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7回国会衆議院1950/02/08

農林委員会 第4号

発言数
40
登壇者
7
会派数
3
開催日
1950/02/08

会議録

小笠原八十美民主自由党

○小笠原委員長 これより会議を開きます。  議事に入る前に議案が付託になりましたので、御報告申し上げます。昨七日内閣提出による農産種苗法の一部を改正する法律案が、予備審査のため本委員会に付託せられました。以上報告いたします。  それでは前会に引続き、農林行政に関する件を議題として質疑に入ります。井上君。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 農地局長にちよつと——これは農林大臣に全体的なことを聞こうと思つておりましたが、ごらんの通り二十四年度から二十五年度予算にかけて、例のドツジ・ラインによる経済安定政策が強行される。このドツジ・ラインを基礎にした両年度の予算をわれわれが見ました場合に、その骨子となつておりますのは低米価と低賃金であります。もちろんわれわれも、日本の産業を復興するということが、ひいては農村の経済の安定にも役立つことは理解できますけれども、当面行われておりますこの二十四年、二十五年度の予算を見まして痛感することは、農村の犠牲において都市の工業を復興さそう。特に都市の工業でも重要産業に力を入れようという線が明らかにされていることであります。そういう面から政府は当面する農村の窮乏、わけても国際的な競争場裡に巻き込まれようとするわが国の農業の現状を、一体どう打開しようとするかということが、当面大きな問題になつているのであります。そこで、この狭い領土で多数の人口をかかえております現状から、まして耕地が非常に狭くて多数の農業人口をかかえております現状から、いろいろ困難はたくさんございますけれども、何と申しましても土地の生産性、特に農業労働の生産性を高めるということが、当面一番重要な問題でございます。その農業の生産性を高めるものの裏づけになりますものは、何といたしましても農地改革の徹底、それから農村の民主化、その上に行われますところの農地の改良、技術の振興、有畜機械化の方向をとるというのが大体の筋でございます。そこでまず第一に伺いたい点は、政府は本年度の予算において農地改革を一応終止符を打つて、大体もうあとは残務整理だけにする。こういう線を出そうといたしているようでありますが、この農地改革に対する農地局長としての見解を、この際明らかにしてもらいたいと思います。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 土地の生産力を上げて行くといいますことが、すなわち農家の收入を増加するゆえんであります。従つて——従つてと申しまするか、いろいろその生産費の逓減という言葉を農業の方に適用してみますると、これは結局收入の増加ということがまず伴わなければ、生産物の量は同じであつて、ただ時間を節約するということだけでは、農家経済は救われない。もとよりそういう面もいわゆる近代化に伴つて必要でございますけれども、何と申しましても農家の收入の絶対額を上げるということが、政策と申しまするか、事実上農家の経済を安定して行く上の要諦であろうと思います。その意味におきまして、土地の生産力を上げるということは、従来もそうでありましたけれども、今後における農地のやはり一番重要な問題であると考えております。この事柄に関連をいたしまして、農地改革の今後についての御質問でございましたが、元来農地改革を打切るというような話は、いわゆる何と言いまするか、俗説と言いますか、そういう意味ではございますけれども、正式にそういうことが政府として決定したことはむろんございませんし、考えたこともないのであります、今回この国会に農地改革関係の改正法律案を提案いたしまして御審議を仰ぎたいと思つております趣旨は、昨年十二月一日付をもちましてマッカーサー元帥から吉田総理大臣あてに書簡が参りましたが、その中に書いてあります通り、言いかえてみますると、農地改革の成果を恒久的に保持して行く。その農地改革によつて立てられました諸原則を恒久化して行く。こういう精神に基いているのでありまして世間でよく打切りというような話が出ますけれども、これは実体においてはそういうことでなく、農地改革を恒久化して行く。恒久化して行きますにつきましては、ああいう一定の時間に非常に広汎にやりますのとおのずから状況が違いまして、これはいわば平時状態に即するところの制度を立てて行かなければなりませんので、そういう意味において制度の若干の改正は考えておりますけれども、精神とするところは農地改革の成果の保持ということにあるわけでありますから、その点につきましては誤解のないようにお願いしたいと思います。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 そうしますと、さらに進んで農地改革の徹底をはかつて行くというように理解してよろしゆうございますか。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 きめられたる範囲における農地改革におきましては、その趣旨を貫徹して行くわけであります。しかしながらいわゆる第三次農地改革とか言われますような方向において拡大して——拡大というとおかしいのでありますが、別の意味における農地改革というものは考えておりませんからどうぞ……。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 しからば大体第二次農地改革に計画された範囲においての徹底と申しますか、整理といいますか、そのわく内での仕事を進めて行くのであつて、それ以上は押し進めない。推し進めないというのは語弊があるかもしれませんが、大体第二次農地改革の線で土地改革を整理して行く。こういうふうに理解してよろしゆうございますか。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 その通りであります。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 そういたしますと、実際わが国の農地の現状から考えまして、第二次農地改革の完了によつて、はたして農業経営形態というものが、農地の面からこれでよいと農地局長はお考えでございますか。非常に大事なことですから伺つておきます。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 よろしいと考えております。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 私どもの考えからいたしますと、少くとも第二次農地改革の跡を顧みて、さらに今後起つて来ますところの、たとえば薪炭林の問題、あるいはまた採草地の問題、または農家の宅地の問題、その他未墾地の問題でございますとか、あるいはまた現に自分が農耕してないにかかわらず、単に古い土地所有観念からわずかの土地を持つているという、土地が生産の対象にならずに所有対象になつているという、この事実も解消しなければいかぬと考えますが、そういうように農業経営全体を合理化し、土地をして最大の効果を上げる生産制の基礎を確立して行くということが、進められなければならぬと考えますので、どうしてもこの線を出そうとしますと、第二次農地改革からさらに進んだ改革の方針をとらなければ、ほんとうの農業経営形態としての土地問題は解決しないと私は考えますが、その点一体どうお考えになりますか。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 ただいまおあげになりましたうちの採草地、あるいは山林、原野における落葉をとりますとかいう問題につきましては、農地調整法の中に、これは所有権の開放ということでなくて、その利用について集合的に適正な條件のもとに利用を進めて行くという使用権の設定という形における問題の解決方法が規定されておるのであります。これは現実の問題としてその規定の利用はまだ十分ではございませんけれども、問題がありまするたびに、その規定に従いまして、集合的に合理的な山林原野の農業上の利用ということを進めて参りたいと考えておる次第であります。宅地等につきましては、日本の聚落の状況から見ますと、外国のように散居制ではないのでありまして、散居制の所も北海道や富山にありますけれども、今後は宅地という問題は切り離して参りたい。すなわち今後における農地改革の問題といたしまして、宅地までを含めない考え方をいたしております。なおこの小さい土地が所有の対象であつて、利用の対象になつていないというような事柄につきましては、むろん国全体といたしまして、土地の生産力を上げることは必要でありますけれども、およそ現在利用され得るような所は農地として利用されておるのであります。もし井上委員のお考えになつておりますような点があるといたしますならば、それはきわめて限られた土地について、しかもその用途が将来宅地になるというようなことを考えられておる特殊の場合でなかろうか、かように想像いたすのであります。私が現在第二次農地改革というふうに申しましたのは、現に農地調整法に規定せられておる範囲の農地改革という意味でありまして、井上委員がおあげになりました点の大部分は夫はその中に入つておる、しかしこの範囲を越えた第三次農地改革はやらない、こういう意味のことを申し上げておるわけであります。

