P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
7回国会衆議院1950/05/01

大蔵委員会 第63号

発言数
47
登壇者
9
会派数
3
開催日
1950/05/01

会議録

川野芳滿自由党

○川野委員長 これより開会いたします。  昨三十日、本委員会に付託されました国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律案を議題として、まず政府の説明を求めます。水田大蔵政務次官。

水田三喜男自由党大蔵政務次官

○水田政府委員 ただいま議題となりました国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  昨年度におきましては、行政機関職員定員法の実施に伴う人員整理により退職した職員等に対しましては、特に一般の退職の場合よりは、有利な退職手当を支給する措置を講じたのであります。本年度におきましても、右行政機関職員定員法の一部改正、予算定員の減少等のため、相当数の整理退職者の出ることが予想されるのてありますか、これらの退職者に対しましても、前年慶同様に一般の退職の場合より有利な退職手当を支給することは、退職者の処遇に公平を期するために、きわめて必要なことであると考えられる次第であります。しかしながら、現行の退職手当に関する根拠法令である昭和二十四年度及び昭和二十五年度総合均衡予算の実施に伴う退職手当の臨時措置に関する政令によりましては、右のごとき一般の場合より有利な退職手当を支給することが不可能でありますのて、この際右の政令を廃止し、新たに法律をもつてこれを規定することといたし、本法律案を提出することとした次第であります。  次に、本法律案の内容につきましては、第一條に規定してありますように、昭和二十六年度以降におきましては、退職給与に関する新たな制度が、制定実施されることとなつておりますのて、本法律案といたしましては、さしあたり右に申し述べました政令の諸規定をそのまま踏襲することといたし、ただ本年度における整理退職者等に対しまして、前年度の行政整理の場合と同様に、有利な退職手当を支給し得る旨の規定を、附則に挿入することにとどめた次第であります。  以上本法律案の提案の理由並びに内容の大要を御説明申し上げました。何とぞすみやかに御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。

川野芳滿自由党

○川野委員長 これより本案を議題として質疑に入ります。内藤友明君。

内藤友明国民民主党

○内藤(友)委員 この改正法律案て、どれたけ従来よりも国家負担か多くなるのでありますか。それをひとつお聞かせいただきたいと思います。

東條猛猪大蔵事務官(主計局次長)

○東條政府委員 ただいま提案理由でも御説明いたしましたように、現在ポ政令が昭和二十四、五年度につきましては出ているのでありますが、それによりますと、普通退職の場合におきましては、一年勤続いたしました場合には十九日、それから本人の意思に反しました場合におきましても、二十五日にしかならないのである。そうして、最低保証と申しますか、勤務期間が比較的短かい方々につきましても、手取りの金額の月額しかもらえないというのが、現在ポツダム政令といたしまして、本法律を制定いたしますまで暫定的に出ておりますところの政令でございますが、提案理由の説明にも申し上げましたように、この法律案の通過をお願いいたしますと、最低保障の場合におきましては、勤続期間が一年未満の者でも一・五箇月、それから公団等を例にとつて申し上げますと、多くの公団は勤続期間は二年以上、三年未満になるのでありますか、この場合は二箇月半の退職金がもらえるということに相なる次第であります。なお勤務期間一年につきましては、普通の場合は十六日でありますのを、原則といたしましては三十日の割合で、退職金が出るということに相なつておるわけであります。これに基きます予算金額が、従来に比べてどうかという点でございますが、政府といたしましては、やむを得ずして退職せられる方の手取りの退職金は、従来に比してなるべく劣らないようにという趣旨から、予算の面におきましては、昨年度の行政整理程度の金額が通りましても、おおむね支弁できます程度の予算の退職金を計上いたしておりますので、国庫負担の観点から申しますれば、昨年度に比べましてさしたる増加もなく、むしろ退職者の整理人員か、昨年度の場合に比べまして減ります関係から、退職金の絶対額といたしましては、予算額としては減少いたしておるわけてあります。右に申し上げましたような一人当りの退職の手取り金額といたしましては、普通の場合と違つて、昨年の行政整理並の退職金を確保し、予算の金額におきましては、国庫負担の観点から申しますれば、昨年度よりは多くないという結果に相なる次第であります。

