大蔵委員会 第19号
- 発言数
- 44 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1950/02/24
会議録
○北澤委員長代理 これより会議を開きます。 去る二十日本委員会に付託に相なりました酒税法の一部を改正する法律案、有価証券移転税法を廃止する法律案、及び去る二十一日に付託に相なりました法人税法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、富裕税法案、通行税法の一部を改正する法律案の六法案を一括議題としまして、まず政府の説明を求めます。大蔵大臣池田勇人君。
○池田国務大臣 所得税の一部を改正する法律案外五法律案の提案理由の説明をいたします。 政府は昭和二十五年を期して国税、地方税を通ずる税制の根本的改正を断行することといたしたのであります。すなわち、さきに公表を見たシヤウプ税制使節団の勧告は、御承知の通り税制全般にわたる画期的改正を提案いたしておるのでありまして、政府といたしましては、おおむねシヤウプ勧告の基本原則に即応し、さらにわが国現下の財政経済諸事情に適合するよう、これに適切と認められる調整を加えて、現行税制の全般にわたり改正を行わんとするものであります。しかしてさきに第六国会を通過して、本年一月から実施を見た所得税の暫定的軽減、取引高税及び織物消費税の廃止、物品税の改正等は今回の根本的税制改正の一環をなすものでありますが、今回ここに所得税法、法人税法等の改正案、富裕税法案等関係法律案を提案する運びと相なつた次第であります。 まず今回の税制改正の基本方針につきまして申上げます。第一に、昭和二十五年度予算におきましては、総合予算の均衡を確保し、経済安定をはかる方針を堅持いたしますとともに、他面価格調整費その他の経費について相当大巾な節減を行いまして、歳出規模の縮減による財源をもつて、国民租税負担の軽減合理化をはかることといたしたのであります。これにより昭和二十四年度に比して、国税の軽減額は相当額に達するのであります。 第二に地方自治を強化助長するため、地方財政を極力充実せしめることとし、従いまして、地方税負担は勢いある程度増加することとなるのであります。なお新たに地方財政平衡交付金制度を創設して、比較的に財政力の乏しい地方団体に対し、健全な活動を可能ならしめるに必要な財源を付與することといたしました。 第三に負担の公平化をはかる点に重点を置いたのであります。まず所得税制度につきましては徹底した合理化をはかり、各種納税者間の負担の公平化と、各納税者の個人的事情に適応した課税を実現して、所得税を租税收入の根幹たらしめることといたしました。所得税の補完税として富裕税を創設することといたしました。また現行相続税制度を根本的に改正しで、相続及び贈與による財産の取得者に対し、取得者ごとに分割して、その一生を通ずる財産の累積額を標準として、課税することにいたしたのであります。次に、事業投資の促進、生産の増加等との関連を考慮いたしまして、法人から生ずる所得に対する課税につき調整を加え、個人及び法人を通じ、その負担の均衡をはかつたのであります。さらに今回個人及び法人を通じて資産の再評価を実施し、企業をして適正妥当な減価償却を可能ならしめて、企業経理の合理化をはかるとともに、資産譲渡の場合における課税を適正化することといたしたのであります。間接税その他につきましては、その大衆課税的性質にかんがみ、極力整理する方針のもとに、さきに取引高税及び織物消費税を廃止し、物品税を軽減したのでありますが、今回さらに有価証券移転税及び三等乘客に対する通行税の課税を廃止し、酒税について若干税率の調整を行うにとどめたのであります。 第四に中央及び地方を通じて、恒久的かつ安定した税制の確立に目標を指向したのであります。今回の税制改正は、税制全般にわたる改正でありますが、一旦改正された税制は、今後相当な期間持続せしめる前提のもとに立案されたのであります。しかして国、都道府県及び市町村相互間の税源の配分につきましては、極力同一の税種を比率により分配することを避け、税種目によつて配分することとし、あわせて重要でない税目は極力これを整理することといたしたのであります。すなわち国におきましては、所得税、法人税、相続税、酒税、タバコ益金、その他の消費税を主要財源とし、都道府県におきましては附加価値税、入場税及び遊興飲食税を根幹とし、市町村におきましては市町村民税及び固定資産税を根幹として、それぞれ形成せしめることといたしました。特に市町村につきましては、右に述べた通り有力な直接税によつてまかなわれることになりましたことは、住民の地方行政に対する関心を高揚することとなり、地方自治の発展に寄與するところきわめて大なるものがあると存ずる次第であります。 第五に税制の合理化に対応して、税務行政の適切な執行をはかることに特に重点を置いたのであります。すなわちいかに税制が合理化されましても、その運用がこれに伴わなければ、国民租税負担の実際の公平化を期しがたいことは、多く強調するまでもないところであります。従いまして税務行政の改善をはかるとともに納税者の協力の向上に努め、負担の公平化と課税の適正化をはかることがきわめて緊要なのであります。これがため今回新たに青色申告書の制度を設ける等、租税執行に関する制度につきまして相当の改善をはかつたのであります。 なお、相続税、資産再評価、地方税等につきましては、近くこれが関係法律案を提案することといたしておるのであります。 次に各税に関する改正の大要について申し上げます。 まず所得税について申し上げます。先ほども申し上げましたごとく、本税を租税收入の根幹として形成するとともに、所得税負担の軽減適正化と所得税制度の合理化をはかることといたしたのであります。所得税負相の軽減適正化につきましては、今回基礎控除、扶養控除、勤労控除、税率等の改正を行うこととし、負担の軽減適正化をはかつたのであります。 まず基礎控除につきましては、現行法では年額一万五千円であり、シヤウプ勧告においては二万四千円でありますが、これを二万五千円に引き上げることといたしました。次に、扶養控除につきましては、現行法では千八百円の税額控除でありますが、これを税額控除から所得控除に改めることを適当と認めまして、扶養親族一人につき一万二千円を所得金額から控除することといたしたのであります。なお、これに関連いたしまして、扶養親族の範囲を拡張し、納税義務者と生計を一にする配偶者その他の親族で、原則として所得金額が一万二千円以下である者を、扶養親族として認めることといたしたのであります。これにより農業、中小工業において家業を助けている成年の親族や就学中の者等につきましても、扶養控除が認められること相なるのであります。 次に勤労控除につきましては、現行法では收入金額十五万円までの金額の百分の二十五、最高三万七千五百円の控除が認められており、シヤウプ勧告では收入金額の百分の十、最高二万円の控除が提案されているのでありますが、勤労所得者と事業所得者との間の負担の均衡等を考慮いたしますときは、現行の百分の二十五の控除割合は、やや多きに過ぎると考えられますので、今回收入金額二十万円までの金額についてその百分の十五、最高三万円の控除を認めることを適当と考えたのであります。なお退職所得につきましても、給與所得の場合に準じ、新たに收入金額の百分の十五の控除を行うことといたしました。 