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7回国会衆議院1950/02/24

法務委員会 第9号

発言数
83
登壇者
9
会派数
3
開催日
1950/02/24

会議録

花村四郎民主自由党

○花村委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入ります前にお諮りいたしたいことがあります。去る二月十六日、委員加藤充君及び田中堯平君が委員を辞任せられ、その補欠として上村進君及び林百郎君が議長の指名で委員に補欠選任せられ、昨二十三日、上村進君が辞任せられ、田中堯平君が委員に補欠選任せられました。つきましては委員を辞任せられました加藤充君は理事でありましたので、この際理事の補欠選任を行わねばなりませんが、理事の補欠選任は委員長において御指名いたすのに御異議ありませんか。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 御異議がなければ、田中堯平君を理事に御指名いたします。     —————————————

花村四郎民主自由党

○花村委員長 本日はまず株主総会招集規定等に関する小委員長より、株式会社の総会招集等の臨時特例に関する法律案につき報告を求めます。角田幸吉君。

角田幸吉民主自由党

○角田委員 花村小委員長の代理として御報告申し上げます。  去る二月十四日、ただいま議題となりました法案につきまして小委員会が結成され、その際、株式会社の総会招集等の臨時特例に関する法律案を立案するの必要ありやいなやを審議いたしました。審議の結果、この立法に対する要望は経済界の総意であることが認められました。これは経済団体連合会や商工会議所等の意向を徴したのであります。引続き政府の意向を徴しましたところが、政府の方においても賛成の旨を知りましたので、その立法の大綱を定めまして、衆議院法制局に立案を委託し、小委員会はこれから述べます草案を得たのであります。その草案をただいまここで朗読いたします。    株式会社の総会招集等の臨時特例に関する法律案   (総会招集の特例)  第一條 株主の員数が千人を越える株式会社は、株主総会を招集するには定款に定がある場合に限り、会日から三週間前に総会を開く旨及び会議の目的である事項を公告して、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百三十二條第一項に規定する各株主に対する通知に代えることができる。   (定款変更等の決議方法の特例)  第二條 前條の株式会社は、定款の変更その他商法第三百四十三條に定める決議を要する事項については、定款に定がある場合に限り、資本の半額以上に当る株主が出席し、その議決権の過半数で決することができる。    附 則  1 この法律は、公布の日から施行する。  2 この法律は、昭和二十六年七月一日から、その効力を失う。  3 第一條の株式会社が昭和二十四年十二月三十一日において、その定款に第一條に規定する招集方法又は第二條に規定する決議方法と同一の定をしていた場合には、第一條又は第二條の適用については、定款にその旨の定があるものとみなす。但し、この法律の施行後その定款の定を変更した場合は、この限りでない。 各條文の意味はごらんを願えばおわかりになると思うのであります。要点はすでに廃止されました会社等臨時措置法のうち、株主総会招集に関する規定をただ一箇條取上げまして復活せしめたのみであります。  附則の3が追加されておりますが、これは会社等臨時措置法が廃止されたとき、どの会社も定款変更の事実がなくて、そのままの定款の規定となつておると推定されるので、その定款を生かす趣旨において設けたものであります。本委員会におきましては、委員会の成案としてお取上げの上、すみやかにしかるべき方面に御提出されるよう希望するものであります。  きわめて簡單でありますが、御報告とする次第であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ただいまの小委員長の報告に対し御質疑はありませんか。——別に御質疑がなければ、小委員会の成案をもつて一応委員会の成案といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

花村四郎民主自由党

○花村委員長 御異議なければさよう決定いたします。  法務総裁が見えられませんから、暫時休憩いたします。     午後二時三十四分休憩      ————◇—————     午後二時四十九分開議

花村四郎民主自由党

○花村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  昨二十三日本委員会に予備審査のため付託されました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について、政府より提案理由の説明を求めます。殖田法務総裁。     —————————————  り、同表高知簡易裁判所の管轄区域の欄中「新宇佐町」を「新居村宇佐町」に、同表窪川簡易裁判所の管轄区域の欄中「與津村」を「興津村」に改める。    附 則  1 この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。  2 この法律施行前に従前の管轄裁判所で受理した事件は、その裁判所で完結する。     —————————————