渕通義民主自由党

○渕委員 生産力の問題が取上げられましたので、農地局長に生産力の問題につきまして質問いたしたいと思います。日本の土地生産力と申しますか、日本食糧全体の生産力に対しまして、本農業の生産はすでに限度に達しておるという外電でございますが、これに対しまして農地局長はいかなるお考えを持つておいでになりますか、まずこの点から伺いたいと思います。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 これはおのずから見る人の立場でありまして、アメリカのような広い土地で、至るところにまだ未墾地がある、あるいは農業の経営の面におきましても、戦争中に非常なる機械化が進みまして、生産の量におきましても非常なる進歩を遂げたというような国から日本の現状を見ますと、——いわば望遠鏡的な見方をしますと、ああいう考え方が出るだろうと思います。しかしわれわれ日本の中におりまして、日本の事情を知つておる者から考えますと、私は年々増加して行きます人口分くらいをまかなうこと、言いかえますと最近は年に百三万人くらいふえておりますから、食糧にいたしますと百三十万石ふやさなければならないわけであります。これは土地改良の面、肥料の増肥の面、家畜の増加の面、あるいはなし得れば、作物の植付が同じものばかりで年々米と麦をやつておりますが、多少その間に輪作的な面を取入れる、言いかえますと、土地を休養させて少し期間を長くとつて生産力を上げる、こういうようなことにいたしますと同時に、そういうことができるように考えて行きますならば、まだこの点につきましては生産力を上げる余地はあると考えておりまするし、その方向に努力をしたいと考えております。

渕通義民主自由党

○渕委員 なるほどアメリカの現段階から日本を見ますと、今申されましたような望遠鏡的な見方になりましようが、日本という国をあなた自体がながめた場合に、今農地局長は、まず現在よりも幾らぐらい総合的な生産力の増加ができるという見通しがございますか、その点を伺います。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 この点につきましては、事が数字的な検討に相なるわけでありますが、現在農林省並びに安定本部の方で長い間かかりまして検討いたしましたものに、御承知のように経済復興五箇年計画があるわけでありまして、これは遂に公表されませんでしたが、その中における食糧増産計画は、私が今申しました程度の増産、すなわち人口増加に対応し得る程度の増産量は計画されておつた。それは單なる計画ということではなしに、土地改良をどれだけの面積やつてどうする、肥料の増等によつてどうであるとか、こういうような計算に基いたものがあるわけであります。今のところはそれがいわゆる科学的に検討された資料であります。そういうことをわれわれは頭の中に置いておる、こういうわけであります。

渕通義民主自由党

○渕委員 私も一箇年計画の内容につきましては、いろいろ研究してみたことがございますが、しからば百三十万石くらいずつの増加が見込まれるという断定のもとに日本の農政が立てられる。この場合一番多くの力を注がなければならぬ問題は、何と申しましても土地の改良にあるとわれわれは考えております。当時の五箇年計画の内容を見ましても、土地改良は相当大幅に認められたと考えますが、その土地改良による生産増と、反面災害の結果による生産減、この比率、言いかえて申しますれば、年々災害の結果起つて来るところの耕地の不毛になる面積、これの比率を一応お聞かせ願いたいと思います。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 それは後に数字を調べましてお答えをいたしたいと思いますが、年々起りまする災害は年によりまして異なります。昭和十八年当時から三十三年までの災害におきまして、づいぶん広い範囲にわたる耕地災害があつたわけでありますが、だんだん復旧をいたして参りまして、二十四年度までに残つておりました部分は、国の助成の対象の部分でありまするけれども、四万町歩以下ということになつております。現実の問題といたしまして、これは大体は復旧をされておるのに対して、国が予算上の裏づけをすることが遅れておるという数字でありまして、実はもつと復旧をいたしておるのであります。災害でずいぶん流れます部分もございまするけれども、やはりこれは現実問題としては復旧をされる。ただ国が予算をつけるという面で、予算上直つた面と土地改良によつて増加する面とを比較してみますと、これはプラス、マイナスしてあまりかわりないという結果になるのであります。ところが事実はそうじやないということになつております。

渕通義民主自由党

○渕委員 土地改良の結果何パーセントぐらいの生産増を農林省はまずつかんでおるか、その点をお聞きしておきたいと思います。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 予算を編成いたしますときには、絶えずそれに伴うところの生産増加を計算いたしておるのでありますが、しかしその実施によつて生ずる生産の増加を一番明確にしますためには、供出の事前割当の中に考慮して行くということに相なるのでありますが、今までそういうことをやつておりません。と申しますのは、生産割当を私は個人的にはやつた方がいいのじやないかという意見なんですけれども、今までの事前割当のやり方といたしましては過去における何年かの——七年ぐらいをとりまして、そのうちの上位三箇年とかまた四箇年というものをとつておりますので、自然そういうことからも、その上にさらに土地改良の効果を加えるということになりますと、プラスになり過ぎるということになりまして、今まではとつておつたのであります。そういうわけで実は予算上の数字は計算を毎年いたしまするけれども、具体的にどうなつたとか、どういうふうにやつておるかということは、実は申し上げかねるのであります。それからもう一つは、この一年ごとの計算ということになると、工事を完了したその都度という面積になりまして、なかなか計算がめんどうであります。結局国がつぎ込む経費について、どの程度つぎ込めばどの程度の増産があるかというと、平均的に毎年百億つぎ込むならば幾らの増産が期待し得るか、こういう計算を出してみるのが、少くとも数年間にわたつての食糧増産という意味で一番正確な数字だと考えます。その意味から申しますと、大体土地改良の種類によりまして、一石あたりの増産費用とそれに国が投じます費用とは差異があるわけであります。これはもつとも補助率ということによつてもずいぶん違うわけであります。それによつてみますと、一番高いのが開拓ということになつております。これは予算面の数字を拾つてみますと一石増産に二万円の費用を投ずるということになつております。また土地改良が一番安いのでありまして、これは大体一石当り一万五千円あるいは一万二千円という見当になつておると思うのであります。この数字につきましては調べたものがございますから、御必要でございますれば別の機会に詳細にお話を申し上げたいと思います。

