予算委員会 第25号
- 発言数
- 139 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1950/03/09
会議録
○植原委員長 これより会議を開きます。 都合により午前中は休憩いたしまして、午後一時より開会いたします。 午前十一時三十一分休憩 —————・————— 午後二時五分開議
○植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 この場合、昨日の質疑に対して内閣総理大臣より発言を求められております。これを許可いたします。吉田内閣総理大臣。
○吉田国務大臣 昨日留保いたしました答弁をいたします。憲法上、労働権の尊重すべきことはもとよりでありますが、同じく憲法に公共の福祉を害せざる範囲内においてこれを尊重する、これが政府の見解であります。また單産ストに関する増田長官と司令部の労働課長との間に、言い表わし方について食い違いがあつた。これはGHQ労働課長に確かめたところ、官房長官の所見と全然食い違つておるところはないということを確かめましたから、御報告いたします。
○植原委員長 実は昨日質疑は終了いたすことになつておりましたが、総理に関連質問もありますし、最後の討論の日には総括質問を許す慣例もありますので、委員長のとりはからいによつて、この場合関連質問を許します。川崎秀二君
○川崎委員 ただいまの御答弁の中で、憲法においては争議権、団体交渉権、団結権は保障されておる。しかしながら憲法の他の條章において、公共の福祉を害さないという建前があるのであるからというような意味合いの御答弁でありまして、工ーミス課長と増田官房長官との間にも意見の食い違いがないというようなお話でありました。憲法第二十八條は、明らかに団結権争議権を保障しておりますし、憲法第十二條は、公共の福祉についての制限があるわけでありますが、そのことは十分承知をしております。さればこそわが国におきましては、労働関係調整法というものが設けられて、一産業のストライキ、一産業のサボタージュといえども、公共の福祉を害するというような関係で、すでに一つの規定があるわけであります。従いまして、私が今質問をいたしたい点は、マツカーサー書簡ではゼネストは禁止されておる。しかるに全国を麻痺状態に陷れ、一地域を麻痺状態に陷れるようなストライキは、單産ストでも禁止するのだというような見解を持ちますと、ゼネストの範囲をずつと広く解釈をなさつて、なるべく争議権を圧しよう、抑圧しようというような考え方が強くなつて参りまして、今後の日本の政治の運用から見て、私ははなはだおもしろくない。そこで総理にお尋ねをいたしたい点は、この点であります。憲法の三十八條で保障されたところの、団結権並びに争議権というものを保障することにウエイトを置いて、なるべくそうしたいというのか、あるいはまた、内閣は争議があつて自分のかつてが悪い産業について多少の危機があるというようなときには、これをなるべく広げて解釈しようとされるのか、その点の趣旨を十分に伺いたいと思います。
○吉田国務大臣 政府としては、憲法を守つて憲法の趣意にかなうように措置いたすつもりでおります。
○川崎委員 いずれまた他の方々から、この問題については論及されると思いますので、私は時間の制限もございますから、他の問題に移ります。 人口問題は、かつてわが国におきましては、戰争の原因にもなつた問題であります。これをいかに調節して行くかということは、今後の講和会議に臨む態勢としても、日本政府が真剣に考えなければならぬ問題ではなかろうかと思います。満洲事変を引起し、あるいは日華事変に及び、太平洋戰争に及びました過程を見ましても、ここに一つの大きな災いがあつたのでありますから、これは当然芟除するところの大きな基本工作が立てられなければならぬ。衆議院におきましては、先般全会一致の決議案をもつて、人口問題に対するところの決議を行つておる。また人口問題審議会の答申も出ておりまして、すみやかに人口問題に対するところの強力な施策を立てなければならぬと思うのであります。そこで私がお伺いいたしたい点は、現在の人口問題審議会というものは、学識経験者その他有力な人々を集めておるけれども、しかしながらこれはまだ弱体である。そこででき得るならば、人口問題に対する総合的な委員会を設けるか、あるいは衆議院の内部において常任委員会を設置するということが、望ましいのではないかと思うのでありますが、それらの問題について、基本的構想なりあるいは私が今お尋ねをいたしました最後の点について、お答えを願えますれば仕合せであります。
○吉田国務大臣 お答えいたします。人口問題は政府としてもはなはだ重要な国策の一つとして考えております。このため審議会を設けておりますが、現在のところは、この審議会で十分ではないか、なお答申等を見ました上でもつて研究いたします。
○川崎委員 総理大臣とは二、三回にわたつて、委員会を通じ角突き合しておるので、私は最後の質問はひとつスポーツマンライクに行きたいと思いますが、ぜひとも御協力を願いたい一件があります。それはこの秋十一月に、インドのニューデリーという所では、アジアの青年を集めて、アジアオリンピック大会というものを計画しておる。そこでわが国からも参加してほしいという要望が、先般GHQを通じて示達されました。体育協会は陸上連盟を初め、相当な選手を派遣する計画を立てておるのでありますが、これは従来のものとは違いまして、昨年の渡米選手あるいは今年の南米遠征などとは違つて、経費がない。経費はやはりどうしてもこちらから調達をしなければならないのであります。スポーツマンの派遣は、官僚統制を脱する意味合いからいいましても、民間の資金を集めるのが当然でありますけれども、政府においても十分に協力をしてもらつて、あるいは一部国庫補助もしてもらわなければならぬと私は思う。それらについて、專門的なことについては、あるいはまた御答弁がないかもしれませんが、どういうふうに協力されるか。こういう国際親善の、しかも終戰以来かつてないところのアマチュア選手が渡印して、そうしてアジアの青年と親しく結び合う機会を得たわけでありますから、吉田総理におかれましても、その点は十分に御協力を願えると思いますが、それらの点について御答弁を願えれば仕合せであります。
○吉田国務大臣 お答えいたします。御趣旨はけつこうに思いますから、いろいろ具体的に政府に提案になれば研究いたします。
○植原委員長 林百郎君。
○林(百)委員 私は吉田総理に、單産ストまた二・一ストの際における最高司令官のゼネストの書簡に違反するという増田官房長官の言明に対する問題を、お聞きしたいと思うのであります。先ほどの総理の答弁によりますと、官房長官の言明と工ーミス労働課長の考えとは、何ら食い違いがないということが、調査した結果明らかになつたという御答弁でありますが、この増田官房長官の言明を見ますと、こう書いてあるのであります。重要産業のストは単産のストであつても、その影響が大きい場合は政府はこれをゼネストとみなし、マ元帥命令違反として処置する。その次に関係方面の指示を待たず、政府が自主的に処置する方針で、今回電産の指令した停電ストがこれに該当するかどうか、実際ストが起づてから検討するとあります。要するに関係方面の指示を待たず、政府が自主的に措置する方針だということをはつきり言つておるのであります。ところがこれに関連して、問題の二・一ストの際におけるマ書簡を見ますと、なぜマ書簡に二・一ストを禁止したかというと、現在の状況においては連合国民に余分な負担をこれ以上引受けるよう要請することはとうていできない。要は恐るべき非常事態に処する措置として禁止の措置をとつて、連合国最高司令官の立場で禁止しておるのであります。また極東委員会の十六原則の第五原則によりますと、占領軍当局が占領の目的ないしは必要に直接不利益をもたらすと考えた場合にのみ、争議は禁止される。こういう観点にあるにもかかわらず、日本政府の一官房長官が、二・一ストの際のマ元帥の書簡をもつてただちに単産ストも違反であるから、関係方面と何らの交渉もせずして、日本政府独自の考えでこれを禁止するということは言い得ないはずであります。増田官房長官は、一体いつ連合国の一員になられたか、いつ連合軍の一員になられたか。しかもエーミス労働課長はこう言つております、マ元帥書簡をスト禁止に適用するかどうかの問題は、すべて総司令部で検討されるが、最近労働課ではそのような問題の審査を行つたことはない。取締当局が全然考えてもおらないというのに、増田官房長官が單産ストもゼネストと同様であるから取締るというのは、池田放言以上の暴言であります。これに対して、官房長官の言明とエーミス労働課長の言明とは何ら食い違つていないという答弁については、納得できない。もう少し首相の明快な御答弁を聞きたい。
○吉田国務大臣 あなたが納得できるできないにかかわらず、政府が総司令部に確かめたところは、長官とエーミス課長との意見が違いがないという確答を得ておるのであります。
○林(百)委員 エーミス労働課長は増田言明は知らないとはつきり言つておるのだ。そうすると、エーミス労働課長が違うことを言つておるのか、エーミス労働課長の増田言明知らずということはどういうことか、これをあなたにお聞きしたい。
○吉田国務大臣 それはエーミス課長にお聞きを願いたい。
○林(百)委員 そういう不誠意きわまるお答えをお聞きするのは、実に心外であります。ところが問題は、この政府が確認されたという増田言明を、本日の新聞紙で拝見しておるのでありますが、政府は増田言明を確認されたかどうか、この点をまずお聞きしたい。要するにこういうことです。増田言明について、昨日は首相は調査してから答えると言いました。このことは増田言明というものは、一体首相と相談をしてやつたのかどうか。首相の了解のもとで出されたのかどうか。またあるいは首相の承認を得ないにしても、その後増田言明を首相は確認されたのかどうか、まずこの点をお聞きしたい。
○吉田国務大臣 長官は政府を代表して話したのでありますから、むろん私の意見をも考慮に入れての言明であります。
○林(百)委員 そうすると、本日新聞に出ております増田言明なるものを見ますと、「たとい單産のストであつてもこれは最高司令官のゼネスト禁止命令に該当するストである」、すなわちその前にこういうことが書いてあります。「国民生活に著しい脅威を與え、社会をマヒ状態に陷れる場合は、たとえ單産のストであつてもこれは最高司令官のゼネスト禁止命令に該当するストであると認める」と言つておりますが、マ書簡によつて連合軍に損害を與える場合に、連合軍が初めてスト禁止命令を出すことができるという場合に、政府は何ゆえ独自の考えからこういう禁止命令を認定する権限があるのか、この点をお聞きしたい。
○吉田国務大臣 政府の処置は政府の責任においていたすのであつて、マ書簡がどうあろうが、マ元帥の意思いかんにかかわらず、政府は政府の見るところによつて、政府の責任においていたします。
○林(百)委員 そうすると、二・ーストの際における最高司令官のゼネスト禁止命令の書簡によつて処罰するということは、これは間違つておるということですか。
○吉田国務大臣 これはポヅダム政令違反として政府が処置いたしたのであります。
○林(百)委員 ゼネストがポツダム政令に違反しているという、そのポツダム政令とはどんな政令ですか。
○増田国務大臣 ポツダム政令三百十一号であります。
○林(百)委員 ポツダム政令三百十一号はすでに公務員法に吸収されております。公務員法の適用のない地方公務員には適用がありますが、公務員以外の者に政令三百十一号が適用されるはずはありません。この点は明らかに大きな誤謬だと思います。
○増田国務大臣 林君に御訂正申し上げます。ポツダム政令第二百一号だぞうであります。
○林(百)委員 その次に増田言明の中でお聞きしたいことは、「ゼネストであるか否かは理論的には日本政府がその責任において自主的に決めるが、実際には総司令部の内面指導を受け、十分連絡して決定する、」こういうように理論と実際がどうして食い違つて来るのですか。これはどういうことか吉田首相にお聞きする。
○増田国務大臣 まず第一に、総理の言われたと同様でありまして、ゼネストであるかいなかは、われわれが自主的の立場で、政府の思慮と判断と分別のもとに決定たします。しかしながらそのあとの段階では、それでは政府が独断的にきめるかというと、そういうわけではございませんで、すべてポツダム條項を遵守している以上は、内面指導を受けておるという関係がございますから、十分に関係方面と連絡をとりつつ、しかもなお政府の自主的見地のもとに、独自の責任と思慮と分別、判断によつて認定するのであります。
○林(百)委員 そうすると自主的にきめると言うが、実際は内面指導を受けておることになると、それはいわゆる自主性じやないと思う。自主的ではないと思う。それは要するに連合国最高司令官の、いわゆる総司令部の内面的指導によつて決定されるものであつて、政府独自の見解じやないと思う。しかもこのことはエーミス課長がちやんとはつきり言つておるように、マ元帥書簡をスト禁止に適用するかどうかという問題は、すべて総司令部で検討されるということをはつきり言つておる。結局増田官房長官が言い過ぎてしまつたのである。マ書簡によつて日本政府は独自の立場で、関係方面とは交渉なしで、ということをあなたははつきり言つておる。関係方面の指示を待たず政府が自主的に処置すると言つてしまつた。これは明らかにあなたが言い過ぎだから、今度はやむを得ぬから、表面、理論的には自主的だが、実は内面指導と言つてごまかしてしまつておる。訂正するなら訂正するとはつきり言われたらどうです。最初あなたは関係方面の指示を待たず、政府が自主的にやるとはつきり言つておるじやないですか。その後になつて、どうして内面において指導は実は受けますということに訂正になつたか、そこをはつきりさせてもらいたい。
○増田国務大臣 この際林君の御質問がございまするから、私の言つたことをきわめて明瞭に再確認いたします。私の申したことは、政府としては、單産でありましても、それが重要基幹産業であつて、全国的に罷業を行い、その影響が社会を麻痺せしむるというような状態になつた段階においては、これはゼネストと認める、これだけのことを言つておるのです。 それからこれの認定は、政府が自主的にやります。しこうしてわれわれはポツダム條項を受諾したからには、政府が全然独立にあらゆる行動をなし得るわけじやございません。主権というものは、スキャップの制限を受けることは、きわめ明瞭に、われわれの捺印したあの降伏條約には認められておるわけでございまして、何も單に労働行政に限りません。あらゆる行政について——もちろん政府の自主的立場は認められておりまするが、制限を受けるということは、立法についても、司法についても、行政についても、すなわちこれらのものはすべて主権でありまするが、主権が制約を受けるということは、林君といえども明瞭に認めざるを得ないと私は確信いたします。でございまするから、労働行政についてある認定をするというような場合に、やはり連絡をとるということは、ポツダム條項を遵守しておる以上は当然のことで、言うには及ぶことであります。
○林(百)委員 この際吉田首相にはつきりお聞きしたいのでありますが、極東委員会の十六原則によれば、日本の労働者が労働組合をつくつて、自分の生活の利益を守るということは奨励される。また労働組合が、日本の国の民主化のために団体として政治活動に参画することは奨励される。労働組合が軍国主義及び独占的行為の根絶のごとき占領目的達成のための諸方策に団体として参画することも奨励されるとあるのであります。しかも十六原則の第十三原則によれば、「正当な労働組合の活動を妨害し又は妨害する為の措置をとつた日本政府その諸機関は廃止さるべきであり、」ということがはつきり規定されておるのであります。ところが増田官房長官の言葉は、言葉はいろいろ言われておるのでありますが、結局連合国最高司令官が、連合国国民の立場に立つて、連合国軍の利益が阻害されるという立場に立つて出した二・一ストの際の書簡を利用して、実は全然権限のない増田官房長官並びに吉田内閣は、日本の正当な労働運動を弾圧しようとしておる。單産ストまでゼネストだというようなりくつをつけ、あるいは地域ストまでゼネストだというようなりくつをつけて、彈圧しようとしておる。これは明らかに極東委員会十六原則の第十三原則に違反しておる。吉田内閣は、もしこういう労働者彈圧の政策を続けておる限り、廃止され、永久に抹殺されなければならないと思うのでありますが、この点について吉田内閣の労働政策に対する根本的なお考えをお聞きしたいと思う。
○吉田国務大臣 政府の態度あるいは増田長官の説明等について、あなたがどうお考えになるかは、あなたの御自由であるが、政府は彈圧等の考えは毛頭いたしておらないのみならず、組合その他の健全なる発達については、十分努力いたしているつもりであります。
○林(百)委員 もしそういうことを言われるならば、すでに労働者は、この物価の値上り、あるいは地方税の増徴、あるいはその他の生活苦によつて、賃金の基準の改訂、あるいは国鉄の裁定、專売の裁定、人事院の勧告とがなされているのであります。もし政府が労働組合運動を保護助成し、労働者の利益を守るというならば、すみやかにこうした労働者の切実な要求を守るべき義務があるのでありますが、吉田内閣はこれに対してどういう考えを持つているか。ことにあなたの名前で出されている——全官からの賃金ベースの問合せに対して、吉田茂の名前で、六千三百七円ベースは高過ぎる、五千三百円ベースが適当である、物価は値下りしているからという報告が、あなたがみずから書かれたか、秘書が書いたか知らぬが、これが労働組合に返事として行つている。証拠はちやんとここに持つている。こういうべらぼうなことをする吉田首相が、口では労働組合運動を保護助成すると言つても、これはわれわれには聞こえない。労働者の保護助成のためにいかなる方策をとられるか、お聞きしたい。
○吉田国務大臣 今係官の話によると、お示しのような文書は出したことはないそうであります。
○植原委員長 林百郎君、時間はほぼアップであります。
○林(百)委員 そうすると、ここにちやんと吉田茂の名で、物価が安くなるから、六千三百七円ベースは五千三百円ベースにすべきであるということが、はつきり書いてある。これに対していかなる責任を負うか。吉田茂の名前でちやんと出ている……。 〔発言する者あり〕
○植原委員長 靜粛に願います。
○林(百)委員 あて名は、東京都港区芝海岸通リーノ二五、建設省関東地方建設局内、全建設省労働組合中央執行委員長、原田安臣の名前で、ちやんと来ている。こういうはがきを出すような吉田首相が、口では労働者を保護助成する言つても、われわれは信ぜられない。問題は、実際このはがきを出したか出さぬかは別として、この保護助成に対してどういう政策をとられるかということをお聞きしたい。
○吉田国務大臣 そういうはがきは出したことはないそうであります。何かの怪文書だと思います。
○林(百)委員 はがきの問題ではなくして、根本的に……。
○植原委員長 林百郎君、そういうものを出したことはないというので、あなたに対する答弁は盡きております。あなたの時間はもう……。
○林(百)委員 私ははがきを出したか出さないかという問題ではない。これを通じて、吉田首相が労働者に対するどういう保護助成の方式をとられるかということ、これを聞いているのです。これを避けて、單にはがきの問題を言うのは、卑怯だ。この問題を聞いているのです。たとえば……。
○植原委員長 林君ただいまのことは、そういう問題に総理大臣は答えられることはないと思います。
○林(百)委員 それでは結論として、最後にお聞きいたします。それは吉田首相は賞與制度をとりたいということを新聞で発表している。ところがこれに対して淺井人事院総裁は、賞與制度というような方法ではいけない、賃金の根本的な基準を改訂しなければならぬということを言つているわけです。そこで首相の言われる賞與制度というあは、どういうことか、またこれに対して淺井人事院総裁は、こういう方法でなく、もつと根本的に賃金の基準を改訂すべきであるという意見を出している。これに対して吉田首相はどういう考えを持つておられるか、この基本的な労働政策について伺いたい。
○吉田国務大臣 政府はボーナス政策ですか、そういう政策をまだ言明いたしたことはございません。研究中であるということは申し上げたけれども、ボーナス制度ということを言明したことはないのであります。
○植原委員長 竹山祐太郎君。
○竹山委員 私は五つの問題についてお伺いいたしますが、時間がありませんから、説明を省略して、結論的に簡單に伺いたいと思います。 第一点は、総理、外務大臣として、私が先般も総括質問の際に申しましたが、国際小麦協定の問題についての見通しはどうお考えになつておられるか、同時にこれに関連をして、今日の毎日新聞の報ずるところによりますと、日本の食糧政策についての根本的な変革を行うようにとのGHQの申出があつたということであつて、これはあるいは総理は新聞の記事はお認めにならぬかもしれませんが、私は先般の総括質問の際にも、この食糧問題に対する根本的の改革をいたさなければならぬということを申したつもりで、総理もこの点については時期の問題だという答弁をされておりましたが、この報ずるところによると、莫大な輸入食糧に伴つて、日本の供出制度及び配給制度の根本的な変革をいたさなければならぬ。これに関連してもう一つ重要な問題は、いわゆる関税の問題、保護関税は将来かけることはしないのだということを、その中味に含んでいるかのごとき報道があります……。(私語する者あり)
○植原委員長 うしろの方で雑談を禁じます。
○竹山委員 現内閣の時期の問題でなくして、日本の講和條約成立後の独立国家としての、将来にわたる重大な問題でありますから、これに対する現内閣の所信を承つておきたいと思うのであります。
○吉田国務大臣 国際コミンフオルムについての批評は差控えます。またお話のような食糧供出に関してのGHQの指示なるものは、まだ受取つておりません。
○竹山委員 後段の問題ついて総理大臣の御答弁は、私はたとえば関税問題等に対する政府の所信を伺つたのでありますが、総理が御答弁ができなければ、どうか所管大臣からあとでお願いをいたします。 第二の点は、本年度の予算編成にあたつて、いわゆる対日援助費はどれくらいに見込んでおられるか、それに伴つて今後アメリカの予算が正式にきまる場合においては、日本の予算の中味にも変更を来すことになると思いますが、その辺を伺い、なおこれに関連をして、これは総理大臣よりも大蔵大臣に伺つておきたいのでありますが、総理のお考えは同じだと思いますが、見返り資金の国内への使途の問題であります。この見返り資金は、現大蔵大臣は玉手箱と称して、非常に振りまわされた見返り資金でありますが、今日の実情は、まことにわれわれが当初申し上げた通りの結果に相なつて、国民の期待とははなはだ反した結果になつております。ことに端的に申せば、農業のごときには一文も出しておりません。これを安本なり大蔵省なりが出すときめた計画は、机の上の、ただ見せかけの計画であつたのか、どこまで出す意思を持つておられるのか。この見返り資金に対する政府全体としてのしつかりした方針、または実行する熱意というものは、私たちはわかりません。この点に対する考え方をはつきりと伺つておきたいのであります。
○池田国務大臣 先ほどの御質問の関税の問題でございますが、ただいま関税定率法の改正に努力をいたしておるのであります。従いまして、私は関税の問題は日本の産業の状況から考えて行かなければならぬと思います。お話の穀類の輸入につきましては、やはり輸入税を課することにして、現状はただいまと同様に免税規程を置きたいという方針で行つておるのであります。 次に見返り資金の運用でございますが、二月までにおきまして、千二百億円お金がございまして、九百億円使つております。しこうして残りの三百億円は、今月中に私企業に大体百億円を出す予定でおります。また復金債の償還にも充てる考えでおるのでありまして、翌年度へ繰越す金額は、積み立てた金額の一割ないし一割五分程度しか繰越さないのであります。予想通りに本年度は使つて参つたのであります。来年度は予算に示しておりますように、千五百億円程度のものを見込んでおります。しかし御存知のように、アメリカにおきまして、一九五〇年ないし五一年の対日援助の金額は、二億七千五百万ドルと議会に提案せられておると聞いております。この通りに行きましたならば、前年度の四億五千万ドルのずれを考えまして、大体千五百億円足らずになるのではないかと思います。しかしまだ向うの予算がきまらないので、はつきりと金額はわかりませんが、千五百億円程度を見込んでおるのであります。
○竹山委員 第三の問題は、今の二つの問題に関連をして総理に伺いたいのでありますが、今保護関税はかけると言うておられますが、保護関税はまだ先の問題であつて、もう今年ただちにも輸入食糧の問題について、食糧政策の根本的な改革を必ずやらなければならぬと私は確信をいたします。政府もおそらくその用意があると思いますが、なお一方見返り資金の問題は、大蔵大臣は計画的に出したとおつしやるけれども、農業については現実一文も出ておりません。従つて総額が出たということは、船やその他大きな産業の方面に全部が行つてしまつたというだけであつて、決しで当初政府が考えておつた案の通りには参つておりません。そういうやり方をして行くならば、もう私が申さなくても、先般いろいろ国会が中小企業の問題を大蔵大臣の言明を通じて取上げられましたけれども、農村の問題は一向取上げられておりません。政府は、これに対して、默つておれば、またこういうチャンスがなければ、農村問題は軽視してもいいとお考えになるのかどうか。これ以上の困難なる事態というものがすでに農村全体に起りつつあるということを御承知があるのかどうか。先般の施政方針演説において、総理は農政審議会をつくるということをおつしやつたが、いまなおどういう形なのかわれわれにはわかりませんが、さようなことを一体おやりになつておるのかどう上か。また今後ほんとうにこの農村問題をしつかりやつて行くには、どういうお考えでおられるかという点を簡單に申し上げて、中身は十分ひとつお話願いたいと思います。
○森国務大臣 私からお答えいたします。関税の問題につきましては、大蔵大臣より答弁いたされました通りでありまして、今日食糧は政府の手によつて輸入いたしております以上、関税はとつておりませんが、日本の各種産業を保護する上におきまして、将来関税政策をとるということは、当然のことと考えておるのであります。本日毎日新聞に出ておりました、食糧政策に対する根本的な改正が、その筋より指示されたというような記事がありましたが、これは政府は何らの指示を受けておりません。しかしながら今日の食糧政策、いわゆる供出制度におきましては、その弊害もつとに認められておりますので、明年の三月に今日の食糧確保臨時措置法がその効果を失う段階に入りますと同時に、この食糧政策に対して根本的な改正をいたすべき時機と考えて、目下それぞれ研究をいたしておるのであります。日本の農業が窮迫いたしておりますことは御説の通りで、政府といたしましても、これをよく認識いたしておりまして、どうかしてこの農村の行き詰まりを打開すべく、それにつきましては、農産物の価格政策、あるいはその他この日本の食糧に協力し得られるような農業経営をやつてもらえるように、農業政策を各般の面に立てて行きたい、かように考えておるわけであります。
○竹山委員 総理のお答えのないことは残念でありますが、第四の問題に移ります。これは先般本多国務大臣にも伺つたのでありますが、地方平衡交付金の問題を中心として、今度の地方財政の大変革は、決して單なる減税の問題や税の種類の変更の問題ではありません。全般の問題は省略いたしまして、ことに心配になりますことは今度の変革によりまして、いわゆる農村や山村の貧弱町村が、この税制によつてもて得るかどうかという点であります。それに対する大臣の御答弁については、私は十分に納得いたす点までは行つておりません。問題は平衡交付金がそういう町村を十分に見得るだけの額ではないということを、大臣自身も答弁されております。この点はごの予算委員会において、平衡交付金の問題及び地方財政の問題が、政府の提案がないために論議ができないことは、私ははなはだ遺憾であり、予算をきようでしまわなければならぬという点も、はなはだ不満足な点であります。国税の問題ではない。国民が最も苦しむ地方税の問題について、最後の結論がとられておらないという点は遺憾でありますが、これは政府の御都合その他でいたし方ありませんから、あらためて伺いますが、一部にはこういうような必ず困難な欠陷を認めておるのかどうか、これで十分やつて行けるとお考えになつておるのかどうか、総理の御見解を伺つておきたいのであります。
○池田国務大臣 地方税の変革はございまするが、昨年よりも税として四百億円増徴いたすことにいたしておりますし、また平衡交付金も千五十億円と申しますると、昨年の分與税、配付税におきまする金額よりも多くなりまして、私は十分ではございませんが、やつて行けると考えております。
○竹山委員 最後に伺いたいのは、今まで伺つておりました問題を通じて見ましても、アメリカの国会の予算が決定をしてみなければ、予算の裏づけもきまらない。また食糧の問題等の見通しもおそらくきまらないと思います。また今後のこの予算を実施して行つた後における情勢の変化等も考えますならば、私はこの議会の後において、この予算を一年間このまま無事に実施ができるとも考えられません。従つて、適当な機会において臨時国会の召集をやらなければならぬじやないかということが考えられますが、総理は臨時国会召集のお考えがあられるかどうかを、伺つておきたいのであります。
○吉田国務大臣 これは将来必要な場合には召集することについては躊躇いたしませんが、今日いまだその考えは持つておりません。
○竹山委員 終りました。
○植原委員長 松本六太郎君。
