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7回国会衆議院1950/02/15

農林委員会 第6号

発言数
78
登壇者
8
会派数
4
開催日
1950/02/15

会議録

小笠原八十美民主自由党

○小笠原委員長 これより会議を開きます。  去る九日内閣提出による家畜保健衛生所法案が本委員会に付託と相なりました。ただいまより本案を議題とし、その審査に入ります。まず政府の提出趣旨の説明を求めます。

坂本實民主自由党農林政務次官

○坂本政府委員 ただいま御審議を願います家畜保健衛生所法案の提案理由を御説明いたします。  畜産は、食糧の増産、農業経営の改善、食生活の刷新等の見地から、その必要性はますます増大し、振興を要すること切なるものがあります。畜産の振興は、家畜の生産、育成、利用等が、農業と相関連して合理的かつ有機的に行われて初めて目的を達し得るものであることはもちろんでありまして、現在種々畜産の振興方策が進められておりますが、なかんずく家畜の損耗防止、生産率向上の面から、家畜衛生に関する学理と技術とを積極的に応用することが、当面最も効果的であることは衆人の認めるところであります。よつてこの施策の実施を促進強化するために、地方における家畜衛生の末端の実践機関として家畜保健衛生施設を設置することとなり、昭和二十三年度以降六箇年計画をもて五百箇所を目標に設置に着手し、すでにはなばなしい活動を開始し、各方面から多大の期待を寄せられるに至つている次第でありまして、この施設の重要性にかんがみ、かつは一層地方の末端における家畜衛生の機構を確立整備し、真に農民と直結する施設としての性格を明確にすると同時に、家畜防疫行政機関としての性格を持たしめることが必要となつて参つたのであります。以下本法案の主要な内容について、その概要を御説明いたしたいと思います。  第一に、今日の家畜伝染病の予備は畜産振興の基盤をなすもので、しかもその内容は非常に広汎多岐にわたり、またその基礎をなす獣医学は、日進月歩著るしい進歩を見つつあるので、遺憾なくこの事業を実施するには、絶えず進歩した技術の普及浸透がはかられなければなりません。客観的な状勢を観察しまするに、わが国は各種伝染病の常在地に囲まれる地理的関係にあり、常時大陸からの伝染病の侵入の危険にさらされているわけでありまして、一朝侵入しますれば、わが国の畜産の基礎は根底から、崩壊されることは明らかな事実でありますので、強力なる防疫態勢を整えると同時に、迅速果断にこれを処理することが喫緊の要事なるのであります。すなわちその発生及び伝播の状況を確実に掌握し、発生の初期に迅速な防疫処置を行うがためには、機を失せず情報の収集、材料の採取、鑑定等を必要とするのでありまして、このためには施設と組織と機構とを確立する必要があるのであります。  第二は、寄生虫、骨軟症、その他家畜に多発する疾病の予防のための検査の実施であります。寄生虫病は一般に慢性経過をとり、その被害も伝染病のごとく顕著でないがために、不注意に看過されやすいのでありますが、家畜における寄生率は八十パーセント以上にも及んでおり、ことに幼畜は抵抗力が弱く、栄養を害し、ひいては発育を阻害されている実情でありますので、これに対する根本的対策を必要とするのであります。また骨軟症は北海道、東北、北陸等米作地帯、積雪地帯の家畜特に馬に多発し、多大の被害を及ぼしている疾病でありますが、近年飼料事情の悪化から一層その発生が激増し、馬のみにとどまらず乳牛にも多発し、また発生地域も全国的に拡大される勢いにありますので、これらの疾病の検査を励行して、発生を未然に防止することが必要なのであります。  第三は、生産衛生技術の普及向上によつて生産の増強をはからんとする点であります。このためには、人工授精による優良種畜の高度の利用及び繁殖障害の除去による受胎率の向上を行うことが必要であると同時に、種付の指導、早期の妊娠診断、妊娠家畜の管理衛生の指導等を並行して行わなければならないので、この施設を中心にこの事業を強力に推進せんとするのであります。  第四には、地方における家畜衛生のサービス・センターとして、直接家畜飼養者に接触し、衛生思想の普及を行い、また広く団体の技術者関係獣医師にこの施設を利用せしめ、家畜衛生行政への協力を促進し、真に効果を高めることとしたいのであります。  以上が家畜保健衛生所法案の大要であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決せられんことを希望する次第であります。

小笠原八十美民主自由党

○小笠原委員長 これにて本案に対する提案理由の説明は終りました。引続き本案の質疑に入ります。山村新治郎君。

山村新治郎民主自由党

○山村委員 ただいま議題になりました家畜保健衛生所法案につきまして質疑を試みんとするものでありますが、この問題は実は同僚の、かつ畜産関係のエキスパートであります原田雪松君が非常に熱心に研究されておりまして、かねがね私も原田さんの意見を伺つておりまして、非常に傾聴すべきものを感じておつたのでありますが、たまたまきようは原田さんが欠席をせられておりますので、一応原田さんの意見を十分取入れまして、質疑をせんとするものでありますから、明快な御答弁をひとつお願いしたいと思うのであります。  どだい自然現象に恵まれておらない日本の農業の中で、ただ一つ有利な條件を備えておりまする畜産業が、政治的に軽視されておりましたことは、私も日ごろ憂えておつたのでありますが、たまたまこの法案が提出されまして、畜産行政に好ましい一石を投ぜんとすることは、まことに喜ばしい次第であります。さて家畜保健衛生所は現在すでに百六十箇所設立されておりまして、きわめて良好な成績をあげておると聞き、従つて全国の養畜農民は本法に非常な期待をかけておるわけでありますが、私はこの際二、三の質問をいたしまして、その施行にあたりまして、特に完全強化を期せられるように要望したいと思うのであります。法の命脈というものは文章ではございませんで、一にその運用いかんにかかつておることは論をまたないところでありますが、この法案のわずか七箇條にすぎない文章の中から、その全貌を知ることはきわめて困難であり、またややともいたしますると誤解を招くおそれもありますので、その点から伺いたいと思うのであります。  まず第一に、本法によりまして実施をはからんとする業務の内容は、たとえば農業共済組合の家畜診療所、都道府県の家畜技術員、公共団体等の技術員の診断治療等と、はなはだ相似たる感も抱かせますが、その点に対する見解並びに対策はどういうものをお持ちでございますか、第一点としてお伺いいたしたいのであります。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 御質問の点に私からお答えいたします。家畜保健衛生所の機能と申しますか、それにつきましては、法律の全体を通じて現れておりますところ、具体的には法の第三條にこまかく規定してあるところであります。要約いたしますと、この保健衛生所で実施しようとしてねらつております事業の内容は、国または地方庁の計画に基きまする積極的な予防衛生の指導が主になるのでありまして、これを通じてさらに集団的な生産増強、伝染病を主とした損耗防止等をはかることをねらつておるのでありまして、さらにこの施設を開業獣医師の技術向上のために利用させ、さらに技術の普及等をこの施設を通じて行うことによつて、畜産業の健全な発達をはかることを実は主眼といたしておるのであります。そういう意味から申しまして、御指摘の共済組合の診療所等が行います個々を対象としての診療の仕事は、これはこの施設の実はねらいではないのであります。     〔委員長退席、野原委員長代理着席〕  さらに公共団体あるいは都道府県の畜産技術員等との関係におきましても、これは御承知のように、現在府県の畜産技術員、公共団体の技術員が——私どもの考えておりますこの施設の高いねらいと大体同じ方向でもつて、これらの技術員が置かれておると言えば、そういうことも言えるかと思うのでありますが、現状におきましては、いろいろな関係で家畜衛生の面が、これらの技術員の素質において欠くる面が非常に多いのではないか、かような観察をいたしておるわけでありまして、これらの人たちは、むしろこの施設と将来対立するという考え方でなしに、この施設を中心にして、従来十分活躍していなかつた面にこの施設を通じてその使命の達成に今後一層進んでいただきたい、実はかようにこれらの人たちとの関係について考えておるわけであります。要約いたしますれば、この施設が決して共済組合の診療所なり技術員の仕事と競合するということでなしに、むしろこの施設を中心にして、この三者が一体になつて、そうして国の家畜衛生の完璧を期して参りたい、かような考え方をいたしておるわけであります。

