大蔵委員会 第20号
- 発言数
- 153 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1950/02/25
会議録
○前尾委員長代理 これより会議を開きます。 前会に引続き税法六條を一括議題として質疑に入ります。三宅君。
○三宅(則)委員 私は今回提出されました法人税法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、富裕税法案並びにその他の案につきまして、大臣がおいでになりましたときに根本的の意見を聞きたいのでありますが、幸いに当局者の平田主税局長がおられますから、平田局長に質問いたしたいと思います。 その前に私は一つ言いたいことがあるのでありまして、この点につきましてはよく了承してもらいたいと思います。私どもは今回のシヤウプ勧告案に伴う税制改革案に対しましては、希望と熱意を持つてわれわれの希望する通りにやつてもらいたい、こういう観点からわれわれは常に政府に要望いたしておつたわけであります。幸いに一部分は取入れられておりますけれども、なお私どもが現段階におきまして、ぜひともやつてもらわなければならない点が相当にあるのであります。まず最初に概括的に質問いたしまして、次に本問題に入りますから、さよう御了承願いたいと思います。 こまかいことでありますが、地方におきましても農業所得者もしくは水産業者、いわゆる原始産業に属すべきものにつきましては、特に物品税をはずしてもらいたい、こういうことを前国会からもたびたび要求いたしておりまして、一部はいれられたものもありますが、なお一部分はいれられないものもありますので、これらに対してなぜ今回の国会に御提出にならなかつたのかということを最初に聞いておきたいと思います。
○平田政府委員 今回の改正案につきましては、昨日大臣からも御説明いたしましたように、できる限りシヤウプ勧告に対しまして日本の実情に即応するような、それぞれ調整を加えて提案いたした次第でございます。それで所得税、資産再評価その他各面におきまして、そういうような点は相当実現できていると私ども考えている次第でございます。今お尋ねの物品税の点でございますが、物品税につきましては先般の国会で御決定を願いまして、これを一月から実行したばかりであります。最初この前の国会に提案いたしました際にも申しました通り、実は今年は前回の補正予算と二十五年度の本予算は、方針として大体において一括して決定いたした次第であります。従いまして物品税といたしましては、去る一月から実行しました改正案をもつて、二十五年度においてもそれで行くという方針のもとに大体立案いたしましたので、今回は物品税につきましては、政府としては特別な改正はいたさない。昭和二十六年度におきましてはさらに一層財政事情に応じまして、それぞれ検討すべき点はあろうと思いまするが、その際は物品税につきましてもさらに一段と研究してみたい、かように考えております。
○三宅(則)委員 政府当局の穏便的な御答弁でありましたが、特に原始産業である農産物に属しまするお茶について、私ここに見本を持つて来ておりますが、参考にひとつ申し上げておきたいのは、ここに碾茶と緑茶とありますが、碾茶に三割の税をかけて緑茶の方は無税にする。これはどうも受取れぬのであります。私考えまするのに、これはわが党からも主張しておりまするが、場合によりましては相当数量免税点を引上げる、こうすることが第二次的の改正案に対しまする穏便な処置であると思いまするが、これに対して主税局長は用意を持つておられるかどうか承りたい。
○平田政府委員 碾茶の問題につきましては、たしか前会でも三宅さんと意見の交換を行つたように記憶しておりますが、大体私ども物品税につきましては、原始産業なるがゆえにという観点はそう重視すべきではございませんで、やはりその物品の消費の性質いかんという点が、物品税を取上げられる場合の最大の原則でございます。さような観点からいたしますと、一部の地方では確かに碾茶が緑茶と同様に消費されているところもあるようでありますが、全国的に見ますと消費状況が大分違う。そういう点に着眼しまして、税率五割を三割に下げまして、三割で課税することにいたした次第でございます。従つてこれは一月から実行いたしたばかりでございますので、私どもといたしましては、これをすぐまた改正するつもりはございません。二十六年度におきましては、物品税全体をどうするかという問題と関連してよく研究してみたいと考えます。
○三宅(則)委員 今政府当局は二十六年度予算のときには免税点の引上げもしくは改正案を出す、こういう言質とまでは行きませんが、その希望を承つたのでありまして、私どもは国会議員といたしまして、特に地方の経済並びに中央の経済を関連せしめまして、ぜひさつそくこの改正案の提出されんことを期待すると同時に、今申しました物品税に対しまする免税点というものは、政府の政令である程度できると確信しておりますから、どうぞひとつ十分に民意を尊重せられまして、この免税点の引上げによつて日用雑品——衣料でありますとか、食品でありますとかについては、一段と政府の猛省を促したいと思う次第でございます。 次にお伺いいたしたいと思います事柄は、今回の改正法案に対しまして、私は現段階におきます日本の民度というものから考えまして、どうしても政府が一方的に税金をきめるということは、はなはだ行き過ぎであると考えております。われわれが選挙区をまわりましても、あるいは各府県をまわりましても、ややもすると、これは平田局長も御答弁になつており、ここに速記録がありますが、若い二十二、三歳の青年で、二、三年の経験の者が第一線に立つて、われわれの所得を決定し、租税を決定いたしております。こういう段階におきましては、はなはだ行き過ぎがあると思いますから、私の根本理念であるところの民間業者をひとつ入れて、今回の改正案に織り込んでもらいたいということを強く要望いたしておいたのですが、これに対します政府のお考えを承りたい。
○平田政府委員 税務の運用がいろいろ問題が多いということは、三宅さん御指摘の通りでありまして、私どもといたしましてもいかにしてこれを改善するか、非常な苦心をいたしておる次第でございます。その根本は御指摘の通りやはり職員の素質と能力の向上をはかるというのが問題でありまして、私どもとしましてこれにつきましてはあらゆる策をいろいろ考えておるわけでございます。最近におきましても新たに職員を採用する場合におきましては、年齢が相当以上でありまして、そして高等専門学校以上の学歴を有する者の中から優先して採用する。しかもこれも相当嚴重な試験を行つて採用するということにいたしたのでございます。先般実行いたしました結果にかんがみましても、相当多数の応募者がありまして、優秀な人材が集つて来たようであります。将来におきましては現在いる職員の訓練を十分行いますと同時に、採用の場合におきましてはさような方法をさらに継続いたしまして、十分素質の向上をはかつて行くようにいたしたいと考えております。なお民間から入れたらどうかという話でありますが、今申しました試験には民間の経験のある人も相当応募しまして、採用されておるのもあるようでございます。御指摘の点は、場合によりましてはあるいは委員会等を設けまして、そこでいろいろ問題を審議したらどうかというようなことにも関連するかと思いますが、この点は今回新しく協議団の制度を設けることにいたしたのであります。この協議団の制度を設けるにつきましては、民間から選出されました委員といつたような組織にするか、あるいはやはり専門の官吏というような身分のものとするか。この点につきましては政府としましても十分な論議を闘わし、シヤウプ使節団との間におきましても、十分意見の交換を行つた上できめたのでございますが、考え方の基本としましては、責任のある仕事をやらせる上におきましては、やはり専門の官吏がいいだろうという結論になつたのであります。そのかわり今申しましたように官吏を十分育て上げて、しかもほかの仕事をあまりやらせないで審査の適正な処理ということだけを、主として担当してやらせるということになりますと、おのずから納税者の立場も十分擁護するようなことになつて来まして、運用がうまく行くんじやないかというようなことを考えまして、かような組織に相なつたのでございます。そうしましてこの協議団の組織につきましては、目下具体案を国税庁の方で研究いたしておりますが、できる限り民間で相当の経験のある人を試験等の方法によつて採用しまして、そういう者を協議団の中に相当入れて、そこでできる限り適切な処置をするようにとりはからつて行きたい、かように考えておる次第でございます。
○三宅(則)委員 今主税局長は官吏の協議団を設ける、こういうお話であります。同じ穴のむじなであつて、やはり私はよろしくない。原案を税務署長なり税務官吏がつくるのはけつこうでありますが、私の案としてはこれの最後の決定をするのは委員会制度を設けて、各町村から十五名ないし二十名くらいの所得税調査員に類するような委員を公選もしくは選任いたしまして、これらの者を中心にやるということにいたした方がよろしいと考えますが、これに対しては政府はどうお考えでありますか、伺いたい。
○平田政府委員 結局專門の官吏がよいという一番の根拠は、大体かように考えておるのであります。もともと所得の調査というものは、適当にさばくとか、常識でさばくという性質のものではない。あくまでも所得を計算するには基礎になる事実を調査しなければならない。所得があるかないかについては収入が幾らあるか、経費が幾らかかつておるかということが基本でありまして、その事実を必ず的確に調べるというのが最も適正な課税の基礎でございます。この事実を明らかならしめるというのは、今度の青色申告の制度と帳簿の記載をできるだけ正確にしようというところにあるわけでありまして、税務の将来の行くべき方向は、あくまでも納税者としては事実を明らかにしておく、税務官庁としては事実をよく調査した上で適正な判定をするのが基本であるべきでありまして、常識なりあるいは一般的な知識からあなたの負担額はこれくらいが穏当だ。そういう見地から課税額を適当にきめるということは、本来行くべき道ではないと考えるのでございます。そういう点から行きますと、民間の委員等の方にお入り願つてよろしくさばいてもらうといつたような方法、これは確かにそれによつて解決する場合もあろうと思いますが、将来行くべき方向としては本筋ではない。そういう点を考えてむしろ本筋に向つて進もうというのでございます。ただその調査を担当した職員をして審査の処理をいたさせますと、その立場にとらわれるおそれがありますから、同じ官吏でも審査の処理だけに專念して当る官吏にいたすつもりであります。そういたしまして、幾人かのグループをつくりまして、そのグループが協議した上で判断を下してさばいて行くというような組織にいたしますれば、ある程度委員会の長所も取入れまして、公正な審査の決定ができるようになる。かように考えておるわけであります。
○三宅(則)委員 幸い国税庁長官がおいでになりましたから、お二人に質問いたしたいと思います。第一の構想として、平田局長は、公平にやるには個人個人の所得を算定いたして、しかる後に決定するのが適当であろう。まことに私もそう考えます。しかし現在の国民の民度はそこまで行つていない。平田氏の仰せにたることは二、三年後に適用されることであろうと思いまして、この二十四年から二十五年度にかけます点においては、まだ私の申した方法がかなり重要な地位を占めておるのじやないかということを申し上げておきたい。 次にそれに関連して高橋さんにお伺いしたいが、高橋国税庁長官は課税の負担を最も公平にやろうということを仰せになつておられるのであります。ところで一つ例がありますが、その例を参考に申し上げまして、いかに各税務署がことごとく間違つておるか、もしくは公平でないかということを御指摘申し上げたい。私は愛知県岡崎の税務署におきまして、ガラ紡に対して一台に三十万円を決定しておる。豊橋においては十万円という決定をしておる。一宮においては二十万円、一台のガラ紡機械に対するこういう計算の基礎をやつておる。してみますと岡崎は三十万円、一宮が二十万円、豊橋が十万円、同じ府県にあり同じような製造能力を持つておりながら、これが違つておるのでありまするが、こういうように各税務署ごとに違つておるということについては、はなはだ穏健でないと思いまするが、国税庁長官はどういうふうにお考えになつておられるか、承りたいと思います。
○高橋(衞)政府委員 所得の調査は御承知の通り、ただいまのガラ紡の問題について申し上げますと、各区の事業をやつている方について、個々に調査して行くのが筋道でありまして、その結果平均的に見ますと、そういうような数字が出たのではないかと想像されるのであります。御承知の通り同じ機械でありましても、その土地の原材料の入り方、操業時間の関係または能率の関係その他各般の情勢によりまして、おのずから変化があるのは当然でありまして、その結果が必ずしも一致しないというのが普通の状態であるかと思うのであります。しかしながらもしもその結果において、三十万円あるいは十万円というような非常に大きな開きができることについて、確実な理由がない、一常識的に考えても実態から離れているというふうなことがありますれば、これはどういたしましてもさらに調査を進めまして権衡をとる、また正確な所得を把握することに努力が拂われなければならないと存ずるのであります。
○三宅(則)委員 今高橋国税庁長官は、われわれに対して御同情あるような答弁をなさつたと考えます。先ほど私は愛知県について申し上げましたが、愛知県ばかりでない。埼玉県、宮崎県、鹿児島県にいたしましても、往々にしてかような例がある。私は本国会に対してひとつ参考に、代表的な税務署長を呼んで、われわれと一問一答、並びに政府当局者と一問一答してもらつて、これがはつきり民意を代表しておるかどうかということを一ぺん調べたいと思いますが、これに対する御用意ができますか承りたいと思います。
○高橋(衞)政府委員 御承知の通り、ただいま申告所得税の更正決定をやつておりまする際でありまして、しかも納税者の真の所得を把握し、公平を保つということにつきましては、税務署長は今日ほど重要な時期にあることはないのでございます。従いまして具体的にどうしても御調査になりたいということでございますれば、もちろん呼びまして、いろいろ御質問に答える道をつくりたいと思うのでありますが、大体三宅さんも同じように税のことをよく御存じでありますから、今非常に忙しい、大事な時であるということも御了承願いたいと思います。
○三宅(則)委員 この件については私の選挙区から何百通という異議申請が来たり、三宅君は大蔵委員だそうだ、大蔵委員であるならば、このくらいのことはわかりそうだ。公平にやれということをよく言つてもらいたい。こういう請願、陳情、はがき、手紙が山積しておる。これはあえて私だけではないと思うのです。これは速記録にも載つておりますが、十二月二十二日、この国会において私は高橋国税庁長官に質問しておる。年末年始は手心を加えて、差押えとか競売とかあるいは強制執行というようなことはやらないようにということを発言いたし、長官もこれを了承せられた。ところが近ごろになつては年度末になりますが、一齊に強硬に、差押えだとかあるいはその他のことをやつておる。これにつきまして、政府といたしましては、年度末が近づいたからびしびしやるというようなお考えでありましようか、また適当に、早く異議の申請をした者については見てやつて、課税が適当であるかないかということを検討いたしてから、もし課税が不適当であるということになつた場合においては、早く直してもらいたいと思うが、これらに対しまする御構想なり御試案を承りたい、かように思います。
○高橋(衞)政府委員 御承知の通り、今年度は昨年度に比較いたしまして、諸税の早期徴收という点から行くと、非常に成績がいいのであります。従いまして今年度の予算を、是が否でも確保しなければいかぬというような状態には全然ございません。むしろいかにして所得の実態を把握し、いかにして紛争を少くして、納得して納税をしてもらうかということが、現在の最大の問題でございます。そういう見地に立ちまして、年度末でありますから、この際強硬に徴税を実施するというふうな考え方は持つておらないということを申し上げまして、御了承願いたいと思います。
○三宅(則)委員 私どもが各税務署をまわつてみますると、この法律は国会でつくつたんだから、異議があつたら国会に言いなさい。こういうようなことを言われる。もちろん戰時議会、翼賛議会等におきまして、戰時立法が立案されたわけでありまして、命を捧げる、全財産を奉納するんだという観点から出ました法律であると考えておりまするが、今回の改正案によりまして、そういうようなまことに悲しむべき越権行為はなくなるべきものと思つております。私はここに国税庁長官と平田主税局長を並べまして、質問したい点がある。今までの納税者の確実な申告があつた場合はもちろんでありますが、多少誤りがあり脱落があつたという場合におきましては、物品税においては五倍ないし十倍をかけておる。そのために、もちろん会社の内容が惡かつたのでもありましようが、つぶれたものもある。こういうような実情から考えまして、私どもの観点からいたしまするならば、すみやかにこれを調査せしめて、惡いことのないように善導するのが、税務官吏の仕事でなければならぬ。ところが何でもかんでも強制執行してしまう。昔は警察官吏がこわかつた、近ごろは警察官吏ではない、税務官吏がこわいということを言われておりますが、これに対しましては、平田局長は先ほど仰せになりましたが、国税庁長官はどういう考えをもつて部下を監督しておるか、これを承りたい。
○高橋(衞)政府委員 税の徴收に関しましては、もしも税務官吏の数が非常に多くあれば、お話のように個々の方方について具体的に調査をせしめて、もつぱら指導的な方法でやつて行けるかと思うのであります。しかし中には惡質の脱税者もございますので、ことに、今日それらの各納税者について、全部調査することは非常に困難であります。一面において、惡質な方の脱税の処分をいたしまして、それによつて一般に警告し、同時に納税成績を上げようという事柄も、並行して行わざるを得ないかと思うのであります。しかしながら私どもの心持といたしましては、善良なる納税者につきましてはどこまでも納得を求め、指導的な立場においてやつて行きたいと考えております。
○三宅(則)委員 私は今回の改正税法によりまして、罰金に類するものがたいへん安くなることになりまして、これには大賛成である。ところが昭和二十四年度というものは、まだこの三月三十一日まで続くものと考えておる。しからば三月三十一日に至りますまでのものにつきましては、やはりむごたらしい日歩二十銭、あるいはこの前の税法をそのまま適用されるのか。これは何とか考える必要があると思いますが、平田主税局長からお聞きしたい。
○平田政府委員 二十四年度以前の分につきましては、二十五年の三月三十一日までは旧法によりましてやります。それ以後は、古い分につきましても、それぞれ新法によつて計算されるものと思います。
○三宅(則)委員 主税局長はたいへんいいことをおつしやつた。私どもから申しまして、はなはだ恐縮に存じまするが、たとえて申しますると、法人税におきましては、昭和二十一年もしくは二十二年度のものを今更正決定をしておる。いわゆる二十五年の二月までは、二箇年半分の追徴税、加算税をとつておりまするが、こういうものに対して、かりに四月になつて更正決定された場合においてはどういう計算になりましようか、承りたい。
