人事委員会 第15号
- 発言数
- 91 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1950/03/23
会議録
○星島委員長 これより人事委員会を開会いたします。 議事に入る前にまずお知らせいたすことがあります。本二十三日上林山榮吉君が委員員を辞任せられ、丹羽彪吉君が新たに委員となられました。以上お知らせいたします。 ただいまより国家公務員の職階制に関する法律案を議題として、前会に引続き質疑を継続いたします。土橋君。
○土橋委員 本日は淺井総裁がお忙しいところを出席してくださいましたので、勢頭お尋ねを申し上げたいと思います。 ただいま提案をされております国家公務員の職階制に関する法律案は、国家公務員法の第二十九條の規定によつてできておると思うのでありますが、この二十九條の三項を見ますと、「職階制においては、同一、の内容の雇用條件を有する同一の職級に属する官職については、同一の資格要件を必要とするとともに、旦つ、当該官職に就いている者に対しては、同一の幅の俸給が支給されるように、官職の分類整理がなされなければならない。前三項に関する計画は、国会に提出して、その承認を得なければならない。」という規定がありますが、この国家公務員の職階制に関する法律案には、そのような條項が盛つてありませんで、私は国家公務員法の第一條の規定の矛盾であると思いますので、これは憲法違反の法律だ、このように解釈しておりまするが、いかがでございますか。そうでないという根拠がございましたら、御説明願いたいと思います。
○淺井政府委員 ちよつと御意見には御同意をいたしかねると存じます。私どもといたしましては、ここに提案いたしましたる職階制に関する法律案は、正しく国家公務員法第二十九條に基いて提出されているというふうに考えておる次第でございます。
○土橋委員 基本的な態度はわかつたのでございますが、「前三項に関する計画は、国会に提出して、その承認を得なければなわない。」というように明示しておるのでございます。ところが第二項の規定を見ますと、「人事院は、職階制を立案し、官職を職務の種類及び複雑と責任の度に応じて、分類整理をしなければならない。」とあり、第三項は先ほど私が読上げた通りであります。そういう基本的なものについての計画は、国会に対して承認を求めなければならないのでございますが、この規定を見ますると、第二條の規定によりまして、すべてのものが人事院に白紙委任をせられるような規定が明示してあるのであります。そうすると二十九條第四項の規定並びに一項、二項、三項、こういう規定に抵触するように思うのでございますが、この点はさしつかえないでありましようか。
○淺井政府委員 計画ということをどういうふうに考えるかということに帰すると思うのでございます。この職階制の技術的な性質にかんがみまして、ただいま御手元に提出されております法律案、これを計画と見て、それ以外のことは技術的なことでございますから、人事院におまかせを願う、こういう立場をとつている次第でございます。
○土橋委員 ただいまの御答弁で、私はなお計画という内容が、どの程度まで人事院で解釈せられるのか。もし今仰せになりますようなものであるとするならば、第三條の規定によりまして、すべて基本的な原則のみならず、具体的に計画を実施するような場合、計画の内容についても人事院が規則なり指令なり、その他のものをお出しになるということになりますと、これは職階に関する限りにおいては、独裁的な立法が人事院において行われる。こういうふうに私は解釈しますので、この点をもう一回明確に御答弁願いたいと思います。
○淺井政府委員 人事院の独裁という仰せでございましたが、なるほど新憲法のもとにおきまして、委任立法の範囲の広いということに対する御懸念はごもつともでございます。しかしながら職階制と申しますような技術的な問題に関しましては、人事院というような専門的な、技術的な機関におまかせを願う方がよろしいのでございまして、これを一々国会に対しまして御承認を願うというような形に相なりますれば、一国会にまた一種の技術的な機関を設置する必要もあろうかと存じますので、この法律の程度、すなわち大きなわくを国会で押えていただきまして、あとは人事院におまかせを願う、かように考えている次第でございます。
○土橋委員 大体人事院の基本的な態度はわかりましたが、私は遺憾ながらその御説には賛成ができないのでございます。 続いて御質問を申し上げますが、第一條の第三項の規定を見ますと、「この法律は、人事院に対し、官職を新設し、変更し、又は廃止する権限を与えるものではない。」このように明示いたしておりますが、第十二條は「人事院は、必要と認める場合には、職種、職級、職級の名称又は職級明細書を新設し、変更し、若しくは廃止し、又はこれを併合し、若しくは分割することができる。」このような規定を持つておりますので、この職種または職級の改正という題名でここに書いてありますが、第一條第二項と第十二條一項の規定の関係についてどういう御所見を持つておられるか。私はこれでは人事院の書いてあります内容が矛盾すると考えているのであります。これは過日公聽等においても、正示啓次郎君から親しくこの点について触れられたと私は記憶しておりますが、もう一回この点の明確な御答弁を願いたいと思います。
○淺井政府委員 ただいまお示しの第一條第三項と第十三條第一項は、人事院の見解といたしましては、こうも矛盾をしていないと存じております。もし第十三條第一項の権限が人事院にございませんときは、これは職階制は動かないと存じているのでございます。但し人事院がその権限を越えて行使いたしまして、新たに官職を設けるというところまで進出するものといたしますれば、これは越権ということを第一條第三項に書いているのでございます。新たに官職を設け、変更するということと、その設けられました官職の職級に関し、人事院が権限を持つということは、人事院といたしましては、こうも矛盾するところはない、かように考えております。
○土橋委員 そうしますと、国家公務員法第三十二條の規定をごらんくださいますと、「一般職に属するすべての官職については、職階制によらない分類をすることはできない。」こういう明文を持つているのでございます。ところでただいまの説明によりますと「この規定では、人事院に対し官職を新設し、変更し、または廃止する権限を与えるものではない。これは少くともこの法律が書いている基本的な態度であろうと思うのでございます。そうするとこの三十二條の規定から見ますならば、新しい官職がある官庁にでき上つたという場合に、この官職は官庁全体の系統からは、仕事は全然何もできません。ところが現実にはそういうものが動いて仕事をしている。十三條の規定によりますと、その場合には人事院が必要と認める場合には、そういうことができ得るということを書いてありまするならば、その中間において人事院がそれを認めるまでにそういう必要が生じて、すでに動かざるを得ないという官職があり、職級がある。そういう場合は、現実にどういう救済方法をお考えになつているかという点が、私は問題の一点だと思うのでございます。この点について御答弁願いたいと思います。
○淺井政府委員 国家公務員法三十二條は、ただいまお示しの職階制に関する法律十三條一項とは、少しも矛盾するところはないと考えております。国家公務員法三十二條は、一般職に属する官職は、職階制によらないで分類をしてはならないということを命じているのでありまして、それ以外に何物もここには規定していないのでございますから、少しも御懸念のような点はない。ことに最前から土橋さんのお示しの中には、官職というものと職級というものとが、失礼ながら一緒になつているのではないかというふうに考えます。官職というものは人事院がこしらえるものではございません。これは法律なりその他によつて与えられるものでございます。人事院は与えられました官職を、職級によつて分類をいたす、かように考えております。
○土橋委員 なるほど言葉じりから言いますと、官職は職級にわかれ、職種にわかれるのでございますが、そういうことは私が質問を申し上げている中心点でない。今私が申し上げているように、「官職を新設し、変更し、又は廃止する権限を与えるものではない。」という明文があるのでございます。なおこの三十二條によりますと、そういうような分項がないときに、職階制によらない分類をすることができないという規定がございますと、そうすると官庁が現実にその仕事をどうしてもしなければならないということがあるわけでございます。そういう場合には、これを救済する中間的な措置が必要ではなかろうかと私は考えているのでございます。これは確かに過日正示君が公聴会においても、そのようなことをお話しになつたように私は記憶しておりますがそういう点について計画的措置についての少くとも何かの調整的なもの、あるいは国会その他の承認するようなものが必要でなかろうかということを私は申し上げているのでございます。あなたの方で、いや必要ないとおつしやるならばこういう理由で必要ないということをお示しいただけばよろしいのであります。その点を私はお聞きしているのであります。
○淺井政府委員 法律によつて官職が設けられますれば、その官職は当然動いて参る。これはその法律の効力を生じましたときから動いて参ることは、当然のことでございまして、人事院はそれを阻止すべき何の権限も持つておりませんし、またそれは当然であろうと存じております。ただ人事院は与えられました官職を分類いたす。三十二條によりまして、職階制によらない分類をしてはならないということでございまして、職階制の中に格付をされないからといつて、その官職がどうなるものでもございませんから、その点は御懸念は御無用かと存じます。
○土橋委員 そうしますと、十三條で「人事院は、必要と認める場合には、職種、職級、職級の名称又は職級明細書を新設し、変更し、若しくは廃止し、又はこれを併合し、若しくは分割することができる。」そういたしますと、人事院が必要と認めなければ、その官庁全体の仕組みの業務において、実際にやらなければならぬ仕事があつて、現に動いている場合でも、どうにもならないという事実があるのではないか。人事院が必要と認めるかどうかは、人事院の権限である。そういう権限はむしろ国会において、その官職がその職種、職級を通じ、その他のものを通じて、これは人事院が認められるような方向の、中間的なものをつくる必要があるという認定をする場合が正しいのではないか。人事院が必要を認めない場合には、現実にそういう仕事があつても、どうにもできないという矛盾があるではないかということを私言つたのであります。
○淺井政府委員 その点がすなわち私の申し上げました官職と職級との違いでございまして、官職は法律でできる。すなわち国会がおつくりになるものでございまして、これは当然動いて参る。十三條はその官職をどこへ格付して、どんな職級をこしらえるかということに対する人事院の権限でございますから、この二つはこうも矛盾しない、かように考えております。