山村新治郎民主自由党

○山村委員 ただいまの御説明によりまして、よくその趣旨はわかつたのでありますが、実際問題といたしましては、本法実施のために、開業獣医師は相当恐怖の念を抱いておるのは事実でございます、現在登録されておりますところの獣医師は一万三千七百四十九名でございますが、そのうち開業しております方が約七千名と言われておりますが、さきに述べました種々の診療機関によつて、開業獣医師の生活権は相当程度侵害されておるのであります。この状態を放置いたしますれば、彼ら開業医師は休業のほかはありませんで、七千名のその家族の運命は大きな社会問題として取上げられなければならないと思うのでありますが、この意味から逐次條項を付しましてお尋ねしたいのであります。  第一項としましては、第三條の第五号に「農林大臣の指定する疾病の予防のためにする家畜の診断に関する事務」とございますが、治療という字句は使用していないのであります。この治療と診断とのつながりについての見解を一応伺いたいのであります。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 先ほどの御質問に対してもちよつと触れたのでありますが私どもとしましては、この施設と、開業獣医師なりあるいは共済組合なりの家畜の治療診療の事業との関係につきましては、実は御指摘をまつまでもなく、最も深い注意を実は拂つておるわけであります。法律の條文にもそういう趣旨をもちまして、特に「寄生虫病、骨軟症その他農林大臣の指定する疾病の予防のためにする家畜の診断に関する事務」ということに限定しておるのでありまして、これらの病気につきましては、実はもちろん現在の獣医師のやり得る面として考えられる面もあるわけでおりますけれども、特殊な疾病でありまして、現状は開業獣医師の仕事の対象からやや離れておる面があるのでありまして、その面につきましては、私どもの方でまず診断をやつて行きたい。そうしてその結果、その先治療を要するものにつきましては、これは開業獣医師の手にまかせて行く、かような考え方をいたしておるわけであります。これは実はわれわれがこう考えておるだけで、このまま放置しておくことになりますと、とかく御心配のように、末端におましていろいろな相剋摩擦が予想されますので、この点につきましては、中央におきましては獣医師の中央団体もございますし、さらにこの趣旨を地方に徹底させることにつきましては、この法の運用にあたりまして、御指摘に従いまして十二分の用意をもつて当りたい、かように考えております。

山村新治郎民主自由党

○山村委員 第二点としてお伺いしたいのでありますが、第四條に「都道府県知事は、條例の定めるところにより、獣医師に家畜保健衛生所の試験及び検査に関する施設を利用させることができる。」とございますが、畜産局の考えに基く利用の程度、試験及び検査の限界を明らかにされたいのでございます。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 一口に申しますと、この施設を十二分に利用していただきたい、かような気持でおるわけであります。御承知のように、獣医学は文字通り日進月歩でありまして、非常に進歩を遂げつつあるのであります。これに対処いたしまして、われわれとしても獣医師の資質を向上する目的をもちまして、前国会で獣医師法の改正の御可決を願つたわけでありますが、それにいたしましても、何分にも地方の農村に在住する者が大部分であります。これらの人が新しい学問を日々取入れることもなかなか容易でありませんし、また新しい診療設備を完全に備えることも、実はできないような現状でありまするので、この施設においてそれらのできるだけ完全な設備を備え、またできるだけ新しい調査研究をいたしまして、これを開業獣医師に十分ひとつ利用していただきたい、かように考えております。もちろんこの施設本来の目的がありますので、この目的を阻害すると申しますか、目的達成上支障があるようなことがあつては困るのでありまするけれども、そういうことのない限度におきまして、私どもは全面的にこの施設の利用、さらに同所における研究の利用等につきましては、歓迎いたしたい、かように考えております。

山村新治郎民主自由党

○山村委員 次にお尋ねいたしたい点は、官公吏、各種団体技術員と開業獣医師との相剋摩擦を防除するために、その職務権限範囲の限界を一定限度に画すべきではないかと思いますが、当局の見解はいかがでございますか。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 ただいまの御質問は、最初の二つの御質問に関連のある問題でありまして、それにつきましては、先ほど私から一応お答えを申し上げたわけでありますが、今後におきましても、私どもは開業獣医師の正当な利益を侵害するということにつきましては、非常に深い用意をもつて進みたい、かように考えておるわけでありまして、あらゆる大会で実はこの問題は常に問題になるわけでありますが、その都度私どももただいままで申し上げましたような方針で指示をいたしておりますし、あるいは文書でもつてこれらの点は徹底さすべく、従来とも措置をいたして参つておるのでありますが、今後におきましても、この問題につきましては同じ考え方でこれを措置して参りたい、かように考えております。

山村新治郎民主自由党

○山村委員 次の点は、先進諸外国の実情を見ますと、伝染病の防疫、治療事務並びに畜産の生産増殖の仕事は、ほとんど開業獣医師にまかせ切つておる現状でございますが、わが国におきましてもこの長所を取入れまして、本法案によつて行わんとするがごとき事業を、近い将来におきまして全面的に開業獣医師、あるいはその団体に譲渡するお考えがあるかどうか、この点を伺いたいと思います。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 先ほども申しましたように、獣医の資質を向上することにつきましては、私どもも法律の改正その他でもつて、いろいろ手を盡しておるわけであります。わが国の現在の獣医のレベルが、必ずしも世界的に見まして最高水準にないことは、遺憾ながらそこであるようでありまするけれども、新しい法律の獣医師法の施行等に伴いまして、今後におきましては、わが国の獣医の技術水準も逐次世界的な水準にまで高まつて行くことと私どもも確信を持つておるわけであります。そういう際に、この施設のねらつております仕事を開業獣医師へ委譲する用意があるかどうか、こういう御質問であると思うのでありますが、その考えにつきましては私どもも同感でありまして、何ら異存のないところであります。現に現在、実はこうした一つの行政機関として設置いたしておりますこの施設の事業の中でも、たとえば検診であるとか、予防注射であるとか、県外移動の証明書の発行などというものは、実はすでに開業獣医師の協力を得て、それらの人たちに手伝つてもらつてやつておるわけであります。そういうわけでありますので、将来獣医の技術が向上したあかつきに、この施設を御指摘のようにこれらの人にまかし切る時代を私どもも予想はいたしておるわけであります。

山村新治郎民主自由党

○山村委員 最後に予算関係についてお伺いいたしたいと思うのでありますが、結論的に申しますならば、本法案によつて行わんとする事業に対しまして、予算が非常に少な過ぎると思うのでございますが、まずこの点はどうであるか、そうしてこれに伴いまして三、四点伺いたいのでありますが、第一に、建設費として、一坪当り幾ら、建坪当り何ぼと予定しておるか。聞くところによりますならば、昨年度は坪当り八千円と予定されたため、多額の不足を生じまして、地元において強制寄付を行つた所もあるというのでございます。せつかく養畜農民のための事業でありますから、このようなことのないように、坪当り一万四千円くらいにする御意思なきや否や。第二点は、器具、機械等の設備費は一箇所当りいかほどであるか。第三点は、聞くところによりますと、一府県の地元負担金額四十万円とのことでありますが、国庫補助二分の一の現行率を三分の二程度に引上げて、地元負担の軽減をはかる用意ありやなきやということであります。第四点といたしましては、政府は本年度八十箇所増設を予定しているやに聞くのであります。従つてそれは設立希望県の半数にも満ないのでございまして、その割当配分に苦慮していると聞いておりますが、本年度希望申込み数、設置数及び来年度の見込み数をお伺いいたしたいのでございます。と同時に本年度の按分配置を増加して、切望県の希望に沿うように処置するお考えがありやなきや。この四点を総括的な予算との関連において質問をする次第でございます。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 予算が非常に少な過ぎはしないかという御指摘であります。実は今日の建設質の常識から申しましても、御指摘のように坪当り八千円の予定でこの予算を組んでいるわけでありまして、これではたとえ山奥でありましても、りつぱなものが建たないであろうということは想像しておりますので、できるだけ予算を増額することについては、実はいろいろ大蔵当局と折衝を重ねたのであります。現在八千円になつておりますが、実は二十三年度から施設ができて、ある程度物価に応じて単価の増の認められた部分もあるのでありますけれども、遺憾ながら建築費で見ますと、まつたくお話にならない八千円というような単価でしか認められなかつたのでありまして、御指摘のように、このためにせつかくわれわれの考えているところの、どうしても地元負担を軽減しなければならぬという気持が、非常にそこなわれるようなことにもなろうかと、実は私どもとしても非常に遺憾に思つておるのでありますが、明年度は一応八千円という査定を受けております。しかし今後単価のみならず総額についても、現行の二分の一をあるいは三分の二程度に国の財政が許すならば引上げて行くことについては、私どもとしては、もちろんそうしたい希望を持つているわけでありまして、これについては私ども微力の点もございますので、皆様におかれても、何とぞその面の御協力をむしろ私どもよりお願いいたしておきたいと思います。  なお器具、機械の設備費は、一箇所どれくらいであるかという点でありますが、これは備品費を総額三十万円と見積りまして、この半額十五万円を一箇所当り計上しております。これも建物費と同じように決して十分ではないのでありまして、ほんとうに完全な、りつぱな機械、器具を十分に備えるためには、とても足りない金額であると思うのでありますが、やはり同じような事情で、十五万円程度の予算の計上をしているのであります。  それから本年度の希望申込み数、設置数及び来年度の見込みはどうかというお尋ねでありますが、これは一口に申しますと、非常に地方では喜ばれている評判のよい施設でありまして、まつたく希望が殺到しているのであります。本年度八十箇所増設を予定して県に内示いたしたのでありますが、それに対してどうしても計画以上にもらいたいというのは、ほとんどの県がそうでありまして、大体八十箇所の予定に対しまして、倍近くの希望が出ております。来年も本年と同じように八十箇所の予定でありますが、すでに今日これに対して、約倍近い要望が実は私どもの方へ届いておるような事情でございます。そこで私どもといたしましては、この際単価その他予算総額を増加するということも、一つの問題として考えておるのでありますけれども、むしろこれは最初御説明いたしましたように、来年度以降四箇年計画でこれを全国に完備したいという計画を持つておるのであります。     〔野原委員長代理退席、委員長着席〕  かような状態でありますので、むしろ年度を短縮して、一年八十箇所と言わずに、これを百五十箇所にふやすとか、あるいはもつとふやすとか、こういうような面も、大蔵当局との折衝において、今後骨を折つて行かなければならぬ点であろうかと私どもとしては考えているわけでありまして、その点についても皆さんの御了解を願つて、今後の御協力をお願いいたしたいと考えております。

