予算委員会 第11号
- 発言数
- 177 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1950/02/08
会議録
○植原委員長 前会に引続き会議を開きます。 質疑を継続いたします。角田幸吉君。
○角田委員 農林大臣に承りたいのでありますが、最近非常に農村人口が激増して参りまして、過剰人口が大分ふえて来たようであります。いわゆる半失業者的存在が非常にふえて来たようでありますが、その増加の傾向と散布の状態とをまず伺いたい。
○森国務大臣 お答えいたします。農村における過剰人口は非常に浮動性がありますので、はつきりした数をつかむことは困難であります。食糧事情の窮迫しておる時代におきましては、特に農村に人口が浮動して増加いたした形跡があるのでありますが、今日は工業、商業の関係で、やはり人口が余剰労力と申しますか、農村に食糧関係でふえておる状況であります。詳しい統計の数字をつかむことは困難であります。しかし今日の農業経済といたしましては、どうしても今日以上の労力を包容することは不可能であります。ことに日本の農業が零細農業で機械化ができない以上は、この労力をどうしても工業方面に移動しなければ、農村としては立ち行かないという情勢にあるのであります。農業といたしましては、労力を包容することはこれ以上はでき得ないという立場にあるのであります。詳しい統計的な数字を把握することは困難で、その数字は持つておりません。
○角田委員 昭和二十四年十二月発行にかかるもので、農林省大臣官房調査課の編纂にかかります「経済安定計画と日本農業の現状」というパンフレットの中に、すでに昭和二十四年度においては、前年度よりも百二十万人の農村人口がふえておる、こういうことを発表されてあるのでありますが、これはこのままでありましようか、どうですか、この点を承りたい。
○森国務大臣 その統計の数字は必ずしも正確とは考えられませんが、一つの推定の数字と考えるのであります。しかし農村の人口は、働き得る人口と可働力のない人口とをわけて考えなければなりません。近時農村において人口の増加率が多いのでありますが、これらの人口は労力としては間に合わない、むしろ消費的な人口であると考えております。これは統計によるところの一つの推定した数字だと考えますが、なかなか移動性のあるもので、はつきりこれをつかむことは困難だと私は考えております。
○角田委員 そこでなお進んで承りたいのでありますが、本年度は百二十万増加しておりますが、今後なお増加するかどうかというお見通しを承りたいのであります。
○森国務大臣 先ほど申しました通り、自然増加の人口は全国で百六、七十万ですが、そのうちの相当の部分を農村が占めておるということは考えられます。
○角田委員 なお相当の人口が農村の方に移動するというお見込みでありますと、ここに農村に大きな問題が起ります。二百万近くの過剰人口を控えてなおどんどんふえて参りますが、農村はもうすでに金詰まりで、今後の農村を健全化して復興して行くためには、農業としての相当思い切つた総合的な対策を施さなければならないと思うのであります。これについてはほかの委員からも、質問があつたのでありますが、重ねて農林大臣に総合的な政策を承りたいのであります。
○森国務大臣 これはきわめて大きい問題でありまして、耕地の限定せられておる基礎に立つての農業経営であります。新しく開墾、干拓等をやりましても、その包容人口というものはそう多くを期待することは、はなはだ困難であるのでありますから、今後はどうしても農業の過剰人口に対しましては、工業方面にこれを利用して向けて行かなければならぬと思います。それにいたしましても食糧の増産、一定の土地よりより多く生産力を高めて行くことに政策を持つて行く、また過剰人口に対しては、工業力の充実をいたし、そうして輸出方面に向けて行くことを国家の立場として考えざるを得ないと思うのであります。
○角田委員 農村工業のあり方については後に承りたいのでありますが、ます最初に承りたいことは、日本の食糧日給対策というものを恒久的にお考えになつておるかどうか。
○森国務大臣 これは常識的に考えましても、人口はいかに政策をとりましても、年々百数十万の者がふえて行く、土地は局限されておりますので、わずか干拓かあるいは未耕地の開墾の程度しか許されておりません。また土肥の改良等によりまして、その能率を上げることに相当努力いたしましても、これまたそう無限大のものではないのであります。要するに土地は局限され、生産力にはある一定の限度があり、そうして限りなく人口が増加して行く、こういうことを考えますと、どうしても日本の国内において自給度をいかに高めるといたしましても、自給自足ということはとうてい困難なことは当然であります。従つて自分の力いわゆる自給力を高めて、海外の食糧を自分の力によつて獲得するということを考えて行く。人口問題の将来の方針をそこに持つて行かなければならないのじやないかと考えておるわけであります。
○角田委員 私がただいま農林大臣に承つたこととお答えが多少違うのでありますが、私の食糧の自給政策というのは、こういう意味でお尋ねをいたしておるのであります。食糧をつくる、たとえば主食である米、麦をつくるよりも、ほかのものが利益になる、こういうことでどんどん別なものをつくつて、それを海外に売つて、海外から食糧をとる、こういう方向であれば、これは食糧の自給政策であります。将来戰争でも起つた場合には、結局交通その他の杜絶によりまして、輸入の杜絶によつて食糧問題が起つて参りますので、食糧の自給政策ということを、まず最小限度日本の食糧で間に合せるという態勢に行くかどうかということをお尋ねしたのであります。この点のお答えを願いたい。
○森国務大臣 食糧問題につきましてはたびたびお答えいたしたのでありますが、ひよつとしたようなことが起つた場合に、日本の食糧はどうなるか、こういう問題であります。これは多く申し上げるのはどうかと思うのですが、自給力を高めておりましても、日本の国内で生産して食つて行ける、こういう形が整えばけつこうであります。もし余つて外国にでも出して行くような食糧が生産されますと、ひよつとした場合に、その食糧は出さずにおけばしのげるのでありますが、日本は普通の状態であつて足らないのでありますから、もしもえらい問題が起つて、こちらの食糧の不足を補うことができないということを考えると、実に慄然たるものがあるのであります。これはあの戰争当時に海外の輸入が杜絶して、日本は雑草まで食つたということは御承知の通りでありますが、そういうことを考えて、食糧の政策のうちに加えて行かなければならないのであります。これは平常に復したときには大ぴらで言えますけれども、ただいまでは御承知の通り、不足分を外国からもらつている分もある状態でありますので、よそから、アメリカの市民の負担によつて、日本は食糧をもらつて、それで日本が何とか二合七勺の配給をしておるという状態において、そういうぜいたくは許されないのであります。できるだけ自給力を高めて行くということを考えて、万一の場合に処するということも、一つの食糧政策の上に含みを持つて行かなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
○角田委員 日本の国は戰争を放棄いたしておりますから、日本は戰争はいたしません。しかし外国が戰争いたしましても、やはり日本が輸入米というものが来ない時代を私は予想して申し上げたのであります。そこで食糧の自給政策をとつて参りますと、ある程度までは供出あるいは管理ということが行われて行くものではないか。少くとも主食についてそういう方向にしばらく持つて行かなければならぬのではないか。これは国際情勢の変化で、戰争のない永遠の平和がとれる国際情勢になれば別でありますけれども、そういうことが考えられる。そういたしますと、供出ということにいたしておりますと、食糧は結局政府が米価をきめて行く。米価をきめて参りますと、結局生産コストの安い部分と高い部分とがありまして、そのコストの非常に高い部分におきましては、生産費を割つて農村の生活が困つて来る。このことが今、現に東北地方に起つて参つておるのでありまして、結局そういうふうになりましたならば、米価の二重価格制度というものまで持つて行かないと、非常にコストの高くつくところの農村が困る、單作地帯においては非常に困るというような結果になりますので、実は承つたのであります。その点についての農林大臣の御所見を承りたいのであります。
○森国務大臣 今日の場合と、平常に復した場合と二つの面で考えなければならぬと思うのであります。将来主要食糧に対しましては、この供出であるとか、統制であるとかいうことを全部放任する段階に入ることも、そう遠き将来ではないと思うのであります。そういう場合におきましては、今お話のように、国家がこれを管理いたしまして、海外の食糧も内地の食糧も国家の力によつて管理し、そして二重価格等によりまして、生産者と消費者との面を処理して行くということの素地をつくらなければならぬ段階に入るということも予想されるのでありますが、今日の場合において、さようなことを今具体的に考えることはまだ少し早いのではないか、またその必要もないと考えておるのであります。ただ單作地帯に対しましては、いろいろの関係から非常に生産費が高くついておるのでありますから、できるだけ單作地帯に対して保護政策をとりまして、農家の経営を楽にするような方針をもつて行きたい、かように考えておるわけであります。
○角田委員 單作地帯に対して保護政策をとるということでありますが、その保護政策をこの機会に承りたいのであります。私はこの機会において、農林大臣は東北地方のことについては、あまり詳しく知つておいでにならないじやないか、こういうことから、東北地方の事情の一端をこの機会に申し上げておきたいのであります。 昭和七年は冷害のあつた年であります。東北地方は五年に一度、七年に一度冷害が参ります。その冷害のときにおける東北地方というものをひとつ御認識していただきたい。昭和七年に東北地方は非常な冷害でありました。その際に私は岩手県の小岩井農場に参りまして、場長から東北地方の冷害の状況を聞いたのであります。ところが、その際その小岩井農場の場長から私が聞いたところによると、五年に一度、七年に一度来る東北地方の冷害は、海にも、山にも、里にも来る冷害である、こういうことを聞いて、実際に私は見聞して参つたのであります。昭和七年は非常に寒い年で、ほとんど農作物は実りませんでした。ところが、あの小岩井農場の中にさる、へび、ねずみがたくさん参りまして、畑がほとんど荒されてしまつた。どうしてそんなふうに畑のわずか残つたものが荒されるかというと、山にあけびがならない、くりがならない。その他のものが冷害のためにほとんどならないのであります。そういうわけで、食いものがなくなつて来た。そしてねずみも、へびも、さるもどんどん里に下つて来まして、菜の小さいものまで食べてしまう。こういうふうなことになる。ところが、海岸地蔕においてどういうことがあつたかというと、三陸沿岸に参りますと、あわびがやせ衰えて、ひよろひようになつて海岸に漂流して来る。漁師の連中なんかは、これは水が悪いのたろう。きつと水が悪いためにあわびが弱つて、上つて来るのだ。拾つて、それを海にどんどん投げた。海にほうりましたところ、やはりあわびが流れて来る。なぜそうかというと、あわびは御承知の通り海草でも上等のものを食べるのであります。こんぶかわかめのような上等のものを食べる。ところが寒さが参りますと、こんぶもわかめもつかないのであります。結局食糧がないから、このあわびがやせ衰えて、ひよろひようになつて、上つて来る。そこでその漁師の人々がふだんわかめとこんぶのついているところへ行つたところが、雑草が一ぱい生えていて、わかめとこんぶが生えていない。これは雑草さえ刈り取ればいいものと考えてやつた。その雑草は、学問上は石灰藻というのだそうであります。ところが、その漁師の連中がかまをもつて一生懸命刈り取つたけれども、どうしてもわかめとこんぶがつかない。なぜつかないかということで、これまた水産関係の専門家に聞きましたところが、寒さが来て水の温度が下ると、わかめもこんぶもつかないで、それにかわつて雑草がつくというのであります。こういうことで、東北地方の冷害は海にも山にも里にも来る災害なのであります。従来東北地方の早場米についての特別の値段も、保護政策の二つであつたと思うのでありますが、これらの單作地帯に対しまして、農林大臣はどういう保護政策をお考えになつておるか、この機会に承りたいのであります。
○森国務大臣 東北地方の冷害は、私も記憶いたしております。当時は寒流が常陸沖まで下つて来ておりまして、この結果出穂前に非常な冷害があつて穂が出なかつた。いわゆる穗の形ができる最も重大な時期に寒冷に襲われて、稻が穂をこしらえることができなかつたということもあるのでありますがこれはまことに稀有なことであります。その後東北振興会社その他で、特に東北に対する各種の総合的な研究が進められて来たのであります。われわれもそういう大飢饉は相当歴史上承知いたしておるのであります。そして将来においても、こういうふうなことが絶無であるとはだれもが保証でき得ないのであります。春その年の作柄を考えるときに、どうか本年も豊作であれかしと心に斬りつつ仕事を進めて行くのであります。そういうことが年々来ることを予想してやれば、一年間を通じての農業の経営はほとんど成立たないのであります。そういうふうなことは特殊な例でございますので、普通の年柄における気候状態、普通の年における農業経営を標準として考えて行かなければならぬと思います。将来そういうことが絶無とはだれも保証できませんが、それが本年も来るということを予測されれば、すべての計画は根本的にくつがえるのでありますから、まず今年もどうか平年通りの年柄であらしたい、またそうあるべきだろうという考え方によつて、心を落ちつけて農業経営をいたしておるのでありますから、過去において東北にそういう特殊な年柄のことがあつたかもしれませんけれども、今それが必ず本年来るとか、来年来るとかいうことを予期することはできないのであります。従つて普通の地方とは違つた寒冷地帯としての農業経営の施策を持つていなければならぬ、かように考えるわけであります。
○角田委員 私はただいま冷害の特殊の問題についてあげたのでありますが、一般の問題について農林大臣の御所見を承りたいのであります。大ざつぱに申しまして、日本の農家は半分だと言われるのであります。農家が半分だということになりますと、一軒の家のものを一軒に売る、一軒の家が一軒の得意を持つて生活しておる、こういう関係になるのであります。ところがこれもまた大ざつぱなことではありますけれども、商人は少くとも三十五軒の得意を持つておる、こう言われるのであります。一軒で一軒の得意しか持つていないものと三十五軒の得意を持つておるものと、どちらが強いかといえば、三十五軒の得意を持つものの方が強いのであります。單作地帯におきましては、春一同種をまきまして、秋に收穫をするのであります。春資本をおろして秋に收穫する。一年に一回しか資本が回転しないのであります。ところが片いなかの町に参りましても、商人の資本金は一箇月におよそ二回転するのであります。一流のデパートにおきましては、一箇月に二十四回転すると言われております。一年に一回転しかしないものと、一箇月に三回転、二十四回転するものとどちらが強いかといえば、もとより二十四回転するものが強いのであります。こういうところに農業の弱い根拠があるのでありますから、これらに対する総合的な振興対策あるいは保護対策をお考えにならなければならないと思うのでありますが、一般論として單作地帯をどうお考えになるか、その保護政策を承りたいと思います。
○森国務大臣 お答えいたします。日本の農家は、一農家が一戸を養つているだけでありまして、その生産力は非常に弱いのであります。今商工業と比較されましたが、申し上げるまでもなく農業は、資金の運転が局限されておりまして、一年に一回しか回転できない状態にある、これが特異性であるのであります。それで單作地帯に対してどういう考慮を拂つておるかという御質問でありますが、今日の施策といたしまして、その土地の気候を暖かくするわけに行かないのであります。單作地帯と申しましても、寒冷地の單作地帯としからざる單作地帯とあるのであります。土地改良でもつてこれを救済し得られる向きに対しましては、土地改良をして土質を根本的に改良して行くという方法もありますが、寒冷地帯に対しましては、その気候の状態でできるだけ農業の生産を高める、今日はこういうことより施策の方法がないのであります。今日まで考えられております温床苗代あるいは温床折衷苗代というような施策によりましてその生産力を上げて行く。これにつきまして、昨年は一億円ほどの予算を予定いたしたのでありますが、本年は御承知の通り二億四千万円ばかり増額いたしましてこれを奨励し、また品種の改良等についても、農林一号というのが寒冷地帶に適する品種として選定されておるのでありますが、これも選定されましてから相当の年数がたつておりますので、さらに適当な品種の選定ということの研究も進めておるわけであります。また積雪等の関係で紫雲英の栽培等も非常に困難でありますが、寒冷地帶に対しまして、特殊の紫雲英品種を選定いたしまして緑肥の栽培に資したい、こういうことを今日取上げておるわけであります。さらにこういう寒冷地帯に対しまいては、有畜農業の奨励によりまして土質の改良と、経営の面において多角経営をさして行く。ことに單作地帯におきましては、余剰労力ということも相当考えられるのでありまして、農家は決して遊んでいるのではありませんけれども、手先の休んでいる時期もありますから、その余剰労力を利用いたしまして、その地方に適応ずる工業、企業を取入れ、生活の安定を期する一助にいたすということで、農村工業の方面にも指導して行きたい。その種類は実に数百種に上つておりまして、その地方々々に適応する資材、あるいはその販路等の関係から勘案しまして、その地方に適応するところの副業を取入れて行きたいと考えておるわけであります。
○角田委員 農村の保護政策として、土地改良が大切であるということで、本年度たくさんの予算を計上されるということは、これは農林大臣にある程度敬意を表するものであります。 次に、有畜農業のうちの酪農について御所見を承りたいのでありますが、御承知のごとく、アメリカでは国民の平均にいたしまして約六合を一日に消費しておるのであります。日本の国においては、その百分の一しか消費しておらないという状況なのでありますが、酪農が一体どの程度に発展する可能性があるのか。アメリカのように百倍まで行く可能性があるのか。そして農林当局はそれに対する奨励としてどういうことをお考えになつておるか。本年度の予算の面を見ますと、まつたくその点においては未知数と考えますが、この機会に農林大臣の御意見を承りたいのであります。
○森国務大臣 酪農の奨励は市場を持つということが必要であります。ただいたずらに豚を飼え、乳牛を飼えというて奨励をしても、その乳製品、あるいは酪農の生産品がどこに市場を求めるかということであります。今日まで乳牛が失敗いたしたことも、あるいは養豚事業の頓挫いたしましたことも、奨励と、そしてその販売の市場を有利に持たなかつたということが一つの原因と思うのであります。これは日本の食生活が長い間の慣習によりまして、乳製品であるとか、あるいは酪農生産品を取入れるという生活ができておらないために、たまたま有利な事業であるというて奨励しても、それが遂に生産過剰となり、りつぱな市場を持たないために、これが遂に頓挫してしまうのであります。それでありますから、大都市近郊においてはこういう事業も成立つて行くのでありますが、普通の都市、しかも運搬に不便であるようなところに酪農として奨励することは、よほどその計画を合理化してかからなければならぬと思うのであります。私はむしろ農業者自体が自家消費として、あるいは小さい家畜、あるいは大きい家畜、それぞれ適応した家畜を幾らかでも取入れ、いわゆる農業経営の上においては養鶏もあり、養豚もあり、養兎もあり、あるいは牛もあり、馬もあるというように、それぞれ農業経営の規模に従つて家畜を取入れて経営する。そしてその生産物は目家消費として行くことが、一つの農業経営の方法であろうと考えておるのでありまして、これが大都市の近郊におきましては、むろん組織的な酪農も、組織だつた奨励をやるということも、その経営が持続するわけでありますが、今日地方農村等におきましては、この面を勘案いたしまして、あらゆる農家がいわゆる家畜を持つ農業者たらしめるということは、その農業経営の規模に応じ、家畜をそれぞれの種類によつて適当に取入れて行くことが、有畜農業の将来進むべき方針ではないかと私は考えておるわけであります。
○角田委員 今有畜農業についての総合的な御意見を承つたのでありますが、私は牛だけの問題について申し上げまして、御所見を承りたいと思います。なるほど都会の附近におきましては、都会においてこれは消費をいたします。これが農村でも消費するようになつたらというような御意見のように承ります。御承知の通り日本人は米を食べております。御飯を食べておる者はみそ汁を欲する、牛乳を好まない。いなかに参りますと、農村の子供は牛乳はきらいであります。そういうところから農村で牛乳をどんどん飲むようになつたらいいじやないかというようなことは、当らないのであります。大体今日の有畜関係の方を見ましても、たいていの場所は一日十石程度までは上つている。近くで集荷のできる場合、一日十石くらいのところまで行くが、三十石以上五十石になりますと、いろいろの工場をつくつて粉乳なり、コンデンスなり、いろいろなものをつくつてやつて行かれる。ところがそこまで行かないで、たいていつぶれて行く。そういうことについて農林当局に何らのお考えがないのではないかと考えるので、承るのでありますが、こういうこどについて農林大臣はどうお考えになりますか、お伺いいたしたい。
