厚生委員会 第9号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1950/03/03
会議録
○堀川委員長 これより会議を開きます。 本日は請願を日程といたしましてこれを審査することにいたします。まず日程第二、文書表第二一号、国民健康保險制度強化に関する請願、並びに日程第六ないし第四六、文書表第二七七号、三九六号ないし四一〇号、四三〇号、四三一号、四三二号、五三九号、五四〇号、六八八号、八六三号ないし八六八号、九一〇号ないし九二〇号、一一一〇号及び一二二一号、国民健康保險制度改善に関する請願、以上合計四十二件の請願を一括議題といたし、審査に入ります。まず紹介議員の説明を求めます。青柳一郎君。
○青柳委員 国民健康保險制度改善に関する請願の趣旨を申し上げます。国民健康保險制度は、国民に対する医療の均等の保障、ひいてはその生活安定を目的といたしまして、昭和十三年から施行いたしまして、目下国民の非常に熱烈な要望と支持のもとに樹立されんとしておりまする社会保障制度の根拠ともなるべきものでありますが、当面しておる社会情勢の逼迫下におきましては、その普及面においても、運営面においても、非常に深刻な苦難の中にありまして、まつたく危機に瀕しておるのであります。ここにおきまして、拔本的な対策を講じなくては、この制度の確立を期しがたく、ひいては民生安定はとうてい望み得ないことは、決定的と言つても過言でないのであります。この請願者の方々は、過去十一年余の体験にかんがみまして、これから申し上げまする事項の可及的すみやかな、しかも強力な措置を講ぜられまして、もつてわが国再建の基礎を確立して、社会保障制度のすみやかな実現の基とされんことを請願いたしておるのであります。 それはどういう事項であるかと申しますると、まず大きく第一の問題といたしましては、現行の国民健康保險制度の中で、左の点を改正して、その拡充強化をはかり、もつてこの制度の確立をはかられたいというのでありまして、その最初の問題は、国民健康保險は市町村の必要事務として、これを強制設立とするよう法定していただきたいというのであります。次は国民健康保險の保險料は、これを独立の市町村の目的税として徴收できるように、法定せられたいというのであります。その次は、国民健康保險に要する費用は、国及び都道府県におきまして相当負担していただきたい。事務費については、国庫においてその金額を、被服費についても相当国庫の負担をお願いいたしたい。また保健施設費につきましても、現在三分の一の国庫の補助がございますが、これまた増額していただきたい。次に、国民健康保險団体中央会を公認団体とせられたいというのであります。 第二に大きい問題といたしましては、保險は危險の分散にあるのでありまして、市町村財政では、一時的応急措置が必要な場合がしばしばありまして、ことに市町村財政の逼迫しておる現状におきましては、その対策が痛感せられ、預金部資金の融資、国庫補助による再保險制度、または国民健康保險金庫設置等、金融措置が必要であるので、国民健康保險事業の運営を合理化して、その運営の円滑を期するため、ただいま申し上げましたような金融措置を講ぜられたい、こういう趣旨であります。
○堀川委員長 政府側の発言を求めます。
○安田政府委員 国民健康保險の現状につきましては、青柳委員からお話のありました通りでございまして、私どもも何とかいたさなければならぬと思つております。今お述べになりましたことにつきましては、大体において賛成でございますが、中にはまだ研究いたさなければならないような点もございます。十分研究もいたし、これが実現に努力いたしたいと思います。
○苅田委員 保險局長にお尋ねしたいのですが、大体その趣旨でというお話だつたのですが、今これだけは大体こういうふうになつておるというものがあれば、もつとはつきりお知らせを願いたいのであります。
○安田政府委員 私が申し上げましたのは、いずれもけつこうなことでございますけれども、それをやるのに、いろいろ前提條件が必要な問題がたくさんございます。たとえば全部強制設立にいたしますれば、医療施設というものを、各町村になるべく平均して置くような努力もいたさなければならぬ。また医療施設をつくりましても、医者がないというようなことでも困りますから、医者の配置の問題も考えなければならぬ。あるいは今お話のありました金庫の問題等につきましても、これまたいろいろ意見のあることでありますので、そういう点もまた考えて行きたい、こういうことでございます。なおちようど今社会保障制度審議会で医療の問題に入つておるわけでありまして、それらの問題につきましても、油からず何らかの結論が出るのではないかと思つております。私ども自身もいろいろ努力をいたしまして、そういうような結論ともにらみ合せて、一層研究して行きたいと思つております。
○苅田委員 これは請願をなさつた方がそれで御納得が行つておるのかどうかわからないのですが、私にはまだはつきりわからないのです。勉強をしていただくことは非常にけつこうで、ぜひやつていただきたいと思いますが、私は見通しとしては、今のような国民健康保險のやり方、たとえば大体のものを相互扶助的にみんなが集めた金でもつてまかなつて行くというようなやり方では、今政府が宣伝しておられるような、国民全般を保險に入れるというような組織はとてもできないのじやないか、それにはやはり政府としては、国庫からよほど財政的な負担をしてやるという覚悟がない限りは、これはいくら勉強してもほんとうに解決はできないのじやないかと私は思うのです。その点について局長の御見解を伺いたいと思います。
○安田政府委員 苅田委員の御説のようなことも私は確かにあると思うのであります。国民全部を医療保險の対象にするということは、私どもはまつたく同じ考えでございますけれども、その方法につきましては、これをいろいろ実情に沿つて考えてみなければならぬと思います。私ども今も研究いたしておるのでありますけれども、かりに国民が三割を負担をし、七割は無料で見てもらえるというような見方にいたしましても、ずつと計算いたしますと、医療費だけにつきまして三百二、三十億もかかつて来ることになつて、これは三割を保險料でとつた場合ですが、三割の一部負担がそれだけ減りますと、六百億ぐらいになつて来るわけであります。それを全部国費で持てということになりますと、これは国の負担として相当大きな数字になります。各人のさいふから保險の税だといつてとるのと、一般の税でとつてわけるのとどつちがいいかという問題になつて来るわけでありまして、なかなかそこらはむずかしい問題かと思います。従つてそういう点を研究しておるということであります。 —————————————