山村新治郎民主自由党

○山村委員 本法案に対する私の質問を終るにあたりまして、私は二つの希望を政府に強く要望する次第であります。それはでき得る限り全額助成の線に沿つて、予算的措置を講ぜられたいということが第一点でございます。いま一つは、本法案と密接な関係にある家畜の改良増殖に関する法律案を、すみやかに提出されんことを要望する次第でございます。以上をもちまして私の質問を終ります。

渕通義民主自由党

○渕委員 山村君の質問に関連して二、三点質問いたしたいと思います。本法案をながめてみますると、家畜の伝染病の蔓延を防ぐということが中心眼目になつているようでございますが、私どもをして言わしむるならば、ただ家畜が伝染病にかかつた場合、これを防ぐというような消極的な面においてのみこの法案を使つておつたのでは、非常に心細い。要はいかにすれば家畜の伝染病が発生しないかということで、ここに大きな問題があるのではないかと思います。人間の保健にいたしましても、伝染病が起つた場合にこれを防ぐのではいけません。伝染病が起る情勢をば防ぐというところに根本の理念があると思います。家畜はわれわれが指導いたしましても朝も顔を洗いませんが、そういうように家畜を自然にまかして放擲しておきましたならば、おそらく家畜には気候の変化によりまして、だんだん思わぬところの病気が発生するだろうと思います。従いまして、この自然條件下に起る伝染病を未然に防止するところの積極的なるお考えは、これにどういうふうに盛つてありますか。その点をまずお聞きしたいと思います。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 先ほど来私の説明が不十分であつたために、そういう御質問が出たかと思うのでございますが、私どもがこの施設に期待しておりますのは、渕委員の御指摘の点とまつたく同じことをねらつておるわけであります。決して伝染病が出た、さてそれをどうしようということだけを考えていないのでありまして、むしろ出る前の衛生の向上といいますか、引続いて具体的な予防的な措置なるものが、この施設の本来の使命であります。このことは法案のどこに出ておるかという御質問もあつたようでありますが、第三條の「一家畜衛生に関する思想の普及及び向上に関する事務、二家畜の伝染病の予防に関する事務」、さらに五の「疾病の予防のためにする家畜の診断に関する事務、六地方的特殊疾病の調査に関する事務、七その他地方における家畜衛生の向上に関する事務」と書き連ねましたそれぞれの趣旨も、御指摘のような気持で、出たあと騒ぐのでなしに、出る前の措置をここでもつて十分やつて行きたい、かような気持でおるわけであります。

渕通義民主自由党

○渕委員 そうであると存じますが、そうであるならば、具体的に畜舎の改良とか、そういつた問題に対して積極的に明言するところの方法があるのでありましようか、それに対しましては、政府は思い切つた助成政策をもちまして、完全なる畜舎をつくるというところまで行かなければ、ただ法文の上にいろいろと予防的な施設が並べてありましても、実行ができないと思います。その予算的な措置がなかつたならば、私はこの法文は死んでおると思います。それに対する予算的な措置がありますか。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 実は畜舎の改良等に対する命令ができるかどうかというような具体的な御質問もありましたが、その点につきましては、もちろんこの法律でそういう命令を出し得る根拠を與えておる点はございませんけれども、この施設の全体のねらいが、先ほど申し上げましたような点にあるのでありまして、その見地から、たとえば骨軟症の問題等から申しますと、畜舎の改造などというような御指摘の点は最も重要な問題の一つになるわけでありますので、この施設におります職員が、法律に基く命令は別といたしましても、絶えず細心の注意をもつて家畜飼養農家の指導に当るというようなことは、もちろんその方面で大いに働いてもらいたい、かような考え方をしておるのであります。  そのほかそうした問題について予算が伴うかどうかということですが、この施設に対する直接の予算としましては、先ほど申しましたようなごくわずかな施設費と人件費のみに限定せられておるのであります。個々の問題について、たとえば骨軟症の予防の指導、施設費につきましては、二十五年度は百四十二万一千円程度の補助金を別途計上いたしておるわけであります。そのほかさらにパラチブスに関するいろいろな経費でありますとか、家畜伝染病予防に関する個々の問題として予算の計上はございますが、この施設に直接関連いたしては、そういう予算を計上しておりません。別途計上いたしております予算と相まつて、私どもはこの施設に勤務する人々のそういうような考え方と一緒になりまして、御指摘の点につきましては完璧を期して参りたい、かような考えでおりますので、御了承願います。

渕通義民主自由党

○渕委員 大体見当がつきましたが、先ほど山村委員の御質問に対しまして、この法案はやがて一定の段階を越して、いわゆる日本の獣医師の力が上り、かつまた衛生思想がだんだん徹底して参りますと、ある期間においては、これを廃止するような方向に行くような考えでもあるということをおつしやつたようでございますが、しかし問題は先ほど申しましたように、予防というところに大きな眼目がありますならば、いくら獣医師の力が上りましても、これは大きな問題であると思います。どうも先ほどの御答弁は、私の御質問に対しまして矛盾していると思いますが、矛盾にお考えになりませんか。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 一見矛盾したような御答弁を申し上げたかと思うのでありますが、私が申し上げました趣旨は、近い将来においてこの施設を完全に開業獣医師に委譲するという意味で申し上げたわけではないのでありまして、獣医師の資質が向上し、さらに経済状態が向上することによつて、獣医師のいろいろな実力も加わつて来たあかつきにおきましては、この施設でやつておりますいろいろな実務は、これは獣医師にほとんど全面的におまかせする、ただこうした公益的な仕事でありますので、国なり地方長官がこれに対する監督を十分して行く面はいつまでも残るのではないか、すべて野放しにするというのは、御指摘のようにこれはなかなか容易ではないだろう。ただ国なり地方長官がある程度の監督をして、この施設の運営の実務は、ほとんど全面的に獣医師が運営して行く、こういうことになつて行くことは、御心配のような問題も起きないで、先ほど山村委員の御意見にあえて矛盾しない考え方ではないか、こういう考え方をしております。

渕通義民主自由党

○渕委員 大体わかりましたが、私はむしろこれが相当整備されて参りまして、その行政的な立場におきましてうまく運用して行くことこそ、多くの獣医師の方々も新しい病気を発見し、新しい仕事もふえるのではないかと考えておりますので、必ずしも恐るべきものではないと考えておりますが、どうかその点につきましては、思い切つた大幅な獣医師に対するところの活動の権限を與えてもらつて、うんと働いて、この機会を大いに利用することに持つて行きたいと存じます。  次にこの法案によりますれば、ある伝染病が一応限定されているような感じを受けるのでございますが、たとえば小動物に対する伝染病、特に鶏のペストのごとき、実は私南方地区に三年ほどおりまして、獣医師に対する研究はいたしませんでしたが、家畜衛生につきましてはいろいろ研究いたしました。一晩のうちに鶏がペストのために倒れてしまうということが起るのであります。こういつたことは現在日本におきましてはあまり起つておりませんけれども、名古屋におきましては、かつて一万羽の錦が一ぺんに死んでしまつた例があります。こういつた小動物の伝染病、特に鶏のペストに対する問題に対して、この保健所におきまして、あらかじめ農村は別といたしましても、集団的な大きな養鶏場に対しまして、ペストの予防注射を命令するところの命令権と申しますか、人間に予防注射を命令するように、あらかじめやらせる方法をお取りになる考えでありますかどうでありますか、その点一応小動物の面からお聞きしたいと思います。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 この施設が大家畜を中心にした施設であつて、中小家畜に対する施設であるかどうかという御質問であつたようでありますが、私どもはもちろん大家畜に限定した考え方をいたしているわけではないのであります。従いまして病気も家畜伝染病予防法に法定されております伝染病でありますならば、ただいまお話の鶏のペストに対するいろいろな予防施設、予防措置等も、この施設を通じて私どもはやつて行きたい、かような考え方をしております。ただ鶏のペストの予防のために強制注射命令というようなことは、この法律自体で、私どもはもちろんそういうことを規定はいたしておりませんけれども、現在の家畜伝染病予防法の建前上、そういうことも必要がありますならば、することもできるわけでありまして、府県知事がそうした命令を出しました場合に、それに応じてこの施設が動き出して実際の予防注射をやつて行く、こういうようなことになるわけでありますので、ただいまの御疑念と申しますか、御不安の点は、私どものそうした全体の運営でもつて、これは解き得る問題であるというふうに、私からお答え申し上げます。