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 ただいま議題となりました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律(昭和二十二年法律第六十三号)の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  この法律は憲法第七十六條第一項及び裁判所第二條第二項の規定に基き、高等裁判所以下の下級裁判所の設立及び管轄区域につき規定したものでありますが、今回一部の裁判所の管轄区域または名称の変更等、さらに次のような改正を要することになりましたので、この法律案を提出いたしました次第であります。  この法律改正の第一点は、土地の状況及び交通の便否等にかんがみ、簡易裁判所の管轄区域を変更せんとするものであります。すなわち第一には、川口簡易裁判所管内の埼玉県北足立郡谷塚町、草加町及び新田村並びに大宮簡易裁判所管内の埼玉県南埼玉郡春日部町及び武里村を越ケ谷簡易裁判所の管轄に変更すること、第二には越ケ谷簡易裁判所管内の埼玉県南埼玉郡須賀村を久喜簡易裁判所の管轄に変更すること、第三には下妻簡易裁判所管内の茨城県筑波郡十和村及び谷原村を土浦簡易裁判所の管轄に変更すること、第四には西宮簡易裁判所管内の兵庫県武庫郡本山村及び本庄村を灘簡易裁判所の管轄に変更すること、また第五には兒島簡易裁判所管内の岡山県兒島郡灘崎町を玉野簡易裁判所の管轄に変更んとするものであります。これらの管轄区域の変更は、いずれも地元市町村のほか、関係官公署及び地元弁護士会等の意向をも徴しまして、愼重に決定したものであります。  第二点は、裁判所の管轄区域の基準となつた市町村、その他の行政区画に変更のあつたことに伴い、この法律の別表を訂正する点であります。すなわち従前の町村が合併して市または町となり、また市町村の名称が変更せられる等の裁判所の管轄区域の基準となつた行政区画に変更があつたのに伴い、この法律の別表中に記載せられた市町村名等を訂正する点でありまして、これについては別に御説明を要しないと思います。  また第三点は、簡易裁判所の所在地の名称の変更に伴う裁判所の名称の変更でありまして、宮崎地方裁判所管内飫肥簡易裁判所を日南簡易裁判所と改称せんとするものであります。  以上まことに簡單ではありますが、この法律案の要点について御説明申し上げました。何とぞよろしくお願いいたします。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 御質疑はございませんか。  別に御質疑がなければ、次に猪俣、林、田中委員より、法務総裁に対する質疑の通告がありますから、順次これを許します。猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 二、三御質問申し上げたいと思います。一つは、先般行われましたところの公労法による国鉄賃金裁定問題、これは御承知の通り仲裁委員会において裁定をせられたものであります。この裁定の効力につきまして、政府とわれわれとは見解を異にしております。そこでこの仲裁裁定が最終的決定として、公社と労働組合との間においては債権・債務、すなわち規範的効力と債務的効力とを発生するものなりというのが、私どもの立場であります。政府はこれに反する態度をとつておるようであります。そこでこの行政権等の解釈が、われわれの解釈と異なる場合におきまして、最終的な有権的判断を下すものは裁判所である。裁判所に対しまして、裁定の効力を争うべき訴訟を提起いたしまして、形は仮処分の申請でありますが、むしろわれわれのねらいは、裁判所がこの仲裁裁定に対していかなる効力を持つと判定するものであるかをうかがい知りたかつたのであります。明二十五日に裁判所の判決が下されることに相なつておりますが、そこで私は、内閣の法律顧問であります法務総裁にお伺いしたいことは、この裁判所におきまして労働組合側に勝訴の判決が下つた場合に、すなわち四十五億円の仲裁裁定から十五億五百万円を差引いた残りを支拂えとか、あるいはまた公社の総裁が支拂い可能なりと上申した十八億の中から十五億五百万円を差引いた二億何千万円を支拂えという判決が下されましたときに、政府としてはいかなる態度をおとりになるか、この点についての所信を承りたいと存ずるのであります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 なかなかむつかしい問題でありますが、政府としてはまず問題の仮処分の内容でありますが、労働組合側が主張する仲裁裁定の金額の債務というものは、政府がたびたびこれまでその態度を表明いたしましたように、国鉄に対して予算上、資金上不可能な支出を求めるものでありまして、この部分については国会の承認がなかつたのでありますから、公共企業体労働関係法第三十五條及び第十六條の規定によりまして、その部分に関する裁定はその効力を発生しない。従つて当事者間においては、当初からそのような債権、債務は発生しないものと認めるのでありますが、認めるべきであるという見解でありますから、これを理由といたします本件仮処分申請は許されない。従つて本件訴訟については、労働組合側が勝訴になるようなことは万々あるまい、こう考えておるのであります。しかしながら理論上の問題として、それでもその裁判が政府の見解と違つて、労働組合側の主張するごとくに勝訴になつた場合はどうするか、こういうお尋ねでありますが、私どもは万々さようなことはないと考えております。でありますから、なつた場合のことを今からそう考えておる必要もないと実は考えておるのであります。従つてまた政府が負けまして、労働組合が勝訴になりましても、その理由の内容等をよく検討いたしませんければ、ここで全般にわたつてのお答えは実はできにくいのであります。ただ万一そういうときがあつたらどうするかという猪俣さんのお話でありますから、万一という仮定のもとに、ただわれわれのごく概略的に考えておりますことを申し上げますれば、たとい労働組合側の勝訴になつて、その主張がそのままいれられたといたしましても、その判決は、日本国有鉄道という公共企業体を拘束するものではございましようが、政府がこれによつて法律上の拘束力を受けるものとは考えておらないのであります。しかし裁判所の判決でありまするから、それが確定いたしましたときに、これを全然無視してよろしいとも、実は政治的に考えられないと思うのであります。これは政治的であります。従つてその場合には、主管大臣ともよく相談をいたしまして、善処しなければならぬと考えております。この分は政治的の問題であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大体において、仮説のことには答弁ができないという御態度のようであります。これは実は法務総裁としては、その苦衷察するにあまりあるのでありますが、過般来から、憲法九條の問題についての質問に対しましても、また今の国鉄裁定の問題につきましても、大体において仮定のことという論で、答弁をお避けになつておるような傾向がある。私どもはくれぐれも申し上げるように、法律解釈を求めておる。内閣の法律顧問である法務総裁の資格において、その法律解釈を求めておるのでありまするが、法律解釈というものは、すべて仮定に立つて立案せられ、仮定に立つて解釈せらるべきものであることは申し上げるまでもない。国鉄裁定の裁判の問題は、明日に迫つているのであります。明日の十時には判決の言渡しがあるのでありまして、これは遠い未来のことではない。もうすでにこの判決が、白と出るか黒と出るかによりまして、いわゆる政府の態度もおきめになつておらなければならぬ寸前にあると考えるのでありますが、大体において、まだ腹をおきめになつておらぬように存ずる。なおこの際、法務総裁の言として了とするところは、裁判所の判決であるから、政治的に考慮して、これはどうもいいかげんに取扱うことができないということは、これはしかあるべきことでありますが、法務総裁がその線にお沿いになることに対しましては、私ども敬意を表します。どうぞその裁判所の判決というものを尊重する——民主国家の再建には何よりもこれが大事でありまするがゆえに、政府はその権力を頼まずして、裁判所の冷静なる判決に服従するように、どうか内閣における最高顧問としてのあなたの御霊力を願いたいと存ずるのであります。  なお次にお尋ねいたしたいことは、明日この判決が、もし職員組合の側に勝訴の判決と相なりまする際には、私どもは公社の動産不動産に対しまして、執行処分をする意思があるのでありまするが、これに対しまして政府は、何らかの取締りなり干渉をなさる意思があるかどうかをお尋ねいたします。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 明日の裁判で国鉄側が敗訴になりますれば、おそらく国鉄側は控訴するであろうと思つております。従つて明日ただちに確定することはないと思います。まだかなり遠い将来と思つております。しかし最後に確定いたしましたときに、たとえば、さつきのお尋ねは財産の強制執行でありますが、これにつきましては、何も干渉するというわけではありませんけれども、行政財産となつておるものに対しては、強制執行はできないと考えます。不動産はもちろん、車両、レール、まくら木等も、現に使用しておりますものは、現在行政財産として登録されておるのであります。これは強制執行ができない。その他の財産に対しては、それは強制執行ができるでありましよう。ただいまはそういう考えを持つております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 われわれは一審で勝訴の判決を受けますならば、公社が控訴しようがしまいが、いわゆる仮執行をやるつもりであります。供託金を積んでも仮執行をやるつもりであります。もちろん今あなたが御指示のような、法律で禁じているものを押えようとはしませんが、その他のものについては、あなたのそういう言明があるのでありますならば、安心して差押えをやりたいと考えておるのであります。  