○堀川委員長 次に日程第三ないし第五、文書表一〇五号、二〇五号、及び二九四号、以上三件、国民健康保險事業費全額国庫負担の請願を一括議題といたしまして、審査に入ります。まず紹介議員の説明を求めます。苅田アサノ君。
○苅田委員 それでは請願の趣旨につきまして、説明いたします。 国民健康保險法の改正はさきの第五国会において否決されましたが、われわれとしては、はなはだ納得の行かない問題と考えております。そこで現在の農村の一番の主要な経済力である農作物というふうなものが現在の政策によつて非常に低い価格で強制的な供出をさせられており、その上にもつて来て、所得税、事業税等が非常に重くて、そのために農村にあるところの経済力が非常に弱くなつております。そのために六・三制の教育費すら十分に出し得ないような状態になつておる現状にかんがみまして、どうしても国民健康保險に対しましては、そういう農村の実情も十分にお含みになつた上で、ぜひ事務費と給付金の全額を国庫負担にお願いしたいということを埼玉県の比企郡菅谷村の村議会の決議として、ここに厚生委員会にお願いしたい。こういう次第であります。
○堀川委員長 政府委員の発言を求めます。
○安田政府委員 国民健康保險の事務費につきまして、全額国庫負担せよというお話でございますが、この件につきましては、昨年の第五国会でございましたか、社会保障制度審議会の政府に対する勧告もございまして、そういうふうにしていただきたいと私ども思つております。なお給付費を全額ということになりますと、これは市町村の保險になりますか、国の保險になりますか、あるいは保險ではなくしていわゆるヘルス・サービス、健康事業というようなものになりまして、変質して参りますので、こういう点はひとつ根本的に社会保障制度審議会あたりで研究したいと思つております。 —————————————
○堀川委員長 次に日程第四七、文書表第六六一号、豊中市の国民健康保險事業助成に関する請願を議題とし、審査に入ります。まず紹介議員の説明をお聞きしたいのでありますが、紹介議員がお見えになりませんから、かわつて堤委員からその要旨を説明していただきます。
○堤委員 本請願は大阪府の豊中市の市長の藤井広太郎氏の名前で市から出ておるものでございまして、紹介議員はわが社会党の井上良二代議士であります。要旨は大阪府下豊中市の国民健康保險の利用者は最近ますます増加し、毎月五千人ないし七千五百人にこれを利用する人がなつておりますのに、医療施設が実に貧弱でございまして、一般患者の入院できる病院は豊中市民病院のみで、わずか三十ベッドということになつでおります。ついては市営国民健康保險の発展を期するために、総合病院を何とかして建てたい。また無医村がございまして、これは旧小曽根村及び南豊島村の地域でありますが、これに国民健康保險の直営診療所を設置したい、こういう二つの希望を持つておるわけでございます。これに対しまして、国庫補助を交付してほしいという希望であります。なお国民健康保險の財政が赤字でありますので、保險料の増徴をするということはかえつて滯納者を増して、ますます赤字を蓄積して行くということになりますので、医療給付の三割は国庫より補助されたいという請願でございます。
○堀川委員長 政府側の発言を求めます。
○安田政府委員 国民健康保險の療養費の国庫負担の件につきましては、私どももできるだけ努力いたしたいと思つておりますし、過去におきましても、そういうふうにやつて参つたつもりであります。なお病院の設立でありますが、ごもつともと思いますが、実はまだ無医村が全国で千四、五百町村も翻るような次第でありまして、そちらの方も手がかかるという状態であります。こういつた診療所や、病院の費用が二億五千万円であります。これが三分の一補助の二億五千万円でありますから、市町村でお使いになる場合には、七億に使えるわけであります。ところが来年度におきましても、すでに病院だけでもつて申込みだけ集計いたしますと、補助金が七、八億なければ足らぬという状況であります。そういうふうに非常に希望が多いけれども、お金の方は少いという状態であります。豊中あたりで一つでも病院があればいい方だということになるのじやないかと思いますが、なおよく実情等も調査いたしまして研究したいと思います。 —————————————
○堀川委員長 次に日程第四九及び五〇、文書表五〇六号及び一〇八〇号、健康保險法改正に関する請願を議題として審議に入ります。まず紹介議員の説明を求めます。紹介議員苅田アサノ君。
○苅田委員 私はこの中で奈良県健康保險対策委員会から出されております健康保險法改正に関する請願書の趣旨を申し上げまして、ほかの者の代理として当局の御意向を伺いたいと思います。 現存の経済状態のもとでは、国民の健康を守るために健康保險の占めておる意義が、きわめて大きいということは、だれしも認めて異論のないところだろうと思います。ところが最近の情勢は利用者が急にふえまして、これに反して保險料の收納がきわめて悪いために、保險経済が非常に危機に瀕しておつて、心配する状態であります。この原因はもとより経済界の急激な変化にあるわけでありますが、政府はこれの打開策として、保險料率と標準報酬の引上げとか、あるいは被保險者の一部負担の増額、医療制限または保險医の診療報酬に対する監督審査の強化等を企図せられておる模様でありますが、こういう被保險者や医師の犠牲において保險経済の危機を收拾してこれを切拔けて行こうとすることは、従来の健康保險の意義を没却するものであつて、健康保險に対する国民の従来の信用を失わせるものであると考えているのであります。諸外国の例に徹しても明らかであるように、社会保障制度の根幹をなしておる健康保險制度に政府が必要な補助政策を行うことは当然でありまして、現在の保險経済の危機を突破して、国民をして健康保險の恩典に浴せしめるためには、国民の負担額と同額以上の政府の補助金をやつていただく以外に、この保險経済の危機を救う道はないと考えておるわけであります。 さらに健康保險診療のみによつて医業を経営しておる公立の診療所のようなところでは、莫大な国庫の補助を受けて、その上に課税をも免除されておるにかかわらず、なおかつ現状では赤字が出ておるという状態なのでありますから、一方開業医の保險医に対しましては、保險診療の收入に対してもなお課税されておる結果、この人たちが非常に経済の負担に困つておるということは、きわめて明らかなことなのであります。ですから開業保險医の保險診療の徴收に対する課税分につきましては、課税を免除せられたい、こういう請願の趣旨でございます。
