地方行政委員会 第27号
- 発言数
- 23 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1950/04/20
会議録
○中島委員長 これより開会いたします。 地方税法を議題として質疑を続行します。しかし時間の関係がありまして、暫時休憩いたしたいと考えます。午後一時三十分より再開いたします。その間休憩いたします。 午後零時三十二分休憩 ————————————— 午後二時二十四分開議
○中島委員長 再開いたします。 休憩前に引続き、地方税法を議題といたします。質疑を続行いたします。 この際お諮りいたします。通産委員今澄勇君、予算委員西村榮一君、農林委員高田富之君より、委員外発言の許可を求めておりますが、これはいかがとりはからいましようか。
○川西委員 委員外の発言を許可する必要はないと思いますから、委員長においてさようおとりはからい願います。
○門司委員 ただいま委員長の発言されました各委員は、過ぐる委員会において合同審査の際に、いずれも発言の通告をいたしておつた諸君であります。しかるに、その委員会におきましては、時間の関係からこれを延ばすことに一応なつておつたのでありまするが、しかし合同審査委員会を再度開くことが時間的に困難でありましたことのために、本委員会において委員外発言によつてその質問を継続していただくということが、大体約束されておつたはずであります。従いまして、この委員会で発言を許されることが至当だと考えまするし、同時にまたその発言の要旨並びに発言に際しましては、これは各党を含めた各種委員会からの申込みであります。従つて今反対をされております與党の方々におきましても、通産委員会あるいは大蔵委員会あるいは予算委員会等においては了承済みのことであります。従つて單にその人たちだけが、ここに突如として申し込んだわけではないのでありまして、当然予定の行動であります。またそれを受け入れてここに愼重審議することが、将来における各種委員会との合同審査会の関係から申しましても、きわめて適宜でなければならないのであります。しかるにこれをここで打ち切るということになつて参りますならば、他の委員会の申出に対して、本委員会はこれを拒絶した形になると考えられるのであります。かくのごときことが、この委員会において簡單に片づけられて参りますならば、先ほども申し上げましたように、諸般の議事の運営は、きわめて不円滑に行われるだろうということを、われわれは非常に憂えるのであります。本委員会といたしましても、他の委員会に付託されました事項につきまして、やはり本委員会として十分意見を具申し、さらに申し述べなければならぬ次第は幾多あると考えられるのであります。従いましてこれらの委員会の委員諸君の発言に対しましては、どうかこの機会に取上げることが、お互いの道義上の問題であり、また約束づけられた紳士的の態度であると考えておるのであります。従いましてどうか與党の各位におかれましても、お急ぎになる事情はよくわかりますが、そこはお互い同僚の信義と、さらに議事の円滑なる進行のために、これらの諸君の質疑をお許しになつて、そうして十分に審議をすることが、この際必要だと考えておりますので、ただいま委員長の言われました委員外各位の発言をお許し願いたいと思うのであります。
○藤田委員 ただいま門司委員からまことに適切なる御発言がありまして、われわれまつたく賛成でございます。われわれの委員長は、幸か不幸か自由党に所属しております。しかしながら本委員会常設以来、終始一貫超党派的に本委員会を運営されまして、日本デモクラシーの発達のために、われわれはまことに名委員長として心服しておることは、與党の諸君も御存じの通りであります。従いまして、本日いろいろな客観情勢もございましようが、私たちは本委員会はあくまで国会常任委員会のサンプルとしまして、円満かつスムースに運営していただきたいと思います。先ほど自由党の川西委員から、やや誤解されたような御発言がございましたけれども、われわれの使命は八千万を代表いたしまして、輿論をこの席上へ反映することであります。議員みずからがその輿論を反映する機会を縮めるようなことをしては、悔いを千歳に残すことは申し上げるまでよないところであります。従いましてこの際ほかの委員会が超党派的に、真劍に委員外発日を申し込んで来られておりますから、委員長はこの際ぜひともフェアープレイで終始されまして、その機会を、たとい些少なりとも與えていただきまして、議会政治発達のために、中島大委員長完成のために、私は切にお願いする次第であります。