○土橋委員 そうすると人事院で、その官職によるところの内容の職種、職級あるいは職級の名称、職級明細書は、必要と認める場合には随時これを併合し、あるいは分割下るという権限を人事院が持つ、こういうふうに解釈してよろしうございますか。
○淺井政府委員 職級に関する限りお示しの通りでございます。
○土橋委員 わかりました、 次は第二條でございますが、第二條「職階制の意義」と題して規定をしております。ところが「職階制は、官職を、職務の種類及び複雑と責任の度に応じ、この法律に定める原則及び方法に従つて分類整理する計画である。」こういうふうにお示しになつておりますが、この法律は結論的に職級岡あるいは職級の価値判断、職級相互間における価値判断というような基準を、私は少くとも法律に明示下る必要があると考えております。これは過日山下人事官の御説明によりましても、職種の分類はきわめてよくわかると思いますがとういう基準で—職級間における同じ職級の種類なり、上下の関係といいましようか、格付といいましようか、そういう関係については、一定の基準を示されていないのであります。そうすればそういうことを示さないで、ただちに「この法律に定める原則及び方法に従つて分類整理する計画である。」こういうふうにすべてのものを委任をしておるのでございます。こういう点について私は少くとも職級相互間の価値判断、あるいは職級の価値評価に関する基本的な態度をこの法律に明示しなければ、この法律はきわめて一方的な権限が委任されたと考えておりますが、これについて御答弁を願いたいと思います。
○淺井政府委員 その点は結局人事院にどれだけの仕事をまかせ、どれだけの仕事を国会が法律によつてきめるかという根本問題でございます。この点に関しましては、すでに山下人事官よりるる御説明申し上げわれわれの立場を申し上げたつもりでございまするが、これに対する御批判は土橋さんの御自由でございます。もとより御自由でございまするが、われわれといたしましてはこの程度を人事院におまかせを願いたい。かようにお願いしてこの法律案を出しておる次第でございます。
○土橋委員 わかりました。それで人事院の態度はわかりました。それは所見を異にいたしますので、ここで討論ほいたしませんが、第二條の規定におきまして、職階制と給与制度の問題につきましては、毎々淺井総裁も私が質問申し上げたときには、違うものであるということを明示されておりますが、どうしても私はもう一点、職階制と給与というものの橋渡しといいましようか、給与準則とでも申しましようか、これはもちろん法律の規定ではございませんが、そういうものが必要でなかろうかと考えておるのでございますが、しかしながら率直に申しましてどういう根拠で、どういう理由で職階制と給与に関する規定の問題とは別個であるか、その根拠を簡単に御説明もう一回願いたいと思います。
○淺井政府委員 別個のものであるという意味は、どういう意味でございますか。全然関係がないという意味ならば、私はそうでないとお答えをするよりしかたがないのであります。すなわち国家公務員法の六十三條は、職員の給与は、法律により定められる給与準則によつてなされるということが書いてございまして、第二項は、職階制に適合した給与準則を人事院が立案しなければならぬということになつておりますから、給与準則はすなわち職階制に適合してつくられるのである。ここに職階制と給与準則とのつながりがあるということでございます。しかしながら職階制をつくりますこと自体、すなわら給与準則をつくることであるという意味ならば、それは別個のものである。かように説明を申し上げて来たつもりでございます。
○土橋委員 ただいまの意味でございますと、ほかの委員の方はどうか存じませんが、私は実はわかつたようでわからないのです。今仰せになつた説明だけでは、私はよく意味がわかりませんですが、これは後ほど考えて御質問申し上げます。 次は第四條の條文であります。第四條で「人事院は、この法律の実施に関し、左に掲げる権限及び責務を有する。」と書いてございますが、私は先ほどから申し上げておりますように、第四條においては少くとも職種の分類、職級の基準、さらに同一職種内の職級の配合に関する計画、このようなものは当然調査立案をし、国会に勧告をし、その承認を得なければならないと私は考えるのであります。これはやはり最初申し上げた第二十九條の第二項、第三項、第四項を通ずる基本的な態度だと思うのでありますので、少くとも職級の分類と職級の基準、同一職級内の職級の配分に関する計画というようなものについての一つの基準を、この條文の中にどうしても入れなければ、前後が矛盾するのではないかと考えますが、これについてはどういう見解を持つておられましようか、伺いたいと思います。
○淺井政府委員 土橋さんからただいまお示しの、職級に関する基準等を第四條に入れよという御提案は、非常に嬉しく感じます。なぜならば第四條は人事院の権限を規定しておるのでございますから、すなわちこれは人事院におまかせを願える意味だと思つて、非常にありがたく感謝いたすのでございますが、ただこれを国会にかけよということでございますれば、それはさいぜん申しました根本的な問題で、この点は私は国会の御批判にまかせるよりほかにしかたがないと考えております。
○土橋委員 あなたと私とはこの点につきましては、基本的な態度が違うようでありますので、一応省略をいたしまして、第五條の職階制の根本原則でありますが、職階制の根本原則で、職級の決定の標準は、どういう決定の標準をもつておやりになつておるか、この点をひとつお示しを願いたいと思います。
○淺井政府委員 これはこれから人事院が立案をいたす、こういうことでございまして、ただいまその準備中でございますから、ただいまここで詳細にお話をするということはちよつと困難かと思います。
○土橋委員 職階制における少くとも最低の単位となる職級についての、基本的な標準と申しましようか、あるいはその職級間における価値判断と申しましようか、そういうものがこの法律に明示してなければ、職階制の基本的なものに尊るところのわれわれの判断ができないと思うのであります。今の御説明によると、目下調査中である、目下計画中で仕事中である、従つてこれはここで示すわけには参らない、こういう御説明でございますが、職階制を通ずる基本的なものは職級でございます。職級の価値判断の決定でございますので、この点がやはりある基準をお示しを願いませんと、ただ人事院で相当研究なさつておられると思いますけれども、われわれはどういう方法で職級が決定をするか、どういう価値判断で相互間における格付と申しましようか、上下の関係が行われるかという内容がわかりませんことには、職階制の基本的なものにはならないと思うのであります。でございまするので、もしわかつておりまするならば、こういうような方法とこういう方法があるのだ、しかし人事院としてはこういう方法をとつておるのだという点を簡単でよろしうございますからお示しくだされば、私は非常にけつこうだと思います。
○淺井政府委員 それはもう根本的なことはきおめて簡単でございまして、すなわち国家公務員法に示されておりますように、職務と責任の度合いに応じてこれを決定する、さように考えております。ただ土橋さんの言うことは、そういう抽象的なことではなくて、具体的にどういうふうに職級というものが築き上げられて行くか、職種というものはどういうふうに定まつて行くかという点であろうかと思つておるのでございまするが、その点は何分にも職種だけでも数百に及ぶ多数のものがございまするので、それはただいまの立案、計画、調査中である、かように申し上げたのでございますが、これはきわめて近き将来におきまして、当委員会の御参考に供し得る機会が来ると思いまするが、今日ただいまこれをこの席上でお見せをいたす運びにはなつていない、かように御承知を願いたいと思います。
○土橋委員 今、でき上れば国会の方にも示そう、こういう御意見でございまするが、これは少くとも私たちは、国家公務員法の第二十九條の基本的な態度から申しましても、当然これは国会の承認を岸べき事項であると考えるのであります。この点いかがでございましようか。
○淺井政府委員 これは私ども立案者の立場といたしましては、計画でなくて実施である。かように考えておるわけでございまして、これはもう議論を繰返さないのでございまするが、これを国会の承認にかけるかどうかという問題に至りましては、これは国会の御批判にまつ。こういうことをさいぜん申し上げた通りでございます。
○土橋委員 国会の御批判にまつという内容は、どういう意味でございましようか。少くとも二十九條の規定によりますれば、当然国会の承認を得なければならぬ。承認事項であります。しかもこの法律の中にきちつと明示をしておりますので、ただ国会が批判をするかどうかの問題ではなくて、当然われわれ国会の承認、つまり参衆両院の承認を得た事項でなければならぬということを、第二十九條は明示しておるのであります。従つて批判とかどうとかの問題ではなくて、当然国会の承認を得る、こういう明文が規定してありまするが、いかがでございましようか。
○淺井政府委員 それは土橋さんがそれを計画とごらんになつておるからの御立論でございまして、私どもはこれを実施と見ておる、これが私どもの根本的態度でございまするが、この根本的態度をどう御批判なさるかは、もとより国会の御自由という意味で申し上げたのでございます。
○土橋委員 この点は淺井人事院総裁とわれわれと見解が違うようなお話でございまするけれども、しかしながら第二十九條の規定を見まするならば、これは明確に書いてあるのでございます。「前三項に関する計画ば、国会に提出して、その承認を得なければならない。」というのでございまするが、これは実施の過程ではございませんので、職階制全般の大きな流れのうちにおける一こまでございまするから、当然国会の承認を得べき事項であると私は考えるのであります。これ以上は議論になりまするから、私は質問をとじまして、別の機会にさらにただしたいと思うのであります。 次は第六條の規定でありまするが、「官職の分類の基礎は、官職の職務と責任であつて、職員の有する資格、成績又は能力であつてはならない。」こういう規定があるのであります。ところがこれは過日の公聴会におきましても、たしか松岡博士であつたと思いまするが、この点について鋭くいろいろな批判が出まして、そして特に文化事業に携わるような芸術家、あるいは学術研究所における研究所員というようなものの職階に関しましては、少くとも本人の能力、本人の特に天才的な技術、たとえば一つの例を申し上げるならば、声楽というようなものにつきましても、声楽というようなものの技倆というものは、決してこれを他のものをもつて計量することはできないと思うのであります。いわんやそういう諸君の世間における人気というようなものを考えまするならば、そういうものの職階につきましては、別途考慮しなければならぬではないかというのが結論であります。そういう場合に、特に研究所、たとえば水素爆弾を研究するというような場合にはこれは原子爆弾の場合も同様でありますが、普通の研究職員と違いまして、本人の学術的な知識蘇奥を認めなければなりませんので、そういう少くとも研究所員とか文化事業に携るような、そういう関係における諸君の職階の問題については、どういうふうに考えておられるか。この点をお示し願いたいと思うのであります。
