通商産業委員会 第27号
- 発言数
- 65 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1950/04/01
会議録
○澁谷委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。 本日は私が委員長の職務を行います。 ただいまより電気事業会社の米国対日援助見返資金等の借入金の担保に関する法律案を議題として審議を進めます。質疑を継続いたします。伊藤憲一君。
○伊藤(憲)委員 社債権者の担保権はどうなつておるかを伺いたい。これは前にも池田通産大臣からお伺いしたとき、ことに電気事業会社に対する外債が政府承継になつておるということでありますが、これは政府承継のままであるかどうか、この点お伺いしたいと思います。
○宮幡政府委員 電気事業に対する外債は、御承知の通り政府で承継いたしましたそのままであります。ただ物上担保は依然として前の通りであります。
○伊藤(憲)委員 そのままでありますが、これは何らかの変更を加える予定も何もないのですか。
○宮幡政府委員 外債に対しまする物上担保は、一応直接はきめておるわけでありますが、設備に対します担保というものは、政府が肩がわりしたことによつて残つております。これは御承知のような国際関係にありますので、ただちにこれを今回の法律の処理に伴いまして、どういたそうという処置は考えておらないのであります。あるいは電気再編成の問題と関連しまして、近き時日におきましてこれの処理をする必要に迫られるかもしれませんが、それにつきましてもいまだ成案を得ておらないような次第であります。
○伊藤(憲)委員 そうしますと、社債の担保権と見返り資金の担保の先取特権の順位はどうなりますか。
○宮幡政府委員 お尋ねの点は、国内の社債、こういう意味に解釈してよろしうございますか。
○伊藤(憲)委員 外債を含んでです。
○宮幡政府委員 外債はただいま申しましたように同じ取扱いにはならぬと思いますが、今度特別担保という制度を廃しまして、社債の担保も今度の一般担保を適用することになりまして、見返り資金と従来の社債の担保権とは同じ順位において優先するわけであります。
○伊藤(憲)委員 十八年の九月に一方的に担保権の抹消をしたわけでありますね。しかし外債の社債権者の側からすれば、これはたしかそのときの約定によつて、債権者の代表者が必ず変更には入ることになつておる。それが御承知のように戦争中から入らないで、一方的にやつたものでありますから、これについての担保権の順位、これをただ一概には言えないというふうな返答でなしに、具体的にお伺いしたい。
○宮幡政府委員 外債に対しましてのかつての物上担保は、財団を編成したまま、まだ解体いたしておりません。しかしそれに対します担保権というものは、ただいま伊藤委員のおつしやいますように、政府の承継とともに消滅した形になつております。この問題につきましては大蔵省の理財局と、司令部方面と、電気再編成について交渉いたしておりますので、あるいはこれを解除するというような方向に参るかどうか、大体の予定といたしましたならば、来る七日あたりの定例閣議に電気再編成及びこれに附帯します法案等を提案できるのではないかと考えております。そうして国会に近く提出いたしますので、そのときまでに結論を得たいと思つております。ただいままではこれに対しまして政府部内においても、各省において若干意見の相違もございますので、確定的なことは申し上げられない段階であります。いずれにいたしましても、御指摘のようにこの問題を整理しなければならない事態になつておることは確かだと思つております。
○伊藤(憲)委員 この法律を審議するのに、それが明確でなく、この問題に対する明確な態度が決定されておりませんと、はなはだ危懼を抱くものである。ことに日発からこの法律について、電気事業会社の米国対日援助見返資金等の借入金の担保に関する法律案に関する御願書というのが出ておりまして、これは資料として配られたのですが、その中で「借入金の担保として一般担保制度を必要とするのは大略左記五点の理由に基くものであります。一、既存社債権者に対してその既存権を侵害する虞れがあること。電気事業の社債権者は電気事業法の定めるところに従い現在会社財産についての先取持権を享有してみるのであります。