文部委員会 第3号
- 発言数
- 24 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1950/02/09
会議録
○圓谷委員長代理 これより会議を開きます。 日本学術会議法の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)を議題といたします。前会に引続き質疑を継続いたします。
○松本(七)委員 前会の政府委員の御説明によりまして、その改正の趣旨はよくわかつたのでありますが、ただ問題になるのは、第十七条第二項の改正の点であります。御説明によりますと、ただ責任者の証明だけでは、学術会議の会員として不適当な者がなる危険が多分にある、これまでの経験から見てもそういう例がある。そこでそういう認定が必要だといわれるのですが、これは学術会議の制度が最近始まつたばかりであり、そう急に立派なものを求めることも、むずかしいだろうと思います。そこで何とかしてこれをますますいいものにして行こうという熱意は、よくわかるのですが、ただそれだからといつて、学術会議員を選ぶのに、学術会議の中の選挙管理会というものが、選挙資格あるいは被選挙権の資格を制限するという行き方が、原則的に疑問があるのであります。結局は会員相互の中から、互選によつて選ばれるのでありますが、この管理会によつて認定するというようなことを突き詰めて考えますと、結局推薦制みたいなものと考え方が、似たものではなかろうか。何で積極的にこういう制限を学術会議自体がやる必要があるか、その点積極的な理由というものが明確でないので、もう少し御説明願いたい。
○本田説明員 学術会議の会員の選挙及び被選挙の資格は、学術会議法の第十七条によつて規定してあります。その規定のわくの中での第二項におきまして、「所属の学会若しくは研究機関の責任者の証明により、研究者であることが証明される者でなければならない。」とうたつてありますが、今日学会もしくは研究機関が相当ございまして非常にまちまちであります。従つてその最低基準を示しておきませんと、どの程度で証明していいかということが、研究機関、学会等において非常にまちまちになります。また学術会議といたしましても、一部から七部まで総合されたものでありまして、その最低基準と申しますか、その均衡が著しく失することになります。お手元に差上げました資料の第十二によりましても、各部それぞれの事情によつて違いましようけれども、たとえば第二部法律関係のごときは、有権者として登録される者が六百八十一人、ところが第五部では一万七千人近くにも達しておるというような状態であります。そこでこの証明についての最低基準を明らかにする必要を認めましたために、こういう提案をしたわけであります。
○松本(七)委員 最低基準を何らかの形で一応整えておく趣旨は、わかるのでありますが、それを結局認定するのを選挙管理でやるということになると、何だかそこに矛盾があるような気がするのです。別個にそういう最低基準を認定するような制度をつくるということならわかるのですが、学術会議の会員の選挙権、被選挙権を定めるのに、その中の選挙管理会がその基準を定め認定するというところに、矛盾があるのではないかと思います。
○本田説明員 選挙管理会は、学術会議の中につくりますけれども、会員ばかりでなく、いろいろな学会から推薦せられました会員でない委員も加わりまして、十七条の全体の資格の中において個々に認定して行く、ただそれだけの権限しか持たないのであります。なおつけ加えて申し上げますが、学術会議法の第三十条によりますと「日本学術会議に、選挙管理会を設け、有権者の資格審査、選挙の実施、投票の効力の決定その他選挙に関する事務を行わせる。」ということがうたわれております。
○谷口委員 今の点、ちよつと私ども疑問を持つておるのです。聞いておりますと、研究機関あるいは学術会から推薦するという従来のやり方の中に、不都合があつたような事情も聞き及んでおるのでありますが、今説明員がおつしやつたように、非常にたくさんいろいろな形で研究団体もしくは機関、あるいは学会のようなものがあるのであります。その中から推薦されるという面につきまして、不都合があつた点を私どもは聞き及んでおる。そのことを、あとで、むしろ政府の方からの経験をお示し願いたいと思つておりますが、ある学会の主宰者の、学問的な方向に反するようなものはむしろオミットする、推薦しないというような傾向があつたことを、私ども聞いておるのであります。それはそれとして、今申しましたようにあとでお答え願います。そのことと本質的には同じこととなるのでありますが、学会として、あるいは研究団体として認めるか認めないかという問題についての論拠、あるいはその基準が非常にややこしい、そういう点からいろいろ問題が起きて来るのではないかと思うのであります。ところで、学会の推薦、あるいは研究団体の責任者の証明というものを離れて、管理会の認定だけで有権者をきめるということになつて来ますと、非常にたくさんある学会、研究団体の、その学会あるいは研究団体そのものを管理会がどう考えるかということ、そこにやはり非常な矛盾が起つて来る場合があるのではないかと思います。そこのところについて、幾らかたりておるのでありますから、今までの経験の間でどういう不都合があつたか、そういう問題について、やや具体明なことを聞かせていただきたい。
