本会議 第30号
- 発言数
- 67 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1950/03/25
会議録
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。 ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) お諮りいたします。内閣から、地方自治委員に金刺不二太郎君、小澤二郎君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本件は同意を與えるに決しました。 ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、国家公務員の職階制に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。人事委員会理事藤枝泉介君。 〔藤枝泉介君登壇〕
○藤枝泉介君 ただいま議題となりました国家公務員の職階制に関する法律案につきまして、人事委員会における審査の経過並びに結果の概要を報告申し上げます。 本法案の提案理由は、国家公務員法第二十九條の規定に基き、同法第二條に規定する一般職に属する官職に関する職階制の確立を目的として提出されたものであります。 本法案の要旨とするところを申し上げますと、まず第一に、官職の分類を行うための計画を定めております。すなわち職階制とは官職を職務の種類及び複雑と責任の度に応じ、この法律に定める原則及び方法に従つて分類整理する計画でありまして、その実施については、人事院の定めるところにより、逐次これを行うことといたしておるのであります。 第二の要点は、職階制の目的を明確にしたことでございまして、人事院に対して、新しく官職を設け、または在来の官職を変更し、もしくは廃止する権限を與えるものではないことであります。 第三の要点は、職種及び職級の決定、職級明細書の作成及び使用、官職の格付その他職階制の実施についての原則を定めたことであります。 第四の要点といたしましては、職階制の実施の方法及び手続を定めるとともに、その実施の機関について規定したことであります。すなわち、官職の格付、格付の変更または改訂、職種また職級の改正について明確なる方法と手続を定め、人事院をもつて職階制を実施し、その責に任ずる機関とするとともに、その具体的権限を定めております。 第五点の要点といたしましては、この法律案の施行によりまして逐次官職の格付が行われるに伴い、その格付が、政府職員の新給與実施に関する法律による、職務の分類による級への格付にかわることになつておるのであります。しかしながら、給與については、この法律案の施行後においても、給與準則が制定されるまでの間、政府職員の新給與実施に関する法律による職務の級への格付が引き続き効力を持つことといたしております。なお職階制に適合した給與準則が制定実施されるに際しましては、この法律によつて行われる官職の格付によつて給與の減額はしないという方針を明らかにし、もつて職階制実施に伴う給與についての不安を除くことといたしております。 本法案は過ぐる第六回国会において本委員会に付託と相なりましたが、会期の切迫と本法案の重要性にかんがみ、遂に審議終了となり、去る十二月四日、今国会に提出、即日、本委員会に付託となり、今日まで審議を重ねること十数回、その間、この重要な法案の審査にあたり、院の内外、広く國民各層の輿論を反映せしめるため特に公聴会を催す等、わが國官吏制度の根本的改革に至大の影響を有する本法案について、当委員会は終始慎重かつ熱心なる審議を重ねて参つたのであります。 ここに質疑の焦点ともいうべき事項について申し上げますならば、国家公務員法第二十九條第一項は、職階制は法律をもつてこれを定めると規定しており、しかして本法案が同條第一項にいうところの法律であるといたしますならば、それは職階制そのものであり、従つてその中に職階制を全面的に規定しなければならない、しかるに本法案は、官職を分類整理する場合の原則及び方法のみをもつて職階制の根本原則となし、職階制の具体的内容について何ら触れるところがない、かくては、国会の持つ職階制の制定権は単に形式的なものとなり、すべては人事院に白紙委任となつて、国会が公務員の人事行政に対して関與する権利は侵害され無視されることになるという点に論議は集中せられたのであります。これに対し政府委員からは、職階制の技術的な性格にかんがみ、本法案はこれを職階制実施の計画とみなし、それ以外のことは技術的なことであるから人事院にゆだねられたいとの答弁がありました。 質疑終了後、自由党を代表して、藤枝委員より、人事院が職種を決定したときは職種の名称及び定義を国会に提出しなければならないこと、さらに国会が人事院の決定の全部または一部を廃案すべきことを議決したとき、人事院はすみやかにその職種の決定が効力を失うよう必要な措置を講じなければならないとの修正案が提出され、同委員より、職階制の具体的内容がいかなるものであるかは国会の重大関心事である、しかるに本法案によれば、実際に生れ出る職階制の内容は国会における審議の外におかれており、国家公務員法の趣旨にも適合しないと思われる、しかしながら職階制の具体的内容のすべてを法律に盛ることは必ずしも妥当ではないので、修正案のごとく国会において事後審査をなし、その間の調整をはかろうとするものである、なお修正案の第四條に加えられる第二項の「国会に提出しなければならない」という、この「国会に提出」という意味は、国会のいずれかの一院に先に提出するの意味であるとの趣旨弁明がなされました。 次いで、本法案並びに修正案を一括議題として討論に付した結果、自由党逢澤寛君より賛成の意見が述べられ、日本社会党成田知巳君よりは、第一に、本法案は白紙委任状的な立法であること、第二に、本法案が日本の社会的、経済的な條件並びに歴史的な伝統を考慮しない結果、本法案の目的たる身分的、封建的官僚制度の打破とは逆な結果を招くであろうということ、第三に、本法案により次官までが一般職としてその適用を受けることは政党政治の本旨にもとるということ、第四に、職階制と給與を結合せしめることは、身分の分類となつて、上下の職級意識を強化せしめ、同時に官僚機構を一層複雑化せしめる等の理由に基き、原案、修正案ともに全面的に反対であるとの意見が述べられました。次いで日本共産党土橋一吉君からは、第一に、本法案は憲法に違反する法律であること、第二に、本法案は公務員の団結権、団体交渉権あるいは諸種の権利を圧殺せしめるものであること、第三に、本法案によつて労働者は人間機械的となり、公務員は賃金奴隷化されるであろうということ、第四に、かつての天皇制的位階制が復活せしめられるであろうこと等の理由に基き反対の意見が表明せられました。 かくて討論を終局し、政府原案並びに修正案を一括議題として採決に入り藤枝泉介君提出の自由党修正案は賛成多数をもつて可決せられ、ついで修正と決した部分を除いた政府原案についても同様多数をもつて可決されるに至りました。よつて委員会においては、政府原案は修正案のごとく修正議決すべきものと決定いたしました。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。成田知巳君。 〔成田知巳君登壇〕
○成田知巳君 日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国家公務員の職階制に関する法律案並びにその修正案に対して、一括反対の理由を申し述べるものであります。 まず最初に申し上げたいことは、ただいまの委員長報告にもありました通り、この法案はわが国の人事行政の根本を決定する重要なる法案であります。しかるに、ただいまの委員長報告に対して、聞くところによりますと、與党からは賛成の討論がないそうでございますし、一昨日の委員会におきましても、與党の賛成討論を拝聴いたしますと、単に数箇月にわたつて愼重審議したから賛成するという賛成意見であります。何ら積極的に、どこにこの法案の合理性があるかということについての意見の開陳がないのでありまして、このことは、與党諸君といえども本法案の悪法であるということを内心認められておることだと考えるものであります。(拍手) 本法案は、わが国の封建的、特権的官僚制度の改革を目的として立案、提出されたといわれております。その目的におきましては、まことにけつこうでございますが、その内容について検討いたしますと、この法案はアメリカにおいて高度に発達いたしましたところの人事行政学の成果をそつくりそのままうのみにして、これを模倣し、直輸入したものでありまして、まことにバタくさい内容を有しておることに、私たちは遺憾の意を表するものであります。およそ制度の輸入にあたりまして、その制度輸入の実践的価値というものは、その制度が創始され育成されて参りましたところの社会的基盤と切り離して考えることはできません。すなわち、制度輸入にあたりましては、その制度の背景にあるところの社会的な條件、歴史的なる伝統を十二分に考慮しなければならない。しかるに、本法案を検討いたしますに、この点における考慮にまつたく欠けておりまして、アメリカの人事行政学をうのみにした、機械的な直輸入であります。これがために、わが国官僚制度の根本的改革という目的とはまつたく逆行いたしまして、わが国の封建的な、身分的な官僚制度を温存強化する以外の何らの結果をもたらしていないという皮肉な姿になつておるのであります。 アメリカにおける職階制度発達の原因は、申すまでもなく、アメリカにおけるところの、あのスポイルス・システム、猟官制度打破の目的を有しておるのであります。もともと、この猟官制度というのは、政党が任命いたしましたしろうとを役人にすることによつて、人民の自由を抑圧する特権的な、職業的官吏制度の出現を防止いたしまして、人民による人民の政治たるデモクラシーを確立したいというところに、その進歩的意義を持つておつたわけであります。しかるに、当初この進歩的役割を持つておりましたところの猟官制度も、時の経過とともに、政党の情実任免に伴うところの腐敗と堕落と、しろうとの役人による非能率という弊害の面が強く現われて参りましたために、この猟官制度そのものが人民にとつて耐えがたき存在となつて参つたのであります。そこで、デモクラシーの原則からは多少離れ、人民と政党の支配という点は著しく減りますけれども、腐敗と非能率の少ない職業的官吏制度を選ぶこととなり、これが現行のアメリカの職階制度となつたわけであります。このような歴史的、実践的使命を有するアメリカの官吏制度をば、封建的にして、国民の意思とはおよそ無関係に形成されましたところの、特権階級として国民に権力的支配を行使して参つておりますところのわが国官僚制度に機械的に直輸入することが、はたして正しいかどうかということは、言わずして明らかだと考えます。 わが国官僚制度改革の根本目的は、いうまでもなく、あまりにも国民を支配し過ぎまして、国民怨嗟の的となつているところの封建的、特権的官僚制度を打破いたしまして、官吏を国民が支配し、官吏を国民の公僕たらしめるところに、その根本目標があるのであります。この観点に立つて考えますときに、官吏制度発達の歴史を無視いたしまして、アメリカの官吏制度を直輸入することは、今日の官吏制度改革の当面の課題とまつたく逆行いたしまして、封建的な官僚制度の温存強化以外に何ものをももたらさないことは明らかな事実であります。これが反対の第一の理由であります。 次の反対論拠は、本法案と国家公務員法第二十九條第一項との関係であります。国家公務員法第二十九條第一項には、職階制は法律で定めると明記いたしております。この條項は、当時国家公務員法原案提出のときにはなかつたのでありますが、公務員の人事行政には国会が深く関與すべきであり、人事院への白紙委任は極力制限しなければならない。少くとも職階制は法律で定むべしという建前のもとに、国会自身の手によつて修正挿入されたことは、諸君御承知の通りであります。この修正より見ますときに、本法案に職階制そのものであり、職階制を全面的に、具体的に規定すべきことは当然であります。 しかるに、この法案を見ますと、職階制の具体的内容におきましては一言半句も触れてない。すべて人事院指令あるいは人事院規則にまかされているのであります。このことは、職階制は法律で定むべしとするところの国家公務員法第二十九條第一項の精神に違反するものであり、国会の意思を無視するものだといわなければなりません。すなわち本法案は、人事院に職階制の実質的制定権を白紙委任いたしまして、その專断にゆだねるものであり、国会の職階制制定権を侵すものであることは明らかでありまして、本法案に賛成することは、すなわち国会みずからその権威を放擲し、国会としての自殺行為だといわなければなりません。自由党は、この非難をそらさんがために、修正案におきまして、職種の名称及び定義を国会の承認事項としているのでありますが、職種の名称、定義のみを国会の承認にかからしめて、職種明細書、職級一覧表その他の重要事項をすべて人事院に一任することは、まつたくの欺瞞であり、申訳的修正だといわなければなりません。 第三の反対理由といたしまして、本法案によりますと、職階制の対象をなすのは一般職のすべてでありまして、上は事務次官まで本法の適用を受けることになつております。次官、局長という職は、いわば政策決定の職でありまして、政策決定の職は自由任用にすることこそ政党政治の建前でなければなりません。職階制の本家本元でありますアメリカにおきましても、この自由任用の範囲が三割近くあるといわれております。特に日本におきまして、官僚の上層部が、過去において官僚制度の固いからの中にとじこもつて、いかに強力な政治的発言権を持ち、政治を動かして来たかを考えますと、この官僚制度の過去の宿弊を一掃するためにも、ぜひとも政策決定に関係ある上級官吏はすべて自由任用とすべきであります。 最後の反対理由として指摘したいことは、職階制と給與との関係であります。本法案の各條項は、職階制と公務員の給與との結合を予想いたしておりまして、職階制を給與決定のための合理的な手段だと考えているのであります。しかしながら、職階制と給與とを結合さすことは、まず第一の弊害といたしまして、官職の分類であるべき職階制が身分の分類となり、上下意識を強化するという結果になるのであります。第二に、公務員の給與をある限度以上上げようといたしましたならば、形式的にもせよ、その職務と責任とを高めなければならない結果、單純なる事務に従事する普通の事務員をも高い職務と責任を有するところの係長に任命するという方法をとらなければいけないために、行政機構が拡大の一途をたどることは必定であります。かりに、この二点の難点が克服されたといたしましても、この職階制と給與との結合には次のごとき致命的な欠陥がございます。 すなわち、職階制と給與とを結合さすそもそものねらいは、重要かつ困難な仕事、すなわち高い責任と高い職務を伴う仕事を高い資格を有する者に担当させ、高い資格に対して高い給與を支拂い、低い責任と低い職務の仕事を低い資格を有する者に担当さして低い給與を支拂うというところに、職階制と給與の結合のねらいがあるわけであります。この高い資格には高い給與、低い資格には低い給與という制度が公平かつ円滑に行われるためには、その社会におきまして、高い資格、すなわち高い経歴、技術を取得するところの機会が能力次第でだれにも平等に與えられておるということが先決條件であります。もし、この條件において欠けるといたしましたならば、すなわち経済的事情のために、たまたま貧しい家に生れたという偶然の事由で低い資格しか取得し得られなかつた貧乏人の子弟は、いくら能力があつても、一生低い給與で甘んじなければならない。かくしては、公務員の大部分を占めておりますところの下級職員の不平不満を買いまして、彼らに國民の公僕としての清新なるモラルを求め、職場におけるところの職務能率の発揮を期待することは絶対に不可能であります。 現在日本の社会のうちに包蔵されておりまするところの貧富のはなはだしい懸隔、すなわち階級構造が止揚されない限り、職階制と給與を結合さすことは、官吏の職務上の分類であるべき職階制が社会の経済的階級分類と一致するという不合理なる結果をもたらすのであります。ぜひともこの際この職階制と給與の結合を切断いたして、職階制は單に任用試験との結合にのみとどむべきであります。職階制と任用試験とを結合さすことは、官職の要求いたしますところの專門的知識を有する者をその官職に配置するということになるのでありまして、わが國の官僚において、今までその專門的知識の欠如が指摘されておつたのでありますが、この專門的知識の欠如を、官僚は権力によつて補つて来ておつた。これがために、かの警察行政に見るがごとき、國民の自由の抑圧と、人権のはなはだしい蹂躙となつて現われて来たのであります。職階制と任用試験を結合せしめて官吏に專門知識を與えることは、過去の行政の権力的な性格、その封建性を打破することになるのでありまして、かくして初めて職階制はその合理的、進歩的意義を取得することができると思うのであります。 以上四つの点をおもなる反対理由といたしまして、社会党の意見を開陳する次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 土橋一吉君。 〔土橋一吉君登壇〕