○森国務大臣 お答えいたします。それが先ほど申しました合理的な計画のもとにやらない酪農の失敗であります。日本人は穀食でみそ汁を吸つて牛乳をあまり好まない。これは日本の国民の長い間のならわしであります。それでありますから、胃拡張になつて胃袋を大きくして、四合も五合も一升も食わなければ食い足りないというのが、日本の穀食の一つの弊害の現われであります。今後は食生活を十分合理的に考えて行かなければならぬと思うのであります。先ほど申しました一升飯を食わなければ働けないというようなことでは、とても日本の食糧問題は解決しないのであります。戰争で幸いパン食にならされて参りましたが、パン食なり、粉食も相当普及して参りましたが、カロリーというだけでなしに、栄養をとつて行くということを考えて行くならば、もつと胃袋を小さくしてもいいのではないかと思います。ことにいも澱粉を主要食糧の中に加えて行く以上は、どうしても牛乳などをとつて行く必要があるのであります。牛乳などなくて、いもを食えと言つたつて、それはむりなのであります。そこに食生活の合理化と申しますか、できるだけ栄養をとつて行く。従来ではわれわれは蛋白質を豆類、いわゆる植物質の蛋白質のみをとつておつたのでありますが、相当に魚類があり、あるいは牛肉があるということによつて合理的な蛋白質の給源を求めて行く。そうすればいわゆる胃袋をあまり労させずして生活ができる。そこに健全な国民が育つて行くのではないかと思うのであります。みそ汁とたくあんではどうしたつて胃拡張になつて、十分なる体力を養うことができない。それでありますから、過去は過去といたしまして、将来におきましては食糧事情から申しましても、食生活をもつともつと合理的に考えて、栄養を本位とした食生活を考えて行くということでなければならぬと思うのであります。酪農のごときも今は十石まではできたが、三十石になつていろいろ加工をすれば失敗をするということは、これは消費市場を持たずして、そういう企業的な経営をやるからこそ、そういう失敗が起つて来るのであります。それでありますから、私は自分で鶏を飼つて自分で食べ、自分で豚を飼つて、その豚を自由に殺して食べられるというように仕向けて、農業者自身が自分らの生活の向上をはかつて行くというように持つて行くことは、生活の面から見ても必要であり、また農業の経営の上から申しましても、土地の改良なり、あるいは肥料の補充なり、有畜農業の必要を感じておるわけでございます。
○角田委員 農林大臣の御説ごもつともでありまして、なるべく一升飯を食べないようにして、そうして食生活をいいものを食べるようにさせたいものであります。しかしながらそれは実際の農村においては困難なことであります。生活程度が高くなりませんと、さようなことはできないのであります。農村の生活がもつと高くなり、パンをつくつて食べられるような状態まで行く生活程度が高くならないと、さようなことはできないところに問題が存するのであります。何とぞこの点につきましては一升飯を食わない、そうして牛乳が喜ばれてどんどん使われるように御施策を願いたいのであります。百 さて次に承りたい点は、最近農家が非常な金詰まりと言つていいのでありますが、農村に対する金融政策として農林大臣はどういうことを御構想になつておるか、この機会にお尋ねいたしたい。
○森国務大臣 お答えいたします。農村の金融の逼迫はいろいろの素因を持つておりますが、第一に土地の担保力を失つたことであります。それから農業会が解組せられまして農業協同組合に切りかえたのでありますが、ここでまる二年たつたところであります。この状況におきまして土地の担保力がないために金融ができないということと、しかも農業者の協同の力により金融をなし得る農業協同組合が、今発足したばかりであるということ、この点が最も金詰まりの大きい原因と考えております。これらの問題に対しましては、どうしても長期的な金の融資をやらなければならないのであります。しかも地方の銀行はその力がありません。従つて政府におきましては中央農林金庫を利用せしめまして、この機関を通じて金融の道をはかりたい、かように考えておるのであります。近く御審議を願いたいと存じておるのでありますが、農林中央金庫も出資金が四億円でありまして、四十億円しか農林、水産方面へ融通ができ得なかつたのであります。このたびこの中金に増資をいたしまして八億にいたしました。そうして二十倍の額の百六十億円までの金融をみたい。こういう計画を進めておるのであります。また一面においては見返り資金より八億円を農林中央金庫に出資いたしますと十六億になりますので、この債券発行によりまして二十倍の三百二十億の額をもつて融資いたしたいと考えておるわけであります。また一面におきましては、農業協同組合をますます強化せしめることに力を入れてみたいと存じまして、これもいずれ法案として御審議を願うつもりでありますが、従来まちまちの連合会を組織いたしておりましたが、地方におきましてはこれを販売、購買連合会をつくらせまして、そうして指導連と信用協同組合、この三つだけによりまして協同組合の強化をはかりたいとかように考えております。また精神的には協同組合が何だかよそのもののような気持が地方によつてありますので、かりに農業者が自分らの農業を営むために、自分らと同じ環境にある者が集まつて農業協同組合をつくつたんだ、協同組合はわれわれの組合であるというこの指導を、もつと徹底させなければならぬと思つております。そうして協同組合の大きい力によりまして、農業経営の欠陷を補つて行くということにいたしたいと考えておるわけであります。
○角田委員 ただいま農林大臣が農村金融の一つとして土地に担保力がなくなつた、このことを指摘されたのでありますが、私はこれは重大な問題だと思いますので、これに対する緩和の方策はないものかということを承りたいと存じます。農地調整法ができましてからへ実際においては農家の土地は担保力——差押えもできないような状況になつておる。ところかこういうことかほんとうに農村を守るものかどうかということは、非常な問題だと思うのであります。大正年間に土畠益三郎さんか国会に農村の家産制度法案を礎出された。私はあの問題を一応回顧する必要があるのじやないかと思うのであります。農民が借金をしてそうして差押えを受ける。そうして田畑を失つて都会に入つて来る。従つてその離村者を守るためには、農村の財産の差押えを禁止し、担保力を禁止し、そうして家産としてこれを守ることが、農村を真に守る政策であるということで、家産法を当時の帝国議会に提出されたのであります。ところがこれは多数決をもつて否決された、私はその否決されたことがほんとうだと思つております。一体家産制度につきましては古くフランスに行われ、ヨーロツパの各地に行われ、アメリカに例のホームス・デツドという制度が行われていろいろと論議されたのでありますが、一応農村の持つている田畑が借金ができても差押えができない、とられないようにすることが保護であるように見えますけれども、そういうことは実際は消極的——保護されるということが実は逆に甘やかされるものは弱くなる。ちようどわが国におきましては北海道に旧土民の保護法がありました。アイヌ人の持つている田畑については、譲渡禁止がされておることは御承知の通りであります。ところが農地法ができましてから実際担保に入れられない、こういうところからかえつて農村の方が金詰まりで、何かひとつ仕事をしようとしてもやれない。非常に経済的に消極的なことをやつて行かなければならぬ、こういうことでかえつて今日になりますと、土地を担保にしてひとつ働いてみたいというような要求が農村にあるのであります。この点につきまして耕地について担保になれるように、あるいは売買についても何か緩和のことを考える必要があると思うのでありますが、農林大臣はこの点についてどうお考えになつておるか承りたいのであります。
○森国務大臣 お答えいたします。売買を禁止されておる以上担保力のないのは当然でありますが、売買を禁止いたしておりますことは、従来の地主小作の関係が、搾取者、被搾取者というような立場で考えられる面がありまして、これが農地の再分配の原因となつたわけでありますが、この再分配いたしましたその目的につきましては、いろいろ論議もあります。ありますがこれが施行されましたことは、農業経営の上において自分の土地である。自分の耕作しておる土地は自分のものであり、これは決して人のものではない。自分の精根を打ち込む土地はわがものであるという、この土地と一体になる気持によつて、ほんとうの農業生産力が上げられる、こういうことが考えられまして、耕作者たるものは、自分の土地を自分の土地として保護して行くという気持になつて来ることを、目的としての農地再分配ができたのであります。しかしながら日本の耕地は非常に小さくありまして、これが一町以内に局限されておりますから、農業経営の上においては、はなはだつつましやかにして行かなければならない農業経営であります。従つて自分の持つた土地を売るとか、あるいは抵当に入れるとかいうそういう水くさい気持でなしに、あくまでも自分の土地を愛護して耕作するというこの農業経営に対しましては、他の面から資金の融通をする。それは忠実に農業を経営するというこの人々の協同組合というようなものの力によりまして、資金を融通して行くということが残されたる方法と、かように考えておるのであります。あくまでも土地に愛着する、土地を愛護するという気持によつて生産力を高めて行く。安心して農業経営ができるというこの組織化された農地改革でありますので、いろいろ当初においては議論もありましたでしようけれども、今日の姿においては、この売買もある期間禁止されておりますので、この土地によつて経営の成立つその農業に対して指導し、また資金の面においてもそういう気持によつてこれを融通するという方法を考えて行かなければならぬ、かように考えております。
○角田委員 耕地は担保力がなくなつてしまつて、金融の方法としては別なことを考えなければならない。こういうことであります。そこで私はそういうことになりましたので、農林当局は農業国土計画を立てる必要がないか。今まで国土計画というと、建設省が考えたり、あるいは軍の方で考えたりしたような国土計画というものはあつたのであります。私は農林省がこの農業の振興のために、あるいは今の金融の面から考えても、どうしても農業国土計画を立てる必要があると思う。その国土計画は單作地帯におきましては單作地帯としての国土計画を立てる。野菜地帯におきましては、野菜地帯としての国土計画を立てる。山岳地帯におきましては山岳地帯としての国土計画を立てる。また気象学的な国土計画も立てて、そして農業の振興をはからなければならないのではないかと私は考えておるのでありますが、この点につきまして農林大臣の御所見を承りたいと思います。
○森国務大臣 お答えいたします。今の角田委員の説は、それは総合的農業計画と申しますか、農業計画と名づけるものではないかと思います。單作地蔕に対する農業計画、あるいは近郊における農業計画、あるいは漁村における農業計画というように、その特殊の地域において総合的な農業計画を立てるということは、これは農業経営の上におきまして当然必要でありますが、国土計画と申しますと、これは総合的に建設省と農林省がすべてこれは国土という立場から計画を立てて行かなければならぬと思います。この総合計画になりますと、これはあるいは極端な表現であるかもしれませんが、お互いにその業態が犠牲を拂い合うということであります。農業だけのことを主張してはいけない。あるいは治山のことのみ主張してはいけない。その犠牲をお互いに拂い合うことによつて、各国家的な一つの大きい計画が立つ、こういうことを私は考えるのであります。国土計画といたしましては、道路、交通、治山治水、あるいは観光の方面もありましようし、その他鉱業方面、あらゆる面をとり外れてお互いにその特長を生かし、そしてお互いに犠牲を拂い合つて、国土のために計画を進めて行くというのが国土計画であると思います。今お話のような局部的農業経営に対しましての計画は、これは農業経営の地方における計画経営と申しますか、国土計画には私は入らないと思うのであります。日本の農業は東北地方あるいは九州地方、四国地方、近畿地方、それぞれ地域的にも違つております。また近郊の土地あるいは先ほど申しました漁村に面したところ、あるいは山村に面したところ、いろいろの特殊的な地域に農業が営まれておるのでありますから、その地方がそれぞれ同一の環境を主としたものによつて、農業の計画経営を立てるということは、当然必要なことと考えるのであります。
○角田委員 農林大臣に対する質疑はこの程度におきまして、文部大臣が出ておられますから、文部大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。 最初に一般論といたしまして承りたいのでありますが、昨日も他の議員から指摘されましたように、日本の教育はまさに危機に瀕しておる、こういうことが言えると思うのであります。精神的な教育の方について非常に危ぶまれておるのであります。私はこの機会に日本の教育の大本、あるいはまた道義の大本というものを確立されてはどうか、こう考えておるのであります。言うまでもなく、日本の従来の教育は儒教主義の倫理思想の上に立つて参つたのであります。儒教道徳は五倫五常の道を説き、君臣の道、父子の道というものを説いて参つたのでありますが、それはきわめて個人的で、社会的なところを非常に無視して参つたのであります。学校教育におきましては、教育勅語が中心になりまして、日本の教育の大本、道徳の大本というものが示されて参つたのであります。ところが敗戰の結果、教育勅語というものはわれわれ国民が反省しなければならない時期になつた。事実学校におきましては教育勅語の教育はしておらないのであります。ところが従来儒教道徳を基本とした教育をやつて参りました先生方、教育勅語一点張りにして参りましたところの先生方は、精神的な方面につきまして、どういうふうにやつて行つたらいいかということについて迷われておるのであります。私は最訴ドイツのことを聞いたのでありますが、ドイツにはカントを初め非常にいい哲学者があつた、ドイツ民族は非常にいい哲学を持つておるために、精神的な方面においてどんどん進まれている。ところが日本にはどうも哲学がない。そうしますと教育の大本あるいは道義の大本というものを示さなければならぬ、こう考えられております。この機会におきまして道義の大本、教育の大本を文部大臣は国会を通じて国民に示されたいと思うのであります。この点についての御所見をまず承りたいと思います。
○高瀬国務大臣 ただいま教育の大本、道義の大本についての御質問でありましたが、これにつきましてはすでに国会の御同意を得ました教育基本法というのができております。教育基本法は憲法の精神にのつとりまして、民主的な、文化的な平和国家といたしまして、教育の根本方針がいかにあるべきかというようなことを明示しております。従つて私といたしましては、この教育基本法を教育の根本の方針として、これをいかにして国民の間に確立し、実現して行くかということが、教育の最も重大な点であろう。これは学校教育ばかりでなく、社会教育においてもそうでありますが、そう考えておるのでありまして、この際新たに国会を通じて、道義の大本をつくろうというような考えは持つておらないのであります。ただ遺憾なことは、教育基本法が普通一般の法律——直接そう広く根本的に関係のないような法律と同じように解釈をされて、これが十分に一般国民の間に知られ、重要視されていないという点は認められるのであります。教育者の間でも、それほどよくこれが理解され、尊重されておるかという点については疑問がありますので、その点は今後十分に努力して決定をして行きたい。こういう考えであります。
○角田委員 私も教育基本法を読んでいろいろと考えてみたのでありますが、もう少し積極的なものがあつていいのではないか、こう考えるのでお尋ねを申し上げたのであります。もとより民主主義の時代でありますから、文部大臣の指令、あるいは文部大臣の考えを拳々服膺する。そのほかに一歩も出てはいけないというようなことがあつてはいけないことは申すまでもありません。しかし私はもつと積極的なものを示されて、そうしてそれを批判しつつ国民が切瑳琢磨して行くところに、日本の精神教育の基礎が成立つのではないか、こう考えるので私はお尋ねを申し上げたのであります。そこで私はもとより教育、文教の方についてはしろうとでありますので存じておりませんが、私は法律の面から、法律の世界にもこういうものがあるんだということを申し上げまして、そうして教育基本法についてのもう少し進んだ御所見を、この機会に文部大臣に承りたいのであります。御承知の民法九十條の中には「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗二反スル事項ヲ目的トスル法律行為ハ無効トス」という規定があります。あらゆる取引が公の秩序に反してはいけない、善良の風俗に反してはいけない、そういうものは全部無効とするという一つの指導精神が規定されておるのであります。これは取引関係をめぐる法律全体の指導精神であります。新しい憲法の中では公共の福祉というものを規定し、憲法二十九條においては「財産権は、これを侵してはならない。財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。」と規定しておるわけであります。私はこの憲法の中から」つのりつぱな指導精神、道義の大本をくみとることができる。公共の福祉の何たるかについては、これはいろいろありましようけれども、公共の福祉とは、結局憲法全体を通して読んでみますと、国民経済の均衡的発展、これを阻害してはならぬという規定と考えて行くのが、最も妥当な考えだと私は考えております。そこで私どもは、法律は最小限度の道徳といわれておるのでありますが、その最小限度の法律の中に、新しい憲法のうちに、古い民法のうちに厳然として存するものは、取引は公の秩序に反してはいけない、善良の風俗に反してはいけない。財産権の行使、財産権の規定というものは国民経済の均衡的発展を阻害してはならない、こういうりつぱな指導精神が上つておりますので、私はその公の秩序とは何を言うか、善良の風俗とは何を言うか、国民経済の均衡的発展とは何を言うかということは、これはおのずからその人々の見るところによつて自由な判断ができるのでありますが、ともかくさようなものがあるのであります。教育も、そういう意味においてもつと積極的に道義の大本、教育の大本というものを、文部大臣はお示しになられた方がいいのではないかと考えますので、もう一度この点についての御所見を承りたいのであります。
○高瀬国務大臣 公共の福祉ということも、むろん教育上中心の問題になつておりまして、教育基本法前文にもそれがあげてございます。ただしかしお話になりましたように、何にいたしましても基本法という法律の形になつておるというような点が、国民の頭に與える影響の上で、十分道義の大本をこれによつて知るというような面から不十分な点があるかもしれません。形式的にその点不十分であるという点があるかもしれません。また書き方が何としましても法文的書き方になつておりますから、これが用語にしても文章にしても、少し抽象的に過ぎるというようなところもありますので、お説のように根本はこれで明らかにされておりますが、これを普及徹底せしめるという上から申しますと、一段のくふうは必要だろうと思つております。それで今までは御承知のように学校の教育においては、道義について修身科というものがあり、修身の教科書がありまして、かなり明確に、具体的に道義についての教育方法がとられておつたわけであります。ところが今度はその修身科というものがなくなりまして、社会科の中でもつてこれが行われる。社会科を通して教育基本法におけるような道義の確立をはかるという教育が行われておるのであります。けれども社会科の教育が、昨日からもお話がありましたようになかなか今日十分効果が上つておらないという状況にある。これが御心配になるような、教育の上で道義の教育が十分徹底しておらないというような根本の原因かと思います。それで社会科の教科書以外に、やはり社会科の中で特に道義に関する部分だけの教育資料というものを、もつと豊富につくる必要があろうということは考えておりまして、今御質問になつたような意味での積極的な、そして具体的な道義の大本を示し、それを教育で効果を上げるようにするための教育資料は、ぜひとも文部省をつくつて行きたいという考えで、現在研究を進めております。
○角田委員 最近生活が非常に困難となり、深刻の度を加えて参りまして、義務教育を受けております児童で、かなり長い休学をしておる者が続出しつつあるというようなことを新聞で見たのでありますが、その通りであるがどうかは別といたしまして、教育基本法の第三條第二項で「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によつて修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。」こういう規定を置いているのでありますが、地方公共団体において、この教育基本法の第三條第二項が行われておりましようかどうでしようか、この点を伺います。
○高瀬国務大臣 お話のありましたように、義務教育というものは完全に無償にする、その教育について父兄の負担を完全になくすということが理想であります。ですから漸次その方向へ、経済の許す限りにおいて進めて行かなければならないと考えておるのでありますが、まだ日本の経済状態から申しますと、そこまで行つておりませんで、現在は大体授業料免除という程度にとどまつておるわけであります。しかし生活の非常に困窮しおる家庭等に対しましては、従来修学奨励金というようなものを與えたこともあります。現在では生活保護法によりまして、非常に困つておる家庭に対しては、その法律によつてある程度の援助は與えておりますけれども、はなはだ不十分な状態であります。