○高橋(衞)政府委員 二十五年の三月三十一日まではと申しましたのは、その日までの計算に対しましてはすべて旧法でやる。それ以後の日割計算をやります場合においては、新しい法律でやるということを申したわけであります。従いまして二十五年度になりまして更正決定をやりましたような場合におきましても、二十五年の三月三十一日までの分につきましては、やはり旧法を適用する。そうしていただきませんと、今まですでに決定を受けまして、旧法によりましてそれぞれ加算税等を徴收された者と不権衡になりますので、さようなことにいたしておる次第であります。
○三宅(則)委員 今の政府委員の御答弁によりまして実情がわかつたわけでありまするが、私はあえて反税運動をしようというものではない。極力課税の公平を期して進んでやりたい。ところが、まじめに申告をいたし、あるいは実情を把握して確定申告いたしておるにかかわらず、お前のところは古くからやつておるからとか、名前が有名であるからとか、あるいは昔よかつたから今もなおかつよかろう、なお收穫があるであろうというような意味合いにおいて加重せられる場合が多いのであります。真剣に正味を出しておるにもかかわりませず、何ら具体的処置をしないものがありまするが、これらに対しましては、国税庁長官はどう考えておられまするか、承りたい。
○高橋(衞)政府委員 税はどこまでも所得の実態を把握いたしまして、その所得に対して課税をするということを本旨といたしますので、従つて古くから有名であるとか、または顔に対して課税をするというような考えは、絶対に持つておりません。そういうような事実につきましては、できるだけ十分調査をいたしまして、課税の公平を期して行きたいと考えております。
○三宅(則)委員 今国税庁長官の仰せられたことは、どうかプリントに刷つて各税務署にまわしてもらいたい。国税庁長官や平田酒税局長は、われわれ議員の質問に対しまして、まことに穏健な御答弁をされる。ところが各税務署をまわつてみますると、まるでかわつている。それはおかしいことでありますが、署長はまだよろしいのでありますが、課長以下係長並びに署員等に至りましては、もとよりおれの知つたことではない、国会議員もへつたくれもない、われわれがやるのだというような意味合いにおきまして、まことに慈悲も情もなくやる場合が非常に多いのでありまして、これはひとつ国税庁長官が今私に御答弁なさつたことは、三宅代議士がこういう質問をしたときにこういう返答をしたということを刷つて、各税務署にまわしてもらいたい。また掲示を出してもらいたい。これに関して御感想を承りたい。 それからもう一つ承りたいのは、お前のところは税務代理士にやつてもらつておるが、そんなことをやらなくても私がやつてあげましようと言つて直接納税者とやみ取引する者がある。かように聞いておる。これははなはだ許すべからざるものであると考えておりまするが、もう一度これに対して御構想を承りたい。
○高橋(衞)政府委員 ただいま御質問の趣旨は、あらゆる機会に絶えず趣旨の徹底をはかつておりまするが、なおこの後においても、そういうような機会のあるたびに、その趣旨の徹底をはかつてやりたいと考えております。なお税務署員が税務代理士の仕事を直接やつて、やみ取引をやるというお話もございましたが、もしもそういうような事実がありますればこれを相当に監督をし処分をする必要があろうと存じます。ただしかしながら、納税者の方々にできるだけ親切にするという意味合いで指導を申し上げるということは、これは当然なすべきことではないかと考えます。問題はその程度でありまするが、その点については、なお注意をいたして行きたいと考えております。
○三宅(則)委員 主税局長にお尋ねいたしたいと思いまするが、今度の改正案によりまして、基礎控除を引上げるというのであります。シヤウプ勧告にもそうありますが、私は最大限、あるいは最小限と申しまするか、とにかく生活の必需的経費に対しましては、かような基礎控除をいたすことが当然であろうと思つておりまするが、今の段階におきましても、こういう基礎控除が一万円や二万円では少し低過ぎると思つております。七万円とか八万円とかいうように、もつと基礎控除を上げる必要があると思つておりますが、これに対する構想を承りたい。
○平田政府委員 所得税の基礎控除をどうするかということは、きわめて大きな問題でございます。御指摘の通り所得税は、最低の生活費と申しますか、できるだけそういう部分には食い入らない税にするのがいいのだということは、これは通説でございます。従いまして、できる限りさような観点から基礎控除をきめるということは、これは考え方としては有力な考え方だと思いますが、ただ一面におきましては、前回の国会でもいろいろ議論したところでございますけれども、財政上の需要ということもあわせて考えなければならないという点がございますので、いたずらに基礎控除を高くいたしまして、その結果所得税の收入が少くなつて来る、ひいては所要の租税收入があげられないということになりますと、これもまた目的を達しがたいということになりますので、両者の点をあわせ考えまして、妥当なるところできめたらどうかと考えております。基礎控除の引上げにつきましては、政府におきましてもいろいろ研究いたしまして、現在は一万五千円でございますが、シヤウプ勧告は二万四千円程度まで上げたらどうかというのを、さらにいろいろ勘案いたしまして、わずか千円でございましたが、三万五千円程度を改正案として提案いたしたような次第であります。
○三宅(則)委員 政府の御苦労の点もよくわかるわけでありまするが、私は二万五千円や二万六千円ではどうしても基礎控除の額が低過ぎると思う。この次の国会もしくは次の税法改正の際にはぜひやりたいと思いますから、基礎控除の点につきまして、資料でもよろしゆうございますから、あとでもう少し精細なことを承りたい。 次に私は重大な問題をここに御発表申し上げたい点がある。過去のことを申しまして、あなた方に対してははなはだ失礼に当るかもしれませんが、実際ですから申し上げたい。私の観点からいたしますると、東京、大阪という大都会におきましては、納税すべき資格がありますにかかわりませず、脱税になつたりあるいは申告しなかつたために、少しも税金を納めていない者が相当あります。こういう者があるという事柄は、正直者がばかを見て不正直者が得するということになるのでありまするから、あり得べからざることを考える。しかし現段階におきましては、税務官吏が足らぬ。素質が惡い。私の観点によりますならば、各税務官吏は納税者の調査資料といたしましては、全国を通じて一人当り千百人を決定するのでありますが、そのうち約一割五分、百人もしくは百五十人しか出ていなくて、あとの九百人、千人は出ていない。こういう点があると考えておりまするが、これを防止する考えを持つておられるかどうか、承りたい。
○高橋(衞)政府委員 お話のように、税務官吏が直接にその人の所得を調査しておりまする件数は、本年度におきましてもおそらくは一割五分見当ではなかろうかと思うのであります。しかしながら本年は必ず各戸に臨みまして、大体の状況だけは必ず見る。たとえば店の商品のあり高の状況でありますとか、あるいは使用人の数でありますとか、あるいはまた店構えの大きさでありますとか、その他いろいろな間接資料は十分に整えております。それらのことによつてある程度推定を加えたところの決定をせざるを得ない現状でございます。また都会地におきましては、人の移動も非常に頻繁でございますので、税務署におきましては非常な努力はいたしておるのでありまするが、間々漏れるのも生ずる。これは率直に認めざるを得ないと思うのであります。これらのことにつきましては、ぜひ納税者の方々の御協力を得まして、できるだけそういう惡質なと申しますか、正直者がばかを見るという結果にならないように、今後努めて行きたいと考えております。
○三宅(則)委員 平田局長がおいでになりまするから、税法の立案者として御希望を申し上げ、また御答弁を賜わりたい。高橋国税庁長官は、脱税者があつたりあるいは漏れていることは率直に認められた。このことは私は正直でけつこうだと思う。そこでこれを解決いたしまするために、私の試案といたしまして、どうしても税籍簿というものを完備いたしたい。人間は生れると戸籍簿があります。生れてから死ぬまで戸籍簿が村役場にある。ところが税籍簿は完全にできていないと私は思う。そこで二十歳の成年に達しました以上は、成年式をあげると同時に、この税籍簿に載せて、お前は明日から日本の忠良なる国民である。官吏になつても、商人になつても、実業家になつても、百姓になつても、この税籍簿はついてまわる。こういう制度をとりますならば、ある程度まで防止できるのじやないかと思いますが、これに対する構想を承りたい。ひとつ参考に申しますと、たとえば日本橋で二十四年度は五十万円ときめておつた。これは高過ぎるといつて、二十五年度には品川に移転して申告しない。そういたしますと、税務署員は、よく言われる通り七年目に一ぺんまわつて来る、という段階になりますと、二十五年、二十六年、二十七年も免税になる。また二十八年あたりに今度横浜の方に行つたというようなことになると、てんで税金がとれない。東京に十三年おつて税金を一文も拂わなかつた。こんなとぼけた人間のあることは、もつてのほかであると思いますから、多少国家の経費はかかりましても、税法改正のときにおきまして、ぜひとも税籍簿を全般に配布いたして、これを役場なり税務署に確立いたしますことが必要であると思いますが、これに対する立案者としての主税局長の御答弁を承りたい。
○平田政府委員 三宅委員から非常な理想案をお話になつておりまして、私ども参考にする点がきわめて多いのでございますが、ただ税籍簿を設ける場合におきまして、戸籍簿みたいなものをはたしてどういう方法でつくりますか。つくつた場合におきましても、移動しました場合に、税務署間に移動の整理をしなければならない。現在も所得税の納税につきましては、やはり移動の届出を必要とすることになつております。移動があります場合におきましては、それぞれ調査簿その他を新しく移動した方の税務署に送りまして、極力遺漏がないようにいたしておるのでございます。それで税籍簿を設けた場合におきまして、はたしてどの程度に、どういうふうに理想的に行きますか、相当研究を要するのではないかと思いますが、りつぱな一つの御意見だと思いますから、よく研究してみたいと思います。しかしこれが簡単に実現いたしますかどうか、問題が相当あるのではないかと存じております。 お今高橋長官からお述べになりましたが、一割か二割というのは、ほんとうに帳面をよく調べて、徹底的に調査ができるものでありまして、個人調査等は相当やつておるのです。大都市でありますと、各戸に、一年一回ぐらいでございますが、納税者に当つて調査しておりますし、簡単な実際の調査でございましたら、相当現在もできております。また将来もできる。相当精細な立ち入つた調査が、人員等の関係からなかなか完全に行つていない、これが実情だろうと思います。その点御了承願いたいと思います。 もう一つ先ほどのお尋ねの点でございますが、基礎控除に関連しまして、実は免税点というのは基礎控除だけできまるわけではございません。扶養家族の控除とあわせて実は考えていただかなくてはならぬのでございます。これはあとで資料としてお配りいたしますが、現在の税法によりますと、勤労所得は勤労控除がありますから、事業所得と違いますが、勤労所得の場合は、独身者の場合は現在基礎控除一万五千円、勤労控除は二割五分でありますから二万円まで現在かからない。それが改正案によりますと、二万九千四百十二円までかからなくなる。事業所得の場合は勤労控除がありませんから、現行は一万五千円で、改正案によりますと二万五千円までかからない。家族が多いとそれがずつと順次上つて参りまして、かりに五人扶養親族があります場合は、現在勤労所得は七万五千円までかかつていないのですが、改正案によりますと十万円までかからなくなる。それから事業所得の場合ですと、現在は五万五千円までかからないのですが、改正案によりますと、五人扶養親族がおりますと八万五千円までかからない。従いましてこの基礎控除と扶養親族の控除とあわせて考えておりまして、両者の控除がどうなるかというような見地から御考察願いますことを、つけ加えて御参考までに申し上げておきます。
○三宅(則)委員 私の今申し上げました税籍簿は理想案であると仰せになりましたが、私は民度がだんだん発達いたしますれば、そうした理想案が実現に導かれるものである。かような観点におきまして、強くその実現を要望いたすものであります。 次にひとつ了承させてもらいたい事柄は、法人税におきましても、御承知の通り認定賞與の課税、これは過去の惡い税金なんです。これが来まして、同族会社等におきましては非常に困つているところがありますが、これに対しまして今何か救済案をお持ちでありましようか、これを承りたい。
○平田政府委員 認定賞與として課税する場合は、三宅さんも御存知じだと思いますが、同族会社の重役等に、会社の計算で、利益処分の形でなく一定の利益を均霑せしめておる、こういう場合において、その損益を明らかにして、会社の経費と見るべきものでないものを重役等に交付しておる場合におきまして、その分を認定賞與として課する場合があるのであります。しかしこれは個々のケースの場合におきまして、あくまでも適正を期すべきものでございまして、所得税法、法人税法等においては、例の同族会社の行為、計算の否認規定がございますから、この規定の運用の適正をはかりまして、そうむちやなことにはならぬように、あくまでも負担の分平化を期するということが目的でありますから、その趣旨で運用して行くべきものだと考えております。
○三宅(則)委員 今主税局長の仰せになつたことは、少し私には受取れない点がある。と申しますのは、若い二十三、四の官吏が参りまして、お前のところは認定賞與が相当あるだろうと申しますが、しかしその人の家庭は月一万なり、一万五千なりの月給で、源泉課税を拂つておるにもかかわらず、そのほかに相当の認定賞與を認めるなんということは、二重課税もはなはだしいものであると私は思いますが、これを見る目のない税務官吏が往々あるのであります。もちろん七万人も税務官吏がおりますから、中には惡い者もありましようが、こういうものは、血祭りと申しては失礼ですが、これを試験的に嚴重に警告を発してもらいたいと思うが、これに対する構想がありますかどうか。
○高橋(衞)政府委員 お話の通り、税務官吏は若年のものが相当ございますので、まれにそういうような態度をとるものがあることがあり得るかとも思うのです。しかしながら私どもといたしましては、そういうような税務官吏の訓練と申しますか、教育に関しましては非常な力を入れておりまして、何とかそういうものの根絶を期したい。もつぱら納税者に対して親切に適正にやつて行くということを本旨としておりますので、そういうような具体的な事例がございましたならば、適当の措置をいたすことにいたしたいと思います。
○三宅(則)委員 今高橋長官の仰せられた事柄は、これは国民全般が聞くべきことであろうと思う。あなた方代議士諸君も、選挙区に帰つてそのことを言つてやつてください。高橋長官は、必ずむりはしない、公平にやるのだ、そうして若い官吏がかつてにやつた場合においては、事実を言つてよこせ、こういう親心ある御答弁であると確信いたしますから、私どもはそれを全代議士諸君に伝えまして、真心ある申告をいたす者に対しましては、税務官吏もこれに対して親心をもつてきめる、こういう線を国税庁長官は御答弁いたしておる。これをひとつ演説会のときにおいてもやつてもらいたい。かように思う。(「代議士に向つて何んだ」と呼び、その他発言する者あり)それでは御参考までに申し上げておきます。 次に申し上げたい事柄は、主税局長の仰せになりました、法人税等につきまして、ことに欠損のあります点に対しましては、相当な注意をもつて見なければならぬと思つておりますが、これに対しまして、欠損があるにかかわらず、相当ぶつかけて来る場合もありましたり、または労働攻勢等によつてほんとうに欠損のある場合もありますから、これに対する税務官吏の措置並びに内容等につきましての構想、並びに研究する態度を承りたい。
○平田政府委員 お尋ねの趣旨が少しのみ込めない点がございますので、あるいはさらにお尋ねによつてお答えいたしたいと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、会社等の場合は当然適当な帳簿書類等のある場合が大多数じやないかと思います。欠損がありました場合には、はたして欠損なりやいなやをよく調べまして、正しい決定をすべきものではないかと思います。ただ十分な帳簿書類がない場合におきましては、営業の外形的な状況等に応じまして、他の業者との比較も考えまして、できるだけ正しい所得を見て決定するように、努めなければならぬ場合もあろうかと思つております。
○三宅(則)委員 幸いに大蔵大臣がおいでになりましたから、根本の問題を二、三お聞きしたいと思います。私は先ほど主税局長なり国税庁長官なりに、大体こまかいことを承つたのでありますが、国務大臣であり大蔵大臣である池田勇人先生がおいでになりましたから承りたい。私は負担の公平を期し、国民所得に対する適正な課税をいたしたいという親心ある方針でもつて、今回の改正税法が盛られたことは了承いたすわけであります。これに対して先ほどからたびたび質問いたしておつたのでありますが、大臣、次官あるいは局長等は相当親心をもつてせられた法律であるにもかかわらず、末端に参りますと、ややもすると越権行為があります。そういう越権行為に対して大蔵大臣は厳重に監督せられたいと思いますが、これについてのご構想を承りたい。その一、二の例を申し上げますと、一般の人の家庭生活、あるいは商業なり農業なりの所得に対して、正確に一定の計算をして申告したにもかかわらず、これが二倍、三倍というような高額に決定せられたり、あるいは他との権衡上あるまじきような決定があつたのでありますが、これを税務署はなかなか直してくれません。こういうものに対して、もし異議の申請があつた場合には、三箇月以内もしくは六箇月以内くらいに早く見てやつて、負担の公平を期するような道を開いてやつていただきたいと思いますが、これに対する大蔵大臣の御答弁を承りたい。
○池田国務大臣 課税の適正公平が最も望ましいのであります。不公正なものは三箇月、六箇月をまたずに、ただちに直すべきだと考えております。従来この点についてわれわれも特に注意を向けておるのでありますが、何分にも今の状態では、手不足とか、素質が十分でないために、皆さんに迷惑をかけている場合も多かろうと思うのであります。しかしできるだけそういうことのないように努力いたしております。幸いに問題になつておりました異議受付機関も今度の税制改正で設けられましたので、今後はよほど改められることと考えております。
○三宅(則)委員 もう一点大臣に質問いたしたい。 大臣は今なるべく早く見てやるということを仰せられまして、まことにけつこうだと思いますが、末端に行きますと、半年も一年もうつちやらかしているのであります。これについては、ぜひとも私どもの要求するように早くやることを嚴達されたい。同時に今回の改正によつて協議団というものができておりますが、これは税務官吏の中の別の機関というふうに考えております。われわれが多年懸案して構想しましたところの、民間で選出せられるところの委員を数名これに注入することによつて、なおかつ公正を期し得るのではないかと思います。たとえば農地において農地委員会、選挙において選挙管理委員会があるごとく、税務官吏の協議団の中に民間の公選せられたる者を入れるという構想をお持ちでありましようか、承りたい。