ところが見返資金に対して物上担保を提供して行きますと、該資金の投下によつて増加する財産よりも、担保に供されることによつて前記の社債権者の有する先取特権の効力の及ばなくなる財産の方が前者をはるかに上廻る事態を生じます。 換言すれば見返資金の貸付が巨額に上れば上る程、社債権者がその先取特権を行使し得る既存財産が少くなる訳でそれだけ現社債権者の権利が侵されて行くのであります。」こう書いてあるわけでありまして、日発の御願書にも内国債と外国の社債と区別がつけてないのですが、しかし債権者の利益を擁護する上からいつたら、これは区別をつけない方が妥当だ。従つてこの趣旨からいつても、これは外債の債権者の権利を守る。ことにこの場合にここに書いてありますように、「電気事業の社債権者は電気事業法の定めるところに従い現在会社財産についての先取特権を享有してゐるのであります。」云々とあるのでありますが、これは第一條第三項に出ております民法の先取特権の関係の上からいつて、この関係をお伺いしたい。
○宮幡政府委員 ただいま御指摘の先取特権というものは、特別担保に対する特別な先取りの権利でありまして、民法の一般順位と違いまして、いわゆる工場抵当法あるいは電気事業抵当法、鉄道抵当法というような法規によりまして、財団が編成せられまして、それに及ぶものでありますから、その財団に対する先取特権があるわけであります。御承知の通り外債に対する財団はそのままになつております。これに対しまする現在の状況におきまする抵当権者はないわけでありますので、今回社債権者をゼネラル・モーゲージといたしまして、特別に担保の位置から抜きましても、見返り資金と同順位において総資産に対する先取特権が存在するので、何らこの点の利益を害さない、かように存じております。
○風早委員 今の伊藤君の質問に関連して……外国の電力債でありますが、これが政府に肩がわりしている。これはかねがねそうなつているわけでありますが、政府がこの担保権を一方的に消滅させたというのが昭和十八年です。その処置というものをそのままにしておいて、この問題を一体論議するのか。今閣議で云々ということを言つておられまして、全然そういう点はきまつていないのですが今伊藤君が聞いている要点は、その社債権、特に外債に対する権利、これは当面その当事者が政府にかわつておろうとなかろうと、そういうことがこの敗戦の今日認められるということは、常識上あり得ないわけでありまして、当然これは債権者としてはその権利を主張するわけです。その場合に、今宮幡次官も言われたように、この物上担保権というものはやはりあるわけです。これはその担保物件というものが現在の日発ばかりにあるわけでありますから、これに対する先取特権というものと、この見返り資金による先取特権との関係が、どうなるかということを聞いているのがその要点であります。この要点に対してはつきりした御答弁を願いたい。
○宮幡政府委員 見返り資金の方はゼネラル・モーゲージでありますので、総資産に対する先取特権で、これはよくわかつておりますが、その場合、御指摘のように、戦時中担保権を消滅させ、債務を政府が承継いたしましたかつての外債に対するものは、これは実質的にまだ担保権者であり、有効であるという観点から見ますと、その方が優先ではないか、こういう御意向であると思います。しかし、もし戦時中に担保権を消滅せしめ、債務を政府が承継した手続がお説の通りでありますと、確かに物上担保が残つておりますれば、特別担保の性質として、一般担保より優先するということは事実であると思います。しかしこの問題はここにおきましてただちにそれでは占領されておる事実においては、何らの法的手続を行わずして御意見のようになるのか、こう申されましても、それもまあ事実上そうだとも申し上げかねるわけであります。この問題はおもに関係方面のアンチトラスト・カルテル方面で、ただいま現実に検討しておるのであります。御指摘のようにゼネラル・モーゲージの制度を採用いたします以上、これに優先します特別担保が残るということは、だれが考えても常識的に矛盾でありますので、これを解決してかかろうとして、せつかく交渉いたしておりますが、先般閣議にかけると言つたのは、電気の再編成の法案でありまして、それと関連いたしましてこの問題も検討され、解決するだろうということを申し上げたのであります。戦時中の法規によつて消滅いたしました物上担保、これは敗戦によつてただちに復活した、こういうことを私は認めるものではありませんが、もしそうであつたとするならば、抵当権の優先順位というものは特別担保が先で、一般担保があとだ、こう申し上げるよりほかにないと思います。