○角田委員 教育の危機が叫ばれておる一つの理由として、教職員の待遇が非常に悪い、質が非常に低下をしておる、こういうことをどうしても指摘しなければならないのでありますが、私が日教組からもらいました調査書によりますと、中学校、小学校において四割の無資格者がなお教員としてやつておる、こういうことがあげられておりますが、さような事実があるのでありますか、いかがでありますか、文部大臣に承りたいのであります。
○高瀬国務大臣 その無資格者という意味がはつきりいたしませんけれども、今までの制度から言つたら、多分教員検定の試験その他によつての資格、あるいは師範学校卒業、専門学校卒業等によつての資格が十分でないという点から来ておるのじやないかと思います。新しい制度では、小学校も中学校も教員の資格は、大学卒業程度ということになつて来ておりますから、そこで、完全な資格を持つた者だけにするということは、今後相当長い期間がかかるだろうと思います。現在の教職員の方たちは、新しい制度の大学のできる前に卒業された方でありますから、その方には、この転換期において、適当な選考で免許状を與えるというようにしてやつております。従つて師範学校を出た方で、相当長い間勤務されている方には、一級免許状へ二級免許状等が與えられ、また女学校、中学校だけの方々には、仮仮免許状が與えられ、そして今後の講習会その他による研究と勤続年数等が満ちて来た場合に、二級免許状が與えられる、こういうふうになつておりますので、その無資格という点がどういう点にあるのか、はつきり私にはわからないのであります。
○角田委員 教職員の待遇が非常に悪いということで、これまた日教組の方の調査でありますが、現に東京の小学校、中学校の先生方が、非常に内職をたくさんやつている、内職をしなければ生活ができない。極端な例をあげますと、女の先生がお花の先生をやつたり、お茶の先生をやつたり、あるいは男の先生から言うと、ブローカーなどやつている。こういうので非常に内職をやる数が多いということを言われておるのでありますが、この点はいかがでございますか。
○高瀬国務大臣 教職員の待遇が現在の物価状況、生活費の状況から申しますと、はなはだ不十分であることは事実であります。その点は、今後経済の許す限りにおいて、ぜひとも改善しなくてはならない問題だと考えております。今日の状況では、生活上非常に苦しいだろうと思います。従つて内職と申しますか、学校の勤務以外でもつていろいろ収入を一応考えておられる人が、相当多数あるだろうということは考えておりますが、はつきりした数字はわかりません。ただしかし、こういう時代に非常に生活が苦しいというのは、教職員だけではございませんで、一般国民全体がほぼ同じような苦しみをなめていると考えております。教職員だけが特に非常に苦しいとは、私は考えておりません。
○角田委員 教職員が特に非常に苦しいのではないということで、それは一応安心するのでありますが、現に大学教授などは、ほとんど教授の方が内職で、本職の方は別に原稿を書いたり何かしているというような状態であります。この点から想像してみましても、特にひどいと言つていいのではないかと、さように私は考えておるのであります。 この機会に申し上げて御所見を承りたいのは、研究公務員あるいは教育公務員などは、これは特別の待遇をして行く必要はないかという点であります。裁判官などは特別な俸給で行くようになつているが、非常に努力をして研究に従事している大学の先生などは、非常に待遇が悪い。それで職階制の問題からしても、一体研究公務員あるいは教育公務員、こういうものは一般職階制によつて律すべきものではないではないか。大体一般公務員は御承知のごとく、一般公務員を中心として行政組織のうちに上下の関係がある。ところが大学の先生などというものは職責に上下の関係がない。それを学長が幾ら、教授が幾ら、助教授が幾ら、こういうふうに職階制できめておくのは一体正しくないじやないか。ほんとうに研究している学者というものは、学長になつたり総長になつたり、あるいは研究所の所長になつたりすることを欲しない。そういうところから見ましても、大学教授である研究公務員あるいは教育公務員というものは、一般公務員とは別な職階制を持ち、別な俸給制度によつてこれらの人々を遇すべきではないか、こう考えておるのでありますが、この点についての文部大臣の御所見を承りたいと思います。
○高瀬国務大臣 お尋ねの教育公務員、研究公務員等につきましては、その職務の性質から特別な俸給表をつくる必要がないかという点でありますが、この点は私も認めておりまして、人事院に意見を出していろいろと協議をいたしておりますし、人事院でもその点相当理解しておりますので、今後そういう方向に進んで行くのではないかと思つております。ただこの際つけ加えておきますが、現在の制度におきましても、助教授の方が教授よりも俸給が高いという例も実際ありますし、学長よりも教授の方が俸給が高くなるということもできるのでありまして、それは全然ふさがれておるわけではありません。
○角田委員 今年度の予算で義務教育の国庫負担が平衡交付金になりました。そうして参りますと、文部省が直接財政の面において町村の教育にあずからない。そこで財政上の連絡のないところの監督はできなくなるじやないか、こういうことが心配になるのでありますが、この点はどういうふうにして文部省が監督されて行くか御所見を承りたいと思います。
○高瀬国務大臣 財政的の面での文部省の地方教育費に対する関係でありますが、御承知のように平衡資金がいかにして運用されるかというこまかい具体的なことは法律できまるわけでありますが、まだ国会に提出されるところまで行つておりません。大体のところから申しますと、地方で教育費を算定されるわけでありますから、その場合の標準的な教育費をどう見積るかという場合に、文部大臣の意見がいれられると思います。それからまたそうしてきまりました標準的な経費を土台にして、交付金がきまるわけでありますから、その交付金使用の状況等についても文部大臣は監督できると考えておりますので、監督できなくなるとは思いません。
○角田委員 もう一点文部大臣に承つておきたいことがあります。これは新聞で承知したのでありますのではつきりいたしませんが、先般シヤウプ使節が参りました際に、小学校から中学校、高等学校までの生徒を無償で教育する方針を立てられて、意見書を提出されたということを新聞で知つたのであります。それによりますと、大体小学校から中学校、高等学校までの生徒全体でおよそ一千億の予算があればいい。そのうち五百億が国家、四百億が都道府県、百億が町村で負担して行く。文部大臣のこの点についての御意見を承りたい。
○高瀬国務大臣 その点はシヤウプ使師団が来ましたときに、文部省といたしまして教育財政の問題についての意見書を提出いたしました。その意見書の中に教育財政についてそのような意見があつたと思つております。それが新聞に出たのだろうと考えております。その場合にお話がございましたように小学校から高等学校まで完全無償ということになりますと、とてもそのような金額では足りないと思います。ただ教員の俸給の半額とか、三分の一とかいうものは国庫が負担をして行くというような関係から行くとすれば、その程度で行くかと思いますが、完全無償ということになると、なかなかその程度の金額ではいかないだろうと思います。アメリカでも高等学校まで完全に義務教育にしたいという意見はあるようでありますが、まだそこまで行つておらない状況でありますから、理想としては日本も義務教育九箇年の上に、さらに三箇年の高等学校までを義務として無償としたいという高い理想は持つべきでありますが、現在の状況ではなかなかそこまでは行かないだろうと思つております。
○角田委員 先般大蔵大臣が昭和二十六年度の予算においては、本年度より歳出においては一千億は減るであろう、こういうお見込みを発表されたのであります。一千億減りますと、そのうちの半分としても五百億。文部省でお考えになりましたものがその点でとれるようにも考えられるのであります。これは地方に参りますと非常に喜んで関心を持つておりますので、明年度そういうことが実現するようにお願いいたしまして文部大臣に対する私の質疑は打切ることにいたします。
○植原委員長 これにて休憩いたし、午後は一時半から開会いたします。 午後零時二十八分休憩 ————◇————— 午後一時五十二分開議
○植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。質疑を継続いたします。角田幸吉君。
○角田委員 大蔵大臣にお尋ねする前に、多年わが国において猛威を振つたインフレが、一応下火になつたその御労苦に対して、深い敬意を表しておきます。 まず冒頭にお尋ねを申し上げたいことは、去る三十日の本委員会でわが党の小峯柳多君の質問に対しまして、明年度、二十六年度の予算の構想を簡單に御発表になつたのでありますが、その際に私はもう少しその点について申し上げたいと思つたのは、昭和二十犬年度においては価格調整費がどうなるか。このことを最初に承りたのであります。どの程度に残るのか、こういう点を……。
○池田国務大臣 御承知の通りに昭和二十四年度当初予算におきましては、二千二十二億円を計上いたしたのであります。その際の二千二十二億円の内容を申しますと、見返資金関係、いわゆる輸入補給金が大体九百億余り、そうして国内物資の価格差補給金が一千億余り、こういうふうになつておつたのであります。昨年七、八月ごろより極力国内の価格差補給金を減らします。また輸入補給金につきましても、内地の輸入する物資と同じ物資の価格が上つて参りましたので、減つて参りまして、補正予算では二百三十億円を減らしたような状況であるのであります。この結果から一年間にフルに出て参りますので、昭和二十五年度の予算におきましては御審議願つておりますように、大体九百億円で済むことになつたのであります。その内訳を見ますと、大体輸入補給金が四百億、国内物資の価格補給金が五百億円ということに相なるのであります。従いまして今年度におきましてわれわれは今残つております国内物資の価格補給金、鉄鋼、肥料が大部分でございまして、一ソーダはごく少い、十億円足らずのものであります。肥料と鉄鋼の価格補給金は本年度中にははずしてしまいたい。そういたしますと、再来年度におきましては輸入物資が主となるのでありまして、大体四百億円ぐらいになると考えておるのであります。
○角田委員 これは雑誌の記事でありますから、それを真としてお尋ね申し上げるのではありませんが、一月二十一日の「エコノミスト」の中に、こういう記事を見たのであります。池田大蔵大臣が去年の十二月二十四日の参議院の木村禧八郎君に対しで、経済の恒久的安定の時期は早くて十月ごろのことであろう。今年の十月をこれは意味したものでしよう。その時期が来るならば米価も賃金も国際的水準で算定ができるようになる。別な考え方であるが、輸入補給金を必要としない時期が経済安定の時期と見るべきものだ。こういうことを答えたことが雑誌に載つておりますが、これはそのことを質疑するものではありませんが、やはり大蔵大臣は輸入補給金を必要としない時期が、すなわち経済安定の時期とお考えになつておるのかどうか。この点を承りたいのであります。
○池田国務大臣 輸入補給金がなくなつた場合は、経済安定の重要なる要素になるのであります。すなわち輸入補給金がある間は、まだある程度絶対に安定に至つていない。こういう考え方であるのであります。しかして輸入補給金のみならず、国内の補給金がなくなる場合でも、十月ではちよつとむりではないかと思います。大体国内物資の価格補給金を全部なくなしまして、そうしてそれがほんとうに物価の方に影響いたしますのは、三箇月ないし六箇月くらいを要しますので、その期間はやはり必要じやないかと考えております。大体日本経済の絶対的安定ということは、こういういわゆる補給金等の、ドツジ氏の言葉をもつてすれば竹馬がなくなつて池についたときが安定ということを申すのであります。従つて輸入補給金がなくなつたから、もう絶対安定ということになるかというとそればかりではありません。ほかの要素ももちろん必要であるのであります。
○角田委員 輸入補給金がなくなつたから日本経済が安定した。別な要素もあるのだ。ごもつともでございます。私どもはここでお尋ねを申したいのは、一体竹馬経済と言われるか、竹馬。からおりて自由に歩ける時代はいつなのか。経済の安定五箇年計画というものがありましたが、池田大蔵大臣の財政政策で、もうその必要がなくなつたようにも考える。しかしまだ数年間かかるのじやないか。こういう考え方をしておりますので、もう少し正確に心の中に安心感を與えるようにお示しを願いたいのであります。
○池田国務大臣 竹馬経済がなくなりますことをもつて、安定の域に達したと大体において言えましよう。その竹馬の足というのは輸入補給金といわゆるアメリカの援助であるのであります。アメリカの援助はこちらでどうこうというわけに行かないのでありますが、私は徐々に減つて行くのではないか、こう考えております。これは好むと好まざるにかかわらず、われわれとしては頭に置いて経済政策をやつて行かなければならぬと思います。しかしそれじやアメリカの援助が少しでもあつた場合には、絶対に安定でないかということになりますと、これは援助にかわるべき外資が入つて来れば、国際関係ではやつて行けるのであります。そうなつてみますと、とにかくわれわれが経済の自立をするためには相当の努力がいります。国民の努力、政府の施策のよろしきを得る、これがその時期を決定するのではないか。非常な努力をして行きますれば、その時期が早くなりますし、十分の努力ができない、施策もよろしきを得なかつたら遅れる、こう思うのでありまして、私は二、三年のうちにはぜひとも自立経済を達成して、そうして輝かしい経済を基礎に置いたいわゆる文化国家として行きたい、こういう念願を持つておるのであります。
○角田委員 その次に承つておきたいのは、今年度の産米価格がパリティー計算で幾らに計算されており、そうしてその生産価格を標準とするとどの程一度に上るか。昭和二十四年度においては。パリティー指数が一五六・二四で計算され、今年は肥料も大巾に上りますので、本年度予算におきましては産米価格をどういう標準で、パリティー計算されるか、この点をひとつ。
○池田国務大臣 昭和二十四年産米におきましては、御承知の通りに石四千二百五十円にきめたのであります。しこらして二十五年にできます米の生産者価格につきましては、肥料の補給金の切りかえあるいは鉄鋼の値上りによりまして、影響度を推算いたしまして、パレテイーが一六七だつたか、九だつたかと思いますが、その点は事務当局からお答えいたさせます。
○河野(一)政府委員 本年産米のパリティー価格につきましては、七月の春夏におきましては一六四、秋産の米につきましては一六八ということで計算いたしております。そういたしました場合に生産者価格は、現在きまつておりますのは普通供出四千四百三円でありますが、一六八の場合におきましては、超過供出は現在八千六百九十七円でありますが、その場合は本年産米につきましては九千三百八十六円、こういうふうな数字になつております。この四千四百三円と申しますのは、四千二百五十円という価格に俵代と格差、これを加えたものであります。
○角田委員 産米価格のパリティー指数がずつと上るのですが、これが物価の騰貴あるいは給料の点に影響がないのかどうか、大蔵大臣から伺いたい。
○池田国務大臣 昭和二十五年度に食管の方で收納いたします麦あるいは今年の九月から入つて参ります米の生産者価格は上りましても、昭和二十五年中は先般一月にきまりました消費者価格を動かさない計算で行つておるのであります。従いまして生産者価格は上りますが、消費者価格は動かさずに済むようにゆとりをとつておるのであります。
○角田委員 次に農漁村の金融問題について若干お尋ねしたいと思います。先般小峯議員の質問に対しまして、不動産金融金庫をつくるという御構想で、なおその際に勧業銀行は特殊銀行としないということが述べられておつたはずであります。私は不動産金融金庫をつくるよりも、勧業銀行を特殊銀行にした方がいいじやないか、こういう疑いを持つておりますのでお尋ね申し上げるのでありますが、私の聞き及んでおるところでは、現在勧業銀行の預貯金が二百五十億程度であります。そうして勧業銀行の職員が六千人くらい。御承知のごとく中央銀行は一人の行員を養うためには、五百万くらいの預貯金がなくてはならぬ。地方銀行で四百万くらい、こう言われております。そうすると勧業銀行では、私の想像によりますと六千人では多い、五千人くらいに整理しなければならぬ。そういうことになると思います。何も銀行員の整理を云々するのじやありませんけれども、御承知のごとく、勧業銀行は昔の農工銀行と合併したものです。不動産金融についてはエキスパートが多い。結局整理をするということになると、不動産金融のエキスパートを追い出してしまう。それを活用して行く方がよろしいのである。新たに不動産金融金庫をつくりまして、大体新店というものは能率においても悪い。こういうことを考えますならば、不動産金融金庫をつくる前に、勧業銀行を特殊銀行として、預貯金のほかに、従来のような債券の発行権でも認めて、そうしてこれに不動産金融をさせる方がかえつていいじやないか。大蔵大臣は金融についてはなるべく国家が関係しない、自由にした方がいいのだということを先般述べられておるのでありますが、勧業銀行をそうして行つた方がいいのである、政府が不動産金融金庫などをつくる方がかえつていけないじやないか、こういうふうにも大蔵大臣の御所見から私は考えられる。この点に疑いを持つておるのでありますが、なぜ一体勧業銀行について特殊銀行として不動産金融をやらせないか。このことをひとつ大蔵大臣に承りたい。
○池田国務大臣 不動産金融金庫とか、あるいは不動産銀行、こういうことは話題にはちよいちよい出ましたが、私の考えでは、特別に不動産銀行を設けることはなかなか困難ではないかと思います。今の状況から申しまして、債券を発行いたしまして金を集めるということになりますと、かなり資金コストが高くついて来るのであります。しこうして興業銀行のように一件の貸出金額が大きい場合においては、経費が割合少うございますが、一般に考えておりますようないわゆる零細な不動産担保の金融ということになりますと、一件の貸出金額は割合に少くて、経費が非常にかかるのであります。資金コストの高い銀行で零細な不動産金融をやるということになると、どうしても年に一割六、七分というような利子でないと、なかなか採算がつかないのであります。従いまして私は不動産銀行という特別な銀行を設けることは、適当でないという結論に到達しているのでございます。従いまして不動産金融をどうやつて行くかということになると、角田先生は、前のように勧業銀行を不動産金融金庫のようにしたらどうかという御意見でございますが、勧業銀行は終戰後のあり方といたしまして、もう普通銀行にかわつてしまつたのであります。これをまた前のような不動産銀行にかえる。そうしてかえた場合の採算の状況を考えます。と、やはりとるべきではない。しからば不動産金融をどうするか、ことに中小商工業者においてはかなり不動産金融というのが今までも行われておりましたし、また担保物件その他からいつて割合よいものだ。そこで私は勧業銀行を普通銀行のままにしておいて債券を発行し、一般商業金融と同時に、また不動産の方もやらしたらどうかという結論に到達いたしまして、先般来関係方面と折衝を重ねた結果、見返り資金より相当額を出資いたしまして、それに応じて債券の発行を認めて行く、その債券の発行は長期資金を使つて行く、その長期資金の場合に不動産担保の金融ということもあり得るという考えを持つておるのであります。この銀行法の改正は近日中提案できると思つております。もう閣議でも昨日決定いたしましたので、二、三日中には御審議願えるだろうと考えております。大体の考え方は、勧業銀行について大体預金が三百億近くございます。それで見返り資金より十億円を出資して、社債を発行するということになると、百億ないし二百億の長期資金ができるのではないかという見通しを持つているのであります。
○角田委員 不動産金融に関連してもう一点お尋ねを申し上げます。これは技術的にも非常にむずかしかろうと思うのでありますが、最近農村は非常に金詰まりになつて参りました。農業の振興をはかるとすれば、どうしても金融というものを大きく考えて行かなければならない。ところが田畑が不動産担保の対象にならないで、売買を禁止されておりまして非常に困つております。結局協同組合でもつくつて、農林中央金庫から借入れるということになるのでありますが、これもなかなかうまく行かない。一般には田畑を担保として金を借りられるような制度がほしいという要望があるのでありますが、この点について大蔵大臣はどうお考えになつておられますか。
○池田国務大臣 農山漁村の金融につきましては、お話の通りに不十分でありましたので、今まで農林中金を使つて、農業手形制度を創設して金融をはかつておるのでありますが、何分にも今の状態では農林中金もそう金はございません。従いまして農林中金においても勧業銀行と同様に、あるいはなお一歩を進めまして、今の四億円の資本を八億円にし、別に同額の見返り資金から支出をして、相当多額の債券発行を認めようといたしておるのでございます。農林中金の金を出すとすれば、それだけ農村金融は潤うと思うのでありますが、お話の点の田畑を担保に金を借りられるようにこれを今直すということは、なかなか困難な問題はないかと思います。従いまして農林中金に金ができた場合に、農村といたしましては、住宅を担保にするとか、あるいは農業手形制度をもつと拡充するとか、組合をつくるとかして、担保ばかりでなく、何とか信用保証制度を創造して融資するよりほかにないのではないかと思います。今の田畑を自由に売買することができるようにすることは、今の状態ではなかなか困難ではないかと考えております。