そこで次にお尋ねいたしますことは、最高裁判所の長官の推薦の指名の問題であります。申すまでもなく最高裁判所の長官は、三権分立の趣旨から考えましても、最も貴重なる地位にあるのでありまするから、これが指名も愼重を要すると思うのであります。しかもその指名の方法は、民主的にやつてほしいという希望を持つておるものであります。片山内閣時代におきまして、ただいまの三淵長官を指名いたす際には、衆参両院の議長及び弁護士会から一人、判検事側から一人の代表者を集めまして委員会をつくり、実際はこの委員会におきまして決定を見たのであります。これは憲法の表面的規定からは、もちろん内閣において指名し、天皇が任命することに相なつておりまするけれども、この主権在民の、民主的な運営方法ということを考えて参りまするならば、私はかような方法が最も適切なるものではないか。ことに民主主義の線に沿いまして、政党内閣時代になりまして、その多数党の内閣が、いわゆる司法権の最高峯でありまするところの長官の指名権を一手にになうというようなことは、もちろん形式的憲法解釈からはさしつかえないことでありまするけれども、真に民主的に、しかもいわゆる行政権、立法権、司法権というような、三権分立の趣旨も汲み入れて考察いたしまするならば、この片山内閣時代に行われました方法を慣習として存続してやつてほしいと思うのであります。最高裁判所の長官の任命のごときは、そう毎度あることではないのでありまして、もうすでに第一回がさような民主的な、納得のできる方法によつて決定されておりまするので、今回は第二回になつておりますから、やはりそういう方法を踏襲していただきまするならば、これが一種の慣習と相なりまして、ここに長官推薦の有終の美をなすものではないかと考えておるのであります。ただいま民主自由党の総裁であり、内閣の総理大臣であるところの吉田茂氏一人が指名するというようなことは、これはどうも行政権と司法権の関係から考えましても、おもしろからざる傾向ではないかと考えるのでありますが、法務総裁は、さようの慣習を打立てられるだけの熱意ありやいなやを御質問申し上げたいと存ずるのであります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 この問題は非常に重要になりまして、最初に長官その他の裁判官を選任いたしますときは、さような手の込んだ方法を採用いたしましたことは承知いたしております。しかしながらただいまの新憲法の條文の表からいたしますると、さような制度、方法をとるべしということはどこにもうたつてないのでありまして、明らかに内閣の責任であります。内閣は最高裁判所の長官を指名する責任を憲法の上に負うておるので、従つてこの責任を分散するがごときことは、かえつて憲法の精神に沿わないのであります。また内閣は国会の多数の指名によつて成立しておるのでありまして、国会の多数党、すなわち国民の多数によつて、つまり最も民主的なる方法によつて政府が成立しておるのであります。その政府がみずからの責任において最高裁判所長官の指名をするということは、最も民主的な方法であろうと思うのであります。もしこれが憲法の規定になければ、憲法の規定の上にどのような規定を置くかについては、また猪俣さんの先ほどのお考えのごときも十分に考慮に値するのでありますけれども、新憲法はさように規定してはおりませんので、憲法に示します方法によつて、内閣は十分にその責任を負いまして、憲法の規定します通りに行いたいと考えております。しかしながら御心配の点は、いわゆる党派的の、あるいは党派の利害によつて動くような人を選任してはならないという御心配であろうと思いまするが、さようなことは絶対にいたしません。何人が見てもこれより以上の人はないという人を選びたいと思いまして、ただいま総理大臣は最も愼重に考慮をいたしております。従つてその結果をごらんくだされば、なるほどこれは十分に手を盡して考えた結果であるということを認めてくださることを考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 第三点に、近ごろ新聞紙上でたびたびわれわれの目に触れることでありまするが、犯罪捜査の過程におきまするところの逮捕状あるいは拘留問題で、ある者は緩に過ぎ、ある者はまた嚴に過ぎる。最近の新聞を見ましても、たとえば石川一郎氏の使用人であります佐々悦造という人を拘留しておる。これは人権擁護局へ持ち出しされているそうでありますが、こういうふうに拘留すべからざる者を留置するということをやる。またもう一つ、二月二十一日の朝日新聞の伝うるところによれば、ある判事補が、拘留すべき者を、自分の知人であるからということで拘留しなかつたというようなことが出ておる。なおまた前から問題になつております五井産業の佐藤昇氏の問題、あれも拘留状が出ておるにかかわらず、一週間も十日もそのまま握りつぶされて、その間において相当証拠隠滅の行動があると伝えられておるのであります。そこでこの刑事訴訟法に基きます捜査の問題でありますが、佐藤昇氏の捜査の令状、拘留状の請求は何人がやつて、これに対する令状は何人がこれを出したかということ、なおこの令状は刑事訴訟法の二百十條の緊急逮捕の令状であるか、百九十九條の普通逮捕の令状であるか、さようなことについて御説明を伺いたいと思いますし、なお私が質問として前もつて通告しておきました佐々悦造君の逮捕の事情、なおまた検察庁内に検事と判事との間に対立問題みたいになつております木戸判事補にかかわる事件というものに対しましての御説明をいただきたいと思うのであります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 捜査の手続あるいはその他につきまして、十分注意をいたしまして、新しい刑事訴訟法の精神はあくまで徹底するように努力いたしております。しかしながらときにあるいは誤りがないとも申されません。しかし新聞紙上等に伝わつておりますことは、必ずしも正鵠を得ておるものではございません。よく当局の説明をお聞きくださいまして、しかる上御判断を願いたいと思います。こまかいテクニックのことにつきまして、私が十分御説明するだけのまだ力を持つておりませんから、はなはだ失礼でありまするが、刑政長官が幸い参つておりますから、刑政長官からそれらのこまかい点を御説明させたいと思います。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 ただいまお尋ねの佐藤昇氏の逮捕の問題でございまするが、昨年末詐欺罪について逮捕し、また拘留したことは御存じの通りであります。さらに本年になりまして、涜職罪について逮捕はあつたけれども、拘留状の請求はなかつたという事件もございます。この点につきまして、逮捕の請求をしたものが何人であるか、令状を発した者がだれであるかというような、具体的な人名につきましては、手元に詳しい調査がございませんので、もし御必要となれば、調査した上お答え申し上げたいと存じます。  なお新聞紙上に伝えられまする木戸判事補が、検事の令状請求に応じなかつたということにつきまして、新聞紙上、裁判所と検察庁の間に何らかの行き違い、あるいは感情の衝突があるやの記事が載つておるのでありまするが、この点につきましては、まだ報告がございませんので、私の方も調査は行き届いておりません。  なおお尋ねの佐々悦造の逮捕の件でございますが、これは緊急逮捕ではございませんので、裁判所の逮捕令状に基いて逮捕した事件でございます。この逮捕につきましては、取調べいたしましたところ、何ら不法な点は一つも認められませんので、逮捕までの事情について詳しい調査もできておりますが、御必要とあれば、この点も詳しく御参考までに述べてもさしつかえないのであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なお一点確かめたいことは、佐藤昇の事件につきまして、巷間説をなす者があつて、主任検事が途中でかわつた、何かの工作によつてかわつたというような説をなす者がありますが、一体この事件について、さような検事が更迭したような事情があるかないか、ありとすれば、いかなる事情によつて検事の更迭ということを行われたのであるかを、御説明願いたいと思います。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 先ほど申し上げましたように、佐藤昇氏についての最初の詐欺事件のほかに、さらに涜職事件がございますが、詐欺事件の主任検事と涜職事件の主任検事とが、これが別な検事によつて取調べが進められたということは聞いておりますけれども、調べの途中で特に検事の交代を見たというようなことは、まだ聞いておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 法務総裁にはたびたびお尋ねしているのですが、佐藤昇の事件につきましては、われわれどうしても納得の行かない点が多々あるのであります。これは徹底的に究明してみたいと思うのであります。特にこの捜査の過程において、非常に不審な点が多いのであります。このことは将来国民の検察権、あるいは捜査権に対する信頼に及ぼす影響が非常に大きいのであります。どうしてもわれわれは国民の総意によりましても、この問題の真相を究明しなければならないと思うのであります。  そこでまず最初にお尋ねしたいことは、この佐藤昇なる人物が——これは十二月九日の読売新聞にあるのでありますが、「問題の詐欺事件は昨年秋昭電疑獄で時の副総理西尾末廣前代議士に事件もみけし資金として日野原社長から百万円の贈賄のほう助に問われた元中大陸上競技総監督五井産業、国富纎維両会社社長佐藤昇氏」云々とあります。すなわち佐藤昇氏が、西尾末廣副総理に対する日野原社長の百万円贈賄事件の幇助として問われた人物であつたということを、検察当局は知つているかどうか、まずその点からお聞きしたいのであります。