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7回国会衆議院1950/02/10

電気通信委員会公聴会 第3号

発言数
98
登壇者
17
会派数
2
開催日
1950/02/10

会議録

辻寛一民主自由党

○辻委員長 ただいまより電気通信委員会の電波法案及び電波監理委員会設置法案に関する公聽会を開きます。  開会にあたりまして、一言公述人諸君にごあいさつを申し上げます。本日は御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、厚く御礼申上げます。  申すまでもなく、科学技術の進歩は日進月歩でありまして、特に電波に関する利用の分野が、今日のごとく広汎になつて参りますと、従来のごとき電波関係法規や、これが実施をつかさどる行政機構では、時代の要求に沿いがたい状況を惹起して参ります。のみならずつい最近、新たなる国際電気通信條約が成立いたしたのでありまして、かかる世界の状態とも即応して、ここに新たなる構想のもとに、電波法案及び電波監理委員会設置法案が提案されるに至つたのであろうと推察いたしておるわけであります。従いまして両案の眼目といたすところは、いかにしたら電波の利用が公共の福祉に適合するかという面と、この電波行政をつかさどる国の行政組織は、いかなる形態のものが最も適当であるかという二つの点から、両案のごとき具体的事項の規定がなされたのであろうと存じます。本委員会といたしましては、すでに先般来愼重なる審議を進めておるのでありますが、本日は特に学識、経験ともにゆたかな各位の御出席を煩わし、それぞれ御專門の立場から、両案に対する忌憚なき御意見を承り、もつて法案の審査の万全を期したいと思う次第であります。  それではこれより逐次御意見を承ることにいたしますが、御意見発表の時間はお一人十五分程度にお願いしたいと思います。なお念のため申し上げますが、衆議院規則によりまして、公述人が発言しようとするときは委員長の許可を得ること、公述人の発言は、その意見を聞こうとする問題の範囲を越えてはならないこと、また委員は公述人に対し質疑をすることはできますが、公述人から委員に対しては質疑することはできないことになつておりますので、お含みおき願います。なお発言の順序は、かつてながら委員長指名の順序にお願いいたします。  それではまず篠原登君にお願いいたします。

篠原登電気通信学会会長

○篠原公述人 私篠原登でございます。本日電波に関する二つの法案の国会における御審議にあたりまして、私は公述人として一言意見を申し述べたいと存じます。  申し上げるまでもなく、電波とか無線とかいう分野の発達ほど著しいものはございません。マルコニーが初めて無線を実用に供しましたのは、わずかに五十年前であります。その後の無線の発達は、まことに驚くべきものがございまして、御承知のようにただいまは全世界の空間に、あらゆる電波が充満しておるのであります。今後もまた長波、中波、短波はもとより、超短波、極超短波等の実現によりまして、その発達はまことに刮目に値するものがあろうと存せられます。  ここで私は、この二つの法案に対しまして最初に申し上げたいことは、電波は国民の一人々々のものであり、国民全般のものであるということであります。これは決して電波監理委員会のものでもなく、政府のものでもなく、特殊の人や、法人や、機関のものではない。国民全般のものであるということであります。しかしながらここに無線電波の特殊性ということを考えなければならないと思います。すなわち無線の媒介物たる空間が、世界にただ一つしかないということであります。一つの媒介物でありまするところのこの空間を、あらゆる面で利用しなければならないという電波の特殊性こそが、最もこの法案の重大な点であろうかと存じます。すなわちそれは、たとえば交通整理ともいうべき整理が必要であり、またこれに伴いまして、国と国との間におきましても、電波の利用上の協定が当然必要となり、これが国際電気通信会議において各国の間に激論せられまして、このただ一つの媒介物から、できるだけ多くの波長をわがものにしようと、血眼になつていることは御存じの通りであります。こういうふうに一つの媒介物を共通に使用しようとするために起る交通整理、また国際間の條約にいかに順応して行くかという点、こういう二点から、この電波法案が現在国会において考慮されているものと私は信じます。従いまして、実は電波の統制などやるべきではないが、交通整理をやらなければ混乱を起すから、やむを得ず整理をやるというのが、法の根本精神でなければならぬと信じます。そうして国民全体が最も公平な交通整理の方法によりまして、整然としかも能率的に、仲よく利用するというのが、この法律制定の根本趣旨であることは、疑う余地のないところであろうと思います。従いましてこれはどこまでも禁止とか、押えるとか、縛るとか、いわゆる統制の範疇に属するものではなくて、むしろ整理整頓であつて、やむを得ず行うものである。従いましてできるだけ電波の施設を助長、育成するものでなければならないと思います。  それから最初に申し上げましたように、電波の技術は急激に進歩の一途をたどつております。従いまして技術の進歩を統制するのではなくて、かえつてこれを保護、育成するような方向に向うべきであり、科学技術の飛躍的な発展を促進するような立場をとらなければならないと思います。同じ法律でも、解釈や運用によりましては、あるいは禁止的な、あるいは押えるというような、いわゆる統制面の強調に主眼が置かれるということもございますし、また助長、育成という面に重点が置かれることもありますが、本法案はどこまでも後者の解釈や運用をとらなければならないのであります。本法案につきましては、民間におきましては、意外にも官僚統制の再現であるという印象が強いようでありますから、この点十分考慮せられまして、統制にあらず、整理整頓であるという点を強調されまして、その誤解を拂拭するように希望いたします。  次にやや細部について申し上げたいと存じます。第二章に無線局の免許について、いろいろ手続が載つております。けれども日本の官庁は、私も役人をしておりましたが、手続に時間がとれまして、なかなか認可が来ない。時間の空費であります。無線というものは、一秒間に地球のまわりを七まわり半いたします。どうぞ無線局の免許にあたりましては、ひとつ電波の速度のように、手続を早くするようにしたらいかがでございましようか。  次に第四章に無線従事者のことが載つておりまするが、まず第四十七條に、国家試験は電波監理委員会で行うとあります。これは当然でございますが、国家試験の施行にあたりましては、別に学識経験者や民間有識者等を含みまする試験委員を任命し、試験の民主化ともいうべき制度を設けたらいかがでございましようか。また試験施行にあたりましては、一定の受験資格を定めたらどうでございましようか。たとえば学校の程度をきめるとか、何年間の実務経験者であるとか、また独学の者には予備試験をやるとか、そういうものをパスした者を選びまして、これに国家試験の受験の資格があるとするようにいたします。これは無線従事者の質の向上上必要であると考えられます。義務教育もしなくて、ただ技術的に試験にパスしさえすればよいというだけではありませんで、ある一定の受験資格をここに定めたら、無線従事者の質の向上に裨益するところが大であると信じます。  また第百十六條に、無線従事者の資格の経過規定が載つておりますが、これを生かしまして従来の有資格者は十分尊重し、あまり急激に資格をやかましくしまして、過渡期に混乱を起さぬような配慮が必要かと存じます。また有効期間五年の経過後も、無試験更新の條項が第四十五條に出ておりますが、これもあまり厳密に失することは、かえつて混乱を招くばかりでございまして、たとえば一定の猶予期間を設けるとか等の配慮が必要かと存じます。  次に第七章の聽聞について申し上げます。聽聞という制度は、日本では初めての試みであるように思われますから、この新例を開くにあたりまして、は、よほど考えてうまくやるようにお願いいたします。たとえば審理官が記載する聽聞におきましては、ある場合には審理官の意見と電波監理委員会の意見と異なる立場に立つこともあり、また利害関係者の強い要望に対し、これを否定しなければならない場合もあると思います。それで審理官が絶対公平の立場をとることができますように、いま少し身分保障を強くしなければならないのではなかろうかと考えられます。  第八章の雑則におきまして、第百一條の無線以外の設備につきましては、できるだけ統制しないようにいたしまして、高周波電流が重大な障害を與えるようなときに、やむを得ない場合にのみ限定するようにするのがいいと思います。  また第九章の罰則の中で、第百七條、すなわち政府を暴力行為によつて破壊するとか、あるいは第百八條のわいせつ行為とかいうものは、これは何も通信に限つたものではございませんので、別の一般法にしたらいかがでございましようか。これは今朝の某新聞にも出ておりました。  最後に電波監理委員会設置法案におきまして、電波行政が電気通信省の外局から総理府の外局につくことは、現業官庁と行政官庁とを切離す意味におきまして賛成であります。ただ電波は一国の文化、社会、経済と密切な関係がありまして、国民生活と結びついておりますので、監理委員会の構成並びに運用は、一党一派に偏することは絶対避けなければならないと思います。しかも相当な專門家を起用しまして、これが委員会の運用を有効適切ならしめることが必要かと存じます。  要するにこの二つの法案に対しまして、私はその趣旨において、また大綱において、原則的に賛成の意を表するものでございますが、さらに以上申し上げました諸点につきまして、御考慮を願えれば、まことに幸いであります。  最後に、これは申し上げるまでもないのでありますが、公聽会におきましてただわれわれにしやべらせておいて、それを聞き置くだけではございませんで、公平に考えて正しいと思われる点は、国会において十分御採用されますように要望いたします。これをもちまして私の意見を終ります。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 次は紺野四郎君に願います。

紺野四郎社団法人日本放時事新報社主幹

○紺野公述人 私、新聞関係の紺野四郎でございます。拜見しますところ、皆さんどうも專門家の方ばかりで、私一人がいわゆる門外漢なのでございまして、技術の方面は全然しろうとでございますが、新聞方面からのごく漠然としたことでありますが、ちよつと意見を申し上げます。  法案を拜見いたしますと、大体におきまして私どもしろうとがなるほどと存ずることがたくさんございます。たくさんどころか、ほとんど全部がそういうものかと実は思わせられるのでありますが、この細目を一つ一つ読んでみますると、またなるほどでもないなと思う点が、また出て来るのであります。議論になりますからその辺は略しまするが、申すまでもなく電波と申しまするのは、このごろいう文明の利器でございます。文明の利器中の利器であろうと思うのでありますが、しかしそれにもかかわりませず電波と申しますると、利器なればこそこれを奨励すべきものであるのに、何かどうも押えよう押えようとする気分がどこかに見られる。あらゆる法規か何かそのように心の奥底に、電波というと、はれ物にさわるような、あるいは何かやつかいもののような扱いをする気分が、何か官庁や一般の方に見られるのではないかというような印象を受けるのであります。電波関係の機関は鋭敏であるということは申すまでもありません。しかし鋭敏でありましたら、悪用されます。悪用を取締まるというのはわかつております。しかしその悪用という点を極度に強調しまして、いわゆる統制といいますか、それを極度に強調しまして、何か電波といえば罪悪が行われるというような感じを一般の人に與えているような、そんな意思でないのでありますけれども、どうもそのように思われる傾きがあるのであります。ですから電波といいますと一般人は、非常に事務的の技術的の問題である。でなければ何かやみの通信をやる。この二つに考えておるのであります。先ほども前公述人が言われましたように、電波というものは世界共通すべてのものが持つものである。それにもかかわらず何か今申すように、あれを技術家、でなければ宣伝者と、この二つのもののように一般人に印象を與えておるのは、非常に遺憾でありまするが、それが事実であります。これは国際関係が非常にデリケートでありまして、ことに思想もこのようでありますから、これは当然でありますけれども、しかし以前の無線電信法とか、あるいは無線電信取締規則などを見ますると、何か電波、無電といいますると、ピストルか村正の刀でも取締るような気持で、條文ができておるように感じられるのであります。これは新聞社の社員の持つ一種のひがみのような、あるいは皮肉かもしれませんが、どうもそのようにとられてならないのであります。悪宣伝の悪いことはわかつております。電波を利用して悪宣伝をするのは、断じて許すべからざることであります。しかしそうかといつて、電波そのものを一部の人のものにしてしまうということは、われわれ言論界に携わるものにとりましては、非常にふしぎに思われるのでございます。有線でも無線でもわれわれに何の関係もない。それが無線となると非常に妙に、一種の取締りがやつて来るような感じがいたします。この法文を見ましても、法律というものはこういうものかもしれませんが、あまりにもどうも第一條、第二條、第三條と、特にこれが多いのではないか。あるいは三年間どうとか、何トンの船がどうとか、何ワツトは幾らで何ワツトは三千円、あるいは三千五百円というような、実にわれわれしろうとが見まして、こんな必要があるのか。たとえば新聞社にしましても、発行部数百五十万のものが何何、百三十万のものはどれだけというような感じでありまして、しろうとだけにふしぎに、またおかしく思われるのでございます。よくがんじがらめといいますが、これではまつたくがんじがらめで、私門外漢でわからないのでありますが、これでは手も足も出ないのではないか。取締りはけつこうでありますけれども、妙なあれですが、今の刑法を三倍にいたしましたところで、決して犯罪が減るものではない。無電に限つて規則を多くすればこれが善用せられるとは、どうも考えられないのであります。  今わが国で利用できる空間というものはごくわずかな中であることは、もう皆さん御承知であろう。そんなことをいまさら言うのもやぼなんでありますが、そのごく狹い巾、われわれの利用できるごく狭い空間、時間、それから許された範囲、それをできるだけ有効に、できるだけ活発にやるのが、われわれの目的なりであろうと思うのでありますが、どうも近ごろの傾向を見ますと、その許された範囲をわざわざ自分で狹くしておる。狹いこれだけの範囲の中に小さな規則をたくさんつくつて、みずからそれを狭くして、九尺二間の小さな家の中にいろいろな網を張つて、中に小さくなつているような感じを、いつでも受けるのであります。ことに今度の電波に関するものは、ことさらそういうような感じを、われわれが初めて出会つただけに、平生それに接触しておりませんだけに、特にそう思われるのであります。  いろいろデリケートな事情がたくさんございます。これはどなたも御承知で、われわれもよくわかつておりますが、しかしどうも不可解な点が、たとえばこまかなところを見ましても、よほどあるのであります。小さな例をあげますと、第六十四條の中に、第二沈默時間というのがございます。沈默時間なんという言葉は、実は私は一箇月前に初めてある人から聞いたのでありまして、そんな時間があるのか、そんなことはどうかと思つたのでありますが、法文を見ますと、毎時何分と、毎時前後にあるのであります。これは皆さんは御承知でしようが、われわれから見ますと、その中に毎時六分というような規定がある。それには事情もあるのでございましよう。しかし法律になつて出ますと、一般的になるのでありますから、何のために何をするのか。法文だけではわれわれには全然わからないのであります。わかる人が見ればわかるのだということは、法律においては許されないのであります。内面の事情とか、使用の方法などが一般にわからなければ、法としてはなはだ漠然としたもので、載せるべきものでない。法としてどうかと、門外漢にも思われるのですが、あるいはその道の方はどうでしようか。後刻御意見が出るだろうと思います。  全体を通じましてあまりこまごまと、よくもこんなに規定したものだ。実にこれは規定して規定して、何か漏れはしないかと思うように、一つのものを三つにも四つにもわけてある。われわれ新聞社関係の漠然とした頭の者には、どうも見当がつかないのであります。何の仕事は何をやる。手数料はどうとか、このようなことは枝葉末節だと思うのでありますが、何とかならないものか。これは委員の方々に十分な御考慮をお願いしたいと思うのであります。  何年か前でございましたが、この公述人の中のお一人だと思うのでありますが、外国から帰られまして、JOAKで報告の放送をなさつたことがありました。私はアマチユアでもありませんが、すきなものでございますから、特に時間をさいて聞いておつたのでございます。ところが「外国では短波が……」こう一言出ましたところが、ぷつつと切れました。はて機械の故障かと思つてみましたら、五分ほど過ぎまして、また話が続きました。それ以来短波という言葉は、全然その言葉さえ出なかつたのであります。これはあるいは機械の故障か何かわかりませんが、どうも私ども考えまするところでは、やはりその筋の御意向によつてこうなつたのじやないかと思うのであります。今そのようなことはもちろんありませんでしようが、そのような気分は多少あるのじやないか。それがどうもこの法文の中に何か見られるのでございますが、もしこのようなことがございましたら、一刻も早く改めていただきたいと思うのでございます。  それから私は本職は新聞でございますが、新聞は今のところ電波を十分に利用するわけになつておりません。しかし先ほども委員長が申されましたように、日進月歩の世の中で、今にも携帶用の無電機というものができて、新聞記者がポケツトに無電機を持つて出まして、出張先に行つてこつこつやるかもしれません。これはこの電波法案にいうところの無電局かもしれませんが、こういう無電局を取締ることになると、なかなか仕事ができにくくなるのであります。言論の自由といいますけれども、言論の自由は形容詞だけでございまして、実際自由を表現する場合は、決して自由ではないのであります。将来の電波につきまして当然あり得るのでありまするが、今は新聞記者がふところに無電機を入れて、旅館の一室を無線電信局にして、いわゆる局をそこにつくつて、発信することは、あまりやつておらないようであります。これは早晩やるにきまつておるのであります。それを一々あるいは何條に触れるとか、科料何千円だとか、あれは設備の具体的な届出を要するということでありますと、一刻を争うわれわれ新聞記者は、何ともしようがないのであります。そういう方面を、将来のことでありますから、仮定の問題はしかたがないかもしれませんが、しかしかようなことを御考慮いただきまして、将来あり得ることを支障のないように、法文について一応御考慮をお願いしたいと思います。  以上で終ります。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 次は鵜飼信成君にお願いいたします。

鵜飼信成東京大学教授

○鵜飼公述人 私は東京大学社会科学研究所の鵜飼であります。電波監理委員会設置法案につきまして意見を申し上げますが、先ほどの公述人もおつしやいましたように、はなはだ技術的なこまかい規定がたくさんございまして、私はその方の知識はまつたくございませんので、本日は電波監理委員会に関しまして、委員会行政というものの立場から、どういうふうに考えたらいいかということを、若干申し述べたいと思います。  この法案は、おそらく行政委員会制度について非常にこまかい御研究をなすつた方々が、御起草になつたものと思うのでありまして、非常にその点で行き届いた法案であると思います。従つて基本的には私はこの法案に賛成でありますが、一、二私の意見を申し上げようと思います。この場合電波に関する行政をどういうふうにするかということについて、いろいろの問題があると思いますが、やはり根本的な立場として、公共の利益ということを考えなければならぬ。その公共の利益というものは、一般の法案についてもむろん考えられているわけでありますが、電波の場合はもう少し具体的にそれがなつて参りまして、一番はつきりしておるのは、ラジオの聴取者の利益でありますが、私はラジオの聴取者の利益よりもう少し広い、ラジオを聞く可能性のある人々すべての利益というものが、この場合常に具体的に考慮されてなければならない。そういうふうに思うものであります。そこでそういう問題について、官僚にまかせておかないということが、行政委員会方式というものをとるに至つた理由であると思います。  ところがこの行政委員会方式については、いろいろの問題がありまして、先ほどからの公述人も触れておられましたが、非常に能率が上らないというふうなことがあるのであります。時間がかかる。あるいは一般の官庁と違いまして、多数の者が委員になつて、そこで決定をいたしますために、責任の所在がはなはだ不明確になる。何人が責任を負つておるかということがわからないというふうなこともございます。また一般の行政機構から独立した関係になるので、国の行政全体としての方向と一舍しない場合も、起り得るといつたようないろいろな問題がございますが、私は少くも根本的に官僚的な行政に比べまして、委員会行政というものがすぐれているということを認めざるを得ない。その点から今度の法案が、委員会行政の方式を採用されていることに賛成をしたいと思います。  なおこの場合もう一つ注意しなければならないのは、官僚統制にかわつて委員会行政を持つて来たために、委員会というものが、この行政によつて構成をさるべき利益、つまり放送というふうな事業をやつておりますものの利益というものによつて、委員会行政が動かされるという逆な弊害があります。これはアメリカにおきましても、委員会行政の最も大きな欠点の一つにあげられている点でありまして、たとえばハーバード大学のヘリング教授の書きました「公共の行政と公共の利益」という書物の中で、委員会行政の実際を見て行くと、その中ではその委員会行政がレギユレートするはずの利益というものが、委員会の中に現われて来るというふうな大きな欠点があることを申しておりますが、私もその点は十分注意しなければならぬところであると思います。その点については、先ほど申しましたこういう場合の根本的な標準は、そういうような一般の利益、具体的に言えば、放送を聽取する可能性のある人々の利益というところになければならないと思います。  そこでこういう見地から一、二具体的な点について意見を申し上げまして、責をふさぎたいと思うのでありますが、第一は、電波監理委員会設置法案の中に上つております委員会の組織の点であります。第六條には、委員長及び委員というものは、両院の同意を得て内閣総理大臣が任命する、こういう点であります。委員の任命をどういう方法でやるかということにつきましては、現在日本で行われております他の委員会と比較いたしますと、この方法についてはいろいろな方法がありまして、他の委員会と必ずしも同じ方法をとつていない。一、二の例をあげますと、たとえば全国選挙管理委員会の委員というものは、国会の議決による指名に基いて、内閣総理大臣が任命するという方法をとつております。それからもつと広く公選の方法をとつている例は、教育委員会の委員であります。そういうものと比べますと、この方法はちよつと違つておるのでありまするが、私は委員の選任の方法をどういうふうにするかということについて、多少考慮を拂う余地があるのではないかと思うのであります。この法案に関するいろいろな意見をまとめました印刷物を先ほどいただきましたが、その中には、委員は全聽取者によつて選挙すべきであるという意見を述べている向きがあるようであります。私は全聽取者が選ぶという方法は、先ほど申しましたように実際の聽取者だけの利益を守るべきものではないと思いますので、適当な方法とは思いません。しかし何らかの意味でそういう点が考えられていいのである。これは国会で十分御検討になるべき点であると思いますが、私は全国選挙管理委員会のような方法が、あるいはいいのではないかというふうに思います。  第二の点といたしまして、委員長の選任でありますが、委員長の選任の方法につきましては、二つの種類の仕方がありまして、日本のほかの行政委員会でも、またアメリカにおける委員会でも、二つの方法が相並んで行われております。一つは委員長を委員が互選をするという方法であります。もう一つは委員長を内閣総理大臣が任命する。アメリカでは大統領が任命する、こういう方法でありますが、日本でもアメリカでも、委員が互選するという方法の方が、実際上は例が多いのであります。日本ではたとえば国家公安委員、先ほどの全国選挙管理委員会、いずれも互選であると記憶いたしておりますが、アメリカにおきましても大体互選であります。これはどちらの方法がいいかということは、かなり問題がございまして、アメリカでは最近行政機構の改革に関して、前大統領のフーヴアーを委員長とするフーヴアー・コミツシヨンというのができまして、いろいろ調査して、その結果を報告しておりますが、行政委員会の委員長をどういう方法で選ぶかということについては、委員会の中の一つのタスク・フオース、機動部隊、そういうものが調査をいたしました結果、発表しました勧告では、委員長は大統領が任命するという方法を一般にとる方がいいという勧告をしておるようでありますが、しかしこのタスク・フオースの勧告は、最終報告では承認されませんで、最終報告ではやはり互選の方がいいという考え方をとつているようであります。これは同じ放送関係の委員会でも、放送法にあります経営委員会では、委員長は委員及び会長が選挙する。第十五條にこういう方法が規定してありまして、なぜ電波監理委員会の場合には、委員長を互選によらないで任命しなければならないかという意味が、私はよくのみ込めません。一般の利益を現わすという意味から言えば、そうして委員会の一般行政機構からの独立性ということを、できるだけ強く現わすという意味からは、これはやはり互選の方法があるいはいいのではないかというふうに考えるのであります。  第三は、委員になる者については、欠格條項が若干上つておりますが、その中で第六條の第三項の中に列記されておりますものの中で、多少問題になる点があるのではないかと思います。これは私も立法のこまかい理由をよく存じませんので、何か理由があるのかもしれませんが、たとえば先ほどの放送法案の第十六條にあります経営委員会の委員と比べますと、いろいろな違いがそこにある。たとえば経営委員会の場合には、国家公務員が委員になれない。ところが電波監理委員会の委員の方は、反対に国会議員がなれない。どういうわけで片方は国家公務員だけがなれなくて国会議員はなれ、片方は国会議員がなれなくて国家公務員だけがなれるというのかという理由がよくわかりません。何か大きな理由があるいはあるのかもしれませんが、この点は十分国会で御検討になつて、理由がなければ両者を統一する。あるいは国会議員がなれないというふうになつております電波監理委員会の委員に、国会議員もなれるというふうにお直しになるとか、いろいろな問題があるのではなかろうかと思います。それから政党の役員については、どちらもなれないというふうになつておりますが、私は政党の役員をこれほど制限する必要があるかどうか疑わしいと思います。政党の役員というものは、必ずしも公共の利益を尊重することのできない立場にあるものではないと思います。これは一つの政党だけで委員会の全体が支配されては、これはいけないと思いますが、それは当然同一の政党の者だけが独占をしないような制限が上つているわけであります。すでに独占されない以上、その政党の役員が出ても、少しもさしつかえないのである。私はむしろ一番問題になるのは、先ほど申しましたこの委員会によつてコントロールされる利益の代表が、委員会にあまり入つて来るということの点に対する排除であろうと思います。これは今の第三項と第五項に上つておりますが、しかしこれだけでは足りないのではないか。むしろもつと大きなものとして、放送事業その他に金融的な支配力を持つておるものがあるのではないか。そういうふうに金融的に事業をコントロールしているものが、この委員会に入つて来るということをやはり制限しなければ、公共の利益が尊重されないおそれがあるのではないかと自分は思うのであります。  第四点といたしまして、電波監理委員会設置法案の第十一條、第十二條に、罷免の規定がございまして、大体十二條の規定というものは、委員の身分を保障した規定であると思います。これは内閣総理大臣が、この條文に該当するような事由がないのに、任意に罷免することができないという意味を持つていると思いますが、私はこの場合やはり国会が進んで、ある何らかの大きな理由がある場合には、委員を罷免するための権限を持つことがいいのではないかと思うのであります。そういう立法例がすでにありまして、それは全国選挙管理委員会の委員でありまして、これは全国選挙管理委員会法の十一條第一項第三号に「委員の罷免につき、国会の議決に基く勧告があつた場合」というのがあります。国会がやはり先ほど申しました公共の利益の代表者として、そのくらいの権限を持つている方がいいのではないかというふうに考えるのであります。  第五点といたしまして、委員会行政というものが、せつかく従來の官僚的な行政にかわるものになつたにもかかわらず、現実にはそれがほとんど名前だけになつて、依然として官僚行政が続いていると非難が、日本でもアメリカでもしばしば行われておりますが、そういうことが起る一番大きな理由は、委員の実際の仕事が、事務局によつてまつたく行われるというところにあるのであります。そこでその点を多少考慮しなければ、委員はまつたくの名前だけになつてしまうというおそれがあるのであります。先ほど申しましたフーヴアー・コミツシヨンは、やはりこの点を非常に配慮したものと見えまして、その中に事務局を置く場合には、その事務局には事務総長を置いてはいけないということを申しております。この法案で申しますと第二十條ですが、電波監理総局に事務局の長である電波監理長官を置いてはいけないということです。そういうゼネラル・マネージヤーが、直接委員会の指揮監督を受けるという制度をとると、その場合には必ずその事務局が、独立した官僚的な行政機構になつてしまつて、委員会が飾りものになる。それから委員会と事務局というものが分離してしまう。委員が真に行政全体の責任を分担するという意図が、くずされてしまうということを申しております。私はこの点は、技術的にどういう形をとつたらよいかということはよく考えておりませんが、やはり御審議の場合に、御考慮になつた方がよいのではないかと考えております。  はなはだ不十分な話で、ことに風邪を引いておりまして、たいへんお聞き苦しかつたと思いますが、私の意見はこれで終ります。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 次は小松繁君にお願いいたします。