○堀川委員長 政府側の発言を求めます。
○安田政府委員 健康保險も最近たいへん危機に臨みまして、いろいろ御心配願つたのでありますけれども、大体何とか年度を越して行けるのではないかというところまで見通しがついたようでありまして、この点は幾らか安心をしておるような次第でございます。いずれにいたしましても、現在の国庫負担よりも増額してもらいたいということは、私どもの年来の考え方でございますので、この点につきましては一層努力をいたして参りたいと思います。 それから保險医の課税の問題でございますが、これは大蔵省の方の所管になるのでありまして、私どもの所管ではございません。しかし私どもといたしましても保險医の收入の実情につきましては、絶えず大蔵省の方へ実情を知つていただくように骨を折つておるのでありますが、なお今後とも努力をいたしたいと存じております。
○苅田委員 この際今年度来の保險経済の現状につきまして、もう少し具体的な御説明を伺いたいと思います。
○安田政府委員 昨年の十二月末の数字でございますから少し古いかと思いますけれども、保險料の徴收決定済額が約八十九億円でございます。これは政府勘定だけでございますが、その中で收納済額が約七十一億円、收納率でいいますと七九%、大体八割でございます。それに対しまして十二月末日現在における保險給付の支出額が約八十七億円でありますからして、保險料の徴收済額と比較いたしますと、全部とれれば一億の黒字だということになります。保險料の実際に入つておる額について見ますと、十六億ばかりの赤字になつております。しかしこれが年度末に行きましてどうなりますか、大体三月分の保險料は四月の末日までにとりますからして、今までの例で行きますと、一月近く遅れてずれて行くような状況でございますが、大体現在のような状況ではお医者さんに対する支拂は、お約束の期限より一月遅れということで乘り切れるのではないかと思つております。あるいはそれ以上によくなりはしないだろうかというかすかな望みを持つておるわけであります。 —————————————
○堀川委員長 次に日程第五一、文書表第九六八号、健康保險法及び厚生年金保險法の一部改正に関する請願を議題といたしまして審議に入ります。まず紹介議員の説明を求めます。堤ツルヨ君。
○堤委員 本請願は全国進駐軍の労働組合同盟から請願いたしておるものでございまして、その代表者は参議院議員の山田節男氏になつております。社会保障制度の審議会が設けられまして、その設置法が一昨年制定され、それから審議委員が任命されて非常に期待しておるにもかかわらず、遅々として歩みが遅いというので、これにしびれを切らしました結果、非常に転落して行くところの勤労階級の窮乏を救うために、健康保險法と厚生年金保險法を改正していただきたいというところの要望を述べたものでございます。健康保險法の関係につきましては、その要求が四つございまして、第一番は法の第七十二條の事業主及び被保險者各二分の一の保險料負担制度を改めて、国庫、事業主被保險者がおのおの三分の一を負担することに改めてもらいたい。第二番は法の第四十三條の二による一部負担金制度を廃止してもらいたいということ、第三は同施行令第三十六條、第七十三條の六による健康保險組合連合会役員選出の不平等を撤廃すること、第四は医療制度の画期的改革をはかるよう立法せられたいというのであります。 次に厚生年金保險法関係についてでありますが、これは三つございます。第一番は法の第三十一條、第四十四條を改正し、養老年金、遺族年金の受給資格條件の期間を十五箇年に短縮すること、第二は法第四十八條を改正し進駐軍労務者に対する脱退手当金受給資格條件の期間を六箇月に短縮すること、第三は責任準備金を厚生資金として貸與されるよう立法せられたいというところの請願でございます。どうか各二つの中に盛られましたところのおのおのの條項をよく吟味されまして、御採択願いたいと思います。
○堀川委員長 政府側の発言を求めます。
○安田政府委員 健康保險につきまして四つばかりの御趣旨を述べてございましたが、これはそれぞれ根本的な点に触れて参りますので、社会保障制度審議会の結論とにらみ合せて研究して行きたいと思います。 それから年金保險の方でございますが、受給の資格條件の十五年短縮でありますとか、進駐軍労務者に対する脱退手当金の期間を六箇月に改めるということでございますが、現在の二十年でございますのを十五年にいたしますと、実はそれだけ保險料が高くなるのでございます。それらのこともにらみ合せて大体二十年で六十歳というものを押えておるわけでございます。この点もひとつ研究してみたいと思います。それから脱退手当金の方でございますが、実はこの脱退手当金というのは、外国の社会保險ではないのでございまして、年金でございますから、やめましてからの養老年金をもらうのが主たる眼目であります。従いまして途中でやめましても、そのときに脱退手当金をもらはないで、ほかの仕事に行つたときにそれを継続して通算されるというふうに制度をしく方が、制度本来の目的にかなうのではないか、そういう趣旨でおるわけであります。しかしそれにしても長く勤めておつた人について気の毒だからということで、現在のように五年というのが妥協的な制度になつておるわけでありまして、これを六箇月にもどすというのは困難ではないか、こういうふうに思います。 それから責任準備金というのは積立金のことと思いますけれども、これは大体今百八十何億になつておりまして、年度末には二百億近くになるのではないかと思います。これはもちろん全部を厚生資金として還元貸付をいたしますことは——積立金というのは御承知のように将来年金を拙います財源になつておるのでありますから、これを最も有意義に確実に運用しなければなりません。これは今預金部の方へ預けてあるわけでありますので、預金部の方の資金運営委員会の方の運営方針によつて動いておるわけでありますが、そのうちの一部分だけは従来も勤労者の方の福祉施設に還元貸付をして、ただけるという約束がありましたが、これが今関係方面のメモランダムによつて使えないような状況になつております。私どもといたしましては最近までもずつと、ひとつ何とかこれを貸付けていただくようにということで努力はいたしておるのでありまして、だんだんそういうふうになるのではないかというような望みを抱いております。 —————————————
○堀川委員長 次に日程第五二、文書表番号第一一一号、健康保險による入院料増額の請願を議題として、審議に入ることにいたします。まず紹介議員の説明を求めます。青柳一郎君。
