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7回国会衆議院1950/03/16

通商産業委員会 第20号

発言数
100
登壇者
7
会派数
3
開催日
1950/03/16

会議録

神田博自由党

○神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。前会に引締きまして、私が委員長の職務を行いすす。  まず不正競争防止法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。質疑に入ります。中村幸八君。

中村幸八自由党

○中村(幸)委員 私は不正競争防止法の一部を改正する法律案につきまして、二、三簡單に御質問をいたしておきたいと思います。  自由競争というものも、無條件に是認せられるものではないのでありまして、不公正な方法によりまして、ただ目前の個人的の利潤を追求するということは許されないことと思うのであります。ところが従来わが国の事業者の中には、不正の手段や方法によりまして、不純な利得を得んとするものが往往あつたのでありまして、国内産業の健全なる発達の上から申しましても、また国際市場の信用を確保するという点から申しましても、遺憾の点が少くなかつたのであります。今回政府におきましては、不正競争防止法を改正し、不正競争の範囲を拡大いたしますとともに、その制裁を強化し、不正競争の防止に万全を期することとなりましたことは、まことに時宜を得たことと思うのでありますが、現行不正競争防止法におきましては、單に不正競争の目的をもつて、他人の商品と混同を生せしめる行為などをなしたる者に対し、損害賠償の責任を課しておりましたのを、改正法案におきましては、不正競争の目的をもつてなしたる者に対しては、三年以下の懲役または二十万円以下の罰金を科し、不正競争の目的はなくとも、故意または過失をもつてなしたる者に対しては、損害賠償の責任を課し、さらにまた故意も過失もなく、單に善意をもつてなしたる者の行為もさしとめるということを規定いたしておるのであります。この改正法案に盛られました政府の御意図については、よくわかるのでありますが、私は一挙にあまり苛酷な制裁を課することによりまして、業者の企業活動を萎縮せしむることはないか、この点を心配するのでありますが、そういう心配はないのでありますか、まずお伺いいたしたいと思います。

宮幡靖自由党通商産業政務次官

○宮幡政府委員 中村委員のお説は、深い御体験を持つておられる御立場から、一々ごもつとものことに伺います。特に今回の改正法案につきましての御理解等につきましては、むしろ政府当局から敬意を表するにやぶさかでない次第でございます。御指摘の行き過ぎになりはしないかという問題につきましては、これはすでに御承知のように、昭和九年当時に制定いたしました現行法でありまして、これは国際的な同盟條約というようなものに加入する前提でありまして、この同盟條約に加入しております国家におきましては、それぞれの規定を設けまして、その規定は何と申しますか、対等條件と申しますか、あるいは特惠的な意味になりますか、とにかく日本の商品等につきましても、たとい占領下にあります現在の段階におきましても、平等に適用しておる、このように承知いたしておりますので、それと差等のない程度でありましたならば、たとい一時的には日本の産業経済その他商工業を営まれます階層の人にきびしくとも、この列までは進めなければならないものと考えております。従いまして今回の改正が国際水準を乘り越えて、さらに苛酷なものをしいるというような改正を盛り込んでないということは御承知の通りだと思います。ぜひこの線までは、もし困難がありましても、国民の努力に期待いたしまして、この改正の効果を上げて参りたい、かように考えております。

中村幸八自由党

○中村(幸)委員 ただいまの御説明によりまして、別段心配はない、もし苛酷な制裁であれば、それは国民の努力によつて補つて行かなければならぬ、こういう御説明でありました。ところがこの改正法案によりますと、工業所有権保護同盟條約が要求している以上の義務を規定しているように思うのであります。現行法におきましては、提案理由の御説明にもありましたごとく、工業所有権保護同盟條約に加入するための最小限度の義務を規定いたしているのであつて、不正競争防止の点からいえば、その趣旨に沿わなかつた、こういうことを述べているのであります。ちよつとその点がただいまの御説明とは違うように思いますが、重ねてお伺いいたします。

宮幡靖自由党通商産業政務次官

○宮幡政府委員 詳しいことは特許庁の長官に御説明を願いますが、政府の方針といたしましては、ただいまの国際情勢のもとにおいて知り得ますのは、御指摘の工業所有権保護同盟條約でありますが、各国ともこの規定より若干強い線を歩いているという状況であります。従いましてこれが同盟條約に加入しておりますところの各国の線以上でないと、一応政府は確信しているのでありますが、かような條約と申しますか、同盟と申しますか、規約と申しますか、これが国際公法上現在の日本に対して有効なものであるかどうかというようなことについては、相当疑問のあるところでありまして、ただいま研究を続けておるのでありますが、知り得ました情報から見ますと、各国並、それ以上には出ておらぬ。これは一つの確信を持ちまして、かく立案いたしたような次第でございます。その他のことは特許庁長官からお答えいたします。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 條約におきましては、具体的な問題を取上げております一方におきまして、その條約の第十條の二という條文の中に「如何ナル方法二依ルヲ問ハズ競争者ノ営業施設、生産物又ハ工業上若ハ商業上ノ活動ト混同ヲ生ゼシムルガ如キ一切ノ行為」とか、あるいは「競争者ノ営業施設、生産物又ハ工業上若ハ商業上ノ活動ノ信用ヲ害スルガ如キ商業上二於ケル虚偽ノ主張」こういうものを特に禁止するということをうたつておる次第でございます。大体日本の今までの不正競争防止法におきましては、これらの解釈をでき得る限り最少限度に解釈いたしておりました関係上、今回の改正は表面的に見ますと、やや飛躍しておるというおそれはあるのでございますが、大体各国のやつておりまする実情は、この條約の点をむしろ非常に辛く解釈したような関係にございますので、日本もまたこの程度はやむを得ないものと思つておる次第でございます。なおこれにつきまして、一般の私企業があるいは萎縮するのではないかというようなおそれは、私どもも一応考えた次第でございますが、ただいま日本の現状は、一般の信用ある取引をいたしております会社では、むしろこの不正競争防止法が、現行法のものはあまりにルーズでありまして、実際上ほとんど適用することができなかつたというような点で、むしろもう少しはつきりしてほしいという意向も聞いておつた次第でございますので、わが国といたしましてもこの点さしあたつて一時は不便が生ずるかもしれないと思いますが、営業の基盤をまず正しくいたしまして、それに順応いたしまして不正競争というような、一見何ら役に立たぬところにおける摩擦をなるべく少くいたしまして、正しい基盤によつて将来大いに伸びて行こうというようなぐあいに進んで行きたいと存じますので、この点この法文になれまするまで、一時苦しい点もあるかもしれないと思いますが、将来におきましては、この点において国民の徳義心というような点も非常に高まりまして、大いによい結果をもたらすのではないかと考えておる次第でございます。