小松繁社団法人日本放送協会技術局長

○小松公述人 私は日本放送協会において技術部門を担当しております小松繁でございます。  まず第一に電波法案から申し上げます。電波法案が、すべての電波を国民大衆のために、公平にしてしかも最高度に利用することを目的とした電波行政の基本法として、また無線科学技術の新しい発展段階に即応した画期的な技術立法として、また無線全般にわたる統一法として誕生いたすことを、技術に携つているわれわれとして心からの賛意を表するものであります。しかもこの電波法案が新憲法の精神に基いて、国民の権利を最高度に尊重しようとしている、きわめて民主的な立法であるという意味においても、これが将来の完全な運用に多大の希望と期待を持つているものであります。日本放送協会としては、過去二十五年にわたり日本におけるただ一つの放送事業体として、公共的立場から、全国的に電波の普及に專念して参つたのでありますが、電波法案並びに関係二法案の立法の精神を尊重して、今後新しく生れる商業放送局に対しては、放送文化の健全なる発達のために、できる限り協力をしたいと存じているものであります。この法案に対する具体的な意見を申し上げます前に、過去二十五年間の日本放送協会における放送局設置の状況、並びにその事情を申し述べて、御参考に供したいと思います。  二十五年前、日本放送協会が設立された際に、政府から命令を受けた事項の中で、最も重要な、そして基本的なことは、全国にわたりあまねく十分の強さの電波を発射し、国民が簡易かつ低廉な受信機で、容易に放送が聞くことができるように、十分な放送設備を設けることにというような趣旨のことがあります。日本放送協会におきましては過去二十五年間、この基本方針の達成に極力努力して参りました。日本が経済的に惠まれないにもかかわらず、放送事業が他の国に比較してりつぱに発展して参りましたのは、これが一番大きな理由であろうと思います。現在日本放送協会におきましては、標準放送として、八十八箇所の放送局により第一放送網を構成し、そのうちの二十六箇所の放送局に第二放送設備を設けまして、第二放送網の一部を構成しておりますが、財政的に許される範囲で、逐次この第二放送網を完成するように、計画を進めておるのであります。このほかに日本放送協会が進駐軍から委託を受けて、現在放送を行つておりますのが八局ありますし、またそのほかに進駐軍がみずからの手で行つておる放送局が若干ありますので、日本において標準放送電波が百二十あまり発射されているわけであります。一方聽取者の側におきましては、強力な放送電波に惠まれまして、簡易かつ低廉な受信機が圧倒的に普及いたしておりまして、現在ではスーパー級の高級な受信機が約一割、残りは最も低廉な、いわゆる並四球式の受信機と、もう少し高級な国民型一号ないし四号級の受信機とが、大体において相半ばしている状況であります。このように多数の放送電波を出しながら、受信機の選択度は一般に低いという悪條件を、私どもは十分考慮いたしまして、今後の放送局の配置計画をいかにすべきかを、正確な資料に基き、いろいろな面から愼重に検討しながら、放送網の完成を進めておる次第であります。  これをもう少し詳しく申し上げますと、日本の国民経済に余裕がなく、また急に余裕ができるものとも考えられない現状におきましては、国民が放送を聞くために要する経費をできるだけ少くするということが、まだまだ大切な條件であると考えておるのであります。この條件を達成するためには、いかなる方策をとればよいか。科学的にできるだけ正確に検討いたしてみますと、全国的に見まして、国民が放送を聞くための受信機に要します経費と、日本放送協会が放送電波を出すために要する経費とが、相ひとしくなつたときに、国民の負担する金額が一番少いということがわかるのであります。それでできるだけ早くこの状態に近づく方策を講ずる必要があると考えておるのでありますが、現在のところでは、日本放送協会側の経費が相当に低いのでありますから、もつと放送設備を全国的に拡充いたしまして、国民の方にとりましては、もつと低廉な受信機で放送が聞けるようにすることが、必要であるということになるわけであります。なおこの放送網計画は、地域別に必要なローカル番組を編成する上からも、たいへん有利だということを確かめてございます。さらにこの計画を決定し、あるいは実施するにあたりましては、電波周波数の節約につきまして、特に愼重に考慮を拂つておるのでありまして、この計画中には新設放送局はほとんどなく、むしろ既設放送局の電力を増すことにより、放送局の数を減らすようにくふういたしておるのでありまして、第二放送の拡充も、現在日本放送協会の従来の放送局に與えられております周波数の範囲内でまかなうつもりで、進めておるわけであります。  以上に述べましたような放送局設置上の諸問題や、その運用上の基礎になります設備の内容に関する諸問題は、きわめて重要な事柄でありますだけに、それを決定いたします際には、きわめて正確にして、十分な根拠に基いて処理されねばなりませんが、この法案を拜見いたしますと、電波行政上の手続や処理の方法等につきましては、順序よく簡潔に、十分盡してあるように思いますが、その処理上準拠せねばならぬ具体的基準は、多く電波監理委員会規則の方に讓つてあるのであります。もつともその中で重要なものは、すべて聽聞を経て決定することになつておりますから、その場合りつぱな規則ができ上りますように、格別の御配慮をお願いいたしたいのであります。  次に少し細部にわたりまして申し上げます。無線設備の定義につきましては、第二條の定義によりまして、性格は割合にはつきりしているのでありますが、解釈次第によりましては、直接電波に関連はなくても、電気的に接続されております膨大な電気的設備をも、含むことになるおそれがあるように思われますので、電波行政上必要最小限度の範囲に、はつきり限定しておいていただきたいのであります。このことは放送設備におきましては、電波に直接関連のない電気的設備の部分が非常に多いのでありまして、これが無線設備の一部であると拡大解釈されますと、おそろしく煩雑な、しかもむだな手数が加わることになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次に、前に申し上げた電波監理委員会規則に関連いたすかもわかりませんが、電波行政に関しまする條約につきましては、今日まで日本における関係者のきわめて良心的、かつ忠実な履行によりまして、最も国際性の高いこの無線通信事業を通じ、日本の国際的信用を確保する上に、大きな貢献がなされて来たものと信じております。それだけに、今後もますますこの態度を堅持せねばならないことは言うまでもないところでありますが、しかしながら日本の経済事情を十分考慮してその基準をきめませんと、事業の円滑な発展を阻害する場合すら出て来るように思われます。一例を申し上げますれば、第三十一條に規定されております周波数測定装置の備えつけに関しまして、かりに五十ワツトの小電力放送局にも必要があるということになりますと、放送機とほぼ同額、場合によりましてはそれ以上の経費を要することになりますので、條約その他における制限規定の趣旨に適合する措置が講せられる場合には、簡略化することを認めるように御配慮をお願いしたいのであります。  以上に申し述べました事項のほかに、こまかい点に関しまして御考慮をお願いいたしたいことが少しございますが、それは書類をもつて申し上げたいと思います。  最後に電波法案に対します意見の総合的な結論を申し上げます。これをラジオ受信機にたとえて申し上げますと、このラジオ受信機の外箱はたいへん清礎で、むだなくよく整つた感じのする体裁でありまして、一応きれいな目盛り板も、調整用のつまみも、ちやんと揃つておりますので、すぐにでも買い求めたいと思うほどよくできてはおりますが、中を開いてみますと、そこにはセツトが入つていなくて、設計図だけがとりそろえてあります。その設計図はたいへん親切に、各部分について詳細に説明が加えてあり、さらにまた中のセツトを組立てます際には、お買い求めの方に十分御相談の上、優良な部分品を選びまして、御納得のゆくりつぱな受信機をつくつて差上げますという、注意深い説明書までがついているといつたような感じを受けるのであります。従いましてこの部分品の選び方のいかんによりましては、この受信機は優秀な受信機ともなれば、また粗悪な受信機ともなるわけであります。りつぱに整つておりますこの電波法案の部分品であります電波監理委員会規則を決定されます際には、正確な資料に基いて十分愼重に検討され、だれもが納得するようなりつぱなものをつくり上げ、この法案がすべての無線通信事業をいよいよ発展させる原動力となりますように、格別の御配慮をお願いいたしたいのであります。  なお電波監理委員会設置法案につきましては、私から特別意見を申し上げることはございません。以上で私の意見の開陳を終ります。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 次は吉田稔君にお願いいたします。

吉田稔東京放送株式会社設立準備委員

○吉田公述人 私は民間放送会社を計画しております東京放送株式会社の設立準備委員、吉田稔でございます。待望久しかつた電波法案、放送法案及び電波監理委員会設置法案の三法案が国会に上程されますときに、この法案に対する公聽会の席上で、民間放送を計画しております者の一人である私が、意見を公述さしていただきます機会を得ましたことは、非常に感にたえないところでございます。  本法案は、基本的にはもちろん私としまして大賛成でございます。この法案が公布のあかつきには、この本案の制定目的である電波の公正にして能率的な利用の確保と、公共福祉の増進に寄與するという根本理念が、忠実に円滑に運営されるということを衷心から望んでおります。従つて本法案を運営するにあたつて、多少でも問題を残し、疑点を生ずるような点がありまするならば、徹底的に事前に検討を賜わりたい次第であります。以下簡單に公述さしていただきます事項は、私の立場上、主として放送及び放送に関係のあることだけ申し上げたいと思います。  放送法その他によつて、特別なきびしい制約事項をいただいておりませんかわりに、何ら国家の保護をも受けておらないわれわれ一般放送業計画者において最大の関心事は、サービス・エーリアを決定する周波数、電力、それから放送所の位置、そういうものを決定する上における制約事項ということであります。しかもその制約事項がもしもあるとするならば、いかなる根拠に基いてそれが決定を見るかということが、われわれの最大の関心事でございます。この法案をずつと勉強さしていただきますと、今の観点、特に周波数の割当という問題について、直接間接に関係のある條項は、第七條の免許に対しての審議事項という中の、第一項の第二号に「周波数の割当が可能であること」というのが、簡単に免許の條件の一つに規定してあります。それからさらに第五十六條に「無線局は、他の無線局にその運用を阻害するような混信その他の妨害を與えないように運用しなければならない。」、特に周波数とはうたつてございませんが、こういうような條項が一つ規定してございます。この両條文は一つずつ見ますと、非常にもつともしごくな條文でございまして、全然異論をさしはさむ余地はございません。しかし放送の場合に、この両條項を関連さして考えてみますと、非常に大きな、しかも重大な問題をここに提供しておると考えられるのであります。すなわち無線局の運営にあたつて、混信などによつて直接その他の無線局の運営に妨害を與えないようにするということを、放送の場合に当てはめてみますと、日本放送協会の運用に妨害を與えない。すなわち一般聽取施設に対して混信を與えないで運用するということが、これから結論づけられるのであります。ただいま放送協会の小松さんから、わが国における一般受信機の質が非常に悪いというお話をここではつきり公述されましたし、皆さんもよくこれは御承知の通りでございまして、たとえば高周波増巾なしの受信機が、全体の五〇%もある。しかも一般に普及されておる受信機の性能というものに対する、はつきりしたつかみどころがまだない。そういつたような状態にあるのでありまして、人跡未踏の山間の僻地に放送局ができるのであるならば、前二條が十分満足されるような放送局の決定、周波数の割当ということが可能になつて参りますが、われわれのように一応商業放送である場合には、どうしてもサービス・エーリアは、人口稠密な都会地にこれを求めなければならない。従つて放送所の位置も、当然都会地に近づいて参ります。そうしますと今後新しできる放送局の設置は、多かれ少かれ混信あるいは聽取不能といつたような地域の発生を見ることは、技術的に言つて議論の余地がないのであります。従つて前の二條をあらゆる受信機に対して——もつともこんなばかげたことはやるはずはないと思うのでございますけれども、あらゆる受信機に対して嚴密に適用するということになりますと、非常に簡單に回答が出まして、割当は不可能であるという結論になると思います。それが前の二條は、放送に関する限り特例を設けるのがあたりまえだと考えます。周波数割当可能という條項を満足すべき受信機の基準を、はつきり法文で規定していただきたいと思います。  余談でありますが、空間というものは電波の公道であります。この電波の公道をかたわの、あるいは病人の、あるいは道案内がなければ歩けないような人間がたくさん歩いておるからといつて、文明の利器であるところの自動車その他のものを、自由に駆使させてはいけないというりくつは成り立ちません。積極的に文化財であるところの電波というものを有効に使用するためには、受信施設の改良を積極的に助長しなければいけないはずでございます。この電波法その他の関係三法案が規定されまして、一般民間放送が許可される道が開けたということは、放送にとつては一大革命でありますので、この機会に一般国民の持つておる受信施設の向上という点に、格別の御配慮を得たいと思うのであります。あえて一歩前進していただきたいとは申しません。半歩でけつこうでございます。この際基準決定に際しては、ぜひ特別の御配慮をいただきたいのであります。なおこの前の参議院の公聽会におきまして、全ラ連の責任者の方が、聽取者のきわめて軽少な負担において、聽取施設を改良する方策をもう具体的に研究済みであるということを言明しておられますので、具体的にその点も御研究になつていただきたいと思います。  以上のような非常に重大な問題を含んでいる周波数割当といつたような問題に関しては、この法案中では特に具体的にその基準を規定してございませんので、委員会規則にまかせてもいいようなかなりこまかい文句が、他の問題ではみんな取上げてあるのに、非常にバランスがとれないのではないかという気もいたします。ですからたとえば第八十三條の聽問事項の中に、周波数割当という問題に関する事項を、一応おつけ加えになつていただくことも一案ではないかと考えます。  非常に蛇足でございますが、周波数割当の問題に関して深く印象に残つていることを、一言ここで述べさせていただきたいのであります。かつて経験後の国会の本会議におきまして、ある政党のある議員の方が、民間放送の免許の見通しということに関して、御質問なさつたことがございます。それに対して責任ある立場の方から、周波数割当がきわめて困難であるという見通しのもとに、当分民間放送というものの許可の見込みは立たないという御回答がございまして、われわれ民間放送を計画しつつあるものにとつて、実に忿懣やる方なかつたときがあるのであります。この御回答はおそらくいわゆる客観情勢というもののしからしめるところで、回答者御自身が不本意ながら、民間放送ができないという回答を、一応技術的な問題に転嫁したと私は解釈しておるのではありますが、この純技術的に不可解な御回答に対して、一言半句も一般民間からの反撃もございませんでしたし、公共的報道機関と称せられておりますところの新聞さえも、これを取上げて論説しようとしなかつたのであります。現下の周波数割当の困難性というものと、当時の状況とを比べてみますと、必ずしも当時の方がきつくて、今の方が容易であるということは成立たないのでありますが、御承知の通り現在においては、より周波数の割当も可能で寄るということを、責任ある方が非公式に言つておられます。こうした実に純技術的な問題として矛盾を感ずるような議論が、平然として行われておるということは、事務局で純技術的な問題を政治的に何か転じて、結論を左右しておるといつたような感じをわれわれは受けるのであります。一体その経緯というものがどこにあるかということをはつきりしなければ、全然無意味ではないかと思うのであります。なお今のような議論に対しまして、一応委員会の処分に対する異議の申立が可能であるから、まあまあいいではないかという御意見も出るかもしれませんが、どんな経過を経てきめられたものにしても、一応決定を見て公示せられました事項は、訂正することが非常に困難であることは御承知の通りでございまして、訂正のための再検討に使われるエネルギーというものは、法律を制定する前において拂わるべきではないか、こう私は考えます。  次に述べさしていただきたい問題は、前項でも申し上げました八十三條に規定する諸事項の聽問会の件でございます。これは篠原先生も小松さんもお述べになつておられますので、希望を述べておきたいと思うのであります。本條項に主として規定せられているような純技術的な事項は、ぜひとも議決権を有するところの審議会において審議決定した上、委員会規則を決定していただきたい、これを強く要望したいのであります。聽問ということの定義を、私ははつきり知つてはおりませんが、おそらく聽き置くということであつて、その聽問会というものには議決権は当然ないだろうと思うのであります。特に一般大衆の生活にきわめて密接な関係を有しており、かつ利害関係者が非常に複雑多岐にわたつておるような放送の問題に関しましては、ぜひとも学識経験者その他によつて構成された、議決権を有する審議会において決定していただきたいと思います。たとえば工業標準化法におきましては、工業標準を決定する際に、工業標準調査会とその專門部会の多数決制の議決によりまして決定を見たことが、法律化されるというようなことになつておりますので、この思想と、放送に関連する技術的な問題に関することを、決定権のある專門部会によつてきめて、それによつて規則をつくつてもらいたいという希望とは、一致するものと私は考えます。ぜひともこの点御考慮を願いたいのであります。  次は、附則の第十二項と第十三項の件でございます。第十項には、法律施行の日から一箇月以内は、ただいま問題にありました聽問を行わないで、電波監理委員会がかつてに規則をつくつてよろしい。しかもその規則は六箇月の間有効である。こういう附則がございます。今まで実際に実施されて来ました法律を一応燒き直して、今度の法律にしました問題であるならばいざ知らず、今度の放送といつた重要な問題のように、新しい試みのものにありましては、この六箇月間の官僚事務局だけにまかされた期間というものに対して、われわれは非常な不安を感ずるのであります。民間の放送の、最も重大なすべり出しの建設期において実施されるところの細則が、全部官僚事務局の一方的な決定だけで施行されるということは、われわれとしては実に不安にたえません。これは前の項に述べたと同じような趣旨で、放送に関する限り、この法案の運営が二箇月や三箇月、あるいは半年くらい遅れてもやむを得ないと思います。もうすでにたな上げになつてから数年になるのでありますから、この際、放送に関する限りの法案の運営はストツプしても、監理委員会規則というものをがつちり練つて、その上で出発していただきたい、こう考えます。  次は免許期間の関係でありますが、十三條に、放送の免許は、免許の日から数えて三年間であるということが規定してございます。御承知の通り民間放送事業を行いますのには、一億以上に達する資金を投じなければなりません。その資金の半数以上は、施設費という固定されたものに投じられるものでありまして、企業体の運命が、法律的には三年しか保障されていないということは、きわめて不安定この上ないものでありまして、株式募集上においても、非常に大きな支障を来すのではないかと考えます。あるいは再免許の制度があるから、法運営の面で心配ないという議論も当然起きて来ると思うのでありますが、これはその議論をなす人の御意見でありまして、法律的に何ら安定性もなければ、法律的にこれを拘束する力もありません。どうしても法律によつて、そんな三年といつたような短い期間ではなくて、もつと長い期間にしていただきたい。免許取消の罰則は、これが合理的である限り、どんなに強化されても私はけつこうだと思います。免許取消の罰則を強化されてもけつこうでございますから、少くとも十年ぐらいの期間は、安心して放送ができるという状態にしていただきたいと思います。この十年というのは、無線機の進歩の状態とにらみ合せた技術的な面と、経営的な見地から見た施設償却の期間が、大体十年ぐらいが常識であるというところから、この十年というのを提案したのでございます。  以上本法の條項に対しまして、具体的な意見を述べさしていただきましたが、最後にもう一言、民間放送の性格というものに対して、すでに相当の御議論があり、町でもいろいろ異論が出ておりますので、この際われわれの考えておりますことを申し述べさしていただきまして、御参考に供したいと思うのであります。結論から言いまして、新しく発足する日本放送協会の行う放送と、われわれ一般放送事業者が行う放送の間には、その目的に根本的な差異がないということを、はつきり私は申し上げたいのであります。ところがこの放送法案、電波法案その他を一見して、皮相的な直感によつて判断いたしますと、どうも日本放送協会を偏重して、民間業者を軽視するという感なきにしもあらずなのであります。この皮相的な見方から、NHKを偏重するような弊が生じ、たとえば今の周波数割当のような問題で、すでに日本放送協会が確保しておる周波数に関しては、自由な技術的な検討を、一般からは加えることができないのだといつたようなことが、今後具体的に起きたとするならば、放送において、日本放送協会の独占形態というものを打破して、健全な発展を期そうというはずのこの電波法、放送法といつたようなものは、死文になるのではないかというおそれがあるのであります。一般放送事業者の大部分が計画しておりますところの商業放送、すなわち……。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 吉田君、放送法案につきましては、もう二日間にわたつて承りまして、もちろん密接な関係はありますけれども、きようの御公述は、二法案についてお述べいただきたいと思います。

吉田稔東京放送株式会社設立準備委員

○吉田公述人 ただいま委員長から御注意がございましたので、一言、商業性であるということは、実は最も強く公共性を要求されるものであつて、商業性であるがゆえに、公共性であろうとするところの自律作用が、常に商業放送を営むものの間に行われておるのだ。従つて商業放送もまた公共放送であるということを、はつきり御認識していただきたいのであります。  非常に雑駁に申し上げましたので、まとまりがなくなつてしまいましたので、先に申し上げました要点だけをもう一度申し上げますと、聽聞事項中に周波数の割当事項というものを一つ入れていただきたい。それから聽聞事項中、純技術的、特に放送に関する問題は、議決権を有する審議会の審議決定を経て、電波監理委員会の規則をきめていただきたい。放送に関する限り、附則の第十二項、十三項は削除していただきたい。それから免許の期間を十年ぐらいにしていただきたい。以上であります。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 以上五名の公述人各位の御発言について、質疑を行います。