○青柳委員 この請願は東京都内の私設の結核療養所、二十六施設を代表いたしまして、結核予防会保生園の中にあります東京都療養所協会からの請願であります。その要旨は健康保險診療報酬は、一昨年の十月以来すえ置きのままでありますが、物価の高騰によりまして、人件費その他経費は非常に膨脹してはなはだしい経営費の増加となつており、ことに入院以外の診療報酬をほとんど期待できない私設の療養所におきましては、療養設備はおろか、人件費さえ支拂い困難の現状でございます。その上医療法の実施によりまして、法律できめられた施設と人員を要することになりましたから、ますます極度の経営難に陷つておるのであります。ついては健康保險による入院料を適正に増額して、療養施設運営に遺憾なきを期せられたいというのであります。
○堀川委員長 政府側の発言を求めます。
○安田政府委員 療養所の入院費の点数が少な過ぎるというお話でありますが、点数の中で食費が大体半分、その他の費用が半分で、現在二十点でありますが、十点ずつであろうと思います。食費の方は大体やつて行けるのではないかという気持であります。その他の方は人件費等がおもなものであろうと思いますが、これは物価の高騰ということもありますが、医療法の改正等によりまして、いろいろとミニマム・リクワイアメントというものがありまして、それによつてやらないといかぬということで、人や看護婦や、付添がたくさんいるという点はたいへんごもつともと思いますが、完全実施はたしか二十八年だと思います。それでたいへん逃げ口上を言うようですけれども、今のところ健康保險の財政を考えまして、急にこれをすぐいじるということはちよつとむずかしいのではなかろうか、こういうふうに思つております。しかし請願の御趣旨は十分わかりますので、なおひとつ研究は続けて行きたいと思つております。
○青柳委員 この問題は山の中と言いますか、都会から離れたところにある療養所、そこは通院患者が少く、入院患者によつてまかなわれておるのであります。通院患者がよけいあるところは経費の方も割合にうまく行つておるようでありますが、入院患者のみでもらて経営して行くというところに、非常に金が少くて困つておるという点があるのであります。何とかこの点は、ひとりこの問題に限らず、実情に即してお考えを願いたいと思います。
○苅田委員 点数の問題に関連してお聞きしたいのです。それはただいまお話になりましたように、大体入院費用というものは二十点になつておりまして、十点々々というわけですが、そうすれば食費の方は大体百円ということになつておるわけなのですが、実際に今病院で支給しておりますのは、値上り前で大体五十四円ですか、非常に低額だつたということであります。この問題については、ある療養所の所長あたりも十点の中に、つまり百円の中に燃料費等が含まれておるとしても、それだけの燃料費はかからないわけだから、自分が考えても非常に安過ぎるということを言つている。値上り後は多少上つたと思いますが、食費を十点としておきながら、従来の五十三円とかいう食費は非常に安過ぎるという疑問があるわけですが、その点についての御答弁をお願いしたいと思います。
○安田政府委員 今のお話は、私立の療養所には十点で行つておると思いますが、国立の療養所は割引がたしかあつたと思います。その割引の率とにらみ合せてお考えになつたらどうかと思います。たしか二割か一割引いてあるはずでございます。なおまたあとは医務局の方からひとつ……。
○丸山委員 どうもない袖は振れないというような、入院料の二十点は増額困難だという事情は私どもよくわかるのでありますが、実際病院を経営しておる方の側から言うと、現在の宿屋の拂いとの均衡をごらんくださいましてもわかりますが、なかなか現在二百円で一日まかなつてとまらしてくれる宿屋は、まあ世の中鐘とたいこで探してもないのではないかと思います。それに医療を加え、サービスを加えてなお二十点というような入院料が決定せられておるというのは、結核療養所に限らず他の面においても相当の困難を感じておるのは事実でございます。いかがでございますか。診療報酬算定協議会でもお開きになつて、点数の改正をおやりになるというような御意向はございませんか。
○安田政府委員 なおよく研究してみたいと思いますが、実は私今度社会保障制度審議会でこれらの問題に触れてみようと思うのでありますが、結核の長期療養という問題は、やはり相互救済の保險制度のわくの中で解決しようという点にむりがあつたのであります。どうしてもこれは、長期療養なら長期療養は国の方で何とかするとか、もつと総合的な計画を立てるべきではないだろうかと私は思つておるのであります。たとえば御承知のように国民保險あたりで長期療養者が二、三人あれば小さい村だとつぶれてしまう。組合あたりにおきましても長期療養者が相当の負担になつておる。東北あたりでありますと、国民保險の医療費の三割から四割近くも長期療養者の費用に使われておるという実情でありますから、どうしても私はこういうものであるとかあるいは癩とかいうような特殊なものは、特殊な病気に対する対策として別に考えられなければいかぬのではないか、こういう気持を持つております。よく研究してみたいと思います。
○丸山委員 たいへんけつこうなお考えを承りましてありがたいのですが、実は今結核の小委員会をつくつて結核問題をどういうふうに取扱うかということを検討しております。ちようどいいお話でございましたので、この問題に関しまして明日小委員会を開く予定でございますが、あなたのお考え、御構想をその席においでくだいましてお漏らしくださることができたらたいへんけつこうだと存じます。どうぞお願いいたします。 —————————————
○堀川委員長 次に日程第五七及び第五八、文書表第五六七号及び第五六八号、以上二件社会保險の危機打開に関する請願を一括議題といたします。まず紹介議員の説明を求めます。堤ツルヨ君。