渕通義民主自由党

○渕委員 法文の上に、どうして伝染病の種類と申しますか、これを限定した理由をお聞きしたいのであります。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 あるいは御質問の趣旨と違つたお答えになるかとも思いますが、お答えいたします。私どもはこの施設で扱います伝染病は、これは家畜伝染病予防法に法定いたしております伝染病のうち、特にどれどれという限定した考え方はいたしておりません。全体の法律で規定いたしました伝染病の全部について、この施設は考えを向けて行きたい、かような考え方をしております。それでは法定伝染病以外の伝染病についてはどうするかということでありますが、これにつきましては、もとよりこれに知らぬのだというつもりはないのでありまして、たとえて申しますと、ここに主要なものとして、寄生虫病であるとか、骨軟症であるとかその他農林大臣の指定する疾病、こういうようなことでその趣旨もある程度明らかにいたしておりますし、また地方的特殊疾病の調査という表現でもつて、その地方的な特殊疾病の扱いも、この施設を通じて、それに対する対策も講じたいというようなことでありまして決して法定伝染病のうち特殊な竜ものだけに限定する、あるいは決定伝染病だけに限定して、そのほかの病気については、この施設はタッチしないのだ、こういうような考え方は実はしていないのでありますから。さよう御承知願います。

渕通義民主自由党

○渕委員 もう一点最後に承りたいと思います。この家畜保健所と、警察におけるところの衛生、たとえば屠殺に対する衛生、こういつたものとの関連性でありますが、大体のことは見当はついておりますけれども、しろうとであまりわかりませんから、ひとつ明確にしていただきたいと思います。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 特に屠場の関係のお話がございましたが、この問題は常にわれわれの側におきましても、長年の問題でありまして、乳肉に関する衛生をどこが所管するかという一つの問題があるのでありまして、現在は実は厚生省の所管になつておりますので、所管が違いますような関係で、家畜保健衛生所でもつて屠場の衛生の面まで關與することができないような建前になつております。ただ非常に密接な関連のある問題でありますので、従来もそうでありましたが、この家畜衛生と乳肉衛生の面の緊密な連絡につきましては、これは遺憾のないように、今後も緊密な連絡を保持して参りたいと考えております。

渕通義民主自由党

○渕委員 その点がまことに重大な問題でありますが、なぜそういつた方向に分割されておるか、いろいろ私専門家に聞いてみますと、今まで日本の家畜衛生の設備と申しますか、研究と申しますか、それが少し劣つておる、従つてまかせられないという立場から、厚生省ががんと握つておるというような専門家の意見も承つております。こういうことでは、せつかく家畜の保健所ができましても、思い切つた活動と申しますものに、拔け穴があるのじやないか、家畜の伝染病というものは、こういつたところに案外抜けて行つて、思わざるところの不幸を生むのではないかということを心配いたします。どうか願わくば、あなた方が力を出して、われわれも応援いたしますから、ひとつがつちりと手を組んで、その問題を家畜保健所で全部取扱うというような方向まで行かなければ、ほんとうのいい結果が生れないのじやないか、かく考えますので、その点再度承つておきまして、横田委員ががんばつておりますから、私はこれで終ります。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 乳肉衛生の所管の問題は、お話の通り私どもとしても非常に重要な問題として考えておるのでありまして、現在これが一元化されておらない事情は、ただいま御指摘になりましたように、家畜衛生の技術のレベルが、人の衛生より劣つておるからということでは、少くともないわけであります。現状におきましては、家畜衛生のレベルも、先ほどちよつとお話申しましたように、日進日歩しておるのでありまして、決して人の衛生に劣つておらないから、これは一緒にならぬということは絶対ありません。ただ従来の沿革等がありまして、御推察の通り所管の問題はなかなか簡單に解決できない面もあります。ただ私どもとしましては、これはあくまで一本にすべきである、一元化すべきであるという強い考え方を持つておりますので、今後におきましても、この一元化につきましては、私どもも努力いたしたい、かように考えてます。

小笠原八十美民主自由党

○小笠原委員長 横田君。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 この法案に対して質問する前に、農林大臣は一体どこの農林委員会に出ておりますか。これを尋ねたいのは、今度の供出米の取り方が非常にインチキである。そこで日本の国においては、法律によるところの供出米の取り方を品やつておるかおらないかを、農林大臣に開きたいのです。だから大体いつごろ出て来ますか。

小笠原八十美民主自由党

○小笠原委員長 次会から要求いたします。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 次会から要求すると言うが、それでは今まで要求してなかつたのですか。私は、ずつと前から要求しております。

小笠原八十美民主自由党

○小笠原委員長 今予算が開かれておつて、予算は明後日から分科会を開くそうですから、大体十八日ごろには出て参ります。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 十八日まではだめですか。

小笠原八十美民主自由党

○小笠原委員長 そうです。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 可及的すみやかに出席するように願いたい。日本の全国各地において、供出米のむちやくちやな取り方をしております。