渕通義民主自由党

○渕委員 今の投資額に対する生産増の詳しい数字を後ほどいただきたいと思いますが、同時にまた、私はなぜ今までこういうことをいろいろとあらゆる面から追求してお聞きしたかと申しますと、御存じの通り、今はむしろ農業恐慌の中に突入しておるのであります。何と申しましても、日本の農業恐慌を打開する道は、申すまでもなく土地改良に大きな重点を置かなければならぬのじやないか、こういうことを考えているのであります。従いまして土地改良に対するところの予算面を見ますと、まことに貧弱なものでありまして、われわれといたしましても承服しかねる状態でございます。特に私は、日本全土の土地に対する調査が不十分であると思う。アメリカの土地の調査はまことに行き届いております。こういうことを考えた場合、日本におきましては御承知のように反当一石七斗くらいしかとれていない。こういつたような所は、思い切つた国家資本を投入することによつて、三石二、三斗くらいには必ずなり得るということは、だれが見てもわかることでございますが、これに対しまして国家のとつておる施策というものはまことに貧弱であります。国家は思い切つて、日本の農業恐慌をまず打開するの唯一の道というものは、こういつた土地改良にあるということを考えるならば、思い切つた手を打ちまして、土地改良を推進して行くというのが一番必要な問題ではないかと思います。先ほど災害の結果におけるところの耕地不能の問題もいろいろとお聞きしましたけれども、災害復旧はもちろん必要でございますけれども、何はともあれ土地改良に重点を置くべきだということを、私は指摘していたのであります。従いまして、一石七斗ぐらいの収量しかとれない宮崎県のような土地に対しまして、政府はいかなる対案を持つておるかをお聞きしたいのであります。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 宮崎県の場合はあまり具体的に存じませんが、それでもやはり霧島の噴火によります火山灰があり、土質そのものが相当生産力の点から見て十分でないということは考えられるのであります。それにいたしましても確かにアメリカ等が土壌の性質から精細な調査をいたしまして、ここには何を植えたらいい、何を輪作したらいいというところまで調べておることは、格段の相違があるわけであります。その点につきましては、先般の国会におきまして阪本さんから決議案が提出されました土地調査に関する件、ああいうことがさいわい実現できますならば、その方面へ各自詳細なる調査をいたしたいということで、せつかく安本、農林、建設各省におきまして、その具体案を研究いたしておるわけであります。

渕通義民主自由党

○渕委員 農林省は土地改良に熱意があるというならば、最も近代的な機械力を応用した土地改良に一歩を准あてもらいたい。と申しますのは、昔ながらの機械をもつてしては、思い切つた土地改良はできません。従つて多くの予算を要求するよりも、最も適当な機械を海外から導入いたしまして、いわゆる土地改良のごときは、一ぺんにやるというくらいの機械力を応用することが一番いいのではないか。今の日本のもつこやすき、くわによつてやるような原始的な土地改良方法では、いくら金があつても足りないのであります。政府はこの際思い切つて、外国の最も進んだところの農業土木用の機械を応用いたしまして、そうして金は少くて効果の上るところの、思い切つた土地改良をやる方針ありやいなや、これは坂本政務次官に聞いた方がいいかもしれませんが……。

坂本實民主自由党農林政務次官

○坂本政府委員 御意見を拜聽いたしましたが、もちろん土地調査の問題につきましては、第五国会におきまして、皆様方の御同意を得まして決議案を提出いたしましたのは、全国統一的な土地調査を促進いたしたい、かように考えたからでありまして、いろいろ民間団体に実は御協力を願いまして、これの具体化をはかつておりますような実情であります。なおその決議の内容につきましても、軍に耕地のみではなく、山林、牧野あるいは河川、湖沼算すべてのものについて、総合的な開発という面について、十分ひとつこれを調査いたしたい、かように考えたのでありましてこれらの決議に基きまして、これをいかに利用して行くことがいいかということは、おのずから結論づけられるのでありまして、この主たる方法につきまして、あるいはアメリカの機械を取入れ、優秀の技術を孫用いたしまして、土地の生産力を向上させて行くということは、当然考えられる問題だと思いますが、これには厖大な予算の関係もありましようし、あるいはまた人件費等の問題もあろうと考えるのでありまして、理想の実現は容易なことではないと思いますが、われわれといたしましては、やはり今申し上げましたような目標に向つて努力を続けるということは、今後といたしましても十分関心を持つて行きたいと考えておるような次第であります。

山口武秀日本共産党

○山口(武)委員 話が横に行つてしまいましたが、私は井上委員の関連質問なんです。  山添農地局長は、井上委員の質問に対しまして、農地改革の打切は、臆説で考えたことはない、従つて誤解をしないでもらいたい、このように言われているのでありますが、どうもこれは了解ができないことなんであります。と申しますのは第三次農地改革につきまして、きまつていることは十分に行うのだ、それを完全に整理する形で仕上げるのだというように言われておりますが、現状はそのようなものになつていないではないか。先ほど落葉や山林の使用権の問題につきましても、法規内でいろいろやられるというようなことは言つておりますが、これは実際にどこでやつているのか。むしろ県の指導というもの、あるいは農林省の指導というものは、こういうものを全然やらせないでおるのではないだろうか。少くとも現実においてこういう使用権の設定は、それが農業のために役立ち、農民の束縛を解きほごすというような面で行われたところはないではないか。それからすでに吉田内閣が農改地革を打切るというような話を出したために、いろいろ第二次農地改革に逆行するような面も、地方で起つているのではないだろうか。それに先ほどの話によりますと、宅地の問題を農業用資産として今後は切離して考えたいというようなことを言つておられる。しかしながら今後切離して考えたいというようなことを、なぜ今まで実行して来たのか。現に東北地方においては、宅地の買收というような問題をやめておるのではないか。また開拓の問題につきまして、現在耕地の少い農家におきましては、増反開拓という要求が強く出ておる。それから現在農村に失業人口が増大いたしまして、その関係からも開拓の要求は強くなつて来ている。それにもかかわらず今回の予算面を見れば、未墾地の解放を推進させることを完全にやめるという方向をとつておるのではないだろうか。また牧野の関係を見ましても、現状で打切るというような面が現わている。こういう面がいろいろ出ておつて、すでに第二次農地改革に逆行するような面が出て来ているが、これをもつてしても、なおかつそれを打切るということが誤解だということを言われるのか、はつきりしてもらいたい。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 第二次農地改革は大部分完了いたしたのでありまして、たとえば農地の買収にいたしても、法律によつて買收したものが百七丁万町歩、財産税の物納農地等を加えますと百九十万町歩ということになつておるのでありまして、おおむねその目標とするところは達しておるのであります。もとより今後多少の隠れたる買收漏れの農地はあるかもしれませんが、これはあくまでも現在の法律によりまして、買収を続行して参ることにはかわりはないのであります。そういうことに現在なつておるのでありまして、ただいま山林原野等についての使用権の設定について、農林省が何かそれを阻止するとか、もしくはやらせないような方向へ指示をしておるのではないかというようなお話でございましたが、そういうことはございません。元来この法律の規定は、使用せんとする農家の方の要求に基いて山林の所有者に話を持つて行く。これについて必要があれば農地委員会があつせんの労をとる。もし話がまとまらなければ、適当な條件に基いてその農業者の所有権を設定する、こういう方式に粗なつて来るのでありまして、元来行政のやり方として役所自体がやる仕事ではないのでありまして、そういう問題が起りました場合に、こういう解決の方法が與えられている。従つて現実にその村でそういう必要があれば、農民の要求によつてそれを解決し得る方法があるというのであります。ただ問題は、今までの耕地の買収並びに売渡しの方へほとんどみな手をとられ、関心もほとんどそちらの方にあるので、問題がありながらまだ取上げられないという所が多くあるだろうと思います。と申しますのは、その規定によるところの運用がほとんどされておらないから、それはそういう段階にあると思いますけれども、それは今後現実の要求に即応して解決されて行くのではないかということでありまして、別に官庁の方が阻止をしているということはないのであります。  なお宅地等の問題につきましては、先ほども申しますように、名子地帯と申しますか、もともと山林原野を開墾してそこに移住をして、そこで地主から農地も土地もひつくるめて借りておるというような形態があつたわけであります。そういうところは、今回の農地改革によりまして解消をしたわけでありまして、そういう点を除いてみますと、日本の農村における宅地と申しましても、聚落をなして住んでおるのであつて、農地とは切離して考えてもさしつかえない、またその方が適当だろうという考えを持つておるのでありまして、農地改革に関する政府の態度はマッカーサー元帥の手紙にありますように、その成果を保持し、今後において農地の兼併等が行われることがないように、また小作地が増大する結果、農村においていろいろなむずかしい対立的な問題を起すことがないように、原則を強固に維持して行くということでありまして、その線においては変更もなければ、動揺もしていないのであります。