○堤委員 本請願は近畿の保險歯科医師会から出ておるものでございます。代表者は可兒一郎氏になつております。社会保險制度は勤労大衆の唯一の医療保障としてますます重要性を帶びて来ておるのでありますが、受診率の上昇に反し、保險料の徴收が極度に不振となり、保險経済の收支ははなはだしく均衡を失い、重大危機に直面しております。しかるに政府当局は、被保險者、保險医にその負担を強化して表面の收支の均衡をはかることのみに腐心しておる。ついては国庫補助によつて被保險者の負担軽減、保險医に対する生活の保障、診療内容の充実等根本的施策を講ぜられたいというのであります。これは去る一月十日にもこの近畿の歯科医師会が衆参両院の近畿選出の厚生委員並びに大蔵委員に招待状を出しまして、るる私たちに現在の苦境を訴えられたのであります。この中には非常に建設的な、しかも自主的な説明書が入つておりまして、たとえば健康保險制度の概況と重要性を具体的に説き、さらにその二番目には保險診療報酬支拂い遅延の状況と実際を統計に出し、また第三番目には、保險料支拂い遅延の保險医への影響というものをつまびらかに書いております。現存保險医の生活がはたで見るように楽でないということをるる訴えておりまして、今日課税状況と支拂い遅延の板ばさみになりまして非常に困窮しておることを訴えておるのであります。第四番目には支拂い遅延が保險医療に及ぼすところの影響、さらに第五番目には支拂い遅延の原因をまじめに説きまして、そしてそれに対するところの支拂いの促進策を、第六番目に意見として述べて説明いたしております。私はこの会合に出席いたしまして一政府当局としては真劍に根本的にこれについて考え直してもらわなければならぬということを委員として痛感いたしました次第でございますので、どうかつぶさに御検討になつていただきたいことを申し上げておきます。
○堀川委員長 政府委員の発言を伺います。
○安田政府委員 健康保險の保險経済の問題につきましては、十分ひとつ検討いたしまして善処いたしたいと思つております。 —————————————
○堀川委員長 それでは次に日程第一、文書表八八三号を議題といたし、審議に入ることにいたします。紹介議員がおられませんので、かわつて堤委員にその要旨の説明をお願いいたします。
○堤委員 わが党の紹介議員になつておりますので、かわつて説明いたします。 ただいま議題となりました財団法人日本製鉄八幡共済組合年金受給者の年金増額に関する請願の要旨を申し上げます。昭和二十四年の五月国家公務員共済組合法の一部が改正せられ、現存の現業官庁共済組合の年金は、昭和二十三年十月以降国庫の負担によつて従前の年金の二十四倍に増額されたのであります。つきましては財団法人日本製鉄八幡共済組合も昭和九年一月三十一日までは官業共済組合でありました事実にかんがみまして、同組合年金受給者につきましても次のように増額されたいのであります。すなわち昭和九年一月三十一日以前にすでに年金受給資格の発生した者に対して、国家公務員と同一の水準まで増額されたいのであります。 第二に昭和九年二月一日以降に年金受給資格発生の者に対しましては、昭和九年一月三十一日以前の官業共済組合加入期間に応じて年金額を増額されたいのであります。何とぞ御審議の上御採択あらんことをお願いいたします。
○堀川委員長 政府側の説明を求めます。
○中尾説明員 請願の事実につきましては政府におきましてもよく承知をいたしております。なおただいま非常に御懇篤な御紹介がございましたので、これらの問題につきましても十分に検討いたす次第であります。 なお参考までに申し上げまするが、この八幡製鉄所の関係につきましては、考え方といたしまして現在存在しております官業共済組合におきまする年金増額の措置に準じましてこれを行うのが一番なだらかな筋でございます。その意味におきまして八幡製鉄所に事業体が存在いたしまするので、これを中心といたしまして年金額の増額が行われるようになることを私どもも希望いたしておる次第であります。 —————————————
○堀川委員長 次に日程第五三、文書表第三一九号、結核患者の健康保險医療給付期間延長の請願を議題といたします。まず紹介議員の説明を求めます。苅田アサノ君。
○苅田委員 この請願は東京都北多摩郡清瀬村の日本療養所患者同盟から出場ておる請願でありまして、要旨は、現在健康保險では結核の場合に医療給付は二箇年と規定されているのでありますが、元来二箇年という基準がきめられたのは保險経済の関係からばかりでなく、同法制定当時の医師会などの答申が、結核は二箇年経過すれば回復するか死亡するか、いずれかにきまりがつくという趣旨にあつたことによるのではないかと聞いておるのであります。しかしながら今日の実情におきましては、発病してただちに入院できる場合が少いばかりでなく、最近発達した胸郭整形術とかあるいは合成樹脂充填術等の外科的療法をなすにも療養期間は前後最低三箇年以上は必要であり、現に都下一療養所の本年一月以来七月までにおける軽快退院者の発病以来の療養期間の調査によつてみましても、平均三年十箇月となつております。療養半ばで保險給付を打切られるということは、患者にとりまして一大脅威であります。ぜひこうした患者たちがなおるまで、安んじて療養できるよう社会保障制度の確立を要請してやまないものでありますが、過渡的な要望といたしまして、結核の場合の医療給付の期間を現行の二箇年から三箇年に延長していただきたい。そのためにさしせまつての希望といたしまして健康保險法の改正をぜひお願いしたい、かような請願の趣旨でございます。
○堀川委員長 政府側の発言を求めます。
○安田政府委員 結核患者の健康保險医療給付の期間を延長するようにというお話でございますが、私ども趣旨には賛成でございまして、なるべくそうしたいと思いますが、今のところ経済上の問題がすぐにあるわけであります。療養所に入つて療養を受けております者を見ますと、二箇月や三箇月でありますと自費診療もできますけれども、現在におきましても長くなりますと大体保險で行くか、あるいは生活保護法で行くかどつちかだろうと思います。でありますから二年たつて保險でできなくなれば、生活保護法によつて行く。しかもそれによる診療内容は少しも違わないようなことになろうと思います。それは先ほど私ちよつと丸山委員の御質問にお答えしたのでありますけれども、やはりこういうような医療保險の方に国庫の補助をやるということにつきましては、問題もあろうと思いますが、一つのやり方といたしましては、そういつた長期療養者の費用につきましては国が全部持つというような考え方もあるのじやなかろうか、そういうようなことも考えておるのであります。しかし結局財政問題との関係もございますし、また当然社会保障制度審議会でも問題になる事項だろうと思いますので、十分研究してみたいと存じます。
○苅田委員 ただいまの保險局長の御答弁は非常に御理解をいたしておつて感謝する次第でありますが、ただいまおつしやいました長期療養者の医療費は、国が持つべきであるという見解は、局長の御私見でありますか、それともそういうことが厚生省としても当面の問題になつて、どこかの関係当局でそれについての具体的の準備が進められておるのかということにつきましても伺えれば非常にけつこうだと存じます。
