農林委員会 第34号
- 発言数
- 54 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1950/04/22
会議録
○小笠原委員長 これより会議を開きます。 議事に入る前に御報告をいたします。ただいままで本委員会で予備審査を行つておりました植物防疫法案及び地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、動植物検疫所の出張所設置に関し承認を求めるの件が、昨日それぞれ参議院を通過し、正式に本委員会に付託と相なりました。以上御報告いたします。 次に去る二十日委員小林運美君が辞任せられましたが、昨日また議長の指名で小林運美君が委員になられました。なお小林運美君は理事でありましたのでその補欠選任を行わねばなりませんが、それは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは小林運美君を理事に指名いたします。 次に小林運美君は、公共事業小委員及び蚕糸価格安定に関する法律案起草小委員でありましたので、その補欠選任を行わねばなりませんが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは公共事業小委員及び蚕糸価格安定に関する法律案起草小委員に小林運美君を指名いたします。 それでは農林物資規格法案を議題といたします。本案につきましては、質疑並びに討論の通告がありませんので、この際質疑並びに討論を省略し、ただちに採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 それでは採決をいたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○小笠原委員長 起立総員。よつて本案は原案通り可決されました。 なおこの際委員会の報告の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。 —————————————
○小笠原委員長 この際井上委員より発言を求められております。これを許します。
○井上(良)委員 昭和二十四年度産米のリンク物資の滞貨の処理に関しまして、本委員会では数回にわたつて、これが円滑なる解決を政府に要望して参つたのであります。政府また諸般の情勢を考慮いたしまして、円滑なる解決を速急にはかるということを、たびたび各委員の質問に答弁をして来たところであります。その具体的な方法としまして、去る三月三十一日の閣議によりまして、滞貨の一部もいわゆる卸売業の方に返還をする。これに伴う金融措置十八億を見込んだということが発表され、これが農業協同組合の方に滞貨しております物資の処理に何ら役立たないというところから、全国の農協関係及び農民団体の猛烈なる要望によりまして、さらに四月七日再び閣議において、それぞれこれに対する具体案が強化され、報ずるところによりますと、十三億を滞貨処理の金融に充て、さらにまた滞貨のうち、現在価格に合わないものは、現在価格に引合せてこれを引取つてもらうということも、農林大臣は本委員会で言明をされておるのであります。しかるところ、この両案ともいずれも具体化が何らされておりません。しかも会期は余すところわずか十日余りとなりまして、この問題の解決いかんは、わが国の農業再生産の上に、また農村金融の上に重大な問題を今投げかけておるところでありますので、本委員会としては、ぜひ今会期中に、この問題を政府の責任において解決することを要望してもらいたいと思います。従つて速急に農林大臣及び安本長官、大蔵大臣、これら三大臣の本委員会に御出席を、委員長よりお願いをいたしまして、本問題の処理に適切なる方途を講じてもらい、政府の処置を明確にするために、この問題について特別の御審議をお願いすることの動議を、この際提出いたします。
○小笠原委員長 ただいまの井上君の動議は、報奨物資に関する問題について、農林大臣、経済安定本部総務長官及び大蔵大臣の出席を求めて、滞貨処理に関する政府の態度を明らかにされたいとの動議であります。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○小笠原委員長 起立総員。よつて、本動議は可決されました。
○小笠原委員長 次に植物防疫法案を議題とし、その質疑を行います。小平君。