○池田国務大臣 できるだけ民間の常識のある方々に入つていただきたいと考えておるのであります。従いまして予算もとつておりますし、ただいま人員の増加を要求して審議中であります。
○三宅(則)委員 ただいま仰せられたように、われわれの意思も尊重いたしまして、官吏のみが一方的にきめるというような弊を改めて、国民の代表者である人も官吏も相一体となつて国家財政を切盛りするという線に沿つて、一段と大臣の御努力を賜わりたいと思います。
○池田国務大臣 誤解があつてはいけませんから申し上げておきますが、民間からりつぱな方々に入つてもらうと申しましても、民間人というのではなく、入つていただいた上は官吏として、異議の申立てに対してその衝に当つていただくことになるのであります。
○川島委員 私は税制の全面的な改正に関連して、国民から税をとりまする場合、国民経済の問題を重視いたしまして、その観点に立つて、国民経済問題について少しく大蔵大臣に質問を行いたいと思います。 先般の予算説明の演説の中で、経済はすでに安定の段階に達したと大臣は明言をいたされましたが、その後予算委員会において、與野党の委員が幾多の質問を繰返している間に、当初における経済安定説をば若干訂正したような印象を受ける言明を、私どもは聞いておるのであります。当初の財政演説のときに、日本の経済は安定したと大蔵大臣は国民の前に言明したにかかわらず、その数日後においては、その言明を若干訂正いたした理由はどこにあつたのか。それをまずお尋ねいたしたいと思います。
○池田国務大臣 私は財政演説で申し上げました通りに、あのインフレの不安定な状態から、ただいまの安定の状態に入つたという気持に何らかわりはございません。ただ安定という言葉をどの意味にとるかということは問題がございましようが、不安定から安定に入つて来たのだという意味で私は言つているのであります。しかして、日本経済が絶対的の安定に入つたかというと、そうではないのであります。絶対的の安定に入つたというまでに至つていないというのは、補給金制度のこともございますし、また物価の点等について、国際経済と国際物価水準と必ずしもマッチしていないこともありますが、不安定の状態から安定に入つて来たという気持にかわりはないのでございます。
○川島委員 そこでさらにお尋ねいたしたいのだが、ただいまの大臣のお言葉は、日本経済は真の安定はしていないが、インフレの時代の不安から安定への段階に入ろうといたしているという意味のことであろうと、私は理解するのであります。そこでこの安定段階に入ろうとしておる日本経済の中で、最近におきましては失業者がますます増大しているという深刻な現象が現われ、また一面におきましては、中小企業の深刻な金詰まりと重税の結果、倒産もしくは閉鎖が続出し、一般庶民の中には発狂、自殺などという現象が日々の新聞紙上にいとまなく報道をされておるというこの日本経済の現実の姿を見て、はたして日本経済が不安定から安定に入つたと、さらに繰返しで強く言えるものであるかということを、もう一回念のためにお伺いしておきたいのであります。
○池田国務大臣 個々の人の金詰まりとか、あるは経営不如意ということは、これはいつの時代にもあるのであります。ことに非常な敗戰のうき目を見まして、しかもその後インフレ政策をやつた三年のあの不安定を、ただいまの安定に持つて行きます場合におきまして、個々的にそういうのが起ることはやむを得ないのであります。私は日本の経済全体として安定に入つておる、こう考えておるのであります。
○川島委員 大臣はただいま個々の現象はとにかくとして、全体的だというお話でありましたが、そういう認識の上に立たれておるということは、まことに遺憾千万であります。今や日本の経済の中に引起されております失業者の数は、單なる個々の現象的数字としてはあまりに過大であるということは、私が言うまでもなく大臣すでに御存じのことと思う。また大臣が先般来——先般来というよりは、むしろあなたが大蔵大臣に就任以来今日まで、はたから見ておりますと、まことに痛々しいほどに憔悴され、奔走されておりまする中小企業の金融の問題、あるいは日本経済再建の基盤となるべき長期資金の問題、こういつた事柄について日夜心労暮をされておるやに、われわれは、外部から想像し見聞をいたしておる。にもかかわらず大臣は今の失業者の問題や中小企業の深刻な金詰まりの問題、あるいは農村における窮迫いたしました今日の実態をば、單なる個々の現象だという考え方を持たれておるということは、はなはだしい誤りであると私は思うのでありますが、その点についてもう一度大臣の確固たる見解を承つておきたいのであります。
○池田国務大臣 先ほど申しましたようなひどい試練を受けておるわが国民であるのでありますから、各方面にむずかしい点が起つて来ることは当然であります。しかしこれは耐え得る困難で、耐え得られない困難ではないのであります。それがだんだん実現化いたしまして、物価も安定し、生産も増加し、いわゆるディス・インフレの線に日本の経済の全体が動いておるのであります。しこうして私は経済の安定の見通しがつきましたから、今後におきましてはその安定を復興へ持つて行くために、予算面におきましても公共事業その他建設事業に力を入れますと同時に、金融につきましても最近において御審議を願いますように、長期資金の調達方法に格段の方法を講ずることにいたしておるのであります。
○川島委員 どうも大臣の説明はいささか詭弁に近いものとわれわれは受取るのであります。失業者の増大、深刻な金詰まり、しかもそれに対して大臣は安定への耐え得られるものであるという見解でおられるようであります。しかし現に昨年の四月から七月までと記憶いたしますが、このわずか三箇月の間に、日本全国の中小企業が資金難あるいは税金あるいは購買力の低下等々に原因いたしまして、すでに三千七百の閉業、廃業者ができたということは、通産省が明らかに国民の前に発表をいたしておるところであります。この一つの現象をもつていたしましても、今の政府の財政経済政策あるいは物価金融等の政策において、この事態が現われておることが、はたして国民によく耐え得られるところの財政経済政策であると、大臣は確信を持たれておるのかどうか、もう一ぺん承りたい。
○池田国務大臣 インフレを好む人に対しましては、今のディス・インフレ政策は非常につらいかもわかりません。しかし私は日本経済再建のために、この程度の困難はやむを得ないと考えております。
○川島委員 そうすると大臣は日本の国民経済の運営にあたつて、このディス・インフレと大臣の言われる政策のもとにおいて、耐え得られるものは耐えよ。この政策のもとに耐え得られざるものは次々に倒れ、犠牲となつてしかるべきだとの考え方を持つておるのかどうか。
○池田国務大臣 次々に倒れることを予定いたしておりません。次々に倒れないようにいろいろな施策をやつておるのが、今度の税制並びに予算案であるのであります。
○川島委員 大臣はそういうことを予期しておるのではないが、現実の姿においてすでに日本の経済の中には、そういう具体的なきびしい事実がひんぴんとして数字の上にも大量的に起つておるというこの問題です。そういう問題を耐え得られるものであるという考え方にあることは、まことに今の答弁によつてはわれわれは了解に苦しむのであります。しからば何ゆえに大臣は日本の中小企業の金融の問題、あるいは一般基幹産業に対する長期資金の問題等について、あるときには見返り資金、あるときには政府投資、あるときには銀行の融資等々について、一応外から見ておると、真劍な姿でやられておるように見えるのであります。そのやつておること自体が私どもは悪いという意味ではない。そういう日本の経済の実態に対して、大臣が基本的に楽観的な考えを持たれておるところに問題があるのであります。 そこでさらに私は問題を次に展開してお伺いいたしますが、インフレーシヨンの時代におきましては、まず財政の均衡あるいは通貨の抑制等々の強力な施策も、これまたやむを得ざる措置であるということは、われわれも異論がないのであります。しかしながら今日大臣の言われるディス・インフレーシヨンの過程においても、ある程度国内におけるところの通貨の適切な量というものは絶対的に必要であり、それを確保する必要があると私は思うのでありますが、その点について大臣は今日の日本の経済の実態、国民経済の実態あるいは個々に言えば生産、消費あるいは流通の過程において、日本の経済を安定せしめるためには、今日における通貨の発行量というものは、どの程度であるべきであるかということについての考え方を聞いておきたいと思う。
○池田国務大臣 ただいまの状態におきましては、通貨はただいまの程度でいいと考えておるのであります。政府が何もどんどんいらない金を出すべきでもありませんし、また非常に民間が枯渇しているのに引上げるべきでもないのであります。ただいまの状態が適当であると考えております。
○川島委員 そうすると、ただいまの状態ということは、三千億の内外を上下する程度が適量だと大臣は考えておるのか。さらにまた、重ねてお伺いしておきますが、本年度末においての通貨の適切なるべき量はどのくらいであるか。あるいは二十五年度に入つての予算と日本の経済復興とにらみ合せ、あるいは貿易とにらみ合せて、今の通貨量を下まわるべきか、あるいは上まわるべきところに適量があるのかどうか、その点についてお伺いしたい。
○池田国務大臣 通貨の問題は、経済事情によつて多くなつたり少くなつたりするものであるのであります。従いまして、今同月何日の通貨がどのくらいになるかということは申し上げかねますが、私の見通しといたしましては、ただいま——おとといが三千九億ぐらいになつておりまして、昨日ぐらいからだんだんふえて来る情勢にあります。月末はやはり三千五、六十億ぐらいにはなりましよう。そうしてこれが三月の上旬になりますと、三千億を割つて来ることになります。しこうして三月末におきましては、また三千五、六十億円になりましよう。新年度になりましてからは、通貨はだんだん多くなつて来ると見込んでおるのであります。しからば今年の十二月はどうなるかという問題は予測できませんが、四月からだんだん通貨がふえて行くということは、はつきり申し上げられると思います。
○川島委員 大臣は、先般の財政演説当時のわが党の勝間田君からの質問に対しまして、年度末の通貨は現状を維持する確信があると言われ、ただいまもそれを繰返したようでありますが、しからばこの際お伺いいたしますが、今後年度末までに国民から吸い上げますところの税の総額、及びこれに反して政府から支拂いますところの資金、この具体的な数字をお示し願つて、この通貨量が維持できるという具体的な証明を説明してもらいたいと思います。
○池田国務大臣 これは一月の終りごろに申し上げたと思うのでありますが、大体一——三月の政府の引上げ超過は、私は千億をちよつと下まわると見ております。しこうして昨年の一——三月は千二百億ぐらいの引上げ超過に相なつておつたのであります。従いまして徴税恐慌というので、今年の三月には危機が来るだろうということを言つておられましたが、私はそんなことはないと否定いたしておつたのであります。大体今までの実績は、一——三月におきまして千億足らずの引上超になることは、私の予想通りに行つております。この千億足らずの引上げ超過は何によつて起るかというと、主として税金がおもな理由になつておるのであります。御承知の通り昨年末の通貨は三千五百五十三億でございました。そうすると、千億引上超になりますと二千五百億でございますが、日本銀行の市場操作その他政府の支拂い促進等によりまして、五、六百億を補充できますので、私は先ほど申し上げましたように、年度末の通貨は三千五、六十億ではないかと考えておるのであります。
○川島委員 年末の通貨はそれでわかりました。それが大臣に言わせると、適量な、日本経済に見合つた通貨の発行量だと説明されたように私は理解いたしますが、しかしながらその通貨量が適量だという証明は、あまり成り立つておらない日本の経済の現実であることもまた事実であります。一方において、先ほど来から繰返しておりまする長期資金の渇望、あるいは中小企業の深刻な金詰まり、あるいは農村地帶においても、今日では肥料の一時引受にさえも困難を感じておるというようなところが、陸続と現われておる現象でございます。そういう事柄を一連的に考えてみましたときに、はたして今大臣が説明されました通貨の量が、日本国民経済と見合つた量であり、しかもその量においてのみ日本の経済の安定が保たれ、安定の域に入るという強い確信が今大喜臣にあるかどうか、この点についてお伺いをしたい。
○池田国務大臣 強い確信のもとに財政経済政策を行つておるのであります。
○川島委員 しからば大臣にお伺いします。きのうきようあたりの新聞で見ますと、滯貨はすでに政府機関関係で六百億に及んでおるという話である。しかもさらに政府が繰返して説明しておりまする日本経済安定の基幹は、何といつてもこれからは貿易関係である、こういうふうに強く国民の前に説明をしておる。しかるに貿易特別会計においても、輸入貿易の手形勘定におきましては、すでに百億を突破するような資金難を見ておるというこの現実の姿、こういう事柄を一々考えて取上げてみますると、今ディス・インフレとは言いながら、今日の通貨発行量ではたしてこの経済安定が、政府の思惑通りに達成するとは考え得られないのであります。 そこで、さらに政府にお伺いいたしたいのでございまするが、一体生産が上つたが、物は売れないで滯貨が積まれてしまつた。さらにまた物価は下りぎみであるが、下らないものもあつて、上つたものもある。こういう形、しかもその物価に関しては国際価格と折り合つたものもあるが、折り合わぬものもあり、さらにまた、むしろその国際価格よりも引まわつたものすらも現われておるような状態であります。さらにまた賃金においても、これまた必ずしも安定したものとは言えない。ことに先般大蔵大臣は、本会議の席上で給與ベースの問題について触れたのでありますが、今の官公庁の公務員の給與ベースはそう低いとは思つておらない。その証拠には民間産業の平均賃金ベース、ことに中小企業の賃金ベースはきわめて低いではないかというような印象を與えるような言葉によつて説明されておりまするが、今公務員は、平均賃金六千三百七円のベースを、国鉄は九千七百円、あるいはその他の官庁においても、それぞれ賃金値上げの団体交渉を行いつつあります。さらにまた民間産業が、大蔵大臣はきわめて低いのだというような印象を與えるような言葉をもつて、説明されておりまするけれども、大臣の名によつてわれわれの手元に拠出されましたこの租税及び印紙收入の予算の説明の中では、こういう奇怪な事実があるのであります。それらの一例を申し上げますならば、昭和二十五年度分については、給與所得において、人員は三%減つているが、しかしながら所得は五三%ふえている。こういうことをここに明記されてあるのであります。しかもその上に奇怪なことには、農業、営業所得においても、それぞれ生産指数及び物価指数が相当大きく上昇しているという説明をされているけれども、一面においてこれは大蔵省がつくつた書類とは思いませんが、昭和二十五年度の国民所得の推計によりますれば、一方においては給與所得においてすらも、人員が減つて五三%の莫大な増を見ていると説明している。それからまた営業においても農業においても、生産及び收入がふえていると認めている。しかるに一方において国民全体の総所得においては、二十四年度の国民所得は三兆七百七十億、ところが昭和二十五年度は三兆二千五百二十億、その間一千七百五十億だけの増でございます。こういう事柄を私どもが見て参りますと、どこにほんとうのものがあるのかということを疑わざるを得ないのであります。 そこで大臣に重ねてお伺いいたしますが、はたして日本の全体の公務員及び民間産業に携わるところの全体の俸給生活者の人員が三%減つたが、所得が五三%ふえたという、その根拠はどこにあるのか、お示し願いたい。
○池田国務大臣 まず政府関係機関の滯貨が六百億というお話でございますが、六百億はどうかと思います。しかもこの滯貨は、ずつと前からあるのでありまして、私が就任してから特にそれだけ浮び上つたわけではないのであります。 次に一般民間の滯貨の問題につきましては、その後この委員会で議論がありましたが、生産が落ちているのではないかという話がありました。昨年十二月の生産の増強は、刮目して見るべき数字を出しております。しこうして一方民間の滯貨はあまりふえておりません。どちらかといえば減つている状況であるのであります。生産がふえて滯貨がふえないということは、これは非常に喜ばしい現象であります。ここにごひろう申し上げる光栄を有する次第であります。 次に給料の問題でありますが、国民所得とかあるいは一人当りの賃金とかいうことでありますが、その五三%ふえたという数字は、私は資料を十分見ておりませんが、思うに基準を二十三年にとつて、二十五年が五三%ふえるということではないかと思います。数字のことにつきましては主税局長より答弁させますが、常識から言つて、五三%ふえつこないのであります。それは基準を多分三十三年にとつて、二十五年がどうなるかという数字だろうと思うのであります。二十三年を基準にとりますと、役人でも五三%程度は、ふえているのであります。
○川島委員 今大臣は、生産が大分見るべき上昇をしたことは、国民とともに同慶にたえないというような言葉であります。しかし私は経済というものは、單に生産の数字が上昇したからと言つて、必ずしも喜ぶべきものではない。それは生産と消費とそして流通とが均衡を保たれ、円滑になつてこそ、経済のほんとうの目的が達せられる。しかるにただ大蔵大臣は、日本の経済のうちの生産だけがふえたから、それで喜ぶべきごとだと言う。これは誤りだと思う。一方においては滯貨が堆積し、一方においては購買力が低下し、そして国民経済には、ややもすれば大蔵大臣の安定経済とは違つた面が大きく浮び上つて来ている今日であります。そこでお伺いいたしますが、はたして日本の経済安定は、ただ單に生産だけが上ればそれで経済安定になり、国民とともに御同慶にたえないものかどうか、そういう考え方を大蔵大臣は持たれているのかどうか、まことにくどいようでありますが、重ねてお伺いいたします。
○池田国務大臣 この前の委員会では、十月、十一月の生産のことが問題になつたのであります。生産がふえているかどうかという意味のことが問題になつた。しかるに十二月には非常にふえたのであります。しこうして先ほども申し上げました通り、民間の滯貨は減つているのが相当あるのであります。これはやはり経済が安定した証拠であると言えると思うのであります。生産がふえてそれが全部滯貨になつたら、これはいいとは私は言つていないのであります。生産がふえたと同時に、滯貨も相当部分減つて来ている種目が多いのであります。そこで私はこれは安定した、安定をますます強めることであり、御同慶にたえないと申し上げたのでございます。
○川島委員 どうも大蔵大臣の答弁は私はまじめに受取れぬ。一体国内の民間の生産がふえて、滯貨が減つているからそれでよろしいのか。日本の経済の安定というものは国内経済だけではない。いわゆる国際貿易の上に立つて総合的に生産がふえ、消費がそれに見合つて行かなければならない。しかも吉田総理大臣初めあなたは、しばしば口を開けば日本の貿易の重要なることを強調して来たではないですか。しかるにもかかわらず、政府機関の滯貨の増大というものは、すなわちこれは貿易関係の生産がふえたが、その生産の品物は滯貨の状態であつて一向に売れておらぬ。こういう形において日本の経済が安定し、国民とともに同慶にたえない事情であるかどうか。この問題はもう少しまじめな答弁を私は要求したいのであります。こういう事柄がはたしてよき現象であるかどうか、そうして国家経済の再建にとつて、まことに喜ぶべき現象であるとわれわれは了解していいのかどうか、もう一ぺん伺いたい。