○土橋一吉君 ただいま議題となつておりまする國家公務員の職階制に関する法律案並びに修正案につきまして、日本共産党を代表いたしまして反対の意見を表明するものであります。 この法案は、かつての労働組合法の改悪法案及び國家公務員法並びに公労法と同じように、日本の全労働階級の権利を圧殺するところの、きわめて悪法であるのであります。この法律は、労働組合の基本的な権利を妨げ、各組合員の基本的な生活を奪うところの法律でありまするので、われわれは反対をせざるを得ないのであります。 まず第一点としましては、國家公務員法において、明確に法律をもつて規定することを明記しておるのであります。しかるにかかわらず、この法律はきわめて一方的でありまして、人事院があらゆる規則、指令を発するようになつておりまするために、人事院によつて独裁的な人事行政管理が運用せられるような傾向がきわめて顕著であるということであります。従いまして、これは日本の憲法にも違反する法律でありまするので、われわれは反対しなければならないと思うのであります。 なお、この法律が考えておりまする基本的な点は低賃金の固定化であります。あくまでも低賃金を強要するという態度であります。最近の公務員の給與は、御承知のように二千九百二十円ベースとか、三千七百九十一円ベースとか、現今におきましては六千三百七円ベースというようなベース賃金を支給しておるのでありまするが、これは資本主義社会におきまして、いわゆる労働階級に対して高能率低賃金を要求するところの、きわめて悪い制度であるのであります。従つて、われわれは、働く者の最低生活を保障する最低賃金制を主張いたしておりまするので、この最低賃金制を何ら実現することなく――最近人事院が内閣及び國会へ勧告をいたしておりまするところの七千八百七十七円の給與ベースすら、自由党吉田内閣はこれを認めないのでありますが、同時に、この給與ベースの能率給的な賃金を、この職階制を通して形式的にも実質的にも裏づけをするところの法律でありまするので、われわれは反対をするのであります。特に民間におきましても、三菱電機あるいは王子製紙の十條工場等におきまするこの職階制の強化は、現在同労働組合の諸君の低賃金をますます強化しておるのであります。こういう観点から考えまするならば、われわれは絶対に反対をしなければならない、かように考えるのであります。 第二点といたしましては、この法律を施行いたしますると、労働組合運動がほとんど分裂化され、労働組合運動が弱化をいたしまして、そうして基本的な団体交渉権あるいは団結権等が阻害せられるのみならず、一般労働階級が要望しております待遇の是正や賃金の引上げの問題は、この法律によりましては、ほとんどでき得ない状態にまで追い込まれるのであります。でございますから、この職階制の強要は、まず職制を通じまして、強硬に各職場において現われて来るのであります。一つ例を申しますると、青梅という小さい町の郵便局におきましては、従業員が八十名程度でございますが、そこに管理職は庶務課長等三名おりまして、主事が五名もおる。定員は、わくがきまつておりますので、働く者が少くて、すわつて判こを押す者が多い、こういう現象を招来するのであります。従つて、これは、かつての天皇制のもとにおきますところの陸軍の位階制あるいは警察機構のような状態を公務員の諸君に強要し、押しつける状態であるのであります。(拍手)これはまさに監獄的な強制労働の状態に公務員が置かれるのであります。 一方におきましては、人事院は、なるほど民主的な、合理的な、科学的な見地より人事院規則なり、あらゆるものをつくると称しながら、そのような美名のもとに、常に公務員諸君の権利を剥奪し、要求に対してはきわめて冷やかであることは、人事院成立以来今日までの実績にかんがみまして、きわめて明瞭であるのであります。従いまして、この法案が科学性を持つものとわれわれは考えないのであります。どこまでも公務員諸君を賃金奴隷にするという態度を、骨のずいまでしみ込ませるような方式になつておるのであります。この点において、われわれは絶対に反対しなければならないと思うのであります。 なお法文を散見して参りますと、法文は四章十五條と附則をもつて成立しておりますが、これは先ほど成田君の御指摘もありましたように、舶来製の職階制が直輸入の形式で入つておるのであります。でございますから、この十五箇條の條文を調べておりましても、関連性を持つておりません。具体性がないのであります。その関連性と具体性のない点は、人事院がつくるあらゆる規則がこういう状態に陷つておるのであります。でありますから、この法案の第二條の規定を見ましても、「職階制は、官職を、職務の種類及び複雑と責任の度に応じ、この法律に定める原則及び方法に従つて分類整理する計画である。」何のことか、普通の常識を持つた者には、さつぱりわからない條文でございます。しかも、その計画というものは、どういう内容を持つておるかと聞きましても、ただ計画でございます、こういうような答弁が、人事官の今日までの答弁であつたのであります。しかも、具体的な内容がどの程度法律に盛られるかということは、ちやんと国家公務員法の第二十九條が明記しておるのでありますから、その点を法律の規定をもつて明文化することが絶対に必要であるのであります。 なお職級の場合を例にとりますならば――職種の例においても修正をいたしましたが、しかし職級の上下の区別、その価値判断、あるいは判断に基くところの基準というものがどこにあるか、これは説明ができなかつたのであります。その例を申し上げますと、農林省のひよこの雄・雌をきめますところの検査官の一級と、國営競馬におけるスタートの旗振りの一級と、どちらが上位か、これに対する基本的な基準がわからないのであります。その基準の決定的なものを示されておりません。あるいは、国際電話の交換手の二級と、会計職の二級とが上下の関係を同じくするならば、どこの基準をもつてこの階級の上下の区別をするか。どちらが高い職級に置かれるかという基本的な基準がないのであります。あるいは職分の分類を見ましても、たとえば歯料医師の場合に、技工と歯科医師の関係を見ましても、その区別が明確に示されないのであります。こういう状態を見ますと、われわれは、この科学的な、合理的な、民主的な職階制というものの本質が、冒頭私が申し上げましたように、資本主義社会における労働強化と、その責任を追究し、低賃金下に置くところの制度であることは、きわめて明瞭であります。 特に自由党吉田内閣が、最近日本の全産業に関しまして一大変貌を生ぜしめつつありますが、その再編成の重点は、日本の植民地化に一切の方向を置いておるようであります。また、あらゆる工場、あらゆる重要産業が軍事基地化の方向をたどりつつあるのであります。こういう状態において、官庁労働者には、従来の官の機構におきましても、きわめて封建的な、身分的なものが残存しておりましたが、この職階制を通じて、最低生活の保障せられないそのままで労働が強要せらるる、身分制がどんどん強化せらるるというようなことは、明らかに日本の植民地的な、軍事基地的な、しかも売国的な方向が公務員を通じてどんどん行われることになると思うのであります。吉田政府の、この売国的な政策の意図は、この職階制を通じて、きちつと明瞭にわかるのであります。なおこの問題は、單に公務員だけではなくして、地方公務員あるいは公共企業体の労働者諸君、あるいは民間の一般労働者諸君にも逐次これが蔓延し、これが波及しまして、全日本の労働階級が、低賃金と職制の圧迫、さらに基本的な諸権利や生活が脅かされる方向へ参ることは、きわめて明瞭であります。 次には、この罰則を見ますと、これは人事院総裁も委員会において御答弁なすつたのでありますが、この法案自身が非常に苛酷な罰則を付しております。一体、行政事務上における手続の不備なり、あやまちがあつた場合には、体刑をもつて罰する、これは従来はなかつたのであります。総裁の御答弁を承りますと、いや、終戰後の法案についてはそういう状態になつておるんだ、こういう御説明であります。国家公務員自身の職務上の誤りや間違いは、減俸なり、懲戒なり、その他の方法をもつて講ぜられてしかるべきでありますが、それに加えて体刑に罰金を科するということは、いかにこの法律が悪法であるかが、きわめて明瞭であります。こういう悪法には、われわれは絶対に賛成できませんので、日本共産党を代表しまして所信の一端を述べ、反対の意見を表明する次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手) ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二、米国対日援助物資等処理特別会計法案、日程第三、米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案、日程第四、日本勧業銀行法等を廃止する法律案、日程第五、銀行等の債券発行等に関する法律案、右四案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長川野芳滿君。 〔川野芳滿君登壇〕
○川野芳滿君 ただいま議題となりました米国対日援助物資等処理特別会計法案並びに米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。 まず第一の法案について申し上げますると、この法案は、米国対日援助物資の取得及び処分等の処理に関する政府の経理を一層明確にするため、従来貿易特別会計の援助物資勘定において行つておりました経理方法を廃止して、新たに独立の特別会計として米国対日援助物資等処理特別会計を設置いたしまして、一般会計と区分経理するために提出されたものであります。 この法案の主要な点は、この会計の歳入は援助物資の売拂代金、一般会計からの繰入金等とし、歳出は見返資金特別会計への繰入金、事務取扱費等とすること、一般会計からの繰入金は、予算の定めるところにより、援助物資の価格を調達するための財源として繰入れること、並びに見返資金特別会計への繰入金は、援助物資及び援助役務の米国通貨による価格を大蔵省令の定める換算率により日本国通貨に換算して、政令の定める時期において同会計の見返り資金に充てるために繰入れることとしておる点でありますが、なおこの会計の予算及び決算の作成及び提出に関する手続規定等を設けるとともに、附則において、貿易特別会計法に援助物資勘定の廃止等に伴う所要の改正を行うことといたしております。 以上が、この法案の提出になつた趣旨並びにその内容の主要な点でありますが、この法案は、三月二日、本委員会に付託されまして、四日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、十五日及び二十二日の両日、各委員より、見返り資金の現在高及びその運用状況、見返り資金は貸付か贈與か等について質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に讓りたいと存じます。 次に第二の法案について申上げます。この法案は、米国対日援助見返資金を民間情報教育事業に使用する道を開き、その私企業に対する政府の事務の一部を日本銀行以外の金融機関に取扱わせることができることとし、また支出残額を翌年度に繰越して使用することができることとする等の措置を講ずるために提出されたものでありまして、改正の要点は次の三点であります。 第一点は見返り資金の運用または使用に関する規定の改正でありまして、この資金を、連合国最高司令官総司令部民間情報教育部の指導により行われる。国または地方公共団体の民間情報教育事業に使用することができることといたそうとするものであります。 第二点は、見返り資金の私企業に対する運用の事務を円滑にする等のため、従来国がその事務を日本銀行にだけ取扱わせることができるようになつておりましたのを、農林中央金庫等大蔵大臣の指定する金融機関にも取扱わせることができることとし、かつ日本銀行及び指定金融機関に見返り資金の運用に必要な資金を交付することができることといたそうとするものであります。 第三点は、従来認められておらなかつた歳出予算における支出残額の繰越しに関する規定を設け、支出残額を順次翌年度に繰越して使用することができることといたそうとするものであります。 以上が、この法案の提出になりました趣旨並びに内容の要点でありますが、この法案は、三月十六日、本委員会に付託されまして、十八日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、二十二日、各委員より、見返り資金運用の面における変化の事情等について質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に讓りたいと存じます。 次いで三月二十三日、両法案について討論に入りましたところ、小山委員は自由党を代表して、両法案とも時宜に適した措置であるとして賛成の意を表せられ、河田委員は共産党を代表して、産業資金等の梗塞している際に、見返り資金を教育的、文化的方面に使用することは妥当でない等の理由をあげて第二の法案について反対の理由を表せられ、また見返り資金そのものに反対である立場より第二の法案にも反対である旨を述べられ、松尾委員は社会党を代表して、見返り資金の本質を明確に把握するよう希望して第一の法案に賛成の意を表せられ、見返り資金を民間情報教育事業に使用することは民主的文化的であるから第二の法案に賛成である旨を述べられ、宮腰委員は民主党を代表して、見返り資金を経済再建に役立つよう使用されたい旨の希望條件を付して、両案に賛成の意を表せられました。 次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて両案とも原案の通り可決いたしました。 次に、ただいま議題となりました日本勧業銀行法等を廃止する法律案並びに銀行等の債券発行等に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びにその結果につき御報告申し上げます。 まず第二の法案について申し上げます。この法案は、経済復興のため最も緊急とされる長期資金の円滑な供給をはかる目的をもつて、銀行並びに農林及び商工組合の両中央金庫に対し債券発行について特例を設け、あわせて見返り資金の引受による優先株式の発行を認める等の措置を講ずるために提出されたものであります。 この法案の要点は、第一に銀行等による金融債の発行、第二に、この金融債の発行に資するための見返り資金による優先株式の引受、第三に、銀行の自己資本の充実の三点でありまして、第一に金融債の発行につきましては、銀行等は自己資本の二十倍に相当する金額から預金と債券との合計額を控除した残額の債券を発行することができるものとして、これに関連して商法の特例その他金融債発行について必要な規定を設けております。第二に、この金融債の発行に資するため、銀行等は見返り資金をもつて引受けられる場合に限り特殊の優先株式、または優先出資を発行することができるものとし、優先株式は、利益の配当または残余財産の分配について、普通株式に対し優先的内容を有するほか、無議決権株式であり、また償還株式である旨を規定しております。