法務委員会 第2号
- 発言数
- 33 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1949/12/21
会議録
○花村委員長 これより会議を開きます。 本日の日程は検察行政に関する件でありますが、検察官の俸給に関する人事院の勧告について、政府の所見を求めます。
○牧野政府委員 検察官の現行給與制度は、一般の政府職員とは別に、裁判官の報酬法に準じまして、独立の法律をもつて規定されておるのであります。これは検察官の職務と任用制度とにかんがみまして、当然のことであるのであります。しかるに今回の人事院の勧告によりますと、検察官の給與法も、他の政府職員と同じ一般の給與法に切りかえることが必要であるとするのでありますが、これは検察官について、裁判官に準ずる給與法をとることの合理的な立場に反すると思うのであります。検察官の給與法が一般の給與法に組み入れられることは、今後において裁判官の報酬法と別個の審議過程を経ることになる結果、裁判官の報酬法とはまつたく切り離された対象となるおそれがあるのであります。つまり現在におきましては、法務委員会において取扱われておりますが、これが人事院の勧告によりまして、一般給與法となれば、人事院の権限のもとに置かれるわけであります。こうした取扱いの上におきましても、裁判官の報酬法と、それから検察官の場合とが異なつた関係になりまして、はなはだしくそこに不便と不合理な結果が生じて来るのであります。検察官の俸給は、一般職員の給與との関係が問題となるよりも、こうしたことから、裁判官の報酬との均衡が問題になると存じます。現在の任用制度をそのままにして、給與の面のみを切り離して処置することは、本末を誤るものでありまして、こういうような立場から考えまするならば、今回の人事院の勧告に対しては、法務府といたしましては賛成することができ得ないのであります。
○花村委員長 何か御質疑はありませんか。
○田中(堯)委員 今の人事院の勧告というのは、検察官だけですか。検察事務官は含まれておりませんか。
○牧野政府委員 検察事務官は、すでに一般公務員として取扱われておりますので、それは勧告の中には含まれておりません。検察官だけであります。
○花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。 —————————————
○花村委員長 次に委員派遣承認申請の件を議題といたします。 裏日本福井、武生、今立、米子各市の裁判所または検察庁怪火事件調査のために、委員を派遣したい旨の希望がありますが、いかがとりはからいましようか。——委員を派遣したい旨議長に承認申請書を提出することに御異議ありませんか。
○花村委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。派遣委員の氏名、派遣期間等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
○花村委員長 御異議がなければさようとりはからいます。 —————————————
○花村委員長 次に、検察事務室の俸給等に関する問題につき、政府の説明を求めます。
○牧野政府委員 検察事務官の問題でありますが、現在は一般公務員と同じに取扱われておるのでありますが、検察事務官の職務とその責任の特殊性にかんがみまして、一日も早くこれを改めていただきたいと存じておるのであります。すなわち一般の政府職員と同じ俸給になつておりますが、これを税務職員及び経済調査官と同じ線に上げて行きたいという強い考えを持つておるのでありまして、これは本年の初めから、人事院といろいろ交渉いたしまして、そうして政府職員の新給與に関する法律の改正方を申し出ておつたのであります。その大体の條項も提示いたしておつたのでありますが、これに対しましても、人事院では非常に好意を示してくれまして、法律の改正よりも、同法に基く俸給調整の方法として、人事院規則による措置が簡便であるとの見解から、その改正の手続をとつておられたのでありまして、これは人事官会議においても決定しておつたのであります。そうして関係方面といろいろ折衝してくれておるのでありますが、いまだに関係方面の了解を得ることができ得ない状態にありまして、人事院におきましても、国会等において、法律案の提出等によつてされてはどうかというような意見も、最近になつて漏らしておるのでありまして、私たちといたしましては、何とかこの検察事務官の特殊性に顧みまして、この制度の改正を提出いたしたいと考えておるのであります。何分この点について御協力を賜わりたいと存じております。