小笠原八十美民主自由党

○小笠原委員長 せつかくの横田君の要求でありますから、私からも強く出席を要望いたします。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 そう実現するようぜひ頼みます。  第一点は、日本共産党としても、日本の農村にたくさんの家畜がふえることは、非常にけつこうです。そういう意味合から、家畜保健衛生所法案の作成されたことは、非常にけつこうだと思います。しかし日本の政府なるものは、あらゆるものに対する認識を誤つておりはしないか。簡単に申しますと、これは家畜と書かれております。が、畜産というふうなことに対して、非常に認識を間違えているのではなかろうかと思います。だからここで尋ねたいのは非常に簡單な問題ですが、この家畜とは一体だれが飼うものであるかということを聞きたい。これをはつきりしておきませんと、地方の各畜産課へ参りますと、専業家畜業者は、その設備や人や試験等を十分利用するが、しかし農民が畜産をやつている場合においては、全国のどこの農村に行きましても、どこの協同組合におきましても、豚を飼うて困つた、鶏を飼うて困つた、こんなものは二度と再びやるものじやないというような空気が出ております。それに対して、府県に行つてその係の人たちに聞きますと、まあしんぼうしなさい、畜産というものは、特に豚というものは、死ぬときに飼うている人がもうかりますよ、死ぬときにあかぬと言う人は損をします、こういうようなものの答え方であつて、実に原始的な、でたらめしごくなやり方をやつております。余談はおきまして簡単に申しますと、この家畜というものはどこのだれが飼うところのものかということを大ざつぱな形において言つていただきたい。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 御質問の点が十分のみ込めない点もありますので、あるいはピントのはずれたお答えになるかもしれませんが、私どもはだれが飼う家畜をこの法律に言う家畜というふうな限定的な考え方はいたしておりません。だれが飼おうとこの法律では家畜と、こういうふうな考えを持つております。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 そういたしますと、専業の家畜業者が飼うておるところの頭数並びに羽数、それと農民が兼業で飼つておる豚、牛、鶏などの頭数あるいは羽数などの統計をとられたことがありますか。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 専業畜産業者の飼養する家畜と、農家の飼養する家畜の統計数字は私の方にございます。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 それは後刻御報告いただきます。  それから今畜産関係の問題におきましても、利用すべきいろいろの諸設備があると思うのです。それを利用しておるところの農民の畜産家と、そうでないところの、米麦をつくらない専業の畜産家が利用したところの統計などもほしいのです。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 ここに資料を持つておりませんし、係官がおりませんので、はつきりお答えできかねますが、御要求になるような資料はあるいは農林省にはないかもしれません。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 それらがないと論議が非常に抽象的になりますから……。これからよくそういう点を分析してつかまぬと、それから少くとも農林省なら農林省で担当しております畜産の大綱は一本ではない。いわゆるやみ畜産業者、あるいは米をつくつてやつておる人たちが、一軒々々飼うてやつて行くような形においての畜産業者の施設の利用度、並びにその人たちが飼養しておるところの頭数、羽数、それがどういうふうな、上つて行くか下つて行くか、そういう点をはつきりつかんでおりません限りは、私どもは満足いたしません。現に大阪などにおきまして、配給飼料が当然来ております。それが農村におきましてはほとんど配給されておりません。ところがこれが大阪の町中において養鶏業者に配給されたり、養豚業者に配給されてしまつて、結局飼料は配給したけれどもつかむべき頭数がない。だから農民がせつかく豚を飼つても、これに飼料を配給する場合におきましては——今はその法規はないのですが、以前における頭数をつかんでおらない。羽数をつかんでおらないから、その損害を農民に転嫁したのです。たとえば農民に豚を買つてやろう。鶏を買つてやろう。そのかわりにお前のところから手数料をこれだけとつてやるというやり方でやつておつた。その影響は別に法律がなくなつて制限はなくなつたけれども、いろいろの形において残つておる。これは農民自身が畜産をやるに害をなしている。だからその点を今後よく考慮に入れていただきたい。こういうような点についてもお考えを伺つておきたい。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 今少し具体的なケースとしてお話し願えば、あるいは私も正確な御回答ができるかと思いますので、さらに具体的なケースとして御指摘を実は願いたいと思うのでありますが、ただ全体的に申し上げますと、私どもの方では、決してやみ畜産家を保護するという考え方はないのであります。私どもの畜産に対する考え方は、先ほど申しましたように、だれが飼う家畜であろうと、これに差別をつける意思は毛頭ないのでございまして、むしろ私どもとしては何と申しますか有畜営農的な考え方を基点に入れておるのでありまして、その見地から農村において農家の飼養する家畜につきましては、決しておろそかにしておるものではないのでありまして、これには何と申しますか、むしろ一番重点をおいて考えておるというふうにお考えを願いたいと思います。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 今言われたのは有畜営農的な家畜に重点をおいて考えられておるということを言われたのです。もしそうであれば先ほども言われましたように、だれが飼う家畜であつても特に差別しておらない。かわいがつておらないというならば——現在の畜産の実情から見ますと、どうも大規模な形においてやつておる養豚家、養鶏家がとくするのでありまして、農村においてはどうしても土地が狭い。この経営ではやつていけないというので、あなたが言われるような有畜多角経営、あるいは有畜営農的な形においてやつておるところの畜産業というものは、非常な圧迫を受けてつぶれざるを得ない現状にある。そこでこういうことを聞きたいのです。それから先の問題に移りたい。簡單に申しますと、畜産はもうかるからやらす。もうからぬからやらさない。こういうような事業的な、仲介的な、投機的な形において指導しておられるのか。それとも日本の大きな意味における、どうしても米麦では足りないから、蛋白給源としての畜産業を盛んにする。そういうような大きな含みをもつてやつておられるのか。そこをまず一ぺん聞きたい。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 畜産をどういう目標でやつておるかということは、たまたま先ほど政務次官から提案理由を御説明いたしました中に「畜産は食糧の増産、農業経営の改善、食生活の刷新等の見地からその必要はますます増大し振興を要すること切なるものがあります。畜産の振興は家畜の生産育成利用等が農業と関連して合理的かつ有機的に行われ、初めて目的を達し得るものであることは御承知の通りでありまして」。というような字句が、先ほどの提案理由の中にもあつたのでありまして、私どもは今読上げましたような考え方を、畜産に対してはかたく持つておるのであります。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 その文字を私どもも読みましたが、それは文字が連なつておるだけなのです、簡単に申しますと。そこで非常に疑問があるのです。文字をそう連ねるのは、これは文章でありますが、実際の面においてはそう連なつておらない。どうしてそんなことを言われるか。その読まれたところの当の本人である政務次官に伺いたい。大体日本の農村においては、百姓をやつて、田を耕しておつて米をつくり、あるいは鶏を飼うたり、豚を飼つておる人たちが、この畜産に対してどのくらい頭数を持つておるかということを御存じですか、この点を聞きたい。あなたは答えないで……。次官から聞きたい。責任をもつて答えていただきたい。

坂本實民主自由党農林政務次官

○坂本政府委員 今日わが国の農業を最も生産的なものにするためには、すなわち農家の経済を安定させ、また農場家経営を確立するという意味におきまして、いろいろな施策が考えられなければならないと思うのでありますが、われわれといたしましては、畜産の奨励ということもその一つの方法として考えられ、また当然なさなければならない問題だと考えておるのでありまして、今御指摘がありました。いろいろな問題につきましては、少くとも無畜農家は全部解消するというような方向に向つて行きたい。しかも優良な品種を奨励して行かなければならないものと、こういうように考えておるようなわけでありまして、今回御審議を願つております家畜保健衛生所の設置等につきましてもこの一つの施策の現れというふうに御了承願いたいと思います。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 それはまた言葉として非常にけつこうなのです。無畜農家がなくなつて有畜農家がふえる。これはけつこうです。しかもその目標は何かと言えば農家家計の安定と言つておられるが、そこの認識が違つておるのじやないか。たとえて申しますと、今から八箇月も十箇月も前に、豚を一頭一万八千円で買つた人がそれを一生懸命育てた。その人に私この間会つたのですが、豚やら犬やらわからないという。それはあなた方が飼料をやらないからで、そこで植えたところの大根や菜つば、あるいは麦を皆様に注ぎ込んでおるのですが、これが豚にならないで犬になつておるのです。しかも仕方がないから、飼料はないし、一万八千円で買うた豚が、現実の問題としては一万三千円になつておる。奈良県の農業協同組合においては、これははつきり言い得ることでありまして、八千円で買入れた豚が、肉をつぶして四千円にしかならない。しかも肉は売れない。少くともあなたの見解を改めて——あなただけでないのでありまして、日本の政府の見解を改めてやつてもらわない限りにおいては、私としては外国の畜産物を日本に入れるために日本の畜産を圧迫しておるのじやなかろうかというひがみ根性が起る。それは共産党の少数の意見だといつてふんぞりかえつておられるのですが、多数の農民がそのような考えを抱くようになりますと、これはとんでもないことになりますから、私の今言つたことがうそであるか、ほんとうであるか、その点を承りたい。畜産をやつて、豚を飼うて、鶏を飼うて損をして、農家家計の安定じやない、不安定になつておる。これに対するお考えはどうですか。