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 ただいまお尋ねのような事実は全然聞いておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、読売新聞の十二月九日にある佐藤昇なる人物は、かつて昭和電工のもみ消しにも関係していたということは、うそだというわけですか。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 私の方にまだそういう報告がありませんので、私としては全然知つておりません。その事実について特に調査したこともございません。読売新聞の記載が真実であるかどうかということを、まだ調査いたしておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 私のお聞きしているのは、全然関係がないと言われるのかどうか、新聞にはそう出ているが、佐藤昇なるものは昭和電工事件には全然関係がないと、刑政長官として責任をもつて答えられるならば、それでけつこうなんです。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 ただいま申し上げましたように、私はその点をまだ調査しておりませんから、全然わかりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 少くとも新聞紙でそういうことが出ているのに、まだ調査しないとか、責任のある回答ができないということ自体、この事件が非常な大きな疑惑を生む原因になると思うのです。この問題について、あなたがそういうように言葉を濁らせるならば、やむを得ません。  その次に新聞紙の伝えるところによりますと、この佐藤氏のこのたびのもみ消し事件の端緒になりましたのは、かつて味の素の常務取締役でありました鈴木恭二なる人物が、約二百万円ほどの涜職事件をやつておりまして、この捜査を始めたところが、これが非常な捜査の困難に陷つて、鈴木恭二氏の事件はほとんどくつがえされてしまつた。このときも暗躍したのか、かつて警察ボスと言われた佐藤氏であつたということが、これはやはり新聞紙に出ているのであります。そこで厚生省の汚職事件をめぐる二百万円の贈賄容疑で問われた味の素株式会社常務鈴木恭二氏の事件については、検察当局としてはどういう措置をされたか、この点についての捜査の経過を話していただきたいと思うのであります。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 お尋ねの点につきましても、まだ書面の報告が参つておりませんので、御必要とあれば、検察庁に問い合せまして、後日御報告いたしたいと存じます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これは昨年の八月であります。昨年の八月、厚生省の汚職事件があつて、二百万円の贈賄の容疑で、味の素株式会社常務鈴木恭二氏が検挙を受けた。検挙されたということは御存じかどうか、まずこの点からお聞きしたい。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 事件によりましては検挙の際に報告があるのもございます。また起訴の処分をしてから報告するものもありまするが、ただいまお尋ねの事件につきましては、お話のように検挙だけでとどまつたのか、あるいは起訴、不起訴の処分まで行つておらないのか、私の方にはまだ報告がございませんので、その点も、もし検事の処分がどうなつたかということについて、御必要とあれば調査いたします。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 少くとも二百万に及ぶ涜職事件の捜査、ことに身柄の検挙、あるいは保釈、そういう点について全然検事当局へ報告がなくして、一警察官の、捜査官の判断だけで検挙、保釈不起訴処分、そういうことができますか。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 お答えいたします。御承知のように新刑事訴訟法におきましては、警察が独自の立場で犯罪を捜査する権限を認められておりまするので、検察庁と何ら関係なく検挙、逮捕ということがあり得るので、実際にやつております。しかしながら検察庁に送られた事件を起訴、不訴訴の処分をするということは、これはもちろん検察庁の権限でありますので、検察庁独自の立場からその処分をいたすのであります。お尋ねのような具体的な事件について、あの事件がどの程度進行しておるか、どういう処分になつたかということは、すべて検察庁でおやりになるのでありまして、御承知のように検事総長が最高の責任をもつてこれを処理しておるのであります。ただときに法務府に連絡のある事件は、法務府においても承知いたしまするし、また私どもは法務総裁の補佐役として法務総裁の処断を仰ぐこともあるのであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると法務総裁にお尋ねいたしますがこの厚生省の汚涜事件については、ときの国務大臣でもあるし、かつ法務総裁でもありますが、どういう経過でどう処置されたか、これをお聞きしたいと思います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 ただいま刑政長官からお答えいたしました通り、私もその事件につきましては内容を存じません。昔と違いまして——昔は司法大臣が検事総長を指揮いたしたのでありますけれども、新しい検察庁法によりますと、法務総裁は検事総長を一般的には指揮いたしますが、具体的の個々の事件については、実は指揮する権能を持たないのであります。従つて多くの事件は、検事総長あるいはその以下限りにおいて処置されまして、大問題でなければ報告も実はして参らないのであります。たまたま今のお話の問題がこの議場で問題になりましたから、大きな問題として取り扱われるのでありますが、そうなれば、また御必要があるならば、よくその当時の事情等を調査いたしましてお答えを申し上げまするけれども、平素そのような事件について、私どもは資料をここに持ち合せてはおらぬのであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、吉田内閣のもとでは相当重大な事件であるこの厚生省の汚涜事件についても、法務総裁は国務大臣としても何ら御存じないというようにわれわれは解釈していいかどうか、お聞きしたい。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 それは相当重要な事件でないから、さような取扱いになつておるのであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると二百万円にも及ぶ涜職事件というのは、吉田内閣にとつては重要でないというように解釈していいかどうか。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 それが事件にならなかつたから重要でないのであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 厚生省の汚職事件はすでに事件になつているのであります。これに鈴木恭二氏も二百万円の金を出している。しかしそれが涜職になるかどうかということは、いわゆる佐藤氏のもみ消しのために、まつたく捜査が妨害されてしまつたということになつておりますが、厚生省に重大な汚職事件のあつたことは間違いないことなんであります。しかもそれにからんでたくさんあるのでありますが、その一つの容疑事実として鈴木恭二氏の事実があつたわけで、この重大な問題について、厚生省の汚職事件については、何ら吉田内閣として、あるいは国務大臣として、殖田法務総裁は重大なものでないといつて関知されないというのかどうか、この点が一つ。  この問題をやつておりましても限りがありませんから次に移りますが、その問題が一つと、それからこうしたいろいろ新聞紙に出ておりますところの佐藤昇なる事件が、相当疑惑を持つておられる人物であるにもかかわらず、しかもこの人物からたくさん金をもらつたという人たちがたくさんおる。たとえば岡田鉱山保安局長、あるいは日野中野警察署長、あるいは塩谷消防総監、これは三百万円と言われております。こういうことが新聞に書かれておるにもかかわらず、全然この相手方を取調べもしないということは、少くとも捜査の嚴正なる行使という点から言つて、あなたは検察当局の職務の執行が嚴正に十分に行われておると考えられるかどうか、この二点をまずお聞きしたいと思うのであります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 厚生省に関係すると言われる鈴木の事件は、事件にはならなかつたそうであります。もし事件になりましたならば、おそらくそれは私の耳にも入り、私も相当のお答えのできる材料を持つておつたでありましよう。  それから今の新聞紙上に云々でありますが、検察当局はみずからの捜査により相当の資料を持つております。新聞紙の報道によつて左右されるものでは毛頭ありません。私は検察当局は、それらの点について十分に捜査をしておると思います。ただそれを一々人間を呼んで取調べたか、取調べないかということで捜査しておらぬのけじめは立たないと思います。でありますから、いま少しくかすに時日をもつてして、その結果をごらんになつていただけばよいと思うのであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 具体的に捜査の妨害の内容に入つて行きたいと思いますが、われわれが佐藤問題を究明するゆえんは、実は最近の捜査が警察ボスや、あるいは旧特高の追放ボス、こういう連中が警視庁、さらには検察当局にまで手を延ばして盛んにもみ消しをし、妨害をするという事実が巷間に瀕々として伝えられておる。これでは嚴正なる検察権の行使、それから捜査権の行使はできないように思うのであります。