○本田説明員 学会、研究機関からの催せんを全然否定するというわけではございませんので、ただそれについては客観的に判定できるような資料をつけてもらいたい、こういうことが要求されるわけであります。それから今の具体的にこの前の結果にかんがみて不都合の点と申しますのは、ただそういう材料がありませんと、どう認定していいか非常に困つた。ほかにちやんと研究業績や何かはつきりしておるものは問題ないのでありますが、そういうものかはつきりしていなくて、ただ証明だけでは、どう認定していいか非常に困つた。従つてそれが学会によつて非常に区々になつて、また各部の不均衡も生ずるようなことになる、こういう点が不都合のおもな点であります。従つてこういうことで、はつきりさせようというわけであります。
○谷口委員 第五部で一万六千何百名というような有権者が登録されておる。これは具体的にどういうわけでこうなつたのか、私は開きたいと思います。各部の不均衡は、これはいろいろな不均衡が起つて来るのは当然だと思います。この場合、今度の改正案でも、前の法律でも、現行法でもそうでありますが、大学を出た後に二年とか三年とかきめて、学歴が非常にやかましくなつておりまして、それがほんとうの基礎になるような形になつております。実際には大学を出ましても、大学を出たあと研究者でない、むしろただの人になるのが非常に多い。あるいは研究団体に名前を連ねておつても、実際は研究者としては全然無価値な人もおつたりする。第五部の率の多いのはよくはわかりませんが、これはおそらく工業部門ですから、工場その他におけるいろんな研究機関といいますか、会員が相当にたくさん入つていらつしやると思いますし、これはある場合には、非常に当然なことであるとも言えるわけであります。そこで不均衡が起るというのは、ただ数の上でどこの部が数か多いし、どこの部が数が少いということから、そこから不均衡という問題が結論として引出し得るのではなくて、むしろ学校の経歴はあるが、実際は科学者でも何でもない人、こういう人がかなりある。その点についてやはり問題があると思います。逆に学校の経歴はないが、実際は現在科学者として、学者としての研究、もしくはいろいろな活動を相当やつている人なんかもおるわけであります。そういう人々、特に学校を出ないような人がやつている。ざつくばらんに言えば、文部省なんかが認めたことのないような民間の団体の中に、相当新しい研究者がおる、特に工場の労務者の中から出ております。新しいむしろ科学的に若い人たちが、多いのでありますが、しかしその熱條と真摯さにおいては非常にゆたかな人がおるのであります。むしろ学会に関係していない人が多い。こういう連中をどうするかという問題もあるわけであります。その点について御所見を伺いたいと思います。 もう一つ、第三項の「前項の業績報告は、文書又は口頭によりこれを行うものとし」というのがありますが、これと第二項の「研究論文若しくは業績報告」との関係であります。これは私どもの解釈によりますと、科学者として論文で研究を発表するとか、あるいは学会あるいは集会で、自分の研究を口頭で講演するとかいうような客観的事案が、その人が科学者であることを示す一つの事実になる。こういう仕事が管理会の認定の基礎となる。こういうことが第二項に書いてあるのだと思う。ところが第三項の業績報告というのは、その第二項にいわゆる事実の認定の基礎だなるそのことを指すのか、別にそれと同時に、あらためてこういう業績があるのだということを文書または口頭で管理会に申し出るのか、その手続上の問題、その点の関係をちよつと知らしていただきたい。これはそのいずれかによりまして、ずいぶんかわつて来るわけでありまして、その点はつきりしていただきたいと思います。
○本田説明員 第一の点についてお答えいたします。一応学歴もありますけれども、学歴のない人でも、十七条の三号によりまして、研究経歴が五年以上の人について、資格の基本が認められているわけであります。学歴だけによるものでもなく、また学歴をそれほど偏重しているものでもないつもりであります。 そうして第二の点につきましては、第二項で、研究論文若しくは業績報告によつて研究者であることが云々とあり、業績報告は、個人から申し出られる場合もありますし、研究機関、学会等から申し出られる場合もありましてただその際に抽象的に、業績報告がある。一生懸命研究しておる、こういうことだけでなく、それがある程度客観的に、どういう学会でどういうことを報告したとか、あるいはこういう論文を書いたとか、そういうようなものが必要である、こういうことを第三項にうたつただけであります。
○谷口委員 そこのところですが、たとえば、私なら私が民主科学協会に関係をしており、その中で何か研究発表をやつている、あるいは論文を書いておるという場合、民主科学協会あるいは私個人が、管理会に有権者としての資格の認定を申し出る、あるいは科学協会がその推せんをする。その場合に、すでにこういう講演があり、すでにこういう研究論文があるということを出すという意味でありますか。それともその場合に、そういう認定を申し込むために、別に一つの業績報告として、文書または口頭で申し出るということになるのですか、その点です。
○本田説明員 前に言われた通りであります。