○淺井政府委員 ただいまの御発言は、職階制にとりましてはまことに水素爆弾のような御発言でございまするが、それは職階制の根本義に反すると私どもは考えております。職階制というのは、そのポジシヨンを分析、分類いたすことで、そのポジシヨンにつく人間の個々の能力とか性格というようなものを考慮いたしましては、九十万の職級が生ずるわけでございます。さようなことでは職階制はできかねるのでありまして、ただいま御懸念の学校教員あるいは研究員というようなものも、その人の、余人をもつてかえがたいというような個人的な條件から離れまして、十分その八のポジシヨンを職階に組入れ得る、かように考えておる次第でございます。
○土橋委員 淺井総裁の仰せになることは、私どもは原子爆弾程度だと思いまするが、今の御説明によりますると、少くとも科学的な研究所員、研究団体、大学の教授諸君の問題でありますが、そういう場合には、大学の基本的な教育に対する態度、そういうものから考えましても、これは従来の公務員としての、あるいは地方公務員としての官職の分類の中の職階制では、律しきれないものを持つておるのであります。これは同時に給与という方面に関連して考えますならば、これは一般公務員の職階制であつて、特別公務員の場合は別でありますが、そのような範疇に属する者は、有能なる、たとえば湯川博士のような人でも、やはり一般公務員の範疇において官職がきまるのでございます。そうすると、ノーベル賞をもらつた者も、何号になるのか知りませんが、たとえば十三級二号だ、それからその他位全体として見て、それほどの知識なり何なり、湯川博士に匹敵するほどでない方が、その上の十四級五号だ、あるいは三号だというようなことになりますと、非常に矛盾するのではないかと思うのでございますが、いかがでございましようか。
○淺井政府委員 土橋さんの問題の第一の点でございまするが、お示しの教員とか研究者とか、それらの者の特殊なる地位ということは、全然同感でございます。ゆえに将来職階制をこしらえます場合は、御趣旨のように、これらの方に対して特別の措置を講ずるという点におきましては、人事院は毛頭異議はございません。これは全面的に賛成でございます。ただ、ただいま御指摘のように、ノーベル賞をもらつた方も、そうでない人も、やはり第同級第何号の俸給をもらうということになりますれば、これは職階制の問題ではなかろうと考えて跨ります。
○土橋委員 私の申し上げておる点の一部分、三十パーセント程度は御理解になつておるようでありまするが、私は少くとも学術研究なり、文化団体あるいは教職員等の実際の能力というものを見ない職階制というものは、砂土の楼閣であると考えるのであります。従いまして、そういうように特別の措置を考えておられまするならば、その点はぜひ拡大をしていただきまして、この職階制の審議の過程において、十分な配慮を私どもお願いしたいと思うのであります。もし私がただいまの御説明を聞き違えたとすれば、もう一回御説明願いたいと思いまするが、私は三十パーセント程度は御了解になつておるように思いますので、それをさらに広げていただきまして、今申し上げたような点を十分考えていただきたいと思うのでありまするが、いかがでございましようか。
○淺井政府委員 ただいまの点は、重ねて申し上げることはないと思います。
○土橋委員 次は第八條の規定でございまするが、第八條の官職の格付という問題でありますが、この規定の第三項におきまして「格付に当つては、官職の職務と責任に関係のない要素を考慮してはならない。又、いかなる場合においても、格付の際にその職員の受ける給与を考慮してはならない。」こういう明文がございます。これは先ほど若干質問申し上げた一点でございますが、この第三項の規定と附則の第三項の規定はどういうふうになつておるのでございましようか。附則第三項は「国家公務員法、この法律、人事院規則及び人事院指令に従つて職階制が実施されるに伴い、この法律に基く格付は政府職員の新給与実施に関する法律(昭和二十三年法律第四十六号)第九條に規定する級への格付に代るものとする。但し、同法による級への格付は、給与に関しては、国家公務員法第六十三條に規定する給与準則が制定実施されるまで、その効力を有するものとする。」こういう規定であります。この間の矛盾あるいは解釈上の相違、あるいは基本的な態度について、御説明願いたいと思います。
○淺井政府委員 八條の三項は、格付の根本原則でございます。すなわち格付と申すものは、職務内容と責任を基礎とし、それのみを基礎としなければならない。個人的な事情等を考えてはならない。その人の給与が高いからといつて、上の方へ行くべきものではないというような原則論でございまして、附則三項の方は、それまでに至るもののすつかり職階制ができ上るまで、給与の問題に関し現状をそのまま維持して動揺させないような、経過規定でございますから、両者は矛盾はいたしておらない、かように考えております。
○土橋委員 経過規定だから矛盾をしていない。こういうふうにあなたは仰せになつておりますが、附則三項に「第九條に規定する級への格付に代るものとする。但し、同法による級への格付は、給与に関しては、国家公務員法第六十三條に規定する給与準則が制定実施されるまで、その効力を有するものとする。」ということになりますと、これはかわるものでありますから、かわりは御本人のかわりにこのまま出て来るのでございます。そうするとこれは第三項の規定によりまするならば、今あなたが最初から言われておりますように、「格付の際にその職員の受ける給与を考慮してはならない。」という規定と矛盾をするように私は考えるのでありますが、いかがでございましようか。
○淺井政府委員 両方とも法律の中の規定でございまして附則の方は特別の場合でございますから、附則三項のことに関しましては、これは特別法は一般法に先だつの例に従いまして、両者は決して矛盾という関係にあるものではない。附則三項の規定は、純然たる経過規定でございます。すなわち職階制ができまして、その職階制に基いて給与準則ができまして、そこで初めて土橋さんの御希望になるような給与がきまる。それまで何とか経過措置を講じなければならぬ。そういうところから来ておる次第でございます。
○星島委員長 土橋君にちよつと申し上げます。官房長官は参議院の方の委員会に呼ばれております関係上、増田官房長官に簡単に先に済ませていただきたい。
○土橋委員 まだ総裁にちよつとお尋ね申し上げたいと思いますが、それでは官房長官に御質問いたします。昨今の新聞を見ますと、政府においては、公務員に関しては給与の具体的内容については審議をされていない。これは私は新聞で拝見したのでありますが、タバコ専売労組に対するあの裁定につきましては、政府では一億二千八百万円を支給しよう、こういうまことにありがたい親心をお示しになつたようでありますが、そういうものがこの前の委員会におきましては、増田官房長官も非常に反対をされておつたのでありますが、まことにけつこうでございます。できる限りやつていただきたいと思いますが、その経過の概要、どういうわけでそういうふうになつたのかという経過の概要を簡単に御説明願つて、次は国鉄の裁定でございますが、この前の政府の説明によりますと十五億五百万円支給でき得る。ところが加賀山総裁の説明によりますと、それを上まわつたものを支給されるということを、加賀山総裁が申されておつたのでございます。ところが政府は最近これについて三億円程度支給ができる、こういう仰せになつております。そこで従来の政府の見解によりますと、公務員と公共企業体労働関係の労働者とは違うのだというような説明によりまして、これは仲裁裁定もそのようには書いておりますが、なぜ公務員諸君については給与の是正が行われないか、こういう点につきまして、なるほど法律のもとにおきましては公務公務員ではございませんが、実際給与ベースの点から考えましても、また今日人事院の勧告を通じまして、政府がとつておられまする態度から考えましても、公務員諸君とタバコ専売労働者諸君、あるいは国有鉄道公社の労働者諸君とは、何ら逕庭がないのであります。そういうものに対して、一方では国鉄の諸君には六百円程度というような御説明も出ておりますが、その辺の関係を簡単にひとつ御説明願いたいと思います。
○増田国務大臣 專売公社はだんだん経理状況の推移にかんがみまして、裁定を受諾し得るに至つた次第でございます。今年の一月七日の現在におきましては、まだ人件費、物件費の関係の相互の流用は不可能であるということで、流用は総合均衡予算の建前から見まして、関係方面におかれましてもおもしろくないということもあり、また政府の方針といたしましても、予算の趣旨にかんがみて、流用することは、国会の御意思を尊重する建前からもおもしろくないという結論に達しまして、一月七日の現在におきましては第十六條第一項に該当する。すなわち公社の予算上、資金上不可能であるというゆえをもつて、同條第二項によつて国会に付議する手続をとつた次第であります。今日まで衆議院の労働委員会において審議されておつた次第でありまするが、昨日になりまして経理状況がかわつて参りまして、御承知の通り三月三十一日が会計年度で年度末でございまして、年度末を目睫に控えましたものですから、経理の予測を立て得るに至つた次第でございまして、今回は物件費から人件費にまわさずとも、人件費の中で一億二千八百万円の余裕が出て参つた次第であります。從つてこれを受諾し得る、完全に履行し得る状態になつたのでございまして、すなわち第十六條第一項に該当せざるに至つた次第であります。昨日の閣議決定でございますからして、仲裁裁定を全面的に受諾し、かつ遅滞なくこれを履行ずるということにいたした次第であります。 それから国鉄公社関係の裁定は、御喜承知のごとく政府と国鉄公債労働組合とは所見を異にしておりまして、目下係争中であります。政府の所見を申し上げますと、第十六條第一項に該当する裁定である。すなわち四十五億から十五億五百万円を控除した残額二十九億九千五百万円は第十六條第一項に該当する。すなわち公社の予算上不可能な支出を内容とする裁定であるというゆえをもつて、同條第二項によつて国会に所定の手続をとりました。しかるに国会においては承認という積極的の議決がなされなかつたのであります。同條によりますと、承認ありたるときは裁定の日にさかのぼりて効力を発生する、こう書いてございまして、承認がなかつたのでございますから、予算上不可能な部分は効力を発生しなかつた。従つて裁定は十五億五百万円の範囲内においては効力がある。これを履行した場合、残余の不可能となる部分においては、裁定は政府の見解におきますと効力は発生しなかつた、こういうことであります。しかしながら裁定は裁定といたしまして、国鉄の経理内容をずつとその後も検討し続けております。