そこで具体的に佐藤問題でありますが、たとえばこういう内容のことがあるのであります。これを総裁は知つておられるかどうか。またこれが事実とすれば、司法権の嚴正なる行使あるいは検察権の嚴正なる行使のために、どういう措置をとられるかということをお聞きしたい、まず佐藤事件が問題になりましたにつきましては「この事件を探知した警視庁捜査二課では九月初めから佐藤氏の身辺を捜査したところ同氏はこの他にも各地で二千数百万円にのぼる同様の詐欺事件をおこしていることも判り、さらに同氏は警視庁署長、係長ら数名、東京消防庁某高官などに食い込み供応その他で完全に警視庁、消防庁のボスとなり、問題となつた昭電疑獄ばかりでなく、その他の事件もみけし運動にも加わつていた点も判明、事態を重大視した同課では本月初め佐藤氏の逮捕状を請求せんとしたところ、同庁首脳部は事件証拠不十分との理由で東京地裁への令状請求を承認せず、佐藤氏につながる某係長のごときは事仲もみ消し工作まで進め、また某監察官付警部は逆に同事件担任の捜査官らの身辺調査を行い、捜査に支障を加えるというまつたく不明朗きわまりない事態が発生、このため現在に至るも令状請求には至らず」これは十二月九日現在であります。「これに付して東京地裁では事態を重視、独自の立場から調査を開始、事件は重大問題化しようとしている」という問題があるのであります。最近ひんぴんとしてこうしたもみ消し事件が行われているのでありますが、佐藤事件につきましても警視庁の内部において、捜査の問題についてかかる重大な支障、あるいは妨害、逆捜査というような事実があつたことを知つておられるかどうか、まずこの点をお聞きしたいと思います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 そういうことは存じません。先だつての予算委員会等でさようなお話を承りまして、初めて私は承知いたしたのであります。しかし事警視庁、いわゆる東京都の自治警察に関することでありまして、政府としてはこれに直接干渉する何らの手段も、ございません。東京都の公安委員会がその責任者であると思います。もしそれ検察庁にさような問題が起りますれば、私は十分にこれは警戒いたしまするし、粛正もいたすのであります。しかし検察庁ではまだそういうことを聞いておりません。おそらく警視庁でも、まさかさようにうわさのごときことがあるとは思いませんが、これは自治警察の問題でありまして、政府はいかにも干渉することのできない問題であります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 林君に御注意を申し上げます。佐藤昇君の事件については、予算委員会において詳細に質疑応答をせられたのでありますから、本委員会において重複せざるよう願います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 簡單にやります。  さらにもう少し具体的に申しますと、佐藤氏のことは、あなたは先ほど全然警視庁にまかせておると言われますが、実は佐藤昇については、この涜職もみ消し事件で検事局から逮捕令状が出ているのであります。しかもその逮捕状に現われた事実は、去る六月の消防庁を舞台とした——これは去年でありますが、三十五万円の詐欺だが、このほか各地で、同様手段で約二千数百万円の詐欺容疑があり、これらの金の使途についても、事件もみ消しその他の謝礼名義で、各方面へばらまいていた疑いも濃厚である。現在捜査線上に浮び出ている関係者は、東京消防総監塩谷隆雄氏、上野署次席警視吉武辰男氏、一方面監察官付警部折田二雄氏、その他署長係長数名に上つているが、今度政官界上層部へも飛火するのではないかと見られている。現にこうした容疑事実をもつて逮捕令状まで出ているにもかかわらず、佐藤事件について警視庁内にそういう事態があつたかなかつたか知らないということは、法務総裁としては言うまじきことではないと思います。これは少くとも嚴正なる捜査権の行使という上について、重要な問題だと思う。こうした容疑が佐藤昇氏にあつたために、遂に佐藤氏は涜職の嫌疑をもつて逮捕されたという事実を知つているかどうかそれをまず承りたいと思います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 警視庁の捜査につきまして檢察当局が——これは指揮を仰いでくれるはずでありますが、指揮を仰がない場合に、これを指揮するわけには参らないのであります。従つて警視庁内だけの捜査の経過につきまして、私はとやかく申すわけに参りません。しかしながらもしこれが檢察庁の手に移りまして、檢察庁の指揮が出まして、その指揮を執行しないのであるならば、それはまた問題は別であります。今聞くところによりますれば、佐藤昇につきましては、詐欺事件で二件起訴されております。これはもう起訴されておるのであります。それから涜職容疑については、いま一件捜査中でありまして、これはこの間予算総会でもお話をいたしました通産省の岡田鉱山保安局長に関する容疑であります。岡田、それは商工省特殊資材部長でありますかのときに、佐藤から岡田君が金をもらつたということであります。職務関係によつてそれがきまるのであります。職務関係を調べておる。その後のことは私はまだ聞いておりません。しかしながらこれは逮捕勾留する必要はないから勾留をしないのである、こういうことであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 すでに岡田鉱山保安局長に三十五万円の涜職の容疑事実が出ておるにもかかわらず、檢察当局では、一月三十日に再逮捕してわずか三日で釈放しておる。しかもその後巷間伝うるところによれば、たとえば田中警視総監へは三鷹の家を新築してやつておる。また坂本刑事部長には数十万円の機密費を出しておる。それから佐藤の帳簿の中には、増田官房長官に仲立ちをしたという岡崎英城、これは元の特高の追放者でありますが、岡崎氏に三十万円金を出したということが帳簿に記載してある。こういうたれが考えても明らかに涜職の容疑が明瞭であるにもかかわらず、わずか三日でそれを保釈でなくして釈放しておる。しかも涜職の相手方と考えられておるところの岡田局長にしても、あるいは岡崎氏にしても、今もつて一度も取調べをしておらない。これは私は單にこの警視庁の中の捜査の問題だけであつて法務府は知らないということにはならないと思います。こうした実に不明朗きわまるところの捜査をしておきながら、捜査権に対する国民の信頼をかち得ようと思つても不可能だと思う。そういう意味で、われわれはなぜこの重大な涜職の嫌疑があるにもかかわらず、わずか三日でもつてこの身柄を釈放しており、しかも受取つた相手と言われておるところの岡田とか、あるいは岡崎とか、あるいは警視総監とか坂本刑事部長とか、こういう少くとも名前の出ておる人に対して何らの取調べをしないというのはどういう理由か、この点はまつたくわれわれ納得できないのであつて、法務総裁の責任のある御回答を願いたいと思うのであります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 私は警視総監や刑事部長の話は今初耳であります。その岡田通産省局長の話はもう承知しておりますが、それは事件が簡單な容疑でありますから、佐藤をこの上留置しておく必要がないということで釈放したのだそうであります。それから岡田の職務関係もはなはだ不明確でありまして、まだ起訴するかしないかもきめられない状態にあるそうであります。十分研究しておることとは思います。またただいまいろいろお話の新しいニユースを伺つたのでありますが、それは今後檢察当局の職務執行上、りつぱなる参考の資料であると思います。しかしながらそれに基いてただちに捜査を開始すべきものであるやら、する必要のないものであるやら、これは檢察当局が十分に知つておることと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 なおこれはこの前の予算総会でも、法務総裁に聞いておることだと思う。たとえば日野中野署長が十三万もらつておる。しかしこれは警察費に使いましたと言つている。ところが詐欺容疑で、しかも涜職の容擬になつておる者からもみ消しで署長が十三万金をもらつて、使い道が警察に使つたからといつて、これが涜職にならないといつて、常識上そのままで置かれるかどうか。さらに田中警視総監は、私のあげた数字から、たとえば上野刑事部総務課長、あるいは間狩国警防犯課長等も、金をもらつた点は間違いありません。しかしその使途は正しい使途に使つておるからいいと思いますというようなことを言つておるわけなのです。こういう点、少くとも涜職の容疑者から金をもらつておるということは、あなたの目の前で言つておるのに、しかも岡田鉱山保安局長に対しては、宮幡次官は、これは病気の治療費として恵みを受けたのだ、涜職ではないと言つている。こういう点も、少くとも法律の専門家のあなたであるならば、一応これを取調べるのが公正な檢察権の行使だと思う。ところがその後予算総会であれだけの事実が明瞭になつた。たとえば岡田鉱山保安局長は病気の治療費として惠みを受けたのであります。中野警察署長の日野君は、十三万円もらいましたけれども、これは警察費として使いました。それから間狩国警防犯課長あるいは上野刑事部総務課長も金をもらいました。間違いありません。佐藤からもらいましたけれども、これは別に涜職ではなくて、正式な使い道に使つておりますから、涜職にはならないということを言つておりましたけれども、少くとも嚴正なる檢察権の行使としては、その後これらの関係者を一応呼んで取調べをされるのが、檢察権の最高責任者である法務総裁のとるべき態度であると思いますが、その後どういう処置をとられたか、この点をお聞きしたいと思います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 岡田局長につきましては、容疑がありまして捜査をしておる、法律上の問題等について調べておるということを申し上げた通り、今もその過程にあるので、その他の問題につきましては、これは捜査すべきものであるやら、捜査すべからざるものであるやら、これは檢察当局が責任を負つて考えておりますることで、たとい捜査をしておりましても、私が今捜査をしておりますと申し上げるわけにも参りません。