中村純一民主自由党

○中村(純)委員 ちよつと紺野さんに伺いたいのでございますが、先ほどお話の中に、新聞記者が携帯用の無線機を持つて通信する時期が、そう遠くないだろうというようなお話でございましたが、戰争中におきまして、野戰地において新聞記者がそういうことをせられたことは、私どもよく存じておるのであります。平時において、まだ日本においてはそういう事態はないようでありますが、たとえばアメリカとか、あるいはその他の外国において、もうすでにそういう事態がありますかどうですか。もしおわかりならばお教えをいただきたいと思います。

紺野四郎社団法人日本放時事新報社主幹

○紺野公述人 別に調べてもおりませんですが、それに関しましたことは雑誌によく出ておりまして、それをいかに新聞に利用しましたかどうか、まだ具体的なことは聞いておりません。しかしそういう計画があることは、大分古くからでありまして、こういう時代になつて、世の中が治まつたのでありますから、あるいはやつておるのではないか。まだ報告には接しませんですが、そういうことはわれわれの仲間におきましても、絶えず話にも上つておることなのでございます。内地ではまだ聞いておりません。

中村純一民主自由党

○中村(純)委員 鵜飼先生に伺いたいのでございます。先ほど委員会行政のあり方、及び本委員会の構成等につきまして、御意見を承ることができまして、まことにわれわれも得るところが多大であつたのでありますが、元来委員会行政という方式は、私は大体二つの意味を持つておるものではないかと思うのであります。その一つは、いわゆる従来の官僚にあらざる民間人、広い意味における民間の方の衆知を集めた方式によつて、物事をきめて行くという、いわゆる民主的な行政方式である。このことが一つの意味だろうと思うのでございます。この点については、その意味に関しましては、だれしも反対はないと思うのでございます。もう一つ、この委員会行政のシステムが歴史的に持つております意味というものは、これは大体私の承知しますところでは、元はアメリカに発したらしい。一つのインデイペンデント・オーソリテイーという意味合いがあるように考えられるのであります。そこでこういう歴史的な意味合いと申しますか、性格の問題は、やはり歴史的に考えて、われわれは一つの結論を出さなければならぬものと思う。アメリカの行政組織、憲法等を私は詳しくは存じませんけれども、少くともわが国に関します限りは、委員会行政による独立方式と、内閣の責任制との間において、何らかの調整脈絡の方法を考える必要が、わが国の政治構造においては必要ではないかと思うのであります。ことに無線行政のようなものは、国政全般と関連する点がはなはだ多いものであります。また特に一、二の例をあげてみますれば、たとえば国際無線條約に加入するとか、あるいは外国と無線通信を開始する、かような点になりますと、これは国際政治に関係がある。従いましてその間の脈絡調整ということは、これは十分考えて行かなければならぬ問題であると思うのであります。先生のお考えでは、わが国の政治構造において、この委員会行政というものは、独立性を持たせる方向に進めるべきものであるというお考えでございましようか。あるいはまた適当な連絡調整の方法を講じつつ行われべきものであるというふうにお考えでございましようか。またもし連絡調整の方法を考えることが大いに必要であるという御意見であるならば、具体的にはどういう方法を考えるのがよいのであろうか。そういう点につきましてお教えいただくならば、非常に仕合せと思います。

鵜飼信成東京大学教授

○鵜飼公述人 非常に重要な根本的な問題でありまして、私もどういうふうに結論を出したらよいかということは困難に感じますが、今の御質問に対してお答えになるかどうかわかりませんが、一つだけ申し上げておきたいと思います。それは、独立の委員会というものができますことに対する非難として、ちようど明治憲法のもとにおける軍部の独立のような形になるのではなかろうか。こういうことが日本では非常に大きな非難の理由になつておるようであります。それは私はないと思う。なぜかというと、国会というものが、委員会をコントロールするだけの基礎を持つておるからであります。そこで今の御質問の問題に結びつけて考えてみますれば、アメリカでは大統領と国会というものはまつたく別のものでありまして、従つてその間にいろいろ複雑な問題が起りますが、日本では国会が内閣をコントロールし、また国会が委員会をコントロールするということになりますと、その点で根本的な結びつきがある。従つて全体の行政の中から切り離して、ある行政だけはある委員会にまかせる。こういうことを根本において決定した場合には、その立場から、一般行政とその特殊な行政との調整ということを、一般行政機関との結びつきで解決しようとしないで、国会がコントロールするという方法で解決するのがよいのではないか。これは一般にいわれておる考え方から言えば、委員会の独立性を強くするということになりますが、そういう方向が私は日本における問題解決のよい方法ではないかと感じておるのであります。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 ほかに御質疑ありませんか。

橋本登美三郎民主自由党

○橋本(登)委員 遅れて参つて、質問の要旨を十分に了承しておりませんが、根本問題に関したことで、鵜飼君に御意見をお聞きしたいのであります。今中村委員からも御質問があつたようでありますが、これに関連して、電波法において独立機関として電波監理委員会ができるわけでありますけれども、こうした独立的な行政措置を行うものを設けたゆえんのものは——これは起案者に聞くのがほんとうかもしれませんが、この法案をごらんになつてのお考えを伺うのですが、これが政治的に左右されるような危險があるためにこういうふうにしたものか。あるいはそうでなくして事務的なものであるから、そこでこうしたような事務的な措置を行うような方向に、独立機関としてのものを設けられたものであるか。法案を見た上のお感じをお聞きしたい。先ほどのお話の中に、アメリカにおいては大統領が大巾の権限を持つている。従つてこれに対して、この権力をある意味において制限するために、ああした機関が生れて来ている。日本の場合においては、先ほど中村君が言つたように内閣責任制になつている。そういう建前から言えば、必ずしも国会の監督をまたずとも、内閣の責任制において、現在の政党のもとにおいてはやつてもさしつかえないではないか。そこが日本の憲法上と実際の行政の仕方に、いろいろ食い違いが出て来るように感ずるのですが、その点に関する御意見を伺いたい。

鵜飼信成東京大学教授

○鵜飼公述人 ただいま御質問の中で、電波法案がどういう意図でつくられたかということについての点は、私もこれを読みましただけでよくわかりませんが、私の考えるところでは、やはり電波法案というものをつくつて、委員会行政の方式を採用したという根本の理由は、内閣はその時々の政治情勢によつてかわるのでありまして、そういうような変動には左右されないという意味があると思うのであります。従つて内閣から独立させるということは、やはり相当意味があるじやないか。政治的に一つの方向に動かないということを明らかにしまして、しかもそれが官僚的でなくて民主的に行くためには、国民が直接これをコントロールしない以上は、やはり国会によるほかはない。そういう意味から私は方向としては、政治的に動かさないということのためにも、そういう意味での独立性を持たせなければ、電波行政というものは十分に行かないのじやないか。そういう理由かどうか知りませんが、そういうように考えてこの法案に賛成するものであります。

橋本登美三郎民主自由党

○橋本(登)委員 紺野さんに御意見を伺いたいのですが、一応この中の條文によつてですけれども、非常災害の場合の條文がありますが、これについて共産党の中では、それが悪用せられはしないか。あまり広範囲になつているために、時の内閣の意向に従つてそれが悪用せられて、逆に警察的な役割をするのじやないか。こういう見解が論議せられているのであります。しかしわれわれの経験から見ますと、従来の電波法といいましようか、従来の規定によつては、そういう災害の場合に、これらの機関を活用できなかつたうらみがある。しかし今回においてはその点において、広く活用ができるという意味においては、相当の意味が含まれていると思うのでありますけれども、しかし共産党の諸君が言うような危險がないとは言いがたいのであります。これに対する紺野さんの御意見を拜聽したい。

紺野四郎社団法人日本放時事新報社主幹

○紺野公述人 おつしやるように、共産党というようないろいろ問題もあるのでありますが、ただこういう方面の規則だけでは、実際の効果がそう上げ得ないじやないか。効果をあげることができないじやないかという懸念をしているのです。もちろんたくさん規則があつた方が、有効であればその方がよいにきまつているのでありまして、その條文を見るとねらいどころもそこにあると思うのでありますが、われわれの考え、また憂え、心配しますことは、條文には表だけ現われているので、それを運用し、あるいはその裏をくぐるならば、いくらでもできるのではないか。電波というものは目に見えないもので、山の中ででもどこででもできる。先ほど申しましたように新聞記者は、ポケツトの中に無線電信局をつくることもできます。実行はいたしておりませんが、どこでも無線電信局を施設することができるのでありますから、その懸念は十分ありますが、それを心配したらきりがない。御趣旨は皆さんすべて同様だと思います。

橋本登美三郎民主自由党

○橋本(登)委員 先ほど来吉田さんのお話を聞きますと、免許の期間の問題について御心配のようでありますが、これは委員会の審議中においても、委員間においていろいろ議論が行われているのであります。当局の説明によると、大体これは世界的な傾向であつて、アメリカにおいても同様の期間が認められているようであります。そこで当局の説明によると、それだけの設備をしたもの、しかも順調にやつているものが、必ずしも再免関係のときにおいて、スムースに引継がれないということはあり得ない。従つて実際上の企業としての期間の上において、悪い影響があると考えられぬというのが、当局の説明であります。ただわれわれ別の方面から解釈した場合において、実際上に十年なら十年という長い期間を與えた場合においては、はたしてその会社がいろいろな意味から言つて、十二分にその設備を行うかどうか。十年というような特殊の長い期間の権利に基いて、十二分の設備を進めることができないような危險がありはしないかということが一つ。もう一つ、これは放送法案の場合においても問題になつたのでありますが、その認可せられた無線局が、他の勢力にとつてかわられるようなことは考えられないとは言えない。たとえば時の有力なる政党の支持を受けるとか、あるいは他の第三国の勢力が侵入して来て、これを左右するとかいうようなことが起きて、そうして実際上にはそこの社会情勢、政治情勢とマツチしないような電波内容を出す場合が起り得るのではないか。こういうことから考えると、あまりに長期にするということは、必ずしも企業の上から言つて十分なる保障があるものでもなし、またそういう限られたる、独占事業に近いものでありますから、こういうふうなある種の勢力によつてコントロールせられるということになると、非常に危險がある。こういう点から、この期間についてはいろいろ議論がありますが、いまだ結論に至つていないのであります。今申しました二つの問題について、意見を聞きたいと思います。

吉田稔東京放送株式会社設立準備委員

○吉田公述人 ただいまの御質疑に対しまして、回答になるかどうかちよつと疑問でございますが、あるいは私の十年意見に対する意見の重複になるかもしれませんが、一応申し上げます。もともとこの放送というものを一般民間事業に開放するという思想は、どこまでも公共の福祉を増進するというところに、問題があるのでありまして、一番最後の特殊勢力によつて支配されるとか何とかという問題は、私が先ほど公述申しましたように、そういう危險があるならば、特別免許取消しの罰則を強化してもよろしいから、今後起きるようなそういう不祥事件に対しては規定して、要するにこの電波法に規定されたものに反するような運営が行われた場合に、この免許を取消すという罰則を設ければ、今お話の望ましからざる勢力その他によつて利用されるという点は、防止できるのじやないかと私は思うのであります。それから特に私が申し上げたいことは、三年間しかとにかく免許されないのだということになりますと、これは当然株式会社の形式をとりますので、一般に株を公募いたします。その場合に、法律的に保護されたのは三年間だということになれば、企業採算の面から言いましても、あるいは三年後において免許の取消しを受けた場合において、投資したものが元にもどるかどうかという疑念から、一般大衆の放送事業に対する関心が、非常に薄くなるのじやないかと思うのであります。そういう点から言いましても、どうしても一般放送というものの基盤をできるだけ広い大衆の中に置いて、株式構成の面から言いましても、一般大衆のふところの中に入つて行きたいという希望がございますので、こういう不安定な法律の保護のもとにおいては、一般大衆のこれに対する企業としての関心というものも、非常に薄くなるのじやないか、そう思うのであります。それから十年という長い期間を與えた場合に、その間にいろいろ施設の面で手抜かりが出て来るのじやないかといつたようなことの御意見がございますが、御承知の通り電波というものは、日進月歩の状態にございます。私は先ほど発言したいと思つたが、いろいろな都合で発言できなかつた次第でございますが、放送の技術という面におきましても、絶えず公共的な性格をそこに織り込んで、よりよき質の電波を出すという面で、当然これは民間放送会社を経営する人間が、考えなくちやならないのであります。これをやらなければ、商業放送としての商業的性格というものに、非常に矛盾を来します。たとえばNHKの放送は非常に音質もいいし、感度もよいといつたような状態にあるのに、民間放送は非常に音質も悪いし、感度もよろしくないというようなことになれば、輿論の商業放送に対する支持というものが非常に薄弱になります。従つてこれを一応広告の媒体として活用しようという広告主からの広告が、当然減少することは明らかでありまして、絶えず技術の面でも施設の面でも第一級のもの、第一流のものをもつて日常を送つて行かなければ、商業放送としての商業的性格にマツチしないのであります。ですから長い期間の免許を與えると、施設の面でインチキなものになつて来るのじやないかという御心配も、一応解消するのではないかと、こう私は思うのであります。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 私は紺野さんと小松さんに反問してみたいと思うのであります。紺野さんも新聞人として、技術的には非常にしろうとである。本日来られた方で、まつたくしろうとは紺野さんだということをよく知つておる。まことにそうだと思うのでありますが、私もまたしろうとの一人でありますので、非常に同感であります。小松さんは技術者の仲間に入つておると思いますが、三つ言われたうちの最後の、いわゆる第一沈默時間とか第二沈默時間とかいう、この問題であります。私も実にふしぎな言葉ををしばしば聞くのでありますが、電波ほど妙な言葉のたくさんあるものはないと思う。わからないのが電波だと私は思つておりますが、しかしながらことここに問題になりますことは、まず沈默時間ということであります。はなはだ失礼ではありますが、沈默時間というものはどういうことであつて、かつまたどういう必要があるのか。かつまたあなたが言われた中に、こういうことがあると思うのであります。すなわち電波法というものはがんじがらめで、非常に詳しくやつておる。表から言えばまことに、ラジオならばまわりを見れば内容が非常に豊富であるか、中をあけてみると非常に設計図がたくさん入つている。こういう不便がたくさんあるが、そこをよく運営すればよろしいということまで承つたのであります。しからばお聞きしたいのでありますが、いわゆる電気の施設に関して、今言つた沈默時間とか何とかいうものが、該当するのかどうかということが一点であります。つまり無線ならば、條文などもつともつと簡單にできたはずであろうと言われたごとく考えた場合において、第一にあなたの言われる電気設備とか條文の中に、そういう不必要ないわゆる第一、第二の沈默時間というものが入るのかどうかお聞きいたしたい。

小松繁社団法人日本放送協会技術局長

○小松公述人 松本さんからの御質問に対しまして、私は技術の部門に入つておるように今お話がございましたが、もちろん技術者であります。しかし私は船舶通信事業についてはほとんど十分な話を伺つたことはございませんし、もちろん経験もまつたくございませんので、どういう程度の必要性が起るのか、私十分に存じておりませんから、お答えできないわけであります。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 はなはだ不本意なお答えをいただいて不満足でありますが、知らないのではやむを得ないと思います。しからば小松さんにまたお尋しねしたいのでありますが、あなたが言われた中において、つまり電波法というものは非常にやつかいな、もうがんじがらめ的な法則である。もしも無線として規定するという場合においては、簡單な規定で済むのじやないかと私は受取るのであります。しからばこの條文におきましては、たいへんこれは多いようでありますが、電波法においても無線設備にはどういうことがかんじんであるかということを、簡單でけつこうでありますから、箇條書的に言つてもらいたい。これは将来における参考にも非常になると思うし、また現在においても電波法というものはまだ成立していないのでありますから、どうかひとつ御親切にその点答えていただきたい。

小松繁社団法人日本放送協会技術局長

○小松公述人 きようは、一番最初に委員長からもお話ございましたように、われわれ公述人はその專門的な立場において、また十分なる経験に基いた意見を言へということでございます。もちろん私が先ほど申し上げましたことは、すべて放送技術の立場から申し上げた言葉でありまして、あるいは私の全然專門外の分野の條項に関しましては、批判を申し上げた意味では決してないのでありますから、その点御了承願いたいと思います。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 小松さんはなかなか技術ということによつて、何というか、ごまかすというような精神があるらしいのでありますが、私は委員長の意思に反しないということを申したいのであります。委員の質問に対しては、公述人は良心をもつて率直に答えねばならぬと思うのであります。私に反問するということは、はなはだもつて規定外のことであるからして、そういうことは私は受取らないのであります。しかしながらあなたが言われた言葉の中に、いわゆるラジオのケースというものをおとりになつて、しばしば設計屋さんのごとく言われたのでありますが、われわれしろうとの知らない言葉を引用されることは、はなはだもつて迷惑千万なのでありまして、わかりにくいのであります。従いまして電波法という法律そのものに立つて、電気設備とか電気関係のものはこういう筋合いのものであり、無線というものをもしも定義するならば、こういうことがこの規定にあるのだということぐらいは、お示しになつてもしかるべきたと思う。

小松繁社団法人日本放送協会技術局長

○小松公述人 ただいまの御説明で非常によく御質問の趣旨がわかりましたので、そういう点全部に相当するかどうかはわかりませんか、お答えいたします。先ほど無線設備という定義が法案の中に明示されておりますが、私は、解釈によりましては非常にその範囲が広くなるだろうと申し上げたのであります。これは放送の方から考えますと、具体的の例で申せば一番おわかりだろうと思いますが、ちようど東京の放送にいたしますと、川口に放送所がございまして、放送会館は演奏所でございます。この放送会館の演奏所にありますスタジオ、マイクロフオン、またそのマイクロフオンからいろいろな増巾機を通しまして音声電流を大きくして、これを中継所に通し、川口の放送所に送りまして、電波にいたしておるわけであります。ここで無線設備というものは、川口の放送所に相当する部分が無線装置でありまして、放送会館にあります設備は無線設備ではないというふうに考えるのであります。もう一つ例をとりますと、明治神宮の競技場なり、あるいはまた歌舞伎座なり、そうした劇場等からスタジオ外中継放送をいたしますが、これは従来の法律によりまして行われておりました。今まではそうした設備まで、すべて放送設備と称するものは一切放送局の施設の中に入るというふうに扱われておりました関係で、一々スタジオが、中継をやります都度、それに書類を提出いたしまして、その都度検査を受けておつたのであります。これは電波法の趣旨から言うならば、まつたく必要もないと私どもは解釈しておるのでありますが、そういう点を明確にしておいていただきたいという意味で、先ほど申し上げたわけであります。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 はなはだ失礼でありますが、もう一つだけお尋ねしたいのであります。そういう考え方からして、電波法の百七條をごらんいただきたい。こういうことが書いてあります。「無線設備又は第百條第一項第一号の通信設備によつて日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する通信を発した者は、五年以下の」云々とあります。無線設備というものの個々の考えでありますが、この百七條におけるところの効力條件を、あなたはどういう考え方からこの條文をお考えになるか。技術的な面でいいですが、参考のためにお聞きしたいと思います。あなた方の技術的な面が該当するのは、どういうものであるかということをお聞きしたい。

小松繁社団法人日本放送協会技術局長

○小松公述人 これは放送の場合におきましては、ただいま申し上げました東京の例によりまして、川口の放送施設が無線設備でございますから、その放送を行います場所が、かりに会館の中のスタジオから行われましても、その内容が川口の無線設備によつて電波になつて外に出されるわけでありますから、そういう場合には当然この條文は適用されると思います。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 これで一応小松さん、紺野さんに対する質疑を終りまして、次に鵜飼さんにお尋ねしたいのであります。あなたのお説によりますと、全国選挙管理委員会の例によつてやられた方がいいというのですが、私は委員長というものを特記してここに設けたことは、いわゆる選挙管理委員会の互選によるということは、あなた方学者という立場からどうお考えになるか、お尋ねしたいのであります。

鵜飼信成東京大学教授

○鵜飼公述人 これは大きな違いはあるいはないかもしれませんが、ただ考え方としては、なるだけ内閣から独立させるという方法をとつて、委員長も内閣総理大臣が自由に任命するという形、むろん議院の同意ということもありますけれども、方法としてそういう方法がいいのじやないかという意味であります。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 この無線放送ということに対しては、公共性というものを十分に発揮する、いわゆる文化事業であり、言論機関でもある。かく受取れたのでありますが、その際において政党の役員などというものは、問題にしなくてもいいという議論であるがゆえに、監理委員会には国会議員でもいいという説がそこに逆に出るのではあるまいかと思うのです。しかし公共性というものを考えてみました場合には、いわゆる一党一派に偏しないというあり方が、われわれの考えるいわゆる委員会制度が、そこに生れて来るのではないかと思います。そこであなたの言われておることが、最後に何か矛盾したように考えられますが、たとえば一方において文化機関である。しかしてまたそれが公共性があるのだ。しからば不偏不党の原則に立つて論断をしなければならないというのは何であるか。最後に政党の役員まで問題にすることはあるまい。監理委員会はもちろん国会議員でよろしいのではないか。経営委員会というものに対しては云々ということがありましたが、あなたの最初のお言葉とあとのと、ちよつと私が聞くところによれば受取れないのでありますが、その点あるいは私が頭が悪く、浅学非才のよつて来るところかもしれませんが、あなたのお考えを根本的に御説明願いたいと思います。

鵜飼信成東京大学教授

○鵜飼公述人 政党の役員、政党員、あるいは国会議員というのは、公共の利益というものを一番念頭に置いておる人だと思います。ただその公共の利益というものを、いかにしてはかるかということによつて、各政党がわかれておると思います。そこで一つの政党の者だけが、委員全体を独占することはいけない。これは制限がございます。しかし政治的にものを考える人が委員になることは、公共の利益を決してそこなわないと考えております。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 これで終ります。

田島ひで日本共産党

○田島(ひ)委員 紺野さんにお尋ねします。各專門の方が專門のお立場からこの法案に御賛成なさつておられます中で「紺野さんが一人、文明の利器はだれでも自由に使える。それがこういうがんじがらめのいろいろな法律によつて縛られておると、大体においてあまり御賛成でないような御意見を伺いましたのですが、私もこの法案を見ておりますと、非常になかなか專門的でむずかしいのでございまして、おそらくこの電通委員の中でも、この法案をずつと初めからしまいまで十分理解して賛否のできる方は、おそらくまだないのじやないかと私は思います。この法案を見ておりますと、機械をつくる人、あるいはそれを利用する人、従事者、それぞれの立場に非常に利害がありまして、私は非常に重大な法案だと思います。ところが一般の人は、この法案が專門的なので関心がない。私が見ておりましても、わからないところがある。まだ伺いたい点もたくさんありまするけれども、どの先生に伺つたらよいかすらもわからないくらいですが、まだほかにも專門家がたくさんおられまするから、午後その方に相当お尋ねしたいと思つておりまするが、私は、こういう法案がこのような形で、おそらく多数決で通つて行きますことには、非常に重大な関心を持つておりまするが、紺野さんは大体御賛成でないようでありまするが、この法案をむしろ出さないで、今までありました無線電信法ですか、あの法案のままでおいた方がよいという御意見でございましようか。私はもつと具体的に、これにかわるどういうような大体のお考えをお持ちになつていらつしやるかを、お聞きしようかと思いましたが、紺野さんもしろうとで、詳しいことはわからないとおつしやいますので、むしろこんなややつこしいものをつくつてしまつて、そうして監理委員会の統制のもとに置かれ、結局戰時中の官僚統制の形に追い込まれるよりは、むしろ今までの法案の方がいいというお考えでございましようか。その点だけお伺いしたいと思います。

紺野四郎社団法人日本放時事新報社主幹

○紺野公述人 私は初めに申し上げましたのです難、大体においてこの法案には賛成であると申しております。ただ詳しいことは、読んで見ますと、おつしやる通り、田島さんのような御研究の方がおわかりにならないとおつしやるのですから、われわれにもやはりわからないところがたくさんあることは、しかたがないと思います。先ほど橋本さんから私の名前が出ましたので、ちよつと申したのでありますが、たとえば第二沈默時間というようなことは、わかることはわかります。想像できないこともないのでありまするが、しかし想像しなければわからないような條文を法律の中に出して、これには深いわけがあるのだというようなことを言つてやられても、一般の人にはわからない。法律はだれでも読むための法律でありまして、電波の方々の法律ではない。日本国の法律ですから、こういう事情であるという但書、制定当時の事情などは、何の権威もないと言つては少し言い過ぎかもしれませんが、制定当時の事情などにあまり重きを置かないのは、これは憲法初めあらゆるものがそうなのであります。ですからその点がおかしいというのであります。なぜかわからぬような、漠然としたものを法文に出して、第二沈默時間何分間、こうこうこうだからこうだという。もつとも八十三條に聽聞を行うということがありまして、この中に第二沈殿時間を定めるというのがありますが、なぜ定めるのか、それがわからないうちに法文が出て来て、八十三條の聽聞をやる。それが逆ではないかというのです。そういう細目につきまして、先ほど申しましたようにがんじがらめがあまり多くて、私新聞社でございますから、新聞の例を引いたわけでありますが、百万の発行部数の新聞と五十万の発行部数の新聞とで、いろいろ條件をかえるやり方はおかしい。百万の新聞も五十万の新聞も二十五万の新聞も、新聞である。それを差別をつけるような、手数料がどうの、罰金がどうのというのが、どうもふに落ちないというのでありまして、法案全体につきましては、実は賛成でありますけれども、それ以上に言うほどの知識を持つておらないのであります。大体見ましてごもつともだと思う程度だろうと思います。(笑声)ですからふしぎと思つているところだけを並べたわけでありまして、全部に対しては残念ながら賛成であると思うくらいの程度でございます。(笑声)