そうして裁定と同様な内容を履行し得るかどうか、これは履行と言い得るかどうか疑問でありますが、幾分でも国鉄公社員の実質給与を高めたいというのが、公社あるいは政府のの心持でございましてこの心持をぜひ実施したいと思いまして、引続き検討中でございます。ところが御承知のごとく本年は暖冬でありまして、石炭の消費が割合に少くて済んだのであります。また統制を撤廃いたしました関係上、カロリーの高い石炭がどんどん出て参りまして、カロリーの低い石炭と高い石炭とでは、消費量が一と三くらいの割合で違います。しかるに価格は一と三くらいの開きはありませんので、そういう関係上節約ができましたし、積雪が少かつたので除雪費が節約されました。そういう関係で、偶然ではございますが三億近くなる見込みでございまして、これを関係方面の了解を得られれば、何らかの名日で実質給与の向上に充てたいと考えております。国鉄と専売公社の経過は大体以上の通りで御了承願いたいと思いますが、しからば公務員の方はほつておくのかという御質問に対しましてお答え申し上げます。公務員につきましても、われわれはできれば人事院の勧告はこれを百パーセント尊重し、実施したいのであります。人事院と張り合うのがわれわれの能ではないと考えます。むしろできれば人事院の勧告はこれを受諾いたしたい。こう考えておる次第でございまするが、総合均衡予算の建前で非常に一という言葉を使わしていただきますが、非常に不本意ながら受諾し得ない状態にあります。しかしながら一面実質給与をあらゆる機会、あらゆる端緒をとらえまして向上さしたいというのが、これまだ政府の考え方であります。公務員全体の生活をやはり政府が預かつておるという立場は、あくまで忘れた一とはないのでございまして、できるだけ実質給与を向上さしたい。できれば名田給与も上げたいのでございまするが、これは先ほど申したバランスド・コンソリデーテツド・バジェットの関係でいたしかねるのでございまして、今年度の予算あるいは資金の関係をずつと検討しておりましたけれども本年度におきましてはいかんともいたしがたいのであります。このことをまずもつ明言いたしておきます。 明年度はどうなるかということは、御承知の通り七千四百円くらいに、公務員の数をかけただけ、給与なりあるいは地域給、家族給、特別手当、超勤等は計上してございます。七千四百円に公務員の数をかげただけ——これはこまかい数字の狂いはあらかじめ御了知願いたいのでありますが、大体そういうわけで予算は組んであります。そこでなおその上各省各庁において節約をはかつて、あるいは欠員分を現在員が担当して働いて能率を上げたという関係で、経費に余剰をどのくらい見得るかというようなことを、今日各省各庁にわたつてそれぞれ検討さしております。その検討の結果は出て参りませんが、われわれはある程度の余裕が見込み得るという場合は、やはり何らかの処置をする必要があるのじやないか。もちろん給与制度の根本というものには抵触することはできませんから、人事院とはもとより緊密なる連絡をとらなくちやなりませんし、また関係方面ともよく折衝を行わなくてはなりません。各種の條件はございまするが、できれば予算の範囲内のことでございまするから、何とかいたしたいと考えております。しこうして本年度のことはただいま申し上げた通り、政府といたしましては何とかいたしたくても、何ともいたしかねるという状態であります。
○土橋委員 ただいま官房長官は非常にあいきようがありまして、御説明がお上手でありまするので、うつかり聞いておりますると、そうかと思うほど非常にお上手であります。第一、淺井人事院総裁が瞬にすわつていらつしやいますが、常に政府の官房長官の新聞等に出ている御説明を見ますると、政府は給与ベースの改訂は行わないという急先鋒は、増田官房長官にあるのでございます。ところがただいまお話をておるように新聞等は発表しておりまするので、これは常に官房長官も御注意願いたいと思います。 そこで私がお尋ね申し上げたい点は、公務員の給与について、来年度は七千四戸円程度は回込んでおる。こういうお話であつたと思いまするが、私がもし聞き違いであるならばいけませんが、これは間違いございませんか。…そうするとあなた方は今までは、給与ベースの改訂は行わないということを、本会議の議場においても吉田内閣総理大臣は明言されております。また政府の諸君のすべての答弁はそのようになつておりまするが、どういう心境の変化で急に上げてくださることになつたのか。上げてくださることは幾ら上げてくださつてもつこうであります。九千七百円でも一万二千円でもけつこうでございまするが、どういう心境の変化で急に——七十四百円ということは新聞にまだ私は寡聞にして存じておりませんけれども、きよう初めて官房長官からお聞きしたのでありますが、人事院の勧告を十分院考えて、そうして諸般の事情を考慮した結果出たのでございましようか。政府では六千三百円ベースの改訂を行わないというように御説明になつておるようでありまするが、どういうわけでありましようか。その根拠は、行政機構の改革ということを行政管理庁では申しております。たとえば電気通信省は民営に移して、郵政関係と運輸省ともう一局ございましたが、そういう方面を一緒にいたしまして、そうして通信省をつくろうというようなことが新聞に書いてございまするが、それで人員の整理をすることによつて、この金が出るのでございましようか。そういう点をひとつ明確に御答弁願います。
○増田国務大臣 労働問題に精通していらつしやる土橋君の御質問としては、—少し受取りがたいのでございまするが、新聞等でいまだ散見しないところである。本日官房長官の言明によつて初めて承知したとおつしやいまする七千四百円のことは、われわれが国会共闘その他の労働組合の代表者に面会するごとに、実は言明しております。大蔵大臣自身も言明しておる次第でございまして、これは給与白書にも買いてございます通り、去年の三月は七千円ちよつと出たところへ、当時の公務員の人数をかけた額が、実際給与されております。去年の十月は七千三百円へ公務員の数をかけただけが実際の給与になつております。これは爾後の検討の結果そうなつておる次第でありまして、今回の予算はたしか七千四百十何円でございまするが、とにかく七千四百円へ八十七万幾らの公務員の数をかけただけ俸給、家族給、地域給、超勤、特別手当、こういうような各種手当を入れますと、もちろん税込みでございまするが、七千四百円べ公務員の数をかけただけを計上してあるのが、今回提案にかかる総合均衡予算でございます。
○土橋委員 そういたしますると、昨今新聞では、機構の改編によつて、六千三百名とか七千名とか整理すると書いておりまするが、そういうものを前提としての給与の内容であつて、決して六千三百円基準は変更していないということが考えられるので、そういうものであればあるように御説明願いたいし、その行政整理とは関係なしに、こういうふうに事実がなつているから、七十四百円であるというのでございますか。この点をお聞きしたい。
○増田国務大臣 伝えられる定員法の改正は、まだ閣議決定にもなつておりません。ただ概況を申し上げますと、大蔵省といたしましては八千有余名の定員といいますか、去年の予算の人数よりも今年はふやしてあります。ところが本多国務大臣のところでは、各省各庁の事務分量なり性質に応じた行政の合理化をはかるのがその使命でありまして、その見地から見まして六千名くらい落した方が上がろうという原案を持つておるだけでございまして、まだ閣議の議題になつておりません。これがかりに閣議で三十名なら三千名落ちると仮定いたしますと、それだけは予算には実は組んであるのでありましてその三千名の予算がもし不執行になれば、それだけよけい余裕が出て来ることになつております。七千四百円かける公務員八十七万の数とは別個に、それだけはよけいに出て来る次第でございます。
○土橋委員 もう一点だけ伺つて、官房長官に対する質問を終りたいと思います。国定公務員諸君については、将来の問題は今お話になりましたような内容で、大体政府の態度はわかりました。しかしながら公務員の給与に関して、今までの御説明では、明確にどうしようこうしようということがまだ出ておりません。この前の委員会におきましても、あなたに御迷惑とは存じましたが、特に最近熱海とか伊豆とか、そういう方面では官吏の宴会申込みで宿屋か非常ににぎわつておるということを、私は新聞で拝見しておるのでございますが、これは火のない所には煙は立たないのでありまして、おそらく官吏諸君が年度末を控えて、相当官費をもつて旋行するであろうということについて、官房長官の嚴重なる処置なり、それに対する方法を強く私は要望したのであります。そういう不届きな官吏があるならば、すみやかに次年度へ繰越金として、今日納税者が困つておりますので、少くともそういう方面にまわすべきである。現業官庁の諸君は決してそういう官費旅行なんかできませんが、中央官庁、さらに上級官庁においては、そういう傾向はきわめて顕著であります。こういう点について私は懸念を持つのでありますが、それに関連して、ただいまの給与の問題であります。石炭手当の問題とか、あるいは積雲の関係とかを考慮いたしまして、少くともそういうものを節約した官庁の経費があろうと思います。そういうものを今あなたの方のお見込みで、大体どの程度公務員諸君に出せるという確信というか、内容をお持ちになつておるか、この点を私はお聞きしたい。あなたに具体的にお聞きするのはむりかと存じますが、国有鉄道公社諸君や専売公社諸君には出まして、公務員諸君には何も出ないということは、まことに不届き千万でありますので、少くとも私は二箇月分くらいの年度末給与を支給されてしかるべきであると考えておりますが、今の説明ではわかりませんので、具体的に数字でわかつておりまするならば、本委員会にお示し願いたいと思います。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。官費で年度末出張をする。ことに伊豆地方がほとんど宿屋が一ぱいになつておるということは、新聞で拝見しまして、私自身非常に不本意に思つております。これは土橋君もこの前御指摘になりましたし、各省大臣にも申入れをいたしておりますが、さらに嚴重に申入れをいたすつもりでございます。それから本会計年度の末期を控えた今日あたりにおいて、どのくらい予算が余る。土橋君は二月くらいは臨時給与を出し得るはずであるとおつしやいますが、その根拠を実はお伺いしたいと思う。われわれが各省々々で調べてもらつておるところ、あるいは大蔵省に調べさせておるところによりますと、そういう余裕はないのでございます。
○土橋委員 官房長官長はそう言われるが、私の言うのは二箇月分程度があるという意味ではない。少くとも二箇月分程度は出すべきではなかろうかと思うので、その点は誤解のないように願いたい。ただ官房長官の説明を聞きますと、出すようで出さないような、内容がよくわかりませんが、政府として出すならばどの程度出す考えであるか。今会計年度はあと数日をもつて終了いたしまするので、そういう点を政府は明確にされて、その内容はどの程度であるということをお示し願いたいという意味でお聞きしております。出せないならば出せないでやむを得ない。吉田政府は反動政府だから出せないのはやむを得ないと思いますが、出せるならばこの際はつきりしていただきたい。