○風早委員 大体日発あたりの意見にいたしましても、今度見返り資金の担保をゼネラル・モーゲージにするということは、これはむしろ社債権者を保護するためだ、そのために実はゼネラル・モーゲージにしてもらうのだというふうなことを言つておるわけです。ですから問題はその点では常識上では非常に一般にも、はつきりしておるように思われるのです。その点について、政府は、はつきりそういうふうにやはり考えておられるのか。その場合の社債権というものは、日発の当事者に言わせますと、これは国内社債権者を意味しているらしい。その場合に、私は念を押して聞きたいのは、相当巨額に上つておる外債を持つておる米英の社債権者、そういうものがやはり含まれておるのかどうか、その後の点について、政府にはつきりした関係を伺つておきたい。つまりこの見返り資金とその社債権者の担保権と、どちらが優先するのかという点であります。
○宮幡政府委員 日発の関係者から言われております一般担保にした方が、社債権者の利益がかえつて保護されるのだという意見は、国内的の見方であることは御説の通りであります。また政府当局といたしましても、さように考えておるわけであります。御承知のように財団を編成しておりますと、その一つ一つが、財産目録に載つておるものは一個の不動産となるわけでありまして、そのうちの一つが欠けましても、ただちに補充いたさなければならない、こういうことになる。たとえば小さな什器にいたしましても、その机の一脚が折れましても、それを補足しなければ財産は完全に保全されていないことになります。その手続の監査、及びそれらの財団に順次実質上の価値のできて参ります問題等を考えあわせますと、総資産に対しまする一般担保の方が、かえつて社債権者を保護する見地になるだろうということは、日発もそう考えておりますし、われわれの方もさように考えております。ひるがえつてこれらのものがかつての外債の、現に残つている政府が承継しております外貨債の債権、担保に、そのまま有効であるとするならば、この日発の考えております国内的な債権担保の意味に対して優先しますものは、この外債であろうかと考えられます。この問題は未だ外貨資金を外国へ送金いたす手続等も未確定の現在でありますので、いかなる方法においてこれを認めて、あるいは外国にあります外貨債の債権者に従来附帯しておりました利子の決済をどうするか、あるいは元金をどうすべきか、償還期限の来たものをどう取扱うべきか、かような問題は外貨債としての処理の関係で、大蔵当局でしばしば考えておるところであります。未だ政府として確定の意見が申し上げられないような段階にあるわけであります。従いましてもし風早委員のおつしやる通り、物上担保権というものが、たとい戦時の立法措置によりまして解消せられましても、もしそれが敗戦によりまして有効になつたのだという前提のもとでありましたならば、一般担保に優先するものは外貨債の特別担保だ、こう申し上げるよりほかないと思います。
○伊藤(憲)委員 どうも御返答の解釈に苦しむのですが、外貨債が約款によつて双務関係の変更は必ず財務大臣の承諾を得ることになつておるにもかかわらず、戦争中に外国人に対して一方的に処分したのですから、それが今日復元するとか何とかいうのは、それは日本人の言うことでありまして、外国の債権者の場合、一般的に言えばそうなりますが、外貨債権者の側からすれば、そんなことは問題にならないので、依然として担保権が存続していると解釈していると思う。解釈しているし、またそれが当然の権利だと思う。そこでこの問題を明らかにしないで、この法案を、ことに今相談中である、七日の閣議にかけるなんと言いながら、今日出して来るということに対して異議を持つのですが、この問題に対して、しからば政府の方針としてはどういう態度をとるつもりかということをお伺いしたい。