これは檢察当局におまかせ願えば、私は檢察当局は嚴正に処置して行くものと考えております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 なお先ほど法務総裁は、檢察当局の担任者は交替していなかつたと言われておるのでありますが、これは刑政局長にもお尋ねしたいと思いますが、大体最初詐欺の担当として調べていたのが稲田檢事であります。その後涜職にかわりまして、涜職として担当したのは八代檢事であります。ところがこの八代檢事が岩松檢事にかわつております。明らかに涜職罪になつてから檢事がかわつております。しかもなほわれわれがふしぎに思うことは、この岩松檢事が逮捕状を地檢に要求して、そこで二日後になつて檢事局送りになつたのでありますが、捜査部長の岡崎檢事は、贈賄の疑いは根拠が弱いという理由で釈放をしております。この点におきましても、檢事が二度もかわつておる。しかも担当檢事の逮捕要求に対して、特捜部長から、いやそれは疑いが薄いからといつて釈放しておる。こういう経緯はどういう事情で起きているのか、こういうことがあり得るのかどうか、担当検事が要求しているのに、上の方の検事が、それはそんな嫌疑がないからと指揮することがあるか、同一事件の捜査中検事がかわるというようなことがあるかどうか、こういうことをお聞きしたいのであります。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 お尋ねの捜査中の同一の事件について、捜査の主任の検事がかわることがあるかどうかというお尋ねでありますが、これはなるべく同じ主任検事が捜査を進めるということが、責任も明らかであり、能率的でありますので、めつたにかわることはないのでありますが、時に応じて、必要に応じてかわることは間々聞いております。それからお尋ねの佐藤昇氏の事件については、先ほど申し上げましたように、詐欺事件についてはすでに起訴されておりまするので、その詐欺事件の担当検事と目下捜査中の涜職事件の担当検事とは、それは別な主任であるということは聞いておりまするが、涜職事件について最初の捜査に当つた検事と、あとの検事との交替があつたということはまだ聞いておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 同じ涜職の担当の検事が八代検事と岩松検事とかわつたことは、われわれの調査によればわかつております。だからこういう事実がないならない、あるならある、あるならどういう理由かということが一つと、もう一つは担当の岩松検事から逮捕の要求が出ているのに、その後部長の検事から、いや贈賄の嫌疑については根拠が薄弱だからと言つて、上部の検事から釈放の命令が出ておるという事実、こういうことが一体あり得るかどうか、これをお聞きしたいと思います。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 佐藤昇氏の目下捜査中にかかつている涜職事件について係検事がかわつたということは、まだ聞いておりませんけれども、その点について林委員の方でかわつたというようなお尋ねでありますから、なお調査してお答えをいたしたいと思います。もしかわつたとしますれば、それは検察庁の内部においていろいろの都合があつてかわつたことと思います。これは逮捕の令状はもちろん出ておつて逮捕されて、そうして勾留の令状は請求しなかつたのでありまするが、その勾留令状を請求しようかどうかということが係検事の單独の意見できまらない場合があるのでありまして、もちろんその係長なり、あるいは部長の統率のもとにおいて各主任検事がそれぞれ行動しているわけでありまするから、自分だけの意見ではなく、上司と十分相談して処置いたすのであります。ことに勾留というような身柄を拘束する重大問題でありまするから、勾留令状を請求しようという場合には、もちろん主任検事一存ではきまりませんので、係長なり、あるいは部長検事と十分相談をいたしまして、愼重に令状請求を取扱う例になつておりますから、おそらくその場合も、主任検事が部長検事と相談をいたしたこととは考えております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 少くとも二千万円と言われるような重大な涜職事件について、わずか三日ほどで釈放する、保釈でなく釈放するという事態は、涜職というのは特に重大な特捜部で取扱う事件なのでありますが、二千万円にも及ぶ事件で、しかも金を受取つたという者がいるにかかわらず、わずかに三日で釈放する、これは明らかにもうなれ合いで証拠を隠滅されることは明らかだと思います。三日くらいでこういう重大な涜職事件の被疑者を釈放するという前例があるかどうか、この点をお聞きしたい。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 お尋ねのような事件に類似する先例があつたかどうか、私はまだ聞いておりません。なお先ほど法務総裁も御説明申し上げましたように、この涜職事件については、金銭授受の点は大体調べが終えて、職務関係の調べがまだ残つておるというふうに聞いておりまするので、涜職事件がどういうふうに処分されるか、その結論までまだ至つておらないのであります。捜査中の事件を御満足の行くように、その内容に立ち入つて御説明申し上げることは遠慮いたしたいと思います。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 なお佐藤昇事件につきまして、私からも二、三問質問いたしたいと思うのでありますが、第一今の点、これほどの重大事件で、わずか三日足らず釈放しておる、保釈でなしに釈放しておるということになると、大体の通念としては、これはもう不問に付するという取扱いであります。ところが一方まだ捜査中であるから、事件の内容は知らせるわけに行かぬという御回答です。してみると、どうもこつちはとりつく島がない、片一方ではどうも罪にもなりそうもないというので、第一巻の終りというような取扱いがしてあるにもかかわらず、捜査中であるからというて事件の内容は発表されない、その点どうも疑いを持てば、事件が重大であるだけに、何とかしてわれわれの目の光をそこに向けさせないようにしようという、まことにけしからぬ工作であるように思います。その辺納得の行くように御説明願いたい。いつごろになつたら捜査が一段落となるのであるかということ、近く内容はわれわれが求めるならば、十分に説明をいただけるものかどうかという点を御説明願います。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 お尋ねの涜職事件については、先ほど来申し上げましたように、まだ捜査中でありまして、検事の処分の結論まで到しておらないのであります。いつになつたらその捜査が完了するかということは、これは検察当局に聞いてみなければわかりませんので、御必要とあれば照会いたしたいと存じます。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 なお私は一、二小さい問題のようで実は大きいのでお聞きしますが、一月の二十一日、二十二日、実は問題が相当重大化して来たために、新聞紙を封じようという魂胆から、警視庁の大園警務部長が中心になつて、記者団を熱海の某旅館に呼んで、大いにごちそうしたというような事実も伝えられておりますが、法務総裁なり政府当局は、こういう事実を御承知かどうか。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 私はそういう事実を存じません。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 法務総裁にお尋ねします。法務総裁は先ほどから、これは一地方の自治警察の問題であるからという言葉のもとに、多く総裁としてはこれに干渉はしたくないというような口うらに聞えるのであります。ところでわれわれが考えるには、地方の自治警察といつても、警視庁といえば非常に重大な機能を持つておるし、のみならず、場合によつては政治的制裁もどうかというような本件は非常に重大な事件であるだけに、法務総裁としてただ対岸の火災視というようなわけに行かぬのじやないかと思います。現に新聞紙や世上のうわさが騒いでおるだけでなしに、予算委員会においても、事態は相当具体的になつておる。ここに及んでもなおこの警視庁内のごたごた、具体的に申しますならば、捜査第二課というものと、それから監察官付というグループとが対立をしているといううわさが飛んでいるし、また警視庁内の正義派と旧特高関係の首を切られた連中が、部外からいろいろ影響を及ぼすところの、そういう対立があるとも伝えられている。いろいろとうわさは飛んでいるし、また相当肯繁に値するようなニュースも入つているのでありますが、われわれがそういうことを耳にする以上に、法務総裁はこれを知つておるに違いない。にもかかわらず、一自治警察の問題であるがゆえに、あえてわれ関せずという態度を将来もとられるかどうか、この問題について何かの措置をとろうとしておられるかどうか、この点について御意見を伺いたい。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 警視庁内にもし犯罪がありとしまして、その犯罪の容疑があれば、それは検察庁がそれ相当に処置いたすのでありますけれども、ただいまお話のごとき警視庁内の対立であるとか、あるいは紛争であるとかいうようなものは、従前でありますれば、それは政府の最も関心事でありまして、政府がまた処置し得たのでありますが、今日の警察制度におきましては、これはまつたく自治警察の公安委員会の責任であり、その権限内に属することでありまして、政府は何とも干渉のしようがないのであります。