第三に、銀行等の自己資本の充実につきましては、銀行法では毎営業年度における利益の百分の十を準備金として積み立てることになつておりますが、自己資本が預金と債券との合計額の百分の五に達しない場合には、毎営業年度における利益の百分の二十五と、一箇年につき資本金の百分の十とのいずれか低い方の金額を準備金として積み立てなければならないこととし、同時に、普通株式に対する配当については別段の法律的制約を加えないこととしております。 以上が、この法案の提出になりました趣旨並びに内容の要点でありますが、この法律が施行されることになりますと、金融債の発行可能額は、昭和二十五年度中におきまして大体五百二十億円が予想されておりまして、これにより各分野における長期資金の供給は飛躍的に増加することになるわけであります。 次に第一の法案について申し上げます。前に申し上げました第二の法案が施行されることになりますと、これに伴いまして特別銀行法等を廃止するとともに、これに伴う経過的措置を定める必要がありますので、そのために提出されたものであります。 この法案の要点は、本年四月一日をもつて日本勧業銀行法、北海道拓殖銀行法及び日本興業銀行法の三特別銀行法を廃止し、これに関連して旧農工銀行関係の三法律及び興業債券の発行限度の特例に関する法律を廃止することを規定しておるものでありまして、附則において、これらの法律の廃止による三特別銀行の普通銀行化等に伴い必要な経過措置を規定しております。 以上が、この法案の提出になりました趣旨並びに内容の要点でありますが、以上の両法案は、三月九日、本委員会に付託されまして、十四日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、十六日より数日にわたり慎重審議を行いましたところ、各委員より、本法案と銀行法の全面的改正との関係、自己資本が預金と債券との合計額の百分の五以下となつた場合の調整、優先株式発行の場合における特別の監督、農林中央金庫の民主化等につき熱心なる質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありまして、金融債券発行のために証券市場を圧迫することはないかとの質疑に対しては、そのため証券市場を圧迫する心配はないが、なお預金部資金の運用等を考慮して善処する旨の答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に讓りたいと存じます。 なおこの両法案の重要性にかんがみまして、三月十八日、参考人として日本興業銀行理事中山素平君、埼玉銀行副頭取秋元順朝君、経済団体連合会、日本産業協議会共同事務局理財部長内山徳治君を招致して参考意見を聽取し、質疑を行いましたが、その詳細についても速記録に讓りたいと存じます。 次いで三月二十四日、両案について討論に入りましたところ、宮腰委員は民主党を代表して、債券発行は一般銀行が実行できるか疑問である、従つて債券発行によつて地方資金が中央に集中することになる旨を述べて両案に反対の意を表せられ、前尾委員は自由党を代表して、第一の法案は、形式的にも実質的にも金融機関の画期的な民主化をはかるものであつて、これにより財政と金融の分離が実現される、第二の法案は、長期資金調達について画期的な道を開くものであつて、その上金融機関の自己資本の充実をはかるものである旨を述べ、農林中金並びに商工中金の民主化が早急に解決されるよう希望して両案に賛成の意を表せられ、田中委員は社会党を代表して、第一の法案は、特殊銀行が形式的に普通銀行になるだけであつて、これでは真の民主化にはならぬ、第二の法案は、すべての銀行に対し債券発行を認める点について異論がある、また優先株式を見返り資金で引受けることについては、見返り資金の自主権を確保してこれを直接投資に運用することが望ましい等の旨を述べて両案に反対の意を表せられ、河田委員は共産党を代表して、見返り資金は自由的に運用されないで、かえつて日本の産業を圧迫している旨を述べて両案に反対の意を表せられました。 次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて両案とも原案の通り可決いたしました。 以上簡單でございますが、御報告申し上げます。
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。田中織之進君。 〔田中織之進君登壇〕
○田中織之進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題と相なりました四つの法律案のうち、第一の米国対日援助物資等処理特別会計法案、第二の米国対日援助見返資金特別会計他の一部を改正する法律案に対しましては、見返り資金の運用について日本政府はすみやかにその自主性を確立するように努力すべきであるということを強く要望いたしまして賛成の意を表しまするとともに、第三の日本勧業銀行法案を廃止する決議案並びに第四の銀行等の債券発行等に関する法律案の二案に対しましては反対の意思を表明するものでございます。 まず日本勧業銀行法等の廃止に関する法律案でございます。この法律によりまして、いわゆる北海道拓殖銀行あるいは勧業銀行、興業銀行等の特殊銀行が普通銀行に相なると、かように申されるのでございまするが、勧銀を法律によつて普通銀行に看板を塗りかえただけでは、決して政府並びに自由党の諸君が言われるように、これらの特殊銀行の民主化が達成されるものではないのであります。ことに、われわれの問題となるのは、現在勧業銀行に対して一般の国民が強く期待いたしておりますところの、勧銀本来の使命であります不動産金融による長期資金の調達の問題、並びに興業銀行に期待しますところの長期設備資金の貸出し、こういうような面におきまして、われわれは、これらの特殊銀行がその機能を発揮するように、むしろ積極的な態勢をとるべき段階である。かように信ずるのであります。これを放擲いたしまして、現在すでに興銀にいたしましても勧業銀行にいたしましても、普通銀行と何らかわらない運営方式をもつて臨んでおることは、われわれのむしろ反対しなければならない点であると考えるのであります。 金融機関の民主化は、今日これらの特殊銀行に見られますところの極端なる官僚化をまず一擲することであり、同時に、金融政策全般の問題を通じて言えることでございますけれども、資金の調達の問題ではなくて、むしろこれらの銀行の金融機関によるところの資金貸出しの方針において一大転換をやらなければならないということであります。これらのことが行われてこそ初めて真のこれらの金融機関の民主化が実現し得るものだとわれわれは信ずるのであります。 戰後世界の趨勢でありますところの、戰勝国、戰敗国を問わず、いわゆる国家資本の活動の分野がますます増大しつつあるという趨勢に目を向けまするならば、むしろこれらの特殊金融機関をして政府資金の直接産業投資への面に積極的な活用を行うべきことが本来の筋合いではないかとわれわれは考えまするがゆえに、この日本勧業銀行法等の廃止に関する法律案に対しましては反対を表明するものであります。 〔議長退席、副議長着席〕 次に銀行等の債券発行等に関する法律案でございまするが、この特殊金融機関あるいは商工中金、農林中金等がいわゆる長期資金を調達するための方法といたしましての債券発行限度の拡大ということにつきましては、われわれは、むしろこれを積極的に支持するものでございます、しかしながら、問題は、これを今回の改正によりまして普通銀行にまで拡大するということについては、われわれ多大の疑問を持たざるを得ないのであります。いわゆるこうした形において資金を集めるということは、これはむしろ問題ではないのでありまして、こうして集められたところの資金が、前の法律の反対理由においても申し述べましたように、農村あるいは中小企業等の方面にいかに貸し出されるかという放出の形態並びに方針が問題なのであります。今日、零細なる農民あるいは中小企業者から集めましたところの資金が独占資本を中心として貸し出されておるというところに今日のものすごい金融梗塞が現われておるということを、われわれは指摘しなければならないと信ずるのであります、われわれは、これら普通銀行に対しまして債券発行を認めることによりまして、零細なる大衆資金をかき集めて、これを独占資本にのみ奉仕せしめんとするがごときやり方に対しましては、遺憾ながら反対を表明せざるを得ないのであります。 さらに、今回この法律によつて行われますところの銀行等の増資について、一定の優先株式を認定いたしまして、これを見返り資金によつて引受けしめ、さらにこれらの調達いたしました自己資金の二十倍の債券発行限度を拡張あるいは設定しようとするのでございますけれども、われわれは、先ほど見返り資金に関する二法案について強い希望を申し述べましたように、今日の見返り資金の運用がきわめて自主性を失わしめるような段階にあるときにおいて、さらにこれらの見返り資金は、その本来の性格からいたしまして、もつと日本の経済再建のために、産業に対する直接投資の方向に向けられなければならないという意味において、銀行の増資優先株を見返り資金によつて引受けるということについては、われわれは賛意を表しがたいのであります。政府に言わしむるならば、見返り資金の産業への直接投資は非常に手続が煩瑣だということを申しておりまするけれども、これは、われわれの主張いたしまするところの見返り資金運用の自主性を確立することによつて解決される問題であり、われわれは、むしろこの方向に向つて政府が適切な施策を進めるべきであると信ずるのであります。 さらにこの点につきましては、いわゆる債務償還等の場合におきましても、見返り資金あるいは国民の血税によりまして相当多額の債務償還が行われております。先般の、衆議院を多数で押し通しましたところの二十五年度予算案におきましても、千二百八十億の公債の償還が予定されておるのでありまするが、こうした債務償還によりまして、従来からも、銀行の手持資金が増大をして、それが自然貸出しにまわつて行くというような間接融資の方式を政府は盛んに説いて来たのでございまするけれども、二十四年度、また二十五年度においても、相当の債務償還によつて、政府はこれらの金融機関に対して手持資金を豊富ならしめるのでございまするけれども、はたしてこれらの金融機関の手持資金が豊富になつたから貸出しが円滑に行き、金融梗塞状態が打破されたかといえば、まさに逆の現象が起つておる。これらの調達いたしましたところの資金がすべて日銀に還流いたしまして、今日、日本銀行券の発行高が三千億円台を割つておるというこの事実は、今日の金融梗塞、デフレ現象の特徴的な現象であるとわれわれは信ずるのでありまして、そういう意味におきましても、われわれは、こうした形における資金調達を政府が今回の法律改正によつて行おうとするということに対しては反対せざるを得ないのであります。 さらに政府は、財政と金融の、いわゆるドツジ・プランにおける分離の方式に従つて、金融機関の民主化あるいは自主性は、こうした法律によつて確保するのであると申しておりまするけれども、金融と財政の機械的な分離が、今申しましたように、今日のものすごい金融梗塞とデフレ現象を生んでおるという事実に対して深く反省を拂う必要があると、われわれは信ずるのであります。今日の段階におきましては、むしろ財政と金融の分離ではなく、金融は財政のもとに、ことに大蔵大臣の恣意的な統制のもとに完全に隷属しておるという事実をわれわれは指摘しなければならないものと考えるのでございます。 以上申し上げました通り、われわれは、今日のデフレ現象に対しましても、二十五年度予算によつては決してこれが転換を期待することができないと思うのであります。町にあふれておりまする金融難にあえぐ国民は、政府が少くとも参議院の選挙を前にいたしまして、多少の金がまわるような政策転換を行うであろうということに対して、かすかな期待を持つております。われわれは、政府がこの法律案を多数で押し切る態度を一擲いたしまして、すみやかにこの二法案は撤回をいたしまして、今われわれが申し上げましたところを十分取入れて、根本的に練り直したところの案を持つて国会に臨まれんことを要求いたしまして、この反対討論を終るものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 小山長規君。 〔小山長規君登壇〕
○小山長規君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつております四法案のうち、銀行等の債券発行等に関する法律案並びに日本勧業銀行法等を廃止する法律案につきまして、若干の希望意見を付して賛成の意を表するものであります。 私は、ただいまの反対討論を聞いておりまして、またこのあとで述べられるであろう反対討論を予想して申し上げるのでありますが、この法律案は、われわれの考え方からいたしますると、まことにけつこうな案なのでありまして、われわれは、民主党あるいは社会党といえども、この法律案に賛成するのにやぶさかでないと思つておつたのであります。その理由を申し上げまするならば、憲法の第三條によりますると、すべての銀行は一定の條件のもとに債券を発行できるということになつておるのであります。従来考えられておりましたところの金融方式によりますると、銀行は預金業務に專念すべきであつて、債券の発行をすることは望ましくない、銀行に集まるところの預金はこれを短期の運転資金に使用すべきであるというのが従来考えられておつたところの金融方式であるのでありますが、現在の日本の経済状態、これを見てみますると、銀行に集まりますところの資金は、きわめて短期の預金であります。特別当座預金あるいは当座預金というような短期の預金が全預金の約八十パーセントを占めておるのが現在の日本の状況である。しかるに、一方において、日本においては、長期設備資金の要求はまことに切なるものがあるのであります。しかしながら、ただいま申し上げましたように、金融機関に集まるところの金は非常に短期のものであるという関係上、銀行はこれを長期資金に運用せんといたしましても、経済上の制約を受けて、これができ得なかつたのであります。さような状態でありまするので、銀行は短期の資金だけを準備すればよろしいという従来の考え方は、日本の現状に関しては、やや行き過ぎのうらみがあつたのでありますが、今度の法律によりまして、銀行は債券の発行ができるといいますことは、これで長期の資金が得られるということはもとよりのことでありまするけれども、また片一方におきまして、短期の資金を集めておるところの金融機関が、この債券を買い入れることによりまして長期の資金と短期の資金が同時に調達できるというところに、この法案の妙味があるのであります。これが、私どもがこの法案に賛成する根本的な理由なのであります。 第二といたしましては、ここに集まりましたところの資金は、勧銀、北海道拓殖銀行、あるいは興業銀行、あるいは農林中央金庫、商工中央金庫等を通じまして、それぞれの分野にこれが放出されるのであります。従いまして、ここに集まります二十五年度における五百七十億というこの新しい資金は、あらゆる産業にこれがまわつて行くのであります。(「大産業にまわるのだ」と呼ぶ者あり)大産業にまわると仰せられますけれども、この債券は、農林中央金庫において六十六億、商工中央金庫において五十億という金が集まる以上は、これが中小企業にまわらないと言われる議論はまつたく的をはずれておるのであります。(拍手) 第三に、この債券を発行いたしますにつきましては、その前提として、相当大幅の増資を必要とするのであります、二十五年度は、金融機関において五十二億という厖大な増資を必要とするのでありますが、この厖大な資金を集めるのには、市中からこれを集めることはなかなか困難であります。從つて…(「見返り資金だろう」と呼ぶ者あり)これは仰せのごとく見返り資金から出すのでありますが、見返り資金がこのような方面に使われるという新しい分野をつくり出したということが、われわれが賛成する第三の理由なのであります。 野党の諸君は、見返り資金というものは、あたかも日本の産業をアメリカの奴隷とする、あるいは日本をしてアメリカの人身ごくうに供するかのごとく、錯覚を起しておられますけれども、この見返り資金は、アメリカの援助物資によつてできたものであることは当然でありますが、この資金は日本人の資金なのであります。從つて、この見返り資金を使うことによつて経営権の内容に干渉するとか、あるいは日本の産業がアメリカに隷属するという結果が来るということは、まことに奇想天外の議論とわれわれは考えるのであります。 