○花村委員長 何か御質疑はありませんか。
○石川委員 関係方面の了解が得られぬとお聞きしましたが、これから折衝しましたならば、了解を得るお見込みがありますか。
○牧野政府委員 これは向うで強く反対しておるわけではないのでありますが、向うの考えといたしましては、これ自体についてはさほど反対ではないのでありますが、ただ日本の職員の中に特別職というものを置くこと自体を、だんだんとなくして行かなければならぬのではないかというような考えを持つておるのと、それからもう一つは、検察官というものは、アメリカ式に考えておられると思いますが、捜査や何かにまで関係すべきものじやない、捜査その他は刑事なり警察官がやるべきものであつて、それらが持つて来たものを部屋の中で処理すればよろしいのである、それだから検察事務官のごときも、特別に扱うような性質のものじやないのじやないかというような意見も漏らしておるように聞いておるのであります。しかしこの点を国会あたりからも、よく日本の実情なり特殊性を御説明願えれば、あるいは了解が得られるのではないかというふうに考えておるのであります。
○石川委員 それから予算もこしらえなければなりませんが、大蔵省との折衝はどうなつておりましようか。
○牧野政府委員 今年度におきましては、非常に現在欠員が多いために、この問題は操作によつて十分やつて行けると思います。来年度におきましては、大蔵省といたしましても、見込み予算で組まれる可能性は十分にございます。
○田中(堯)委員 人事院の方では、特別号俸をつくるには、ただ検察事務官だけではなしに、その他たとえば農林省の作報関係の職員とか、あるいは電通省の国際電信事務の職員とか、または建設省の地方支局の職員というようないろいろなものをあげて、一般的な特別職の例を設けるような方針と漏れ聞いておりますが、そのようなことはどうでしようか。
○牧野政府委員 人事院の方では、やはりただいま田中委員の申されたような関係で、今申されました以外にも、税官吏のようなものを一緒に入れて、人事院規則を簡單に解決しよう、こういう考えらしかつたのであります。その点において、非常に検察事務官の方も不利益な立場に置かれているのじやないか、そうした関係から、関係方面では、特別職というものをこんなにいろいろ設ける必要はないじやないかというような考えの点に巻き込まれたような関係になつているのじやないか、こう思うのでございます。それでこれを別個に切り離して、国会あたりの権威のもとに立つて折衝していただければ、これは相当可能性があると私たちも考えております。
○田中(堯)委員 刑事というような職務と検察事務官の職務は大分違うと思うのですが、特別号俸を設けて、特にめんどうを見てやらなければならぬというこの意味を、もつと具体的に説明していただきたい。それを敷衍して言いますと、法務庁の職員とか、あるいは裁判所の職員というものと、非常に違つた危險な仕事であるとか、あるいは職務の内容が質的にたいへん激しいとか、そういうようなことを、もつと具体的に説明をしていただきたいと思います。
○牧野政府委員 この点は、検察事務官は検事と一体となつて仕事をする場合が非常に多いのでありまして、そうした関係から、家宅捜索に出かけることもございますし、いろいろな変死等がありますと、検事と一緒にやはり現場に急行して、それらを調べるというような危險の伴う場合が、捜査官などよりずつと多いのでございます、そういう関係から言いまして、むしろ私たちとしては、警察官並にもつと上げていただきたいという希望がありますが、しかし少し遠慮しまして、さしあたつて税務職員や経済調査官程度でお願いしたいと思つております。
○田中(堯)委員 全検察事務官の員数の中で、全部が危險な、あるいは激しい仕事に従事しておるわけではなしに、調書をこしらえたり、あるいは計算事務をやつたり、いろいろなそういう方面のデスク・ワークの人たちも相当多いと思うのですが、これを数学的に、どの部分の何人くらいがそういう危險な仕事に携わる、他はそうでもないというような調査が、もしおわかりでしたら御説明願いたいと思います。
