向に向つて行くということを申上げるわけです。ですからそういうことが農地改革の根本精神と非常に喰い違つて来るような結果になつて来るのではないか、これを私は第一番に心配するわけであります。その点が一つと、もう一つは、これは小さいことでありますけれども、この改正案の要綱で、法律の施行をするのが成立した日からということになつておつたのを、新しい法律の中では昭和二十五年二月十一日以後とこれを指定した、それはどういう理由に基くものでありますか。
○政府委員(山添利作君) 第一点は、政府が介入するという制度がなくなれば、これは技術的では非常に簡單になるけれども、力が弱くなりはしないかという御意見ですが、これは心理的にはそういうものはあり得ると思います。政府が中心に入ることを止めようといつても、これは金の受渡というような意味において引込んでおるのでありまして、現在の制度におきましても、結局農地改革の実際上の仕事に当つておりますものは、市町村農地委員会並びに都道府県農地委員会であります。今後の改正の制度におきましても、その点何らの変りはない。ただ国が買つて国が売るのだという、農地証券或いは年賦支拂の制度というものがそこになくなつて、ただ政府が引込むということでは心理的な影響があるのではないか言われますけれども、まあその限度においてはある。併し根幹は農地委員会の制度が農地関係の規制の根本的な機構でございまするので、その点は変化はないのだ、こういうふうに考えるのであります。 それから第二番目に、この改正法と「施行の日以後」というのが「二十五年二月二十一日」と変つたについての理由をお尋ねでありますが、これは法文を書く上にこの要綱のようでは書けないので、そこに一定の日附を入れなければならん、一定の日附を入れるのにはいつごろがよかろうか、私共は大体二月の十一日ごろには国会に提案されるだろう、こういうつもりでおりましたのが多少遅れましたのであります。
○羽生三七君 次にちよつと伺いますが、小作料の問題は、あれは施行令で行くのですか。
○政府委員(山添利作君) このことにつきましては御説明をいたして置いた方がいいだろうと思いますが、現在の制度でございますると、第九條ノ三という規定がございます。この第九條ノ三は、結局農地調整法が制定されましたときにおいて、米一石七十五円と換算いたしまして、当時の物納の小作料を金納に決めたのであります。この小作料の問題につきましては第九條ノ三によりまして、七十五円というのが公定とされておるわけでございます。ところが二十四年度におきましては、こういう問題が起つたのであります。即ち二十四年の春に地租が改正になりましてそれまでに賃借価格の百分の二百でありましたのが百分の五百になつた、田についての賃借価格の平均は十九円五十銭でありますが、計算し易いために平均二十円といたしますると、それまでは四十円であつたわけですから七十五円中四十円が地租であつたのですが、二十四年度におきましては百分の五百ということになりましたのでありまして、百円が地租だ、そうすると七十五円の小作料に対して百円の地租、こういうことに相成るわけでありまして、この関係を如何に調整するか、当初私共の考えといたしましては、小作料も今年の秋から改訂を……今年の秋と申しまするか、昨年の秋に改訂をしたいと考えておりましたのでありますが、本格的な改訂をすることは、これは小作契約期間を過ぎてから改正をするということになつて、遡及することはまずいという有力な意見がございまして、そこで全面的に小作料を二十四年の秋に、改正することは取止めまして、小作料と地租の間の矛盾を調整するという措置を二十四年度に限つていたしたのであります。その内容は昭和二十年当時の地租と、それから昭和二十四年の地租の開きについては、これを耕作者の負担にしてもよろしいと、してもよろしいというのはどういうことかと申しますると、第九條ノ、三の二項の規定がございまして、まあ第一項に但し書がついておりまして、「特別ノ事由アル場合二於テ農地ノ所有者又ハ賃貸人が命令ノ定ムル所二依リ都道府縣知事ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在テラ」とこういう規定があります。これを受けましてこの二項に「前項但書ノ規定二依ル許可ハ省令ヲ以テ定ムル場合ニハ市町村農地委員会ノ承認ヲ以テ之二代フルコトヲ得」とありますから、特別の一定の場合におきましては都道府縣知事まで持つて來なくつても、市町村農地委員会限りで処理ができるという規定がございます。この第九條ノ三の規定は九條ノ七ですね、この九條ノ七即ち小作契約に関するいろんな條件の変更を負うということは準用されておるのであります。そこで今の差額を、地租の負担を誰がするかということについて、これを小作契約の條件といたしまして第九條ノ七に準用しておる第九條ノ三を使いまして、先程申しまするように、昭和二十年当時と二十四年の地租額との差額はこれを小作者の方の負担にするということにして、当事者からの申出があれば市町村農地委員会で承認をしてもよろしいとこういう規定を昨日附けを以ちまして省令を出したのであります。
○羽生三七君 ちよつと途中ですが、当事者というのは誰を言うのですか。小作人を言うのですか。