○増田国務大臣 吉田内閣が最も進歩的な政府であることは、専売裁定を全面的に受諾したことによつて明瞭におわかりだと思います。一般公務員につきましては検討は続けております。ことに二十五年度のことについて研究中であります。二十五年度において、総理大臣は常に言つておりますが、現在員が一生懸命勉強して能率を上げて、人件費、物件費等を合理的に消費して簡約をはかつた場合においては、名目はどういうふうにつくかしれないが—給与ベース変更は、総合均衡予算なり、安定政策遂行のためにできにくいのだけれども、実際の身入りをよくするように考慮いたしたい。吉田さんはこういうふうに言つておりますし、また全閣僚もすべてそういう考えで一致しておりますから、これまたきわめて進歩的な考えであります。そこで本年度の経理のことについての御質問に移ります。旬日のうらに本年度は終りますが、本年度のところは、政府の調べによりますと余裕はないのであります。それから何らかの給与と申しましても、給与ベースの給与だとか、あるいはその他の給与は、私どもは出しにくいのではないかと考えております。ただこういうことだけは言えると思います。超過勤務、手当等を従来合法的に払つていなかつた役所がかりにあるといたしまして、これが実情に即するように、合法的に公正に支払う。もし何か予算残響がありまして、公正に合法的に支払うという役所がありましたときに、そういう役所をわれわれ政府側として発見した場合に、これは不当である、非合法であるといつて、干渉する限りではないと考えております。
○高橋(權)委員 議事進行に関して…この委員会なるものは、われわれ国民のために審議する場所であります。先ほどから官房長官対土橋の熱心なる質疑応答を私聞いておりますると、俸給を上げればしかりを受ける、出さないといつてしかりを受ける。しかも土橋が非常な財産家であるかのように聞えるのでありますが、われわれ国民は納税の義務ということも考えなければならないし、俸給生活者のみじやない。農民あり、工業者あり、商業者あり、いろいろありますから、そういう点から考えて当局はやつているのである。今の長々しいお話を聞いておりますと、さも土橋氏あたりのみが国民を思つているよう虜つて、われわれ委員は何ら国民を思つていないように感ぜられるのであります。私どもでも、「雪の日やあれも人の子たる拾い」人間のかわいいことは十分知つているのでありますから、質疑応答をする場合には、あまり人気取りのような、ない金を出せというようなことを言わないようにしていただきたい。われわれは国民を一日たりとも安らかに過させたいことはやまやまだ。その証拠には、委員会に一日の欠席なく出席しているのだから、でき得る限りできないことをやれというような、また人が喜ぶことのみ言わないように、委員及び政府当局もその点はつきりして、質疑応答していただきたいのであります。しからずんばわれわれは貴重なる時間を毎日空費して、まだまだ大切なる農村振興の他について出席することができないから、今後は質問あるいは応答については簡単にして進行されんことをお願いする次第であります。
○成田委員 今の高橋先生の御意見に従いまして、ごく要領よく御質問したいと思ひます。しかし私ここで聞いておりまして、ただいま土橋君をつかまえて土橋々々というような御発言は、やはり御遠慮なさつた方がいい。 官房長官に簡単にお伺いいたします。専売裁定の問題でありますが、この専売裁定が下りましたときに、われわれ野党各派が、これを国会に付議すべきではないということで、政府が国会に付議したことに対して、撤回の動議を出しました。ところが政府は強引に付議し、与党は多数でこれを押切つたのでありますが、政府がこの専売裁定を全面的にのむことについて、官房長官はまつたく進歩的だといわれているのですが、全面的にのまれることは「まことにけつこうですが、輿論に押されて、いやいやおのみになつたことについては、私は結果においては非常に富んでおりますが、現在付議されております専売裁定に対して、政府ほおのみになつた以上、どういうようなお取扱いをなされんとしておられますか。
○増田国務大臣 議案の扱い方に対する御質問とお聞きして、お答え申し上げます。議案といたしましては、ただいま衆議院に提案いたしまして、労働委員会に継続中であります。そこで本日は政府側から積極的に発言を求めまして、全面的に受諾し得るに至つた、日ならずして実行いたします。こういうことを言明いたしました。その際労働委員会において、自主的に議案の扱い方を決定遊ばすことと承知しております。
○成田委員 次に、この専売裁定の問題が議会で問題になりましたときに、官房長官なり大蔵大臣は、予算の流用に関しまして、私たちは法規裁量で、自由裁量じやないということを強く主張したのでありますが、自由裁量という建前から予算の流用はできないというので、国会の流用を求められたのでありますが、今回全面的にのまれました場合、この今までのお考え方をかえまして、やはり資金上、予算上ということは、国会の承認した既定予算の範囲内というように、今回おかえになつたかどうか、それを承りたい。
○増田国務大臣 この法律論争といたしましては、あくまでもわれわれは自由裁量だと思つております。法規裁量、自由裁量という言葉は、元来行政学上の言葉でありますから、法規裁量といつたら裁量の余地はないのであります。とにかく裁量を命ぜられれば、但し書の三十五條の規定はあるのだけれども、十六條一項、二項があつてもなくても払わなければならぬという、裁判所のような規定になります。われわれはやはり十六條一項、二項というものの存在は、権威ある存在である。こう考えておるのでありまして、第二項の規定は予算上、資金上不可能な場合、こう考えておるのであります。二、の場合はもとより救済規定は二項にあろのでありまして、国会が承認すれば不可能なりといえども支払わなければならない。承認しなかつたならば、不可能な場合は予算編成なり、流用なりはしなくてもよろしい。こういうことはあくまでも考ております。とにかく十六條一項、二項はナンセンスの規定とは考えていないのであります。
○成田委員 そういたしますと、予算の流用についても不可能だと認めた場合は、国会の承認を得るという従来の御見解をかえていないのでありますか。
○増田国務大臣 さようであります。でありまするから、つまり専売の裁定をどうしてのんだかといいますと、十六條第一項に該当しなくなつたからで、あります。つまり予算上可能になつたからであります。一月七日は先ほど土橋君に詳しく申し上げた通り不可能でございましたが、時間の経過によつて可能になつた。しかもこれは実際奇妙な現象でございまして、成田さんもよくお含みを願いたいと思いますが、專売益金はかえつて五億の赤字から四十五億の赤字になります。これも今回わかつて来たことであります。一月七日は赤字が大体五億である。ところが経営費の方はどうも流用しないとだめだというのが、一月七日現在の見方でございました。ところが三月二十二日現在は赤字は四十五億になつてしまつた。但し経営費の方は、人件費が黒字が出るという。普通の会社ならばそんなことすればおそらく背任になるだろうということさえ、きのうの閣議で議論されました。しかしながら経営費という費目と、損益勘定の益金の費目とは、別になつておるから、益金関係が幾ら赤字になろうと、こちらが黒字になれば払わざるを得ない、払つた方がよろしい、こういう結論になつた、私会社の関係とは違つた結論になつて、常識的に見るとむしろ赤字はふえております。けれども経営費の関係の人件費に黒字が出るものですから払う。さつき高橋君の御発言もありましたが、国民の期待する祭人としては減つた。一月七日より四十億よけい減つてしまつたにかかわらず、人件費は黒字が出るものですから支払う。現負担者から見るとまことに申訳ないといいますか、いろいろ複雑した勘定を政府は持つておる次第でございます。
○成田委員 公社と国家公務員法の関係でありますが、私たちは国鉄並びに専売裁定をのめという一つの論拠としまして、公社職員と公務員とは性質が違うという主張をしておつた。ところが政府側の意見としては、やはり公務員と公社の職員は同様に待遇をしなければいけないということが、強い反対意見であつたことは、増田官房長官自身も御承知だと思う。ところが今回公社につきまして、専売裁定をおのみになつた。待遇がよくなつたということになれば、当然従来の政府の考え方から言つたならば、国家公務員についても公社側と同じような取扱いをするという結論になつて来ると思う。にもかかわらず国家公務員については今のところ考えないというのは、今までの政府の主張から言つて、私たち非常にけげんに感ずるのであります。この点どうお考えになりますか。
○増田国務大臣 成田君も土橋君も肯定されておりますが、従来われわれは公務員と公共企業体労働者諸君とは、原則的に同じ勤務條件、労働條件でありたいということを言つておりました。原則として、但しそろばん勘定が違いますから、それぞれ会計も違えば、いわんや特別会計でございますから、公共企業体勘定になつております。そういう勘定が違うのでありますから、例外はもとよりあり得るということは言つておりましたことは、成田さんも御記憶であろうと思います。 第二に十六條一項にいわゆる予算上、賃金上——字は書いてありませんが、当該公社という字があるように読むべきであるということは、政府が当初から明瞭に言つております。国家全体の総合均衡の予算の上からとは見ておりません力当該公社予算のという、当該という字が伏せてあるというふうにわれわれは解釈しております。それで国鉄と違つて、専売公社は当該専売公社のという字を入れて読みますと、黒字になる。従つて十六條一項に触れなくなる。従つて例外として労働條件が多少違つても、法律の建前から見てやむを得ない、こう考えております。
○成田委員 超過勤務手当として、合法のわく内で出せるものは出したいというお話でありましたが、ずつと前の委員会で、私この超過勤務手当の問題で増田さんに御質問したところ、非合法的に超過勤務を出していないことはないというお話でありましたが、本日の御答弁では、非合法的な超過勤務手当の未払いもあるらしい。こういう合法のものと非合法のものと全部この際ぜひお考え願いたいのですが、大体金額としてどれくらいか、おわかりになりませんか。
○増田国務大臣 この前われわれが超勤の支出を怠つておるというわけで、あなたの方の赤松勇吉君に訴えられたことがありますが、今は給与実施本部長でありませんから、今度は淺井君が訴えられるかもしれませんが、あのときに私は訴えられるはずはないといつて答弁した。これは実質上妥当か不妥当かは別問題として、大体超勤として、国会の決定された予算の範囲内において超勤をやらしておる。それでありますから、超勤をやらしておきながら払わないということはない。しかしながら命ぜられない超勤をやつておる者がある。これは予算執行上、法律上の起勤ではなくて、社会上、常識上の超勤、自発的勤務というふうに役人諸君は呼んでおりますが、こういうようなことがあつた場合に、もし経理上余裕が出て来て、そうしてやはり実際自発、的に勤務してくれておるのであるから、命令による勤務という形にしまして払う分には、これは合法にして妥当なることで、政府の干渉する限りではない。そこまでとつてしまえということは、土橋君も主張されないと思う。