坂本實民主自由党農林政務次官

○坂本政府委員 わが国の経済事情の変遷によりましていろいろな面が現われて来ると思いますが、ことにインフレーションの高進の途上におきましては、今御指摘にありましたように、相当に高いものを仕入れた、ところがだんだん経済的の、いわゆるデイス・インフレと申しますか、さような方向に引締めて参りますと、おのずから物価も下つて来るというような状況になつて来まして、そのために思わぬ損をしたというような事態もあるかと思いますが、これは要するにいわゆる家畜の上がり下がりによつてもうけるとか、損するとかいうようなことではなく、どうしても農業というものと密接不離な関係にあります家畜であるというような意味において、われわれは奨励をいたしたいと考えておるわけであります。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 あるかと思う問題じやない、現にあるのです。しかもそれがますます加速度的にその危惧が深まつておる。こういうような点はおそらく見解の相違と言われるでしようが、こういうような点におけるあなた方の考えをうんと改めてもらいたい。だからここで問題になつて来ますのは、かりにこの法案をよい法案とします、現実の面においてはよいと思えぬ。この法案はだれが利用するかによつて非常にかわつて来るのですが、この法案が通りまして、それが先に言われましたような、建築費あるいは施設費を使つて各府県において家になります。あるいは保健所になる。そうしますと、ここにどこからか知らぬけれども出て来た日い着物を着た技師が、どんとすわりまして、そこに行くのは農民でないのでありまして、各府県における五、六人の豚屋あるいは鶏屋が行くような結果になる。だからあなた方が、それらの意味において大きなほらを吹いて、日本の畜産のためにと言われてやつた結果が、かえつて大衆的規模に立つておらないために、その建物さえが、しまいには恨みの的になる、利用するものがなくなるというような結果になりはしないか。それに対する対策は一体どうですか、これを承つておきます。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 これはこれからつくるんじやなしに、実は先ほどもお話いたしましたように、二十三年から施設しておるのでありまして、御指摘のように、やみ畜産家だけがこれを利用しておるという現象は、私どもはあまり聞いていないのであります。むしろ地方ではほんとうの農民がこれを十分利用しておるという現状が大部分であろうと思います。ただ大阪あたりに専業の養豚業者がいることは、実は私どもわかつておるのでありまして、これらの人も私ども畜産の面からいつて、専業だからこれをおろそかにするというような考え方はとらないわけでありまして、あるいは大阪のどこかでは、主としてそういう人だけの利用に限定されるという事態が、もしお話の通りであるとすれば、あるいはあつたかと思うのでありますけれども、私どもは決して行く行くこの施設が農民から離れて行つて、ただ特定の二、三のものの占有物になろうというようなことは考えてもおりませんし、またそうならないだけのかたい確信を実は持つております。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 それから近郊地におきましては、大体において別な飼料がある。簡單に申しますと、進駐軍の残飯があり、あるいは各工場、寄宿舎における残飯がある。そういうような都会地においては、養豚の場合においても、特別の飼料を目的とした養豚業者が生まれるということは、自然の勢いであります。これは決して悪いことでないが、それがともすると都会地においては大きな部分を占めて、運用するというような傾向がありますから、それに対する十分なる配慮をしていただきたい。  次は、法案の簡單な問題に移りますと、この項目の中には、いわゆる畜産業を圧迫するところの何の項目もないのですね。これは聞くだけやぼなんですが、こういうような形においてやられた結果においては、今の形における畜産の種々相に対するあなたの認識と、私の認識と相当に違う。たとえて申しますと、疾病発生の場合においてもそうである。ある設備のもとにおいてこれを大規模にやれば、先ほど渕委員が言われましたような形における家畜の疾病は予防できる。ところがそうじやないのでありまして、もうかるからやれといつてやつたのは、結局裏の庭をつぶしてしまつてそこに第三国人が豚を飼う。実にわれわれが見て非衛生的で、人間も困れば、豚も困る形において飼われておる。それがもうかる間はいいが、もうからないようになると、虐待の限りを盡されておる。そういうことから疾病が発生してくる。そういうところに対する対策というものは立つておるのですか。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 非情な不潔な場所で養豚を始める、それは衛生の面からたいへんなことになる危険性があるということは、その通りでありまして、これに対する対策といたしましては、この法律でどうこうは言つておりません。ただいろいろな法律、たとえば私の方の所管の法律として言えば、家畜伝染病予防法というものがありまして、そういうものに対するある程度の措置もできますし、また厚生省所管の方の、人間の方の衛生の見地からの取締りも、そういう事態に対しては発動し得る態勢ができておるわけであります。そういう各面の措置でもつてそういう弊害の除去は可能であろうかと考えております。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 そういう点についてはそういうことがありますから、今後よろしくその人たちを圧迫しないような形において病気が発生しない、それがほかに延びないというような対策をとつていただきたい。その法規のあることは私どももよく知つておるが、その法規が適用されておらないこともそういう畜産をやられておる原因になつている。しかもその法規の適用をやられたときにも、全般的にやるのではなしに、個々にねらい打ちにやつて、非常な不合理なことになつておる。こういう点もよく考慮に入れてもらいたい。それから飼料難で栄養失調になる。こういう形における病気の発生も現に現われつつある。こういう点についてはどういうふうにやつて行こうと思つておられますか。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 もちろん生きものでありますので、食べ物が悪ければ、それがもとで病気になるということはあると思うのでありまして、飼料問題につきましては特に終戦直後以来非常に悪條件が次々にあつたわけで、幸いに飼料事情は最近よほどよくなつて参りました。またそれと同時に、私どもの方でも飼料対策としては、飼料の自給と申しますか、自給飼料対策につきましては、一般の配給飼料事情がよくなつたからということによつて、決して手をゆるめてないのでありまして、自給飼料面の施策も引続いて行つておるわけでありますので、そのために家畜の病気が非常に多くなるというような危険が万々ないように、十分注意して行きたい。管理衛生思想の普及と申しますか、家畜の飼養管理の方面における衛生思想の普及というようなことも、あわせて御懸念のような事態の起きないように、今後とも努めて行きたいと考えております。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 家畜の保健の問題につきましては、今後は病気が発生してからこれを問題にせずに、予防に重点を置いてやつていただきたい。そうしない限りにおいては、この法案は物笑いのたねになる。現に私ども豚を飼うておりますが、豚を飼つた結果が、一匹が一つの疾病になると、いわゆる所定のところから技師が来てこれを見ます。見たところがその病気がわからないといつて、長いことかかつて養生させる。この豚の病気は伝染病らしいということで、ほかの健康な豚にも一々いやがる注射をします。そうしてその勘定を見たところが、勘定が五千円以上になつておつて、豚を売つたところが五千円にもならなかつたという悲劇があるのですから、病気が起らないようにして、できるだけ疾病になつてから問題にするのではなく、予防に力を入れてやつていただきたい。これをくれぐれもお願いしまして私の質問を終ります。

吉川久衛新政治協議会

○吉川委員 先ほど政務次官からお話がありましたような目的で、家畜保健衛生所が設置されたということは、これはわが国畜政の一歩前進であると思つて、私は喜んでいるのでありますが、ただこのような施設を地方庁に設置するようなことでなしに、これを畜産組合とかいうような民主的な団体に経営させるようなお考えはないものか、まずお伺いしたいのであります。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 経営主体を県でなしに組合等にさせる意思はないか、こういうお話でありますが、これは考え方として、もちろん否定すべき考え方ではないと実は考えます。ただ私どもは、こうした衛生というような非常に重要な問題でもありますし、実はこの機関の一つのねらいとしましては、先ほどもちよつと説明にもありましたように、家畜防疫の一つの行政機関としての性格をこれに持たせる方が、防疫の完璧を期する上においてよいのではないか、こういう考え方から府県の施設というように考えて参つておるわけでありまして、私どももこれが府県営であるがために、たとえばどういう運営上の弊害が予想せられるかという点は、いろいろ考えてみましても、あまりないように考えておりますので、そういう意味から府県営ということで進んで参つたわけでもありますし、今後もそういうことでやつて行きたい、かように考えておるわけであります。

吉川久衛新政治協議会

○吉川委員 私はその問題については、弊害ということよりは、県の冗員を省き、それから自主的に、民主的にこれを組合等に運営させることが、直接家畜を取扱う人たちにとつて、これを利用しやすいということ、また非常に関心を持つという意味において、畜産奨励の意味に沿うものである。そういうように考えるので、今後こういつた問題が整備して参りましたならば、なるべく自主的に、民主的に運営させるような方途を考えられることが、今までの何でも上から押しつけて行くというようなやり方でなしに、下から、もつとこういつた問題に畜産関係の人々が関心を深めて行くというような指導をされることが、必要じやないかと思つて、お伺いしたわけであります。  次にこの法案が、先ほどから問題になつておりますが、病気を予防するという考え方は災害補償、危険保険の一つの前提をなす意味において、たいへん進歩的な考え方でけつこうだと思いますが、渕委員の御質疑があつたように、もつと基本的な問題を、農林省としては十分考えられないといけないと思う。たとえば私ども絶えず関係をしておるめん羊の問題について、あの腰麻痺の病原体の研究、それの対策、あるいは馬の伝染性脳炎、そういつたような実に恐るべき問題があるのですが、こういうものについて根本的な研究をやるところの研究所がない。こういう問題こそ、むしろ農林省あたりがもつと力を入れてやらなければならないと思うのですが、そういうことについて、何か具体的なお考えをただいま持つておられるのか、あるいは進められているのか、その辺についての御所見を伺つておきたいと思います。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 いろいろ家畜の病気につきましては、ただいま御指摘の腰麻痺でありますとか、脳炎でありますとか、伝貧でありますとか、非常に恐るべき困難な病気があるのでありまして、これの研積のためには、国の施設といたしましては、家畜衛生試験所もあるのであります。もちろん私どもも決して十分な陣容とは思つておりませんけれども、専門の優秀な人たちがそこにおりまして、これらの病源体の発見その他に取組んでおるわけでありまして、このうち特に問題になつておりますのは伝貧であろうかと思うのでありますが、これにつきましては、いまだに病源体がどうであるかという結論も出ないような、——これは世界的にまだ結論が出ないのだそうでありまして、これが日本の馬産の非常な脅威であることは御承知の通りであります。これに対しては、どうしても私どもも大きな力を注いで行きたい。かような考え方をもちまして、従来ごくわずかな陣容でもつて研究いたして、なかなか成果を上げ得なかつたような現状であるのでありますが、来年度におきましては、この伝貧につきましてはある程度の人もふやし、経費もふやしまして、これの研究を進めて行きたい。行く行くは、むしろそういう病気でありますので、独立した一つの研究所、伝貧研究所というようなものを設置するところまでに持つて行きたい理想で、一歩の前進ではありますけれども、明年度の予算にはある程度の増額を見ております。その他脳炎につきましても、日本脳炎の委員会というようなものができておりまして、その委員会においていろいろ研究をいたしておるのでありますが、御指摘のようになかなか十分な研究であるということは、私どもとしても申し上げる自信がないのでありまして、最初から通じて申しますように、家畜衛生が何と申しましても一つの基本でありますので、こうした問題につきましては、今後できるだけの経費の計上、それに伴いますいろいろな施設を拡張いたしまして、完璧を期して参りたい気持だけは、私どもとしても十二分に持つておりますので、御了承願います。