○政府委員(山添利作君) 農地の所有人又は賃貸人ということですね。
○羽生三七君 貸した方だね。
○政府委員(山添利作君) これが今までのそれであります。二十五年度からは本格的な改正を行うのでありまして、これは現在政府で内定いたしておりまする方針は現在の小作料の七倍にするというのであります。この七倍と算出いたしました基礎は、この価格の分析でございますが、七倍というものを、その内容を分析して見ますと、七倍と申しますとざつと五百円でございますが、三百円強は地租でございまして七倍と申しても三倍半以上は実はシヤウプ勧告によるところの地方税制の改革に伴うもので、その三倍程度のものが本來土地所有者に帰属する小作料の値上とこういうことになるのであります。これの法的な根拠といたしましては、第九條ノ四でございますが、第九條ノ五に「主務大臣又ハ都道府縣知事前二條ノ規定二依ル小作料ノ額」云々というので、農林大臣、主務大臣において第九條ノ三の一号というような額を定めることができることになつておりますが、この規定によりまして定め、七倍ということを定めたいと考えております。大体そういう考え方になつております。
○委員長(楠見義男君) 九條ノ五は今度なくなるのでしよう。
○政府委員(山添利作君) そうですね。従つてこれは法律の改正が施行の前になりますと、そういうことになりますし、この改正が施行後にそういうことをやるといたしますと、第九條の新しい三によつてそれは決めると、そういうふうになるわけです。
○委員長(楠見義男君) ついでに七倍にする根拠を一つ。
○政府委員(山添利作君) これは余り詳しいと言いますか、数字的に言いますと、いろいろあるのでございますが。
○委員長(楠見義男君) ちよつと今の途中ですけれどもね。七倍にした根拠は、この間專門員のところで税の問題で資料を作つたその中に入つているそうです。「税制改正諸法案審議上における農業関係問題点」
○羽生三七君 ちよつと、……七倍になる場合に、純粋の地主に帰属すべき部分です。その点をちよつと明確にされたいのですが、三倍か三倍半と言われましたが……、
○政府委員(山添利作君) 端数を除きますと、七倍するということは五百円ですね。今度の地租は三百円強になるのですよ。ですから三百円二百円とこう見ればいい。それで税が三百円、手取が二百円。
○委員長(楠見義男君) 今度の固定資産税で、二二・五倍になるというのが三百円ですか。
○政府委員(山添利作君) 三百円強ですね。平均の賃貸価格でございますと、三百円から三百二十円くらいになりますね。
○委員長(楠見義男君) それから、この問題を一つ前以て説明して置いて頂きたいのですが、この委員会にも随分農地委員会の諸君からの陳情があるのですが、これは登記事務が、政府の方の説明では恐らく進行しておるということの答弁がありましよう。併し実際は進行しておりません、ただ形式上整えておるだけで、それを基礎にして今度の地租の改正とが、そういうことをおやりになるであろうと思つても、その基礎條件は完了しておりません。従つてこの際委員会の書記が一名減らされるということは大変な問題で、ひとりこの跡仕末が違つただけでなくして、これを基礎にせられる政府の他の諸施策の上においても、非常な大きな支障が起きはしないか、今形式上整つておるというのは、或る方面からの関係で整えておるだけである、とこういうような実情を吐露しての農民の陳情があるのですが、これは必要ならば速記を止めてもいいのですが、その点を前以てはつきりしておいて頂いた方がいいと思います。
○政府委員(山添利作君) この点は農業委員会になるという問題よりも、四月一日から農地関係の書記が一名に、今まで二名ありましたのが一名になるというところに非常に実質上の問題があるわけでありましてただ一名になることは登記の上に非常に支障があるのではないがいうのでございまするが、それでは登記がどういう成績になつておるかということにつきましては、これは最近関係方面の非常な督励がございまして、そのために農地委員会の書記諸君が非常なる努力をして下すつたので、私共が報告で見ております限りにおきましては、非常なる進捗状況であります。まだ三月末のやつは手許に届いておりませんが、各府県の農地部長等の話を総合して見ますると、全体的にも九〇%以上が終了したという報告になると思うのでありましで、ただ登記が終了したと申しましても、これは登記の申請書を登記所に届けるということでございまして、登記所の台帳が直りますのにはまあ相当の時間のずれがある。これは止むを得ないのであります。ただ……ちよつと速記を止めて頂きたいと思いますが、……
○委員長(楠見義男君) 速記を止めて下さい。 午後三時五十四分速記中止 —————・————— 午後四時十一分速記開始
○委員長(楠見義男君) それでは速記を始めて本日はこの程度で散会いたします。 午後四時十二分散会 出席者は左の通り 委員長 楠見 義男君 理事 羽生 三七君 池田宇右衞門君 石川 準吉君 委員 門田 定藏君 北村 一男君 柴田 政次君 赤澤 與仁君 小川 久義君 政府委員 農林政務次官 坂本 實君 農林事務官 (農地局長) 山添 利作君