○成田委員 ただいまの土橋君の質問に対して、二十五年度においては、大体実質的に七千四百円の実入りができるような給与を含んでおると言われたが、その内容はやはり超勤とか特別手書いうものかいろいろあるらしいが、この際七千四百円を支給するところの実質的な予算がございましたら、超勤とか特別手当という制度を一応給与の確立化という点からいつて省きまして、人事院の勧告の七千八百円までは行かなくても、給与ベースの改訂という方向に財源を持つて行かれるのが、給与制度の本質から言つて正しいのではないかという気がするのですが、この点政府はどうお考えになりますか。
○増田国務大臣 給与ベースというものはやはり総合均衡予算の建前から、あくまで変更しがたい次第であります。
○成田委員 それで七千四百円の財源があるのだから、超勤とか特別手当とかいう浮動性のあるものでなくして、それをベースの改訂の方に持つて行つてもらいたいと思うのです。
○増田国務大臣 つまり七千八百円なら七千八百円にいたしまして、その間さやが四百円ばかりだからいいじやないかとおつしやいますが、かりに七十四百円出て、おるからといつて、予算の上からいうならばすべて込みにして七千四百円というのだから、べースを七千四百円にしたらいいじやないかということには、応じかねる次第であります。七千四百円にしまして、あと家族給も支給せず、地域給も支給せずというのでは、成田君かだれかに訴えられなければならぬことになるのであります。
○成田委員 私は七千四百円にしろというのではなくして、超勤とか特別手当とかいう浮動性のあるものを給与体系にしてあるのはおかしいので、これに家族手当など含めて七千四百円べ一スにしなくてもいいのですから、少くとも六千八百円、七千円にして実質的に七十四百円の給与を支給し得るようにすべきじやないか、こう言つているのです。
○増田国務大臣 お答えいたしますが、今実質的に七千四百円に行くようになつております。
○成田委員 それで確定的なものを、べースを上げて確保するのが、給与制度として正しいのじやないかというのです。
○土橋委員 簡単に質問して、官房長官だけは終ります。先ほど高橋委員からいろいろお話がありましてその点はごもつともだと思うのでありあますが、ただ私は去る本委員会におきまして政府はあれだけ、秋山総裁もあるいは官房長官も出られまして、タバコ専売裁定には服せられないというので、それが十六條第二項の規定によつてでありまするか、国会へ上程され、国会で審議する。そこまで行つているのです。それが急に今になつて裁定に服する。そう急変するような、あしたにタベに態度がかわるということでは、少くとも私は吉田内閣は、基本的なタバコ専売公社の経理内容について、真剣に考えていないのではないかと考えております。上げていただくことはけつこうです。上げるのは幾らでもけつこうでございますが、ただいま申し上げましたように、本委員会はそれについては数日間を費しております。高橋委員も御承知のように、相当あなたも御発言になつております。そういうふうに繰返しく委員書開いおいて、急に昨日の閣議で」億二千八百万円出せるということは、きわめて政治的なものを含めており、最近の労働攻勢に対して、政府の態度を何とか緩和しなければならないという、きわめて見えすいた自由党の、吉田内閣の労働対策の一端であると私は考えております。これが自由党の本質であります。このことはいまさら聞くまでもないことで、国民諸君が知つておられるところでありますので、あえて私は申しません。今成田君より質問がありましたように、七、千四百円の実質賃金を与えておると私にも御答弁されております。また成田君にも言われておりまするが、そういう実質賃金はどういう内容で、どうということは、労働者諸君は知つておりません。やはりこの給与の内容を与えておるというならば、私も同様で、ありまするが、少くとも人事院の勧告の線は、もう百尺竿頭一歩を進めれば出るのでございます。そうすれば当然——人事院の淺井総裁もおられまするが、七千八百七十七円を支給するのが妥当である。この点は私は官房長官に強く要望して終ることにいたします。これをやらないでも、実質賃金で七千四百円程度に行くというのでは、私は公務員諸君の現実の生活は擁護されないと思います。 官房長官はこれで終りまして、淺井総裁にただ二点ばかりお聞きいたします。
○星島委員長 土橋君、ちよつと御相談いたしますが、それで淺井さんの方は……
○土橋委員 簡単にやります。
○星島委員長 それでは続いてやります。
○土橋委員 私は高橋君以上に忙しいのですから、簡単にやります。第十二條の規定でありまするが、この規定を見ますると、第十二條の第二項でありますが、「官職の職十務と責任上格付の変更を必要と認める場合には、人事院又はその指定するものは、官職の格付を変更しなければならない。」こういう條文を置いております。その次に「人事院の指定するものが官職を格付し、又はその格付の変更を行つたときは、直ちにその採つた措置について人事院に報告しなければならない。」こういう條文がございます。ところがこれは本人に相談なく悪く格付をしたのはけしからぬと考えて、それに異議をとなえた場合に、少くともそれの審査を十分行つて、その格付の内容に適当なるものを見出すようにすることが、必要ではなかろうかと思うのでございます。そういたしませんと、次の第四項の規定との聞が拔けるように私は考えますが、いかがでございましようか。
○淺井政府委員 この格付は、人事院が全部客観的に広くものを見ましてやるべきでございますし、人事院がやりません場合は、主務官庁その他に頼んでやうてもろう。これが十二條の趣旨でございましてこの格付に対する異議を一々公務員から受付けておりましては、とうてい格付はできがたいと思つておりますから、その制度は認めていないのでございます。
○土橋委員 ただいまの御答弁は、公務員諸君のために職階制がしかれておると言いながら、事実はそうでないという一端を暴露しておる、きわめて悪い法律の内容の一端であろうと私は思いますが、これは意見の相違になるようでございますので、これ以上質問いたしません。 次は第四章の罰則でございますが、第十五條の規定では、罰則の内容を読んでみますと「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」とあります。なぜ公務員の給与あるいは職階制に関する調査その他の問題についての罰則に、体刑まで持つて来て御処置になるのか。その基本的な態度をお聞かせ願いたい。
○淺井政府委員 ずつと古くからわが国にありました学説や慣習によりますれば、行政処分に関する罰則と申しますか、それには行政罰を科しておりまして、刑罰は科していなかつたのでございます。ところが終戦後は刑罰をもつて臨みます例が多々あるのでございまして、行政処分等に対して、その違反に刑罰を科するのは、今日においてはもはや普通のことでございますから、この法律だけがこのようなものを科しておるとお考えくださらぬようにお願いいたしたいと思います。
○土橋委員 あなたが端なくも言われましたように、行政上の措置を誤まつたとか、行政上適切ならざる報告をしたというような場合に、体刑をもつて処断するということは、法律の運用をする立場におきましても、きわめて邪道であります。本人が官を辞するとか、一定の懲戒上の処分を受けるというような行政上の措置を受けることによつて、その結果として十分効果を得られると思うのでありまして、あえて自然罰的な体刑まで持つて来ることによつて、この法律はまた官庁公務員諸君を奴隷化する悪法中の最も顕著なものと思うのであります。行政上の措置を誤まるとか、行政上の問題に手落ちがあるならば、当然行政上の措置を行うのが至当でございまして、あえて自然罰的な体刑をもつて臨むとか、罰金刑をもつて臨むということは、いかにこの法律が、公務員諸君のためになつていないかという証拠の一端だと思います。今の御説明によると、最近では、終戦後は行政上の処分の問題でも、みな罰則を付しておるからということに便乗して、この法律もそういうふうにするならば一これは法律家としてあなたも十分お考えになつておると思いまするが、終戦復そういう状況であるから、この法律もそれにたがわず、体刑をもつて臨むのだということでは、公務員の利益のために、公務員全体の保護のために、職階制をつくるという、人事院の立場と、相反するものがあるのではなかろうか。こういう点をお聞きしたいのであります。あなたの御説明は、一般の制度がそうなつているということに便乗しての御説明であります。大体私は淺井人事院総裁の御説明は、刑罰が重くなることについて賛成をせられ、そういう方面には便乗して体刑を科している。こういうふうに理解してよろしゆうございますか。
○淺井政府委員 土橋さんは職階制、ことに格付等は、公務員の利益のためにするのだと仰せられている。よつてその公務員の重大なる利益をつかさどります者が、調査等を誤りました場合は、強く体刑等をもつて臨むことは、かえつて土橋さんの御趣旨にかなうものと存じます。
○土橋委員 これで最後でありますが、一体職階制の問題について、どういう聞違いを起すかというこの規定でございますが、第十五條の規定を見ますと、これはきわめて明瞭で、一項から三項までございます。この規定の中で体制をもつて臨んだ方が公務員の利益のためになるというお考えならば、これは非常な誤りだと思うのであります。こういう行政上の措置について手落ちがあるとか、誤りがある場合には、行政上の措置によるところの手続が幾らでもあるわけでございます。謎責なり、減俸なり、訓戒なり、あるいは始末書をとるというような、かつて官庁におりましたわれわれの目から見ますと、きわめて適切な方法があるのでございます。それを司法裁判所に訴追をして、体刑を科し、しかも本人は職を辞さなければならぬというような、二重、三重の不幸を招来するようなことは、この法律がいかに悪法であるかということを証明していると思います。先ほどあなたが仰せられたように、刑罰の便乗主義というものはやめて、従来の行政上の措置でしかるべくすべきであるというふうに私は考えているのでございます。
○星島委員長 これにて国家公務員の職階制に関する法律案に対する質疑通告者の発言は全部終りました。他に御質疑はありませんか、——別に質疑もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。 この際お知らせいたしておきますが、藤枝泉介君より、自由党を代表いたしまして、本案に対する修正案が委員長の手元に提出されております。これは印刷物として諸君のお手元に配付いたしますが、ただいまより右修正案について、藤枝泉介君からその趣旨の説明を求めます。藤枝泉介君。