○松本(六)委員 時間がありませんから、簡潔に二、三お伺いをいたしたいと存じます。ただいま竹山君からも同様な趣旨で御質問があつたのでありますが、この問題は先般来本委員会におきまして、他の同僚からも、私からもある程度の質問をいたしております。しかし大蔵大臣並びに農林大臣等の御答弁、どうしてもわれわれの満足し得ない御答弁であり、十分これによつ手了承はできない。かような点で今日特に総理大臣にお伺いをいたして、御所信を伺つておきたいと存じます。その問題は、農村の今日の窮状に対して、政府は正しい認識をお持ちになつておるかという点であります。先般来中小企業の問題に対しては、非常な波紋を起しまして、このことが大いに内外の議論となつておるのであります。従つて政府もまたこれに対処いたしまして、ある程度の政策の是正、もしくはこれの対策について考えておられるかのように見受けるのでありますが、農村のごの窮迫したる実情に対しては、何ら適切なる手を打つておられない。私は今日の政党の性格から見まして、自由党は大体過去における政友会の流れをぐんでおると見ておる。民主党はまた過去における民政党の流れをくんでおる。これは否定できない事実であります。そういう政党の性格を持つておる自由党が、農村問題に対してはいかにも不熱心であり、しかも徹底した政策をとつておられない。 〔「そんなことはない」と呼び、その他発言する者あり〕
○植原委員長 靜粛に願います。
○松本(六)委員 これはまことに私は遺憾にたえないのである。吉田総理は、今日のこの農村の現状に対して、どういう御認識をお持ちになつておられるのでありますか。この点をまずお伺いいたしたいと思います。
○吉田国務大臣 私が施政の演説の中にも申しておる通り、日本において、人口の中分以上は農業に従事しておる人口でありますから、決して政府としてはこれは軽視できないのみならず、農民の保護あるいはまた農村の保護等については、いろいろな方面から政府としては相当研究をいたし、また実施いたすつもりであり、またがつて申し上げた通り、ことに農業審議会も起して、そうして各方面の権威者の意見も聞いて、適当な処置をいたしたいという考えでおるのであります。これは私が施政の演説その他において、しばしば申しておるところによつて御了承願いたいと思います。
○松本(六)委員 それではこれに関連いたしまして、具体的な問題について総理のお考えをお伺いいたしたいと思います。それは今回行われまする税制の全面的な改正にあたりまして、農村に対しまして、しかも農村のうちでも、今政府がせつかく農村の民主化、あるいは農民の経済力の発展のために奨励しておられます全国約一万五千の協同組合があります。このうち約五千の組合は、もはやその経営なり、存立なりが破綻に瀕して、倒壊もしくは解散をしなければならぬという運命に置かれております、農村の健全なる発達、もしくは生産力の拡充をやつて行きますには、どうしてもこの協同組合のいわゆる保護育成が徹底いたさなければならないのであります。しかるに今日の現状は、さような悲観すべ賃状態に立ち至つておるのであります。これに対しまして、今回の税法の改正にあたつては、何らの考慮が佛われておらない。いわゆる法人税におきましても、附加価値税におきましても、他の営利会社と同様な取扱いをすることになつております。私は今日の疲弊困憊し、まさに今倒壊の寸前にある協同組合を育成いたしまするためには、税の上におきましても、相当の考慮が佛われてしかるべきだと思うのであります。今倒れかかつておるこれらの協同組合にこの重税をかけまするならば、これはむろんやつて行けないことは明らかであります。ゆえにこの際何とかこれに対する善男を、われわれは本委員会においても強く主張いたしまして、大蔵大臣にこのことを申しましても、全然さような御意思がない。森農林大臣は、心のうちでは多少そういうことを希望しておられるかもしれませんが、政治力がなくてこれはやれない。(笑声)そこで私はこの際、いわゆる識見、政治力ともにあるところの総理が、決然立つてこれらの問題を御解決願うのでなければ、このことはとうてい目的が達成されない。かように考えますが、総理におかれてはこれらの問題に対し、いかなるお考えをお持ちになりますか、これをお伺いいたします。
○森国務大臣 松本君にお答え申し上げます。農業協同組合に対しましては、さきの当委員会においてたびたびお答えをいたした通りであります。協同組合ができまして二年であります。政府としては、どうかして協同組合の健全なる発達を期待いたしまして、これを育てて行きたいのであります。まだ二年でありますから、ようやくその歩を踏み出したばかりで、これが破産状態であるとか、崩壊に瀕しておるとかいうことは、農業協同組合自体に大いに考慮してもらわなければならないと思うのであります。と申しますのは、農業協同組合は、農業を営む者が、その農業を営むために同じ目的を持つて寄つてつくり上げるのでありますから、自分の組合であります。この組合員に協同組合はほんとうに自分の組合だという観念が燃え上つて、初めて農業協同組合は完全に発達するのであります。しかるに農業会の遺産相続等のいろいろ複雑な事情があるために、農業協同組合員自身が、自分の農業協同組合を自分の組合と思つておらない。その証拠には、みずからの余裕金を地方の銀行、郵便局に預けて、自分の協同組合に預けておらないような事実もあるのであります。かような協同組合でありましては、いかに政府が助長いたそうといたしましても、発達いたしません。政府は一に農業協同組合の健全なる発達によりまして、農村の建直しをいたしたい。かように考えておるのでありますから、農業協同組合自体がその気持になつて、政府と協力していただかなければならないと思うのであります。従つて協同組合にわずかばかりの補助をいたして、そうして農業協同組合を建て直そうというような、そんななまやさしいことであつてはならない、かように考えておるのであります。
○植原委員長 松本君、松本君の時間はもう一ぱいであります。あなたの質問は再三再四ここの委員会において論議されて、大蔵大臣も森農林大臣も答弁いたしておることであります。従つて吉田内閣総理大臣にお聞きになつても、同じ政府の大臣が答弁いたすことは同一のことでありますし、他の人の時間もありますので、あなたの質問はその程度でおやめを願いたいのであります。
○松本(六)委員 結論だけ……。
○植原委員長 結論は質問になるので、結論をおつしやる必要はありません。岡田春夫君。
○岡田(春)委員 総理大臣にお伺いいたしたいのであります。先ほど増田官房長官の声明につきまして、エーミス課長と増田官房長官との見解は、全然同一であるという、かような意味の答弁がありました。これにつきまして、先ほど林君も取上げたのでありますが、三月六日の記者団会見において、増田官房長官が明確に言われておりますことは、重要産業のストは單産のストであつても、その影響が大きい場合においては、政府はこれをゼネストと解釈する。第二の問題として、こういうように解釈した場合マ元帥の書簡の違反としてこれを処置する、こういう意味の発言をされておるのであります。ところが昨日の記者団会見等においては、増田官房長官は、さすがに官僚の本質を明らかにいたしまして、情勢不利なりと見てか、重要産業のスト、これは單産のストであつても、ゼネストと認めるという点においては、工ーミス氏と自分との間に何らの見解の相違はないが、この点がマ書簡の違反であるという点については、昨日の記面会見等においては、だんだん姿を消してごまかして参つておるのであります。問題はここの点が最も重要な問題であります。そこで総理大臣にまずお伺いしたいのは、先ほど増田官房長官とエーミス課長との見解において相違がない、かように御答弁になつておりますが、マ元帥の書簡の違反であるという官房長官のいうところの規定の点においても、これはエーミス課長参と全然見解の相違がない、かようにお考えになつて同一であると御答弁になつたのかどうか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
○増田国務大臣 岡田君にお答えいたします。私はおとといの新聞記事等に出ておりますことは申し上げたのであります。あの範囲においては法務総裁も、労働大臣も、すなわち政府は一致した見解を持つております。どういうことを申し上げたかといいますと、單一産業であつても、その産業が重要基幹産業であつて、全国的にストを行い、しこうして国民生活に脅威を與え、社会を麻痺せしめる、こういう状態になつた場合においては、これをゼネストと認める。こう言つたのでありまして、今生起しつつあるがごとき電産争議その他についての具体的の解説を與えたわけではありません。そういう場合になれば、政府はこれをゼネストと認定する、こう言つたのであります。
○岡田(春)委員 増田さんは非常に御親切でありまして、前段の点については、きわめて詳しい御解釈をなさつておる。第二の問題の、そのようなゼネストがマ元帥の書簡の違反であるかどうかということについて、六日の記者団会見において、あなた自身の口から、はつきりと書簡違反である。それによつて措置すると言われておるが、かようなことをお話にならなかつたのか。もしお話になつているとするならば、この点はマ元帥の書簡の違反であるとあなた自身は明確に規定されて、その上に立つて処置されると今でもお考えになつておるか。この点を明確にされたい。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。あとのことは私は新聞には申しておりません。あとのことは新聞には申しておりません。このことをきわめて明確に二度はつきり確言いたします。
○岡田(春)委員 さすがに官房長官はそういうように言われるだろうと私は想像した。第一に質問しなければならぬ点は、三月の六日においては、マ元帥の違反であるとして処置するということがあなた御自身から問題になつたから、エーミス課長から、マ書簡違反であるという判断はGHQが行うべきであつて、日本政府が行うべきでないという忠告を受けた。このようなあなた自身の見解があつたからこそ、このような違いがあるのです。ここで明確にいたしておきますが、現に鈴木労働大臣は何と言つておりますか。きのうの記者団会見において、エーミス課長と増田官房長官との間には、見解においてさしたる相違はないと、かように言つている。さしたる相違はないということは、些細なことであつても相違があるという裏づけなんであります。吉田総理大臣の同じ幕下において、同じ閣僚のもとにおいて鈴木労働大臣それ自体が、すでにはつきり違つた具体的なことを言つている。しかもマ元帥の点について言つたことがないとおつしやるならば、もう一度増田さんに確認しておきたいと思いますが、マ元帥の命令違反として適用するということは言つた覚えがないし、またこのような場合において、マ元帥の書簡を適用することは日本政府としてできないと思うか。この点について重ねて見解を伺いたい。
○増田国務大臣 時間があれば幾らでもあなたと問答いたしますが、時間の関係上私はきわめて簡單に申し上げます。私はあなたが解説を求められるならば、幾らでも解説をいたします。ただ新聞記者に対してはあれだけのことを言つただけであるということを、二度も三度も繰返して私は確言いたします。
○岡田(春)委員 先ほどから増田官房長官は答弁をそらしておりますが、日本政府が單産ストをゼネストであると解釈した場合において、マ元帥の命令違反として適用をなし得ると解釈するかどうか——言つたことがなければ、そういうことが適用できるかどうか。この点について官房長官——もし官房長官がわからなければ、鈴木労働大臣にお答えを願いたいということなのであります。
○増田国務大臣 私の申したのは、こういう段階になればゼネストになるということを申したのであります。その段階とは、先ほど申した通り、單産であつても、それが重要基幹産業であり、全国的に罷業を行い、それが社会を麻痺せしめ、国民生活に脅威を與える状態になれば、その段階をゼネストというと言つたのです。ゼネストという場合に政府はどういう処置をとるか、官房長官なり労働大臣なりの解説を求めるということでありますから、この際あらためて私の所見を申し上げます。これは昨日も参議院の本会議において、法務総裁がきわめて明瞭に答弁をいたしております。その答弁の内容は、私の所見と全然同一であります。どういうことを言われたかといいますと、そういう段階になつた場合には、ゼネストであると認定する。その認定した場合に、いかなる措置をとるかというと、その措置は先ほど申し上げました通り、ポツダム政令第二百一号によつて措置するのでありますそのポツダム政令第二百一号にはどういうことを書いてあるかというと、占領政策違反であり、あるいは占領軍の命令違反である。こういう背景があるわけでありまして、その背景としては、もとよりマ書簡というものも、その背景をなすということにはなるのでありますしこれがわれわれの解説であり、きのうも殖田法務総裁が明瞭に言つておりますし、また鈴木労働大臣も言つております。しかしこのマ書簡のいわゆるゼネストになるかどうかということの認定は、われわれが自主的にする。しかしながらこの認定する際は、もとより内面的指導を受けておるのでありますから、関係方面と連絡をして認定をする。これを私は解説として、あなたがせつかく求められるから申し上げます。
○植原委員長 岡田君、あなたの質問の時間は終つております。その問題はかなりせんじつめた問題ですから、やめていただきたいのですが、特に岡田君に対してもう一言だけ委員長が許しましたから、清粛に願います。
○岡田(春)委員 マ書簡との関係について、いまだに明確にいつておらないのでありますが、この点委員長から時間がないからといつて押えられましたので、続いて私申し上げて参りますが、ゼネストを法律的に禁止する規定はないはずであります。増田官房長官は、二百一号によつて規定すると言つておる。それから殖田法務総裁、あるいは殖田法務総裁の幕下にある検察庁当局は、勅令三百十一号で禁止すると言つておる。先ほど増田官房長官は三百十一号と二百一号とを間違えておる。こういう点について明確にしていただきたいと思うのであります。さようなゼネストを禁止し得る法律的な規定があるかどうか。それから第三の問題は、検察庁当局は三百十一号でこれを禁止すると言つておるが、あなた自身は二百一号で禁止するといつている。そうすると、もし官房長官の二百一号が正しいとするならば、検察庁当局の見解は誤りだと思うが、この点を明確にされたいと思います。 もう発言を許さないそうですから、続いてもう一つ言つておきます。そういう点からあなた自身は牽強附会な言葉をもつて、二百一号に該当するからゼネスト禁止がやり得る。かように解釈されたり、あるいは検察庁当局が勅令三百十一号という非常に古い、旧憲法時代の勅令をひつぱり出して来て、事実上労調法で明確に規定されているスト権というものを禁止されるという結果になると思うのでありますが、いついかなる場合に、労調法の中におけるストの権利が抹殺されてしまつたのか、この点について重ねて明確に御答弁を願いたいと思います。
○増田国務大臣 法理論でしたら、時間があれば幾らでも申してよろしいのですが、時間がありませんから、法理論はいたしません。要するに法令の番号ははつきり記憶いたしませんが、占領軍の命令違反に関する処罰の、日本の国内法令であります。
○植原委員長 勝間田清一君。勝間田君はこれらの関連質問でありますから、なるべく時間を短かく願います。
○勝間田委員 ひとつお尋ねしたい事柄は、スト権に対して、ある場合には占領軍の占領政策に反するという言葉を使つてこれを弾圧いたしますが、同時にある場合においては、それは政治ストであるという形において、やはりこれを抑圧をなされます。ある場合には、今度のごとくに單産でも社会を麻痺する状態という言葉を使つていらつしやいます。非常にスト権に対する解釈が、自分の党の政策に都合のいいように広げられて行くのが、現存の政府の実態ではないだろうかという感じが濃厚にいたすのであります。今度の社会を肺癌するという状態は、一体どういう基準でそれが考えられているのか、われわれはこのゼネストの基準を、先ほどおつしやつたような総括的な、政府がどうにでも解釈できるようなものではなくて、もつと客観的にそれが判断できるような形のものがなければならぬと思うのでありまして、これについて増田官房長官のはつきりしたお答えをいただきたいと存じます。
○増田国務大臣 ゼネストであるかどうか、あるいは法律等はすべてこれは抽象的でありまして、私の申し上げたのは、抽象的の一つのフォーミュラとして申し上げたわけでございます。でございますから、私の申した、また政府の一致の見解であるところの、フオーミユラを具体的に適用する問題の解釈でおのずからきまるのでありまして、たとえばどんな事例を社会状態の麻痺と言つてよろしいかというようなことは、そのときどきの社会通念なり、常識で決定する問題であります。
○勝間田委員 常識でと言われますけれども、罷業権は少くとも労働者の基本的人権でありまして、その基本的人権を行う場合において、單なる常識ではこれは済まされないと思うのであります。というのは、いわゆる政令違反という一つの法律にそれはかかつて来るのであります。いかなる場合において政令違反になるのか、この基準が客観的に示されない場合において、もしそれを違反という一つの法律にかけるということになれば、それは重大な問題であろうと私は思うのであります。この点について、もう一度お尋ねしたいと思います。
○増田国務大臣 勝間田君にお答え申し上げます。とにかく具体的事例についての、何かイクザンプルを示せということでありますが、これはおそらく私が一つの例を申しても、具体的の客観的の事件についてきまるのでありまして、百でも、千でも、万でも事例はあり得ると私は思います。ただ社会を麻痺する状態、それから国民生活に脅威を與える状態という、この二つの條件を申します。しこうして社会の麻痺と言えば、かりに電気産業で言いますと、電気産業は御承知の通り單一産業ですが、この電気産業だけが全国的にストをしたという場合に、もし発送、配電等を停止いたしますと、ほかの産業は心ならずも、ストをする意思はなくとも、業務停止という状態になります。そうしますと、一般の社会生活の動脈、靜賑は交通でありますが、交通も全然できないという状態になりますから、これがすなわち社会を麻痺した状態の一つのイクザンプルであると私は思つております。
○勝間田委員 私はイクザンプルを主張することも、またそれを中心として論議することもけつこうだと思いますけれども、もつと別なことを申し上げておるのでありまして、いわゆる政令違反という一つの違反にかかる場合において、その適用の基準というものが明確でない。單なる政府の判断によつて、これを行つて行くという事柄は、これは非常に大きな欠陷ではないかという点をはつきり申すわけであります。
○増田国務大臣 われわれはそのどきの都合々々ではきめておりません。私の言ういわゆる社会通念、あるいは常識とは、普遍妥当なる客観性のあるものであります。
○勝間田委員 次に増田官房長官にお尋ねいたしたいと思いますのは、予算の審議中帯に聞いた問題は、給與べ一スの改訂をしないという事柄と、裁定の完全実施をしないという事柄でありましたが、同時に実質賃金を確保するということを言われておるのであります。この実質賃金をいかなる形で実施するかについては、現在いろいろの答弁があつて、まだ明確でありません。私はここで最後のはつきりした方針を承らしていただきたいと存じます。
○増田国務大臣 政府といたしまして、総理以下名目賃金、給與べースは、絶対に変更できないと言うのは、総合均衡予算はそういう立て方で組んでおり、またべース変更によつて、総合均衡政策はくずれるという確信を持つておるからであります。しかしながら、何と申しましても、実質賃金は昭和二十年来逐年逓増をしておりますが、昭和五年ないし九年の平均に比べれば、まだ低いのでございますから、あらゆる機会において実質賃金を上げたい。減税のごときもそうでありますし、その他特別手当なり、あるいは超勤なり。あらゆる社会施設、その他のことを考慮しておる次第でございます。
○勝間田委員 増田官房長官に、その点でもう一つつつ込みたいと思いますのは、今後何らかの意味において、新たなる措置をとる案があるのかないのかお尋ね申し上げたいと思います。
○増田国務大臣 この点につきましては、総理大臣以下きわめて真劍に苦慮しておりますが、今何らの具体性のある御返答はできかねる次第でございます。一生懸命に苦慮、研究、努力をいたしておるということを、お答え申し上げておきます。
○勝間田委員 その言葉は、現存まだ完全な案ができないし、関係方面の折衝もできない、あるいは財源等についてまだ確信がないので、現在はまだ確答は申し上げられないけれども、しかし何らかの意味において、これは苦慮しておるのだから、今後実現したいと想つておるのだ。すなわち今後やりたいと思つておるのだが、現在はまだ答えられないのだ。こういう意味に解釈してよろしゆうございますか。
○増田国務大臣 勝問田君にお答え申し上げます。まだその段階までは申し上げかねる次第でございまして、要するに政府としては、総理以下真劍に苦慮いたしておるということを申し上げておきます。
○勝間田委員 それと補充的になりますが、今度は公団の職員がずいぶん首を切られますが、これについての退職金として三万五千円程度の予算が計上されておると思いますが、公団職員の退職についての基準をどうされて行かれますか。この点をお尋ね申し上げたいと思います。
○増田国務大臣 勝間田君にお答え申し上げます。まだ基準はございませんが、できるだけ優遇したいという心組のもとに、研究中でございます。
○勝間田委員 安本長官にお尋ねしたいと思いますが、最近の地方税制の法律がまだ出て参らないから、明確にわかつて参りませんけれども、国税の一部、たとえば資産再評価、あるいは地方税の大部分が、物価に大きな影響を及ぼすことが漸次明確になりつつあります。しかも従来の政府の答弁を聞いておりますと、これから補給金が相当の撤廃を受けて来るのであります。しかもなお三百六十円レートの維持がいよいよ強行されるという状態にあるのであります。一般のマル公はどうしても何らかの意味において値上りするという形を、当然とつて参ると思うのであります。この物価の値上りの状態というもの、及び三百六十円レートの維持という問題と関連して、今後の価格政策をどういう形で、どういう方向におちつけて行かんとするのか。この価格政策についてのお考えを、最後にお聞かせ願いたいと存じます。
○青木国務大臣 お答え申し上げます。従来の価格政策は、御承知の通りに価格調整費等の削減に伴いまして、その直後における状態とか、あるいはその他そのときどきの状況を勘案して処理をして参つたのでありますが、今後なお統制を解いて参ります過程において、価格調整費等も削減して参ります。しかしその場合におきましては、現在のように物価全体としてはともかくといたしまして、個々の価格については相当に下り気味の状態にございます。従つて今日の価格政策を維持するという態度においては、従来通りわれわれは処理して参りますが、しかしその際におきましても、ある一定の程度を維持して行けるという標準を考えまして、その内部において調整費の削減等も考えて行きたいと存じておる次第であります。なお各般の事項に属しますが、物価政策はきわめて困難な問題であります。決して私どもはこれについて軽視をいたしておりません。それぞれのフアクターについて検討を嫁げながら、万遺漏なくやつて参りたいと存じます。
○勝間田委員 万遺漏なくということで、まことに不徹底な御答弁だと思うのでありますが、時間もございませんので、次に大蔵大臣にお尋ね申したいと思いますのは、対日援助資金が漸次漸減をして行くということは、アメリカなりがしばしば明言した通りであります。この対日援助資金が漸減して行くことに対して、吉田内閣はいかなる策をもつて、また準備をもつてこれに処して行かれようとするのか。この点はいろいろの面に現われて来ると存じますけれども、私は重要な問題であると考えまするがゆえに、これをその面に集約して考えて行つた場合に、どういうことにこれが準備がなつて行つておるのか、この点を明確にしていただきたいと存じます。
○池田国務大臣 二十五年度の予算案は対日援助が漸減することを前提にいたしまして編成いたしたのであります。従いまして浮説をなす者は、もう少し債務償還を少くしたらいいじやないか、あるいは減税をもう少したくさんしたらいいじやないかと言うのであります。私は対日援助資金が漸減する前提のもとに、できるだけ生活水準を上げなければならないけれども、日本の生産、産業復興に力を入れなければならぬというので、行つておるのであります。従いまして、急激になくなりましたならば、これはなかなか困難な問題がある。しかし私は徐々に減つて来ると思います。しかして他方面では、外資の下足を補うために、また日本の帝業復興に役立たすために、外資導入についての施策も考えておるのでございます。
○勝間田委員 今の案では私非常に不徹底だと思うのでありまして、貿易をどうして行くか、あるいはその自主体制を確立する上においてどういう処置が講ぜられておるのか、あるいは見返わ勘定が漸次少くなることによつて、どう財政を処置して行くことになるのか、こういう問題についても、やはり具体的な計画が立てられておるべきだと述べましたが、今不幸にしてそういうことが明確にされなかつたことを、まことに遺憾に思うものであります。最後に吉田総理に対してお尋ねをしておきたいことは、予算の審議当初におきましては、いわゆる対日講和会議の促進が、かなり早く進むのではないかという議論が相当なされておつたのであります。また單独講和か、全面講和かという議論もずいぶんなされておられたのであります。しかしその後において、中ソの同盟條約もできて参りまじたし、アジアの諸地域における諸外形が非常に複雑になつて来ておるように考えるのであります。従つて現在の段階におきまして、講和会議の促進という問題が、当初考えられたほど早く促進することになるのか、ならないのか、また全面講和、あるいは多数講和というような問題は、これはやはり多数講和か、單独講和かは知りませんが、それの方が濃厚になつて来た、あるいは事実そう進みつつあるとも言えるのではないだろうか。この二つについての最近の情勢を国民に知らせることか、総理としての一つの責務と考えまするがゆえに、この点をはつきりとこの際お尋ねをいたしまして、私の補充質問を終りたいと思います。
○吉田国務大臣 お答えいたします。今日日本の立場から申すと、在外公館その他の機関がないものでありますから、正確に講和の時期いかんとか、あるいは全面講和になるか、單独講和になるかというような質問に対しても、いわゆる想像を交えてのお答えよりほかできないのであります。しかしながらいろいろな人の話、あるいは新聞、雑誌等に記載しておる記事等から考えてみますと、御承知のごとく、今日国際関係ははなはだ微妙であり、また日日変化をいたすのでありますから、この春にとか、この秋にとかいうようなことは、時間的にも申すわけに行きません。ただ初めの予想よりも早くなつたか、おそくなつたかということについては、おそくなつたと言わざるを得ないと思います。おそくなつたというような客観情勢と私は見ざるを得ないのであります。これはあるいは中共の問題もあるのでありましよう、あるいはまたソビエト、ヨーロッパ方面の客観情勢もありましようが、全体を通じて、何となしにわれわれの予想は、かつては今年の春にもできやしないかと思つたのでありますが、私の予想よりは遅れるであろうと想像いたされるような節がたくさんあります。しからばどの節かということはここで明言ができませんが、遺憾ながらおそくなりつつあるように考えられます。しからばこれをどういうふうにして促進させるかと申しても、今日外交の活動を停止せられた日本としては、積極的にこうする、ああするという活動もできないのであります。ただ一に連合国の好意によるより仕方がないが、日本国が安定して国際団体に引入れられたならば、国際平和なり国家の繁栄なりが一層増進するから、日本を国際団体に引入れて、そうして講和関係を早く打立てる方がいいという確信を世界に與えるならば——少くとも連合国に與えるならば、これは平和関係を促進するということになるであろうと思います。同じような意味でもつて、全面講和の促進、あるいは打立てられることは、もちろん希望するところでありますが、これまた客観情勢によることであります。従つて日本として全面講和を主張いたしたところで、日本と講和をいたしたくないという国がありますれば、それまでのことでありますから、全面講和、あるいは單独講和という方針を、この際立てるということはできないのであります。しかしながら、日本と平和関係に入る方がいい、日本と取引をする方がいい。あるいは日本の国情から考えてみて、優に友好国としてつき合いのできる国柄であるということの確信を與えるならば、これまた講和をしたいと欲する国が多数になつて、それが全面講和になるというようなことになるはずだと思います。はなはだ要領を得ませんが、私の御答弁はこれ以上できないのであります。
○植原委員長 これにて質疑は全部終了いたしました。 この場合先刻共産党の林君が、総理大臣の発信にかかるはがきだと申されて、きわめて重大にこれをお取扱いになつた件でありますが、これは総理大臣の御答弁によれば、全然知らないものであるということであつてみますれば、かような文書はこの委員会においてはつきりいたして輝くことが、国民に対する予算委員会の威信を高めるゆえんなりと思いまするがゆえに、委員長の手元にこれを御提出なさることを要求いたしておきます。
○川島委員 私は最後に議事進行について委員長に申し上げますが、私の発言はたまたま国会議員であり、政府の責任者である総理、及び予算の担当者である大蔵大臣にも関連がありますので、その含みを持つて、政府は私の発言を御聴取あらんことを希望いたします。そうしてさらに委員長を通じて、首相及び大蔵大臣の答弁を求めたいと思います。 この委員会において長らく熱心に討議されました二十五年度予算案の最も重要なる問題は、言うまでもなくその予算の中の歳入であります。しかもこの歳入面に関係いたしまして、今回の国会において、わが国始まつて以来画期的とも言うべき税制の全面的改正が基本となつて、この予算が組立てられておるのであります。しかもその予算の中のおよそ八割に属する歳入面は、これまたことごと、ただいま申し上げました税制の改正が根本になつて、この財政が打立てられておるのであります。 〔「そんなことは討論でやれ」と呼び、その他発言する者多し〕
○植原委員長 川島君に御注意申し上げます。あなたもおわかりであろうと思いますが、議事進行に関する発言としてお許しておるのでありますから、予算に対する批判はやめてください。
○川島委員 わかつております。しかるにこの予算の基本となるべき税制改正案は、いまだ大蔵委員会において審議中に属するものであります。国会は立法府である。しからばこの法律が優先してこそ初めて予算が編成されるのでなければならないと思うのに……。
○植原委員長 川島君に重ねて御注意申し上げます。予算に対する討論は許しません。それは議事進行の範囲を逸脱しておりますから、議事進行の範囲に限つて討論を許すのみであります。