與党席の一部に不規則発言もございますが、與党の諸君の大半は、私の気持に同調していただけることと、私は確信いたしております。どうかこの点は與党、野党というけちな根性を一擲されまして、超党派的に運営するために、しかるべき御処置を願いたいと思います。採決というのは、デモクラシーの最後の段階における決定方法でございまして、何とか和気あいあいに委員長が、少数派の意見を代表されました発言も、ときたまにはされるという雅量をこの機会に示していただきたい。同時に多数決制の欠点を是正するためにも、この際委員長の明敏なる御賢察をお願いしたいのであります。ましてや今朝の新聞にあります通り、われわれの国会に対しまして、関係方面から伝言が参つております。この伝言の内容を静かに咀嚼してみまして、われわれはいろいろと教えられ、考えさせられるところがかあるのであります。われわれは、考え方によりましては、議会政治の危機に立つているとも言えるのではないかと思います。われわれはわれわれが選ばれた背景を代弁いたしまして、ぜひともきれいな法律をつくりたい。議会政治の起りはもちろん、大衆に負担させる税金をきめるために、この制度ができたことは、今さら申し上げるまでもない。その重大なる地方税法案の審議について、この際ぜひとも愼重にこの決定をお願いいたしたいと思うりであります。従いまして、結論といたしましては、椚司委員とまつたく同意見でございまして、この際採決等の方法によらず、あくまで委員長において円満なる運営方式をおとり下さることをお願いする次第であります。
○野村委員 ただいま、川西委員の意見に対して、門司、藤田両君から、ごもつともな御発言があつたのであります。本委員会は、本案の重要性にかんがみまして、委員会の審査に並行しまして、連合審査の委員会も数次にわたつてやつたのであります。しかも委員会としては、三日にわたつて、本案に関係を持つ各界に対する公聽会を開き、しかも二十七人の多数の貴重なる意見を拜聽いたしたのであります。時間が許しますならば、特に委員外の御出席もいただいた上、承ることはごもつともだと思うのですが、本委員会が本案を審査した経過から見まして、少くも本法案の関係の人たちの言論は、つぶさに愼重にこれを取入れたと思う。この意味において、川西委員の動議に賛成の意を表する次第でありま
○門司委員 ただいま私どもの意見に対するさらに反対の意見を拜聽したのでありまするが、その理由の中にも申し述べられておりますように、また先ほどの発言におきましても、きわめていんぎんにこの発言を申し出られた人たちに対する意見を尊重することについての、少しまわり道をしたというようなお話があつたのでありますが、私としましては、将来の議事の運営と、さらに他の委員会との関連性を十分考えまするとともに、先ほど私が申し上げましたように、この発言は当然連合審査会においてなさるべきはずのものであるということは、與党の各位もよく御存じのはずであります。従いまして、その発言の権利と申し上げまするか、機会は與えられておるはずであります。たまたまそれが本委員会の都合によつて、本日まで延ばしたということでありまするし、同時にまた本委員会におきましても、案の内容はいまだに十分審査は盡されておりません。しかし事態はそう長く遷延されてはならないという與党側の御意見も十分察することに、われわれは決してやぶさかではないのであります。しかし当然確保されておりまする委員外の諸君の発言を封ずるということは、ある意味における、というよりもむしろはつきり申し上げまするならば、議員の審議権を多数をもつて封殺するという惡例を残すと思います。従いまして、先ほどから申し上げておりまするように、これはどうしてもそうした惡例を残したくない。われわれはどこまでも委員会の審議というものを円満に愼重に続けて行きたい。もしここに多数によつてそうした議員の発言権が封殺されるということになつて参りましたならば、議会政治の弊害はここにきわめて露骨なものを現わして参るのであります。ことに多数によつてこれが押し切られるということになつて参りまして、少数の意見というものがまつたく入れられないとなると、これは明らかにフアシズムの思想であり、明らかに議会否認の形が、ここから現われて来ると思うのであります。われわれは、議会人としてここに立ち、しかも民主主義を謳歌し、民主主義日本を建設せんとするときに、国会みずからがそうした態度に出ることを、非常に遺憾に考えておるのであります。従いまして、委員外の諸君も、ことさらに惡意でここに申し出ているわけではありませんし、当然に自分たちに確保されておりました権利によつて、ここに述べられるということになつておりますので、その点については與党の各位も十分御了承が願いたい。