田中啓一自由党

○田中(啓)委員 ひとつ政府にお尋ねを申し上げたいのでありますが、この退職金に関する法律は、今後廃止をされ、あるいは整理ををされます公団について適用されるのみならず、すでに去る三月末をもつて廃止になつておる、たとえば食料品公団でありますとか、あるいは飼料公団というようなものがあるのでありますが、私どもの見解では、もちろんそれらにも適用されると存ずるのであります。その点に関する明確なる当局の御所見を伺つておきたいと思います。

東條猛猪大蔵事務官(主計局次長)

○東條政府委員  まことににごもつともな御質問であります。附則の第八項におきまして、この法律施行前に、昭和二十五年度予算実施上の要請により退職しました職員につきまして、閣議で定めるものに対しましては、第三項の規定にかかわらず、前二項の規定により計算した、一般の退職手当の額とするという規定があります。この第八項の規定を、御指摘になりました公団職員につきまして、どういうように適用して参るかという問題でありますが、御指摘の三公団のほかに、実はいろいろな公団で、町年の十月以降ただいままでに退職せられた方々がありますので、これらの問題につきましては、よく具体的に検討をいたしまして、この第八項を適用いたして参りたいと存じておりますが、ただいま御指摘の三月末に解散になりました三公団の、その当時の退職の方々につきましては、私どもただいま検討いたしております方向におきましては、この規定の適用があるということで検討いたしておりますので、さよう御了承を願いたいと思います。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員 私もひとつ伺いたいのでありますが、連合国関係の使用人は、この別表もあるわけですが、これと関係がありますか。これにつきましてもう一応御耐用を願いたい。

東條猛猪大蔵事務官(主計局次長)

○東條政府委員 御審議を願つております附則の第四項の規定によりまして、連合国軍のための労務に服する者の退職手当につきましては、「この法律の規定にかかわらず、この法律施行の日現在における額の計算方法、支給條件及び支給手続による。」という規定か設けられておる次第でありまして、従いまして連合関係の労務者につきましては、退職金が従来通りということに相なつておる次第であります。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員 もう一点お伺いいたしたいと思いますが、この国家公務員等に対する退職手当の臨時措置でありますが、将来を見越されまして、こういう法案をおつくりになると思います。従来のものは、すでにこの法律が施行になりますと廃止になるわけでありますが、ことに本年も昨年と同様に増額するということは、物価水準が上ろからという意味合いでありますか。それとも同情して昨年と同じようにやろうというお考えでありますか。この点を承りたい。

東條猛猪大蔵事務官(主計局次長)