○宮幡政府委員 伊藤委員に重ねて申し上げますが、七日と申し上げました閣議の問題は、これは電気再編成の法律案を閣議で諮詢してもらおうという段階なんでありまして、外貨債というものを、このときの閣議にかけるというのではないのでありますので、この点は間違いないように御了解をいただきたいと思うのであります。御指摘のように、戦争中にかつてにやつたもので、約款にそむいてやつたものであるから当然これは効力がなくて、元の姿にかえるのが常識的だ、これは常識的の御議論として私は否定いたしません。しかしながら、いまだ連合軍の利益は司令部によつて代表せられて、日本政府との間に交渉があるわけでありますので、その交渉過程において、こういうふうに結論に達したということを、いまだ申し上げかねるような状況にある、こう申し上げているのでありまして、それが現実に沿わぬじやないかということの御議論は、ある意味におきましては私どもは同感であります。しかしながら、まだ外貨債に対しまする処理方法等も確定いたしておりません。送金を確保する法律もできておりません。そういうような状態で、案としましてはいろいろ司令部と折衝はいたしておりますが、すべての点におきまして、まだこれをお説のような戦前の状態に復し得るかどうか、復するのが常識的であるということは私は認めるものでありますが、確定的にここで申し上げる段階にない。なお、この問題につきまして詳細な交渉経過等につきましては大蔵省理財局が担当しているわけでありまして、必要によりましたら大蔵省の方から御答弁を願うことにいたしたいと思うのであります。現実段階がある程度進んでおりますものをいわゆる頬かむりいたしまして、これを御審議を願おう、決してさような意味でないことを御了承いただきたいのであります。
○伊藤(憲)委員 その点は大蔵当局にお聞きしたいのですが、きようはお見えになつておらないのでしようね。何だつたら今ちよつと呼んでお聞きしたいのですが、どうですか。質問の続行中に一応聞いてみてくれませんか。さもないと、きよう打切るというわけに行かぬ。もつともその点だけあとに延ばしてもけつこうです。 それでは宮幡政府次官にお伺いいたします。この法律によつて、この見返り資金と復金の担保の先取特権が規定されているのですが、その場合に、まだはつきりはしてないのだが、この法律がかりに通過するにしても、外貨債の先取特権が生まれる可能性も生じて来ると解釈してよろしうございますか。
○宮幡政府委員 さようなことになる事態も、予想される一つのことであろうと考えております。
○伊藤(憲)委員 では質問をかえて、一般担保についてですが、これは私よくわからないからお伺いするのであるから、その意味で御懇切にお願いいたします。総資産ということでありますが、具体的にどういう物件が担保になつておるのですか。
○宮幡政府委員 私がここでさような説明をするのはおこがましい話でありますが、いわゆる動産、不動産一切、いわゆる総資産というものに対する、その債権に対する担保権を行使する現実の財産についての担保権が、少くとも一般担保だと私どもは思つております。特別担保権の方は、財団を編成した場合には、一般担保の物件が対象となるべきものが財団に編成せられておる以上、一般担保の債権によりまする担保権の効力は及ばぬ、かようなことに相なつておると心得えております。
○伊藤(憲)委員 その場合先取特権を現実に行使する場合の関係をお伺いしたいのです。
○宮幡政府委員 一般担保は、これは概して申しますれば、民法の規定に基くものでありまして、一方の特別担保の方は、これは何々抵当法という特別法によつてできましたもので、特別法が一般法に優先して取扱いをしておるのが現実の問題であります。
○伊藤(憲)委員 優先の問題でなしに、一般担保が、具体的に先取特権として生きて行く場合に、どういう物件が対象になるかということもお伺いしたいのであります。
○宮幡政府委員 前々申し上げますように、財団を編成し、財団目録に載つておりますものには一般担保の抵当権の効果は及ばぬわけであります。財団目録に掲記されておらない財産については、一般担保権の効力が及ぶと心得えております。
○伊藤(憲)委員 現在日発、日窒に少し入つておりますが、大体日発は、電気事業会社と見てよろしうございますが、入つておる見返り資金の担保の状態をお伺いしたい。
○菊池説明員 ただいままでに電気事業に対して見返り資金が出ておる額は、現在におきまして、日発、配電の電気事業会社に対して九十七億九千万円出ております。これは最近日本発送電に第三回分の解除が行われたので、九十七億九千万円になつております。
○伊藤(憲)委員 お伺いしたい点は、それに対する担保の状態であります。