次に税率につきましては、おおむねシヤウプ勧告の線に沿い、五万円以下百分の二十、五万円を越える金額百分の二十五、八万円を越える金額百分の三十、十万円を越える金額百分の三十五、十二万円を越える金額百分の四十、十五万円を越える金額百分の四十五、二十万円を越える金額百分の五十とし、最高税率は、シヤウプ勧告においては三十万円を越える金額に対し百分の五十五でありますのを、五十万円を越える金額に対し百分の五十五といたしたのであります。なおあとで御説明いたしますように、所得税の最高税率を百分の五十五にとどめたことと関連して、高額所得者に対する所得税の補完税として、新たに富裕税を創設することとし、高額資産所得者に重課することにより、負担の適正化に資することとしたのであります。 以上により所得税の負担は、各種納税義務者を通じまして、相当軽減適正化されるのでありまして、たとえば給與所得者について申しますれば、扶養親族三人で月收一万円を有する者の現行負担は月千百九十五円であるが、改正後は六百八十三円となり、差引五百十二円の軽減となり、軽減割合は四割二分八厘になるのであります。また扶養親族四人で月收一万五千円を有する者の現行負担は月二千六百九十一円であるのが、改正後は千四百五十八円となり、差引千二百三十三円の軽減となり、軽減割合は四割五分八厘となるのであります。農業所得者について申しますれば、所得年額十万円程度が通常の場合であると考えられるのでありますが、その現行負担は、扶養親族四人の場合には一万六千五十円であるが、改正後は五千四百円となり、差引一万六百五十円の軽減となり、軽減割合は六割六分三厘となるのであります。また営業所得者の場合には、所得年額二十万円程度が通常であると考えられるのでありますが、その者の現行負担は扶養親族四人の場合には、五万七千五十円であるのが、改正後三万三千三百円となり、差引二万三千七百五十円の軽減となり、軽減割合は四割一分六厘となるのであります。これにより所得税の負担、特に扶養親族の多い世帯の負担は、相当程度軽減合理化されることとなるのであります。 次に所得税制度の合理化をはかるべき方途としては、まず第一に特別控除を認めることとしたのであります。すなわち不具者である者については、基礎控除または扶養控除を認めますほかに、一万二千円の控除を認めることといたしました。また震災、風水害、火災その他これらに類する災害または盗難により受けた損失額が、納税義務者の所得金額の十分の一を越えるときは、この超過額を所得金額から控除することといたしました。さらに納税義務者またはその扶養親族の医療費につきましては、支出した医療費が所得金額の十分の一を越えるときは、その超過額は十万円を限度として、これを所得金額から控除することといたしました。 第二は、所得合算制の縮小であります。すなわち原則として同居親族の所得合算制はこれを廃止し、各所得者ごとに課税することといたしました。ただ例外として、納税義務者と生計を一にする配偶者、または未成年の子等が資産所得を有する場合には、当該資産所得の全額を、また納税義務者の扶養親族として控除の申告をした場合には、その扶養親族の所得の金額を合算して、課税することにとどめたのであります。これにより、たとえば独身者の場合等の負担は相当軽減されるものと考えられるのであります。なお納税義務者と生計を一にする配偶者その他の親族が、当該納税義務者の経営する事業から所得を受ける場合には、当該所得をその納税義務者の所得として課税することといたしました。 第三は損益通算及び損失の繰越しまたは繰りもどしに関してであります。損益通算につきましては、現行法では経営的所得と臨時的所得との間に境を設けて、両者間の通算を認めないこととしておりますが、今回の改正により、所得の計算上一時所得以外の所得について損失があるときは、これを他の所得の金額から差引いて計算することといたしました。また青色申告書を提出した場合には、ある年において生じた純損失の繰越し控除を三年間認めることとし、また前一年に限つて繰りもどし控除を認めることといたしたのであります。 第四に漁獲から生ずる所得、著作権の使用料による所得、退職所得、山林所得または譲渡所得等、年々所得金額の変動することが予想される変動所得につきましては、ある年にこれが集中することが多いため、累進税率の関係等で著しく高い負担となるものと考えられますので、数年間にこれを均分して課税することとし、負担の調整をはかることとしたのであります。すなわち変動所得の金額が所得金額の百分の二十五以上である場合におきましては、納税義務者は、平均課税を受けることを選択することができることとしたのであります。この場合、平均課税の期間は、原則として五年間でありますが、変動所得が漁獲から生ずる所得、著作権の使用料による所得等以外であつて、かつその金額が二十万円以下であるときは、その年限りの簡易な調整を行い得ることといたしております。 第五は譲渡所得及び山林所得の課税方法の改正であります。譲渡所得及び山林所得につきましては、現在はその十分の五に対し課税することになつておりますが、今回はその金額に対し課税することといたしました。他面譲渡所得及び山林所得に対する課税を合理化するため、変動所得の平均課税を選択することができることといたしますとともに、既往におけるインフレーションによる値上り所得を排除調整するため、資産再評価による再評価額を、譲渡所得または山林所得計算上の取得価額の基準といたすこととしたのであります。かように再評価額を取得価額といたします結果、譲渡所得は再評価額を越える部分だけについて生ずることとなり、再評価額の範囲はすべて六%の再評価税の課税を受けるにとどまることとなるのでありまして、負担は著しく緩和されるのであります。次に相続または贈與等により資産の譲渡があつた場合におきましては、少額な場合を除き、原則としてそのときにおいて、譲渡所得または山林所得が実現したものと考えまして、譲渡所得または山林所得を計算して課税することといたしました。なお今回生活に通常必要な家具、什器、衣服その他一定の動産についての譲渡所得は、所得税を課さないことといたしました。 第六は配当所得に対する課税方法の改正であります。個人及び法人の課税の調整につきまして、相当根本的な改正が行われることとなつたのでありますが、その一環として、法人税の課税は、個人における所得税の源泉徴収に当るものであるという観点からいたしまして、配当所得に対する源泉徴收の制度はこれを廃止いたしますとともに、現在配当所得の百分の十五に相当する金額を、所得税額から控除することといたしておりますのを、配当所得の百分の二十五を控除することとし、その控除割合を引上げることとしたのであります。なお清算分配金につきましては、清算所得に対する法人税の廃止に伴い、株主等個人の所得として所得税が課税されることになるのでありますが、清算分配金が、株式または出資の取得価額を越える場合の超過金額のうち、法人の積立金に対応する部分の金額につきましては、配当所得として課税し、右以外の金額につきましては、当該株式または出資の譲渡による收入金額として取扱うことといたしております。 第七に申告及び納付の時期につきましては、一般の所得税の申告時期及び納期は、これを六月、十月及び翌年一月の三期に改めることとしたのであります。また農業所得につきましては、農家の実情に即するよう七月、十一月及び翌年二月の三期とすることとし、なお單作地域につきましては、十一月及び翌年二月の二期といたしました。その他所得税の控除、税率等の改正に伴い、簡易税額表及び源泉徴收額表を、全面的に改正いたしますとともに、簡易税額表を適用する場合を、課税所得金額三十万円程度まで拡張することといたしました。また予定申告書または確定申告書の提出を要しない者の範囲につきましても、相当拡張することといたしました。 