辻寛一民主自由党

○辻委員長 暫時休憩いたしまして、午後一時半から再開いたします。     午後零時四十三分休憩      ————◇—————     午後一時五十一分開議

辻寛一民主自由党

○辻委員長 再開いたします。  引続き電波法案並びに電波監理委員会設置法案について、公述人の方から御意見を伺います。安田英一君に願います。

安田英一無線機器工業会技術部長

○安田公述人 私は無線機器工業会の安田でございます。通信機械の製造業界を代表いたしまして、電波法案並びに電波監理委員会設置法案につきまして、意見を申し述べる機会を得ましたことを、非常に感謝しております。  大正四年に無線電信法が制定せられまして、今日までにすでに三十五年も経ておるのであります。この間に昭和四年、その一部が改正はせられておりますが、その後いろいろの附則も出ておりますが、進歩のきわめて目ざましい電波科学に関しまして、この古い法律をもつて今日まで管理行政を続けて来られたような次第でございます。先般の国際電気通信條約に加盟されたり、あるいはますます今後国際間の連絡協調が必要となつて参ります。それからまた技術の進歩に従いまして、各方面に電波の利用というものがますます盛んになつて来ることと思います。それでこの電波を権威あるかつ強力な国家管理にまつことは、当然でございます。今般電波法案その他関連の二法案の立案を見ましたことは、まことに同慶に存ずる次第でございます。その趣旨につきましては、全面的に賛意を表する次第でございます。私たち電気通信機械の製造業者にとりましては、この法案の内容を見まして、これといつて反対するような箇所はないのであります。われわれが最も感銘を持ちますのは、この法案によりまして、この法案の條文そのものよりも、この法案によつて今後制定せられます附則や手続でございます。従来におきましては、主として官庁の独自の立場から制定されたようなのが多いのでございますが、これらの條件とか、基準等に関する規則や手続が、この法案によりますと、今後は聽問によつて、一般利害関係人の意見を求められるようになつておりまして、場合によりましては異議の申立ても、告訴もできるようになつておることは、これは非常に民主的な線に沿つたものであろうと思いまして、この後はこの点に関して運用の面において、万全を期してもらいたいと思つておる次第でございます。特にお願いしたいのは、公聽会とか聽問会とか申しまして、一方的に意見を申し述べるのではなく、座談会とかその他の方法によつて、お互いに意見を出し合つて、議論をする機会を設けていただいて、これらの規則や手続をきめていただきますれば、さらに一層円滑に行くのではないかと存ずる次第でございます。  その他條文の二、三につきまして、気のついた意見を申し上げたいと思うのであります。  第十三條の無線設備の免許の有効期間でございます。これは午前中においても問題になつたようであります。従来は永久であつたものが、この法案では、一般無線局については五年、放送を主とするものに対しては三年になつております。これは国際通信会議が五年目に開催せられまして、各種の條件が変化する、あるいは技術の進歩ということがございますので、一般無線局の五年というのは妥当と考えるのであります。放送局の三年というのは、数字的に根拠もないのでございますし、先ほど吉田公述人が述べましたように、民間の放送局に対しては少し酷ではないかと考えて、これは一律に五年にしていただいたらどうかというように考えておる次第でございます。  それから第二十六條に、周波数の割当に関することがございますが、現在日本放送協会に割当ててあります周波数を見ますと、このままでは民間放送に対して割当てる周波数というものは、非常に少いように考えられるのであります。公共放送に比べまして、保護する面が非常に少い。民間放送に対しましては、せめて周波数の面からだけでも育成できるように、現在の放送周波数に対しまして、全面的に御破算されまして、再配分されるのが至当ではないかと考えております。  なお民間放送が許可されますと、従来の受信機の中で混信を起すものがある。そして聽取者に受信機を改造させ、あるいは新しく買つて、負担を重くするというような議論がございますが、これは周波数の選び方、あるいはその電力の大きさによりまして、こういう事態も発生すると考えられます。もともとわが国におきますラジオ受信機というものは、欧米各国におきましてはもうずつと前から製作しておらない、おもちやのごときものでありまして、どうしても今後はいわゆるスーパー級のものにしなければ、技術の発達もなければ、あるいは輸出の面においても非常に不利なことが生ずるのでございます。なお現存のところは、いわゆるスーパー受信機というものは、国民型の受信機に比べて五割くらい高価になつております。しかしこれは今後の増産と、あるいは技術の進歩の面で、相当程度引上げる成算を持つているのでございます。  次にアマチユアの無線に関する件でございますが、これは第四十條にごく簡單に定義づけられているに過ぎません。このアマチユア無線というものそれ自体は、学術的に申しましても、技術的にも水準が相当高いものであるということを申すことはできないのでありますが、これを行つている人々とか、あるいはその周囲の人たちの科学技術工業などの関心を非常に向上しますとともに、国際親善の寄與とか、あるいは災害時の非常通信として、育成しなければならぬものでないかと考えるのであります。この法案によりますと、多額の免許料あるいは検査料を個人に負担させまして、かつ高級な周波数測定装置もつけなければならないように、規定されているのでありますが、これはアマチユアに無線をやるなという、まつたく禁止的なものであると考えられますので、この点をもう少し——相当な人ならばだれでもやれるようなふうに改訂されることを、希望いたす次第であります。  それから第四十四條の、無線従事員の免許の有効期間でございますが、従来無期限のものが、本法案によりますと、免許の日から起算して五年となつておりまして、無線従事員諸君に対しては非常に気の毒になつておりますが、これは高級公務員さえもただいまは試験を受けなければならぬというような状態でございまして、無線従事員諸君のごとく、きわめて特殊な技能を必要とします場合において、人命の安全に関する業務を行つておられる仕事に対しては、五年目に再選考されるのは妥当ではないかと思うのでありますが、ただ再選考に対しましては、この以下の條文にあるように、従来の経験を十分に勘案しくださると同時に、かかる重要な任務を持つておられる無線従事員に対しましては、その待遇に関し別途に何らかの御考慮を拂つて、安心して仕事のできるようにお願いいたしたいと思うのであります。  次に電波監理委員会の設置法案に移るのでありますが、第四條第十五号に、技術の研究調査に関することが申し述べられておりまして、委員会においてみずから行うことを不利と認める場合には、これを部外の研究機関に委託することができる、こういうようになつておるのでありますが、この項につきましては、さらに監理委員会の方で積極的に、部外の研究機関の育成と利用をはかつてもらいたいのであります。その一例として申し上げますが、現在テレビジヨンの研究をやつておりますが、これは日本放送協会もやつておられますし、われわれ無線機器工業会の会員でありますメーカーの二、三が、非常に経営の苦しい中で、わずかな研究費をさきまして、細々とやつておるのであります。進行も非常におそく、かつ効果もなかなか上げ得ないような状態であります。新聞でごらんになつたかと思いますが、新型電話機というものがございます。これは従来の電話機よりも非常にいい電話機であるということを、先般もいろいろ新聞その他で発表されておりますが、この電話機は先般電通省の電気通信研究所で指導されまして、四、五社のメーカーの研究機関が分担研究をされまして、統合されてでき上つたものであります。その性能も、タバコのピースと違つて、ほんとうに国際的水準であると考えるのであります。またその研究の速度も非常に早いのであります。テレビジヨンに関しましては、今後の進展というものは、私が申し上げるまでもないことであります。今後監理委員会におかれましても、新型電話機の例にならつたような方法で、十分研究費をおとりくださつて、むだのない、効果を早く上げるようなことに、民間の研究機関に臨んでいただきたいと思つておる次第であります。  最後に、電波監理委員会の委員のことについて申し上げたいと思います。午前中にもいろいろ委員の選考に関することは議論になつたようでございますが、要するに私たちはその選出にあたりましては、真に有能の士を選んでもらいたいのであります。老朽官僚とか、あるいは落選議員の救済委員会なんかにならないように、くれぐれもお願いいたしたいと思つております。以上をもつて私の公述を終ります。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 次は梅田一正君。

梅田一正全国水産電気通信協議会代表

○梅田公述人 私は全国水産電気通信協議会の代表梅田でございます。私は漁業の無線の立場から、若干述べさせていただきたいと思います。結論から申し上げますと、この新しい電波法につきましては賛成であります。今まで私どもが私設無線電信電話規則によりまして、非常に強い束縛を受けておりましたが、この新しい法案を拜見いたしますと、今までにない民主的な方法であると思つて、実は私喜んでおりますが、その内容の一、二の点につきましては、私若干の疑問を持つところがありますから、申し述べさせていただきます。  まず十三條の無線設備の免許に対する有効期間、このうちに船舶は船舶安全法によりますものと、それから漁船の操業区域制限に関する政令によります船、いわゆる千六百トン以下の商船、それから五十トン以下の漁船というものは、五年目ごとに更新しなければならないということになつておりますが、水産の方面における科学の普及と、生産増強のために電波を利用させるという面から行きますと、これはやはり無期限であつてほしい、かように考えます。  次は第二十二條に行きまして、無線局の運用を一箇月以上休止するときは、監理委員会に廃止の手続をとらなければいけないということがありますが、漁船の場合になりますと、皆様御承知のように南氷洋の捕鯨から帰りますと、約七箇月間というものは内地でほかの漁業ができないのであります。またかに工船にいたしましても、遠洋漁業をやつておりますいろいろの船にいたしましても、一箇月や二箇月の休航状態にありますことは普通であります。また一般商船におきましても、海難その他の事故によりまして、一箇月以上休んでおるということもあり得るわけでありますから、これを再び免許の申請をいたして、いろいろな御審議を願わなければならぬということは、無線機を利用します船主者といたしましてはなはだ苦痛である。同じことを毎年々々繰返し、しかもそこにいろいろな費用も伴います。こういうことがありますから、この点は漁業の実態というものをお考えくださつて、一箇月以上というのを何箇月かもつと長い期間——これはほかに船が現実において稼働できないのでありますから、そういう点をおくみとり願つて、もう少し猶予期間を延ばしていただきたいと思います。  それから四十五條にあります無線従事者の免許の更新のことでありますが、これは方々からたくさん問題が出ましたが、その第二項の中で、五年間のうち通算いたしまして一年六箇月以上と、それから申請前一年以内に六箇月以上その業務に従事しておれば、再交付ができるということになつておるようでありますが、私は五箇年のうち一箇年間を過去において乘船し、しかも現に無線局に勤めております者、だから一年と何箇月ときめなくてもいいから、現に無線局に従事いたしておる者、この人たちは再びやろうという意思もございますし、また雇用しておる方面からいいましても、このりつぱな人を自分の会社なりあるいは事業体において活躍させたいと思つて、見つけ出して来た人も多分におると思いますから、こういう人のために、再び国家試験を受けなければ免許がいたたけないどいうことでなしに、過去一年間乘り、そうして現に何日でもいいから、あるいは何箇月でもいいから乘つておれば、その方には免許の再交付をしていたたきたい、かように考えます。  それから第百三條に検査の手数料ということがありますが、これは私漁業の立場から申し上げますと、下に重く上に軽いような感じが非常にいたします。漁業はいかに電波を有効に利用して増産に励んでおるか、これは皆様よく御承知の通りでありまして、こういつた要するに無線科学を極度に利用いたします小規模漁船におきまして、検査手数料あるいは申請手数料、ないしはわずかな周波数を変更いたしますために許可を受ける手数料というようなものは、なるべく軽減していただきたい。それから申請いたしますにも、小規模業者になればなるほど、いろいろな書類上の手続が不備になりまして、がえつて法に縛られて違法者を多く出す結果になりますから、何分親切にお取扱い願うよう、法の方をお考え願いたいと思います。  次に、電波監理委員会設置法の方に参ります。監理委員は広い知識と経験を持つておられる方が総理により任命され、しかして両議院の同意を得なければならぬということになつておりますが、広い知識と経験と、この分野におきまして電波を多く利用せんとする企業体の事業を相当に認識しておる者で、しかも電波に対してある知識を持つており、なおかつ公平な方、この三つを御勘案願つて、そういう方をなるべく御任命いただきましたらまことにけつこうだ、かように存じます。  簡單でありますが、以上をもつて公述といたします。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 次は大河内公述人に願います。

大河内正陽日本アマチユア無線連盟理事長

○大河内公述人 私大河内正陽でございます。私はかつてアマチユア無線をやつておりました一員といたしまして、また大学で無線の実験をいたしておる立場で、主として実験局、アマチユア無線というような観点から、法案について意見を述べさせていただきたいと思います。  現行の無線電信法は、ほかの公述人からも御意見がありましたように、電波は元來国家というか、政府のものであつて、各人に許してやつておるのだというふうな考えからつくられていたような気がいたします。そしてその法律が一度できますと、だんだん世の中が進歩して状態がかわつても、われわれの力ですぐに改めることは非常に困難な状況でございます。今度この電波法案が提出されまして、そういう点が相当改まつて参りましたことは、喜ばしいことでございますけれども、なお昔の考えが全部ぬぐい切れていないと  いう感じを受けます。   この法案は、技術の大綱あるいは行政的な面の大きなところをきめるという趣旨で立案せられたものと思いますが、それにしてはあまりにこまかいところまで及んでおる。そしてこの法案は、一般の無線局にすべて通用するように書いてありますが、個々の無線局を考えたときに、必ずしも当てはまらないようなことが規定されておるところに、一番大きな不満を持つのでございます。  そういう例を引きます前に、アマチユア無線とか実験局の性格をお話しいたしますと、実験局というのは、実用に供する前学術的ないろいろな研究を、学校なり会社の研究所でやるものであり、アマチユア無線と申しますのは、これは実験研究という面もございますけれども、あくまで個人的な興味から出発するもの、そして各人の興味でこういうことをやつて行くことが、先ほども申しましたように、国際親善であるとか、技術者の養成であるとか、あるいは非常時におけるアマチユア無線の活動、そういう公共的な役に立つて行く。あるいは先端の技術を個人が興味で取入れてやつてみる。実用化の一番先端を切るということもある場合にはございます。そういうわけでこのアマチユア無線というのは、国際的にも権利を與えられ、周波数を割当てられているわけであります。  こういう無線局の立場として考えますと、まず工事の設計だとか、あるいは機器の検査、免許というふうに、非常に厄介な手順をふんでいることでございます。これは戰争前の例で申しますと、早くて六箇月、長いのになると一年もかかるというありさまで、これではせつかくやろうとする興味もなくなりますし、また実際の進歩も非常におそくなるということがございます。これを法律では各無線局について一律に規定してございます。たとえば六條あるいは八條から十二條、十四條、十七條、十八條というような規定は、すべてそういうこまかいことを含んでいるわけでございます。そういう特殊な立場もございますから、そういうものについては、たとえば電波監理委員会規則で定めた簡易な手続によるというような一條を追加されたならば、非常に運用が楽になるではないかと思う次第であります。これが、たとえば現行法の七十三條を見ましても、ある場合には検査を省略できるということが書いてございますのに、今度の法案ではまつたくその言葉がないという点は、むしろ逆もどりのような感じがいたします。  それから周波数の測定装置について三十七條の規定がございますが、この規定を嚴格に守ろうといたしますと、ざつと考えましても十万円以上の金がかかるので、実験だけをやつている局あるいはアマチユア無線局は、そのような金をそれに充てることは不可能な状況でございます。これはまた周波数の点でも、ほかの無線と違いまして、たとえばアマチユア無線では、何キロサイクルから何キロサイクルという巾をもつて国際的に與えられているのでありまして、現在どこの国におきましても、その間に非常にたくさんの局が電波を出しておりますから、そのうちでは波長の選定は自由ということになつております。従つてほかの無線局のように、ある周波数に対して何%の誤差というような規定は不適当でございまして、その周波数帶の両端だけをはつきり押えることが必要かと存じます。また周波数計についても、そういう技術的な條件を満足しさえすればいいわけでございまして、こういう点に関しても、たとえばアマチユア無線局に備えつける周波数測定装置に関する規定は、電波監理委員会規則で別に定めるというふうにしていただきたいのであります。一体にこういう法律は、公共の利益のためにつくられたものでありますにもかかわらず、以前では規則できまつておりました検査料とか、あるいは試験の検定料というようなものにつきまして、多額の料金を徴收するということを、法律で明確に規定してございます。これは現在のように物価の変動しますときに、法律の上でなせこういうことまで規定しなければならぬかという感じを受けるわけで、特に個人的興味で行います場合に、何万円はもちろんのこと、同千円もそういう検査料その他にとられるということは、実際上は禁止的な法律になつてしまうということを感ずるわけでございます。  初めにも申しましたように、みんながこの電波を利用して行くのに、いかにみんなのためになるようになるかという立場で、法規、法則をつくつていただく。それからたとえば今後国際的ないろいろな会議が開かれるのでありますが、そういう際にこれは監理委員会の委員の問題になつて参りますけれども、いろいろな立場の者が無線を利用しておる。そのときに各人の立場をみんな理解して、国際会議に臨んでいただきたい。現在までの現況では、だれかお役人が行く。そのお役人の特殊な立場における声しか国際会議には伝わらないということは、非常に問題でございますから、そういう点で監理委員は十分な各層の理解を持つた人が選ばれることを希望しておきます。ごく特殊な立場で申しますけれども、私の公述はこれで終ります。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 次は黒川邦三君にお願いいたします。

黒川邦三日本船主協会労務部長

○黒川公述人 私、日本船主協会の黒川でございます。今回国会に上程されました電波法案につきまして、一言意見を述べさせていただきます。  船舶の無線通信士の定員、あるいは免状、資格というものは、従来私設無線電信電話規則並びに船舶職員法によつて定められておるのであります。実際面に当つております船舶所有者の立場から言いますと、非常に不便を感じていたのであります。従いましてわれわれとしましては、この船舶無線通信士の定員、資格、免状等は、それぞれの法律にわかれて規定されるのが当然と考えて、一日も早く統一された法律の作成されるのを希望して参つたのであります。そうしてこのたび電波法が制定されまして、船舶職員法の改正と相並行的に、従例の弊害を除くように強く要望して参つたのでありますが、船舶無線通信士の資格、免状につきましては、電波法においてこれを制定する。また定員につきましては船舶職員法において制定するというふうにはつきりときまりまして、そのもとに法律がきめられることになつたのでありますが、しかしながら電波法はこのたびの国会に提出されますが、これと並行的に審議されなければならないところの船舶職員法は、今回の国会に提出されないということを聞き及んでおるのであります。そうしますと双方の法律に縛られておつて、法の円満な実施を非常に阻害することは、依然として継続するものと考えられるのであります。  そこで実際にこのたびの電波法案を拜見いたしますと、無線通信士の資格は電波法において規定せられるといいますけれども、実際に無線局の長のみの資格しかきめられていないのでありまして、二名以上乘船する場合の次席、三席の資格は、どういう資格を持つたらいいかということが規定されていないのでありまして、その点、船舶職員法の審議会におきましても、電波法案において規定されない場合は、実際の運用の面にあたつて困るから、これは船舶職員法においてきめてはどうかという意見も出されたのでありますが、電波法案の方におきましては、必要があれば船舶職員法の方においてきめられてもさしつかえないというふうなこともあつたようでございまして、船舶職員法においてその資格の制定の不備を取入れて規定せられるということになりまして、その船舶職員法が今回の国会に上程されないということになりますと、運用の面においてははなはだ不都合が多かろうと考えますから、ぜひとも今回の電波法と並行的に、船舶職員法が審議されまして、無線通信士の配置あるいはその職務に従事するのに不都合のないように、円滑に法が運用されることを希望するもので為ります。  次に法案の内容に立入りまして、いきさか意見を述べさしていただきたいと思います。今回の法案の無線通信士の配置でありますが、例をとりますと、たとえば貨物船につきまして五千五百トン以上の場合には、実際問題として国際法では一名で足りる。現に諸外国では一名であるところを、電波法案によりますと三名を必要とするのであります。しかしながら現在の日本の船舶におきましては、警急自動受信機の設備がたいために、同機による聽守の義務を果すことができないのでありますから、現状やむを得ないとは考えますが、警急自動受信機を装備した場合には一名減ずる。いわゆる国際人命安全條約で定められてあるように、法律を改正していただきたいと考えます。  その内容を申し上げますと、国際人命安全條約によりますと、五千五百トン以上の貨物船におきまし七は、二十四時間いわゆる無休の聽守をすべしということが規定されておりまして、いわゆる五千五百トン以上が一種局であり、二十四時間の執務ということになつておれば、三名の通信士で十分に聽守の義務も果し得るのでありますが、ここで警急自動受信機を装備した場合、一名を減じ得るということにするためには、どうしても局種の制定方を修正していたたきたいと思います。一名減じ得るために修正するのには、五千五百トン以上を局種二種の甲に御変更願いたい。そうして十六時間執務にいたしまして、警急自動受信機のない場合には当然三名を配置いたしますが、警急自動受信機を装備した場合には、二名をもつて操作できるように御考慮を願いたいと思います。かように申します点は、実際に国際法においてきめられてあり、かつまた現在諸外国におきましては、米船も、あるいはノールウエー船等におきましても、それぞれそういうふうに国内法規でもつて制定して、一名ないし二名の通信士をもつて十分に操作しておるという現状を考え、かつまた敗戰国のわが日本の海運を、いち早く立ち直らせるためには、どうしてもこういうふうに最低の線で行くのが当然と思うので、かように申す次第であります。  次は法律の第四十條に書いてありますところの、無線従事者の従事の範囲であります。電波法案によりますと、二級の無線通信士の従事範囲は、国際通信の操作については、第一級無線通信士の指揮のもとにおいてのみ次席として行うことができるということになつておりますが、従来近海区域を航行する千六百トン以下の船舶では、二級通信士が主任通信士として従事することができたのであります。従つてこれらの船舶には、相当多数の第二級無線通信士が主任通信士として乘船している現状でありますので、電波法案の実施によりまして、これらの者は下船を余儀なくされ、ひいては船舶の運航に支障を来すことに至るおそれがあるのであります。ぜひとも二級無線通信士が、ただ單に国内通信のみならず、隣接国を航行区域とする船舶の無線通信士については、通信長となることができるというふうに、御改正を願いたいと希望するものであります。  それから第五十條の通信長の配置であります。通信長として相当の経験を有する技術優秀な者の最少員数をもつて、完全に船舶無線局の操作をすることができるようにすることは、異存のないところでありますが、船舶が運航せられて初めて無線局の活用がある以上、電波法の実施により、一時たりとも船舶の運航を阻害することがあつてはならないと考えるものであります。と申しますのは、電波法案によりますと、第一種局の通信長は第一級無線通信士としての実歴が四箇年以上なければならないこととなつておりますが、従来の規則からいいますと、單に無線免状受有者で三箇年以上の実歴があればいいこととなつておつたのであります。このように第一級無線通信士としての実歴に限定されること、または実歴年数が延長されることによりまして、現在の乘船者でこの資格に適合しない者がありますので、無資格者の配置がえ、または有資格者となる期間を與えるために、一箇年の経過期間を置かれるよう御配慮願いたいと思うのであります。第二種局の甲の通信長の実歴におきましても、従来より強化されておりますが、これもまた経過期間を置いていただきたいと思うのであります。  次は法案三十一條の、周波数の測定装置の備えつけであります。三十一條には「電波監理委員会規則で定める送信設備には、」会々となつておりますが、この電波監理委員会の規則というのは、おそらく現行の無線電信電話規則の第二十八條に定められてあるところの、送信設備に適用されるものと考えるのであります。この点国際條約におきましては、「船舶の送信機自体が規定の周波数許容偏差以内に保つよう調整できないときにのみその許容偏差の少くとも二分の一の精度をもつ発射周波数の測定装置の備えつけ」ということになつておりまして、この点国際條約の線に沿うて御改正されんことを希望するものであります。  次は先ほどお話の出ました百三條の、無線設備の手数料の問題であります。従来無線設備の検査は、すべて無料であつたものが、本條においては有料となつておりまして、法をもつて無線電信の備えつけを強制するところの、強制船舶の無線装置に対しては、当然関係官庁において検査を行う義務があると思われ、検査料金を設定された点について、若干疑義をはさむものでありますが、これは船舶の一器具に対してこういう料金が規定され、船全体としての船舶検査料というものに包含され得ないものかどうかということも考えられるのであります。これにおいては最高を規定されておりまして、おそらく政令等において、この範囲内においてきめられるものと考えますが、船舶の検査料と相照しまして、適当な額までに引下げ方を御考慮願いたいと思います。  船舶所有者の立場から見て、以上断片的でございましたが、私の希望を述べさせていただきました。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 次は宮入鎭着にお願いいたします。