○菊池説明員 見返り資金に対しまする担保につきましては、従来特約條項が結ばれておりまして、特別会計の見返り資金でつくります設備が完成いたしますと、それを特定担保にするという約款ができております。しかし今度もしその約款が一般担保にかわることになりますと、総資産がその担保になるわけでありまして、従つて日発の総資産がいくらあるかということが、担保力の標準になるわけであります。二十四年の十二月末におきまして、日本発送電の固定資産が百六十五億ございます。流動資産が百二十四億、その他の資産が四十二億ございます。そういう資産はもし破産になれば、破産法によつて債権者はわけるわけでございますが、一般担保で見返り資金の方が先取持権を持つて、その資産から優先弁済というかつこうになるわけであります。
○伊藤(憲)委員 そうしますと、附則の三項の「この法律施行前に電気事業会社が借り入れた第一條第一項の貸付金について物上担保を附することを約した契約の條項は、この法律の施行の日に効力を失うものとする。」というのは、この法律の施行前、つまり今直接問題になりますのは、九十七億九千万円の見返り資金の融資に対する担保が、さかのぼつて一般担保の適用を受けるわけでありますか。
○菊池説明員 さようでございます。
○伊藤(憲)委員 次に宮幡政務次官にお伺いしたいのでありますが、対日見返資金について対日援助物資が輸入されて来ましても、民間にこれが払下げができなくて、実際にストツクになる場合もありますし、また現になつておると思います。その場合にその代金に相当する金額をどういうふうに、見返り資金に繰入れられるのか、お伺いします。
○宮幡政府委員 一応見返り物資の売上代金は貿易特別会計の中に経理されまして、それに該当します援助貸金に対しまする分を円に換算して、それを貿易特別会計から見返資金特別会計に繰入れてやつて参ります。従つて輸入物資の処理等につきまして、負債がありますと、貿易特別会計は一応資金的に赤字になつて参ります。その赤字は一応借入れをなす方法もあるわけでありますが、これにも限度額がありまして、国会の御承認を得ました、大体百五十億だと覚えておりますが、それを超えては借入れができない。そういう事態になりますと、特別会計から見返り資金への積立てが不可能になる。ただ見返り資金特別会計という制度なるものは、御承知のように、予算に盛りましたものを、必ず歳出としてその年間に払い出さなければならないという経理内容になつておらないものでありますから、積立てが少くなれば使用が解除される部分が減つて来る。こういう状況になろうと思います。
○伊藤(憲)委員 私どもが伺つておるところでは、二月半か三月ごとにこの援助物資が売れても売れなくても、とにかく貿易特別会計あるいは日銀から借入れて繰入れるか、借入れて見返り資金を組み立てておいてやるということになるわけでありますが、ただいまの御説明ですと、見返援助資金による日本の産業開発その他のことが、不可能になる事態も起り得るわけであります。
○宮幡政府委員 ただいま説明が足りなかつたかもしれませんが、援助物資が入つて参りますれば、その金額は売れると売れないにかかわらず、貿易特別会計に繰入れをして行かなければならぬわけでありますが、それがすなおに売れまして、代金の回收がつきまして、貿易特別会計に入つて来れば何ら困難はありません。ただいま申し上げましたように、もし代金の回收等につきまして遅滯がありますと、貿易特別会計は一応資金の上において赤字になります。その場合には借入金をもつて操作する場合もありますが、予算としては、借入金の限度は大体百五十億で、二十四年度は限度まで借りまして、金繰りは困つていないわけでありますが、そういう最惡の事態が起きますと、繰入れができなくなる。繰入れができなくなると、見返り資金特別会計の歳入額において、年度末まで参りますれば調整されるかもしれませんが、時期的に見ますると、一応歳入不足という形になつて行く。従つてこれに対応いたします使用勘定の方にも支障が来るだろう、かように申し上げたのであります。
○伊藤(憲)委員 この貿易特別会計の、その先まで聞くのはどうかと思いますが、かりに年間に百五十億の赤字になりました場合、当然これは一般会計から繰入れる方針ですか、あるいは予定ですかお伺いしたいと思います。