○小平(忠)委員 簡単に要点を二、三点お伺いいたします。この法律によりますと、従来の植物に対する病虫害の予防の完全を期するという趣旨でございますので、この内容に対しては、私基本的に賛意を表するものであります。しかしながらその内容の点について、最も重要な点を二、三お伺いいたしたいと思うのであります。 第一点は、この一般病虫害の異常発生に対処するように、これは何といつても、国家的な防疫態勢を整備することが必要だろうと思うのであります。特にその場合に、防疫の防除の器具並びに農薬に対する予算的措置が講ぜられなければならないと思うのでありますが、この法律を一応つくりましても、これに対する予算的措置がなされておらなければ、まつたく空文に終るのではないかと思います。この際政府といたしましては、これに対する予算的措置がどうなつておるか、私どもの調査した範囲においては、予算的措置の具体的なものが表現されていないのであります。この点について、どうなつておりますか、政府当局にお伺いいたしたいと思います。
○藤田政府委員 植物防疫法を実施いたしまするについての予算的措置の問題でありますが、仰せの通り、将来国が積極的に防疫態勢を整えまして、徹底した防疫をやつて行くために、予算を必要とすることは申すまでもないのであります。これにつきましては、昭和三十五年度の予算といたしまして、必要なる人件費につきまして新しく予算をとりましたことと、さらにお話のございました動力散布機でありますとか、あるいは噴霧器等につきましても、国がこれを購入いたしまして、これを適当な場所に備えつけまして、一旦病虫害の発生いたしました場合は、これを無償で貸し付けるというふうな措置を講じております。それに要する経費が約一千六百万円だつたかと存じております。この程度の金を用意いたしまして、一旦病虫害が発生いたしました場合に、徹底的にやり得るというふうにいたしたいと考えております。なおこの程度の予算をもつてしても、不十分なことは申すまでもないのでありまして、今後とも財政の許す限り、極力予算その他の措置についても、その内容を充実するように努めて参りたいと考えております。
○小平(忠)委員 私はただいまの説明によりまして、大体了とするものでありますが、いかに食糧増産に政府が万全の措置を講じて努力されましても、私はやはり年々の病虫害によるところの損害というものは実に莫大なものがあると思います。昨年の実績を見ましても相当な額に達しておるのでありますが、この場合に、やはり基本的な予算的な裏づけをすることをもつてして病虫害を防除することによつて、私は減産あるいはその他の被害を未然に防ぐことができるということが、数字的に見て、また国家的見地から見て、何十倍かのプラスになると考えるのであります。政府もまた、国家財政の現状から見て、予算をとることは至難でございましようが、しかし今後におきましても、ただいま農政局長が言明されたような予算の範囲内では、とうてい私は完璧を期することができないと思うのであります。従いまして、今後におきましても、何分の御配慮をいただきたいと思います。 次にこの法案によりますと、新たに国内に侵入した病虫害が蔓延するおそれがある場合には、みずから政府の手であらかじめ防除計画を公表して、この防除を行う、その場合に、政府だけでなく、地方の公共団体あるいは農業団体にも協力させることができることになつております。その場合に地方の農業団体というのは、政府は一体どういう団体をお考えになつているか、実はこの点については、私たちの希望するところはかつて産業組合あるいは農業会——戦時中農業会を通じて、非常に自主的に、技術員がこの点については相当真剣になつてやつておつたのであります。今日においては、農業協同組合の生産指導という面において、技術員が相当積極的に活動いたしているのでありますが、当然長き経験と体験を有するところの、農業協同組合の技術員をして協力せしむることが妥当であると信ずるのでありますが、政府はどのようにお考えになつておりますか、この際その点を明らかにしていただければ幸いと思うのであります。
○藤田政府委員 国が防除いたします場合に、団体の協力を求めなければならぬことは、申すまでもないのでありまして、その団体と申しますのは、ただいまお話のございましたような農業協同組合でありますとか、あるいはまた最近災害保障法に基くところの共済組合が、積極的な災害防除もやつておりますので、こういう団体の協力を求めまして、その徹底を期したいと思つております。
