法務委員会 第24号
- 発言数
- 33 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1950/04/10
会議録
○北川委員長代理 これより会議を開きます。本日は委員長所用のために、理事の私が委員長の職務を行います。 これより国籍法案及び国籍法の施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案を議題といたし、質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。田万廣文君。
○田万委員 今度の国籍法案を拝見いたしますと、大体において問題は少いのでありますが、二、三いろいろ疑義がありますのでその点を政府の方にお伺いしたいと思います。 第一にお尋ねしたい点は第四條の第六号でありますが、これは今までの観念からしますと叛乱罪の予備行為とか、叛乱罪とかいう罪名に該当するようなものを客体として規定せられておるのではないかと思いますが、その範囲について一応御答弁を願いたいと思います。
○村上(朝)政府委員 第四條の第六号は、多くの場合刑法内乱罪あるいはその予備陰謀に触れる場合であろうと考えますが、必ずしも範囲が一致するとも言えないのでありまして、幾らか広くなつているかと思います。この六号の書き方は、国家公務員法三十八條第五項等の規定を参酌してつくつたのであります。内乱罪あるいは予備陰謀と一致するという点につきましては、幾らか範囲が広いというお答えを申しておきます。
○田万委員 その幾らか広いという意味を、具体的に御説明を願いたいと思います。
○村上(朝)政府委員 政府を暴力で破壞することを主張するということは、必ずしもただちに予備陰謀罪にはならないのではないか、この点が幾らか広いというのではないかと思います。
○田万委員 第六号によりますと「日本国憲法施行の日以後において、」とありますが、日本国憲法施行の日以前のことに関連してこういう事実があつたものに対しては、国籍法においてどういうふうに取扱われるつもりであるか。
○村上(朝)政府委員 旧国籍法には第六号にあたる規定がないわけであります。今度この第六号が入りますと、日本国憲法施行の日以前において、これに該当する行為をしたものは含まれないことになるのであります。もとより日本国憲法施行の日以前においても、ここにあげたような行為をした外国人に国籍を付與することは好ましくないことではありますけれども、先ほど申し上げました公務員法その他の立法によりますと、日本国憲法施行の日以前のことは問題にしない例になつておりますので、その例にならつたわけであります。
○田万委員 なお立法上の形式の問題ですが、四條第六号は非常に具体的に「政府を暴力で破壞することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。」というふうに非常にくだくだしく文句を使つたようでありますが、これをもつと簡潔に、第三号の素行が善良である。これも非常にぼけた規定になつておると思うのでありますが、この三号と六号を一括して、日本国民としてふさわしき、いわゆる公序良俗に反しないものというふうな簡潔な條文にこれを変更する御意思ありやいなや、これをお尋ねします。
○村上(朝)政府委員 ごもつともでありまして、簡潔な表現でできればけつこうだと思うのでありますが、ただ漠然とした表現よりは、なるべく具体的の表現の方が行政官庁の濫用を防ぐというような意味から適当ではないか、つまり判断の基準を具体的に法律で示す方が適当ではないか、かように考えて六号を立案いたした次第であります。
○田万委員 具体的に記載した方が非常にいいという説、一応ごもつともですが、それだとすれば、第三号の「素行が善良であること。」これも通俗的な社会通念においては非常にわかる言葉ではありますが、はたしてこれが素行が善良であるかどうかということについて、なかなか文章としてははつきりしておるけれども、基準としてはむずかしい、かように考えるのでありまして、政府において具体的に記載した方がいいとという御説と「素行が善良である」という簡單な、しかし重要な意味を持つ第三号の規定は、私は非常にどうかと思う疑念を持つております。旧法においては「品行端正ナルコト」ということが書かれてあつたのでありますが、今後日本が講和條約も結ばれまして、そのあかつきにおいてはどんどんと外人の帰化があるということが予想されるのであります。そういう場合に「素行が善良である」というような簡單な條文でなしに、もう少し先ほど私が言つたように、第六号とにらみ合せて、簡潔な、しかもわかりのいい條文に変更せられた方がいいんじやないか、なお重ねてこれを御質問いたします。
○村上(朝)政府委員 第三号の「素行が善良であること。」という規定は、これは現行法の第三号の「品行端正ナルコト」これと同じ意味のつもりであります。ただ現行法を踏襲しただけであります。これをさらに具体的にという御意見でございますが「素行が善良である」という点を具体的に表現しますことは、技術的に非常に困難でありますので、現行法の表現をそのまま踏襲したわけであります。
