予算委員会第三分科会 第1号
- 発言数
- 160 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1950/02/17
会議録
○苫米地主査 ただいまより予算委員会第三分科会を開会いたします。 本分科会は外務省所管、文部省所管、厚生省所管及び労働省所管の審議を進めることになつておりますが、審議の都合上、本日の午前は外務省所管、午後は文部省所管とし、明十八日午前に厚生省所管、午後に労働省所管の審査をいたしたいと存じますから、さよう御了承をお願いいたします。 —————————————
○苫米地主査 これより昭和二十五年度一般会計予算中、外務省所管を議題といたしまして審査に入ります。 まず政府側の説明を求めます。川村政務次官。
○川村政府委員 外務省所管の昭和二十五年度の予算につきまして、大要を御説明申し上げます。 外務省所管の昭和二十五年度予算として要求いたしております金額は七億一千七百八十八万円でありまして、ただいまその内訳につき、順を追つて部局ごとに御説明いたします。 第一は外務大臣官房の経費でありまして、外務省設置法に定めるところの職員の任免、服務及び公文書類の発受、編纂、保存並びに予算、決算及び会計経理等に関する事務のほか、退官退職手当の支給等に要する大臣官房一般行政に必要な経費八千二百三十一万五千円並びに旧外地官庁所属職員の恩給事務の処理、明治以来の日本外交文書の編纂公刊、通信施設の維持、庁舎及び官舎の営繕工事等のため必要な経費七百八十六万八千円、合計九千十八万三千円であります。 第二は政務局の経費でありまして、外国に関する政務、内外新聞通信及び報道に関する事務の処理、法令の審査、行政の考査、所管行政の総合調整、国際経済機関に対する協力、国際経済事情の調査及び太平洋戰争並びに日本管理に関する資料の蒐集等の政務局一般行政に必要な経費として一千六百三十八万六千円、また情報啓発事業及び国際文化事業実施に必要な経費として八百二万八千円並びに阿波丸事件処理に必要な経費として一億五千七百九十八万一千円、合計一億八千二百二十九万五千円を計上したものであります。 第三は條約局の経費であります。條約局におきましては條約その他国際約束の締結、国際法及び渉外法律事項及び国際連合その他国際常設機関との協力に関する事務等の、條約局一般行政事務を行うに必要な経費といたしまして七百九十六万八千円、條約の編纂及び国際條約等に新たに加入する経費といたしまして二百三十万円、合計一千二十六万八千円を計上いたしてあります。 第四は調査局の経費でありまして、一般国際情勢及び各国の政治、経済、外交に関する調査研究を行う調査局一般行政に必要な経費として五百七十一万六千円、その他国際情勢の基本的調査研究に必要な経費といたしまして三百五十二万三千円、合計九百二十三万九千円を計上いたしてあります。 第五は管理局の経費であります。管理局におきましては朝鮮、台湾、樺太、関東州、南洋群島等、旧外地に関する残務整理事務、未引揚邦人の調査、邦人の海外渡航並びに在外財産に関する事務を行うものでありますが、同局一般行政に必要な経費といたしましては一千七百一万四千円、また在外邦人の戸籍及び国籍関係事務、旧外地官署残務整理事務、在外公館等借入金整理事務、未引揚邦人に関する諸調査事務及び昨年十一月より当方に移管になりました内外人の出入国管理に必要な経費として五千八百三十七万九千円、及び外地官署引揚職員の給與支給等に必要な諸費として二億四千二百九十九万四千円、合計三億一千八百三十八万七千円を計上してあります。 第六は連絡局の経費であります。連絡局におきましては、中央における連合国官憲との連絡事務及びこれに関連する各庁事務の総合調整等に必要な経費として二千七百五十一万九千円を計上いたしております。 第七は連絡調整事務局の経費でありますが、これら事務局は十二地方に設置せられてあつて、地方における連合国官憲との連絡に関する事務及びこれに関連する各庁事務の総合調整をつかさどつております。これに必要な経費といたしましては、四千六百十万五千円を計上したのであります。 第八は外務省研修所の経費であります。これは外務省職員等に、外交再開の日に備えまして遺憾のないよう必要な研修を行わしめているのでありまして、これがため合計三千二百五十五万六千円を計上いたしてあります。 最後は国立国会図書館支部図書館の経費でありまして、この図書館支部経営に関します一般の経費として百二十二万八千円を計上したのであります。 以上がただいま上程されております昭和二十五年度経費の大要であります。詳細御審議のほどをお願いいたします。
○苫米地主査 以上で政府当局の要旨の説明を終りました。 次いで質疑を通告順に許します。小金義照君。
○小金委員 私は日本におる外国人の問題についてお尋ねをしたいのであります。占領下においていろいろ発表しにくいこともありましようし、また説明しにくい点もあると思いますが、ただいま日本におる外国人の国籍別、及びその数を承りたいのであります。
○苫米地主査 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○苫米地主査 北沢直吉君。
○北澤委員 いろいろお尋ねしたいのですが、簡單に質問いたします。第一点は、ただいまの小金委員の質問に関連するのでありますが、日本における韓国人の問題が非常に大きいのであります。そこでお尋ねしたいのは、いろいろわれわれの耳に入つて来ますところによりますと、日本における韓国人が、日本の共産党と相当密接な関係を持つておつて、そうして共産党に対して相当程度の、何と申しますか、政治献金、金を出しておるといううわさをたびたび聞くのであります。またこういうことも聞くのであります。韓国人が本国に送金する場合に、今の状態では正式に送金ができないから、共産党にその金を入れて、そうして本国におきましては、本国の政府からその金を出しておる。ちようど共産党と韓国の政府が為替銀行のようなことをやつておる。そういう方法で、日本の共産党が韓国人から金を集めているというようなことも聞くのでありますが、そういうような在留韓国人と共産党との資金関係につきまして、もし御承知でしたら伺いたいと思います。
○矢口説明員 一言御答弁申し上げます。ただいまの御質問に対する資料は別段ございません。ございませんが、在日朝鮮連盟が解散以来、北鮮系統のいわゆる朝鮮人は地下にもぐりまして、彼らは共産党関係と緊密なる連繋を保ちつつ、日本と韓国の間を往復して、各種の仕事をしているという情報も入つております。でありますけれども、その実体を捕促するまでには至つておりません。これは外務省のみならず、国警方面においても大体同感だろうと思います。それから今の銀行云々のことにつきましては、別段承知しておりません。
○北澤委員 この問題はなかなか真相を把握するのが困難な問題だと思いますが、もし日本の共産党と在日韓国人の間に、そういう資金的な関係があるということでありますと、非常に重大な問題でありますので、今後も十分こういう方面につきましては、できる限り御調査願いたいと思います。 この問題はこれくらいにして、次にお伺いしたいのは、最近アメリカ政府が日本政府の在外事務所を認めるということになつたわけであります。それでアメリカではニユーヨーク、サンフランシスコ、シヤトル、そういう方面に日本の在外事務所ができ、それからまた新聞によりますと、インド、パキスタン、タイ、あるいはカナダ、そういう方面でも、日本の在外事務所を認めるというふうな報道があるのでありますが、現在までのところ日本の在外事務所を認める国、及び在外事務所を置く場所、そういうものにつきまして実際のところをお伺いいたします。
○島津政府委員 お答えをいたします。この問題につきましては、二月九日付をもちまして、司令部から覚書が日本政府に参りまして、在米四公館の設置が発表されております。場所はニユーヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ホノルルの四箇所であります。今日まで正式にきまりましたのは、以上四箇所であります。ただいまの御意見のような、その他の国に関しましては、今日までのところまだ正式の問題になつておりません。ただ外電その他の情報を総合いたしますと、パキスタン方面は、あるいは近く正式の手続がとられるのではないかと考えます。なおまたヨーロツパ方面でも、スエーデンあたりは具体的に考慮中であるようであります。英本国並びに英国関係の各国では、まだ具体的に考えているところはないようであります。しかしパキスタン以外には、具体的にはなつておらぬようでありますけれども、本国はただいまのところ別といたしまして、一、二の地方に設置される可能性はあると思われます。なおまた本件は、極東委員会で取上げられまして、結局合意に達しなかつたようであります。その極東委員会の討議の模様も秘密にされておりますので、どういうような国が、どういうような態度をとつたかということはまつたくわからないのでございますけれども、根本的に反対な国は非常に少いように考えられます。また全面的には賛成ではなくても、アメリカの提案を修正するというような意見もあつたように想像いたしております。その他極東委員会参加国以外の国、たとえば南米方面にも、二、三の設置の可能性があるということは、申し上げてもさしつかえないと思います。ともかく正式になりましたのは在米公館だけであります。アメリカ政府の見解は関係国に通達をされたようでありまして、この形にならいまして、割合に早い機会に、各所に設置されることを期待しておるわけであります。
○北澤委員 念のために伺います。そうするとこの在外事務所の設置は、極東委員会に関連なく、アメリカとかイギリスとかそういう国で独自に決定する。従いましてアメリカで決定しますれば、極東委員会に関係なく在外事務所の設置が確定した、こういうように考えてよろしいのですか。
○島津政府委員 極東委員会に関係のない国も設置し得ると考えております。しかし手続上から申しますと、日本人を外に出すことは、一切最高司令官の権限になつておりますので、手続としてはアメリカ政府と関係国との話合いがまず行われまして、それから最高司令官を通じて、日本政府に話があるということになると思います。
○北澤委員 そうしますと今度四箇所に日本の在外事務所ができるわけですが、これに関する予算は、今度は出ていないようであります。あるいは追加予算か、あるいは予備費か何かでとられるか、その点を伺います。
○千葉政府委員 お答えいたします。今回の予算編成時期には、まだその話がございませんでしたから計上してございませんが、必要な予算は、大蔵省所管に海外出張その他海外拂い関係諸費として、七億の経費が計上されておりまして、このうちより必要な額を移しかえてもらう手続で、大体所要額につきましては、現在関係方面と折衝中でございまして、確定しました上その手続をとりたいと思います。
○北澤委員 この四箇所に大体どのくらいの費用をお使いですか。大体の見当でけつこうですから……。
○千葉政府委員 大体の所要経費でありますが、四箇所で二十七万ドル程度で間に合うのではないかと考えております。
○北澤委員 実は先日予算委員会でも私は総理に質問したのですが、こういうふうに日本の在外事務所が認められましたことは、非常にけつこうであると思います。しかしながらこの在外事務所が十分にその目的を達成するためには、相当の金がなければできないと思う。従来のように日本の在外公館の金が少くて、栄養不良のような状態では、せつかく在外事務所を置きましても、なかなか所期の目的は達し得ない。そういうわけでできるだけ活動費を持たしてやらないといけませんと申し上げたのですが、総理は現在の日本の財政関係、ことに外貨の関係からして十分にはできないけれども、できるだけのことはしますというような御答弁であつた。従来見ておりますと、どうも日本の在外公館というものは、かつこうだけはできておりますが、活動資金が少いためになかなか活動できない。私がおりますときに、ちようど斎藤大使がおつたのですが、斎藤大使の月給はトルコの大使よりも少い。当時日本の大使は大国の大使であつたのですが、トルコから来ている大使よりも少い。従つて結局大使は、どこからか借金をしてまかなうということになりまして、せつかく置きましても、その手当なり、活動資金なりが少いので、十分に活動ができないというのが従来の実情であつたのであります。でありますから、私は在外事務所を置くようになり、特に今度はこれが日本の海外における唯一の在外機関である。従つて日本の政府ばかりでなく、たとえば民間の経済などの調査につきましても、すべてこれに大きな期待を持つておるわけでありますから、私は今度在外事務所を置く以上は、十分に資金を與えて、その目的を達成し得るようにしたいと思いますが、二十七万ドルぐらいで十分かどうか、お伺いいたしたいと思います。
○島津政府委員 今回の在外事務所の形は、御承知の通り外交機関でもなし、貿易機関でもない、非常に権限を限定されました機関であります。とりあえず事務所を設置して運営するに必要な経費が、先ほど申し上げましたような額になつておるのでございます。しかし人員、経費その他は、開いた上でその運営状況を見まして、ぜひとも必要な額というものはまた将来当然考えなければならない問題だと存じます。ただいまのところは與えられた権限を遂行するのに必要な経費ということに考えております。御意見のように在外の機関を十分に活動させるためには、できるだけ十分な経費が必要なのでありまして、ただいまのところは、平たく申しますと、やつてみました上でなお考慮したいという段階であります。
○北澤委員 政府の御趣旨はよく了解いたしました。しかしながら現在日本で最も大事なことは、御承知のように貿易の振興という点であります。貿易の振興という点から申しますと、どうしても海外の経済事情、貿易事情の調査ということが困難であります。現在のような盲貿易では、なかなか国の貿易振興はできないということは申すまでもないのであります。この間も予算委員会で小金委員からもあつたのですが、イギリスが非常に海外の経済調査について熱意を持ちまして、いわゆるベトロと申しますか、イギリスの輸出貿易調査機関というものが厖大にできまして、民間の資金と政府の資金を合せて、二億五千万円くらいの大きな機構を持つておる。そういうことがイギリスの輸出貿易の振興につきまして大きな貢献をしておつたと思うのでありますが、日本におきましても同様でありまして、海外の事情調査あるいは貿易の調査というものにつきましては、私は格段の努力をしなければならぬと思うのであります。せつかく今度こういう海外事務所ができますので、いろいろその行動につきましては制限があると思いますが、これを使つて、できるだけ日本の海外事情の調査というものをした方がいいと思うのであります。そういうためには、どうしてもその資金がいるというわけで、私は今後の問題としまして、十分な資金を與えて、こういう事務所が貿易あるいは経済上の調査の上におきまして、十分に活動できるように御善処を願いたいと思うのであります。 次にお尋ねしたいのは、政務局の予算の中で、情報啓発事業実施に必要な経費、それから国際文化事業に必要な経費、この問題であります。現在外務省としましては、いろいろ大きな任務を持つております。たとえば講和條約に対する準備、あるいは講和條約ができたあとの日本の対外関係を処理するための準備等いろいろなものがありますが、私はこれと同時に日本の国内に対する啓発と申しますか、国際事情に対する啓蒙啓発というものにつきまして、もつともつと外務省として活動してもらいたいということを思うのであります。私はこの間予算委員会におきましても総理にお尋ねしたのでありますが、今日われわれ日本人は、單に貿易ばかりでなく、すべての面において、国際問題につきましては盲である。盲貿易ばかりでなく、われわれは国際情勢に非常に盲である。そのために何も事態を知らないから、外国電報によつて一喜一憂しているというのが実情である。もちろん外務省は昔のように在外公館を持つておらない。従つて現地のなまの情報がなかなか入らないのでありますが、しかし外務省におきましてはあるいは調査局、あるいは政務局におきまして、いろいろ海外事情に対する調査また情報を持つておるのであります。一般国民が單に新聞だけの情報によつて判断するより、外務省としてはもつと正確な情報を持つておるわけであります。こういうものを外務省だけにしまつて置かずに、広く国民に知らして、そうして国際情勢はこういうものだと、国民に国際情勢に対する正確な認識を與えて、国民の向うところを示すということが非常に大事だと思うのであります。外務省がもつと街頭に出て、国民全般に国際情勢というものをなるべくよく知らしめて、そうして国民が非常にむずかしい現下の国際情勢に処して、何をどうすべきかということを、よく知らしてもらうということが必要だと思うのであります。きのうも予算委員会におきまして、今度の中ソ同盟條約につきまして質問がありましたのですが、とにかく御承知のように国際関係は非常に緊迫しておりまして、それがだんだんと日本の周囲に冷たい戰争の焦点が集まつて来ておるということで、国民が非常に心配しておる。ところがなかなか情勢がよくわからない。政府に聞きましても、政府は非常に愼重にされまして、なかなか答弁しない。そういうことから国民が非常に不安にかられているところでありますからして、私はもちろんいろいろな微妙な関係はあろうかと思いますけれども、もう少し外務省が街頭に出て、そうしてこの国際情勢に対して正確な認識を国民に與える。そうして国民が不必要な、あるいは無用な心配をせずに行くようにしてもらいたいと思います。そういう意味におきまして、私は情報啓発事業費というものにつきましては、もちろんいろいろ仕事をするには金がいるのでありますから、こういうものには思い切つてひとつ経費を要求して、そうして国民が外務省に期待している活動を十分してもらいたい、こういうふうに考えるのでありますが、これについてひとつ御意見を伺いたい。
○田村政府委員 お答えいたします。ただいま北澤委員からおつしやつたことは、まことにもつともなことだと存じます。今日本におきましては、ほんとうに国民が国際情勢というものをよく知つていただくことが、これからの日本の外交をさらによくするということで、私ども同感にたえません。この意味で今年は昨年よりも国際啓発情報に関する費用というものは大分ふえておるのでありまして、その意味でわれわれは今度の一九五〇年度には、十分なることができるのだというふうに考えております。昨年も実は七月、八月ごろから、そういう意味で大分方々に人を送りましてやつたのでありまするが、一時にある期間を限つてやるということは、これはあまりおもしろくないので、来年度におきましては、これを一年にならしまして、十分に御期待に沿うような人と、それから回数とをもつて、国民の人々に、国際情勢がいかにあるかということをお伝えしたいと思つております。
○北澤委員 われわれこの間予算委員会におきまして、文部大臣に質問したのでありまするが、国民のうちで知識階級、特に学生層に、国際事情というものを普及するということが、私は日本の若い連中に非常にいいのじやないかと思いまして、各高等学校以上の学校に国際講座というものを置いて、そうして学生諸君に、国際の問題について正確な認識を與えるようにしたらいいじやないかと実は要望したのでありまするが、ひとつ外務省におきましても、現在国民が外務省に期待しておるところを、特に国際情勢を非常に知りたがつておる、こういう情勢をよくお考えになりまして、この上とも国際情勢に対する国民の啓蒙、啓発ということに対しまして、格段の御努力をお願いしたいと思います。これにつきまして一点申し上げたいのは、日本の共産党方面におきまして、外務省がいろいろ対外事情を宣伝するにつきまして、外務省に抗議を申込んでいる。たとえば外務省の人が方々に出張して、ソ連あるいはソ連の衛星国の事情などをいろいろお話しますと、これはいわゆる反共的な宣伝である。要するに外務省が、反共宣伝に利用されているということで、共産党側から外務省に抗議が出ているということを聞いておるのでありますが、私はこういうことは絶対に心配ない。外務省が国際情勢を国民に知らせるということは、外務省の本然の任務であります。外務省は何もソ連ばかりでなく、世界全体の情勢を国民に知らせるということが、外務省の当然の任務だと思いますので、そういう共産党側の抗議には決して心配なく、ひとつ十二分にソ連ばかりではありません、世界全体の国際情勢について、できる限り正確な認識を国民に與えるように、この上とも御盡力を願いたいと思います。 次に申し上げたいことは、国際文化事業の実施に必要な経費であります。本年度は百十七万八千円でありますか、出ておりますが、今度の議会におきまする吉田総理の施政方針の中にも、日本としましては民主主義に徹し、平和主義に徹しなければいかぬということを非常に強調いたしておるのであります。そういうようなことから申しましても、私は日本におきまする平和運動というものにつきましては、これは非常な重点を置かなければならないと思うのであります。日本の国内あるいは国外に向つて、日本が平和運動というものを大々的に展開して、そうして日本の国は平和主義に徹するのだということを国民にも知らせ、国外にも知らせることが非常に必要だと思うのであります。日本におきましては平和運動に関するいろいろな機関がある。あるいは国際連合協会、あるいは世界連邦に関する団体、あるいは太平洋調査会、あるいはMRA運動、あるいはユネスコの運動、いろいろなものがありますが、どうもこういう機関が金がないために、なかなか十分な活動ができないというのが、私は今日の現状と思うのであります。政府からは補助金は出ない。民間からもなかなか金が出ない。特に今日のよううな経済状態におきましては、なかなか民間の寄附も出て来ないというわけで、いろいろな団体があり、しかもその団体の目的は非常にいいのでありますが、実際問題として金がないので活動ができない、しかもこういう機関は全部ばらばらになつているというわけで、どうも日本における平和運動は統一がない。しかも金のないために、その活動が非常に消極的であるというふうに、私は見ているのでありますが、私はこういう運動につきましても、政府において適当にお考えになられまして、こういう平和運動はどこかでまとめて、しかもこれに十分な活動資金を與えて、こういう諸団体が平和運動にさらに十分に活動できるようにしたいと思うのでありますが、もしそういう点につきまして、政府の方で何かお考えがありますならば伺いたいと思います。
○田村説明員 お答えいたします。文化運動につきまして御質問がございましたが、今お話の通り文化団体というものはまつたく資産がございませんし、いわゆる精神的な面のみでありまして、実際の活動については非常な困難を感じている。最近は今おつしやいましたように政府からの補助金もないというわけで、この団体がいかに処して行くかということについて、その目的が非常に崇高なものであるにもかかわらず、非常に困難を感じている。従つてわれわれの方としても、できるだけこういうものに——金ということではできませんけれども、あるいは資料を外務省で購入いたしまして、これをある程度そういう団体に頒布するとか、あるいはそういう団体のために、ある程度事業の援助をしてやる。これは金の面ではできませんけれども、仕事として助けてやるというようなことをやつているのでありますが、これも実はあまり大きなことができないのを遺憾と存じております。実は目下のところ文部省あたりとも連絡をいたしまして、文部省あたりのユネスコ課あるいは文化財保存課あたりと連絡いたしまして、できるだけ海外の材料を持つて来て、これによつて文化運動の発展を資料によつて補つて行くというようなかつこうをとつているのであります。文部省あたりでは学術振興費というようなところから、若干の援助をしているということも聞いておりますが、外務省としては実は目下のところ大したことができないのを、非常に遺憾と思つております。