○宮幡政府委員 借入金をかりに百五十億という言葉で申し上げましたが、百五十億は借入金の限度額であります。これを越えては借入れができないということであります。年間通じて百五十億借りておつてもさしつかえないし、あるときは十億であり、あるときは百億あつても、とにかくピークは百五十億より出してはいかぬというのであります。もしその場合に、年間資金繰りの上におきまして赤字になつて、どうにもならぬ場合には、一般会計から補填するか、こういうお尋ねだと思います。それはただいまのところはやらないようになつております。これはもちろん国会の御承認を得なければできないことでありまして、公団廃止によりまする清算時期におきまする見通しからいたしますと、あるいは欠損があつたと仮定いたしまするならば、一般会計から特別会計への繰入れを要するような事態もあるかもしれませんが、ただいまはそういう手続をとつて、一年ごとの予算の操作はいたしておらないのであります。
○伊藤(憲)委員 政府当局と、ことにわが党との間に、予算委員会や大蔵委員会でも見返り資金の解釈についてはしばしば問題になつておるのですが、私どもの解釈では、どうしてもこれは日本の人民の税金だというふうに解釈せざるを得ないのです。ことに今言いますように、百五十億だとすると幸いですが、かりに百五十億といたしましても、貿易特別会計に赤字になつたものは、当然今までのいろいろな関係からいつて税金で納めて行くということになりますと、これまた人民の負担になるのですが、そういうものの金を融資することについて、特別に担保に関する法律をつくる必要はない。ことに電気事業会社についてだけ、この法律をつくろうとなさる必要はないと思うのですが、どういう点でそういうことが必要なのか。
○宮幡政府委員 赤字になるということを申し上げましたのは、一応資金的には赤字になるのだということを申し上げたのであつて、損益計算の上におきまして赤字になるということを申し上げたのではありません。従いましてこれがただちに国民の血税によつて補填されるのだというような考え方は、今の段階におきましては、御意見としては承りますけれども、そうであるとは申し上げかねます。幾ら借入金をするというような資金繰りの問題でありまして、損益收支とは別個の関係になつております。それから見返り資金に対しまして、この運用に担保を設定するということの可否の問題でありますが、見返り資金に対する運用は、第五国会におきまして見返資金特別会計の設定及びこの運用につきましての法律の御審議を煩わしたとき、私も大蔵委員会の一員としてその審議に当つておつたわけでありますが、その正確な運用は連合軍最高司令部のおさしずを受ける。監査も受けることになつております。その條件といたしましては、かような措置をとることがよかろうということで、それに応じてやつておるわけでありますから、御了承いただきたいと思います。
○風早委員 今の最後の連合最高司令官の承認を受けるということは、條文からも、われわれは自由党の皆さんの賛同も得て削除したはずなのです。今宮幡次官は、その点について当然承認を受けるかのごときことを言われたが、これはたいへんな間違いじやないですか。
○宮幡政府委員 その点はいささかも間違つておりません。その條文は、法律として国内に公布するにふさわしくないではないかというので、共産党の御同意も得て確かに削除いたして、これは本会議の記録をごらんくださればわかりますが、削除しました通りの付帯決議をつけまして、実行はさようにいたすということに、院の決議においてなつておるということを御承知願いたいと思います。
○伊藤(憲)委員 しかし院の決議は政府を別に拘束するものじやないと思う。ことに決議はいろいろなものが決議されています。結核対策とか引揚促進とか、いろいろなものが決議されておるのですが、ことに議長から過般の議院運営委員会において、決議々々とたくさんやるが、何ら予算的措置もやらないのはどうかと思うというような発言があつたほど、決議というものは無視されておるのですが、事見返り資金に限つてだけ決議を生かして、政府がこれに拘束をされるがごとき御答弁をされる真意はどういう点でありますか。
○宮幡政府委員 私はことさらにさように申し上げたのではありませんので、むしろ伊藤さんの方がことさらにお聞きくだすつたのではないかと思います。それはその法律案を修正しましたものに対して、附帯決議で——ただ単純に議員提出とか委員会の議を省略して決議いたしますのとは違いまして、その修正案を検討するに際しましては、附帯決としてその事実を決議したのでありますので、他の決議とはおよそ性質が違つておるものと解釈しておると同時に、当時第五国会においては、その通りであつたとただいまでも確信を持つておる次第であります。