次に所得税の執行に関する制度の改正といたしましては、まず今回青色申告の制度を認めることとし、正確な帳簿の記載を奨励し、これに対し相当の優遇を與えることといたしたのであります。すなわち一定の帳簿を記載している納税者に対しましては、青色申告書の提出を認めることとし、この場合には、帳簿書類を調査した上でなければ、更正決定をなすことができないことといたしますとともに、損失の繰越し、繰りもどしを認めることといたしたのであります。今後この青色申告の制度の実施に伴つて、課税関係の不合理は漸次解決を見るべきものと期待しているのであります。第三に予定申告に際しましては、原則として前年の所得金額を基準とする制度を設けることとし、政府の承認を受けた場合には、前年の所得金額に満たない金額で申告することができるものといたしました。その他源泉徴收制度につきましても、実情に即するよう若干の改正を行つたのであります。 次に法人税について申し上げます。今回の改正により、法人の課税制度には相当重要な改正が行われることとなつたのであります。従来のわが国の法人税制度は、法人を個人から独立した課税主体として、個人と別個に課税することといたしているのでありますが、今回法人が、事業遂行のための個人たる株主の集団である点を重視し、法人税と所得税とが実質的に二重課税となることを排除すること、及び法人の租税負担を軽減して、事業投資、資本蓄積の促進をはかることを改正の基本原則としたのであります。これに伴い、さきに御説明いたしましたように、配当所得に対する課税方法にも、必要な変更が加えられたのでありますが、法人の課税制度にも、次に申し上げますごとく、相当重要な改正が加えられることとなつた次第であります。 その一は超過所得に対する法人税及び清算所得に対する法人税の廃止であります。すなわち昭和二十五年四月一日以後終了する事業年度から、超過所得に対する法人税を廃止することといたしました。また同日以後における解散または合併による分から、清算所得に対する法人税を廃止し、さきに述べました通り清算分配金は、これを株主等の個人に対して課税することといたしましたのであります。 その二は、普通所得に対する法人税の税率百分の三十五は、すえ置くことといたしたのでありますが、農業協同組合等の特別の法人に対する税率は、一般法人と同様百分の三十五といたしたのであります。 その三は、積立金に対する課税でありまして、本年四月一日以降終了する事業年度における積立金額の増加額に対し、新たに年百分の二の税率により、法人税を課することといたしました。この積立金に対する課税は、さきに述べました個人、法人の課税の調整に関する措置の一環をなすものでありまして、法人が所得を社内に留保した場合におきましては、その株主は、その留保金に対して所得税の納付を延期する結果となることを考慮いたしまして、延期をした所得税額に対する利息分を徴收する意味から、創設されたものであります。ただ同族会社につきましては、積立金額のうち、年五十万円を越える金額に対しましては、その税率を百分の七といたしまするとともに、現行の同族会社に対する税額加算の制度は、これを廃止することといたしました。なお同族会社の範囲を拡張し、株主一人中心主義を株主数人主義に改めたのであります。 その四は、法人が他の法人から受ける配当等につきましては、法人課税制度の改正の原則に従い、その配当等からその元本を取得するために要した負債利子を控除した金額を、益金に算入しないことといたしたのであります。 その五は、公益法人に対する課税であります。すなわち民法第三十四條の規定により設立した法人等の收益事業から生じた所得に対しましては、新たに課税することといたしたのであります。もつとも当該法人が、所得のうちから本来の公益事業に支出した一定額につきましては、これを損金に算入することといたしているのであります。 その他法人の課税標準の計算に関しまして、青色申告書を提出している法人につきましては、五年の損失繰越しを認めますとともに、前一年に限り損失の繰りもどしを認めることといたしました。またたなおろし資産の評価方法及び固定資産の減価償却の方法につきましては、各種の方法のうちいずれか一つを選択することができることとし、一の方法から他の方法に変更するには、政府の許可を受けなければならないこととしたのであります。なお額面超過金、減資益等の益金不算入、貸倒れ準備金の損金算入、その他法人所得計算に関する規定を、実情に適応するよう改正することといたしました。 法人税の執行に関する制度の改正といたしまして、青色申告書の制度を設けること、申告納税について前年実績制の要素を取入れたこと等は、所得税の改正について御説明した通りであります。なお法人税の申告書に、法人の代表者または経理担当責任者が、自署押印しなければならない規定を設けることといたしたのであります。 次に富裕税についてその大要を申し上げます。さきにも申し上げました通り、所得税におきましてはその最高税率を、五十万円を越える金額に対し百分の五十五としたのでありますが、これに対応して、高額所得者に対する税負担の適正合理化をはかりますために、新たに所得税の補完税として、富裕税を創設することといたしたのであります。 富裕税の内容につき主要な点を申し上げますと、本税は、課税時期、すなわち毎年十二月三十一日において、本法施行地に住所を有し、または一年以上居所を有する個人と、本法施行地に住所または一年以上居所を有しない個人で、課税時期においてこの法律の施行地に財産を有しているものに対して、その財産の価額が五百万円を越える場合に課税するのであります。課税標準の計算にあたりましては、前者については、その者の有する財産の価額から、課税時期において現に存する公租公課を含む債務の金額を控除した金額を、後者については、その者の有する本法施行地にある財産の価額から、その財産にかかる債務の金額を控除した金額を課税価格といたしております。なお富裕税の課税にあたりましては、 (1)国または地方公共団体において公用または公共の用に供する土地、家屋及び物件、 (2)墓所、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるもの、 (3)国宝、史蹟名勝天然記念物、重要美術品として認定されたものの価額の合計額のうち百万円までの金額、 (4)もつぱら学術の研究の用に供する書籍、標本及び機械器具、 (5)生活に通常必要な家具、什器、衣類その他の動産 には、課税しないことといたしております。 次に免税点及び税率でありますが、富裕税は先に申し上げた通り、課税価格が五百万円以下である者については、課税しないことといたしております。またその税率は、最低五百万円を越える金額に対し千分の五から最高五千万円を越える金額に対し、千分の三十に至る超過累進税率によることといたしました。これにより本税の課税を受けるものは、五百万円を越える高額資産家に限られるわけでありまして、その課税人員も比較的少数であります。本税は、通常の場合におきましては、所得税と合せて年々の所得から納め得る程度のものと考えられるのでありますが、高額資産所得者につきましては、たとえば收益率一割の場合には、所得税の負担と合せて最高百分の八十五の税率となり、高額資産所得者は相当高率の課税を受ける結果と相なるのであります。なお同居親族の課税価格はこれを合算することといたしておりますが、その場合には所得税の資産所得の合算の場合と同様の範囲といたしております。 次に財産の評価でありますが、原則として、課税時期における時価によることとし、地上権及び永小作権の価額は、その残存期間に応じ課税時期の現況による土地の価額に、一定の割合を乗じた金額といたしました。