○北澤委員 現在は金がないからこういう運動に外務省としては補助ができないということでありますが、これは法律上こういう運動に、政府が補助金を出してはいけないということはないと思います。その点をちよつとお伺いしておきます。
○田村説明員 お答えいたします。私的な団体には補助をしてはいけないことになつております。
○北澤委員 政府として、法律上こういう団体に補助ができないということになると問題になるのであります。実は前に、国会におきまして民主政治連盟というのがありまして、これに国会から資金を補助しまして、日本における民主政治の普及ということに資したわけでありますが、もし政府の方でできないとなれば、国会あたりで金をとつて、そういう方面に補助するということも考えられるわけであります。この点は意見でありますから、申し上げませんが、もし政府として法律上そういうことができないとすれば、結局どこかで補助しなければならぬ。昔のように大きな財閥がありますれば簡單に集まりますが、今日のような財閥解体、しかも金を持つている者は新興財閥でありますが、そういう者はこういう運動に対しては認識がないというので、今日においては民間からこういう団体の資金はなかなか集まりません。結局国家もしくはどこかでこれに金を補助するということ以外に、こういう諸団体の活動はできないと思う。もし政府ができないとすれば、あるいは国会あたりで考えなければならぬと思うのでありますが、これは意見でありますから、差控えておきます。 次にお伺いしたいのは、今度の予算では、在外公館の借入金に対する調査をするということで、七百万円の経費が載つております。これはただ調査だけであつて、在外公館が借入れた金をいかに返して行くかということにつきましては、政府の方でまだ現在研究中であるということを聞いております。しかも私の聞くところによりますと、借入金は金額のいかんにかかわらず大体一万円で押える。たとえば一千万円を在外公館に貸しておつても、一万円しかもらえないというのでありますが、そういうように在外公館が終戰時現地の民間の人から借りた金を返すのは、金額はいかに多くても、全部一万円で押えるという考えがありますかどうか。その点伺いたいのであります。
○倭島政府委員 在外公館の借入金の予算に計上してあります経費は、在外公館等借入金整理準備審査会の事務費でございます。従つてこの中には借入金の返済に要する経費等は含まれておりません。御承知の通りこの審査会法は昨年の十二月から施行になりまして、今年の三月十九日までの間に確認請求書を出すことになつております。現在審査会の委員会並びに幹事会が開かれておりますが、現在のところ請求書が約六千件ほど出ておりまして、だんだんと所定の三月十九日の締切の日に近くなりますれば、もつと出て来るのではないか。大体の件数が約二十万件ぐらいが直接の関係のあるものでありますが、おそらくあと十万件か十五万件ぐらいは、直接法律によつてカバーせられるかどうか、疑問のもの等も出て来るのではないかと思つております。従つてこの予算に計上しております経費は、大体二十万から三十五、六万件の確認請求書を処理するに必要なる経費でございます。 なお借上金の支拂いの問題でございますが、これは審査会法にも出ておりますがごとく、このたびの審査会法によりますれば、ただ借上金の額を外貨表示で確認をするというだけでありまして、借入金の返還の問題は、将来の法律並びに予算の範囲内において支拂われるということになつております。先ほどお話のある額で切るというようなうわさの点でございますが、そのことにつきましては、何らきまつたものはございません。いろいろなうわさがございますが、全部うわさでございまして、将来の支沸方法、支拂額、あるいは先ほど申しましたように、このたびの確認は、外貨表示で確認せられるわけでございまして、結局支拂いの問題では、換算率というものが一番問題になると思いますが、その換算率等も、将来の法律できめられることになつておりまして、現在では何らこれについてきまつておりません。
○北澤委員 在外公館の借上金返済につきましては、まだ方針がはつきりきまつていないということで、了承いたしました。しかしながら、いずれにせよこれは政府が民間から借りた金であります。もちろん政府の財政状況も考えなければならぬが、こういうような借上金は、今のような外貨表示できまつて、それを換算をした場合におきましては、なるべくもと借りた金に近く、なるべく多く返すように、御配慮を願いたいと思います。 もう一点伺いたいことは、この予算には直接出ておりませんが、今の在外公館の借入金と同じような性質のもので、日本人の在外財産の問題であります。この間も委員会で多少問題になつたと思いますが、日本人が外国に持つておつた財産であります。もちろん国有財産はこれは当然賠償になるのでありますが、朝鮮、満州、台湾、支那等におきまして、相当莫大の資産を置いて日本人が引揚げて来ておる。こういう人たちは、外国に非常に財産を持つておりながら、着の身着のままで帰つて来て、相当困つた生活をしておるというのが現状であります。こういう外国に残した私有財産も、これがどうなるかは、まだ講和條約が決定しなければはつきりきまらぬと思いますが、大体の見通しといたしましては、これは結局賠償に充てられるだろう。個人の私有財産も賠償に充てられることになると思うのでありますが、こういうものに対しまして、日本政府としては、常に戰争の犠牲を国民全般に平等にわかつという見地から、こういうふうな在外財産が賠償にあてられる場合には、相当額の補償を、在外財産の所有者にしなければならぬと思うのであります。その点につきまして、もし何か構想がありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
○倭島政府委員 海外に発展しておられた同胞の、現地に残して来られた財産の問題でありますが、遺憾ながらこの財産の関係も、現在のところ、司令部の諸般の規定等によりますれば、まだ処理ができない状況にあります。と申しますのは、結局は今の御意見のように、賠償と関連をして来る。その賠償との関係がはつきりいたしませんのと、それから現地に残して来られた財産は、それぞれ所在国でいろいろな処分をせられておる状況でございます。これにつきまして、政府といたしましても、終戰後相当の年月がたちますので、これについての最後の結末を出しにくいにしろ、現在どういう状況になつておるかという、その後の処分の情報だけでも入手したいというので、司令部の方にも再三お願いしておるのでありますが、司令部の係官の話では、この在外財産の問題につきましては、現在司令部の管轄外にある模様でありまして、従つてその情報の入手ということも現在不可能な状況でございます。 なお、補償の問題につきましては、これはイタリアの條約その他の関係もございますが、はたして日本の関係にどういうふうに適用せられますか、まつたく不明の状況であります。但しおそらく政府の今後の方針としましても、関係者の利益をできるだけ尊重せられるように、あらゆる機会をとらえて措置をせられるだろうと思います。
○北澤委員 在外財産の問題については、今後なるべく多くの補償を與えられますように御善処を願いたいと思います。 最後に、もう一つ伺いたいのであります。これは予算とは直接関係はないのですが、この間私予算委員会で法務総裁にも質問したことがあります。それは終戰後日本人の家屋その他が相当多数進駐軍その他に接收されて、進駐軍が使つておるわけでありまして、家を持つておる者は、無條件交換だからやむを得ないとあきらめて、接收されておるわけでありますが、いろいろこの問題を考えて見ますと、非常に大きな問題が残つておると私は思うのであります。この間もアメリカ人の弁護士と、いろいろこの問題について話をしたのでありますが、現在の講和條約のできない前はしようがないが、講和條約ができた後においては、この問題は正式に取上げるべき価値のある問題であるということを、アメリカの弁護士も言つておりました。それは、こういう個人の私有財産を占領軍が接收するということは、国際法上のりくつがない。アメリカの参加している例のゼネバの陸戰法規に従いましても、私有財産は軍事上特別の事情がある場合のほかは、接收できないわけでありますが、現在日本は休戰状態でありまして、戰争を終つておる。従つて占領軍が軍事上の必要によつて私有財産を押えるという根拠はない。そうしますと、現在占領軍が日本人の個人の家屋を接收しておるのは、国際法から言うと根拠がない。その外国人の弁護士の言うには、ちようどアメリカの陸軍がメキシコを占領したときに、やはり同じような問題があつて、結局占領が終つたあと、この問題が非常に大きくなつて、アメリカ政府ではクレームス・コミツシヨンというものをつくつて、メキシコ人で接收されて困つた人に対して補償をした。占領終了後クレームス・コミツシヨンにおいてクレームを受付けて、そこで補償なり、賠償をしたという先例もアメリカにあるから、日本においても講和條約後の問題であるが、そういう問題について研究をしておいたらよくはないかということを、アメリカ人の弁護士は言つておりました。アメリカにもそういう先例があるというなら、日本においても、日本人の財産を保護する見地から、そういう点について、今から十分の御研究、御調査を願いたいと思うのであります。 私の質問は以上をもつて打切ります。
○苫米地主査 世耕弘一君。
○世耕委員 私は総括的に、いろいろな観点から簡單にお尋ねして、また簡單にお答え願いたいと思うのであります。先般の議会でありましたか、私は外務省廃止論を唱えたのですが、その理由は何かと言えば、決して私は外務省が現在の場合不要であるという前提のもとに言うたのではないので、私は逆に、今日くらい日本の外務省が価値づけられる時代はないのじやないか、それを兼任外相で間に合わせるということは、廃止する前提のもとに考えておるのか、こういうことで、逆に質問をやつたのでありますが、今この予算を見ますと、ほとんど過去の外務省の跡始末が主たる仕事で、少しも積極性がない。ところがわれわれは、近い将来において講和会議が開かれた場合に、その準備行為として、もつとたくさんの予算を持つて、大きく活躍する部面がここに盛られておらなくてはならぬと思うが、それがないというのを非常に遺憾に思う。この点に関して、有能な政務次官は何か積極的なお考えがあるかどうかということを、まず最初に承つておきます。
○川村政府委員 御意見きわめて同感であります。ただ、ただいまのところ、財政の都合上、こうした程度において最大の能率を上げるように努力をしておるのでありますけれども、根本的な考え方においては、全然世耕委員と同感であります。
○世耕委員 これは、はなはだ露骨なお話を申し上げるようですけれども、今御列席の外務省の政府委員の方々は、みな省内においてそうそうたる方方ばかりだと推測いたします。けれども顔つきをながめてみて、はなはだそのそうそうたる立場に似合わない、何だか萎縮した感じがある。張り切つていないところがある。これは、私は人相見じやないけれども、そんな感じがある。おそらく仕事の上に皆様がお考えになる理想が実現されない苦悶が、その面相に現われておることも想像できる。これは占領下われわれも同様でありますが、この場合一奮発して、飛躍的な態勢を整えてもらうように御努力願いたい。この意味において、私は機会があればもう一ぺん吉田総理に伺いたいのですが、総理大臣は、総理大臣だけでも大した仕事であるにもかかわらず、この難局の講和会議を前にして、兼任外相なんていうのは、もつてのほかだと私は言いたい。部内にこういう声が出ませんかどうですか、お聞きしたい。
○川村政府委員 総理大臣が、現在日本におきまして自分以上適任な外務大臣はないという信念でおられます。かたがたそういう意味において、お置きにならぬようであります。
○世耕委員 こういうことはあまり繰返してお話申し上げるわけではありませんが、確かに総理大臣は有能でしよう。有能であろうけれども、総理大臣が便所に入つたときには、外務大臣も便所に入つてしまう。一人二役というのは、そこに不便なところがある。たとえば外務大臣が議会に来て説明をしておる、総理大臣は司令部に呼ばれて行かなくてはならぬという場合に、外務大臣はどうしますか。できないじやないか。外交は私は非常に微妙なものだと思います。個人的関係から見まして、また官職の上から見ても微妙なものである。一人二役ということは、スターリンやヒトラーは考えたかもしれませんけれども、日本の現状には当てはまりません。のみならず、第一今日の時代においては、私は外務省にも外務大臣になれる資格のある人が幾らでもあると思う。なぜそれを実現するのに御努力なさらないのか。そこが私は萎縮しているというのだ。ひとつこの機会に立上つていただきたい。これがまず第一の注文です。 それから先ほど北澤君からの御質問の中に、外国資産の問題が出ております。この点についてひとつ触れますが、外国資産の問題は、個人の外国にあつた資産は、私は当然そのまま当人に返さるべき性質のものだと思う。国際公法上から見ましても、また一般法理論から見ましても当然返すべきものだ。ルーズベルトの数回の声明、あるいはウイルソン時代の声明を見ましても、今日の国際道徳から見ましても、私はこれは強く主張していいと思う。こういうことを私は考えておりますが、この点についてもそういう観点から、将来御対策を願いたいということをお願いするものであります。 それからこれも法務総裁にこの間聞いたのですが、自衛権についての問題が新しく今度話題になつて相当問題化されている。私は総理大臣に聞いても法律を知らぬからわからぬと思つて法務総裁に聞きました。自衛権というのは、その内容並びにその自衛権という権は、国際公法上のものか、私法上のものか聞いたところが、法務総裁は考えておつて、それは公法上からの解釈であるということを御答弁になつたのだが、外務省の方はどういうふうにお考えになつておりますか、この点をお聞きしたい、もう御研究になつておられるかどうかということと、もう一つは無條件降伏というのはどういう内容を持つものであるかということです。無條件降伏というのは、何もかもあなたまかせでいるのが無條件降伏だと解釈しているのか、むろんあの無條件降伏をするときに、皇室に関する、天皇の大権に関する問題を一応保留した以外のことを、無條件降伏というふうに條約文に出ておりますが、無條件降伏の内容は実にはつきりされておらぬ。この点について国際法上の法律的解釈を承つておきたい。
○島津政府委員 御質問の第一点の自衛権に関しましては、たびたび御質問がありましたし、また政府側からも御答弁しております。もちろん国の権利という意味でございまして、私法上の観念ではないと思います。 それから無條件降伏の内要でございますが、これも今回の日本の降伏した形は、ポツダム宣言を受諾して、無條件に降伏した形と思われるのであります。無條件と申しましても、全然條件がない、何でもよろしいということではないと思うのであります。しかしそうかと申しまして、有條件で、條件以外のことは何でもできるかと申しますと、それはまたできないと思われるのであります。実際問題といたしまして例を引きますと、ポツダム宣言の中に出て参ります條項に、連合国の方が違反した場合には、それについては無條件に何もできないというのではない。たしか衆議院の外務委員会の席上であたつと存じますが、條約局長から例を引いて御説明をいたしたことがあつたと記憶しておるのでございます。ある條件をもつて、その條件をかたにして、無條件降伏の門をくぐつたというような形と解釈してもよいのじやないかと存じます。大体以上で御了承願います。
○世耕委員 いずれこの点は條約局長からでも御説明をしていただいた方がけつこうだと思います。それが今日の講和会議の前提となる重要なポイントじやないかと思うのでありますから、われわれはあらためてお聞きするわけであります。今御説明になつた中で、無條件降伏でこちらはあなたまかせじやない、正しいことは主張していいという結論が大体得られると思うのだが、さてこういうことが言えるんです。自衛権ということは結局私法上のものでなく、国際公法上のものだということに、かりに法務総裁の説明の通りになるとすれば、その権力行使はだれがするかということになる。われわれは武器も持たない。むろん戰争もできない。ところが侵略国が、軍艦なり鉄砲をもつて乘込んで来たときに、われわれはどうするか。そのまま降伏するか、すなわち手を上げるかということだ。この間総理の話では、ジヤングルじやあるまいし、牙や角はいらない、だから結局文明各国の道義に訴えて、われわれは平和を維持することができるであろうというようなことを言うた。私は念仏だと言うた。最後になれば、侵入して来る者に対して、われわれは念仏をとなえながら、また無條件降伏しなければならぬ。そういうような侵略があつた場合は、われわれは無條件降伏するという條件に置かれているなら、何も自衛権を振りまわさなくてもいいでしようけれども、自衛権と言うなら、その権力をだれが行使するか。われわれの身辺からピストル、武器を取上げて行つた。われわれ日本国民は無手である、無防備である。しかしながら国内的には、われわれの身辺を保護すべき武器は持たないけれども、日常において警察というものが、われわれの治安を維持してくれる。そうするとわれわれは武器を持たないのだから、国防がないのだから、これに対してだれか安全を保障してくれなければならぬということが出て来る。そうすれば自己で守れないから、第三者がかわつて守るなり、あるいは連合国が、日本は永久に平和国家として維持されなければならぬ、絶対に侵略相ならぬという申合せをしてもらわなければならぬということになる。そこまで行かなければ自衛権の結論は出て来ないじやないかと思う。外務省の皆さま方もここを突込んで御研究になつておられるだろうと想像する。だから自衛権という問題がたまたま総理大臣から出て来たのだろうと思う。それとも総理大臣は思いつきで自衛権ということを考え出されたか。総理に聞いてもわからぬだろうと思うから私はそれ以上はこの間突込まない、長生きなさるだろうということで結論をつけた。この点はいかがでございますか。これは大きな問題であります。今後の講和問題に対して大きな問題になる。今日基地化することはいかぬということで、共産党の連中や社会党の連中にやかましく騒がれております。これもりくつがある。りくつがあるけれども、吉田総理自身が、自衛権という問題を持ち出して来られた以上、権の行使というものがなくちやならぬ。自衛権というものは無手勝流だ、手をあげるのがいわゆる自衛権だ。手をあげただけでこらえてくれればいいけれども、たいてい近ごろでは泥棒でも命をとつて行く。この点に関して私は決してむりな御説明を願うわけではないのです。もしその点についてお考えがあればこの機会に承つておきたい。 それからもう一つは、外務省としてこの際大いにいろいろな態勢を整えておく必要があろうと思います。海外から引揚げて来た、多年海外に居住されていろいろな関係にあられた方々の知惠を、大いに利用することが必要じやないか。そういう点に関して、何かそれぞれの手を打つておられるかどうか。新聞、雑誌を見ることも必要であろうけれども、そういう海外に長くいられて、その地方々々の実情によく精通された方々を、外務省の手足としてお使いになることもむだじやないと思う。そういう点について手が伸びておるかどうか。これも御答弁なさることがさしつかえがあるとなれば、私はお聞きしようとは思いませんが、まずその点について……。
○島津政府委員 自衛権に関する御質問でございますが、これにつきましては総理からたびたびお答えしておるのでありまして、それ以上に事務当局の方から解釈をくだす事項はないと考えます。ただ日本の持つている自衛権は、武力を伴う自衛権でないということばはつきりしておるのであります。それではどういうような自衛権かということになりますと、これも総理がたびたび申しておりますように、その場合になつてみなければ、どういうふうに発動するかわからぬというのが、ほんとうであろうと思います。
○世耕委員 もうお読みになつたかしらぬが、佐々木惣一博士の説をここに引用して御参考に供してみたいと思います。日本の自衛権というものは、相手国に侵略的戰争はできぬ。しかしながら相手国から侵略された場合には、武力をもつて必要に応じて戰うことができる。こういうふうに解釈している。これは一応含味することができるのではないか。それからもう一つは、私どもで解釈することができると思うことは、国内の戰争がある場合、国内で戰争していいということなのです。ポツダム宣言をずつと調べてみると、侵略戰争はできないけれども、国内の内乱はかまわないという解釈になる。ある意味において内乱を奨励しているような点も考えられないことはない。永久に武力抗争はいかぬのだということの言葉が、あの言葉だけでは足りないと私は思う。むろん私はこれから武力抗争をやれ、大いに侵略国に対しての防備を、今から用意しろというような挑発がましいことを申し上げるわけではないのです。ただ話の順序から一応そこまで発展して行つたのでありますが、こういう点もぜひ外務省でお取調べをしておいていただきたい。ならばわれわれの聞く前に御説明を願うようにしていただきたい。今局長さんのお話では、総理が答弁したから、それ以上は答弁せぬというようなことを言われた。総理は知らないのです。私は法律を知つている人だと思うならば、もつとつき進んで総理から聞くつもりだ。総理はその点に関し法律を知らない。だからあなた方が知惠者で総理に知惠をつけておるのだから、あなた方にお聞きするのが近道だ、こう思う。自衛権というものを一つ振りまわしておられるならば、こちらがこの問題で本気になつてつき進んで、総理をとつちめるつもりなら、簡單に総理の目を白黒させてみせますよ。私は自衛権という問題を法理的解釈から見ても、実際問題から見ても、自衛権ということを将来外交問題として、講和会議に御発言なさるのであるとすれば、もつと根本的な、もつと哲学的な、もつと国際公法的な論点に立つて御用意あることが必要じやないか、かように考えておるから、ちよつとこの点に触れさしていただいたようなわけであります。お答えにならなければ、それ以上のことをお聞きしようとも思いません。 それからもう一つ重要な問題として、援助物資並びに見返り資金の問題であります。大蔵大臣にもいろいろ聞きましたし、ほかの閣僚からも意見を聞き、いろいろお話を承つおるのでありますが、なお念のため聞いておきたいと思うことは、私は対日援助物資とか、あるいは対日援助見返り資金なんという言葉がまわりくどくていかぬ。これに誤解を生ずる。もつと簡單な言葉を使つたらいい。これなど見ますと、アメリカから援助資金をもらつても、もらい得だという感じが国民の頭にする。ある政治家のごときは、アメリカからもらつてありがたい、アメリカ様々だといつて言いふらしておる。私は條約の一部を見ましても借金じやないか、借款じやないか、借りたら拂わなくちやならぬ。もらい得という感じと、借りておるという感じとでは、国民の気持はよほど違います。その点は外務省はどういうふうに見解をとつておるか。これも私は決してあげ足とりとか何とかいうのではない。日本の実情を憂える結果、皆さん方のお考えをもつて適当に御説明願えれば、していただきたいと思うけれども、私の計算から見ますと、少くともその総額はおそらく一兆億円くらいに上つていやせぬかと思う。しかもこの援助物資あるいは見返り資金というものは、アメリカ政府が日本政府に貸して出しておるものであるか、あるいはこの中に民間資金が入つておるのかということも疑問が出て来る。私は民間資本も入つておるというふうに想像するのであります。この点は共産党の諸君からも、かなり綿密な質疑応答が予算委員会においてありましたけれども、まだ結論を得たと私は承知しておりません。共産党の諸君が憂えるばかりじやない。実はわれわれもこの点については憂えておるのであります。借金か、もらつたか、この観点をはつきりしておかないといかぬ。ゆうべのラジオ解説員の言うのを聞きますと、日本の援助物資関係が毎年五億ドルずつ来ておるということを言つておる。これを四箇年に見ますと二十億ドル、そうすると、概算してかれこれ一兆近いものが来たと言えます。一兆億からに見える金が、もらつたのやら借りたのやらわからぬということでは、今後の日本の再建に対して、非常にむずかしい問題が出て来るのではないかと思うのであります。なぜそういうこと言うかと申しますと、阿波丸事件のときの了解事項の中に、占領費並びに日本国の降伏のときから、米国政府によつて日本国に供與された借款及び信用は、日本国が米国政府に対して負つている有効な債務である。これらの債務は米国政府の決定によつてのみこれを減額し得るものであることを了解される。こういうふうにして外務大臣が署名しております。この中へこの援助物資並びに見返り資金等のものが計算に入るのかどうか、御説明を承りたいのであります。——御都合が惡ければあとで御相談願つて、返事していただいてもけつこうです。