○小平(忠)委員 最後に一点お伺いいたしたいと思います。特にこの植物の病虫害の中で、私はばれいしよのリングロツト、これが非常に大きな蔓延力を持ち、大なる被害をこうむるのであります。これに対して、政府当局はかねてからいろいろ施策を講ぜられておるのであります。ところが政府のばれいしよ貯蔵に対する政策が非常に徹底を欠いたために——もちろん今日の食糧供出制度の問題にも入ると思うのでありますが、現在二十四年産のばれいしよの大半がまだ倉庫にある。倉庫にあるだけでなく、野積みにされたばれいしよが非常に腐敗しておるという現状を考えますときに、いかに病虫害の予防、あるいは防除に万全の施策を講じましても、政府みずからのこういう貯蔵政策、供出制度の矛盾があつては、いかに努力されても何にもならないのじやないかと思います。従いまして、現在倉庫に積まれておるところのこのばれいしよを、政府はいかに処理されるのか、これは私は非常に大きな問題だろうと存じますが、この際政務次官に対しまして、ばれいしよの処置に対していかようにお考えになつておられるかお伺いいたしたいのであります。
○坂本政府委員 ただいまの食糧公団の在庫になつておりまするいも類の扱い方についてのお尋ねでありますが、いかにも今日の公団職員が、特に腐敗性のあるいも類につきましての扱い方がそまつであるという点につきましては、われわれも遺憾に思つておるのであります。もつと、つまり用意周到な使い方をしなければならないことは、申すまでもないのであります。このためには適当なまた施設も必要であろうかと思うのでありますが、先般実は各公団につきましても現地調査を願いまして、いろいろお話の点もありますので、食糧庁に命じまして、それぞれ適当な処理をするように、実は私からも話をいたしておるのであります。まだその結果につきましては報告を受けておらないのでありますが、これは後刻当該事務当局から御説明を申し上げたいと思つております。それで実は先般本委員会におきましても御報告を受け、いろいろ滞貨についての扱い方について御指摘もありましたので、私からも重ねて注意を喚起いたしておるような次第でございます。いずれまた次の機会に、食糧庁からもその後の扱い方につきまして、御報告をさせることにいたしたいと存じております。
○小笠原委員長 これにて質疑通告者全部の質疑は終りました。よつて本案に対する質疑は終局いたしました。 引続き討論に入ります。討論の通告はありませんので、この際討論を省略し、ただちに本案に対する採沢を行います。 本案の原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○小笠原委員長 起立総員、よつて本案は原案通り可決されました。なおこの際委員会の報告書の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。 —————————————
○小笠原委員長 これより地方自治法第百五十六条第四項の規定に基く、動植物検疫所の出張所設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。本件につきましては、質疑並びに討論の通告がありませんので、質疑討論を省略し、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議ないものと認めます。さよう決しました。 それでは本件について採決いたします。本件に承認を与うるに賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○小笠原委員長 起立総員、よつて本件は承認を与えるべきものと決しました。 なおこの際委員会の報告書の件にいてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。 —————————————
○小笠原委員長 次に自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案を議題とし、その質疑を継続いたします。
○山口(武)委員 先般農林大臣に質疑をいたしたのでありますが、不明確な点もありますので、一応この点につきましても、逐条審議に入る前に、お伺いしたい点があるわけなのであります。と申しますのは、政府の提案理由の説明によりますと、農地改革はおおむね所期の目的を達成することができた。それからなお今後達成された成果を恒久的に保持する方策を確立すべき時期に至つた。このように所期の目的の達成ということと、成果を恒久的に保持するということを言われておるのでありますが、先般の大臣の答弁によりますると、これはきわめて疑問のある言葉となつているわけなのであります。 〔委員長退席、松浦委員長代理着席〕 大体森農林大臣の見解は、第二次農地改革以来の考え方であつて本質的には戦争前の地主制度を保持していた時代と、何らかわつていないというような見解にうかがわれるわけであります。従いまして、この提案理由の説明にあるところの、所期の目的を達成する、成果を維持するということはこれは、一九四五年の十二月九日に出された農地改革の指令と同じことを現わしたものであるのかどうか、それとも森農林大臣なり、現在の政府なり、その当時の指令とは別個のものをここで指しておるのかどうか、これについてまずお伺いしたい。