宮入鎭電波法対策委員会代表

○宮入公述人 電波法対策委員会を代表させていただきまして、これから公述に移ります。  戰争放棄という画期的な條項を持つ新憲法のできたありがたい御代に生きたことを私は感謝し、同時にこの電波法案が、行政組織としては委員会制度をとり、衆智を集めて、一方的な官僚統制や一党一派に偏しないで、この文化財を扱つて行うという態度につきましては、まことに満足の意を表するにやぶさかではないのであります。ところがそういう希望と明るさをもつて、この法案を拜見さしていただきますときに、どうもたいへんうらはらな感じを持つたというのが事実であります。先ほどもどなたか公述の方が言つておられましたが、こうも縛らなくてはできないのか。こんなによく規則ができるものだというような御発言があつたようでありますが、私も事実これを拜見さしていただくと、これは電波法でなくて、うかうかと警察法か、風紀取締法みたいでないかという錯覚に陷つたのであります。ちよつと勘定して見ましても、免許とか、取消しとか、監督、審理、訴訟、科料、罰金、懲役(笑声)まことに皆さんの前で御披露するのも、民主国家の一人として非常にはずかしいような言葉がたくさん出ております。こういう立場でこの電波法を見ることはよくないでありましようが、そういう感じを持つたということを、一応前提にしておきたいの一であります。こうした形でなければ、こうした文化財の、公共性のある、国際性の強い電波が利用、運用できないのかということになると、かなり疑問があるのではないか。それともこうしなければならないような他の目的が存在しているのか。われわれは今の状態ではよくこの点が判断できぬ。おそらく立案当局及び賢明なる常任委員各位は、おわかりになつていることと思うのであります。  この法律が一昨年二十二年に起案されました当時には、戰後の混乱から、電波の規制が大分乱れて、下法発振等、好ましからざる事態がしばしば起きて、これを取締るためには、従来の法規では不十分である。新しい法規をつくつて新事態に対処して、電波の利用を公正、能率化して行かなくてはいかぬというようなお話を承つたのでありますが、当時立案する当局のお考えは、この取締りの対象を客観的な事態、たとえば設備とか、技術とか、機械とかという面、及び国自体が混乱している時代の中に、その事実を発見するという努力がきわめて不足でありまして、これは單にその設備を操作する無線従事者の質の低下、アプレ・ゲールの通信士がこれを操作するから、こうした不祥な事態が起きるのだという、非常に警察観念的な部面でこれを評価して、この通信士を取締ること、この通信士にげんこつを與えることだけで、電波の不法発振や、規制の乱れは救い得るという建前で立案されたのであります。そのために各界、各方面から、労働者の生活権とも結びつきまして、猛烈な官僚独善に対する反対運動が起きて、これは一応白紙に撤回するということにまでなつたのであります。その後当局も相当考慮されまして、利害関係者、受益者、その他一般の立場においての人々の衆智を集めて、この立案過程の中に、よき民主的な要素を盛り込もうということを声明され、われわれもそれを期待しておつたのでありますが、これもどういう事情からか、きようあす伸び伸びいたしまして、遂に何だか私生兒でも産むかのごとく、こそこそとこの法案が国会に出てしまつたのであります。私はこの法案のこうした成り行きで国会に提出された姿につきまして、はなはだ悲しむとともに、この法案自体の今後の運命につきましても、まことに悲しい予想を持つものであります。  私は大体法案に対しましての感想的なものをこの辺にとどめまして、具体的な内容に入りたいと存じます6この法規は特殊な法令でありますから、先ほどからも、わからないがこうだろう、わからないがどうするのだというような話で、事実われわれみたいにこの法案と生活自体が結びつけられ、生活権自体を保障してもらはなければならない無線従事者の立場からいたしますと、この公聽会の空気と申しますか、雰囲気というものは、たいへん心細く感じております。勢い言葉も同じように專門語になると思いますけれども、委員各位におかせられましては何とぞ御辛抱願つて、わからない点は御研究いただきまして、直接にこの法令によつて生活を守らなければならない通信従事者の立場を、御了解願いたいと思うのであります。  私はこの法案にまず反対でございます。この反対の理由を二つに便宜上わけて申し上げてみたいと思います。第一は、この法案はその法律目的の中で、公共の福祉を増進させることをうたつてあるのであります。当然うたうべきことをうたつたのでありましようが、しり抜けとなつているのは法文の内容でありまして、公共の福祉を増進させないのみならず、あるいは福祉を阻害するような内容を盛つてあるということについて、二、三例を示して反対するのであります。第二は、この法案は電波の利用方法について、公平かつ能率的という目標を置いてあるにかかわらず、電波の利用の実現の前に、直接電波の価値を生産する無線従事者、すなわち労働者の立場を納得行くような形で処理していない。電波の価値を生産するものが納得し得ないような形で、電波の利用を実現して、公共の福祉が増進されるものでありましようか。これは詭弁でありません。よくお考えになつていただきたい。こうした立場から、この二つの点を基本といたしまして、二、三の例を引いて皆さんの御了解を求めたいと思うのであります。  この法案を見ますと、かなりの部分が船舶の無線局について規定してございます。先ほど来電波は文化財——まことに放送というものが皆さんの頭の中に非常にヴイヴイツドに、直接的に入つておりますために、電波といえば放送というシノニムに聞えて参ることと思うのでありますが、この電波というものが、どんなに人間の命と直接に、または莫大な財貨と直接に関係しているかという理解の上に立つた御議論は、たいへん少かつたように思うのでありますが、ここに申します船舶無線局というのは、まさに命がけの命に関係する、大きな財貨に関係する要素として登場している。電波のおそらくは、文化的というようななまやさしいものではなく、生理的な、本能的な大きな課題が、この船舶無線に與えられているということを御理解願いたい。これはもちろん海上の人命保全の條約、特にロンドン條約と申します。それから国際電気通信條約、A・C條約、これらの條約に当然こうした義務がありますので、これを国内的に裏づけるために、電波法で規律しておるのでございますが、そもそも放送のできる前までは、無線といえば船ということを連想したほど、それほど関係が深かつたのでありますが、いつの間にやら無線は放送に奪われて、船舶無線という問題については、非常に関心が薄くなつたというのが現状であります。こんな電波の利用について深刻な目的を持つ船舶無線のことでありますから、これはもう少し真劍に取上げていただきたいと思います。ところがこの法案を見ますと、船舶の安全装置として、または船舶の乘組員の命を託する装置として登場しているこの装置に対しまして、この法案の規定をそのままうのみにいたしましても、はなはだその生命の保障、財物の保障という面において、欠けている点があるのであります。  まず三十四條をごらんいただきますと、三十四條は、船舶無線の補助設備は、義務無線または義務無線でも、漁船は予備装置なしでもよろしいとは書いてありませんが、予備装置が強制されていないことは、その文字ではつきりわかるのであります。今までの旧無線電信法においては、船舶の無線は補助設備を持たなければならないとはつきり強制してあります。補助設備という文字の面から、皆さんどうお考えになるかもしれませんが、これは非常に備えた、あぶない場所においての装置であります。補助装置というよりは、むしろ非常装置と言つた方が、皆さんには非常に感じがよいと思います。ただこの非常装置をつけても、つけなくてもよい船がある。それは千六百トン以下の船、それから無線を強制されていても、つけなくていいというのは漁船でありますが、私は当面商船に限つてお話をいたします。千六百トン以下の商船には、つけなくてもよいというふうに緩和されたのであります。この統制の緩和は、一般的な面での統制の緩和というような観念を持つとたいへんであります。これは安全に対する緩和、生命の保障に対する緩和であつて、命がけの海上労働者にとつては、これほど大切な問題はないのであります。いざという場合に、本装置が動かなかつたら、命が助からぬという場合に、この非常装置がいらないというのですから、これは海上に命を持つ者にとつては、こんな大事な問題はないのであります。  さてこの緩和規定を受ける船は、一体どんな船かと申しますと、日本の商船隊の中で千六百トン以下のもので、この適用を受ける船が五〇%、二百七十二隻であります。この中には皆さんもかねがねお耳に入つておりましようが、俗に棺おけ船と言つている船がある。なぜ棺おけ船と言うかというと、乘つたままで地獄か天国に行かれるという悪口から生れた言葉だそうでございますが、戰標船の改E型八百八十トン、これが日本にはまだ二百三十五隻もある。このあぶない船が一応予備装置をいらないというわくの中に入れられおります。たまたま改E型の話が出ましたから、もう一つお耳に入れておきたいのですが、この改E型は、今言うように予備装置がいらないというばかりでない。あとで五十條にも出て参りますが、無線通信士の定員を裏づける運用時間の面でも八時間と規定されて、船主側では八時間労働に切りかえられますときに、現在二人いる通信士が一人になる。こんなあぶない船に安全装置もなしに、通信士も今の半分でよいという規定が、戰後のこうした民主的な、生命の尊さをつくづく味わなければならない世の中になつて、この電波法の中に見られるということは、私今まで夢にも思つていなかつた。  第二には、ついでに出ましたから五十條の規定に移りたいと思いますが、この五十條はごらんの通り、船舶無線局の運用時間に従つて種別したものであります。先ほど船主協会の代表の方の公述の中に、国際條約にもないような大勢の通信士を配置するようなこの種別の規定は、やめてもらいたいというようなお話のあつたその條項であります。この運用時間に従つて種別したものを見まして、日本の商船像五百四十八隻をこの種別で色わけいたしますと、第一種船、すなわち二十四時間無休で無線装置が働くという船は全体の一四・二%、七十八隻しかございません。第二種甲、すなわち一日のうちの三分の二の十六時間だけ働けば、安全は保てるのだという立案者側のねらいに適合するものが、全体の三五・九%であります。それから最後の第二種乙、これは一日八時間さえ無線が働いておればいいのだ、一応船舶に施設した無線の役割は果せるのだというのが全体の四九%、二百七十三隻となるわけであります。先ほど申し上げました棺おけ船は、もちろんこの第二種乙の、八時間組に入るわけであります。これで行きますど、小型で堪航生性乏しいあぶない船ほど、その安全装置としての無線は最低でよいという、まことに妙なロジツクになるのであります。このままこの法案が通過するということになりますと、現在安全要員として海上に配置された船舶通信士の四一%は、一応その職場から解かれます。今四一%の通信士が職を解かれるという問題を云々するわけではありませんが、この四一%という形は、船の無線に依存する安全率を、四一%減したということと同じことになるということだけは、御記憶願いたいと思うのであります。  この法案の第五十條の御趣旨は、当初千六百トン以上は義務無線というか、全部無休で働かなければならないという規定になつておるのであります。そこで船主側が採算上の理由で、電波庁に押しかけまして、現在のように改まつた。立案者側と申しますか、電波庁側は、われわれ労働者側に対するときにはたいへん御愼重でありますが、船主側のふところ勘定の泣言に対しては、きわめて御同情的であるという感じを受けたのは、私だけでございましようか。いやしくも第一條の目的の中で、公共の福祉を増進させようという看板を掲げておられる建前から、一船主、一資本家の利益と、海上で死ぬか生きるかの立場に立つている人の利益が、こうも違うという形で表現されるということは、きわめて非民主的だと私は考えるのであります。  日本列島をごらんになればわかりますけれども、南西から東北に伸びる暴風の通路そのままの地形と地理的條件を見ていただきたい。気象の激変や海流の変動、群島の散在等の自然的な悪條件に加えて、航路標識はおそまつ、海上保安施設は頼むに足らない。機雷は流れる、棺おけ船的船質、こういう悪條件のため、日本の近海航路というものは、世界の中で最悪の海難率を示しており、海難の上でずば抜けて大きな世界最高記録を持つているのが、日本の近海航路であります。この附近の海難によつて失う一年の損害だけでも、数十億に達するはずであります。船主側に言わせれば、そうした損害は保險会社がカバーするから、なるべく経営費の中が余つて来ることが望ましいという形で、首切りというか、人員減らしということをお考えになるのでありましようが、いやしくも国民的な立場に立つて考える場合に、この数十億に上る海難の損害を一割減らすことができるならば、これはこんな首を切るどころでなく、この三倍も四倍もの人間を集めてやつても、十分国民経済は成立つ。こういうことを考えるならば、ここで一人減らすとか二人減らすとか、五千五百トン以上は二種甲にしろとか、こういうようなまことに素町人的なそろばん勘定は、国民としてまことにおもしろくないのであります。  こういう次第で、五十條においてこの種別をきめるという精神につきましては、この法案に反対するばかりでなく、私は三十年海上生活をしておりまして、海上生活の第一歩から主張して参りましたことは、無線通信士は安全要員として、いかなる船においても無休の執務、無休の当直、無休の聽守を行えと主張して来た人間であります。私はこの事実を身をもつて、二人しかない場合でも無休でこれを行うということを、自分自身で実践して来ましたゆえか、また偶然かもしれませんが、私は三十年の経験の中で、あぶない思いをするような海難を一度も起した経験のない一人です。私はそれだけのほらが吹ける。私はこの経験をどういうところで得たかと申しますれば、私が上海丸という船に乘りましたときに、船長が日本一の名船長で、十八ノツトの日韓連絡船に十年余り乘つて、千航海以上無事故でやつた。この船長のもとで私は通信士として勤務したのですが、通信士は一人しか乘つておらない。そのとき船長が私に言うことは、局長——通信士のことを局長といいますが、局長、おれはつんぼでは航海ができない。それをお前、さしてくれ、こういう話。つんぼでは航海できないということは、無線通信士が当直室にいて当直していてくれなければ、船の安全のためにやつておつてくれなければ、私は航海できないのだ。こういうわけで私は一人でしたが、短かい航路でもありましたから、二十四時間一つも寝ずに勤めて来たのであります。その船長は神戸に帰りますと、必ず奧さんが私を出迎えに来て、一夕私の労をねぎらつてくれた。このくらい船長が無線を利用することを知つたればこそ、千何航海十八ノットでもつて、神戸、長崎、上海というような、最も難航路を無事故でやれたのでありますこのことをよくわきまえておられたならば、一種船を二種船に下げるだの、二種乙に下げるだのというような、小さいそろばんではなく、いつそ通信士を三百人も乘せて、船を安全にした方がよい。私はそれだけの自信を持つておる。それで十分に日本の海運経済が成立つ。従つて船主さんも十分そのおこぼれを頂戴するから、御心配なさいますなと私は申し上げたい。  それから先ほど黒川さんの御公述の中に、よく外国の例を引かれまして、アメリカではこう、ノールウエーではこうというようなお話でありました。今ごろの日本におきましては、あちらのお話が出れば、こちらはぜひおじぎしなければならないという通念がございますので、ちようど昔軍部とさえいえば、人民はおじぎしてしまつたのと同じような戰術で、あちらのお話をなされたことだと思うのであります。戰術としてはまことにけつこうだとは存じますが、どうせあちらのまねをおやりになるなら、頭数だけをおまねにならずに、あちら並の設備、あちら並の船員の待遇、あちら並の船、あちら並の施設、それらのあちらの実態をよくおまねになつた上で、頭数には最後に来ていただくようなら、まことに話のわかるお話だと思つております。どうか頭数というような、あまり卑近な例の中で、そろばんをおはじきになることはお愼しみ願いたい。  私はさらに三十七條の自動警急受信機のことについて申し上げたい。これも先ほど黒川さんからお話がありまして、オート・アラームを備えつけたら人一人ぐらい減らせる。まことにどうも、何のためにオート・アラームをつけるのか、何のために通信士が乘つておるのか、何のために無線設備があるかということの根本をおつかみになつておらない。一体このオート・アラーム——自動警急受信機は、皆さんも御存じの方は少いと思うのでありますが、これは通信士が当直しないときに、ある一定の安全信号に対して、べ、ルがバラバラと鳴りまして通信士を起して、非常の通信を聞くようになつておる機械であります。これと関連しては四十條の規定に、聽守員という人間がおり、免状がある。この聽守員というのは、安全信号にだけ耳を傾ける通信士の制度なのであります。一番初めに大正の末年から、この聽守員制度というものが採用された。これも通信士の不足ということと、船主のふところ勘定と合せて採用されたものでありますが、これが安全信号、遭難信号、緊急信号の三種類だけ聞いておれという立場で乘つておつて、これが何にもならなかつた。何か人間よりも機械の方がいいだろうというわけで、それこそ外国にまねてオート・アラームがつけられた。ところがこのオート・アラームが一向働いてくれないという事実は、私はたくさん知つております。まだこのオート・アラームのおかげで人が助かつた。オート・アラームが活躍した。オート・アラームが有効であつたという材料については、皆さんはどうか知りませんが、私はまだ不敏にして聞いておりません。それよりもオート・アラームのおかげでどんな目に合つたという話は、私はたくさん知つておりますから、時間さえあれば申し上げたいのであります。外国ではちやんと使つておるではないかと言われますか、外国ではどう使つておるか知りませんけれども、私が外国の通信士の方に会つて聞いたときには、少し時間が離れて十年ばかり前ですが、英国においても、これはオート・アラームでない。フールズ・アラームとか、アウト・アラームとかいわれておる。なぜそういう不安全な装置の中で、通信士自体のあなた方は満足しておるのかと伺つたところが、私はマルコニー会社に附属しておるが、マルコニー会社は機械を貸した方が、人間を貸すよりも得だからしかたがないさとお笑いになつておつた。この中にも実際人道の問題というよりも、もつともつと切実なそろばん勘定のあるということは、見逃せないと思うのであります。  こうしたオート・アラームや聽守員制度というものが、日本においてもどんなに役に立たないものであつたかということは、この法律をおこしらえになつた立案者が、実に身をもつて味わい、身にしみておるはずなのであります。にもかかわらずこの新しい規則の中に、またおめおめと登場しておる。登場しておればこそ、船主はこのオート・アラームを使つて、人を減らせということになる。しからば皆さんはこのオート・アラームに自信がありますかと聞くと、最高当局者でも決して責任ある御返事をなさらない。この間電波庁長官に対して、国会共闘委員会の皆さんがお会いになつたときも、このオート・アラームは人の代用をするとか、そうした積極的な安全性を保障するというふうには考えておらぬというようなお話があつたそうであります。これはあつたそうです。その程度の御認識ならば、何のためにこの法律の中にうたつたのか。むしろもつと人間のかわりになるような機械ができたときに、これを入れてもおそくはありますまい。私はその意味でこのオート・アラームという制度が、海上の人命と安全に対して、どんなにマイナスの形で、まことに不幸な形で、この法案の中に飛び出しておるかということを皆さんに訴えて、これを削つていただきたい。また聽守員級の通信士、ただ安全信号だけを聞いておれば済むというような通信士がどんなものであるか。通信士の質の低下即船の安全の低下ということをおぼしめして、こうした形の通信士の登場することも、やはり削つていただけるものなら削つていただきたいのであります。  まだ申し上げたいことがありますが、時間が長くなりますので、以上のような理由をもし御検討くださるならば、この法律が公共の福祉を増進するために存在しておるのだと称しがら、公共の福祉を阻害しておる面、あるいは公共の福祉を保障していない面があるということを、この二、三の理由の中からもおくみとり願つたものと私は了承したいのであります。  次に私は先ほどの第二段の点を、簡單に申し上げたいと思うのであります。この電波の価値を直接生産する労働者、無線従事者の取扱いを、納得の行くような形にされないならば、電波の利用は実現しないであろう。電波の利用の実現しないところに、公共の福祉の増進は夢のような話であろうということを、先ほど申し上げたのであります。この無線従事者の取扱いについて一応申し上げてみたいと思うのであります。先ほどからも出ましたが、この法律案の中に免許の更新という項目があります。五年目。ことに免許は更新する。その中で二年半以上の有効実歴を持たない通信士は免状を取上げられ、再び国家試験を受けてもらいたい、こういつた形があります。これは一体どういうところからそういう理由になつたかと聞きますと、無線従事者は免許を受けた当時の知識を永久に持つていなければいけないのだ、長くその仕事に従事しないとその知識は低下するから、試験をするのだ。こういう建前でこの制度ができているのだそうであります。私は、知識というものをもう少し分解して考えてみたい。学校で習う知識、あるいは免許を受けたときの知識や技能というものが一番最高であるならば、見習い期間はいらない、経歴なんていらない実歴なんていらない。にもかかわらず学校を出て来た、免許を受けて来たはずの人が、役に立たないという知識なのだ。これは今後伸び行くための基礎的な知識なのだ。実用の世界に出ましては——私は一つ覚えた三十何年も前にこういう公式を覚えた。2πνルートCLこれが波長の公式なのです。この波長の公式を知らなくても、ちやんと目盛りや測定波器があれば、波の長さを示してくれます。私はこんなものを一々頭に詰め込んでいて、実務に当る場合には、この日常生活に消化されない知識のゆえに仕事ができない。知識というものは、免許を受けたときの知識を実用にこなすということが一番大事なのだ。その実用にこなすというのはいけないのだ。2πνルートCLに帰れというわけです。私はこんなわからない話はないと思う。日常生活に消化された知識というものが、二年や三年の間その職にいなかつたからといつて、落ちるものか落ちないものか。ここにおる皆さん、委員各位におかれても、十分御承知のことだと思う。なおこの場合に私不思議に思うのは、長くその職務に従事しない場合はというが、従事しない場合もあるでしようが、私は長くその職に従事できない場合があると思う。これを想定したであろうか。病気であればその仕事に従事できない。部署がかわればほかの仕事に移るだろう。船員だから下船しているときがある。予備員の期間がある。こうしてその仕事自体に対して従事できないという事情が、社会的な條件で、個人的の事情でなく起つておる。その事情を何ら濾過することなく、従事しないというような自動的な言葉をもつて、これをごまかしている。われわれは従事できない場合をどうしてくれるのだということを言うのです。こうしたことを考えるならば、二年や三年の間、それの知識にいなかつたから、あらためて国家試験をする。私は今実際一級の通信士ですが、国家試験を受けろといわれましても、まことに悲しいけれども、私は受からないでしよう。しかしながら私は船に乘つて、お前一級通信士として三十年来の経験を生かしてやつてみろと言われたら、おそらくだれにも負けないでしよう。この事実を、この知識を、この技能を、一体免許という問題を課題にして、どう取上げるか、どうこなすかということを、委員各位に実際御判断願いたいのであります。  なお、長く従事できないというその事情は、先ほど来申し上げます通り、四一%も人を減らすような法則をこしらえたために職場から出て来るとか、その他いろいろの社会的な事情が合理化の線に沿うて出て行つて、その合理化というものによつて首切ろうとしている。こういうことを看取するならば、免許が受からないという形で、その仕事に従事できないという形で、いかに多くの人がちまたにあふれるのか、皆さん御想像願えることと思います。これは悪條項であります。これはわれわれのためはかりでなく、他の技術の方の関係の人についても同様のことが言えると思いますが、これはぜひとも皆さんに削つていただきたいと思います。その地下三級通信士につきましては先ほど話がありましたし、私はたいへん時間をとり過ぎていますので、かねがね請願手続をもちまして皆さんのもとに配つてある書類がございますし、この中に委曲盡して申し上げてありますから、なお一応御検討願えれば仕合せと思います。  元来船乘りで、言葉の使い方になれませんので、皆さんのごきげんを損じたかと思いますが、かくのごとき悪法が出るか、改正されるか、どうか皆さんの御書方を願いたいということに盡きるわけでございます。御溝聽を感謝いたします。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 次は鈴木強君にお願いいたします。