また有価証券で取引所に上場されているものについては、その年十二月中の毎日の最終価額の平均額により、年金その他の定期金に対する権利の価額については、その受くべき金額に一定倍数を乗じた金額により、保険契約に関する権利の価額は、課税時期までに拂い込まれた保険料の合計額を基準として、一定の割合を乗じた額とすることといたしました。 本税は、課税時期の翌年の二月一日から同月末日までに申告納税する建前をとることといたしましたので、最初本税を申告納税するのは、昭和二十五年十二月三十一日現在の財産価格につき、昭和二十六年二月末日までにすることになるのであります。なお本税の更正決定、異議受理の方法並びに罰則につきましては、所得税の例に準じて規定を設けることといたしました。 次に、有価証券移転税につきましては、従来から有価証券の流通を阻害するという非難が多かつたのでありますが、所得税の譲渡所得を補完する目的もあつて、今日まで存置して来たのであります。しかしながら今回取引高税の廃止、不動産取得税の廃止等をも考慮いたしまして、有価証券の流通を円滑にする等のため、これを全廃することとした次第であります。 次に、通行税につきましては、奢侈的性質の少い三等の乗客に対する課税を全廃することといたしました。他面一等及び二等の乗客に対しましては、その消費の性質にかんがみ、普通運賃に対しても急行、寝台料金に対すると同様、百分の二十の税率をもつて課税することといたしました。 次に酒税について申し上げます。酒税につきましては、最近における酒類の消費状況にかんがみまして、できるだけ多くの歳入を得ることを期しているのでありますが、酒類の価額はすでに相当高位にあり、また密造対策の見地からいたしましても、その大巾な引上げは困難と考えられるのであります。ただ現在の財政事情及び酒類の需給状態等から見まして、ある程度の価格の引上げはやむを得ないものと認められますので、今回地方税たる酒消費税を酒税に統合し、各種酒類間の権衡を考慮いたしまして、若干税率の調整をはかることといたしたのであります。すなわち自由販売酒のうち、清酒につきましては、一升当り特級千百四十円を千百七十円程度に、一級九百十円を九百六十円程度に、二級六百四十円を六百五十円程度に、合成清酒につきましては一升当り一級六百四十五円を六百七十円程度に、しようちゆうにつきましては一升当り四百二十五円を四百五十円程度に、またビールにつきましては大びん一本当り百二十五円を百三十円相度にすることとし、配給酒につきましても若干の引上げをすることとしたのであります。他面この際若干の価格の引下げを行うを適当と認められるものもありますので、合成清酒第二級一升当り五百二十五円を五百円程度に、三級ウイスキー一びん当り四百二十二円を三百八十円程度にそれぞれ引下げ、価格の適正化をはかることとしたのであります。 次に所得税、法人税等に共通する問題でありますが、租税執行に関する制度の改正について主要な点を申し上げます。青色申告書の制度及び予定申告等の前年実績制を採用することにつきましては、さきに所得税及び法人税に関連して申し上げた通りであります。今回異議処理の方法を改正いたしますとともに、新たに国税庁及び国税局に專門の協議団を設置し、その適切迅速な処理をはかることといたしました。すなわち改正された要点を申し上げますと、税務署の調査によりなした更正決定に対する異議につきましては、再調査の請求ができることとし、再調査の決定に不服のある者は、国税局長に審査の請求ができることといたしたのであります。なお国税局または国税庁の調査によりなした更正決定に対する異議につきましては、調査をなした国税局または国税庁に審査の請求ができることとしたのであります。所得税、法人税等についての審査請求につきましては、国税庁または国税局に所属する協議団を全国各地に置き、その協議を経てこれを決定することとしたのであります。しかして審査の決定に不服があるとき、または審査請求があつた日から三箇月以内に決定がないときは、裁判所に出訴することができることとしたのであります。 次に、従来の加算税及び追徴税を今解実情に即するように改正することといたしたのであります。すなわち現行の加算税を利子税額に改め、本税額百円につき現行十銭であるのを、四銭に引き下げることといたしました。次に現行の追徴税を性質に応じ過少申告加算税額及び無申告加算税額に改め、過少申告加算税額は期限内の過少申告に対し、不足税額の百分の五に相当する金額を徴收することとし、無申告加算税額は期限内に申告しなかつた場合において、期限後の期間に応じ、その納付すべき税額に対し百分の十ないし百分の二十五の割合で徴收することといたしました。さらに虚偽の申告をなした場合には、過少申告加算税額にかえ不足額の百分の五十の重加算税額を徴收し、事実を隠蔽しまたは仮装して申告しなかつた場合には、無申告加算税額のほかに、納付すべき税額の百分の五十の重加算税額を徴收することといたしたのであります。なお源泉徴收義務者につきましても、右に準じ利子税額、源泉徴收加算税額及び重加算税額を徴收することといたしました。 次に罰則に関する規定を整備することといたしました。すなわちその一は所得税、法人税等の通脱犯に対する罰金刑を、現在は脱税額の五倍以下であるのを、五百万円以下とし、脱税額が五百万円を越えるときはその免れた税額と同額以下といたしました。その二は、正当な事由がなくて確定申告書等を提出しなかつた者に対する罰則の規定を、新たに設けることといたしました。その他秩序罰につきましても、所要の整備を加えることどいたしました。 以上各法律案につきその大要を申し上げたのでありますが、昭和二十五年度の租税及び印紙收入の総額は四千四百四十六億円に上り、総歳入中租税の占める地位は六七%強となつているのであります。昭和二十四年度の租税及び印紙收入の総額約五千百五十九億円に比較いたしますと、約七百十三億円の減少となるのであります。もつとも第六国会において可決された所得税の軽減、取引高税及び織物消費税の廃止等は、今回の税制改正と一体として考えるべき性質のものでありますから、これを含めた減少額は約九百十三億円に達するのであります。なお地方税におきましては、市町村税において約四百億円の増加となるわけでありますが、他面寄付金は相当減少することが予想されます結果、全体としての地方負担の増加はさしたるものでないと考えられるのであります。 その各税につきまして、本年度の收入額を申し上げますれば、所得税は二千四百八十六億八千三百万円で全体の五五・九%、法人税は三百八十六億二一百万円で全体の八・七%、酒税は千三十億三百万円で全体の二三・二%、物品税は百七十二億五千八百万円で全体の三・九%に達するのであります。なお富裕税の本年度の收入額は二十億二千五百万円であり、資産再評価による再評価税の本年度の收入額は百五十九億三千八百万円であります。今昭和二十五年度の租税及び印紙收入に專売益金を加え、直接税と間接税との比率を見ますれば、直接税は五四・五%、間接税は四四%その他一・五%に当るのであります。 今回税制の全般にわたり根本的な改正を行い、租税負担の軽減合理化をはかることといたしたのでありますが、租税負担の公平化を期するためには、税制の合理化と相まつて、税務行政の適切な執行をはかり、徴税能率の増進、申告成績の向上等により、負担の公平化と課税の充実をはかることがきわめて緊要なのであります。政府は租税執行に関する制度について改善を行い、負担の公平化に全力を傾注する考えでありますが、これが成否は全国民の深き理解と協力とにまつところ多大なものがありますので、この際国民各位の御協力を切に希望するものであります。 何とぞ御審議の上、すみやかに賛成せられんことを切望してやまない次第であります。 —————————————