中村幸八自由党

○中村(幸)委員 ただいまの御説明でわかりましたが、従来の日本人の不信用を取返しまして、わが国の国際的信用を高め、輸出の振興をはかりますためには、條約の要求するよりも一歩を進めて、自主的に不正競争の防止に万全を期すということも必要であろうと思うのであります。ただいまの御説明で納得いたしましたが、なお外国におきまする立法例等も十分お調べになつて運用よろしきを得るように、特にお願いをする次第であります。  それから不正競争を禁止いたしておりまする法令といたしましては、本法のほかに独占禁止法、あるいは商法のうちで商号に関する規定、あるいはまた刑法のうちで信用及び業務に関する罪、あるいはまた工業所有権関係の法令というように、幾多の関係法令があると思うのであります。これらの法令と本法と関係はどういうことになるのでありますか。すなわち本法とその他の法令とかねらつておる対象は違つておるのかどうか。またあるいは一つの行為がこの両方の法令に該当するような場合があるといたしまするならば、その場合はどちらの法令が適用せられるのでありまするか、この点ごく簡單にお答え願いたいと思います。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 この不正競争の防止に対しましては、この法律以外にもただいま御指摘のように、相当ほかの面からも違つておる点がございます。その点を少しあげてみますと、民法の中に不法行為に対する規定がございます。それから商法の中に商号の保護に関する規定がございます。また刑法の中には信用及び業務に対する罪並びに詐欺の罪に対する規定がございます。それから工業所有権関係の法令でございますが、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、いずれも不正競争に関係のある法令でございます。また度量衝法が目下立案中だと存じますが、この中にも正味量の表記に関する規定を設けるわけでございますし、また軽犯罪法の中に人を欺瞞する広告に関する規定があるのでございます。そのほか独占禁止法の中に不公正な競争方法に関する規定がございまして、大体不正競争を防止する面におきましては、これらのものがあるわけでございます。この中で独占禁止法のようなものは、この不正競争防止法と比べますと、一つの不正競争を取締ることにおいては同じでございますが、不正競争というものに対する見方の面が違つておりまして、独占禁止法の方からは独占禁止という立場から見たところの不公正なる競争というものを取締るようになつております。この不正競争防止法の方におきましては、そういう面をはずれまして、個々の單一なる不正競争と申しますか、あるいは道徳的の面と申しますか、そういうような面から、これを見ておる次第でございます。それから商標法、特許法というような工業所有権の面につきましては商標法におきましては常業の安全確保という面から見ておりますので、これは不正競争防止法とやや似ておる点がございます。特許法のようなものにつきましては、これは発明奨励という立場から見ておりますので、特に人のものをまねするということは、格別惡いことではないのでありますけれども、技術の発展をはかるために、特に新規に発明した者に対しては、十五年間の独占権を認めておりまして、その間はまねしてはいかぬというような規定を持つておりまする点におきまして、不正競争とやや趣が違うわけてございます。そのほかのものにつきましては、大体不正競争防止法と重複するようなぐあいに解釈いたされます。たとえば刑法中の他人の信用または業務を毀損するようなことを流布いたしました場合には、これは刑法におきましては三年以下の懲役または千円以下の罰金に処すというようなものがございまして、これはまつたく重複するものになる次第でございますが、この点につきましては従来の学説によりますと、一つの行為がこういう二つの法律に触れます場合には、重きに従つて処罰するというような関係になつておるのでございます。

中村幸八自由党

○中村(幸)委員 次は字句の問題でありますが、この際解釈をはつきりさしておく必要があると思いますので、お尋ねするのでありますが、改正案の第一條の第三号の「商品若ハ其ノ広告二虚偽ノ原産地ノ表示ヲ為シ又ハ之ヲ」云云というのがありますが、これと第四号の「商品若ハ其ノ広告ニ其ノ商品が産出、製造若ハ加工セラレタル国以外ノ地ニ於テ産出、製造若ハ加工セラレタル旨ノ誤認ヲ生セシムル表ヲ為シ又ハ」云々こういうのがありますが、この二つの規定が、ちよつと見ると同じようなことを規定しているように見えるのでありますが、これを二つに書きわけた理由はどこにあるのか、この点をはつきりしていただきたいと思います。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 これはごく簡単に申し上げますと、三号の方の「原産地ノ表示」というのは、大体日本の国内の問題でございまして、第四号の方は、その「加工セラレタル国以外ノ地二於テ」というようなものでございまして、外国において製造したような表示をしてはならぬというような意味にとつておる次第でございます。

中村幸八自由党

○中村(幸)委員 もう一つ承りたいと思います。改正法の第五條の第二号)第三号を書きわけた理由。それから第三号に「不正ノ競争ノ目的ヲ以テ第一條第三号乃至第五号ノ一ニ該当スル行為フ為シタル者」とありまして、第六号が抜けておるのであります。その理由につきまして、御説明が願いたいと思います

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 第五條の罰則の問題でございますが、これは第六條をごらんいただきますとわかるのでございますが、第六條の方におきまして、「第一條第一項第一号乃至」云々の規定は、「特許法、実用新案法、意匠法又ハ商標法ニ依リ権利ノ行使ト認メラルル行為ニス之ヲ適用セズ」とありまして、特に工業所有権関係のものを除外いたしておる次第でございますが、その中で、第一條におきまして一号、二号だけが適用せられないことになりまして、三号以下につきましては、適用せられることになります関係上、この第六條に第五條を適用いたします関係上、五條の第二号、第三号を分けました次第で、第六條関係がございまんでしたならば、これはまつたく一つの法律でよろしかつたものでございます。  それから第九條の第三号の中に、一條の六号が落ちておるという点でございますが、この一條の六号につきましては、これは「競争関係ニアル他人ノ営業上ノ信用ヲ害スル虚偽ノ事実ヲ陳述シ又ハ之ヲ流布スル行為」でございますが、これは先ほど申し上げました刑法の信用を毀損する罪というところに罰則が規定してございますので、この点において、特に規定することは省いた次第でございます。