鈴木強電気通信学会会長

○鈴木公述人 私は全逓信従業員組合の全国電信協議会会長の鈴木でございます。現在対外放送無線電信業務に従事しておりまして、連合国各国の関係通信社、あるいは国内の時事通信、あるいは共同通信、こういうところで編集いたしますところの新聞ニユースを外国に放送し、あるいは船舶に放送するというような仕事をやつているのであります。今日は私は国会共鬪三十五單産、五百二十万の組織労働者を代表し、かつ長年の間この電波業務に従事して参りましたわれわれの先輩の意見も徴し、なおまた私の十数年間にわたる体験からいたしまして、今回上程せられておりますところの電波監理委員会設置法案並びに電波法案に対しまして、反対の意見を開陳いたしたいと存ずる次第であります。  その前に一言お断りしておきたいと思うことがあります。私は反対するということでございますが、もちろんこの両案件というものは新しい時代に即応いたしまして、電波の適正な運行を期せられるということを考えられて、立案せられたものであろうと考えておりますがゆえに、立案の任に当られました関係各位の御努力に対しては、多とするものでございます。しかし先ほども宮入公述人からもちよつと述べておられましたように、この立案過程において、私ども組合側と関係当局の方々と十分に連繋を保ちまして、われわれの意見も十分入れていただくというような話合いができておつたのでありますが、これが何かしら、宮入さんも言われておりましたように、われわれが知らない間に成案化されておつたということにつきましては、民主的な話合いということも考えまして、率直に私は遺憾の意を表明しておきたいのであります。しかしながらいろいろな客観情勢も考えまして、私は單にこの両案を撤回しろとか、あるいは全面的に反対するのだというような考えは全然持つておりません。ただひたすらこの重要な電波行政を規定するところの両案件というものが、より民主的に立法化されまして、今後における万遺憾なき電波行政の運営を念願するために、個々の條文につきまして反対の意見を申し述べたい。かように考えておる次第でございますので、どうかお聞き違いのないようにしていただきたいと思います。  さて私は大体意見といたしまして、同じ立場から前の宮人公述人がいろいろと申し上げておりますので、法全体に対するものと、それから電波監理設置法案と、電波法案とこの三つに大別して申し上げたいのでありますが、全般的の問題については、すでに十分私の言わんとするどころを宮人さんの方から申し述べておりますので、簡單に申し上げます。  まず法案の第一條にはその目的といたしまして、「この法律は、電波の公平且つ能率的な利用を確保することによつて、公共の福祉を増進すること」にあるというようにうたつてあるのでございまして、この目的につきましては、私も全然異論はないわけでございます。しかしこの理論の上に立つて今回の法案を見ますときに、やはりこの法案の目的と相反するような條項が、随所にあることをわれわれは遺憾ながら見逃すことができないのでございます。すなわち必要以上に管理監督部面、あるいは統制の部面が強化されております。また公共事業というこの本来の性格から見まして、相矛盾するような手数料制度というものができておりますし、また電波従業員にとりましては、非常に重要なるところの生活権を脅かすような免許の更新制度という、かような問題があるのでありまして、こういつたふうな規定が、はたして今後飛躍するところの電波事業の発展について、阻害するところの要因になるであろうということを、私は憂うる一人でございます。また航行中非常に困難なる條件のもとに、重要な無線通信を取扱う船舶局の従事員の作業條件、たとえば通信量の位置とか、あるいは広さ、あるいはこの激務に携わるところの従業員の休憩室、こういうような非常に重要なるところの作業條件については、何ら法案の中に明示されておらぬということは、明らかに片手落ちではないかと私は考える次第でございます。  次は第二の電波監理委員会の設置法案についてでありますが、その第一点といたしまして、先ほどからもいろいろ問題になつておりますところの監理委員の選出についてでございます。これは法案の第六條によりますと、「委員長及び委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」こととなつております。さらに同條第三項におきまして、先ほど鵜飼先生からも申されましたような制限規定が設けられてあるわけでございます。ところが電波というものは、一秒間にとにかく地球を七まわり半もまわるというような、驚異的な電波力を持つているのでございまして、文化国家として再建途上にあるわが国の政治、経済、文化、言論、報道、いろいろな面におきまして果すところの使命は、まことに偉大なものがあるのであります。特に講和條約の機運も熟して参りまして、また貿易が自由化されるというような今日におきましては、国際的な関連においてもますますこの電波というものの重要性が、高まつて来ておるのではないかというように考えておるのでありますが、かくのごときこの重要なる電波行政の総元締めになるのが、法案第四條に示すところのこの委員会でございます。しかも権限というものは非常に広汎なものがあるのでございまして、もし監理委員会というものの運営いかんによりましては、国家社会の消長にも関係して参ることになるのではないかと考えるわけであります。従いまして、もしこの委員の選出が、法案第六條に示すように内閣総理大臣が任命するということになるならば、これは前から申されておりますように、時の内閣の勢力によつて、どうしてもこれは一党一派に偏するようなことが考えられるのであります。この委員会がそういう形で運営されて行くという危險性が多分にあることを、私は考えるわけでございます。もしそのような形になつて、この委員会が運営されて行くならば、目的にありますところの公共の福祉に関し公正な判断を下すところの委員会の運営というものは、必ずや不可能なものになるということを考えるわけであります。  そこで私はこの委員の選山方法については、次に申し上げるようにせひ直していただきたいということを考えているわけであります。それは鵜飼先生もちよつと触れましたが、私はちよつと意見が鵜飼さんとは違うのでございます。現在教育委員というものは公選によつて選ばれているわけでありますが、こういうふうな形をこの監理委員の選挙にせひ採用していただきたい。そしてこの対象というものは、電波の従業員並びにこれに関連するすべての利用者によつて、直接公選するような形がとれると思います。こうして民主的に選出されてこそ、初めて何人も認めることができるところの、いわゆる公共の福祉に関して公正な判断を下せる委員が、送り出されるのではないかというふうに考えるわけであります。そしてこの任期は、国会の御審議におまかせしたいと思います。委員長の選出は、やはりこうして選ばれた委員の互選というような形をとつていただけばよいのではないかと考える次第でございます。  次に第二点でございますが、法案第四條に規定しておりますところの監理委員の所掌事務の遂行のための権限でございます。これは第四條を見たときにわれわれが直感することは、現在国家公務員法というものがありますが、あれに基く人事院規則というものを連想せざるを得ないのであります。こういうふうに、監理委員会の権限がきわめて広汎にわたつておりますことは、無線電信あるいは無線電話はもちろんですが、日本放送協会あるいは民間放送会社のことに関してまでも、この権限が及んでいるのであります。それで法案第四條にうたつてあるように、権限の行使は、法律またはこれに基く命令に従つてなされるということがあります。しかしこの人事院規則を連想するときに、法の目的を侵害するような規則が制定されぬとも限らない。——制定されないというようなことは、ちよつと私どもは言えないのでありまして、こういう観点から、とにかく所掌事務はすべて法律に明らかに定めていただきたい。そして法案第十七條によつて規則に制定する部分は、こういう心配がない部分だけをぜひやつていただきたい、かように考える次第でございます。  次に第三番目に移りますが、電波法案でございます。その反対の第一点でございますが、これは非常にわれわれに重要な問題でありまして、先ほどからよく触れられました四十五條の無線従業員の免許の更新でございます。これは現在無線通信士の資格は、国際通信條約による嚴重なる国家試験が課されており、その試験に合格して初めて資格がとれるわけであります。そこで一度試験に合格しますれば、その身分は生涯保障されるというのが現在の姿でありますが、法案の四十五條によりますと、この現行規定を大巾に改悪いたしまして、五年ごとに国家試験を行うということになつております。もつとも、五年を通算して二年六箇月以上実務に従事した者、または免許有効期間中通算して一年六箇月以上、及び申請前一年以内に六箇月以上当該免許の業務に従事した者は、国家試験を受けないで免許の更新ができるというような特例は認めております。しかし、もしこのようにして再試験というものが行われることになりますと、官庁や会社等の事務上、あるいは人事管理の都合上によりまして、実務に携われないような場合が必ず出て来ると思います。特に船舶通信士のごとく、現在非常に荷動きが停頓しておりまして、そのために船待ちということが多いのでございますが、こういうふうなために特例に定められた期間さえ、実務に携われないような場合が起きて来るのであります。このような場合において、再試験を受けるということになりますと、これは無線従事者にとりましては、前途に非常な不安を與えることになりますし、また無線従業員の生活権を奪うというような、重大な社会問題が起つて来るのであります。わが国において無線通信が行われたのは大正四年でございますが、それ以来今日に至るまで約四十年間、これは無線通信士もいわゆるエンジニーアも同じことでありますが、世界の無線界におきまして、わが国の無線通信士、あるいは無線技術者の技倆の優秀性というものは、非常に高く買われておりましたし、また業務に対しましても、よく規定を遵守いたしまして、忠実に業務を履行して来たのでございまして、この点は自他ともに認め、またわれわれも誇りとしておつたのであります。それをいまさら再試験を行うというようなことについては、われわれとしてはどうしても了解に苦しむところであります。先般人事院規則で、官吏の試験制度というものが行われるようになりましたが、ああいつたふうな愚を再びここで繰返すということにつきましては、非常に私どもとしては遺憾でございます。どうかこういう見地から、これは全部削除していただきたいというように私は考えるものであります。  それから第二点でございますが、法案の第四十條によりますと、無線設備の操作というものは、二級無線通信士は一級無線通信士の、あるいは三級無線通信士は一級無線通信士、二級無線通信士の指揮のもとに操作しなければならない。また無線技術士の方も同じですが、二級無線技術士は一級無線技術士の指揮のもとに操作をしなければならないというようになつておりますが、この無線操作に対する責任というような問題について、何かしつくりしないものがあるのでありまして、二重的に責任を負わされるというようなことがありますので、そういう点が明確になつておりませんと、非常に困るのでありますから、どうかこの「指揮の下に」というような文句を、従来の形のように、三級無線通信士は一級あるいは二級無線通信士の補助として操作ができるのだというふうに、修正していただきたいと思うのであります。  第三点でございますが、船舶無線電信局の運用時間でございます。これは先ほど黒川公述人があのように申されまして、宮入さんよりも反対がありましたが、私も黒川公述人の意見にはまつたく反対であります。法の六十三條によりますと、第一種局、すなわち総トン数三千トン以上の旅客船及び総トン数五千五百トンを越える旅客船以外の船舶、これは四六時中、つまり常時、それから第二種局甲、すなわち総トン数が三千トン未満五百トン以上の旅客船、または総トン数五千五百トン以下千六百トン以上の旅客船以外の船舶、これは一日十六時間、それから第二種局乙、すなわち旅客船以外の船舶の船舶無線電信局、第一種局及び第二種局甲に該当するところのものを除く旅客船、これは一日八時間というように限定されておりますが、これは非常におかしな話でありまして、少くとも公衆通信というものを取扱うだけが、船舶無線電信局の仕事ではありません。海上の保安あるいは人命の保全というような、重要な使命をになうところの船舶局でありますし、その無線通信という本来の目的から言つても、かような制限を加えることは非常に不可解であります。むしろ航行安全というような観点からすれば、トン数の少いところほどその運用時間というものを長くいたしまして、そして航海の安全を期することは、常識的に考えてもあたりまえではないかというふうに私は考えておるわけであります。それで現在海員組合と船主協会の間に協定がありますが、この協定はいわゆる千大百トン以上は常時、千六百トン以下七百トンまでは十六時間、七百トン以下は八時間というふうになつておりますが、少くともこの程度の時間はぜひとも必要であるというふうに私は考えます。これにつきましては、海岸無線局というのがございますが、この立場からいたしましても、ぜひこういうふうにしていただきたいということを特に要望したいのでございます。  第四点でございますが、法案第六十四條の第一項に、沈默時間というのがございます。先ほどいろいろお話がございましたが、これは電波法の六十四條、五十二條を見ていただけば、沈默時間というのはどういうものであるかということが、御了解ができると思います。そうすればあのような論議はなかつたと思いますが、その沈默時間と法第百十二條第二号の罰則についてでありますが、この沈默時間の嚴正なる励行ということは、無線通信士としては必須の條件であります。従つてこの規定に反するような行為をした者に対しては罰則を加えるということは、理の当然であるというふうに私は考えますけれども、第百十二條に示しているように、五万円以下の罰金、また法第四十二條によりまして、その上に免許を取上げるというようなことは、少しく苛酷に過ぎるのではないか、かように考える次第であります。  海岸局でも、また船舶局でも、とにかく時計を嚴重に規整するということは、われわれが当然やることでありまして、そのような規整はございますが、しかし相手は機械であります。従つて時計がいつ変更するか、あるいは季節的その他によつて誤差というものが出て参りますが、そういう誤差がいつ生ずるかもわからぬというふうな不安定な條件のもとにおいて、とにかく一秒間誤つてもやはり罰則を加えるのだということになると、その立場に立つところの無線通信士というものは、まつたくたまつたものではないのであります。もちろんこれは故意にやつたか、あるいは過失にやつたかということの判定によつて、おそらく罰則というものは適用されて来るとは考えますが、法案第百十二條に示すごとく、漠然とした規定であつては、やはり無線通信士というものは、不安動揺の間に業務をやらなければならない。そして結局精神的にも耐えられなくなつて来ますし、そういうことが業務運行の上にも支障を来すというようなことが考えられます。従つてそういうところの憂いをなくするためにおきましても、第百十二條の第三号に、「故意に規定に違反した」というようなことを、はつきりうたつていただきたいということをお願いする次第であります。  次に第五点として、法案第百三條の各種手数料の徴收でありますが、これはアマチユア無線の方にも関係があると思いますが、法案第百三條には、六條、十條、十八條、三十七條、四十一條、四十五條、四十九條の各條項によるところの申請、検定、検査、受験、免許の更新というようなことに対して、手数料を徴収する規定がうたわれておるのでございますが、これは私が最初に述べておきましたように、電波の公共性から見ましても、非常に矛盾するのではないか。少くとも公共性を保持し、公共の福祉を増進せんとする電波事業の本質からするならば、電波に携わる従業員に対しても、施設者に対しても、むしろ国家の保護、育成の施策というものは、十分考える必要があるのではないか。また考えてしかるべきじやないかというふうに私は考えておりますので、かような観点から、この手数料の徴收という制度は、一応全面的に廃止していただきたいということをお願いしたいのであります。  第六点といたしましては、法案第九十七條にある監理委員会決定の処分に対する訴えの管轄についてでございます。これは法案によると、すべての訴えが東京高等裁判所の專属管轄とするということになつておりますが、私は法律家ではありませんから、あまり法理的なことはわかりませんが、訴訟法によつてもこの訴願手続というものが当然あると思いますが、その訴願手続を無視して、一審で高等裁判所にこの事件を持ち込むということは、非常に不当であると私は考えておるのでございます。訴願する者の立場から言いますと、まず第一番に、今申し上げたように高等裁判所が一審であつて、上告するところの機会がなくなつてしまうということもありますし、たとえば北海道で事件が起る、あるいは九州で事件が起るというような場合に、一々これは東京高等裁判所まで出頭しなければならないというようなことになると、非常に問題が起きて来ると思います。行政上の手続については、おそらく監理委員会が東京にあります関係上、いろいろと問題はございましようが、とにかく高等裁判所というものは全国にも幾つかあるのでありますから、せめて東京の高等裁判所でなくて、地方の高等裁判所でこういつた訴えができるように、ひとつやつていただきたいと考えるわけであります。  第七点としましては、先ほども問題になつた非常無線の取扱いであります。この非常無線の取扱いについては、よほど運用の場合に御注意願いませんと、いろいろな支障が出て参ります。たとえば気象電報というのがありますが、ああいうふうな電報は、やはり全国的な、また世界的な気象の状況を、きまつた時間に放送し、あるいは電報で送るというようなことになつておりますので、そういう電報の運用がちよつと間違いますと、非常に先送というか、早く送るということが、やはり気象電報の特質になつておりますが、そういう関係でこの運用を非常に注意していただきませんと、この非常無線をするときの判定はどういうふうにするか知りませんが、よほど注意していただきませんと、一般の電報あるいは急を要するところの電報が、支障を来すというようなことがありますので、この運用についてはもう少し何とか融通があるように、全般的な通信の運用を阻害しないような形でやれる方法を考えていただきたいと思うものでございます。  最後に申し上げますが、最初に篠原先生もおつしやつておりますように、私どもがここに参りまして公述するということが、ただ單なる公述に終つては何にもならないと私は考えますので、どうか私どもの今申し上げた点も十分御討議の中に加えていただきまして、ぜひとも私どもが申し上げているこの問題を現実に生かしていただくように、委員の皆さんに心からお願いいたしまして、私の公述を終ります。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 最後に苫米地貢君にお願いいたします。

苫米地貢電気通信学会会長

○苫米地公述人 前のお二人が電波法案に反対の御意見をお述べになりましたので、つり合い上今度は賛成の意見をちよつと申し上げます。  私が電波法案に賛成を申し上げ、またぜひこれを本国会に通過さしていただきたいということをお願いいたしますには、少しく歴史があります。苫米地は三十七年間、無線及び放送に関する啓蒙運動をいたしておりまして、ただいまのNHKなども、私創立委員の一人でございました。またごく最近まで放送協会に職を持つておつたものでございます。と申しながら、別に放送協会を援助するのではなく、きようは純然たる電波の問題だけについて申し上げるのですが、なぜ賛成と申すかと申しますと、かつて私どもが放送以前にいろいろ電波を出そうといたしまして、願書を逓信省に出すにつきましても、たいがい半年ないし一年かからなければ、その許可はおりて参りません。学校等において予定の時間に電波を出したくても出せないので、ついその時間に無線電波を出す。そうすると早速逓信省から告訴を受けた。その回数においては、おそらく日本で最も古く、最も多いのでありまして、始末書は絶えず謄写版に刷つておいて出さなければならぬというような被害者でございました。それほど昔の無線法規というものは幼稚なものでございまして、日本のラジオ文化、無線文化というものについても、何ら顧慮しないものでございましたが、今回提案せられましたところの法案二つを拝見いたしますと、隔世の感があり、非常な進歩をいたしまして、日本の電波文化に対して非常な貢献をするところの画期的な法律だと存じまして、私はぜひこれを通過さしていただきたいと思います。なおこれが通過いたしますならば、将来はフアクシミリあるいはテレビジヨン等の問題も出て来、また放送ではなく商業無線としまして各方面、あるいはまた漁業無線等の拡大が行われ、いろいろの意味において日本の文化及び産業に多くの貢献を果すことができると存じますので、これを非常に喜んでおるものでございます。但しものにはやはり行き過ぎという問題がありまして、この戰前におきますところのがんじがらめの法律から、今度は何でも民主主義というようなぐあいに、右から急に左に行き過ぎまして、この法案の中にも若干の欠陷があるやに思われます。  それは後ほど述べるといたしまして、どういうわけで私がそれをつくのかと申しますと、今までは電波に対する取締りが非常に嚴重でございました。ところが今回は非常に開放的になつたのでございますが、現下の国際情勢、及び日本の国内情勢から見ましても、武器を持たざるところの日本に、せめて思想をもつと固めて参らなければならぬときに、日本の今の思想界というものは混沌としております。このときにあたりましてこの法案を見ますると、中には無線局、実験無線局あるいはアマチユア局等を大巾に許される問題があります。これはかつての私の体験からはなはだうれしく、感謝しておるのでありますけれども、この中にただ一つの規則として、その技術方面の試験のみを行つて、これを許可するがごとくに解せられる筋があるのであります。私はこのアマチユア局にせよ、実験局にせよ、あるいは極端なことを言うと、日本海方面における漁業無線等につきましても、もこれを許可する場合には、その技術者及び被許可者の思想方面及び環境、ことに誘惑等についても、周囲のことをお考えおき願つて、ぜひそういう方面の御考慮を佛つていただかなければならぬと思います。この中には單に技術的試験のみ強調されまして、思想的方面及び人格、その背景という方面の考慮が拂われておらないように思いますから、特にその点においては監理委員会事務当局、電波庁等におかれましても、十分御研究おき願いたいと存じます。  次に七十三條の中に、毎年一回、あらかじめ通知する期日に検査を行うというようなことがございますが、これも三十七年間のいろいろの経験から見まして、私はこういつたふうに幾日幾日にお前のところに検査に行く。これはあらかじめきまつた日に検査に行くというような方法はなまぬるいのである。要するに定期検査は必要であるが、場合によつては不定期においてもこれを検査し得るだけのことが、法案に検査をするということが入つておる以上は、もう一つその追加が必要であるのではないかというふうに考えられるのであります。  その次に監理委員会の設置法案の方で、第三十七條でございますが、そこに電波観測所を設けるという問題がございますが、その電波観測所の固定的なものは、日本では北の方に多いのであつて、日本を全体的に見て、九州方面は少いように私は考えておるのであります。なお陸上にこういう固定観測所を置くだけでは足りないのであつて、むしろ移動観測所をもつと多く併置すべきである。また海上にも、日本海方面に特に移動船舶観測所を置がなければならないのだということを、私どもその方面に三十七年間従事いたした者から見ますと、ややそこに不安なきを得ないのであります。  今私がここに立つて申し上げました問題は、結局他の人が語りましたところでありますから、すべてを省略をいたしまして、集約して申しますならば、現下の国際情勢の上から、電波の監督及びその指導という面について、くれぐれも御注意置きあらんことを希望するのは、たたそれだけであります。なおもう一つつけ加えてお願いいたしますのは、電波法の第四十六條に「無線従事者国家試験は、無線設備の操作に必要な知識及び技能について行う。」これは先ほどアマチユア局及び実験局について申しましたのと同じ精神において、これも無線設備の操作に必要な知識、技能というもの以外に、その人間の特性、境遇、思想等もつけ加えていただきまして、国家のこの緊迫した状態のときにおいて、せめて無線の上において国を守るということについて、御考慮おきくださらんことを希望して、私のお願いを終ります。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 これをもつて一応公述を終りました。公述人各位の御発言について御質疑がありますればこれを許します。

橋本登美三郎民主自由党

○橋本(登)委員 二、三の点について、公述人の方の御意見を拝聽いたしたいと思います。先ほど来から述べられましたのは、無線従事員関係の方々の御意見ですが、その前提として宮入さんにお聞きいたしたいことは、現在やつておる無線に関する、法規の方が、この電波法案及びこれに関連する法案ができるよりもよろしい。この電波法ができることが、日本の産業あるいは公共の福祉に沿わない結果になるというふうにお考えですか。それとも自分の言うところの修正案件なるものを十二分にくんでもらえば、その方がよいのだというお考えに基いての、先ほどの公述であるかどうか、お聞きいたしたい。

宮入鎭電波法対策委員会代表

○宮入公述人 こういう法律がなくちやいけないという点につきましては、私みずから賛成であります。旧法とこういう法律案との比較でありますが、先ほども公述の中で二、三触れておいたと思いますが、旧法より改悪されたという姿が、民主国家というようなこうした状況下でなお見られるということの中に、非常に不安を持つ一人であります。従いましてこういう電波法ができなければならぬということは了承いたしますが、旧法との比較におきまして、その改悪された部分の根拠が非常に私はいやなのであります。そのためにこの法律はどうか元にもどして、私たち利益関係者を加えてこの法律に血が通うように、肉をつけるような形で、もう一応同じようなものでもけつこうですから立案してほしいというのが、私の願いであります。

橋本登美三郎民主自由党

○橋本(登)委員 ただいまの宮入さんのお話ですと、最初の公述では全面的にこの法案には反対だというようなお話でしたが、必ずしもそうではなくて、旧法よりも改悪された部分がある。もちろんその他において改善された、民主的な面もあることは御承認のようですが、われわれのこの問題に関する知識は、あなた方專門家のようなぐあいには行きませんけれども、しかし放送無線と船舶無線を間違えるほど知識が足りないわけではありません。その点については数回、すでに一年前からやつておりまするから、多少の勉強はしておるつもりですか、しかし実際上船舶無線のことについては、なかなか詳細の規定が多いのでありますから、われわれはその点についての理解は十分に行つておらないことはその通りであります。そこでこの中で問題になつております免許期間を五年間に更新するということですが、この問題は先ほども皆さんが申しましたように、重大な人命または財貨を扱うという建前から言えば、常に最上の状態にしておきたいということは、理論的にも文句はあるまいと思います。たたあの但書の中にありますように、はたして五年間の中に二年六箇月という期間を置く必要があるかどうか。また第三項目の中に一年六箇月の経験期間を持つておつて、なお現在現実に試験の前六箇月までは従事しておる、こういうようなこまかい規定の中においての議論は、いろいろわれわれの間にもありますが、原則として人命を扱い財貨を扱うという建前から言えば、常に最上の状態に置くというこの法案の趣旨には、われわれは大体の論議の中においても問題はないのでありますが、その点につきまして、鈴木さんもそうですが、あなたから全面的にやめてもらいたい、その試験の内容がちようど学校の入学試験のなので、そういう国家試験を加えられるということが、実際経験者としては無意味だ、こういう御意見でありますけれども、もちろんどういう意味の試験をやるかは、監理委員会が決定することでありますから、法文には明記されておりませんけれども、われわれ自身が無線技師を使いました経験から申しますと、相当の專門家であつても、十年も十五年もやらない人がやりますと、一級無線技師でも、二級の現実にやつておる入にはかなわない。ただ半年とか一年とかいう期間を現実にやらせるならば、非常に早く進出するということは事実であります。ですから五年間の更新期間を置くという原則には、そう皆さんも反対ではな、くて、その試験の内容というものが問題になるのではないかと私は考えておるのでありますが、その点について宮入さんの御意見を伺いたいと思います。