○安田政府委員 私の考えでございます。つまり先ほども申しましたように、今保險の医療費に対しまして、国民保險にいたしましても健康保險にいたしましても、それの何分の一かを国で補助しろという議論があるのであります。しかし医療費になりますと、国民保險で申しますと、村や町ごとにやつておりますから、いろいろやり方によりましてでこぼこがあるわけであります。それを基準にいたしますと、不公平な場合も出て来ると思う。しかし長期療養者ということになりますれば、はつきりつかまえられますから、それに対する補助ということがかつこうとしても実質的にもいいのじやないかと思います。私どもも社会保障制度ということにつきまして事務的にいろいろ検討しておりますので、そういうようなことも個人として考えておるという程度でございまして、決してこれが厚生省の方針であるとかどうとかいう問題ではありません。私見を申し上げてたいへん失礼いたしましたけれども、そういう気持でおるということを申し上げたのであります。
○苅田委員 重ねてお聞きしたいのですけれども、それに対する予算的な措置等のことにつきましても御考慮の上でただいまのようなことがよかろうという御意見がお一人のお考えにしても出ていると思つていいのでありましようか。
○安田政府委員 そういうようにいたしますと、予算が幾ら幾らいるだろうかということも研究いたしておるわけであります。どうも私どもの考えだけでできるわけでありませんし、皆さんのお力や、あるいは大蔵当局の財政力のこともございますので、そういう考えもあるということで、ひとつ御了承願いたいと思います。 —————————————
○堀川委員長 次に日程第五四、文書表第四六七号、日雇労務者に健康保險法適用等の請願を議題といたしまして審査に入ります。紹介議員は私でありますが、都合上かわつて青柳委員に要旨を説明していただくことにいたします。
○青柳委員 この請願は、今委員長の御発言がありましたように、委員長以下実に各党を網羅いたしまして、新政治協議会、労農党、共産党、すべてくつわを並べての御紹介でありまして、土建労働組合国会対策共同鬪争協議会からの請願にかかるものであります。その要旨を申し上げます。 日雇労務者は、労働者の中で最も惠まれない階級でありますが、一たび疾病、負傷等にあえば、ただちに收入を失い、または医療費等に困窮する状態であります。しかるに労災法、労働基準法も適用される場合はきわめて少く、健康保險法の適用範囲も制限されております。ついては日雇労務者の特殊性を考えられて、社会保障制度として健康保險法、労災法の全面的適用、失業保險法の改正措置を講ぜられたいという、厚生並びに労働両当局に対する請願であります。
○堀川委員長 政府側の意見を求めます。
○安田政府委員 日雇労務者に対しまして健康保險法を適用せよということにつきましては、昨年の十二月から私どもも研究いたしております。御承知のように日雇労務者を一つ一つつかまえまして保險料をとり、それに対して給付をするということが、今の実態から申しまして技術的になかなか困難な面が多々あるのであります。私ども昨年の十二月神戸の方でやつておりますのを視察もいたしましたし、研究しておりますけれども、これならばいいという結論に現存まだ達していないような状況でございますので、その点ひとつ御了承を願いたいと思います。
○渡部委員 これならばいいという結論には達していないが、方向としてはこの方向がとらるべきであるということについての御意見はどうですか。
○安田政府委員 私どもは日雇労務者だけでなくて、一般の国民に対して全部こういうふうな方向に行くべきだという気持でおります。もし全国民を対象とする医療保險制度ができましたならば、この問題は自然に解決するのではないかと考えておりますが、そういつた地域的につかまえるよりほかに方法がないのではないかというような気持もいたしております。 —————————————
○堀川委員長 次に日程第五五、文書表第七三七号、学生健康保險法制定に関する請願を議題とし審査に入ります。紹介議員の説明を求めます。
○渡部委員 紹介議員が出席しておりませんので、かわつて趣旨の説明をいたします。この請願は全日本学生自治会総連合の代表武井君からの提出であります。 趣旨は、経済的危機が深刻化して、国民生活が非常に窮乏を告げておる。これに伴つて現在大部分の学生は、日夜激しいアルバイトをして辛うじて生活を支えつつある。そのために肉体的精神的な過労からして、また栄養上の障害を来して、種々の疾病、特に結核に冒される学生数が非常に多く、これによる休退学者の数は増加の一途をたどつておるのであります。常時登校しておる学生だけについて見ましても、たとえば東京の慈惠医科大学においては、今春の身体検査の際、被検診者数四百八十一名のうち肺結核にかかつておる者が二十九名、その他の結核が十二名、計四十一名で、大体全学生の約一割という寒心すべき結果が示されておるありさまでありまして、比較的医療設備に惠まれておるところの学校においてさえこのような状態である以上、現在学生の置かれておる社会的、経済的條件からしまして、おそらく全国学生の二割以上が結核に冒されておるであろうことは、推論するにかたくないところであつて、これは独断と言うことはできない。これに対して政府、学校当局の関心はどうかと申しますと、文部省、厚生省等の責任官庁には学生の健康状態に関する資料さえもない。また全国の大学、高等、專門学校当局の大部分は年一度の定期検診さえも行つていない状態である。さらに学生の保健を全然等閑にしていると断ぜざるを得ない状態である。将来の日本を担う学生の保健すなわち罹病の予防と治病の完璧を期することはきわめて当然なことであつて、またこのことは学生生活の現状よりしましても、全国的に国家の責任においてなさるべきものであると考えられる。それでこの全日本学生自治総連合会の要望としましては、第一に学生全員を被保險者としてその積立金と国庫支出の基本金によつて学生の健康保險に関する法案を制定されたいということ、第二に当面各学校における定期的検診の実施、医療施設の完備、学生の七割引による医療の実施を保障するために国庫支出をされたい。この二つが請願の要旨であります。 紹介議員としてつけ加えて申し上げておきたいことは、私は非常に全国の学生あるいは学校との接触が多いわけでありますが、ここに述べられているような学生の生活状態、それを裏づけている日本の経済状態というものから申しまして、学生のほとんど大部分がアルバイトをしている。またしなければ学業ができないばかりでなく、生活さえも維持できないというような状態にあるのでありますから、ここに請願されている事柄につきましては十分審議された上、当局の方でも積極的にこの実現に努力されることを希望したい次第であります。