田中堯平日本共産党

○田中(堯)委員 その点については、大いにわれわれと見解が異なりますが、それはそれとしておきまして、もう一点だけお聞きしたいことがある。前中野警察署長日野という人が、十三万円もらつたということは、これは事実となつて明らかになつております。ところでこれは法律的に見るならば、どう考えても犯罪を構成すると私どもは考えるのでありますが、しかし田中警視総監の予算委員会における説明によると、これは厚志として正式に受領しているので、何の犯罪も構成しない、これは單に田中警視総監の單独の考えでなしに、検察当局とも十分打合せの上で、十分検討の上で無罪という判断をしたということでありますが、さてお尋ねしたいのは、そのときに検察庁は一体いかなる検事が、あるいはいかなる機関が相談にあずかつて、また日野前中野署長を喚問するなり、いろいろ調べた上でやつたのであるか。ただ單に何かの報告書というようなものに基いて、そういうような判断をしたのであるか、検察庁の当時の行動について御説明を願いたいのであります。

佐藤藤佐刑政長官

○佐藤(藤)政府委員 お尋ねの点につきましては、まだ何ら報告に接しておりませんので、お答え申し上げる資料は持ち合せがございません。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 関連して法務総裁にお尋ねをいたしたいのでありますが、その前に、同僚の社会党の猪俣代議士に一言——これは釈明になるかも知れませんが、御釈明できればお願いしたいのであります。と申しますのは、昭和二十五年二月二十四日付の東京新聞の記事であります。これによりますと「政、官界をゆすぶる、野党側法務委で究明にきまる」という題目のもとに、猪俣浩三社会党代議士談といたしまして「佐藤事件の真相究明によつて政界は大きくゆれるだろう、数々の材料はすでにつかんでおりむしろ黒幕の大物が逃げ出すのをおそれているほどだ、單に佐藤氏が民自党の一部に金をばらまいたという問題ではなく、純然たる刑事事件に発展する性質をもつている、内容については野党側としての作戰上正式委員会付議後発表したいと思う、もし與党側が多数をもつて反対することがあれば世論に訴えても目的貫徹に努力するつもりだ」こういう談話の発表がありますが、はたして猪俣代議士は、この談話を東京新聞に発表したことがあるかどうか、これをお答え願いたい。——釈明ができないのですね。釈明ができないようでございますから、議事の進行につきまして発表いたします。  法務総裁に質問する前に、議事の進行上、今私が申し上げましたような、猪俣社会党代議士の談話があるのでありますが、この談話がはたして真実なものかどうか、一応猪俣代議士にお聞きして、それを中心に私の質問を進めて行きたいと思いますが、お諮りを願います。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 猪俣君、どうですか。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 異例のことで、私も政府委員になつたようなもので、光栄に存じて……。本件がいたく世論を刺激しておつて、何か警視庁内部において、あるいは一部の分子が警察権を左右しているがごとき印象を與えておるのでありまして、われわれ国会議員としては、事の真相をつかなければならない。それがゆえに憲法に許されましたところの国政調査権によりましてこれを明らかにし、事がなければ邦家のためにはなはだけつこうであるし、疑惑に満ちたことがあるならば、どこまでもこれを追究いたしまして、事を明朗にしなければならない。このかたい決心を持つておるという趣旨の話はしたのであります。そここでわれわれは、昨日当法務委員会へ国政調査の要求書を出したのでありますが、民自党諸君の御意思もあつてこれは保留して、なお質問戰によりまして事の内容を明らかならしめると同時に、われわれの方も、この要求書を充実せしめまして、ここに事の完璧を期したいということは先ほども申して、田嶋君も御存じの通りであります。私は新聞記者にはさような意味の話はしたのでありますが、今の田嶋君が読みなされたところの言葉、語勢、調子、事実の中には私のしやべりましたことと違う点も多々あるのでありまして、その点については責任は負わぬのであります。