○川島委員 税制の改正が大蔵委員会でまだ決定を見ておりませんで、その予算の前提となるべき税制が改正されておらないのに、この予算案の審議を打切つて、これを早急の間に本会議にかけるというような審議のやり方は、法律的な根拠は別といたしまして、少くとも政治的には違法ではないかと考えるのであります。そういうことに対しまして、委員長はいかなる見解をとられておるか。本来ならば、税法の改正案が決定して、その前提に立つて予算の審議を終了するということが、最も望ましい形であり、それが本来の姿でなければならぬと私どもは考えておるのであります。しかるにそのように一方的に審議を打切つて、しやにむにこの予算案を終結させたいという態度については、非常なるむりがあることを私は認めるのであります。そういうあり方に対して、委員長は一体いかなる見解を持たれているか。また同時に予算編成の責任者であるところの大蔵大臣も、かような審議のあり方に対していかなる見解を持たれておるかということを、お尋ねしたいと思います。 〔発言する者多く議場騒然〕
○植原委員長 靜粛に願います。 議事進行に対する御発言だからお許しいたしました。それに対しては委員長はお答えいたします。政府は質疑が終了いたしておるのでありますから、お聞きになつたでありましようが、ここにお答えする場合でないと思います。委員長はお答えいたします。 明年度の予算は四月一日から実行されるのでありますから、期限があります。税制に関するところのこれに関連した諸法案が、これと伴うて審議を並行せしむることが理想的であります。しかしこの議会は五月末日まであるのでありますから、それまでの間にこれに関連するところの法案が通過いたしますれば、全体においては支障なく行けることでありますがゆえに、今までの議会の慣例によりましても、さようなことが取扱われております。政治的にはさように取扱われた幾多の慣例があります。御承知のごとくこの予算は画期的な予算であり、また本年度の税制改革は画期的なものと私ども了承しておりますがゆえに、なるべくこれがすみやかに提出されまして、予算と照り合せて審議が並行されればまことに申し分ないことでありますが、さようなことに至らなんだことは、私としてもはなはだ遺憾であります。にもかかわらず今までの慣例等をよく委員諸君が御了承くださいまして、まことに円満裡に、この予算に関する限りは、ほとんど前例のないくらいに愼重審議されたことは、委員長として委員諸君に非常に感謝の念にたえないのであります。ただ、ただいま御指摘になりましたことは、さようなことの起らなかつたことは、私の申し上げた通り、完全に並行審理の行われるようにならなかつたことは、まことに遺憾であります。将来なるべく政府においてもかようなことのできますように、十分の御配慮あらんことを政府に御注意申し上げまして、かようなことがしばしば前例にならないことを、委員長は切に希望してあなたのお答えにいたしておくのであります。 この際暫時休憩いたしまして——理事会の御決定によりますれば、三時に質疑を終了いたしまして、四時に再開いたして討論、採決に入るとの御申合せでありました。しかるに御熱心なる質疑のために時間がずれましたので、そのずれただけを延ばしまして、委員長どいたしまとては四時五十分から会議を開くことに御了承を願いたいと思います。 これにて休憩いたします。 午後三時四十四分休憩 —————・————— 午後四時五十六分開議
○植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 昭和二十五年度一般会計予算、同特別予算及び同政府関係機関予算の各案を一括議題として討論に入ります。 その順序でありますが、まず中曽根康弘君より提出されました予算の組みかえを政府に求める動議についてその趣旨弁明を許します。中曽根康弘君。
○中曽根委員 私は昭和二十五年度一般会計並びに特別会計予算に関して、その下部を組みかえせんことを政府に要求する動議を、民主党及び国民協同党及び新政治協議会を代表して提出いたします。組みかえ要求の内容ははなはだ広汎でありまして、一々読むことは煩にたえませんので、委員長のお手元まで文書で提出してあります。その内容をその文書によつて会議録にとどめおかれるようにまず希望いたします。 次に右動議の概要を御説明申し上げます。 まず昭和二十五年度一般会計予算において、歳入の項目中、債務償還費五百億円を減ずる。同じく価格調整費削減百七十八億円、その内容は食糧輸入調整百三十六億八千万円、粘結炭補給金の削減十九億五千万円、硝安補給金削減十三億七千万円、ソーダ補給金削減八億円——第三番目に物件費の節減、一割の節減を物件費全般にわたつて行いまして、百五十八億円を生み出す。第四番目に昭和二十四年度剰余金見込額七十億円をこれに附加する。合計して九百六億円を捻出いたします。 これによつて歳出の各部門にわたつて増加を計上いたしますが、まず第一が農業復興費であります。農業復興費の第一番目は、農産物価格安定のために百四十四億円を計上する。その内容は、現行米価四千二百五十円を審議会決定通り四千七百円に上げて、その間は補給金として農民にこれを與えるという構想であります。第二は公共事業費中、公共事業費として六十億円を農業復興のために計上する。その内容は一般土地改良三十五億円、さらにその内容は、三十五億円のうち十六億円を灌漑に、十九億円を小規模の土地改良費に配当します。次に災害復旧費二十五億円、それから食糧需給対策費として二十三億円をさらに計上いたします。二十三億円の内容は、農作物調査のために九億円、農業調整のために十四億円であります。さらに農業保險費として、農業保険の赤字補填その他のために十五億円、最後に農業部門といたしまして、農業科学技術指導費二億円。以上の二百四十四億円を農業復興費として追加計上する。 第二に、中小企業振興費として二百億円を増加計上いたします。その内容は、中小企業のために、特に政府予算をもつて出資金として計上する百億円、その次が同じく中小企業金融損失補償基金四十億円、その次が、同じく合理化のための施設改善補助金二十億円、その次が、中小企業振興に関し、都道府県への補助金十億円、次が、中小企業共同施設補助金十億円、次が、中小企業のために海外市場開拓に要する経費十億円、次に、同じく中小企業のために、国内市場開拓に要する諸経費六億円、最後に、中小企業振興指導に関する経費として四億円、以上二百億円を中小企業振興費として増加計上する。 第三に平衡交付金を三百億円増額いたしまして、地方税を二百億円減税する。 第四に、公務員の給與改訂を実施する。これがためにとりあえず三百億円の金額を計上する。六千三百七円を七千八百七十七円ベースに改訂する。但し国鉄、專売関係は独立採算制のわく内において、このわく外において実施をする。 第五番目に、社会保障対策費増として三十九億円。内容は健康保険、国民健康保険等の赤字の半額国庫負担金十八億円、遺家族援護費十億円、母子福祉対策費六億円、日傭い労務者の失業保険金増五億円、以上三十九億円であります。 最後に、教育文化費として二十三億円を増加計上いたします。その内容は、育英資金として十億円を増加し、科学技術振興費として十億円を増加し、私立大学建設貸付基金として三億円を追加計上いたしまして、合計二十三億円を同じく増加いたします。 以上、歳出の部面において九百六億円の組みかえを要求するのであります。 このような組みかえの要求は、いかなる観点に立つてやるかと申しますと、まず第一は、政府のデフレ偏向予算を根本的に修正して、景気の回復をはかるということであります。 第二に、それがために巨額の債務償還を一部とりやめて、産業の復興に重点を移行するということであります。 第三番目に、米価を石四千七百円に改訂して、さらに繰越米を削減して、でき得べくんば若干の増配を断行する。そうしてさらに農業復興費を大巾に計上する。 第四番目に、崩壊に瀕せる中小企業の危機を救うために特別の出資金を設けて、これによつてとりあえずの急救対策を実施する。 第五番目に、地方税中一附加価値税に反対をする。事業税は改正存続し、住民税、固定資産税の軽減をはかる。 第六番目は、人事院勧告を尊重して、公務員の給與水準を七千八百七十七円ベースに改訂し、漸次民間賃金にさや寄せする。 第七番目に、社会保障制度確立のために、現行の欠陷を是正し、教育文化費の充実をはかる。 第八番目に、国鉄及び専売公社の従業員の給與は、独立採算制経理によりべースを改訂する。さらに仲裁委員会の裁定を尊重し、国鉄の債権を確認する。 以上がわれわれの組みかえ要求の趣旨であります。本組みかえ要求の具体的な内容につきましては、おつて討論のときに詳細申し上げることにいたしまして、これをもつて組みかえ要求の動議提出の趣旨弁明といたします。(拍手)
○植原委員長 次に、勝間田清一君より提出されました、予算を政府に返付すへしとの動議について、その趣旨弁明を許します。勝間田清一君。
○勝間田委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案になつておりまする一切の予算を返上申し上げて、政府はすみやかにこれが組みかえをされて、再提出することを動議するものであります。この理由につきまして、若干御説明をいたしたいと存じます。 一番目に大きな問題は、国家財政と地方財政との間に関する、総合的なる真の計画が立てられておらないという点であります。現在、地方財政に対する法律案もまだ提出されておりません。しかもこの地方税は、われわれがりかがうところによりまするならば、相当の増税になるであろうことは、想像にかたくないのであります。当初千九百億の地方財政を確立するということでありましたが、私はこれはおそらく相当の増税になつて、国税の軽減を不可能ならしむるような結果に陷ることは、明白になつて参つたと考えるのであります。しかも現在の地方税あるいは国税等について考えられまする大きな問題は、單なる税の狹い範囲内における問題ではないと存ずるのであります。これが企業に及ぼす影響あるいは物価に及ぼす影響は、きわめて甚大なるものがあると考えるのでありますが、現在の政府の予算をもつてしては、これらの影響に関する一切の対策が、それに対する完全なる見通しのもとに立てられておらない。これは私ども、まことに遺憾とする点であります。 第二に重要なる点と考えまするのは、債務償還を通じて銀行に融資をせしめて、これを銀行の採算制によつて再投資するこの資本の蓄積の形式というものは、すでに限界点に達したと考えるものであります。この国債償還を銀行が吸收することについては、銀行それ自体の資産内容から申しましても、あるいは能力から申しましても、すでに不可能に近い状態になりまして、これをさらに続行する上におきましては、金融は單に空転するにすぎなくて、それは実物資本として再投資を再現されることがなくなると考えるものであります。従つてもしこれをあえて強行することになひまするならば、銀行の社会化という面を当然取入れて行かなければ、これ以上の進展は不可能であるものと考えるのであります。しかも第二の点は、これは未曽有の通貨の縮小の原因を形成するものでありまして、そこから生じて来る現在の社会不況等々を見ても明らかであります通わに、厖大なる不況予算となつて現われるであろうことは、明らかな事実だろうと考えるのであります。この二つの面において、政府のデイスインフレの政策というものは、ここに破綻することは明白になつて参つたと考えるのであります。この点がわれわれの第二に指摘しなければならぬ点であります。 第三の点は、これらの予算を実行して参りまするならば、一面においては金融資本、あるいはそれにつながる巨大財閥の工業というような独占形式は、急速度に発達するでありましようが、他面において労働者、あるいは農民、中小商工業者等の一切の経済は、非常な苦境に陥るであろうことは明白でございます。この中小商工業や、あるいは農民や、労働者の生活を改善し、これを協同化し、これを近代化して行く姿が、真の日本の民主主義政治の方向であるべきだと考えるのでありますけれども、これに逆行せしめる政府の予算の性格に対しては、遺憾ながら戰後の民主主義を標榜するわれわれ政党といだしましては、賛意を表することは絶対にできないのであります。しかも特にわれわれが遺憾に考えまするのは、給與ベースの改訂の問題であります。政府は給與白書を通じて、欺瞞的にその改訂の要なきことを宣伝いたしましたけれども、その基礎は破られておるのであります。しかも日本に人事院制度が確立をいたし、仲裁、裁判等の民主的組織が確立し、法制化され、これによつて真に近代的な民主主義的な給與制度が確立されたことくに考えておりましたけれども、遺憾ながらこの制度は空文化しつつある現状であります。現にこの国会の周囲には、すでに二万五千の民主的労働者が押しかけておる状況であります。私どもは、これらの人々の有する考えをはつきりと受け入れて、そこに納得の行く給與ベースの改訂が行わるべきが当然であると考えるものであります。われわれは八大銀行の問題を一面に考え、他面において窮乏にあえぐ農民、勤労大衆等々の生活を考えて行く場合において、現在の政府の日本の国家財政担当の能力を、私は疑わざるを得ないのであります。この点が第三の重要な要素とわれわれは考えざるを得ないのであります。さらに私どもが考えまするのは、今度の予算は税金の再編成、地方、中央を通ずる税制改革の大きな問題があるのでありますけれども、この問題について、私どもは幾多の不満を持たざるを得ないのであります。あるいは相続税の問題にいたしましても、財産の一大恐慌が行われようとしております。これはある意味においては、民主主義的傾向とも言い得られましようけれども、外国人についてはこれが適用がない。われわれはかつての集中排除法の通りに、企業の解体ということと企業の社会化ということと、これを嚴密に区分し、産業は集中するけれども社会化されなければならないという議論を持つておりました。われわれはもしこの思想がこの相続税の面に現われて来るといたしまするならば、日本の今後の資本蓄積の形式が、よほど基本的に社会化されて行かない限り、日本民族自身の持つ力というものは、弱化されるであろうということを考えるものであります。同時に五十万以上の所得に対して、何ゆえに累進課税を廃したかという問題も、まことに重大な問題と考えるものであります。われわれは対外的に、外資導入の線を考えるということにはやぶさかでございませんけれども、税制体系というものと、同時に外資導入に関する日本政府の態度というものは、混同してはならないのであつて、それを嚴密に区分することによつて、日本民族の独立自尊の道が開かれて来るものと考えるのであります。私は税体系について基本的な疑いを持つものであります。 なお幾多の価格政策、国土開発計画等々の問題に言及したいのでありますけれども、これは討論に譲りまして、われわれは以上のいろいろな基本的な欠陷を有する予算でありまするがゆえに、政府はもう一度これを組みなおして、再提出するように、われわれは返上を要求せんとするものであります。
○植原委員長 ただいまの中曽根康弘君の提案にかかわる予算の組みかえを求むる動議、及び勝間田清一君の提案にかかわる返付すべしとの動議は、ともに本案と一括して討議に付します。 この場合委員諸君に御了解を得たい事項があります。ごらんの通り、総理大臣は御病気で、ずいぶん苦痛のところを、あえて御出席になつておるのでありますから、これから討論に入る次第でありますから、総理大臣の御退席を御了承願いたいのであります。 〔「反対」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植原委員長 討論は通告順によつてこれを許可いたします。小坂善太郎君。
○小坂委員 私はここに自由党を代表いたしまして、ただいま議題になつておりまする一般会計、特別会計、政府関係機関予算の三案に対しまして、賛成の意を表するものであります。 私はここに賛成の意見を述ぶるにあたりまして、一言所感を申し述べさしていただきまするが、終戰以来、歴代の内閣によつてその年度の予算が審議せられたのでありまするが、本予算案のごとく、一月早々に国会に提案せられ、十分の審議期間を経て、しかも年度前に予算が確定せらるる事態は、本日のこの予算案をもつて嚆矢といたすのではないかと思うのであります。終戰後は暫定予算、あるいは追加予算が相次いで無計画に提案せられまして、一昨年のごとき、ただいまこの予算の返上、あるいは組みかえを提案いたしました社会党ないし民主党の首班内閣におきましても、四月暫定予算、五月暫定予算、六月また暫定予算といつたようなぐあいに、何らの計画性もなく、インフレーシヨン現象のあとを追うて、財政がインフレーシヨンのもとに追随をしておつたことを思いますると、ここにはつきりした財政計画を明示して、インフレ現象の克服という、はつきりと安定の方向を定めて、その方向に持つて行こう、すなわちここに財政並びに経済の安定をとりもどすことができましたことは、大きな日本の再建の上の貢献である、かように考えるのであります。また終戰以来の予算の傾向といたしまして、入るをはかつて出ずるを制すると申しまするが、国民の負担力を無視してただそのときどきの必要に応じて、財政需要に国民の負担を追随させて、のほうずな、無計画なる財政が、この予算案の提出を期として清算せられましたことは、非常に大きな画期的な試みであると思うのであります。財政の骨組みというものは、ここにすでに完成いたしたと考えるのであります。今後はこの骨組みの上に肉づけをし、さらに上部構造等のいろいろな附帶的な装飾をいたしまして、すみやかにこの日本の国を安定した、国際間においても信用のある国家に再建いたしたいと、念願するものであります。 さてこの予算案に見られまする特徴を、私は七つの点に見たいと思うのであります。 その第一点は、中央、地方、あるいは一般、特別会計を通ずるところの総合予算の均衡を保ちながら、財政規模の縮小に成功をいたしたことであります。財政規模におきまして一割六分を縮小しております。金額におきまして八百億円を縮小いたしております。こうして一般会計において財政規模を、しかも公債を出さずに縮小したということは、昭和に入つて以来初めてのことであります。この財政規模を国民経済に見合つた程度に縮小いたしたことによつて、いわゆる竹馬経済の足を短くするとともに、租税の負担、国民の負担を減少して行くことに成功している点が、大きな特徴であると思うのであります。 第二点は、シヤゥプ勧告を中心にいたしまして、税制を根本的に改正して七百億円を減少し、にれを昨年二十四年度の追加予算におけるところの三百億円の減少を加味いたしまするならば、実質的には九百億円の減少を見たことであります。これを所得税について見まするならば、一例をあげますと、夫婦と子供一人の家庭におきまして、月收一万円の世帶でもつて、現行法によりますと千三百四十五円でございますが、シヤゥプ勧告にそのままのつとりますと、これは千四十一円になります。しかも改正案におきましては、これを八百九十五円に引下げまして、大巾に減税措置をとることに成功いたしております。法人税におきましては、大体におきましてシヤウプ勧告の方針にのつとつておるのでありますが、超過利得税等の一時的、臨時的な附加価値税を廃しまして、いわゆるフラットな平均した課税方針のもとに、おおむねその負担の減少措置をとり、また一方資産の再評価をするなど、資本の食いつぶしをしないで、資本の蓄積が可能になるような措置を講じておるのであります。酒税につきましては、前年度は七百五十三億円でありましたが、二十五年度におきましては一千三十億円と増收になつております。しかしながらこれは主として合成酒、しようちゆう等の増石によるものでありまして、地方税としての酒類の消費税あるいは取引高税、そういつたものを廃止いたしましたために、酒税の増税を吸收いたさせまして、増税によるところの増收分はわずかに二十三億円になつておるのであります。またタバコ専売益金は前年と同様千二百億円でありますけれども、これは主として数量の増加によるものでありまして、ピース、光、憩などは、いずれも現在より十円安く見込んでおるのであります。 第三点といたしまして、昭和二十五年度の予算は、建設投資がふえておるという点をあげることができると思うのであります。これによつて復興再建への第一歩を踏み出したということが言えると思うのであります。これを内容別に見ますと、公共事業費におきまして、昭和二十四年度におきましては予算額六百一十五億円でありました。しかも総事業費におきましては九百五十八億円でありますが、昭和二十五年度におきましては、予算額におきまして九百九十億円、総事業費におきまして千三百五十三億円であります。失業対策費についてこれを見ますと、昭和二十四年度に四十六億円でありましたものが、昭和二十五年度におきましては、八十七億円となつております。また見返り資金におきます投資的な支出を見ますると、債務償還についてこれを見まするならば、昭和二十四年度におきましては七百五十億円でありますが、昭和二十五年度におきましては五百億円となつております。公共投資におきましては、昭和二十四年度が二百七十億円でありますが、昭和二十五年度は四百億円となつております。さらに私企業の投資について見ますると、二十四年度は二百五十億円であるものを四百億円といたして、それぞれ増加をいたしております。また鉄道通信等の建設改良工事に対して、建設的投資を増加いたしております。日本国有鉄道についてこれを見まするならば、昭和二十四年度におきましては百六十六億円でありますが、昭和三十五年度についてこれを見まするならば、二百四十億円と増加いたしております。さらにまた懸案の六・三制の文教予算を予算上解決いたしております。また国有林野事業特別会計等についてこれを見まするならば、二十五年度伐採の見込みにつきましては、二十四年度が五千三百万石になつておりますが、三十五年度にはこれを四千八百万石と伐採を減らし、一方造林面積におきまして、昭和二十四年度におきましては七万町歩でありましたものを、昭和二十五年度におきましては十八万七千町歩と増加いたしております。また三十五年度において林野事業特別会計について、見返り資金から三十億円を受入れるために、適当なる措置をとつておるのでありまして、造林等について建設的な投資がここに見込まれておる点を特色としてあげたいと思うのであります。また住宅金融公庫の新設と融資がここに考えられておる点を、一つの特徴と見たいのであります。すなわち見返り資金から百億円、一般会計から五十億円を受入れまして、百五十億円の住宅建設資金の貸出しを行う措置をとつておるのであります。 第四の特色といたしまして、地方財政の充実、強化をはかつた点をあげることができると思うのであります。すなわち地方財政を根本的に改正いたし、地方に財政の自主性を與えたことであります。これを内容別に見ますならば、一つの特徴的なものとして、平衡交付金の創設をあげることができると思うのであります。この内訳を見ますと、地方平衡交付金の内訳としまして、従来の配付税系統分のものが六百六十七億円であり、また各省から計上しておつた補助金を吸收したようなかつこうとして考えられるものが三百五億円となつております。さらに財源の充実分といたしまして七十八億円、合計いたしまして千五十億円の予算を計上いたしております。また災害復旧費に関しましては、これを全額国庫負担といたしまして、地方の負担の軽減をはかつておる点を特徴としてあげたいと思うのであります。すなわち、災害については、きわめて軽微なものを除きまして、全額を国庫負担とする。そうして地方においてこの負担分をなくすることをあげて、地方負担の軽減をはかつておるのでありますが、この点について、本委員会においても、第二分科会の主査報告の中に述べておつたことでありますけれども、公共事業費はこの際でき得るだけ早く支出をせられたい、すなわち第一・四半期には六〇%、第二・四半期にはあとの全額をすみやかに支出するように措置されて、出水期に工事が問に合うような措置を講ぜられたい。すなわち少額の費用で、実際に災害がある前に、事前の防止措置をとられたいという要望がございましたが、これはこの予算に盛られ おります災害復旧費あるいは公共事業費を有効に支出せられたいという意味におきまして、この実施方を特に希望申し上げたいと思います。 第五の特徴といたしまして、竹馬経済の整理を行つたという点をあげることができます。すなわち、補給金の大巾削減と、人為的な官僚統制経済の整理によりまして、自主体制を確立したという点をあげたいのであります。すなわち、補給金は、昭和二十四年度におきましては二千二十三億円でありましたものを、本年度におきましては九百億と激減いたしておるのであります。またこの統制経済というものを整理いたした点を予算の面から見ますならば、物資統制事務費が半減いたしておるのであります。昭和二十四年度には三十八億円かかつたものが、二十五年度には十九億円と減少いたしております。また船舶運営会というものを商船管理委員会に改組いたしました。すなわち五千トン以下の船のデイコントロールー統制解除をいたしまし失ことによりまして、四十六億円という金額の節減をいたしておるのであります。こうして統制経済を整理しつつ補給金を減少し、そうして国民負担を軽減する措置をとるのでありますが、一方今までわれわれの終戰以来受けております援助資金というものは漸減する方向をたどりつつあり、まこ」れは将来におきまして、全廃されるということも予想しなければならない情勢にあるのでありまして、その意味におきまして、援助資金の減少を輸出入の振興によつて補つて行く。そうして国際的な自立体制を確立するということが必要でありまするが、この予算面におきましても、その措置をとつておるのであります。アメリカの対日援助費というものは、一九四九年から五〇年度におきましては、四億二千万ドルでありましたが、一九五〇年から五一年度におきましては、おそらくこれは二億五千百万ドル程度であろうと考えられておると聞いております。すなわち、これを日本の会計年度におきまして、その見返り資金の受入れた金額を見てみますならば、昭和二十四年度におきましては千四百九十四億余円でありますか、これを昭和二十五年度に見ますと、千三百四億余円と減少いたしておるのであります。 この際におきまして、私は輸出入貿易の振興ということが、いかにも必要であることを痛感せざるを得ないのであります。すなわち、特徴の第六点として、輸出入貿易の振興をはかつた点をあげたいと思うのであります。政府は、輸入を九億五千万ドル、輸出を六億ドルということを基礎といたしておりますが、この方針を予算の基礎として見ますると、輸出におきまして、昭和二十四年度において五億二千万ドルであつたものを、昭和二十五年度には六億三百万ドル、また輸入を、昭和二十四年度には五億三百万ドルであつたものを、二十五年度には六億千九百万ドルといたしておるのであります。すなわち、今まで日本の経済再建に必要であつたと思われるものを政府が統制し、国家再建の見地から、官僚機構においてこれを検討し、必要であると思われていたものを輸入しておつたのでありますが、これをローガン構想の示唆に基きまして、全面的に改変いたして、民間貿易に移しまして、民間の自由なる創意とくふうとによつて輸入を高め、しかして輸出を増進するという方策をとつておるのであります。これにつきましてほ、貿易技術面の改善等に関して、政府は種々機動的な措置を誤りなくとつておると考えるのであります。 第七の特徴として申し上げたいことは、アメリカよりの援助のある間に、でき得る限り既存の債務を償還する、そうして援助のなくなつた際におきましても、日本が自立経済として一応の安定をゆるぎない基盤の上に確立して置こう、そして再び悪性インフレーシヨンに見舞われないような措置をとろうという考え方のもとに、千二百余億円の債務償還をなしておる点であります。すなわち、一般会計から七百二十三億円、見返り資金から五百億円の債務償還をいたしておるのであります。前年度におきましては千四百億円の債務償還をいたしておるのでありますから、本年度におきましては二百億円の減少を見ておるのであります。しかしながら、これは予算全額との比率において見まするならば、大体同額の債務償還をいたしておると言えると思うのであります。なお、これによりまして、国の債務はあと二千五百億、きわめて少い債務しか残らぬ勘定になるのであります。 私は、今ここに七つの予算の特色をあげたのでありますが、こういつた特質のもとに、同一物価、同一賃金、しかして同一の為替レートの上に、いわゆるディスインフレの政策を行つて、その間にむりな人工的な統制経済を自由経済にかえて、国家の冗費を省きながら、インフレ経済を正常なる経済にかえようとしておる点が特色であろうと私は考えるのであります。(拍手)インフレというものが、いかに人々の能率とかあるいは効果とか、そういうものを麻痺せしめて、また採算というようなことを考えさせなくしておるか、またひいては、インフレというものが、いかにまじめな人たちの働く意欲を失わしむるものであるかということについては、いまさら冗言を要しないところであろうと思うのであります。経済の合理性というものは、インフレのゆえにゆがめられ、企業は政府の財政資金に依存して、みずから努力することなく、いわゆる他力本願となりまして、この基盤の上に官僚統制がその威力をほしいままにいたしておるのであります。そしてこの基盤というものが、結局アメリカの好意によつて立つておる。アメリカの好意の中に、世界の経済の荒い波から隔絶せられた温室の中に、ぬくぬくと、いつまでもかような非合理な統制経済というものが存続するということは、考えることはできないと思うのであります。日本の経済のためには、こういうような非合理的な、非自主的な傾向というものが清算されなければならないことは、私が言うまでもないことであると想うのであります。すなわち安定こそ自立への出発点でなければなりません。その意味で、インフレーシヨンを安定させなければならないのであります。またその意味で、この統制解除、いわゆるデイコントロールの傾向は、経済の合理性回復の基盤であると言うことができると思うのであります。 本委員会を通じて、この政府の持つておる予算の特質に関して、野党から種々意見が出たのであります。このおもなる点を総合してみますると、私は三点に要約せられるように思うのであります。 その第一点は、デイコントロールの傾向、統制解除の傾向というものは、その底に流れるものは、古典派的な理論である、そして自由経済、自由競争のみをもつて最高無二の原則として、その自由競争のもとに、いわゆる経済的な均衡ができる、エクイリブリウムが招来されると考えるのは、これはいわゆる現在の状況に適せぬ考え方ではないかという点が、一つあるように思うのであります。