○山添政府委員 農林大臣の考えに対する解釈についてお述べになりましたが、これはあなたの御解釈として承つておきまして、本案の提案理由の説明の中にごさいました、おおむね所期の目的を達成したという、その事柄に関連してお話になりました、昭和二十年十二月七日付の、いわゆる農民解放に関する指令のこととの関連でございますが、提案理由の中に、おおむね所期の目的を達成したと申しましたのは、自作農創設特別措置法に規定します限りの事柄についての事項を、おおむねその目的を達成したという意味でございまして、二十年十二月七日の連合軍の指令に記載してありますことは、もつと広い意味であります。しかしてその中におきまして、自作農創設特別措置法によります事項は、他の指令の中の基礎をなすものであります。こういう考え方をいたしておるわけであります。
○山口(武)委員 ただいまの答弁によりますると、それは私なりの解釈だというようなことを言われておりますが、そうではなくて、森農林大臣の考え方自体が問題になつている。先般の言明におきましても、これは客観的に明らかにされている事実です。それで、この森農林大臣の考え方を見ましても、何を言つているのか、第三次農地改革というものを問題にして来れば、そういうことはやるつもりはないのだ。少くとも農民解放の指令に基いて、農村の民主化、それから地主制土地所有の排除というものを考えて行くという場合に、頭ごなしにただ第三次農地改革をやらないというりくつがどつから成立つか、成立ちはしないではないか。少くとも第三次農地改革を、自由党がやるやらないは別として、これに対しては、さような見解があるということで、問題が明かにされねばならなかつた。この問題を見ても、やりたくないから、しかたがないということでは、これは第二次農地改革すらもやりたくないのだというような考え方が、根底になつているのではないだろうか。この点について、私は個人の解釈なり、見解ではないということを、一応明らかにしておく。 それからなお今回の説明にある目的というものが、自作農創設特別措置法ということでありますが、これはそうではなくして、そのほかの法律にも関係して来るだろう。それからなお自作農創設特別措置法、農調法というような二つの問題を含めたものとして、その限りにおいて目的達成がなされて来た。農民解放の指令というものは、その根底をなしておるが、それも議論の限りではないというようなことを言われたのでありますが、そうすると自作農創設特別措置法以外に、所期の目的を達成するような考え方、それに対する方法というものは、なお別個にとられようとするのかどうか。これは農地改革に関しての範囲においてのことだ。これについての見解はどうか。
○山添政府委員 よけいなことでありますが、一言申しておきたいと思うのでありますが、第三次農地改革をやらないということにつきましては、第三次農地改革の内容といたしまして、二つあるわけでありますが、その一つは、残つておりまする保有限度の中の小作地を、全部撤廃するかどうか。第二には、山林を開放するかどうかという問題であります。それにつきまして、先般森農林大臣は答弁をされたのでありまして、すなわち第一の、残つておりまする小作地の開放問題につきましては、農業労働の中におきましても、家族労働の変化がある。従つて農家の労力と土地との結びつきにおいて、絶えずそこに変化を来しておる。その間の調節のための余裕という意味で、小作地の保有限度が認められており、その理由をもつてこれを開放する考えはない、こういうことを明らかにされた。それからまた山林の問題につきましては、治山治水の観点から所信を述べられたのであります。山林につきましては、林業経営というものは、御承知のように、細分することは本質的に不適当なのでありまして、そういうことの理由をもちまして、お述べになつたのであります。私は聞いておりまして、覚えておりましたから、その点を申し上げておきます。それから二十年十二月七日付の指令に関連いたしまして、さらに何らか措置を講ずることありやいなやという問題でございました。あの指令は、本質的に非常に広汎な問題を含んでおるわけでありまして、あの指令を基礎にいたしまして、固有の意味における農地改革のほかに、協同組合の刷新助成というような事柄、あるいは農林金融の事柄、あるいは租税制度、これはひとり農業関係だけではございませんで、全般的な問題としての租税制度の改革、これらの問題が着々取上げられ、解決方を指令されておるわけであります。おそらくあの指令に盛られましたことは、ある時点までに事柄を行いまして、それでおしまいということではなくして、極端な言葉で申しますと、永遠の目標を示しておる。ああいう方向で国政、なかんずく農業政策の面において、諸般の施策が講ぜられておるというわけであります。