○北澤委員長代理 この際お諮りいたします。ただいま議題となつております税制改正六法案、すなわち酒税法の一部を改正する法律案、有価証券移転税法を廃止する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、富裕税法案、通行税法の一部を改正する法律案、この審査に関しましては去る二十一日の理事会におきまして、重要な歳入法案であるという意味におきまして、国会法第五十一條及び衆議院規則第七十六條によりまして、右各法案について公聽会を開くことを申し合せました。公聽会開会につきましては、衆議院規則第七十七條によりまして、あらかじめ議長の承認を得た後に、その決議をしなければならぬことになつておりますので、まずお諮りいたします。右各法案を重要な歳入法案と認め、会聽会を開くことについて議長の承認を求めることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北澤委員長代理 御異議がないようでございますから、さよう決定いたします。 なお議長のもとに提出いたします公聽会開会承認要求書の作成及び提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。 なお理事会におきまして公聽会の日時を、一応来る三月二日午前十時よりとし、問題は今度付託されました所得税法改正、その他税制改正案についてと決定いたしましたが、公聽会開会の日まで幾ばくもありませんので、議長の承認があるものとして、あらかじめこの際正式に手続をいたしておきたいと存じます。来る三月二日午前十時より税法各案につきまして、公聽会を開くことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北澤委員長代理 御異議がないようでございますからさよう決定いたします。 なお公聽会開会報告書の作成及びその提出手続、それから公示手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。 それから公述人の選定及び通知と、公聽会開催の準備に関しましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北澤委員長代理 御異議がないようですから、さようにとりはからうことにいたします。 —————————————
○北澤委員長代理 税制改正関係法案の質疑は後日に讓りまして、次に証券取引法の一部を改正する法律案を議題として、前回に引続き質疑を続行いたします。小峯柳多君。
○小峯委員 ただいま本委員会に付託になつておりまする証券法の一部を改正する法律案につきまして、さきに私は取引委員会の湯地事務局長にお尋ねいたしたのでありますが、本日は大臣がお見えになつておりますので、最近における証券対策に関しまして重ねて大臣の御所見を伺いたいと思います。 証券対策に関する大臣の談話がいろいろ新聞紙上に発表されるのでありますが、正式な発表でないものでありますから、それだけをつかまえてとやかく言うつもりはありませんが、発表されますごとにその模様のかわりつつあるのを、私どもは読みとつておるのでありまして、証券対策は一体どういう進み方をしておるのか。実に不安にたえないのであります。私どもが証券対策を取上げておりますのは、一部の証券業者に対する対策ではなしに、国民経済的な観点から取上げておるのでありますが、最近大蔵大臣は通商産業大臣もお兼ねになつておりますから、その国民経済的な必要性につきましては、特に感慨深いものがあるだろうと存ずるのであります。 最近いろいろ新聞に発表されておりますが、その証券対策の推移、いきさつ等いろいろ変化しております点は、関係方面との折衝で大臣が非常に御努力なさつていることの証左でもあろうと考えまして、実はその御労苦に対しては非常に多といたしておるのであります。しかし一ころ大臣のお考えになつておりましたものと、多少重点がずれて来てはいないかというふうに感ずるのでありますが、その間のいきさつを率直簡明に伺いたいと存ずるのであります。
○池田国務大臣 証券対策らしいことが新聞にちよいちよい出ておるのでありますが、これは私の口から出たのではございませんで、ある程度想像記事がまざつておると考えておるのであります。私は昨年来証券対策についていろいろな手を打つたのでありまするが、まだ足らない点があるのであります。そこで民間では証券保有会社をつくつてはどうかという意見が相当有力でありますが、証券保有会社をつくるのは最後の手であつてそれまでになお打つべき手が相当あると私は考えます。その途中の手を今打ちつつあるのであります。どういう構想のもとにやつておるかと申しますと、今後わが国の産業を復興いたしますためには、何と申しましても相当の長期資金がいるのであります。その、長期資金は、先般も資金計画で発表いたしましたように、昭和二十五年度においては大体千七百億円程度の長期資金を考えておるのでありますが、これにはやはり相当の株式を発行しなければならないのであります。しかして証券対策といたしましては、今のある株式につきまして、金融その他の措置をつけますと同時に、今後発行されます場合の株式につきまして、相当の手を打たなければならないのであります。私の考えておりますのは、主として今後発行される株式について、まず重点を置くという考えで行つているのであります。しこうしてこれがためには、今までのようないわゆる証券売買業者をもつてしては不十分でありますので、アンダーライターと申しますか、下引受会社と申しますか、こういう制度を確立して行きたいと考えているのであります。どこからどれだけ金が出るかということについては、ただいま申し上げられませんが、当面打つべき策といたしましては、株式の引受機関を拡充強化する、こういうところに証券対策の重点を置いて行き、そしてまた今後の市況によりましては、いろいろな点を考えなければならないと思うのでありますが、さしむき今の証券保有会社に対して、政府がどうこうするということは考えておりません。民間の方で保有会社をおつくりになりますれば、できるだけの援助はいたしたいと考えております。
○小峯委員 御答弁を承りますと、最初からの御構想があまりずれておらぬように承知いたしまして、これは敬意を拂うのであります。 今お話のアンダーライターの問題でありますが、非常に業者の数の多い中で、特にその業者の中から選別してアンダーライターを考えられるのか、あるいはその場合に何か基準のようなものでもお考えになつておられるか、伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 今の証券業者のうちに、特にこれこれという選定をいたさないつもりであります。申出がありました場合において、その人の信用状態、今までの営業規模等を考えまして、やつて行きたいと思つております。
○小峯委員 新聞紙の報道するところによりますと、そのアンダーライターを大体十三社くらい選定して、現在の資本金が約十一億くらいになつているので、その十一億の倍額増資を考える。そのあとの三十九億をアンダーライターの運転資金に補強して、都合五十億くらいで、今あなたのおつしやるアンダーライターを補強して行くのだというふうな記事があります。先ほどの御答弁の中で、資金の出場所は申し上げにくいということでありましたが、そういうふうに伝へられているものと大差ないことをお考えになつているか、伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 その記事と私の考えは大差があります。五十億とか何とかいう金額は考えておりません。