神田博自由党

○神田委員長代理 次は前田正男君。

前田正男自由党

○前田(正)委員 ごく簡単に、一、二、点御説明を願いたいと思うのでありますが、登録、商標の場合、また特許の場合も同様のことを、実は実際に仕事をしておる実業家の意見を私は聞いたのでありますが、せつかくこういう不正競争防止とか、あるいは特許で権利を認めてくれるのは、非常にけつこうでありますが、実際は申請しましてから許可がおりたり、登録がおりたりするまでの間に、非常に長い期間があつて、現在のように——輸出は特にそうですが、品物の流行が非常にかわりつつあるときに、あまりに申請の期間がおそいということは、かえつてせつかくのこの法律の、保護しようという精神が失われると思うのでありますが、そういうことで、今非常に困つておるという現実を、われわれはちよいちよい聞くのでありますが、この登録、商標及び特許等においては、現在申請から許可を受けるまで、どのくらいかかつておるか。またそれに対しまして、いかに早く解決されようとする方針でおられるのか。従来の方法をさらにどういうふうな方法で促進せられるつもりでおられるのか。その点についての御説明を承りたいと思います。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 特許、商標等の登録がたいへん遅れておりますことにつきましては、まことに申訳ない次第でありますが、現状は大体登録になりますのに、一年余りかかるようなことになつております。意匠のようなものにつきましては、これは三箇月ぐらいで登録できるような状態になつておりますが、そのほかのものにつきましては、まず一年から一年半あるいはもう少しかかるものもできておりまして、この点はこの制度が設けられましたことに対しまして、所期の効果をを発揮することを大いに阻害しておるような次第でございまして、私ども極力これは進めたいというわけで努力いたしておる次第でございます。最も困りますのは、審査をいたしまする人間がはなはだ少いのでありまして、これは戰争中特許庁というものが極度に縮小されました関係と、終戰後人員の増加を要求いたしておりまして、毎年徐々に定員はふえて来ておるのでありますが、私どもの希望から申しますと、もつと一気にふえればよろしいのでございますが、財政の関係もございますのと、いま一つはあまりに人が少かつたために、一時に人を入れるにしても、これを養成するような機関がございませんし、また養成をいたしますところの指導する人も現在少いというような関係で、目下のところ三年計画を立てまして、その間に全部を解消したいというような計画のもとに進めておる次第でございます。

前田正男自由党

○前田(正)委員 これは政務次官にお聞きしたいのですが、せつかく今お話のように三年計画を持つているようですが現実に今日本としては大いに輸出しなければならぬ、あるいはまた大いに国内の商業権を守らなければならぬというときに、またこういう移りかわりの多いときに、三年計画で人員を拡張するというようなことは、せつかくのこの法律の根本精神にひつかかつて来るのではないかと思うのであります。そこでまず今までたまつている案件は、通産省の中で人員を臨時に融通されることになりまして、たまつている問題をとにかく応急的に処理していただく。それから今後はそういう申請案件がたまつているということのないだけの人員を、早急に整備していただくようにしてもらいたい。今までたまつた分は、臨時にほかの課なり局から融通して処理するなりして、今後は申請案件がたまらないように、それだけの陣容を整えるということに対して、通産省はいかにお考えになつておりますか。

宮幡靖自由党通商産業政務次官

○宮幡政府委員 御意見一々ごもつともだと存じます。通商産業省の外局としての特許庁の立場を考えますと、ぜひ御趣旨のようにいたしたいと思います。滯つておりますのは、すみやかに臨時的措置によつて片づけ、そして将来かようなものが停滯いたさないような、人員その他の施設と申しますか、これをすみやかに実現いたしたいと思いまして、本年度の予算編成にあたりましても、特にこの点に力を注いで交渉をいたしましたが、何分にも行政整理という大目標がありますのみならず、財政措置においてもまだ十分な状況に達しておりません関係上、残念ながらその意図を達成することができませんでした。御意見まことにごもつともでありますが、将来にわたりまして御趣旨を体しまして、ぜひさような方向に進むよう努力させていただきたいと考えております。

前田正男自由党

○前田(正)委員 今の政務次官のお話は私たちも非常に同感であります。できるだけわれわれも協力させていただきたいと思いますが、せつかくこういう法律を改正する以上は、その実質が伴うように、効果が上るように、さらに一段の御努力をお願いいたします。  次にこの法律におきまして、一つ問題があります。それは法文によつても明らかだと思うのでありますが、国内に居住の第三国人は、これによつて取締れるとは思うのでありますが、実際問題といたしまして、国内居住の第三国人が、日本の優秀な商品をいろいろと模造等をして、町の片すみにおいて売つておるという現状を、ときどき聞くのでありますが、この問題については実際にどういうふうにして取締つて行く方針であるか。この点についてお聞かせ願いたいと思います。

宮幡靖自由党通商産業政務次官

○宮幡政府委員 今回の改正は、明らかに提案理由においても述べてありませんが、これはいずれの法律についても同じような状況にあるので、お察しをいただけると思いますが、その改正に対しましては、関係方面からメモランダムが参つておりまして、それによつて日本政府の意見も入れまして、さらに折衝してこの改正案ができ上つたわけであります。もちろん法律の解釈から参りますれば、これは国内居住の外国人にも適用されることは明らかであります。しかしそれについては若干疑義の点もありますので、ただいま渉外課を通じまして、その実際の運用の面におきまして、疑問の点の解決に当つておるような次第であります。正常解釈から申せば、まつすぐに適用がある。その適用をあやまちのないようにいたしたい。それは覚書がございますので、それに基きまして、この交渉をいたしたいと思つております。

前田正男自由党

○前田(正)委員 なるほど確たる意思があるようでありますが、実際問題といたしましては、私たちも今までの経験からいたしますと、現実に取締りのしくにい事態が非常に多いのであります。目下御折衝中のようでありますが、その点につきましては、ひとつ明らかになりましたならば、さつそくわれわれところに正式に御通知をいただきたい。それと同時にぜひ徹底的に取締りをしていただかないことには、内国人、外国人を問わず、公正な仕事をするという原則から行きましても、片方では非常にきつく取締り、片方では非常にルーズだということでは商業の実際上、工業の実際上、非常に困るのではないかと思つておりますので、さらに一段の御努力をお願いいたします。次にお聞きしたいことは、日本でできましたところの商標とか、特許権、こういうようなものにつきまして、日本の国以外の国において、これを模造または濫用いたしまして、この法律に触れるような品物をつくつて、日本に持つて来た場合には、どういうふうに取締ることができるか、そういう問題についてお聞かせを願いたいと思います。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 これは工業所有権保護同盟條約がございまして、各国とも自国を取締るだけの法律をつくることを約束しますと同時に、他国のものが自国へ入つて来た場合の取締りも約束をいたしておりまして、ただいまお尋ねのような場合におきましては、自国の法律によつてこれを差押えすることができることになつておる次第であります。