山口武秀日本共産党

○山口(武)委員 答弁が納得行かないのであります。と申しますのは、山林の使用権の問題について申しますと、農林省ではそれを阻害するような指導をしたことはないと言われておりますが、現状は阻害する形になつているのです。と言いますのは、村で農民側で山林の使用権の設定をいたしたいというような要求書を、村の農地委員会に出しますとどういうことになるか、村の農地委員会は県の方に問い合せる、問い合せたところが、県の方としてはこれはまだ待つてくれ、なぜ待つのか、農林省から細則が来ないから待つてくれ、今やられたら困るというので、これは現在なお延び延びになつておるのです。こういう状況で農林省に責任がないと言われるのか。それからなお今の答弁では牧野の問題につきましても回答がなかつたと思う。それから宅地の問題につきましては、すでに農業用附属施設としての買収を停止しているという事実にはお答えがなかつたのですが、これをお答え願いたい。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 宅地につきましては、現在の法規でも買收を一年以内に申込みをしなければならないというのをこの前の改正でつけ加えたのでありますか、今回これから提出いたします法案には、ちようどその期限をもつて切ることにいたしておるのであります。すでにその申請の出ておるものを、特に押えておるということはございません。ただ問題になります事柄は、最近——最近と申しますか、宅地等の価格につきましては相当問題があるわけでありまして、そういう意味合いにおきまして、多少留保しておる点があるいはあるかと思いますけれども、農林省といたしまして、別にそれについて宅地の点を積極的に抑えておるという手段は、現在とつておるわけではないのであります。いずれにいたしましても、宅地の問題は来る六月までには一切片をつけてしまいたい、こういう考えを持つております。また開墾適地の問題につきましては、茨城県はたくさん開墾適地がありますと同時に、一番地元でむずかしいところであります。これは御承知のように、適地前提基準というので、非常に考慮すべき條件等が詳細に規定してあります。その規定に照しまして開墾適地であるというものについては、開放をいたして行くことにかわりはないのであります。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 話が大分横へそれまして、はなはだどうも困るのですが、私が農地問題について政府の所見を伺つておりますのは、実は御承知の通り、最近の食糧需給関係を考えてみまして、一体農地を現状のままで、政府が本年事前割当の六千八百五十四万石という未曽有の割当をいたしたのでありますが、農地局長としては、現状のような農地の関係や土地改良の実態や、そういうことでこの未曽有の六千八百万石という事前割当が、円滑に農家に割当てられると考えておりますか。現実の農村の実情というものを考えずに、土地問題に対する明確な線を出さずに、また土地の生産を高める積極的な対策というものが立たずに、ただ数字だけどんどんふやして行つて、それで一体現実が解決されると考えておりますか。  そこで私が伺いたいのは、一体政府は——政務次官も見えておりますから、食糧庁長官と相談をされて答弁を願いたいのですが、一体国内の自給度を何ぼに押えようとするのですか。この見通しが立たぬ限りにおいては、農地問題においても、土地改良においても、農業政策全体がこれから出て来るのであります。国内の自給度を何ぼに一体押えようと考えますか。その一つの見通上を明確にされたい。たとえば本年六千八百万石、来年は七千万石と言うかもしれぬ、その次はまた七千二百万石と言うかもしれぬ。一体自給度をどこに押えられておるのか、その基本的な根拠を明らかにされたい。これは一番大事な問題でありまして、私の聞こうとする点はそこにある。そういうことを全然明らかにせず、その根拠を明確にせず、農家の経営実態を明らかにせずに、単に数字の上で六千八百万石であるとおろしてみたところで実際しようがない。この点を明確にされたい。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 これは大臣からお答えを願つた方が適当かと思いますが、おいでになりませんので、私が、多少私見にもなりますけれども、考えを申し上げたいと思います。御承知のように、現在輸入食糧に依存をいたしております点は、今までございますと大体全体の食糧の一割五分でありました。八割十分までは自給をいたしておつたわけであります。この将来の考え方といたしましては、どうせ日本としては貿易によつて産業を興して行く以外には、多くの人間を扶養する道がない。従つて国内においてむりをして高い食糧を生産するよりも、むしろ安い食糧を海外から仰ぐというぐらいなつもりであつても、しかたがないではないかという意見も一面にはないことはないわけであります。しかしこれはきわめて実際に即さないと同時に、国際情勢から考えても危険な考え方だと思つております。従つて農林省といたしましても、また政府の方針といたしましても最近何かの機会に発表になりましたように、與うる限り食糧の自給度を高く保持して行く。自給度を高めるということに努力して行くことが農政の限本である、こういう方針を明らかにされたと思いまするが、私はやはりそういう線でなければならぬと思います。この事柄はひとり個々の農家の経済という問題を越えまして、国全体の経済か、それこそいわゆる自給経済を達成します前提といたしましても、やはり国内においてなし得る限りの食糧を増産して行く。むしろ産業界といいますか、経済界の人の方が、その点については意見が徹底しておるのでありまして、たとえば帆足計というような人は、国内において食糧を徹底してコストを無視してでも増産すべきではないか、それでなければ日本の食糧自給はみな食糧輸入に食われてしまつて、いつまでたつても全体としての拡大経済というものは望めないのだということを言つておる人もあるくらいでありまして、どうしてもそういう外貨を有効に使うという意味からも必要でありますし、いわんや国際的な政治状況というものを、考えましても、日本としては現状程度の自給度はどうしても維持すべきである、かように考えておるのであります。それではそういう事柄が予算、政府施設の上で明確にされておるかと言いますと、遺憾ながらまだそうはなつておりません。と申しますのは、一応五箇年計画等はつくりましたけれども、これはそのままに相なりました。その後計画が今までに立てられていないという理由は、申すまでもなくインフレーションの関係でありまして、どんどんと経済状況がかわつておるようなときにおきまして、やや恒久性を帯びました財政の見通し、それに基いてこれは確実だというような——机上プランは別といたしまして、確実牲のある長期計画を立てるのは今まで不適切でありました。