○角田委員 ほかの同僚諸君の質問もありますので、この程度で私の大蔵大臣に対する質問を打切りまして、あとは分科会で質疑さしていただくことにいたします。
○植原委員長 坂田道太君。
○坂田(道)委員 農業問題につきましては、同僚議員からすでにたくさん質疑が行われましたので、私はなるたけ重複を避けながら、落穂を拾うというような気持で、農村問題特に農村における資本の蓄積を、今後どうやつて行くかという点について、二、三の質問をいたしたいと存ずるのであります。日本銀行の調査によりますと、昭和二十一年の五月に通貨の滞留が四八、二%ありましたものが、昨年の六月になりますと一七、二%に減少をいたしておるのであります。終戰後のこの通貨の滞留の原因は、食糧インフレによる名目的な資本の蓄積で、正常な意味における農業の資本の蓄積でなかつたことはもちろんでございます。しかしながら、二十一年五月に四八・二%あつたものが、昨年六月に一七・二%に減少しているという事実は、今日の日本の農村の金詰まりの実相を現わしていると思うのであります。しかもここに日本農村の考うべき幾多の問題がひそんでおると考えられるのであります。これにはいろいろ原因があると思うのでありまして、この資金の流出が行われたということは、一面においては農村自身にも責任がないとは言えないと思いますが、一面においては歴代内閣の農業政策の欠陷にあつたと私は考えるのであります。第一には農村に対する課税が極端に重かつたということが一つの原因であります。第二には供出の強制、第三には農産物価格の低位、いわ、ゆるシエーレの問題、第四は災害が非常に多かつた。これはもちろん不可抗力の問題ではありますけれども、しかしながら災害防止のために、何ら予算的な措置を講じて来なかつたという点は、またわれわれとして反省すべき点であると思うのであります。そこでせつかく終戰後農地制度の改革が行われまして、農民が自作農になつて、そうして生産力の拡充と農業経済の向上安定という目標を達成すべき基盤が確立したにもかかわりませず、以上のごとき原因からして、農村から資金が逃げて行つた。こういうような農村を不況に追込み、農民をこういう貧農の状態に陥らしめた原因を究明して、これを一つずつ解決して行くということが、吉田内閣の農業政策の前提でなければならない。農村におけるところの資本の蓄積をはばんでおるいろいろの障害を一つ一つ取除くということが、森農林大臣の農業政策の根幹でなくてはならぬと私は考えます。そういう意味におきまして、この第一の原因でありますところのいわゆる税の問題につきましては、今般シヤウプ勧告以上の減税措置が講ぜられまして、ことに家族従事者の扶養控除の問題、その他所得税の軽減が行われましたことは、これは資本の蓄積を行う上において重要な問題であると思います。また私の考えます第四の災害復旧の問題につきましても、災害復旧及び治山、治水のために、最小限度でありますけれども、相当の費用が捻出されたということは、土地の生産力の基盤をつくるという考えからして、これは農業政策の進歩であると私は考えるのでありますが、一体農林大臣は何か将来農家所得を増し、加えて資本の蓄積を行つて行くところの構想をお持ちであるかどうか、もしおありであるならばこの際承つておきたいと存ずるのであります。
○森国務大臣 お答えいたします。大きい問題の御質問でありましたが、日本の農業が戰後異常な、畸形的な状態に置かれまして、いわゆる悪性インフレーシヨンの結果、食糧の窮乏が農村に思わざる金を注ぎ込んだことから、非常な何と申しますか、金が非常に入つて来たために、にわかな生活の異変を来したような状態が続きまして、しかもこれがまさに正常に復帰しようとする段階として、金詰まりの状況になつて来たのであります。この問題につきましては、ひとり農村方面ばかりではありませんけれども、ことに農業者としては、今までつつましやかなる生活をしておつた農村に思わざる收入がふえたという結果、遂にはいわゆる贅費が高まつて、一つの悪い習慣をつくりまして、これが日本の財界建直しのために、均衡予算等よりその引締めを行う段階に入りましては、非常なきゆうくつな生活に置かれる立場になつて来たのであります。しかし今日はひとり農村のみならず、いずれの場合においても財界の建直し、日本の建直しといたしましては、おのおのその足元を見詰めて立直しをしなければならないのであります。幸いシヤウプ勧告によりまして、税の相当な負担が農村にかけられておつたのが、合理的に課税されて軽減されることになつたのでありますが、農村自体におきましても、すでに今までのは誤つた生活ぶりであるという反省がほの見えて参りまして、今回の供出米に対する代金におきましても、その全額が農家の手元に入らずして、協同組合において、しかも定期的な貯蓄に向けられておるという形勢が現われて来ておりますことは、農村がこの不況ということを非常に心配して、そうして相当自衛の立場に立ち帰つた。いわゆる自分の足元を見詰めたということになつたきざしと考えるのであります。政策の上におきましては今後農産物価格が自由な立場になりまして、国際的価格と関連を持つようになつて来た場合に処しましては、農産物の価格の変動に対しましては、適切なる処置をとりまして、そうして農村の経済を破壊しないような保護政策をとらなければならぬと存じますが、従来農村経営があまりにも政府に依存し過ぎておつた。いわゆる補助政策、何をやつても補助という補助政策をしておつたということは、結局自分らが赤字公債を持ちながら、その金を補助金として受取つておつたというような考えもいたされるのでありまして、今後はいずれの業界におきましても、自分の力によつて立つて行くということに建直らなければいかぬと思うのであります。その場合においてはいずれの業界とも相当苦痛を感ずることは当然でありますけれども、その苦痛を忍んで、初めてほんとうの自分の力で立ち上つたということになるのであります。従つてここで農業者と商工業者との対立ということも予想されるのでありまして、それらの場合においては、力弱き農業者であり、しかも資本の運転回数から申しましても、一年にようやく一回転というような資本の回転率しか持つていない農業者が、商工業者と対立して行くという場合においては、どうしてもここに協同組合の力によつて、そうして小さいながらも集まれば大きいという相互扶助の協同力によつて、自衛的な立場をつくつて行くということでなければならぬと考えておるのであります。
○坂田(道)委員 ただいまの農林大臣のお話で、日本の農業政策が従来あまりにも保護政策的であつた。あまりにも農民が保護に安んじておつたがために、かえつて自力を失つた。自主自立ということを考えなかつたということを申されたので、私はその点は同感でありますが、しかしながら日本の農業につきまとうところの宿命と申しますか、天災地変あるいは災害が非常に多い。あるいは過剰人口の問題なり、こういつた問題はむしろ日本だけでなくて、アジア的な一つの農業の形態ではないか、不安定性ではないかと私は思うのでありますが、こういう不安定性を持つておるものを解決する上においては、やはりある程度国家としてこれに保護を加えなければならないと私は考えます。そういう天災地変、災害、天候そういうものに左右される運命を持つておる、こういう宿命を災害防止という形で最小限度に私たちは解決して行かなければならないと思うのでありますが、災害が起つてしまつてから使う十億の金は、災害防止で一億ぐらいでも済むと私は思うのでありまして、災害防止のために農業方面において何か予算的措置を考えておられるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○森国務大臣 わが国の位置が台風等に見舞われ、しかも気候の関係で病虫害の発生に非常に環境がいいという点から考えまして、年々歳々起ります風水害も、また病虫害の発生もこれを見ておるのであります。しかし昔から二百十日前後になれば大風が吹くということを言つた通りに、季節風が吹き、季節的な被害もあつたのであります。しかし過去において記録に残るような風水害もありましたが、近年のごとく少しの雨量があつても洪水を出すというようなことは、結局今日国土が荒されておる結果であることは申し上げるまでもないのであります。それでまず国家的立場から、この農業政策の上において保護して行くということは、国家として当然の責任でありますから、まず政府といたしましては、農業耕作の安全性を高めることが私は根本であると思います。少々の雨が降つても、少々の風が吹いても、それがために耕作を根本的にくつがえしてしまうというような危険な状態にさらされないようにして行く。しかも現在はさらざれなければならぬような状態に置かれておるが、治山治水に力を入れて、まずこの安全な位置に復旧するということでなければならぬので、第一それに力を入れて行かなければならぬと思うのであります。そのほか農業者自身においてはでき得ない土地の改良、品種の改良あるいは技術の指導等、なかなか個人的にこれを行う、また研究をやることが非常に困難なものに対しましては、科学技術の取入れ、あるいは品種の改良等は国家の事業においてやつて行く。従来農事試験場というものは不統一に置かれたのでありますが、本年からはこの農事研究所を全国的に統制をつけまして、縦にも横にもつながりのある研究所といたしまして——従来は農事試験場で取上げてこうだということでなければ一々指導しなかつたのでありますが、これを各地方に存在しておる事実をつかまえて、その事実をその研究所によつて合理化し科学化して、それをただちに普及する。いわゆる普及の促進をはかる制度を設けて、栽培技術等の方面にも、あるいは病虫害対策の方面においても、そういう総合的な指導をして、農業経営の安全性を高めて行きたい。かように考えておるわけであります。
○坂田(道)委員 農業耕作の安全性を保つということを考えておると農林大臣は言われるのでありますが、ここで私は干拓地における問題を取上げてみたいと思うのであります。御承知のように、全国の海岸線の堤防によつて囲まれておる干拓地が——その堤防のキロ数は百二万九千キロあるそうでありますが、その耕作面積は大体八万五千町歩に及んでおる。米の生産高だけでも二百万石以上ある。この干拓地帶の農民にとつて、堤防というものは生命線である。農業耕作の安全性という問題から考えましても、これの補強あるいは維持管理ということには、当然国として関心を持つべきであるにかかわらず、実はこの管理の主体がはつきりしておらないのであります。このうち大体三割は国または県が維持管理をしておるのでございますが、あとの七割の海岸線堤防というものは、耕作民の組合か、あるいは市町村にまかせられてしまつておる。しかも戰争以来の堤防に対する補強工事が全然行われなかつたために、漏水があり、あるいは決壊があり、また九州地区においては毎年の台風においてまことに危険な状態にあるのであります。干拓地帶に関する限りにおいては、耕作農民は安心して生産に努力し得る状態に決してないのであります。もちろんこれは農地改革の場合に、当然海岸線の堤防の管理の主体をはつきりする。国または県でこれを管理することが考えられなければならなかつたにかかわらず、これが取残されておるような状態であります。一体この管理の主体は、農林省でやるべきだと私は思うのでありますが、農林大臣はどういうふうにお考えになつておりますか、まずこの管理の主体の問題についてお伺いいたします。
○森国務大臣 干拓堤塘の維持でありますが、これはその現状によつて考えなければならぬと思うのであります。現在やつております干拓等につきましては、もちろん将来のことを考え、農林省の計画のもとに進めておるのでありますか、古く農業耕地整理組合というような時代にやりました干拓あるいは耕地整理等の場合によりましては、今お示しのような干拓堤塘というものがこの事業以外に処理されて、県がこれを維持するというような立場に置かれておる部分もあると想像されるのであります。そういうものは農林省がやるか、あるいは建設省が管理すべきかという問題がありまして、これは相当議論もあるのでありますが、現在においては河川の予算にこれは包含されまして、建設省の所管になつておるのであります。現在また将来においてこの干拓を執行する場合におきましては、こういう点ははつきりいたして計画を進めて行きたいと存じますが、過去のものにつきましては今申し上げたような事情でいろいろ議論も立ちますが、河川予算の中において建設省の所管になつておるわけであります。この対策については建設大臣よりお答えがあろうと存じます。
○坂田(道)委員 耕地の安全性の確保という面と、もう一つは排水というような特殊な干拓地帶の海岸線の堤防に限りましては、これは私建設省でなくして、むしろ農林省が主管されることが、当然ではなかろうかというふうに考えるのでありますが、ただいま農林大臣の御答弁では建設省でこれをやるということでありますから——この補強も本年中に最も急を要する箇所が相当あると私は思うのでありますが、これに対して建設省として、どれだけの予算をとつておられるかお伺いしたい。
○益谷国務大臣 ただいま農林大臣からお答え申し上げた通りであります。すでに干拓かできておるところは、建設省が所掌いたすことにしております。そうして本年の干拓堤塘に対する補強費と申しますか、助成金は一億五千万円見積つております。これではもとより不十分であることは承知いたしておりますが、これまでまつたく国の助成方法がございませんでした。本年初めて一億五千万円を予算に組んだ次第であります。そうしてこの一億五千万円をなるべく効果的に効率的に使つて行きたいという考えから、大体助成の標準を決定いたしております。すなわちまず都道府県の管理に属するもの、これが第一の標準であります。従つて市町村でありますとか、私法人というようなものの管理するものは、後年に延ばさざるを得ないのであります。そして都道府県の管理をいたすものにつきましても、波をよけるというような程度の堤防は、本年は補強いたすということは、予算の上からできませんので、本年度は潮位が田の表より高いというようなものを選んで、そしてこれに対する堤防の補強をいたしたい、かように考えております。なお行く行くは農地改革のために、田地の所有者が負担をして行くということは困難でありますから、でき得れば市町村から県の管理にするとか、あるいは国の管理にするというようにいたして行きたいという所存でございます。
○坂田(道)委員 ただいま建設大臣の御答弁で、今まで全然顧みられなかつた干拓地帯における海岸線の堤防の補強に対しまして、一億五千万円——これは必ずしも十分とは言えません。ほんとうの最小限度とも言えないくらいわずかな金でありますけれども、しかしこれが考えられたということは、私は敬意を表する次第であります。しかしながら今の一億五千万円の配分の問題につきまして、御答弁があつたのでありますが、第一に国または県が管理しておるところに優位を認め、そして市町村及び組合の方はあとまわしにするというような御答弁であつたと承りますが、ここを実は私は農林省でやつてもらわなければいけないのじやないかという気がするのであります。と申しますのは、先ほど私申し上げました通り、全体の干拓地をめぐる海岸線の堤防の七割が、市町村及び単なる耕作農民の組合によつてこれが維持、管理されておる、しかもここに一番弱点があり危険性がある、ここを一番補強をしなければならぬ実情にあるというふうに、われわれは考えるるのでありますが、この点につきまして、建設大臣の御構想はありませんか。
○益谷国務大臣 先ほどお答え申し上げました通り、坂田君も御承知でありましようが、従来は干拓をいたしますと、その堤防を管理、維持いたして参りますのは干拓者でありました。それが農地が分割いたしたために、その維持が困難になつたので、本年初めてこれに対する助成の方法を講じて参ろうということに決定いたしたのであります。しかしてとりあえず県を選びましたのは、県は御承知の通り国庫の助成に応じて、そして県の出資によつて工事を進めて行くことができるが、市町村に参りますと、あるいは個人なり法人になりますと、園が助成をいたしましても、助成以外の部分を負担するということが困難であります。のみならず、要求と申しますか、要請と申しますか、希望と申しますか、それがまとまつて来ないのであります。今後助成をいたすということになりますれば、だんだん市町村あるいはそれ以下の人たちも、おのおの計画を立てて十分に要請して参るというような考えで、とりあえず県の管理に対する助成の方法を講じて行きたいという考えであります。
○坂田(道)委員 今後とも内閣におきまして、この取残された干拓堤防の補強の問題につきまして、一層の御努力をお願いいたしたいと思う次第であります。 ただいま私が述べて参りましたように、現在ある農地を保護して、そしてその土地の生産力を高めて行くとい巨ことが、森農政の第一であると考えますが、その自給度を高めるという上におきまして、その量的及び質的な問題が考えられると思うのでありますが、その質的な改善、改良というような意味から申しまして、土地改良費に一体どれくらいの費用を考えておられるか、これを承りたいのであります。
○森国務大臣 土地改良費には、公共事業費において、災害復旧費を除きまして八十五億円となつておるのでありますが、その三九%に当る三十三億一千六百七十万円が、土地改良事業費に当つているわけであります。
○坂田(道)委員 灌漑排水の費用については、どれくらい見積つておりますか。
○森国務大臣 お答えいたします。国営灌漑排水事業費は十三億三千四百余万円であります。道府県及び国体の営みます灌漑排水においては、十四億一千三百余万円、こういうふうな数字になつております。機械設備に対しては八千万円、大体そのくらいであります。
○坂田(道)委員 次に耕地の量的な拡張というような観点から、開墾関係の費用がどれくらいかということと、それから干拓の費用がどれくらいかということを御説明願いたい。
○森国務大臣 先ほど申しましたように、三九%の三十三億一千六百七十万円が土地改良事業費でありますが、四六%に当る三十八億八千三百三十万円が開墾事業費でありまして、一五%に当る十三億が干拓事業費に充てておるわけであります。
○坂田(道)委員 干拓の費用に十三億ということは、先般の同僚委員に対しての御答弁にもあつたのでございますが、これ以外に見返り資金から大体十二億か十三億を考えているというようなお話があつたと思うのであります。干拓の費用が、実は昭和二十一年を一〇〇といたしますと、順次低下して参つておるのでございまして、二十四年度においては八億、結局これを実質的に物価の、値上り等を考えますと、四八%にしか当らない。ところがこ十五年度の十三億にいたしますと、ずいぶんふえて参りましたけれども、それでも八四%にしかすぎない。これではとうてい現在日本全国の干拓地の工事ができないと私は考えるのでございますが、この見返り資金の十二、三億というものに対して、農林大臣の御確信をまず承つておきたいと思います。
○森国務大臣 見返り資金から十七億円くらいを予想いたしておるのでありますが、御承知のように干拓の事業は——ことに海岸線の干拓はある期間を予定して、最も急速にこれを完成するという方針をとることが必要でありまして、あまり広く手を伸ばして干拓の箇所を定めましても、その間にたとえば波切りをこしらえて行くということが、わずかな経費でやつて行くと、何年かかつてもできないその間にせつかくやつたものがむだになつてしまうということも考えられますので、なるべく一気呵成というわけにも行きませんけれども、短期間に完成したい。こういう考えで昨年からは干拓事業に対しましては、重点式に早く完結して行きたい。早く完了するところを少しでも持つて行きたい。こういう考えでやつて参つたのであります。従つて現在継続中の干拓事業に対しましても、二十五年度において八箇所、二十六年度において三十一箇所、二十七年度に三十五箇所、二十八年度四箇所、二十九年度一箇所、これで七十九箇所でありますが、まず今計画いたしておりますこれらのものを、一日も早く完成いたしたい、そうして完成ができるに従つて、予算との関係もありますから、最も重要な面につきましては、新しきもの乏いえども、その計画を進めて行きたい。こういう考えを持つておるわけであります。
○坂田(道)委員 干拓の予算の配分の問題について、重点的にやらなければならぬということは、私も同感でございます。まず早く完成をさせる、潮どめのできるようなところから、まずそういうところに重点的に配分をしなければならない。実は干拓予算がこういうふうに減つたというのも、安定本部あたりの査定の際において、どうもたくさんばらばらとりかかつたけれども、それが一つも完成しない。従つてそれから一つの米なり、麦なりができないという、実質か上らぬというところにあると考えるのであります。その点につきまして、農林大臣が重点的にやるということに対しましては、私は深く敬意を表するものでありますが、それだけに今度の十三億の一般会計の予算と、今度の十七億でありますか、見返り資金のこの予算と、この見返り資金が早くきまるならば、これが有効適切に重点的にやられるのでありますが、見返り資金がはつきりしない場合は、この十三億の使い方が、私は非常に効率的でないという配分に陷るのじやないかという危惧を実は持つのでありますが、この点につきまして大蔵大臣より見返り資金につきまして、時期的にあるいはその金額につきましての大体の見通しを、お伺いいたしたいと思います。