宮入鎭電波法対策委員会代表

○宮入公述人 お答え申し上げます。放送法と無線のことにつきまして口をすべらしまして、失礼な言い分をしましたことはおわびを申し上げます。今の免許の更新の條件でございますが、お言葉ではございますけれども、私この点については根本的に反対せざるを得ないのであります。と申しますのは、先ほども公述で申しましたように、知識、技能の認定の内容が根本的に違うからだと思います。経験に基礎を置き、日常生活の中に消化され、くみ盡された知識というものが、そう簡單に消耗するものではありません。それをただこうした形でノミナルな試験をするということは、非常にむだだと考えます。また一面政治家の皆さんに、ここでお話をしてはおかしいのですけれども、少くとも社会情勢というものを加味して、この案についてお考えいただくのが便宜かと思います。先ほども申しました通り、この法案が通過することになりますれば、海上からは相当の職を離れる者が出て来る。その他受信の專用局に有資格者が相当おりますが、受信は免許がいらないから、それは実力にならないというような面も出て参ります。これが五年という月日のたつた後に、相当失格者が出るという場合が想像されます。海上の場合においては失業、次には失格、失格はさらに失業を救いがたい状態にまで押しやる。こういう形で因果律がマイナスに回転して行くという要素もありますので、少くとも企業、産業というものが合理化になつて行く過程において、かくのごとき法案を出すという形自体が、われわれにとつて非常に不満なんです。それですからこうした社会的な、政治的な基盤の上に立ちましただけでも、労働者の生活権に不安を起し、安定を欠き、失業させるようなこの法案は、もう少し穏便にとりはからつて行くということが、人間的には御同情願えるすべた。また知識の根本問題については、先ほどからも申しました通りに、私は学問と申しましても、先ほど申した波長の公式を知らなくても、波長計を見ればわかるように、また十年、十五年というのは長い月日でありまして、これは非常に極端な例でありますが、二年、三年のうちに職を離れ、技術を忘れ、自分の職場をそれによつて間違うという形は、私は起き得ないということを信じますがゆえに、この試験規定にはあくまでも不賛成を申し上げます。

橋本登美三郎民主自由党

○橋本(登)委員 今度の電波法案によりますと、船によつて、トン数によつて、電波の扱う時間が違つておりますが、それは御承知のように最低八時間あるいは十六時間というような区別になつておるのですが、先ほど来お話によりますと、組合と船主協会との間で、千六百トン以下でもこれが十六時間というようなぐあいになつておるようですが、こういう問題は一応最低を押さえてあるのでありますから、この法律で最低八時間は扱わなければならぬ、こうなつた場合において、この法律がそういうような組合と船主協会との交渉に対して非常に致命的な悪影響を與える、こういうお考えでありましようか。この点について御意見を伺いたいと思います。

宮入鎭電波法対策委員会代表

○宮入公述人 お答えいたします。従来無線通信士の仕事、船舶通信士の仕事というものも、かなり地味な仕事で、縁の下の力持ち的な仕事をしておりますために、労働組合がかくのごとき発達した過程においてこそ初めて、法できめられました最低要員を上まわる形で改良を見たことは、私三十何年来初めてでございます。今までいかなる場合においても、法できめられた以上に乘せたという例はございません。それ以下に乘せることに、これ懸命に努めたという例は多々ありますけれども、これに上まわつた形で乘せるという例は、戦後労働組合が発達してのち初めて生じた現象であります。そういうことから推しまして、また今後も国の動き方、船主その他資本的な動き方というものを感知しますときに、かくのごとき法律が出るならば、労働組合の圧力によつて、安全を確保する要員を確保しろ、こういうような形もかなり危ういのじやないか。また危うくないにいたしましても、一応法律の課題において、それより以上のものが必要であるということが考えられますならば、力と力で解決しようという建前で法をおきめになることは、非常に間違いだと思うのであります。そういう意味で申し上げたのであります。

橋本登美三郎民主自由党

○橋本(登)委員 もう一つお伺いしますが、先ほどこれは黒川さんからのお話でしたが、船員側の御意見を聞きたいのです。国際條約によるよりも、日本の場合においては無線従事者を非常によけい必要になつておる。こういうようなお話ですが、これに対して国際法よりも上まわるような、そういうものを使わなくちやならぬ事情について、御意見をお聞きします。これは宮入さんからお聞きします。

宮入鎭電波法対策委員会代表

○宮入公述人 お答えいたします。先ほどもちよつとそれに触れておきたいと思つたのでございますが、黒川さんは何か誤解して、法文をお取違いになつておるのじやないかと思います。国際條約では、その資格者の最低要員はきめてございますけれども、人数をきめてございません。第一種の船においては、少くとも一級の通信士を乘せるということは、少くとも一級の通信士がいなくちやならぬ。二種のは、一級または二級の通信士がいなくちやならないのだという資格の限定を申したのでありまして、それは人数を申したというわけではございません。また一種、二種、三種のきめ方というものは、各主管庁におきまして、各国の国情に応じてきめるべき問題でありまして、国際條約ではこれをきめておりません。ただ日本で二千五百トンという線を築きましたのは、ロンドン條約の線できめたものと私は考えます。従いましてこのわくを五千五百トンにするとか、三千トンで切るということが、外国ではどう、アメリカではどうだということによるのではなく、一体日本の海難の状態がどうで、船がどうで、設備がどうだ、こういうような面から推して、当局が上がるべくきめられた線でありまして、これは必ずしも條約上の権利義務のわくで、こうきめられたわけではないということをお答えしたい。  なお先ほど海難のことについて、私べらべらしやべりましたけれども、海上保安庁長官が七月談話として発表されたものによりますと、重要海難、つまりSOSを出す程度までの大きな海難事件というものは、無線のある船もない船もありますけれども、五時間に一隻の割で、その金が五千五百万円、一箇年に二百数十億に達するということを発表しております。それをつけ足して置きます。

橋本登美三郎民主自由党

○橋本(登)委員 黒川さんにお聞きしますが、われわれこの法案を審議中、いろいろ感ずることがあるのですが、今回の法案によつて、最小限の場合になりますと、八時間というような場合は、有資格者一名で足りるというようなことになつて来はせぬかという心配を持つております。その場合に補助無線士というような、無線士の資格のない者を併用するといつたようなことが起きて来ると思います。一人ということは危険であつて、その場合補助無線士——これはもちろん発信も受信もできません。ただSOSだけを聞き得る程度で、無線士としての資格はない。一人で八時間の間を連続的に聞くわけではありませんが、健康上の都合なり、あるいはいろいろな事情によりまして、そういう場合が起き得ると思いますが、そういう場合に対する船主側の対策として、どういうようなことをお考えになりますか。

黒川邦三日本船主協会労務部長

○黒川公述人 無線通信士の定員につきましては、先ほどお申し上げましたように、船舶職員法ならびに今の私設無線電信電話規則によつてきめられておるのでありますが、その双方の法律に規定せられたものに矛盾のないように、組合側と協議して、定員をきめておるのであります。先ほどもお話に出ましたように、現在千六百トン以上の船に三名の通信士が配置されておるということは、現有の船舶職員法並びに私設無線電信電話規則において、そういうぐあいに規定せられておるために配置しておるのでありますが、しかし実際問題として、五名必要であるかいなかという問題が、ここで起つて来ると思うのであります。いわゆる船舶の安全度ということ、あるいは実際に安全なる航行をするための最低定員はいかにあるべきかということが、いわゆる船舶職員法において、現在審議されつつあり、まだ国会に上程されていないということを申し上げましたが、その方におきましては、いろいろ審議会におきましても議論はありましたが、いわゆる電波法による執務時間にこうでいされずに、いわゆる五千五百トン以上の船については五名、千六百トンから五千五百トンまでは二名、以下一名、こういうぐあいに船舶職員法においては、審議会におきまして、一応原則的にきまつたわけなのであります。それで船舶職員法の定員と電波法との関係でありますが、電波法におきましては、現在のこの法案を見ますと、千六百トン以下は八時間の執務である。千六百トンから五千五百トンが十六時間の執務、五千五百トン以上が二十四時間執務ということになつておりまして、八時間労働を基礎に考えて見ますと、一ないし三名ということは一応妥当な線だと考えるわけでありまして、費用とかいろいろな場合に一名で足りるかどうかということは、これは実際に船舶通信士の場合のみならず、他の甲板部、機関部の場合でも、同じようなことが考えられるわけであります。いわゆるトン数が少い場合には、いわば近海を走つておるというようなことから、一応一名でも、船舶の安全なる航海はできるというぐあいに考えまして、現在でも、先ほどお話に出ておりました改E戰標船型においても、二名乘せている船もありますし、あるいは一名乘せている船もありますが、そこはいわゆる船主経済といいますか、船主側におきましても、ただ單に労働者、船員に対して過重なる労働を課すという考えでなくて、あくまでも船舶の安全という見地から、多数乘せておる場合もあるのであります。以上、御質問に合つておりますかどうですか、お答え申し上げました。

橋本登美三郎民主自由党

○橋本(登)委員 今お話の中の、千六百トン以下は八時間であるからして一名とか、そこが私は問題だと思うのですが、この法律に示しているところは別問題ですが、要するに最低八時間は通信を行わなければならないのですから、いろいろな時間を総合すれば、結局八時間以上になる。あなたに聞くよりも、船員側に聞く方がよいと思いますけれども、八時間といつても、その前後時間として当然十時間なり、十一時間というものが必要になつて来るのではないかと思う。その場合に一人でよろしいという考え方で、はたして人命及び財貨の確保ができるかどうか。船主側の方ではできるとおつしやるでしようが、この点についてどう考えておられますか。

黒川邦三日本船主協会労務部長

○黒川公述人 八時間労働ということになりまして、他の職におきましても大体八時間労働はやつているわけであります。八時間労働と申しましても、一応船員法において許されました範囲内におきまして、一時間の時間外労働であるとか、あるいは三十分の時間外労働というものは、他の職でも当然やつているのが現状であります。従いまして通信士の執務につきましても、一日について必ずしも八時間でやるというわけではなく、三十分なり、一時間のオーバー・タイムは、実際にやつてもらつているわけであります。

橋本登美三郎民主自由党

○橋本(登)委員 アマチユア無線に関しましていろいろお話があり、たいへん参考なりまして、われわれも御説の通りにやつて行きたいと思つております。従来は検査料は無料であつたが、今回は最高額がきめられた。もちろん監理委員会がその範囲内においてきめるのであるから、アマチユア無線の免許料や手数料については、こんな金額ではなくて、非常に少額のように聞いておりますが、原則としてこういう料金をとることは、私はさしつかえないと思います。なるほど公共の福祉ということから言えば、公共の問題に対して政府がその手数料なり、費用をとるのはけしからぬという考え方もありますが、一応今日の経済思想は、更生経済いう建前から、いろいろの法案ができていると思います。従つて実際上受けるに必要な最小限度の費用をとつてもよいということを法律においてきめることは、大体においてさしつかえないと考えますが、一応あなたの御意見をお聞きします。

大河内正陽日本アマチユア無線連盟理事長

○大河内公述人 お答えいたします。こういう料金がきめられているということに対して、全面的に反対を申し上げたわけではございません。ただ前には規則できまつていたことが、このような明確な数字を與えておくということは、私法律のことはよく存じませんが、私の今までの常識からいたしますと、以下ということは、その最高額にきめられることが多いという経験を持つております。従つて法律でこういう明確な料金や検定料をきめるべきではなく、規則程度できめておくのがよいのではないかというふうに思つたのであります。こういう問題に関しては、技術的なことばかりではなく、予算の画もあつて他の官庁の制約を受けるものと思いますが、そういう際にアマチユア無線の立場として特にこういうことをやるのは、これには若い中学生や高等学校の生徒が、非常な。パーセンテージを占めるわけであつて、そういう人たちが小づかいをくめんしながら機械をつくるのであるから、そういう意味において、もしとらなければならぬということであれば、極力最低の検査料にきめていただきたいと思います。

田島ひで日本共産党

○田島(ひ)委員 宮入さんと鈴木さんのお話を伺いまして、この法案の持つておる悪い点がはつきりいたしましたが、ある意味では人殺し法とでも言えるような点がないとは言えないのであります。それで今橋本さんの方からいろいろお尋ねになりましたから、私はなるべく重複しない点について伺いたいと思います。  まず黒川さんにお尋ねしたいと思います。先ほど宮人さんからは、人を減らされる法案だという御意見があり、黒川さんの方は、もつと減らした方がよいという御意見のように伺いましたが、警急自動受信機を非常に過信しておいでのように私は承りました。今までその警急自動受信機はどのように利用されておりましたか。その御経験についてちよつと伺いたいと思います。

黒川邦三日本船主協会労務部長

○黒川公述人 警急自動受信機のことにつきましては、今回の電波法案の第三十七條に「警急自動受信機及び電波監理委員会規則で定める無線方位測定機は、その型式について、電波監理委員会の行う検定に合格したものでなけば、施設してはならない。」という條文があり、その他については條文はないのであります。この警急自動受信機の性能につきましては、これを使用した場合にどうこうということは、私実際に操作した経験がないので、お答えできなくてはなはだ恐縮でありますが、要するに無線の執務の中で、聽守義務ということが国際法において規定されておりますが、この聽守義務は、警急自動受信機で行うのが建前であるというぐあいに、国際法規に書いておると私は考えるのであります。従つて警急自動受信機が装備されない場合には、通信員がこれに代理するのでありますが、これを装備した場合においては、国際法にきめられたる通り、一名に減らし得るようにこの法案を改正願いたいということを申し上げておるのであります。わが国でも昭和十八年以前におきまして、この趣旨から聽守義務は、通信士または警急自動受信機によつて行うということが規定されておつたのでありますが、今回の法案にはそれが全然載つておりません。最近御承知のレーダーが、外国製品であれば、これを輸入して使用することができるというような許可がおりまして、われわれ船主においてもレーダーの装備にいろいろ準備をいたしておるわけでありますが、このレーダーと同じごとく、警急自動受信機におきましては、現在日本においては優秀なもの、いわゆる完全な性能を発揮する機械ができておりませんが、外国から輸入してでも、あるいは日本の各無線機械の製作所各位におかれましても十分に研究されて、よりよき警急自動受信機が作成され、それが装備されることを希望しておるのであります。

田島ひで日本共産党

○田島(ひ)委員 まだ私はよく納得できない点がありますから、その点、宮入さんからも御意見を承りたいと思います。

宮入鎭電波法対策委員会代表

○宮入公述人 同一の趣旨の御質問と思いまして、お答えいたします。私今黒川さんの御回答を聞いて、なるほどどうして船主協会がこんなにお題目のごとく警急自動受信機にすがりつくのかという理由を、ひが目でなく感じたような気がするのであります。国際法規で聽守はオート・アラームという原則に立つておる。オート・アラームがなければしかたがないから、通信士でやれというようになつておるようであります。なればこそ、まことに法に忠実であるという建前から、オート・アラームをかくのごとく固執されたのであると、私は了解ができたのであります。しかし事実はこれと逆であります。当然通信士が当直し、当然通信士がその責務においてこれを処理することを全うしたいのであるが、諸種の事情、経済事情その他の事情によつて、やむを得ないからこれを機械において代理をしようというのでありまして、オート・アラームは望ましいのじやありません。人では金がかかつて、いろいろめんどうだから、機械でがまんしようという、資本主義経済の営利原則に照して生れたのがオート・アラームであります。決して人件費その他の問題、またはそれの効果があるから、人間より有効だからということで生れたものでないことをはつきりお答えいたします。

田島ひで日本共産党

○田島(ひ)委員 もう一つ黒川さんにお尋ねしたいと思いますが、戰後の日本の船が非常にボロ船になつておる。こういうボロ船に限つて、通信士が少くてもよいというような結果になるように伺つておりまするが、戰後の日本の船舶の状態について、どんなお考えを持つておられますか。ちよつとこの点伺いたいと思います。

黒川邦三日本船主協会労務部長

○黒川公述人 先ほど宮入さんからもお話がございましたが、戰後の日本の船舶の状況は、戰前あるいは戰争中と比較いたしまして、非常に劣悪な状況になつておるのであります。従いまして関係御当局、あるいは船舶所有者といたしましても、早急にこの劣悪なるところの船舶の改造ということに、もつぱら意を注いでおるわけでありますが、大体の現在の方向といたしましては、第五次の新造船、あるいは大型の戰標船の改造ということと双方相まちまして、大体五千トン以上の相当優秀な船ができ上つて来るということが、予想されておるのであります。なおまた中型船の三千トン級くらいのB型あるいはC型につきましても、これまた戰後相当船腹も増加いたしております。もつぱら悪いのは、今お話に出ておりましたいわゆる改E型八百八十トンの船でありますが、それらの船も漸次改造あるいは解体されて、いい船舶が建造されるように進んで行くもの、こういうふうに考えております。

田島ひで日本共産党

○田島(ひ)委員 先ほど橋本さんがお尋ねになりましたが、黒川さんは五千五百トン以下の船舶に対しての問題で、国際法で一名だから一名でよい。それに対しまして宮入さんは、黒川さんの国際法に対するお考えは間違つておるように言われておりますが、その点はどちらの方が正しいのですか。

黒川邦三日本船主協会労務部長

○黒川公述人 国際法は、人命安全條約と通信條約の二つによつてきめられておりますが、いわゆる人命安全條約の方は、船舶の聽守の義務を規定いたしております。また通信條約におきましては、通信士の定員の配置を決定すべき根拠となるべき、いわゆる執務時間をきめておるのであります。それで先ほども申し上げましたが、通信條約においてきめられております執務時間の点は、一種が三十四時間の執務、二種の甲が十六時間、二種の乙が八時間、これは国際的にきめられておるのであります。しかしながらその二種の甲を何トンから何トンまでの船にきめるかということは、各国の国内法において定めようということになつておりまして、現法案によりますと五千五百トン以上が一種ということにきめられておるのであります。私が五千五百トン以上の船を二種の甲にしてくれということを希望いたしましたゆえんのものは、警急自動受信機が装備されない場合にはもちろんこれでいいのであります。警急自動受信機が全然生れて来ないものであれば、私は何もこれに対して異議をはさむものではないのであります。先ほどもるる申し上げましたように、警急自動受信機において聽守の義務を行うという根本に入りたいがために、この国際通信條約においてきめておるところの執務時間の方に触れて来ておるわけなのであります。従いまして今の法案の通りで行きますと、ここで警急自動受信機を装備いたしましても、通信員を一名減員するということ、あるいは三名の場合を一名にするということは、現状のこの法案で行きますとできないのであります。それで警急自動受信機を装備した場合に減じ得られるように、五千五百トン以上を執務時間の方で下げていただくということで、二種の甲を希望したわけであります。

田島ひで日本共産党

○田島(ひ)委員 船主の方の立場としては、どうしても利害関係がありまするから、いろいろ御意見はありましようが、人命と財貨とを左右するような大切な問題が、かんじんな働いておる方に納得できないような法案がもし通過するといたしますれば、たいへんな問題だと思いますので、宮入さんからもう一応この点について御説明をいただきまして、なお四十條の聽守員級のことについて相当御説明がありましたが、この点でも過去にどういうような役割りをなしたかについても、御迷惑でしようが宮入さんからもう一応御説明願いたいと思います。

宮入鎭電波法対策委員会代表

○宮入公述人 先ほど汗をかいて大分お話し申し上げましたのですが、もう一応その点を具体的に、私の海上生活の例を申し上げて、御納得いただければありがたいと思います。  先ほども増生船長のもとで一年六十航海にわたつて、私が上海航路に従事した当時の物語に触れておきましたが、それがどういうふうにしてやつたか、また船長がどういうふうに無線を利用したかということで御納得が行けば、ありがたいと思うのであります。上海航路におきましては、神戸の港を一十時に出ますが、十一時に出るときには、私は朝六時から起きまして、沖繩と平壌と、その時分に神戸の海洋気象台、中央気象台及び放送局の予報気象を全部一応とりそろえて、総合的に航路筋の状況をまず私がつくりました。それから十一時に出帆すると同時に発振が可能になりますので、私は一応瀬戸内海筋に綱を張るたくさんの小さな漁船が、どこにどう分布して、航路筋のどこにどういるかということを、途中の船にまず尋ねます。今どこの瀬戸にはどれくらいの漁船がどの線にいる。どこの灘にはどのくらいいるという状況をまず聞きます。そしてその地点に行く時間を切つて、船長に最近の航路筋の状況、クリアテンス等をお知らせいたします。同時に相交過する船——主として衝突は交過する船が問題になりますので、交過する船、その次には、スピートの早い船でありましたために追い越す船、その次には、来島海峽を通過する口が両方ございますので、どつちを通過したらよいかという判断をするために、一応無線で状況を確めます。それから夜中の十二時ごろに関門海峽を通過いたしますが、関門海峽は航路筋とアンカレージとが輻湊いたします。特に時間によりましては、若松フリートと称する石炭の伝馬船が、実に数十ぱい並んで通る。これに通られては非常に困る。それをいかに交過しても、十八ノットというようなハイスピードのために、その船のために片一方の船に損害を與えることが多々ありますので、この状況を門司の港務部に照合いたします。こうしてようやく関門海峽を通過して、二時になつてやや安全な個所に来たときに、船長から——私一人でやつておりましたが、一時間だけ寝てくれという話がありました。その間にもちろん一日三回送られる気象は、先ほど申しました通りの各局を受信いたしまして、総合判断を十分加え、その他各般の状況をも、聞き得たことは刻々漏らさず船長に報告することを私は役目としておりました。そうして翌日の二時に寝まして、私はまた三時に起きまして入港電報を打ち、さらにまた長崎近くの安全な航路のために、漁船その他を警戒いたしまして、九時に入港いたしまして、その日のお晝にまた上海に向けて出帆する。これは同じような操作をもつて行います。ところが五、六月ごろにおきましては、この辺はまことにコンスタントのガス天気であります。霧の天気でありまして、そのために途中にどういう船がいるかいないか、航路筋にどういう船が交過するか、ジャンクの上下はどうか、こういう問題が知らされないならば、何も見えない所でもつてあの十八ノットのハイ・スピードの船が走れるということはあり得ない。そのために私は実際問題として、爪先立つて受話機を抱えて緊張するのであります。その場合においても船長以下、走つてもよいかどうかということは、私自身の返事により多くかかつておる。今大丈夫です。今近所におりません。大丈夫だな。十八ノットで走るのであります。そのために私は五分、十分おきに近所の船を確めることにこれ努めて、心身を磨滅するほど努め、さらに翌朝未明に揚子江口に着きます。もちろん燈台は見えません。あそこにシヤウエーシヤン、ガツラウフ、ノースサドルという三つのビーコン・ステツンヨンがありますので、このビーコン・ステツシヨンを接受しまして、十分に一回ずつラジオ・ベヤリングを出しまして——これをとるにつきましても、増住船長はまことに偉い人でありまして、私が乘船してから三箇月の間は、私のベヤリングを信じない。クリヤーのお天気のときにそのベヤリングを私にとらして、実際と合わせて見て、私の個人偏差を統計的に出して、私が右寄りにかじをとり過ぎる、左寄りに計算し過ぎるというような條項を出して、ちやんとデーターをもつてそれを按配して、ラジオ・ベヤリング一つでもつて十八ノットでつつ走るのであります。それから揚子江及び黄浦江に入るについては、出船、入船をパイロット・ボートに照会し、お前の無線のときはうるさくてしようがないと言われましたが、パイロット・ボートに聞けばわかるので、それを一々照合して、アンカレージ、クリアランス、その他を船長は常に二時間、三時間、四時間、五時間、あるいは明日の分までも、いつでも一応常識の中に入れて走れるようにして走つている。そのために、こんなことを言つてはおかしいが、船長は私を大事にしてくれました。私ばかりでありません。無線を非常に大事にしてくれまして、一航海三日で走つて来るのですが、中一晩は上海でとまりますが、心身これ困憊して帰るのです。それをねぎらうために、これはまことにできない芸ですが、船長の奥さんが、船長を迎えに来るのではなくて、私を自動車で迎えに来て、卵を割つてくれたり、一晩おかのふとんの中で休ませて、またお願いしますよと奥さんが頼むのを例としておりました、そのために船長が言うには、盲では走れない。三時間先の予定がわからなくて、どうして十八ノットの船が走れるか。無線が目と耳だということを常に言われました。私は幸い六十航海、その船長とともにいたしましたが、あれだけの困難な航海におきまして一回の事故、ささたるきずさえもない。これはもちろん船長の腕、航海士、機関士その他の全部の熱心な行動によるので、この船長の人格に同化されて、あらゆる機関が動いたからでありましよう。千回の航海にわたり無事故であつたという例もあります。その後私は他の船に乘船いたしましたが、常にこの増生船長の行動に健つて、その船長が無線を利用するといなとにかかわらず、私はかくのごとく行動して参りました。ゆえに私は二人で乘る場合でも、一人の通信士が受話器をかけ、あるいはスピーカーの中にワツチをしている姿を自分は予定することなしには、私自身も自分の部屋には寝られないという習癖がついた。このくらいにやつておつたせいも多少あると思います。私は自分がこの三十年の間何らの事故なく、危険にあわずに今日無事生きて来られた。また私の生涯におきましては、少くとも三ばいの船は無線の機転によつて完全に救つたという記録を持つております。このために私は外国船から電報ももらつております。「サンクス・ユワー・タイムリー・ワーニング・バイ・レジオ」という、私の船長あてに向うから感謝の電報をもらつたこともある。これはビユーゼットサウンド湾の中で衝突しそうになつたのを、私の機転によつて紙一重で衝突を免れた。こういうことは偶然といえば偶然でしようが、無線なしにはこの偶然は生れないという條件のもとに、私はどうしても通信士は五名置いて、船長の目になり、また船長は通信士のことを理解してやるならば、実際に海難率の三割、四割を減すことは決して夢でないという自信を持つておりますがゆえに、ここで一人、二人減らして、二級の通信士を云々するというような商人的なそろばん勘定よりも、この安全装置の中に通信士をよりよく立ち上らして、この年間二百万円に相当するような莫大な損害を、一割でも減らされてはどうかというのが、私の良心的な言葉であります。私は先ほど来お話がちよつと間違つているんじやないかと思いますが、私は通信士を減らされるために文句を言つているんじやない。通信士を減らしたのでは安全が守れないから、だから通信士を減らしてはならないという大きな倫理の上に立つているということを御承知願いたい。