○谷口委員 そこで先ほどの問題に返りますが、さつき社会党の方から御論議があつたように、学術会議の中に選挙管理会というものがあつて、それが学術会議の成立の基礎になる会員を認定する権限を持つ、それが唯一のことになつて来ると思うのです。つまりお手盛りで管理会—そういうことまで言つたのでは、ちよつと侮辱することになるのでありますが、あり得ることなので申しますが、管理会の委員の諸君が、次の選挙に非常に都倉のいい会員だけを認定するというような、そういう方向に行くおそれはないか。理論的に言いましても、自分たちが組織しておるもの、それをまた選ぶ選挙母体をきめることを、自分たちでやるということになつて来ると、そこに弊害が起きはしないか。その点について何か別な、そういう弊害に対する救済法が考えらるべきじやないか。松本さんも、その点をおつしやつたのだと思うのです。私もその点について、もう少しずつきりした今説明の中では、学術会議法の中に、管理会がそういう役目を持つそおるという条項があるというお話がありましたが、条項があるなしにかかわらず、そういう弊害が起り得ると予想できるのであります。これをどうして直して行くかという点についてお伺いいたします。
○本田説明員 選挙管理会につきましては、お手元の資料の第五でありますが、選挙管理規則というものが定められておりまして、そうしてその選挙管理中央管理会の委員は百五十人、これには学術会議の会員ばかりでなく、いやしくも科学者としてその資格があるような人は、選挙管理会の委員になり得るのでありまして、学術会議の会員だけでお手盛りするというような性質のものではございません。またそれは各地一方区にもそれぞれ設けられまして、專門別、地区別に学会その他の機関から推せんを受けまして、そうしてそれによつて構成せられるわけであります。一定の会員だけでお手盛りするというような、そういう建前のものでは決してございません。
○谷口委員 私はこれでやめますが、それは規則の上ではそうだと思うのです。しかし実際には、百五十何名というものが集まつて、一々審議するわけではないだろうと思います。そういう申出がある場合に、認定するには、やはり認定する別な機関が事務的にあつて、そこできめる。それはその会員だけでなくて、專門員の中からいろいろな人が出るわけでありましようが、そういう点やはりそこのところに問題があるのじやないか。それは形式的には、確かにそれに違いないでしようが、実際の運営は、そうはうまく行くものじやないと思う。問題はそこにある。
○松本(七)委員 今選挙管理会規則を御引用になりましたし、第三十条の規定を取上げて御説明になりましたが、大体この選挙管理会規則に盛られておるのは、学術会議の会員以外の者も入つておる、そういう構成の問題ではないので、むしろ私の聞きたいのは、二十条に規定してある学術会議の中の選挙管理会、これは要するに一定のきまつた資格が定められており、その資格に適格しておるかどうかということを審査し、それから選挙の実施と投票、そういうような選挙に関する事務的なことをやるわけです。そこでそういう任務を持つている選挙管理会が、この資格そのものに、タッチすることは、むしろ行き過ぎじやないか。そういう有権、資格というものについての規定は、ここまで伸ばさないで、研究機関、そういうものに広くまかせる。そしてなるべく広い範囲から有権者を出して選挙をやるということの方が、この学術会議の本来の趣旨に合つているのではなかろうか。むしろ今回の改正によつて、それに逆行するおそれがありはしないかという根本問題を、もう少しはつきりしていただきたいと思います。
○本田説明員 この認定と申しますのは、大体資格はもう定められているのでありまして、こまかな点について、法律第二十条による有権者の資格審査が、非常に広汎にわたるのではなく、疑問に思う者について、研究経歴があるかどうかとか、それが個人あるいは学会、研究機関の推せんによりまして、研究しているという事実が明らかであれば、それは当然認定されるわけであります。ただ一生懸命にやつているとか、抽象的なことでは困る、具体的にわかりやすいようにしてほしい、ただこれだけのことであります。
○圓谷委員長代理 他に質疑はありませんか。——なければ、この法案に対する質疑はこれにて打切ることはいかがですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○圓谷委員長代理 異議なしと認めます。よつてこの法案に対する質疑はこれにて終結いたしました。 —————————————
○千賀委員 科学及び科学技術振興に関する決議案が大体脱稿しておりますから、お諮りを願います。
○圓谷委員長代理 それでは前国会にも問題になりました、科学及び科学技術振興に関する決議案を、各派共同提案の形で提出の手続を、衆議院規則第二十八条によりとりたいと思いますが、御了解を願いたいと思います。この手続等に関しては理事会に御一任願えますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○圓谷委員長代理 異議なしと認めます。よつてさようとりはからいます。 —————————————
○圓谷委員長代理 次に文部当局から今会期中に提出予定の法律案について説明を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○圓谷委員長代理 御異議なしと認めます。速記をしばらく中止しておきます。 〔速記中止〕
○圓谷委員長代理 速記を継続してください。 それでは本日の会議はこれにて散会いたします。 午後零時十一分散会