第四といたしましては、この五百二十七億に上るところの金融債は、預金部資金による引受を認められたのであります。従来、わが国において、この預金部資金は、國または地方公共団体に対する貸付以外には使用を禁じられておつたのでありまして、そのために、国民の切なる念願でありましたところの預金部資金の地方還元ということができなかつたのでありますが、この法律を通じまして、農林中央金庫あるいは商工中央金庫、北海道拓殖銀行を通じて、地方に還元する道が、ここに初めて開かれたのであります。 以上が、私がこの法律案に賛成するおもなる理由でありますが、若干の希望意見を付しまするならば、この法律案によりますと、銀行は、その預金または債券の合計額が、自己資本の二十倍に達した場合には債券の発行ができないという規定があります。現在の金融機関の運用状況を見ておりますると、預金を集めて短期の資金にまわす方が、はるかにもうかるのであります。従いまして、この場合に銀行のなすがままにこれをまかせておきますると、銀行は預金を集めてこれを短期に運用するということにのみ熱中いたしまして、法案の目的とするところの長期資金、長期債券発行の余地が少くなる憂いなしとしないのであります。從つて政府は、この面において十分なる監督権を行使せられて、かかる弊害の起らないように注意せられんことを望むのであります。 第二といたしましては、この債券によつて集められますところの資金のコスト、その利率は、政府の説明によりますと、大体年八分五厘見当であろうということであります。従いまして、この八分五厘の資金を実際に貸し出します場合には、一割一分見当になりはしないかと思うのであります。これは非常に高いのでありまして、ことに農林漁業金融あるいは中小企業金融の場合には、このレートをもつていたしましては、はたしてペイするかどうかについて、はなはだ疑問なのでありますから、この間政府においては、何らかの手段をもつて、これらの農林金融あるいは中小企業金融に対しましては利子補給の道を開かれんことを望むのであります。 第三としましては、中小企業金融ということが盛んに論議せられ、国会においても、しばしばこれが問題になつておるのでありますが、これが依然としてはかばかしく行かないのであります。今度の法案によりまして、五百二十七億という厖大な長期産業資金が入りまする結果、中小企業金融に対する資金の準備はできるのでありますけれども、ただこれを従来の金融機関のいわゆるコマーシヤル・ベースにおける経営のままにまかせておきまするならば、そこに準備されたところの資金が円滑に中小企業の中に入つて行くかどうかについて少なからず疑問があります。従いまして、われわれは、この中小企業の金融に対しまして、金融機関がこれを円滑にできまするように、ここに金融保証制度の拡充または金融機関の損失補償の制度を設けられんことを政府に希望いたしたいのであります。 以上をもちまして私の賛成討論を終るしだいであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 宮腰喜助君。 〔宮腰喜助君登壇〕
○宮腰喜助君 私は、民主党を代表いたしまして、米国対日援助物資等処理特別会計法案並びに米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案に対しては、希望條件を付しまして賛成するものであります。日本産業再建のために十分研究し、すみやかに貸付あらんことを希望いたしまして、本案に賛成するものであります。 それから日本勧業銀行法等を廃止する法律案並びに銀行等の債券発行等に関する法律案に対しては反対するものであります。本法案の理由は、一般銀行と特殊銀行との区別を廃止しまして、同様に債券を発行せしめ、長期資金の調達をやらせようとするものであります。これは新しい行き方であり、ことさら反対するものではありませんが、しかし、不動産金融機関をたな上げにしつつ、その跡始末もつけないで廃止にしてしまうということは今日、不動産金融を得られざるために、一般中小商工業は、まつたく金融を閉鎖されてしまつた状態であります。これに関しては、昨年の十二月に、地方銀行協会の会合の席上、日本銀行の某金融調査委員もこれについて言つておる通りに、確かに不動産金融銀行は必要であるということを力説されて、それが雑誌上にも載つております。また市中銀行に債券を発行させ、長期資金を調達させ、不動産金融をやらせるということを言われておりまするが、はたして一般の地方銀行がこの不動産金融をやる自信があり、その力があるかということは、われわれは実際に疑問に思うのであります。 有力なる旧来の特殊銀行は、その十分なる経験と、全国的に存在する連絡網を利用しまして、この銀行に集中される危険があるのであります。地方銀行は、債券の発行の経験が少く、また今日の経済状態では、債券の一般募集はほとんど困難であります。これも、日銀の金融政策委員会の委員が、ある雑誌上に、おそらくこういう制度をとつても、現在の経済状態並びに銀行の経験上から言つて、この債券発行は不可能であるのではないかということを心配されております。またもし発行が許されたとしても、この地方銀行が単独に発行することは困難であると思われるのであります。 旧特殊銀行と一般銀行とは、形の上では公平ではあるが、実際的には不公平である、こういうことも、日銀の金融政策委員会の某委員が、はつきり言明しております。また債券発行を許されても、中央における市中銀行は、地方支店を有利に利用し、地方資金を中央に集中する危険があるのであります。これがために、地方の農民に対する金融並びに中小企業に対する金融が、いやが上にも不足を来す危険があるのであります。 政府は一部地方に還元すると言うも、その実をあげられるやいなや疑問に思うのであります。政府は、零細なる郵便貯金を地方より集めながら、それが地方には全然還元されていない。この資金よりなる大蔵省預金部資金は、大多数が財政資金として放出され、民間の経済資金としてこの金を利用していないのであります。 また政府は、中小企業資金として、見返り資金を毎月一億円貸し出せると言われております。これは、大蔵委員会で大蔵大臣も言明しております。現在まで貸した金は、すでに三億円ぐらいなければなりませんが、実際に調べてみますと、その金は、わずかに七千万円ぐらいしか出ていないのであります。これは、この見返り資金、いわゆる中小企業に貸し出す金は、地方銀行が半分負担しなければならない、こういうことであるために、地方銀行はこの貸出しを渋つてしまうのであります。これは、政府にもう一歩前進してもらいまして、国民金融公庫の貸出しのように、見返り資金を直接に国民に貸し出すようにせねば、現在の中小商工業金融並びに農民金融の緊急なる解決は不可能であります。ことに本案のごとく、地方市中銀行に債券発行をせしめて、不動産金融をたな上げにするようなことでは、断じて金融の民主化ということはできません。 また、金融機関の優先株の引受けを見返り資金によつてなさしめ、金融機関の金融を助成せんとする考えでありますことは、妥当のように考えられることなきにしもあらずであります。しかし、必ずしも優先株の引受けを見返り資金によつてやらずとも、この見返り資金を直接貸與する方法があるのであります。從つて、本法案が国会を通過しても、いずれ近々修正せねばならぬ時期が必ず来ると考えるのであります。 以上をもちまして、本案に対しては賛意を表することができないのであります。
○副議長(岩本信行君) 河田賢治君。 〔河田賢治君登壇〕
○河田賢治君 ここに上程されました米国対日援助物資等処理特別会計法案並びにこれに関連する外三案について、私は日本共産党を代表して、総括的反対の討論を述べるものであります。 元来見返り資金は、日本国民の負担で積み立てられた資金であつて、見返り資金そのものは、決して外国からの借金あるいは債務でも何でもないのであります。しかるに、去る二十二日の予算委員会で、大蔵大臣は、明らかにこれはアメリカに対する日本の債務であると答弁されているのであります。はたして見返り資金が債務であるならば、政府は、まさに憲法七十三條及び八十五條の規定によつて締結された条約並びに国の債務行為を明らかにして国会の承認を求めなければならぬのであります。この手続をせずして国会を無視し、憲法上成規の手続をとらない憲法無視のやり方なのであります。こういう日本国民の負担による見返り資金を廃止することなく、かえつて強化する改正諸法案に対して、まず第一に反対せざるを得ないのであります。 第二の反対は、見返り資金の運用における政府の自主性の放棄、これが理由であります。この資金の運用については、日本政府が自主的に運用するために、昨年第五回国会において、政府提出原案の、連合国最高司令官の承認云々という項目を削除し、もつて日本政府が独自的に運用し得ることとなつたのであります。しかるに政府は、その後見返り資金の運用については何らの独自性を持とうとしていない。これは大蔵当局の言明に徴しても明らかであり、また高瀨文部大臣も、予算分科会で、「見返り資金の運用は日本政府で自由に行かない性質のものでありまして、やはり見返り資金運用についての指示というものがあつて、あるわくがはめられております。」と述べられ、いかに見返り資金の運用において自主性を進んで放棄しているかを暴露し、現政府は、国会の権威と立法精神とをあえて蹂躙しているのであります。ところが、今回の改正は、より一層の意識的な自主性の放棄であります。 第三の反対理由は、見返り資金が国民の犠牲と負担の増大を来す点を指摘せざるを得ないのであります。見返り資金は、理論上、輸入商品の売上げ代金と税金からなつている。特に重要なことは、輸入援助物資が国内で売れようが売れまいが、その代金相当額は強制的に積み立てられ、そのために生ずる貿易の特別の赤字は、一般会計、すなわち税金で埋められるのであります。二十五年度予算について見ても、見返り資金は、机の上では約一千三百億で、うち八百億は、あの高い外米その他食糧品、工業原料等の商品代金であり、約五百億は、国民の血のにじむ、生命をすり減らした税金であります。この商品代金と税金が積み立てられたものがこの特別会計でありますが、最近は恐慌が進行し、輸入援助物資が売れないために、実際上には、これ以上の多額の税金でまかなわれることになるのであります。 ところが、この国内恐慌は、実に外国の恐慌輸入によつて促進されているのであります。それゆえ、見返り物資が入れば入るほど不景気はひどくなり、不景気がひどくなればなるほど、見返り資金が救済主のごとく登場し、日本経済を支配し、そしてこれが日本の全経済機構の上をおおうというのが、このからくりの実体なのであります。(拍手)その上、重税の一つの大きな原因がこの見返り資金制度に胚胎しているという点で、また注目しなければならないのであります。従つて、かかる制度の廃止こそ望ましく、強化はもつてのほかであります。 第四の反対理由は、この見返り資金の使途が日本経済の平和的発展の方向に使われず、軍事的産業に重点が置かれていることであります。従来も、また本年度も、見返り資金の運用は、電力、鉄鋼、炭鉱、造船、化学等の基礎産業を、いずれもみな軍事的方向におもむかすようにしている。従つて、人民の生活向上や安定のための民主的産業は疎外され、これら産業の犠牲によつて軍事的産業の拡大が行われているのであります。このことは、見返り資金の本質からして当然生れて来ることで、見返り資金によつて日本産業が平和的に復興することは絶対に認めないのであります。 第五に指摘することは、今回の法案で、見返り資金が金融方面にも転用され、金融機関を掌握せんとしているということであります。政府は、見返り資金をもつて勧銀、興銀、北海拓銀、農林中金、商工中金に五十二億の優先株投資をなし、これを中核として銀行債を発行し、預金部資金二百九十五億、その他計五百二十七億を動員して、この力で銀行資本は産業をとらえ、軍事産業と結ぶ一部の中小企業や、その他農業等への金融支配網を確立せんとしているのであります。同時に、かかる銀行債の発行は、政府が切迫している金融恐慌を引延ばすための信用インフレを可能にするものであつて、このために国民大衆の貯金や厚生年金が動員されることは、この信用インフレが戦争準備インフレでもあることと相まつて、国民の犠牲がさらにはなはだしく強化されることは明らかであり、この点からも反対せざるを得ないのであります。 第六の反対は、見返り資金が吉田内閣の買弁的な技術導入の受入体制に使用されるという理由からであります。元来見返り資金は、経済の安定と復興、輸出の振興のために使用すと規定されたにもかかわらず、今回の改正案によれば、総司令部の民間情報教育事業に従属する教育事業への使用を提案しているのであります。このことは、最近の外資導入が、主として技術導入しか可能でないため、それを促進するための一つの工作にほかならないのであります。すなわち、民間情報教育事業の図書は外国書であり、一部専門家しか利用できないものであり、それは主として技術、文化方面の投資に呼応するものであります。もしこの点がそうでないならば、何ゆえ六・三制その他日本人の一般教育費をもつと多額に一般予算に計上しないのか。一方では日本人をばかにしてしまうような教育予算を組みながら、他方こんなふうに見返り資金を使うのは、当然植民地化政策の一環だと断定せざるを得ないのであります。 以上の理由からして、わが党は、この見返り資金に関係する四法案に反対するとともに、見返り資金制度そのものの廃止を主張し、反対討論を終る次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。 まず日程第二及び第三の両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手) 次に日程第四及び第五の両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手) ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第六、不正競争防止法の一部を改正する法律案、日程第七、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案、日程第八、小型自動車競走法案、日程第九、帝国石油株式会社法を廃止する法律案、右四案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事神田博君。