○東條政府委員 実はただいまの提案理由にも、簡単にその気持は出ておつたかと思うのでありますが、退職手当については、御承知の通りポツダム政令か昭和二十四年度においても出ておりました。それから政府といたしましては、昨年の十月ぐらいから、何とか最近の情勢に即応いたしました退職手当の制度をつくつて国会の御審議を願いたい、こういう観点から、いろいろ関係方面の意向を何つておつたのでありますか、審議の途中におきまして、遺憾ながら当初政府におきまして考えておりましたような内容の退職手当制度は、実現か困難となりまして、やむを得ず昭和二十五年度のつなぎの法令といたしまして、ポツダム政令を公布せられたわけでありますが、その後も退職金制度のきわめて重大なことにかんがみまして、関係国務大臣が実は数回にわたりまして関係方向と折衝を続けられました結果、ようやくにいたしまして右申し上げましたポツダム政令か廃止せられまして、せめて昨年程度の退職金か交付せられることに相なつた次第であります。御指摘のように、この退職手当の制度を考慮いたすにあたりましては、生活費の指数というようなことは考慮いたさなければならない要素ではありますが、この法律案につきましては右申し上げましたような経緯で定まりました関係上、せめて昨年の程度までは確保いたしたいということから、そういう経緯に相なつておるのでありまして、従いまして法律の建前におきましては、生活費の指数とか、物価の指数とか、そういうものが反映できておるということは申しがたいのであります。  なお蛇足でありますが、第二條の第二項に「この法律は、昭和二十六年三月三十一日限り、その効力を失うものとする。」と相なつておりまして、この本格的な制度は、今申し上げましたような経緯から、第三項で退職給付と、恩給と、退職手当あるいは共済制度というようなものを、令部織り込みました新たな恒久的給与制度をつくらなければならないことに相なつておりますので、今後その研究の途中におきましては、ただいま仰せられましたようないろいろな経済事情を十分に考慮の上で検討いたして参りたい、さように考えおります。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員 もう一度お伺いいたしますが、今度新税法の施行にあたりまして、税務署等におきましては多少拡充しなければならぬという面かあると私は思うのであります。そういううな場合におきまして、老朽者はないはずでありますか、むしろ悪質と申しますか、あるいは思想的その他におきまして思わしからざるものがあつた場合におきましては、ぜひこの際整理をいたして穏健妥当にいたしまして、まことに優秀な官吏を採用してもらいたいと考えておりますか、それに対します用意がありましようかどうか。それをひとつ承りたいと思うのであります。

水田三喜男自由党大蔵政務次官

○水田政府委員 そういう点は考えております。この国税庁の定員問題では国会でいろいろ議論がありまして、国税庁の人員を増してはいかぬというのが一般の気持でございましたが、われわれとしては、どうしても国税庁の職員の質をある程度向上させる。そのためには優秀な人を入れて、そうして悪いと思われる人はやめさせる。そのためには時期的にはどうしても定員で縛られないで、一定の余裕をもらつておかなければ、新規に採用した人を訓練する期間がないということで、今折衝してある程度私たちの主張がいれられておりますので、その定員がきまりますれば、その範囲内において優秀な者との入れかえをぜひやりたいと思つております。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員 これに関連いたしまして、私が各地の税務署をまわつて見た経験では、国税局の方におられる方方は割合に訓練が進んでおりますから、民衆に接する態度もよく、研究等も割合スムースに行つておりますが、税務署へ行きますと、二箇年か三箇年末満の者が多いのでありますから十分なことができないで、中には権力の濫用をいたしましたり、はなはだしきに至りましては、身分をかさに着るという点かありますから、十分慎重にしてもらいたい。同時に各税務署も、現在地方の国税局に勤務しておる者ぐらいの素質と内容と経験を持ちました者を、充当するようにしてもらいたいと思いますか、これについてひとつ政務次官のお答えをいただきたいと思います。

水田三喜男自由党大蔵政務次官

○水田政府委員 御承知の通り、税務署は今人手が足りませんために、ほんとうの職員よりも臨時の職員か多く、総評六万以上に上つておるのであります。従つて末端の税務署には、御指摘のような署員が非常に多いのであります。それで今税務署員のために訓練所をつくつて、そこで訓練された人を順次第一線に配置するということをやつておりますので、一、二年の間には相当素質が違つて来るのではないかと考えております。

河田賢治日本共産党

○河田委員 この法案は、今度の行政整理によつて退職する者、前にはポツダム政令の規定に基いて、いろいろ退職の條件をきめておつたのでありますが、大体どういうところに算定の基準を置いてなされたのか。たとえば、今日の失業者の就職するまでの期間はこれこれである。だからその生活をささえるにはどうしてもこれだけいるとか、また勤続年数を加重したものとか、あるいは民間産業との比較をとつておやりになつたものか。その基準を御説明願いたいと思います。

東條猛猪大蔵事務官(主計局次長)