○小峯委員 五十億の金額をお考えにならないということは、さらに大きなものを考えているということか、とてもそんな大きなものは考えないという意味か、ひとつその辺のいきさつを伺いたいのであります。
○池田国務大臣 この株式の金融対策といたしましては、五十億や六十億では足りないのであります。百億も二百億もあつてしかるべしだと思います。しかし私のところで使う金は、何もそうたくさんでなくてもいいのであります。元ができて、それが動いて百億、二百億になればいいのであります。従つて五十億より多いか少いかということになりますと、私の手で動かす金はそれよりも少いということになります。
○小峯委員 大体輪郭はわかりますので、これ以上伺うことはかえつて御無礼だと思いますので、遠慮いたします。 次に保有機関の問題、大臣の御答弁の中で、民間で保有機関ができれば、それに対してはできるだけのことをしたいというふうな意味に聞きとれたのであります。保有機関の問題は、実は経団連なども非常に熱心に動いておつたようであります。ところが大臣の最近の構想が、むしろその方が強く出るものですから、保有機関の方が、少し影が薄くなつたというように一般は承知しております。これは最後の手であるということは私も同感であります。しかし純然たる民間の機関で保有機関をつくる場合にも、独占禁止法との関係はどうか。民間が保有機関をつくることは、法的に独占禁止法との関係はさしつかえないと考えておられるか。あるいはその場合に何か單独な特別の法律でも用意しなければならぬと考えておられるか。と申しますのは、保有機関の保有株式に関しましては、株主権を停止するというようなことも必要じやないかと思いますが、その辺のことを伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 保有機関ができまして、それの資本金の状況、あるいは株式取得の状況によりましては、お話のような特別の立法をしなければならぬ場合も起ると考えております。
○小峯委員 アンダーライターの問題と保有機関の問題を伺つたのでありますが、私どもは証券対策として考えて参ります筋には、実は証券金融会社をはつきりつくることが一つ、それから保有機関をつくることが一つ、また取引仕法の合理化の問題であります。これはアメリカ流のレギユラーウェーを日本でも確実に実施する。もう一つは、証券業者の資力充実の問題であります。大臣が当面もつばら力を入れてお取上げになつておりますところは、証券業者の資力充実と言いますか、アンダーライターの確立というところにあると承知してよろしいか、その辺のことを伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 アンダーライター制度の確立でございます。しかしてまた御承知の通りに、日本証券金融会社あるいは大阪証券金融会社等ができまして、貸株制度も確立いたしますと、アメリカ流のレギユラー・ウエーの方に移つて行きたい、こう考えております。
○小峯委員 今の問題と関連いたしまして、信用供與の問題、これは伝えられるところすでに古いのでありますが、しかも大臣の判こ一つでこれはできそうな気がするのでありますが、信用供與を実現する時期、並びに信用供與の率などについて、構想がまとまつておりますれば、伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 信用供與の問題につきましては、株価の状況によりましては切実な問題として考えておりましたが、ただいまのところでは今ただちに打たなければならないとも考えておりません。信用供與をやります場合に、やはりアメリカ流に半分にするか、あるいは七割程度にするか、問題があると思いますが、これは一にその証券市場の状況によりまして、そのときどきにきめればいい問題だと考えております。なおこの問題につきましては、やはり関係方面との話もありますので、ただいまのところこういう案というものは持つておりません。
○小峯委員 民間保有機関の話なのでありますが、もしこれが自主的に民間ででき上るといたしますと、これに対して政府で力を貸し與えるという方法について、具体的に何かお考えになつていることがありますか、伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 具体的の手は考えておりません。しかし民間の有力な方々が保有機関をつくるべく奔走しておられますので、私としては一応賛成の意を表しております。またいよいよ具体的の問題になりますと、融資あつせんその他の方法をとつてもいいと考えております。
○小峯委員 関連してもう一つ伺つておきたいことは、これも新聞紙上で承知したのでありますが、重要産業のしかも重要な会社の増資に関しましても、実はその増資分の資金を見返り資金で引受ける。そうして大きい意味の長期金融政策の一環にするのだ。もともと見返り資金の使い方は、財政の基礎を固めることもありますが、直接に積極的な再建に寄與するという面もあると思います。従来の直接投資では大臣御承知のように、なかなかはかが行かないのであります。そういうことに関連して、私は今朝の新聞記事を非常に興味深く拜見したのでありますが、これは政策委員会から非公式に云々という新聞記事であります。そういうことが進みつつあるか。またそれに対する大臣の御見解を伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 日銀の政策委員会の意見として新聞に出ましたのは、承知しております。しかしそういう考え方について私はいろいろなことを総合して申しますると、あまり賛成した案ではないと思つております。見返り資金が直接にいわゆる重要商業の株を持つか、あるいは今まで通りに投資で行くかという問題になりますと、やはり向うとの関係もありますが、投資の方に行つて直接株を持つということはむずかしいのではないか。それよりもその見返り資金とか、あるいはほかの政府資金を使いまして、そうしてアンダーライター制度を確立して、重要産業の増資に便宜を與えるという方が本筋ではないかと考えております。
○小峯委員 私は予算委員会でも大臣とお話合いしたのでありますが、大臣のおつしやるディス・インフレの線を通しての金融を積極的にまわすということが、大きな前提となると考えるのであります。そういう意味で金融政策の推移というものを、非常に重大な関心を持つて見て来ておるのでありますが、昨年末預金部資金が動員されて以来、大臣のとつておる金融政策の中に、これは相当はつきりした積極面が出て来ているように感ずるのであります。もちろん現実の必要から生れたのでもありましようが、また大臣の日本経済の安定から復興という線に沿つてのお考えが、あるいは進んで来た点でもあると考えておるのであります。最近また大蔵委員会に付託されるかと思いますが、金融の増資を見返り資金で引受けるという問題、あるいはまた政府資金を動員することにつきまして、積極的にお考えが進んでおるように思います。そこで金融の基調が一ころよりかわつて来たと大臣は明確に言い切れるかどうか。と申しますのは、今日金融の問題が非常に国民経済上の重大な関心事でありまして、国民はひとしくこの金融政策の成行きを見守つておると思います。ある程度までこの安定を推進しますためには、金融を厳格にやることも必要があります。そろそろ金融に積極味を出さなければならぬ時期になつておる。そういう時期においてこういう金融基調の成果を見てとつておるのかどうか。大臣はその点をどう金融基調の変革をなしとげるお考えでありますか。総括的な問題でありますが、お考えを承つておきたいと思います。