○牧野政府委員 ごもつともの点でございますが、検察事務官の場合におきましては、会計等をやつておる者でも、やはり交替にほとんど同じに宿直等をやつておるのでありまして、そういう場合におきまして、何か事件が突発すると、やはり会計事務に携わつておる検察事務官も、検事と同行して出かけて行くのであります。それでありますから、警察事務の場合におけるいわゆる会計その他の仕事をやつておる場合と、検察事務官の場合とは非常に異なつておるのでありまして、詳細の点については、上田事務官から御説明を申し上げますが、ただそういうふうに区別はわかれておりましても、危險を伴うべき場合に職務に携わるのは、会計事務の方をやつており、その他のデスク・ワークの人間でも、一様に携わることが非常に多いということを御了承願いたいと思います。
○田中(堯)委員 労働組合関係のことですが、今までは法務府関係と一緒になつて、全法務労働組合というものがあつたのですが、これが今度は検察庁関係の事務官だけは別個にわかれて、全国的に別の組織をつくるという動きが今台頭しておるのです。おそらく御承知のことと思います。ところで私どもの調査によると、このいわば第二組合、さらに言えば御用組合と私どもは言うのですが、こういう組合を組織するについては、実は名前もちやんと調べてありまするが、れつきとした検察官、あるいは検事正までがこの組合をつくることを指導し、さらにはそういうような特別の第二組合をつくり、これに参加せぬことには相当な不利を見ることもあるというようなおどし文句まで使つて、そうして今せつかく組織中のようであります。そこでこの検察事務官だけを結集して一つの第二組合、御用組合をつくるのについての一つのえさと言いましようか、検察事務官だけは特に厚く遇する方法をとつてやるから、それでついて来いという交換條件にこれを使つて、盛んに新組織をつくることを慫慂しておられる。そういう向きが私どもの調査ではあがつておりますが、その間の事情は御承知でしようか。
○牧野政府委員 私たちといたしましては、健全なる労働組合ができますことについては、あらゆる便宜と応援をささげることにやぶさかではないのであります。しかしながらこういう検察事務官の問題をえさとして、それに基いて勧誘するというようなことは、絶対いたしておらぬのであります。検察事務官の組合というものも、やはりそれらの人々の自主性にまつてやつておるのでありまして、ただいま田中委員の申さるるようなことは、私たちの立場といたしましては絶対にあり得ない、さように考えております。
○田中(堯)委員 たとえば去る十一月十七日に、東京地検では課長会議をわざわざ開いて、そうしてこの特別号俸の獲得促進の運動を起そうというので、その運動方針も決定しておるようであります。およそ五項目ばかりありますが、その中には、この第二組合をつくるために、大いにこれを活用しなければならぬという趣旨も盛られておるようであります。また他の例をとると、堀検事正のごときは、検察事務官の労働組合の幹部を集めて、そうして最近庁内に全官労とつらなる全法務から脱退をして、検察庁独自の組合をつくる動きがあるが、たいへん喜ばしきことである、当局としてはできるだけの援助を與えたいと思うというような意味のことを言つておりますし、また福島部長検事は、第二組合には資金を融通してあげようというようなことも言つておる。また石川検事のごときは、組合の職場代表を集めて、第二組合の結成を盛んに強要して言うには、もしこれに従わなければ、それ相当の覚悟が必要だということまでおどし文句を言つている事実が、私どもの調査によればあがつておるわけであります。こういうふうな場合に、いつも特別号俸の設定という問題が引合いに出されておる事実があるわけです。さらに私の方では調査を進めるつもりでありますが、その辺についてもし御認識がなければ、あらためて——これがもし事実であるということならたいへんけしからぬことであると思います。すなわちその監督指導の責任にある者が指導をして、かつてに組合をつくらせる、いわゆる御用組合をつくるというふうなことは、労働組合法の精神にも反するし、さらには不法行為でもあると私どもは解釈いたしますが、そういうふうな不都合なことが行われておるかどうかという点について、ひとつ政府から詳細なる調査御報告を願いたいと思います。これは今席すぐというわけには行きませんから、この問題に関連して、他日御報告を願いたいと思います。