○東條政府委員 本法律案の作成に至りました経緯につきましては、先ほど申し上げました通りでありまして、本格的な制度につきましてはいろいろの観点を加味し、また考慮いたしまして、昭和一十六年度に新たな退職金の制度——それも恩給とかあるいは共済とか、そういうものと総合勘案いたしました一体的な制度を、つくらなければならないと思うのでございますか、昭和二十五年度の退職金の措置といたしましては、昭和二十四年度の行政整理当時の待遇の程度をぜひとも認めたいという点からすでに出ておりますポツダム政令を廃止いたしまして、せめて前年度程度までは行きたいということから、この法律案の附則ができ上つておる次第であります。従つてこの法律案におきましては、今いろいろお話がございましたような観点からと申しますよりは、むしろそういう経緯からその退職手当の基準が定まつておるというふうに、御了承願いたいと思うのであります。

河田賢治日本共産党

○河田委員 今度の行政整理で相当人が減るわけでありますが、ここにお出しになりました退職手当の支給額は、予算に完全に組んであるわけてすか。またその額はどのぐらいでありますか。

東條猛猪大蔵事務官(主計局次長)

○東條政府委員 行政機関定員法におきまして、相当数の人員の減少を定めておるのでありますが、申し上げるまでもなく実際に退職せられる方は、定員法の表面に現われておりまする数字よりは低いわけであります。政府といたしましては、定員法によりまする減少の人員を極力配置転換により措置いたして参りたい、なるべく退職者の数は少くしたいという観点から、ただいまいろいろと検討をいたしておる次第であります。従いまして、申し上げまする計数も推算の範囲を出でないわけでありますが、一般公務員におきまして五千人見当退職を願わなければならないのではなかろうか、こういうふうな計算をいたしておるのであります。くれぐれも申し上げておりますように、これは一応の推算でございまして、今後配置転換その他によりまして、実際の退職者の数はなるべく少範囲に食いとめたいという考え方でいたしております。その程度の人員でございますれば、現在の予算の中で十分まかなつて行けると考えております。

河田賢治日本共産党

○河田委員 この退職手当には、金融公庫とかその他一切の整理機関が入つておるのですか。

東條猛猪大蔵事務官(主計局次長)

○東條政府委員 御審議願つておりまする法律案は、それらの方々にもすべて適用があるわけであります。

川野芳滿自由党

○川野委員長 ほかに御質疑はございませんか——なければ本案に対する質疑は打切りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川野芳滿自由党

○川野委員長 御異議がないようですから、本案に対する質疑は打切ることといたします。  本案を議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。河田賢治君。

河田賢治日本共産党

○河田委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律案に、反対の意を表するものであります。  今日お出しになりました法案は、大体二十四年の政令二百六十三号あるいは二百六十四号によつて、今度の行政整理に対して特別な措置を講じようというのでありますが、現在の官公庁職員一般の給与は、人事院が指摘しました通り、民間産業よりもきわめて低い状態にある。そのために各公団あるいは会計職員、税務署におきまして、いわゆる役得とかその他職務の怠慢ということが起つているので、国家公務員の実質的待遇改善をはかることが必要な段階にあるのであります。この法律によりましても、民間から比べますればはるかに低額でありまして、行政整理によつて首を切られたものが再び職を得るということはきわめて困難な今日、この程度の支給では生計を保つことはできがたいのであります。従つてこのようにきわめて不十分な法案に対しては、われわれ賛成するわけに行かぬのであります。われわれは、公務員諸君の実質上の給与の引上げ、並びに生活すべてに対する社会保障制度の一般的なものの一部として、退職問題あるいはその他の問題を解決すべきであるという立場から、本案には反対するわけであります。