今いろいろ御意見をお言いになつた方もあるのでありまするが、委員会における様子、連合審査会における同日の状態をお考えになれば、よくわかると思うのであります。同時にはつきり今澄君は出席をしておつたが、時間の関係からこれを次に延ばすということに約束をされたのでありまするが、連合審査の日にちがございませんので、やむを得ず次の委員会において委員外発言としてそれを許すことにしようという、お互いの紳士的な話合いの上に、今日まできめられておるのであります。(「いつでもできたじやないか」と呼ぶ者あり。)いつでもできたじやないかというお話でありますが、その人たちが来てやることは、決して違法でも何でもない。もしそういうことが議論されまするならば、いつのこの委員会の機会に発言されるという約束をした覚えは、われわれにないのであります。委員会に出て委員外発言を求めるというだけの約束をしたはずであります。どの委員会に出るという約束をしたことは毛頭ないのであります。もし多数をたのんで、そういう横車を押して来るということになりますならば、これから先の議事の運営にも非常に支障を来しますし、またごの法案はきわめて重要な法案でありまして、ことに通商関係にきましては、中小の商工業者と言わず、その他の業者の諸君がことごとく反対の陳情をいたしております。これらの意見を通産委員の諸君が当然代表して、ここで質問することは、国民に対するわれわれに與えられた一つの大きな義務であり、責任である。その義務であり責任であるものを、本委員会において封殺するということは、国民の意思を封殺することと、何らかわりがないと考えられるのであります。こうした意味から申しましても、ただいまの発言は委員長の発言でございまするので、委員長におかれましてはどうかひとつ良心的にこれの裁断を下していただきたいと思うのであります。
○中島委員長 採決いたします。三君の発言を許可するに賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○中島委員長 起立少数、よつて三君の発言は許可しないことに決しました。
○河原委員 議事進行について。この際質問を打ち切つてただちこ討論……(発言する者多く、議場騒然聽取不能)……せられんことを望みます。
○中島委員長 速記をやめて 〔速記中止〕
○中島委員長 速記を始めて——藤田君。
○藤田委員 この際私は休憩動議を提出いたします。その理由を簡單率直に申し上げます。 御存じの通り、昨日の夕刋紙上には、われわれ議会人に実に重大なる報道が掲載されておりました。その内容は、申し上げるまでもなく、関係方面から各党代表に対する伝言として、事務局の渉外課長島君が議長に伝達した事項でございます。今後関係方面は一切いかなる修正にも応じないという重大なる伝言があつたのであります。これに基きまして、衆議院議長幣原先生はわざわざ昨日夕方関係方面に行かれまして、その真相を確められました結果、不幸にしてあの報道が再確認されたのであります。従いましてわれわれ議会人といたしましては、これに対する態度を愼重にしかも占領下という客観情勢を十分しんしやくいたしながら、党をあげて各党ともおそらく審議したことと想像するのであります。われわれ野党連合におきましても、この点を十分審議いたしました結果、先ほどの休憩中に申し合せまして幣原議長あて面会を申し込みました。幸いにも中島委員長が同席されまして拜聽されたのであります。面会の内容は大体次の点でございます。昨夕幣原議長がホイツトニー民政局長と会見せられました際におきまして、当委員会と面会の申出があつたそうでございます。これに対しまして中島委員長は拒否されたようでございますが、われわれ野党側といたしましては、ぜひとも民政局長にじきじきお会いしまして、ことは重大であります。しかも多少表現が大き過ぎるかもしれませんが、未曽有の税法でございまして、愼重を期するためいま一度、当委員会の常任委員を包含いたしました野党各派代表が、民政局長に直接お会いいたしまして、はたしてオールGHQの意向なりやいなやを再確認いたしたい。そのために委員会を一時休憩いたしまして、民政局長とお会いする時間的余裕を與えてほしい。これが私がただいま休憩動議を提出した理由でございます。何とぞ委員諸君におきましては、この私の発言を容認されまして、ぜひともひとつ休憩時間を與えていただきまして、その間にただちに関係方面に参りまして、先ほど来申し述べました事項について、お話してみたいというふうに考えております。どうぞひとつ委員長におきましては、この動議を採択されまして、ただちに休憩せられんことをお願いする次第であります。 〔発言する者多し〕