○藤枝委員 修正案の趣旨弁明をいたします。まず修正案を朗読いたします。 国家公務員の職階制に関する法律案に対する修正案 国家公務員の職階制に関する法律案の一部を次のように修正する。 第四條に次の二項を加える。 人事院は、前項第三号に規定する職種を決定したときは、職種の名称及び定義を国会に提出しなければならない。 3 前項の場合において、国会が人事院の決定の全部又は一部を廃棄すべきことを議決したときは、人事院はすみやかに、その職種の決定が効力を失うように必要な措置をとらなければならない。 第十一條第一項に次の但書を加える。 但し、職種については、第四條 第二項及び第三項の規定に従つて これを行わなければならない。 従来の身分的な、封建的な官僚制度を打破いたしまして民主的な、能率的な公務員制度を確立するためには、職階制が非常に重要な役目を持つものでありますことは、申すまでもないのでありますが、それだけに職階制の内容がどうなるかということ、いかなるものであるかということは、国会は重大関心を持つものであります。国家公務員法の二十九條第一項の趣旨も、この渋味を表わしたものと思いますし、またこの規定が、国家公務員法審議の過程において、国会の修正によつて制定された点を見ましても、十分明瞭であろうと思います。しかるに今回提出されました職階制に関する法律案は、職階制作成の原則を規定するにとどまりまして、実際に生れ出まするところの職階制がどのようなものであるかは、国会の審議の外に置かれておるのであります。この点はただいま申しました国灰公務員法第二十九條第一項の規定に、必ずしも適合していないと思うのであります。しかし一方から考えますと、職階制の内容は非常に複雑でもあり、かつ常時変化をいたしまするところの官賊に適応するように、内容を変更する必要がありますので、職階制の具体的な内容のすべてを法律に盛るということは、必ずしも妥当でないと考えるのであります。従いまして、この問の調節をはかりまするためにただいま提案いたしましたように、人事院は職階制の内容である職種、職級を決定いたしますが、そのうち職種を決定いたしました後に、その職種の名称及び定義を国会に提出いたしまして、もしも国会においてそれが不適当であるという意味において、この人事院の職種の決定の全部または一部を廃棄すべしという決定をしましたときは、それ以後人事院はこの職種の効力を失うような処置をとらせることにいたします。一方人事院の専門的な知識と、それから広い立場に立つたところの国会の審議とを両立させて、正しい職階制の作成をいたし、もつて民主的な、能率的な公務員制度を確立いたしたいと考えましたために、ただいまの修正案を提出したような次第でございます。
○星島委員長 これにて修正案に対する趣旨説明は終了いたしました。 ただいまより国家公務員の職階制に関する法律案並びにこれに対する修正案を一括議題として討論に付します。討論は通告の順序によつてこれを許します。逢澤寛君。
○逢澤委員 私は自由党を代表いたしまして、賛成の意見を述べたいと思いす。 すでにただいままで長日月にわたりまして、またきようも長時間にわたつて審議されました国家公務員の職階制に関する法律案並びに修正案に対しましては、人事院及び政府より詳細な説明がありまして、私どもはこれを了承いたしました。現下のいろいろの事情の上から考えまして、これはこの場合適当のものであろうと存じておるのであります。社会党、共産党の方々よりも、数日間、また長時間にわたつていろいろの御意見はあつたのでありますが、しかしながらその御意見はみな本案に対して妥当でないと私は考えております。従いまして自由党といたしましては、政府原案並びに修正案に対して、賛成の意見を述べたいと思います。
○成田委員 日本社会党を代表いたしまして、職階制法案の原案並びに修正案に対して、全面的に反対するものであります。ただいま自由党代表の方が賛成意見を述べられたのでありますが、なぜがゆえに賛成であり、私たちの反対意見がなぜ妥当を欠くものかという理由については、何ら触れておられないのであります。ただ賛成だというわけでありますが、だれがこの十五箇條の法案を見ましても、日本の今後百の職階制がどうなるかということについて、的確な判断を下す人はないだろうと思うのです。いわば私たちが最も反対の理由といたしておりますところの、白紙委任状的な立法であるという点が、この法案反対の第一の理由であります。この点につきまして、さすがの与党諸君も黙つておられないのか、修正案をお出しになつたのでありますが、この修正案を見ましても、「職種の名称及び定義を国会に提出しなければならない。」云々という一項旦があるだけでありまして、これだけではたして白紙委任状的な本法が全面的に救済できるかどうかといえば、自内覧の諸君といえども十分でないということがおわかりだろうと思うのであります。いわばこの修正案は、ちよつぴり甘いものを飲まして、あとから苦いものをたくさん飲ますような修正案であるという立場で、私はこの修正案に対して全面的に反対いたします。 次に原案について、反対の理由を申し述べてみたいと思います。先ほど藤枝さんの御意見にありましたように、本法案のねらいが、わが国の封建的な、特権的な、身分的な官僚制度を打破する。そのためにアメリカに発達したところの人事行政学というものを、全面的に取入れたということはわかるのであります。しかしながらそれはあくまでもねらいでありまして、結果においてはたしてその目的が達せられるかどうかということになりますと、まつたく逆だと私たちは考えております。もともと制度を輸入する場合には、その制度の発達した社会的な基盤を無視してはならないと思うのであります。特にその制度が国家統治の内容をなしておりますときには、その社会的な條件、歴史的な伝統というものを考えなければ、制度輸入がまつたく逆の結果をもたらすということがよくあるのでありまして、今回のこの職階法案を見ますと、日本の社会的、経済的基盤、歴史的な伝統というものとまつたく異なつたアメリカの制度を取入れて、最初の目的である官僚制度の打破ということとは、逆な結果をもたらしておるという点において、私たちはまず反対の意向を表明するものであります。アメリカの歴史から考えますと、申すまでもなく職階制というものは、スポイルス・システムの打破をねらつたものだと思いますが、このアメリカの猟官制度いうものは、もともと官僚制度というものが国民の意思と離れている。非常に特権的な、権力的な機構であるという建前から、しろうとを任命して、政党が任命した官吏によつて、人民の意思を代表した行政というものをねらつたところに、猟官制度の発達のゆえんがあつたと思うのであります。猟官制度が行き過ぎて弊害になつたために、この職階制をつくりまして、人民によるところの行政という点からは相当かけ離れて参りますけれども、政党の官吏任命による行政の腐敗、堕落を阻止したいというのが、この職階制のねらいであつたと思うのです。ところが現在の日本におきましては、御承知のように官僚制度というものが古くから非常に身分的、特権的なものであつ、て、そのからにとじこもつて、人民に権力的な行政をやつておる。これを打破することが、まず日本の行政制度の改革のねらいでなければいけない。この日本の特殊な事情を無視してアメリカに発達したところのこの職階制をそのまま、何ら咀嚼しないで直輸入した。その結果今までの日本の官僚制度の温存にしか役立つていないという点で、まず第一に反対するわけであります。 次には、最初修正案について申し上げましたように、本法が国家公務員法二十九條第一項に規定する法律であれば、当然職階制の内容について、十分具体的に規定するのが当然であります。ところが全文十五箇條を読んだところで、何を書いてあるかわからぬような本法案を制定するということは、結局人事院にこの職階制の具体的内容を、全部白紙委任的にまかしてしまうことだ。二十九條一項の国家公務員法に修正條文として入れられた理由は、国会がこの人事行政、官僚制度というものに深い関与をしなければいけないという建前から、あの條項がわざわざ入つたという修正過程から見ましても、本法案に対して私たちは反対せざるを得ないのであります。これが第一の理由であります。 第三の理由といたしましては、本法案を見ますると、一般職として、次官までが本法の適用を受けることになつておる。これは自由党の諸君といえども不満だろうと私は思うのでありますか、本法によつて次官までを一般職の範囲に入れてこの職階法の適用を受けさすということは、どうしても政党政治の建前からいつて反対せざるを得ない。次官、局長というような職は、当然政策決定の職である。この政策決定の職は、時の内閣によつて自由任用されることは当然だと思う。にもかかわらずこの政策決定の職までも一般職として、職階制の適用を受けるということは、職階制の建前から言つても反対せざるを得ないわけです。 第四の理由といたしましては、先ほど淺井人事院総裁も、この職階制と給与の関係については、密接な関係があるということを言われたのでありますが、この点について職階制と給与を結合さすということは、身分の分類となつて、上下の階級主義というものが官吏内において非常に強化されるということが、一つの反対理由であります。さらに給与を引上げようとすると、どうしても単なる事務官でも、何とかして係長とか課長というような、高い職務と責任を持つておる。ボストへ持つて行かなければいけないという、実際上やむを得ない理由のために、いたずらに単なる事務員を係長あるいは課長にするということによつて、現在の官僚機構が複雑の一途をたどる結果になるのではないか。現在実施されておるところの給与実施法によつて、十五級の官職の職級の分類ができました。その結果いかに日本において官僚機横が厖大の道をたどつておるかという事実を見ましても、本法案を通過させるということは、日本の官僚機構の拡大化に役立つて、むしろ自由党の諸君のとなえておる官僚機構の簡素化と、逆行する結果になるのではないかということを考えまして、反対しなければならない。さらに重要なことは、職階制と給与を結合さすということは、もともと高い職務と責任を得る仕事に対し、すなわち高い資格を有する者に対しては高い給与を払いたい。低い資格の者に対しては低い給与を払うというのが、この職階制のねらいだと思うのでありますが、これが円滑に実行されるためには、その社会におきまして高い資格を取得する能力、すなわち高い学歴だとか、技術を取得する能力ある者に対しては、一様にその機会が与えられていなければいけない。たとえば上の学校へも行けるという能力ある者は、だれでもそういう高い資格がとれるというような社会的な條件が、その社会に与えられていなければいけない。もしそういう條件がないとすれば、たまたま貧乏人の家庭に生れたために、高い学歴、高い技術を受けることができないという、単にこれだけの理由で、一生下積みの下級官吏として、不満の生活を送らなければならない。これでは下級職員の不満は非常に高まつて、下級職員の仕事に対する精神並びに気風を馴致することはできないという結果になると思います。現在の日本におきまして、貧富の懸隔が非常にある。この社会的な階級的な構造が現存しておるにもかかわらず、本法案を通過さすということは、結局官吏の上下の職務の区別であるべきところの職階法というものが、社会的な、身分的な、経済的な階級の区別と一致するという結果になるという意味において、本法案に対して私たちは絶対反対であります。 最後の理由といたしまして、先ほど土橋委員も触れられましたように、虚偽の報告をした者に対して、罰金とか懲役とかいうような刑罰をもつて臨んでおる。淺井総裁のただいまの御答弁によりますると、終戦以来そういうことが多いと言われるのでありますが、多いか少いかということは問題じやない。先例であつても、悪例であつたならば、それをならう必要はないのであります。そういう悪例はあくまでも打破すべきである。刑罰というものは、国民に対する国家の統治権の一つの発動であります。国家が使用者として被使用者に臨むところの態度として、こういう統治権の発動であるところの刑罰を加えるということは、絶対に行き過ぎである。懲戒罰で十分であるという意味におきまして、反対せざるを得ない。 以上五点を指摘いたしまして、私たちは修正並びに原案に対して、全面的に反対するものであります。