○堀川委員長 政府委員の発言を求めます。
○安田政府委員 保險の問題以外は文部省の方の所管でございますが、学生の健康保險の問題も、これは勤労者の健康保險とは違いまして、やはり国民保險の線で行くべきではないかと思います。従いまして今社会保障制度審議会で構想を練つておられますところの国民全部を対象にするといつたような線で解決せられるようになるのではないか、こういうふうに考えております。
○渡部委員 学校における定期検診とか、そういうふうなことは一切文部省関係になつておりますか。
○安田政府委員 はい。 —————————————
○堀川委員長 では次に日程第五六、文書表七八五号、健康保險制度改善並びに外来結核患者の保護に関する請願を議題として審議に入ります。紹介議員の説明を聞きたいのでありますが、お見えになりませんので、かわつて渡部委員にその請願の要旨をお願いいたします。
○渡部委員 この請願は東京都の北区東京自由病院内の五十三名によつてなされたものでありまする 請願の要旨は健康保險経済は破綻に瀕し、患者、医師及び一般被保險者の生活に深刻な影響を與えているにかかわらず、政府はその根本的解決をしていない。また外来結核患者は入院患者に比べて社会的保護を受ける機会がほとんどない状態である。こういう理由に基いて七つほどの請願の項目が述べられておるのであります。 第一が保健所における健康保險の適用ということであります。これは政府は結核の予防、診療等にあたつて保健所を利用するよう呼びかけておるが、東京都内の保健所ではほとんど全部健康保險被保險者の診療を取扱つていない。他の道府県においてはみな適用されておるにかかわらず、東京都のみが取扱わない現状は、まつたく不合理であると言わなければならない。厚生省並びに東京都等は、最近に至り取扱う旨を言明してはおるが、これが実施にあたつては、その隘路を完全に解消せられたいというのであります。 第二は健康保險の赤字を全額国庫負担とし、診療報酬及び傷病手当金をすみやかに支拂うこと、理由は保險経済の破綻が赤字となつて現われて、各種給付金の支拂いが遅れておる、この状態が続くならば健康保險制度は以前のように死物化してしまう。同時にわが国の社会保障制度全般にも重大な影響を與えることになるというのであります。 第三が制限診療を撤廃すること、理由は昭和二十四年九月二十七日厚生省指針に基いてレントゲン写真の制限や医療慣行に反する注射の制限等を行つておるが、これは差別診療の第一歩であつて当然撤廃すべきものである。また結核に対する療養期間二年は療養の実情に適せず、三年に延長すべきであるというのであります。 第四が保險料率の引上げに反対である。理由は保險経済の赤字を埋めるために現在の料率千分の五十五を千分の六十五に引上げるということであるが、これが実施されれば、わが国の保險料率は世界最高のものとなつて、低賃金に苦んでおるわが国の勤労者にとつてはとうてい負担し得ないものとなるからであるというのであります。 第五が保險料に対する所得税の撤廃、理由は社会保障の建前から保險料に税金をかけることは不当であるというのであります。 第六が医師の保險診療に対しては免税すること、理由は現在医師の取扱つておる診療はその七割が健康保險被保險者である。しかもそれに対する課税は高率に過ぎる。たとえば大体三割ないし四割を利益と見て課税する実情であつて、これは他の営利事業と同一視すべきでなく、減税すべきであるというのであります。 第七が結核外来患者に対する療養加配米並びに栄養物資の配給であります。理由は結核患者は現在診療所に入院を希望しても、申込み後半年ないし一年を要する実情である。これらがやむなく外来患者となつておるのであつて、また経済的、家庭的の事情により入院できない者もいる。従つて外来患者は入院患者に比較して決して軽症者ということは断定できない。入院患者は現任一日百四十グラムの加配米があり、外来患者に比べて社会的保護を受けておる機会が多い。しかも入院患者の病院給療は健康保險診療の一部であつて個人負担ではない。外来患者——退院した者も含むというわけでありますが、この外来患者は、結核の特質上長期の療養を必要とするにもかかわらず、何ら社会的な保護を受けていない。従つて今後外来患者に対して、療養加配米並びに安い油脂、魚類などの栄養物資を配給せられたい。この配給は地域ごとの保健所、病院等に登録することとすれば、配給方法の困難は解決するはずである。以上のような要旨であります。
○堀川委員長 この際政府側の説明を求めます。
○安田政府委員 保健所における健康保險の適用でありますが、東京都も実は保健所と契約をしておると思つておるのでありますが、今のお話のようなこともございますので、至急ひとつ取調べて、保健所においても取扱うように指導して行きたいと思います。 それから健康保險の赤字全額国庫負担の問題、これは昨年以来私ども主張し、大蔵当局とも折衝しておつた問題でございまして、今後もこういう問題が起きました場合には、こういつたような方法で進んで行きたいと存じます。 それから制限診療の撤廃、これは厚生大臣の方で出しております診療指針の問題だと思いますが、私どもといたしましては、零細な保險料を集めましてそれでまかなつておるのでありますから、医療が有効でしかもむだのないような診療をやつていただくように今後もお願いいたしたい、こういう方針でございます。 それからそのほかの結核患者の療養期間の延長等につきましては、先ほど申し述べた通りでございます。 なお課税の問題は大蔵省の所管になりますが、努力をしてみたいと存じます。 外来患者の保護の措置でございますが、私直接所管でございませんので、医務局の方に申し伝えておきたいと思います。
○丸山委員 今のお話の中の、保健所が被保險者を取扱わないということは各地にございまして、各地方ではみんな迷惑をこうむつておりますから、至急これは保健所で取扱うようにお手配願いたいと考えます。 それから課税の点は先ほど来数回問題になつておりましたが、これは大蔵省と関係があることはもちろんでありますが、一点單価の構成因子から考えましても、現在の課税の基準となつておるものは不当であることは間違いないと思う。これに対して厚生省としても大蔵省の方面に資料を示して、ひとつ強力に御発言を願いたい。私どもの方もやつておることで、一緒にひとつ正しいことを主張するお手伝いを願いたい。