○池田国務大臣 生産と滯貨の問題は、国内的に言つているのではございません。滯貨もやはり貿易との関連において増減するわけでございます。何も私は国内的に生産がふえて、国内的に滯貨が減つた、こう言うのではないのであります。外国貿易もみな加えて言つているのであります。少くとも日本の経済を論ずるとき、外国貿易と離れて議論をなすことは意味をなさないのであります。外国貿易関係も含めて答弁しているのであります。
○川島委員 そう言われるけれども、現実の上において滯貨が相当累積しているということは事実であります。しかも一方において先ほど私が申し上げたように、貿易関係、ことに輸入関係においても政府の予定が狂つて、非常な金詰まりを来して、それが輸出入貿易に大きな圧迫となつているという事柄も事実であります。こういう事実を目の前に置いて、なお大蔵大臣は楽観的な言葉をもつて国民の前に説明しようということは、むしろ国民をして誤らしめるものであり、これを極端に言えば、おのれを欺き、人を欺くような説明になるのではないかと言いたいのであります。その点はどうなんですか。
○池田国務大臣 人を欺き、おのれを欺くことは、政治家として最も愼むべきことであります。決してそういうことをいたしておりません。あなたが何を根拠に言つておられるのか、意味がわからないのでありますが、外国貿易関係で申し上げますと、昨年の四月ごろまでは、スターリング地域の方には日本は非常に出超であつたのであります。それが最近におきまして、向うが出超を取返すために、スターリング・エリアの方が非常に日本からの輸入を制限し、そうして日本への輸出を非常にやつた。これは貿易協定で一応のわくはきめているのでありますが、今まで日本が非常な出超であつたために、それを緩和するために、一時的に日本が非常な入超になつたのであります。しこうして入超になつた品物のおもなるものは、これはまた外国へ輸出する原材料であるのであります。こういう意味において、輸入の滯貨があるということは何も悲観したことではない。消費物資がどんどん入つ来て、そうしてそれが日本に下必要に使われる、そういう滯貨なら心配でありますが、一時的に貿易協定によりまして輸入がふえたからといつて、何ら心配のいるものではないのであります。
○川島委員 大分水かけ論になりそうでありますから、その点はその程度で、もう一言大蔵大臣に伺つてみたいと思います。 日本の今の経済状況はもつぱら生産財に主力が注がれて、一応数字の上では生産財の生産が上昇しておる。しかるに一方において国民の必要なる消費財、食糧を中心としてでありますが、それがなかなか思うように行つておらないにかかわらず、一方においては、国民にあまり必要にあらざるものと推定されるような消費財が氾濫をして来ておる、こういう事実に対して大臣はどういうふうに考えられておるか。
○池田国務大臣 わが国経済の再建に必要なる物資が増産されることが望ましいのであります。しかるにお話によりますと、あまり好ましくないような消費物資が生産されておるというお話でございますが、具体的にどういうものでございますか。あるいはまたその品物がいつ生産されたものか。われわれといたしましてはそういうものの生産はなるべくさしとめたいという考えで、金融その他の操作をいたしておるのであります。
○川島委員 私の考えによりますれば、生産財の上昇を中心として、国民必需消費財の生産の上昇をはかつて、国民経済生活の安定を期するということが大眼目でなければならないと思う。しかるにただいま申し上げましたように、ややともすれば国民の大多数、ことに勤労者の生活必需品というものは比較的に不足を来しておつて、その必需品以外と目されている向きの消費財が氾濫しておるというこの現実は、少くとも生産政策においては政府の誤りであろうと私は思う。ことに勤労大衆のエンゲル係数から申しましても、今なお純收入の生計費の六割強に当る部分が食糧生活費である。そして残りの三割が衣料の生活費である。こうわれわれは大まかに申し上げるのでありますが、それらの部面に対する政府の施策が足らなくて、消費財の生産を奨励しておるのではなかろうけれども、むしろそういうものが氾濫をしようとする傾向にあることは今日事実であります。そこで大臣にお伺いいたしたいのでありますが、そういうような国民の経済生活の実態に即しておる今日、しかも大臣も御承知でありましようが、われわれの生活の六割強を占める食糧生活、ことに政府から配給されております品物の公定価格というものは比較的高くなつておる。比較的高くなつて、その高くなつた物価の上で大衆は生活を営んでおる。しかるに一方、具体的問題に入りますが、税制の面においては、政府は国民大衆の生活の苦しさは税制の改正によつて軽減し、足らざるところは他の厚生施設等において何らか緩和の施策をとりたい、こう説明しておるのであります。しかるにかかわらず、その後政府においては賃金の問題については、ことに公務員に対しては賃金の改訂を認めない。しかも一方において税制の改正は、ことに勤労所得者の関係を見てみます場合に、勤労者が生活を営みます中心問題である物価は上昇しておるのに、賃金は上げない。そして税制改正で軽減をすると言うが、この程度の税制の改正で、はたして大衆の最低生活が保障されるものと思つておるかどうか。同時に政府は税制の改正によつて軽減できない部面は、さらに一方において厚生施設等でそれの緩和の措置をとると言つておるけれども、その厚生施設等が、いまだにわれわれの手元には何ら具体的な施策を受取つておらないのであります。一体政府はこの税制改正を中心として、その足らざる部面をいかなる方面で補い、いかなる形でそれを補つて行こうとしておるか。その具体的な策がありますならば、その点を聞かせてもらいたい。
○池田国務大臣 先ほどエンゲルのあれが出ておりましたが、お示しのあの係数で見ましても、最近今お話の主食が六〇%ちよつとになつたことは、非常に喜ばしいことであると私は考えておるのであります。 なお今回の税制改正で十分であるかという問題でありますが、これは私といたしましては、賃金ベースを動かさないということに結論をきめますとき、シヤウプ勧告案のあの勤労の一割控除というのでは耐え切れないという考えのもとに、再度交渉いたしまして一割五分にいたしたことは、川島君御承知の通りであるのであります。かくいたしまして、すでにお手元に表をお配りしてあるかとも思いますが、一般勤労者につきましても一万円の所得者で扶養家族四人というふうな人は、非常に税の軽減が行われておることは数字上示す通りであります。しかもまた他方面で物価は上つておる、賃金はくぎづけだとおつしやいますが、消費者物価指数いわゆるCPIのあの指数の示すところによりますと、実質賃金は相当上つて来ておるのであります。かく考えますと、私は大体この程度でがまんしていただけるのではないかと考えます。 次に税で軽減してもまだ苦しいから、ほかでどういう厚生施設をとるかという御質問でありますが、私はできるだけ厚生施設を拡充して行きたい。ただ予算では公務員の住宅十二億円の建設費を一応計上いたしておるのでありますが、今後いろいろな点で公務員の実質賃金の向上、厚生施設の拡大強化ということに努めて行きたいと思うのであります。今具体的の問題はここで申し上げる段階に至つておりません。
○川島委員 おそらく政府は国民に、ただ口頭だけで厚生施設をやるぞといきまいているだけで、具体的な施策というものはいまだ何ら持合せがないのであると、われわれは理解しておるのであります。 そこでもう一つお伺いしますが、先般政府当局——大蔵大臣ではございませんが、当局の一面から、給與ベースの改訂はしないが、その一面のてこ入れとして七千四百円に相当する勤務手当等によつてベース改変にかえたい、こういうことを官房長官等が言明いたしておるのでありますが、それについて大蔵大臣はそういう方針を具体的に持たれておるかどうか。
○池田国務大臣 官房長官がどういうことを言つたか私は知りませんが、七千四百円という数字は、今六千三百七円ベースによりまして計算して、そうして二十五年度から超過勤務手当が相当増額になりますから、平均七千三百何ぼ程度の数字が出て来るのであります。それを官房長官が言つたと思うのでありますが、この七千四百円程度のものは、今の既定予算で出ることになつておるのであります。
○川島委員 そこでそれに関連して一言お伺いしておきたいのですが、昭和二十五年度の予算單価は、一体何月の物価指数の基準で定められましたか。
○池田国務大臣 主計局長より答弁させますが、今のベースはやはり六千三百七円ベースによつて、各省別で違つております。たとえば国鉄等は六千三百七円ベースにいたしましても、平均賃金は六千八百何ぼに相なつておるのであります。これは一般会計、特別会計、公団、みな違つておりまするが、今の七千三百何ぼというのは各省別に実際の支給平均賃金を出しまして、それに超過勤務手当等を加算した数字であるのであります。
○川島委員 今の私のお伺いしたのは、公務員の給與の予算單価はもちろんでありますが、物件費等の問題が重点であります。
○池田国務大臣 物件費から流用するというようなことは考えておりません。六千三百七円ベースというのはあれは一級二号か二級一号かをきめまして、それからあのベースでやつておるのでありますが、実際の支給金額は六千三百七円よりもうんと上まわつている役所もあります。またそれ以下の役所もあるのでありますが、予算をつくります場合には、各省の平均給料というものが出ておりまするから、それに人員をかけてやつておるのであります。しこうしてそれに超過勤務手当等を加えますと、先ほど言つたような数字になるのであります。物件費から流用するということはやつておりません。
○川島委員 それも私のお聞きする一つの質問でありましたが、二十五年度の全体の予算、給與の予算單価のみならず、物件費の予算單価、その物価基準は同月に置いて定められたか。
○池田国務大臣 物件費の單価は多分九月の状態によつておると考えます。
○川島委員 そうすると二十五年度の予算單価は、ことに物件費は去年の九月に基準を置いたとすれば、そこで大臣はその後における国内の物価事情、及び今後の物価事情の見通しはどういうふうに考えられておるか、参考のために伺いたい。
○池田国務大臣 物価全体といたしましては横ばいであると考えます。動かないと考えます。ただ問題は鉄鋼その他補給金をはずした場合の上る分につきましては、考慮に入れて予算を組んでおります。
○川島委員 そこで続いてお伺いしたいのだが、一般会計において物件費が、私の記憶ですが千三、四百億、特別会計で二千四、五百億、あるいは政府機関関係で食糧関係を除いたもので四千有余億、合せて七、八千億の物件費があると思う。この物件費の中で、物価はおおむね横ばいであつて、中には政府の説明を真実と受取れば下るものもある。こういう考え方を基礎にいたしますると、政府の去年の九月基準をもつても、いわゆる物件費の予算單価がそこに年度予算の実施中途においては相当余るものができるのではないか。一言でいえば予算單価より低い価格で物件費がまかなえるという形のものが、相当に出て来るのではないかとわれわれ想像するのでありますが、その点はいかがでありますか。
○池田国務大臣 御想像におまかせいたしますが、私といたしましては、鉄鋼等につきましては上るものもあり、あるいはまた中には下るものもありましよう。しかし予算といたしましては九月現在の状態で二十五年度を見まして、大体全体として横ばいという考えで組んでおるのであります。
○川島委員 そうすると予算全体の一般会計、特別会計政府機関関係を通じて相当の物件費があるわけでありまするが、その物件費の中では、政府としては節約の余地がまつたくないというのであるか、あるいは何とか努力をいたすならば、その物件費の節約の余地があると考えられておるか。
○池田国務大臣 節約の余地なしと考えまして、予算を御審議いただいておるのであります。
○川島委員 大蔵大臣にはまた後ほどお伺いすることにして、農林大臣がおりますから一言だけ農林大臣にお伺いいたしたいのでありますが、昨今農村における、農民の経済事情はきわめてインフレ時代に比較すると激変の姿を示しております。ことに農村がインフレ時代に蓄積いたしました預貯金は激減の一途をたどつている。そうして農村にもようやく深刻な金詰まりが襲いかかつて来ようといたしておつて、至るところの農村地方からその窮乏が訴えられているということは、農林大臣すでに先刻御承知のことと思う。そこで農林大臣にお伺いいたしたいのでありますが、農村の逼迫いたしました窮乏、ことに金融逼迫に対して、農林大臣は農村の金融対策についてどのような具体的な方途を持つておられるか。その点についてまずお伺いをいたしておきたい。
○森国務大臣 お答えいたします。御質問の通り農村は一時インフレの波に迎えられまして、非常な金の潤沢さを見せておつたのでありますが、近時この波がしりぞくと同時に、農村は非常な金の行き詰まりを生じて参つたのであります。これはひとり農村だけではありませんけれども、いずれの業界もそれと同じ風が吹いているわけであります。ことに農村といたしましては、深刻に考えられるのであります。そこで農村の金融問題につきましては御承知の通り農地の改革以来売買を禁止いたしております関係上、担保力が今日は土地にはないのであります。従つて農村に対する金融の目当は、農村の生産そのものに信用を置くということが唯一の担保力と考えるのであります。政府は農業会を改組いたしまして、農業協同組合を組織いたしまして、ようやく二年たつたところでありますが、この農業協同組合の力によつて、いわゆる信用力によつて金融の面を開いて行きたい。かような方針を持つているのであります。金融につきましては、中央農林金庫を利用するより道がないのでありまして、中央農林金庫は御承知の出資金が四億円でありまして、昨年まではこの十倍の四十億が貸付の限度であつたのであります。今回その方の解決を御審議願うことにいたしているのは、これを八億に出資いたしまして、さらに見返り資金より二十億の出資を融通いたしますと、二十八億になるわけでありますが、それの二十倍、五百六十億円まではわくがとれるのであります。しかし中金の持つております預金が四百億円でありますから、この方を差引きますと結局百六十億円というものが農村に対する金融の今日のわくと考えておりまして、その相手方は今申した農業協同組合の正常なる発達によつてこれを融通する。この方法をとらんといたしているわけであります。
○川島委員 さらにお伺いいたしますが、今度の税制改正によりまして、農業所得者の納税人員も大巾に減る傾向になるようであります。しかしながら一方におきましては、市町村民に地方自治におきます税が相当大巾に引上げられるという形になる。政府の説明によりますれば、国税において七百億、しかしながら地方税に四百億増税している。残り三百億ではないか、こう簡單に説明をいたしておりまするけれども、今度の地方税及び市町村税のこの大増徴は、相当深刻な影響を農民に與えるのではないかと思うのであります。と申しますのは政府の税制改革は、国税において大巾な減税をなるほど実施いたそうとしております。しかしながら直接の国税においての減税は、きわめて僅少であることは大臣も先刻御承知の通り。しかるに農民の側からいいますれば、新たに設定されますところの府県税及び市町村税、これが家屋税あるいは土地税につきましてはどんなに少くとも三倍半から四倍になろう、あるいは府県税も二倍ないし三倍に引上げられるだろうと言われております。しかもその引上げられまするところの税金の令書というものは、直接農民のふところに飛び込んで来るものであります。少くとも農展の生活の実態から見ますると、間接税的なものについては、さほど農民においては生活あるいは営農の面において、深刻には感じておらないのが事実であります。しかるに国税系統におきましては、なるほど減るのであります。減るけれども今度は地方民として、農民は莫大な徴税を直接に受けておるという形になるのでありまして、この税制改正の農民に與える影響は、きわめて深刻になるのではないかと私は思うのであります。ことに農村におきましてはその農村の市町村、村役場あるいは町役場が税金を徴收しますところの第一線になり、それが責任者になるということになります。しかもその責任者であるところの市町村長は公選されておるものである。こういつた関係に立ちましていろいろ考えてみますると、国税庁が今やつているように、怠納があればすぐ差押える、あるいは差押えをしてもきかなければすぐに競売、こういうことは農村の事態においては自治体の関係からいつて不可能であろう。しかるに一方において農村に増徴された税が一ぺんにかかつて参りますので、それがなかなか佛い切れぬ。佛い切れぬ場合は今度は地方の自治体財政の上に大きな影響が来るというようなことも、われわれ懸念をいたしておるのでありますが、この税制改正を通して農林大臣としては、農民経済に及ぼす影響というものをどのように考えられておるか、その点をひとつ承つておきたいと思うのです。
○森国務大臣 川島委員は推論をお進めになつての御議論でありますが、税制の内容については大蔵事務当局より詳しく御説明いたしたと存じます。地方税制の問題につきましては、まだ課税の基準について農民の立場として承認いたしかねる点がありますので、目下折衝をいたしておるのでありますが、シヤゥプ勧告案によりまして、大体農村の税制に対する負担の増減を見ますると、二・七くらいな程度に減税されると承知いたしておるのであります。従つて今日までの税のかけ方が農村に対して不公正であつたということはいなめない事実でありますので、今後は農村において納得の行く課税をわれわれはやりたい。これはとりもなおさず農村の收入が、どういうような性格のものであるかということを把握することがまず第一でありますので、農林省におきましては改良局において農業の実態、どういうふうな收支計算になるかということを、昨年末相当の数によつて調査を進あておるわけであります。市町村税の増加されることは今お話の通りでありましたが、そういうことをシヤゥプの勧告案によりまして検討いたしましても、二・七くらいな程度の減税になるという数字を私は承知いたしておるのでありますが、ただ地方税につきましては、根本の課税の基準について相当農林省として意見を持つておりますので、目下これらの折衝をいたしております。できるだけ農村の負担の軽減に努力いたしたいと考えておるわけであります。
○川島委員 シヤウプ勧告を基準としての私の今の質問でありましたが、幸いに大臣の方からそのシヤウプ勧告に基く税制の改正について、農民の立場から非常な意見がある、そういう説明でありますが、幸いなことでありますから、この機会に農林大臣としてシヤゥプ勧告のあの税制改正に対するところの所見を、ひとつわれわれに聞かしておいてもらいたい。