吉川久衛新政治協議会

○吉川委員 これは局長に伺うのは適当でないかもしれませんが、予算を拝見いたしますと、本年もまた畜産予算が、要求額に対して非常な査定を受けているのであります。私どもは前々国会からこの農林委員会においては、日本の国の今後の畜産問題は、食糧の増産の上からも、農業の経営の改善の上からも重大な問題であるということで、各党派はこぞつて畜産予算の増額を問題にいたしまして、大蔵大臣の出席まで求めて、そして約七倍ほどの増額を本委員会において決定をしたのでありますが、その後農林省の畜産局と大蔵省との折衝の経過を伺いますと、まことに情ない結果になつておりまして、農林省の畜産局の予算が六億何がしに対して、競馬の益金の收入の七億何がしとの差額の一億二千万ほどの金を増額するというような話に落ちて来て、しかもそれを前委員会において、もつと徹底的に農林省はこれを押さなければいけない。と、この委員会において農林大臣を鞭撻したのでありましたけれども、その結果はちつともわれわれの期待したような成果を收めていないやに聞いておるのであります。またまた二十五年度の予算案を拝見いたしますと、非常な削減を受けている。一体こういうことで——日本の食糧の増産あるいは農業経営の改善、あるいは食生活の改善というようなことを、りつぱにここにうたつていられますけれども、横田委員の言われる通り、りつぱな文字を連ねるだけであつて、その内容がさつぱり伴つていない。いろいろの仕事を計画されても、それに対する裏づけのないような御措置をとられていては、これはいつまでたつても、当局のお考えになるような畜政問題の解決はできないと思います。こういう問題について、ここにせつかくできましたところの家畜衛生所も、その仏をつくつて魂の入らないような結果になることを、われわれは恐れるのでありまして、今後畜産予算について、坂本政務次官はどういうような御態度をもつて大蔵当局を説いて、そしてこの重要な問題の解決に当られるか、御所見を伺つておきたいと思います。

坂本實民主自由党農林政務次官

○坂本政府委員 畜産振興のために必要な予算措置につきまして、農林委員各位が非常なる関心を持つておられる点につきましては、われわれ深く敬意を表しまするし、また皆様方の御期待に沿うように十分なる予算を獲得することには、いろいろ努力を盡して来たのでありますが、御承知の通り、昭和二十四年度の補正予算及び昭和二十五年度の本予算、十五箇月通算をいたしましての参予算編成におきまして、十分なる成果を上げ得なかつたことは、はなはだ遺憾に存ずるのであります。しかしながら、これは吉川委員も現下におきまするわが国財政の実情は十分御承知のことでもありますし、またわれわれ農林当局といたしまして、この問題の処理にはいろいろ苦心をして参つたのであります。ことに今お話も出ましたように、競馬法の一部を改正します際においても、皆様方が、競馬の売上金の一部を、少しでも畜産振興のために充てなければならぬといつたような法律の改正までもいたされたのでありまして、この御趣旨もよくわれわれは承知いたしているのであります。従いまして、先ほど申します通り、この十五箇月予算を通覧いたしますと、必ずしも皆様方の御意思がそのまま現実の上に現われているということは申しげかねるのでありますが、今後といえども、機会あるごとに畜産関係予算の獲得のためには万全の努力を盡したい、かように考えているような次第であります。

吉川久衛新政治協議会

○吉川委員 政務次官の言われる通り、わが国の財政状態はわれわれは心得ております。それなるがゆえに、このような基本的な問題について十分予算的の措置がとられなければならないということを考えるのでありますから、どうかひとつ今御一段と御努力をお願いいたしまして、私の質問を終ります。

小平忠農民協同党

○小平(忠)委員 私は最後に本案の内容につきまして若干お伺いしたいと思います。戰後におきまする家畜衛生につきましては、政府当局の格段の御努力によつて、逐次向上しつつあることは承知できるのでありますが、しかし復興途上にあります日本にとりまして、やはり全体の面から見ますと、戰時中は軍用馬ということで、作戦目的遂行のためにこれを強要されたというような関係にありましたが、私は終戰後、もう少し酪農なり労役馬、この家畜衛生の面において万全を期する必要があるのじやないかということを考えている一人であります。特に一昨年以来北海道に発生しました流脳馬の問題につきましても、北海道、東北地帶の生産地においては、県外移出の禁止によつて、非常に生産地としては大なる支障を来していることは事実であります。かかる見地において、この家畜保健衛生所法案につきまして政府当局から提案を見たことは、まことに時宜を得たものと思いますが、ただいままで各委員からいろいろ具体的な質問がありましたので、この質問に触れていない点について、私は二、三承つてみたいと思います。  第一に、この家畜保健衛生所は、本案によりますと四月一日から発足することになるわけでありますが、その場合に、この家畜保健衛生所の各県に設置せられるところの規模とか、あるいは予算的裏づけ、具体的にいいますと、各都道府県に何人くらいの定員で、どのくらいの予算で、その行う事業の内容も、政府から提案はありましたが、抽象的な御説明があつたので、もう一ぺん詳しくその内容について御説明を願えれば幸いと思います。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 四月一日からこの法律が施行されるのでありますが、先ほど申し上げましたように、この施設自体としては、すでに一昨年から設置されているのでありまして、県にはこうした施設は方々に家はできているのであります。ただこの法律の適用をいたしますのは四月一日からでありますし、この法律が適用になりますと、いろんなことがあるわけでありますが、たとえて申しますと、家畜保健衛生所という名前に統一しなければならぬ、こういうような問題は、この附則にもありますように、これは七月一日からということに考えております。そういうことを除きますと、四月一日からこの法律に基く施設として発足いたすことになります。人の関係は人件費の補助とのみ私ども先ほど御説明いたしましたが、こまかく申しますと二人の人の設置を補助することにいたしております。もちろんこれは県の施設でありますので、県が條例で施設に対する定員をきめることになると思うのでありますが、私どもの方から助成いたします点は二人でございます。このほかに県が国の助成をまたないでこれに増設しようと思いますならば、これは県の條例でもつて定員を定めておくことになるだろうと思うのであります。管轄区域の関係あるいは受持区域における家畜頭数の関係等によりまして、二人だけで十分の活動ができない場合も相当あろうかと思いますが、定員の関係はさようになつております。  それから施設費といたしましては建物の経費でありまして、これは先ほど来御説明しましたようなことで施設費を補助したい。備品費としましては顕微鏡でありますとか、産科器具、外科器具、こういうようないろいろなこまかい内訳を予定はいたしておりますが、そういうものを一括いたしまして三十万円分、私どもの補助はその二分の一で十五万円、こういうことになつております。