○山口(武)委員 第三次農地改革の問題と関連しまして、保有地が家族労働の調節のためにあるのだということになると、保有地というものは、これは土地を取上げるという前提に立つて残されたということになりはしないか、いやしくも農地改革の精神から見て、そのようなことが考えられてよいものかどうか。これは許さるべきはずはないのであります。それから、なお家族労働の調節という問題であるならば、これは当然地主的な所有形態とは別個に考えられてよいはずである。そのような点からこれは問題とさるべきことではないはずである。そのような点を局長はどう考えておられるか、それをお聞きしたい。
○山添政府委員 その問題は、昭和二十一年に自作農創設特別措置法が制定せられるときに、非常に論議せられた問題でありまして、その当時の議論をむし返えすことになるのでありますが、当時関係当局並びに農林省の、小作地の一部の保有が認められました理由についての見解は、先ほど私が申し上げました通りであります。
○山口(武)委員 なるほど昭和二十一年農地改革案のできる当時議論され、その結果はだれが考えても、この保有地というものは、一体どういう意味を持つかわけがわからなくなつたというところに、世間の意見はおちついたはずであります。これはよく局長も知つておられるだろうと思う。局長自身も、これについて的確な説明は、おそらくなし得ないであろうと今も思つております。それはそれといたしまして、さらになおお聞きいたしたいのでありますが、この間森農林大臣は、私が自由党の政府は農地改革を打切ろうとしたところ、総司令部からおしかりを受けたことについて、戒心をしておるかどうか、こういう質問をいたしましたところが、戒心をしておりません。おしかりを受けたのではなく、ほめられたというような答弁をしていたわけなのであります。ところが実際問題として、そのようにほめられたと考えていいものかどうか、われわれ聞いておるところによりますと、一九四九年の十月八日に、農地改革の改訂案を農林省の総意にかけてつくつて、そうしてこれを新聞に発表をされた。これに対して十月の二十一日に、マツカーサー元帥から吉田総理大臣に書簡が来て、改革の打切りをやるような方向に進んではいけないという意味のことを言われたはずだ。それをなおほめられたのだというような考え方に立つておるとすれば、一体農林大臣は何を本気で考えておるか、一体農地改革というものを、本気で考えておるのかどうかとすら疑わざるを得ない。それからなお所期の目的を達成したとかいうことを言つておりますが、これは一九四八年の二月八日に、農地改革に関する件という指令が、マツカーサー司令部から出ておるはずだ。この中において、農地改革に利益の相反する勢力が農地改革の計画を妨害しておる。さらにここでその妨害を十分克服しなければならないということをつけ加えておる。そうすると、この目的が達成せられたということであるならば、はたしてそのような妨害というものが克服されたものであるかどうか、なおその妨害というものを、一体政府は具体的にどのように考えておられるか、これについて明らかにしてもらいたい。
○山添政府委員 昨年の十月二十一日、マツカーサー元帥の吉田内閣総理大臣あての手紙は、これは農地改革を恒久的にその成果を保持するようにということが、書簡の骨子でございまして、別に政府がしかられたわけではないのであります。結局……(「ほめられたのか」と呼ぶ者あり)それは文面をごらんになりますと、農地改革に成果を収めたということは書いてあるのでありまして、従つてその文句に関する限りにおきましては、一つの賞讃の辞であります。ともかく農地改革の精神をさらに闡明された、こういうふうに受取ればよいと思うのであります。また私どもはそういうつもりで仕事に努力をいたしておるのであります。それから改革でございまするから、当然これに対して反対的な空気も、過去においてあり得たことは当然でありまして、それらのことが農地委員会の広汎なる組織、その努力によりまして現に見るがごとき成果を収めた、こういうわけであります。