○風早委員 同じ問題ですが、これは重大な問題ですから、私どもの見解を少くとも、もう一層はつきりさしておきたい。第五国会では、宮幡政務次官も大蔵委員会の理事で、私も大蔵委員会の理事として、そのときに立会つておつたわけであります。当時この問題を審議しましたのは、われわれとしては、こういう汚辱的な、つまり国会の審議権を無視するような條文があることはけしからぬと言つた趣旨は、その実質を件つて言つておるわけであります。今の政府が事ごとに何でも伺いを立てなければやつていけないという習慣をつくつてしまつたのですが、そういうことはわれわれ国会として通用しない。その趣旨を生かすために、この削除をやつたわけです。ところがこれに対して、今宮幡政務次官を含む一部の人たちは、それとはまつたく違つて、事実上これをどうしても承認を得るようにして行くために、その決議をやられたかもしれませんが、しかしそれはあなた方の考えであつて、われわれは、どこまでもこれを條文から除くという趣旨は、連合軍最高司令官の承認を要するということは、何らわれわれを拘束するものでない、そういうふうなことを国会としては問題にしないという趣旨でやつたということを、はつきりさせておきたいと思う。 もう一つこの問題につきましては、池田大蔵大臣がたいへんな失言、でたらめを言つておるのです。本国会の最初の財政演説に対する野坂議員の質問に対して、平気で、連合軍最高司令官の承認を要することになつておる、ちやんと第四條第五項並びに第六項のことも言つたわけであります。これはとんでもないでたらめで、その後予算委員会におきまして、池田大蔵大臣は、やはりわが党の川上議員の追究に対しまして、これはまつたく記憶違いであつたとあやまつている。そういうふうな事実が最近にもあるわけであります。この点はやはり国会としても、国会の建前としては、連合軍最高司令官の承認を要すといつたようなことは、あたまからのけてもらいたい。これは意見じやありません。実際そのときの審議は、決してただ形式的に條文から除いたというだけの問題じやないということを、私は当時の大蔵委員会の理事としてここにはつきり申し上げておきたいと思います。
○宮幡政府委員 ただいまの御議論はおおむね風早さんの御意見でありますから、私はそれを承るのにやぶさかではございません。しかしながらまた事態といたしましても、風早さんの御意見のような事態になることを、われわれも希望しておるのでありますが、残念ながら事実はそうではないのであります。また御指摘の点の自主性という問題につきましても、現内閣はかつての新憲法下におきます片山内閣、芦田内閣の歴代内閣に比べまして、相当自主性をとりもどした政治をやつておる、かようなことを申し上げたいと思うのであります。
○伊藤(憲)委員 この問題で討論してもしようがありませんが、第一條第三項の「民法の規定による一般の先取特権に次ぐもの」であるとする規定です。これは当然のことでありますし、かつまたこれはたしか民法三百六條だと思いました、その一から四まででありますが、ことにそのうちの三項の労働者の賃金についての規定です。これはたしか第五国会において修正されたと思うのですが、給料の六箇月分は一般の先取特権である。但しこの限度は五十万円までとするということが、昨年度まで放置されたほど問題にならなかつた。それほど現実に無視されておる。無視されておるばかりでなしに、こんなことはあたりまえのことでありまして、こういう規定をことさらにここに盛るということは、いかにも日本人の権利を尊重されるように見せかけているとしか思えないのであります。ことに先ほど宮幡さんから御答弁がありましたように、外貨債権者が、この法律のあるのにもかかわらず、先取特権を持つような事態もあり得るということが言われるならば、なおさらこの規定というものはそういうように思われますが、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○宮幡政府委員 民法の規定は、給料の事例におきましても、ほんとうに形式的のものだというようなお話のように思います。しかしながらこれは債権者の、その債権及び担保権の行使の現実の問題でありまして、ここでそういうようなことになつておるかどうかということは、何とも御答弁のしようがないわけであります。