○田万委員 政府の御答弁によつても「素行が善良である」ということを具体的に例示することは、非常に困難であるというくらい「素行が善良である」ということの解釈はむずかしいと思うのであります。もしこの国籍法が通過したあかつきにおいては、いわゆる社会通念上、常識的な味意において、軽い意味で、特に善良でというようなことは書いてありませんが、善良の意味を広く解されることを希望したいと思います。 なおその次に一点お尋ねしたいのは、第五條の第四号でございますが、「引き続き十年以上日本に居所を有する者」という規定があるのでありますが、第四條の第一号には「引き続き五年以上日本に住所を有すること。」とあつて、居所と住所の間に五年の差を設けておるのであります。これはいかなる理由に基くものでありますか。
○村上(朝)政府委員 これは現行法をそのまま踏襲いたしたのでありまして、今住所と言いますと、生活本拠が日本の国内にあるわけであります。居所と申しますと、生活の本拠が国外にある場合も言うのであつて、日本の土地との結びつきが住所の場合に比較して薄いと考えられますので、居所の場合には十年ということにしてあります。
○田万委員 大体他の質問は留保いたしまして、これで終ります。
○加藤(充)委員 二、三点質問したいと思います。内乱罪の予備を含めて、従来よりもやや幾らか広いということを言われたのですが、やや幾らか広い分については、これはどういうけじめを、だれがどういう権限でおやりになるのでしようか。
○村上(朝)政府委員 客観的な事実に基きまして、法務総裁が認定するわけであります。
○加藤(充)委員 客観的な事実に基くと言われましても、何回も繰返して言うのですが、台東会館というようなもの接收問題が問題になつたことは、朝鮮人連盟の財産であるとか、いや個人の財産であるとか、少くとも連盟の財産じやないというような事柄でたいへんな問題になつておることは、天下公知の事実なんでありますが、そういうものについても、それを一方的に何ら日本の裁判の明しを立てる余地を残さずに認定をいたして、それを接收してしまう。朝鮮の連中は私有財産制度の否認だということまで言つていきまいておりますが、それをしも客観的な事実に基いた認定だといわれるようなことが、第四條の第六号の規定の認定についても行われるということになりますと、たいへん重大だと思うのですが、そういう点で私はいま少し明確な規定がほしいと思う。それは田万委員から素行が善良であるというようなこと自体が明確にならないという質問もありましたけれども、その点で非常にこれは問題の多い規定だと思うのであります。それでお尋ねいたしまするがたとえば今申し上げた団体等規正令の関係ですが、いわゆる朝連というような団体の中に所属していたものは日本に帰化ができないのか、団体等規正令に抵触した諸団体の所属メンバーと規正令第二條第七号の関係を御説明願いたいと思います。
○村上(朝)政府委員 朝鮮人連盟は団体等規正令の第二條に該当する団体でございまして、解散の指令が出たわけです。団体等規正令は第二條の第七号に「暗殺その他の暴力主義的企図によつて政策を変更し、又は暴力主義的方法を是認するような傾向を助長し、若しくは正当化すること」ということが掲げてあります。しかし日本国憲法またはそのもとに成立した政府を暴力で破壞するということとは要件が違うのでありまして、この団体等規正令によつて解散されました旧朝連のメンバーであつたからといつて、ただちに第四條第六号の要件に該当するということにはならないと考えます。
○加藤(充)委員 暴力で政策を変更させるということと、政府の破壊ということの関係をいま少し御説明願いたいと思います。
○村上(朝)政府委員 政府を暴力で破壊すると申しますのは、刑法上の内乱罪にあります「政府ヲ顛覆シ」云々という場合と同様に、国家組織の大綱を破壊することを意味するのであります。国会、裁判所、内閣というような基本的な統治機構を転覆することを意味するわけであります。団体等規正令において認めます政策の変更ということは、政府の定めた政策を変更させるというだけでありまして、政府そのものを破壊するというところまでは含んでいない、かように考えてあります。
○加藤(充)委員 それでは諸外国の共産党員というようなものは、今の規定からどういう取扱いを受けるのでしようか。
○村上(朝)政府委員 外国の共産党が日本国憲法またはそのもとに成立した日本国政府を暴力で破壊することを企て、もしくは企図している、かようには考えておりませんので、外国の共産党員であるからといつて、ただちに第四條第六号に該当するとは考えられません。
○加藤(充)委員 これは最近問題になつているレツド・マークの問題に関連いたしますが、何ら政府の転覆をいたさない、第六号に該当のものがなくても、素行が善良であるとか、思想が、昔の言葉で言えば堅固でないとかいう意味で、品行方正ということとは少し違いますが、素行という問題やら思想の問題で、結局素行が善良であるかないかというイデオロギーの問題になつて来て、ほかの條文で触れたりすることはないでしようか。
○村上(朝)政府委員 「素行が善良であること。」という言葉は、これは言葉自体から申しまして、私生活に関するもの、かように解釈しております。