前田正男自由党

○前田(正)委員 この法律を適用して、入つた品物を差押えることができるというように、今の御説明を解釈するわけでありますが、日本の国以外の国の製造を停止するとか、商標の使用をやめてもらうということは、同盟條約で日本側から正式に申し込んでやめさせることができるかどうかということをお尋ねしたい。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 ちよつと御趣旨がよくわかりかねますが、日本で持つておる商標権を、たとえばアメリカならアメリカでそれを模造する場合でございましようか。

前田正男自由党

○前田(正)委員 そうです。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 商標権につきましては、各国独立の原則を実施しておりまして、日本でとつてあります商標権は日本国内だけが有効ということになります。アメリカにおいてそれを保護するためには、やはりアメリカの商標権をとりませんと、保護はできないのでありまして、その点につきましては、お互に條約によつて優先権を主張して、外国の商標権もとり得ることになつておる次第でございますので、かりに日本の味の素なら味の素という商標が、アメリカにもとつてありました場合に、アメリカで味の素をほかのものが使いました場合には、アメリカの法律によつてそのものを差押えるなり、損害賠償を要求できることになる次第であります。

前田正男自由党

○前田(正)委員 そうすると今の味の素の場合には、それはアメリカでつくることを差押える。アメリカでつくつて日本に入つた味の素は、この法律で日本の中で押える、こういうわけでございますか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 そういうわけでございます。

前田正男自由党

○前田(正)委員 大体以上の点で了解できましたが、この問題は私たちも、どうも輸出入の貿易関係に、非常に大きな問題かあると思います。先ほどもちよつとお願いいたしました第三国人の関係の問題等を嚴重に、よく実際問題としてお取調べ願いまして、いずれまたよくわかりましたら、御通知を願いたいということを申し上げておきます。

神田博自由党

○神田委員長代理 次は有田喜一君。

有田喜一民主党(第九控室)

○有田(喜)委員 大体のことにつきましては、同僚議員からお尋ねになりましたので、私は若干解釈について承りたいと思います。今回の改正法によりまして、いわゆる被害者というものは、営業上の利益を害せられるおそれある者ということになつておりますが、従来は被害者という言葉で盡きておつた。営業上の利益を害せられる者といつて、一応被害者の範囲が法文の上で狭められたような感じがいたしますが、政府はいかにお考えになりますか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 従来のものは被害者でございまして、実際に害を受けた者をさすのでございますが、今度は「利益ヲ害セラルル虞アル者」となりまして、現実に被害をこうむらなくても、その利益を害せられるおそれが出て来た場合には、さしとめが請求できるということになりまして、むしろ今度の方がこの点におきましても、ちよつと強化された次第でございます。

有田喜一民主党(第九控室)

○有田(喜)委員 「虞アル者」というので、その意味においては幅が広くなつて来たことは確かと思いますが、しかし今までの考えで行きますと、被害者というと、必ずしも営業をやつておらなくても、その行為によつて、いわゆる消費者——品物を買つた者でも、被害者の一人だと私は考えるのですが、そういう解釈には、今まではなつていなかつたのですか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 不正競争の方で消費者保護の面のみが現われておりますのは、むしろ第五号のような商品の品質、内容、数量の誤認を生ぜしめるという点でございましてそのほかの面におきましては、大体競争者同士を取締るというような観点からいたしまして、特にここに営業者の利益を害せられるというような意味をうたつておるのでございます。

有田喜一民主党(第九控室)

○有田(喜)委員 損害賠償という点におきましては、あるいはそういうような狭い範囲に解釈されてもいいと思いますが、その行為をやめるべきことを請求することは、これは範囲をもう少し広くして、消費者面からもそういうことを停止するように請求権を認めては何か弊害がございましようか。その方がむしろ徹底するのではないかと思いますが……。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 これは実際問題の方から実は考慮いたしましたので、個々の被害者がなかなかそういうことをやるのをめんどうがりまして、現実にそういうことが起り得ないのじやないかというような解釈から、特に営業者のようなぐあいにいたしました。特に営業者とありますと、まとまつた相当の被害が出て来るものでございますから、営業者ならば十分やり得るだろうという意味で、こういうぐあいにした次第であります。

有田喜一民主党(第九控室)

○有田(喜)委員 次に伺いたいのですが、この法律を見ますと、いわゆる不正競争の目的をもつて、それから不正競争でなくても、故意または過失によつてやるもの、あるいはまた全然故意、過失ではなくて、いわゆる善意の行為をやるもの、こういうように大体三つにわけられるように思うのです。すなわち故意、過失でないものは、ただその行為をとめたらいい、故意、過失のものは損害賠償、それから不正競争の目的をもつたやつが罰則を科せられる、こう三つにわかれると思いますが、その三者をいかに区別されておるか、御説明願いたい。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 これは現行法でございますが、実は現行法が活用された場合を私ども一件も知らないのでございます。それがどういうわけで死んだ法律になつておつたかと考えてみますのに、大部分が不正競争の目的をもつて行つておりました。そこにあるのではないかと臆測いたすのでございます。競争がありました場合に、不正競争の意思があるかないかということは、なかなかこれは証明がしにくいと存ずるのでございます。大体善意と申しますのは、古くからやつておつたようなことで、はつきりとそういうことが証明できる場合には善意と認める。そのほかの場合には、大体「故意又ハ過失」というところの中に入つて来ると思います。さらに一応注意はいたしたけれども、なおこれをやめないという場合には、これは明らかに不正競争という範疇に入つて来るものと考えられるのであります。

有田喜一民主党(第九控室)

○有田(喜)委員 私は善意の行為者ということについて疑問を持つのですが、ことにこの第二條によつて一條を適用しない面がございます。そうなつて来ると、何があとに残るかという感じがいたします。結局「故意又ハ過失」という幅へみな入つて来るような感じがいたすのですが、いかがでございましようか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 考えようによりますと、そういうことになるようにも考える次第でございますが、ここの第二條にあげておりまする「自己ノ氏名ヲ善意ニ使用スル行為」というような場合がございますし、また商品の普通名称を普通に使用する方法というような場合は、ここの第二條にあげてある三つの場合は、すべて習慣上当然やつておる場合でありまして、このものまでも不正競争という点に入れるのは、あまりにも酷だと考えられるものだけを、ここに列記した次第でございます。ここにあげてある個々のものにつきまして、たとえば商品の普通名称というものはどういうものになつて来るかという問題でございますが、たとえばドライアイスというようなものは、これは登録商標になつているものでありますけれども、現在は日本の習慣上、これはもう普通名称になつてしまつておるというような場合には、ドライアイスという言葉を使いましても、これは普通名称を普通に使つているものと見て、不正競争にはならぬというように、個々の事例につきまして判断をいたして行くよりほかにはしようがないかと考えております。大体普通名称になつてしまつているようなものまでも、それを使つたために不正競争と認められるのはあまりに酷だと思いまして、そういうような普通名称、あるいは自己の氏名というようなものだけは、かりに偶然そういう事例が発生しても、不正競争の中には入れぬというような解釈で、これをつくつておるのでございます。