第二点は、政府の言うところの安定というものは、いわゆるモニタリー・スタビリゼーシヨン、貨幣の安定であつて、スタビリゼーシヨン・オブ・エコノミー、経済の安定ではない、そういつた議論であるように思うのであります。第三の点は、債務償還が多過ぎる、これを節約し、債務償還というものをやめて、あるいは軽減して、これを直接投資の方向に向ける、あるいは減税に向ける、こういつた措置をとるべきではないか。こまかいことはいろいろあつたようでございますが、この三つの点が大きな議論であつたように思うのであります。 私は第一の野党の駁論に対して、反問いたしたいと思うのであります。私は戰時中並びに戰後を通じて、人工的に張りめぐらされたところのいわゆる統制経済、これは真実の意味の統制ではない。一部の官僚により、あるいは一部の官僚と結託したところの特殊層のために、張りめぐらされた統制の網ではなかつたろうかということを考えるのであります。そしてその縦横無盡に張りめぐらされたところの統制の網の中に、ほんとうの人間の希望、需要というものも、あるいは生産の実態、供給というものも、まつたくその中に影を没してしまつておつた。いわゆる仮需要というものが、やみを生んでおつた。流通秩序というものは、ここに混乱をいたしまして、生産も配給も、ただその流通秩序の確立を政府は叫ぶけれども、何らこれを確立することができないような状況であつたと思うのであります。そこでこの不必要な、煩雑な統制というものは、人をして国家に対する依存の念をいたずらに強くするのみであつて、上に統制によつて暮すところの不正な官僚群ができる。そしてその下には、その統制を維持するがために、不当に高い税金を支拂う大衆がある。こういう経済では、私はこれを非合理な経済と言わざるを得ないと思います。非合理性はすみやかにこれを脱却しなければならないと思うのであります。こういうむりな人工的な統制経済のもとに、統制機構のもとに、市場においては物が少い。官僚が統制している。だから売手が市場を決定するという原則が支配しておつたと思うのでありますが、こういうことは、一体わが国がこれから国際的な荒波の中にはうり出されて、国際経済の中に自立日本を考えるのに、はたしてこんなかつこうでやつて行けるのかどうか、絶対に行けないと思わざるを得ないのであります。いずこにおいても、売手と買手があつて、市場価格を決定する。ことに現今の世界の大勢というものは、買手が市場価格を決定しているのであります。この孤立した日本のみが、アメリカの好意のもとに、いつまでも売手市場という、この特殊な原則を貫くことはできない。すみやかにそういつた非合理性を修正する。すなわちデイコントロールの政策が行われなければならないということを、考えざるを得ないのであります。すなわち自由経済というものの原則は、経済の合理性へのかぎであろうと私は思うのであります。合理性ということを目ざして努力する。その努力は、これは当然なことでありまして、インフレーシヨン経済を合理的な経済にするために、財政収支の均衡化をはかつて、そうして統制を逐次解除して行くということは、これは当然にして、しかも必要なことであろうと思うのであります。その間に起るところの摩擦、あるいはそういつたものを、恐慌現象、いわゆる経済恐慌のような形にならないように、その間を適宜に調整するということが、いわゆる政治であろうと私は思うのであります。こういつた原則論からして、今の政府が、さつきも勝間田君ですかの討論の中にありましたが、原則的に政府に時局担当の能力がないというような攻撃というものは、これはまことにためにするものであり、何らわれわれはその攻撃の理由を発見するに苦しむのであります。(拍手)また統制の解除の傾向をもちまして、ただいたずらに弱肉強食経済であるということを言うのも、これまた小学生的議論と言わざるを得ないのであります。(拍手)先般池田談話について、はなはだ野党諸君はためにする攻撃をされた。昨日に至るまでも、この攻撃を続けておられた。しかし私は、たまたまきのうでありましたが、東洋経済新報という雑誌を見ました。ここに持つて参りましたが、ごらんに入れます。三月十八日号、これには民主野党派の理論的な指導者であつて、前政務調査会長北村徳太郎君が、「財界の現状と前途をどう見る」ということについて寄稿して、論文をお書きになつていらつしやる。これを私はたまたま拝見いたしたのでありますが、その論文の中に、実はこういうことが書いてある。「もとよりわれわれは日本経済再建のために、企業内容の健全化という見地から、この際このあらしのただ中で、優秀企業が保存され発展し、劣悪企業……の如きが淘汰され清算されることをさえ望むものである」ということが書いてある。非常に表現が文学的でありまして、お上手に書いていらつしやる。そこで私どもよくわからないのでありますけれども、これが修正資本主義であつたら、これはとんだ間違いであると思う。よく修正資本主義ということをもつて、資本主義的計画経済ということを言つているけれども、大体計画経済というものは、資本主義原則ではあり得ない。経済の計画を立てるなら、それはよろしい。計画性のある方向を指向して行こうということならよろしい。その方法の具体的な現われは何かと言うと、ちやんと二十五年度の予算をそのときに出すことである。二十六年度の予算の骨子はといえば、池田大蔵大臣は、ちやんと答弁している。そういつた一つの骨格を見定めてやつて行こうというのが計画性である。ところが計画経済、個人の創意くふうというものを否認して、そこに計画性をもつて行こうとするならば、これは資本主義ではあり得ない。ところが修正資本主義ということを、ことさらに専売にされる民主野党派の理論指導者である北村君が、非常に上手な表現であるけれども、ここに劣悪企業のごときは淘汰され、清算されることを望むものであるということを書いてある。これは表現の差こそあれ、私は野党派諸君は池田氏を攻撃する資格はないと思う。(拍手)一体淘汰され、清算されるということは、どういうことであるか。その従業員は一体どういうことになるか。こういうことを望んでおつて、これを人を攻撃するということは、今だれかそこで言つていらつしやつたが、耳をおおうて鈴を盗むたぐいである。(拍手) さらに私は、第二の点について討論をいたしたいと思うのであります。いわゆる政府のいう安定というのは、モニタリー・スタビリゼーシヨンである、ほんとうの安定というものは、スタビリゼーシヨンこオブ・エコノミーでなければならない。それはその通りであります。しかしながら安定というものは、もちろん国民生活の安定でなければなりません。また個人の家計なり、あるいは企業なりについて、その安定が望ましいということは、これはもちろんであります。しかしながら私は、貨幣の安定ということが、まず経済の安定に先行しなければならぬ。この原則は、私はどなたも否定することはでき得ないと思う。つい先ころまで、戰後のインフレーシヨンというものが天井知らずである。どろ沼であると言われたそのときに、インフレーシヨンをどうやつて食いとめるか、そのときに通貨の安定を叫んだ者はどなたであろうか。昭和二十三年度の予算が提出せられたときだつたと思うのでありますが、社会党の理論指導者であるところの、前政務調査会長である鈴木茂三郎氏は、安定通貨を導入しなければならぬということを本議場において堂々と述べられている。今や、その当時考えられたよりも、はるかにドラステイックではない方法で安定通貨というものをなし得て、ここに一本為替レートから均衡予算を通して、通貨を安定するということが実現しつつある。そこでこの通貨安定が基礎となりまして、そこに雇用水準とか、あるいは国民生活の水準というものの内容を、逐次形成して行くというのが、これからわれわれの営みでなければならぬ。それで私の申し上げたところの、経済の骨組みができており、安定の肉づけができておる。これに髪飾を施して行かなければならぬではないか、この点なのであります。ことさらにこういう原則論によるモ二タリー・スタビリゼーシヨンということだけをもつて政府を攻撃することは、これまたその稚気は愛すべきものであるとするも、理論にはなり得ないと思う。(拍手)今後私が、ここに生産が上昇しつつ、また物価は横ばいしつつある現象において、一番大きな問題になると思うのは、有効需要の問題であろうと思うのであります。昭和二十五年度の予算におきましては、前に述べましたように見返り資金から八百億円、さらに財政面から千四百億円の事業費が撒布せられるのでありますから、前年度の倍額の有効需要かこの面から期待せられると思うのであります。しかしながら、このインフレーシヨン経済から正常な経済に移行する途中に、どうしてもそこに一時的な金詰まり、あるいは有効需要の減退というものが起きて中る。そしてそのために滯貨とかあるいは売掛金の増加とかいう問題が出て来るのでありまして、これらの問題を解決しなければならないと思うのであります。そこでこの一時的な摩擦を解決する潤滑油として、私は金融の機能を非常に重大に考えたいと思うのであります。二十四年度の予算審議の際におきましても、ドツジ・ラインというものが、復金によるところの融資というものを禁じ、金融機関、ことに市中金融機関に自分の企業採算のベースにおいて、いわゆるべイイング・べーシスによつて自主的に金融せしむることが期待せられておりましたけれども、私どもは、どうも、その御構想ははなはだ理論的である、しかしながら現在の金融機関に、はたしてそれだけの力があるだろうか。また金融機関の経営者にそれだけの手腕があるだろうかということを、非常に疑問に思い、これが私は金融梗塞を起す原因ではないのだろうかということを、非常に憂えておつた一人なのでありますが、池田大蔵大臣はこれに対して、いわゆるエイド・フアンドというものを非常に大きな打出の小ずちにお考えになつて、これを適当なときに振つて、金融梗塞を起さぬようにするというお話でありました。私はこのエイド・フアンド、見返り資金からの融資、というものは、いろいろな手続等がありまして、二十四年度中にはわれわれの期待を裏切つたと言わざるを得ない。わずかに四十数億円の支出を見たのにすぎないのでありますけれども、金融機関は第一に自由に、そしてそれ自身の採算第一主義だけベースにして、これに金融きせるということが、その実力からしてなかなか困難を伴う点がありはしないかというふうに、今なおその点を心配いたしておるのであります。大蔵大臣は、今国会を通しまして、見返り資金をできるだけ早期に運用しよう、あるいはまた融資の手続を簡素化し、現にもう着手しておられるということを言われた。あるいはまた、この見返り資金や預金部資金というものを、金融債の引受けを通して動員しようという構想を明らかにせられました。また興銀や勧銀や北拓や農林中金、商工中金等の増資と、債券発行限度の拡大方針を明らかにせられておるのでありまするが、私はどうかひとつこれらを早急に実行に移していただきたいと思うのであります。蔵相は先般金利の引下げを行われました。御趣旨はまことに理論的であります。しかしながら現在の金融の問題というものは、金利の問題ももちろんありまするけれども、金融に最も望まれておりますことは、長期資金が潤沢に供給せられるということであろうかと思うのであります。この点につきまして、十分に御配意を願いたいと思うのであります。 第三に、債務償還の問題につきましては、新たに経済復興の構図を書くにいたしましても、既存の債務というものはできるだけ償還しておかなればならぬ。これは当然なことであります。しかもまた、この債務償還というものは、国際的に見ましても、日本のみならず、いわゆるマーシャル・プランによつて援助を受けておる国について、それぞれこれは義務づけられておることであろうと思うのであります。私はわが国の国際信用を回復する上から申しましても、これは多少の困難は伴いましても、どうしても今これを断行すべきである。苦痛を忍んでも、国際信用の回復のために、国際社会の一員としてわが国が再び自立する日のために、これを現在やつておかなければならないと思うのであります。金はもらうときにはできるだけもらつていい、もらつてしまつて返す日はいつになつてもかまわぬではないかという議論は、これは個人としても通りません。いわんや国際社会において、日本がこうした根性を持つておると考えられることは、まことに遺憾なことでありますから、この方針もまことに了といたされると思うのであります。しかしながら問題は、債務償還を何について行うかということであります。私は、政府の手持公債をただちにこれによつて還償するということにされますと、そこに急速にデフレ要因というものが発生して行く。この点は政府も同感のようでありますが、どうぞひとつそういうデフレ要因を急速につくらないように、いわゆる金融債であるとか、あるいは市中銀行手持の国債の償還等に充て、日銀の信用の造出に充てて、これを有効に運用し得るような方向に指導を願いたい。どうぞそれによつてディス・インフレーシヨンの効果をあげていただきたい、かように思うのであります。 今まで述べて参りましたように、アメリカの対日援助というものも漸次減少いたしております。また両三年中にはこれはなくなるものと予想せられております。この際私は、蓄積し得るものはできるだけこれを多くし、また蓄積によつて生ずるところのものは、できるだけこれを有効に利用して、そうしてその援助が打切られた際の苦痛というものを、できるだけ少くすることが必要であろうと思うのであります。そこで私の今述べました理由によりまして、この予算は現在組まれておる予算としては、まことに適切なものである。しかも多くの特色を持つておる。そうして経済安定への橋渡しとして適当なる予算であると考えるのであります。 さらにこの際若干希望を申し述べてみまするが、私は統制経済の廃止ということは、もちろん必要なことで、現在私が述べて来た通りでありまするが、これをあまり一気呵成にやつてしまうと、あるいは一切あとを自由放任にする、また政府においては、何らこれに介入することがないということにいたしますると、たとえば資本に対するところの統制は全部はずしてしまうということにいたしますると、会社の増資等について何ら計画性がない。これが結局株式市場において株の氾濫を来し、株式が混乱を来すという原因にもなるのであります。また補給金の撤廃も、これは当然必要でありまするが、これをあらゆる種目について一気呵成にただ無計画にやつてしまうということになれば、たとえば鉄について急速に値上りをする、そうすればこれが造船に響く、あるいは機械の値上りにもなる、あるいは車両の値上りになるということで、車両工業あるいは輸出工業に響くことになるのでありますから、これも一種の経済界における社会保障制度のような考え方を持たれまして、適宜経済界の実情とにらみ合せてやつていただきたい。さらに銀行に單に自己採算だけによつて貸付をさせるということでほうつておきますると、現在非常に必要な固定設備の補修とか、あるいは造船に要するところの長期資金の調達ということが、行われにくくなるのではないかと憂うるのであります。私はこういうことを緩急よろしきを得て——政府の指向される方向はまことにけつこうでありまするから、この間に緩急よろしきを得た行政措置を望みたいと思うのであります。 次に農村と中小企業について、安定期への変動が非常に敏感に響いて行くのでありまするから、私は農山漁村の対策、あるいは中小企業の維持育成に関しては、特に万全の御注意を拂つていただきたいと思うのであります。農村に対しましては、今後も大いに土地改良を行わねばならぬ、あるいは作付転換も、国際的な農業との関連よおきまして、輸入食糧等を見合いにして参りますると、相当に作付転換等も考えねばならぬ問題が多いのじやないかと思うのであります。また農産物価につきましても、これを維持するということについて、何らかの政策を政府において用意されてもよい段階に至つているのではないかというように思うのであります。また中小企業に関しましても、農村と同じように、将来また現在においてもそうでありまするが、わが国の人口を支えるところのきわめて大きな層であるのでありまして、農村問題にいたしましても、中小企業の問題にいたしましても、これは経済問題と申しまするより、むしろ社会問題として取上げてよろしい問題であると思うのであります。農林中央金庫、あるいは商工中金、あるいは勧銀、国民金融公庫、さらに市中銀行や地方銀行を通するところの特殊金融の構想に関しまして、先般来この議場を通じましていろいろ伺つたのでありまして、まことに構想はけつこうと思うのでありますが、私は中小企業の問題は、むしろ中小企業というものが無組織であるという点に、中心問題があるのじやないかと思うのであります。いかにして中小企業を組織化するか。これをいかにして横断的にあるいは縦断的に組織して、それに信用を與えて行くかという問題であろうかと思うのであります。これに対していかに金融のみぞをつけて、いかに政府の考えるところの金融施策を浸して行くか、下にしみ通らして行くかということが、私は問題の中心ではないかと思うのであります。どうぞこのときをのがさずに、急速に措置をせられたいと思うのであります。 さらに勤労者の生活の実態につきましても、先ほども答弁がありましたようでありまするが、極力生活実態を向上するように、今後も御努力を願いたいと思うのであります。根本の問題といたしましては、インフレーシヨンを收束するということが最大の問題であろうと思うのであります。それによりまして、いわゆる実質賃金を拡充するということ、また一方におきまして、税制の改正等によりまして、直接間接の両税の負担を少くして行く、これが一番大きな——平凡な問題でありまするが、一番大きな問題ではないかと私は思うのであります。生活内容等について見ますると、食糧費がエンゲル系数で一時は八十以上に上つておつたものが、最近は六十台を割つておる。五十六程度になつているということでありまして、大分改善せられて参りましたことは、御同慶にたえませんが、どうかひとつ今後とも厚生施設を充実したり、極力実質賃金の拡充に努めていただきたいと思うのであります。私はしかしながらここにどうしてもよく働く者、高能率に働く者が高賃金を得るという原則につきましては、あくまでこれを中心の仕組みにして考えて行つでもらいたいと思うのであります。官公吏に対しましても、特別給與制度を考えられておるように承つておりまするが、どうぞこれを実現してもらいたい。こう思うのであります。 以上いろいろと述べたのでありまするが、これを要しまするのに、私は経済安定への一歩を進めるために、経済の合理性というものを回復するための自由経済への進展というものは、まことに必要にして適当な案であろうと思うのであります。自由経済への移行のための統制、不自然な人工的な統制経済から自由経済へ移行するこの過程におきましてのいろいろな摩擦、困難な歩みというものに対する負担は、これは平等に苦難を各人が受けねばならぬと思うのであります。自由経済というものは、決して私はのほうずな自由を言うものではないと思う。不自然なアウタルキー経済ではない。しこうして人工統制経済でない、合理的な経済の謂であろうと私は思うのであります。経済の合理性を回復して、国際社会への復帰をいたしたい。この観点から、私は今日政府のとりつつある傾向について多大の支持を與えるものであります。混沌たるインフレーシヨン経済が今ここに凝縮して行く、その固まる際のしわというものが、企業や、あるいは農業や、あるいは中小企業あるいは個人の家計等に、いろいろな形で寄つて参ります。これはあるいは金融の形で寄る、あるいはまた税金の形でしわが寄つて行くのであります。私はこれらについて、政府は温かい思いやりをもつて、そうして緩急よろしきを得た行政をせられんことを心から望んでやみません。私はインフレーシヨンを攻撃した野党の口から、今この際においてインフレ牧東の最善の予算であると考えられる本予算に対して、反対する声があるのをまことに了解に苦しむものであります。特に私は、吉田内閣五箇年維持の構想を発表せられまして、この予算を組まれるときに、内閣の一員として参画せられておりました木村前国務相が、最高委員として所属せられる民主党野党派におきまして、本予算に反対せられるということは、これは木村さんの政治的信念いずくにありやと言わざるを得ないのであります。 私はここに本予算に賛成をいたし、かつ希望條項を付しまして、申し上げたいと思うのでありますが、三十五年度の予算の範囲内におきまして、公務員の給與の改善に資するような措置をざれんことを私は望みたいと思うのであります。 以上をもちまして、自由党を代表いたしまして、予算に対して賛成の意見を申上げる次第であります。(拍手)
○植原委員長 勝間田清一君。
○勝間田委員 日本社会党を代表いたしまして、本予算の返上をいたしたいと存じます。ただいま小坂善太郎君は、自由党を代表せられまして、いろいろの説を述べられたのでありますが、かつて片山内閣の大蔵政務次官をおやりになつておられた方でありまして、しかもこの前は修正資本主義のチヤンピオンとして、自他ともに任じておられた方でありますが、非常に今の議論は自由主義謳歌にいつの間にかかわられているのでございまして、これはまことに木村氏を批判する前に、まずみずからがこれに反省を加える必要があるのではないだろうか、そういうような感じが濃厚にいたすのであります。しかもこの小坂君が、たまたま本予算の野党の言に対する批判といたしまして、三点を指摘されたのでありますが、これは、あえてこれに対して反駁する必要はないようでありますけれども、私は予算にこれを関連させまして、この点をまず第一に指摘してみたいと思うのであります。 その自由主義がよいか悪いかという問題は、すでに結論づけられていると思うのでありまして、中小商工業者がいかに現在困難をいたしておるか、あるいは労働者諸君がいかに困難をして、しかも街頭にほつぽり出されておるか、あるいは農民諸君が、現在いかなる声をあげておるか、この事実をわれわれは静かにながめてみるときに、私はここに現在とつておる自由党の自由、主義経済への復帰が、決してこれらの人たちの幸福を約束するものでないということは、これははつきりいたして参つたと存ずるものであります。(拍手)現在いわゆる自由主義の一番の大きな課題は、現在のごとくに生産力の基本條件が破壊されておる状態、しかも各産業におけるバランスが失われておるという状態のところへ、もし自由主義という一つの政策が強行されるということでありますならば、いかなるそこに犠牲が生れて来るか、いかなるそこにむだが生れて来るかということを明確に知るべきでありまして、なかんずく物資の欠乏せる社会において、それをいかに配分し、国民生活の安定を期して行くかという事柄は、これは重大なる課題といわなければならないのでありまして、もし現在において統制をはずすという事柄が、これが自由党の一つのスローガーンでありといたしまするならば、私はさらにつつ込んで御説明を願いたい。少い食糧のところにおいて八千百万人の人間がいかにして養われて行くかというときに、そこにアロケーシヨンが必要になつて来るということは、当然な事実ではないか、技術の問題と、その本質の問題というものとを決して混同すべきではないと存じます。むしろ統制をはずすという事柄よりも一統制をはずすまでに至る過程の統制経済の困難の方が、重大な問題でありまして、われわれはかつて経験いたしたように、肥料が不足であり、しかも食糧が不足であるときには、あるいはみかんに対する肥料の統制を強化し、あるいはお茶に対する統制を強化して、その肥料を食糧に振り向けて行くという政策が何ゆえに悪いのであるか、そうしてもし肥料の政策がここに順調に進んで参り、食糧の生産が復興して参つたときに、初めてそこにみかんへの肥料の統制が撤廃されて来るということは、これは結局最後の結論でございまして、過程の困難を忘れて、そうして現在の花のみを主張して行かんとする政策は、これはまことにためにする議論といわなければなりません。われわれは政策で一番大切なのは、統制のそれものではなくて、統制を撤廃してもなおかつ国民生活の安定が期し得られるかの政策をいかにして行くかというところに、政治の中心があると考えるものでありまして、この努力を認めることなしに、いたずらに統制撤廃を謳歌するがごとき態度は、われわれは断じて賛成することができません。それと同時に、われわれの大切な事柄は、自由党の現在の、統制の撤廃の問題が、だれの負担において行われておるかという事柄であります。これを自由党の諸君は真剣に考えるべきでありまして、統制の撤廃がいかに大きな衝撃を與えたかという、いろいろの事例もたくさんございまするけれども、かつての生糸の統制の撤廃が、どのくらい混乱を與えたか、あるいはかんしよの撤廃が、いかに農民に大きな打撃を與えたか、われわれはそういうすべてを考えてみると、そこに統制撤廃の一切の犠牲が、これらの人々に負わされておるという冷厳なる事実については、自由党諸君も否定することができないだろうと私は思います。(拍手)われわれは、現在一番大きな問題として考えておる事柄は、たとえて申しますならば、現在物価は補給金の撤廃において、マル公は上ろうとしておる。あるいは地方税の改正によつて、現在マル公はまた上ろうとしておる。たとえば鉄のごときは七%の上りが予定されておるという状態になつて、いろいろの価格がそのような大きな変革を遂げておるときに、これをどうしてこの価格政策を維持して行こうかという場合における自由党の政策を見まするならば、需要を減らして、購買力を減らして、買う人間をなくしておいて、そこに自由価格を構成して行こうとするのであります。こういう場合における一番大きな打撃を受けるものは何であるかといえば、小生産者であります。農民であり、あるいは中小商工業者でございまして、これにしわを寄せることによつて、現在の自由党の価格政策が、ようやく維持しておるにすぎないのではございませんか。私どもはそういう点を幾多例挙、枚挙にいとまありませんけれども、結局すべてのしわをこれらの勤労大衆に寄せるためにとつておる、便宜なる手段としての自由主義こそが、われわれは見受けられるのであつて、これに対する誠意と熱意をそのうちに見受けることはできないのであります。現在世界のいかなる政策を見ても、私は単なる自由主義によつて、その政策を途行しておる国家は一つもないと存じます。むしろ現在においてはいかにしてそれを計画化し、いかにして合理化して行くかという、もつと高度の経済が現在主張せられるのは、自由主義経済においても私は指摘できると思うのであります。もちろん私どもは社会主義を主張するものでありますけれども、自由主義のらち内においてさえ、現在小坂善太郎君の言われるような自由主義をとつておるのはどこにもない。ましてや敗戰国家において、そういう政策をとちうとする国はどこにもない。それは結局弱肉強食のための美名にすぎないということを、私は考えるものであります。しかも今度の予算の内容において、すべてがその点に現われておるのであります。また同時に私どもの考えねばならぬ事柄は、予算がモニタリー・スタビリゼーシヨンであつて、スタビリゼーシヨン・オブ・エコノミーでなくてはならぬという主張を従来われわれはやつ参つたのであります。しかしそのうちでもやはり重要な問題は、通貨の安定をまず実行しなければならぬという事柄は、これはよく理解できるのであります。しかしその方法においても、大衆の負担においてこれを実行するか、あるいは公平なる負担のため、それを実行するかという事柄は、これはきわめて重要な問題でございまして、同じドツジ氏が西ドイツにおいてとつた通貨改革によるところの通貨安定政策も、同じ陣営内において考えられる日本においては、均衡財政という形において通貨安定政策が考えられておる。われわれはかつて一箇年間の安定恐慌に対する準備期間を置き、その後において通貨改革を実行して、通貨の安定を期すべきであるという案を出しました。これについて小坂君は曲解いたしておるようでありますけれども、通貨改革によるところの通貨の安定政策の前には、一箇年間の安定への準備期間が必要であるということを指摘しておる。同時に同じ通貨改革においても、浮動購買力がきわめて旺盛であつて、そうして浮動の通貨がきわめて退蔵せられておるような社会においては、これらのインフレ利得者やあるいは軍需利得者の犠牲において通貨改革することが可能であるがゆえに、そういう時代において通貨改革を実行するスタビリゼーシヨンが必要であるということを、われわれは主張したのであつて、これについての小坂君の議論は、まつたく曲解の上に立つた議論であるということを指摘せざるを得ません。われわれはそういう議論は返上いたします。そうでなくて、さらに重要な事柄は、今度の安定計画の一番の中心は、何と申しましても均衡予算をとるということ、すなわち公債の発行のあらゆる源泉をとめて、そうして通貨の増発をやめて、大衆購買力を他面において吸收して、そこに購買力を抑制することによつて、通貨の安定政策をとつておることは、現在の政府の行き方であります。そのときに一番に問題になるのは、通貨の増発の原因をとめることによつて生ずるところの、大衆への犠牲の裏づけがなければ、それは実行できないはずであります。御案内の通りに、鉄道及び通信に対する去年の二百七十億の見返り勘定からの支出が、いかに大きな衝撃を電気、通信産業、あるいは車輛工場に大きな影響を及ぼしたか、それがいかに沖電機等を初めとする勤労大衆の失業者を生んで行つたか。これをわれわれは考えてみるときに、安定政策の裏づけには、必ずそれを保護する政策がついて行かなければ、決して社会全体の健全化ということは、はかることができないのは明らかではありませんか。またわれわれが考えて行くいわゆる超均衡予算の財源にいたしましても同様でございます。大衆から收奪された資本を、債務償還を通じて銀行に流し、これを再投資するという形式が、一体だれの負担においてなされて行くかということは明確ではございませんか、たとえて申しますれば、現在の所得税の中で、勤労所得税がいくらの部分を占めているだろうか、それを一つ見ただけでも十分ではありませんか。そういう資本が蓄積されて、国家がそれを掌握して、銀行にこれを融資して、巨大産業に再投資するという形式が一通貨の安定政策ではあるけれども、大衆の生活を抑圧し、他面において中小商工業への政策を怠つておる結果になつておるではないか。だから同じ通貨の安定政策においても、その通貨の安定政策は、日本の産業の基礎を確立し、大衆の購買力を向上し、あるいはまた国民経済全体のオルガニゼーシヨンを民主主義化して行く線に沿つてそれがなされるということも、われわれは要求するのであります。その意味において、現在の通貨安定政策というものが、これが單なる通貨の安定に終つておるのであつて、一切の犠牲が大衆の上に負わされているということは、否定することのできない事実ではないだろうか、私はその点を指摘いたすのであります。