○加藤(充)委員 それではこれでおしまいにいたしますが、日本の憲法で特徴的なものは、戦争の放棄というようなものであるということは、これは自由党の吉田さんの言葉の中でも、ほかに違つたことはないけれども、戦争の放棄だけは新憲法の特徴であり、生命であるというふうに言われておりますが、政府の転覆ということも重大かもしれませんけれども、そういう意味合いにおいて、私は戦争の放棄に関連して、侵略戦争に加担した者は、やはり日本の民主的な維持あるいは再建、ないし戦争放棄という点から重大だと思うのです。これには政府の暴力転覆というようなことだけですが、そういう意味から考えまして、先ほどの説明の中に、内乱罪に加担した者はもちろんいけないということですが、私は逆な意味で、外患罪に加担した者も、日本の新しい行き方としましては、帰化の條件の中に加えらるべきものではない。私がそういうことを特に質問いたしますのは、次の理由からです。いわゆる台湾募兵です。これは日本人が参加するのですから、帰化の問題には関連いたしませんけれども、よく巷間、流布されている問題であり、一定の団体、あるいは外国の政府あるいは団体から、いわゆる密使として日本に密航、あるいはどういう手続で入つて来るのかわかりませんが、半ば公然としか受取れないような入り方をいたしまして、いわゆる外患罪たぐいの非常に悪質な、新憲法の精神を蹂躪するようなやり方をやつて行つたものがあると思うのですが、こういうふうな密使はもちろんのこと、密使を日本に特派して外患罪的なものへ、日本人を、あるいは日本というものまでも巻添えを食わして行くというような団体に所属する者は、日本に帰化の條件を持たないものというような規定を、新憲法の戦争放棄の建前から、私は持つべきではないかと考えるのですが、その点について、それを載せなかつた理由をお尋ねしたいと思います。
○村上(朝)政府委員 帰化の條件といたしましては、六号のほかに、一号ないし五号の條件があるわけであります。ただいま御指摘になりましたような団体があるかどうか、私存じませんけれども、かりにあるといたしましても、そういう団体に所属しておる者は、他の條件によつて帰化できないのではないかと、かように考えます。
○田万委員 もう一点お尋ねしたいのですが、やはり第四條の四号、これによりますと「独立の生計を営むに足りる資産又は技能があること。」こういう積極的な條件がつけられておるのでありますが、独立の生活を営むに足りるというのは、どの程度のものをもつてそういうふうに御認定になるのか、お聞きしたい。
○村上(朝)政府委員 国なり公共団体なりの救済を受けないで生活できる程度の資産であり、技能であるという意味に解釈いたします。
○田万委員 抽象的なお話でありまして、これは大事なポイントになろうと思うのであります。結局法務総裁が許可をなさる場合に、こういう條件が特に加えられておるのでありまするからして、生計を営むに足りる資産、これは積極的に言えばどの程度の資産がなければいけない、消極的にはどの程度以下ではいけない、それは金銭あるいは動産不動産の価格において、見積ることはちよつと表現しにくいかもしれませんが、やはりもつと具体的に説明していただかぬと、私には納得行きかねるのです。なおこの趣旨は、大体帰化される人が日本人となつた場合、国の非常な支出、財政面の大きな負担にならないようにというような気持でこの規定をおつくりになつたのではなかろうかと思うのでありますが、それはどういうわけですか。
○村上(朝)政府委員 この規定ができました趣旨は、ただいま田万委員の御指摘になりました通りの趣旨であります。現行法にある規定を、そのまま踏襲いたしたのであります。
○田万委員 今後講和会議が締結せられまして後においては、相当数の帰化をせられる外人があろうと思います。と申しますのは、戰争放棄もしたし、いわゆるコールド・ウオアであろうとホツト・ウオアであろうと関係しないというふうな環境に置かれる場合において、いわゆる安全平和な国として、帰化人が相当あろうと思います。そういうことを想像する場合において、私は資産とか技能とかいうものを特に制限を設けて帰化を阻むというような、一定限度の、これこれの條件を持たなければ、資産とか技能というようなものを備えておかなければ帰化を許さないというような行き方は、立法の精神からいつても、日本の国から考えても非常にまずいことであつて、この條項は、経済的な差別待遇とか何とかいうようなことをしてはいけないという日本新憲法の精神にのつとつても、政府にこの條項を削除せられる意思ありやいなや、これを最後にお尋ねしておきたいと思います。
○村上(朝)政府委員 やはり生活能力のない外国人が日本の国籍を取得することになりますと、これは日本の国家、社会の負担になるわけでありますから、日本の国家としては好ましくないのではないか、かように考える次第であります。
○北川委員長代理 ほかに御質疑はありませんか——御質疑がなければ午前中はこの程度にいたし、午後は一時から再開いたします。 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十一分休憩 〔休憩後は開会に至らなかつた〕