○中島委員長 靜粛に願います。 ただいま藤田君より休憩の動議が提出せられましたが、これは先決問題でありますので、ただちに採決いたします。 藤田君の休憩の動議に賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○中島委員長 起立少数。よつてただいまの動議は否決せられました。 〔「野党退場」「かつてにやれ」「審議権の放棄だ」「何が審議権の放棄だ」「議長のところへ行け」と呼び、その他発言する者多く、退場する者あり〕
○中島委員長 河原君に発言を許します。
○河原委員 この際質疑を打切つてただちに討論に入り、議事の進行をはかられんことの動議を提出いたします。
○中島委員長 ただいまの河原君の質疑終了の動議が提出されましたから、ただちに決をとります。 質疑終了の動議に賛成の諸君は起立を願います。 〔賛成者起立〕
○中島委員長 起立多数。よつて質疑は終局いたしました。 これより地方税法案を議題として討論に入ります。討論は通告順によつて、これを許します。龍野君。
○龍野委員 私は自由党を代表いたしまして、本案に対する賛成の意見を申し述べます。 今回の地方税改正案をめぐりまして、主として野党を中心とする反対運動が激化して参つたのでありまするが、このとき私が靜かに考えますのに、国民の絶対輿望をにないまして、吉田内閣が成立しました最初の第五臨時国会におきまして、その当時の模様を思い浮かべるのであります。すなわちそのとき野党側は品をそろえまして、わが党の公約違反、公約たな上げの問題を盛んに論じたのでありまするが、そのときの最も急を要する問題は、すななわちインフレの克服である。インフレの克服こそ最も急を要する問題として、わが党が公約いたしておりました取引高税の廃止あるいは公共事業費の増額のごときはあとにまわしたのであります。この問題を公約たな上げとして、野党側は盛んに論じたのでありまするが、その結果はどうであるか。すなわち今日におきましてはインフレは完全に克服されたのではないか。われわれ国民の生活の目途もついたのではないか。 またさらに思い浮べますれば、あの行政整理法案をめぐりまして、主として社会党、共産党を中心とする労働攻勢、あのときの模様から考えまするならば、吉田内閣の崩壊は近きにありと叫んだのであります。しかしながら行政整理はいかにも円満に、しかも国民の支持を受けてこれが実現されたのではないか。まさに吉田内閣は国民に対する公約を着々と実現しておる。経済もすでに安定の緒についておる。わが党におきましては、地方自治の確立をその政策政綱のおもなるものとして掲げたのでありまするが、今日の地方自治の確立は口には叫んではおるのでありまするけれども、なかなかこれを断行するには勇気がいる。すなわち地方自治の確立のためには、地方財政の確立をはからなければならぬ。この地方財政を確立するためには、地方に自主的なる財源を與え、かつまた弾力性ある財源を與えるべきである。このことはおそらく片山社会党内閣でも、また芦田民主党内閣でも、とつくに、十分御承知のことであろうと思う。しかしながらつの大きな仕事をしようと思えば、そこに必ず多少の摩擦を生ずる。この摩擦を排してもなお断行するかいなかこそ、その政党の真面目であり、その内閣の生命でなければならぬ。この意味におきまして、このたび吉田内閣が、いろいろな困難な問題が予想せられる今日にもかかわらず、あえてこれを提案せられた。しかもこの間に処して本多国務大臣があらゆる苦難とあらゆる労力を費やされまして、この法案作成に努力せられましたことに対しては、甚大なる敬意を表する次第でございます。 さて今回提出せられましたこの法案を見まするのに、附加価値税、固定資産税、住民税の三税の新設を中心にいたしまして、府県税といたしましては、従来の入場税、遊興飲食税、それにさらに三種の税並びに市町村税といたしましては、自転車税ほか七種の税に統制せられた。このことはわれわれは看過すべからざる大きな問題であると思う。これまでの地方税を見てみますれば、国税は三十数種でありながら四千億、五千億の税金をとつておつた。しかるに地方自治体にありましては、百数十種の税目をあげながら容易にとれない。このことは、いやしくも目に触れ、手に触れるものは、ことごとく税金をとられるのだというような国民の感情を拂拭しまして、税金ぼこれこれのものだいう国民に対する安心感を與える。私は税の非常な進歩であろうと存ずるのであります。 