さらに今度の予算について、やはり直接の関係のあるものは、先ほど来小坂君自身も認められておつたのでありますけれども、これがデフレの條件をつくり出すということは明らかな事実ではないでしようか。去年の状態と今年の日本の経済の状態から見て、去年と同額の、あるいはそれに類似した大きな債務償還を本年さらに続けなければならないという條件が、現在私はあるものとは考えられません。一昨年の多額な支拂い超過のあとを受けた去年の経済において、通貨の縮小を伴つた巨大な債務償還が実行されたときと、去年デフレ條件が非常に起つたそのあとを受けた昭和二十五年の債務償還の金額というものとの間には、ここに相当大きな考慮がなされなければならぬ。これは私は常識で明らかだと思うのであります。これを同じように実行して——池田大蔵大臣が、やがて対日見返り資金が云々されたときに、これは役立つからということを言われております。これは私もある程度まで認めるものであります。しかし対日援助資金がある間に、借金だけはなしてしまおうという考えだけで済まされるかどうか。私はこの点をはなはだ疑問に思うものでございます。その意味において、今度のこの債務償還の問題は、幾多の問題がありますけれども、私は去年と今年とは考慮が違うべきである。もう一つは、現在の段階は、先ほど申しました通りに、銀行の資産内容及び吸収の程度、あるいはそれが立つておるところの大衆自身の窮乏の程度、あらゆる問題を考えて見ますときに、債務償還のこれだけの金額は絶対に必要ではないというように、私どもは考えて参りたいのであります。この債務償還の問題については、結局何が基準で千二百八十億が必要であるかという点について、われわれは納得ができなかつた。結局一つの議論に終つてしまつたのであるけれども、これを証明するものは何であるかといえば、結局日本経済が、これによつてどういう影響を受けるかという事実が証明する以外にないのであります。私どもは私どもの議論が正しいものと確信いたすものであります。 次に他の問題に移りたいと思うのでありますけれども、もう一つ申し上げねばならない事柄は、先ほども総括質問でお話を聞いたのでありますが、結局解決がつけられなかつたのは、価格政策の問題であります。価格政策をどうおとりになるかについて、政府はほとんど考えがないことは、おそらく自由主義の価格に持つて行くという、自由党諸君の政策の実態を現わすものかもしれません。しかし現に地方税が物価に影響を及ぼし、補給金が物価に影響を及ぼし、しかも従来まではすでに鉄道料金、貨物料金も上げておる。しかもこの前は電燈料金も大巾な値上げをいたしたのでありまして、基本産業の部門については、マル公を値上げしなければならない條件を生みだしておる。しかもこれは、従来の消費課税によつて消費者に転嫁される問題とは違つて、直接生産に影響する、直接生産者が負担するところのすべての改革であります。固定資産税にいたしましても、あるいは資産再評価の問題にいたしましても、あるいはまた附加価値税の問題にいたしましても、これは生産者直接の負担に転嫁されるところのものでございます。それは結局のところ、現在のような産業合理化が、真に近代化の形において進められていない社会において、そういうやり方を途げて行つて、しかも三百六十円レートを維持して行くというときに、一体だれがその価格のしわ寄せを負担するのか。これをわれわれははつきりと聞きたいのであります。設備資金の問題もございましよう、まだ産業設備に対する国家補助の問題もございましようが、これらについてはほとんどこの予算には、見るべきものがない。従つて結局だれを犠牲にするか、言うまでもなく、それは労賃部分であります。労賃部分が引受けるためには、一面は低賃金になる、一面においては首切りになる。一面においては下請工場の引受けになるのではないか。この点について、もし現在の自由党が、はつきりそうではない、ノーと答えられる政策があれば、当然従来までに出すべきはずであつた。そういう社会であればこそ、中小企業者が五人や十人死んでもかまわないという議論が出て来る。結局そこに持つて来られるのではないか。何ゆえに現在中小企業に対して、積極的な政策をとろうとしないのか。われわれは、むしろ現在の自由党の政策をそのまま推し進めて行きますならば、価格政策からいつても、自由主義経済からいつても、結局中小企業者は早くなくなつてほしい、目ざわりだということになるのではないか。(発言する者多し)これについてもし議論があるならば、はつきりこの議論は解決すべきじやないか。そうでなくして、現在の中小企業を組織化し、近代化するという形でもし行くどするならば、何ゆえにそれに対する財政投資を行わないのか。この前もはつきり申した通りに……(「数字がわからないのか」と呼び、その他発言する者あり)数字のわからない方には申し上げますけれども、中小企業等に対する施設補助費が本予算にいくら計上しておるか、わずか一億四千万円ではございませんか。六千六百十四億円のうち一億四千万円、六千分の一ではないか。そういう政策からどこに中小企業に対して近代化の道が出て来るか。私はもしそこで政治が行われないとするならば、何ゆえにそれをつつ込んで行かないのか、私どもは、現在の自由党の政策からそれが生れて来ないではないかという、基本的な疑いを持つております。私はそれを今指摘せざるを得ないのであります。 次に私どもの一番注意しなければならぬ事柄は、これは大きな問題でありますけれども、財政支出というものと金融というものとの二つのつり合いが、今度こそ修正すべきではなかつたろうか。それは決して單なる竹馬経済をつくり出そうというものではない。シヤウプも認めておる通りに、部分的な奨励制度というものは、やつてよろしい。やるべきであるということを、完全に指摘しておるではないか、現在の財政投資を、いかに縮小して均衡をはかつても、それをすべて金融にしわ寄せすることによつて、はたしてこれから切り抜けて行くことができるかどうか、私は今後の財政の課題としては、金融の面の担当すべき部分というものと、財政の担当すべき部分について、明確なる計画と方針が立てられなければならぬものと思うのであります。財政投資に対する軽視——私はこれを非常に大きく見るべきものだと思うのでございまして、今後もし日本にあるいはデフレーシヨンが起り、不景気が起つて来るという場合においては、この財政投資の役割が非常に大きなものであると思わざるを得ません。なるほど今度の予算が、あるいは災害復旧費等の公共事業を九百九十億程度見積つた。あるいは今度の住宅資金に融資と財政投資とを含めて、百五十億を見積つておる。あるいは六・三制の建物に対して四十五億を見積つておるというような点について、これが景気回復になるのではないかという宣伝を政府はされております。確かに有効需要の増大の一つの大きなにない手には違いない。違いないが、結局これも単なる復旧の程度にすぎないし、もし利益するとするならば、それは土建屋関係が利益するにすぎないだろうと私は思う。私はもし今後の政治が、民主的に行われないといたしまするならば、公共事業費を政治問題化し、土建業者に関する醜事件を起す可能性も十分あると思うので、私どもはこういう問題については、重大な警告を持つべきだろうと思うのであります。さらに重要な事柄は、先ほど申しました通りに、こういりた公共事業費に対する資本投下よりも、さらに景気回復、ディスインフレというものを考えるといたしまするならば、何ゆえに産業設備投資に対して、もつと勇気を出さないか。むしろこれの方がデフレーシヨンを是正する上においては、大きな効果を持つべきであろうと私は思うのであります。いわゆる直接産業のこういつた建設投資に対する再支出の少いことを、私どもはきわめて遺憾に思いまして、むしろそれの方が先ほど来あつたように、日本の産業の安定化には重大な関係があるものといわざるを得ません。 さらに価格政策のうちの、特に補給金の政策について、一言申したいと思います。補給金の政策で、肥料の補給金を撤廃することを政府は七月に実行されようとしております。七割五分の値上りを、ここでやろうとしておられるようであります。銑鉄等の鉄鍋の補給金も同様のようでありまして、私はこういつた基本産業の補給金は、もしもさつき小坂君の言う通りに、急いでやつてはならないという思想をとるならば、むしろこの二つの補給金は、決してそう急ぐ必要はない部分だろうと思います。むしろ現在補給金政策の中で考えられねばならぬのは、肥料、特に輸入肥料に対する輸入補給金、金額はわずか十三億程度でありまするけれども、これは重大であります。現在窒素質肥料工業の生産は、未曽有の増産であります。月十万トン、年百二十万トンの窒素質肥料の生産というものは、われわれの理想でありまして、この理想をもすでに突破して、現在百二十一万トンの計画が進められておる。私は硫安組合に関係したものではありまするけれども、こういう事態において、何ゆえに硝安を輸入しなければならないのか、もし一歩われわれが前進するとすれば、その硝安の輸入の十三億を、むしろ現在の硫安工場に持つて行くことによつて、日本の基礎産業は安定するではないかと思う。またソーダ工業に対する八億の問題もそうであります。これもわれわれがもし一歩進めるならば、ア法ソーダを塩化アンモニユームの製造に早く転化する、現在の状態においては、これも必要はないのでは無いか、すでにマル公を割つております。そういう事態において、何ゆえにかかる八億も計上しなければならないのか。また食糧の問題についても、すでにわれわれ農林大臣にも再々聞いた通りに、千九百万石という厖大な持越量が、本年の十一月に予定されておるという実情であります。昨年の十一月の持越し量が千七百万石であります。この大量の、日本の全倉庫を一ぱいにするほどの食糧が日本に入つておつて、農民は農産物の価格の値下りに困難を来しておるという、逆な條件を引起しております。そういう社会において、この食糧輸入の合理化をもつと促進する道があるのではないだろうか、当然あるべきだろうと私は考えるものでありまして、またもしそれによつて数十億の輸入補給金の節減がそこにできるとすれば、当然これは農業政策に対する支出として増額すべきでございましよう。さらにわれわれは、超粘結炭についても同様なことが言い得るのでありまして、現在の加州炭をいわゆる開演炭にかえることによつて、多くの財源、十四、五億の財源をこの中に発見することもできるのでありまして、かく見てみる場合において、現在の政府の補給金政策というものの中に、私どもは遺憾な点をきわめて多く指摘せざるを得ません。 〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕 しかもこの補給金の政策は、先ほど申し上げました通りに、現在の価格政策の上においての考慮がなされておらない。そこには非常に大きな矛盾があることを言わざるを得ません。もつと価格調整補給金については、日本の立場の上に立つて、しかも、もつと日本産業の実態に即して、私どもは再編成する余地が十分にあるものと考えるのであります。決してこの補給金自身の単なる削減が名誉になるのではないのであつて、いかにこれを合理的に縮小するかが、現在の課題なのであります。それをもつと真剣に考えて行くべきであろうと考えるものであります。 なおその次に大事に考えられまする問題は、地方財政との関係の問題でございます。この地方財政について、平衡交付金の法律が現在出てふないことは、まことに遺憾であります。特にその場合に一番心配いたしまするのは、今度のこの国税を極度に圧縮して、地方財政に極度にこれをしわ寄せして行く形のものが、現在め地方自治制度のもとにおいて、その負担に耐え得られるかどうかということを、私は非常に疑問に思うものでございます。もしこの厖大な税を、しかも新しい税制改革のもとにおいて、地方税がとられぬとするならば、おそらく何万という徴税吏が必要になつて来るでありましよう。あるいはまたそれが農地に及ぼす影響、小作料に及ぼす影響等を考えまするならば、非常に農村への影響は厖大になつて来るでございましよう。しかも現在の農村の実情において、特に必要になつて来るのは、はたして千五十億円という平衡交付金を出して、わずか百五十億というひもつきの支出をしただけで、はたしてこの大きな予算を、現在の町村が、その重要性の度合において、これを実施し得られるかどうか、これを私どもはさらに憂えざるを得ないのであります。特にその中において、教育費の問題は大きいと存じます。地方の生活をしたものにとつては、消防や警察の権力というものは強くて、多くはこれに対する支出がとかく勝利を占めがちでありまして、教育に対する声は小さくて、しかもそれを高く出しますると、政治的に支配される傾向が強いのでございまして、この国税が地方税に移され、国の政治が地方自治に移される。この過程の問題として、過程的な処置というものについて見るべきものが、非常に予算の中に見受けられない。われわれはこの過程の問題こそ、プロセスの問題こそ、その措置こそ重要な問題だと思わざるを得ません。当然教育費などはこれはひもつきで、一つの独立の財源としてやるべきものでありまして、厚生問題と教育問題は少くとも地方財政のうちにおいて確立を得べきものでございます。そういうものまでも、はたして今度の制度によつて地方財政が吸收し得るかどうか、これは非常に大きな疑問を持つものであります。さらにこれらのことについて重要に考えられますのは、この地方財政が先ほど来申し上げたように物価に及ぼす影響、企業に及ぼす影響が大きいのでありますけれども、これに対する処置はほとんど見受けることができない。たとえて申しますれば、一つの協同組合の課税の問題でも、すでに協同組合関係の人たちは、従来の負担の五十四倍になるであろうといわれている。現在滯貨を背負い、あるいはいろいろの報奨物資と称するものを押しつげられている、そこにまた五十数倍の——これが事実の数字であるかどうかについては、若干の検討を要しますけれども、それほど巨大な負担を現在の協同組合がなし得るかどうかという問題になつて来ると伺い、われわれは心配なきを得ないのであります。こういう問題に対する処置がなされておらない、まだ政府から明確な答弁を聞くことができなかつた。私どもはその意味において、大きな疑問と、また大きな注目を今後の地方財政に対して向けるものでございます。 地方税に関連して国税について若干申し上げますと、国税の問題でも、所得税の問題について大きな問題が二つ三つございます。一つは何と申しましても農業者に対する勤労控除の線が出なかつたことであります。大蔵大臣は、これに対して、農業所得を減税しているので、その処置には沿つているつもりだというお話でございますけれども、それは一般の減税の問題であります。そうでなくて、農民及び中小商工業者が、資産所得者である半面において勤労所得者であるというその性格を、いかに税の上に現わすかという問題であります。ところがそれは租税技術の上において、非常に困難を伴うということを言われますが、私は決して租税技術の上に困難があるものとは存じません。たとえば專従者について勤労控除を認める方法もあるでありましよう、いろいろの方法があるに違いなのでありますから、当然シヤウプ勧告通りに、農業者及び中小商工業者は、半勤労所得階級であるという税体系が確立されべきだつたと思うのであります。それからもう一つ重要な点は、言うまでもなく五十万円以上の累進課税を廃した点でございます。もちろん五割五分を六割にする、あるいは四割にするという税率の問題もございましようが、私は税率の五割五分を問題にするのではございません。それを五十万円にして、そして最後の累進課税をやめて行くという事柄については、さらに大きな研究と努力が必要ではなかつたろうか、もちろん大蔵大臣は、百万円までということでこれを考えられたそうでありますけれども、それによつて少くなる税金がわずかに十八億であつたと言われるのであります。しかし十八億かあるいは三、四十億かは存じませんけれども、これだけの財源は、確かに補給金の面でもどこの面でもあり得たと思うのであります。税收入が問題ではない、そこに決して基本的な問題があつたと私は存ずるものではございません。五十万円の所得で五割五分にとめなければならなかつた原因はほかにあるのではないか、そこを考えてみる場合において、私どもはいかに減税を考えても、五十万円以上の五割五分の一律課税ということについては、賛意を表することは絶対にできないのでございます。しかもこれに対する富裕税を設けたからいいではないかということを言われておりますけれども、富裕税二十億、それも私は再々五十万円以上の累進課税廃止と富裕税との関係を、合理的に説明することを求めたのでありますけれども、不幸にしてこれに対する明快な答弁がなかつた。私は五百万円以上の人たちの富裕税を〇・五かける事柄と、五十万以上の累進課税をやめた事柄との間に何らの関係もない、しかもそれは補完税的意味もない、私はそこに非常に大きな疑惑を持つものであります。補完税として富裕税を設けたからいいではないかという議論は、これは承知することはできないのであります。ここに非常な大きな欠陥があるのではないだろうか、こういう点が若干の直接税、国税について指摘されるのでありますが、今度の税の体系で一番注目しなければならない、シヤゥプ勧告にはつきり現われており、現内閣の政策にはつきり現われている事柄は、企業において、しかも有産者において同時に資本蓄積を行つて行こうとする傾向であります。ドツジ・ラインによつて、税によつて省き上げ、債務償還をして資本蓄積をやつて行こうとする形式と、シヤゥプ方式によつて企業及び一部個人に資本蓄積を強要して行こうとする政策とが、同時にここに織り込まれているということに、大きな疑問を持たざるを得ません。こういう二重の資本蓄積の形式を、法律なり予算なりにおいて実行して行くという事柄は、必要以上に大衆課税、大衆負担を増大せしむるのではないか、われわれはシヤウプ的資本蓄積形式と、ドツジ式資本蓄積形式が、二重に本予算に現われていることについて不満に思うものであります。これはもつと調整せらるべきものであつたと思うのでありまして、そういう点を考えて参りますと、本予算において、われわれが期待するところはまことに逆であります。日本の経済の再建が、この筋において全面的に行われて行く、この面において大衆の生活が擁護されて行くというようには、とうてい期待ができないのでありまして、私はもちろん政府の努力と善意というものは若干認めるものでありますけれども、私は全予算そのものを考えてみると、その政策はきわめて反動的なものである。きわめて遅れたものである。しかもそれは必要以上に大衆に犠牲を強いるものであるというように私は考えまするので、日本社会党を代表して、どうしてもこれを組みかえてもらいたと思いますので、返上を主張いたすものでございます。(拍手)
○小峯委員長代理 中曽根康弘君。
○中曽根委員 私は先ほどのかつての盟友小坂善太郎氏の所論を実に感慨深く拜聽したのであります。小坂善太郎氏は、かつて修正資本主義論者として天下に名をあげた人でありますが、先ほどの御所論を承れば、私はどうやら再修正資本主義に今度は転向したという疑問を持つのであります。もつとも先ほどそこに坐つておつた偉い人によつて入籍を拒まれたおつかさんの連れ子ですから、それくらいお世辞を言わないとあとでたたりがあると思われて、それくらいのお世辞を言つたのだろうと、私はこの御心情に対しては、まことに御同情を申し上げるのであります。大体時計の振子というものは、右へ行つたり左へ行つたりするものですから、いずれまたわがかつての盟友小坂善太郎氏も、われわれのところにもどつて来るということを、私はかたく信じております。 さて、この昭和二十五年度予算編成に際して、国民の皆さんかひとしくかたずをのんで見守つたことは何であるかというと、昭和二十四年度予算編成に際してとつた政府の政策が、どのように修正されるかという点であつたのであります。そこでしからば、昭和二十四年度予算編成に際してとつた池田大蔵大臣の政策は、どういう性格であつたかということを、まず私は批判の前に申し上げてみたいと思うのであります。 池田財政の根本的性格というものは、御承知の通り、いわゆる日本のコンシューマーズ・インフレーシヨンを克服するのだ、消費インフレをやめるのだ、そのために三百六十円レート、六千三百七円ベース、四千二百五十円の米価、これを基準にして、昭和二十三年に比べて七割よけいの税金を、がさつと国民からしぼり上げて、国民のさいふをぺしやんこにする、からつぽにする。それによつて購買力を奪つて一挙に安定をやろうという構想である。それによつて輸出力をつくり上げて、生活水準を次の時代に向上させようというのであつて、この野心的な試みというものは、なるほど部分的には成功した。私がかつて申し上げた通りであります。たとえば物価や生計費がやや横ばいに転じて来た。日銀券の季節的な收縮というものが目立つて出て来た。あるいは国庫の收支というものが昔のようにやや正常化して来た。あるいは労働の生産性が向上して来たこういう点は、私ははつきり認めてよいと思うのであります。しかしこの池田財政がやつたねらいはどこにあるかというと、要するに冷酷無情な資本主義の原則を、この戰争で荒れ果てた日本経済にそのまま適用しようということであります。言いかえれば、非常に荒療治をやつて、ここに資本主義の温床を整備しよう、こういう計画であつた。従つて冷酷無情な原則を、このか弱い日本経済にそのまま突きつけたために、日本経済の弱い線に当然亀裂が出て来た。その亀裂はどこに出て来たかというと、資本主義の弱点といわれる、まず農村であり、その次に中小企業であり、勤労者であります。ここに歴然と出て来た。いわゆる三月危機というものは、過去池田財政の一年にわたる積悪がここに出て来たにほかならないのであります。もう少し簡單に申し上げれば、要するに日本経済というものは、インフレで暖まつておつた。そこでこれを冷蔵庫に一挙にぶち込んだ。冷蔵庫でからだが冷えて来たために、片方に凍血が出て来て、結滞ができ、毛細管が動かない。あるいは血がまわらぬ。しもやけが出て来た。そのしもやけが出て来たところが農村であり、中小企業であり、勤労者の生活であつたのであります。今そこで喚声をあげておる勤労者の叫びというのは、その意味にほかならない。こういう状況は一体どういうところに出て来たかというと、御承知の通り、まず第一にかつて稻垣さんがおつたころ、商工省がやつた集中生産である、あるいは最近顯著に見える金融機関の優勢な地位というものが目立つて出て来た。一般企業においても、銀行からにらまれたらつぶれるよりしようがないという状態になつて来たことに、一面には現われておる。また一面においては、農業を見ると、現金收入がきわめて減つております。そうしてそれは再生産ができない程度の生活状態に入つて来ておる。協同組合は危機の状態に入つている。しかも一年間に二百五十万から三百万にわたる半失業者というものが、農村に氾濫して来ておるという状態が出て来ております。農産物の価格に至つてはどうかといえば、かつてマル公で十八円しておつただいこんが三円、五十四円しておつたキヤベッが十四円に下つておる。こういうように価格シエーレの圧迫がますます加わつて、農村生活は実にもう窮乏の状態に達しておる。中小企業はどうかというと、中小企業の倒壊の例はいざ知らず、一番よい例は税金の面に出ておる。たとえば一月末において源泉課税の徴收成績はかなりよい。八九・一%徴收されております。ところが申告課税において四八%、こういうように源泉課税と申告課税の開きが出ておるということが、中小企業がいかに苦難に悩んでいるかということを示している。 〔発言する者あり〕
○小峯委員長代理 静粛に……。
○中曽根委員 勤労者はどうであるか。人事院勧告によつて、昭和二十三年七月でありましたか、成年男子一人二千四百七十円という基準を、二十四年を基準として三千六百七円に改められたのは二年前の話である。しかも物価は大体三〇%くらい上つておるのに、そのまますえ置かれておる。この窮状に追い込まれて喚声をあげているのが、現にわれわれを取巻いている勤労者の声であります。こういうような方向にあつて、日本経済はどのようになうて来ておるかといえば、要するに購買力を取上げて、結局さいふに金がない。さいふに金がないから売れない、売れないから滯貨が出て来た、滯貨が出て来たから取引がない。こういうように、伝染病のように不景気が蔓延して来た。その結果が物が余つた。しようがないから統制撤廃——統制撤廃というのは、十二月以来やつた民自党の統制撤廃であります。この程度の統制撤廃ならば赤子でもできる。国民が希望した統制撤廃というのは、もつと景気のいい統制撤廃である。物の売れる、荷物の動く統制撤廃である。その期待がまつたくはずれて、金を奪つてそろして干上らしておいて、物が余つたから撤廃をする。こういうやり方がここに出て来た。 もう一つ出て来たことは輸出の不振であります。今までの輸出の実績を見ますと、大体一年間平均して見ると、月四千万ないし五千万ドルくらいの輸出が今まで行われておつた。ところが一月に入りましてから、三千万ドルくらいに減つております。これは決して一時的な現象ではない。クリスマスが終つて、多少減るのは通年の例でありますが、これが二月に入つても回復されていない。こういう状態である。特に期待しておつたところのポンド圏との交易にあたつては、先般の新聞でも御承知の通り、一千万ドルの輸入超過になつておる。ローガン構想にもかかわらず、輸入超過がきわめて目立つて来ているのであります。 〔小峯委員長代理退席、委員長着席〕 もう一つ、問題は株式の低迷である。こういうようにして統制撤廃というお題目にもかかわらず、中小企業や農民や勤労者あるいは輸出業者、あるいは証界民主化によつて株式を持つた国民大衆というものは、非常な生活の苦難にあえいでいるような状態になつたのであります。 そこで昭和二十五年度予算が編成されるというときに際して、国民大衆がひとしく池田大蔵大臣から聞かんとしたことは、一体この重税からいつごろ解放されるかということであります。第二番目は、合理的な経済循環がいつまた回復して、景気の回復ということが、いつごろになつたら再び現われて来るのか。第三番目には、拡大再生産、つまり資本蓄積を合理的にやつて、日本経済が徐々に生活水準を高めて、拡大再生産に進展して行くという基本国策を国民大衆は知りたかつた。そうして最後に貿易の振興ということを飢えたるがごとく待つておつたのであります。しかしこれらの目的が、しからば達せられておつたかというと、答えは遺憾ながらノーと言わなければならない。その最初の問題は、いわゆる一ー三月の問題であります。 ただいま申し上げましたように、一年間にわたる池田財政の積悪が、三月に出て来た。政府は通貨を三千億台に何とかとめておきたいというので、四苦八苦しておる。池田さんは品を開けば、たとえば見返り資金を出すとか、オペーレーシヨンによつてうまくやるとか、政府関係機関の金を預託して、それによつて零細な方面に流すとか、あるいは日銀の貸出し、その他によつてこれをカバーするということを言つておられるが、実際に出て来た実績はどうかというと、決して言つておるような状態になつて出て来てはおらないのであります。一例を申し上げれば、見返り資金は二月の初め二百億、第三、第四・四半期に出なければならないのが二十億しか現金化していない。オペレーシヨンは日銀で第四・四半期においては二百三十億程度やるという努力が、一月においてはわずかに三十六億である。この貸出しは、一月にわずか一億ふえたのにすぎない。こういうふうに、惰性で現在は流れておる。あわてて政府関係預金を預託しておるけれども、一、三月に間に合わない。その一、三月のしわがだんだん寄つて来て、中小企業の苦難を調べてみると、これはこの間の東京新聞にも出ておりましたけれども、東京において二十四年の二月、それから九月までに、整理されてつぶれた工場の届け出たものは四百二十八である。大阪においては整理された工場が二百三、閉鎖したものは二百二、愛知県において、工場、商店でつぶれたものが千二百六十五、こういう状態が出て来ておる。これらの中で著しいのは繊維工業であります。群馬県の舘林、伊勢崎、福井の人絹その他の機業地は、ほとんど休業しておるという状態になつて来ている。そういうような機業、紡織あるいは機械、金属、製材、メリヤス、皮革、家具、こういうような中小企業が、軒並にばたばたとやられているという状態になつて来た。しかも中小企業者は、迫る手形の決済期に追われて、毎日毎日苦悩しておる。中小企業は危機だというのが、これが一般の大衆の声である。国民大衆め声というものは、これは神様の声であると政治家は思わなければならない。その声を代弁して、かつて中小企業庁の蜷川長官は、中小企業は危機だと言つたら、それは政府の政策に反するといつて、蜷川長官の首を切つた。あの正直な蜷川中小企業庁の長官の首を切つたということは、中小企業の首を切つたということにほかならないのであります。あるいはさらに、かような暴行をやつておきながら、最近はどうかと言えば、池田大蔵大臣に至つては、五人や十人は死んでもしようがない、なるたけじたばたしないようにしろ、金詰まりというむのは、経営者の責任であつて、大蔵大臣の責任ではない。こういうふうに断言した。死んでもしようがないと言う。今から二年ぐらい前には、日本には殺人電車があつたが、二年たつたら殺人大臣が日本には現われて来た。驚くべきことであります。こういうような中に、日本の中小企業者は参つて来た。三月危機を越すに越されぬという状態になつておる。農村にあつてはどうかと言えば、最近の例を見ると、群馬県に重税が振りかかつて来て、これが農民の方であると、更正決定によるものでありますが、大体人口五千ぐらいの農村には、協同組合の預金が八百万から一千万ぐらい今までずつとあります。今度また税金は、それが一千万円から千四百万円ぐらいになつて来ておる。従つて協同組合から税金をとれば、協同組合は即時につぶれてしまう。協同組合がつぶれるだけではない。農民の資金がなくなつてしまう。春の営農資金がない。私はこの間そのことを農林大臣にお聞きしたら、農林大臣は、営農資金がなければ農手を使えばいいと言つた。しかし農手を使う前に、協同組合がつぶれてしまう。こういう現実の事態にあるのであります。こういうような重税に農民はあえいでおつて、しかもこれに対するどんな明るい見通しが與えられているかと言えば、與えられていない。勤労者にとつてはどうかと言えば、先ほど申したように、現にこのまわりをとりまいて、喚声をあげていることによつても明らかであります。こういうようなわけで、この池田財政一箇年の結果というものは、一月、三月においても改善せられなかつた。 