川野芳滿自由党

○川野委員長 田中啓一君。

田中啓一自由党

○田中(啓)委員 私は自由党を代表いたしまして、本案に賛成をいたすものであります。そもそもこの法案は行政機関職員定員法の一部改正、あるいは予算定員減少等のために、今年も相当数の整理退職者の数を予想されるのでありますが、これらの人々に対しまして昨年度は臨時措置によりまして、一般の退職規定よりも相当厚いところの待遇ができたのでありますが、昨年の臨時措置法の法律は失効いたしておりますので、何らかの措置を講ずるにあらずんば、その後に退職した人々はたいへんに不公平な待遇を受けることになるわけであります。政府の方々の非常な御努力によりまして、ここに昨年度同様の待遇ができることになりましたのは、まことに喜ばしいことであると私は思うのであります。ただいま河田君からはどうもあまりに少いのじやないか、こういう反対であつたのでありますが、これは現実を十分に認識し、かつまた公平の見地から、昨年度との均衡をとりまして待遇いたすのか、適当であると存じますので、かような反対論は私はただ理想論をおつしやつたにすぎないものであると思うのであります。かくのごとき理由をもちまして、本案に賛成をいたすのであります。

川野芳滿自由党

○川野委員長  討論は終局いたしました。  これより本案を議題として採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕

川野芳滿自由党

○川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————

川野芳滿自由党

○川野委員長 次に去る四月二十八日本委員会に付託されました特別未帰還者給与法の一部を改正する法律案を議題として提出者より提案の趣旨説明を求めます。提出者淺岡信夫君。

淺岡信夫自由党

○淺岡参議院議員 ただいま議題になりました特別未帰還者給与法の一部を改正する法律案の提案理由の説明をいたします。  特別未帰還者給与法は、一般の未帰還者に、原則とし(軍人軍属であつた未帰還者と同様の給与を与えることを、その内容といたしておるものであります。そのうち公務員たる未帰還者については、未帰還中において災害が発生した場合は、公務災害保障の適用が受けられない実情にあり、従つてこれらの人は一般の特別未帰選者と同様の実情に置かれながら、帰還後特別未帰還者給与法の適用を受けられないという不均衡が生じているのであります。ところが、シベリア地区から帰還して参りました公務員の中には、朝鮮総督府、樺太庁などのように、すでに庁をとざされだ官庁に所属していた者か相当数あるのであります。これらの公務員は、昭和二十一年に制定されました外地官署所属職員の身分に関する勅令によりまして、帰国後一箇月間公務員たる身分が継続するだけで、あとは他へ就職しない限り生活の保障はないことになつているのであります。もし現在の第三條をそのまま適用いたしますと、これらの公務員は、帰国後、一箇月の俸給をもらつたばかりに、特別未帰還者給与法の適用を受けなくなり、病気で帰つて参りましても、療養費とか障害一時金とかの給与、埋葬費をも受けることができないことになるのであります。現在も存続している官庁に所属していた公務員は、労働基準法による補償、共済組合法による補償を受けて療養することができ、また公務員以外の特別未帰還者は、この法律による療養費、障害一時金の給与を受けて療養することができるにかかわらず、廃止された外地官署に所属していたことだけの理由で、これらの公務員であつた者だけが何らの補償も給与も受けることができないのでは、公平を失し、せつかく特別未帰還者給与法を制定した趣旨が徹底しないことになるのであります。よつて現行第三條を改めまして、国または地方公共団体から俸給または扶養手当を受ける者に重ねて支給しないのは、この法律による俸給または扶養手当だけであることを明記いたし、療養費、障害一時金等の給与並びに埋葬費を受けることがてきるよう措置いたしたのであります。  大体本案に対しましての説明は以上のようでございます。

川野芳滿自由党

○川野委員長 本案に対する質疑はございませんか——三宅則義君。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員 今淺岡参議院議員から御説明かありました特別未帰還者給与法でありますが、これは本会議でもたびたび議論されておりますが、まだ相当数帰還していない人があるわけです。これについて政府はどういうふうに考えておりますか。もしくは提案者はどうお考えになつておりますか。この際参考に承りたいと思います。

