内閣委員会法務委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 18 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1950/03/11
会議録
○鈴木委員長 これより内閣委員会、法務委員会連合審査会を開会いたします。内閣委員長であります私が本審査会の委員長の職務を行います。 本日の議題は法務府設置法の一部を改正する法律案であります。 —————————————
○鈴木委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。田嶋好文君。
○田嶋(好)委員 私は法務委員会を代表いたしまして、一、二点質問を関係当局にしたいと思います。今聞こうとしますことは、まず法務総裁にお聞きすることになると思うのであります。今回の法務府設置法の一部の改正する法律案は、法務委員会に重大な関係がありますが、内閣委員会にこれが係属いたしております関係上、まだその詳細な内容をつまびらかにすることができないのであります。従いまして重複するきらいはあると思いますが、一応御説明をお願いいたしたいと思います。 まず私たちが関心を持つておりますのは、今度の改正案の重要な部分でありますところの検察研究所の問題であります。この検察研究所は、私たち法務委員会が昨年の八月に犯罪科学捜査の国政調査といたしまして取上げまして、その後いろいろと国政の調査をいたしました結果所産された機構なのであります。これに伴う予算も、われわれは法務府の方に出るように極力努力いたして参つたのでありまして、この研究所の内容に関しましては、われわれは重大な関心を寄せておるわけであります。そういう関係で、なるたけ詳しく私たちに検察研究所の内容を御説明願いたいと思います。具体的に申し上げますならば、機構、これに伴う予算、人員等はどういうようになつておるかできるだけ詳しく御説明を願いたいと思います。
○殖田国務大臣 お話の通り、法務委員会でいろいろ御心配くださいました犯罪の科学捜査という面に重きを置きまして、その辺を充実したいと思いまして、予算を要求したのであります。しかるにいろいろと予算の審議の途中におきまして、関係方面と折衝いたしました結果、科学捜査もむろん必要であるが、それより当面の急務は刑事訴訟法が新しくなつて、その新しい刑事訴訟法に即応する検察のあり方が不十分である、従つて思い切つた改革を要するのであつて、これには検察官の頭の切りかえも必要であると申しますのは、新刑事訴訟法が英米流に切りかえられましたために、従来長く大陸系の法制になれておりました検察官が非常にやりにくい点があるのであります。そのためにせつかくの新しい法律が十分に成果をあげ得ない点があるから、まずその方を先にやつたらどうかういうことでありまして、まことにごもつともな意見でありますから、せつかくの科学捜査の予算をそつちへ切りかえまして、そうして検察研究所というものを設置するということにいたしたのであります。しかし今のように、主として新しい刑事訴訟法の運用ということを問題にして研究するのでありますけれども、それに関連しまして、やはり科学捜査が当然出て来るのであります。私は初め法務委員会でせつかく御心配くださつたその御心配の点を、決して粗略にしてはいなかつたつもりでありまして、今度の研究所の中で十分それが実現されるように努力したいと考えております。しかしながら表向きの建前は、ただいま申し上げましたように大分科学捜査とは離れまして、そして新刑事訴訟法を主とする検察官の頭の切りかえと申しますか、刷新と申しますか、その方面を十分にやるということに相なつておるのであります。しからばそれはあたかも臨時の施設のように見えますけれども、検察というものをりつぱなものに仕上げる、つまり検察そのものをもつと科学的につくり上げるためには、相当の長い年月を要するのであります。これは常時頭の切りかえをして行かなければならないのであります。それからまた彈劾者としての検察と、また捜査をいたす検察といずれの面からいたしましても、まだまだ研究を要する点がいつぱいあるのであります。これを科学的にするということは非常に必要なのでありますから、当面の新刑事訴訟法の運用ということ以外に、これから長く検察陣に一つの研究機関を與えまして、そして常に怠らず検察官の頭をみがいて行こうということを考えまして、従つて臨時の講習会ではありませんで、いわゆる検察研究所という名前で、ずつと続けて参りたいと考えておるのであります。こまかい点は一々私から申し上げかねるのでありますが、ここへ局長が参つておりますから、局長からくわしく御説明申し上げさせたいと思います。