従つてそういうことができていないのでありますが、おおむね国の財政の規模もきまつて参り、公共事業費のわくもおおよその見通しがつくという現段階におきましては、あらためてそういうがつちりした、やや長期にわたる計画を立てるべきものだと考えておる次第であります。  次に六千八百万石の割当をして、それがむりなくおりるかどうか、こういう点につきましては、六千八百万石と言いますと、非常に大きい数字でありますけれども、これは雑穀を含めての話でありまして米自体にしますと、きつちりとした数字は知りませんけれども、六千四百万石くらいだろうと思うのであります。現在米の生産は、面積から申しまするとなるほど戦争前の一番大きかつた時代は三百三十万町歩くらいになつたこともありますが、しかし大体三百万町歩くらいに押えていいのではなかろうか、今年あたりは、大体作報等のそれを見ますと、それに近い数字であります。むろん戰争の結果若干減つておるものがありますから、戰前と比べることはいけませんけれども、その意味におきまして、面積的には、これは作付がふえたのか、計算上ふえたのかという議論もおありかと思いますけれども、とにかく相当の増加をいたしておる。肥料のごときも、少くとも化学肥料におきましては戰前に劣つているわけではない。労働力にいたしましても、問題が全然ない。家畜にいたしましても、馬は昔から見ますと五十万頭減りましたけれども、牛は逆に昔よりもふえておるということでありまして、諸般の生産状況から見ますと、この程度の数字があえてむりだとは言えないわけであります。これは大分昔になりますが、たくさんとれましたときには七千万石以上とれたことも事実あるわけであります。六千四百万石程度の数字でありまして、かつそれは天候等の災害等によつて、どうしてもとれない場合には、それから補正があるということを前提にいたして考えた数字といたしましては、別にむりだとは思わないのであります。ただ終戰以来年々非常に生産が落ち込んだ、割当そのものもずいぶん低かつたということから見ますと、だんだん上つて来たのでありますけれども、前後を振返つてみますとそれほどのことはない、かように観察をいたしておるわけであります。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 私の伺つておりますのは、一つの農地の改革、土地改良、干拓、開墾等を通して、一応政府としては、これがこうなればこうなるということで、予算もやはりそれに伴うて編成されているのじやないかと思うのです。従つて單に抽象的に国内で自給度を高めて、輸入食糧をできるだけ抑制して行くというのは、常識論であります。私はそういう常識論を聞いておるのではない。問題は国民大衆から税を集めて国内の食糧自給度を高めねばならぬ、そのためにはこういう政策とこういうやり方をとらなければならぬというのが、あなた方の仕事なのであります。従つて本年六千八百万石の自給度を押えるとして、来年はどういう計画が立てばどうなるかという、一つの自給度の計画がなければならぬのです。それが大事なんです。  そこで私伺いますのは、農地改革なら農地改革を、現状のままであなたがかりによいとして、それにプラスする土地改良なり、あるいは開墾、干拓等を通して結論はどうなるか、あなた方からこれだけの税金を出してもらつたが、そのかわり食糧はこれだけふえましたということを、国民にあなた方は答えを出さなければならない、これが必要なのです。だから私といたしましては、少くとも自給度の一つの見通しといいますか、そういうものが明らかにされませんと——われわれの考え方ならば、農村の民化と、農民生活の安定の必要から、土地改革はさらに徹底する必要があると考えております。これは議論になりますからそれ以上私は申しませんが、しかし当面われわれが国民食糧自給の見地から考えました場合に、自給度をどこへ置くか、幾らに一体押えるかということなのです。たとえば土地改良を一つ考えましても、この土地改良をやることによつて單作が二毛作になる、その結果麦がどれだけ増産される、また米がどれだけ増産されて、これだけの経費を使つても数年後には取返す、だから土地改良をやる必要があるというところから予算を要求するのでしよう。かりに本年度の予算計画において、七億四千百万円の土地改良が昨年度より多く使われることになつております。そうすると、それだけ金を使つて実際はどれだけ増産ができるかという答えが、ここに出て来なければならぬ。その答えは結局国内の食糧自給度を高めることになる、その高める目標を私は聞いている。それがなければこの予算を出してもらつたつて、まつたくだれが食つているかということになつてしまう。同じような数字ならば何も土地改良をやる必要はない。少くとも官給度がどこへ上つて行くかということが必要なのです。それを私は聞いている。それが今年あなたは六千八百万石のうち水稲が六千四百万石はむりではないというところでもつて、この土地改良にこれだけ計画されているとするならば、来年は土地改良をどうする、開墾をどうするという一つの目標を明らかにされて、これによつて肥料なりその他の生産に必要な資材、資金等を総合した結果、来年は七千万石はむりでないという数字が出て来る。そういうことを明らかに農民にも知らし、消費国民にも知らして、国内食糧自給度の確立について強固たる方針を進めることが、必要ではないかと私は考えます。そういう面であなたのお考えになつている、また政府として考えている国内自給度の見通しについて明らかにされたい。同時に土地改良並びに干拓、開墾等についての計画がありますならばその計画を明らかにされたいと思います。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 ただいまのお説はまことにごもつともなことであります。実は私どももその点を考えております。ただ遺憾ながら現在までまとまりました数字といたしましては、先ほどの話に出ました経済復興五箇年計画以外にはない。ところが、その経済復興五箇年計画というのは正式のものにならなかつたということと、また財政面におきましても、これはその計画ができ上るころには、またドツジ政策等のことですつかり模様がかわつたのでありまして、従つてやや安定の見通しがつきまして、今後こういうことで行くのだろうという見通しが立ちました現在から、新しく計画を立てる必要があるのであります。こういう意味で今後資料を検討いたしまして、井上委員のおつしやるような計画を立てたいと考えておるのであります。元来土地改良の計画と申しますれば、どこそこに土地の改良をしなければならぬ面積があるというようなことでは、これは実は非常に広い数字になりまして、日本国中の三分の二は土地改良をしなければならぬのだ。