○池田国務大臣 お話の通りに私は資金の融通につきましては積極的方策をとつております。昨年末預金部資金の百億円を民間に出しました。その出しました結果から申しますると、普通の銀行に出したよりも無盡とかあるいは信用組合の方に出す方が、時間的にもまた実質的にも非常にいいと考えますので、預金部資金の百億円のうちに前は四、五億円しか出していなかつたものを、昨日もあの資金を銀行から引上げまして、八億五千万円ほど無盡あるいは信用組合に出したのは、きようの新聞にある通りでございます。預金部資金の活用につきましても、昨年の百億円につけ加えまして、最近また百五十億円を公団の滞貨あるいは未收入金の決済に充てるよう、百五十億円を、最近出す準備をいたしたのであります。もうぼつぼつ動き始めておるのであります。なおまた復興金融金庫に八十億円程度遊んでおるとは申しませんが、ありましたので、これも五十億円は短期の資金として使用し、また三十億円は長期の資金といたしまして興銀あるいは農中、商工中、こういうふうなものに出しております。また今後におきましても閉鎖機関の百数十億円の使用とか、あるいはこの上とも預金部資金の余つたものを活用するとか、あるいはまた短期ではありまするが、政府の余裕資金の活用につきましても相当考慮をめぐらしまして、積極的にどんどん金をまわして行きたいという考えでやつておるのであります。
○小峯委員 結論的にひとつ最後のだめ押しをいたしたいのでありますが、証券市場というものは、御承知のようにそのときの経済の集中的な表現でありますから、單に市場の問題だけを取上げてこの解決ができるはずはございません。そういう意味で証券対策は、いわば経済政策に対する——特に今の段階では金融政策を推進することにあると考えておりますが、大臣のお考えがその線で私どもとまつたく同感のように考えられますので、欣快にたえません。そこで結論といたしまして、大臣は証券政策としては証券金融の問題を疏通することも考える、保有機関も忘れているのではない、時期の問題はあるが、やはり最後にはこれも考えてもいい問題だ、特に民間が自発的にやる場合には、及ばずながらできるだけしようというふうにもとれますし、また証券取引所法の問題についてもその改善は忘れてはいない、証券会社の資力充実については当面大いに力を入れる、こういうふうに大臣はお考えになつておるが、それにもまして総合的な金融政策を積極的に進めるのだ、そうして彼此相まつて今の証券問題を解決するのだというふうに、御答弁になつておると私は拜聽するのでありますが、そういち考え方で大臣の考えが現われるかどうか。最後のだめ押しを伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 小峯君のおつしやつた通りに考えております。なおこの機会に申し上げますが、今私がここで申し上げました事柄が四、五日のうちには大きくクローズ・アツプすることをここに申し上げておきます。
○北澤委員長代理 宮腰喜助君。
○宮腰委員 私は昨十一日に証券対策に関する緊急質問を本会議でやつたのでありますが、あいにく大臣がお留守で政務次官から御答弁を受けたのであります。私は昨年の春以来政府が証券民主化ということをとなえまして、盛んに全国に宣伝をやりました。その結果勤労者の婦人の階層もほとんど大多数の人が、株を引受けたという状態であつたのでありますが、昨年の暮れ以来株は暴落しまして、一般の大衆や勤労者の方々は、政府の証券民主化政策並びに財政経済に関するところの一大失敗の結果であるということをとなえまして、新聞紙上にある通りに、現政府を非常に非難しておるのであります。ためにこの再建整備の問題にしても株価が下落した。従つて増資をはかつても額面価格を割るような状態でありますから、増資も不可能な状態になつて参りまして、産業の再建ということが非常に困難になつて来ることが、現在の状態為おいて新聞や雑誌に現われている事実であります。これが及んでは一大金融恐慌が起るのではないか、こういう不安の念にかられまして、中小工業、大企業方面も不安の念にかられておる状態であります。これに対しまして政府は昨年度預金部の預金の百億円をこの資金にまわしまして、市中銀行に預託したのであります。それに対して日銀の内面指導によりまして、この金融機関の買い出動をあおつたのでありますが、この市中銀行は自分のお得意先の金融に充てまして、このてこ入れ資金が実際はてこ入れ資金になつていない状態であつたと私は考えております。従つて無盡会社にてこ入れをした資金は、よほど好転しておつたようなことを伺つていますが、この点については大蔵大臣の所見も、ただいま小峯委員の質問に対して答えたようでありますが、私は百億のてこ入れ資金が失敗に終つたのではないかと考えておるのであります。これは私らの考えからいえば、大蔵大臣はディス・インフレだ、こういうことを言われましたが、われわれはデフレ政策の結果こういう事態を招来した、こう考えておるのであります。この前年度のてこ入れ資金について、大臣は先ほど簡單に小峯委員に御答弁になつたようでありますが、この点についてもう一度お伺いしたいと思う。さらに証券保有会社の問題については、先ほど民自党の小峯さんが追究をしたようでありますが、この点もわれわれはどうも民自党と大臣とは與党の関係上はつきりぴんと頭に来ないのであります。もう一度証券保有会社の今までの経過、それから司令部との交渉のてんまつを多少伺いたいと思います。 それから昨日の新聞に見返資金五十億をてこ入れ資金に出すのだ、こういうことが出ておりまして、無盡会社と市街地信用組合に三十九億出す。それから十一億を四大証券に交付するこういうことが出ておりますが、この十一億円を四大証券に交付するということになりますと、これは一般の小さい証券業者は除いてありますが、こういうような非民主的なことを政府で自由にできるかどうかということの質問をしたいと思います。それからまた見返り資金によりまして、この増資株を引受けるということも出ておりますが、この点も大臣の御答弁を願いたいと思います。そのほかの証券取引の各條文についてはたくさんな質問事項がありますが、この点についてちよつと御返答を願いたいと思います。
○池田国務大臣 昨年末預金部の資金を金融機関に出しましたのは、株のてこ入れ資金として出したのではございません。年末金融緩和の意味で出しておるのであります。なおまた昨日夕刊に載つておりました五十億円の——十一億円、三十九億円の問題は、私の全然関知しないところであります。 次に見返り資金から直接に重要産業の株を持つという問題につきましては、小峯委員にお答えした通りであります。
○宮腰委員 この株券の証券対策の問題に部分的に対策を講じても、これはだめじやないかと思うのであります。これは一般の全般的な金融対策なり財政経済の対策が根幹になつて、株価の回復ができるのじやないかと思うのですが、この見返り資金の運用状態と、それからこの全般的の対策の大まかなところをお伺いしたいと思います。