淺岡信夫自由党

○淺岡参議院議員 大体数の問題につきましては、向うに残つておる人ということになりますと、これはなかなかはつきりわからぬのであります。こつちに一応帰つて来た人、今度の一部改正されました点について適用されるという人は非常に少いのであります。今までの調査によりますと、二十四年度は三十人くらい、二十五年度になると五十人くらい、合せて八十人くらいになるのじやないか。その金額にいたしましても、ほんのわずかの八千万円程度のものであります。今向うに残つておる人ということになりますと、これはちよつと私にはわかりません。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員 これに関連をいたして、はなはだわからぬことを聞いてはわからぬわけでありますが、私どもは相当数の人が死亡しておるのじやないかというふうに想像するのであります。これは判明したわけではありませんが、ある程度まで死亡とかその他によりまして、未帰還になつておるのじやないかと思いますが、それについて御感想がありましたら承りたいと思います。

淺岡信夫自由党

○淺岡参議院議員 それは過日参議院の特別峯員会において、徳田書記長を証人に喚問いたしましたときに、たまたま二月四日と思いますが、放送討論会におきまして共産党を代表した神山茂夫君が、ソ連地区で死んだ者は大体二十七万だろうということを言つておる。そこで三月十六日の徳田書記長喚問の際に、それを証言として求めたのでありますが、徳田証人は、それはどうもわれわれの党としては責任もてないということでありましたから、それはおかしいじやないか。少くとも共産党を代表して政党討論会に神山君が出て、現在死んでいる者は大体二十七万と予想されるということを言つておるのに対して、党として責任を持たぬということになると、神山君は党の代表者として政党討論会に出たのではないかと言つたところ、ああいう場合にはとつさの場合に言うのだから、とつさの場合に二十七万と言つたかもしれないが、それは責任は持てぬというようなことでありまして、大体今まで参議院におきまして、十数回にわたる証人の喚問、五十名、あるいはさきおとといまで入れますると、約六十五万人にわたる証人の証言をとつて参りました。ある收容所におきましては二月の間に一割六分が死んでいるということもありますし、はなはだしいところは千名くらいおつたうち約六百名死んだというようなところもあるのであります。もちろんこれは入ソした当初から一箇年くらいの間において、どんどん死亡をしたというようなことを言われておりまして、実際これは昨日の全国の引揚者が集まつてやりました大会、あるいは連絡会議におきましても、なかなか議論の出た問題でありますが、何としても的確なものをソ連側て知らせない限り、日本側としてはわからぬわけであります。しかし一応私どもがいろいろな点から聞いております意見は、今六万人くらいの死亡者というものを近く厚生省において、あるいは復員局でとにかく発表されるのではないかというふうに聞いておりますが、それはまあ大体そういうような状態であります。

三宅則義自由党

○三宅(則)委員 くどいようですが、もう一つ参考にお聞きいたしたいと思います。もちろんこれは引揚げて来た人の言から承ることが割に正確に近いのではないか、かように思います。引揚げて来た人は自分の友達がどこにおつたかということを知りておりますから、あなたは引揚げの委員長でありますから、明細に調べておると思いますが、相当数は確かに死亡したということは想像し得られるわけであります。こういうものに対しましては国際的に問題が起ることでありまして、淺岡議員に聞くわけではありませんが、ある程度までこういうものを調べるようにお願いをいたしたいと思います。