しからば昭和二十五年度に至つて、この予算によつてそれが解決されるかということを調べてみると、池田大蔵大臣は、議会における財政演設にこういうことを言つておられる。このような充実した財政政策は、近来わが国にもその例を見なかつたところであります——まことに心臓の強いことを言つております——これらの予算上の施策は国民経済に健全なる資本の蓄積を可能ならしめ、適切なる金融政策と相まつて、わが国経済の真の再建、生産の上昇の素地をつくることに寄與するところが大きいと確信いたします。こういうふうに言つて、いわゆる楽観論というものを放送されておる。青木安本長官も同様である。しかしわれわれがここで真劍に考えなければならないのは、大蔵大臣や、安本長官のあの立論というものは、一定の仮説の上に立つておるのであります。その仮説とは何であるかと言えば、まず第一は昭和二十五年の十月一日には、人口が八千三百七十七万にふえるということである。第二は建設投資がふえるということによつて有効需要が必ず供給にマッチするようにちようどいいぐあいに出て来るということであります。第三番目は貿易の不振が打開されて、輸入によつては昨年より一四%、つまり十億ドル、輸出によつては二四%増し六・二億ドル、これだけ輸出入が伸びるということが三番目の前提であります。第四の前提は、産業金融政策が、たとえば見返り資金あるいは産業資金、直接投資、その他のものによつて、これが適度適切に供給され、証券市場の育成もうまくやつて行かれる。預金部資金も縦横無盡に活用できる。こういうことが第四番目の前提であります。第五番目には、企業合理化がみごとに行われて、たとえば補給金がなくなる。補給金がなくなれば鉄鋼の値段が上る、造船の経費が上る、そうすると上つた造船代金では国際競争に対抗できない。その値段はどこで吸收するかといえば、生計費には吸收させないで、企業合理化によつて吸收させようと意図する。次に労働の生産性に至つては、一割四分くらい吸收させて、それによつて合理化を行う。こういうことが前提になつておる。操業度の向上、近代化、科学技術の採用、こういうこどが前提になつておる。最後に失業保険あるいは社会保障制度というものが円満に行われて、摩擦が起きない。この六つの條件がうまく行われるならば、池田大蔵大臣が言つたような楽観論ができるということが、この予算の基礎になつておる。われわれがこれらの條件を検討したところによれば、大蔵大臣が言明したようにそんなに軽く実現できない。むしろ答えは否定的であります。今度の財政演説、経済演説の基礎になつておつた考え方の一番基本になつておるのは、有効需要という問題であります。要するに買手市場になつたために有効需要が起るのであります。問題は買う力であります。しからば有効需要は何によつて起るかといえば、一つには資本の裏づけがなければできない。それではその資本の裏づけがあるかということを検討してみると、遺憾ながら資金の裏づけがない。第一番の大きな問題は、債務償還の問題であります。債務償還については、すでに前の人によつているく論ぜられたのでありますが、先ほど小坂氏は昨年度は千四百億、今年度は千二百億、昨年度の方が多いじやないか、こう言つておられるが、なるほど池田大蔵大臣はそういう答弁をやつた。それをまる暗記で言えばそうであります。しかし実際を言えばそうではない。債務償還額を調べて見ると、一般会計と特別会計と、さらにそのほかに政府関係機関のものがあるが、これを三つ合せると千四百四十億になつておる。さらにもつと大きなものがある、その他の資金引上げ要因として計上されておるものであつて、特別会計剰余金、厚生保険積立金、簡易保険、年金積立金、貿易会計予備費、その他見返り資金の留保分まで入れて総合するとそれは二十五年度においては二千三百三十九億円、二十四年度においては二千五億円という、約三百数十億円というものの債務償還額が多くなつておる。一般会計のみならず、特別会計、政府関係機関のものも入れれば、さらにこういうふうに国庫の收支というものはなつておる。のみなずこれが支拂い超過になる分だけを調べてみると、大体昭和二十四年度は九百億円通貨收縮の要因があつた。それが二十五年度に至つては千五十億円前後であつて、デフレ面というものは約百五十億だけ多くなる。こういう点からも、先ほど小坂氏が論ぜられたのは誤りであるということが言われるのであります。しかもこのときにあたつて勝間田君が論ぜられたように、日本の債務額の三分の一以上を強行して償還しようという政府の真意がわからない。このことはあとでまた論じたいと思うのでありますが、こういう状態で、資金繰りを調べてみると、楽観するような材料は一つもない。 第二番目に金融上の問題を調べてみると、銀行能力が問題であります。たとえば日本銀行の貸出しを調べてみると、十二月末で千六十億円の貸出しをやつておる。これ以上一般銀行に授信能力があるかというと、遺憾ながら授信能力はほとんどフルになつております。戰前における銀行の預金と支拂い、融資との関係を見ると、昭和十年において全国銀行で七〇%、大銀行で五二%、昭和二十四年は全国銀行が八七%、大銀行で八五%、昭和二十四年十月末現在で調べてみると、日銀よりの借入れ千六億円というもの、これらの銀行の資本金百九十五億円の五倍に当るものを、借入金としてやつている。これは銀行の基礎がきわめてあぶなくなつて来ているということであります。十二月末の統計によりますと、東京市内の銀行を調べてみると、預金が千八百億に対して、貸出が千九百億になつている例がある。これは銀行が貸したいけれども、一ぱいで貸せない。これ以上日本銀行から供給を受けてもしかたがない。こういう状態でむります。もう一つ、しからばオペレーシヨンによつてこれができるかというと、国債の償還の限度というものがあります。昭和十年前後においては、国債その他の有力確実なる担保物件は、大体二四%程度持つておつた。しかし現在においては、それが一割程度に下つております。この担保物件、支拂準備的な性格を持つている証券類というものはどうしても銀行が持つておらなければならない。これをさらに吸い上げてしまつたならば、銀行の基礎はあぶなくなる。こういう状態のもとに、しからばいかにして長期資金、その他の金融のめんどうを見てやるかということを考えると、大蔵大臣は、当面の問題として、政府関係の金を預託しているけれども、これは三月とか期限がある。昭和二十五年度の大きな財政政策として、大蔵大臣の財政金融政策としてうたうには、あまりにもこれは泡沫的なものであります。もつと根本的な、国策的なものがなければならない。ただ一つ見られているのは、銀行に債券発行を認めよう。そういう案でありまするが、これとても一般の銀行には及ぶ力は少い。昔のいわゆる特別的な銀行、そういう銀行には多少余地はあるけれども、全般的な解決策としては、これは期待するには十分でないのであります。 こういうような状態のもとに、もう一つ問題があるのは、昭和二十五年度においては、設備資金運転資金においてもし池田さんが期待するような復興や、あるいは安本長官が高らかにうたつたような建設というものをやろうとするならば、設備資金や運転資金の保証がなければならない。しかし昭和二十五年の金繰りを見てみると、まず最初にいるのは滯貨金融であります。貿易公団の手持の繊維を売り拂うだけでも、これを処理するためにでも主ないし四百億いる。この滞貨金融というものが年間を通ずる大きな桎梏になつて参ります。特に昭和二十五年度においては、企業はコストを下げて独立採算制を強行して行かなければならない。そのためにはどうしても大量生産に移る。昭和二十四年度においても、こういう傾向が出て来ているのでありますが、大量生産、量産によつてコストを下げなければならぬ。そうすると生産過剰の気味が出て来る。それによつて物価は一応下落する。物価が下落したことによつて消費生活が楽になる。有効需要がふえる。給料取りの買う力がふえる。その買う力がふえる量と、それと大量生産による物価の下落と、それを両方突き合せてみると、それが全部さばけるためには、要するに有効需要が少いために、結局企業は採算点を割つて、これはダンピングをやらなければならない。これは一番どこに出て来るかというと、中小企業に出て来る。現に一ー三月における中小企業の危機というものは、こういうような性格が非常にある。大企業の合理化に対応して、それに即応してなかなかやれない。やれないために投売りをやる、たたき売りをやらないという状態になつているのであります。この滯貨金融というものが大きな問題になる。 第二番目に、貿易金融として、少くとも千五百億円程度の金がいります。輸入決済資金、あるいはそのほかの一般の貿易資金、補償金、その他こういうものを入れると、千五百億円程度は当然いる。あるいはそのほか、たとえば統制撤廃をどんどんやつている一それによつて今まで公団に貸しておつた金を、一般の企業にもわけ與えて行かなければならない。これによる金も相当いります。 もう一ついるのは、そのようなコストの切下げをやるためには、合理化を強行して行かなければならない。この合理化をやるためには金がいる。先ほど小坂氏は、中小企業の悪いのは倒れてもしようがないと言つたけれども、北村氏が言つたのは、合理化すれば助かるものは殺してはならない。合理化しても全然見込みのないのはしかたがない。こういう意味である。つなぎ資金をくれてやる。あるいは税金の資金を手当してやる。あるいは合理化の資金をくれてやる。そうすれば何とかやつて行けるものは、この際生かさなければならない。そういう意味を含めていると信ずるのでありますが、これらの合理化資金だけでも、少くとも四百億円いるという安本の計算であります。それに対して資金供給の方を見ると、預貯金の減少というものがかなり見られる。昨年はインフレからデフレに入つたために、反動で人心に影響するところから、あのようなかなりの貯金があつた。しかし、ことしはそれを期待するわけには行かない。しかしそれを見越して、ある程度の減少をしておりますけれども、その程度で行けるかどうか疑問であります。もう一つ、直接投資額が昨年よりはるかに低くなるということを、覚悟しなければならない。この株もたれがいつ解消するかわからないけれども、とにかく直接投資は、昨年の半分以下になりはしないかということを、われわれは危惧するのであります。 以上のようなことを考えると、設備資金の千三百五十億、運転資金大体三千三百億ないし五百億、これらのものについて、まかなえるかというと、まかなえない。ただいま申し上げたような、いろいろの資金を合せれば、もつと多くなります。そこで、資金供給の面でどうしても足りなくなるということによつて、有効需要の造出がくずれて来るということを、われわれは考えるのであります。 第二番に考えなければならないのは、海外需要であります。海外需要については、先ほど申すように、ただいま造船の問題にしても、あの鉄鋼の補給金を一挙に切ることによつて造船の経費が上り、それによつて対外競争力が落ちる。現にポンドの切下げ以来、日本の輸出というものは、かなり困難を加えて来ている。この一月、二月の不況というものが、はたして期待するように回復できるかどうか。それは手当がなければ回復はできない。東南アジアその他の政治情勢は、依然としてそんなによくならない。そういう点からすると、この海外市場回復に要するいろいろな努力やら、あるいは国内の企業の合理化に関する経費やら、こういうふうな手当がないというところにおいて、貿易は私は悲観と見なければならないのであります。 最後に、安本長官や大蔵大臣の構想の基本にありますのは、消費生活が一割向上する。それによつて有効需要が起るということなのであります。その消費生活が一割上るということは、実効価格が下るということと、生産増によつて名目賃金が上るということと、減税によつて一割増すことになるのだ、こういうことを言つておられる。なるほど部分的には、そういうものがあるかもしれない。しかしこれらの有効需要が一番起るのは、どこ葦あるかと言えば農村であります。日本の人口の半分を占めている農村であります。この農村における有効需要が、ふえるか、ふえないかということが、死命を制する問題である。しかし現在の農林大臣や、池田財政による政策から見れば、農村の需要はふえるどころか、今年はぶつ倒れなければならない。協同組合はぶつ倒れる。村民税も、地方税もとれない。こういう状態が明らかに観取されるのであつて、需要が一割上るということも、はなはだ疑問であろうといわなければならないのであります。これらの点から見ても、有効需要が上るということは、おめでたい話といわなければならない。 のみならず、第二番目に、この財政政策の基本になつている生産の向上というものが、そのほかの面からあげられるかと言えば、必ずしもそうとは言えない。それはどういうことであるかと言えば、企業が、特に中小企業が参るということであります。ただいま申しましたように、こういう状態にあつて、企業は大量生産によつてコストを下げて、競争に勝とうとする。つくればつくるほど、物は余つて安くなる可能性がある。それによつて物価は一部下る。しかし、それによつて出て来た消費生活の余裕による購買力が、ちようどマッチするかと言えば、マツチしていない。でき過ぎるという危險性がある。それによつて弱小の、少くとも中以下の企業、地方の小都市の企業というものは、大都会の大産業に対抗して勝てない。勝てないから倒れる。投売りをする。たたき売りをする。こういうことを強制されているのであります。一番いい例が、たとえば川口における例、川口におきましては、大体一軒当り、鑄物屋が三十万円から四十万円くらいの生産をやつている。売掛金が大体同じく四十万円くらいあつたのが、わずか九箇月日には、すなわち昨年の暮れになるというと、八十万円くらいに売掛金がたまつて来ている。こういう圧迫が来ている。あるいは輸出関係の織布について見れば、織屋は正月の加工賃が八円、これが九月になると二円に下つている。こういうことが中小企業に全面的に現われて来ている。経済的な合理性を追及すればするほど、今度は社会的不合理性、そういうものから生産面の亀裂というものが、明らかに出て来ると思うのであります。 もう一つの問題は、そのような増産ができるかということは、電力問題にかかつて来ている。しかしあれだけの、つまり三兆二千億という国民所得、あるいは三兆億円といわれる今年度の有効需要、これをカバーするに足るだけの電力があるかと言えば、電力が足りない。その面から見て、鉄鋼やセメントその他の増産に対して、かなり疑問視されるところがあるのであります。 こういうところから昭和二十五年度の財政というものはかなりの苦難を伴うておる。この圧力はしからばどこに来るか、これに対してしからばいかなる対策が講ぜられてあるかということを検討するというと、この圧力がまず来るのは農業であります。この農業に対して政府はいかなる対策をとつておるかと言えば、一番よく出ているのは公共事業費であります。なるほど公共事業費は絶対量はふえているものだから、絶対額はおのおのについてはふえているのは当然である。しかし公共事業費の中におけるパーセンテージを調べてみると、たとえば山林事業については、昭和二十四年においては全公共事業費の中の五・二%である。それが四・一%に下つておる。土地改良事業費は一二・八%が一〇・九%に落ちておる。開拓事業は七%が五・四%に落ちておる。林道施設は一・五%が〇・九%、漁港の施設が一・六%が一・二%、こういうふうに軒並に下つておる。農林省の予算を調べてみると、昨年度は二八・五%であつたのが本年度は二五・二%に落ちております。いかに農林省が虐待されているかということを、われわれはこれによつて計数的にも見ることができるのであります。そのほか具体的な数字を調べてみると、農地改革を見れば、昭和三十四年度においては四十四億円出しておつたのが三十億円、なるほど農地改革は登記事務しか残つていない、こういうことが言われるかもしれないが、あのマッカーサー元帥が指示された農地改革というものは、單なる土地の問題だけではないはずであります。農村民主化あるいは生産力の向上というようなものが根底にあるわけであります。土地の問題だけやつたつて、これはすぐ売り飛ばして、またあの地主制度によつて苦しめられるということすら出て来る。そこで農業生産力を向上して農村の再生産を確保してやらなければならない。そういう面に対して金が出なければならぬ。農業委員会一本にまとめるという構想があるらしいのでありますが、しかしむしろこういう民主的な委員会を活用して、農村の生産力拡充のためにこれを積極的に使う、こういう勇敢なる政策すら私はほしいと思つておるのであります。あるいは食糧関係。供出経費昨年度、二十四年においては十六億三千六百万円、これが昭和二十五年度においては十五億に下つております。あるいは農業保險費によつて見ても五十三億が四十七億に下つておる。軒並に農業関係の経費というものは予算上からも非常な圧力を受けておるということがわかるのであります。 のみならずもう一つわれわれが決して忘れてならない問題は、輸入補給金の問題であります。御存じのように三百七十五万トンの食糧を輸入すると言われておる。これに四百五十六億の補給金を入れておる。しかし農村が憂えることは、国際価格——タイ米は九千円である。われわれが供出する米は四千二百円である。この差をどうしてカバーしてくれるか。われわれの犠牲において日本の工業建設をやつておるではないか。これが農民の痛切な声である。そういうものに対する思いやりというものが全然ない。むしろ食糧の輸入というものは一割とか三割とかは削減して、それに充てるべき補給金をたとえば一割削減する。一割削減すると四十五億出て来る。これをもつて土地改良に使う。災害によつてつぶれた土地を掘り返す費用に振り向ければ、一割くらいの増産ができる。それによつた方が国民経済的にははるかにプラスであります。しかしそういうような政策はない。三百七十五万トンを易々諾諾としてのんで、しかもけさの毎日新聞によれば、関税の問題が出ておる。一九五二年までは農業に関する関税はゼロにしておる。かけてはならぬということである。これはもう農村というものが着物を脱いで、洋服を脱いで、スリップまで脱がされる、こういう状態になつておるのであつて、根本的な農業に対する国策というものは見受けることができないのであります。そこにおられる農林大臣は支持価格制度を好ましいと言うておる。しかし今言うたように、関税制度がそのようになれば、当然農産物については価格支持をやつてもらわなければならぬ。ただいま申しましたように、十八円が二円、三円に落ちるということになる。のみならずローガン構想によつて日本の貿易をドル圏からポンド圏に切りかえた。向うから入つて来るものは何かと言えば、石油、ゴムを除いては農産物である。現に主食その他においても百万トンの米が入つて来る。こういうものがどんどん入つて来れば、必ず日本の農村は徐々に絞められて行くのであります。従つて農産物支持価格制度、価格安定というものが、国策としてもはや取上げられなければならない段階である。こういう政策も予算面にわれわれは全然うかがうことができない。あるいは蚕糸価の安定の問題にしてもそうであります。御存じのように、昨年の春と秋を比べて見ると、繭の値段、生糸の値段がこんなに上つて来ておる。四千二、三百掛から七千掛ぐらいまでを上つたり下つたりしておる。こういうことでは農業経営の安定は期待できない。そこで七千掛なら七千掛でよろしい。八千掛なら八千掛でよろしい。一貫目一千円なら一千円で安定して、それによつて農家経営を保障してやるという政策がなければならぬ。この点については予算委員長も大いに声をからして言つておられたのでありますが、いまだに実現しておらないのであります。あるいは協同組合の問題にしても同様であります。協同組合の現状は、農業会から引継いで、その間若干経理について遺憾な点はあつたろうけれども、農業会の旧資産を引受ける金がない。旧資産を引受けて、これから発展して行くためには、四十五億の金融がどうしてもほしい状態であります。しかしこの金融すらまだ手当ができておらないのみならず、ただいま申し上げたように、地方においては税金攻勢のために、協同組合の預金を全部ひつぱり出してもまだ足りない。こういう状態が各地に出ておるのであります。そういうところに今度出て来た税法を見ればどうかと言えば、法人については特別法人も同じように三五%とるというのである。今まで農業協同組合のものについては、保護政策を加えて二五%という特別扱いをやつておつたのでありますが、本年からは普通の営利会社と同じように三五%の税金を取上げるというような、はなはだ非農村的な、時代錯誤的な政策がここに現われて来ておるのであります。この政策は、農民には、米を売つてお前は草とどろを食えという政策にほかならない。われわれはこういう点においてはなはだ遺憾に思うのであります。 第二番目に、中小企業の問題について見ても、先ほど勝間田君が言つたように、協同組合の振興のために一億数千万円が出ておるにすぎない。しかし今日の有効需要をふやし、あるいは輸出のための有効需要を確保する根本的な同順は、国内市場が撮もならなければ輸出もできない。日本の国内市場は狹い。そのためにさばけないものはダンピングして外国に売つたために、今でもこのように外国から暗い目で見られておるのであります。われわれが外国からダンピングというそしりを受けないためには、まず国内市場を強靱にし、広くして、そうして海外市場というものを目ざさなければならぬ。そのような努力が、この中には全然認めることができない。われわれが先ほど提出したあの修正案の内部において、中小企業に対する出資金あるいは金融損失補償金、合理化のための施設改善補助金、都道府県への補助金、これは特に中小企業は参つておるので、積極的事業をやれという意味であります。あるいは共同施設、先ほど小坂君が言うたように、協同組合下の共同施設の補助金、海外市場開拓に要する経費、国内市場開拓に要する経費、これが全然ここに見受けることができない。單なる事務費にすぎない。こういう状態では、私は政府が中小企業は死んでもしようがないと言つたのは、まことにほんとうであると感ずるのであります。これでは中小企業に対して、第三期の肺病人に自転車競走をやれと言うことにほかならない。こういうような政策をそのまま続けるということに対しては、われわれはほんとうに心から憤りを感ずるのであります。 第三番目に、勤労者はどうであるかと言えば、御存じのように公務員は六千三百七円ベース。七千八百七十七円ベースが出て来ておるけれども、これには振り向きもしない。国鉄の裁定に対しては、この問第一審の判決があつた。これには不服で申し立てる。大体政府がああいう制度をつくつたのは、勤労者から罷業権を奪う。しかし法律秩序の自動的な操作の中でこれを解決して行こう、こういう考えであります。フーバー氏が言つたのも明らかにその通りである。一方においてはそういう改正をやりながら、一方においてはそれが出て来ると芽をつむいでしまう。みずから法を破る態度であるとわれわれはいわなければならない。物価の趨勢を見れば、あるいは今後下落して行くかもしれないしからば今政府はこれをのんでおくということは、あるいは引下げるときにも、五%の場合これを持出して引下げるという合理的な基準を見出す根拠にもなるのであります。目前の利害、目前の予算の計数を合せるために、大きな国家の法律秩序であるとか、労資の問題の解決というものを見のがしておるという点において、私は吉田内閣の労働政策は、はなはだ貧弱であるといわざるを得ないのであります。勤労者に対しては青い鳥を與えよということを片山さんが言つておつたが、しかしこれでは共産党の赤い毒へびを與えることになる。あの騒いだ連中の中には、かなりそういう者がいるということを、私は心配しておるのであります。 その次に問題になるのはどうであるかというと、地方財政の問題であります。地方財政の問題の中で、特にわれわれが訴えなければならない問題は、平衡交付金のわくの問題であります。かつて配付税というものが行われたときには、法人税と所得税を合算した三三%という法律的措置によつて地方の公共団体を守つてやつた。ところがこの平衛交付金のようなものを、政府が單独に一方的にきめてしまう。地方団体はあてがいぶちをもらつて、自分で主張することができない。こういう状態で、どこに地方自治というものがありますか。むしろこういう一方的な平衡交付金制度をやるならば、昔のあの配付税の方が、地方団体、地方自治のためにはいい制度ではないかと私は疑うのであります。これが第一点である。 第二点は、今年は本多国務大臣の努力によつて、三百八十五億程度の地方債のわくが広げられた。この御努力に対しては敬意を表するのであります。しかしながらこれに対する利子が問題であります。国債については五分五厘をとつている。しかし地方債については九分四厘、これではまるで政府は高利貸しをやつているにほかならない。このことは前に私は訴えたのでありますが、今度の予算についてはいささかも修正されておらぬ。現に群馬県の例をとると、打続く災害によつて、昭和二十五年度の予算において二億五千万円の県債の利子を計上しておる。税收入が八億五千万円、八億五千万円しか税收入かないのに二億五千万円県債の利子を計上しておる。それらの災害というものは、県民が自分でやつた災害ではない、天災です。災害復旧費を国庫負担でやつてやるという精神は、国家の共通の大災であつたら、国家がこれを直してやるという精神であります。県債に対してすらも九分ないし九分四厘という高率な利子をとつておるのははなはだげせない。政府は今のうちに国家の借金を返すのだといつて、千三百億の債務償還をやつている。国の債務償還はこれだけやつておきながら、大事な町方団体の債務償還については全然考慮しない。見返り資金はもらえない。利子については九分五厘を国家がとつておる。こういうことでは、はたして地方自治を擁護する意思かあるかどうかということを私は疑わざるを得ないのであります。 第三番目の問題は、平衡交付金のわくの問題であります。たとえば社会保障的な性格を持つておるあの生活保護費、あるいは失業対策費のわくをはずした。これは人によつて見解が非常に違う。われわれとしては、これはある程度いい政策であると思つておる。しからば、さらに加えて、大事な教育予算をなぜ忘れたかと私は言いたいのであります。御存じのように、戰前には村や県や町の財政状況によつて、受ける児童の教育のウエルフェアというか、ずいぶん手当が違つておつた。貧乏な村に配属されておつた学校の先生は給料ももらえない。貧乏な村に生れた子供は、化学実験器具すら見たことがないという不公平が出て来た。こういう教育費というものは国庫によつて確保しなければならない。また教育の機会均等の精神に対して、全然逆もどりをしているのであります。私は福祉国家ということを自由党の人からかつて聞いたことがありますが、こういうやり方をもつて福祉国家と言えますか。全国の均衡をとつて、都会と農村、中央と地方のバランスをとつてやるというのが福祉国家の精神であります。こういう精神から見れば、百尺竿頭一歩を進めて教育費についてははつきりと立てられてあるわくを必ず確保するという措置が、私はほしいと思うのであります。こういう点について、遺憾がらわれわれは地方財政の問題について賛成を表するわけに行かない。のみならず、災害復旧については、十五万円以下の工事は町村の負担になつておる。ところが十五万円の工事というものは、大部分町村の工事であります。ちつぽけな道路がこわれたとか、橋がこわれたとかいうものを直す工事であります。こういうちつぽけな、しかも数の多い町村の負担になつておるところの工事を町村自身がやる。それがために今や全国の町村長はごうごうと沸いておる。こういう点についても、災害国庫負担という精神がきわめて稀薄になつておると私は断ずるのであります。 以上のような観点から、われわれは先ほど予算組みかえの要求を出したのであります。農業復興費二百四十四億、その根底は先ほど申し上げましたように、百四十四億というものを、米価を四千七百円に上げて、その差額を補給金で押えよう。土地改良その他の金に百億を使え、中小企業の振興費に二百億使え、特に円内市場振興、国外市場開拓、協同組合育成あるいは合理化の資金については、優先的に與えろ、あるいは地方税減税、平衡交付金の増額二百億、公務員の給與改訂二百億、これは債務償還でデフレになる要素を公務員の生活費として與えてやるのであつて、これが有効需要の根本になる、直接商取引を多くする、あるいは景気を回復するというようなものは、こういう公務員の船脚のような、消費にすぐ向けられるものに使つてやらなければ有効需要は起きない。こういう点からもわれわれは議員の給與というものを重観しておるのであります。さらに社会保障対策費三十九億、この中に特にわれわれが主張したいのは遺家族援護費であります。アメリカにおいては六十五万ドルの金を使つておる。日本においては、機会均等というので、生活保護費で人並のことしかやられておらない、これはわれわれとしてはまことに忍び得ないのであります。このような経費をぜひとも計上せよというのが、国民全体の輿論であるだろうと信じて、われわれはここに計上したのであります。教育文化費については、育英資金とか、科学、技術の振興費、私立大学の建設貸付金、いずれもこれらのものを合して二十三億というものを計上した次第なのであります。 最後に、この案については、いずれ委員長によつて採決していただごうと思うのでありますが、この池田財政全般を総合して考えるならば、昭和二十五年度予算編成にあたつては、私は少くともインフレの再燃を警戒しながら、均衡財政と健全金融のわく内におきまして、経済の合理的循環を起す、そのために注射を打つてやる、しもやけのところにはこすつてやる、マッサージを與えてやる。こういうような経済の合理的循環を起す、そして拡大再生産の入タートを切らなければならない、これが目標であるだろうと思うのであります。しかし自主性のない政府がやつたことは、ドツジさんにほめられるばかりであつて、国民からは嫌悪の念をもつて見られておる現在の予算であります。池田さんはドツジさんにほめられたことについて、非常に誇りにしておられるようでありますが、私はそのような大蔵大臣の心情を、国民全体のために悲しむものであります。結局占領政策というものが失敗すれば、これは連合国のためにもならないので、そういう大きな観点に立つて、日本人の言いたいことは痛切に言つて、理解してもらわなければならないものは、最後までがんばつて、理解してもらうというのが、国家の大臣たる職責である。しかるに大蔵大臣のやつたことは何であるかといえば、中国においては、軍閥が戰争に負けると、租界へ逃げ込んでしまう。日本においては、政府は最初から租界へ逃げ込んでおる。追つかけると、租界へ入つて行くのが現在の政府の態度であろうと思うのであります。