○野木政府委員 それでは私から検察研究所の組織その他につきまして、いま少しくわしく御説明申し上げたいと思います。検察研究所が設置されました理由につきましては、先ほど総裁がお述べになりました通りであります。それでこの検察研究所におきましては、すべての検察官に対しまして、ゼミナールその他検察官がみずから研究する方法によつて、検察官の地位、責任に関する認識を深め、かつ事実上の技術を向上させるために訓練して行こうという目的のもとに出発いたしまして、別に法務総裁の管理のもとに、新しく検察研究所という施設を設けたわけであります。この研究所の職員といたしましては、予算に計上してありますのは、検事六人、事務官十六人、飜訳及び通訳八名、その他の雇用員が十三名、合計四十三名であります。これをどういうような組織にするかと申しますと、ただいま一応考えておりますところでは、所長の下に次長を置きまして、そしてほかの検事は、いわゆる研究官ということにいたしまして、この研究所に入つて、先頭に立つて研究を進めて行くということにしたいと思つております。その他の職員は、大体今のところ総務課、飜訳課、資料課、大体この三つぐらいの課にわけて、それぞれの事務をとらせようと考えております。予算といたしましては、今年度の予算におきましては二千百万円予定されております。なおこのほかに公共事業費中に七百五十万円ほど見積られております。この予算は、職員の給料のほかに各地から検察官を研究のために招集して訓練させる旅費及び職員たる研究官のほかに、部外から判事、検事、弁護士その他内外の学者などから、適当に講師を選んでいろいろ研究の助けにする、その講師の謝金及び英米法を研究しなければなりませんので、その研究を委託する費用、そういうものが含まれているわけであります。研究の実施はどんなぐあいにやつて行くかという点でありますが、これはいろいろやつて見た結果、なお研究改良を常に加えて行くわけでありますが、さしあたつてとしては、研究の基本目標を、新しい刑事訴訟法のものにおける検察官の地位と責任の自覚に置き、それから第一審の公判実務、これは御承知のように、今までの大陸法系の刑事手続と非常に違いまして、英米法系的になりましたので、これが一番大事な点になつて来ておりますし、なお今までの検察官に一番技術的に欠けていた点であります。それから証拠の法則の実際問題の研究に重点を置きたいと思います。新刑事訴訟法に基いて証拠法ができましたので、その証拠の法則やその証拠の実際問題、先ほど触れられました科学捜査なども、これに多少関連して来ると思います。そういう点に重点を置きまして、さしあたつて研究を進めて行きたいと思います。幸いにこの法律並びに予算が通りましたならば、四月から大体検事三十人ぐらいずつを、一回に二週間ぐらいの予定で研究所に集めまして、研究を進めて行き、そして約二箇年のうちに全検事に一わたりの今言つたような研究を終えたい、そういう考えであります。それからその呼ぶ検事でありますが、最初は十年以上の実務経験を有し、かつ公判実務の中枢的地位にある検事を招集して、逐次それ以外の全検事に及びたいという考えであります。この研究所のやり方は、いわゆる上から教え込む、教授するという方法ではありませんで、研究官が研究生たる検察官と一緒になつて、ともどもに討論し研究して行くという方針をとつております。その教材とか課程などにつきましても、関係方面の御援助を得て、今までと違つた新しいものを採用して行きたい、そういうもくろみでおるわけであります。さしあたつてただいまのところは、ただいま申し上げた程度のことを考えているわけであります。
○田嶋(好)委員 今の御説明を承りまして、まことに時宜に適したよい機構だと私感ずる次第であります。ただ御説明の中に、今までやはり検察庁で検事の訓練機構として講習会をやり、その他研究所的なものもあつたように思うのでありますが、こうしたものと検察研究所はどういうように違つて行くのか、この点を少し御説明願いたいと思います。
○殖田国務大臣 今までも講習会がございまして、今でもやつておりますが、これは若い検事等を呼びまして、ごく一般的な講習をするということになつておりましたが、当分の間は二つをちやんとわけまして、今度できますのは大体大学院のようなものでございます。それから今までのは普通ただの大学と申しますか、もつと下級のものであります、いずれはこれを統合しまして、充実した制度にしなければならぬかと思つておりますが、まだただいまのところそこまで考えておりません。それから従来の講習会はそれほどたくさんの費用をかけておらないものでございますから、当分両建で参りまして十分であろうと考えております。
○田嶋(好)委員 その点もよくわかりましたが、今御説明の中に、科学捜査の点を多少というような——言葉じりをとらえるわけではないのですが、多少これに入るわけでという局長の御言葉がありましたが、私たちは法務総裁を信用するものでございまして、現在どうしても科学捜査というものをおろそかにして検察事務が成立つとは考えません。法務委員会といたしましては非常にこの科学捜査の点を重視しておるわけであります。どうか多少というような観念でなく、できるだけこの機構の中に科学捜査を取入れていただきまして、そうした点を十分に御検討の上、この機構をお生かし願いますように御願いを申し上げる次第であります。 次に、今の説明でわかつておりますが、多少疑問になりますところを一点お伺いいたします。この科学捜査が検察研究所の中に取入れられるといたしますと、国警に犯罪科学捜査研究所というものがあるのでありますが、これとの関係はどういうように調節してお行きになるお考えか。またこれらの間に何かの関連性でも今後持つて行く御気持があるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○殖田国務大臣 お尋ねのその点が、私どもが科学捜査を検察研究所に切りかえました一番おもな理由でありまして、大体今日では警察が捜査の主体でありますから、その警察において現に科学捜査研究所をもつております。従つてそれと重複しないようにという考えで、今のような機構にいたしたのであります。しかしながら検察もむろん捜査をいたしますし、最後のきまりはやはり検察でつけるのでありまして、その点も決しておろそかにはできないのであります。しかし警察の捜査と検察の捜査とではおのずからその立場を異にしますし、また性質も異にいたします。そこで科学的な研究をすると申しましても、自然それは違つたものになるだろうと考えております。これらは将来この研究機関を運用して参りました上で、いろいろな必要と申しますか、現在の計画の中に欠けておる点も発見するであろうと思いますから、それに従いまして充実をして行きたいと考えております。警察の科学捜査と申しますと、ごく現場の仕事になりますし、検察の方では現場より少し進んだ、どちらかと申しますれば、机の上の科学ということの方がより大事になつて来るのではないかと考えております。