○神田博君 ただいま議題と相なりました不正競争防止法の一部を改正する法律案につきまして、委員会の審議の経過並びに結果について概要ご報告申し上げます。 ご承知のごとく、現行不正競争防止法は、国内法制の欠陥を充足するよりも、工業所有権保護同盟條約のヘーグ改正條約に加入する準備として、昭和九年に制定せられたものでありまして、打続く計画経済下にありまして、爾来十有余年の間は、何ら日の目を見ることができなかつたのであります。條約に基く最小限の義務を規定いたします本法律案の出現は、国際通商場理に乗り出さんとする新生日本にとつては重大な使命があるのであります。 以下、本改正案の要点を御説明いたします。改正案の第一は、不正競争防止法第一條第一項各号に掲げる行為をする者に対しましては、その者が不正競争の目的をもつてするといなとを問わず、被害者はその行為の阻止を請求し得ることとした点であります。 第二は、故意または過失により不正競争防止法第一條第一項各号に掲げる行為をなす者は損害賠償の責に任ずることであります。 第三は、不正競争の目的をもつて不正競争防止法第一條第一項第一号ないし第三号に掲げる行為をした者、及びあとで述べますように本條に新たに加えました行為をした者に対し刑罰を科することとした点であります。すなわち現在は、第四條の違反行為以外については罰則の規定はなかつたのであります。そこで、新たに三年以下の懲役または二十万円以下の罰金の規定を設け、不正競争の目的をもつてする行為者に対する制裁を強化したのであります。 第四は、不正競争防止法第一條第一項第一号及び第三号に掲げる行為について、新たに輸出する行為を加えた点であります。 第五は、商品もしくはその広告に、その商品が産出、製造もしくは加工された国以外の地において産出、製造もしくは加工されたような誤認を生ぜしめる表示をなし、またはこれを表示した商品を販売、拡布もしくは輸出する行為も、不正競争防止法第一條第一項各号に掲げる行為と同様に扱うこととした点であります。 本法律案は、三月九日委員会に付託せられまして、三月十一日、政府委員より提案理由を聴取いたしまして、十六、十七の両日にわたり、政府委員との間に熱心なる質疑応答がかわされたのであります。内容は会議録を御参照願いたいと思います。 続いて、二十三日討論に入りましたところ、自由党中村幸八君より、この種経済事犯としては一罰百戒の意味もあつて苛酷に失するくらいの罰則を付せられたものと思うが、法の目的は人を罰するにあらざることを関係当局はよくよく銘記せられて、業者の企業意欲を減退せしむるがごときことのないよう温情ある裁定を下すようとの強い要望を付して賛成意見の開陳があつたのであります。次に社会党今澄勇君及び民主党有田喜一君よりも、それぞれ同様の趣旨の希望を付して賛成意見が申し述べられ、共産党伊藤憲一君よりは反対意見が述べられたのであります。引続き採決に入りましたところ、多数をもちまして可決することに決した次第であります。 次は中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案についてでございます。 中小企業等協同組合法は、昨年七月一日施行されました中小企業の協同組織に関する基本法でありまして、旧市街地信用組合法に基く市街地信用組合は、本年八月末までに本法の信用協同組合に組織変更することを要するのでありますが、最近の中小企業金融の現状にかんがみまして。右の組織変更は早急に行わねばならぬところの実情になつておるのであります。しかるに現行法は、組合運営はもちろん、信用協同組合への移行すら困難であるというのであります。以上が提案の要旨であります。 なお改正の要点を御説明申し上げますれば、第一、現行法においては、総代は総会において選挙することになつておりますが、総代会を設けるがごとき組合は、組合員数も多く、地区も広汎であるために、総代選挙を総会においてすることは実際には至難でありますので、これを全組合員の意思が公平かつ容易に反映されるような地区別に選挙区を設けて選挙を行うとか、その他定款に定める方法にすることが必要であるというのであります。 第二といたしましては、総代の定数が常時組合員総数の十分の一であることを要求しておりますが、協同組合の加入は御承知のように自由、脱退も自由の原則とするため、組合員の数は常時変動を免れないのでありまして、この際総代の定数に関し、一定の基準の時期を明確にしたいというのであります。 第三は、総代の任期には制限がございませんが、組合民主化の見地からその最高限を定め、組合員の総代に対する批判の機会を與えたい、こういうのでありまして、この際総代の任期は、役員のそれと歩調を合せまして、最高三年とするのが妥当であるというのであります。 本改正案は、二月二十八日委員会に付託となりまして、三月十一日政府委員より提案理由を聴取し、十七日質疑に入りましたところ、中小企業の現状に関しまして、各委員より熱心なる質疑応答が、通産大臣及び政府委員との間に、同日及び二十二日の二日間にわたり行われたのであります。内容の詳細は会議録に譲りますから、御参照を願いたいのであります。 そこで、二十四日討論に入りましたところ、自由党門脇勝太郎君より、本法律案は刻下の中小企業が直面するさまざまな苦難を一つ一つ解決して行こうとする前ぶれであつて、これを契機として、政府は全力を振つて次々と中小企業問題の解決に当られるよう期待したいとの熱烈なる要望を付しまして賛成の意見を表明されたのであります。続いて社会党今澄勇君、民主党有田喜一君より、中小企業問題の打開は今後にまつべきもの多きを憂うるも、本改正案は百尺竿頭一歩を進めたものであるとの賛成意見が述べられ、次に共産党伊藤憲一君よりは反対意見が開陳されたのであります。引続き採決いたしましたところ、多数をもちまして可決いたした次第であります。 次は小型自動車競走法案でございます。 まず本法案の目的及び要旨を簡単に御説明申し上げます。すなわち、本法律案の目的といたしますところは、第一に、小型自動車の海外宣伝に資するとともに、小型自動車工業界の有形、無形な振興に寄與せんとすることであります。 第二には、この法律案の施行によつて期待し得る相当な収益の活用でありまして、幸いにして復迫せる地方財政が、いささかなりとも改善せられることになりますならば、まことに当を得たものと思わなければならないというのであります。 第三には、小型自動車競走は速力を主眼といたします関係上、おのずからその性能の向上、品質の改善に貢献するところ多大でありまして、とかく近来不振に陥りがちな当業界に清新はつらつたる活力を與え得るものと確信するのであります。 次に本法律案の主要なる点を簡単に申し上げますと、施行者は都道府県でありまして、その議会の議決を経て行うことができるのであります。 次に売上げ金額の配分につきましては、小型自動車競走施行者は、勝者投票券の売上額の百分の七十五を車券購入者の賞金とし、残り百分の二十五のうち百分の三は国庫收入とし、さらに百分の五を越えない範囲内の金額を当該小型自動車競走会に交付いたしまして、残余の百分の十七をもつてその他の経費及び競走施行者たる地方自治体の收入に充当したいというのであります。 前項の規定によりまして国庫收入と相なりました金額に相当する金額をもちまして、自動車工業の生産増強、品質、性能の向上、広汎な外国市場の開拓による輸出全般の伸長に振り向けんとするものであります。 本法律案は、自由党栗山長次郎君外四十一名の、共産党を除く各派共同提案になるものでありまして、三月九日委員会に付託せられ、十一日、栗山長次郎君より提案理由を聽取し、越えて十四、十五の両日にわたりまして熱心な質疑応答が重ねられたのであります。ところが、共産党を除く各派より、都道府県のほかに京都市、大阪市、横浜市、神戸市及び名古屋市の五大都市をも競走施行者に加えてはどうかとの修正意見が抬頭いたしまして、十七日の委員会に諮りましたところ、共産党を除く各派の同意を得ましたので、私神田博より修正案が提出せられたのであります。 その理由といたしますところは、右五大都市は、その行政機構、人口、財政等の点におきまして優に都道府県に匹敵するばかりではなく、当該府県下の小市町村において競走施行が許可される場合におきましては、実情に沿わない不合理な点も生じますし、また無用の競合を来すことになるからであります。また一方、新たに競走場を設立するとか、あるいは既存の農耕地をつぶすとかいつたふうな、思わぬ支障も生ずるおそれがあるのであります。 以上が修正案の要旨及び内容でありますが、詳細は会議録を御参照願いたいと思います。 引続き討論に入りましたところ、自由党、日本社会党、民主党、国民協同党及び新政治協議会の各派を代表して、自由党小金義照君より、本法律案の施行によつて生ずる弊害について格段の監督を要望すると同時に、これが防止についても万全の対策を講ぜられたい、また国庫收入の金額も自動車業界の振興発展のために有効確実に使用せられたいとの強い要望を付しまして賛成意見の開陳がありました。次いで共産党田代文久君よりは反対意見の表明がありまして、採決に入りましたところ、修正案並びに修正部分を除く原案について多数をもちまして可決した次第であります。 次は帝国石油株式会社法を廃止する法律案でございます。 帝国石油株式会社は、石油資源の開発を促進し、石油鉱業の振興をはかる目的のもとに、昭和十六年帝石法に基き設立されたものでありますが、終戰後は戰時補償特別措置法、過度経済力集中排除法及び企業再建整備法の施行に伴う再編成を行いまして、整備計画は昭和二十四年八月認可され、さらに本年二月、過度経済力集中排除法に基く措置が終つておるのであります。その特殊会社としての性格を変更して、今後は商法による会社として存続させる必要があるというのが、本法律案の要旨であります。 本法律案は、三月十日、本委員会に付託されましたので、十一日及び十五日愼重審議を行いました。質疑の詳細は委員会の会議録に讓ることにいたします。 十五日に質疑を終了いたしまして、一昨二十三日討論に入りました。まず自由党を代表して門脇勝太郎君は、帝石法は軍閥專制の遺物であるから、本法律案はまことに時宜を得たものであるが、石油資源の乏しいわが国において、今後石油鉱業は全面的に自由放任となるのであるが、豊富低廉なる外油の輸入を思い合せるとき、国内石油事業の前途はきわめて多難といわねばならない、そこで政府は、今後わが国石油資源の実情を一層正確に把握するとともに、外国の輸入がわが国石油鉱業を不当に圧迫しないような対策を講ぜられたい、また第二といたしまして、帝石法制定当時強制買上げを行つた鉱区の返還の有無を明らかにせられたいということ、第三といたしましては、地下資源の調査、開発等について一層の科学的施設を行うこと、という重大希望事項を付しまして、本案に賛成せられたのであります。 次の日本社会党を代表して今澄勇君は、政府は一貫した燃料政策を樹立することなくして帝石法を廃止することは、わが国石油鉱業を外資の鉄蹄下に放つものである、すなわち本法律案の施行により、今後わが国石油業者は、豊富低廉なる外油に依存するのあまり、精油にのみ重点を置いて採油を軽視するようなことに相なりはしないか、そこで、わが国石油鉱業の前途はきわめて不健全になるとの趣旨によりまして、本案に反対の意見を述べられたのであります。 次いで民主党の有田喜一君は、第六国会において拔本的石油鉱業政策の樹立を要望したにもかかわらず、今回もまた政府は、本法律案に並行して石油資源開発法のごとき法律案の提出さえも行わず、一方石油鉱業に対する助成策も消極的であることは遺憾であると、強く石油鉱業政策の樹立を要望せられまして、本案に賛成されました。 最後に、日本共産党を代表して伊藤憲一君よりは、本法律案によつて政府は国産石油に対する国家的保護政策を全面的に放棄するのではないか、また安価な外油によつて国産石油の自立は不可能ではないか、こういうような立場から強い反対意見が述べられたのであります。 これにて討論を終りまして、ただちに採決に入りましたところ、多数をもつて本案は可決すべきものと議決した次第であります。 以上をもちまして四案の御報告を終ります。
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許しますが、この際一言申し上げておきます。運営委員会の申合せもありましたので、討論はきわめて簡潔にお願いいたします。今澄勇君。 〔今澄勇君登壇〕
○今澄勇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、帝国石油株式会社法を廃止する法律案に反対の意思を表明せんとする次第でございます。 本法は、国産石油に対する政府の冷淡な態度と、一貫せる鉱山行政並びに燃料行政、なかんずく石油政策に対する無定見を暴露するものであります。(拍手) 反対理由の第一点は、わが国石油産業は、国家の保護と助成をもつて育成すべき現状にあることは論をまたないところであるにもかかわらず、このような国産原油の九割を産する帝国石油株式会社法を廃止する。しからば、わが国の石油資源の開発並びにわが国の石油事業の助成について最も重要な石油資源開発法という法律を並行して出すのが妥当な政府の鉱山政策であるというべきであります。しかるに、このような国内石油事業を保護助成すべき法律案については、これが提出の見通しも、そうして本国会へ提出する意思もないという、この片手落ちの政府の態度は、まことにわが国内における石油産業に対する熱意なきものと断ぜしめるところの大きな理由でございます。 第二点は、豊富低廉なる外国よりの輸入石油、それらのものの価格は、国内原油の価格に比べて非常に低廉でございます。わが国のこれまでの国内生産の石油のマル公と、今後入つて来る外国からの安い値段の原油との政府の政策について、これは石油に対する価格政策でございまするが、一貫した方針がございません。われわれは、補給金を支給して国内石油を守るか、しからざれば輸入保護関税をかけて外国石油の値段をある程度高くするか、あるいは合理化資金を国内の石油企業に與えて、いわゆる国内石油企業の合理化によつてこの国際場裡の競争へ対処するかという、このような問題について、政府は、ただ価格調整公団をして価格をプールせしめるという答弁しかできないということは、わが国のいわゆる石油政策の中の価格政策についてもまた政府は何らの対策を持たないということを証明して余りある次第でございます。(拍手) さらに私どもは、反対の第三の理由として、精製部門のみに重点を置いた日本石油業界の姿と外資導入について、石油が戰争必需物資である関係上、愼重な考慮を要しなければならないのであります。国内の必要量と輸入原油との関係について質問いたしましたが、われわれの納得でき得る答弁を求めることができませんでした。一例を申し上げますならば、昨年調印された昭和石油の日英通商協定による七百八十八万バーレルの買付問題、さらにいま一つは、日本石油が米国カルテツクス社との石油供給契約の際、土地及び施設の一部を先方に讓渡し、同社製品の日本国内受託販売、利益の折半を契約せるがごときは、相当の問題をこれらの契約の中にはらんでおるものであるとわれわれは考えておるのに、政府は民間企業会社にまかしてあると答弁するだけで、何らこれに関知しておらないというような態度は、まことにこれは日本の石油政策に対する政府の怠慢であると称さなければなりません。(拍手)石油のごとき戰争直接資材を、利潤さえ保障されれば、もうかりさえすれば、それでよろしいとする政府の態度は、微妙なる国際情勢を考慮に入れた責任ある政治のあり方とは断じて言えないものでございまして、不必要に諸外国を刺激する結果に相なる次第でございます。外国通信によると、極東軍事会議委員ジエサツプ大使にインタービユーした米国記者は、日本人の大半は再軍備を熱望していると報じておることは、御承知の通りでございます。このような荒唐無稽な誤解の印象を與えるのは、政府の産業政策が、その例を石油にとつてみても、以上のごとき、そのときまかせの彌縫策であつて、何ら信念のある計画を持つておらなかつたところに基因するものと断ぜざるを得ません。 以上三つの観点より、本法律案に対して、わが社会党は絶対反対の意思を表明する次第でございます。
○副議長(岩本信行君) 伊藤憲一君。 〔伊藤憲一君登壇〕