○島津政府委員 ただいま御質問の点は、正確な資料に基きまして、別の機会に詳細お答えいたします。
○世耕委員 けつこうです。 それから台湾と千島、樺太の領有問題について、総理が数回各所で答弁なさつておりまするが、まだ結論的答弁が出ておらないようです。台湾の問題については、先般本会議で、トルーマン大統領が、あれは支那から日本が盗んだんだ、だから返すべし、こういう結論を出しておるのに対して、アメリカの上院におけるところのタフト氏の所論、並びに文献等を引用して、盗んだんじやない。あれはりつぱな條約に基いて日本が與えられたものであるということを指摘して、私は日本の名誉のために、盗んだんだという言葉だけは取消し要求をしたところ、総理から、適当な機会に自分もそうしたいという答弁がありましたから、私は了承いたしたのでありますが、同様な問題が樺太の領有の問題にもあるのであります。やはり樺太の領有は、不当なる攻撃によつて、日本が南樺太半分をロシヤから奪つたというように、ヤルタ協定の結論が出ておるようでありますが、これは日本の名誉のために訂正を要求する必要がある。ことに国後その他の北海道に接近しておる日本の領有の島々は、軍閥時代における侵略的手段によつて領有したのではないことは、世界の歴史家の十分認識しておるところであります。しかもそれが今日われわれが了解に苦しむ方法によつて占領されているということは、これは強くわれわれは主張して少しもさしつかえないのではないかということを申し上げたい。 それからもう一つは、ポツダム宣言受諾に基いて、われわれはこれを忠実に守ることには、少しも躊躇するものではありません。しかしながらポツダム宣言をわれわれが受諾をして、忠実に守らせることを要求する国々は、さらにポツダム宣言に基いて自国自身も忠実に守らなければ、信義というものは沒却される。こういう点について外務省はもつと強くぶつかつて行くべきじやないか、そういう正しい主張に対して、場合によつては国民運動を起してもいい。台湾は盗んだんだという宣言に対しては、盗んだんじやない、なぜなれば、あのときには李鴻章と一緒に下関へ支那代表として来たジヨン・ホウスターという人が——前のハリソン大統領のときの国務長官をしておられた方でありますが、その方があつせんしてきめたのである。だから、アメリカが盗んだのを手伝つたという結論になるが、そんなばかなことはない、アメリカの輿論は、そういうばか気た議論をのみ込むはずはない。また同時に南樺太の問題でも同様であります。南樺太の問題のごときも、威海衛を占領するとともにアメリカの大統領が仲裁に入られて、しかもニユーヨークの先のポーツマウスで、日露両国の代表者を呼んで、そしてあの問題を解決した。国際條約に基いて、しかも第三者のあつせんにおいて、今日世界の中心であるアメリカの大統領のあつせんによつてきめたものが、不当な攻撃によつてということは、それは少し言葉が強過ぎる。さようなことは堂々と訂正を要求してさしつかえないと私は思う。無條件降伏ということは、そういう間違つたこともうのみにしなくちやならないのかということを、私は実はお聞きしているわけです。この点は私はドイツ人の方がよほど勇気があると思う。見習うところがあるのではないかと思う。私は正しいことはどこまでも主張していいじやないかと思うが、いかがです、こういう点については御同感でございませんか。それとも何かいい知惠があつたらお貸し願いたいと思います。
○川村政府委員 御趣旨同感であります。
○島津政府委員 補足して申し上げますが、領土の問題につきましては、ただいま御意見がございましたような、盗んだ盗まないというようなことは、形の上では問題にし得ないと考えるのでございます。それはポツダム宣言でうたつてあります領土の関係は、全部日本側が守らなければならない関係にあるのでございまして、領土について日本側から主張する、あるいはこのために外交折衝をするというようなことは、でき得ない関係になつております。先日参議院の外務委員会で、ヤルタ協定が問題になりまして、ヤルタ協定と大西洋憲章とに矛盾があるということを総理が指摘しまして、そういうようなことは、講和会議のあとで訂正されるのを希望するというような答弁をしておつたと記憶しております。領土を決定するのは連合国が一方的に決定する、それに従わなければならない環境にあります。以上は、歴史的な事情をこの際認めさせるとか、認めさせぬとかいうことは、公式にやることはできないと解釈いたしております。ただいろいろ現実の事態につきまして、または歴史上の事実につきまして、その真相を知らせるということについては、これは十分手を盡して参りましたし、その点は妨げられないものと考えております。
○世耕委員 そのお説は一応ごもつともだと思う、無理じやないと思いますが、正しいことは正しく主張するということは、無條件であつてもさしつかえないじやないか、征服されていてもいいじやないかということが私の所論です。ことにわれわれは憲法がかわつて、インピアリアル・ジヤパニズ・ガバメントからジヤパニズ・ガバメントになつた。しかもアメリカのマツカーサー元帥の指導によつて、アメリカ式国家がここにつくられた。アメリカの世論の、正しいことはあくまでも貫けという考えが、民主主義の思想としてここに現われて来たものだと思う。古くはワシントン以来——リンカーンのごときは正義は力なりと言つておる。正義は力の前に服するのだというのは、あなたの観念論じやありませんか。あきらめろ、もうどうせ無條件降伏したのだからしかたがない、あなたまかせというのではあまりふがいないじやないかと思う。おそらくマツカーサー元帥は、そういうことは好まないでしよう。気に入らなかつたならば、ノーとなぜ言わぬか。日本国民は気に入らなくてもイエス、イエス、それでイエス・マンと言つている。ノーという国民があつてこそ、今後の日米関係も私は力強く結ばれて行くのじやないかと思う。頼りないじやないか。何を言うてもイエス、イエスと言つている。そこを私は言いたい。しかも、きようもアメリカから帰つて来た人の話によると、日本政府の問題はほんのちよびつと書くけれども、台湾問題に関しては、こんなに広く取上げて書いておるという。日本では眠つておる。あなたまかせである。無條件降伏になつたということは、われわれをはだかにしたということなんだ。かぜを引いたらはだかにした人に責任があるでしよう。われわれははだかでふるえていても、寒いから着物を着せてくれという要求権まで放棄したとは私は思わぬ。そうじやないですか。そこをひとつ考えてください。私の頑固一徹の主張ばかわじやないと思う。われわれにも世界中至るところに生存する生存権というのはあるでしよう。この気持がすなわち世界国家をつくり上げる前提となるのじやないかと私は言いたい。今日はもう飛躍的に、アメリカにおいてもヨーロツパにおいても、すでに世界国家ということが首題になつて行われて来ておる。原子爆彈時代は御承知の通りである。この機会に、われわれ頭を抑えられても、苦しくても默つて引込んでいなくちやならぬという、そういう道徳を私は日本にあらためてつくりたくない。アメリカ式をならつて、正しいと思うことは大いに主張して、それは誤りであつた、こういうところに矛盾があると言つて、はいと言つて引込んでいないで、いさぎよくその誤りを改めさせるところに、われわれ今日民主主義国家をつくり上げた前提がなかつたか。よけいなことではありますけれども、私は隠退蔵物資の問題について、いろいろなことで国民に非難された。私は憲兵総司令官に会つたときに、私のやつておることで少しでも不正なことがあつたら、裁判なんかいらぬからすぐつかまえて銃殺にしてくれ、そのかわりに私のやつておることが、道義的にも、国家的にも正しいとあなた方が考えられたら、私を全面的に支持してもらいたいと言つたら、オーケーという話が出た。なかなかアメリカさんはそういう点はわかりがよいと私は考える。私もヨーロツパに長くおりまして、大体外国人の気分はよく承知いたしておりますが、あまりにも日本人は卑屈じやないか。引込み思案じやないか。言うことも言わないで、相手の顔色ばかり見ておるということが、かえつて外交上にいろいろ支障を来すのじやないか、かように考えて特にこの点を主張するのであります。御返事をいただかなくてもけつこうですが、そういう点をひとつ御考慮に入れていただきたいのと、もう一つ言いたいと思いますことは、台湾は向うがかつてに処分していいのだ。それは條約に基いてやつたことだからいたし方がない。しかしながら、ポツダム宣言に基いて、われわれ無條件降伏したということは事実であるけれども、あの当時は、條約文を見ますると、日本帝国政府が條約を結んだ。今日新しい憲法のもとに講和会議を開くときは、おのずから立場が違つておるはずです。しかもそのときに約束したことをわれわれは無視しようというのではない。そのときにやつた誤りをわれわれはうのみにする義務がないじやないか。盗んだというそういう誤つた帝国主義時代のものを、そのまま民主主義時代の現在においてうのみにする必要が、どこにあるかということが、私の主眼点である。これをまた大きな賠償問題の見地から考えてみますれば、盗んだのならただ返してやればよい。日本の領土であつたということがはつきりされたならば、結局それならば賠償物資として得られると言えるのであります。そういう意味合いから、特にこの点は、愼重に、われわれも研究いたしますが、外務省といたしましても、十分御研究を願つておきたいということが、私の念願であります。 なお專任外相を置かれて——さらに予算もこんなちつぽけなことで、気のきいた雑誌を買つたり、出張旅費をとつたらあとはないような、こんなことでは日本を再建する外務省として、あまりに見すぼらしいから、飛躍的な計画を立てて、次の機会にでも提出されることを希望して私の質問を終ります。 〔主査退席、北澤主査代理着席〕
○北澤主査代理 ほかに本件に関する御質疑はありませんか。 それでは午後二時まで休憩いたします。 午後零時五十分休憩 午後二時十七分開議
○北澤主査代理 休憩前に引続き再開いたします。 昭和二十五年度一般会計予算中、文部省所管を議題とし審査に入ります。まず政府側の説明を求めます。高瀬国務大臣。
○高瀬国務大臣 昭和二十五年度文部省所管の予算の大要につきまして御説明申し上げます。昭和二十五年度文部省所管の予算額は百四十六億五百三十九万円でありまして、これを前年度予算額三百五十六億六千七百四十九万二千円に比較いたしますれば、二百十億六千二百十万二千円を減少いたしております。この減少を来しました理由は、義務教育費国庫負担金及び定時制高等学校教育費補助等に必要な経費を、本年度より地方財政平衡交付金に包含することといたした結果であります。 次に本年度予算額のうち、重要な事項につきまして申し述べたいと存じます。 第一は教職員の研修に必要な経費であります。新学制の趣旨を徹底し、教員の資質の向上をはかるために、教員の現職教育等に必要な経費三千三百七十五万円を大学学術局に計上したのであります。 第二は、育英事業の拡充に必要な経費であります。育英事業の重要性にかんがみまして、日本育英会に対し育英資金を貸し付けるとともに、その事務費の補助に必要な経費十五億三千七百六十四万八千円を大学学術局に計上したのであります。 第三は、科学研究の振興に必要な経費であります。わが国の国力の基礎をつちかうため、科学研究費交付金、科学試験研究費補助等に必要な経費五億円を大学学術局に計上したのであります。 第四は、社会教育の振興に必要な経費であります。社会教育の振興をはかるため、公民館の運営及び学校開放講座等に必要な経費三千四十二万円を社会教育局に計上したのであります。 第五は、芸術文化の振興に必要な経費であります。芸術並びに聽視覚教育の振興をはかるため、日本芸術院の運営、芸術祭の開催及び教育映画の普及奬励等に必要な経費二千六百四十九万八千円を、社会教育局に計上したのであります。 第六は、国宝その他文化財の保存修理に必要な経費であります。法隆寺、姫路城等、国宝その他の文化財保存のため必要な経費二億三百四十七円を社会教育局に計上したのであります。 第七は、私立学校建物復旧貸付金に必要な経費であります。戰災等によつて損害を受けました私立学校に対し、建物復旧に必要な資金の四分の三を貸付けるため必要な経費二億七千五百二十七万七千円を管理局に計上したのであります。 第八は、直轄学校運営に必要な経費であります。国立の大学、学校、同附置研究所及び同附属病院の運営のため必要な経費百六億二千八百九十三万円のうち、七十九億八千八百八十八万四千円を国立学校に、五億七千九百八十八万四千円を大学付置研究所に、二十億六千十六万二千円を大学付属病院に計上したのであります。このほか初等、中等教育の振興、教科用図書の編修、発行、検定、体育並びに保健対策、教育文化統計調査、その他文部行政及び学術振興上緊急欠くべからざる諸般の施策を講ずるため、それぞれ必要な経費を計上したのであります。 以上は文部省所管に属する昭和二十五年度予算の大要につきまして、御説明申し上げた次第でございます。何とぞ御審議の上、御協賛あらんことを希望いたします。
○北澤主査代理 以上で政府当局の要旨の説明は終りました。次いで通告順によつて質疑を許します。川崎秀二君。
○川崎委員 先般私は予算委員会におきまして、文部大臣に対して、ヘルシンキにおけるオリンピツク大会に参加を許された場合の、派遣費の捻出の仕方につきまして、お尋ねをいたしたのでありますが、予算委員会におきましては、持ち時間も制限をされておりました関係上、質問のしつぱなしで、御答弁を一回いただいてそのまま打切つた次第でございますが、本日は分科会でありますので、私の考えも述べますから、ひとつ丁寧に御答弁を願いたいと思つております。 文部大臣は、先般の御答弁では、オリンピツクに参加を許されても、民間の寄付金の募集は当然さるべきであるけれども、政府の国庫補助ということは、きわめて困難であるという御答弁でありました。わが国の財政事情並びに民間の募金能力からいたしますと、将来オリンピツクなどに参加する場合において、大量の選手団を送るということになりますと、とうてい民間では、まかないきれないものと私は思うのでございます。従いまして、先般の文部大臣の御答弁では、ひとりスポーツ界といわず、全国民が非常に失望いたしたというように感じておりますので、もう一度この問題に関連をして、先般の御答弁と間違いがないか、ひとつ御懇切に御答弁をいただきたいと思う次第でございます。
○高瀬国務大臣 ヘルシンキのオリンピツク大会へ、日本選手派遣ができるというような場合におきまして、国庫補助をどうするかという御質問だと思います。それにつきましては、予算委員会でも申し上げましたが、文部省といたしましても、体育、社会教育、精神教育、いろいろな方面から申しまして、やはりこういう権威ある国際的な体育大会に、日本から優秀な選手が多数参加できるようにすることは、はなはだ望ましいことだと考えております。従いまして、文部省は何とかしてそれが実現するように、できるだけの盡力をいたしたいという希望は、非常に強く持つております。それで国庫補助の問題でありますが、これは現在においては、いろいろな点において困難があることは事実であります。けれども、文部省は今申しましたような非常に強い希望を持つておりまするから、国庫としても、補助ができるならば何とかしたいという考えで、努力をしているわけであります。従いまして、今後そういうことができることの目鼻がつきますれば、なお一層努力をいたしまして、大蔵当局その他と十分協議した上で、やつて参りたいと考えているわけであります。
○川崎委員 オリンピツク大会に限らず、戰前におきましては、極東大会あるいは東洋選手権大会というものは、実現いたしませんでしたけれども、東洋各国の参加によつて競技大会が持たれて、お互いの友好親善に供しておつたわけでありますが、そういう際においても、当時の帝国議会は、これに対しまして多額の経費を捻出をいたしております。ベルリン大会では、私は数字ははつきりと記憶しておりませんけれども、百何十万円でございましたか、今日の価格にすれば一億ほどの経費を補助しているというふうに、記憶をいたしております。もちろん当時の環境と今日の環境とは、著しく相違をいたしております。当時は国威を発揚する、オリンピツクを通じて、日本民族の優秀性を誇示するというようなことに力点を置かれまして、そのことが、スポーツを本来の姿からやや歪曲をいたした点はございます。しかしながら、今後行われるオリンピツクに対しましては、こういう国家主義的な観点ではなしに、平和的に各国との交際を高めて行く、またオリンピツクそのものの精神から、これはスポーツマンがお互いに交流をして、平和精神を高揚するというところに、最高の目的があるわけでありますから、その意味合いをもつて、日本が国際場裡に復帰いたします際において、日本のこの健全な姿、平和を求めつつある姿を示す意味合いからも、民間の募金計画が困難であれば、私は当然国庫は補助をなすべきものと考えるのであります。民間だけの費用でまかなつているのは、アメリカ一国であるように記憶いたしております。イギリスはもちろんのこと、北ヨーロツパ、あるいは南米等の諸国におきましては、全額の国庫負担を行つておるところもあるわけでありまして、ひとりこれは国家主義的な考え方から、全額を補助するということでなしに、やはり国の姿を現わそうということを念願として、行われているように思うのであります。そういう意味合いからいたしますると、今度オリンピツクがありまして、おそらく今日の物価事情からすれば、一人百五十万円あるいは二百万円の経費がいる。そうすると入賞可能の選手、あるいは入賞確実の選手というものを最少限に拾つて行きましても、三十名ないし五十名のデリゲーシヨンというものは、派遣しなければならぬじやないかもう少し見学の意味を兼ねて行くということになると、役員その他を入れて、百名ぐらいの代表選手団を送る必要がありはしないかとさえ考えるのであります。そういうことになると、どうしても国庫の補助というものが必要であろうと思うのでありますが、こういう点については、関係方面とも十分なる連絡をとつて、おやりになつていただきたいと、私は希望いたしておきます。 そういうことについて、いま一点お伺いをいたしておきたいことは、国庫で補助することの困難の分析であります。困難の意味が、政府の財政負担が耐えかねるという点がおもな点であるのか、あるいは、スポーツは民間のものである、海外遠征をする際も、民間だけでまかなつて行けばいいのだ、国家が補助すると、そこに何らかの国家的な意思が加えられて、そのことによつてスポーツ本来の精神から逸脱するということも原因の一つになつているのか、あるいは関係方面の制肘によるものか、いろいろとございましようけれども、この点に関する困難の分析を、この際お示しいただければ幸いだと思うのでありますが、そういうようなことに関する御所見を承つておきたいと思います。
○高瀬国務大臣 私が困難と申し上げた内容の問題であると思いますが、むろんいろいろな点で困難もあります。財政上のことから言えば、予想通り十分の財政捻出ができるかどうかという点で困難はありますが、しかし全然できないということはなかろうと思う。それからオリンピツクに選手を派遣するというようなことが、国家的見地から見ましても、一般教育、一般国民精神という方面に、平和的な意味においても、非常にいい効果があると認めておりますので、その意味で国庫が補助するということは、決して理論上さしつかえないと私は考えておるのであります。それからその他の関係方面との折衝につきましては、実はまだオリンピツクに日本が参加しておらない関係から、具体的にオリンピツク参加というような問題で、国庫補助はどうだろうというような折衝は、何ら一度もしておらないわけであります。ですから、それが困難であるかどうかは、具体的にまだわかりません。しかしその他の国際体育方面への参加のいろいろな実例から考えてみまして、それらの折衝についても、十分の了解を得ないと、いろいろな困難がある、こういうことを申し上げたのであります。
○川崎委員 これはみな仮定の上の議論ということにもなりましようけれども、しかしながら、相当、差追つた問題でもあると思うのです。一九五二年八月にヘルシンキ大会が行われるとすれば、その前に国際陸上競技連盟への日本陸上競技連盟の復帰ということが、最後の問題でありまして、それが実現されると、大体オリンピツクに参加することが許されるだろうと私は予見もし、期待もいたしております。そこでいま一点お伺いいたしたいのは、民間の募金計画、民間の寄付金を集めるということが、やはり何といたしましても原則でございましよう。 〔北澤主査代理退席、苫米地主査着席〕 今後のスポーツのあり方としては、そうでなければならないと思う。今までのように国家に補助してもらつて、あと足りないところを民間がやるというような考え方では、いけないと私は思う。そこで派遣費の募集については、当然派遣をいたしまする主体は、日本体育協会にあるわけです。いわゆる体協にあるわけですが、体育協会は、今日の組織をもつてしては、運動の指導、あるいは統制というような点については、非常に実力のある団体でありまするが、募金をするというようなことについての力は、どうも客観的に見て、あまりないというふうに感ぜられるのであります。従いまして、そういうような際におきましては、私ども関係をいたしておりまするが、スポーツ振興会議という大きな団体が最近できまして、これはスポーツ界の輿論を政府の施策にも反映させようという大きい理想をもつて生れておりまするが、こういうような団体が中心になつて募金をすることが、望ましいのではないかと私は考えておるのであります。労働組合も入つており、経営者団体も入つており、あるいはレクリエーシヨン協会というような権威のある団体も入つておりまするので、これが国民的な運動を起す必要があるように考えておりまするが、そういう際に、たとえばばらばらに各新聞でもやる、それから最近の寄付金の募集などを見ておりますると、小さな団体までやつておりまするが、そういうばらばらの形式が望ましいか、文部省としては、やはり権威のある団体が中心になつてやるべきだとお考えになつておられまするか、その点をお伺いできれば仕合せだと思います。