○森国務大臣 今問題になつておりますのは、農地の評価価格に対しての基準の問題であります。これが農地改革をいたしました当時は賃貸価格の四十倍、畑は四十八倍ということにおいて一応の価格をきめておるのであります。もちろん売買することを許されるのでありますが、これは売買価格でありませんが、一つの基準価格を定めるのであります。これを地租の増高関係から、とりあえず七倍程度に小作料等も上げて行きたいという気持を持つておりますので、あのシヤウプの策によりますと、地方税制の内容が一千倍ということに規定されておるのであります。そうしますと一応四十倍に上げましたために、これを二十五倍ということになりますと、さらにここに土地の価格の二重性というようなことに考えられるのであります。従つてこの二十五倍にするかという問題につきまして、農林省の立場といたしましては相当意見を持つておりますので、この問題について一二・〇程度に買收を持つて行くならば、当初四十倍に上げておるという関係から妥当ではないか、かような気持で今関係方面とも交渉を続けておるようなわけであります。その他につきましてはシャウプの勧告案によりまして、御承知の通りの方針によつて税の適正が期せられるのではないか、かようなことを考えております。
○川島委員 そこでさらにお伺いいたしておきたいのですが、私どもは元来農村の農業所得の中でも、一応通俗に考えられておりまする零細農の農業所得、すなわち言いかえれば家族労働だけで農業をやつております零細農で、しかも一年の所得が比較的に低い零細農業所得者、これは一応勤務所得でなければならない、こういうふうな観点をもつてわれわれは税というものに対処しておるのでありますが、農林大臣といたしましてはこの零細農の農業所得というものを、依然として事業所得のような形で見て行くことがいいのか、それとも勤務所得であり、もしくは勤労所得に準ずべき所得ではないか。従つて零細農の所得に対しては、勤労者と同様の税制をもつてこれに対処するということが、きわめて至当ではないかと私どもは思つておるのでありますが、これに対しての農林大臣の見解を率直にお伺いしておきたいと思う。
○森国務大臣 農業が企業か勤労かという問題は、これは年々御議論になるのでありますが、農業者に対しましては家族従業者に対する控除が、今日まで認められておらなかつたのでありますが、これは本年度の税制改革によりまして家族の従事するおもなる者に対しては、これを控除するという方針をとりまして、ここに勤労であるか、企業であるかということについては相当見方があろうと存じますが、今日日本の農業が純然たる企業であるわけでもなく、また純然たる勤労ということにも結論を下せない。いわゆる家族労働というような、お話のような小規模の労働によつて経営する面もあるのであります。規模が非常に差別がたくさんあるわけでありますが、従つてこの家族労働につきましては、今回の税制改革において基礎控除をするという方針をとることになつたわけであります。
○川島委員 あまり一人で長くなるといけませんから最後にお伺いしたいと思います。これは税の直接の関係ではないのでありますが、大臣御承知の通り食糧配給公団が三月三十一日、すなわち本年度一ぱいで廃止される。この公団の廃止によりまして、来るべき配給機構というものが大分かえなければならぬことになつている。それに伴いまして従来公団でやつておりましたがために、莫大な経費を必要としておつた。ところが公団の廃止に伴いまして人件費、物件費にわたつてある程度の削減ができて来るのではないかと私どもは想像いたしております。そこで大臣にお伺いしたいのは、その経費の節約が生れます面について、消費者価格をそれだけ引下げるか、あるいはまた買上げ価格を農村のために引上げるかというようなことを考えるべき段階ではないかと、私どもは考えておるのでありますが、その点について何か農林大臣は考えられたことがあるか。この点について伺いたいと思います。
○森国務大臣 公団廃止後に対してどれほど中間経費が節約されるかという問題でありますが、この食糧取扱いに対するつまり消費者価格の中間経費というものは、たびたび各委員会で問題にされるのでありまするが、その中間経費というものは消費者価格に織り込んでおるわけであります。しかしその中間経費のある部分は、生産者側である程度の生産物を取扱う倉庫料あるいは手数料等に、農村に還元しておる部分もあるのでありますが、今後この公団方式を全然改正いたしましても、そう大してこの中間経費は減退するものではあるまい。相当は安くなるかとも存じますが、そう大して安くなるというふうなことはあるまいと考えるのであります。と申しますことは、この超過供出であるとか、あるいは早場米の奨励費であるとかいうものが、このプールによりまして消費者価格に織り込まれておるのであります。今日まではいも類の加工品に対する買入れ等がありまして、これが超過供出等の、思わざる買入れをしなければならぬような立場にあつたがために、相当食管会計においても苦しいことを見たわけでありますが、御承知の通り二十五年度からはある一定分量のいも類しか取扱わない。しかもこれが腐敗減耗等のないことを覚悟して計画を進めておりますので、できるだけこの消費者の価格は維持されるのではないかと存じますが、今御質問のように中間経費が安くなる。それを消費者に安くするかあるいは生産者の価格を上げるか、こういうことでありますが、今日買入れ価格をきめておりますことは、結局生産費に対する必要な物資を買い入れるというその指数によつて定めておるわけでありまして、今後公団廃止後において中間経費が幾分でも削減されるということになれば、これは消費者の価格がそれだけ安くなるということに考えて行かなければならぬのではないかと思います。生産費に対しましては適正な価格を見出すということについては、一層生産費等を勘案いたしまして考慮を拂つて行くことは当然でありまするが、公団廃止に伴う経費の節約があれば、消費者価格がそれだけ安くなつて行くということに考えていいのではないかと存じております。
○川島委員 それでは最後に一つ。政府は公団の廃止と並行いたしまして、今後かんしよの統制を撤廃いたすことになる。かんしよの統制が撤廃され、買入れが中止されるというようなことになりますることによつて、かんしよ栽培地帶の農村に與えまする影響は、今日きわめて甚大かつ深刻になつておることであります。そのかんしよの今後の問題について、農林大臣としては価格の維持あるいは生産の奨励、あるいはその他いろいろの施策を考えなければならぬ段階であろうと思うのでありますが、これは農村経済に非常な大きな問題でありますので、この機会に農林大臣として今後のかんしよの生産価格等の問題について、どのような方針で臨んで行くのか、それをひとつ承つておきたいと思います。
○森国務大臣 この問題も非常に各委員会において重要視されたわけでありますが、私は今日の農業経営の面から申しまして、今までさほどまで考えておらなかつたいも類の栽培が、食糧不足のために非常に普及して参つたことは、まことに日本農業経営の上においてありがたいことと考えておるわけであります。せつかく農業経営の重大なる一環を背負い込まされたこのいも類栽培を、政府が全面的買入れを中止したからといつてこれを廃止するということがあつてはたいへんであり、またさようなことは農業経営の上からいつても、これは愼重に考えなければならぬことと思うのであります。いも類の全面統制を廃止いたしましたことによつて、農家一人々々の経営の面において十分なる考慮を佛つてもらわなければならぬと思います。またさように指導して行きたいと思つているわけでおりますが、自分はいもをつくつた方がいい、あるいはその他のものをつくつた方がいい。いもをつくるか。あとは野菜をつくるか。栽培の時期が麦のあとにいもをつくるというのが順序にたつておりますから、あとは雑穀をつくるか、蔬菜をつくるか、いもをつくるか、こういう問題になるのであります。それでありますから一人の農家があつて、自分はやはりいもをつくつた方がいいといつて、農業経営の面から考えて、いもをつくることを継続されることもありましようし、また近郊農業におきましては、やはり園芸作物をつくつた方がいい、あるいは雑穀その他花弁類をつくつた方がいいというような、その地方の農業経営に順応する方式をとられることも一つの考え方と思うのであります。しかし日本の食糧は自主的に楽になつたわけではないのであります。それでありますからその点を考えますと、いもというものは今十五億万貫ぐらい生産されると存じますが、これはやはり相当維持して行きたい、この食糧という問題の前途を考えましても、私はこれは決して減退さしてはいけない、かように考えているのであります。今回二十五年度においては、米に換算しまして四十万トンを限つて買入れが承認されたのであります。その方針によつて進むのでありますが、この四十万トンの価格は、米といもとの従来の関係によりまして価格を制定して参りたい。いわゆる米一石がさつまいも十五貫、そうすると米の価格がこれだけすると、いもの価格がこうなる、こうおのずから価格が出て参りますが、そういう価格によつて定めて行きたい、かように考えておるのであります。しからば十五億万貫かりにできます中で二億三千万貫しか買わない。あとのものはどうするか。こういう問題であります。これは農家の自家消費もむろん四億万や五億万あるわけでありますが、また今日までいもの加工工業というものは相当進んで参つておるのであります。この加工工業の設備を協同組合等の力によりまして、農村工業としてこれらの施設を結びつけて、せつかくここまで進んで来たいも類の栽培を落さない。特殊の事情によつてこれをほかに転換されるのはやむを得ませんけれども、大体いもの生産額は維持して行きたいと考えておるわけであります。従つていもはある程度自由の立場に入りますから、生産者の立場においてもいもに対する考え方をかえてもらわなければいけない。今までは一定のいわゆる公定価格で買いましたがために、澱粉含有量のいかんにかかわらず、またその味わいのよしあしにかかわらず、いもであれば政府が買い上げるという立場にありましたので、品種の改良あるいは製品の調整等がはなはだルーズになつて来ておるのであります。しかし今後は一般商品としてこのいもが取扱われるのでありますから、品種の改良またいわゆる商品価値を高めるということに、生殖者としては考慮を拂つてもらわなければならないと思いますが、政府におきましては品種の改良等につきましてもこれを指導いたしまして、今年度のいもは従来の量よりも質のよいいもが生産される、価値のあるいもが生産される、こういうふうに指導して参りたいと存じております。また工業方面についての連絡につきましても、各府県別に従来の生産と消費と加工の面を調査いたしまして、そうしてせつかくできたいもがむだにならないように、これの利用価値を高めて行くという計画を今進めておるわけであります。
○三宅(則)委員 私は幸い森農林大臣がおいでになりましたから、一言だけ参考にお尋ね申し上げたい。実は予定申告を六月にし、農業は七月にいたしておる。ところが十月に中間修正申告をやつておるのでありますが、そういう申告をやりまして、農業の方は十一月に修正申告をやるわけでありますが、まだ收穫が完了していない。こういう意味におきまして、ぜひとも確定申告とこの二本建にいたしたい。予定申告、その次は確定申告、中間の修正申告は手数が二重になりまして、まだ收穫が確定しないうちにやるということでははなはだ妥当でないと思う。こう考えますから、ぜひとも2回にした方がよろしいと思いますが、森農林大臣の感想並びに主税局長のご意見をいただきたいと思います。
○平田政府委員 申告所得税の納期につきましては、今御指摘の通り農業所得にいてはそれぞれ一月ずつずれております。七月と十一月と二月でございます。普通の農家の場合におきましては、大体三つに分けまして分納していただけば、私どもとしましては大体において農家の事情に適応するのじやないかと考えておるのでございます。十一月と申しましても、結局実際の納税の時期は十一月三十日になるわけでございますから、その辺のところになりますと、ある程度の現金收入も入つて来る可能性もあるのじやないかと思います。それから單作地帶の場合におきましては、最初の七月に納税するというのはむりでございますから、この方は十一月と翌年の二月の二期に分けまして、二分の一ずつ分納しておるわけであります。その辺のところで、大体において農家の收入の実情にまず即応するのじやなかろうかと思います。
○前尾委員長代理 午前はこの程度にいたしまして、午後二時から再開いたします。 午後一時四分休憩 ————◇————— 午後二時三十六分開議
○小山委員長代理 これより会議を開きます。 去る二十一日質疑を終了いたしました食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたしまして、討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。前尾繁三郎君。
○前尾委員 私はただいま議題となりました食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案に対しまして、民主自由党を代表いたしまして賛成の意を表するものでございます。本法案につきまして先般来いろいろ論議が盡されておるのでありますが、それはおおむね食糧管理特別会計並びに食糧配給公団に関する質疑でありまして、本法案とは全然関係のない事項が論議されておるのであります。その論議されておる点でもつともな点もあるかとも思うのでありまして、今後の食糧管理特別会計の行き方、あるいは食糧配給公団の行き万、また会計に関するいろいろな監査、監督につきましては、もとより政府としても十分今後において愼重を期して、冗費を節約し、ことに消費者価格をなるべく低額にして配給するというようなことについて、御考を願わなければならぬことはもちろんのことであります。しかし本法案に関します限りは、提案理由にも説明されておりますように、農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用の除外ということに伴いまして、農業災害の補償に関します経費を消費者負担にせずに、食管特別会計の負担とするという趣旨に基きまして、二十六億九千二百一万一千円をこの会計に繰入れようという趣旨であります。この趣旨に関しましては、現在は別として、将来は私はやはり常道に進んで行くという必要があると思います。現在の事情におきましてこれを消費者負担にするということは、とうてい不可能でもありますし、また策の得たものでないと信ずるのであります。従つてこの法律に対しましては何ら異議を申すべき筋合いのものではなしに、何人も賛成せざるを得ない法律案だと信ずるゆえんであります。従つて私は本法案につきまして賛成の意を表するものであります。
○小山委員長代理 川島金次君。
○川島委員 私は社会党を代表いたしまして、本案に反対をいたすものであります。元来れれわれ国民から徴税いたしまする租税は、公正適切であるべきはずであると同時に、それが国民の負担に耐えられる程度のものでなければならぬ。言いかえれば、国民経済と少くとも適切に適合すべき性質のものでなければならないと思うのです。しかるに吉田内閣は、ややもするとこれら国民から徴税をいたしました税金を、その費途においてもきわめて誤れる政策をとつて来るやに、われわれは強く感じておるのであります。たとえば薪炭特別会計の赤字、あるいはその他二、三公団の特別会計の赤字の埋め合せに、これまたことごとく国民の徴税をもつて補うというような施策を臆面もなく続行しておるのである。少くともこういう事柄については粒々辛苦して、かつ負担をいたしておりまする納税国民側にとつては、きわめて心外にたえないところである。少くとも政府は、国民から徴税いたしましたその資金は、国民がすべて納得の行く費途を持ち、そしてそれは少くとも直接間接国民経済の安定に配分をするということに、重点を置くべき事柄でなければならぬとわれわれは信じおるのであります。たまたまここに提案されておりまする食管特別会計の問題につきましても、一応その会計の補填をいたしまする金額の費途については、納得のできる形ではあるようにできておりまするけれども、その裏面におきましては、この特別会計の中におけるところの操作、運営の面において、政府は誠意をもつてあらゆる面に節約を実施し、国民負担の軽減をはかることこそが、国民の納税に報ゆる大きな道でなければならぬ、それが責任でなければならぬと思うのでありまするが、ややもすればそういう道をはずれて、一つの特別会計の運営操作について官僚的惰性と言いますか、われわれの血税が意外な方面に濫費されておるという傾向が強いのでございます。この面におきましても、今回の食管特別会計に盛られました表面上の理由は、われわれも一応納得できまするが、その裏面におけるところの政府の操作、運営については、きわめてわれわれの納得の行くものでないことが多々あるのでございます。ことに特別会計の諸種の赤字を税金で負担し、税金で負担しなくても一応の独立採算制であるならば、一時の借入金等によつても、それは操作ができるはずであるにかかわらず、ことさらに政府は均衡財政を口にしながら、そういう面におきましては租税の濫費を行わんとするような形になつておることは、きわめてわれわれの不満といたす次第でございます。そういつた意味合いにおきまして、今回の食管特別会計法の表面の理由には、さして重大な欠陥があるとはわれわれは考えておりませんが、その政府の特別会計の操作に対するところの習わし、施策に対して、は、根本的にわれわれの考え方と背反するものがありますので、あえてこの案には社会党を代表して反対の意を表する次第であります。
○小山委員長代理 宮腰喜助君。
○宮腰委員 私は民主党を代表しまして本案に反対するものであります。その理由は、政府は第六国会以来たびたびこの特別会計に対して、一般会計から繰入れる法案をこまぎれに出して来るのであります。これはまつたく政府がその見通しもなく、その場限りでときどきこういうふうな問題をひつさげ集るのでありますが、われわれはこの法案自体を検討するにおいて、費目の問題についてはさほど大きな反対する理由もないように見受けられるのでありますが、この裏面に隠れたるところの大きな問題、これは委員会でも再三論議して参つたのでありますが、生産者と消費者との中間の費用が非常に多過ぎる。またこの予算面に盛つて来られる問題にしても、たとえばぬか代の価格が一俵六十五円四十八銭というようになつて、それに基いて予算四億七千五百万余円というものを計上されて来ているのでありますが、実際この予算を審議してみると、この価格は一俵百九十円に売却されまして、十五億何がしという金銭が現われて来ているにかかわらず、この差額約十億というものが実際この予算面に現われて来ない。また食糧配給公団が来年の三月に解体するような状態になつて来ているのでありますから、あるいは特別会計の赤字や公団の赤字が、こういうようなわれわれの目の届かないようなところに隠れているのじやないか。たとえば一俵の空俵を四円十二銭くらいにおろしているにかかわらず、中間には中間搾取機関があつて、十円に市場に売却されているというような問題も多々あるのです。それからまた、予算面を見ますと、公団に建物所有権がないにかかわらず、修理費一億と計上されて来たり、あるいは人夫賃が五億二千百万円も支出されているのでありますが、これなども操作面においては、必ずしも人夫を雇わなくとも、あるいは雇つても、これほどの金額を出さなくても済むにかかわらず、厖大な金額を計上して、これが中間経費となつて消費価格に影響して来るのであります。また麻袋だつたか、この空袋の輸送の問題ですが、消費者に対して食糧配給をしているその空袋を一定の配給所に集荷する。その集荷した袋を今度またある一定の倉庫に集荷する場合において、特別な輸送機関を使つている。これなども、食糧を積んで配給所に食糧を配給したあとの帰りに、この空袋なり室俵なりを積んで帰ればいいのに、特別な輸送機関をこしらえまして、この輸送機関に中間搾取をさせている。こういうぐあいで、いろいろな面について矛盾した予算の計上がある。これなどは来年度食糧公団の廃止という問題がある関係上、いろいろな公団の損失を、こういう部面において隠蔽されているのじやないかという疑問が起つて来るのです。こういうぐあいで、いろいろ内容を検討してみると、ふしぎな点がたくさんあります。これも相当つつ込んで質問すれば、いろいろな問題にはなると思うのでありますが、こういうぐあいで非常に内容に至つては、われわれの信を置けるものが実際はないのです。また早場米奨励金の問題にしても七十億を計上しながら、昨年度は二十八億も残つている。従つてこの問題については、消費者の価格は幾らか下げてはありますが、これなども生産者に対する還元は一つもしておらない。こういう点でいろいろふしぎな点があるのであります。こういうようなふしぎな点があるにかかわらず、一般の国民の血税よりこの特別会計をまかなうというようなことは、われわれ国民の代表としてはとうてい賛成し得られない事情があるのでありまして、この法案自体の品目を見ますと、農作物共済にかかる共済組合の掛金ということを表題に出しておりますが、この裏面に隠れているところの大きな問題を、国民が感づかなければならないと考えまして、われわれはとうていこの法案に賛成することはできません。いろいろな事項がありますが、私は党を代表いたしまして反対の意を表明するものであります。