有田喜一民主党(第九控室)

○有田(喜)委員 過般の政府の説明によると、善意の行為者にはその行為のさしとめを請求し得るのみである、故意または過失の場合にのみ、損害賠償の請求をなし得るとした、こういう説明があつた。ことに第二條の関係を読みますと、善意の行為者のみさしとめの請求をなし得るということは、なかなかどうなるかむずかしいと思います。実際上の問題としては、故意過失のものと思われても、まず行為のさしとめを請求して、事態によつて損害賠償とか罰則、こういう段階が生れるのが普通の行き方だと思いますが、政府はそのような行き方で行こうとするのか、それとも過般の説明のように、故意過失をした者は、すぐ損害賠償、すぐ一條を飛んで、二條に行つてしまう。あるいは場合によれば五條まですぐ飛んで行く。そういう運用の面についてどうお考えになるか、御見解を承りたい。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 それはまつたくその当事者の自由意思にまかしてある次第でございます。当事者が、相手が不正競争の目的を持つているという確たる確信をもちまして、またその証拠も持つておりましたならば、いきなりそこへ進んで行くと存じますし、またどうもこれは不正の意思があるらしいということはわかつておつても、その証拠がないという場合に、はたしてしからば、故意または過失が立証できるかという点になりまして、その点もどうしても立証し得ないということになりましたならば、一番最初の善意にやつている者と解釈いたしまして、第一段から進んで行くことになると思います。  それからいま一つつけ加えておきれいと存じますのは、この第一條の場合にあげているのは、これはすべて不正の競争の事実を列挙しておる次第でございまして、第二條の方は、一條の範疇に入りましても、特にこれだけは不正競争と認めては酷だという部分を、除いておるような次第でありまして、二條の場合に言つております善意と、一條に言つております善意との使い方が、ちよつと違つているようでございますから、その点申し上げておきます。     —————————————

神田博自由党

○神田委員長代理 この際お諮りいたします。全国金属鉱山争議につきまして、解決の報告を政府側からいたしたいという発言がございますが、この際これを許すに御異議ありませんか。

神田博自由党

○神田委員長代理 それではさようとりはからいます。宮幡政務次官。

宮幡靖自由党通商産業政務次官

○宮幡政府委員 先般本委員会におきまして、今澄委員を初めとし、高橋清治郎委員等より、たいへん御心配をいただきました全鉱労——全金属鉱山労働組合と経営者連盟との争議の解決につきましては、昨日も申し上げましたように、一両日中に解決の運びに至るであろうという見通しであるということを申し上げておきましたが、昨日午後一時を期しまして、労働省のあつせん案を一部修正いたしまして、原則はほとんど労働省のあつせん案で参りまして、各企業別に労組と個々の折衝の幅を残しまして、円満妥結いたしました。争議行為は一切解決いたしましたことを、この際御報告を申し上げておきます。同時に各委員に対しまして、いろいろ御心配をかけ、またいろいろ御声援を賜りましたことを、政府側として厚く御礼を申し上げます。     —————————————

神田博自由党

○神田委員長代理 議事にもどります。次は風早八十二君。

風早八十二日本共産党

○風早委員 今回提案になりましたこの不正競争防止法の改正案でありますが、これによりますと、今までの現行法に対して、この不正行為の範囲が非常に拡大せられ、かつそれに対する制裁規定が非常に嚴重になつております。このことと関連いたしまして、私は特に第三條について、まず政府にお尋ねしてみたいと思います。第三條の現行法におきましては、ただ「外国人ニシテ本法施行ノ地域内二住所又ハ営業所ヲ有セザルモノハ條約又ハ之二準ズベキモノニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外第一條ノ請求ヲ為スコトヲ得ズ」と規定があるのでありますが、改正法によりますれば、この点か一層具体的になつております。「工業所有権保護同盟條約国ニ属スル者」というのは、本法の施行の地域内に住所または営業所を有せざるものにつきましても、この請求をなすことができるという趣旨の條項と思うのでありますが、この二つの新旧の條文の間には、はたして実質上差異があるのか。つまり別段の規定ある場合を除くのほかという、それをただここであらためて表に出されたというだけであるのか、その点につきまして、改正の理由をいささか述べていただきたいと思います。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 第三條につきましては、実質的に全然変化はございません。ただ片一方が表から見ておるとすれば、片一方は裏からといつたような違いがあるだけでございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 政府にちよつとお尋ねいたしますが、この万国工業所有権保護同盟條約というものは、今まで何度か出ておると思います。一応政府資料によりますれば、その最終のものは昭和九年となつておりますが、それらの数次の工業所有権保護同盟條約というものの間は、どういう関係にあるのか、最後のこれ一本において考えてよろしいのか。もしもそうであるならば、その辺のいきさつをちよつとお話願いたい。これらの條約が現在生きておるのかどうか。また生きておるにかかわらず、今回特にこれらの改正をしなければならなかつたそのいきさつ。理由書には若干述べてあるようであります。これは関係方面より特に強く指摘せられております関係もありますが、というような指摘もありますが、その辺のところをもう少しくわしく経過をお話願いたいと思います。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 この同盟條約は、一八八三年にパリでできたのが最初でございまして、それからあとで、ただいまのへーグにおいて改正せられましたのが一九二五年、それからまた一九三四年にロンドンにおいて改正されておりまして、実はその最初からずつと一貫しておりますものは、だんだん改正を行われて来たものでございまして、それが現在まで続いておるような次第でございます。それからこの條約が現在生きておるのか死んでおるのかという問題でございますか、これは前大戰のときにもこれと同じような状態が起りまして、国会においてもたいへん議論せられたところであるのでありますが、こういう国際法の解釈につきましては、今までどうもはつきりとした結論を得ておりません。現在これが日本に対して生きておるのか生きていないのかというようなことにつきましても、日本の方からまだ積極的に何ら主張し得る立場にございません。従つて相手の国によりまして、あるいは生きておるように取扱つてくれるところもございますし、また全然これを生きておるように取扱わぬところもございます。また一部を生きておるものとして取扱つておる国もあるようでございます。この点につきまして画然たる解釈がいまだきまつておらないような状況でございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 今の政府の御答弁によりまして、本法の規定の最も重要な内容をなしておりますこの適用者の範囲でありますが、その点について、特に「工業所有権保護同盟條約国」云々とあるのでありますが、この條約そのものが生きておるのかおらないのかわからない。しかしこれは相手のある問題でありまして、そういう不明確な條約というものをここに持つて来られて、それによつてこの国内法を規定せられるというのでは、はなはだ片手落ちではないでしようか。その点は政府はどう考えておられるのか。