○田嶋(好)委員 せつかくつくられた機構でございますので、国警とも犯罪の科学捜査の意味におきまして大いに御協力を願い、この機構の運営をあやまたないようにここに要望する次第であります。私たち法務委員会といたしましては、この研究所設置に対しましては、先ほども申し上げましたように全面的に賛意を表するものでありまして、今後運用の花を見ますことをここにお願いいたしまして、私の質疑を終りといたします。
○鈴木委員長 次に上村進君。
○上村委員 ちよつと法務総裁にお尋ねしておきたいのですが、科学捜査ということが眞にこの研究所の使命であるならば、われわれもとより異議を申すものではございません。しかし最近の検察庁のファツショ化という非難は至るところにあるのでございます。そこでいわゆる検察官の研究ということになると、しかも今法務総裁のおつしやつたような机の上の研究ということになると、必ずこれが人権蹂躙をいかに合理化するかというようなことを、その研究に当つておる検事諸君がやるということを想像しなければならないと私は思うのです。それで結局憲法がしかれまして、憲法第三十八條によつては、自白の強要を絶対に禁止しておるわけであります。しかしながらこれに対して、はたして現在の検事諸君が自白の強要をしていないかというと、しておるわけです。それでこれがどういう形でやられるかというと、むろん昔のような露骨な拷問——打擲をするところの拷問は少いのでございますが、たとえばお前はそうだろう、こうだろうといつて、長いこと夜の十二時もしくは一時にわたつて調べる。しかもその刑法の條文を持ち出して、お前のやつている罪はこれこれしかじかで死刑、無期に当るのだ。そして検事の言う通りに自白すれば、それが助かるのだというような尋問の仕方を研究してやつておるわけです。特に三鷹事件あるいは松川事件等に見られるところによると、三鷹事件などでは、まずお前はこの電車の残骸、電車に轢殺された悲惨な人たちに同情しないかというようなことを言う。そして同情すると言えば、それじやお前はそれに対して黙祷をささげろというようなことを言つて、黙祷をさせて、ずるずるべつたりに自白に持つて行つたというようなこと、これは私どもが長い間弁護士をしておりますが、新しい一つの研究の成果のように考えるわけであります。こういうふうに検察機構において研究したということが、結局人民の権利の弾圧するものであるならば、これは絶対にわれわれは反対しなければならないと思うのであります。そこでどうしてもこういう研究機関を設ける前に、今田嶋さんが御質問になつたような科学的捜査、ほんとうに眞実を発見するところのあらゆる科学の研究をさるべきだと私は思う。それをせずにこれをしたという法務総裁の御提案ですね。これは一体弾圧的なフアッシヨ的な傾向になつておるのではないかどうかということを一応確かめておきたいと思います。
○殖田国務大臣 それは上村さんのお考えとまつたく反対でありまして、つまり弾圧とか人権蹂躙とかいうようなことがないように、最も理論的、最も合理的な検察をやりない。こういうことであります。決してそこでごまかしたり、トリックを考えようというようなことは毛頭ありません。逆であります。ことに証拠というものを十分研究いたしまして、日本では従来——私はあまりくろうとではありませんが、証拠法がはなはだ不完全であつたようであります。証拠というものの認定の仕方なども、かなり理論上の研究が不十分であつたようでありますから、これからそういう方面に力を入れまして、何も自白を唯一無二の証拠とはしない。もちろんそうでありますけれども、ややともすればそうなりがちであります。そういうことをしないように、何人が見ても、客観的に見てまことにもつともな検察であるというところに持つて行きたいのがこの検察研究所の趣旨であります。決して御心配のようなことは毛頭考えておりませんから、御安心願いたいと思います。
○上村委員 そうすると法務総裁は、現在の検察権の運用についてはいわゆる見込み捜査、現にぼくなどはいわゆる見込み捜査のなまなましい被害者なんです。それで見込み捜査をしたり、それから昔の特高的な、思想に対しては思想的な考えからむりにこれを研究するというようなことが現在あるわけですが、そういうものをなくするということで、ほんとうに公平な、人権を尊重した、憲法の條章にのつとることを根本理念としてこれを御提案になつておる。こういうふうに伺つてよろしゆうございますか。
○殖田国務大臣 その通りであります。
○鈴木委員長 それではよろゆうございますか。
○上村委員 よろしいです。
○鈴木委員長 他に御質疑はありませんか——御質疑がなければ、内閣委員会、法務委員会連合審査会はこれにて散会いたします。 午後二時四分散会