これは大小を入れての土地改良でありますが、そういう意味からペーパー・プランになりますから、そういうことでなしに、むしろ国家財政のうちから、おおよそどの程度は土地改良の方にまわせるかということと、今の人口状態に対応するところの自給度の保持、すなわちそれに要しますところの土地改良で申しますれば、私は百万石程度は土地改良で受持つべきではないかという考えを持つておるのでありますが、それとにらみ合せて現実性のある計画を立てたいと思つております。しかしこれはまだ思つておるだけでありまして、できておるわけではございません。来年の予算編成期までには一応の暫定案をつくり、さらに資料を集めてコンクリートなものにしたいと思つておるのであります。そういうことが確かに必要なのでありますが、現実の問題といたしましては、本年も実はそういうラインで、長期計画はなくても、少くともやはり人口がふえるだけのものは国内でまかないたい。それには肥料あるいは病害虫の防除、あるいは農業技術の改善等いろいろなファクターがあります。それらのファクターと同時に、土地改良では約百万石見当のものを、これは増産が確実であり、かつ計算し得るのでありますから、そういうことで実はいろいろ要求をいたしたのであります。先ほどもちよつと申しましたが、土地改良の種類によりまして、国家経費と増産の効果とはおのずから違いがございますが、平均いたしまして、一石増産するのに国費を一万五千円以上、大体一万七千円ぐらいになるかと思いますが、その程度はしなければならぬ。そういたしますと、逆算をしてみると、土地改良の経費も現在よりも培いるということに、少くとも計算上は相なるわけでありす。その辺のことはさらに精密に勘案いたしまして、少い経費で多くの増産効果をあげるように、——国家財政の中に当てはまらぬようなことを考えましても、これは結局一面的な理論になるわけでありますから、そういう現実性のありそうなことをベースにして、計画を立てたいという考え方ではおるわけであります。ただいまの御議論は私どももまことに同感であります。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 そうしますと、本年度のこの予算に出ております土地改良その他の計画は、大体本年度事前割当のこの石数にマッチしていると考えてもいいか、これは別にこんなことに関連なしにこの予算が組まれておりますか。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 これは生産計画といたしましては直接の関連性は持つておりません。と申しますのは、数字をはじき出すという意味におきましては、一応関連性はないと思いますが、事実問題といたしましては、土地改良による増産ということは、全体としては関連性があることはもちろんであります。しかしこの地区にこれだけの事業ができ上つてこうなるのだというようなことからではないのであります。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 いま一点伺いたいのですが、われわれ国内の自給度を高め産物を対抗せしめる一番基礎の問題は、何と申しましても農地改革が徹底し、農村の民主化が行われてその上に農地を生産性を高める條件に改良することが絶対的に必要であります。ところが、この問題に対して従来ともに積極的な対策が立てられない。今局長が申されます通り、資本の耕地の中で、少くとも三分の二は土地改良を対象とする耕地でありまして、これに相当の国家資本を投下して改良いたしますならば、非常な増産になるのみならず農村の経済もある面カバーされることが明確でございます。しかしこれがなかなか財政当局の理解するところとならずして、ほんの天井からしずくを落すくらいな経費しか毎年盛られないのであります。私がこの際特にあなた方に訴えておきたい点は、日本の産業がここまで急速に復興いたしましたのは、一に戰争から戰後にかけて、農民の黙々たる生産力増強への努力の結果であると、私どもは確信を持つている。御存じの通り、終戰以来戰災にあいました全国百三十近い都市の人口はみな農村に入つている。それから外地から引揚げて来た人も大部分農村へ入つている。さらに徴用その他によつて都市でかせいでおつた人もみな農村へ帰つて来た。これがもし農村が包容せずに、これらの人々が都市に集中したとするならば、大きな失業問題、大きな戦争犠牲者問題がここへ起る。このために政府は莫大な金を使わなければならぬ。今わずかな失業があるということで、国家は数百億の金をこれに費やそうとしているが、農村が親戚縁者いろいろな関係から多数の戰争犠牲者なり、失業者なり、あるいは引揚者なりを包容しているというこの事案を、政府は見のがしてはいかぬのです。いわゆる自分で食べるものをわけて、自分の住んでいる家の一部を提供して、相身互いに助け合つているのです。これは日本の家族制度の一つのいいところでもありますが、もしこれが欧米のように個人主義の徹底しているところで、これらの人々の収容する家をどうするか、衣服をどうするか、食糧をどうするかという問題になつて来た場合、現実の問題として、政府は莫大な金をこれに注ぎ込まなければならぬのです。それを全部農村がひつかぶつて今日までやつている。このこと自身が農村の経済をますます窮迫に陥れているのであります。この農村のかかえている人口、農村が養つている人口、これは少しも政府に対してその救済や対策を要求していないのです。もしこれだけの人口を政府が養い、政府が対策を講じなければならぬとするならば、少くとも数百億の金がかかるのです。このことを政府は考えて、積極的に農村に対する対策を講ずることは少しもむりはないのです。私は少くともそう考える。そういう面から、特に農村には御存じの通り、相当潜在失業者も入つておることでありますから、土地改良、農業水利等に対して積極的な手を打つて、日本農村の新しい方向への立直りに、一日も早く手をつけることが必要であると私は考えますから、ぜひひとつ政府は、この基本的なわが国農村の立直りへの基礎行動のこの問題について、積極的に手を打つてもらいたいことを私は特に要求をしておきたいと思うのです。  なおこの際特に生産問題に関連しまして、食糧庁長官が来ておりますから、ちよつと一言伺つておきたい点は、昨日農林大臣は予算委員会において、昭和三十五年度の主要食糧の需給推算なるものを発表しております。そして本日の読売新聞によりますと、政府が発表したとして、この需給推算が出ておりますが、これによりますと、供給面において八千二百余万石、そして需要面において六千二百余万石、差引千九百四十四万石が二十六年度へ持ち越されるという推算を発表しておるのでありますが、この数字について食糧庁長官は責任をお持ちになりますか、これを一応伺いたい、大事なことですから。