田島ひで日本共産党

○田島(ひ)委員 たいへん御丁寧な御説明をいただきまして、ありがとうございました。どうもしろうとで、むずかしい專門語があつて、一年生のような御質問をして、まだいろいろお聞きしたい点もありますが、私、人でお伺いしてもいかがかと思いますから、今後なお勉強させていただくことにして、最後に安田さんと、それから水産関係の梅田さんにちよつとお尋ねしたいと思います。  この法案では、通信科学と申しますか、通信の研究機関について、あまり詳しく出ていないと思います。この法案ばかりでなく、日本の今の客観的な情勢を見ておりますと、いろいろな点での研究機関が非常に少くなつておる。そういう点から言いましで、中小メーカーの方々が研究機関を持つて、專門的にいろいろ科学的に研究するということは、なかなか困難でございますので、ぜひとも国家の立場から、相当の研究機関が持たれなければならないのではないかと思いますが、そういう点についてのお考えをお伺いしたいと思います。  それから梅田さんに対しましては、水産と電波とは非常に関係が深いように聞いております。現在の周波数で、はたして日本の漁業がうまくやつて行けるかどうか。この点は、私しろうとでございますから、おわかりになつている点をちよつと御説明いただきたいと思います。

安田英一無線機器工業会技術部長

○安田公述人 ただいまお尋ねの研究機関についてでございますが、おつしやる通り、現在通信機械のメーカーの状態も非常に苦しい状態でございまして、これに対して十分なる研究費を出すことはできない状態であります。もちろん中小工業の方はなおさらでございまして、従来電通省の電気通信研究所で、もつばら無線並びに有線関係の電気通信の研究を受持たれておられたのでございますが、最近になりまして、どうも電気通信省だけの研究をやられるようにかわりつつあります。幸いにこの設置法案に、いささか研究に関することが載つておりましたので、私も、もう少し積極的に研究を援助してもらいたい。もちろん監理委員会の方で十分なる研究所をつくつていただいて、それと同時に民間の研究も、援助と申しますか、指導してもらうようにしていただきたいと思いまして、公述の中にも少し申し述べたのであります。

梅田一正全国水産電気通信協議会代表

○梅田公述人 お答えいたします。水産関係で無線を利用いたしておりますことは、皆さんの御想像以上にわれわれは利用しております。これは漁撈通信にいたしましても、たとえばかつお、まぐろの漁撈にいたしましても、どこそこにかつおの群がおる、あるいは発見したとか、その場合の進路がこうで、海流はこういうふうになつておるというような情報をお互いに交換しまして、より多くの漁船がそこに集まつて、漁獲をふやすというような方面から、また社船相互間におきましても同様に、鯨を追つておるとか、発見したとかいうような漁撈の通信一あるいはえさの関係、氷の関係、販売から運輸に至りますまで、無線のやつかいにならずに漁獲高の増強ということは、今日われわれは考え得られないのであります。南氷洋に私どもの船が行つておりますが、あの船は、先ほどから通信士の問題で皆さんがたいへん御議論なさつておられますが、私どもの方は現在六名乘せております。これは要するに必要なところには必要な人員をさく。そのかわり、あるいは甲板の面においてそれをマイナスにするか、あるいは機関の面においてマイナスにするか、いずれにしてもどちらか重点の方面に人をさく。こういうことにいたしまして、私どもの会社自体も、そういう方式をとりまして、あるいは作業員を減らすということにして、とにかく必要な人間は必ずそこに配乘させる。今日南氷洋におきまして、莫大な資金と資材を投下して、あの大事業をやつておりますが、無線がなかつたならば、絶対にこの事業は成立ち得ないのであります。南氷洋に参りますと、すでにロンパスというものがきかないわけです。そういたしますと、母船を離れてキヤツチヤーが鯨を追つかけておりますときは、電波をたよつてすべて仕事をやつておるわけです。あるいは漁獲にいたしましても、鯨を追つております場合でも、刻々情報を得ませんと、これを解剖したり、あるいは冷凍いたします作業の面に大きく響いて参りますので、電波というものはあらゆる点から利用さしていただいております。この点につきましても、私たちは特にGHQに対しまして、南氷洋の通信を開始いたしますときは、日本の電波庁の方にもたいへんごやつかいになつたのですが、なおみずから足を運んで、こういうような電波をくれなかつたら南氷洋の漁業は成立たないのだ、だからこういう電波という電波がほしいというようなことを申しますし、それから当時日本は悲しいかな、短波というものは五百ワットで押えられており、五百ワットの短波の無線を持つておつたのでは、南氷洋から通信ができないじやないか。しかも国際捕鯨に対しては毎日の生産高を報告しなければならぬ、こういうような條件もありまするがこれにマッチできないではないかというので、いろいろ御説明もし、南水洋の事情もお話しまして、二キロまでは許そう、波長もやろう、それから陸上局におきましても、私のところは自分の会社で戸畑に毎波の二キロの無線局を設置しておりまして、かつてメキシコ方面からアフリカ、近東におきます漁業をやつておりましたために、自分のところで経営しておるのでありますが、短波はやはり五百ワットで押えられておる。何とかして二キロにして、自分のところの通信、あるいは南氷洋に出ておるほかの会社の通信も取扱つてあげたい。こういう気持もありましたが、当時はまだ官僚統制がひどかつたために、私の方にはこれが許されずに、長崎と銚子の無電局にこれが許されたということもあります。それからレーダーも、今日本では盛んにやいやい言つておりますが、私どもはもうすでに三年も前からこれを使わしてもらつて、その結果によつて、船体の保険料というものも五%安くしてもらつております。今ドルを拂つて、レーダーがよいからといつて騒いでおるのは、私どもにはちよつとおかしいように感じます。どうしても生産には、こういうものを十分利用させていただくということによつて、あらゆる面がうまく行くわけです。  それから、お尋ねがありました周波数の問題ですが、これは、ただいま漁船が約二千六百隻ほどおります。それから漁船を相手といたします陸上局が約五十四局、これに割当てられました周波数というものは非常に少い。それではなはだしい船になりますと、一日一分か一分二十秒くらいの通信時間しか得られない。これは電波庁御当局も非常に御回清くださつて、近く電波庁では相当増していただけるような話もあります。要するに無線は、漁船の数から比較いたしますと、今度くださろうかという波長たけてはなお足らないのではないか。少くも漁業陸上局を根拠にいたしますと、一局一波、つまり少くも五十四波長は持つていなければいけないのではないか、かように考えております。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 私も途中で出たり入つたりいたしまして、たいへんとりとめもないことをお聞きするかもわかりませんけれども、ます画人さんと黒川さんにちよつとお尋ねしたいと思うのであります。  まず宮入さんにお尋ねしたいと思うことは、ただいまも聞いておりますと、通信士を減らしてはならないというようなお論があると言う。先ほどのお話の中には、この電波法たるものがもしも成立いたしました際におきまして、また無線通信士という資格において試験制度ができて、採用試験の資格に該当した者のみ通信士として後事させるということに相なりました場合においては、どうも失業者が出るというようなことを言われたかのごとく聞いております。たとえば三〇%とか四〇%ぐらいは失業者が出るのではないかというようなお説があつたそうでありますが、その通り公述なさいましたのでしようか。その点まず最初にお尋ねしたいと思います。

宮入鎭電波法対策委員会代表

○宮入公述人 私はこの法案が通りますと、これを裏づける定員が、先ほども黒川さんがるる述べられたように、船舶職員法というものと、つまり通信士の定員を定める法律とからみ合つて、現在乘務しておる安全要員としての通信士の四一%がいらなくなる。四一%が一応職を解かれるということを申したのであります。この職を解かれた通信士を永久にこうした形におきましては、順繰り順繰りに乘船の機会が非常に失われます。もし乘船の機会が失われますならば、その人が五年の後に免許の更新を受けるときに、有効実歴というものがはなはだ少くなるということは、御想像できると思うのであります。乘船のときに、免許を受けた無線局に選任届を出して勤務しなければ、有効実歴にならないのでありますから、乘船の機会がかくのごとく大巾に狹められ、なおかつ個人的な條件で休まなければならないという場合を想定いたしましたならば、この免許期間の二年半という実歴のとれない者が多々ありはしないか。多々あるとすれば、この場合にその人は免許を失うことになる。免許を失つてもし試験に落ちるということになれば、その人は完全失業になります。従いましてこうして職場におるという機会が大巾に縮められるということは、失業につながるということを申し上げたのであります。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 次に黒川さんにちよつとお尋ねしたいのでありますが、先ほど宮入公述人から、黒川さんは四〇%ぐらいの失業者が出るというような公述があなたの方から出たという言葉でありますが、その点についてお尋ねしたいと思います。

黒川邦三日本船主協会労務部長

○黒川公述人 お答えいたします。先ほども申し上げましたが、電波法におきましては定員は一応定めてないのであります。定員の方は船舶職員法の方において規定せられるということになつておりまして、ただ今の電波法案によりますと、一応出務の時間が規定されておりまして、八時間労働の点から見ますると一名、十六時間の場合には二名、二十四時間の場合は五名ということはおのずから出て来る数字でありますが、いわゆる職員法におきまして定員をきめるのであります。それで現在のこの電波法案の出務時間と船舶職員法において審議された定員というものとは、出務の時間の点においてはマツチしておるのであります。しかしながら今審議されました船舶職員法の定員から見ますると、いわゆる電波法案の出務時間から見ますと若干定員は減少されるような結果になると思います。一応全船舶に当つて私どもの方の調査いたしました点から言いますと、約三百九十名ばかりの船員が下船をすTるということになると思うのであります。しかしながらこれも先ほど申し上げましたように、いわゆる法律は最低をきめるのである。船舶職員法においては安全のための最低の定員をきめるのである。それ以上乘せる乘せないの問題は、労働組合側と使用者側とのいわゆる協定に基くものであるということもございますし、実際にそれがそういうぐあいになるかならぬかは、いわゆる労働協約の問題というぐあいにも考えております。それから下船した場合には、前にもこの席ではお話がございませんが、いわゆる下船即失業というふうには、現在の船舶所有者と船員の間の雇用関係においてはからないのであります。下船すれば一応予備員ということになつて、即失業ということにはならないのでありまして、過剩船員といいますか、下船している船員、いわゆる予備員の保有率の多いとか少いとかいう問題の調整につきましては、現在も運輸省の管轄のもとに船員対策協議会というものが設置されて、過剩船員はあに無線通信士のみならず、甲板部、機関部の職員、あるいは属員の方におきましてもいろいろと考究されておるわけであります。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 しからば宮入さんにちよつとお尋ねしたいのであります。失業をすることはもちろんないと私ども考えるのでありますが、どうしても通信士を減らされるというようなことで、この電波法というものがもしも成立した際においては、どうも必至的にそうした失業者ができるとお考えになる観点から推測いたしますると、この法案というものはその資格において非常に最密である、こうも私はとれるのであります。しからば今までやつておりましたところの資格というものは、この電波法というものは一般的な技術の規定だと私は考えておつて、特に技術の優秀な者のみがこれによつて合格するのだとは考えていないのであります。従いましてあなたは、もちろん技術者であるという観点に立つてお考えになることでありますがゆえに、一言お尋ねしたいのであります。あなたのお考えによりますと、つまり下船をしなければならないほどの技術において低劣な人間が、三〇%か四〇%ぐらいおるのかどうか。もしも技術が優秀であつた際には、下船を命ぜられても、これがおそらく失業しないということを私は考えるのでありますが、あなたは良心的な技術者であるから、あるいはあなたの言うことがほんとうかもわからぬと思うのであります。従つてこの嚴密なる試験制度においてやつた場合には、三〇%か四〇%ぐらいはいわゆるくずができるのだ。私はそう考えておるのですが、あなたの御意見はいかがでしようか。

宮入鎭電波法対策委員会代表

○宮入公述人 お答えいたします。少し私の常識とかけ離れているように思いますが、試験というものを対象にしてお考えになつておるようであります。試験はなぜするのか。知識と技能を保持させるために、また知識と技能の上で完全に保証されることが見たいために、試験をするのが趣旨であると考えるのであります。ところが試験で行う知識と技能——生活自体の中に淳化され、消化され、アウフヘーベンされたところの知識と技能というものは、現在の日本における試験制度のわくでは、ちよつと割切れないものがあると私は思う。先ほどもその点につきまして、むずかしい公式を覚えてなくても通信無線の技能は発揮できる。むしろ試験や免許の際に得る知識が忘れられるほどに自分に生活化されなければ、その知識や技能は実生活に適しない。お医者さんが一々本を見たり知識の判定をして、それを診断したのではだめなんだ。むしろその知識はその人自身の人格化してしまうというところまで行つて、初めて知識や技能というものがその人のものになり、社会的なものになり、実用に適する。この人間とこの知識と、この試験や免許に要するときの試問というものの内容がどんなものであるかというのは、松本委員自身きつと御存じと思うのであります。そういう観点に立ちまして、こうした形式的な非実用的な試験というものは不必要だ。特に年月がたちまして、その人が知識というものをただいま申したような人格化を行つた場合においては、形式的な試験というものに対してはかなり不安があります。実際には立派にやり、実際には能率を上げ、実際にはこの法の精神にいわれるような能率を上げ得ても、試験には受からない場合が想定できるのであります。そのために労働不安が起るのであります。無線従事者の非常に不安定な條件が起きるということを申したのであります。それから三〇%か四〇%が出て来ても、失業が起るとか起らないとかいう問題は、私はよく把握できないのでありますが、私は今のこの法律が通りまして、この法律を裏づけるような職員定員法で、四一%の人があぶれ出す。この人が必ずしもみんな試験に受かることはできないということから、これは皆受からなければくずだというようにお考えになりますが、私が今まで申し述べたような話で、必ずしもくずでない人が試験に受かつて、くずだから試験に受からないという形でなく、知識自体に対する認識の観点が違うということを先ほどからるる申しております。  それから黒川さんが失業云々について、予備員となるから別に失業の憂いはないということを申されましたが、この点は私は深く触れた心ありませんが、完全就業の裏づけがない予備員として存在する形は、失業の一歩手前であります。完全就業する機会を失われたということは、失業の一歩手前でありまして、社会保険とか、社会政策的な意味で救われるという意味においてのみ、その人の人格が保障される哀れな姿になるというのは、少くとも事実ではありませんか。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 ただいまのお話の中に、現在のいわゆる日本の制度ではとても割切れないんだ、こういうことを言われたと思うのでありまするが、そういたしますると私は外国をよく知つておりませんので、しからば諸外国ではあなたの考えで割切れるような国があるかどうかということを、お知らせ願いたいと思うのであります。

宮入鎭電波法対策委員会代表

○宮入公述人 一応われわれの基本にいたしまするアメリカの制度では、やはり試験をやつているそうであります。しかしながら外国における社会通念というもので推しますると、たまたまこういう事件があつたから、私ちよつと参考までにお知らせいたします。私の船がアメリカに入港いたしましたときに、ウインチ・マンと称する起重機を扱うアメリカの労働者が来まして、たまたま積んでおりました生糸を海に落しました。この落したことにつきまして荷主である三井と、私の会社である郵船と、ステヴエドーアの人足の方の人との間に、係争問題が起きました。そのときの判定がどうだといいますと、第一にステヴエドーアの意見が全然通つた。何となれば伊豫丸のナンバー・フオアーのハツチのウインチを扱つているステヴエドーアのこの人夫は、二十年もエクスピーリアンスを持つておる。二十箇年のエクスピーリアンスを持つておるとすれば、その人間はかくのごとき間違いをしようがない。もし間違うならば不可抗力、じからずんば船側の責任であろう。断固としてこの二十年のエクスピーリアンスというものが生きた。こういう社会通念から申しまするならば、五年の間に二年仕事しなかつたから、技能が落ちるとかいう話にはならない。ここに時間が積つてその人が経験として生かす知識技能というものは、いかに大きく、いかに権威的なものであるということは御納得していただきたい。私はじいさんだからよけいそういうことを感ずるのであります。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 技術者であれば、私もう少しお聞きしたいことがあるのでありますが、技術というものは円満なる知識と全き知識において欠けるかどうか。あなたの御説によりますと、知識が非常によければ技術というものも確かだというふうに受取れるのでありますが、実は私はそうは受取れないと思う。なぜならば、たとえば数字を書く人間でさえも、御承知のように貯金局というものがございますけれども、そこにおいても数字の書き方ということも研究されて、同じ人がいつも同じいい字を書くかというと、そうでもないらしい。あなたは自然科学というものがよく頭の中にないではないかと思う。ことに飛行機に乘られる方もそうでありますし、かつまた技術というものは、絶えず自分が持つておるものはいつでもからだについているという考え方は、あなただけ通用するのではないかと思う。人はよく腕が鈍つたというようなことをしばしば言うようでありますが、習い覚えた技術は永久に最後まで経験として、あるいはそれが知識までなつておると認められるような人は、これは天才だろうと思う。従つて一般の技術というものは、やはり練習と練磨というものが、しからしめるのであつて、昔はいい技術であつたというけれども、なまけているために技術は落ちる。たとえば精神的な打撃を受けたために、思うようにオペレーターが打てなかつたということも言い得ると思う。たとえば試験の際に非常にできても——通常ならばよろしいが、試験の際に失敗したということが、大体私どものぼんくらの頭ではそれがほんとうだと思う。ことに技術という面においては、私はその考え方が通用するのではあるまいかと思う。従つて知識すなわち技術であるという考え方については、これはあなたのみの考えであると思つて、一般の人には通用しない。従つて一級の無線通信士である方が、場合によると二級に落ちる。聽守員級まで落ちるかどうかわかりませんが、聽守員級に落ちるというような技能を持つようなときもあるかもしれぬと思う。これは人間でありますから……。機械でも磨滅するとなかなかうまくその能力を発揮できないということも私は聞いておる。従いましてあなたの説には、私はそういう知識がありません関係もあるだろうと思いますけれども、私はちよつとその点について納得ができませんから、もう一応その知識がすなわち技術なんだという考え方から御説明願わないと、私は納得できないのであります。簡單でよろしゆうございますから、その点ひとつはつきりと明快なる説明を願いたいと思います。

宮入鎭電波法対策委員会代表

○宮入公述人 自然科学に対する常識を疑われたので、それをしつペ返しではございませんけれども、自然科学の一つの法則の中に、自然淘汰という言葉がございますので、一応御記憶を新たにしていただきたい。もし職場においてその人間が技術的に劣り、その職を担当するにふさわしくない場合には、その人はその社会的な生活條件として選んだ手段によつて落伍するのであります。その人が知識が衰えてわざができなくて、人と太刀打のできない形ならば、自由競争場裡においてその存在が許されない。試験をしなくても、それは自然淘汰という自然科学の法則によつてふるいがかけられるということを一応御記憶願いたい。  それからただいまの御質問の中に知識と技能の関係をおつしやられたようでありますが、私は知識と技能を分離して一つも考えておりません。知識が技能を促進し、技能が知識を促進するのであります。この不可分の関係については、いささかもあなた様と意見は違つておりません。ただその知識や技能の内容というものについてもう一応お考え願いたいことは、知識というものはただ頭の中に一ぱい入れただけでは、実務には適しないのだ。知識というものは合理化され、経済化されて、頭の中で実務に適するように整理されて、初めて瞬間に応じ、一個々に応じ、当面に応じて処理されるのだ。電車に乘るのに一々アンペアがどうの、自動車のスピードがどうのと計算して乘るのではございません。電車が動いて乘るという形は、からだの本能として乘ります。その本能で電車に安全に乘れるという程度まで技術が昇華されたときには、それは技術ではなくて、その人の人格であると私は申すのであります。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 私はどうも最高度の人格というものに対して疑うものでありますが、あなたの考えであるとすれば、私はあなたの考えとしてお聞きすることにいたします。  次にお尋ねしたいのは梅田さんでございますが、梅田さんは漁船、すなわち漁業関係のお仕事に従事しておられるということでありますが、先ほどの言われた中で、いわゆる免許の廃止届の点で、期間の問題について発言されたということをお聞きしておるのでございます。その中には一箇月という期間の問題が電波法の二十二、二十三、二十四條にございますけれども、その点についてあなたの忌憚のない御意見を伺いたいと思うのであります。つまり漁業を主眼とした場合に、この二十二、二十三、二十四條というものはどうあつてほしいかということを、主として期間的な問題で何箇月か。その点について一応お答え願いたいと思います。

梅田一正全国水産電気通信協議会代表

○梅田公述人 お答えいたします。無線局の休止を一箇月以上やつた場合、廃止届をしなければたらないということでありますが、これは漁船につきましては、この一箇月の期間ではちよつとむりがある。と申しますのは、かりに南氷洋に出漁して帰りました船は四月に帰りますが、四月から十一月までは無線を休止するわけです。そういたしますと、これもまた廃止届を出しまして廃止の許可をいただ旨、またさらに十一月になつて再申請して御認可いただく。こういうようなことでなしに、正しい理由があるならばこの期間はもう少し延長していただく、この程度でございます。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 その期間について具体的なお考えがおありになれば、ひとつ承りたいと思うのであります。たとえば何箇月くらいならば大体できそうである。そういう具体的な期間を言つていただきたいと思います。

梅田一正全国水産電気通信協議会代表

○梅田公述人 日にちといたしましては、六箇月にしていただきますとけつこうだと思います。

松本善壽民主自由党

○松本(善)委員 一応了承しました。

辻寛一民主自由党

○辻委員長 では本日の公聽会を終ります。  終りにあたりまして、公述人各位にごあいさつ申し上げます。お忙しいところを長時間にわたりまして、きわめて熱心にそれぞれの角度から忌憚ない御意見を御発表いただきまして、われわれ法案審査の上に多大の得るところがあつたことを厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時十三分散会

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