○小山委員長代理 竹村奈良一君。
○竹村委員 私は現在提案されました食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案に対しまして、日本共産党を代表して反対するものであります。 本法律案そのものは、農作物の共済掛金の一部を消費者に負担さすことなく、一般会計から二十六億九千二百一万一千円を限り繰入れるというのが本法案の理由でありまして、そのことだけには問題はないのであります。しかしながらはたしてそれだけの金額が一般会計から繰入れられなければ、消費者の価格を上げなければならないかどうか。この点について大きな問題があるのであります。 まず第一点といたしましては、昭和二十三年は一石当りの中間経費は二百三十五円であります。ところが二十四年度にはどうなつておるか。それはだんだん大きくなつて二千五十円という中間経費をとるようになつた。これを一箇年の総額にいたしますならば、約六百六十億という厖大なものになつて参りまして、毎年々々この中間経費というものは増大しておるのであります。本年度開かれました米価審議会におきましては、中間経費は一石一千円にとめよという條件を付して、あの米価決定に対するところの四千七百円というものが答申されておるにもかかわらず、それの倍もかかるところの二千五十円というような厖大な中間経費というものが使われておるのであります。 第二点といたしましては、二十四年度におきますところの農家の供出せる米は、いわゆる検査制度の強化によりまして、二十三年度に比べますならば、二十三年度は米の等級は一、二等というのが大体七割ないし八割あつたのでありまして、三等、四等、五等というものは二割ぐらいしかなかつたのであります。ところが俄然二十四年度に至りましては、もちろん凶作であつたということも理由でありますけれども、一、二等はわずかに二割ぐらいしか通つていない。そうして三等、四等五等というものが約八割という検査を行つておるのであります。従つて米の買上げ値段が、一、二等を二割にし、あるいは三等、四等、五等を八割にしたといたしますならば、この買上げ代金においての差は一体どれだけあるか。これは約百億円に達するのであります。しかもこの百億円に達するところの相違の代金、これに対して消費者価格を下げるのかと本委員会におきまして質問いたしましたところが、政府当局といたしましては、その金は微々たるものであつて、計算の中に入れることはでき得ない、こう言つておるのであります。しかしながら実際において一、二等を八割にし、三等、四等、五等を二割にするならば、本年度において百億円というものが多くいることになり、もしこれを反対の八割にするならば、百億円少くなる。しかしこれに対して配給価格の算定を質問しましたところ、政府当局は昨年度の例にならつて、消費者価格を大体総合計算によつてこれをきめたということを、はつきり答弁しておるのであります。そういたしますと、昨年度の一、二等が八割であつたということが基準となつて、消費者価格がきめられておるのでありまして、それが一、二等が二割になりまして、その差が百億円に達するとするならば、それだけ消費者に還元しなければならないのであります。しかしながらそのことを行わず、しかも安い米価に困つている農家に対して幾分でもこの金を渡すのかと申しますと、そうではないと政府は答弁しておるのであります。これだけでも百億円というような問題があるのであります。このことは結局消費者には高い米価を押しつけ、生産者には安い米価で買い上げ、そうして多くの中間経費をとりながら、なお等級の面においても百億に相当するところの金額を、政府はどういうふうに使おうとしているのか。おそらくこれは利潤の増大を意味するのでありましようけれども、われわれが仄聞するところによれば、おそらくこれは食管特別会計の赤字の補填になるのではないかという危惧を持つのであります。 第三点といたしましては、政府は昭和二十五年十一月一日への食糧持越量を二百九十一万六千トンと予定しておるのでありまして、そのため大体外国食糧三百七十万トンの輸入を考えておるのでありますが、現在世界の食糧事情というものは、生産の増大によりまして非常に明るい見通しを持つようになつておるのであります。たとえば日本経済新聞二十一日付の報ずるところによりますならば、アメリカにおいては戰前は実施されていたが、ここ十年来はいろいろ食糧の需給のため必要のなかつた生産割当制、すなわち小麦、綿花、とうもろこし、米などの主要食糧も作付面積の制限を受けることになつておる、こういうように報ぜられでおるのであります。つまりこのようにして世界の食糧生産というものは非常に増大しておる。しかるに政府はこの世界的な農産物の増大を前にして、食糧の持越量を増大さすために輸入を増加せしめておるのであります。つまり国内ではいも類の主要食糧としての利用を制限して、全面的な利用を考えずに、食糧輸入のため四百五十六億の補給金を計上しておるのであります。これこそは政府の食糧行政に対するところの無能力を、遺憾なく暴露していると言わざるを得ないのであります。たとえば本年度の国内需給を見るならば、持越高を百万トンに抑えるとするならば、輸入食糧は約百九十万トン減ずることができるのであります。そういたしますならば、補給金は約二百二十億の不用になるわけでありまして、これを国内生産者にまわすならば、米供出価格石当り現在よりも約七百三十円高く買い上げることができるのでありまして、石当り四千九百八十円とすることができるのであります。つまり米価審議会の答申いたしました米価というものは、農家にとつては不足でありますけれども、米価審議会の答申案四千七百円よりも上まわらして買い入れることができるのであります。またこれを肥料の補給金にまわすならば、少くとも本年八月からは肥料は七割の値上げをされることになるのでありますが、この値上分総額は、われわれの考えでは概算いたしますと約二百三十億でありますから、肥料の値上げはする必要がなくなる。百万トンに手持量を押えるならば、肥料の値上げはしなくともいいという結果になるのでありますが、このことも政府はやろうと考えていない。この事実に見るように、世界の食糧生産が増大上昇している今日、政府はあえて手持食糧を増大させ、しかも世界の農産物生産が増大いたしましたならば、将来はだんだん価格が下落して行くということを見越しておりながら、今日高い外国食糧を買つて、そうして国内生産者には低米価を押しつける。それから国内のいも類の活用も怠り、一方米麦などは供出をしいている。つまりいも類なんかの需要を怠つて、米麦だけ供出をしいている。消費者には高い価格で売りつけて、国民の血税を惜しげもなく外国食糧の輸入に向ける。配給量をふやすかといえばふやしもしない。これは一体どういうことを意味するのか。食糧の生産が減退しているときであつたならば、手持食糧をふやすということも考えられますけれども、増大しておそらく価格が下落するだろうというときに、手持食糧をふやすということは、どうしてもわれわれ納得することができないのであります。政府はそういうことは考えていない、つまり戰争準備を考えていないとするならば、手持食糧をふやす必要は絶対にないと思うのであります。つまりこういうことは、結局におきまして現存の吉田政府の農政に対する無方針の現われである。国内食糧の需給態勢の諸方針をおろそかにしているのも、またゆえなきにあらずと私たちは思うのであります。たとえば開墾にいたしましても、干拓にいたしましても、土地改良の面にいたしましても、あるいは山林牧野の開放にいたしましても、怠つている原因はここにあると思うのであります。こういう意味からいたしましても結局本法案は、消費者に負担さすことなく、一般会計から繰入れるのだという美名のもとに、自分たちの食糧行政の無方針を隠蔽せんとする一つの欺瞞的な法案であると思いますがゆえに、日本共産党はこれに対して断然反対するものであります。
○小山委員長代理 これにて討論は終局いたしました。 これから本案を議題として採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○小山委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。 —————————————
○小山委員長代理 午前中に引続き、税法六案を一括議題として質疑に入ります。川島君。
○川島委員 午前中に引続いてお尋ねをいたしたいと思います。資料要求の時間がありませんので、お持ちでしたらこの機会に一応尋ねて、それから質問したいと思います。 政府は二十五年度の国民総所得を三兆二千五百二十億、その内訳は、勤労所得が一兆三千八百五十億、個人業種所得が一兆七千四百三十一億、その他の所得が一千二百億ばかりと発表しておりますが、このうちで勤労所得者は何人でこの程度になるか。その勤労所得の中で、農林、水産業の所得人員、公務及び団体、営業等の被用者の人員、それから個人業種所得についても、その内訳を示してもらいたいと思います。
○平田政府委員 今お尋ねのおもな数字を申し上げてみます。なおさらに必要があればあとで調製して出してもいいと思いますが、一応御説明いたします。 二十五年度の国民所得を見積りました場合における勤労所得の総人員が千二百三十三万四千人、それに対しまして、今度の所得税法によりまして納税者と認められるものが九百九十七万二千人であります。それから個人の業種所得でありますが、農業所得者の国民所得における総人員は六百二十九万人、それに対しまして今度の税法によります納税見込み人員が二百七十四万一千人であります。それから営業所得の、国民所得の計算上一心見ております営業者の人員が三百六十万三千人ですが、所得税法のもとにおきましては二百十六万九千人を納税者と見ております。大体おもな点は以上であります。
○川島委員 そういうことになりますと、政府は今度の税制改正によつて、また予算上から見ても、国税総体においては九百億の減税をした。一方に地方税においては、まだ決定をいたしておらぬようでありますが、約四、五百億の増税になり、差引四百億は数字の上からでも減税になると強く主張しておるのであります。数字上においては一応そういう形になるでありましよう。国民の最も関心を持つております間接税は別といたしまして、所得税の方面では予算上の減税額は五百数十億ということになるわけでありますが、その減税率は一割八分強であります。ところが法人税の面を見ると、本年は三百八十六億円で、昨年の五百億から百十四億の減税、これは実に二割三分弱の減税ということになるのであります。政府の考え方は、おそらく資金蓄積を目標として、法人税の軽減をその面からはかつて、蓄積の方向に持つて行こうというのがその目標であろうと思いますが、日本の今の国民経済の実態からいつて、乏しきをわかち合うという一種の耐乏生活をいまなお当分続けなければならないと、総理大臣も大蔵大臣も安本長官も口をひとしくして言われておる。ところがこの減税総額から見ると、直接国民の負担いたします所得税額は、減税わずか一割八分に当るのに対して、法人税にのみ二割三分、その差五分の減税を特に法人に認めたということは、少くとも国民経済全体の上から見て、負担の公正妥当という点において矛盾があるようにわれわれは考えるのであるが、その点について当局はどういう見解のもとに、このような減税の措置をとつたかを承つておきたい。
○平田政府委員 法人の所得税の減税の程度と、個人の所得税の減税の程度に関する御批判だと思いますが、その問題については、法人税につきましてはさしあたり二十五年度におきましては、やはり再評価税を相当納めることも御考慮に入れていただきたいと思います。その総額が約百五十億と見ておりますが、その大部分は法人の分でございます。従いまして再評価税を入れますと、法人におきましても、もちろん超過所得税が減りますのである程度減りますが、実際問題といたしましてはそれほど減りません。しかし将来は再評価税は一定期間に納められることでありますから、三年間に納めてしまいました後におきましては相当減ることになります。それから個人の場合におきましても、今お話の点は二十四年度の予算額と二十五年度の予算額との比較においてのお話のようでありましたが、実際のと申しますか、税法のほんとうの減税というものは実はもつと相当高く上つておりまして、これの正確な計算はなかなかむずかしいのでございます。つまり今の税法を来年度そのまま実行した場合と比べまして、収入見積額を出して、それと今度の改正後の見込額とを比較いたしますと、実は千億以上の減税ということに相なるのであります。私ども別に法人を特に軽くするというつもりはございません。個人につきましても財源の許す限り極力減税をはかつておりますし、また法人につきましては前々から申し上げておりますように、超過所得税を廃止し、清算所得税はむしろ個人の課税に統合するというような改正をいたしておるわけでありまして、税率といたしましては普通税率三五%程度で課税するということになりますと、大体において法人と個人とのバランスはとれるのではないかと思います。ただ今度の重大な改正点は、川島委員御承知のように法人と個人は大体において所得課税においては一体に見るという原則をとつております。従いまして配当所得に対する関係におきましては、従来と比べましてこれは確かに相当な減税になるのであります。これは一つは担税力の議論からいたしましても前々から議論があつた点でありまして、法人と株主の所得はそれぞれ別個のものとして、別々に所得税を課税してもよいのだという議論と、結局法人の利益は株主の利益になつてしまうのであるから、法人の段階か、あるいは株主に配当された場合における株主の配当に対する所得税の段階か、いずれか一つの段階で一本の税を課すればよいのだ、こういう説と二つあるわけであります。今度のシヤウプ勧告による案によりますと、後者の説を採用いたしておりまして、これは私どもいろいろ議論があると思いますが、確かに事柄を現実的に見ました一つの有力な理論だと考えておりまして、負担の理論の上から考えましても十分成り立つ議論でありまして、たとえば実際を重んずるイギリスの所得税におきましては、昔から大体こういう行き方をとつております。今までの日本の税法はドイツ式の考え方をとつていたわけでありますが、その点今回大分現実的になるわけであります。さような意味におきまして、配当所得に関する限りにおきましては、確かに法人の負担は相当減ります。これははつきりいたしております。が、それは今申し上げたような課税理論を採用した方が、むしろ実際の負担力に適合し、妥当だという結論から採用いたしておるわけでございますので、單に法人と個人の減税はいかんといつたような事柄だけではなく、全体としての姿をながめていただきまして、御批判を仰ぎたいと存ずる次第であります。
○川島委員 私どもはこの点についてはまだ議論がありますが、後ほどにいたします。 次にお尋ねをいたしたいのは、先ほどの大蔵大臣の説明によりますと、政府は一般勤労生活者の実質賃金は、きわめて充実したという説明と考え方に立つておるようであります。なるほど民間産業の賃金の上昇いたした面はあることは認めます。しかし一方二百万に及ぶ一般公務員及びこれに準ずる俸給生活者の賃金というものは、昨年の一月に改訂されたまま今日に続いております。しかるに税制の改正の面から言いますると、政府の言うように一般勤労者の生活困難の事実は認めるが、それは税制の改正の面と厚生施設等によつてそれを埋め合せると言明いたしております。そこでまず第一の減税の面において、はたして一般勤労大衆の生活上における負担が、これによつて軽減されるかどうかという実質上の問題に、私は目を向けたいと思います。たとえば安本の本年に発表いたしました計算によりますと、GPSで一昨年の七月から昨年の七月に対比いたしました場合に、すでに二三・二%上昇しておる。GPIで三二%上昇しておると安本は公表しでおるのであります。こういう事柄を勘案して考えてみますと、一般俸給生活者ことに公務員の生活の実質賃金というものが確保されないのはもちろん、実質賃金が充実されておるというような見解はどこにも相立たぬと思う。ことに今回の税制改正によりますれば、政府はシャウプ勧告よりは、やや違つた観点に立つて改正案を出されておりますが、それをいたしましてもなおかつ勤労者の平均いたします減税額というものは、予算面からいたしまして、私の計算では大体二割五分であります。ところが一面において安本の示されておるように、生活の実態から考えました計数によれば、CPSで二三・二%、CPIで三二%の上昇を見ておるということは、政府みずからが言明されておるところであります。これを基礎といたしますると、今度の政府の税制改正によつて、一般俸給生活者の実質賃金が、その減税によつて多少でも充実されるのだという政府の考え方とは、たいへん矛盾をいたしておる数字になるのであります。その点は主税局関係者としてどのような観点に立たれて、この問題に対処されたかを承つておきたいのであります。