○苫米地主査 この際ちよつと委員各位に申し上げますが、大臣は二時三十分から参議院の文部委員会に出席を、参議院側から要求せられておりますので、大臣に対する質疑は、しばらく中止していただきたいと思いますが、いかがでございましようか。
○川崎委員 私は主査に申し上げるのですが、衆議院の予算委員会開会中は、参議院から要求があつても、これに応じないということを、われわれは基本方針としてきめたはずです。ことに参議院の本会議がありまして、そしてこれが要求をする際においては、大臣をそちらの方にお譲り申してもいい。しかしながら、参議院の委員会あたりが、衆議院の予算委員会が開会中にもかかわらず、第一院を無視して要求するということは筋違いで、今日は、文部大臣はこの席におとどまりを願いたいと私は思うのであります。
○苫米地主査 そういう申出のあつたことも事実でありますが、委員諸君、いかがでございましよう。参議院の要求を断りましようか、もしくはこの際しばらくの間中止して、これを承諾いたしましようか。
○北澤委員 とにかく予算の審議は、私は最も重大だと思いますので、やはり文部大臣は、この分科会の開会中は、この席においで願いたいと思います。
○苫米地主査 ただいまの川崎、北澤両議員からの御意見は、一致しておるようですが、さよう決定いたしてよろしゆうございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○苫米地主査 それでは異議なしと認めまして、さようとりはからいます。
○高瀬国務大臣 寄付金の募集の仕方の問題についてのお尋ねでありますが、文部省としても、大体ただいま川崎委員からの御発言のような方法でやることが、いいと考えております。あまりばらばらに無秩序にやるということは、好ましくない。では統一してやるという場合に、どうしたらいいか、これもお話がありましたように、やはり日本体育協会というものがあるのでありますから、これを中心にしましてただいまお話のあつたスポーツ振興会議とか、オリンピツク協会とか、その他権威ある団体があればそれが一致協同してやられるのが望ましいと考えております。文部省としましても、そういう方法でやつていただくことにして、できるだけの御援助をしたい、こういうつもりでおります。
○川崎委員 次にお尋ねいたしたい点は、オリンピツクの主催団体である国際オリンピツク協会、IOCというものがありますけれども、そこから最近日本のオリンピツク委員の高石眞五郎氏に対して、招請状が来ております。文部大臣御承知かと思いますが、そこで向うでは、この方が追放者であることを知らないで出したものとも思いますけれども、しかしながら、できればどなたでもけつこうでありますから、これは参加していただいて、せつかく日本に対して招請状が来たわけでありますから、われわれとしては一日も早くオリンピツクへ復帰する希望を述べるべき絶好の機会であると思うのであります。このことに対して、文部大臣は何らか情報を知つておられるかどうか、それからこういう問題について、どういうごあつせんをなされておられるか、お伺いしたいと思います。
○高瀬国務大臣 高石眞五郎氏に対する招請状のことは、聞いております。でき得るならば、せつかく招請されたものでありますから、行かれるというふうになればけつこうだと、私も考えておるのでありますが、お話のありましたような関係にありますので、やはり手続上いろいろな問題がありまして、文部省としては、その手続の問題、いろいろな事情について、十分調査の上で善処したいというわけで、今調べておるわけであります。
○川崎委員 その問題は、いろいろデリケートな問題もありますので、このくらいで打切つておきます。 次に私が、ぜひこれは文部大臣にやつていただきたいという意味での質問をいたす問題がございます。それは終戰後相当民間では大規模に運動が展開されておるレクリエーシヨンの問題であります。これについては、文部省の経費の中にも、社会体育費、あるいはその他の費用において、レクリエーシヨン運動を助長して行こうという予算も盛られておるようでありますが、私は非常に大きな視野から見まして、日本の将来の方向は、文化国家建設ということが言われておりますが、これはきわめてあいまいであります。むしろ文化国家の内容である福祉国家というものに、一つの目標を置いて進んで行かなければならないと思う。憲法第二十五條には、すべての国民は、健康にして最低限度の生活をする権利があるということが書かれており、新憲法の理想は、実は最高にして最後の理想は、そこにさえあると私は考えます。その点からいたしますと、今後の政府の施策は、一方においては社会保障を徹底的に断行して、実際の生活に最低限度の生活をし得るだけの裏づけをなすとともに、一方精神的には、レクリエーシヨン運動などを通じて、国民の健康な精神を振起するところに、力点が置かれなければならぬのである。少額の経費をもつてこれを助長するという程度ではなく、大きなムーブメントを起して行かなければならない。やはりあらゆる地域、あらゆる職場において、レクリエーシヨン運動を盛んにいたして行かなければならないと思います。政府の今日までのレクリエーシヨンに対するお考えの基本はどこにあるか、ひとつこの点を伺つてみたいと思います。
○高瀬国務大臣 レクリエーシヨンの必要性については、ただいま川崎委員からお話のありましたことに、まつたく同感であります。文部省としても、できるだけこれを奨励普及して行きたいという方針でやつております。ただ一方において、予算等もはなはだ不十分でありますから、計画が十分実行できないということもございまして、思うように徹底しておらぬということは、はなはだ残念に思つておりますが、今後、むろん今までのような方針で、もつと積極的にレクリエーシヨンの発展普及ということに努力して参るつもりでおります。
○川崎委員 そこでお伺いいたしたい点は、本年度の予算においては、これは本年度予算の性格が、復興と安定の両性格を帯びておる、特に安定の性格を帯びておるという形で、社会教育費であるとか、あるいは学校教育という面が、割合に少く出ておりますけれども、少くとも私は、この安定を乘り切つたあとにおいては、かかる面への施策が重点的になつて来なければならぬと思います。勤労者の余暇の善用であるとか、あるいは青少年の不良化の防止であるとか、さらにはまたレクリエーシヨン運動を通じて、実際には民主主義教育を発展させることが私はできると思う。一番手取早くて、しかも非常に深い意義を持つておるのが、私はレクリエーシヨン運動であるとさえ感じておるのであります。文部省としては、来年度以降の予算については、現在提示されておるようなものよりも、もつと大幅なものを持つ意思があるかどうか。私は、スポーツは民間の主導性によるべし、しかしながら、レクリエーシヨンという問題は、むしろ国家が直接にこれに乘り出して民間におけるレクリエーシヨン運動のムーブメントと相呼応して、大きな運動を起して行く必要がありはしないかと考えるのでありますが、明年度以降の予算において、レクリエーシヨン運動を助長する経費を計上される気持があるかどうか、その点をお伺いいたしておきたいと思います。
○高瀬国務大臣 先ほども申しましたようなわけでありまして、文部省が二十五年度の予算で、レクリエーシヨンの普及に必要と考えた予算が、十分認められたわけではございませんで、やはりわずかになつたわけであります。今後も、むろん文部省もさつき申しましたようなわけで、これを重要視してやつて行きたいという考えでおりますので、計画もしつかりしたものを立てて、予算についてもこれを増額して行くことに努力をして参りたいというつもりでおります。
○川崎委員 次にスポーツの問題をもう一点だけお伺いし、他の質問を一、二伺つて、私の質問を終りたいと思います。最近世上をにぎわしておるというよりも、騒がしておる問題に、競輪の不祥事件があるのであります。先般予算委員会におきましても、この点は大臣にお伺いをいたしてありますけれども、さらにこの際明確にいたしたいことがございます。それは稻垣通産大臣——やめられたかやめられないか知りませんけれども、先般お答えになつたのには、競輪法の改正をする意思があるかどうかということを聞きますと、競輪法を改正することについては、いろいろと意見も出ておる際であるし、よく研究した後、必要があるならば改正したいという気持を暗示されております。競輪問題の不祥事が起つた点は、やおちようが起つておる点、あるいはボスが選手を脅迫して不祥事を巻き起しておる点、それから競輪場そのものの設計の不適格というような問題も起つておるのでありますが、それらの問題は、以前も競輪法というものがつくられた際において、主として地方財政の確保、自転車の品質の向上という点に力点が置かれて、スポーツとしての競輪に対しては、何ら考慮が拂われておらなかつた点があるのであります。もちろん競輪は、今日性格といたしまして、ひとりスポーツの面だけではなくて、そういうような点や、あるいは賭博の対象としての点もございますけれども、およそ人間が車に乘つて競走をする以上は、やはりスポーツに対する考え方というものもクリーアにして、出発して行かなければならぬと思うのであります。この点が、競輪に関する限りは、非常に暗い面ばかり出ておりまして、今やスポーツ界一般では、競輪は中止しろ、廃止しろとさえ称する人人が、多数出て来ておるのであります。私は競輪問題については、廃止論の方ではありませんので、むしろこれを浄化して行けということを考えておるのでありますが、そういたしますと、結局問題はこの競輪法の改正ということに触れるのであります。競輪法の改正をいたす際に、通産省だけが主体を持つてやりますると、また再び失敗を繰返さないとも限らない。そこで私が希望いたし、御質問をいたしたい点は、現在の競輪を監督をしておるところの通産省の監督官に、スポーツ知識が欠けておりはしないか、スポーツ・マンとしての素養が欠けておりはしないか。これはむしろ文部省あたりが、いろいろと連絡をし、援助をして、競輪をめぐるところの雰囲気をきれいにして行くことが望ましいと思うのでありまして、競輪法改正などの際においては、文部省としては、そういう点を十分織り込むよう、工作をされる必要があると私は思う。そういうような問題に関連をいたしまして、文部大臣の御見解をいただければ仕合せであります。
○高瀬国務大臣 競輪界に最近不祥事件が起つたということは、プロフエツシヨナル・スポーツには違いありませんが、やはり一つのスポーツであるという立場で、健全なスポーツ精神を汚すものとして、文部省の立場から申しますと、はなはだ遺憾に思つておるわけであります。たとえばプロフエツシヨナル・スポーツの問題でありますけれども、そういうことは、社会教育の上にも、学校教育の上にも、重大な惡い影響のあることでありますから、文部省はむろん関心を持たなければならない。そこで今後そういうような不祥事件が起きないようにするために、競輪法改正が必要であるかどうかという問題については、まだ私は検討しておりませんので、何とも申し上げられませんが、もしそれが必要であるということになつた場合には、主管省である通産省が直接は当られますが、その場合に、文部省はむろんスポーツの見地から、意見は十分申し述べて、積極的に働きかけたいという考えを持つております。
○川崎委員 少しこれは方面が違いますが、国宝その他文化財の保全、修理に必要な経費というものが、本年度は相当多額に計上されるごとになつたことは非常に喜ばしいことでございます。しかしながら、一時文化財の保護法案というものをつくつて、国宝のみでなく、広く一般の文化財を保護して行こうという考え方があつたように伺つておるのでありますが、政府においては、文化財保護法案というようなものを提案する意思は、今日のところございませんか。
○高瀬国務大臣 お尋ねの文化財保護法案は、前国会等で具体的に相当進行しておつた法案のことであろうと思います。これは政府が提出するつもりで法案をつくつておるわけではありませんで、国会の方で法案の準備を進めていられるわけであります。初め参議院が手をつけたのでありますけれども、衆議院の方とも相談して、ただいまでは両院で提案するという形になつているのではないかと考えております。その進行状況は、大分進行しておるようでありますけれども、こまかい点で、まだ十分参議院と衆議院とで意見の一致しない点もあるのではないかと思います。それらの調節もかなり行つておると聞いております。しかしこれが実行されるにつきましては、いろいろ定員の問題、予算の問題もあるというようなことから、各方面と折衝をいたしたりしておる段階にあると思います。
○川崎委員 私の質問はこれで終りました。
○苫米地主査 次は北澤君に発言を許します。
○北澤委員 最初に伺いたい点は、国際文化の交流についてであります。今度文部省の予算によりますと、ユネスコ事情の調査普及に必要な経費として五百万円あります。これが今度予算に出ております国際文化の交流に関する費目たと思うのでありますが、現在国際文化の交流が非常に大事であるということは私が申し上げるまでもないところであります。御承知のように、今度の戰争によつて、日本人に対していろいろな誤解が、外国側に出て来たわけであります。この誤解をなるべく早く取除いて、日本に対する国際的な信用を高めることが、講和條約を促進するゆえんであり、また講和條約以後におきまする日本国の発展を期する上におきまして、非常に重要な問題であろうと思うのであります。日本に対しまする誤解を取除くのには、結局日本に対する外国の理解を高める、外国人の日本人に対する理解を深めることが、最も大事だと思うのでありますが、そういう意味から申しましても、文化の交流ということが、非常に重要な役割りをするであろうと思うのであります。そういう意味におきまして、この文化の交流については、格段の御留意をお願いしたいのであります。先ほども、川崎委員からお話があつたのでありますが、あるいはスポーツ、あるいは学問、学術的の問題、あるいは婦人問題とか、いろいろな問題につきまして、日本と外国との間に人が往来をする、外国からも人がたくさん来る、日本からも行くというようなことによつて、日本人を理解させることが必要だと思うのであります。そういう意味におきまして、私はこの文部省の予算に出ておりますユネスコに関する費用五百万円というようなものは、これではとても少いのでありまして、もし今年あたりできませんでしたら二十六年度以降におきましては、こういう問題について相当多額の経費を御要求になるようにお願いするのでりあますが、これに対しまする文部大臣の御意見をお伺いいたします。
○高瀬国務大臣 日本が文化国家として発展いたして行くにつきまして、国際的文化交流がきわめて大事であるという点は、まつたく同感であります。その点では、最近におきましては、かなり交流の機会が多くなつて来ており、外国学会と日本学会との連絡が相当ついて来ております。世界的な学界に、日本の学者で招待される者も相当多くなつて来ておりますし、また外国への留学生が、相当出られるというようなことにもなつて来ております。それから外国の著名な学者が、日本の見学等にも来ております。日本の学会との連絡も相当あるというようなことで、非常に喜んでおるわけであります。ユネスコ運動というものが、その意味でやはり国際文化の交流発展に非常に役に立つ、そうしてそれが日本でも協力団体として、地方的にも発展して行つていることは、非常に喜ばしいと考えております。文部省としても、そういう運動の今後ますます発展して行くことを希望しておるわけでありますが、現在まだ日本がユネスコに正式に参加を許されておらないという関係から、この運動について、十分にできないような故障も、一方にはあるわけであります。何とか早く正式にメンバーになれるように考えておるわけであります。文部省は、現在は民間のユネスコ協力運動の助成に、極力当つておるわけでありまして、その方面での予算が、これで十分だとはもちろん考えませんで、はなはだ不十分だと思つておりますが、今後はむろん予算的な措置ももつと拡大いたしまして、国内におけるユネスコ運動の徹底的な発展には、できるだけの努力をいたしたいと考えております。
○北澤委員 当局におかれましても、この国際文化の交流につきましては、いろいろの手を打つておられるということを拜聽いたしまして、私も了承いたしました。ユネスコの問題につきましては、文部省といたしまして、いろいろ盡力をされておることは、よく承知しておるのでありますが、聞くところによりますと、せつかくユネコス協力会ができましても、結局資金の不足のために、十分の活動ができないというようなことを聞くのであります。その辺の実情を御説明願いたいと思います。
○高瀬国務大臣 ユネスコ運動の直接の主体は、民間の団体でやつておるわけで、文部省は直接何も関係はしておりませんで、民間団体自体が自主的に発展されて行くということを、できるだけ刺激し奨励するという意味でやつておるわけであります。民間におけるそれらのユネスコ団体の運動についての資金がはなはだ不十分で、困つておる状況じやないか、こういう御質問じやないかと思いますが、そういうことはよく聞いております。ですから、何とか一般民間の方々も、国際文化の交流の重要性ということを認識され、平和主義精神の徹底等については、最も大切な役割を果すのでありますから、金銭的にももつと援助を得られるようにしたいものだという希望を持つております。しかしそれもユネスコ運動自体の内容が積極的に発展をして行つて、非常にりつぱな実績をあげて行かれるということになれば、おのずから民間における認識も十分になつて参りまして、財政的な援助も、現在よりははるかに得られるというような結果になつて、発展して行くのではないかというふうに私は考えております。
○北澤委員 先ほど申しましたように、結局日本に対しまする外国の理解、あるいは信頼を高めることが、最も大事だと思うのであります。そのためには、大臣のおつしやるように、日本からもたくさんの人が外国に出る、そして外国の人もたくさん来てもろうということが一番いいのであります。これにつきましては、なるべ各方く面、各分野において、そういうような状態に持つて行つていただきたい、たとえば、宗教家は宗教、青年は青年、あるいは学生、婦人というような問題で、あるいは会議をするなり、あるいはお互いに、日本から人が行き、向うから人が来たりするというようなことにして、なるべくたくさんの人が往来することによつて、日本に対する外国の認識を高めるということが必要であると思うのであります。幸いにしまして、終戰以来特にアメリカの日本に対する感情は、だんだんよくなつたのでありますが、そのよくなつた原因には、いろいろなことがありますけれども、その主なるものは、結局進駐軍のたくさんの将兵が、日本に関する認識を高めてアメリカに帰り、それが自然にアメリカ全体に及んで行つたということもあると思うのであります。特に戰前の状況を見ますと、アメリカにおきましては、中国に対する認識が非常に深い、日本に対する認識は浅かつたのであります。と申しますのは、アメリカからたくさんの宣教師が中国に参りまして、中国至るところにアメリカの教会がある。従つてその中国におけるアメリカのキリスト教の教会には、アメリカの至るところの町、部落から宣教師が行つておる。その宣教師が長い期間おつて、アメリカに帰りまして、現地の実情をよく周囲に話すということから、中国に対するアメリカの認識、同情が非常に深い、日本に比べて、中国に対する同情がアメリカ人の間に非常に深かつたのであります。そういう点から申しまして、日本に対する外国の認識を深めるという点からいたしましても、こういうふうになるべく外国の人がたくさん来、また日本の人も行つて、日本に対する理解を深めるように、今後とも御努力をお願いしたいのであります。 次に大学の教育の問題についてお尋ねしたいのであります。私は日本の大学を出まして、アメリカのプリンストン大学に三年ばかりおつたのであります。これは湯川博士が招聘を受けた大学であります。向うの大学の教育の実際を見ておりますと、日本の大学などとは非常に違うのであります。私は日本では文部大臣に教わつたこともある商大におつたのでありますが、日本の大学の教育の仕方と向うの大学の教育の仕方とは非常に違う。日本では、御承知のように一つの大きな教室にたくさんの生徒を集めて講義をする、いわゆる詰込み主義とでも申しますか。ところが、向うの学校へ行つて見ますと、いわゆるゼミナールの制度や非常によく活用しておりまして、たとえば、一週間の中で政治学の講義の時間が三時間あると、一時間は主任の教授がたくさんの生徒を集めて講義をする、あと二時間は、その学生を大体十人、二十人くらいのグループにわけて、教授あるいは助教授、助手が一人ずつついて研究の仕方を教える。学問の詰込めでなくして、本の読み方、あるいは学問の研究の仕方を教える。そうして教授なり助教授、あるいは助手なりが研究のやり方を導いて行く、こういうふうな制度をとつておるのであります。もちろんこれには相当の経費もいるわけでありまするが、こういうふうに一人の先生が十人、二十人の生徒を受持つて研究の仕方を教え、本の読み方などを教えて行くということになつておりますから、先生の人格が自然によくうつつて行くというふうなことを見まして、実にうらやましく思つたのであります。 それから向うの大学は、クラブの組織が非常に発達しておる。御承知のように、向うでは四年でシーニア、ジユニア、ソフオモア、フレツシユマンとありますが、入つた場合の一年のときには、そういうクラブは許さぬのでありますが、二年以上になるとクラブを全部持つておる。たとえば、出身のハイ・スクールが單位になつたクラブであるとか、あるいは出身の州が標準になつたクラブもあります、いろいろな関係のクラブがある。ところがクラブにおきましては、学生がお互いに接触しまして、学生が大学におりながら、社会人としてのいろいろな訓練を受け、教養を獲得するというふうなことを見て、実にうらやましく思つたのですが、こういうふうにゼミナールの組織により、あるいはクラブの組織によつて、学生が学校におりながら、いろいろな人格的な教育を受ける、また社会的な教育を受けるということを見まして非常にうらやましく思つたのであります。私は今後の日本におきましても、民主政治を運用するほんとうの国民をつくり上げるためにも、こういうふうな教育の仕方が日本においても望ましいと思うのでありますが、その点に対しまする大臣のお考えを承りたい。