小平忠農民協同党

○小平(忠)委員 ただいまの御説明によりますと、都道府県には大体人件費については二人の補助、並びに備品等については三十万円の半額の十五万円補助というような御説明を受けたのでありますが、私はこれを聞いて不可解な感情を持つたのであります。ということは、少くとも国が法律を出して、特に家畜衛生の万全を期そうという立場から見まするときに、二人の補助くらいするのであるならば、現在各都道府県に畜産課があり、特に家畜衛生面においては、専任の係官、担当員でやつておるわけであります。さらに都道府県の農協の連合会あるいに指導連なり、あるいに畜産連合会において、現に従来の畜産組合当時から優秀な畜産技術員が各都道府県に施設され、單協にもこの畜産の技術員がいるわけであります。むしろその主体性を、その内容を明らかにすることが必要であると同時に、二人くらいということであれば、單に法律が存在するにすぎない。私は御説明をいただいて、全国に五百箇所目標のもとに昭和二十三年以降六箇年計画でやつておるのだということにおきまして、この内容につきましても最近の情勢をもう少し具体的に承り、さらにこれを強化する意味からいいますならば、やはり二人くらいの補助でもつてやるならば、現にありますところの畜産課の人たちで私は十分だと思う。二人くらいの補助でやるならば現在あるのをさらに強化するという程度になつてしまう。少くとも法律をもつて家畜衛生の完全を期そうとするならば、もう少し農林省当局に、おいては確たる方針を示してもらわなければならぬ。予算の面において、もちろん現在日本の財政状態は御承知のように逼迫いたしておりますし、非常に苦しいが、しかし日本農業の将来は有畜を加味した農業でなければならぬということは、天下周知の事実であります。かかる点から見まするときに、このような微弱なる計画では、おそらく空文に終つてしまうのではないかと憂えるのであります。従いまして、さらに私は掘り下げて伺いたいことは、各都道府県の畜産課あるいは衛生課との関係、さらに農協の連合会なり、あるいは單協の畜産技術員との関係、あるいはさらにこれに対して單に事務上の指導ということではいけないと思う。もう一歩掘り下げて、具体的に、家畜保健衛生所なるものがどういう企画のもとにやるのだということを、この機会に私はお伺いしたいと思います。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 二人と申しましたのは一箇所二人でありまして、これはもちろん誤解しておられそうだと思つたわけでありませんけれども、念のために申しておきます。二人きりでとてもできないじやないか、できると思つているかというお話でありますが、もちろん先ほど申しましたように、国の助成はこの施設に対して二人の技術員を設置する助成を考えておるのでありますが、このほかに私どもの方では伝染病の関係職員として現に相当な人の助成をいたしておるのであります。これらの人も、必要に応じましてはあるいはその施設に配属されると申しますか。そういうようなことももちろん考えられて然るべきものだと思つております。そういう意味で大体この施設は一郡に一箇所というような一つの目標を持つているわけでありまして、そこでこの施設がこうしたねらいを持つて動くために、国の施設のためにする二人の助成にさらに別途に参つております助成職員の応援援助、あるいは県自体がこれは法律をお読みになつておわかりと思うのでありますが、ある程度の收入を伴う問題でありますので、県としましても行く行くは收支の点で自営ができる、必ずしもいつまでも自覚できないようなものでないものと実は考えておりますので、そういうような方面で県が独自で置きます職員というようなものも、これはこの施設で働く場合もあろうかとかような考え方でもつて、私どもの予算は最初お断りしましたように、金額の点その他で十分であろうとは思つておりませんけれども、人員二人の助成をすることによつて決してただ空文に終り、ただ法律で書いただけでほとんど仕事ができぬじやないか、こういうような現象は私どもはないようにいたさなければならないと思つておりますし、ただいま申し上げましたような考え方で、そういう方向に持つて行きたい、かように考えております。さらに農協なりその他の技術員との関係につきましては、一番最初に山村委員からの御質問にもその点がありました際、私からお答えした通りでありまして、これらの人をこの機構の手足と申しては語弊があるかもしれませんが、もう一つ末端のスタツフとしてこれらの人を活用して行きたい。現に防疫員制度があるのでありまして、町村にもあります。これらの人は防疫員というような資格でもつて、この施設のいろいろな仕事に援助してくださる、御協力していただく、こういう態勢をもつて全体の運営を進めたい、かように考えております。

小平忠農民協同党

○小平(忠)委員 最後に結論的にお伺いいたしたいことは、ただいまの御説明によりますと、大体一郡一箇所というような目標計画でおられるということでありますから、これは相当な数になると思います。その場合に、ただいままでの御説明によりますと、その点が予算的にはその家畜保健衛生所助成に伴うところの二十五年度の計画予算において明らかにされていないのでありますが、この家畜保健衛生所の設置に伴いまする二十五年度の予算は、総額幾らにおきめになつておりますか、おわかりになりましたらお聞かせ願いたいと思います。  さらにもう一つはこれは戰後農業会が解体し、あるいは畜産その他の組織が農業協同組合に單独になつたわけでありますが、農村の民主化の点から見まして、農業においては特に畜産技術員の養成なり、あるいは家畜衛生の方面から非常に努力をしておるのでありますが、その場合に現在農協の経営の実体から見ますると、なかなか優秀なる畜産の技術員を設置して、完全なる家畜衛生の方面をはかろうということは、非常に至難であります。そういう観点から見まするとき、政府当局において、農協の畜産技術員に対して教育あるいは経費の面において、今後補助をなさるような計画がおありであるかどうかという点について最後にお伺いいたしたい。

山根東明農林事務官(畜産局長)

○山根政府委員 来年度の予算は、これはお手元に参考資料をお配りしてあるはずでありますが、その附表第十二に二十五年度の家畜保健衛生施設費として、表がございます。総額で三千二百八十六万八千円、八十箇所分、これは来年度八十箇所設置するわけであります。八十箇所分の施設費と、従来置いております人の人件費と、新設の八十箇所に対する人件費と合せまして五百二十人分の人件費、合せまして三千二百八十六万八千円、これだけが計上してございます。  それから最後の御質問の、農業協同組合に対する人件費の助成の点でありますが、その前にこれらの技術員に対する講習といいますか、訓練といいますか、それにつきましては、これは私どもも今後機会をできるだけ多くつくつて、資質の向上に努力をいたしたい、かように考えております。ただ人件費を補助するということになると、これは現在の情勢におきましては、相当至難であろうかというふうに考えられます。

小平忠農民協同党

○小平(忠)委員 私は以上いろいろ承つた点におきまして、結論的にお願いいたしたいと思いますが、本案の内容につきましては、私は非常に時宜を得た内容であると思いますが、しかしただいま御説明になつたような予算的裏づけなりあるいは構想では、全国的に家畜保健衛生の見地から、諸種の技術あるいは教育あるいは施策等において、幾多の計画等があるのでありますが、これがすべて机上の空論に終つてしまうきらいがあるわけであります。御承知のように二十五年度八十箇所、これは予算の関係においてできないというような事情もありましようが、しかし先ほど各委員からも主張されましたように、そのような非常に微々たる計画では、むしろ現在の県の畜産の保健衛生の施設を強化するか、あるいは農協の畜産技術員の内容を強化するということの方がむしろいいのでありまして、これは国家的に取上げて一つの法律を出してやるというからには、このような微弱な計画では私はいかぬと思う。しかし御承知のように、すでに今年度予算も提出された段階においては、本年度は不可能といたされましても、今後この面において、政府当局においてはこの家畜保健衛生所設置の趣旨に沿うように、万全の措置を講じていただきたいということをお願いして、私の質問を終ります。

横田甚太郎日本共産党

○横田委員 お答えはいりませんが、大体畜産の実況をはつきりと把握していただきたい。ということは、もとより豚、鷄、あひる、あるいは牛でも、これを専業で飼つておるところは、どうなりこうなりやつていけるようになつております。しかし米・麦作の合い間合い間に有畜農業をやつておるようなところは、畜産というものは成立たぬようになつておる。この現況をはつきり見ていただきたい。従つて豚が病気になつたからといつて、県の税金にイコールするようなところにやつかいになりたくないというのが農民の気持です。農民は默つて飼つて、默つて売る。そうして農家経営の赤字を防ぐ、これが農民の現状であるということをはつきり知つていただきたい。従いまして県から来る役人——それは別に税務署と連絡はないのですが、封建的な農民から見るならば、県から来るところの役人イコール税金取りの親玉、こういう形になるのです。豚やあひるの数を知られるような形においては農民はものを利用しない。このことをはつきり知つてもらいたい。だから農民は無畜から有畜農家となつて、農家経営の赤字を防ぐ立場においても、これの利用度は非常に少い。こういう人たちこそ利用してもらわなければいけないのである。しかもこの豚を飼つておるところの人たちは、概して篤農である。今日農家で豚とかあひる、牛、あるいはめん羊を飼えば、何とかやつて行けるというので、みんなやつておるのでありますから、この人たちに芽ばえたところの萠芽をつみとつてはいけない。この人たちこそ利用してもらいたい。そのためにはどうしたらいいかといえば、われわれの思うのは、国の費用として、県の費用として、こういうような形における保健所ができたのであるから、これを利用しなさいということを徹底的に宣伝していただく。そうしてできることなら、これを建設する過程において農民大衆に参画さして、農民大衆とともにこれを建てる、ここに重点を置いていただきたい。こういう形に置いてあるということが利用することになる。この点をうまくやつていただきたいのであります。それから同時にこういうふうな保健ということを言われるのでありますから、先ほども申しましたように、飼料の点について、畜産局においては特に十二分の配慮をしていただきたい。これを希望いたしまして私の質問を終ります。

小笠原八十美民主自由党

○小笠原委員長 他に御質疑はありませんか。別に御質疑もないようでありますから、これにて質疑は終局いたしました。  引続き本案に対する討議に入ります。討論の通告はありませんから、この際討論を省略してただちに本案に対する採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕

小笠原八十美民主自由党

○小笠原委員長 起立総員。よつて本案は原案通り全会一致をもつて可決いたしました。  この際報告書の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小笠原八十美民主自由党

○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。  本日はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせすることにいたします。     午後三時三十九分散会

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