○平田政府委員 税制改正の結果といたしまして、勤労者の生計費に実際どういう影響が及ぼされるであろうかということにつきましては、地方税の関係がまだ本ぎまりになつておりませんので、今は試算程度の表をつくつておりますが、大体地方税をシヤウプ勧告によつて計算するといたしましても、私どもの計算によりますと、生活費の負担は相当減るということに相なるのであります。今月收一万円、年收十二万円、夫婦子供二人の場合を考えてみますと、大体所得税の改正によつて、現行税制の收入に対する税の負担が、さらに五・八%程度下ります。つまり手取りが五・八%ほどふえる。その反面住民税と地租、家屋税等の増徴によりまして負担がふえる部分が一・五%程度、それから先般行いましたところの取引高税の廃止、織物消費税の廃止、それから物品税の改正、それから今度の通行税の三等乗客に対する課税の廃止、そういう間接税の軽減によりまして、家計費の負担が浮くだろうと認められる部分が二・七%くらいございます。その反面御承知の通り相当補給金等を削減いたしまして、公定価格等はあるいは引上げておりますが、その引上げ等によりまして、生計費の負担のふえる部分が三・六%程度でございます。そうしますと全体を通じまして、差引き計算いたしますと三・四%ほど家計費は助かる。こういう計算は可能であります。このほかにさらに最近の食糧事情あるいは実際の価格の動向等も幾分下りぎみでありまして、この方面からしましてさらに家計は楽になる部分もございます。その反面またあるいは若干上る部面も出て来るだろうと思いますが、そういう点は抜きにいたしまして、要するに税制の改正と、それから予算措置に伴う補給金の削減等に伴つて、物価の改訂等を総合して検討してみますと、大体さような結論に相なるのでございます。これは家族の多い世帯であればあるほど、その数字がよけいな数字になるようでございます。独身者の場合は御承知の通り所得税の軽減の割合が比較的少いので、それほどでありません。ごくわずかな軽減になるところとあるいはある程度軽減になるだろうと認められるところがございます。しかし一番今生活が苦しいのは、やはり相当家族の多い世帶ではなかろうかと思います。その辺の世帶は今度の税制改正ば家計費に対して有効な役目を果す、かように確信しております。
○川島委員 今の御説明は、要するに計算の基礎を立てます一つの時点にすぎぬものだと思う。なるほど今回の税制改正実施では、しかも今の民間官庁を通じての俸給生活者の賃金というものが、一つの平常な形において行われたものと見て、それを時点として計算すれば、なるほど今の説明がつくのでありましようが、実際は一般公務員の俸給というものは、昨年の一月から改訂されておる。しかもその一月の改訂の場合には、主税局長も御承知のように、一昨年の七月の物価指数及び民間労働者の平均賃金を勘案して算定いたしたものが、六千三百七円というものに生れたのであります。しかるにその後七月を基準といたしまして、昨年の七月に至る一箇年の間にすらも、このような二割三分、CPIにおいては三割二分という上昇を見ておるということの事実を見のがした計算であれば、そういう形になるのでありますが、実際はそういう形でなくして、今のような物価の上昇という一面が動かすことのできない事実として、勤労大衆の生活を圧迫しておる事柄は事実であります。そういうことを見のがして、ただ今日の時点を基点としての計算の仕方では、この税制の改正によつて俸給生活者の賃金の実質が充実されるのだ、言いかえれば多少でも税の負担においては軽減されるのだというようなりくつは、必ずしも相成り立たぬと私どもは考えるのでありますが、局長のお考えはどういう考えでありますか。
○平田政府委員 まず最初に申し上げておきますが、先ほど川島委員は勤労所得税の軽減割合が、二割五分程度だというお話でございました。その点は私どもさように見ておりません。現在の税法をそのまま二十五年度に実行するといたしますれば、約千五百億円程度の收入に相なるのでございます。それを予算額で計上しておりますように、千億円ちよつと割る数字でございますから、大体におきまして税法改正による減税割合としましては三割を越えておるものと私どもは考えておるのであります。なおこの点は後ほど詳しい数字を申し上げてもよろしゆうございますが、その点ひとつ御了承願いたいと存じます。これは同時にお配りしておりますところの負担の比較表をごらんになればわかるのでございまして、この点から御検討になりますれば、家族が二人ないし三人くらいの世帶におきましては、おおむね三割ないし四割の軽減になつておるのでございます。さらに家族の数が多くなればなるほど、あるいは所得の階級が下になればなるほど、その軽減割合は増加いたしまして、五割、六割の軽減になつているクラスも大分多いのであります。ただ先ほど申しましたように、独身者の負担は比較的軽減になつておらない。大体一割から二割前後の軽減が多いのでございますが、勤労所得税の軽減割合といたしましては、全体として相当な減税になつているということを御了承願いたいと思います。 それから今お話の一つは、改正する場合における物価水準等の時点をいかにとるかという問題でございますが、今度の改正案によりますと、御承知の通り基礎控除は一万五千円から二方五千円に引上げております。約六割前後の引上げであります。それから扶養家族の控除も今までは税額控除で千八百円でありましたのが、今度は所得控除で一万二千円にいたしたのであります。所得控除の一万二千円と税額控除の千八百円というのはちよつとわかりにくいかもしれませんが、所得控除を税額控除にいたしますとこれも相当な減少になるわけであります。かりに一番税率の少いところの二〇%の負担を受ける所得階級における場合を考えてみましても、一万二千円の所得控除を税額控除に引き直しますと、それでも従来の千八百円の税額控除に比べますと相当の負担の減少になるのでございます。これは税率の適用階級が多くなるに従いましてその控除の率が多くなるのでありまして、この方も御指摘の物価の騰貴率等よりもはるかに高い数字になつておるのであります。さような点から考えまして、今回の所得税法改正は所得税法改正の見地だけをとりますと、御指摘の時点等から比べますと、私は相当な減税になつておると考えるのであります。給與の問題その他についてはさらにいろいろの事情を考えまして、政府としてはさしあたり現在の水準で行きたいということに相なつておることは御承知の通りであります。
○川島委員 税制の改正それ自体から見れば、数学的に一般の勤労者に対しても二割以上の減税になる、こういうのでありますが、その二割以上の減税になるに至るまでの間には、先ほど申し上げましたように物価の上昇があり、生計費の膨脹がすでに先に来ておる。それで先に来ておるものに追いかけて、初めて税制の改正が行われるのでありまして、われわれは数字の上から見ましても、実質の上から見ましても、その数字通りに勤労者の実質賃金の充実には、役立つては来ないという見解なんであります。しかるに政府はその減税自体が実質賃金の充実になり、家計費の軽減になるかのごとき口吻で説明されておりますけれども、この減税が実施されましても、勤労者の事実上の生計費というものは、政府の考えておるような数字通りには軽減されないということは、勤労者自体が一番よく知つておるわけであります。少くとも主税局長におかれましてもこれまた勤労者でありますので、国税の面においてかりにそういう数字が現われましても、未決定ではありますが、地方税の増徴、それに伴う家賃、地代等の上昇、あるいはまた米の消費者価格の上昇、あるいはその他一般必需物資の値下りを見ないという現状に立つておる限りにおいては、勤労大衆の生活の上に、この減税があまり数字通りには軽減されずに行くという建前になるのではないかということを、われわれは強く感じておるのであります。そこで政府は、ことにこれは大蔵大臣にお聞きし、申し上げたいと思つたのでありますが、大蔵大臣は先般来本会議もしくは委員会において、いかにも今度の税制改正によつて、政府は実に思い切つた減税を行い、それがために国民大衆は非常な楽を税の面からはするかのごとくに、強く吹聽しておりますけれども、これは簡単に計算をした事柄でありますから、多少の数字の聞き違いはあろうかと思いますが、たとえば政府が国税、地方税を差引いた国民全体の五百億ばかりの減税を基本といたしまして、八千万の人口に換算すれば、わずかに六百二十五円である。また納税者もしくは実質上において收得をいたしておる者の数が、かりに三千万と仮定いたしますれば千六百円、一箇月にはわずかに一人当り百四十円の減税にすぎないということになるのではないかと思う。しかるにかかわらず政府はこの減税税制改正案をもつて、まるで旱天に慈雨を受けたかのごときことになるのだというような誇張的な見解をもつて、国民に説明しておりますけれども、国民は一応も二応もそれでは納得をいたしておらないのであります。そこで私はさらにつつこんでお伺いいたしますが、この減税の実施と、一方未定ではあるが、地方税によつて受ける増税を考えてみた場合に、勤労所得者においては、ただいまの説明によれば地方税における増税分も、あまり高くないというような数字になつておりますけれども、それでは一例をもつてお尋ね申し上げます。今度の地方税の実施によつて、今の原案が実施されるとした場合の府県民税あるいは市町村民税、ことに家賃、地代等は、勤労者の上に一体どの程度の形となつて増税されるのか。その具体的な数字を一応念のために一例として伺つてみたいと思う。
○平田政府委員 まず全体の負担が相当減税になつておるかおらぬかという問題でありますが、この点はいろいろな見方があると思うのでございます。二十四年度の予算額と二十五年度の予算額を比較した場合における減税額は、今川島委員がお話になりましたような方法で見るとわかるのでございまして、それも一つの方法であろうかと思います。ただしかし国民所得が全体としてどうなるか、これはいろいろ問題でございますが、一応安本で出しておる国民所得によりましても、二十五年度においては二十四年度に比較してやはり六、七分の増を見込んでおります。つまり二十四年度が三兆七百七十億に対しまして二十五年度は三兆二千五百二十億を見込んでおるわけであります。これは物価水準は大体同じと見て、国民所得の増と見込んでおりますから、まさにこれは生産に対応する所得の増でございます。これこそは担税力の方面から見ましても、従来の国民所得の増と違いまして、ほんとうに担税力のある所得の増と見ることができるのであります。それに対しまして、今お話のように税の総額が地方税を含めまして減るのであります。従つて一人頭の金額から申し上げますと、お話のような見方もあると存じますが、担税力がある程度ふえて、しかして税の総額が減るということでございますから、そういう観点を考えますると、私はやはり二十五年度は二十四年度に比べて相当な減税になるものと考えております。国民所得に対する税の比率から申し上げましても、先般も申し上げたように、大体二十三年度が二四・二%、二十四年度が二五・五%、二十五年度は二三・二%に下るようであります。従来のように国民所得が物価水準の騰貴等によつて空ぶくれするときにおきましては、これはいろいろ見解の差異はございましようが、大体物価水準が最近の水準で横ばいすると見て、しかも生産の増加に対応して国民所得が増加する。それが実現しました場合におきましては、予算総額の増加に対する減税ができるということに相なるのでありますから、これは実質的に相当減税だと確信しております。 それから地方税の問題については、今お話の通りまだはつきりきまつておりませんので、いろいろ計算いたしておるわけでありますが、今申し上げました数字も大体シヤウプ勧告案に基いて計算いたした数字であります。大体建前といたしましては住民税は、今度は府県民税がなくなりまして、市町村民税だけになります。これは一種の所得税附加税みたいなものでありますから、これはもちろん当然所得者が負担すべきものであります。これは大体標準税率によりましてそれぞれ計算いたしております。 それから地租家屋税の引上げによりましてどう響くか。これはいろいろ問題がありますが、今日御承知のように地代家賃を相当低い統制額で押えつけておるときでありますから、これは当然不動産税、固定資産税の増税がありました場合におきましては、その地代家賃は少くとも税額相当額は当然改正すべきものだと考えております。従いましてこれは結局土地でございますれば土地の買主、それから家ならば家の買主に対して課するという前提でやらなければならないと思います。今申し上げました計算も大体そういうことを前提にしまして計算した数字であります。
○川島委員 そこで具体的に住民税は従来の何倍くらいになるか。地租家屋等の固定資産税は従来に比較して何倍くらいになつて行くのか。また地租家屋両税の引上げに伴つて、一般地方におけるところの地代家賃はどのくらい上つて行くか。またどの程度まで予想しておるか。その点を具体的に示してもらいたい。
○平田政府委員 住民税は御承知の通りに、今度は大体所得税を主とするものが大部分だと思います。所得税を基本にする場合においては、今の案によりますと、大体一八%を標準税率にいたすことになつております。それから均等割りといたしまして、大体年六百円程度が標準になるものと考えております。そういう前提で計算いたしまして、ただいま申し上げましたように、年收十二万円くらいの夫婦子供二人の世帶の場合における住民税の負担が、従来は月約八十円のものが、改正後においては月百七十三円くらいになつております。それから地租家屋税の分は従来二十六円くらいのものが、改正後においては七十五円程度になります。かような計算をいたしまして算入いたしたものであります。
○川島委員 その税の引上げに伴つて、地代家貸がどのくらい上つて行くかということは研究しておりませんか。
○平田政府委員 地代家賃の問題は、結局地代家賃統制令で統制額を指定してきまることになつておるわけでありますが、これについては先ほどから申し上げましたように、少くとも固定資産税の増徴に対応する部分は引上げる改正を行う。この方針は大体きまつておりますが、それ以外においてこの際修繕費等の増加を見込んでさらにどの程度引上げるか。これは目下物価庁で研究中でございます。これは一般物価政策との関連において決定すべきではないかと思うのであります。
○川島委員 そうなると地租、家屋両税の引上げに準じて引上つて行くということになりますと、こういうことになるおそれがあろうと思う。従来の土地家屋は大衆が借家人である。そして同時に土地も借りておる。しかも固定資産税が大巾に引上つて来るということになれば、それに準じて家賃が引上つて来るということになるにかかわらず、先ほどの局長の御説明によると住民税、地租、家屋合せても一・五%しか引上らないという説明でありますが、これはちよつと納得が行かない僅少な数字ではなかろうかと思うのでありますが、その根拠はどこにあるのですか。
○平田政府委員 一・五%と申しましたのは、年所得に対してその負担増の部分の割合でございます。いずれも今申し上げました増減の度合いは年所得に対しまするそれぞれの所得税の減少歩合なり、あるいは家計費の増減を申し上げたのでございます。家賃、地代としましては相当な値上りに相なるわけでございます。今申し上げましたように地租、家屋税につきましては、私どもの計算では一応今度増税になりまする額が、税制改正によつてそれだけ値上げになる。その影響を見ております。その他の部分はどうするかということは、さつき申し上げましたように、これは一般物価政策の問題であります。最近地代、家賃が非常に低い状況に照しまして、さらに若干の修正を加える必要があるかどうか。そういう角度から検討して決定さるべきではないかと思うのであります。
○川島委員 それはその程度にしておきまして、次にお伺いしたいと思いますが、政府は給與ベースの改訂を行わない。給與ベースの改訂を行うと中央、地方を通じておおよそ六百億の財源を必要とする。この六百億の財源を必要とする基準となるものは人員でありますが、その人員数において六百億の財源を必要とするほどの人員が今あるのかないのか。その具体的な根拠をこの機会に示していただきたいことと、もし六百億の財源があつてその給與改訂をした場合に、六千三百七円を七千八百七十円に引上げた場合に、一体所得税の政府にはね返つて来る金額はどのくらいかというようなことについて研究されたことがあれば、その数字をこの機会に漏らしていただきたいと思う。
○平田政府委員 勤労所得が、主として官公吏の所得が六百億ふえた場合に、どの程度はね返つて来るかという問題ですが、これは正確な計算をいたしたことはございません。これは正確な数字を必要がございますればすぐでも計算いたさせます。大体におきまして従来の課税所得の上に乗つかつて来ますから、やはり少くとも課税所得五万円以下が二割でございますから、二割よりも多いということは間違いございません。二割五分前後ではなかろうかと思いますが、その辺のところは必要がございますれば後ほど調べまして申し上げます。
○川島委員 人員並びにその財源のはね返つて来るもの、仮定の問題で恐縮ですが、その数字がありましたらば、具体的に追つて資料をもらいたいと思うのであります。 次にお尋ねいたしますが、今後の税制の問題は焦点がいささか地方税に移つて来るのではないかという感が深くなつておるのでありまして、国民もまたこの地方税の改正に大きな焦点的な目を向けて関心を拂つているのであります。そこで政府の税制改正説明によりますれば、地方自治の強化助長のために、そうして財政力の乏しい地方に対して、健全な財政的活動を行わしめるのだということで説明をされておりまするが、私どもの経験あるいは見聞するところによりますと、今度の地方税の中には、たとえば附加価値税のごとき新しいものがある。あるいはまた固定資産税のごとき家屋税地租にかわるものでありますから、これはあまりむつかしい手数はないだろうと思うのでありますが、基準をきめたり、あるいは賃貸価格の倍率等によりまして、これまた事務的には煩瑣な手数が必要になつて来るのではないかということは、はつきり見通しができるのではないかと私は思うのであります。そこで政府にこの点をお伺いしたいのでありますが、地方税の改正が今の原案の通りに実施されたと仮定いたしました場合に、はたして府県並びに市町村が、政府の考えておるように徴税がきわめて円滑になつて、しかも財政的に地方の財政活動に健全性を必ず加えるであろうという見通しが、一体あるのかどうかということについて、一応伺つておきたいと思うのであります。