給料につきましては、御承知の通り今国会だと思いますが、今までは御指摘のような六箇月分の先取というようなことでありましたが、今回は税金、租税公課というものは順位が優先の方でありますが、それらにつきましても七五%までは差押えることはできないというような規定もできたように覚えております。これはまだ両院を通過したかどうかわかりませんが、そんなふうでありますので、しかしこれは担保権というのは、債権者の行使する意欲によつて寛大にも、あるいは強烈にもなるのであります。しかしながらその運用の面におきます実際を見まして、担保権の効力がないものである、こういう解釈にはなりにくいのではなかろうか、さように考えております。
○伊藤(憲)委員 これは宮幡さんに言つても何ですが、とにかく代議士の給料でも——自由党の代議士諸君でもこぼしておるのです。いわんや六千三百円の労働者がそれで生活できないことは明らかなんで、そのうちの四分の一に対して担保権を設定するなんということを——この間三宅委員も大分讃美これおくあたわずでありましたけれども、そういうことは問題にならないと思うのです。むしろそういうことよりも、こういう重大なことに対して問題にもならないようなこの規定を持つて来て、いかにも日本人の権利を守ろうとするようなことは、欺瞞的ではないかということを私は指摘したい。 それからこの際ちよつと先ほど聞き忘れましたのでお伺いしますが、さつき菊池説明員から御説明がありました見返り資金の日発に対する貸付に対して、特約條項があるのですか。それは先程の御説明では、それによつて開発する電気事業設備が担保になるというふうな御説明ですが、それだけでありますか。そのほかにもあるのですか。
○菊池説明員 ただいま特約條項になつておりますのは、それだけの設備でございます。ただ将来担保値減りと申しますか、どれだけの実績価値があるかということによつて、さらにその範囲が広まつて行くことが考えられます。それから現在予定されております設備につきましても、既存の設備に追加して工事をするというような場合に、それが半分にわけられないという点で、既存の設備に入つて来る点も、技術的にはございますけれども……
○伊藤(憲)委員 これは担保だけでなしに、貸付についての特約ですか。それの内容をお伺いしたいのです。これは担保の特約だけですか。
○菊池説明員 ただいま申し上げましたのは、貸付についての契約の中に含まれております一つの担保についての條項でございます。
○伊藤(憲)委員 そこでその貸付の内容をお伺いしたいのであります。貸付についての契約の内容です。
○宮幡政府委員 その契約書の文例のようなものを朗読か何かいたすという趣旨でございましようか。
○伊藤(憲)委員 ええ。
○宮幡政府委員 文例のようなものでよろしいのですか。それではこれは後刻資料として差上げたいと思いますから、御了承いただきたいと思います。ただいまここで朗読さしてよければ、取寄せまして……特殊金融課の方で持つておると思いますので……
○伊藤(憲)委員 それは相当長いものですか。とりあえず私は日発に対する貸付の契約の内容をお伺いしたいのです。
○菊池説明員 特約條項は第一條から第二十八條までございます。
○伊藤(憲)委員 それではあとで資料でいただきます。この見返り資金と復金融資の先取特権が並立しておりますが、この順位はどちらでしよう。
○宮幡政府委員 これは一般担保の性質といたしまして、同順位であります。
○伊藤(憲)委員 そうしますと、復金の融資の償還期がもう迫つておるというふうに私は聞いておるのですが、日ならずしてこれは償還されることになるのではないでしようか。ちよつとお伺いします。
○宮幡政府委員 復金債は順次償還されて参るのでありますが、日発としましては、日発のみではありませんが、その他の復金の借入金を持つておるものは、順次返済をすることになるわけであります。従いまして、その返済される都度、やはりあとから参加しました一般担保権がその部分においてだけは、順序は同じ順位でありますが、取り分が多い、こういうような形になつて来るわけであります。
○伊藤(憲)委員 それでは打切ります。
○澁谷委員長代理 本日はこの程度に止めまして、残余の質問は次会に行うことといたします。次会は来る四日午前十時より開会いたします。 これにて散会いたします。 午後零時三十一分散会