○池田国務大臣 見返り資金のうちに、公企業の方で百十億円、農業関係で五十億円を予定いたしております。この使い方につきましては、ただいまのところはつきり申し上げる段階に至つておりません。考え方といたしましては、一応一般会計の予算で、公共事業費として御審議願いましたのが第一線に出るのでありまして、その使い方によりまし七、足らざるところを見返り資金で補おうというのが根本的な考え方であるのであります。何と申しますか、予備的の金を予想してやつているのでありまして、まず公共事業費を充てる、こういう考え方であります。従いまして私といたしましては、いずれにいたしましてもそういう金額を見返り資金に予定いたしているのでありますから、できるだけ早い機会に、これを計画的に使われるように努力をいたしておりますものの、やはり経済情勢の変遷その他を考慮してやるという考えが強くございますから、今的確に申し上げる段階に至つておりません。
○坂田(道)委員 見返り資金の問題につきましては、できるだけ早くこれをおきめをいただきたいということを要望いたしまして、この問題についてはこれくらいにいたしたいと思います。 次に農村の資本蓄積をはばんでいる一つの原因の中に、供出の問題があると思うのであります。もちろんアメリカから食糧を輸入しなければならない日本の現状として、供出制度は少くとも今年度においてはやむを得ないと思うのでありますが、供出の問題に関連いたしまして、今月の三日でありますか、事前割当の会議があつた。それにつきまして知事側あるいは調整委員の方から相当紛糾したということを伝え聞いているのでありますが、これはさまつたのでございますか、きまらないのでありますか。その点を伺いたいと、思います。
○森国務大臣 お答えいたします。去る三日に知事会を招集いたしまして、二十五年産米の供出計画を指示いたしたのであります。この指示にあたつて別段紛糾という問題はなかつたのでありますが、ただ二十四年産米の供出が、御承知の通り予定よりは非常な減收をいたしたために、保有米を割らなければ出せないというような農家に対しましては、免責——いわゆる供出を免除する制度を設けまして、これを一時的な委員会を設けさして、その委員会の手によつてこれを決定することにいたしたのであります。たまたまその問題が各府県とも予想通りの額と違つておりましたがために、いろいろと夢もありましたが、これは二十五年産米の供出割当とは別個の問題でありまして、二十五年度の供出割当は、昨年よりは米においては少いような情勢になつているのであります。これは農家の自然増加もありまして、農家の保有量のふえて来る関係もありますので、大体二十四年度額の三千七十八万一千石という割当をいたしたのであります。これは去る三百のときに各府県にそれぞれ指示をいたしたのであります。
○坂田(道)委員 事前割当の制度は九原則の実施の上からいつて、やむを得ないものだと思うのでございますが、しかし昨年度のごとく、災害あるいは天災というようなもので非常に減收をした場合におきましては、当然これが補正をやるという前提の上に立つてのみ、この事前割当というものが承認できるのであります。そういうような意味から申しまして、昨年度の九州地区の減收というものは、実際において補正は一割程度しか認められておらないようでございますけれども、私帰りますと実際三割以上の減收になる、そう考えられるのでございます。こういう問題に対しまして、今農林大臣がおつしやるように、よく日本全国を考えますと、地区的には確かによくできたところもあると思うのでありまして、それも強力なる政治力によつて、総花式に供出の補正をやるのではなくして、できたところは補正をやらない。そうしてほんとうに減收したところに重点的に補正をやる。あるいは今日のようなある程度免ずるというような措置をとられなければならないと私は思うのでありますが、これを強く実行される御意思であるかどうか。
○森国務大臣 供出割当は、これは一応の予定であります。もちろん作況によりまして、昨年のごときああいう思わざる被害のあつた面に対しましては、補正をせなければなりません。いわゆる補正には減額補正と増額補正とがあるのであります。それで食確法を政令で出しまして、強権発動をするのだ、いずれの場合においても、予定通り取上げるのだという非難をする向きもありますけれども、決してそうではないのでありまして、あの政令にもはつきりいたしております通り、その年の作況によりまして、收穫高が予定よりは非常な豊作である。こういう場合に、政府は主要食糧をほかに売らさぬことにしておりますから、売らさぬものを農家に持たしておくことはできないのでありますから、これをさらにいわゆる増額補正をいたしまして、知事に割当てる、これが超過供出であります。またあの政令にも書いてあります通り、その年の食糧事情によつて、さらに割当を知事に命ずることができる。ということは今お話のように、一部においては非常な下作である、一部においては非常な豊作である。そういう場合において、一部には減額補正をしなければならぬ。しかるに一部には豊作のときは増額補正をせなければならぬ。それが日本の食糧が外国依存を脱却せない以上、これを強力になし得るという制度を設けたのでありまして、作柄は悪くても、予定通りのものを供出せしめてもぎとるというような、そんな乱暴なことはできるものでもありませんし、また考えてもおりません。従つで補正には減額補正と増額補正とがある。それを法制化いたしたことであります。
○坂田(道)委員 割当補正の問題について、減額補正と増額補正の両方があるということは、私ども承知しておりますが、この実收高をいかに見るかということが、実際上の問題としては非常に問題であるし、困難な問題であると思うのであります。聞くところによりますと、これがたとえば県側が持つて来ておるところの食糧事務所あたりの調査と、あるいは作報によるところの調査と非常に食い違つておる。しかもそれが司令部との対交渉の問題においても、いろいろのデータが違つて差出されておるために、向うの方もなかなか言うことを聞いてくれないというような点があると聞いておるのでありますが、この減額あるいは増額という場合の基礎というものは、一体作報によつておられるのか、あるいはその他の資料によつておられるのか。その点をひとつ明らかにしていただきたい。
○森国務大臣 農林省といたしましては、科学的な統計をまとめるのには作況報告事務所よりないのであります。しかしながら作況報告事務所を設置いたしましてから、ようやく三年しかたたないのでありまして、その規模におきましても従来は府県単位、郡単位までの調査の人員しか整つておらなかつたのであります。従つて科学的な調査をやりまして、大体の調査が終るのでありますけれども、一筆調査まではとうていでき得ないので、そこにいろいろと生産者、あるいは行政庁との摩擦が起つておつたのでありますが、現在はようやくこれも充実の歩を進めまして、一出張所に四名という調査員ができて来たのであります。これは大体五箇村をもつて一出張所といたしておりまして、まだ一村一人の人員には足らないのであります。どうしてもこれは各町村に一名ずつの調査員を設けまして、はつきりとその実態をつかむというところまで行かなければ、ほんとうの数字は出ないと考えるのでありますが、大体公正な立場に立ち得るのが作報事務所でありますので、いろいろ今日まで思想上の圧迫を受けたとか、あるいは政治力の圧迫を受けたという批判もありまして、全然これを否定し得ないようなことも私は考えるのでありますが、本年度よりはさらに陣容を強化いたしまして、実に公正な立場からあらゆる調査を進めたい。従来作況報告事務所というものは、米や、いもや、麦の調査だけで終つたのでありますが、今ではこの統計が拡張されまして、すでにこの二月一日には世界的な農業調査統計をつくることになつておりまして、日本の作報事務所の成績は世界につながるという責任のある、一いわゆる国際的な調査をすることになつておるのであります。ことに昨年来、本年度におきましては水産物の漁獲高の調査、あるいは林産物、あるいは畜産物、あるいは蚕糸業の方面の統計、これらの調査に加えて災害等のあつた場合にも、この作報事務所が活動するというように、非常に仕事が広範囲になつて参りまして、その陣容の拡充ということも、必要を迫られておりますし、また今後この作報事務所の仕事を指導する上におきましても、あくまでも厳正な立場で、公正な統計をつくり得るように一層強化いたしたい、かように考えておるわけであります。
○坂田(道)委員 農民にとりまして供出の問題ほど重大な問題はないのでございまして、事前割当、あるいは補正というような場合のその基礎になりますところの調査が、従来非常に不十分であつた。反別におきましても、あるいは人口の問題にしましても、この反別が県によつては二千町歩も違うところがあるというようなことも聞いておりまして、そのために一筆調査でありますか、そういうような正確な、科学的根拠に基くところの調査をやられるということは、日本の農業を近代化する第一歩であると考えるのでございまして、何とぞ農林大臣の御努力を期待する次第でございます。 次に米価の問題に移りたいと思うのでありますが、食糧の自給をいやが上にもしなければならないという一つの要請と同時に、本年度は御承知のように三百七十五万トンの食糧を輸入され、しかもその背景には世界の食糧事楠の好転という問題があり、その影響というものは、やはり占領政策を越えて経済的な一つの影響というものが及んで来ると考えるのであります。将来ガリオア資金が減少して、それがだんだん商業勘定によつて輸入をしなければならない。もちろん計画的にこれが入つて来る。それがためにただちに農村恐慌ということは、私も考えておらないのでありますが、しかしその影響を相当に受けるということは、これは必然的なものであると考えるのであります。しかもこれが入つて来る場合において、先ほど農林大臣も言われましたように、日本の農家経済の脆弱な面が現われて来ると同時に、ある意味では、またこれによつて日本の農業が近代化される時期に来たのではないかというふうに考えるわけであります。そういつた場合において、この間施政演説におきまして首相が、将来そういう影響がある場合のことを考えて、最低価格の米価あるいは食糧の価格の支持価格といいますか、価格を維持するような政策をとるというような発言があつたと思うのでありますが、これに対する農林大臣の御構想を承りたいのであります。
○森国務大臣 将来の農村の心配は、日本の生産が需要以上にふえ過ぎて、これをよそに売るにも売れない、いわゆる昔減反問題が起つたことがありましたが、そういう場合においての非常な恐慌と、また日本の生産費が倍高くつく、そして外国からどんどんと安い食糧が売り込まれる、それに対して何らの関税政策もなし得ないという立ち遅れた場合の農村の恐慌、この二つの問題があります。現在の米価の問題についてお尋ねがありましたが、今日は生産者と消費者の立場を考えまして統制をやつている以上、この両者の関係から適当な価格を定めたのであります。しかし農業生産者等から見ますれば、幾らでも高いほど都合がいいのでありますが、しかし農業者が自分の生産した米が、一石一体どれだけについているというはつきりした数字をつかむことが、なかなか困難である。百人百色であります。その経営の面が違えば違うだけ、生産費も石当り違つて来るのであります。ただ今日政府の定めました米価の基準は、決して理想のものではありませんが、パリテイー指数によつてきめたのであります。パリティー指数は、米を生産するに必要なものを買う、その品物の分量と価格を米を一石生産するにどれだけ使うかということを、にらみ合せてつくられたのが、パリティー指数による米価でありますから、決して私は完全無欠とは言いませんけれども、今日の場合不合理の価格でないというように考えているのであります。この実態といたしましては、二十一、二十二、二十三年と米の生産費を農林省統計局において調査をいたしておりますが、その平均価格と、大体パリティー指数によつた米の価格とは合うのであります。それでそれが標準価格と申しますか、その価格までに安く生産される方は実に上手な農業者であり、その価格より高い価格でつくる人は下手な農業経営であるというように結論されると思います。それでありますから、できるだけそういう高く生産費のかからないように、指導して行く面を今日は考えて行かなければならぬと思います。今日の価格が、農業の経営の上において、米を生産するに必要なものを買う、諸物価の実態をつかまえての、価格をもつてきめているのでありますから、これが自由貿易になりまして、ほんとうに外国からどんどんと食糧が入つて来るという場合において、あるいは日本の食糧も従つて高くなつて来ることも予想されるのであります。もしこれが外国から安い食糧が入つて来て、それで日本でダンピングされるということになれば、関税政策ということも考えられますし、また国家が輸入食糧も国内食糧もこれを一手に管理いたしまして、そうして最低米価を保障する農業経営の保護政策も考えらわるのでありますが、現在におきましては、すべてを国家の手において統制しております以上、消費者と生産者との立場を考えて、今申しましたようなパリティー指数によつて価格を定めて行くということが妥当である、かように信じておるわけであります。
○坂田(道)委員 現在はできないけれども、将来もしそういうような自由貿易の段階に入つたならば、価格の支持政策については、十分考えるというふうに承つてよろしいですか。
○森国務大臣 さようであります。
○坂田(道)委員 最後に私お聞きいたしたいことは、今日私たちが農業政策を考えて行く場合において、いろいろの、問題があると思うのでありますが、その中で、日本農業自体が持つところの不安定性と申しますか、これはアジア的な一つの下安定性とでも申し上げられるのじやないかと思いますが、そういう宿命を私はになつていると思うのであります。ここに日本の農業の脆弱性があると考えるのであります。その第一は、先ほど申しましたように、日本は地理的に台風の非常に多い所である。あるいは天災地変の非常に多い所である。第二には、過剰人口の問題がある。しかも御承知のように、敗戰によつて朝鮮、台湾、満州を失つて、一段と人口がふえて来た。しかも工業が壊滅したことによりて、この工業人口が農村に潜在して来た。こういうような過剰人口という問題があります。この統計をきのう労働省の調査によりますと、昭和十五年に農業従事者が千四百七十八万あつたものが、二十三年八月には千七百十五万になつている。それが二十四年八月には千九百十五万になつている。結局昨年度以降大体二百万が都市産業方面から農村に流れ込んでいると思うのであります。同僚議員もこの点について質問されたのでありますが、私はこの二百万の人口は、池田大蔵大臣の経済政策、いわゆる安定化の政策によつて、再び工業の方面が活動を開始し、雇用力を増して来るならば、これがだんだん還元されて行くものだというふうに考えるわけでありますが、しかしながら農林大臣は、この二百万が抜けて行つたあとの人口をかかえて、しかも日本の農業の生産力を増し、農家経営の合理化をはかつて行けるとお思いになるかどうか、その点をお伺いいたします。
○森国務大臣 食糧問題と人口問題はなかなかむずかしい問題でありまして、町が不景気になると、いなかに帰つて来て食べるということで、農村は今お話のように、いわゆる働かない人間を非常に預かつているような立場であると考えるのであります。今日の農業に必要な労力は、現在ほんとうの農業者の労力でたくさんであります。これ以上過剰労、力を農村に預けることは、農村としてはとても耐えられないのでありまして、どうしてもここで経済の安定を望み、工業の発達を望む。そこにこの余剰労力を包含することを考えて行かなければならぬと思うのであります。いずれにしましても、私は大体論から申しまして、国土は限定されております。人口はひとり農村、都会という考えでなしに、全体的に百六十万ぐらいずつのものがふえて来るのでありまして、この米を食う人間を何とか処置しなければならぬのでありますから、どうしてもここで生産力を高めて、食糧の自給度を上げて行くことはもちろんでありますけれども、やはりこの限りなくふえて行く人口は、どうしても輸出力によつて海外から食糧を自分の力で買入れるという、いわゆる工業の振興によつて消化して行くという道よりないと思うのであります。しからばそういうように簡単に行けば、日本の自給度はどうでもいいじやないか——そうは行きません。あくまでも日本の国内における食糧は増産いたしまして、それでも人口の増加には追いつかないのでありますから、それは工業の振興によつて輸出力をふやし、食糧を確保するという道を考えるよりほかに、この人口問題と食糧問題の解決の道はないと考えておるわけであります。
○坂田(道)委員 農村における潜在人口の問題は、私は非常に重大な問題だと思いますので、もうしばらく御質問申し上げたいと思います。農家に保有せられておるところの人口あるいはこれに入つて来るところの人口というものが、結局は農家の経営を困難ならしめ、同時に農家の生活程度を低めることによつて、これを保有して行くというような二つの面があると思うのであります。従つてそれによつて農業の近代化と申しますか、機械化あるいは協同化というものを、遅らせておる重大な原因であると私考えるのでございます。今森農林大臣もお話になりましたように、これを單に農業自体で解決するのでなくて、他の産業との関連においてこれを解決するというお話を伺つたのでございますが、私も実は同感であります。これに対してもう少し何か積極的なお考えがあるかどうか伺いたい。
○森国務大臣 これは輸出工業の振興の問題であります。国策として総合的に考えて行かなければならぬ問題だと存じます。まだ今日は輸出と申しましても、かつてほうだいは許されないのでありますから、なかなか困難な状態に置かれておりますが、しかし現在では食糧が予定して輸入されるのでありまして、この問題も現在におきましては心配ないのでありますが、将来におきましては、どうしてもここに輸出工業を盛んならしめることと、それにこの過剰労働力を收容するということを、考えて行かなければならぬと私は思うのであります。よく例にとることでありますが、今政府といたしましては、蚕糸業を極力復興いたしたいと考えておるのでありますが、養蚕業におきまして、一反歩の牧繭量を十五貫と予定いたしましても、これを絹糸とし七アメリカへ送れば、海外から麦に換算すれば十五石そこそこの小麦が輸入される、いわゆるこれも直接農業にあらざる一つの工業ではありますが、これがために食糧が確保される、こういうことも考えられる。これはいずれの工業においても考えられるわけでございまして、あらゆる努力をいたしまして、日本の国内産の食糧を充実するとともに、その他におきましては、先ほど申しました通りこの労働力を工業生産力に集中して輸出の振興をはかり、必要な資材の輸入を自分の力でやるという態勢は将来持つて行かなければ、資源の乏しい日本といたしましては、なかなか国家の経営が困難であろう、かように考えるわけであります。
○坂田(道)委員 今の農林大臣の御答弁で大体了解したのでありますが、日本の農業はこの人口問題を解決せすしては、その中で現在の千九百万の農業従事者というものをかかえ込んでいかに自給度を高め、いかにいろいろのことをやつても、結局はだめだと考えるのでありまして、この千九百万の人口——これはドツジ・ラインの政策によつて百万くらいが入つて参りましたが、これは当然安定化とともに減つて行くと思います。千七百万を千五百万あるいは千四百万というように他の産業にはき出すことによつて、あるいは将来講和会議後において移民の問題が出てこれをはくことによつてのみ、日本の農業の生産力を高め、また農家の資本の蓄積を行い得ると考えるのでございますが、そういう政策をおとりになることを要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。ただ文部大臣は……。
○植原委員長 文部大臣は留保しておいてください。文部大臣はあとで来ますから……。中村幸八君。
○中村(幸)委員 私はまずもつて中小企業の問題につきましてお尋ねいたしたいと存じます。この問題につきましては予算委員会開会以来、同僚委員よりあらゆる問題につき、あらゆる角度からいろいろ質疑が行われ、また論議が闘わされたのであります。そうした問題につきましてはなるべく重複を避け、残された二、三の問題につきましてお尋ねいたしたいと存じます。私のお尋ねいたしますことの中には、大蔵大臣よりお答え願うこともたくさんありますが、通産大臣が他に急な御用がありましてお出かけだそうでありますので、通産大臣にお尋ねすることをまず御質問申し上げまして、大蔵大臣の分は後にまわさせていただきます。 ただいま中小企業の金融を緩和するということにつきましては、政府におきましてもいろいろと手を打つておるのでありますが、それにもかかわらず、なかなか思うように参つておらない。というのは一つには一般市中銀行が商事銀行という立場に立ちまして、金はあつても危険な中小企業には金融を躊躇するというところに、大きな原因があるのではないかと思うのであります。それゆえに中小企業のためには、どうしてもその責任の機関でおりますところの商工組合中央金庫はもちろんのこと、その他無盡会社あるいは信用保証協会あるいは国民金融公庫、さらにまた信用協同組合というようなものを、一層積極的に保護育成して行く必要あると思うのでありますが、その点について政府におきましては、どういうふうにお考えになつておりますか、お答え願いたいと思います。