この税の統制は、今後運営にあたりましては特別税等もありまするが、まさに国民に対して向うべきわれわれの税金は何と何をとられるのだということを、はつきり示すものである。この法案をめぐりまして各種の議論、学説、学界からいろいろな批判を受けておるのでありますけれども、しかしながらこの法案を長い間研究し、またつぶさに審査した者にとりましては、その声はまさに風声鶴唳あるいはまた犬虚にほえて万犬実を伝うというような観なきにしもあらず、およそ税の問題というものは、局所局所をとらえて論ずべきものではない、今日の国民負担の限度を考え、経済状態を考え、総合的に国税と地方税とを総合して考えるべきであると思う。 この点より考えまするならば、今日この地方税をめぐりまして、惡税だあるいは重税だと言う人の気が知れない、すでに国税におきましては、七百億を減税いたしたのではないか、これを今日地方税改正の結果、三百八十四億を増しているのでありまするけれども、その結果を国民の一人一人のふところについて計算してみまするならば、所得税、附加価値税、固定資産税、市町村民税、これを改正前の事業税、地租、家屋税、府県町村民税と比べてみますれば、勤労者におきましては約一割強の減税になつている。これは十万円の所得を標準として言つております。商業者におきましては約三割三分、工業者にありましては約一割、農業者に至りましては実に四割の減税になつている。およそ納税者から見ますれば、自分のふところの中にある札が、これは国税だ、これが地方税だという区別はない。これらを総合して納税者から言えばどれも同じだ、その負担の総合的見地からすれば、かくのごとく減税になつている。この事実をわれわれは忘れてはならない。およそ税金を新しくとろうという場合には、もとより理想といたしましては、各人各人に公平なる結果を生ずることは、これは好ましいことでありまするけれども、現実問題といたしましては、負担層がかわることはやむを得ない、ことに今回の附加価値税のごとき非常な画期的な税にありましては、よほど負担層がかわるということ考えなければならぬ。しかしながら負担層はかわりましても、これを全般的な立場から見ますれば、以上申し上げましたように、国民のふところぐあいがよくなる。たとえば地方に大きな工場を持ちながら、そしてその地方に非常な御迷惑をかけておりながら、従来の事業税から見るならば、あれは応能主義であるために、一文の税金も負担しておらぬ。しかしながらかくのごとき見地を離れまして、その地方に非常な迷惑をかけておるから、迷惑をかけておる範囲においては、それだけの負担をするのは当然だ。こういうような立場から、たとえば八幡製鉄所のごとき大きな工場が、今度の税制によりますれば、相当の税金を負担することになる。これは私はやむを得ないと思う。また今日住宅難の折から、大邸宅に住んでおる、これが今度の改正案によりますれば相当の税の増加となる、これもやむを得ないと思う。今までの因習にとらわれて、自分の收入があまりなきにかかわらず、税金がやすいために安居しておる大邸宅は、今度の税法によりまして、相当負担が重くなれば、さらにこれを有利なる方面に利用せざるを得なくなる。私は今度のこの税の改正は、一面からいえば税の社会化であると存じております。よく口に社会主義をとなえ、共産主義をとなえるその方面が、この新税に大いに反対せられておるその理由がわからない。国民はこの事実を冷静に見る必要がある。いたずらに煽動に応じ、あるいは何かわけがわからぬににわいわい騒ぐということは、国民としてまさに自分の立場を忘れた行動ではないかと存ずるのであります。 次にこの改正案の各方面に及ばす影響について、簡単に一瞥いたしまするならば、今度の地方税の改正案は三百八十四億の増税を来しておる。今日この増税ははたして時宜を得たかどうかというのが、問題の第一点であります。これは考え方によればあるいはそうかとも考えられます。しかしながら私はそう解釈しない。七百億のこの国税のうち、三百八十四億を地方に移讓しておるのだと解釈する。しかもこの三百八十四億というのは、これは政府御当局の説明によりますれば、大体今まで寄附金として地方において税以外に三百億ないし三百億とつておる。それは地方財政が維持できないからとつておる。これをこのたびの国税の地方移譲によつて、こういうことがなくなるであろうということを期待し得る。私はこの地方税が特に増税であるという意味の非難は、当らないと存ずるのであります。 さらに物価に及ぼす影響も、この委員会において種々論議せられたのでありまするけれども、物価にはなるほど少しは及ぶことを覚悟しなければならぬ。たとえば地代家賃のごときは、ある程度の値上りもやむを得ない。