○土橋委員 私は日本共産党を代表しまして、ただいま討議に付せられておりますところの職階制に関する法律案に、反対の意見を表明いたします。 その前に、本日は民主党の諸君もお見えになりませんし、本日は質疑が終りましたら終わるものとわれわれは考えておつたのであります。ところが急遽自由党の諸君から、これを討論に付するというような、きわめて非民主的な、しかも本委員会構成の重要な部分であります民主党の諸君も参画をされておりませんので、はなはだ遺憾に思うのであります。 この法案に反対する第一点は、吉田自由党内閣が、日本の全産業の構造及び政治の構造、官庁の機構等におきまして、植民地化をする。その端的な現われとして、この法案が上程されておるのであります。この植民地化と同時に、吉田政府が今着々として実行しておりまする軍事基地化の方向へ、この法案がまた非常に寄与するという点が、きわめて顕著に考えられるのであります。従いましてこの舶来の職階制、に関する法律は、明らかに公務員諸君の労働組合運動における基本的な、団結権、団体交渉権、あるいは諸種の権利を圧殺をし、これを抹殺をする方向に、この職階制が運用せられるのであります。これは人事院が発足以来今日までやつておられまする規則、指令、あらゆるものを見ましても、人事院は公務員諸君の利益のためにやつておるのではなくして、日本の支配階級なり、外国の金持ち諸君の利益のために、日本の公務員諸君が常に不遇な地位に置かれるような方法をとつておられまするが、その処置と軌を一にするのであります。従つてこの法案は、組合自体の弾圧であると私は考えておるのであります。また組合員の基本的な人権を圧殺するところり、きわめて悪い法律である。このように考えておるものであります。特に人事院におきまする調査部等の機構を見まするならば、思想的あるいは行動的、あらゆるものを調査いたしまして、そうして進歩的な諸君は、この職階制の計画過程において、調査をするというようなことすら行われておるのであります。従つてこの職階制が基本的に、法の点から考えましても、第二点としては憲法に違反をする法律であると思うのであります。それはこの法律が、国家公務員法の第二十九條によつて制定されておるのでありますが、二十九條が、明示をしておりますような重要な内容について、国会の承認を得ないという態度を堅持しておりますので、この法律で新たに広汎な委任立法を人事院に委託するごとによつて、人事院自身が自由な規則なり、指令なり、その他のものをもつて、公務員諸君の生活を脅かし、さらに勤労意欲を減退し、あるいは今までの措置から考えてみますると、非常に不当な措置を講ずるようにわれわれは考えるのであります。 次に第二点といたしましては、この法案は、日本の全政治状態がフアツシヨ的方向に向うのに非常に助力をする法律である。このように考えるのであります。それはこの職階制を見まするならば、上にはきわめて厚く、下にはきわめて薄く、すでに民間におきましても、三菱電機なり、あるいは王子製紙等におきましては、職階制の施行に伴いまして、いかに労働者諸君が現実に給与を引下げられ、しかも職制の圧迫がますます強大化し、そうして職制の圧迫が君の正しい要求等が常に圧殺せられておる。こういう現実にかんがみましても、この法律が、国家公務員といわず、日本の全労働階級に及ぼす影響はきわめて甚大でありますので、単に本委員会において討議するというような問題ではなくして、これは日本の労働運動を骨拔きにし、日本の労働運動の分裂をはかり、そうして従来の封建的な身分的なものによつて、さらに上級職の者が下級職の者を圧迫する。こういう事実が顕著に現われて来るのであります。そうして最近新聞等に伝えられておりますように、冷たい戦争からさらに熱い戦争の方向べ挑発するような一部分の諸君のためにも、この法律が非常な役立ちをするのではなかろうか。こういうふうにわれわれは考えるのであります。そういう戦争挑発的なことに役立つところの職階制は、われわれはまつこうから反対しなければならぬと考えておるのであります。 第四番目といたしましては、この職階に関する法律が出ますると、労働者自身がまつたく人間機械的になりまして、民主主義の基本的原則でありますところの人格の尊重なり、最低生活の保障というようなものを全然考慮いたさないし名前は科学的、合理的、民主的な装いのもとに、公務員諸君を賃金奴隷化し、まつたく自分の主張も通らない、また意思の団結もできなければ、行動の統一もできないというような方向にこの法案が必ず働くのであります。そういう点から考えましても、われわれはこの法案には反対せざるを得ないのであります。 さらに第五番目としまして、この職階制がねらつております点は、日本の官庁機構における、かつて天皇制の当時にありましたような、天皇制的位階制の復活であります。同時にこれは、労働者諸君の奴隷的な地位をさらに強化し、そういう方向に持つて来るところの法律であります。すなわち人事院からもしばしば指摘されておりますように、これは給与の内容とは別個であるということでありますが、実際の労働者の給与の問題を考慮することなくして、給与が最低生活を保障するという基本的な面につきましては、これを行うことなくして、この職階制を施行するというところに、私は第五番目の重要なる反動性があると思うのであります。なぜかなれば、最低生活を保障し得ない状態において職階制を採用しまするならば、職階制の内輪においては、食えない給料しか与えられない。 その最高の限度が、たとえば守衛でありますれば、二級から六級というならば、六級どまりで、どうにもならない。あるいは行政を担当しておる公務員は、かりに六級から十三級であるならば、その六級が踏出しだが、守衛の諸君は一般の行政を担当する諸君のところまで行かないところでとまつてしまう。そうして行政担当の者は十三級まで行けるけれども、それから上へは行けないというような方式になりまして、昔判任官が八十五円どまりとか、百二十五円どまりとかいうような内容で、非常に苦しんだ経験を古い諸君は持つておられまするが、それと同じことが、またこの職階制によつて行われるということになりますと、公務員諸君の勤労意欲なり、業務に対する熱意が欠如して、ただ命令的なそういう機構の中で働いておるというような、人間機械と申しましようか、人間奴隷と申しましようか、そういう境遇に陥るところの法律であるのであります。従いまして、そういうような意図を含んでおりまするこの職階制に関する法律は、日本の全労働階級にとりましては、この上もない最も不都合な、しかも身分がさらに封建的に加重をいたしまして、日本の現在の状況におきましては、この法律の制定前におきましても、すでに郵便官署においても、鉄道の各現場等におきましても、あらゆる官庁においても従業員諸君が非常な職制の圧迫を受けて、思うように便所にも行けないという状況が顕著に現われています。こういうことを制定する自由党吉田内閣は、まつたく労働階級の敵であります。吉田政府がこの法律を急いで上程し、本日この討論のところまで来ておりますが、こういう法律は少くとも最低生活を保障するという態度を裏づけることなくして、いかような民主的な、あるいは科学的な、合理的な内容をもつて説明されましようとも、これは何ら根のない砂上の樓閣的な悪法である。このように私は断ぜざるを得ないのであります。 さらにこの法案が、国民の公僕であるとか、あるいは国民全体の公務員として奉仕しなければならぬというような名前で、かつての天皇制と同じように、ただ人民の名前にかえまして、そうして公務員諸君の全体主義的な方向へ、この職階制が非常に役立ちをするのでございます。それはかつての第二次世界大戦当時におきまして、われわれは当時官庁におりまして、よく承知いたしておりますが、それと同じような方向へ、この法律が有形無形に、しかも職制の線を通じて圧迫して来ることは明瞭でありますので、こういうフアツシヨ的な方向、あるいは戦争挑発の方向を助けるもの、あるいは日本の植民地化に寄与するようなこの法律に対しましては、われわれはまつこうから反対しなければならぬと思うのであります。特に民主主義の原則がうたわれております関係上、基本的人権の擁護でありますところの労働運動の趨勢なり方向も、圧殺するところの内容に至りましては、この法律がいかほど害悪を過去において流し、将来においてもさらに流すであろうということを考えてみますと、戦慄に値をする悪法でありますので、われわれはかかる観点から絶対に反対の意見を表明するものであります。
○星島委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより政府原案並びに修正案を一括議題として採決いたします。採決の順序は、まず修正案について採決した後、原案を採決いたします。 それではこれより採決いたします。藤枝泉介君提出の自由党修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○星島委員長 起立多数。よつて藤枝君提出の修正案は可決いたしました。 次にただいま修正と決しました部分を除いた政時原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○星島委員長 起立多数。よつて政府原案は修正案の通り修正議決いたしました。 この際本案に関する委員会の報告書についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異趣議なし」と呼ぶ者あり〕
○星島委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長に御一任いただくものと決しました。それでは委員長において作成した上、議長に提出することにいたします。 次会は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。 午後一時十四分散会