○稻垣国務大臣 御指摘の中小企業の金融問題については、すでに受入れ態勢の問題がいつも問題になるのであります。ことに中企業は別といたしまして、小企業については受入れ態勢が備つていないために、金融的な措置をやらない、こういう意味におきましては商工中金なら商工中金に対するわくをもう少し拡張する」言いかえればこの点につきましては、今われわれの方で資本金を増額し、あるいは債券の発行をする、大体資本金は今一億五千万でありますが、これを民間で三億五千万増資して三億五千万増資して五億とし、見返り資金で十億とし、それの二十倍までの債券発行、こういつた形で持つて行きたいと思つておるのであります。そのほか信用保証協会なり、あるいは信用組合なりこういうものを利用することについて、できるだけわれわれの方ではあつせんし、また融資を勧奨しておるのであります。ただ信用組合につきましては、まだ実際の認可を與えたものがないので、ただ十五ばかり内認可を與えたかつこうになつておりますが、最近におきましても、これが促進をはかりまして、できるだけこの方面に対しても認可を與えるという形に出ておる。そうしてまた受入れ、る側でありますところの小企業につきましても、できるだけ例の協同組合法によつて組合を組織して受入れ得る、つまり貸付でき得る態勢に持つて来るということを考慮しておるわけであります。
○中村(幸)委員 ただいま金融受入れ態勢の問題につきまして、非常にお骨折りをしておるようなお話でありますが、中小企業に対する金融が円滑に行かないという、これが一つの大きな原因ではないかと思うのでありまして、中小企業はおおむね経営技術が劣弱でありますし、経営の経理の内容も不明確であります。また担保力、信用力が薄弱であり、こういうように金融受入れ態勢が不十分である点に、中小企業の金融がうまく行かない原因があるのじやないかと思うのであります。そこで政府、特に中小企業庁におかれましては、金融受入れ態勢を整備強化するということに、特に努めていただいておるのでありますが、何か具体的に金融受入れ態勢を強化する措置を講じておられますか、その点を承りたいと思います。
○稻垣国務大臣 それにつきましては、先ほど申し上げましたように、企業者自体の方の受入れ態勢、また金融側のこれに対する用意、こういつた両面から参つておるわけであります。受入れ側におきましては、御指摘のように、た、だいま地方組織もできていない。あるいは担保物もはつきりしていないという点がありまして、御承知のように中小企業は今は工場診断制度なり、あるいはまた新しい簡易簿記制度などを指導いたしまして、これが受入れをやつて行くのみならず、できるだけ組合を組織して、これに余裕ある受入れができるような形に持つて行きたい、かように考えておるわけであります。金融につきましては、先ほど商工中金の問題で申し上げましたが、なお合地方におけるところの信用組合、これについても十分力を入れており、信用保証協会につきましても、かなり各地方に設立を見ておるのでありますが、これが運用がなかなかなかうまく行つていないという点もあります。これについてはわれわれの方の中小企業庁でこれが指導に当つておるようなわけであります。
○中村(幸)委員 中小企業庁はただいまお示しがあつたような、いろいろ重大な仕事をなさつておる役所でありますが、通産省の外局であります中小企業庁の職員の定員は、行政機関職員定員法によりますと、わずか九十四人となつております。いたずらにお役人の数が多いということばかりが能ではありませんが、通産省の内局のうちでも一番小さい局よりもはるかに小さい役所では、とうてい効果的な資金のあつせんも、あるいはまた経営技術の改善も、合理化の指導ということも、でき得るものではないと思うのであります。通産省の中でも統制の整理あるいは縮小によりまして、不要になつた仕事もたくさんある、ことと思いますので、この方面から融通するということも可能と思うのでありますが、大臣におきましては、中小企業庁を拡充強化いたしまして、職員定員を増加するお考えはございませんか、お答え願いたいと思います。
○稻垣国務大臣 中小企業庁の定員につきましては、御指摘のように非常に少いのであります。これは通産省の内局の方のどの局よりも、実は少いことは御指摘の通りであります。人の多いということは必ずしもそれで成績が上るというものでもございませんけれども、いろいろ先ほども申し上げましたような指導をいたして行くという面において、かなり相当の手数を要しますので、人数をふやすことをわれわれは希望いたしております。予算面においては多少人数の増加の承認をわれわれは受けておるのであります。人数をふやすことについては、なおどの程度というようなことは検討中でありますが、できれば人数をふやして行きたい。かように考えておる次第であります。
○中村(幸)委員 次にお伺いいたしたいことは、前国会中でありましたが、商工組合中央金庫法の改正案を提案すると、いうことを聞いておつたのでありますが、このごろ承りますと、提案をとりやめになつたというように聞いておるのであります。はたしてそれは事実であるかどうか、もし事実であるといたしますならば、なぜとりやめになつたか、その理由を承りたいと存じます。
○稻垣国務大臣 これはおそらくご存じだと思いますが、増資の問題、債券発行の問題は、他の見返り資金からの増資その他のものと一括して大蔵省から提案いたします。そういたしますと、大体当時のわれわれの企図いたしておりました増資と債雰発行限度という問題はそれで大体けりがつく。あと残つた総会の問題でありますとか、役員の問題でありますとかいうものについては、なおわれわれの方では今関係筋と折衝中でありまして、おそらくその二つが大蔵省から出るので、それで片方はとりやめになつたというような誤解を生じたのではないかと考えております。われわれの方は折衝が済みました上は、なお御提案申し上げて御審議を願うつもりでおります。
○中村(幸)委員 それを聞いて安心いたしました。中小企業の問題に関連いたしまして、商工中金の拡大強化ということは非常に大事なものでありますが、しかし單に増資をするとか、債券発行限度を拡大するということだけではないのでありまして、中金の業務を活発にする、あるいは資金を効果的に運用するということも、非常に大事なことと思うのであります。たとえば現在の組合主義の貸付方式は、これを組合員たる個人にも貸し付けることができるようにするとか、あるいは債務の保証、荷為替手形の保証のほかに、一般保証にまで拡大するとか、あるいは余裕金の運用範囲をさらに拡大するというような、いろいろ問題があると思うのであります。こういう問題についても目下折衝中と思いますが、この点はいかがでございますか。 〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕
○稻垣国務大臣 ただいまお話の点の中で、ことにたとえば組合でなく、組合員に貸し付ける問題、その他重要な問題は相当まだあるのであります。この点については折衝を今重ねておりますので、幸いに成案を得られますれば、御審議を願うために提出したいと考えております。
○中村(幸)委員 次に電源開発のことについてお尋ねいたしたいと思います。わが国の燃料、動力資源といたしましては、水力資源のほかに石炭、石油等もあるのでありますが、石油は国内需要の一割程度を満たすにすぎないのであります。石炭も豊富とは言いながら、数十年を出ずして掘り盡される運命にあるのであります。多くを期待し得ないのであります。しかるにひとり水力資源に至つては、国内至るところに有利な水力地点がありまして、実に無盡蔵ともいうべきわが国最大の資源であると思うのであります。これを急速に開発するということは、わが国の現下の国情より見まして、最も急務であると考えるのであります。幸い政府におきましては、五箇年計画を樹立いたしまして、着々電源開発に努力中と承つておるのであります。この電源開発の計画はその後どういうことになつておりますか、その進捗状況を承りたいと思います。
○稻垣国務大臣 電源開発は大体五箇年を目途といたしまして完成百十五万キロで、これは水力百十五万キロという線でわれわれは考えております。そこで二十五年度におきましては大体二十箇地点四十三万キロワットでありますか、それからそのほか六箇所の火力、これが大体二十二万キロばかり予定いたしております。これに対して見返り資金が百億ほど向けられるという計画になつております。二十六年度になりましては、この継続のほかに大体新らしく二十箇地点、八十六万キロワット、そのほかに火力六箇地点、十二万キロという計算でやつているわけであります。これも大体百五十億円ばかりの見返り資金の融資を目途といたして、計画いたしておるようなわけであります。最終完成の五年後の昭和三十九年終りには百十五万キロ、こういうような目途で着々開発の仕事を進めておる次第であります。
○中村(幸)委員 最近各方面で問題になつている河川の総合開発計画というのがありますが、この総合開発計画は水力発電と合せましてあるいは灌漑排水、洪水防止あるいは工業用水、上水道の取入れ、あるいはまた森林の開発、資源の開発その他化学工業の振興というように、各種の事業を総合的に計画して国庫負担による公共事業費のほかに、一般受益者と各事業者とがおのおの建設費を分担いたしまして、一キロ当りの建設費を安くするというところに、大きなねらいがあるのではないかと思うのでありますが、この総合開発計画が現在政府でお考えになつておりますものは、どういうものがありますか、お尋ねいたしたいと思います。
○稻垣国務大臣 例のTVA方式で考えられておりますのは、たとえばよくお話に出ます只見川のごときはその一つの例であります。これは先般ウエスチング・ハウスのフロア氏が見えて調査をしました。なおさらに再調査をいたしませんと全面的の計画は立たないのでありますが、これも一つの例であります。あるいは民間で計画されておりますところの吉野川、北山川方面の総合計というものもあると思うのであります。なおたしか静岡県におきましても委員会をおつくりになつて、天龍川の総合計画のために御研究中かと承つております。そういつた方面の総合計画がこれは御指摘の通り非常に必要でありまして、今後水源の開発、電源の開発ということは、できるだけ総合計画という形において持つて行くことが、日本全般にとつて望ましいことである、かように存じておる次第であります。
○中村(幸)委員 ただいま天龍川の問題が出ましたが、この天龍川は諏訪湖に源を発しまして、浜松附近を流下して太平洋に注いでおります。比較的渇水の少い急流でありまして、沿岸にいまだかつて斧鉞を入れたことのない大森林資源もありますし、また良質の石灰石が無盡蔵に包蔵せられております。さらにまた下流の二俣町附近には久根銅山、峰ノ沢銅山もあるし、最下流に、は工業都市浜松市がある。こういうように総合開発をするには、最も適当な河川であると思うのであります。最近上流の平岡発電所の工事は再開せられたようでありますが、その下流の佐久間にダムを建設いたしますと、三十五万キロの発電ができるのでありまして、さらにその下流の横山に発電所を設けますと十万キロの発電ができる、合計いたしまして四十五万キロの発電が可能となるのであります。この発電計画を前に申し上げましたような総合的な開発をいたしますと、電力原価も比較的安くつくのであります。しかも上流下流を通じまして物、質的にも精神的にも、沿岸数十万の住民に與える利益は、実に莫大なものがあると思うのであります。大臣におかれましてはすでに御認識になつておるようでありますが、どうかこの天龍川総合開発もぜひとも強力にお取上げいただきたいと思うのであります。 次に問題をかえまして地下資源の開発についてお尋ねいたしたいと思います。申すまでもなく、金属鉱物はあらゆる産業の基礎物資でありまして、これを合理的に開発するということによりまして、初めて輸出産業は振興せられる、また輸入資金の節約もできるのであります。日本の経済を安定せしめ、さらに進んで積極的に復興をはかつて参りますためには、地下資源を急速に開発するということが、急務中の急務で、あると考えておるのであります。ところが戰時中の濫掘と戰後の経済界の混乱によりまして、設備は老朽荒廃し、また金のごときは昭和十八年の金鉱業整備の犠牲となりまして、その施設のほとんど全部が撤去せられておるのであります。その上に最近の有効需要の減退、あるいは資金難、あるいは価格補給金の撤廃等によりまして、金属工業は現在非常に苦境に追い込まれておるのであります。これに対しまして政府におきましてはいかなる方策を講じておられますか、鉱物資源開発促進に関する基本的の構想を承りたいと存じます。
○稻垣国務大臣 地下資源の開発につきましては、通産省といたしましても今日貿易の振興と並びまして、どうしても少い地下資源の開発ということに力を盡さなければならない、かように存じておるのであります。御指摘のように戰争中ずいぶん荒廃に帰せられた点が多いのでありまして、これらにつきましても、いろいろこれがため要するところの資金も相当かかるだろうとかように考えておるのでありまするこれに対してはわれわれの方といたしましても、できるだけ資金のごあつせんをいたしておるのでありますが、大体われわれの方といたしましては、探鉱費の補助金といたしまして一億五千万円が計上されておるのであります。大体これは金鉱山が三十箇所で三千五百メートルを予定いたしましん千四百万円、銅鉱山が二百箇所、三万メートル、一億二千万円、その他新鉱床が二、十箇所で四千メートル、千六百万円を予定いたして、その他石綿三箇所、黒鉛三箇所に対してもそれぞれ二百四十万円、二百六十万円の探鉱補助金を出すことにいたしておるのであります。二十四年度の補正予算で大体六千万円の銅鉱業の補助金を出したのでありますが、それに比較いたしますれば、銅鉱業につきましても実は一億二千万円、倍額を計上いたしたような次第でありまして、ことに産金政策その他については、特別にわれわれは今日力を入れなければならぬ、かように考えておるような次第であります。そのほか石油の試掘、これも地下資源といたしまして必要なものでありますが、北海道における石油の徹底的な調査につきましては、見返り資金から出す。そのほかの試掘補助金といたしまして一億一百八十七万五千円を計上いたしておるので島ります。そのほか最近問題になつておりますのは、例の天然ガスの新潟、あるいは静岡の焼津でしたか、あるいは千葉の大多喜、天然ガスの利用についても十分考慮を拂わなければならぬのではないか。これもパイプ、ラインによつて東京に直結するというようなことも、一応考えなければならぬじやないか、これについても、実はこれを計画されておる人々と、それぞれ御協議を申し上げておるような次第であります。
○中村(幸)委員 探鉱奨励金につきまして、二十四年度に比べて二十五年度におきまして、非常に増額せられておりますことは了とするのでありますが、金の探鉱奨励金の千四百万円は、小額に過ぎはしないかと思うのであります。産金を最も奨励いたしました昭和、十五、六年当時は、大体五、六百万円奨励金を出しておつたようであります。今日の物価指数から申しますれば、二億円や三億円の探鉱奨励金を金に対しまして支出しても決して多過ぎるということばございません。先日通産大臣また大蔵大臣より金の買上げ価格を四百五円にして、国際価格にさや寄せしたい、こういう御説明があつたのでありますが、さらに進んで金の価格は二重価格制を採用いたしまして、買上げ価格と拂い下げ価格に差額を設け、その差額を探鉱奨励金その他に使用したらと思うのでありますが、政府におきましては、さらに一層金に対しては、積極的に探鉱奨励金をお出しになる考えがあるか。またただいまの金の価値つきまして、二重価格制を採用するようなお考えを持つておいでになるかどうか承りたい。
○稻垣国務大臣 金の探鉱費が千四百万円、これははなはだ少いと私も存じております。予算関係で本年度はこの程度にとどめたのでありますが、なおこれが増額については考慮いたしたい、かように考えておる次第であります。今御指摘の金の二重価格、買上げ価格と、売上げ価格の差をこれに充てるという問題、これは今二重価格制については通産省といたしましても、研究をいたしておるのでありまして、幸いに二重価格制がいれられますならば、御指摘のような点についても、簡単に解決の道がつくというようにもわれわれ考えておるのであります。この点については目下研究中であります。
○中村(幸)委員 産金奨励方策につきましては、金の重要性にかんがみまして、世界各国とも、あるいは補助金を支給し、あるいはまた鉱産税、鉱区税等を免除し、あるいは長期設備資金の貸與をするというように、非常に苦心をしておると聞いております。わが国におきましても、戰前においては産金法あるいは産金奨励規則を制定いたしまして、また日本産金振興株式会社を設立する、あるいはまた探鉱奨励金のほかに選鉱場、製錬所設置に奨励金を支給する、あるいは探鉱用機械の輸入税を免除する、あるいは鑿岩機を貸與する、こういうようにいろいろの補助政策をとつたのであります。その結果わが国の産金業は、有史以来の大発展を遂げまして、昭和十五、六年ごろには年産二十五トンを記録したのであります。今日いたずらに国家の保護政策に依頼しまして、企業の自主性を失うということはおもしろくないことと思うのでありますが、戰争の犠牲となりまして根底より破壊されました金鉱業を、再建の基盤に乗せるまでの暫定的の措置として、探鉱奨励金のほかに、あるいは選鉱場、製錬所に対する建設の助成金を交付する、あるいは鉄道運賃を免除するとか、あるいは鉱産税などの税金を免除するというような、奨励方策を積極的に講ずる必要があると思うのでありますが、この点に関する大臣のお考えをお漏らし願いたいと思うのであります。
○稻垣国務大臣 これはごもつとものお話でありますが、実際問題として、できるだけ鉱業主の自由的意思によつて、選鉱場なりあるいは青化製錬所なりの建設をやつて行きたい、ただこれに対して民間金融機関からの融資については、できるだけあつせんをいたしたい、かように実は存じておるのであります。最近お話合いをしておるところでは、これらの三年間十トン計画に対しては十億円の金がいる。どうしても市中銀行から融資ができないものに対しましては、たとえば中外鉱業の持越であるとか、帝国開発の鯛生であるとか、あるいは北海難の千歳といつたようなものに対しては、見返り資金からこれを出すことについて、今安本と実は協議もいたしておるような次第でありまして、できるだけ一方自主性を持つてもらいながら、われわれの方としましても、融資あつせんという形でやつて行きたい、かように考えるのであります。設備その他についての補助金といいますか、選鉱場あるいは青化製錬所に対する補助金という問題を取上げますと、これはまた全鉱業に対する問題にも波及いたしますので、その点についてはわれわれも今のところ考えていないのであります。
○中村(幸)委員 まだ地下資源の開発の問題につきましてはお尋ねしたいこともありますが、大臣がお急ぎのようでありますから、あとは分科会で御質問することにいたしまして、最後に科学技術の振興のことにつきましてお伺いいたしたいと存じます。 わが国が今後国際社会に伍して輸出貿易を振興して、わが国経済を復興いたして参りますためには、この際科学技術を積極的に振興いたしまして、戰争によつて十数年遅れた科学技術の水準をとりもどし、機械設備の合理化をはかり、改善をはかつて、あるいは生産技術を向上せしめまして、良品を廉価に供給するということが、最も必要なことであると思うのであります。ことに労働強化あるいはソーシャルダンピングというような世評を避けるためにも、ぜひとも実現しなければならない事柄であると思うのであります。由来日本人は相当発明の才能を持つておるのでありまして、特許庁に出願せられております特許出願の件数を見ましても、決して外国には劣つておりませんし、その中には相当優秀なものもあるのでありますが、かような優秀な発明発見も実際に応用し、工業化するというようなものはきわめて少いのであります。これは一つには研究費が足りない、応用工業化の資金が足りないということが、大きな原因ではないかと思うのであります。そこでぜひとも科学技術関係の国家予算を大中に増額いたしまして、科学技術の応用工業化ということを積極的に推し進めて行く必要があると思うのであります。政府におきましては、来年度予算におきまして、どのくらい科学技術費を計上いたしておりますか。できますれば、各省別にお示しを願いたいと思います。この点はあるいは大蔵大臣からお答え願つた方が適当かと思いますが、どちらでもよろしゆうございますから、お答え願います。
○稻垣国務大臣 各省の分ははつきりわかりませんが、通産省といたしましては、大体工業技術庁の予算全体としまして、十億九千万円をとつております。その中でいわゆる工業の中間試験に要する補助費といたしまして一億円、それから鉱工業技術補助費といたしまして三千万円を計上いたしておるのであります。その他新しい発明に対して七百万円、あるいは発明協会に対して二百万円といつたような形で、相当力をいたしておるつもりであります。但し御指摘のように、今日の一番の急務は、日本における科学技術を安定さすことが最も根本的に必要なことであることは、議論の余地はないのでありまして、この点につきましては、一方政府といたしまして、先ほど申し上げましたような支出をいたして補助をいたしますと同時に、どうしても日本の技術向上というためには、外国のすぐれたところの技術を外資の形で入れて来るというようなことが必要であろう、かように存じまして、その面につきましても、通産省といたしまして、いろいろ各業界に対してごあつせんを申し上げておるような次第であります。