○伊藤憲一君 私は、日本共産党を代表して、不正競争防止法の一部を改正する法律案、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案並びに小型自動車競走法案に対しまして反対の意を表するものでありますが、このうち不正競争防止法の一部を改正する法律案、及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案につきましては、時間もありませんので、討論を省略いたしまして、反対の意を表明するにとどめます。 ついで私は小型自動車競走法案に反対いたします。本法案は、小型自動車の性能の向上とか、小型自動車工業の振興、あるいは地方財政の改善をはかるなど、うたつておりますが、その本質は賭博奨励法案であります。この法案の兄弟法ともいうべき自転車競技法は、施行後一年半になりますが、その結果は、日々の新聞が伝えるように、やおちようレース、騒擾事件の連続と、ゆすり、たかり、すり、かつぱらいを初め、あらゆる犯罪の温床であります。こういう不正と犯罪のるつぼの中で、労働者やサラリーマンは、さいふの底をはたかれ、ただでさえ苦しい生活を一層破滅させ、このため購買力を競輪に奪われた町の商店は、今やまつたくさびれはて、競輪のばか騒ぎを恨んでいる状態であります。それのみではありません。中学生や小学生までが競輪に夢中になり、未就学兒童は、めんこ、べいごま、ビー玉などの賭博に夢中であります。国民の老幼男女があげてばくちに夢中になる。これが一体独立国の状態でありましようか。言うまでもなく、これは植民地の風景であります。こういう状態に一層輪をかけようとするのが本法案であります。政府は、これを憂うるどころか、これに油を注ぎ、PP運動と称して、楽しく遊び、楽しく支拂いましようと、大きなポスターをはつて、宣伝に大わらわであります。 また宮幡通産政務次官は、去る十四日の通算委員会において、世は野球くじ、宝くじの時代であり、野球のホームランが飛んでも、くじの対象となる世相であり、あえて競輪、自動車のみが射倖心をあおるものではない、と言つております。まことに東洋のモナコ日本をつくろうとする政務次官の言葉にふさわしいものであると、あきれるほかはありません。ばくちにてら銭と言われておるが、今日、日本の労働者は、労働から、てら銭をはねられているようなものであります。勤労所得税がそれであります。農民や中小企業者もまつたく同様であります。まじめに働けば働くほど、より多くはねられるのであります。ただ五井産業の佐藤昇のような詐欺漢や、これから賄賂をもらつている悪徳官僚や大臣の不正な收入にだけ税金はかからない。悪党だけが、てら銭をはねられない。これが日本の現状であります。しかも、まじめに働く国民から、この税金の残りを、ばくちで吸い上げようとするのが本法案であります。 三月十七日の東京新聞は、浅草で、しやもの賭博団が検挙されたことを伝えておりますが、提案者諸君は、しやもの性能の向上と地方財政をゆたかにするために、しやものけんか法案を提案されたらいかがでありましようか。これとそれとは大した相違はございません。かかる賭博行為によつては望めません。てら銭のような税金を廃止し、賃金を引上げ、適正な農産物価格によつて国民の購買力をふやし、国民の一人々々がみな自分の自動車を運転できるような政策をとることこそ肝要なのであります。 しかるに、提案者栗山長次郎君は、十五日の委員会において、国内販売ということは第二次的、第三次的に、もしくは、私どもは国内ではなるたけ使つてもらいたくない、とさえ言つておられる。おそらく栗山君は、日本人などは二十円の車券を買つて、勝つた負けたで騒いでおればいいと考えておられるのでありましよう、しかも、本法案の提案者は、栗山君だけでなく、社会党の水谷、米窪両君を含め、各党を網羅しているに至つては、また何をか言わんやであります。――そして、自由党と並んで賭博奬励法案の提案者になられる。自由党と、いずれかからすの雌雄を決せんやであります。少くとも、まじめに物事を考えるならば、このような法案に対しては、わが党とともに断固反対されるよう希望して、私の反対討論を終ります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 田代文久君。 〔田代文久君登壇〕
○田代文久君 私は、共産党を代表いたしまして、帝石法の廃止法案に対しまして反対するものでございます。 現在の日本の石油産業事情というものは、きわめてゆゆしき事態に立ち至つておるのでありまして、すでに御承知のように、カルテツクスとか、あるいはスタンダード・シエルというような外国系の大資本が、販売実績の七〇%を占めておる。そして、日本の日石とか、東亜燃料、あるいは昭和石油というものと提携し、しかもこれら日本の商社は、これらの外国資本の支配下に置かれておるのでありまして、御承知のように、太平洋沿岸における精油所の再開とか、あるいは旧陸海軍の燃料廠の拂下げというようなものが、こういう会社によつてなされておることは、すでに皆さん方の御承知の通りであります。 次に、現在の日本政府は、露骨な外国資本ヘの奉仕政策をとつておるのでありまして、一例を申し上げますと、昨年輸入石油が値下りいたしまして、その結果、貿易特別会計の中で九億三千万円黒字になつたということが報告されたのでございますが、この当然われわれ国民の重要なる資産の一部をなすべき部分というものが、販売マージン八百八十円を値上げするという形で、これらの元売業者の中に山わけされるというような、ゆゆしき措置が現在とられつつある実情であります。 第三に関税の問題でございますが、この保護育成しなければならない日本の石油産業なるものが、他の物品におきましては従価税になつておるにもかかわらず、これのみ従量税にいたしまして、トン当り七円、ただにひとしいような方向へ持つていき、また巷間伝えられるところによりますと、輸入食品、あるいはまたその他の重要物資とともに、これを無税に持つて行くような方策すらとられんとしつつある実情であります。しかも国内石油は、外国石油に比べまして約三千円も高いのでありますが、三千円も安い外国石油がどんどん日本の石油産業を荒らすということになつた場合に、日本の燃料資源は、一体どうして太刀打ちすることができるか。 以上によりましても明らかなごとく、現在の日本の石油産業は累卵の危機に立つておるということが言えるのであり、すでに外国におきましては、日本の全産業のうち八〇%以上というものが外国資本の手に押えられ、その心臓が握られておるということが定説になつております現状におきまして、日本の石油産業に現れておりますこの形というものは、その代表的なるものといわざるを得ないのであります。もし本法が通過するという事態に立ち至りますならば、法的な根拠によりまして、これが明確に裏づけされるという事態になるのであります。同時にまた、かかる行き方というものは、日本の労働者諸君を非常に圧迫するに至るのであります。 御承知のように、カルテツクスと日石あるいはまたスタンダードと東亜燃料の契約協定の中に、組合活動を否定するというような形が現れておるのであり、外国資本が入つて参りました場合におきまして、そこに当然大量的な首切りがなされる。あるいは実質賃金の低下、あるいは労働強化というものが起つておりますことは、私が申し上げるまでもないのであります。かくのごとき事態におきまして、労働者諸君が、憲法に保障されましたるその力によりまして、それらの自衛の活動をする場合に、こういう外国資本が支配しておりますところにおいては非常に大きな抑圧を受けておる次第であります。 なおもう一つ重要なことは、現在五十万キロリツトルという多量な石油が貯蔵されておるのであります。国内の重要な使用面におきましては、非常にこれは制約を受けておる。機帆船の問題におきましても、あるいはその他の自動車の運転にいたしましても非常にきゆうくつな事態にありながら、しかも国内需要の三箇月分に余るような、いまだかつてないような多量な石油が貯蔵されておるということは、一体これは何であるか。何のためにかくのごとき多量な石油を保有しておるのであるかというその理由は、何ら政府からは説明されておらないのであります。 私が申し上げるまでもなく、外国の資本は、みずからの多量生産と、その経済恐慌を克服するために、その拔け道といたしまして、やたらに原子爆彈とか、あるいは水素爆彈というような、そういう戰争の挑発をやつておるのでありまして、わが国内におきまして、こういう多量な石油が貯蔵されるということは、これらの戰争挑発に巻き込まれ、日本が戰争の中に巻き込まれる危險を多分に包蔵しておるということを言わざるを得ないのであります。 結論を申しますと、過ぐる第六国会におきまして、帝石法の一部を改正する法案が強引に通過いたし、そのために、われわれの税金によりまして保護育成されて来ました石油産業は、その国家の持つておりました株が、民間外資に自由に握られるような形態に持つて参つたのでありまして、たとえて申しますならば、弱い日本の婦人を育成しなければならない着物をはいでしまつて、長じゆばん一枚にしてしまうというようなところに持つて行つたのであります。しかも、このたびこの法案を根本的に廃止するということになりますと、外国資本の蹂躙にまかせるという、ゆゆしき事態となるのでありまして、日本共産党は断固反対する次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。 まず日程第六、第七及び第八の三案を一括して採決いたします。日程第六及び第七の委員長の報告は可決でありまして、日程第八の委員長の報告は修正であります。三案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告の通り決しました。(拍手) 次に日程第九につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。 ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第十、郵便為替法の一部を改正する法律案、日程第十一、郵便貯金法の一部を改正する法律案、日程第十二、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、右三案は同一の委員会に付託された議案でありまするから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。郵政委員会理事風間啓吉君。 〔風間啓吉君登壇〕
○風間啓吉君 ただいま一括議題と相なりました郵便為替法の一部を改正する法律案、郵便貯金法の一部を改正する法律案並びに郵便振替貯金法の一部を改正する法律案に関し、委員会におきまする審議の経過並びに結果につき御報告を申し上げます。 最初に、政府の議案提出の理由並びに三法案の内容の概略を説明申し上げます。 〔副議長退席、議長着席〕 今回改正しようとしている三法律は、いずれも最近の機会において、新時代の要請に即応し、各事業の基礎法として全文改正を見たものでありますので、改正法律案も、制度の本質的内容に触れようとするものではなく、主として事業利用者の利益を一層保護するために規定の一部を改正しようとするものであります。すなわち、郵便為替証書、郵便貯金の拂いもどし証書及び郵便振替貯金の拂出し証書の有効期間に関し合理的改正をはかるとともに、郵便貯金法にあつては、土地改良法の制定等に伴い、郵便貯金の総額制限の適用を受けない公共団体等の名称の読みかえを規定し、郵便振替貯金法においては、簡易生命保險の保險料または郵便年金の掛金を振替貯金から簡易生命保險または郵便年金特別会計に移しかえる料金を、加入者より徴收することなく簡易保險局において納付することに改めようとしておるほか、拂込書用紙の売渡し制度の復活、地方公共団体に拂い込む公金の拂込み料金の引上げ等を規定いたしておるのでございます。 委員会は、各法案での付託以来、法案提出の理由、内容等について政府より、詳細説明を聽取し、審議の愼重を期したのでありますが、特に御報告申し上げるような格別の質疑もなかつたのであります。それらの詳細については、すべて会議録に讓りたいと思います。 かくて委員会は、三月二十四日質疑を打切り、討論を省略の上、ただちに採決に入りましたところ、全員一致をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたした次第でございます。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 三案を一括して採決いたします。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手) ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十三、労働組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。労働委員会理事篠田弘作君。 〔篠田弘作君登壇〕
○篠田弘作君 ただいま議題となりました労働組合法の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過並びに結果を報告いたします。 今回政府から提出されました改正案の要点は、御承知のごとく労働組合法におきましては、地方労働委員会の定数は使用者委員、労働者委員及び公益委員おのおの五人でありまして、例外として東京都地方労働委員会のみはおのおの七人となつているのでありますが、今回北海道、大阪府及び福岡県の地方労働委員会につきましても、その定数をそれぞれ七人ずつに改正しようとするものであります。しかして、この改正の理由は、昨年六月現行労働組合法施行以来の実績に徴し、以上の北海道、大阪、福岡各労働委員会の事務は、他府県のそれに比して非常に繁忙をきわめておるのでありまして、その事務の処理を迅速にし、労働組合法及び労働関係調整法の施行を円滑にいたしますには、これら地方労働委員会の定数を増加する必要が認められるに至つたということであります。 本案は、本月十三日、本国会に提出せられ、同日労働委員会に付託されたのであります。よつて、二十二日委員会を開催し、政府側より提案に関する趣旨の説明を聽取し、二十四日さらに会議を開き、熱心なる質疑応答を行い、続いて討論に入りましたところ、自由党の島田末信君及び日本社会党の前田種男君は原案に賛成の意を表し、日本共産党の春日正一君は改正に反対の意を表されたのでのであります。 かくて採決の結果、大多数の賛成を得て原案通り可決されました。詳細は速記録に譲り、以上をもつて報告を終わります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。柄澤登志子君。 〔柄澤登志子君登壇〕
○柄澤登志子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、労働組合法の一部を改正する法律案に反対するものでございます。 大阪、北海道、福岡県の地方労働委員の数を、五名からさらに二名をふやしますことは、労働委員会の事務の円滑な運営が促進できると本法案はうたつているのでございますけれども、ただいま地方労働委員会の事務の運営が円滑に行かないところの本質は、数の問題ではないのであります。それにもかかわらず、本法案は、いかにも数を二名ふやすことによつて労働委員会の事務が円滑に行くごとき印象を大衆に與え、問題の本質をそらそうとしているのであります。昨年六月、労働組合法が改悪されまして以来、労働者の基本的な権利というものは、国鉄を初めとする不当な首切りによりまして、次から次へと剥奪され、今日のような反政府的な大きな労働運動が、日に夜を次いでいるのであります。これはまつたく政府の責任なのでありまして、地方労働委員の数を二名ふやすということで労働組合法の改正がとどめられるべき事態ではないのであります。 地方労働委員会は、今日ではまつたく労働者の信頼を失墜しております。その例は、政府自身が認められておりますように、労政局長の言にもありますごとく、地方労働委員会に委嘱することをやめて、直接地方裁判所に労働者が問題を提訴することが最近では非常に多くなつていることが、これを証明しているのであります。さらに地方労働委員会は、七名でありますところの東京都労委におきましても、七十三件以上の事件が渋滞しているのでありまして、月に平均二十三件ずつも提訴されますものが、わずかに四件くらいしか解決していないのが実情であります。神奈川県におきましては、三十八件も提訴されておりますものが、わずかに一件しか解決されていない状況でございます。 しかも改悪以来、本法にないところの労働組合法の旧施行令の三十七條の前項を無視して、その後段にありますところの「推薦アリタル者不適当ナルトキハ労働大臣又ハ都道府県知事ハ職権ヲ以テ委員ヲ委嘱スルコトヲ得」という、すでに廃止されたる末梢的な字句を取上げまして、あの專売裁定におけるところの一六條の二項を悪用したごとく、労働組合が推薦いたしましたところの、労働者側の組合選出の労働委員を排除いたしまして、知事あるいは政府側の意向をもつて、反労働者的な、ぬえ的なものを労働者側委員としてきめているのであります。 労働者側委員の熱心なる労働者の利益を代表するところの活動が、中立の労働委員をして公正なる態度をとらしめていたのでありますが、その中立委員も、この職権委嘱以来押されまして、御用化しているということは事実であります。また日本の現状におきまして、中立委員の、中労委の有数の桂委員などが、どのように言つているかと申しますと、日本政府には自主権がない、ことにマ書簡が出たときには、マ書簡によつて今までの一切は否定され、事情は変化した、政令は国会を経ずに即日にも出せるものであり、調停を終える余裕がないから、ただちに調停を打切るべきであるというごとき、こういうような所見を発表されまして、日本の現在の労働委員会の果しております役割というものが、実にはつきりと、ここに買弁化ぶりを示しているのであります。 書簡は、国民の総意によつて法律化されることによつて初めて効力を発するものだと思うのでありますけれども、政府がまだ法的な措置をとらぬ。