安孫子藤吉食糧庁長官

○安孫子政府委員 新聞を実は見ておりませんので、どういう数字でありますかわかりませんがうこの前の国会におきましては、会計年度による需給推算を実はお出ししておつたのであります。その後補正の問題も大体片づき、その他の諸條件も固まつて参りましたので、従来のように食糧年度、去年の十一月一日から本年十月までの需給推算を実は策定をいたしたわけであります。それをこの委員会にも御報告したいと実は考えておつたのであります。御希望もあろうかと思いますが、この需給推算を御説明申し上げまして、あとで新聞の記事等の点を御審議願いたいと思います。  最近ようやく固まりましたので、多少数字について動く点もあろうかと思いますが、内容を御説明申し上げます。昭和二十五年米穀年度の主食需給見込み、昭和三十四年十一月一月から二十五年の十月三十一日までの需給についてでございます。これの供給高におきまして昭和二十四年十一月一日の持越しが、この欄でごらん願いますように、米におきまして百三万四千トン、石数にいたしまして六百八十九万四千石、以下麦類、かんしよ、ばれいしよ、加工いも、雑穀、国内産の小計が百八十八万千トン、それに輸入食糧の持越しが七十万五千トン、合計いたしまして二百五十九万トン、千七百七十六万七千石の持越しになつておるわけであります。これは前年同期におけるものに比較いたしまして約六十万トンの増加になつております。石数にいたしますとおおむね四百万石でありますが、これは主として輸入食糧の持越しの増加であります。前年同期の輸入食糧の持越しはおおむね十二万トンでございました。それが約七十万トンの輸入食糧の持越しとう形になつておるわけであります。  次に三十四年産の買入高でありますが、これが合計いたしまして六百九十八万七千トン、四千六百五十八万石二十四年産の作物につきましては米及び米代替雑穀以外のものは一月一以降はほとんど買入れはない見込みでありますが、十一月一日から十二月末までの実績を計上いたしたのであります。その概数を申し上げますと、麦については約三万四千トン、かんしよにつきまして一三十二万九千トン、ばれいしよにつきましては五万一千トン、いもの加工品等につきましては七万三千トンという数字を計上いたしたのであります。それから昭和二十四年産米及び米代替雑穀につきましては、その最終供出見込みを大体四百五十万トン、でおります。これから十月末日までの買入れ数量を控除した残余を、昨年の実績を参考といたしまして、米、雑穀に振りわけて計上いたしたのであります。以上が三十四年産の作物の買入れ数量を合計いたしますと、この国内産小計のところにありますように、三百七十九万六千トンという数字になる次第であります。  それから次の欄の昭和三十五年産の作物についての買入れ数量でございまするが、これは米及び米代替雑穀につきましては、いわゆる早期供出見込み量を百三十七万四千トンに見込みました。石数にいたしますと、八百四十九万三千石であります。これを米と雑穀に振りわけまして、計上いたしております。  それから麦につきましては、十月末日までに買入れられる予定数量を百二十万一千トン、八百万六千石計上いたしたのであります。御参考までに事前供出割当数量を申し上げますと、百三十四万一千トンでございます。  その次にかんしよでございまするが、これはいろいろ問題を提供しておつたのでありまするが、一昨日司令部の方におきましても、本年のかんしよ並びにばれいしよを買うについての了解を得ましたので、その数量を計上いたしております。かんしよにつきましては、二億七千万貫、ばれいしよにつきましては一億三千万貫、合計四億万貫を買うということで、これを計上いたした、こういうことでございます。これを合計いたしますと、三十五年産の国内産の食糧の、十月末日までの買入れ見込み数量が、三百七十四万二千トン、千八百二十八万石ということになるのであります。これを総計いたしますと、国内産の食糧は八百四十二万三千トン、石数に換算しまして、五千六百十五万三千石という数字になるのであります。  次に輸入食糧の見通しでありますが、これは十一月、十二月中の到着実績は、三十六万七千トンであります。一月以降十月までの到着見込みを二百八十五万六千トンと押えまして、これを計上いたしておるのであります。今後の到着につきましては、まだ不確定な要素が多々ありますので、確定的な数字の計上は困難でありまするが、以上のような推定をいたしまして計上いたしたわけであります。  それから需要の面につきましては、本年の人口を八千二百二十六万人とおおむね推定をいたしております。八千二百二十六万人、そのうちから消費者を四千四百四十五万人、生産者を三千七百九十一万人といたしまして、年間の需要高を七百四十三万八千トンと算定をいたしました。そのほかに労協加配につきましては、現行のままこれを継続するという推定をいたしまして、八十一万四千トンを見込んでおります。合計いたしましてここに載つております八百二十八万二千トンという推算をいたしたわけであります。  次に主食の工業用途の需要の推定でございますが、これは従来と同様に不可欠のものだけを見込んだのでありまして、米は酒用といたしまして六万六千トン、そのほか民需用穀粉原料及びのり用を見込んでおります。麦類の工業用途はビール用麦、イースト用の麦、医薬用、紡績用原料のり等を計上いたしております。それから雑穀でありますが、そのおもなるものは大豆のみそ、しようゆ用、とうもろこしのブタノール用、燕麦の飼料用であります。一部輸出原料用を見込んでありますが、穀類合計は三十五万四千トンとなつているわけであります。いも類の工業用はアルコール用、酒用、澱粉原料用等に配給された推定でありますが、三十二万六千トンを計上しております。従いまして工業用としての合計が大十八万トンとなつております。  種子用につきましては、現在予定されております増産用、増反用、緑肥用、予備貯蔵用等として七万四千トンを計画いたしております。、  なお加工減耗等としましては、国内産につきましては三十九万五千トン、輸入食糧につきましては七万九千トン、合計三十七万四千トンを計上いたしましたが、これは運送並びに貯蔵中の欠減を穀類につきまして約三%、いも類につきましては一〇%を計上しているのであります。過去の実績と比較いたしますと、この欠減率は若干過大に過ぎるのでありますけれども、実績ははるかにこれより下まわつていると私どもは考えておりますが、本表におきましては需給操作上の一つのアローワンスといたしまして、このまま計上いたした次第であります。  以上各項目別に需要を合計いたしますと九百四十万三千トンとなりまして、これを供給高の千三百三十万トンから控除いたしますと、約二百九十万トン程度の持越しということになるのであります。この持越の増加は輸入食糧において生じたものでありまするが、これは輸入食糧の到着が今後どういう変化を見るかによつてここは動いて来ると思うのであります。なお一九五一年のアメリカの会計年度におきまする日本の援助費の削減等を考えますと、この数字もどうなりますか、まだ確定的な見通しは困難でありますけれども、概要以上のような需給推算を私どもとしては作成いたしました。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 これで非常によくわかつたのですが、これは推算ですから申し上げることに多少注意をする必要がありますけれども、御存じの通りこれは二合百七勺ベースでこうなるという結論であろうと思いますが、そうしますと、この持越しが千九百万石からある。これほどたくさん持越す理由はどこにあるかということがひとつ疑問になつて来ます。これは三通り言われます。一つは——いずれこれは私本会議で農林大臣に質問しようというつもりでおりますが、御存じの通り本年二十四年度産米の補正、それの供出というものが非常に混乱をしておることは事実であります。せつかく補正をしてうまく行つておると思うたところが、この補正供出さえなかなかうまく行かずに、遂に新語であります免責石数などというものを考え出して、特別の県だけにこれを指示した。そうかと思うと片一方の方では八十六万石ですか、追加供出を主として関東から單作地帯に向つてこれをぶつかけておる。それほどにせなければならぬような状態であるにかかわらず、需給面では実に二千万石近いものを手持ちしておる。これは農民側にとりましては、この数字は納得できない。そんなに苛斂誅求的に供出を強制しておいて、しかも二千万石からの保有を政府が持つということは、供出農民の立場からいうと、納得できない問題がここにある。これをあなたはどうお考えになるかということが一つ。  いま一つは、消費面からこれを考えます場合、これだけの持越しがありますならば、当然ここで二合八勺なり、あるいは三合九勺に年間増量しても、十分まかない得る見通しがこれによつてついておるのに、何ゆえに増配をしないのか。政府は勤労大衆の賃金ベースの改訂には断固として拒否しようとしておる。それで一方実質賃金によつてこれを補うということをたびたび発表しておる。その実質賃金の一部の一番大きな部分を占める主要食糧の増配について、何ゆえに政府は積極的に二合八勺なり、三合近い増配を断行せないのでしようか。ないというならば、これはやむを得ないでしよう。しかし現実にこうした数字がここに出ておるのにどういうわけでやらぬのか。それをやらぬで二合七勺でこれを行こうとすることを、われわれが揣摩臆測しますならば、御存じの通り世界情勢は非常に緊迫して来ております。特に米ソの対立は深刻なものがあります。だから冷たい戰争が火をふく戦争に転化した場合、ここに三月、四月分の食糧を政府は持つておらぬと、いざという場合にこれはたいへんなことになるという、国際情勢の緊迫化から、いわゆる増配もせずに二合七百ベースで相当量の保有をここに持つ必要があつて、こういう莫大な繰越しを予想しておるのか。これは生産者側と消費者側とで納得できない数字なんです。この二つについてあなたの率直なる御意見を伺いたい。