○平田政府委員 お話の通り、今回の地方税は、主として府県税は附加価値税と入場税と遊興飲食税で大部分をまかなうことになります。市町村は新しい住民税、市町村民税と固定資産税でほとんど九〇%以上まかなうことになります。従つて五つの税、あるいは極端に申しますと、附加価値税と市町村民税と固定資産税の三つの税がうまく行くか行かぬかということが、ほとんど地方税の收入がうまく行くかうまく行かぬかのわかれ目になると私は考えております。従つて三つの税について御質問のような点について、若干意見を申し上げます。 まず附加価値税でございます。附加価値税はいかにも新しい税金でございますので、世間では一体どういうことになるかわからないといつたような不安の念を持つておられるようでございますが、私は率直に申しまして、附加価値税は所得税よりもはるかに行政はやさしいと考えております。取引高税よりも確かにむずかしいと考えております。法律をつくります場合におきましては、なかなか問題の点もございますが、一定の收入金額から一定の支出を差引きますと、それによつて出て来るわけでありまして、所得計算のごとくたなおろしを期末にするとか、あるいは減価償却の計算をするという必要が実はないのであります。税法で定められたところの收入金額をプラスに立てて、仕入費その他の税法で定められました控除すべき支出金額をマイナスに立てまして、それぞれ課税年度ごとに差引計算して出しますれば、附加価値が出て来るのでありまして、企業としましてはなれて来ますと、案外簡単にできるのじやないかと考えております。ことに附加価値税は今までの事業税と異なりまして、会社の分がどちらかというと納税が多くなります。個人なかんずく中小企業の分は、事業税に比べまして負担が相当減ります。大企業の分が相当ふえて中小企業の分が減ります。従つて納税という見地から申しますと、私は比較的今までの事業税よりも楽に入つて来やしないか、かように考えております。もちろん県の当局が今まで課税標準の調査ということにつきましては、あまり慣熟いたしておりません。と申しますのは、今までは大体国税の課税標準におつかぶさつて参つておりまして、みずから附加価値の計算なり、所得の計算といつたようなことも経験がございませんので、その方面からする不安は確かにあると思いますが、しかしこれも府県としては徴收する税額は今申しましたように、附加価値税と入場税と遊興飲食税の三つの税でありまして、ことに大部分の精力を附加価値税に注入することができるということになつて参りますると、勉強してもらえば案外早く慣熟し得るのじやないかと私は考えております。従いまして附加価値税は、私は歳入確保の点から行きましてそう心配はいらぬのじやないか。中小商工業の分は結局におきまして、やはり所得税にある程度資料をたよりまして、それから若干外形的な方法で附加価値を算定するよりほかはないものと考えておりますが、この場合におきましても、商工業の所得税における標準率をつくるよりも、附加価値における標準率をつくる方がむしろ簡単だと私は思います。従いまして、なれて参りますと、附加価値税は所得税等に比べましてはるかに容易である。もちちん取引高税は收入金額だけ調べればいいのでありまするから、取引高税よりもむずかしいことは間違いありませんが、大体さようなことに考えております。 それからもう一つ市町村民税は、実はこれは大体所得税にのつかつてしまうわけでございます。所得税の税額の何パーセントとか、あるいは所得額の何パーセントかになるわけでありまして、この方の課税標準は、税務署で調べましたものにいずれにしろ大体のつかつて来るということになりますから、課税標準の新たな調査ということは、たいしてむずかしい問題は残つておりません。ただ実際問題といたしまして納税者の数が多いので、税金を集めるのに手数がかかると思いますが、これを熱心にやりますれば、相当入つて来るのではないかと考えます。問題は固定資産税でございますが、固定資産税の問題におきましても、実は御承知の通り三つの要素があるわけでございまして、従来の地租の分と従来の家屋税の分と、それから新たに加わりましたところの減価償却資産の分と、この三つがあるわけでございます。そのうち従来の地租の分と従来の家屋税の分は、御承知の通り賃貸価格が一応ございまして、その賃貸価格をもとにしまして、その何倍かの法定評価で最初はスタートすることになつております。従いまして、この方も最初のうちは割合に行政手続上は簡単であります。ただその後におきまして、これはやはり不動産の時価を年々市町村において調べまして、適正な査定をして行くことになりますので、大体最初にきまりました法定評価をもとにして、いかにして適正な評価をするかということには相当問題があろうかと思いますが、一応スタートはさほどむずかしくないと思います。この地租、家屋税分によりまして、大体三分の二以上は固定資産税として收入が入つて来そうであります。あとの三分の一弱が、おそらく減価償却資産の分だと見ておりまするが、これが実は私は一番むずかしい問題ではないかと考えております。でありますが、この方も、一方におきまして今度再評価を国においてやることになつておりまして、減価償却につきましては、一応再評価法に基きまして税務署の方にいろいろな資料が集まつて参ります。その資料をもとにいたしまして、それを市町村に配付いたしまして、それによりまして適当な評価に努めますれば、さして至難なことではないと思います。しかしこれは実際問題としまして、なかなかむずかしい点がございます。従いまして最初のうちは、減価償却資産の評価が一番問題もあるし、むずかしい問題ではないかと思いますが、今申し上げましたように、再評価を同時に国においてやりまして、それをつき合せてやりますれば、これもそう著しく負担の不均衡を来さないで何とかやれるのではないか。もちろんこれがためには、中央におきましても相当專門家を集め、地方においても相当專門家を訓練いたしまして、適正な評価に努める必要があるのではないか、かように考えております。
○川島委員 そこでお尋ねしておきたいのですが、附加価値税の税率、固定資産税の賃貸価格の倍率及び税率、こういつた問題について政府原案がありますが、さらにまたその筋と折衝されて、その税率の軽減をはかるというような運動が行われておるように、新聞紙上では伝えられているのでありますが、その状況を参考のためにこの機会に知らせてもらいたいと思います。
○平田政府委員 政府といたしましては、基本的には、これらの税はいずれも相当新しい税でありまするし、一面におきましては全体としての負担を極力適正ならしめるという見地から、税率は必要な際には上げられる限りにおきまして、極力低い方がいいのじやないかと考えております。従いまして所定の収入を確保し得る限度におきまして最も合理的な税率をきめたい、かような見地から目下いろいろ検討中でございます。これも近く方針がきまると思いますから、詳細はその後に申し上げた方がいいと思いますので、その際に譲ります。
○川島委員 それでは大事なことをもう一つ聞いておきたいと思います。民間の資産再評価をいたしましたならば、これがどのくらいの評価額になるかということ、それから地方税におけるただいまの固定資産税のうちで対象となる土地家屋、これらの全体の評価額は今国においては一体どのくらいに考えておるか。そういう数字も定めしおありであろうと思うのでありますが、それをこの機会に示してもらいたいと思う。
○平田政府委員 減価償却資産につきましては、再評価税で一応の見積りを立てておるのでございますが、その見積りの方法といたしましては、一月一日現在の会社の帳簿価格は、法人の分が大体八百七十四億円程度と見ておりますが、それに対しまして、再評価法に基きまする倍率を機械的に適用いたしますると、約十八倍ぐらいになるようであります。従いまして、十八倍といたしますと約一兆六千億程度になるのでございますが、しかしこれは機械的に適用した倍率でありまして、会社がそこまで再評価するかしないかはある程度任意にいたしております。それから機械的に適用しましたものに対しましては、陳腐化その他によつて低評価しなければならぬものがありますので、再評価税の見積りにおきましては、大体におきまして八千二百六十億円程度の額に再評価するものと見ております。従いまして、帳簿価格との差額の七千三百九十五億円というものが再評価差額になりまして、それに対して六%の税率を適用し、それを年度ごとに区分して再評価税を見積つたのでございます。固定資産税の場合におきましても、おおむねそれに近い数字になると思つておりまするが、この計数につきましてはなお若干検討いたしておりますので、確定しました上で申し上げるならば間違いなかろうかと思いますから、その際に譲ります。
○川島委員 いずれまた確定した数字はお尋ねすることにいたしまして、大体大ざつぱでよろしいのですから、大ざつぱにつかまれた範囲内の数字がありましたら、ぜひ示してもらいたい。
○平田政府委員 地方税の分は、本日手元に資料を持つておりませんので、他の機会に申し上げることにいたします。
○川島委員 いずれそれを出していただきたい。それからもう二、三お尋ねをいたしたいと思います。最近政府は税制の改正と並行して、いわゆる青角申告というものを設定いたしたわけであります。これは一月一日の実施でありますから、相当もはやこの申告の成績の目途だけは、政府においても見通しがつくような事態になつたのではないかと思うのでありますが、この青色申告の実績というものは、昨今においては一体いかなる実情にあるかを漏らしてもらいたい。
○高橋(衞)政府委員 青色申告の制度ができましてから、法律は一月末が期限になつておるのでありますが、二月の十日ごろまでの大体各局におけるところの届出の数を集計したものの合計は、全国で十六万二千六百九十六件であります。これは個人の所得税についての問題であります。なお法人につきましての青色申善書の提出数は、全国で十一万三千五百件であります。大体推定されるところの納税義務者に対する割合は、個人におきましては二・四%、法人におきましては四四・一%になつております。
○川島委員 今の説明で大よそわかつたのでありますが、この青色申告制度の精神は、われわれもよく了承されるところでありますが、実際においては、すでに二月の十日現在で、わずかに二・四%、その後における申告も相当あろうと思いますが、それでも申告の実績というものは、政府の意図いたした通りにはなかなか行会い奮にあるのではないか。その実情といたしましては、一般の個人においては、ことに中小企業等におきましては、この青色申告制度の取扱い方が非常に複雑で、一般の国民の常識では記載しかねるような問題が多々あるので、結局その申告が振わないという形になつておるのではないかと思うのであります。そこで政府は国税庁を通して、各税務署等を督励いたしまして、この問題の出奨励、講習等に当つておるようでありまするが、この青色申告を完全にさせるかさせないかは、この制度の成否のわかれ目でもあり、そして来るべき二十五年度の徴税の上にも、重大な影響があるのではないかと思うのでありますが、この成績をいかにして挽回するかというような事柄について、国税庁といたしましては、何らか具体的な手があつてしかるべきだと思うのでありますが、その辺の方策はお持合せであるかどうか、その点について所見を承つておきたい。
○高橋(衞)政府委員 先ほど全体に対して二・四%と申しましたが、そのうち青色申告用紙に対して最も関心の深いのは営業でございまして常業に関しましては約五%出ておるのであります。農業等におきましては、ただいまもお話になりました通り、帳簿の記載能力のある方が非常に少いというような関係からいたしまして、届出の数は非常に少いのであります。なお今回はこの制度につきまして、最初のときでもありましたし、税務自体といたしましても、具体的によく時間もかけて宣伝もしたり、または指導申し上げる期間がきわめて少かつた。従いまして主として商工会議所でありますとか、または経済安定局でありますとか、そういうような方面に依頼を申し上げまして、各地において講習会等を開いたのでありますが、その開きました結果は、どこも聽衆が堂に満つるという状況でありまして、非常に熱心に聽講をされたのであります。しかしながら何分にも帳簿をつける習慣のある方が割合に少いということと、それから一番困難な点とされましたのは、年初めのたなおろしを届け出ることになつておるのでありますが、その面が相当に困難のように聞いております。なお帳簿の様式と申しますか要件等に関しましては、規則そのものは非常に難解のように見えるのでありますが、たとえば雑貨商でありまするとか、または魚屋でありまするとか、そういうふうな一つ一つの業態について考えますると、要件がきわめて簡単でありまして、その要件が困難であるがために普及ができないという性質のものではないと甲うのであります。政府といたしましてはこの制度を意義あらしめるために、今後もできる、だけ指導いたしまして、届出の増加するような施策をとつて行きたいと考えておる次第であります。
○川島委員 この青色申告につきましては、いろいろ国民の間に浮説があるのであります。政府はわれわれにできないことを強要するような形にして、できないからまたばつさりと一方的な課税をやつて来るんだ、そういう一つの口実を設けるためにこんな制度を勢けたんだ、それが正解であろうと誤解であろうと、そういう感じを国民にひどく強く與えておるのであります。そこで政府に私は申し上げておきたいのでありますが、この青色申告の制度の運用につきましては、もつと政府が積極的に、しかもその申告する場合においては、もう少し簡易率直にできるような形に指導をすることが、きわめて必要ではないかと思うのでありまして、この機会にそのことを希望をいたしておくのであります。 それから今度の税制改正において、扶養家族の範囲の拡大をいたしたのでありますが、その範囲の拡大をいたすという掛声にもかかわらず、われわれの予期したこととは反しまして、所得金額が一万二千円以下であるものは扶養親族として認める、こういうことになつておるのでありまして、まことにこれは実際上の面において有名無実に近いものではないか。扶養家族の拡大をしたという名前はあるけれども、実際の適用の上においてはあつてもなくてもいいに近いような形が出るんじやないかと思うのであります。一体この一万二千円以下というポイントを設けて、これによつてどのくらいの人数が助かつて来るのか。この点について一応説明を願いたいと思うのです。
○平田政府委員 今度の扶養控除の範囲につきましては、原則として従来のような年齢の制限を撤廃いたしたのでございます。実際において所得者から扶養を受けておる事実がある場合におきましては、原則として扶養親族として控除することにいたしたのでございますが、しかし他面におきまして、その人に所得があつて、むしろ基礎控除を受けて單独課税を受けまして、それによつて所得税の課税を受けた方が得だという人は、これは今度原則として分離課税をすることにいたしましたので、むしろその方で行つた方がいいのじやないかと考えます。従いまして扶養家族の控除の申請を受けるものといたしましては、結局所得一万二千円未満の人が有利になるわけでありまして、そういう場合におきましては、すべて年齢のいかんをとわず控除することにいたしたのでございます。なおこの法律上強制的に合算いたしますところの配偶者と未成年の子の場合におきましては、子が資産所得——利子所得と配当所得と不動産の賃貸所得、これらの所得がある場合には合算するわけでございますが、合算する場合におきましては、従いましてかような所得の制限を設けないで、無條件に控除することにいたしております。従いまして配偶者等が資産所得がある場合におきまして合算する場合は、この所得の制限に関係なく扶養家族に該当するのでございます。分離課税を受け得る場合においては、むしろ所得がある場合におきましては、分離課税を受けて基礎控除を受けた方が有利でございますから、むしろそういうようなことによりまして、それぞれ妥当な解決をはかつたらどうかと考えておるのでございます。なお今度の制度の改正にまりましで、扶養親族として新たに控除の見込みの人員が、勤労所得の場合におきましては七十四万七千人ほどふえて来るだろうと思つております。それから申告所得税の場合におきましては、全体で二百七十三万人ほど増加するだろうと見ております。この中で先ほど農林大臣からもお話がありましたが、家族專従者の控除をすることにいたしておりますが、これは扶養家族と同額の控除でございます。その人員が新たに百九十九万人ほど増加するものと見ております。学生等が三十万人程度、不具者が二十八万人、その他いろいろなものが十四万人程度ふえまして、申告所得では二百七十三万人程度、扶養親族として控除される人員がふえる。そういう前提で歳入額を計算いたしておるのでございます。 なおつけ加えておきますが、青色申告制度につきましては、今高橋長官のお話の通りでございますが、前は單に帳面をつけた場合におきまして、どういう法的効果があるかということは、実は前の臨時特例では何ら規定していなかつたのであります。今度の所得税法で、法人税法等によりましてその点を明らかにいたしましたので、この届出の時期につきましては、新法によりまして附則で大巾に延長いたしまして、法律施行後二箇月内は青色申告をするという届出ができることにいたしております。もちろんこれも一月から一定の帳面をつけている人の場合に限るのであります。新たに施行後つけ出すというのは間に合いませんが、一月前から例の特例法に該当する要件を備えているような帳面をすでにつけている人であつて、青色申告の制度を利用したいという人は、新法施行後二箇月以内に政府に申し出れば、條件がかなうということに相なりますことを、つけ加えて申し上げておきたいと思います。
○川島委員 扶養親族の範囲を拡大する場合に一万二千円以下、これは年所得でしようから一箇月千円、こういう程度のものを、資産所得や何かの場合は別ですが、当然勤労者としての家族の中で一万二千円以下の所得を持つておるというものは、ほとんどないということになります。ということは、同一家族で、しかもその子弟が一万二千円以下でなければ、扶養家族として認められないということは、年齢のいかんにかかわらず、結局においては扶養家族で従来と同じような建前において適用されるという形になるのではないか。そうするとこの一万二千円以下と区切つたということは、勤労所得者に対する考え方でなくて、むしろ資産所得方面をねらつたのではないかという考え方になるのでありますが、その点はどういうふうになるのでありますか。
○平田政府委員 御承知の通り、今回の所得税法の改正案によりますと、所得は原則として分離して課税することにいたしておるのでございます。合算しますのは、配偶者と子供の資産所得だけでありまして、あとは一切所得は分離して課税するのでございます。従いましてほかに一定の人が勤め等をやりましたり、あるいは同じ同居家族でありましても、別に事業所得があるといつたような場合におきましては、それぞれ分離をして課税することができる。そうしますとそれぞれ二万五千円の基礎控除ができるのでありますから、従いましてそういう人の場合におきましては、二万五千円の基礎控除をして、そのほかにさらにほかの所得者から扶養控除を受けるという必要はなかろう、かような考え方でありまして、従いまして一万二千円以下の所得のある人だけが、結局におきまして扶養控除の申請をして来る。こういうことになる。扶養控除の申請をして来る場合におきましては、その反面今度はその人にいやしくも所得があれば、やはり合算して課税する、かような考え方でございます。それから資産所得の場合につきましては、今申し上げましたように、無條件に配偶者と子供の資産所得は、法律上強制的に合算課税をやるわけであります。この場合におきましては、たとえば奥さんが配当所得が三万円あつたからといつて控除しないということになりますと、基礎控除もできない、扶養控除もできないことになる。これはやはり不合理であるから、そういう場合におきましては、一万二千円の資産所得がありましても、やはり扶養控除は認めよう、こういうわけであります。従いまして、結局一万二千円の資産所得以外の所得がある場合におきましては、分離課税を受けることによりまして二万五千円の基礎控除ができる、こういうことになるのでございます。
○川島委員 その分離課税はわかりましたが、分離課税をしたそれぞれの同一家族の最後のやはり合算課税というものは行う方針になつておりますか。
○平田政府委員 さようでございます。分離課税をするというのはまさにその通りでございまして、兄弟でも親子でも、事業所得が別々にあるという場合、あるいは事業所得と勤労所得とある。お父さんが農業をやつていて、むすこさんがどこかへ勤めておる。こういう場合は全然別個の課税をいたします。
○川島委員 そうでなくて、分離課税をして、その次に家族全体の総合所得に対して、また課税をするという従来のやり方をやるのですか。
○平田政府委員 それをとりやめるのが、合算制をやるということでございます。それをやりますのは、今申し上げましたように配偶者と未成年の子供の配当所得と利子所得と不動産所得、こういう純然たる資産所得で、名儀が簡単につけかえることができるもの、こういうものは、分離課税をいたしますと、日本の実情ではいろいろ負担関係がかえつて不公平になる場合がございますので、それだけは合算しますが、それ以外は原則として合算しない、こういうことでございます。
○川島委員 まだありますが、本日はこの程度で……。
○小山委員長代理 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後四時十六分散会