○山口(武)委員 マツカーサー元帥から吉田総理大臣あての書簡というものは、どういう関係で出されたか、これは、それまでの成果がどうだ、こうだということではなくて、その直前に自由党の政府が、農地関係の改訂案というものをつくつたから、これに対するおしかりを受けたことである。なお成果を上げたかどうかということを言つておりますが、農地改革の問題について、もしかりに成果が上つたとするならば、これはその当時においては、吉田内閣が政権をとつていたのではなかつたはずである。その以前にあつたものだ。そういうものが多少不徹底ながらも累積されて来た。賞讃されるならばその点である。これは吉田内閣としては、うぬぼれもはなはだしいから、考えを直してもらいたい。かようなかつてな考えで言われたのでは……〔「何を言つているのだ、自問自答だ」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長代理 静粛に願います。
○山口(武)委員 それからなお農地改革と利害の背反する勢力によつて妨害されているということに対する答弁がなかつたので、この点を明らかにしてもらいたい。
○山添政府委員 その点も申し上げたのでありまして、改革でありますからこれに反する勢力の反対があることは当然だ。それに対しては、農地委員会の広汎なる組織の努力によつて、現に見る成果を収めました。こういうことを申し上げたのです。
○山口(武)委員 農地改革と利害関係の相反する勢力ということについて説明がない。それからそれに対してどういう処置を講ぜられたか、現在どのような成果が上つておるか、これに対する説明がない。とすると一番初めの所期の目的達成ということは、理解できなくなる。従つてこれに対する説明をしてもらいたい。
○山添政府委員 この成果につきましては、数字が差上げてございますから、それでごらんを願いたいと思います。それからどういう種類の妨害的な行為があつたかということにつきましては、指令といいますか、あの注意書きのようなものが出ました当時におきましては、農地改革に対する憲法違反であるという訴訟がずいぶん出たのでありまして、主としてその事柄、またその事柄を出さしめるところの、いろいろな地方的な動きということが、注意書きを出させる人の頭にあつたと思うのであります。
○山口(武)委員 一体政府がそれをどういうふうに解決したのですか。少くともわれわれが知つている範囲においては、憲法違反であるという問題のもとには、もつと広汎な動きがあつた。農地改革にはきわめて多くの違反行為がなされて来ておる。しかも残念ながら自由党内閣の誕生を見ますと、その数がきわめて多くなつて来た。これはだれでも知つている事実である。農地委員会が腐敗したというのも、自由党政府の誕生をもつてこれに一層拍車をかけた。あるいはこれに関係する関係公吏の間においても、不正事実が増大した。このようなことが見られるときに、あなたがほかの方で指令を見てくれというようなことでは、事が済まなくなつて来る。しかもあなた自身もしろうとでないから、御承知のように、土地取上げの問題についても、きわめて大きな怨嗟が出ているのではないか。このようなことを明らかにしないで、農地改革の目的を達成したというようなことを言つていいものかどうか。われわれが農地改革という問題をまじめに考えるならば、現在法律の改正ということを考えるならば、当然この問題について、もつとつつ込んだ考え方がなされなければならないだろう。だから私は政府の見解、これに対する具体的な動きというもの、これに対する政府の克服策というものを明らかにしてもらつて、今後われわれがこれに対する態度をきめるについての資料としたいのだ、このように考えているから、はつきり言つてもらいたい。
○山添政府委員 最近特に農地委員の間の涜職的なことが多くなつたというお話でございますけれども、これは必ずしもそう事実を認めないのであります。なるほど農地委員会は各町村にございます。非常に広い組織でございます。また扱います事柄が、法律的に申しますれば簡単でございますけれども、具体的にはそれぞれ複雑な関係を持つておる事柄もございますので、多くの中には、間違つたことをやりましたものもなきにしもあらずでございますけれども、しかしこれらについての指導ということについては、十分努めて参つたのでありまして、あれだけの仕事についての瑕疵という点から見ますれば——瑕疵は一つもないのがいいのでありますけれども、まず大体においてうまく行つたのではないかというふうに、私は考えておるのであります。 なお土地取上げの問題につきましては、これは当初非常にたくさんございました。もつとも統計的に、必ずしも正確な数字はつかまれておりませんけれども、事実たくさんあつたのでございます。これは農地改革が行われるということも関連いたしますけれども、本質的には、やはり当事の食糧事情が主たる原因をなしておるのでありまして、それに加うるのに農地改革が行われるというので、一層土地取上げの問題が激化した時代があつたことは、確かでございます。これにつきましても、農地委員会の活動によりまして、非常にうまく行つたというわけには、確かに参らない点もあろうかと思いますけれども、しかし政府、府県並びに農地委員会といたしましては、その問題の処理の適正を期することにつきましては、十分な努力をいたしたのであります。