宮幡靖自由党通商産業政務次官

○宮幡政府委員 御意見としては一応ごもつともだと存じますが、現在工業所有権保護に関しますものが無効になつておるということも、また通達されておるわけでもなく、事実上におきまして、司令部を通じまして実際上の條約の効果は現われておると、私どもは認めております。しかも理由に述べましたように、司令部筋からのメモランダムによりまして、所要の改正をいたすということが、この根本でございますので、その点御了解をいただきたいと思います。

風早八十二日本共産党

○風早委員 司令部からのメモランダムを先刻資料として御提出がありまして、これははなはだけつこうでありますが、その趣旨とするところは、司令部のひとつの都合上新しくこういうものが出ておるのでありまして、そのことと、この條約について今日日本に適用されておるということとは、おのずから別問題です。新しい事態に応じた新しい問題として、司令部からこれらのメモランダムが出ておることは、十分了承できるのでありますが、今私が伺つておるのは、この條約が生きておるかどうかということです。すでに政府委員も答弁されておるようですが、これでははつきわわからないのです。私はその点は一応別ではないかと思う。司令部でもこの條約をたてにとつて、これらのメモランダムが出ているとは考えられないわけでありますが、その辺の関係、さらに言つてみますれば、司令部もしくはアメリカ当局というものにとりましては、この條約は日本について適用されるというふうに解釈した上で、そのメモランダムが出されておるものという解釈を政府はとつておられるのですか、その辺をちよつと明確にしておきたい。

宮幡靖自由党通商産業政務次官

○宮幡政府委員 政府自身、これは相手国に対しまして平等な適用が相互にあるものでありまして、その効果が事実上あるわけであります。特に貿易管理法なんかでも、御承知の通り輸出禁止の規定につきましても、相手方の不正競争防止に関する規定に触れないということを、許可の限界としておるという條項も見受けられておる、あるいは言葉が少し違うかもしれませんが、さように記憶しておりますので、相手国にとつて有効に相互に適用されておりますので、日本的に考えまして、これは有効なものだと政府は一応考えます。しかし御疑問を持たれるのもごもつともだと思います。それを否定するものではないのでありまして、ただ現在の国情下におきます政府といたしましては、この問題に関することは、これ以上の答弁の自由を持つていないことを御了承いただきたいのであります。

風早八十二日本共産党

○風早委員 これ以上の御答弁の自由がないということは、はなはだ解釈に苦しむのでありまして、事は国内のどこまでも国会が審議する法律の問題でありまして、この條約の解釈もまた国会として独自に、これが有効であるかどうかということは、一応判断することができるわけです。従つて政府の今の御解釈を伺つておるわけですから、政府としてもそれらの解釈は別にできないわけではないと思う。この工業所有権に関する同盟條約の加盟国につきまして、一々これを列挙していただきたいのでありますが、政府委員の御答弁を願います。   [澁谷委員長代理退席、神田委員長代理着席〕

宮幡靖自由党通商産業政務次官

○宮幡政府委員 大分国の数が多いようでございますから、あとで資料としてお手元にお届けするようにしたいと思いますが、いかがですか、それとも読みましようか。

風早八十二日本共産党

○風早委員 それでは時間の関係もありますから、それらは各條文に応じて加盟国は何であるかということは、後刻資料として御提供願いたいと思います。よろしゆうございますか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 よろしゆうございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 それで今回改正される第三條のような法的措置をとつておる他の外国の、いろいろのそういうものがありましたならば、お知らせ願いたいと思います。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 各国の條文でございますが、大体これはコンモンローで取締つておりまして、判例のようなものが基礎になつておる次第でございますが、そういう判例を集めたものとか、そういうものはございますが、そういつたものを提出いたしますと少し厖大になり過ぎるのでありますが………。

風早八十二日本共産党

○風早委員 フランスはどうでしようか。一、二の事例をあげてください。フランスにはコンモンローというものはないのですか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 そういうものについてわかつておるものを提出いたすことにいたします。現在資料はここには持つておらないのでございます。今ここにございますのは、フイリピンなどでございますが………。

風早八十二日本共産党

○風早委員 それではフイリピンだけでよろしゆうございますから、御説明願います。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 フイリピンの不正競争防止に関する点を、ちよつと読上げてみたいと思います。   「何人も商標、業務標章、氏名又は商号を用いると否とに拘らず自己の製造若しくは 販売する物品又は自己の企業若しくは業務が、公衆により他人の製造若しくは販売する 物品又は他人の企業若しくは業務と識別されるに至つたときは、その得意先を対象とす る財産権を有し、その財産権は他の財産権と同様に保護される。かかる人は前記第二十 三條に規定した救済を請求することができる。   詐欺又は善意でない他の手段によつて、自己の製造若しくは販売する物品又は自己の 企業若しくは業務を、得意先を有する第三者の製造若しくは販売する物品又は第三者の 企業若しくは業務のように見せかける者は、不正競争の責に問われうべく且つ不正競争 の訴を提起されうる。これと同様の結果を生じうる行為をなした者についてもまた同様 である。   次の各号の一に該当する行為は、不正競争なる語の意味の何等の制限的効果なく、不 正競争の責に問われうるものである  (イ) 販売の………」。

風早八十二日本共産党

○風早委員 途中ですが施行地域について、実際第三條で問題になりますその論点について、どういう規定があるのか、その点だけお知らせ願いたい。不正行為の範囲はけつこうです。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 御質問の趣旨が、ちよつと納得できかねますが………。

風早八十二日本共産党

○風早委員 質問の趣旨は、現在のこういうふうな関係のもとで、今こういう法案が、日本にむしろ要請せられておるという事実があるわけであります。メモランダムもありますし、同様なことが他の国に行われておるかということが一つであります。フイリピンも、それはけつこうでありますが、大体、たとえば西ドイツでありますとか、こういうふうな国において、同様の法律が出ておるかどうか。出ておればそれをお知らせいただきたい。出ておらなければおらないということをお答え願いたい。及びアメリカ自身において、このような関係においてどういう法律が出ておるか。先ほどもどなたかの御質問がありましたが、たとえば味の素なら味の素を、アメリカにおいて登録をわれわれがやる場合において、それに対して、もしもアメリカの商人がそれを侵したという場合において、これを取締まるべき法律がアメリカにあるのかどうか、こういう点について伺つておるわけであります。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 それはそれぞれございますが、非常に広範囲にわたつておりますし、また相当厖大なものでございますので、一応整理いたしまして、お届けいたすことにしてはどんなものでございましようか。