しかしながらこの問題は、わが国におけるところの物価体制全般にしかく重大な影響があろうとは思われない。たとえば価格差補給金の打切りの問題にいたしましても、その後の会社経営のよろしきを得れば、相当吸収できたではないか。私はこの税制の物価に及ばす問題は、反対者が叫ぶがごとくしかく重大な影響を及ぼすものとは考えられない。また各種の事業が今度の新税制によつて、まさに致命的な打撃を受けるということを叫ぶ人がある。しかしながら、これは新税の結果として、今まで利益配当がなかつたために、何らの事業税も負担しでいなかつたものが、今度の応益主義によりまして、ある程度の負担をするということはやむを得ない。しかしながらその反面には、従来非常に電税にあえいでおつた事業が、今度の改正案の結果、相当減税になるということも考えなければならぬ。これは各個人個人にわたる問題であろうと存ずるのであります。 さらにこの改正法案によりますれば、なるほど政府では千九百億を予定しておる。これはあまりとり過ぎるのではないかと憂うる人があるのであります。この点はわれわれも必ずしも看過できない問題であると存ずるのであります。しかしながらこれは今度の新税が大体において標準税率を中心にしておるということを忘れた議論ではないかと思う。すなわち府県あるいは市町村は、この標準税率によつて徴税する。もしもその府県においてよけいな収入があるにもかかわらず、この標準税率を固執してとるとするならば、それはその府県、市町村の議会の責任でなければならぬ。ほんとうに県民、市町村民に忠実なる県会あるいは市町村会であるならば、そうむちやな税をとるはずがない。私はこの問題については、しかく考えておるのであります。 また今回の改正にあたりまして刑罰が重すぎるということを言う。なるほどこの税違反に対する刑罰の條文は多い。しかしこれは各税目ごとに刑罰が異なつております。これはしかしながら政府当局の説明によれば、今までの法律は罰則として一番しまいに簡單に書いてある。法律専門家でなければわからない。これを、こういう税金については違反をすれば、どういう罰則があるかということが、税目ごとに一目瞭然となつておる。ちようどあちらこちらに階段を設けて便利になつたようなものと解釈すべきであるという説明があつて、われわれは了といたしたのでありますが、ことにこの改正にあたりまして刊の最高限を大いに減じたということは、われわれの要望をとり入れたものであると解しておるのであります。 以上私はこの法案についてり概括的なことを申し述べたわけでありまするが、要するにいかなる新税といえども、その税金によつて得をする者と損をする者が出て来る。損をする者から見れば、それは非常な惡税である。得をする者から見れば、これは良税である。これはおのおのその立場の相違であろうと思う。このことにつきましては、このたびの改正案は実施してみなければわからぬ部分が相当ある。私は実施しなければわからぬために、いろいろ議論することはやむを得ないと思いますけれども、これを論ずるのあまり、地方自治の確立という問題は、一刻もおろそかにすべきものではないと存ずるのであります。 以上私はこの法案について、何がゆえに賛成すべきであるかということについて、るる申し上げたわけでありまするが、しかし私はこの法案について手放しに賛成しておるわけではない。われわれが最も憂うるところは、かくのごとき画期的税制を一挙に実施しようとするところに、国民の混乱を来しはせぬかという点を憂えでおります。しかしながらこれは政府当局の指導よろしきを得るならば、その間の摩擦は大いに緩和せられるであろうということを期待しておる。またこの新税の実施の結果は、国民の各層各階に著しき負担の均衡を失するという問題も、出て来はせぬかということも心配しております。従つてこの改正案をもつて地方税の改正終れりとすべではない。この実施の結果を見て、さらに第二次、第三次の大改正をわれわれは期待しておる。 以上の意味におきまして、私は本案に賛成の意を表する次第でございます。(拍手)
○中島委員長 ほかに討論の通告はありませんから、これにて討論は終りました。 これより地方税法案について採決をいたします。原案に賛成の諸君は起立を願います。 〔総員起立〕
○中島委員長 起立総員。よつて本案は、原案の通り可決いたしました。(拍手) なお本案に関する報告書の作成については、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中島委員長 御異議がなければ、その通り決します。 これにて本日は散会いたします。 午後三時十分散会