安孫子藤吉食糧庁長官

○安孫子政府委員 この表でごらんになればわかるように、昨年の十一月一日の持越しが千七百七十六万石であります。それが二十五年十月末日においては千九百四十四万石、約三百万石の増加であります。千九百四十四万石だけをごらんになりますと、いかにも厖大だというお考えを持つかもしれませんが、前年度と比較いたしますると、二百万石程度の増加であります。しかもただいま申し上げましたように、この大部分は輸入食糧の面において推定をいたしておるのであります。この輸入食糧はただいまも申し上げましたように、アメリカの救済資金が相当減る可能性がある。この点についていろいろ心配をいたしているのであります。ゼロという話もあつたのでありますが、そういうことにはならぬかと思いますが、相当削減いたされます。そういたしますと、その残余にすべて商業資金による輸入に振りかわらざるを得ないと思う。商業資金による輸入数量は、これは外貨の面もありますし、また各相手国との貿易協定の問題もありますし、いろいろな面から私どもは世間で言いますほどに、実は楽観をいたしておらぬのであります。これは前にも申し上げたかと思いますが、かたく見まして白四十万トン程度、甘く見ましても百九十万トン程度と考えておるのであります。三百数十万トン入れるということになりますと、甘く見まして二百万トンの差額、百何万トンというものは、結局ガリオア資金による。ところがそのガリオア資金がはなはだ心細い状態にありますので、その辺をどう調整するかということは、今後の事態の推移に基いて考えて参らなければならぬと思う点であります。さような点からいたしまして、ただいま御質疑がございましたように、国際情勢の非常な変革に対応してこれだけのリザーブを蓄積して行こうという意図を持つての需給推算ではございませんので、二合七勺ベースを推持するために相当嚴密に需給推算を見込んで参りたい。こういう意図でもつて組んでおる次第でございます。

井上良二日本社会党

○井上(良)委員 食糧長官としては今お話になつたのが本音であろうと思うのです。それは国の台所を預つておるあなたとしましては、それだけかたいそろばんをもつてかかるのがほんとうです。ところがこういうことが新聞に出ました場合、一体国民に映る眼にはどういう感じを與えるかということを考えなければならぬと同時に、ここで何つておきたい点は、対日援助資金の問題を非常に心配をされておるようですけれでも、これは本年度の予算に三百七十五万トン入れるという計画で、ちやんと予算にも出ておるのです。それだけ入るということの予算がちやんと出ておるのです。そこはあなたは商売で、実際物が入つて来てみなければわからぬといえば、それはわからぬと言われるかもしれないけれども、それはあなたの方の輸入食糧課の方にバイヤーその他が米を買うてくれ、麦を買うてくれとずいぶん来ておるのです。政府は断わるのに困つておる。実際を言うと、そういう面もありますから、そう私は心配をしたものではないと思いますが、一番私どもが困つております問題は、あなたがここでお話になりました通り、昨年度も十月末の本米穀年度へ繰越したものが千七百万石くらいあるわけであります。従つてこれだけの大きな繰越しの出たのは最近になつてからです。これはあなたは輸入食糧からこうなつたというけれども、しかしぼくに言わせれば、輸入食糧だとは考えていない。やはり繰越しの千七百万石去年の十月末にあつたということを知るわけです。それほどたくさんお米をあなた方がかえておりながら、何でそんなにきつい供出をやかましく言うのですか。そこはもつとうまいことを政治的にいかぬものでしたか。現に免責問題と超過供出問題とは大きな問題になりますよ。あなたの方はどうお考えになつておるかしらぬけれども、一方において免責をされて責任量の一部を免除され、一方において超過供出を八十余万石引受けなければならぬ。こういう状態になつておるのですから、そういうむちやをしないでも、これだけの米があるのだから、それだけ何とか政治的に話はつかぬものですか。そういう点について、あなたの方はどうお考えになりますか。これはいずれ本会議で農林大臣に質問するつもりですが、生きた数字の上に立つての質問をしているのですから、明確にその点を御答弁願いたいと思います。

安孫子藤吉食糧庁長官

○安孫子政府委員 私から事務的にお答え申し上げます。政治的な御答弁は政務次官からあるだろうと思います。免責と超過供出の問題でありますが、今年の作況は、近来になく大体しり下りになりまして、従来でありますと、予想収穫高よりも実収高が大体上まわつておるので通例だつたと思いますが、本年だけは、予想収穫高に比較いたしまして、実収高が非常に下つておる。その間に、予想収穫高に基いてやりました補正というものが、各県の均衡を破る事態を発生いたしたわけであります。従いまして、実収高を見合いまして、非常に補正が足らなさ過ぎたという件につきましては、やはり知事会議の附帶決議の第一項の趣旨による免責処置を講じ、実収高が相当上まわつた県につきましては、法制上に基かない、超過供出の目標を指示いたしまして、供出について御努力を願いたいということで、その間の均衡をとつて参りたいと考えておるわけであります。ただ御承知のように、一部地方におきましては、免責を受くべき状況にありながら、各般の情勢から、いろいろの困難な事情を引起しておる点は承知いたしております。この点については、善後処置として、なお別途処置をしなければならぬと考えております。私どもといたしましては、各県間の均衡をできるだけ保持することに努めて参りたいと思います。

小笠原八十美民主自由党

○小笠原委員長 まだ大分質疑が残つておりますが、本日はこの程度にとどめまして、次会は明九日午前十時より開会することにいたしまして、本日はこの程度で散会いたします。     午後零時四十四分散会

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