風早八十二日本共産党

○風早委員 今アメリカとフイリピンはせつかく出ましたから、それと西ドイツとこの三つでけつこうです。これはそう厖大になるわけはないと思います。何條かの簡單な條文ではないかと思います。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 相当に厖大なものでございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 これは日本人の権利を擁護するという立場から、どういうふうなものに向うではなつておるか、制裁規定の均衡の問題もありますから、それらについてぜひ知つておく必要があると思いますので、資料として後刻御提出願うことにいたします。さらに日本が大体東南アジア方面の市場に向つて輸出いたしておりますが、輸出先の東南アジアの諸国におきまして、日本商品の商標で、アメリカの商品の商標に類似しておるというふうな場合におきまして、この法律は適用せられるのかどうか。それはどういうもので取締られるのか、この点をお伺いしたい。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 輸出の仕向地におきまして、ここにうたつておりますような商品の誤認等を起すような事実が起りましたならば、当然この法律が適用されることになりますし、またその輸出先の国におきます法律によりまして、あるいは差押えもされるというようなことも起り得るわけであります。

神田博自由党

○神田委員長代理 ちよつて風早さんに御相談いたしますが、政務次官は参議院の方から呼ばれておるようでありますので、政務次官に対する質疑がございましたら、その方を先にしていただいて、次に政府委員の方にお願いできればと思つております。

風早八十二日本共産党

○風早委員 どうぞ政務次官はお出かけください。  そうしますと本法の施行地域というのは、東南アジアまでも含めてというような趣旨でありますか。その点はどうですか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 この施行地域は日本国内だけでございます。それで輸出先でトラブルが起りました場合には、これは日本でなければ、これに対する要求とか、そういうふうなことはできないわけでございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 逆に日本商品、たとえば味の素でもけつこうですが、それが東南アジアの市場におきまして登録された場合に、もしもアメリカの商人がこれを侵すという場合に、これをいかにして取締るか、その場合に一体どういうことになりますか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 その場合には、その国におきまして、まつたく日本におけると同様なぐあいと思いますが、差押えなり、損害賠償ということができるわけであります。その国の法律に従つてできるわけであります。

風早八十二日本共産党

○風早委員 その国にその法律があるというところは、あらかじめはつきりしておるわけですか。東南アジアにもいろいろ国がございますけれども…。それでありますから先ほど同盟條約に加盟しておる国をお尋ねしたわけですが、それらがはなはだあいまいでわからないのです。むろんわかつておるわけでありましようけれども、それは提出せられてない。ですからいささかこの質問の根拠、前提になつておる事実が不明確でありますから、非常にやりにくいのであります。そういう点については全部資料を出していただきたいと思います。この問題は不正競争の防止といいますけれども、この場合はやはり外国資本、外国商社というものと、日本商社との関係というものが、どういうふうに規定されるかということで、その間の競争関係ということが、新しい立法の趣旨ではないかというように考えられますので伺うのでありますが、やはりこの立法の趣旨というものは、そういうところにあるものと考えてよろしいのですか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 これはその仕向国に、その法律があるかないかという問題につきましては、仕向国がこの同盟條約に入つております以上は、当然あるはずでありまして、そうでなければこの同盟條約に入り得ないわけであります。またかりにその仕向国が同盟條約に入つておらないとすれば、それは双務的に日本でもその仕向国が、日本人に対して要求ができないということになりまして、全部が双務的になつておりますので、格別の不公平は起らないと考えておる次第でございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 ところがこういうことが起らないでしようか。本法によりますと、具体的に申しまして、アメリカならアメリカの商社は、もちろん本法の施行地域外にその本社なり営業所をもつておるわけであります。しかるにそのアメリカは、日本の商品に対しまして、その商標その他について侵された場合、やはり請求する権利を持つておるわけです。その商品がたとい東南アジアに向つて行つておるものであらうとも十分にそれに対する制裁規定を適用して、やはりその請求をして来ると思うのです。それは商品の製造者あるいはその所有者が日本の本国、つまり本法の施行地域内にあるわけでありまして、それに対してアメリカはやつて来る。ところが同様な場合に、日本は東南アジアの法律によつて取締るというが、そういうものがない場合には全然訴えの余地がない。それはアメリカにでも出かけて行つて訴えるということになるわけですか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 それはそういうことになりませんで、東南アジアの国にその法律が施行されていないとすれば、アメリカの商社といえども、日本の商社といえども、そこに差はないわけであります。

風早八十二日本共産党

○風早委員 この適用される地域の範囲と、それから実際適用される国の範囲というものは、まつたく別もんですね。地域の場合におきましては、その商品がどこへでも足を運んで行くから何ですが、その適用される国につきましては、やはりそれぞれの国の法律に従つてやることになるわけですね。そうした場合に、東南アジアで、先ほど私が聞きましたのと逆な場合、つまりアメリカの商社が日本の商社の権利を侵した、こういう場合に、どういう訴えの道が具体的にあるかということです。どういう法律によつてやるわけですか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 その国の法律によつてやるわけでございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 その国と言いますとどの国ですか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 その最終の仕向地における国の法律によつてやるわけであります。

風早八十二日本共産党

○風早委員 その国の法律がない場合にはどうしますか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 その国の法律がない場合には、アメリカ人といえども日本人といえども、お互いに保護されておらぬということが起るわけです。