増田官房長官は向米一辺倒といつているようなありさまである。吉田家の家老増田何がしという人は、関係方面の三太夫になつたとわれわれは怒つたのであります。しかもこの財政政策は、小坂委員が指摘したように、これは貨幣的安定に終始しておるのでありまするしからば貨幣的安定のみによつて、自動的にほうりつぱなしにしておいて、このまま好ましい結果が出て来るかといえば、好ましい結果は出て来ない。インフレのべ一ルを取去つて、自立の規模、つまり日本経済が自立する規模と水準を町検討し、日本経済の復興計画を樹立して、生産や投資やあるいは財貨あるいは消費、こういうあらゆる面について、自主的な国策を確立しなければならないのであります。 第二の問題は、一番大事である自立計画というものは、全然池田財政からうかがうことができない。つまあり民族の独立であるとか、あるいは民族の復興であるとかいうことを言うておつても、経済政策が裏づけられておらなければ、これは画餅に帰するのであります。たとえば一番大事な自立経済の基本は食の自給であります。この食糧の自給について、政府は自給に対する努力をしておるかといえば、ただいま申し上げましたように、公共事業費のパーセンテージは減つておる。あるいはまた輸入食糧に関する補給金は厖大に計上されて、まつたくあなたまかせ、お米あるいは小麦のある国にまかせつきりの状態になつておる。のみならず、かつて前々内閣において策定した経済復興計画というものは、くず箱の中に入れられてしまつておる。こういう状態では決して独立への努力、独立への関心があるとはわれわれは考えられない。口で独立だ、復興だと言てつておりながら経済的措置をやつておらなければ、これはまつたくお念仏にすぎないのであります。その根本的な食糧自給に対する努力が全然見当らない。これは吉田内閣の全閣僚の、日本国民に対する第一番目の責任であると、私は考えるのであります。しかも私がここで大蔵大臣及び総理大臣に質問したところは、たとえば中共貿易であるとか、東南アジア貿易であるとか、あるいはインドネシアその他の貿易であるとか、日本の将来の貿易構造、経済構造、つまり日本の経済をどの岸につけるか、そういう目標を立てて、この一定した計画のもとに、そこに近づけて行くような努力がどこにあるか、日本の経済構造をどの辺にすえつけて行くか。いわゆるアジア的経済のうちにおいて、日本の経済をどの水準において安定させて行くか、こういう構想が全然見つけられない。これではまつたく自立への、独立への国策がないとわれわれは断定せざるを得ないのであります。その次にわれわれが指摘しなければならないのは、貨幣的安定というものはもうこの程度にしておいて経済政策から言うと第二期に入つたのである。つまり先ほど申し上げた自立や拡大再生産のための日本産業の近代化、農業も含めて、中小企業も含めての近代化と資本蓄積への努力というものが、まつしぐらに推進されなければならないのである。しかしこれらに関する経費、あるいは施策を見ても完全とは言えないのである。池田財政や青木安本財政が追つているのは、原始的な合理化であり、経済的合理化である。首切り、賃下げ、加工賃のたたき、工場閉鎖であるとか、こういうような原始的な合理化、経済的合理化をやつておるにすぎないのであります。特にわれわれがここで指摘しなければならないのは、見返り資金による債務償還であります。御承知のように、あの見返り資金というのは、アメリカの人が税金で出している金である。アメリカの人、かつて敵であつた人が税金で出している金を、戦争中の公債の償還に使つて、はたして日本人が良心的といえるかどうであるか。復興のためにその金を使つて、近代化のために、自立のためにその金が使われて、初めて筋道が通つておるといわなければならない。そういうような重大な誤謬を犯しておる日本経済を安定させ、健実にさせ、拡大再生産の基礎にこれを使うというのが、当然の政策でなければならないのであります。今のようなはなはだ心外な政策をやつておられるのであります。要するに目前の採算性にのみとらわれた経済的合理性にのみ終始して、社会的な合理性を包括したところの社会連帶主義に基く国民経済的合理性を忘れでおる。その結果、たとえば勤労者や農村や中小企業に圧迫が出て来ている。なるほど統制は撤廃した、撤廃したらここに出て来た経済は何であるかといえば、こく低い水準における停滯であります。池田大蔵大臣は安定であると言つた。安定ではないではないかと野党から質問されたら、低い水準における貧乏な安定でありますと言う。しからばもつとほかの安定があるかと言つたら、高い安定もあると、こう答弁されている。そのこと自体がすでに表明しておるように、今まで統制経済で流して来た、これを自由にふわつとほうり出した、ここに出て来たものが盲経済である。たとえばセメントも木材もガラスも余つているが、家が建たなかつた。金は余つていて、見返り資金はポヶツトの中にあり、これを出しでやれば家もできよう、労働の生産性も向上される。こういう政策がなく盲になつた。従つて統制経済をやつて来て、自由経済にほうり出す前に何かなければならない。調節経済がなければならない。そういうような政策がここに全然見られない。その調節経済がないということは、この低いわずか昭和五九年の平均以下の国民経済に、そのまま永久に甘んじようという考えであります。われわれは決して昭和五九年の平均の低い水準に甘んじようという意思は毛頭ない。その経済政策の行詰まりを打開して、生活水準を前より高めて行かなければならない。そういうような具体的面がない。これを自由にほうつたらかして、盲経済に放任しておくからそれが出て来る。計画性をもつて、先ほど申し上げたような国民経済的合理性をもとにして、生産の能率と生活保障を、計画によつて調節をとつて行く試行錯誤によつてそのバランスをとつて行く。これによつて初めて国民経済の再起はできるのであります。青木安本長官、池田大蔵大臣も知つておるように、日本が明治の初め農業国、後進資本主義国から、いかにして八幡製鉄所をつくつたか、いかにしてわれわれの商船像が建造されたか、この歴史を考えるならば、ふところ手をしたような自由放任経済で日本の富国栄民ということはできない。(「軍国主義か」と呼ぶ者あり)われわれは何も富国強兵だとは言わない。しかし国を富まし民を栄えさすという積極政策、これはまじめな愛国的資本主義的計画経済によらなければならないとわれわれは信ずるのであります。 以上のような点のほかに、最後に指摘しなければならないのは、日本経済を国際的にどこに安定させるかという目標であります。国際経済との均衡水準というものを策定して、明示して、それによつて農村に対しても中小企業に対しても、ベース産業に対しても、これくの合理化をやれ、これこれの基準で今年は安定せよ。そういうような努力の目標を與えてやるのが、良心的な態度であるといわなければならない。しかし池田大蔵大臣は、参議院及び衆議院における質問において、十月くらいからいわゆる恒久的安定の門に入るというような口調を漏らしておられる。しからば恒久的安定という正体はいかなるものであるか。その恒久的安定というものの正体を今出してもらつて、それによつて企業家や農村はいかなる対策をとらなければならないかということを明示するのが、国策ある、責任ある政府の態度であるといわなければならないのであります。そういうような政策は、現在の自由放任、デフレ政策からは出て来ないのである。こういう点において遺憾なく私は自由党の政策の欠陷を指摘できるのであります。 最後にこれらの財政政策をやつたならば、結局われわれの見るところによれば、昭和二十五年度一般会計、特別会計予算の性格というものは、これは自由放任デフレ政策である。その結果まず第一に補給金撤廃、これによつて一方からは国際競争力が重要産業において非常に弱化して来る。第二番目に、長期資金計画というものがまつたくできていない。従つて資本蓄積や近代化がまつたくなおざりにされている。拡大再生産という芽が全然見受けるととができない。第三番目に、有効需要と企業の採算点をいかにバランスをとるかという明確な指標が現われていない。第四番に一中小企業と農村の没落。第五番目に、勤労者の生活の窮迫、特に生活の落差というものが非常にはなはだしくなります。就職した今と失業した人、組織労働者と未組織労働者、こういうものの生活落産が非常に離れている。国民経済、国民生活に亀裂が入つて来るというのが、この予算の性格であります。最後に、地方に対してあまりに過重な負担を與えるがために、地方財政の混乱ということが出て来る。特に附加価値税であるとか、固定費産税というような悪税をつくるために、地方町村ではその能力がない。従つて昭和二十四年までは国民は税務署に押しかけたが、昭和二十五年は市町村に押しかけるということになつて来るのであります。こういうものに対する十分な対案、われわれは発見することはできないのである。 以上総合するならば、このような予算は遺憾ながらわれわれの政策とは根本的に違う。青木安本長官や池田大蔵大臣は、この予算をやれば安定する、天国に入る、極楽に行くというようなことを言つておりますが、極楽に行く前に国民は三途の川を渡る船銭がないということを、大蔵大臣に知つてもらわなければならない。そういう明確な認識に立つて、われわれ民主党国民協同党、新政治協議会三派の要求する、予算組みかえをただちに実行されんことを要望して、私の討論を終ります。(拍手)
○植原委員長 林百郎君。
○林(百)委員 私は日本共産党を代表しまして、昭和二十五年度予算案に対する組みかえ要求の討論をいたす次第であります。 本年になつて日本をめぐる各国の動きは、きわめてはげしいものがあります。アチソン声明によれば、日本は今やアジアにおける防共の拠点と化し、さらにこの事はバンコック会議において再確認されたのであります。アメリカ陸、海、空軍の首脳部の来日、横須賀港の軍事基地化の報道の問題等、日本の問題は今や国際問題の焦点と化されて来、論議の中心とされて来たのであります。中ソ同盟にも、その第一條に、日本並びに日本と結ぶ国の戰略的性格が論ぜられておるのであります。このことは明らかに、日本の問題は日本一国だけとして考えられるのではなくして、国際的関係の一環として考えられなければならないということを、物語つていると思うのであります。従つてここで論ずる本年度国家予算につきましても、單にこれを国内的観点からではなくして、国際的な観点から論じられなければならないと思うのであります。そこで、以上の立場に立つて本年度予算の性格を要約してみますと、第一には、軍事的な性格を持つた予算であるということ、第二には、日本の全産業を急速に外国の独占資本へ完全に隷属化して、植民地化をますます促進する買弁的な予算であるということ、第三には、従つてこの予算が反民族的な、反人民的な予算であるということであります。 そこでまず第一にこの軍事的な予算、この予算が軍事的な性格を持つておるという点でありますが、このことは何も日本共産党が言うだけではなくして、本夕の夕刊を見ますと、各紙ともすでに報道しておるのでありますけれども、コロンボ会議によつて決定したイギリスの対日講和條約の案でありますが、この案のうち、中心的な目標は、明らかに潜在的軍需工業を含む日本の非武装化と非軍事化、日本の戰略的傾向の抑圧ということが、はつきりうたわれておるのであります。このことは明らかに日本の国の産業の軍事化、日本の国の再武装化、日本の国の侵略的傾向があるからこそ、英国のかかるきびしい対日講和の構想が生れて来たと思うのであります。従つてわれわれは、この予算の中におきましても、多分に軍事的な性格を見のがすわけに行かないと思うのであります。 その第一には、平衡交付金千五十億、公共事業費の九百九十億の軍事的な性格についてでありますけれども、政府はこれを特別開発地域として、いわゆる能登半島だとか、豊川を中心とする東三河地区だとか、あるいは南九州地区、その他全国十四箇所の地点を重点地区と指定しておるのでありますが、ここに巨額の平衡交付金を交付しようとしておるのであります。この特別開発地域は、明らかに総合的に軍事的な観点から決定されておるということは、明らかだと思われるのであります。最近本多国務相は、壱岐、対馬を観察しておるのであります。これは明らかにここに戰略物資であるところの鉛だとか、亜鉛鉱の開発の下準備だと伝えられ、このことはこの地域に特に二十億の巨額の投資がなされるということによつて明らかだと思うのであります。その他道路法の改正による国道、地方道路の重点的な増強計画、あるいは主要港湾の整備、あるいは自由地帶の設置計画等に対する公共事業費の使用は、すべてこれあたかもナチスのヒトラーが、道路建設の名目でドイツの軍備再建をいたした事実をほうふつせしむるものがあります。 第二に、千九十億に及ぶ終戰処理費でありますけれども、これは事実上今までと額はかわりない額であるのみならず、科目の区分は明らかに前年度は事業の内容によつて区分されたのでありますけれども、本年度は、総司令部費、副官部費、兵器部費のごとく、主として経費を使用する組織單位によることに改めて、事業の内容をわれわれの目から完全に隠蔽しようとしておること自体で、この費用は何に使われておるかということは、これ以上多言をする必要はないと思うのであります。 第三に、警察費、海上保安庁費の六〇%の増額、たとえば警察通信費が前年度に比較して二倍半の増額を示しておる、法務府の予算は十三億増額しておる、海上保安庁の経費は、前年に比して三割二分増額しておる等は、最近における警察の露骨な軍隊化の復活、秘密警察、特審局の増強、横須賀港を中心とする旧海軍軍人の軍事的訓練の報道と相まつて、これらの費用が明らかに軍事的な性格を持つておるということは、多言を要しないと思うのであります。しかしさらに見返り資金によつて、軍人用住宅の新築費として五十億が支出されておる。注目すべきことは、これは実に終戰処理費以外の費用から支出されておるということであります。以上の点だけをもつてしても、本予算が軍事的な性格を持つ予算であるということは、明らかだと思うのであります。だからこそ本夕のイギリスの対日講和構想の中におきましても、秘密のうちに再武裝の目的に使用され得る以上、またそれと同じような物資の輸入を管理しなければならないというような項目が、含まれておるのであります。 第二番目に、この予算が日本の経済をいかに外国の独占資本に隷属化して行くか、すなわちこの予算がいかに情ない植民地的な性格を持つているかという点であります。この点につきましては、一千五百八十一億に及ぶ対日援助見返資金についてでありますけれども、予算委員会におけるわが党の川上議員の質疑に対して、池田大蔵大臣は、対日援助見返資金特別会計法案の原案において、第四條の最高司令官のさしずと承認に基き使用する云々という條項が、第五国会においてすでに削除されていたということを、一年間も知らなかつたという無責任きわまる答弁をしておるのであります。この点につきまして一言付言すれば、総理大臣並びに大蔵大臣の責任は、きわめて重大であるといわなければならないと思うのであります。しかもこの見返り資金の運用は、事実彼らが右の事項を忘れられているほど、日本の一大蔵大臣はいかんともしがたい性質を持つものであるということは、明らかだと思うのであります。こうした日本の大蔵大臣がいかんともしがたいような性質を持つたこの見返り資金が、電気通信事業へ百二十億、国有鉄道へは四十億、さらに国有林野業へ三十億、公企業へ四百億、さらに私企業へ四百億、債務償還として五百億、経済安定費に二百八十一億投資されるとするならば、日本の経済はあげて見返り資金に依存し、これを通じて遺憾ながら外国に依存するということになることは、明らかだと思うのであります。さらに近く行われるところの五大特殊銀行の株式五十二億の見返り資金投資につきましても、日本の長期金融の心臓部が、見返り資金によつて握られるということになり、かくてこの資金は日本の全経済の中において、千手観音的な支配力を持つということは、明らかだと思うのであります。 次に外貨予算の点でありますけれども、第一に外貨予算の運用を行うところの閣僚審議会が、まつたくの傀儡的存在であつて、何ら自主性のないということは、おおうべからざる周知の事実たと思うのであります。しかもこの外貨予算の具体的内容については、かんじんなことについては、日本側には皆目発表されず、知らされないにもかかわらず、外商側にはつつ抜けとなつておるということであります。この外貨予算のうち、ポンド貨は、当初より五百万ポンドしかない。これによつて一億四千万ポンドの対英協定貿易を操作することは、初めから不可能なことであります。これは今日すでに破局的な事態に立ち至つており、ポンドの国内保有高は、ほとんど皆無になつてしまつた。このために政府は、来年度の貿易計画を根本的に立て直さざるを得ないような状態になつてしまつておるのであります。この日本経済の隷属化の方向は、また日本の全体をあげて外国の借金奴隷のどろ沼に陷れて行くことになると思うのであります。すなわち予算委員会において明らかになつたことく、阿波丸協定の了解事項によりますと、占領費、援助費、その他合計一兆三千億以上の厖大な金額が、吉田首相並びにシーボルト氏との間の了解事項として、わが国の有効な債務として背負わされておるという、了解事項であります。しかもこのことは、全然国会にもかけられることなくして、了解せられたという事実であります。ことごとく日本の経済の軍事的な、植民地的隷属化の方向は、また必然的に国内において勤労大衆を抑圧する政策、いわゆる低賃金、低米価、重税の、反人民的政策となつて現われざるを得ないと思うのであります。 この予算の持つ第三の特徴は、この反人民的な性格だと思うのであります。政府は本年度予算の特徴として、千二百億に上る国債の償還を行つておるのであります。このことにつきましては、第一に本年度に償還期限到来の国債は、わずか八億程度でありまして、これは政府側が出した資料によつて明らかであります。勤労人民を低賃金、低米価、重税で、まつたく壊滅状態に陷れておきながら、あるいは中小企業を倒産さしておきながら、あるいは失業者を氾濫させておきながら、何ゆえかかる厖大な国債の償還をやるのか、政府はこの国債償還によつて、市中銀行の手持ち資金を潤沢にして、これを民間産業へ導入すると言つておるのであります。ところが市中銀行が、この国債償還によつて得た金は、日銀へ環流されることは明らかであります。そのことは、金融はますます日銀へ依存することになり、金融資本が日本の全産業を支配する、この支配権を強化することになることは、明らかだと思います。このことは、日本の産業を復興するのではなくして、かえつて金融資本の利益のために、企業が整備され、合理化が行われ、そのことは、さらに勤労大衆に首切り、労働強化、低賃金というような形で、全部が転嫁されて来ると思うのであります。従つて労働者の賃金に至つては、実に植民地的な、飢餓的な水準であります。 全官公庁労働者諸君の生活状態の調査によりますと、毎月の赤字で二千円の赤字の者は、実に二八%に及んでおる。三千円赤字の出る者は一五%、五千円赤字の出る者は一〇%を示しておる。とかしてこれらの赤字を、どうしてやり繰りしておるかということを調査しますと、大体、借金で赤字をやり繰りしておる者が二七%、売り食いをしておる者が一五%、食費を切下げている者が、実に一三%でありまして、労働者及びその家族は、実に食べものを減らして、その肉体まで直接破壊されておるという悲惨な生活状態であるのであります。こうした実情のもとにおいて、人事院の給與改訂の勧告や、あるいは国鉄、專売の裁定等は、まつた(これは日本の勤労階級の、現在の植民地的な水準を改訂するには、きわめて不十分なものだ。しかもなお政府は、憲法を蹂躙し、法律を蹂躙してまでかかるとるに足らない程度のものすら頑強に拒否しているのであります。問題はこの低賃金に加えまして、さらに労働強化によつて労働者の状態は、まつたく言語に絶し、悪化しておるのであります。たとえば日本鋼管の川崎製鉄所では、最近死傷者や肺疾患者が激増しておるが、二十四年度の災害、疾病の数は、前年度より五七%増加しております。傷病の欠勤者の三分の一は結核患者であります。さらに驚くべきことは、職場の災害でも、公傷になると労働者災害保険が入るために、生活苦に悩んでおる労働者の間には、指一本ふつ飛ばそうかというような、深刻な会話がかわされておる次第であります。また九州のある炭鉱でも、炭車のために手足を引かれた仲間に対し、うまくやつたなというあいさつが、別にふしぎでもなく、普通に使われておるような、悲惨なる状態であります。(「そんなことはないよ」「そんなことはうそだよ」と呼ぶ者あり)以上が就業労働者の生活の実態である。一千万人を越える失業者の生活実態に至つては、まつたく文字通り餓死線上を彷徨しておるのであります。もし私の言うことがうそだと言うならば、職業安定所へ行つてごらんになればわかります。失業者が夜中の十二時から火をたいて、次の朝の八時まで待たなければ、自分の職につくことができない。夜中の十二時から午前八時まで、火をたいて待つて、やつとその日の職につくという状態である。池田大蔵大臣は笑い顏をもつてこれに報いておられるが、このみじめな状態を、一度あなた行つてごらんになつたら、はつきりすると思います。 このように、労働者を塗炭の苦痛に陷れ、おそらくあなた方の想像できないような、この状態、これが真実の姿であります。あなたは国会で笑つて聞いておられるけれども、現実の姿はこの姿であります。 このように労働者を塗炭の苦痛に陷れている低賃金政策は、同時に農民に対する低米価政策となつて現われているのであります。すなわち四千二百五十円の低米価と強権供出による農民の收奪政策、しかもこれを基礎にして、国際的な過剰食糧をわが国に押しつけるための政策のベースとしておるのであります。しかもこれは同時に、農村における厖大な産業予備軍と、低廉なる軍事労働力を温存せしめるものである。ソシアル・ダンピングの源泉にも、同時になつているのであります。吉田内閣の農業破壊政策によつて、農業恐慌のあらしは、日本農村をまつたく荒廃に帰せしめております。農民は、かつての不況時代より以上の苦難をなめつつあります。昨今、福島県その他の單作地帶におきましては、人身売買が盛んに行われている。社会問題を引起したということは、すでに周知の事実であります。また秋田県では、県全体にこの人身売買が起つているのでありますが、人買いが盛んに横行している。大体一人で十人くらい買つて行く。二十歳前後の農家の娘さんが、大体相場が一万五千円、行先は大体北海道の漁場のあいまい屋であるけれども、この傾向は最近ますます盛んになつている。豚でさえ一年半育てても三万円になるが、娘は一人一万五千円、これが農村の情けない現状であります。 最近では農村経済の行き詰まりは、農業生産の基礎を破壊せんとしている。富山県の中新川郡のある村では、春肥の過燐酸一万貫の配給を割当てたのに対して、その六割は辞退されている。その隣村では、二千九百貫の肥料の割当に対して、七割の辞退が出て来ている。地方事務所では、本年度の米作に対して大影響があると言つて、ろうばいしているのであります。そればかりではなく、本年度の農業用、報奨用物資は、その五〇%が拒絶されている。また全国の農業協同組合は、現在その三八%が赤字で、破産に瀕しているのであります。このことは、かつての日本帝国、主義のもとにあつた朝鮮や滿洲の農村の、あのみじめな状態とどこが違うでしよう。 さらに中小企業の惨状に至つては、まつたく言語に絶するものがあります。たとえば川口の鑄物工場は、全工場の四割が休業しておる。金物問屋は、終戰後の三分の一になろうとしておる。絹、人絹織物工業は、山梨県の郡内では、その九割五分が休業しておる。八王子ではその半数が、絹、人絹企業は休業しておる。遠州の人絹工場二百七十は、三月一ばいから一齊に休業に陥つておるのであります。この荒廃しつつある中小企業に対する吉田内閣の答弁は、何か今もこちらから声があつたが、それはあたりまえだと言つておる。この声は同時に池田蔵相の声である。この際五人や十人自殺する者が出てもやむを得ない、じたばたするな、との過渡期に中小企業など相当犠牲の出るのはやむを得ない。この全国の中小商工業者を憤激させた池田蔵相の暴言こそ、吉田内閣の本性だと思うのであります。本予算におけるこの反人民的な性格は、税の政策に至つてはますます苛酷なものになつておるのであります。こうした人民の苦しい生活の犠牲のもとで、植民地的な高率の税金を、労働者や農民、中小商工業者にかけておきながら、数字のからくりだけで減税とか何とかごまかしを言うことは、まつたく人民を愚弄するもはなはだしいと思うのであります。日本の税金がいかに高いかということは、このたびの税制改革において、外国人に対する特例を設けまして、所得に対しては基礎控除を五〇%、富裕税や附加価値税は免除し、さらには所得税を三年間延納させようとしておるのであります。そうしない限り、外資は入つて来ないと言つておる。この外国人ですら、三年腸所得税を免除して、基礎控除を五〇%しなければ外資が入つて来ないという、こうした外国人ですらやつて行けないという税金で、どうして日本人がやつて行くことができますか。国税が七百億円減じたという。しかし地方税は四百億——政府の言うこどは、国税は七百億減らす、そして地方税を四百億ふやすということを言つて、結局三百億減税たと言いますけれども、しかしもし地方税を政府原案の通りとるとすれば、明らかに附加価値税は徴税目標を五百億超過する、住民税で二百億増加する、固定資産税で百五十億、合計八百五十億の水増しが、当然計数上出て来ておる。こうして結局地方税は千二百億の増税となることは、すでに全国の市町村長はもちろんのこと、資本家の諸君でさえ声を大にしていることは明らかである。だからこそ、政府は今もつて地方税法を国会に出すこともできない。また專任の地方自治庁長官をきめることもできない。このことは明らかである。ところがこの附加価値税や固定資産税のべらぼうな増税は、直接には労働者の賃金に響き、間接には電気料金や地代や家賃の値上りとなつて、すべて大衆の肩に転嫁されておるのであります。このためにこそ徴税費は増額され、水増し課税を合法化するところの異議申立てを禁止する青色申告制度をつくつてみたり、あるいは処罰規定を強化するようなことが意図されておると思うのであります。 一方このたびの税制改革を、われわれは單に税負担の増減と、う面からだけ見るわけには行かないのであります。この税制改革は外資導入の地ならしとして、日本産業の軍事的な再編成のてことして利用されるという、重大な意義があるのであります。たとえば外資は、資産の再評価あるいは固定資産の再評価等を通じて、おのれの好む適当な條件をつくり出して、ここに進出することができるようになつておるのであります。 以上述べました諸点こそが、昭和二十五年度予算の持つ性格であります。だからこそわれわれは、これを軍事的な植民地化予算と呼び、また反人民的予算と呼ぶのであります。この予算によつて表わされた吉田内閣の政策こそ、ポツダム宣言を蹂躙し、公正な全面講和を妨害するものと断ぜざるを得ないのであります。われわれはソ同盟社会主義諸国を先頭とする、社会主義の人民民主主義諸国、並びに平和を愛する全世界の勤労人民とともに、世界平和と日本民族の独立を守るために、これを妨げる内外の反動勢力と闘うものであります。かかる意味において、わが党は本予算案に対しては絶対に反対し、全面的に組みかえを要求するものであります。 なお中曽根君提案の一部組みかえの動議についてでありますけれども、この予算案によつて、人民大衆の生活がまつたく破壊されようとする事実を見るときは、この提案の動議については、一応了とするものがあるのであります。この予算がいかに反人民的かということは、今日この国会を取巻いた何万という勤労大衆の悲痛な声によつて明らかであります。しかも聞ぐところによれば、政府は警察をもつてこの大衆を解散させようとしたことすら、われわれの耳に入つおるのであります。こういうことは、明らかに吉田内閣がいかに反人民的か、しかもこの予算がいかに反人民的かということを、物語るに十分だと思うのであります。しかるに自由党では、この一部の組みかえをすら拒絶しようとしておるのであります。この点だけでも、いかに自由党が反人民的であり、吉田内閣がいかに非自主的であるかということは、立証して余りあると思うのであります。わが党としては、この予算案の軍事的、植民地的、反人民的な根本的性格は、この一部の組みかえをもつてしては、とうていその本質を改めらるべきものでないと信じますがゆえに、ここに本予算案の全面的な組みかえを要求し、その一部分の組みかえに対しては反対するものであります。 以上をもつて日本共産党の本予算案に対する意見を終ります。
○植原委員長 林君、ちよつとお待ちください。委員長は、議員の言論はつとめて自由たることを欲するのでありますし、そのお言葉に干渉いたしたくないのでありますが、議員の品位のために、林君のただいま御発言になつた——私が聞き違いかもしれませんけれども、九州のある工場で、手足を機械でとられた者を、よくやつたなあというようなことは、これは日本の国会における発言としてはゆゆしきことだと思いますから、あなたのためにも、国会の品位のためにも、一応ごらんになつて、少し御訂正になつてはいかがかと思います。それと、もう一つ、秋田県における人身売買が盛んであつて、その一人々々が一万五千円だとかいうようなことは、この議会において、私は国民の品位のために少しくお考えになつて、あなたお改めになつてはいかがかと、念のために御注意申すのであります。
○林(百)委員 私は委員長の御忠言は、その意図は了といたしますけれども、この委員長が驚かれるような事実、これが真実であるのであります。われわれは十分な調査によつて、このことを申し上げておるのでありますから、私はこれを訂正する意思は絶対にありません。それほど悲惨な状態が、吉田内閣の政策によつて行われているということを、私はここで再び申しまして、私の意見をこれで終ります。
○植原委員長 林君が、委員長の親切なる言葉に対して、御同意なさらないことは遺憾であります。委員長としてこれ以上立ち入ることはいたしませんが、このことはどうか委員全体の問題として、実は御考慮願いたいのであります。次に竹山祐太郎君。