○高瀬国務大臣 大学教育のやり方でありますが、私もただいまお話がありましたような方法で、日本の大学においてもやられることになれば、非常に望ましいことだと考えております。お話にありましたように、大体今まで日本の大学は、何百人という生徒を大きな教場に集めて講義をするというのが、主になつておりまして、そこヘゼミナール制度も加味されてはおりますけれども、大部分の大学では、その学生の中のある一部の少数の者、特に将来学者にでもなろうというような者だけが、個人的に先生を選択して、ゼミナールに参加するという場合が多かつたと思います。しかし私が学長をしておりました商科大学は、その点は一般の大学とは大分違つておりまして、今お話のアメリカのようなやり方に非常に近いやり方をやつております。全部の学生が教授に指導されるということになつておりまして、各教授の研究室に分属することになつておつて、個人的な人格的な影響を受ける指導をされているわけでありまして、その点では、日本でもある程度は実行しているわけであります。ただ学生と教授との割合等も相当うまく行つて、学生の数に比べて、教授の数も非常に多くなければならぬ。それから研究指導するについてのいろいろな施設、研究室の施設、図書の施設、またいろいろな報告を書くについてのいろいろな施設、経費等がありますものですから、なかなか十分アメリカの方式をそのまま実行するというところまでは行つておりませんけれども、教育の方法としては、アメリカのようなやり方がまさつていることは事実でありまして、各大学とも、最近においては、この方法をできるだけ可能な限りにおいて取入れてやつて行こうという方針でやつていると思います。文部省といたしましても、そういう方式がいい、できるだけそういう方式でやるようにということを、奬励しているわけでありますから、漸次その方へ改善されて行くだろうと考えております。 それから社会人としての訓練をする場合に、学生生活の間に健全な団体生活をやりまして、その間に訓練をして行くことが非常に有効である、これもまつたく同感であります。各大学とも、いろいろな文化の団体とか、スポーツの団体とか、その他いろいろなことで、学生のそれぞれのグループができて、やつているわけではありますが、アメリカのようにはしつかり行つておらない点で非常な欠点があります。これも各大学ともむろん認めているところでありまして、できるだけそういうことも努力するという方針でやつていると思います。
○北澤委員 次にお伺いしたいのは、科学研究費の問題であります。これを見ますと、大体自然科学の研究奬励が主のようであります。もちろん自然科学の研究も必要でありますが、やはりこれと並んで、社会科学の研究も、非常に必要だろうと思うのであります。アメリカの各大学を見ておりましても、すべての大学は、いわゆるソーシヤル・リサーチ・ビユーローと申しますか、社会科学研究調査機関がありまして、ここにおいていろいろな経済問題その他の問題の調査を、相当よくやつているのを見ておるのであります。それからまたルーズベルトがニユー・デイールをやつたときに、このニユー・デイールの基礎になる調査は、結局社会調査であるというわけで、そういうソーシヤル・リサーチというものをさせて、ニユー・デイールを実行する基礎の資料をつくつたわけであります。私はどうしても、日本においてもソーシヤル・リサーチ、社会問題の調査研究を、自然科学と並んで大いにやつてもらいたいと思うのであります。文部省の予算を見ますと、この科学研究というのは、これはおもに自然科学の方の研究であつて、多少人文科学研究費もありますが、どうも自然科学に重きを置いて、社会科学の方の研究が少し軽く扱われているのじやないかと思うのであります。この点に対する文部大臣の御意見を伺いたいと思います。
○高瀬国務大臣 文部省の科学研究費の中での割当の状況からいつて、自然科学方面に非常に偏重しているというような御意見のようでありますが、私もある程度は、そういう感じを持つております。私も社会科学方面の人間であるから、そう感ずるのかもしれませんが、もう少し自然科学以外の方面によけい行く方が、至当じやないかと思つております。しかしこの割振りは、文部省だけできめるわけでございませんで、日本学術会議の方で、大きな割振りの方針をきめて参ります、それにのつとつて、文部省は考えているわけであります。なぜ自然科学の方に非常に偏重のような傾向に見えるかと申しますと、一つは、自然科学方面は、実験がどうしても必要であるということから、経費が非常にかかる。社会科学方面の研究費よりも、自然科学方面の研究費の方が、非常に金額が大きくなることは事実であります。そういう点で、金額の上からいうと、自然科学の方が多くなることは、もつともな点もあります。ただ研究題目等を比べてみますと、やはり自然科学の方が非常に多い。そうしてこれを割り振つて行く場合には、希望者から申請を出させまして、それを審査してきめて行くわけでありますが、自然科学方面の要求が非常に多い。自然科学の部門は非常にたくさんあつて、その中の各部門で、また小さな実験を盛んにやられるわけですから、種類の数が非常に多い、そういうところから要求が自然多くなる。実際やるとすれば、経費もよけいかかるというようなことから、伝統的に自然科学の方が非常に重く見られているという結果になつているのじやないかと思います。しかし、最近はそれが漸次是正される傾向にあることは、事実であります。この二、三年来、社会科学方面への割当が比較的にだんだん多くなつて来ていることは、事実でありまして、今お話のありましたような点は、私も実は十分感じている点でありますから、今後はできるだけ社会科学方面についても、重要視して行くという方針で行きたいと思つております。
○北澤委員 自然科学のみならず、社会科学についても、いろいろ調査研究を大いに奬励するという文相の御方針を伺いまして、まことにけつこうだと思います。これに関連してお尋ねしたいのですが、現在日本には非常に失業者が多いのであります。その中でも若いインテリ階級の失業者が相当多い。満州事変以後におきましては、そういうインテリ層の失業者は、満州とかそういう方面において就職の機会があつたのでありますが、今日の状態において、そういうインテリ層の若い人の失業者が多いということは、非常に困つた状況にある。これが社会不安のもとをなしているというふうに、私は考えるのであります。こういう若いインテリ層の失業者をなるべく少くするという意味から申しましても、私はこういうふうな調査機関を大規模に進めると同時に、ここにあるような育英事業の拡充という点についても、格段の御盡力を願いたいと思うのであります。育英事業の拡充に必要な経費は、去年は九億二千九百万円、今年は十五億三千七百万円で、大分ふえております。私はそういうふうな知識層の失業者が、惡の方に走るのを防ぐためには、そういう調査機関をつくり、こういう育英事業というものによつて、幾分でもこういう将来のある若い知識人を善導することが必要だと思うのであります。この育英事業につきましては、予算にありますように、去年に比べて六億ぐらいふえているのでありますが、これは財政の関係もあることでありましようが、今後もつと大幅に増額をお願いしたい、こう思うのであります。今日地方の農村の状況を見ますと、もとは地方には相当な地主があつて、相当の資産もあるので、みな東京なんかに学生を出すこともできたのでありますが、今日の状況では、農地改革の結果、そういう余地がなくなつた。従つて地方におきまして、都会に学生を出して教育をするというようなことは、ほとんど不可能な状態であります。もうできるのは、やみ屋かなにかで金をつくつたものでありまして、そうでない限りにおいては、都会に学生を出して教育をするというようなことは、ほとんど不可能な状態でありますが、ほんとうに民主政治を徹底するというためには、これではほんとうに教育の機会均等ということは困難な問題だと私は思うのであります。結局その各人に対して、平等な機会を與えるという点から申しますと、教育の機会均等、教育を均等にやつてその結果によつて、ある人はりこうになり、ある人はあまりりこうにならぬということはしようがないのでありますが、教育だけはなるべく均等な機会を與えて、そうして各人の能力を最大限に発揮させることが民主政治の要諦だろうと私は思うのであります。そういう点から申しましても、育英事業——非常な才能を持つておりながら、家庭に財産がないために教育が受けられないというような者があつたのでは、これはどうも民主主義の本旨に反すると思うのであります。そういう点から申しまして、育英事業の経費というものにつきましては、二十五年度はこれ以上の増額はできないと思うのでありますが、二十六年度以降におきましては、ひとつ大幅な増額ができまするように、大臣の特別な御配慮をお願いしたいと思うのであります。それにつきまして、大臣の御意見を伺いたいと思います。
○高瀬国務大臣 育英会の予算は、お話がありましたように、二十四年度に比べて約六億増額して計上されております。この結果といたしまして、義務教育の教員を養成する学部につきましては、在学生の半数に対しては月二千円程度の補助ができるということになります。これを半数に対して二千円ずつ出すのがいいか、あるいは事情によりまして千五百円、千円という人もあつていいというようなことで、数を多くする方がいいかは、これからの運用できめて行きたいと思いますが、予算の金額から行けばそういうことで五〇%ということになつております。一般の学生から申しますと、大学等は約一〇%くらいのところまで行くだろうと思います。けれども、一〇%では非常に少いので——しかし今までは八%くらい、それを一〇%にまで上げることにはなりますが、これでは今日の状況から言うと、はなはだ少うございますから、むろんこれを上げて行きたい。二十五年度におきましても、文部省としては、せめて一二%くらいまで行きたいということで努力はいたしましたけれども、財政状況その他によつてそれができないで、この程度にとどまつたわけであります。しかしそれでも、とにかく六億の増額ができたということは、喜んでおるのであります。今後はむろん今日のような学生の生活状況が続く限り、できるだけ増額して行きたいという方針であります。
○北澤委員 文部当局の御努力によりまして、去年に比べて二十五年度におきましては、文教関係の予算が相当大幅に拡充されておるということを見まして、文部当局に敬意を表するのであります。今後ともその線に沿つてひとつ格段の御努力あらんことを要望しまして、私の質問を終ります。
○苫米地主査 平川篤雄君
○平川委員 文部大臣その他御関係の方にお伺いいたしたいと思います。予算総会におきまして、平衡交付金と義務教育費の関係について、大まかなところをお聞きしたのでありますが、まだ少しはつきりしない点がありますので、それをお導ねしてみたいと思います。まず第一番に、この平衡交付金中に含まれております二百五十三億と申しますものは、文部省の関係の予算としましては相当大きなものでありますにもかかわらず、これをこまかい資料をもつてここにお示しにならない理由はどういうわけでありますか、この点をひとつお聞きしたい。
○高瀬国務大臣 ただいま御指摘の二百五十三億というのは、多分今まで義務教育費国庫負担法というようなやり方で考えられた場合の、教員俸給の半額補助の金額に当るような数字ではないかと思う。そうしてその数字は、今までより大分ふえておりまして、小学校は五十人に対して一・三五を一・五にする、中学は一・七を一・八にして、その上に結核の教員は別個に考える。それから女教員の産前産後の休暇も別個に考えての俸給費半額という数字ではないかと思う。今後はその金額が一般平衡交付金の中に入つて行くわけであります。一般平衡交付金でもつて、これが補助されて行くということになりますと、教員俸給の半額を補助するというようなやり方ではなくなつて行くことになります。しかし、とにかく二百五十三億というものは、そういう意味で教育のための交付金の中に入れられた金でありますから、それは確実に確保して行くという方針はとつておるわけであります。
○平川委員 それでは結局、来二十五年度からこの金額については、はつきりと二百五十三億幾らというものは、文部省が関知しない数字であるということになるのでありますか、それともやはりそのもとになる資料は、文部省の方からお出しになるのでありますか、その点をお聞きしたい。
○高瀬国務大臣 交付金制度の制度といたしましては、今度給料で半額補助するとか何とかいうことではなくなるわけです。一般的な教育費の標準額、またその他の行政費の標準額を合算し、それから歳入の方の標準的な歳入額を合算して、足りない部分を一括して平衡交付金で出されるわけでありますから、どの県に教育費でどのくらい補助するということには、ならないわけであります。そういうことになるので、今までとは大分違つて来て、金で確保されるということになるわけであります。
○平川委員 それではお伺いいたしますが、文部省がお出しになろうといたしておりまする標準教育費法案であります。これは文部大臣の非常な御努力を、私どもは多といたしておりますが、これは結局その交付金の大体の金額というものとは全然無関係に、これこれのものは設置せよ、これだけの規模と内容を持てということを、地方へ一方的に御指令になるという性質のものになるわけでありますか。
○高瀬国務大臣 交付金の金額とは、直接関係はありません。つまり、さつき申しましたように、地方が標準的な歳出総額というものを計算する場合に、教育費については、標準的歳出はどのくらいになるかということを計算されるわけであります。ですから、そういう歳出総計というものと、それから歳入総計と比べた差額が、平衡交付金になりますから、その標準教育費の計算の仕方というものが、平衡交付金の大きさを、最後においては左右するという結果にはなります。ですから、そういう意味では関係があるわけです。それで義務教育に対する標準教育費を確保するという意味合いから申しますと、交付金としてこれだけ出すから、これを確保するという意味ではありません。直接にはそれは関係がなく、義務教育を実施するについては、最低このくらいの標準経費は必要であろう、これを確保したい、こういう意味であります。
○平川委員 そうすると、従来非常にやかましい問題になつておりました定員定額などの問題も、これで全部解消されるものと理解してよろしゆうございますか。
○高瀬国務大臣 定員定額という今までのような形においては、これがなくなります。ただしもし、標準的経費を計算する場合には、やはり生徒一人当りについて幾らという経費を出して、それで確保するわけです。そうしますと、生徒に対して先生の数はどのくらいが必要か、これはどうしても考えなければなりません。そうして先生の俸給を考えなければ、自然標準経費が出ませんから、標準経費を計算する材料として、先生の数をどのくらいにするか、待遇をどのくらいにするかということが、当然考慮される、こういう問題になります。
○平川委員 大体了解をいたしたのでありますが、そうすると、もし標準教育費法の示します範囲を越えてやつておりますような場合には、昨日本多国務相から御答弁がありましたように、もうそれは問題でないということはよくわかるのでありますが、もしかりに文部省が示している以下にやつておりました場合、それを今度平衡交付金を罰則的に削減するというような場合には、めんどうな問題が起りはしませんでしようか。簡單に幾ら幾ら削減しろというようなことを、文部省としてはお示しになれますでしようか。
○高瀬国務大臣 文部大臣が、標準経費をこのくらいにしろということを、一々命令するわけではない、それを法律できめて行こうというわけです。それが標準経費に関する法律です。法律で標準をきめてありますから、一々文部大臣がさしずする必要はない。地方はその法律に基いて計算して行けばよい、計算通りにやつているかどうかという問題である。計算された額以上に出すことは、ちつともさしつかえないこれは最低の標準経費であります。それ以下になつた場合にはどうするかという問題、その場合には、調べてみて、不当にそういうことをしているということになれば、平衡交付金を、交付したものを返還を命ずる、こういうことをやろう、こういうわけであります。
○平川委員 政府が考えております平衡交付金法案、これはまだ決定していないと思いまするが、これによりますと、都道府県においても教育費がありまして、それには小学校費、中学校費、盲聾唖学校、養護学校、高等学校その他、こういうふうになつている。同様に、市町村に下つて行きますと、やはり小学校費、小学校の兒童数、学級数及び学校数、中学校費、高等学校費その他の教育費というふうにわかれているわけであります。これはお聞きしなくても、私推論して行けば当然わかることでありますが、今まで義務教育の教職員の給與の半額というものが、都道府県の範囲にとどまつておりましたものが、今度の制度によりますと、町村にまでずつとおりて行くということは、当然のことになるわけです。ところが、文部大臣もよく御承知のように、従来国庫負担の問題につきましても、あるいは教育委員会の制度の問題についても、常に問題になつているのは、市町村というような議決機関に拘泥されないで、教育という仕事をやつて行きたいという声がある。これについては、教育職員以外の者にも、相当同情ある支持があり、全国的な意見だろうと私は思うのでありますが、今度の場合にこのやり方をとつて行きますと、当然給料というものは、町村の学校については、町村から出て来るということにならざるを得ないと思うのであります。そこに何か過渡的な措置をおとりになろうとしておりますか、その点をお聞きしたい。
○稻田政府委員 ただいまの点でございますが、学校教育法の建前からいたしますれば、学校の経費は、設置者負担となるわけでございますが、御承知のごとく、現在義務教育科程の小学校、中学校及び盲聾唖学校の教員俸給費及び定時制の高等学校の教員費は、都道府県費の支辨になつております。それは当分の間、同じように都道府県の支辨といたしておきたいと考えております。従いまして、地方自治庁の方の案にあります小学校費において、府県と市町村の方と両方に書いてありますのは、俸給費の方は府県の方に勘定いたしますし、生徒経費の方は市町村の方に計上する。こういうかつこうになるわけでございます。これは義務教育に関します俸給費及び生徒経費は、特別の立法によつて確保したい、こういうふうな計画でございます。
○平川委員 そういたしますと、町村立の小学校、中学校ないしは高等学校の教職員の身分というのは、一体どこにあるのですか。
○稻田政府委員 教員の任命権者は、教育委員会でございます。市町村にまだ教育委員会のない場合には、教育委員会法の規定によりまして、都道府県教育委員会が所管いたすということになつております。
○平川委員 大体それでひとまず安心いたしたのでありますが、標準教育費法案に示されます最低基準というものは、その俸給費以外に、どういうようなものが、大体考えられるのですか。
○高瀬国務大臣 内容につきましては、必要な経費は、ぜひともできるだけ入れたいという方針でありますけれども、やはり地方財政の負担になる部分も、非常に多いわけでありますし、それらの点はこまかく今考慮しているわけであります。
○平川委員 それでは一応この問題はおきまして、別の問題に入ります。 次に教職員の研究費であります。この前の国会のときにも、ちよつとお尋ねをしたことに関連があるのでありますが、免許法関係で、相当学力を補充しなければならない。これは職業のことでありますから、当然個人の力によつてやらなければならないことは、事実でありますけれども、この前の国会にも私申しましたように、現在師範学校等の応募率というものは非常に低下いたしておりまして、早急に免許法の精神にのつとつたような標準で教職員を集めることも、困難かと思う。そうなれば、これは非常に国家的な問題だといわなければならぬと思うのであります。しかるに、従来からよく指摘せられておりますので文部大臣もよく御存じになつておると思いますが、教職員の旅費等につきましては、これは一般の官吏のような状態ではないので、私ども実際に教育に当つておつて常にその点で困つておつたのでございます。戰前のことを言うて当てはまらないようだけれども、実際一つの大きな学校、師範学校の附属というようなところにおきましても、一人当り年に二百円あるかないかというような旅費の状態です。自然保護者会議などで、これを受けておつたようなわけであります。ところが今度この免許法についての講習を受けるということになりますと、非常にいろいろな点で困つて来るだろうと思うのであります。こういうような方面に、個人の問題ではあるけれども、国家的な見地から、やはり相当な予算をおさきになるべきだと思うのでありますが、どうでありましようか。
○寺中政府委員 ただいま研修費についてのお話がございましたが、研修費につきましては、国として研修のためにやります施設としましては、各大学に現職教員講座というものを開きまして、これは八十一の大学に六十日間ずつ、経費としましては二千四百万円ほど計上してございます。そのほかに通信教育による現職教育費としましてやはり二千百万円ぐらいの経費がありまして、これで大体五万人ぐらいの養成をするという計画になつておるわけであります。 それから旅費の問題でありますが、研修旅費が少いという声も聞いておりまして、はなはだ不十分とは思いますが、昨年の経費から見ますと、三千円から四千円に増額して、この義務教育の標準経費の中に計上してあるわけでございます。千円だけ増額になつておるという状況でございます。
○平川委員 ただいまの旅費で、まことにおつしやる通り不十分ではございますが、これが確実に確保できるように、強く標準教育費の法律をお出しになる場合には、適当な措置をご講じ願いたいと思います。 ただいま北澤委員も御指摘になつておりました教授の面でありますが、この教授法と申しますか、そういう面で文部省として特別に考慮をお願いしなければならぬと思いますことは、ただいま北澤委員がおつしやつたようなやり方は非常にけつこうなことで、文部省もその方向に向けて努力しておると言われますが、文部大臣の御答弁の中にもありましたように、図書であるとか、設備であるとか、教員の素質であるとかいうようなことを考えると、ただいま教育界の流行になつておりますいろいろな講習会とか、あるいは雑誌、研究書などによつて宣伝をせられておリますものは、これは教育を害する部面の方が多いのじやないかというように考える。アメリカ式の教授法というものはけつこうではありますが、むしろそれより先に、その受入れる準備が全然できていないのが実情であります。窓ガラスのないような学校で、ガイダンスだの、コアだの言つておるのは、こつけいきわまるカリカチユアでありまして、このようなことに多分の精力を使つておるような状態であります。ところが、私も十幾年教職におるのでありますが、その間静かに見ておりますと、戰前であろうと、戰時中であろうと、戰後であろうと、いつでもこんなばかなことに地方の学校の先生方というのは金を使い、精力を使い、しかもそれは今申しました次第で、自腹を切つてやつておる。この数が非常に多いものですから、またこれに乘つて商売的にいろいろな本を出してもうけておる連中も少くない。これはやはりいくら文部省が教育の自由だから、思うようにやつてもらいたいと言われましても、放置しておつてはいけない傾向があるのじやないかと思います。その点につきまして、今申した具体的な図書とか、あるいは設備であるとかいうようなものについて、はつきりとこうした教育にしたいと思われるならば、標準教育費の中に、これこれのものは絶対に必要だというところまで、お書きにならなければならぬ問題だと思いますが、こういう点について御考慮がありますでしようか。