○池田国務大臣 見返り資金の使用状況につきましては、たびたびいろいろな機会で申し上げたのでありますが、当初予算は千七百五十億円、それから補正予算で減りまして千五百八億円になりました。最近の流入状況が予定通りでないので、千五百八億円はちよつと減つて来るのではないか。千三百億円前後、あるいは十二月の流入の分を今年度に入れるか入れないかによりまして、百億円ばかり違いますが、大体千二百七十億円から千三百七十億円くらいで、見返り資金がとどまると考えておるのであります。ただいままで見返り資金で入つたのは千百億円でございますが、このうち使いました金は七百七、八十億になつております。どういう方面に使つたかと申しますると、まず鉄道、通信の特別会計あるいは公社へ出します予定が二百七十億円であつたのが、国鉄には全部出まして、あと通信の方に十七、八億円残つております。従いまして二百五十五、六億円は鉄道と通信に出しました。そうしてまた復金債の償還が大体三百七、八十億円で、この金を復金債の償還に使いました。直接投資はただいまのところは、きのうまでが九十六億円あるいは百億円になつておるかもしれません。百億程度の使い方であるのであります。それから先ほど御質問にありました見返り資金を、直接に四大証券に出すということは非民主的ではないか。見返り資金を直接に四大証券に出すというようなことは全然考えておりません。これはいろいろな巷間伝うるところでありまして、私は見返り資金を直接に出すということは、初めから一度も考えたことがないのであります。
○三宅(則)委員 私は過日湯地局長にお尋ねしたのでありますが、幸い大臣がおいでになりましたから二、三点だけお伺いしたいと思います。私の考えるところによりますと、証券業者というものは、一般民衆に対しまして非常に関心を持たせ、また信用を高めなければならぬと思つておりますが、本法案によりますると、五十万円が営業純資本である。これ以上であると言つておりますが、むしろ現今の経済状態からいたしまするならば、五十万円はおろか百万円以上でも純資本金はいいのじやないかと思うのでありまするからして、ぜひそういうふうに改正せられるよう、その用意があるかないかということを伺いたい。 次の第二点は、この証券会社に対しまして、証券取引委員会において各株式に対する正確を期し、その利潤の正常化とまた一般の信用を享受するために、これらに対しましては十分に監督をいたし、また監査をいたして国民の信頼性を高める、こういうのが本旨であります。というわけで公認会計士にこれをやらせるというのはまことにもつともな話でありまするが、現今の段階におきましては、必ずしも公認の会計士のみが專門家とは言い得ません。計理士でも相当の経験がありまた実績を持つ者があるのでありまするから、むしろ私は公認会計士もしくは計理士でもやり得る。その信用の高いものにこれを依頼することがわが委員会の本旨である、かように考えておりまするが、大臣はいかなる構想を持つておられまするか、ひとつ承りたいと思います。
○池田国務大臣 証券業者の純資産を五十万円では少な過ぎるではないかという御意見でありますが、これは資本金ではございませんで、固定資産を引きました純資産でありまするから、まあ五十万円くらいで行つていいのじやないかと考えております。御承知の通り昔は取引員は免許制度であつた。嚴格な標準で政府がこれを免許しておつたのでありまするが、昨年来行われましたものにつきましては、届出制度にかわつておるのであります。この届出制度の点から申しまして、ただいまのところやはりみんなが平等に証券業者になり得るという根本方針がきまつたので、まあただいまのところ五十万円の純資産でやつて行つて支障はないのじやないか。しかしこれは非常に信用を重んずる機関でありまするので、これが検査監督には十分の力を入れて行きたいと考えております。従いましてその検査の方法といたしまして、公認会計士によることになつておりまするが、一般計理士を入れていいのじやないかという御意見も、ごもつともな点があるのであります。しかし公認会計士制度をしきました以上は、やはりただいまの公認会計士、先般の試験によりまして百人余りが合格いたしたのでありまするが、この中にもりつぱな人がおられます。また計理士の方々にもそれ以上のりつぱな人がたくさんおられる。私は特定のものにつきましては公認会計士がやられるのでありますが、何も計理士を排除するという考えは毛頭ないのであります。
○三宅(則)委員 今大蔵大臣から公認会計士もしくは計理士でも、りつぱな人ならよろしいというような構想に承つたと考えております。もちろん私どもはそうした実質本位にわが証券業を守り、わが国の経済の安定を期したいと考えております。つきましてはひとつ根本的に申し上げたい点があるのであります。これはだれでも株式の取引をやることができるということになつておりまするが、やはり免許制となさつた方が届出制よりもむしろよいじやないかと、かように考えておるものでございます。もう一つ第二点に申しますることは、われわれ国会議員でも四箇年が任期でありまするがひとり証券取引委員会の委員長もしくは委員のみが五箇年という事柄は、少し行き過ぎではないかと考えております。もちろんこの委員長は内閣総理大臣が両院の同意を得て任命することになつておりまするから、むしろこれを四箇年と、国会議員と同様な方法に切りかえられたならば正しくはないかと思いますが、大臣の御構想を承りたいと思います。
○池田国務大臣 取引員は免許制か届出制か、議論があるのでありまするが、敗戰後の法制といたしましては、やはり免許制よりも届出制の方が民主的であるというのが一般の輿論でありますので、それによつたのであります。次に証券事務局の任期の問題でありまするが、これは何も国会議員の任期に合わす必要はないのでありまして、その仕事々々によりまして、かえて行くべきだと思つております。
○宮腰委員 関連して……。今大臣の御答弁の中に、公認会計士の監査証明に関しまして、一般の計理士を排除しない、こういうことを伺つたのでありますが、そうすると、この條文の一部を修正しまして計理士にもこれを見させることができる、証明させることができるというお考えでありましようかどうか。
○池田国務大臣 公認会計士の監査制度を原則といたしておるのでありますが、具体的の場合におきましてはいろいろなはずす規定もあると聞いております。こまかい問題につきましては政府委員より答弁いたさせます。
○湯地政府委員 証券取引法改正前の現在でも一応公認会計士の監査を受ける、こういう建前になつております。それから改正法律においてもその点は踏襲しておるわけでありますが、ただそのやり方については委員会規則で定める、こういう建前にしておりまして、現在のように公認会計士の方々の数が非常に少いというような際に、何でもかんでも公認会計士の監査を受けたものでなければいけないということになりますと、非常に支障を来す点もありまして、さしあたりとしては現在の公認会計士の数でやり得る程度、ただいまといたしましては資本金五億円以上くらいの会社については、公認会計士の監査をしなければいけないというような規則を出そうかと思つて用意しております。そうしますと、現在五億円以上という会社の数は約四十九ばかりあつて、そのほかのものについては公認会計士でなければいけないというわけではないのであります。
○北澤委員長代理 暫時休憩いたします。 午後零時二十三分休憩 ————◇————— 午後零時二十四分開議
○北澤委員長代理 休憩前に引続き会議を再開いたします。 この際お諮りいたします。去る二月九日理事河田賢治君の委員辞任によりまして、本委員会におきましては理事が一名欠員になつておりますので、この際その補欠選任をいたしたいと存じます。委員長において指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北澤委員長代理 それでは今月十五日河田賢治君が本委員に選任せられましたので、河田賢治君を再び理事に指名いたします。 それではほかに御発言もないようでありますから、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十五分散会