また政府が法的な措置をとらぬ限り、中労委は現行法規に従つて活動を継続して行くべきでありますのに、調停を打切るなどということは、実にけしからぬことでありますが、こういうことを中立委員に言わしめるような事態を発生しているのであります。しかも不当労働行為、いわゆる不当首切りによつて発生しました不当労働行為に関しましては、公益委員がこれを取扱うことになつているのであります。この公益委員の性格が、今申し上げましたように買弁化しているのでありまして、労働委員の数を二名ずつふやすというような問題で本質を解決することはできないのであります。 私ども日本共産党は、労働組合の本旨、つまり第一條にうたつてありますところの「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること」こういうことの精神が、すでに現在の吉田内閣によりましては根本的に失われている。この方針をかえない限りこの改正は無意味であるとうことを主張するのであります。すなわち、公共企業体労働関係法ができ、あるいはあの公務員法ができまして以来、団体交渉権、罷業権というものは、日本の労働者の中心であるところのものから剥奪されているのであります。ことに見返り資金の入りますところの産業におきましては、労働協約の改悪ということが、労働者の権益を守ることのできない形で提出されて来ているのであります。労働組合法が改悪されて以来、この日本で終戦以来基本的に確立されたところの、労働者の権利を守つている団体協約というもの、労働協約というものを無視するごとき改悪が、急速に最近行われているのであります。また專売裁定においても現れておりますように、最近臨時人夫、臨時工というようなものが、中労委の裁定においてすらも、これから除外されているということが明らかな事実となつて現われて来ているのでありますけれども、ことにこの見返り資金の関係並びに軍需産業、戦争準備の工場といわれるところの労働者の権益というものは、一体だれの手によつて、何の法律のもとに保護されたらよろしいのでありましようか。まつたく法外にあるのであります。このような問題を解決せずして、日本の労働者全体の権益が、あるいは労働委員会のこの役割が、数をふやすというごとき問題だけで解決するという、こういう、いちじくの葉のような法案を出します現政府の政策に対しましては、絶対に反対せざるを得ないのであります。 私どもとしては、労働組合法それ自体の改正を政府は急ぐべきである、戦争準備のために、あるいはその他いろいろの見返り資金導入のために、労働組合法の精神がまつたく蹂躙されているということを指摘いたしまして、この反対討論を終りたいと思います。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。 ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十四、国庫出納金等端数計算法案、日程第十五、退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案、日程第十六、薪炭需給調節特別会計法の廃止等に関する法律案、この三案は同一の委員会に付託せられたものでありまするから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事北澤直吉君。 〔北澤直吉君登壇〕
○北澤直吉君 ただいま議題となりました国庫出納金等端数計算法案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。 この法案は、最近の経済情勢にかんがみまして、国庫等の出納金額、関税及び地方税の課税標準額の計算事務を簡素にいたしまして、その能率の増進をはかるために提出されたものでありまして、その要点は次の四点であります。 すなわち第一に、国及び公団等における收入金または支拂金につきましては、原則として五十銭未満を切り捨て、五十銭以上一円未満を一円として計算し、その金額の全額が一円未満の場合は、収入金については全額を切り捨て、支拂金については一円として計算し、また国または公団等の相互間の支拂金につきましては、その金額の全額が一円未満の場合は全額を切り捨てることといたしております。 第二に、收入金または支拂金を分割して収納または支拂いをする場合の計算につきましては、まずその総額について前に述べました原則により計算しました後、分割金額を算出しまして、一円未満を最初に収納する金額または支拂う金額に合算することといたしております。 第三に、国税または地方税の課税標準につきましては百円未満を切り捨て、また政令で指定する国税または地方税の課税標準額につきましては一円未満を切り捨てることといたしております。 第四に、国税または地方税を一時に收納する場合の税額につきましては十円未満を切り捨て、また政令で指定する国税または地方税の税額につきましては一円未満を切り捨てることとし、分割収納の場合の税額につきましては前に述べました分割収納の規定を準用することとし、税の還付金につきましては、一円未満を一円として計算することといたしております。 なお、国及び公団等の収入金または支拂金のうち、外国為替等を基礎とするもの、郵便切手をもつて納付する郵便料金等、この法案の規定を適用することが不適当と認められますものにつきましては、その適用を除外することといたしております。 以上が、この法案の提出になりました趣旨並びに内容の要点でありますが、この法案は、三月二十日、本委員会に付託されまして、二十二日、政府委員により提案理由の説明を聴取し、各委員より質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に譲りたいと存じます。 次いで三月二十三日、討論を省略し採決いたしましたところ、起立総員をもつて本案は原案の通り可決いたしました。 次に、ただいま議題となりました退職職員に支給する退職手当の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入れ及び納付に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びにその結果につき御報告申し上げます。 この法案は、政府または公団等の退職職員に対する失業者の退職手当の支給が今般公共職業安定所で行われるようになりますのに伴いまして、その財源について必要な措置を講ずるために提出されたものであります。この法案の要点は次の二点であります。 第一に、政府または公団等の職員は、退職しましてから一年以内に失業しております場合には、失業保険法の保険金支給の條件に従つて計算いたしました失業保険金相当額と、退職時に支給されました退職手当額との差額を失業者の退職手当として支給されるのでありまして、この支給は、現在旧勤務所において行われておるのでありますが、今回これが公共職業安定所で支給されることになりますので、その支給財源に充てるため、各特別会計または公団等の負担額を、予算の定めるところにより一般会計へ繰入れまたは納付させることといたしております。 第二に、一般会計が各特別会計または公団等から退職手当の支給財源を受け入れ、精算の結果過不足が生じました場合の調整につきまして、受入額が各特別会計及び公団等の負担額を超過しました場合には翌年度の負担額に充当し、なお余りがあります場合には、翌々年度までに各特別会計及び公団等に返還し、不足しました場合には、翌々年度までに各特別会計及び公団等より補填させることといたしております。 以上が、この法案の提出になりました趣旨並びに内容の要点でありますが、この法案は、三月二十日、本委員会に付託されまして、二十二日、政府委員より提案理由の説明を聴取し、各委員より公共職業安定所の運営等についてそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に譲りたいと存じます。 次いで、三月二十三日討論に入りましたところ、河田委員は共産党を代表して、失業者の退職手当を公共職業安定所で支給することになると、誤算の解決も円滑に行かず、職業安定所の事務を増大して、支給を受ける者が不利になるとの理由をあげて反対の意を表せられ、前尾委員は自由党を代表して、従来とも失業の認定は職業安定所で行つていたが、今回同じ場所で支給を受けることになるのであるから、支給を受ける者はかえつて便宜になる旨を述べて賛成の意を表せられ、松尾委員は社会党を代表して、宮腰委員は民主党を代表して、いずれも賛成の意を表せられました。 次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。 次に、ただいま議題となりました薪炭需給調節特別会計法の廃止等に関する法律案について、大蔵委員における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。 この法案は、薪炭需給調節特別会計を廃止するとともに、昭和二十四年度においてこの会計の借換証券の償還財源に充てるための証券を発行することができることとし、この特別会計の廃止に伴う必要な措置を講ずるために提出されたものであります。すなわちこの会計は、昨年十二月当時におきましては、年度内に一切の薪炭証券及び大部分の債務の償還ができる予想でありましたが、諸般の情勢から精算事務が進捗しなかつたため、年度末においてなお若干の收入未済債権、年度内償還不能の薪炭証券その他の支拂い未済債務が残る予想でありますので、この会計の借換証券の償還財源に充てるための証券を発行することができることとし、この会計に属する資産及び負債の一切を一般会計に引継ぐことといたそうとするものであります。 この法案の要点は、第一に、薪炭需給調節特別会計法を廃止すること、第二に、この会計の借換証券償還のために一年内に償還すべき証券を発行することができることとすること、第三に、この特別会計法の規定を準用しておりました国営競馬特別会計法の一部を改正することであります。 以上が、この法案の提出になりました趣旨並びに内容の要点でありますが、この法案は、三月二十日、本委員会に付託されまして、二十二日、政府委員より提案理由の説明を聴取し、二十三、四日の両日にわたり、各委員より、收入未済債権の内訳、その残存理由並びに取立て見込み、清算事務完了の見込み等について熱心なる質疑が行われましたが、質疑応答の詳細については速記録に譲りたいと存じます。 次いで討論に入りましたところ、田中織之進委員は社会党を代表して、薪炭需給状態は実際において円滑でなく、また清算事務も完了していないのに特別会計を廃止することは反対である旨を述べられ、田中啓一委員は自由党を代表して、薪炭需給はもはや統制の必要がなく、また特別会計をこれ以上継続することはますます赤字を増大するから、この際この特別会計を廃止することは賛成である旨を述べられ、宮腰委員は民主党を代表して、收入未済債権の取立て、支拂い未済債務の決済等について不安があるのに特別会計を廃止することには反対である旨を述べられ、竹村委員は共産党を代表して、この特別会計は一切を清算して廃すべきである等の旨を述べて、ともに反対の意を表せられました。 次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これより採決に入ります。まず日程第十四につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。 次に日程第十五につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。 次に日程第十六につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。 ――――◇―――――
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 福永君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員会理事前田郁君。 〔前田郁君登壇〕
○前田郁君 ただいま議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案は、三月二十日、本委員会に付託され、越えて二十二日政府から提案理由の説明を聽取して以来、委員会を聞くこと三回、愼重審議いたしたのであります。 本法案は、通行税法の改正に伴い国有鉄道の旅客運賃の一部を改正いたしまして、国民負担の軽減をはかろうとするのが趣旨であります。すなわち、今回通行税法の改正によりまして、来る四月一日から三等の運賃及び急行料金は無税となるのでありますから、これを一般利用者に還元いたしまして、昨年五月実施した旅客運賃改正によつて生じた負担の緩和をはかろうというのであります。 改正案のおもなる点を申し上げますと、まず第一に、遠距離逓減制を強化しようとする点であります。すなわち、現行普通旅客運賃の賃率地帶は二地帶制になつているのでありますが、今回これを四地帶制に改め、遠距離旅客の負担を軽減しようとするものであります。これによつて、改正三等旅客運賃は、営業キロ一キロメートルごとに、百五十キロメートルまでは一円四十五銭、百五十キロメートルをこえ五百キロメートルまでは一円五銭、五百キロメートルをこえ一千キロメートルまでは六十銭、一千キロメートルをこえる部分は四十銭となるのであります。 第二に、一、二等旅客運賃の三等運賃に対する倍率の引下げを行おうとする点であります。すなわち、最近の輸送事情ににかんがみ、また外客誘致の点をも考慮して、通行税を含み一等は三等の四倍、二等は二倍に改正しようとするものであります。 第三に、急行料金及び航路運賃の一部を改正しようとする点であります。前者は、普通急行及び準急行に、新たに三百キロメートルまでの料金を設定して、近距離急行旅客の便利をはかろうとするものでありまして、後者は、現在収支の均衡を得ていない二、三の航路の運賃を、民間との振合いをも考慮して改正しようとするものであります。 なお、本法案には現われておりませんが、今回の改正に伴い、長期定期旅客運賃の割引率を増加する予定である旨、政府から説明がありました。すなわち、三箇月、六箇月の定期旅客運賃は、一箇月運賃を三倍、六倍したものに対して、それぞれ一割及び一割五分引とし、通勤者並びに通学者の負担を軽減しようとするものであります。 次に質疑応答のおもなる点を申し上げますと、廃止となる三等の通行税相当額は原則として三等運賃の引下げに充当すべきではないか、三等旅客の負担において一、二等運賃の大幅の引下げをするのはどういう理由かという質問に対して、政府側から、一律に引下げることは大きな効果を期待することができないし、三等旅客については定期運賃及び遠距離運賃において相当大幅な引下げがなされているとの答弁がありました。その他国鉄経営の合理化方策等について熱心な質疑応答がかわされたのでありますが、その詳細は会議録に讓りたいと存じます。 かくて、本日質疑を打切り討論に入りましたが、自由党關谷勝利君から原案に賛成の意見を、日本社会党米窪滿亮君から、遺憾の点もあるが原案に賛成の旨を、日本共産党上村進君から原案に反対の意見を、それぞれその党を代表して述べられたのであります。 かくて討論を終局し、ただちに採決の結果、本法案は多数をもつて原案通り可決いたした次第であります。 以上簡單でありますが、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。上村進君。 〔上村進君登場〕