○竹山委員 私は国民協同党及び新政治協議会を代表して、ただいま議題となつております本予算案に対し、民主党とともに修正案の動議に賛成をし、政府の原案に反対をするものであります。 本年度の予算案の最も重点としてわれわれが考えなければならない問題は、この予算を実行しようとする日本の現状に対する認識の問題であると思います。現政府が二十四年度予算以来、本年度予算にかけて実行をしつつあるこの現実の事態というものは、私が申すまでもなく、農業者や中小商工業者、また労働者が、非常な生死の関頭に立つ困難なる事態を、十分認識されての上と思うのであります。この現状から見て、本年度予算案に国民が最も大きな期待を持つたものは、今の自由党の表看板であるところの減税問題であると思います。この一枚看板である減税問題を、しばしば池田大蔵大臣は誇大に放送をいたしておりますが、国民は決してさようには認識していないと思います。それは、現に今行われつつあるところの二十四年度の徴税の事実によつて、国民は認識をいたしております。昨年以来水増しに水増しを加えた増税が、今日の事態となつて現われておつて、農村においては、鶏一羽、庭の木一本にまで課税をするという、かつてない苛酷なる徴税が行われつつあるのでありまして、この非常に膨脹をした税金に対して、シヤゥプ勧告に基いて、本年度の決定額をもつて明年度の予定申告とするというわくをきめられる以上は、決して明年度の税金が非常に楽になるとは考えられないのであります。こういう問題をわれわれは考える場合において、今までの状態の、各年度の一つの通例となつておるところの、予算に対して税金が著しくとり過ぎをする、超過收入であります。今日まではインフレに次ぐインフレの状態でありましたから、当初の予算よりも税金が増加するという事実は、ある程度あり得ることでありますが、二十五年度においてもさようなことが行われるとするならば、これは驚くべきことであつて、むしろ現在のデフレの状態を持ち来した政府の考えから言えば、当然もつと減らなければならぬことであると思いますが、今の末端における税務署の割当徴税の現状から言えば、昨年以上の大増税をいたしておるということは、国民が身にしみて考えさせられておる問題であります。これは結局今の大蔵大臣が、その超過の收入をもつて、予算の実行上有利に運用をしようとすることから来る政府の運用の間違いであると私は考えるのであります。先般もこの委員会において、本多国務大臣との間の質疑を通じて、こういうことは政府としては考えられないことであるという答弁すらあるのであつてこの点は私は政府の統一ある見解によつて行われなければならないと考えます。今日の政治の一番重大な問題は、敗戰による日本の困難なる事態に向つて、国民が再建にいかに熱意をかけるかということであると思います。今日の徴税の事実から見るならば、国民が国家再建に協力するという熱意をさます。ことはなはだしいものがあるのであります。きようも東京の税務協力会の人が来て、涙を流して痛憤をいたしておりますことは、国家のためにまじめな正義の人々によつて、納税の協力会をつくつておるという、実に珍しい会があるにもかかわらず、政府はこれに対して何らのあたたかみも、また協力もいたしていないということを、憤慨いたしておるのであります。こういうような冷やかな政治では、この苦しい冷嚴なる現実に対して、国民が心から今日の日本の再建に向つての熱意を起すことはできないと思うのであります。私は今までの諸君によつていろいろ述べられましたから、いろいろな方面に対する見解は省略をいたしますが、先ほども代表的総括質問において申した。またその答弁に、きわめて不満足でありました日本の食糧政策の問題から来る農村人口の問題であります。私が初めから心配をいたしておりました問題が、ぼつぼつはつきりと現われようとしておりますが、昨年以来現政府がとりました農業に対する予算の片鱗は、農業を私企業と考えて、農業に対する基本的な投資は農民の経済力をもつてなすべしというやり方が、はつきりと本年度予算にも現われております。この点はおそらく大蔵省やあるいは安本などの考え方が、あるいは自由主義的な代表の現われでもあるかもしれませんが、一体日本の農業を自由の私企業と考えて、農業の成立をする限度にこれをとどめるならば、しかも今政府が考えておるような庭大なる食糧輸入をなさんとする状態において、何ぼの農村人口の保有を許され得るのか、私は決して日本の農業政策は、純然たる自由経済の政策でもつて保持できるものではないと考えます。莫大なる保護政策をなし得ても、なおかつこの厖大に保有をせしめられておる農村人口の維持は、困難であると考えるにもかかわらず、その基本的な考え方が、自由主義的私企業と考えての対策に出発をしておるとするならば、日本の農業は全面的に崩壊をするよりほかはないと考えるのであります。こういう見地から、私は先ほども小麦の国際協定に関する参加の問題を総理に質問をしても、コミンフォルムと間違えております。一体総理は、農業問題に対して何の見解を持たれておるのか。労働者は大きな力をもつても動きます。中小企業は池田放言によつても立ち上る機会を得ましたが、非常な分散をし、組織力のない農村の問題に対する政府のきわめて冷淡なる態度を、私はこれによつて証明し得たとも考えられるのであります。決して私は、農業政策を狭い意味に考えておるのではありません。この大きな食糧政策を通じて、国内の農業の安定をはかり、その厖大なる人口の保有のために、国家が当然盡さなければならない問題であると考えますが、この点に対して、本年度予算を通じてわれわれは何らその片鱗をだに認めることはできないし、四百五十億の食糧輸入補給金また肥料の補給金を、われわれは十分に削減し得る余地を考えておりますが、あるいはこれを増さなければならぬような状態に、臨時国会を開かなければならぬような状態になるのではないかと憂えております。こういうことでは決して今日の日本の再建の基礎は、この予算によつては期待をできません。また中小企業の問題にいたしましても、ローガン構想によつて莫大なる輸入物資が計画以上に入つて来たことが、今日の中小企業の窮状を起した大きな原因であると思いますが、この点などもまことに無計画に不親切に行われたことであつて、こういうやり方を通じて、中小企業、農業に対する考え方というものが、われわれは理解できないほどであります。見返り資金の問題についても、先ほど質問をいたしましたが、大蔵大臣の答弁には満足はできません。これは初めからどうしても国民の肥料代金であり、食糧代金の形のかわつたものである以上は、まず第一に考えて行かなければならぬ、その恵まれない農業者や中小企業方面に出して、残りがあれば、大産業に出すこともけつこうだけれども、そういう方向をとるべきであるという主張をいたして参りました。政府は一応のテーブル・プランは確かにつくつたことは、新聞等に現われておりますが、その中にある農業に対する投資は、今日なお三月がもう余日も少いのに一文も出ておりませんが、それに対して何ら良心的な大蔵大臣の答弁が得られないほど、この問題を等閑視しておるのが、現内閣の農業に対する考え方であります。これでは私は今後のやり方も、今年の二十五年度の予算のやり方も、決して好意をもつて見るわけにはいかない。依然として同じようなことになるのではないかということを、考えざるを得ません。 また地方財政に対する問題については、先ほども申した通り、法律も出ないし、中身もわからないままに審議をいたし、今日の結論をいたさなければならぬことであつて、きわめて不満足であり、税金の問題が、水の上に現われた氷山の頭の国税を少しぐらいかじつたからといつて、その足になりますところの地方財政の問題については、ほんとうに真劍な討議をしないで予算全体をきめなければならぬことは、はなはだ不満足であります。この問題については、いずれまた別の機会に論ずるとして、全予算に対する地方財政の問題として依然として心配な問題は、地方における貧弱町村がどうしてこれで守つて行けるかという問題であります。 そのほかいろいろ申したい問題はたくさんありますが、私はまた別の機会に譲るとして、今日は以上数点を述べて、この政府のつくつた二十五年度予算には、依然として今の日本の国情に対して非常に心配な点が多くあるこのままでは決して日本再建のために国民が熱意を上げることはできない。そこに、困難な情勢の制限の中において、われわれがなし得る最大限度の修正の問題を取上げて提出をいたしたわけであります。従つてわれわれは三党の案に対して賛成をし、政府の原案に対して反対をするものであります。 以上をもつて討論を終ります。(拍手)
○植原委員長 松本六太郎君。
○松本(六)委員 私は農民協同党を代表いたしまして、今年度の総予算案に対しまして反対の意を表明するものであります。すなわち社会党の御提案になりました全面的の予算の組かえを要求いたすものであります。その理由は大体においては、前に各派の諸君から詳細な点についての御議論がありましたので、私は時間も非常におそいので、多くを申し上げません。しかし主要なる一、二の点について申し上げて、われわれの反対の理由を表明いたしたいと存じます。 すなわち本年度のこの予算案は、先ほども論じられましたことく大衆を犠牲にいたし、日本の産業を破壊し、しかしてわずかに名目的な、あるいは形式的な政府財政の收支の均衡を得ておるというにすぎないのであります。このことはすなわち何を意味するかと申しますれば、まさにわが国の復興、国民生活の安定という重大なる政治の目的と逆行するところの暴政であると、断ぜざるを得ないのであります。すなわち政治の要諦は、申し上げるまでもなく、国民生活の安定のこの一語に盡きると思うのであります。それがためには、国民大多数の従事いたしまするいわゆる農業、あるいは中小企業等のこれらの産業が発展をいたし、これらの生産力が増強するごとによつて、初めて経済の復興、国民の生活の安定が期待されるのであります。しかるにもかかわらず、これらの重要なる問題はことごとくこれを蹂躙いたしまして、わずかに政府財政の收支の均衡に努めたという点に至りましては、われわれはこれはまさに政治ではない。すなわち一事務家の仕事としてはそのようなこともあり得るでありましようけれども、いやしくも政治といたしましては、かくのごときものではとうてい日本の再建を担当するところの資格は断じてない。このことをわれわれは強く主張いたすものであります。大蔵大臣はしばしば財政収支の均衡——アメリカですら今年相当額の公債を発行しておる。しかるにわが国は完全なる財政收支の均衡を得て、ややもすれば相当の剰余金を出すということを言われて、非常に得意になつておられる。しかしアメリカのような生産力もあり、しかも国民生活の水準も高い国においてすら、ある程度の公債の発行をするということは、一体何を物語るか。これは国民の負担に十分なる注意を拂い、国民負担の軽減をはかりまするがゆえに、さような政策が生まれて来る。わが国のこのみじめな国民生活の現状において、苛斂誅求をして税金を取上げ、しぼり上げて、国家財政のつじつまを合せるというようなこやは、これは暴政をやればだれでもできる仕事なのであります。しかしながら前段申しましたことく、この政治の要締は、さようなものではない。すなわちわれわれの所期いたしますところの政治は、まず大多数の国民が従事いたします、今日まさに死活の岐路に立つております農村を救わなければならぬ。次には中小企業も立ち行くような政治をやらなければならぬ。かくのごとくいたしまして、産業が発展いたし、生産が増強いたすところに、初めて国民の生活安定があり、産業の復興がある。経済の安定があれば真の意味の安定が得られるのであります。しかるにもかかわらず、これとまつたく逆行するごとき政治を行わんとしております。しかもたびたびわれわれが指摘いたしますように、この税制の改正にあたつても、これらの点については、さらに考慮は拂われておらない。本日午後でありましたか、総理大臣に対して私はこの点について総括質問をいたした。森農相はこれに答えられて、農村における協同組合の真の状態、まさに破綻に瀕しておるという状態は、これは政府の責任でない、農民の無自覚によるものだという答弁をしておられる。農林大臣にして日本農村の現状を認識せられざるもはなはだしい。一体協同組合が破綻に瀕しておるということは、協同運動が不徹底であるという原因ばかりではない。そこにも多少の要素があるにいたしましても、主たる原因は、これを構成する農民の経済力が極度に疲弊困憊をいたし、出資金に出す金もない。あるいはまた、これらを育成するところの運動の気力をも失つておるというところに、原因があるのであります。これに対する税法の上においても何らの考えをもいたさない。さらにまたその他の手段による協同組合育成についても、何らの施策の見るべきものはないのであります。かように感じ来りますれば枚挙にいとまがないのでありますが、私は別の機会に詳しくこれらのことを論ずるといたしまして、本日は時間の関係もありますから、多くは申しません。 要するにこの総予算案というものは、わが国の現状を認識せざる亡国的暴政であつて、しかもこれらは断じて国民の容認せざるところであるということを、私は断定いたします。ゆえにこれは政府に返上をいたします。すみやかに政府は国民の期待するごとく、わが国の現状に即する予算案を編成せられまして、再び提出せられんことを要求いたしまして、私の討論を終ります。
○植原委員長 岡田春夫君。
○岡田(春)委員 私は労働者農民党を代表いたしまして、この予算に対して返上の要求をいたしたいと思います。その理由をごく簡單に申し上げたいと思います。 先ほどの各党の討論によりまして、詳細の点はすでに明確になつておりますから、要点のみを申し上げてみたいと思いますが、まず第一に、この予算は低賃金をくぎづけにいたしまして、低賃金と低米価の基礎の上に立つて、六千億に達する厖大なる予算を組みまして、大資本の蓄積と擁護のためにこの予算の大半を使つている。こういう点からいつても、われわれは絶対に承服のできない点であります。たとえば旧債務償還について千三百億の予算を計上しながらも、今最も必要である六・三制の経費についてはわずかに四十五億円しか組まれておらない。あるいはまた一千数百万に達するであろう失業者に対して、わずかに八十億の失業対策しか計上されないというようなこの一例を見ましても、明らかに大資本を擁護するという明確なる性格が現われているのであります。しかもその資本の蓄積の方式としては、まず第一に強制的な資本の蓄積と、任意的な資本の蓄積との二つのコースをもつて、この予算は資本の蓄積を行いつつある。まず第一に強制的な資本の蓄積の点においては、あらためて喋々申し上げる必要はないのでありますが、公共事業費においても九百九十億あるいは先ほどの旧債務償還において千三百億、あるいはまた見返り援助資金において千三百億の予算を計上している。こういう点において、直接に大資本の蓄積と擁護のために、これらの予算が使われつつある反面において、任意的な資本の蓄積の面においては、税制の改革の過程を通じて、任意的な資本の蓄積が行われつつある。たとえば国税においては、この予算において七百億の減税が行われたと言いだがらも、反面において地方税制に莫大な増税が行われておる。しかもこの税制改革の結果において、上には軽く、下には重い税金が行われようとしておる。一昨日……(「何を言つているか」と呼ぶ者あり)何を言つているかというのは、これは予算委員会に出ていない人の意見で、この点は一昨日の三月七日の予算委員会において……。 〔発言する者多し〕
○植原委員長 靜粛に願います。
○岡田(春)委員 答弁におきましても、たとえば八万円の俸給取りの独身者が、現在の税金においては一万二千円の税金を拂わなければならない。ところが今度の新税によると地方税と国税を合せた場合において、一万四千円を拂わなければならない。この点を政府委員が明確に答弁をいたしているのであります。決して今度の税制改革において、税金が軽くなるのではなくて、低額所得者の場合においては、むしろ税金がよけいになつて行くという事実を見のがすわけには行かない。そればかりではありません。大資本の場合において、これはこの国会の一月の再開劈頭において、池田大蔵大臣に私が質問をいたしまして、この点ははつきり御答弁をいただいているはずでありますが、シヤゥプ勧告の中において、たとえば無記名預金の停止を勧告いたしておるのであります。ところが無記名預金の停止の問題については、本会議の答弁において、大蔵大臣は明確にこれを停止いたしますと言われたはずである。ところがこの点についても、予算が通過する現在においても、いまだにこの措置がとられておらない。あるいはまた株式の名義の書きかえの問題にいたしましても、シヤウプの勧告においては、名義の書きかえが行われるべきであると言われているにもかかわらず、これが事実において不可能であるというような名目をもつて、シヤウプ勧告を拒否しているのであります。あるいはまた地方税の固定資産の再評価の問題にいたしましても、いまだに再評価の内容すらきまつておらない。向うの方に交渉しているとして、予算の中にはこれが出されて、再評価の内容は税法として出されておらないのである。こういう点から見ましても、少くとも大資本家、独占資本家に対する税制の問題については、シヤウプ勧告をできるだけなまぬるくして、緩和して、そうして大資本家擁護のために、大資本の蓄積のために奉仕しつつあるにもかかわらず、反面において労働者、農民、中小商人に対しては、先ほどから申しているような莫大なる税金の問題や、金詰まりの問題を通じて、吉田内閣はこれら勤労大衆に対して圧迫を加えつつあるのであります。こういう点から行きましても、われわれはこの予算については、絶対に賛成するわけには行きません。 第二の反対の理由といたしましては、今度の予算によつて補給金が九百億円減額になる。ところが補給金が減額になるかわりに、品物のマル公は値上げになるという点であります。すなわちペイイング・ベーシスを基礎にいたしまして、いわゆる自由採算主義によつて中小企業の没落と農民の窮乏、労働者の危機をこの予算によつて招きつづあるのであります。マル公の引上げにつきましても、すでに予算委員会で論議の結果明確になつているのでありますが、補給金を撤廃したために、肥料は一月には二割の値上げになり、八月には七割五分の値上げになつている。鉄の場合においても、銑鉄は一月に三割一分、七月には七割五分の引上げが行われます。このようにして独占資本の生産品であるこれらの品物のマル公をどんどん上げることによつて、中小企業のコスト高を通じて中小企業は没落の危機に追い込まれざるを得ないことは明確であります。そればかりでなく、肥料の値上げによつて、低米価に押えつけられて参りました農村は、ますます窮乏に陷らざるを得ないこともまた、申し上げるまでもないわけであります。このような点においても、私たちは絶対に反対するわけであります。 第三の点は、先ほど林君からも申されましたように、公共事業費の九百五十億を通じて、軍事基地化の促進の危險性がきわめてあるという点であります。こういう点についても、この予算は国内産業を危機に追い込んで、日本の国を植民地化するばかりでなくて、軍事基地化の危險性すら與えているという点であります。こういう点についても、われわれは絶対に賛成するわけには行きません。 その次の問題として、旧債務償還の問題でありますが、この点につきましては、先ほど申し上げた通りに、一部の独占資本、金融機関、これらに対して一千三百億円の旧債務償還をこの予算の中に計上されている。ところが労働者に対する債務に対しては、この内閣は一銭も支拂おうとしておらない。たとえば国鉄の仲裁裁定の明文にもありますように、国鉄の仲裁裁定は、公社が国鉄の従業員に対して、毎月千円ずつの支拂い不足をしておる。この点が明確にされ、すなわち公社は国鉄の従業員に対して毎月千円ずつの借金をしておるのであるからして、この千円ずつを支拂つて行くべきであるというのが、国鉄仲裁裁定の結果であります。これに対しましては、自由党は、吉田内閣と連繋をとつて、この国鉄の裁定を国会内の多数の力によつてこれを蹂躙して、労働者の債務に対しては、公社並びに吉田内閣はこの債務を蹂躙するばかりでなくて、反面において大資本の債務償還だけの千二百億は、これを支拂おうとしておるのであります。こういう点から見ましても、われわれはいかなる点から見ましても賛成するわけには行きません。 その結果、この予算を通じて日本の経済はどうなるかという問題であります。この点について、あらためて申し上げる必要もないのでありますが、労働者、農民、中小商工業者の犠牲の上において莫大なる大資本の蓄積が行われておる。そのために国内市場は極度に逼迫をいたしまして、世界経済の恐慌突入の段階と思い合せまして、日本の経済は極度な危機に立ち入らざるを得ないのであります。のみならず、この独占資本の擁護をあらゆる方法を通じて努力するにもかかわらず、昨日国会に提出を決定いたしました外資導入法によつて、日本の大資本は、急速に買弁化して行も危険性がふえて参つております。その買弁化を通じて、日本の国が再び戰争の渦中に巻き込まれる危険性すら與えられておるのであります。このような点を考えました場合において、この予算がいかなる理由に立つても賛成することのできないことは明確であります。この予算の編成の前提といたしまして、吉田内閣は手放しの楽観論の上に立つて、経済は安定せりという夢の上に立つて、この予算が組まれておる。この現実の状態を見た場合において、総理が施政方針のときにおきましても、池田大蔵大臣が財政演説のときにおきまして。も現在の状態は経済が安定をしておるという、この放言の上に立つての説明があつたのでありますが、少なくともこの間池田大蔵大臣が、中小企業者の五人や六人は死んでもかまわないと言つた、あの放言を見ても、明らかに施政方針あるいは財政演説においての経済安定論というものは、これは單なる夢であつて、現実はまさに危機のまつただ中にあるということを認識しなければならないはずであります。このように希望としてのドツジ・ライン、実相は危機であるということ、この二つのちぐはぐを、吉田内閣は今後においていかなる形で調査して行くであろうか。私たちはこれを考えた場合において、おそらく希望は單なる雲の上の空想論に終つて、間もなく吉田内閣はみずからを投げ捨てることによつて、退陣することによつて、現実の波の中に吉田内閣は崩壊せざるを得ないであろうということを、私はここに断言しておかなければならないのであります。吉田総理大臣は去年の夏においても、大磯に引込んでおるときに講談本を読んでいたと言われておるが、近ごろは大磯において、講談本ではなくて、桃太郎のおとぎ話を読んでおるとしか思えない。国内が非常に富んで軍備をやろうとする桃太郎のおとぎ話を読んでおるとしか考えられない。このおとぎ話の具体化が、予算の上においては今年の予算である。今年の予算はまさに桃太郎の予算であるといわざるを得ないのであり享。われわれは日本を愛するがために、あるいは民族の独立を求めるがために、自由党の諸君のごとくこの予算をうのみにしないのであります。われわれはこのような立場において、あくまでもこの予算に絶対に反対して、すみやかにこの予算が撤回されることを望む次第であります。(「何人おるか」と呼ぶ者あり)自由党は、現在何人ある九とわれわれに言つているが、この言人の夢は近いうち吉田内閣の退陣の後の総選挙において、この吉田内閣を基盤とする自由党は壊滅するでありましよう。このことを断言しておきます。(拍手)
○植原委員長 世耕弘一君。
○世耕委員 時間の関係もありますので、ただいま議題になつております本予算に対しまして、警告付賛成をいたします。 さて本予算案を通覧検討いたしまするに、一応時局柄といたしまして、均衡予算の形式は整つておると思われるのであります。しかし均衡予算を組むに熱中した結果、数字にとらわれて、政治目的の実体たる国民生活の実情、実態をつかむことを忘れておる点があるようにうかがわれるのであります。政府は国民経済が安定せりと言われまするが、それは皮相の観であつて、国民経済はまさに四苦八苦であります。政府はまた均衡予算を組み、赤字財政より初めて黒字予算となつたと言われておられまするけれども、そもそも国家財政の均衡予算とは、国民経済と国家財政とが均衡を保つところに真の均衡予算があるのであつて、国民生活と切り離して、いかに国家財政が黒字予算となつたとて、それは真の黒字予算と称すべきでないと思うのであります。 次に給與ベースの問題であるが、勤労者の要求額はあながち不当とは言えぬ事情にあると思われます。もしそれ財政上要求額を満すことが不能とするならば、米麦の主食の確保等につき、なお別途の方法を講ずれば、実質的に給與生活者の不安一掃が可能であると思うのであります。この点に対して政府の努力が不足しておることを指摘したい。 税制の問題は一応軌道に乗つたと言えるが、議会での決定方針が、ややもすれば末端行政にゆがめられ、そのために納税者側に不当の負担をかけ、あるいは悪感情を起さしめて、納税成績を不良にすることは、はなはだ遺憾である。この点特に政府当局者の甚大なる注意を喚起したいのであります。 次に外資導入につき、これが国内態勢を整えない。そのため外国の民間資金の流入がきわめて僅少であります。すなわちこれらの点がまた外国貿易不振の一因と思う。この点政府の努力を必要とする。 米国援助物資見返り資金の題目は、実はその内容は借款であり、一切が債務である。ところがこれを米国側よりの寄贈あるいは贈與されたるやの感を一般国民に與えておることは、適当でないと思います。よつてこれが一切米国からの債務、借金であることを明示すべきであると思います。 次に一般金融関係においては、政府の施策はおおむね金融業者に偏し、直接産業経済面を無視した状況にある。今後新たなる施策の樹立を必要とする。すなわちこれを怠れば、死線をさまようておる中小商工業者の企業者の救済は不可能と言えるのであります。 経済産業の不振による失業者と、多数引揚者による失業につき、いまだ具体的な対策の内容が明示されていないのは遺憾であります。ゆえに政府は今後特別に考慮を拂う必要に迫られておる。 農村対策は今や新たなる段階に立ち至つておる。よつて諸種の状況をさらに勘案して、臨時、恒久への三大政策の根本策を急ぐべきである。 講和会議の問題は連合国側に積極的に働きかける熱意が欠けておると思う。この点外務省の活動に不満であることを表明したい。この際政府は一段と外交の活動を要望する。 無條件降服の條項は、わが国においてすでに完了し、しこうして司令部のよき指導によつて、われわれは新憲法下民主主義国家を樹立し、民主政治もまたおごそかに実行して、ここに四箇年を経過したのであります。よつて内容外観ともに平和国家として確立しておると思われます。従つて連合国側のその占領目的もすでに達成され、今や講和会議を開催さるべき態勢も整えておるものと思われます。われわれは日夜苦難の道を耐え忍び今日に至れるも、まつたく独立国家としての達成を念願したからであります。もしこの希望が何かの事情で失われることあらば、国民は思わざる方向に走らぬとも限りません。よつて、この際政府は司令部側と連絡を緊密にして、国民の要望を一日もすみやかに実現されるよう努力されたいと思うのであります。次に文化国家として出発せる教育面に、特に六・三制の問題は、いまだ確立するに根本的な予算の解決がないことは遺憾であります。すなわち地方財政とにらみ合せ、将来大きな悩みが残されておることを指摘しておきたい。 災害対策とともに、林産業の振興、治山治水の点が予算上不十分である。 最後に、働きよい社会、楽しい国家をつくることがわれわれの念願とするところである。政府は熱意と勇気をもつて、諸案件の悪條件を克服して、国民の輿望にこたえるよう、覚悟を新たにしてもらいたいと思います。 綱紀粛正、治安の確保はいまだわれわれの満足するところに至つていない。政府は一段の努力を拂われんことを切望する。 結論として、本予算は各種の観点からして不満足であるが、一応政府の誠意を認めて、本予算案を了承したい。おそらく今後臨時議会召集は避けられないと思われる。よつてここに本予算中緊急な予算が計上されておる以上、本予算に警告を発して賛成の意を表する次第であります。
○植原委員長 これにて討論は終局いたしました。採決いたします。 まず中曽根君より提出されました予算の組みかえを求むる動議について採決いたします。この動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○植原委員長 起立少数。よつてこの動議は否決されました。 次に勝間田君より提出されました予算を政府に返上すべしとの動議について採決いたします。この動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○植原委員長 起立少数。よつてこの動議は否決されました。 次に原案について採決いたします。三案を一括して原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○植原委員長 起立多数。よつて予算各案はいずれも原案の通り可決いたしました。(拍手) 次に委員会の報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植原委員長 御異議なければさよう決定いたします。 これにて総予算に関する議事は全部終了いたしました。 顧みまするに、本年一月二十一日、昭和二十五年度本予算が国会に提出されましてより、ここに一箇月有中にわたり、その間総会を開きますごと二十五回、分科会を開きますこと十回、公聽会を開きますこと二回、通計三十七回の会議を重ねたのであります。各位におかせられましては、国政のあらゆる分野にわたしまして、熱心なる論議を展開せられまして、総予算をめぐる国政の全貌については、大体において明らかになつたものと確信いたすものであります。ただ委員長といたしましては、あるいはときに及ばざる点等もありまして、各位が十分に御満足の域に達せられなかつた場合も間々ありましたやに見受けられたのでありますが、各位におかせられましては、常に謙虚互譲の精神をもつて、大乗的の見地より、おのおのの立場々々を十分に御理解の上、常に委員長に対して限りなき御援助を賜わりまして、きわめて和気あいあいのうちに議事を進めることを得ましたことは、委員長といたしまして、衷心より感謝にたえない次第であります。 新憲法が実施されましてよりここに三年、初めて総予算が常会の勢頭を期して国会に提出されましたことは、国政の順調なる運行の曙光を見出したものでありまして、まことに喜びにたえないところであります。と同時に、委員各位におかせられましては、誠心誠意を披瀝されまして、まことに国家予算の審議にふさわしき、きわめて真摯なる態度をもつて、予算の審議に臨まれまして、日本国の現実の姿を十分に御認識の上、経済再建のため各般の要請に順応すべく、ここに本予算が、委員会を通過する運びとなりましたことは、まことに幸慶に存ずる次第であります。 ここに総予算の議事を終了するにあたりまして、諸君連日の御精励と、御労苦に対しまして、深甚なる感謝の意を表しまして委員会を終る次第であります。(拍手) 本日はこれをもつて散会いたします。 午後九時十分散会