○高瀬国務大臣 先ほども申しましたように、教育方法と施設予算とは、やはり密接な関係があるのでありまして、施設がなくても、また金がなくても、どんな教育方法でもやれるというわけには行きません。お話のありましたような点は、教育者としては十分考慮してやつて行かなければならぬ問題だと考えております。それで標準教育費の問題として、それらの点をどの程度取扱うかという問題でありますが、これはやはり国の財政、ことに地方財政とにらみ合せて行かなければ、いかに理想的な標準教育費というものを計算いたしましても、財政上できないという結果になりますので、現在の財政状態のもとで、この範囲の研究をやりたい、こういうことでやつておりますから、今考えておる標準教育費で、そういう施設方面まで十分行けるとはどうも考えられない。今後地方財政等が改善されるに従いまして、それを拡充して行きたいという方針で進んでおるわけであります。
○平川委員 そのようなお考えでございますならば、中央でやつております例のアメリカ等から招聘しておやりになつております講習に際しましても、誤解のないように、文部省として着実な教育をやれるような方針をお示しになりませんと、新しいものに食いつきたがる傾向があるわけでありますから、その点よろしく御指導をお願いしたいと思います。 次に、育英事業費でありますが、教員の養成について、ただいま月二千円の補助とございましたが、これを返済する義務をやはり負つておるのでありましようか。それとも全然返済しなくてもいいのですか。
○寺中政府委員 ただいま大臣からお話がありましたように、大学の教育学部及び学芸学部の学生に対しましては、大体五〇%のものに育英資金を貸しつけるという方針にいたしておるのであります。その返済の関係でございますが、これはまだ実ははつきりきまつたというところまでは行つておりません、大蔵当局とも協議を進めておりまして、大体これは卒業しまして義務教育を三年以上やつたものは、返済しないでいい措置を講ずべく、ただいま大蔵当局と相談し、研究中でございます。
○平川委員 ぜひそういうふうに実現をしていただきたいと思います。 次に、教育委員会法を改正なさろうというお考えを聞くのであります。この点で、いろいろこまかいことはいいのでありますが、現在の教育長の権限を拡大するという方向につきましては、私どもやはり反対をせざるを得ないのであります。一体どういう方向になつておるか、お聞きしたいのであります。このたび文部省では、何か秘密の指令をお出しになつたか何かで、全国的に教員の整理が行われた。これは私どもも全面的に惡いとは申しません、さようなことはあつてもいいと思うのでありますが、ところが、これに便乘をいたしまして、いろいろその地方の政治的な圧力が加わつて参りまして、それでなくても專門の人間でありません教育委員会は、非常に飜弄をせられるという形が、各地に出て来たのじやないかと思う。いろいろ事務当局といたしましては、従来の組合運動なんかで、相当教員の組合の指導者なんかにいじめられておりますから、この際かたきをとつてやろうというような気分も相当出て来ておるのではないかと思う。こういうような点につきまして、これ以上教育長の権限が強くなつては、非常に困る。また、もしも権限を強くしたいのならば、最初文部省が考えておられたような、教育財政の独立ということをやつてからのことにしていただきたい。それなくしては、とうてい教育委員会なんか、どんなに手をつけたつてだめであります。今では無用論さえ起つて来ておるような状態であります。こういうような点について、御当局の御所見をお伺いしたい。
○高瀬国務大臣 今日教育委員会法の一部改正を提案しておりますが、別に教育長の権限を、これによつて特に拡大しようという考えは毛頭ありません。ただ、今まで教育長の仕事、教育委員会等の仕事で、不明瞭な部分がありましたので、それを明確にするということが、一つの大きな目的になつております。しかし、あくまでも教育長は教育委員会の下部に立つもので、その指揮のもとに働くということになつております。 それから教育委員会強化の方法について、財政との関係があるということは、確かに事実であります。文部省としてもそういう点を検討いたしまして、適当な方法を考えたいと思つておるのでありますけれども、何にしても、予算の問題は総合的な問題でありますから、教育だけについて特に切り離してどうということは、なかなかむずかしい問題になります。それらの点も十分検討をしなくてはなりませんものですから、まだ具体的にはなつておりません。
○平川委員 その次には、社会教育についてお尋ねをいたしたいのであります。ここに社会教育の振興に必要な経費として相当計上せられておるわけでありますが、実際今地方で非常に要求をいたしておる問題というのは、何と申しますか、具体的な指導だろうと思う。戰争中にはいろいろなものがなくなつたりいたしまして、相当台所へ食い込んだところまで社会教育が行つておつたのでありますが、その後すつかりそれがあともどりをいたしまして、今ごろでは、相かわらず新憲法の精神であるとか、民主主義の本義であるとかいうような、概念的な講演本意の指導になつて来ておるように思うのです。国の財政もいろいろ苦しいのでありますが、ことに家庭内へ自己資本を蓄積するというような意味から申しましても、あるいはまだ総計せられたものが非常に大きな額になるという点から考えましても、家庭の消費文化というようなものを、強く指導面に取上げることが、非常に重要な点ではないかと思うのであります。もつとも農業生産なんかの技術は、これは農林省あたりでやるのでありましようが、一般的な、ことに家庭婦人などが担当いたします部面は、どうしても文部省以外には取上げるところがないと思うのであります。ところがここにありますような、社会教育の一般施設費というようなものが、ほとんど人件費的なものに流れて行つてしまうのではないかということを、私どもおそれるのでありますが、一体どういうふうなことが全体として考慮されておるか、お聞きしたいのであります。
○寺中政府委員 社会教育のやり方といたしましては、御注意のありましたように、單なる観念的な民主主義の徹底というふうな段階は過ぎまして、きわめて具体的な方法によつて、その精神を徹底するというような方向に進みつつあるのでありますが、社会教育の経費の内容といたしましては、やはりいろいろ講習会、研究大会あるいは資料の作成、あるいはいわゆるスクール・エクステンシヨンという形におきまして、学校が課外的に一般の社会人に対して講座を設ける。それから例の公民館を通じまして、その運営の経費の一部を補助するというようなやり方でもつて、相当徹底した指導をやるというような方向に行つておるのであります。いろいろこまかいやり方につきましては、一々申し上げるまでもないと思うのでありまして、大体御趣旨のような方向に進みつつあるというふうに考えております。
○平川委員 社会教育施設資料の作成というところに三十万円ほど御計上になつておるようでありますが、何と申しますか開放講座とか指導者講習会とか、こういうことは、なかなかはでなのでありますが、それに何が盛られておるかということが、いつでも忘れられておる、お役所仕事がいつでも非難の的になるのは、それなんであります。学校や役所が主催してやるようなものは、おもしろくないから相手にしないというような傾向が、戰争中からずつと出て来ておる。一体どういうようなものを盛るかということについての御指導が、少し足りないようでありますから、ひとつこの点に御留意を願いたいと思います。また必要であるならば、文部省自体がおもな予算を握られて、そうしていろいろな幻燈であるとか、映画であるとか、紙芝居あるいは村芝居の脚本であるとか、そういうようなものをどんどん刊行せられて——これは売られてけつこうなんです。こういうようなところへ持つて行かれて、それに具体的に直接に入つて行くような方法をおとりにならなければ、これはもう末端の役人を養うだけだから、かようなところで金を使うということは、やはり教育の本旨でないと思います。 最後にもう一点お聞きいたしたいのは、芸術文化の振興の問題であります。国宝その他の文化財の保存とか修理、あるいは芸術文化の振興とかいうことは、考えられておるようでありますが、ただいま日本に細々と残つておりますいろいろな過去の芸能であります能楽や歌舞伎を、この中に入れてはしかられるかもしれませんが、そういうものにいたしましても、いずれはサロン芸術みたいなものになつて、しまいには絶滅するかもしれない。また絶滅することも、これはやむをえないかもしれませんが、しかしながらこういうものは、今あるうちに保存することが大切だと思います。最近歌舞伎などでも、古い型の残つておる部面もありますが、最近のアプレゲールの言葉などを間にさしはさみましたり、あるいはことさらに感覚的な型にしかえたりいたしまして、乱れようとしておる傾向もないではない。また人形浄瑠璃のごときは、いつでしたか爆彈三勇士などというようなものをやつて非常な不評を買つたこともございました。かように新しい方向を見出して行こうと思えば、むしろ破壊になつてしまうようなものもあるかと思う。かようなものを、音曲にいたしましても、何にいたしましても、保存をするということは、ただいまテクニカラーのトーキーなんかというものもできるわけでありますから、かようなものにして残しておくということについてお考えがあるのであろうか。これに対してもし多少なりとも予算がとつてあるならば、ひとつ御指摘をお願いしたいと思います。
○高瀬国務大臣 もし予算の数字を御必要でしたらば、こまかいことは係から申し上げますけれども、方針を申し上げますと、今御指摘になりました日本古典芸術の優秀なものの保存ということについては、非常に重要視して考えております。それでややもしますと、重要な古典芸術であつて、なくなつてしまうおそれのあるものもありますので、そういうものは、トーキーあるいはレコード、写真等によつて保存する方法を、文部省も現在講じております。最近の例としては、菊五郎のトーキー、それから前の幸四郎と羽左衞門の古い勤進帳の写真なんかもとつております。それから平家琵琶なんかが、今や滅びようとしておる状況であります。その名人が仙台におりますので、おるうちにこれを保存したいというので、それもやつておりますし、できるだけそういう方向にやつておるわけであります。
○平川委員 それはここにあります古典芸術保存という経費内でおやりになつておるわけですか。
○高瀬国務大臣 その通りです。
○平川委員 百四十七万では、非常に心細いと思います。トーキー一本つくりましても、百万円くらいは、二巻物をつくるだけで出るわけです。しかもこれはあまりおもしろくおつくりになつてはいけない、いろいろ保存という意味で、大事な勘どころを残して行くためには、いわゆる興業に適するようなものであつてはいけないだろうと思います。どうもこれだけの費用では、何も仕事ができないのじやないだろうかと思う。非常に苦しい財政状態で、さような芸術の保存なんか相手にできないかもしれないけれども、この点については、法隆寺と同様に、ひとつ重大に考えていただきたいと思います。法隆寺の予算にしても非常に少いようでありますけれども、この方面における将来の深甚な御考慮をお願いして、私の質問を終りたいと思います。
○高瀬国務大臣 ただいまのに関連して、お答え申し上げておきます。予算の非常に少いことは、事実でありますけれども、こういう古典芸術等につきましては、業界方面でも相当理解を持つてくれておりまして、トーキーなどの場合には、業界の方で出費を惜しまず相当やつてくれているわけであります。それから放送局の方面も協力しまして、レコードなんかについては、あまり金をこちらで出さぬでもやれるというように、相当犠牲的に協力してくれておりますから、文部省の予算は非常に少いけれども、それよりは相当にできるという状況であります。
○苫米地主査 世耕君。
○世耕委員 私は文部大臣に対して、各方面にわたつて簡單にお尋ねいたしたいと思います。 まず第一に、六・三制の計画は、二十四年から見ますと、六年計画になつておりますが、これを三年くらいで完了する見通しはできないかということについて、お尋ねします。
○高瀬国務大臣 六・三制の計画につきましては、幾たびかつくりましたけれども、予算の関係から、みんな実行できないということに終つているわけであります。多分お手元に上げた資料も、文部省が考えました二十四年度の補正予算から始めての五箇年の計画ということではなかつたろうかと思いますが、これもその計画通りの予算では、とうていできないということになりまして、計画としては、やり直さなければならぬということになつたのであります。その計画で参りましても、一年七十億ぐらいにして五箇年間でありますから、全体で三百五十億くらいが、国庫補助ということになつておりますけれども、現在のような予算の状況でありますから、とうていその通りには実行ができませんので、やはり財政の実情に即応いたしまして、計画も立て直さなければならぬということになつたわけであります。まず生徒一人当り〇・七坪にする、坪というのは、とにかく教室を五十人單位でもつてみんな持つという坪数でありますが、それだけなければ、いわゆる馬小屋教室とか、青空教室とかいうようなことで、授業そのものが全然できないという状況になりますから、まずそれを確保しよう、これを緊急整備といつておりますが、これをまずやる。それではむろん足りるわけではありませんので、それからあとで〇・八五くらいの坪数まではぜひとも上げたい。そうしてまた〇・七坪と計算されている中には、各中学が独立校舎で〇・七坪持つているというものばかりではありませんで、小学校を借りて使つておつたり、高等学校を借りて使つておつたりするものまで入つて〇・七坪という計算になつておりますので、これを解消しなければならぬというとこになりますが、まず借りても何でも〇・七坪は持たせるようにしようという緊急施設の計画を立てておりますが、これは一応これでできるかと思います。しかしこれからは借りているものを解消して、やはりそれぞれ独立校舎として〇・七坪を持たせるようにしなければならぬと同時に、〇・七坪では校長室や事務室も犠牲にする状況でありますから、それでは学校運営にさしつかえるので、それらも考慮に入れ、また講堂とか、特別教室とか、雨天体操場というようなものもだんだんつくつて行くという計画にしたい。完成に要する経費を総額出して、それを五箇年間にやるというような計画は、今までの経験によれば、今日の状況ではいつもつぶれてしまいますから、その計画をやり直して行きたいということで、〇・七坪坪確保するという計画を立て、これを実施したあとで、財政状態とにらみ合せた適当な計画をこれから練り直そう、こういうつもりでおります。
○世耕委員 過日も大臣にお尋ねしましたが、こういうような文教施設に対して、問題のある見返り資金を多分に流用することこそ、日本に対する援助物資その他の関係から見て妥当だと思いますが、この点についてもう一ぺん御説明が願いたいと思います。
○高瀬国務大臣 この前も申し上げましたように、見返り資金の運用は、日本政府で自由に行かない性質のものでありまして、やはり見返り資金運用についての指示というものがあつて、あるわくがはめられております。そのわくの中で学校建築に対する補助もさしつかえないということにならないと、使えないというわけであります。現在何とか努力して、できるかもしれないし、そうありたいと考えられるものとしては、地方起債によつて地方が学校建築をするという場合に、その起債を見返り資金でもつて引受ける、こういうふうにすることならば、何とか努力すすればできないこともないかもしれぬ、せめてそれくらいは何とかしたい、こういうような状況であります。
○世耕委員 これを私が重ねて申し上げるのは、連合国が日本を占領した目的並びに民主国家としての文化国家建設の問題は、私は教育が中心であると思う。もちろん日本の国といたしましての教育が中心でなくてはならぬ。ところが最近は、どうもこれがやつかい扱いされているような感があるのであります。むろん文部大臣は、御努力くださつておることはよく了承いたしますが、われわれは機会あるごとにこれを叫びたいと思いますから、なおこの上とも一段の御努力を願いたいと思うのであります。 次に、いわゆる教育行政ということが、文化国家建設の上に非常に大切なことでもありますし、世界大戰後いろいろな面について、海外の文化が日本に受入れられることが非常に薄かつたように思うのでありまして、そういう関係から、最近は特に司令部の方が理解されて、各行政機関の中枢並びに将来中枢の官吏として活躍し得る地位にある若い人たちを海外に派遣することに、便宜をはかられておるようであります。文部大臣はこの点について、どういうふうにお考えになつておりますか、何かこれについて御計画がございますか。
○高瀬国務大臣 海外へ日本の教授あるいは将来教授になろうとする者たちを派遣するということは、昨年以来やつておりまして、昨年の九月五十名の若い教授を派遣するということで出しました。今年度は、約百五十名を出すことにして選考を終つておるわけであります。しかし今年はその方面を希望しておりますから、もつと追加されることになるのではないか。今年度として選考いたしましたものも、出発するのは八月末か、九月でありますから、まだこれから追加される見込みがありますので、もつと多くなるのではないか。ですから、そういう教育、学術方面での人を出すという計画は、かなりアメリカの好意によりまして、進展して来ておるわけであります。そのほかに現在問題になつておりますのは、科学技術輸入の関係から人を出すという計画であります。相当の人数を各方面の科学技術界から出そうという計画がありますが、これはまだはつきり具体化しておりません。日本学術会議の下部機構で、科学技術行政協議会というのがありまして、そこでいろいろ案を持つておりますけれども、それができるようになりますと、各省におります技術者、各省附属の研究機関の技術者等は、相当行けるやうになるのではないかと希望しております。また行政方面の人たちで、若い人たちが行けるようになるということは、日本のためにも非常にけつこうなことでありまして、文部省の中の行政職員につきましても、今まで少しずつは出しておるわけであります。今後はやはり学者だけでなく、行政方面の者も、よく向うの事情を調べて、改善すべきところは改善するという方針で進めて行きたいと考えております。
○世耕委員 御努力を謝します。私の希望するところは、大臣がおつしやつた教育に直接携わるところの者が、多数外遊できることが、まことに日本文化向上のためにけつこうだと思います。もう一つ教育行政に携わる幹部連中の海外旅行が、続々できるようにお願いいたしたいと思います。 それから次に、具体的な問題に入りますが、私学に対する免税点です。これはかなり問題になつて来ておるようでありますが、さしあたつての問題は、最近電力料金が三倍以上も飛び上つてしまつたために、私学経営に重大関係を及ぼして来たということが、しきりに叫ばれております。アメリカの事情を二、三調べてみますると、アメリカでは、教育に関係する事業に対しては、大体が無税の方針をとつておる。この点については、日本の教育は非常にまま子扱いにされておると思われるのですが、この点について何か御案がありましたならば、この機会に御発表願いたいと思うのであります。
○高瀬国務大臣 私学についての免税は。旧臘文部省も極力大蔵省と交渉いたしまして、今までの税法のもとでも、何とかしたいというので、努力して参つておつたのでありますが、新しい税法によりますと、相当に免税されることになると思います。こまかいことは、局長からお話申し上げます。
○久保田政府委員 ただいま御指摘の電気料の問題でございますが、このたびきめられました電気料金の関係は、電気業者の立場だけが非常に強く出ておりまして、御指摘のように学校と申しますか、官立の学校も全部含めて、現在電気の使用が非常に苦しくなつております。幸い現在出ております規則の解釈の問題といたしまして、電気を配給してもらう方の規則と、料金を拂い出して行きます方の規則と、ここに多少解釈の余地のあることを発見しまして、それに食い込んで、どうやら二月分はその辺で解決がつくのではないかと思います。三月分については、まだ具体的な問題としては申し上げられませんが、少くとも次年度からの電気料の問題は、法規の改正をやり、その結果必ずしも満足というところまでは行きませんが、そうした観点からの修正をぜひやろうということに、話をとり進めております。
○世耕委員 次に、六・三制その他の教育制度の改革から、実業教育がかなり軽んぜられておるようですが、実際問題として、日本の産業その他の発展する過程において、実業教育というものは、かなり重要視されなくてはならないのではないか、全然これを無視するということは、許されないのではないかと考えるのでありますが、この点について大臣の御所見をお伺いいたします。
○高瀬国務大臣 私も実業教育出身の者でありまして、商科大学は実業教育でありますので、その点はよくわかつておるつもりでありまして、それを大いに重要視しなければならぬということは、まつたく同感であります。それで、今回のように日本の経済を再建して行く上から見ましても、特に緊急に必要な問題だと考えておるわけであります。ただ今度の新しい教育制度になりましたために、実業教育あるいは職業教育が、今までよりもむしろ軽視される傾向になりはしないかということが、一般におそれられておる点であります。私の見るところでは、実は制度そのものとしては、軽視しておるわけではない、アメリカの教育制度というものは、日本の今までの教育制度に比べまして、実業教育を特に重要視しておる制度であります。それを取り入れてやるのでありますから、制度そのものとしてはちつとも軽視しておらない。今まで小学校、普通科の中学校、普通科の高等学校ですと、実業教育関係の科目はなかつたのですが、これをやることになつておるというような点は、確かに重要視しておるわけであります。ところが、それでは実際にそれが効果を現わして、実業教育のためになつておるかどうかという問題になりますと、私も疑問を持つ。やつぱりそれは一つは日本の国情とアメリカの国情とが、必ずしも同じでないということから来ております。ことに高等学校について、今まで職業教育の上で非常に重要な役目を果しておりました今日の実業高等学校、もとの商業学校とか、工業学校とか、農業学校、これが総合されて行く傾向にある。一つの高等学校の中でもつて、今までの中学校に当る普通科というものがあり、また農業科というものがあり、商業科というものがあつて、生徒は選択に応じてそれぞれの科を選ぶというふうに、だんだんなつて行く傾向にある。これは私は実業教育のほんとうの発展から言うと、日本では適当でないと見ておる。やはり日本の国情から申しますと、なるべく、できるならば総合化しないで、工業の職業教育、商業の職業教育というものが、それぞれ專門に一本建の学校として行かなければいけない、それが総合されているというところに、形式としては無論それでもさしつかえはないのですが、実際とすれば、日本人はどうも職業教育、実業教育を軽視するというか、いやがる傾向があるわけで、一つの学校になつていますと普通科という上の学校へ進級するような科目へだけ皆行きたがる、そうしていい生徒は皆そつちへ行つてしまう。一つの学校の中で、普通科の方の生徒だけがいばり散らして、実業科の方の者は小さくなつて萎縮してしまうというような傾向が、どうも日本にはあるのですから、そういう点で、実情は実業教育を十分に進展させるのに不都合な状況になつているということは、認めておるわけであります。私はできるならば、やはりこれは專門化して行くという方向で進んで行きたい、これも一つの方法だと思います。それから小学校や中学校でやつておる実業科目というもののやり方が、やはり十分徹底しておらない。ただ教科書を一通り教えるとか、ほんとうの薄つぺらな、うわつつらなことだけをやるというようなことから、生徒の方もおもしろくないし、また先生の方もそれほど身が入らないというふうなことで、せつかく小学校、中学校で実業科目、職業科目をやつておりながら、それがほんとうに身にならないという状況にある。これをほんとうに身になるようなやり力にかえて、そして教える先生、方も、その実業科目を教える実力を十分持つた人で進めて行くということにすることも、一つの重要な方法ではないか。そのほかまだ文部省としては、実業教育の振興に関して、いろいろとこれを奬励したり、刺激したりするための宣伝とか、指導も必要だと思います。そういう方面へ予算をもつとほしいと考えておるのでありますけれども、来年度予算では、きわめてわずかでありまして、十分の活動ができませんが、今後はやはりその方面を大いに重要視いたしまして、予算ももつとふやしてやつて参りたい、こういうつもりでおります。