○松浦委員長代理 午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。 午前十一時五十七分休憩 ————◇————— 午後二時五十二分開会
○山村委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。 それでは自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案の質疑を継続いたします。山口君。
○山口(武)委員 午前中に引続きまして、質問をいたしたいと思います。先ほどお伺いいたしました、農地改革の成果を恒久的に保持するという点が、政府の答弁によりますと、なお不明確なのであります。なぜならば、農地改革の成果を恒久的に保持しようとするならば、農地改革はどの面から今後くずれが出るかという点を当然考慮いたしまして、その方面に対する対策というものが必要になつて来るはずなのであります。それにつきまして、これまでにおいて、どのようなくずれるような面が出ていたか、自作農創設特別措置法というもの、その他一連の関係する法律が、どのように違法が行われ、それが破られるようなことになつて来たかという点につきまして、お伺いいたしたのでありますが、これに対する答弁は、残念ながら明確なものがなかつたわけであります。これでは困るのであります。この成果を恒久的に保持するということの根底になりますのは、一九四五年の農地改革の指令なのであり、それによりまして、なお農民を身分的にも経済的にも解放し、新しく農業の発展をはかるというような点において、この成果の保持というものが、考えられなければならないというように考えるのでありまするが、これに対する政府の所見を承りたいと思います。
○山添政府委員 全然同意見であります。
○山口(武)委員 それならばなおお伺いいたしたいのでありますが、今回の改正法案におきまして、農地、牧野の強制買収、認定買収の打切りというような面が出ているのでありまするが、これがどうして、農地改革の成果を恒久的に保持することになるのであるか、私にはむしろ反対に行く傾向ではないかと思えるのでありますが、これに対する御説明を承りたい。 〔山村委員長代理退席、東浦委員長代理着席〕
○山添政府委員 いわゆる認定買収なるものは、これはなかなか取扱いにデリケートな関係があるわけであります。たとえば三町歩以上耕作している、これに対して経営が適正であるかないか、こういうような判断をいたすのでありますけれども、これはなかなか判断ということになりますと、主観的な要素等もまじりまして、相当複雑でございます。そこで恒久制度といたしましては、そういうまぎらわしいようなことを、市町村農地委員会の事務としてやるということは適切でない、簡単に明確に取扱える仕事をやつて行く、またそれをもちまして目的は達し得るのでありますから、そういう明確なる範囲に限定をした、こういうわけであります。
○山口(武)委員 簡単明瞭に事を運ぶというようなことで、本質的な問題をそらされておるのはきわめて遺憾であります。これは強制買収の問題にいたしましても、あるいは認定買収にいたしましても、買収漏れがあつた場合においては、これをなおも継続するとは言つておりますが、おそらくこれまでにおける農地委員会の運営の状態を見ましても、この買収漏れをなお今後買収して行くというようなことは、おそらく行われないだろう、当然こう考えられるわけであります。それからなお町村の今後の農業委員会において、譲渡計画を定めるというようなことも、一応規定されておるようでありますが、おそらくこれもなされないでしまうだろう。このように、われわれはこれまでの実績を見て当然推論するのでありますが、これに対する政府の見解はいかがでありますか。