田嶋好文民主自由党

○田嶋(好)委員 これ以上猪俣代議士にお答えを願うことはできませんので、私これからそれを中心にして、法務総裁にお尋ねをいたしたいと思います。この佐藤事件というのは、本日社会党の猪俣議員、共産党の林議員等から非常に疑惑に満ちた事件として質問が展開せられておるように見受けるのであります。しかし当委員会に現われて参りました野党諸君の要求書によりますと、これは至つて漠然といたしたものでありまして、何一つとして具体的な事実が現われておりません。そこでわれわれは、この事件が当然国政調査の対象になるものとは考えていないのでありますが、ただ猪俣代議士の、議事進行に名をかりるところの委員長の問いに対するお答えで、この談の中に間違いの点もある、自分としては徹底的に究明するということを言つたのだというようなお答えでありましたので、徹底的に究明するということは、何らかの事実をつかんでおつて考えられなければ出て来ない言葉なのであります。徹底的に究明するという以上は、猪俣委員の方におきまして、相当究明すべき資料をつかんでおつて、そうしてそれを究明するということに解釈しなければ解釈が成立ちませんので、新聞の内容に入つておりますところの純然たる刑事事件に発展する性質を持つておるというようなこと、これは言つたか言わないかわかりませんが、大いに考えなければならぬ点だと思うのであります。新聞にこれだけのことが発表されまして、佐藤事件がとかく新聞紙上の話題となり、世間の話題となつております以上は、一応告発の手続がなくとも、法務当局、検察当局におきましては、これは国政調査とは離れて、検察事件といたしまして、告発されたと同様に取調べをすべきものだと思うのであります。して見ればそれを前提にいたしまして、まずこの言葉を吐いたであろうところの告発人である猪俣代議士を、検察当局にお呼びを願いまして、告発人としてこれをよく調査いたしまして、そうしてその事実を基にして、この事件を御進行願つて行きますなれば、最も早く世の疑惑を解くものであり、最も早く真相が究明され、いかにも野党の政界騒がしの事件であり、いたずらに針小棒大に事を構えて、世の中を撹乱せんとする陰謀にすぎないということが、最も早く明らかになると思うのでありますが、この点に対しまして法務総裁は、いかような御見解でございましようか。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 検察当局が猪俣さんにおいでを願つて伺うかどうかわかりませんが、猪俣さんがおいでになつてお話になれば、それは喜んで承ります。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 加藤君より委員外発言の申出がありますが、これを許すに御異議ありませんか。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 御異議なければ、これを許します。加藤君。

加藤充日本共産党

○加藤充君 特別な発言をお許しになつていただきまして、恐れ入ります。私は今田嶋君の言われたことと同じようなことで、ちよつと違うことをお尋ねしたいのですが、新聞記事になつたり、議会の問題になつてから、大分時はたちますし、問題のなり方もずいぶん深刻をきわめたのが佐藤昇氏に関するこのたびの事件だと思う。それで猪俣君のたまたまの新聞発表の談話というようなものを、積極的にお取上げになる必要が法務府の方に、殖田さんの職責としておありになるというのが田嶋さんの御発言だつたと思うのですが、それよりもまずどろぼうの方、疑いをかけられている方の者を調べる。従いまして今申し上げたような事態になつておるときに、問題になりました諸点について、法務府ではお調べになつたことがあるかどうか、そういう点をお聞きしたいと思うのです。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 佐藤の事件は、昨年来ずつと調べて参つておるのでございまして、今さら急に調べる必要はないのであろうと思います。必要があるものは調べておりますし、また私は直接これに関係いたしませんから存じませんが、検察当局にそういうことの手落ちがあろうとは思つておりません。

加藤充日本共産党

○加藤充君 それではこの事件の今までの検察庁方面の関係は、勾留状の発行などというところで関連は十分に出て来たのですが、そういう問題の中に重要な証拠ないしは人物などを、故意に、あるいは無意識にか落しておつて、そういうやり方では本格的なというよりも、常識的な調査、あるいは取調べのやり方になつておらないというようなことをお思い当りになつたことはありませんか。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 さように考えたことはございません。十分に捜査いたしておると思つております。

加藤充日本共産党

○加藤充君 金を渡したというようなことについて、はつきりした証拠がありますような場合に、それを受取つたと思われるようなものが捜査線上に浮び出しましたときに、受取つたものをお調べになつたりしなければ、これははなはだしく捜査の手続が懈怠されておると思うのでありますが、そういう事柄について、この佐藤昇事件の調査に何か現われておることがなかつたのでありましようか。そういう点お確かめに相なりましたか。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 金銭の授受があつたといたしましても、それが犯罪の容疑がなければ、捜査をする必要はないのであります。私ども毎日金銭の授受はいたしておるのでありますが、一ぺんも捜査されたことはないのであります。

加藤充日本共産党

○加藤充君 私は金銭の授受だけじやなしに、涜職という疑いをもつて証拠調べや取調べを行つて、たまたまそこに金銭を渡したという事実が一方的に明確になつた場合において、金銭を受取つた方を、何の目的で、何の意図をもつて受取つたかというような、受取つたものの方をお調べにならなければ片手落ちだと思うのですか、この佐藤昇の事件の間に、そういうふうな受取つたものを調べないというようなことについて、何かあなたの方で監督上あるいは新聞、国会の問題になつてからタツチせられてから後に思い当る点があつたかなかつたか。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 受取つたといたしまして、それが犯罪の容疑があるといたしましても、何も一々当人を呼び出さなければわからぬこともないのでありまして、私は検察当局は、それらの点に十分に愼重に、かつ手落ちなく捜査をいたしておることと考えます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 私の方で結論をつけたいと思いますが、殖田法務総裁は、田中警視総監と坂本刑事部長が、佐藤事件で辞意を表明したという事実を知つておるかどうか。これをお尋ねしたい。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 まつたく存じません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 佐藤と増田官房長官を仲介しておる岡崎氏が、民自党の某代議士を通じて、歌冨士、一力という待合でちやんと会つておる。さらに佐藤と増田君が、岡崎の仲介で増田君の事務所で会つておる。しかも増田君は岡崎君に、先日はありがとうというお礼まで言つておるという事実は、われわれは相当根拠がある。ここでわれわれがあなたに聞くのはいいかげんのことじやない、先ほど田嶋委員も言われておりますが、いいかげんのことを言つておるはずはないもちろん告発をする。告発をするけれども、刑事事件以上に大きな問題があるから、われわれは国会で問題にしておるのであります。そこで殖田法務総裁にお伺いしたいことは、こうした大きな疑惑を受けておる増田官房長官に対して、少くとも国務大臣として、あるいは殖田法務総裁として、適当な処置、あるいは将来の監視、そういうようなことをされる意思があるかどうか、その点もひとつお聞きしておきたい。

殖田俊吉法務総裁

○殖田国務大臣 増田官房長官の名前はしばしば出て参るのでありますが、私は検察当局から増田君に容疑があるということを、一ぺんも通告を受けておりません。

花村四郎民主自由党

○花村委員長 ほかに御質疑はございませんか——なければ本日はこの程度にて散会いたし、来る二月二十七日月曜日、午後一時より開会いたし、商法の一部を改正する法律案について、政府より提案理由の説明を求めたいと思いますから、さよう御了承願います。  本日はこの程度で散会いたします。     午後四時二十六分散会

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