風早八十二日本共産党

○風早委員 しかし先ほど申しましたように、アメリカの商社はこの法律によりまして、日本の商品がどこへ参りましても、それを追究して来る。つまり日本の商品が東南アジアに参ります。それがたとえばスタンダードならスタンダードの石油の商標を侵したとします。そうした場合にアメリカはこれを放つておくことはないと思います。ところがそれと逆な場合、帝石のマークを侵したという場合に、これはどういうことになりますか。そういうこともありますまいが、そういう場合にどういうことになりますか。それは例が惡いからそういうことにならぬかもしれませんが、実際日本から行くいろいろな雑品があります。これを侵したという場合ですね。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 ある極端な場合を考えますと、あるいはそれに似たようなことが起り得るのであります。その点はこの法律の一部に輸出という問題が入つておりますので、一部起り得ることがあるのでありますけれども、これは日本の徳義を、むしろ制限するというよりも、日本の徳義的立場を向上させるという面から、一部ずいぶん極端な場合にそういうことが起りましても、これはやむを得ないと実は考えておる次第でございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 政府当局は今お答えのように、日本とアメリカの商社との関係におきまして、一部そういう日本の商社は不当に取締られるが、相手の商社は取締られない場合があり得るというふうなことを言われましたが、これははなはだ重大だと思うのです。私はその点について議論は省きますが、その点は重大です。かりに法律などがありまして、たとえばアメリカにおきましてし本法と同様な種類の法律がありまして、日本の商権が保護せられておるということになつた場合におきましても、はたして現状におきまして日本の商社がアメリカに行つてアメリカでそれだけの訴えをするという機会が與えられておるか。それよりも何よりも、アメリカで自由に日本商品の登録をする、その自由があるか。それまでにはまだまだいろいろ段階があるのではないか。その点はどういうふうになつておりますか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 現在アメリカでは、日本のものを一九四六年から後のものにつきましては登録をいたしております。それから大体この同盟條約に入つております国というものは、ほとんど世界の大部分の国を包含しておりまして、これに入つておりません国というものは、ごく少数のものである関係上、実際問題としてちよつとお話のような点が起り得ることを想像し得ないのでございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 そうしますと、日本は現在四十六年以後は、この同盟條約加盟国のいずれにおきましても、登録は自由にできる。これは明らかになつたのですが、できるわけですね。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 その点につきまして各国に商合せを出しておりますが、まだ返事の参つておらない国もございまして、全部が登録できるかどうかという点は、まだはつきりいたしません。

風早八十二日本共産党

○風早委員 現状のもとでそういうことがまだできるわけはなかろうと思うのです。今アメリカについてそういうことが行われておると言われましたがこれはおそらく特例であつて、一般にそういうことが現在被占領国の日本として、一般的にあり得るということは、ちよつと考えられないことだと思います。かたがたもしもそういうことができたとしても、同じく今実際に国際関係が不平等な現状のもとにおきましての日本との関係です。何といつても被占領のこの状態のもとにおきまして、事実上その登録権を十分に擁護する、行使するというその手段が、まだ少くともはなはだ困難であろうと考える。不可能とは申しませんが、非常に困難だと思う。そうしますと、特に日本の方から自発的にこういう法律をこしらえて、日本の商社自身を不当に拘束して行くということになるとすれば、これは国際競争上日本の立場をますます不利に陷れる、こういう結果になる危險があるのじやないかと考えるのでありますが、そういう点は政府ではお考えになつておりますか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 この法案の内容でございますが、大体ここにあげてありますのは徳義的の問題でありまして、これに関する限りは当然日本としては自発的に、この程度の徳義的な問題は守らなければならぬという最低限度と私は考えておる次第でございまして、現在日本が占領下にあります関係上、完全なる徳義的ということはあるいは望み得なぃと存じますけれども、世界の主要国から日本の商業に対する信用を得るためにも、これは相手のするしないにかかわりませず、一応この程度の徳義的な問題は、日本として自発的に守つて行かなければ、今後日本が世界の信用を得て再興して行くのにも、これ以下でははなはだ不十分でありまして、当然この程度の徳義は自発的に守つて行く必要があると考えておる次第でございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 この不正行為の範囲が非常に拡大せられております。また一々これは列挙せられております。またそれに対する罰則規定が、今まではほんの罰金刑であつたのが、今度嚴重な体刑がつき、かつ相当巨額な罰金刑までがついておる。こういつたような自分を縛る——もちろんある程度の制裁規定がなければ、それは意味をなさないのでありますが、そういう今までとは格段の相違がある嚴罰をもつて、これらの取締りをやる。もちろん不正競争は絶対に排撃すべきであります。しかしながらそれは双方の義務でありまして、いやしくも片手落ちになつて、向うさんには場合によつてはそういうことはやれないようになつておるし、また向さんに向つて事実上やり得る手段が実際問題としてあり得ないというような、その事実上の現状をもつてして、特に日本の商社をみずから非常に嚴重に取締る一方的なことを、わざわざ自発的にやらなければならないという理由は、いささか薄弱なように思うのですが、どうでしようか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 ここにあげておりますのは、非常に拡大されておるとも実は考えておらないのでございまして、この内容の不正競争はどういうものであるかというような規定につきましては、今までと大した違いはないと私は考えておりまして、この程度のものはだれが見ましても当然正当の競争とは認められぬと考えるものばかりである次第でございます。もちろんこの程度のものは各国とも、あるいはすべての国とは言いかねるかもしれませんが、米英とかああいうところにおきましては、各国ともこの程度のことはやつておりますので、特にこのために日本が正当なる競争において不利を受けるというような点は、ないものと考えておる次第でございます。

風早八十二日本共産党

○風早委員 吉田内閣になりまして、今度税法の改正なんかによりますれば、実際外国の法人に対しては非常な経減をやつておる。ことにまた税の半額、五割の免税を設けたとか、いろいろなことをやつておりまして、それでなくても日本の商社はみんな非常におびえきつておるわけです。それでなくても非常な資本の相違があつて、向うの方がはるかに大きいのでありますから、どうしてもこれは自由競争では負けるわけです。放つておいても負ける、それをわざわざ日本の商社の取締りの方だけ、一方的に嚴重にする。あなたは嚴重でないと言われますが、今まで千円以下の罰金であつたものが一挙に二十万円以下の罰金、または三年以下の懲役というような体刑までついておるようなことになつております。これははなはだ片手落ちではないかと思うのですが、その議論を今繰返しても始りませんから、先に進みたいと思います。  たとえば第二條の三項でありますが、「自己ノ氏名ヲ善意二使用スル」云々とありますが、こういうようなことをだれが判定するのか、この判定者は裁判所でありますか、特許庁でありますか、それともどこがこれをやるのですか。また国際的な判定の機関というようなものを考えておられるのか。

久保敬二郎特許庁長官

○久保政府委員 これはすべて裁判所でございます。行政官庁は何らこれに触れるところはございせん。

風早八十二日本共産党

○風早委員 そうしますと、大体今まで私の方から願いしましたいろいろな資料をいただいた上で、若干の質問を追加さしていただくということを留保をいたしまして、これで私の質問は終ります。

神田博自由党

○神田委員長代理 ほかに御質疑はありませんか、——別に御質疑もないようでありますから、風早君のただいまの事項を除きまして、本案に対する質疑はこれにて終了いたします。  本日はこの程度にとどめまして、次回は十七日午後一時より開会いたします。詳細は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十七分散会。

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