○中村(幸)委員 ただいま通産省関係の科学技術費について御説明がありましたが、各省全体の実は科学技術費の説明がほしいのであります。これはあとでもよろしゆうございますが、ぜひ御提出を願いたいと思います。いずれにいたしましても、わが国全体の科学技術費もそう多くはないと思います。そこで私は将来予算の項目に、科学技術振興費というようなわくを設けまして、各省にまたがる科学技術費を大巾に増額して、一括計上するというようなことも必要ではないか。さらにまた工業技術庁の研究所を主体として、工業化のための国立産業研究所というようなものを設ける必要もあろうと思うのであります。あるいはまた工業化資金を民間に貸し付けるために、産業技術開発金庫というようなものを設けるというようなことも、ぜひとも実現させたいと熱望いたしておる次第であります。しかし産業技術開発金庫のことに関しましては、昨日も小金議員よりもちよつと話が出たのでありますが、この金庫の構想は、科学技術の応用、工業化を目的として、三十億あるいは五十億の資金をもつて特殊の金庫をつくりまして、この金庫から融資を受け光者が、幸いにして工業化に成功いたした場合には、適当な報償金を加えて弁済する。不幸にして不成功に終つた場合には、ごく低額な補償金のみを支拂う。そうして收入、支出のバランスをとりまして、この金庫には常に一定の資金が存在するというような、こういうように経営して行く構想になつておるのであります。これに対しまして通産大臣は十分に研究はするが、まだこのことについて考えていないという御答弁があつたのであります。私は将来日本は昔のようにチープ・レーバーで外国と競争することは許されない。どうしても科学技術を飛躍発展的に向上せしめまして、良品を安く供給して外国との競争に打ち勝つて行くほかは方法はない。日本の生きる道はただ一つ、科学技術にあるのみとかたく信じておる次第であります。これは目下私ども同僚議員の間におきまして、急速に実現すべく真剣に研究を続けておる重要な問題でありますので、大臣におかれましても、早急にこの問題をお取上げになつて、十分御研究あらんことをお願いする次第であります。この点につきまして、御答弁がありましたらお伺いいたしたいと思います。
○稻垣国務大臣 先ほども小金さんからその点が提示されたのですが、案といたしましては、われわれ十分これは研究する価値のある御案だと私存じております。いろいろな面とのつり合いもありますので、われわれといたしましても、十分研究をいたしてみたい。いずれまた中村委員の方で御案ができましたら、ぜひお示しを願いたい。かように存じておる次第であります。
○植原委員長 小平久雄君。
○小平(久)委員 通産大臣がお急ぎのようでありますから、まず最初に通産大臣にお伺いしようと思います。 最初に中小企業の金融の問題でありますがこれにつきましては、もう再三質疑がありまして、政府のお考えになつております大体のことは、わかつたのでございます。しかし今までの質疑に出ましたところを見ますと、多くはむしろ固定設備資金の関係が非常に多かつたように思いますが、実際問題としまして、中小の企業、特に小企業の場合等におきましては、ごくわずかの運転資金に困つておるということがむしろ多いのじやないかと思うのであります。最近中小企業庁等において、六大都市等につきましてその実情を調査したようでありますが、その結果を見ましても、非常に短期の運転資金の需要が多い。しかも金融機関等からは、ほとんど借りられない。その大部分は親戚だとか、知人だとか、あるいは友人の金融業者等から借りておるというようなぐあいでございまして、きわめて不健全な状態にあるのであります。かようなところを考慮しますと、先ほど来通産大臣からも一面においては商工中金の拡充であるとか、さらにまたそれにむしろ先行するものとして、企業の受入れ態勢であるとかいうような話を承つたのでありますが、実際問題として中小の工場においては、その受入れ態勢をつくる資金自体に困つておる。したくもできないというのが実情であろうと思うのであります。そこでしからばどういう方面に力をいたして、これが打開を策すべきかということでありますが、私は現在各所に保証協会等もできておりまするが、そのやり方を見ておりますと、多くは屋上屋という感が非常に強いのでありまして、せつかく保証協会はできたが、それからそれに保証してもらつて、金融機関から借入れをするというようなものは、あえて保証協会がなくても融資が仰げるといつたような部類に属するのであります。しかもいざ保証を受けるとなりましても、さらにまた個人の保証までも保証協会が求めるといつたようなぐあいでありまして、いかにもこの機能が迅速に、十分に発揮されておらないのであります。そういう点で受入れ態勢を拡充するという意味から申しましても、どうしても保証協会の仕事を国の関係機関として行うということが、必要じやないかと思うのであります。これもあえて新たなる機関を設けるのも支障がありますなら、せつかくできておりますところの国民金融公庫等を活用いたしまして、かような仕事をやらしたらばどうかというふうに考えるのでありますが、いかがでありますか、この点は通産大臣と大蔵大臣の御所見を承りたいのでありますが、大蔵大臣の御所見は後ほど他の問題と同時に承つてもけつこうでございます。
○稻垣国務大臣 信用保証協会がなかなか円滑に行つていない。これはたびたびわれわれの方でも聞くことであります。しかしながらこれはまだ実際信用保証協会を利用されることになれていないということと、同時にまた保証協会自体も、各県、市単位でつくつておりますけれども、その手続の上において煩瑣な点もあると思います。こういう点について中小企業庁といたしましては、直接これらの保証協会に対して指導をする、また一面においてこれを利用される側においても、手続その他について、先ほど申し上げたような簡易帳簿制度その他を整えて、これを容易にするというふうに指導して行きたい、かように考えております。これを国と結びつけるという問題は、これは考えものであつて、実際に最もよく実態を把握されておるのが地方の人たちで、その人たちがつくつておられるところの信用保証協会でありますから、これを育成して行くことが最も適当な方法ではないかと考えております。
○小平(久)委員 保証協会でありますが、これは御承知のように大体県庁所在地等に所在いたしまして、ほとんどその下部の機構というものを持つておらないのであります。商工会議所方面などからしますと、会議所などにそういう調査をやらしたらどうかというよろなことを申しておりますが、なかなかそれは実現しない。実際問題として、借りようとする金融機関に下調査を依頼しておるというようなぐあいでありますので、一向その目的を達しておらないのであります。そこで商工会議所につきまして、最近何か法的にこれを規定いたしまして、一定の機能を授けるといつたようなお考えがあるやにも聞いておるのでありますが、その点はいかがでしようか。
○稻垣国務大臣 商工会議所法といつたようなものを制定しようというような構想はございますが、まだ全然具体的にはなつていないのであります。従つてその中にどういうものを取入れるかということについても、まだわれわれの方では研究の過程にありまして、具体的にはなつていないということを申し上げておきます。
○小平(久)委員 次に問題をかえまして、賠償指定工場の関係について若干お尋ねしたいと思います。最近新聞の伝えるところによりますと、大臣は関係方面に対しまして、接收の全面解除を懇請された、ところがそれは受入れられずに、現在行われておる生産制限を大中に緩和するというような了解を得たという報道がございました。この間のいきさつと、さらに賠償問題についての今後の見通しにつきまして、お伺いしたいと思います。
○稻垣国務大臣 賠償施設を制限なしに、全面的に解放してもらいたいということについての話合いをいたしたことはございます。しかしこれは結局、賠償施設についてどうするかということの最後的に決定されるのは、講和会議のときであるからして、従つて今日これを全面的に解放するということを言うわけにはいかぬ、こういうことであります。ただできるだけ施設を活用する、施設の活用はいかようにでもやつてもらつてもけつこうだ、こういうことでありまして、現段階においては、これが解除はできませんが、施設の活用はフルにやり得る、こういうふうに御承知を願いたいと思います。
○小平(久)委員 その大臣のお話の結果からいたしましても、私はこういうことを考えるのでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。と申しますのは、今のお話にありました通り、賠償問題の最後的な決定は、講和会議を待たなければわからないというのが事実でありましよう。そうしますと、現在いろいろ講和問題についても論議されておりますが、いわゆる全面講和もなかなかむずかしそうだということになりますと、賠償問題の最後の解決はいつの日になるのかわからぬというふうに考えなければならぬと思うのであります。またただいまお話のありました施設の活用という面から申しましても、現在のように、民間に個々ばらばらに保管されて行くというようなことであつては、思うように活用もできないのであります。そこでこれらの問題を解決するために、これ以上賠償問題が長引くというのでありますならば、むしろこれは、あるいは産業復興公団等をして賠償物件を買上げさせるとか、何とか適当の方法を講じて、管理もやらすべし、また活用も全国的に行うべしというのが最も適当な方法ではないか。大臣の御所見はいかがでしようか。
○稻垣国務大臣 お返事をいたすのに非常に微妙な点があるのでありますが、大体賠償指定工場になつております六百八十四工場につきましても、われわれといたしましては、いずれはこれを動かしたい希望を持つておるのであります。従つてこれが、たとえば復興公団その他でこれを買上げるという措置をとりますと、この問題はもとの所有者に対しては、将来においては迷惑になる問題もあると存ずるのであります。でありますからわれわれといたしましては、できるだけこれが施設の活用のでき得るように、各方面から御援助申し上げるということと、それから三〇%未満稼動しておる工場については、御存じのように管理費を出しておりますが、これらについても三〇%未満ということでなしに、できるだけ多くこれを活用させるように、われわれといたしましてお助けをしながら、時期を待つというようにいたしたいと思つておるのであります。
○小平(久)委員 次に管理費の問題でありますが、賠償施設の管理費が国家予算の点において逐年減額いたしておるということは、国家的に見ますれば非常にけつこうな話でありまして、喜ばしい次第であります。しかし個々の接收工場にとりましては、そのために相当負担がふえて参つておるという点も見のがし得ないのであります。現在では管理担当者の給料だけでありまして、あとは事務員などは認めない。あるいはごく少数の警備員だけを認めるというようなぐあいでありまして、特に接收物件を納めております建物等につきましても、何ら課税上の免租の規定もない。特にこれから地方税がますます上つて来るというような状態下におきましては、こういつた点も当局としては大いに考えてもらわなければならぬ問題じやないか。それでなくても接收工場というものは、精神的にもあるいはその他、目に見えないいろいろな面において、非常に圧迫を受けておるのでありますから、非常に長くなる民間での保管ということについて、やはりもう少し政府の親心を示すべきじやないかと思うのでありますが、その点はいかがでありましようか。
○稻垣国務大臣 御承知のように、海外で接收された工場に対する賠償、日本国のそれに対する態度というような問題、これが今国内にある賠償工場との均衡といつたような点も、考慮いたさなければならないかと考えるのであります。これについてはなお研究すべき多くの事柄があると思うのでありますが、ただいまのところわれわれといたしましては、国家でこれに対して特段の処置をする、今出しております管理費以外に、なお特段の処置をするということは、考慮できがたいかと存じておるのであります。
○小平(久)委員 その点で特にお尋ねしたいのは、先ほども申しましたが、賠償物件の收容してある建物に対する課税の問題であります。これについては各地方で一向免除をしない。しかもその維持費については、国家は補助しないというようなことでありまして、出すものは出す、とるものはとるというならわかりますが、とるものはとるが、出すものは出さぬというのは、ちよつとりくつに合わないと思いますが、いかがでしようか。
○稻垣国務大臣 出すものを出さないで、とるものはとるというお話でございますが、おのずから事柄がかわつていると思います。全然かわつた立場において先ほど申し上げたように、海外における施設に対するものをやはり考慮して、その方面のつり合いも考えなければならぬと存ずるのであります。なおこの点については十分研究はいたしてみたいと思います。
○小平(久)委員 この問題はそのくらいにして、次にいわゆる農業用の電力の料金のことについて若干承りたいと思います。 御承知のように農業用電力というものは、非常に季節的に使われるのであります。ところが現在の料金制度をもつていたしますと、年間を通じてとられるということで、農業方面においてはこれが非常な負担になつているのでありますが、この農事用電力について、何らか特別のお取扱いをなされるお考えはありませんか。
○稻垣国務大臣 農業用電力については、御指摘のように大分各方面でこれが緩和についての御希望を承つておるのでありますが、ただいまのところ、これに対して特別の差別を設けるということはできにくい形になつておるのであります。しかしながらこの問題については、できるだけ緩和する方向に向つて今研究をいたしておるのでありまして、できるだけわれわれの努力が実を結ぶようにいたしたい、かように考えております。
○小平(久)委員 通産大臣への質問は以上で打ち切ります。
○小峯委員長代理 それでは小平久雄君の通産大臣に対する質問は終りました。 この際一言御報告しておきます。来る十、十一の両日公聽会を開会することになつておりまして、当日出席の公述人は委員長において決定することに御一任になつておりますが、委員長の手元において六名を決定いたしましたから御披露申し上げておきます。学識者として東大教授近藤康男君、財政問題を中心として復興金融金庫理事長工藤昭四郎君、貿易問題を中心として東洋綿花社長前田保男君、地方財政で東京都知事安井誠一郎君、金融界の代表として帝国銀行頭取の佐藤喜一郎君、労組の代表として国鉄労組副委員長菊川孝夫君、なお帝銀の佐藤頭取はまだ病気でおられる様子でありまして、もしさしつかえの場合には副頭取の大坪俊次郎君にお願いすることにいたしてあります。 以上決定いたしましたから、御報告申し上げておきます。
○小平(久)委員 それでは先ほどの質問に対しまして、大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
○池田国務大臣 先ほどの質問は大部あつたようでございますが、まず中小企業に対する金融の問題、これは通産大臣のお答えになつたのと大体同意見であります。しいて補足するとすれば、日本の中小企業の特質は、やはり問屋業という中間機関の存在が従来ありまして、これが中小企業に対しての金融をおおむね取扱つておつた。こういう関係を考えまして、昨年の八月に資金融通準則を改正いたしましたときに、問屋業を甲類に持つて参りまして、これに甲類として融資することにいたしました。その関係で、昨年八月の問屋業に対する貸付高に対しまして、十一月までの三箇月の間にもう倍額くらいになつておるのであります。こういうのも中小企業金融の一つの方法であります。受入れ態勢で信用保証協会等もありますが、この信用保証協会にも、もう少し組織立てると申しますか、金融機関と保証協会との関係をもつと密接にいたすとか、いろいろな改善の余地はあると考えておるのであります。 中小企業の金融の一機関として、国民金融公庫を使つてはどうかという御意見でありますが、国民金融公庫の性質から申しまして、これは行き過ぎだと私は考えておるのであります。国民金融公庫は、庶民階級の生業資金を主題にしている関係上、他からの借入れも何もできません。政府から出資する資金によるほかはないのであります。従いまして昨年の予算で十三億出資をし、十億円ばかりは返済になつておりますが、非常に困つておりますので、補正予算で五億円入れ、今度の予算でまた十二億円入れる——これは中小企業の金融には予定していない予算でありますので、これを貸し出すことはいかがかと思います。 次に賠償施設に対するいろいろの処置として、課税の問題があつたと思います。財産税を徴收するときの法人資産評価につきましては、これは度外視して、財産外に置いてやつたことは御承知の通りであります。その後賠償施設管理費の中に、地租等に相当する部分が一応入れてあるのではないかという気がいたしておるのでありますが、もしそういうものを入れていないとすれば、これは研究を要する問題だと考えておりますので、今度地方税を課します場合の問題として検討を加えたいと思います。ただ財産税のときのような思想をもつて進みますれば、賠償施設工場の評価の問題などがさしむき起るのでありますが、私はこれは特別の考え方をしなければならぬ問題だと思つておる次第であります。大体私に対する御質問は以上の二点だつたと思います。
○小平(久)委員 国民金融公庫が設立されましてから後の利用状況を考えてみますと、せつかくこういう機関ができましても、大都市中心でありまして、地方にはほとんど及んでおらぬのではないかと考えておるのでありますが、どんなふうになつておりましようか。
○池田国務大臣 大都市中心というわけではございません。やはり人口の分布状況等を考えてやつておるのでございまして、中都市にも出張所を置いてやつておるのであります。ただ何分にも全体の金額が非常に少いのでありまして、厚生省の方の予算もある程度使うのでありますが、一応十三億円を出資いたしまして、十億円を返して、今三億円しかないという状況であります。しかし補正予算で五億円出しますし、また来年度の予算で十二億円出すと、今度また相当動くのではないかと考えております。
○小平(久)委員 その点は今後なるべく地方にも及ぶように、御努力願うことにいたします。 次に企業の再建整備のことについてお伺いしたいと思うのでありますが、われわれの承知しているところでは、企業の再建整備の計画ができ、当局の認可を得ましても、これが実行は遅々として進まないという状況にあるのではないかと思うのであります。どうしてそうかというと、この計画当時におきましては、あるいは建物の処分だとか、あるいは機械の処分だとか、その他いろいろ処分の計画を立てましたが、最近のように金詰まりになりましては、これが処分が思うように行かない。こういうことが大きな原因をなしておるのじやないかと思うのでありますが、この再建整備計画の実行を促進するということについて、当局では何かお考えになつておられましようか、承りたいと思います。
○池田国務大臣 お話の通りになかなかいろいろな問題がありまして、やつかいな点が多いのでありますが、今財産の処分のこともさることながら、新たなる増資等につきましても、非常に株価の問題等がありまして、支障を来しておるのであります。増資の問題なんかも大体向うとの了解もつきまして、徐々にほどけて行くと私は考えております。 〔小峯委員長代理退席、委員長着席〕
○小平(久)委員 次に最近ややうわさは下火になりましたが、例のタバコの民営の問題についてお伺いしたいと思うのであります。この問題はもちろん政府においても、ただ研究にかかつたという問題であろうと思うのでありますが、耕作農民等には非常な反響を呼び起しまして、各所で反対運動などを大げさにやつておるということは、大臣も御承知だろうと思うのであります。さらに最近われわれの聞くところによりますと、こういつた農民のタバコ耕作に対する不安の念を利用して——と言つては語弊があるかしりませんが、そういう空気と相伴つて、地方專売公社の職員等が、次期選挙の選挙運動とも誤解されやすいような動きもしておるというふうにも聞くのでありますので、この際この問題についての当局の現在お考えになつておるところを、承つておきたいと思うのであります。 なおついででありますので、今申しました專売公社の職員の問題でありますが、聞くところによると、專売公社の職員は公務員でないから、現職のまま立候補もできるんだというふうに聞いておるのでありますが、そういう点を当局はお認めになるわけでありますか。
○池田国務大臣 タバコ民営の問題にうきましでは、昨年八月臨時專売制度調査会を置きまして、大蔵大臣の諮問機関として民営、官営いずれが是なりや、またもし民営にするとすれば、どういう形態がいいか、またその時期いかん等につきまして検討を加えておるのであります。今年の初め一月中に今の調査会から答申があることと思つておつたのでありますが、まだ出ません。いろいろな議論がありますので決定しかねておると思うのであります。その議論の内容を見ましても、民営論にいたしましても、今問題になつておるようなタバコの耕作を今の專売制度と別の民営にやる。官営の議論は全然ないようであります、民営にいたしましても製造を民営にするという議論であります。葉タバコそのものにつきましては今まで通りのやり方をやつて行く、こういうことが最も有力であるのでございます。その点ははつきりしたことはないのでありますけれども、委員の議論としては全部が全部そのようであると私は聞いておるの、であります。これはいずれ調査会から答申が出ましてから、私としては諸般の事情を考慮してきめたいと考えておる次第であります。 次に專売公社の職員が選挙運動をする、しかもこれは公務員でないからいいのだというようなことは、やはり常識が許しませんので、もし立候補するとすれば、私はやめるのが理想だと考えております。
○小平(久)委員 大蔵大臣に対する質問は、他は分科会等の機会に譲りまして、以上をもつて終りたいと思います。 次に農林大臣に若干承りたいのでありますが、農村の問題につきましても、同僚議員からすでに問題の提起は済んだと思われるほど、各方面から論議を盡されましたが、私は現在の農村が抱いている一番大きな悩みは、何と申しましても農業生産それ自体と申し害すか、生産品の処分の問題及び先ほども坂田君からも述べられましたが、農村における過剰人口の問題ではないかと思うのであります。 まず農業生産品の処分の問題について承りたいと思うのでありますが、従来行われております供出制度、これにつきましてもいろいろ論議もありますし、農村もずいぶんこれによつて苦しんで参りましたが、今日に及びましては、すなわち輸入食糧が相当多く入つて参つたということ、あるいは最近におきますいも類の買上げ問題のいきさつ等から考えまして、行く行くは米麦あるいは雑穀というようなものについてまでも供出と申しますか、政府の買上げというか、そういつた政府による処分が、その制度がなくなるのではないかというような、非常に大きな悩みと不安を持つておると思うのでありますが、この点につきまして、少くも米麦、雑穀というようなものについての供出制度、あるいは一歩後退しました政府の買上げ政策というものが、ここ当分は続くのだというようなお見込みかどうか、まずその点を大臣から承りたいと思います。