○世耕委員 次にお尋ねをいたしたいのは、芸術、映画方面についての御説明があつて、非常に意を強くいたしたのでありますが、私は今一般に小、中学校でやつている映画教育には、あまり大きな期待を持てないのではないか、結局映画を見せるという程度で、映画を通じて教育するというのについては、指導者の映画知識が非常に足りないというふうに考えておるのであります。しかしながら新しい教育の方法として、映画を通じて講義の内容を充実するという点は、これは大いに生かさなくてはならぬということを、深く考えるのであります。私の今計画をしておる一つの例を申し上げますると、たとえば、映画会社の協力を得て刑法の講義をする、そうすると犯罪の発生から捜査、逮捕、裁判、判決の言い渡しがあるまでの線を一本の映画にまとめる、そういうことになりますと半年かかつた刑法の講義が、二時間で終了してしまう。その中の疑問のあるところは、さらに教室においてその疑問点を指摘し、あるいは先生と生徒とが相互に批評し合つて研究するというような行き方をすれば、映画教育というものは、時間の上で非常に短縮される問題だというようなことが、実は考えられまして、私の関係する大学では二百万円ばかり投じて映画教室を設置しまして、最近試験的にやつておるのであります。最近私の体験したことでありますが、たとえばおとなと子供を一緒に映画に入れて顔をながめてみますると、おとながしくしく泣くような場面で、子供はわあつと笑うようなところがある、そういう点が結局映画教育のむずかしいところではないかと思う。ごく最近ですが、アメリカのニユース映画の中で、子供にある映画を見せながら、その子供がその映画を見るときの表情を逆に写した写真が、日本にニユース映画となつて出て来ておりますが、これはわれわれ教育家として、非常に興味深い話題ではないかと考えるのであります。それで映画教育をもつと実際化すということと、図書館と映画、図書を映画化すということ、さらに講義をレコード化すということが、新しい試みとして計画されなくちやならぬのではないかと思う。最近は二万円も出しますると、ごく簡單にレコードに吹き込むこともできるようでありますから、そういう点なんかも活用して、いわゆる映画教育と図書館というような点を考えられて、文部省としても新しい御計画があるのではないかと思うので、あればこの機会にお尋ねしておきたい。 次にもう一つは、私が多年主張しておるのでありますが、少くとも文部省としては国立の映画劇場並びに国立の劇場ぐらいは、もう計画してもおそくはないのじやないか。ただいま民族芸術に対する博物館等の御構想も、ちよつと聞かされたのでありますが、そういうレコードや映画、あるいは絵画等の問題に対して、特に保存を要する。——保存ばかりではなしに、常に公開して一般の親しみを得させるような設備を、この機会に持たれることが、必要ではないか。まずこの点について、簡單でけつこうでございますから、御説明を願いたいと思います。
○高瀬国務大臣 映画教育、レコード教育のこまかいことは、局長から必要があれば御説明申し上げますが、文部省も無論御趣旨のような点で、レコードとか、映画とかいうものを、教育にもつと利用しなければいけないということは考えておつて、できるだけはその方面で努力をいたしておるのであります。しかし昨年あたりも教育映画をつくつております会社から、盛んに陳情が参りまして、経営が非常に困難である、フイルムをせつかくつくりましても、これが十分営利的に使われないわけであります。売れないとか、買われないというわけで、ほとんどつぶれかかつている、これを文部省として何とかしてくれというような陳情があつた。ですから、営利的に考えますと、教育的ないろいろな映画というものは、とてもできない状況である。だから何かそれを予算的に考えませんと、できないというようなところに、相当な困難が実はあるのであります。 それから国立劇場の問題は、文部省でもむろん前から考えておつたのでありまして、計画は立てたけれども、これがなかなか実現しなかつた例があります。現在も考えておりますが、予算でいつもだめになるのであります。フランスあたりのように、やはり国立劇場を持つて行きますことが、芸術進展の上から言えば、ぜひ必要なことだということは考えておりますから、将来予算の上で何とかできるようになれば、できるだけ早くいたしたいという計画でおります。ただ予算にも載つております芸術祭開催費というのが二十五年度には六百万円ばかりあります。これは二十四年度には全然ありませんでした。芸術祭はやりましたけれども、予算なしで、会社だけに金を出させてやつておりましたのが、今度は政府の方で六百万の予算をとりましたから、芸術保存とか、営利的にできない芸術というものを、芸術祭を機会に実行いたしまして、国民全般にも芸術的な教養を高めて行く、また古典芸術を保存して行くという方で、いろいろ事業をやつて行きたい。これは国家が劇場を持つわけではありませんけれども、その際借りた劇場を、国立劇場のようなかつこうでやつて行きたい、こういう考えでおります。
○世耕委員 今の教育映画の問題で、会社が経営が成り立たぬと言いますが、私はもつともだと思います。もつともだと思いますが、そういう映画をつくつておつたのでは、会社が持たぬばかりじやなしに、学生、生徒が見ようと思わなくなる。たから私の申し上げたいことは、一般の映画でいいではないか、一般の映画を観賞させて、これを研究させ批判させる。おそらく今の小、中学校で月に一回か二回見せている映画観賞は、あのまま放置したら、しまいには学生、生徒が学校の映画観賞はつまらないというので、外の映画に走つて行くだろうということを私は予想いたします。そこで外で映画を見ることが自由に與えられるならば、いいのも惡いのもごつちやに見せて、これはいい、これは惡い、こうあるべきだというところに教育の価値をつけて行かなければ、映画教育は目的を達しないのでないか。そうすれば、映画教育というものは、会社も経営が成り立ち、同時に、教育面でも大きな進歩があるのだ、私はそういう見方で今試験的にやらしておるわけであります。もちろん映画を絶えず見させておりますと、非常に批判力が強くなつて、もう卑猥な下品な映画は見たくないという気分が出て来る、特にそれは若い学徒に多いようでありますから、むしろそういう方面に向けて行く方が実際的ではないか。温室の中で育てるようなかつこうで映画教育をしておいて、外へ行つて映画を見たとたんに思想がかわつて行くような教育の仕方では、あるいは適当な効果は上げられないのではないか、かように私は考えております。この点は私の意見として申し上げて、御返事をいただくのはむりかと思います。 時間の関係がありますから、簡單にもう数点お尋ねいたします。 教員に対する旅行の割引が、今度廃止されたようでありますが、とかく收入の少い教員に、いろいろな学術のための研究や旅行等に際して、割引がなくなつたということは、相当の痛手だろうと思います。文部大臣は、これに対してどういうお考えがあるか、運輸省と折衝して、従来通り復活をしていただくことが適当ではないか、かように考えておりますが、御所見を承りたいと思います。
○森田政府委員 教員の鉄道運賃の割引の問題でありますが、昨年御承知の通りに、国鉄の運営が公社の運営にかわりまして、自己採算でこれを運営するという原則によりまして、パス並びに鉄道の割引の問題を再検討された結果、教員の方の二割引は、これを廃止することに決定いたしたのであります。われわれ国鉄当局その他関係方面にいろいろの交渉をいたしましたけれども、独立採算制の原則からどうしてもいれられなくて、はなはだ遺憾なことだと思います。しかしながら、学生につきましては、従来二割であつたのを五割にふやしまして、その教育上の利用に供するように便宜をはかつていただきまして、同時に学生とともに教員が旅行する場合におきましては、学生同様の割引をいたすということにいたしております。なおこの事態にかんがみまして、文部省におきましても、旅費の点についての中央補助については昨年来、できるだけ考慮をいたすように、予算が計上されておるわけであります。
○世耕委員 よくわかりました。官立の場合には寄付金に税金がかからない、私学の場合には税金がかかるという関係から、うつかり私学に寄付をすると、根こそぎとられてしまうという弊害があるのです。これを何か緩和する方法はないかということをお尋ねいたしておきます。 それから、過日文部大臣にお尋ねいたした点で、なお納得の行きにくい点を一、二点お尋ねして、私の質問を終りたいと思うのであります。この間申し上げたように、表を見ますと、官立の学生は、授業料その他が一箇年四千円程度である。しかもそれには、りつぱな校舎や設備や、多くの教職員によつて構成されておる。私立の大学は、一率ではないけれども、大体授業料は一箇年一万円くらいになつておる。こういうふうな矛盾がそこにあつて、憲法の條章にいう教育の機会均等ということが言われないのじやないかという一点、さらに私学の学生は大体一箇年一万三、四千円が普通の負担となつておりますが、国立の大学の学生が国家ら補助を受けるのが十万五千円になつておる、これは非常な開きじやないか、こういう点が、今世間に問題になつておるわけであります。そこで問題は、かりにここに早稻田大学の一例を申しますと、早稻田大学は一万八千七百人の学生に対して、教職員が千三百五十五人、すなわち学生十四人弱に対し教職員一人の割合になつております。慶応大学も大体それに近い数字がここに出ております。東京工業大学は学生千七百人に対して教職員その他が九百十八名で、学生十八人に対して教職員が一名という割合になつておる。非常にぜいたくな配置だということが言える。一方私立大学は、平均して十二人に対して教職員一人の割合が、東京工業大学では教職員一人に対して一・八人になつておる。こういうところに大きな矛盾が現われて、ここに議論が出て来るわけであります。だからある者のごときは、これをみな平均すると、たとえば法制大学だけについて見ても、その数が二十人とかりに見積つて、一人平均二万五千円の国費補助ということになれば、非常に公平なものになるのではないか、こういうような議論もしておるわけであります。一方は生徒一人に対して、教員一人半くらいの割合、一方私学は、教職員一人に対して十三、四人の割合ですが、それほどの率で、ぜいたくな教育をりつぱな校舎で、政府の保護のもとに受けている連中が、最近はまた、それらの上にぜいたくにも月謝が高いといつて、月謝滞納同盟なんというものをつくつて、世間を騒がしている例もある。こういうような矛盾も、この際改革しなくちやならないのじやないかと思う。なおまた、われわれから申し上げますならば、思想的に赤いという言葉は、誤弊があるかもしらぬけれども、とかく世間を騒がす種をつくるのは、国立大学、官立大学の教職員に実例が多い。これは過去の歴史を見ても、私はわかると思います。最近京都大学に起つた事件並びに東京大学に起つた事件は、ほかの私立大学に起つた事件とは違う。かれらが私立の大学よりもぜいたくな教育を受け、しかも十万五千円という平均額をもつ国庫の補助を受けてブルジヨアの教育を受けながら、なおその上にぜいたくを言つているということは、少し解せないじやないか。私学は寄附金と月謝によつて経営が成り立つておる、そして国家の教育に携わつているのだということが言え、しかもさように財政的に惠まれなくても、各私立大学その他の学校は、文化に応じてそれぞれの設備をし、今日教育面に相当の効果を與えて来ておる。それには一向国家が顧みない。官立大学は国家の補助を受け、国家の管理のもとにぜいたくな施設とぜいたくな予算を持ちながら、しかもぜいたくな議論をしておるということは、一般納税者の立場からも、私は一応の不満が出るのじやないかと思う。だから私は、過般文部大臣にお尋ねいたしましたことは私学は一文も補助金なしに、寄附金と月謝でまかなつているのだから、国立大学も寄附金と月謝で今後まかなつたらいいのだ。これまではともかく、しかも設備が十分行き届いているのだからこういうことが言えるのであります。私はそれは矛盾じやないと思うのです。だから、この点については私一箇の意見でなくして、そういう議論がやがて将来においてほうはいとして現われて来るであろうということを私は予測いたしまして、これに対処する御用意が必要だということを言いたい。 なおまた従来の文部省の行き方としてわれわれは率直に申し上げますると、文部省はややもすれば国立、官立大学の文部省であつて、私学に対する態度が冷たい感じがしたということが言える。ひがみだと言えば別でありますけれども、予算の面から見ても、そういうことが言える。そうじやなしに、教育の本家本元である私学も官学も国立も、みなかわいいおれの統括下にあるのだという観点に立つて、今後大学なり、学校行政に携わつていただきたいというのが、私の申し上げんとする結論であります。この点について大臣の御所見が承りたいと思います。
○高瀬国務大臣 学校に対する寄附金の免税の問題は、文部省としても、できるだけ努力をして参つているのであります。現在でも、私学への寄付金が、戰災復旧というような場合には、免税になつているかと思います。それから相続の場合の寄付、遺産遺贈の場合の寄付等も、免税になつているかと思います。それから今度の私立学校法によりまして、いろいろな課税上の便宜もまたふえて来ていると思いますが、まだ完全にあらゆるものが免税というところまで行つていない、何とかできるだけ文部省としてそういう方向に進んで参りたいと思つております。 それで国家予算と私学の財政との関係につきましては、私はやはり建前といたしましては、これは別個に考えなければならない、この前申し上げたような建前を持つているわけでありまして、国家予算でやることになりますと、やはり学校の数、学校の経費等を計画的に考えて、そして予算を考えて行かなければならない。私立学校が、創立者の意思によりましていろいろ計画をされて、それをすべて認めて国家の予算でやるということは、これはとうていできないことではないか。私立学校は、やはり財政的な独立的基礎を持つべきだと私は思つているのであります。私立学校を認可する場合におきましても、従つてその財政的な基礎がどうであるかということも考慮して、認可をいたしているわけであります。 それから生徒と教授の数の比率でありますが、確かに私学の方が比率が惡いことは、事実でありますけれども、ただその数の比率の問題は、学科の種類によつて非常に違つて来るのでありまして、工業大学のような、理科系統の実験の非常に多い学校でありますと、どうしても生徒に対する先生の比率は、非常に多くなければならないことになるし、文科系統の学校でありますと、その比率が非常に少くても、相当にやれることになりますから、比率の問題はそういう学科系統の種類別に考えないと、大きな判断の違いが来るだろうと考えております。私立は大体において理科系統が比較的少くて、文科系統が非常に多いことは、日本の現在の実情でありますから、今おあげになりましたような比率だけでは、実情を十分には表わし得ないだろうと思つております。それにしましても、同じ理科系統を官学と私学と比べてみれば、確かにおつしやるように、学生の数と先生の比率が、私立の方が惡いということは事実であります。私立の方も、官学と同じような比率まで上げられることが、教育の上から言えば望ましいし、ぜひそうあつてほしいのでありますが、ただ財政上の都合から十分そこまで行けないという点に、教育上遺憾な点ができているわけでありまして、これは私学のために、はなはだ残念でありますから、今後私学としても、何とかそういう点を改善する方法を考えていただきたい。それでは国家は、私学に対して何らの援助もしないでいいかと申しますと、決してそう考えているわけではありません。建前の上からそういうことを申し上げているわけで、実際には日本のように戰争の影響——私学自身の責任によらざる影響によりまして、校舎を失い、その他の損害を受けて、教育上非常な困難を来しておるという点については、国家は十分考慮すべき必要があると思つております。ですから、そういう点では援助しなければならない。二十五年度も、むろん十分ではございませんが、たしか、たしか二億七千五百万円ほど私学の復旧のための貸付はするということになつております。これはむろん十分ではございません、今後はやはり、たびたび問題になつておる教育金庫というようなものがもしできるならば、それを通して私学の経営なり、復興について、資金の融通ができるようにぜひしたい。そうすれば、国家の予算の上で歳出として計上するというのでなくして、融資という形でできますから、相当厖大な金もできるようになるのじやないか。今のように国家予算の歳出の面に計上するということになりますと、いかにこれを計上したいと思いましても、どうしても限度がありまして、思うように行かない。従つて教育金庫というようなことも、文部省として真劍に検討を進めておるようなわけであります。 それから、文部省が私学に対して、官学に対するよりも態度がはなはだ冷淡であるような印象を受けるというお話であります。あるいは今までの文部省のやり方に、そういう欠点があつたかもしれませんが、文部省としましては、決してそういうことは考えておらない。私学に対しましても、もちろん私学を尊重いたしまして、十分あたたかい気持でもつて接しておるというつもりでおります。もしそういう点で欠けておるところがあるとすれば、今後は是正しなければならない、こう考えております。
○世耕委員 ありがとうございました。大体の御趣旨のあるところは了承いたしました。 次に、最後に二点だけお尋ねいたします。この間もちよつと申しましたが、定員制の問題であります。これはおそらくドイツもアメリカもそういう例があつたと思うのですが、資格入学で、入学は資格だけで入学させる、そうして進級のときに嚴重な試験を行つて卒業に導くという行き方ですが、これが一番私は合理的じやないかと思う。しかしこの間大臣のお言葉では、それは設備がいるじやないか、こんな話だつた。それはもちろん全部の者を入れて全部出すということになれば、設置がいるわけであります。そこが私はくふうだと思うのであります。途中でやめてしまう者を、優秀だからと入れてしまつて、大学に行きたいという者の門戸がそこで締まるという欠点を補うというくふうが、何かそこにあると私は思うのであります。この点はぜひくふうをしていただいて、あくまでも門戸開放という建前で行つていただきたい。大体資格においても科によつてはいろいろ差がございますけれども、入学のときの三分一ないし三分の二が卒業できたらいいのじやないか、ことに最近の状況はそういうことがあるのであります。この点は、実情に即して適当に教育方針にもとらない範囲において御考慮が願いたい、かように考える次第であります。 最後に一昨々日でございましたかお尋ねいたしました南北正准などの問題であります。今朝も外国の新聞を一、二見せてもらつたのですが、問題になつておるようであります。大臣のお話では、それは学者の説にまかせておいて、文部省が進んで調査機関を設ける必要はないじやないかというお話があつたように、私は記憶いたしておりますが、もしそういうような御態度であつたとするならば、三種の神器は賢所にあるのはうそで、おれの持つているのがほんとうだということを言い出す場合に、非常に思想的に影響があるのじやないかと思います。学者の説を統一する必要はないと思いますけれども、適当な権威あるものによつて処理するということが、皇室並びに天皇の尊嚴を維持する意味において私は必要ではないかと思う。特に技巧を凝らせというのではない。こういう点について資料を集めるなり、あるいは研究を進めるなり、何らか政府は態度を示さないと、私はやがてほぞをかむような問題が将来に起りはしないかということを予測いたしますから、特に調査機関を設けてしかるべき方法をおとりになることが、むしろ妥当ではないかということを申し上げたのであります。これはあえて固持するわけではないけれども、われわれの憲法に明記されておる国家の象徴という建前から、いかがわしい雑誌に、いかがわしい記事が出たり、天皇があつちにもこつちにも現われて、架空の菊の御紋が利用されておるということは、われわれは決していい感じがいたしませんので、国民感情から実は申し上げるような次第であります。しいて私御返答を承ろうとは思いませんが、特に御考慮を拂つていただきたいということを希望いたします。御意見があれば承ります。
○高瀬国務大臣 私が申し上げたのは、この前の通りでありますが、定員制の問題については、お話のような点は、現在の状況ではある程度は確かに考慮する必要があると思います。そこで実際に各大学でとられる場合に、入学者の数は途中で減るものも考慮されて、相当は考えられておるのじやなかろうかと考えております。 それから南北問題につきましては、この前申し上げた通りでありまして、文部省か何か官制の機関でもつてこれをやるというようなことは、あまり好ましくないと私は考えております。やはり重要な歴史上の事件は、專門の歴史家に十分研究してもらいたい、こう考えておるわけであります。
○苫米地主査 今野君。