○山添政府委員 これまでの実績を見ますと、あなたのおつしやることは全然反対なのでありまして、およそ農地改革の当初、二百万町歩を開放するという目算を立てたのでございます。これは正確な資料もございませんので、いろいろ間接的な推算方法をもつて、そういう二百万町歩という数字を出したのでありますが、御承知のように、開放面積百九十万町歩でございまして、おおむねその目的を達したのであります。そこで今後の見通しでございますが、買収漏れになつておりますものは、もちろん表にはわかつておりません。表にわかつておればむろん買収いたすわけであります。しかし多分若干はあると思いますけれども、ただいま申しましたような数字の面から見ましても、そう多くのものが買収漏れになつておるとは考えられないのでありまして、これは今後ともに精査をいたしまして、わかり次第買収を続けて行くことは、申すまでもないのであります。それから今後における農地委員会の強制移転の規定は実行されないのではないか、こういうお話でございますけれども、これは法律の規定によりまして、かりに市町村の農地委員会が法規の規定通りに実行しない場合があつたといたしましても、その場合には、関係者の方から強制受入れに関する計画を樹立するような申請をすることができる。その申請を取上げない場合には、都道府県農地委員会の方から農地の受入れ計画を立てるように、市町村農地委員会に対して指示をするわけでありまして、それにも従わなければ都道府県農地委員会が代執行をする、こういうふうに規定の上では十分なる制度が設けてあるのであります。従来農地改革をやつて参りました実績にかんがみましても、私どもは法律が規定の通りに実行せられるという確信を持つておる次第であります。
○山口(武)委員 ただいまの答弁は私はきわめて農地改革の精神を忘れた答弁だと思うのであります。と申しまするのは、開放面積の推定がどうこうというのは、これまでの政府の推定が誤つていたというだけの話でありまして、何らほかの意味はない。そのようなことを持ち出して説明されるということは、きわめて誠実を欠いておる。なぜかならば、あなた自身も御承知のように、どのくらい土地取上げが起つているのか、これは御承知のはずだ。この問題にことさらに目をおおうとしている。それから市町村の農地委員会が、これはなるほどやむを得ない法律であつたからやつたのであります。しかしながらこれをいかに妨害しようとしたかということは、だれでも知つていることであります。先ほど申しましたように、連合軍もこの点を指摘したはずである。こういう事実をあなたは知らない顔していようと思つても、なおこのようなことが行われているときに、今回の買収の一応の打切りというような形が出て来て、これを市町村の渡譲計画に譲るというようなことは——農地改革の案が発表されただけで、私はおそらくこれはどのような形に行われて来るかもわかりませんが、少くとも農地改革に相反する傾向を助長することになることは明瞭だ。あなたはそのことに、ことさらに目をおおうておられますが、そうは行かない。それから問題を簡単にするといつておりますが、農地問題を、そのように簡単にするというようなことで片づけていいものかどうか。これが日本のきわめて大きな変革であるという点から見ても、事を簡単に済ますなどといつていいものかどうか、たとい部分的であるとは申しましても、金納小作料というものが相当残存している。あるいは違法の行為がしばしば行われている。このようなことは、なお現在農村におきまして、封建的な身分関係が力強く残存しておる。これが基礎となつてこのようなことが行われているのだという点を見ましたときに、一体今答弁なさつたような態度で、この成果を保持できるものかどうか、しかもさらにそれに加えまして、最近の農村の不況という問題が加わつているときに、あなたはこの成果をこのような法律によつて、恒久的に保持できるとほんとうに考えているのかどうか、森農林大臣のもとにあるから、やむを得ずそのような答弁をなさつたかどうか、はつきりお聞きしておきたい。
○山添政府委員 今回の法律改正の目的は、提案理由の説明にもございますように、農地改革によつて立てられた諸原則を恒久化すということでありまして、これを恒久的にいたしまするためには、またその実行の手続等におきましても、いたずらに行政上の経費を要するということでなく、適切なる処理でなければならぬと考えるのでありまして、そういう意味におきましての改正を加えたのでありまして、その根本精神並びに具体的な内容におきましては、根本精神におきまして、従来と全然相違はございませんのみならず、具体的内容におきましても、そう大した相違はないのでありまして、私が答弁をいたしておりますのは、私は二重人格を持つておるわけではないのでありまして、私の考えておるところを申し上げておるのであります。
○山口(武)委員 定足数が欠いておるのですが、委員長、なお会議は続行するのですか。
○松浦委員長代理 本会議と並行しておりますので、委員の御出席が少いものであると考えます。御希望ならば休憩いたしますが…… 暫時休憩いたします。 牛後三時七分休憩 ————◇————— 午後三時十六分開議
○松浦委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。 本日はこの程度で散会いたします。 午後三時十七分散会