○森国務大臣 お答えいたします。まだここしばらくの間は、主要食糧といたしましては需給の関係上、統制を継続しなければならぬと思うのであります。ことに主要食糧、油類、砂糖、この三つのものに対しては、当分国家の方によつて統制を強化して行くという方針を、政府は持つておるのであります。従つて主要食糧の中におきましても、いも類は一部統制を解除いたしまして、二十五年度におきましても米換算四十万トンだけはこれを買入れるということが許されております。これは食糧管理特別会計法の会計の予算の範囲内において、これを買入れるということにいたす方針であります。
○小平(久)委員 大臣の見通しからしまして、農民も相当気を安んじて増産に励むと思うのでありますが、ただいまお話のうち特にいも類でありますが、いも類については供出制度がなくなつた、特に二十五年度においても買上げだけがようやく認められたというような事情からしまして、従来のいも作地帯におきましては、非常に動揺を、来しておることは御承知だと思うのであります。それぞれ転作等も考慮いたしておるようでありますが、今後特にいもの関係につきまして、もう少し詳しくお見通しを承りたいと思います。
○植原委員長 小平君、その点は農林大臣が一昨々日か詳しく説明されましたので、なるたけ重複していることは速記録でごらんください。
○森国務大臣 お答えいたします。いもは生産が年によつて違いますが、大体十五億万貫程度だと考えております。農家みずからが食糧として必要としますものも相当ありますが、二十四米穀年度におきましては、政府は六億余万貫を買う予定をいたしたのでありますが、いまだ一〇〇%の供出ができておりません。二十五米穀年度におきましては、ただいま申しました通り許された範囲内においてこれを買い入れるのでありますが、今日の農業経営におきまして、政府が買わないからといつて、つくらないというものではないと思うのであります。従来はその品質が非常に下等でありまして、工業原料あるいは食糧として十分なもののみでなかつたのでありますが、今後は品質の改良を慫慂いたしまして、工業原料といたしまして相当量の消費を指導して行きたいと考えておるのであります。今日の工業力によりますと二十億万貫のいもが、優に消化せられる設備があるのであります。現にいもの切りぼし等の原料不足のために、アルコール製造工場が休業しておるというような状態でありますので、今後農家といたしまして、いもというものは決して、政府が買わないからもう農業生産の面から除外すべきものであるというような考えを持つては、それこそたいへんなことになるので、いもの栽培は相当今後におきましても、重要な農産物として奨励いたしたいと考えております。
○小平(久)委員 今年のいもの買上げは食管特別会計の範囲で行うというお話でございますが、予算書を見ますと、いもは買い上げないという建前でできているようであります。その点買い上げることになつても、別段予算の変更は要しないのでありますか。
○森国務大臣 当初いもは食管で買わないという方針で、予算が編成されておつたのでありますが、閣議で相当のいもの買上げを必要といたしまして先般大蔵、安本、農林の三大臣の責任において、これを司令部の方へ交渉いたしました結果、一昨日予算の範囲内において、今申しました四十万トンのいも類を買い得る、政府の意思によつて買つてもいいという承認を非公式ではありますが、覚書をもらつて来ております。
○小平(久)委員 もう一点農林大臣に承りたいと存じますが、農村の過剰人口の問題については先ほどお話があつたのでありますが、これが対策としまして、農林大臣は極力輸出工業等の振興によつて、それに吸收をして行きたいというお話でございましたが、私はもちろんそれが大きな筋ではありましようが、農村自体におきましても、何とかもう少し人口を養つて行けるという対策が必要なんじやないかと思うのであります。そのためにはよく農村の工業化とか、やれ高度化とかいろいろ申されておりますが、なかなか実際問題としてはこれが進んでおりません。どうしても今後の農村の工業というものは、従来のごとくただ他から工場をひつぱつて来る、誘致するというようなことでは、なかなか成立たないのでありまして、その土地々々に産する農業生産物を主たる原材料とする工業を、農村に密着させて育てて行かなければならぬのではないかと思うのであります。そういう点につきまして、当局においては何か具体的なお考えを持つておられるかどうか、特に農村も自立して行かなければならぬというお話もございましたが、現在の農村ではなかなかそういう面まで手が届かぬのではないかと思いますので、技術的にあるいは資本的に、もう少し政府の手が及んでいいのではないかというように考えているわけであります。さらにまた農村を工業化するという場合に考えなければならぬことは、現在農村にあるような小さな作業場と申しますか、そういつたものに関する特に工業的な指導面は、農林省及び通産省両方にわかれておるのではないかという気がするのであります。それでそういう行政機構の点についても、何とかはつきりしたものを確立しまして、指導の任に当られたいと思うのでありますが、いかがでありますか、伺います。
○森国務大臣 農村工業につきましては、先ほど坂田委員にお答えいたしたのでありますが、農村工業と申しましても、農村を工業化するのではありません。これは工業という名がつけられるかどうかしれませんが、従来副業と言つておりましたが、この副業を合理的に経営せしめるというのが目的であります。これは一に技術の指導ということと、第二には資本であります。この資本がないために、せつかくの工業化すべき余剰労力利用の実現ができないということが相当あるのでありますから、先ほど申しましたように、資金、の面にも力を入れたいと思いますが、指導の方面におきましては、一昨年は農村工業課という特別の所がございませんでしたが、昨年から農村工業課というものをつくりまして、二十五年度においては前年の約三倍くらいな、経費を充てておるのであります。この経費はごくわずかでありますが、今農林省の直接農村工業技術の指導をやつておりますのは山形県の新庄に一箇所ありまして、これが木工であるとか農産加工であるとかあるいはホームスパン、こういうようなものについて技術者の指導をやつておるのであります。その他機械工業に、六百万円ばかりの経費でありますが、約百二十と記憶しておりますが工場を選びまして、そこへ指導者の養成を委託いたしておるのであります。これは各種の工場がありまして、その工場に指導者となるべき人を委託いたしまして技術を教えさせ、それが各府県に帰りまして、さらに伝習所をつくり、あるいは協議会をつくるというような技術の指導をする組織を持つておるのであります。これは農村工業といいましても、その農村における四囲の環境によつて種々雑多になつておりますので、その地方においてこれが余剰労力を利用するに一番妥当であるという仕事を見つけ、その仕事に対しての加工上の技術を修め、その生産したものをどう処理して行くか、輸出するかあるいは国内に売るかというようなこと、またその資材を得るについての資金の面、こういうあらゆる面から考えて、農村の経営を多角化して行きたい、かように考えておるわけであります。
○小平(久)委員 次に主として建設大臣に公共事業費関係について承りたいと思うのでありますが、その前に農林大臣に一言だけ承りたいと思います。昨年来農地の災害復旧について一件十五万円ですか、それ未満のものについて災害復旧費を打切られたというような関係で、地方では非常に今困つておることは御承知と思うのでありますが、この方針は本年もやはり継続されるものかどうか。できることならば変更を願いたいと思いますが、その点をまず承りたいと思います。 それからついでですから、承ります。本年の予算を見ますと、山林関係においても、あるいは河川関係においても、災害復旧の砂防事業についての予算がないようでありますが、昨年の台風におきましても、あるいは近くは栃木県に最近起りました地震におきましても、ずいぶん山くずれその他がありまして、砂防関係が多いのでありますが、この点はどういう関係になつておりますか、承りたい。
○森国務大臣 災害費の全額負担は二十五年度に限られておるのであります。しかもそれは従来法律によりまして、全額国庫が負担しておつたものに主として重きを置かれておるのでありますが、公共団体等の施行するものに対しましては、従来補助としての政策をとつておつたものは、この全額負担から控除するという一応の方針がきまつたのであります。ことに十五万円以下のものはこれをしない、こういうことでははなはだ遺憾と存じますので、目下この善後処置について考究を進めて、近く決定をいたしたいと考えております。災害に対する砂防、山林事業等についてのことは——河川事業については御承知の二百六十四億ばかりありますが、土地改良につきましても七十二億を災害復旧工事としての予算に見積つておるわけであります。
○小平(久)委員 それでは建設大臣に承りたいと思います。本年の公共事業費、わけても治山治水方面の予算が非常にふえたことは、われわれとしましても非常に喜んでおる次第でありますが、この公共事業費以外に、例の見返り資金からも百十億円ほど予定されておるということでありますが、これの公共事業としての内訳等は、何か御予定がすでにできておられるのでありましようか。
○益谷国務大臣 公共事業費に対しまして、百十億円大体見返り資金が充てられるというようなことになつております。内訳についてはいまだ決定をいたしておりません。
○小平(久)委員 見返り資金から公共事業にかりに使われるということになります場合には、それは政府の直接投資となるのでありますか。それとも場合によつては地方公共団体等に対する融資というような、あるいは補助というような形にでもお使いになるのでありますか。
○益谷国務大臣 主として直接投資でやりたいと思つております。
○小平(久)委員 われわれが聞き及んでおるところによりますと、建設省においては比較的災害の多い河川を選びまして、治水十箇年計画をお立てになつておるようでありますが、それが費用としましては改修費に三千七百億、砂防施設に二千六百億、合計六千三百億を要する、一箇年平均六百三十億、こういうふうに聞いておるのであります。この計画と対比しますと、本年度の河川関係の予算は大分ふえてはおりますが、しかしなかなかこれは十箇年どころではない。相当の長年月を要するのじやないかと思うのでありますが、この点について当局としてはどんなふうにお考えになつているのか、承りたいと思います。
○益谷国務大臣 比較的災害の多い——これは十大河川については根本的な治水対策を計画いたしておりますので、ただいまのお話は全国の河川のことであろうと思います。最初に私どもとして計画いたしましたものは、全国百万町歩が洪水の危険にさらされているのであります。これまでに、すでに八十万町歩は改修済みでありますが、残つている百万町歩、これを大体十箇年計画を立てて、総金額約四千億と記憶いたしておりますが、その線で予算を使つて参つております。本年の治水費は御承知の通り百十七億であります。この割合にしますと、大体今後三十箇年以上であります。従つて災害復旧の方面に金を投じないようになる、あるいは国家の財政がゆとりができるという場合には、もう少し金額を増して、すみやかに改修計画、治水計画を実行いたしたい。それで約十箇年計画のうち、十五万町歩は除いております。これは小さい河川の方面でありまして、いたしかたがないという考えであります。八十五万町歩を十箇年でやりたいという一応の計画を立てて進んでおるわけであります。
○小平(久)委員 それでは次に災害復旧のことを一括してお伺いしたいと思います。今度一件十五万円以上のものは国庫が全額を負担する、こういうことになつたそうでありますが、一旦災害が起りますと、十五万円以下の災害も非常に数多く出るのでありまして、これがために地方の負担も、また莫大なものがあると思うのであります。この点については御承知のように、さきの国会におきまして大体十万円ということを主張して、これが決議にもなつているわけでありますが、これを何とかもう少し引下げる方途はないかどうかということをまず第一に伺いたい。 それから第二には、地方によつては災害復旧を非常に急ぎまして、いわゆる立かえ工事と申しますか、そういう形式で国の査定を経た工事を予定の時期より先に繰上げしてやつたというふうな向きがあるのでありますが、こういう方面に対しましては、本年度すでに工事を終つた分に対しても補助をおやりになるのか、あるいは当然全額負担で、国で全額お出しになるのか、こういう点について承りたいと思います。
○益谷国務大臣 十五万円以下を国庫で災害の対象といたしませんのは、大体一箇所十五万円程度の工事費の分は、今日の経済上の事情から見ますと、軽微な災害と言うことができる。これまでとても、あるいは六万円以下、あるいは五万円以下というものについては、補助の対象にいたしておらなかつたのであります。そうして一面十五万円以下を地方でやつていただくということになりますと、災害の復旧が早くなるというような点からも、十五万円というものを一応きめておるのであります。 第二の点でありますが、すでに工事が進んでいるという部分は、助成金を交付いたしたところに線を引くつもりであります。従つて助成金の交付になつていない部分は、二十五年度においては全額負担で参りたいという考えでございます。
○小平(久)委員 災害関係で重ねて伺いたいのでありますが、特に災害を受けた場合の住宅等の復旧資金の問題であります。これについては当局でもいろいろ心配くださつておるようでありますが、相当高金利になつておるのであります。少くも一割一分程度になるようであります。そういう点から見まして、これが何とかもう少し安いものに御心配願えないだろうか。住宅金融公庫等におきましても五分五厘という予定だそうでありますので、これらとの権衡上から見ましても、何とか御考慮を願いたいと思うのでありますがいかがでございますか。
○植原委員長 小平君、それも全体の災害の復旧の機微の問題について、大蔵大臣から詳しく答弁したことがありますので、なるたけ御勉強なさつて速記をごらんになつたり、御出席になつたり……。
○益谷国務大臣 住宅の災害については、一般起債の取扱いをいたしておるのでありますから、特に利率の点においては現在のところは考えておりません。
○小平(久)委員 それでは公共事業費についてはそのくらいにします。せつかく地方自治庁の長官がおいでですからお伺いいたしたいのであります。 今回の地方税の改正によりまして、特に固定資産税とか、あるいは附加価値税といつたような新税のために、固定資産を多く持つておるような工場、企業あるいは企業の性質上どうしても多くの人間を使わなければならぬような企業は、この両税の結果、他の企業に比較してより多くの負担をしなければならぬ結果になるのではないかと思うのでありますが、企業間の負担の均衡ということについて、本多国務大臣はどのようにお考えになつておりますか、伺つておきます。
○本多国務大臣 今回の地方税の改革はまことに画期的でありまして、根本的な改正になつて参ります関係から、納税者の納税額に非常な変動を及ぼす面もあるのでございます。附加価値税は御承知の通り、総売上高からその売上高に至る附加価値を生むために利用したところの物の購入代金を除いたほかが、概念として附加価値になるという計算になつております。結局所得と労銀が附加価値として算定を受けることになりますので、大きな工場等におきましては、相当の税が増加するものと考えられます。さらに固定資産税は、やはり電鉄業その他大工場というようなものにつきましては、固定資産を評価するのでありますが、この固定資産は土地、家屋その他所得計算の上において減価償却の認められておりまする有体動産ということになつておりますので、会社の経理上の固定資産という概念と一致するのでありますが、そうした点から今日まで納められておりました事業税等と比較いたします。と、事業税はどんな大きな設備を市町村に持つておりましても、純益がなければ税はかからないという建前になつておりましたものが、今度は固定資産税としてその固定資産を対象としてかかることになりますので、その方面の増税もやむを得ないことと考えておりますが、この点につきましては事業税並びに取引高税、さらに地租等とにらみ合して研究中でございます。
○小平(久)委員 あと地方税に関して二、三伺いたいと思うのであります。今回新設の地方税には——これは従来ももちろんかような仕組みになつておつたようでありますが、標準税率と制限税率、いずれの税種にもそういつたものが設けられてある。そのために地方地方によつて、あるいは町村間によりまして、相当不均衡が従来もできておりましたし、今後もできる。しかも今後はその不均衡の中が多くなりはせぬかと思うのでありますが、この点をどのように御調節なさるおつもりなのか、これがまず第一点であります。 それから地方税の徴税機構の問題でありますが、今度は府県税は府県自体がとり、町村税は町村自体がとる。いかにも形からしますとすつきりしたように見えるのでありますが、その能力がなかなかないだろうということは、すでに各方面から指摘なされている通りだと思います。特に税務課員と申しますか、徴收に当る職員の問題でありますが、先日自治庁の方のお話では、全国的に見ますと府県で現在約二万人、市町村で一万五千人でしたかおる。これを県の場合だけ半数くらい増せば、済むだろうといつたような御意見を聞いたのでありますが、私の見るところでは、もつと厖大にいるのではないかと考えるのであります。そこで一面また国税との関係を考えてみましても、国税において相当減額するということは大蔵大臣がもうしばしば言明の通りであります。地方税において若干ふえる。それでも両方通算すれば、なおかつ国民の負担は軽減されるとこう言つておられるのでありますが、徴税費の関係から申しますと、この減る税を徴收するために、むしろ相当ふえるのではないか。この点は国税においても春色申告などの関係で、相当増す予算が出ておるようでありますが、どうもこの点は税は減るわ、徴税費はふえるわということでありましては、よく政府の申しております行政を簡素化して、中央地方の経費を節減するんだという、この大方針と相反するように考えられるのでありますが、この点いかがでありますか。この二点だけ最後に承りたいと思います。
○本多国務大臣 第一点は、お話の通り標準税率と制限税率を規定いたしますので、その間標準税率をとるか、上を行くか下を行くかということは、自治体の決するところになるのでございます。そういうことのために、非常な不均衡に陷るおそれはないかと言われる点につきましては、そういう懸念も税自体としては、ないわけではありませんけれども、一応標準税率というものを定めて、それを土台といたしまして、平衡交付金査定の標準行政費というものを決定いたします。従つてその平衡交付金というものでまた調整ができます。平衡交付金も増額してもらえず、税もすぐとるということでは、自治体自体の財政がますます苦しくなるというようなことから、あまりかけ離れたことはできなくなるだろうと考えております。なおまたはなはだしい不権衡なものにつきましては、自治庁といたしましても、それを調整するために努力をいたして行きたいと思つております。 さらに第二段の国税、地方税を通じての概略を申しますと、国税において九百億円減、地方税において四百億円の増であつても、差引は五百億円の軽減になるにかかわらず、中央税務官吏の縮減はできないで、地方では三万か四万くらい徴税吏員がふえるのではないか。国家経済上から見まして、まことにその点は遺憾に存じておるのでありますが、御承知のように、中央においてもシヤウプ勧告に基く国税の改正のために、非常に煩瑣な事務が出ておるようであります。これは煩瑣なようではありますけれども、結局この線を進めて行けば事務が合理的に行われ、課税が適正になり、さらに熟練をしますと、この方が今日までよりも徴税費においても、究極においては経済的になり得るものと考えます。ただ本年は新税法の実施されたばかりでありますので、このときに大きな縮減ということは中央において期待することはできませんが、いま少し熟練しましたら、縮減することが必ずできると考えております。従いまして本年度の中央の徴税関係におきましては、できるだけその増加を押えるという方法で臨みたいと思つております。地方におきましてもちようど同じことでありまして、急激な根本的な税制の改革でありますので、ここのところでは増員もやむを得ない事情にありますけれども、これもいま少しくこの税法になれて来ましたならば、その人員を縮減してなお適正、能率的な徴税ができるように進み得ると考えております。いかんせん、画期的な根本的な改革でありますので、この点は御了承願いたいと存じます。さらに平衡交付金法の中に、各府県の職員数につきましても一つの基準を設けて、これを示すことにもなつております。そうした点から本年一年限りでなく、年々続けて行きましたならば、地方の行政機構においても、適正規模まで推進することができ得るものと期待しておるような次第でございます。
○植原委員長 本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時から開会いたします。 午後五時十二分散会