○上村進君 日本共産党を代表しまして、簡單に反対意見を申し上げます。 提案理由には、旅客運賃の改正は、通行税改正との関連において旅客運賃の一部を改正し、国民負担の軽減をはかると言つておりますが、これは羊頭を掲げて狗肉を売るところの大衆欺瞞の法案であります。すなわち、その内容を見まするならば、まず第一に三等の運賃の倍率の引下げでありますが、現行の一等汽車賃は三等の六倍になつておるものを四倍に引下げるのであります。そうして、二等の運賃は三倍になつておるものを二倍に引下げる。これはいずれも金持の多く乘るところの汽車賃でございます。次に三等の汽車賃は、遠距離逓減制を二地帶別から四地帶別に改めてと言つておりますが、一キロから百五十キロまでの近距離の乘客に対する運賃は依然として引下げません。一キロの一円四十五銭がそのままであります。それから百五十一キロからして五百キロの距離、この運賃も依然として一キロが一円五銭でありまして、引下げません。そうして五百一キロから千キロまでは、これは一円五銭のものを約半分の六十銭に引下げております。千一キロから以上のものは、現在一円五銭のものを約三分の一の四十銭に引下げております。諸君、この改正は、結局実質におきまして、ほんとうに三等の運賃を拂つている乗客はすべて働く人たちであり勤労階級であるので、それが最も多いにかかわらず、その点は依然として引下げないのでございます。 次に定期券の問題であります。定期券は一箇月、三箇月、六箇月となつておりますが、この一箇月の定期券は依然として引下げません。三箇月、六箇月、これはその三倍、六倍の率から一割ないし一割五分を引いておりますが、統計の示すところでは、一箇月定期券を利用する乗客は全体の四七%、すなわち約半分は一箇月定期券の利用者でありますが、これは一つも引下げられていない。三箇月定期券の利用者は二九%、六箇月定期券の利用者は二四%、これらのものをわずか引下げましても、これを買い得る能力の人は比較的少ない。結局大多数の勤労階級は、依然としてこの低減の恩惠に浴さないということに結果はなるのであります。すなわち、国鉄の旅客收入の九五%は、この最大最良の勤労階級であるところの三等旅客であつて、その三等旅客の大部分が、実質的にはこの低減の恩惠に一つも浴していないということは、はつきりしております。結局、一切をあげて一等、二等旅客のサービスに血道をあげておる階級性を露骨に暴露した運賃改正であるのであります。(拍手)同時に、このことは、二十五年度の車輛計画を見てもよくわかるように、客車百十輛のうち、一等が十輛、二等が六十輛、二等寝台車が三十輛、食堂車が十輛、そして三等客車は一台も新造しないというのが二十五年度のサービスであります。これはすなわち植民地観光列車のサービスであると言わなければならないと思うのであります。 こういう意味合いにおきまして、わが共産党は、大衆生活を無視するような逆な運賃値下げには絶対反対である。一等、二等運賃引下げの措置をやめて三等運賃を引下げろ。しかも、三等のうちでも近距離運賃を引下げることが最も大切であるにかかわらず、その点を見のがしたところのこの改正は、まつたく階級的な改正であつて、大衆の生活を無視したものであるということを強調いたしまして、この法案に反対するものでございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、井手光治君外三十七名提出、首都建設法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。 首都建設法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員長淺利三朗君。 〔淺利三朗君登壇〕
○淺利三朗君 ただいま議題となりました、井手光治君外三十七名の提案にかかる首都建設法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。 まず本法案の要旨を御説明申し上げます。第一に、東京都は、新憲法下、平和文化国家を標榜するわが国の首都である。従つて、東京都を新しく首都として計画し建設するにあたつては、その規模構想に、政治、経済、文化その他あらゆる部面において首都としての有機的機能を発揮し得るよう、さらに国内的あるいは国際的関連において行われるあらゆる国家の中枢活動を、より能率的に、より効果的になし得るように規定してあります。 第二に、これが目的を達成するため総理府の外局に首都建設委員会を設置し、この委員会において、東京都の区域内の都市計画、都市計画事業、その他首都を建設するために必要な施設及び事業の基準となる基本的計画を作成し、それらの計画及び事業の総合調整をはからんとするものであります。しかして、この首都建設計画にのつとつて各種施設の計画及び事業が実施されるよう、委員会に勧告の権限を與えております。さらにこの委員会の事務を処理させるために、委員会に事務局を置くこととしてあります。 第三に、首都は全国民の総意のもとに計画し、建設さるべきものであり、首都を建設する上においては、官、公民を問わず、これが実施に協力し、援助しなければならないとし、さらに東京都が首都であることにかんがみて、要すれば国家が都市計画事業を直接執行できるように規定してあります。 第四に、東京都あるいはその他の関係行政庁が首都建設計画に基く事業を実施する場合は、首都としての国家的要請による事業である関係上、その事業の用に供するため、その経費を負担する公共団体に対し、国はその普通財産を讓渡することができるように規定してあります、 本法案は、三月二十三日建設委員会に付託され、三月二十四日提出者より提案理由の説明を求め、二十四、五日の両日にわたり熱心な質疑が行われたのであります。その間、さらに大蔵省、地方自治庁、建設省当局より、さらに参考人として東京都建設局長より意見を聴取いたしました。 次に提案者に対する質疑の要点を申し上げます。第一に、東京都を首都として計画し建設するには現行都市計画法及び特別都市計画法で十分であり、かかる法律は不必要ではないかという質問に対しては、通念的には東京都が首都であることはだれしも認めているところであるが、首都としての都市の施設の整備について、現在何ら他都市に比較して特別の恩恵を受けておらず、その都市計画は特に国家的あるいは国際的な関連を考慮して総合的に計画しても、その実行力ははなはだ薄弱である、さらに現在首都を建設する上に必要な施設は都市計画に即応せず、各官庁において個々別々に実施せられる実情もあつて、首都復興計画の完全な実施はますます困難である、以上のごとき理由で、たとえば現在の東京都の復興計画事業のごときは、わずか一・一%という、まことに寒心にたえぬ進捗状況である、しかも戰後、東京都が首都として国際的関連を各方面に生じて参つたことは明確な事実であり、その結果は交通施設において、または保健衛生施設において、あるいはその他の文化施設において早急に整備を要する状況に立ち至つており、現状としては、とうてい東京都を首都として総合的に計画し建設することは困難であるとの答弁でありました。 第二に、首都建設委員会において作成する首都建設計画とはいかなるものであるかという質問に対しては、首都としての機能を発揮する上に必要な施設の計画及び事業の基準となる基本的な計画であつて、具体的には官庁地区、文教地区、歓興地区、高速度鉄道、地下鉄等による交通網、港湾、国際空港あるいは中央大公園等の整備再検討等が問題になるのではないかと考えるとの答弁がございました。 第三に、地方自治の拡張は新憲法並びに地方自治法において高調せられているが、地方自治法を尊重すれば、都市計画のごとき自治体の自発的計画を基本として、これに対して国が助成すべきであるが、この点において本法案は地方自治を侵害するものではないかという質問に対しては、首都建設計画に含まれる施設は各省の所管事務にまたがるあらゆる重要施設を包含するものであるから、とうてい一地方庁のよくするところではない、首都建設計画は国家的見地から各種計画及び事業の基準を認定しようとするもので、しかもこの場合、都の執行機関、議決機関よりそれぞれ委員を参加せしめているのである、さらに、委員会の勧告はあくまで勧告であつて、強制ではない、また行政官庁が直接事業を執行する場合は関係公共団体の同意を得るように規定しており、決して地方自治をそこなうものではないとの答弁でございました。 第四に、特別の助成として、首都建設計面に基く都市計画事業の執行に要する費用を負担する公共団体に普通財産を譲渡することができる旨の規定があるが、これは第五回国会において成立した広島、長崎の特別法及び去る三月二十日に衆議院を通過した別の特別法においては普通財産を譲與するというふうに規定されており、本法案もこれらと類似せる法案である以上、何ゆえに譲與としなかつたのであるかという質問に対しては、広島、長崎の特別法は單に国有財産法第二十八條についての制限緩和規定であり、本法案においては、かかる制限なしに、普通財産すべてにその範囲を広げたのである、東京都としては、この際たとい有償譲渡を受けても東京を首都として建設しようという積極的の現われであるとの答弁でございました。 第五に、本法案に対する住民投票に要する費用は地方自治法及び同施行令により当然国が負担すべきであるが、これを東京都が負担すると規定した理由いかんという質問に対しては、住民投票は国家事務であり、国費で支弁すべきではあるが、本法案が成立すれば一定の期間中に住民投票を行う必要がある一方、本法案は予算措置を伴わず、しかも首都の建設は一日もゆるがせにできない急務であるので、諸般の情勢を考慮し、ここに特例を開き、受益者たる東京都にその費用を負担せしめることとしたのであるとの答弁でございました。 次に、政府当局の本法案に対する見解についてその要点を申し上げます。 第一に、建設省当局は、戰災復興事業の国家予算が僅少である上に、さらに東京都の機構自体がきわめて複雑しているために、現在東京都復興事業は相当遅滯しているいるが、本法成立によつてその建設事業が促進されることは、明確であろうとの意見でございました。 第二に、本法と地方自治の関係に関し、地方自治庁当局は、東京都がわが国の首都であるという特殊性にかんがみ、本法案は、その運用に十分留意すれば地方団体の自主性を阻害することはないとの意見でございました。 第三に、本法案に対する予算的措置に関しては、大蔵省当局は、本法案が成立すれば、その重要性にかんがみ、その目的を貫徹するために要する予算の成立については可能なる限り努力する、なお普通財産の讓渡の問題については、さきに成立した広島、長崎の特別法においては譲與すると規定してある、この二特別法は、立法前において大蔵省とも折衝されたもので、しかも原子爆彈による甚大なる被害にかんがみ、譲與の内容も具体的に考慮している、しかしながら、先般参議院を通過した別府市に関する特別法に関しては、大蔵省においては何ら協議も受けていないので、具体的にはいまだ考慮していない。さらに本首都建設法案においては、その重要性にかんがみ、当然その目的に沿うよう、でき得る限り有利な讓渡ができるように努力したい旨の意見でございました。 以上をもちまして質疑を終了し、討論に入りました。まず共産党を代表して砂間一良君より、本法案のごとき重要法案を僅々二日間をもつて審議することはむりである、また現在の経済窮乏期において、本計画のごときは時期尚早である、なお首都建設委員会の構成は中央集権的であり、地方自治をも破壊するとして反対意見が開陳されました。次に自由党を代表して瀬戸山三男君より、社会党を代表して上林與市郎君より、民主党を代表して天野久君より、本法案は国民の総意のもとに首都を首都らしく建設する上に適切なるものにして、政府においてもこの趣旨に従つて強力なる措置をとるべきである、いたずらに形式的な都市建設の弊に陥らざるよう希望するという旨をもつて賛成の意見がありました。次いで採決に入り、多数をもつて本法案を可決いたしました。なお詳細は会議録によつて御了解を願うことといたします。 右概要を簡單に御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。砂間一良君。 〔砂間一良君登壇〕
○砂間一良君 私は、日本共産党を代表して、本案に反対の意見を述べるものであります 平和国家にふさわしい日本の首都を建設するということにつきましては別に異論をとなえるものではありませんが、しかし今日、單に東京都民のみならず、全国の勤労大衆が失業と飢餓と窮乏に悩んでおるときに、首都の東京都ばかり、りつぱなものをつくりましても始まらないのであります。東京都の街路や公園やホテルは、りつぱなものになりましよう。しかし市民は、住むに家なく、失業や重税で首をくくつたり、あるいは一家心中をやつておる。こういう現状であつたといたしましたらば、これほど予盾した話はないのであります。 本案にいう首都建設計画の中には、先ほど委員長の御報告にもありましたように、運輸、交通、供給、官衙、市街地計画等非常に広範な範囲にわたる計画が含まれておるのであります。たとえば国際空港の建設や、港湾施設の増強、あるいは特殊地区を設定する。たとえば観光地区というふうなものを設定いたしまして大きな観光ホテルをつくるとか、あるいは国立公園にも準すべき大公園や中公園をつくるというような、その他いろいろな計画が含まれておるようであります。ところで、こういう計画を実際に具体的に立案し、これを推進して行くところの首都建設委員会の構成はどうなつておるかと申しますと、建設大臣や衆参両院の議員、東京都知事、それから都議会の代表、学識経験者、こういう構成でありまして、これらはいずれも官僚やボスの集まりであります。この委員会は、都議会にも国会にも責任を持つていない内閣直属の機関でありまして、まつたく東京都民の生活から遊離した官僚機関であります。ここに都民の声が反映するという道は一つも開かれておらないのであります。 提案者は、委員会制度が民主的であると申しておりますけれども、近ごろ流行の委員会や審議会制度ほどインチキなものはない。たとえば、国家公安委員会や中央労働委員会、あるいは証券取引委員会、日銀の政策委員会、その他為替審議会、どれ一つをとつてみましても、みんな内外独占資本の独裁的な支配の道具でありまして、勤労大衆をいたずらに彈圧し搾取するようなことばかりやつているのが現実の事実であります。 しかも、この委員会にゆだねられているところの権限は実に強大なものがあるのでありまして、委員会は、初めに述べましたような計画を立案するばかりでなく、これを実施推進して行くために国や関係地方公共団体あるいは関係事業者に勧告をし、その援助協力を求め、事業の執行につきましては、必要の場合には建設省や運輸省その他関係行政官庁が独自でこれを執行し得るというふうなことにまでなつておるのであります。かように見て参りますと、委員会の権限というものは実にオールマイテイでありまして、かような立法は戰争中の国家総動員法にも比すべき白紙委任立法でありまして、民主政治の原則に反するものであります。地方自治のごときは、まつたくこの委員会制度によつて完全に蹂躙され破壊されてしまうことになるのであります。 私どもは、過去歴代内閣がいかなる政治を行つて来たかということを現実に見て参つて来ている。ことに、現在の自由党吉田内閣の政策が、内外独占資本の利益のために国を売る貿易政策であるということにつきましては、この壇上からも、これまでしばしば叫ばれて来たところであります。かような内閣のもとに、かような独裁的な強大な権限を持つたところの委員会が置かれるときに、首都建設がいかなる方向に進められるかということにつきましては、きわめて危惧の念を抱かざるを得ません。 たとえば国際空港の建設にいたしましても、これは平和的な空港ともなれば、あるいはまた軍用飛行機の基地として利用することもできることになるのであります。伊豆七島を観光地とする計画のもとに進められておるところの港湾施設が、軍事的に利用される危險性も決してないわけではありません。都民の犠牲において広められたこらの道路や都市計画が軍用道路や軍事的目的のもとに利用されるとしましたならば、これは平和国家の首都建設とは、まさに正反対のものになるおそれがあるのであります。あるいは観光施設にしましても、單に外国人を喜ばせるためだけの施設ということがどんどん行われて行きますならば、これは日本の首都建設ではなくて、外国のための植民地都市の建設になるということも憂えられるわけであります。 私どもは、まず勤労市民の生活を安定し、住宅を建て、失業を救い、税金を軽くし、民力を涵養した上で、民主的な方法、大衆の創意によつて、りつぱな日本の首都、平和的な首都を建設して行きたい、こういう希望を持つておるのであります。天くだり的な方法によりまして、都民の利益に反し、地方自治を破壊し、東京都を軍事的植民地化するおそれのある大法案に対しましては、日本共産党は絶対反対するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。 これにて本日の議事日程は議了いたしました。本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十五分散会