○牧野政府委員 ただいまの点でございますが、これは検察事務官の特別号俸の問題と、新たなる労働組合をつくるという問題とは、はつきりと別個のものでありまして、われわれといたしましては、この検察事務官の特別号俸ということについては、堀検事正のみならず、私たちもできるだけこれを実現さしてやりたい。いわゆる検事の給料は、他の一般公務員よりも優位に扱われておりますために、一緒に働いておられるところの検察事務官が一般公務員と同じだということは、これはまことに忍びないことだと思いますので、やはり特別号俸にしてやりたいということは、たれしもが考えられるところであると思うのであります。しかしながらこの新組合の結成ということは、これはやはり先ほど私が申し上げました通りに、組合員自身の自主性にまつことであります。しかしこの新組合をつくることについて応援を求められた場合におきましては、やはりこれに対してあらゆる便宜と応援とをすることは、これは常識として当然の義務であると私も考えております。それでありますから、この二つの問題というのは別個の問題でありまして、これを混同せられて、非常にゆがめられたところのそうした見解をせられているということは、はなはだ不本意な点でございまして、何分この点について、さような見解をなさらないようにお願いいたしたいと思います。
○田中(堯)委員 普通の常識からしますと、この特別号俸の設定ということも待遇改善の一つであります。そのような待遇改善を求めるのは、労働組合がやる仕事であるわけであります。それを政府御当局、さらには検察庁が先頭に立つて一生懸命運動をしておられるということは、普通の常識からするならば、ちよつと解せぬ点があるわけでありますが、その点についての御見解を承りたいと思います。
○牧野政府委員 この検察事務官の特別号俸の問題は、第二組合の起るずつと以前からの問題でありまして、この点から観察しましても、これとは全然異なることは御了解願えると思います。 それから先ほども申し上げましたように、この労働組合の結成というものは、あくまでも労働組合関係者の自主性に立つておるわけでありまして、われわれといたしましては、これに対しまして、この先頭に立つてさしずがましいことはやつておりません。
○田中(堯)委員 今の点については、はなはだ不十分だと思いますが、ともかくも特別号俸設定について、非常に政府当局が、また検察庁幹部も熱心であるということは、事実でありまして、そういうことは労働組合がやるべきことであるし、また労働組合が事実やつたという事実でもあれば、われわれはわかるのですが、まだ労働組合の方から、そういうふうな要求は私ども一向耳にしておりません。ただもつぱら政府当局の方で御熱心なのでありますが、その辺、どうも了解に苦しむわけであります。
○牧野政府委員 この問題は第二組合といいますか、新たな組合を組織するというようなことは、法務府の関係の職員というばかりでなく、他にもこういうものが幾つもあるのじやないかと思つております。それらと対比して考えてみますと、田中委員の申されるような誤解が起きて来ないのじやないかと思つておるのですが、この点どうか御了解を願いたいと思つております。
○高橋(英)委員 検察事務官の待遇を税務職員や経済調査官と同様にするという改正は、最も時宜に適したことで、すでに遅いのではないかと私は思うのです。大体昭和二十三年の法律第四十六号で、税務職員や経済調査官がこういうふうな特別な待遇を受けておるにもかかわらず、その際になぜ検察事務官が入らなかつたか、その点のいきさつがおわかりでしたら御説明願いたい。
○上田説明員 私から説明いたします。法律第四十六号ができます当時、特別俸給表に入れられましたものは、一般の職員よりも勤務時間の長かつた者であるとか、特殊な手当をもらつておる者であるとか、そういつたものを本俸の中に織り込むという意味であれが出発したものであります。当時検察事務官は、新刑訴実施以前でありまして、そういつた特殊な手当をもらつていたという点がありませんでしたのと、もう一つは部内の現在の法務局、当時の司法事務局の職員などとの均衡の問題からそのままに置かれたわけであります。その後新刑訴も実施になりまして、以後法務局も非常に額の高いものになつて参りましたので、現在においては、そういつた均衡上の問題もなくなつたということもあります。同時にまた一面で、検察事務官の職務内容、あるいはその勤労の度合い、こういつたものと対比して考察せらるべき経済調査官であるとか、海上保安官であるとか、そういつたものが新しく入つて来たわけでありまして、これとの均衡を考えてみますと、どうしても検察事務官も特別俸給表の中に入れるべきだという結論が出て参りましたので、今年の春から、本格的に私どもとして決定をいたしたいというので、いろいろ努力をいたしたわけであります。
○花村委員長 ほかに御発言はありませんか。——なければ本会議が始まりましたから、本日はこの程度で散会いたします。 午後三時九分散会