○今野委員 私はまず第一に、政府の国民教育に対する一般の方針について、お尋ねいたしたいと思いますが、最近、たしか終戰の年ですか、小学校で歴史や地理を教えなくなつて、そのことがずつと今日まで続いております。事実といたしましては、歴史や地理というものは、国民としての自覚を養う上に、非常に大切なものでありますが、こういうものが全然そういうふうに軽んぜられておるために、日本国民としての自覚というものが、非常に薄れて来ておるのではないかと思われる点もあるのでございます。それとちようど対蹠的に、当局が御指導しておると言われておるある東京の学校において、社会科の中で、たとえばアメリカの歴代の大統領の名を言えというような授業をやつておる。これは非常に問題でありまして、キユーリ一夫人伝にありますような、ちようど帝政ロシアの時代におけるポーランドのワルシヤワにおける学校教育のような、そういう観を呈しておるのであります。のみならず、私も自身経験したのでございますが、最近高等学校などにおいては、英語が非常に重んぜられておるというのは、一面けつこうなようでありますけれども、それがおとなを非常にばかにしたような態度で、私も列車の中で、そういう者に会いましたら、わかれぎわに英語でもつてわかれのあいさつをする、そうしてむつとして默つておると、それに対してわかるかというような、昔私どもが高等学校において、外国の教師が生徒をばかにして言つたような調子で、そういうことを言う。こういうような風潮が一般化されるならば、これは何か独立国民としての教育でなくして、まさに植民地の教育のような観を呈するようなことになるのでございますが、政府としては、こういう教育の方針に対して、はたしてほんとうに独立国家としての教育を望み、その方向にやつているかどうか、この点言うまでもないことと思いますけれども、念のためにお伺いいたします。
○高瀬国務大臣 日本政府の教育方針は、独立国家としての日本という見地から、教育をやつておるのでありまして、平和的、民主的、文化的な国家の成人としての教養を、十分に持たせようという方針でやつておるわけであります。それで歴史、地理の教育も、実際やつていないとおつしやいますけれども、やつておるわけであります。社会科という中で、歴史や地理もやつておりますから、やつていないわけではありません。日本それから外国、みんなやるわけであります。その場合に、アメリカをやる場合に、アメリカの人の名前が出て来るというようなことは、むろんあるだろうと思いますけれども、そういう点、特に文部省が指導してどうしているというようなことは何もございません。 それから英語の教育の問題でありますが、むろん今日の実際上の必要という点からいうと、英語が一番必要を感じられているだろうと思います。それで自然各学校とも、外国語として英語を一番多く教えているという結果になつておるわけであります。文部省は、英語をふだん使わなければいけないとか、失語を使わない者はどうとかいうことは、何も考えているわけではありませんし、少しもそういう点には関係ございません。
○今野委員 ただいまの点については、私は事実がそうなつているということを、特に申し上げたのでありますが、もう一点教育の方針についてお伺いしたいと思うのは、最近子供が——私の家の子供もそうでありますが、どこの子供を見ても、盛んにピストルや何かを持つて遊ぶことが非常にはやつておる。これは今日警官がピストルを持ち始めた影響でありましよう。ところが、そういうものが單に子供の好奇心というだけではなくして、何か昔流の質実剛健な風を養わなければならぬというようなことから、ある学校では雨の中をわざと行進をさせるとか、かけ足をさせるというようなことをやつてみたり、あるいはまたことさらに何か硬教育——これは東京でもその例がありましたし、また東京都の教育委員をやつておる成田氏などは、やはりそういうことを主張したようでありますが、ともかくげんこつをくれるような教育、こういうようなことが最近になつてやはり復活しておるように見受けられるのです。なおいろいろな部面で、たとえば実例を申し上げますと、大分県において、東京のある名士が行つて、学校の生徒は講演をみな聞きに出る、もし聞きに出なければ欠席になる、こういうような形で、みな行きますと、そこで何の話が行われるかというと、米ソの対立、そしてソビエトが日本に侵略して来るかもしれない、そして日本で全面講和というようなことが言われているけれども、とんでもないことであつて、單独講和でアメリカに頼らなければだめだ、こういう講演をされる。このような事実があるのであります。こういうふうにして、何かしら非常に教育の部面で武張つたことが出て来たり、あるいは盛んに戰争をあおるようなことが行われておるのでありますが、しかし現在の日本としては、やはりあくまで平和を守るための教育が絶対に必要だと、われわれは感じておるわけであります。その点について、何か抽象的ではなく、具体的に平和的な気持を養うような教育というものは、どういうふうにしてやつて行つたらいいのか、そういう点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○高瀬国務大臣 日本の教育というものが、平和主義的でなければならない点については、まつたく同感であります。従つて、もし戰争挑発的あるいは軍国主義的というか、そういう風潮が教育の中にあるとすれば、むろん排除しなければならないと考えております。ただしかし、平和主義的教育におきましても、規律的精神あるいは忍耐力というようなものは、ぜひ必要なことであります。そして誤つた民主主義によりまして、それらのことが沒却されているような弊害も、非常に多いと私は思う。子供も民主的な意味において、あるいは平和主義的な意味においての、人間としてのしつけというようなものは、やはり相当きびしくやるべきだろうと思つております。精神的な訓練も、そういう意味ではぜひ必要でありますが、これを戰争的に持つて行くとかが、戰争準備的に持つて行くとかいうことは、むろん排除しなければならぬものと私は思つております。平和主義的教育というようなものは、教育全般に浸透すべきものでありまして、全部の学科を通して、むろん行わなければなりませんが、特に社会科等において、これは実行されるべきものでありましよう。平和主義に徹底した社会科教育というものを実行するについてのいろいろな検討は、やつているわけでありまして、現在やつていることは、その意味で実行されているとお考えを願いたいのであります。
○今野委員 なおそれに関連いたしまして、特に最近新聞などでも報道されておりますが、少年犯罪の傾向などが、非常にはつきり違つて来た。それは校外よりも、学校内部に非常に目立つて来た。そしてその中で、暴力を振つて、そしていわゆる自分の子分たちをきり従えていろいろな犯罪をさせる、こういうような傾向が、どこの学校でも非常にたくさん出て来ている。こういうようなことに対して、平和的なしつけといつたようなものが、まるでどこかへ行つてしまつたような観を呈しているところが、非常に多いのでありますが、こういうような事実は、文部省もよく御存じだろうと思う。これに対して、一体どういうことをやつているか、具体的に話していただきたいと思います。
○高瀬国務大臣 今お話の点も、私がさつき申したのと密接な関連があるのでありまして、民主主義教育のやり方というものはただ自由放任だ、生徒の自由にまかせて、先生はしつけ訓練等については、何もしない方がいいのだというようなことが、実は相当行われた。これが今日生徒の道徳的な観念を薄くしているじやないだろうか。また暴力は否定するというようなことにつきましても、やはりそういう正しいしつけというものが必要なので、それが誤つた民主主義教育によつておろそかにされておつたという点も、非常に関係があるじやなかろうかと私は思つている。そういうことは、むろん社会科の教科を通しても、生徒がほんとうにのみ込んで、自主的によくわかるようにすべきでありましよう。そして同時にまた、生徒のいろいろな学校の中における生徒自身の団体生活というようなものを、いろいろな面において実行する。そういうことによつて、おのずから団体生活の訓練、団体生活における秩序に対する尊重の観念が養われることになるだろう、そういうようなことで、各学校ともこれを実行しているだろうと思います。
○今野委員 次に私は、先般東京都の教育委員会で教員の整理基準というようなものをつくるというので、教育委員会の運営などがどういうふうに行われるかという参考のために、そこへ参つたのであります。ところが、驚くべきことには、私は実は衆議院で文部委員をやつておるわけでございますが、この文部委員といえども、自治体の自主性を守るという建前から、ここには入つてもらいたくないというので、入ることを拒否されたのであります。そうしてしかも当日は、あらゆる請願や何かはみんな受付けない、こういつてこれもシヤツト・アウトしておるのであります。 そしてその中には関係方面の人が見えて、いろいろなことをやつておる。こういうことが実は教員を萎縮させ、そして積極的に子供の指導に一生懸命になつている教員、こういうのが、かえつていろいろな名目でおつぱらわれる、そして無為無策というか、非常に無気力に、自分の身を守つて行こうというだけでやつて行く教員でなければ、首がつながらない、こういうことになつて来るわけなのでありまするが、こういう点について、一体日本に教育の自主性がほんとうにあるのかどうか、そのことは表面でなく、ほんとうにひとつお答え願いたいと思います’。
○高瀬国務大臣 ただいまのような東京都の教育委員会の実情については、私は存じておりません。しかしとにかく教育委員というものは、一般の公選によつて相当りつぱな人を選挙いたしまして、そして教育委員会の合議制によつていろいろ教育行政をやつておるのでありますから、私はまずこれは信頼してさしつかえないものだろうと考えておるわけであります。教育委員会自体が、今度の整理の問題も、基準もきめ、考えて、自主的にやつたものと私は考えます。
○今野委員 たいへん答えがむずかしいだろうとも思いますけれども、その点私がお聞きした中の、占領政策というものは、日本政府を通じて行うということになつておるかどうか、その点だけ明確にひとつお答え願いたいと思います。
○高瀬国務大臣 今度の教員整理の問題が、占領政策と直接関連があるものとは、私は考えておらないのであります。東京都の教育委員会が、東京都教育というものを刷新しようとして、公正な立場でやつたものと考えておるわけであります。占領政策と言つても、非常に漠然たるもので、実はお答えがしにくいのでありますが、いろいろ指示がある場合は、連絡部を通じて政府の方に来て、内閣に来る、こういうことになつております。
○苫米地主査 今野委員に申し上げますが、時間も大分経過しておりますので、質疑応容は、きわめて簡明にお願いいたしたいと思います。
○今野委員 今の点については、十分まだ納得いたしませんけれども、次に移ります。 新制中学の卒業生は、労働基準法の関係で、どうもどこへも正式には勤められないような條件になつておるのであります。といつて、労働者の子供や貧乏な人の子供は、なかなか新制高校にも行けないし、また新制高校もそれほど数がない、こういうようなわけです。それで多くのところで、新制中学校の卒業生は相当な年になつておりますから、小づかい銭がほしいとかいろいろなことで、非常に浮浪者的生活になつて来ていることが多いのであります。これがやはり、やがて犯罪の温床にもなる、こういうようなわけでありますが、そういう点から見て、この六・三・三制の学制というものが、非常に大きな欠陷を持つているように考えられるのであります。この点について、文部大臣はどう考えるか。またそういう不都合な点があるとすれば、その責任は一体どこにあるのか、その点について明確にお答え願いたいと思います。
○高瀬国務大臣 ただいまの御質問の要点は、多分新制中学を出た者の年齢と、労働基準法における年齢との間のギヤツプの関係から来る問題のお話じやないかと思います。確かに労働基準法によりまして、工場等で働くについては、二箇年のギヤツプができることは——一般事務的方面はさしつかえないが、ただ工場地帯の都市においては、事務的方面はさしつかえがないと言いましても、確かにその方面は就職に限りがあつて、やはり工場方面で働かしたいという希望が多い。そこへ労働基準法の方ではまだいけないということになるという結果、実際問題としていろいろ不便、不都合を生じておるだろうと思います。これは私どもも考えておりまして、何とかしてこの二箇年間を職員指導というようなことでつないで行けるような方法を考えなければならないということで、くふうはいたしておるわけでありまして、いろいろ今研究いたしております。責任といいましても、六・三制は直採関係はないと思います。これを六・二制にしましても、結局同じギヤツプはできて来るじやないか。労働基準法の年齢の規定というものと、卒業生の年齢との関係の問題でありますから、これは責任という問題でなく、やはり何とか教育指導なり、いろいろの方法を考えまして本人たちの将来の役に立つ方法を、二箇年ぐらいはやつて行けるような方法を考えるよりほかないじやないかと思います。
○今野委員 ただいまの点については、おつしやる通りです。しかも工場がおもになつておりまする町、鉱山の町、こういうところで非常に大きな社会問題になつている。そのことは青年指導の空白があるということでありまして、これを放置しておきますことは、ゆゆしいことだと思いますから、一日も早くこれをやることは、政府として必要じやないかと思う。それから次に、先ほどもいろいろな方かう質問があつたのでありますが、今度の標準教育費の問題、現在小学校へ行つてみますと、大体私の行つたところでは、千人くらいの生徒がいるところで、一年の事業費が二万円という程度であります。だから一人について一年二十円、こういう事業費では何事もできないので、学校の校長も、これは問題にしておりませんと言つている、みなPTAの会費でやつているのです。将来さつきの標準教育費がほんとうに確保されないとすると、こういうような状態がさらに教員の給料というような点にも現われて来て、これはゆゆしい大事になると思うのであります。そういうことになれば、幾らこれは大学の学芸学部や教育学部の方に育英資金の補助を與えても、教員になり手はないということにもなりますし、教育が現在も非常に悲惨な状態であるけれども、現在以上に破壊されて来ることは、目に見えて来るのであります。この点について、標準教育費によつてはたしてそういうことが救われるかどうか、PTA等の会費に頼らないでやつて行ける道があるかどうか、その点についてお伺いいたします。
○高瀬国務大臣 結局その問題は、標準教育費をどの程度にするかという問題に帰着すると思います。標準教育費をできるだけ高くして、そしてこれを確保するという方法がつけば、御心配になつたような点はなくなる。ただ現在は、地方財政、国の財政ともに、非常に困難な状況にありますので、すべての面で予算が不足して、思うように行かない状況でございますから、標準教育費でもつて確保すると申しましても、思うように十分の確保は、現在の財政状態のもとではできないと思つております。しかしできるだけこれを確保して行きたい、財政状態の許す限りにおいては、確保したいという方針で実はやつております。財政状態の改善されるに従いまして、これもむろんだんだんに向上させて行きたいということを考えておるわけであります。
○今野委員 次に大学並びに研究所の問題についてであります。実はこの学校関係の予算をずつと調べて見ましたら、文部省関係の国立学校ですが、これの予算は非常に少いのであります。実はこれは完全なものではありませんけれども、国立学校が七十九校ありまして、職員の数が四万八千ありますが、それに対して八十億の予算で大体一人当り十七万弱ということになります。大体人件費が大部分を占めているようです。ところがそれに対して警察学校はどうかというと、職員が八百四十九人で、それに対して三億八千万、一人当り四十五万。十七万と四十五万とではずいぶん違います。それから法務府の研修所になりますと、職員が十七人、予算が千四百万円、一人当り八十万円、こういうふうにまたぐんと高くなります。こういうふうにして、基礎的な教育に対する費用というものは、国立学校はさつき世耕さんも言われた通り、非常に惠まれておると言われておれるけども、それにしても、人件費が大部分で、それも十分でないというようなかつこうであり、警察とかそういう面になると、えらく気張るというような結果が出ております。これは研究所や何かについても、まつたく同じような数字が出るのであります。こういう点で現実的に日本の教育というものを見た場合に、非常に何か片寄りがある。警察とか何とか、そういう面にばかり重くて、実際の学問の面には非常に軽い。従つて、何か日本でもつて、また專制的な政治が行われるのじやないか、こういうことさえ考えられるわけです。特に二、三の例をあげますと、東大とか工業大学とかいうところでは、電力料金の値上げによつて実験がまつたくできない、会計上は一月でもつて打切らなければならない状態になつて来ておるわけです。それで実際の予算を見ますと、学生の実験以外の実験というものは、一週に一回しかできない。従つて継続的な実験などは、とても思いもよらないというような状態になつておるわけでありますが、こういう問題は大学教育のまさに危機だと思うのであります。大学並びに研究所のそういう危機の状態に対して、文部省は一体どういうふうにしておられるか、実際にこれを解決しないと、につちもさつちも行かなくなる。こういう点について、即到に御処置のほどをお願いいたしたいと思います。
○高瀬国務大臣 警察学校等の教育の予算と、国立大学の予算との関係について、お話がありましたが、人件費というその職員の俸給は、国家公務員としてこれは同じであります。警察学校の職員でありましても、国立学校の職員でありましても、国家公務員としての俸給表によつておるわけで、同じであります。ただ教育内容等の違いから、おのずから違いもできて来ると私は考えております。 それから今日のような場合に、各国立大学の研究費が非常に少くて、研究が十分行かないという点は、私も今の予算においては、十分行かないことを認めます。しかしながら、昨年に比べれば相当の講座、研究費の増額をしておりますから、ある程度緩和されるだろう。それから工業大学の電気料金値上げによる打撃、これも事実であります。それで文部省といたしましても、十分関心を持ちまして、大学の実験に使う動力の電気のわくを広げてもらうことに、通産省、安本と了解をつけようということでやつておりますが、ほぼ了解がつくのではないかと考えております。
○今野委員 次に、先ほど質問があつたのでありますが、学生の育英資金の問題でございます。これは今回六億増額されて十五億になつたわけでありますが、しかし一方学生の貧困の程度は、急速にふえて参りました。たとえば、割合に富裕な学生が来ておつたと言われておる農業大学などに参りましても、三百五十人の生徒中、二百五十人がアルバイト希望者であるというようなことが出ておりまして、学校の中には、もうどうしてもやつて行けない、一日三十五円の食費も拂えないというわけで、貧困学生対策委員会などというものを学生がこしらえて、いろいろと対策を練つて、しかたがないというので、国会議員をみんな呼んで訴えるというようなこともこの間やつておりました。ともかくそういう状態で、現在学生の人たちや、あるいは私どもでいろいろと計算してみると大体七十億から七十五億ぐらいの金が、この学生生活を維持するためにどうしてもいる。こういうものに対して、十五億というと、大体五分の一程度にしかならないわけでございます。こういう状態でありますと、学生がほんとうに学業を続けることができなくて、行き詰まりの状態にもう来ておると思うのです。これを一体どうするか、やはり予算がないということで、一言で盡きてしまうのでありますけれども、しかしさつき言つたような学校自身の状態で、生徒に実験費もかけて来る、またそれを増額しなければならない、こういう学校の都合もできて来ておるようであります。これでは一体教育がどうなるかということは、まつたく見当がつかないのであります。これに対して、文部省としては一体大学教育というものを続けて行ける自信があるのかないのか、その点をひとつお伺いしておきたいと思います。なお、私立学校につきましても伺いたいと思います。
○高瀬国務大臣 確かに現在は、学生の生活状況が非常に窮迫して参つておることは事実でありまして、あらゆる方法をもつて、これを助けて行かなければならない。その一つの有力な方法は、育英会による貸付金でございますが、それが十五億円で、はなはだ不十分であることは、事実でありますけれども、予算の金額から申せば、さきの九億円を十五億にして、六億はふえておるのであります。むろんこれをもつとふやしたいという希望はありますけれども、現在の財政的な情勢から申しますと、一ぺんになかなかそうふやしがたいという実情から、この程度の増額でがまんせざるを得ないということになりまして、これは財政上の要請から来ておるわけであります。しかしこれだけでもつて文部省が現在の学生の窮情に対しての方法を一切顧みないというわけではありませんので、この予算にもあります学徒援護会というのがありまして、この方にも補助をしておりまして、宿舎を建てましたり、またいろいろなアルバイトの世話をいたしましたりいろいろなことで、できるだけの援助をするように、文部省としては援助をしておるわけであります。むろんこれも十分とは言えません。それで学生自身、学校自体がいろいろくふうをして、アルバイトをささせてやつておるということになります。そのアルバイトも、学生にふさわしいアルバイトならいいのでありますけれども、学業あるいは学生生活と両立しないようなアルバイトにも、どうも行きやすくなる、こういうものは好ましくない。健全な意味のアルバイトで、何とかやれる方法を一方でもつてできるだけ考えてやらなければならない、こういうつもりでやつてはおりますけれども、むろん十分には行つておりません。学徒援護会が中心になりまして、実業界方面の有力な人たちに、始終集まつてもらつて協議して、アルバイト方面で協力を求めております。相当各大会社とも学生アルバイトを供給してもらつてやつております。とにかくこういうぐあいにして、何とかこの危機を切り拔けて行けば、日本経済も、あるいは今野さんと見解が違うかもしれませんが、私はここ一、二年で相当安定できるだろうという見解でありますから、この危機を乗り切つて行けばいいだろう、こういうつもりであります。
○今野委員 ただいまの点につきましては、かりに経済が安定すれば、そういう学生に補助を要するという状態もなくなるわけで、今でこそ重要なんですから、この点ひとつお間違いのないように願いたいと思うのです。 最後に国宝の問題ですが、これは実は第五国会以来ずつとやつておるのですけれども、まだ保存保護法の立法ができない。しかしながら最近海外との交通が非常に活発になるにつれて、国宝の海外流出というような危險が、非常に目に見えて出て来ておるわけです。この問題に対して、やはり急速に何かしないと——保存法案というような何かりつぱなものをつくらないでも、海外流出をほんとうに食いとめる措置を、今までの法律の範囲内でも、あるいはそれをちよつと補強するという程度でやり得るのではないかと思いますが、この点について文部省としてはどういう御見解をお持ちか、はたして流出する心配ないということか、あるいはありとすれば、どうしたらいいか、その点ちよつとお伺いしたいと思います。
○高瀬国務大臣 ただいまのような問題については、文部省はもちろん十分の関心を持つておらなければならないというつもりでやつております。それについて、国会で今準備されております保存法案が、できるだけ早く成立して、これが動くようになることを希望しておるわけでありますが、それとにらみ合せながら、ただいまのような点も十分にやれるようなことにしたいといろいろくふうはいたしておるわけであります。
○苫米地主査 本日はこれをもつて散会いたします。明日は午前十時半より開会いたします。 午後五時三十四分散会