淺岡信夫自由党

○淺岡参議院議員 これは昨年のことを申し上げてはなはだいかかがと思うのでありますけれども、ちようど昨年の五月の二十日にタス通信からすでに皆さん御承知のように、従来ソ連に残つておる者は五十九万四千人だという発表があつたのであります。そうして四十一万人千百六十六人を当初から今日までに返した。それから現地で七万八百八十人を解放した。残りの十万四千九百大十四名というものは、そのうち九万五千名を六月から十一月までに返す、残りの九千四百六十四名は戦犯その他で返すわけに行かぬということをタス通信によつて発表された。私はさつそく当時厚生省におつたものでありますから、復員庁の吉積事務官とともに留守業務部に行きまして、一切を調査したわけであります。もちろんその前に舞鶴に参りましたり、あるいは函館へ参りましたりして、そういう問題に対しては内容は聞いておりますが、しかし何と言つても千葉の留守業務部が一番わかるというようなことで、数日実態調査というものを見たわけです。そのときに、部屋の大きさと言いますと、この委員会の部屋の三倍くらいある部屋で、そこでずつとカード組織になつていて、約千七百名近い人が従事しております。そのカードを扱つている人は婦人が多いのです。婦人はどういう種類の婦人かと閥きますと、留守家族の人であつたり、遺族の人であつたりするそうですが、その婦人たちに聞きますと、こうやつてカードをいじつているうちに自分の夫が出て来はせぬか、あるいは自分のむすこが出て来はせぬかというので、時間などにかまわずに、ほんとうに真剣にやつている。その姿を見まして感激いたしました。そこで聞きますと、大体鈴木三郎といつたような名前は全国で約二万六千からある。東京都だけでも約八百六十六人からあるというようなことで、地域的に鈴木のすの字が出ればどこの県のどこの村の人かということで集約してやつておる。私は今日本政府がやつておりまする千葉留守業務部のいろいろな仕事を見まして、向うに残つておる人、帰つて来た人の数字を調べることは容易なわざではないと思いましたが、この容易なわざでないことを、とにかく日本の政府としてはやつておるということに対して、非常に敬意を持つたわけであります。さらにその中で死亡者ということになりますと、これは向うから帰つて来た人に、あなたの知つておる範囲の人を書けというので、これはまあ覚書というようなものを舞鶴あるいは函館でやらせます。さらに各都道府県世話課でやつておるわけであります。そういうわけて、二人以上の確認者、あるいは三人以上の確認者があつたというときに、それをさらにあらゆる角度から町村で詞べる。そうしたして確認書を渡すというのを実際に見たわけであります。そうして自分としてはそれを見て、容易ならない仕事だというふうに思つております。さらに今度は昨年帰還者から証言を求めたときに、民主グループにいた高山君かと思いますが、あるいは名前は違つておるかもしれません。その証言によりますると、向うでは死んだ場合には五通の書類を書く。その一つは万国赤十字、その一つは司令部、もう一つは日本政府、あとは現地と、それからソ連に残して来るというようなことを言われた。しかしそういうことは実際になされておらぬではないかと言いますと、いや、自分たちはそういうふうにしておるものだと思つておつたというようなことを言つておりました。  さて今の御質問でありますが、ソ連地区におるところの死亡者の有無の問題につきましては、申し上げれば際限のないことでありますが、根本は向うで発表しない限り、こちらではわからぬということでありまして、さよう御了承願いたいと思います。

河田賢治日本共産党

○河田委員 今淺岡さんから御説明がありましたが、ソビエトで死んだ者が約六万くらいあるらしいというのですか。残つておる者が六万というのですか。

淺岡信夫自由党

○淺岡参議院議員 ソビエトで死んだ者は六万、中共地区、ソビエト地区一帯を含んでおるか知りませんが、私の聞いた範囲では、ソ連地区から帰つた者の確認書といいますか、そういうようなものを出さなければいけないのだというものは、六万人くらいおるのだというふうに聞いております。

河田賢治日本共産党

○河田委員 これはやはり外務省なり、あるいは厚生省あたりからの御発表ですか。

淺岡信夫自由党

○淺岡参議院議員 いや発表ではありません。私どもが留守家族なり、あるいはいろいろなところから聞いたものを総合すると、そのくらいになるのではないかというのであります。

川野芳滿自由党

○川野委員長 ほかに御質疑がなければ、本案に対する質疑を打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川野芳滿自由党

○川野委員長 御異議がないようですから、本案に対する質疑は打切りといたします。

北澤直吉自由党

○北澤委員 特別未帰還者給与法の一部を改正する法律案につきましては、討論を省略しまして採決せられんことを望みます。

川野芳滿自由党

○川野委員長 北澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川野芳滿自由党

○川野委員長 御異議ないようですから、本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕

川野芳滿自由党

○川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午前十一時四十一分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