○渡部委員 外来結核患者に対する加配米のこと等についてはどうなんですか。
○安田政府委員 今申し上げました通りに医務局の方でやつておりますから、医務局ないしは公衆衞生局の予防課の関係になります。ここではいろいろ農林省あたりと折衝することもありましようから、私から詳しく渡部委員の御趣旨の点を申し伝えることにいたしたいと思います。
○渡部委員 これはいろいろな問題が出ておつて、保險局長だけで答えられない問題があるとおつしやるわけですが、こういう場合にはやはり請願が採択されるかどうかという問題にかかわるわけですから、やはり大蔵省とか、ことに厚生省関係ならば医務局の方なども当然出席して説明さるべきはずだと思つておるのですが、今後もどうですか、こういう問題については……。
○堀川委員長 いや、渡部委員がおつしやる通りに、そういう関係官をみな呼ぶことになつているのですが、本日は多分事務の方が手落ちだつたのじやないかと思いますが、あるいは手落ちでなかつたら、当局の方が不熱心であつたか、どつちかと思いますが、その点は今後ともでなしに、ずつとそういうづもりでやつております。
○渡部委員 それでこういう場合採択するかどうかという問題になつたとき、どうなんですか。
○堀川委員長 本日採択はまだせぬつもりでおります。——事務の方から聞きますと、本日は保險局関係のものだけをやつておるそうでありますから、今度その関係の請願のときに呼んで来るそうであります。そういう手はずになつておるそうですから、御了承願いたい。 —————————————
○堀川委員長 次に日程第五九ないし六三、文書表第一〇二七号、一〇二八号、一〇五四号、一〇八四号及び一〇八五号、以上五件、社会保險行政職員の身分を地方自治体に切替の請願を一括議題といたしまして審議に入ります。まず紹介議員の説明を求めます。青柳一郎君。
○青柳委員 本請願は、全国自治団体労働組合連合会から提出にかかるものでありまして、その要旨は、地方自治団体の職員のうち、社会保險事務に従事している職員の多数は、地方事務官として知事の指揮命令監督を受けているにもかかわらず、身分が官吏であるために、他の公吏に比べまして待遇の諸條件にきわめて不利をこうむつておるのであります。これは同一自治体間での差別待遇より来る勤労意欲の低下となり、社会保險の事業運営に一大支障を来すおそれもあるのであります。ついては、すみやかに社会保險行政職員の身分を地方自治団体に切りかえられたい、こういう趣旨であります。
○堀川委員長 この際政府側の説明を求めます。
○安田政府委員 お説の通りに、国の官吏が地方庁にありまして知事の指揮監督を受けているというのは、まことに妙なことであります。直接の御請願の動機といたしましては、地方庁の職員より待遇が悪いということで、結局地方庁より国の官吏の方が待遇が悪いということらしいのですが、これは青柳委員も御承知のように、現在の健康保險でありますとか、年金保險でありますとか、これは実は国の一つの特別会計の仕事になつておりまして、いわば本店と支店のような関係になつておる。従いましてこれを地方庁の職員にいたすということになりますと、地方自治体の仕事でないのでありますから、地方庁からその職員の費用を出してもらうということはできないと思うのであります。健康保險の特別会計の仕事をしておるのであるから、特別会計から費用は全部出して、しかもそれでもつて地方の吏員というような妙なことになつて参ります。なお労働省所管にも同じようなことがございまして、これを同時に解決せなければならぬ。各省の地方出先機関が今度また地方に入つて来たりする、こういう問題も残つておる。こういう問題から比べれば、私どもの方は十分理由があるのであります。それからシヤウプの勧告の趣旨を見ましても、やはり地方の仕事と国の仕事は明確にしなければいかぬということがございますので、こういつた健康保險とか、そういつたものを今後社会保障制度審議会におきまして、地方分権化するかどうかという点に問題がかかつておるのじやないか。もしこれを地方單位でやつて行くということになれば、問題はおのずから解決する。もしそうでないということになりましたならば、何らかの機関を設けなければならぬという問題になると思うのであります。それまでこの問題の解決は延ばしていただきたい。こういうふうに思つております。
○苅田委員 そうすると、それまでということになると、どういうことになるのでしようか。審議会からのはつきりした答申が出るのは、今年の五、六月だということを聞いておるのでありますけれども、もしそこではつきりした答申が出なければ、やはりこの問題もさらに無期限に延びるということになるのでしようか。それとも、ある時期には必ずこの問題について、独自の立場から厚生当局として何とかこれを考えて行くおつもりでしようか。
○安田政府委員 すぐ身分だけを切りかえましても、問題はたくさん残るわけであります。切りかえられないような事情もあるわけであります。従いまして、制度の根本をかえないで、簡單にすぐこれを右から左にどうというわけには行かないのではないか、こういう話なのであります。ですから、地方の方におかれては、国の官吏であるために、地方庁の一般吏員よりか俸給が少し下だという問題が起つておつて、非常に気の毒だと思つております。もうちよつとがまんしていただきたいと思つております。
○苅田委員 もうちよつとという、大体のあなたのおつもりをお伺いしたいのですが、もう少しはつきりした御答弁を伺いたいのです。
○安田政府委員 社会保障制度の方がはつきりしで来れば、自然この問題は解決すると思います。そちらの方にかかつておるわけであります。
○苅田委員 これは、私も紹介議員の一人になつておるわけなので、特にお伺いしておるわけなのですが、そうすると、さつき言いましたように、大体五、六月ごろには、今のところは社会保障制度審議会の答申が出るということになつておるのでしよう。しかし、これは中の人に聞いてみても、なかなかむずかしいという話もある。そうすれば、それができるまでは無期限にこの問題もそのままにされるのか、それとも、あなたがおつしやつておるようにいろいろ各省にそういつた矛盾した問題があるわけで、それが審議会の答申によつて五、六月ごろまでに解決できなければ、独自の立場で別個に考えられる意思を持つておるかどうかということを伺いたい。
○安田政府委員 先ほどから申し上げますように、すぐ切りかえると申しましても、仕事そのものが、苅田先生御承知のように、一本になつておるのでございます。健康保險なら健康保險の百何十億の会計で、それの支店のようなかつこうになつておる。ですから、身分だけ吏員にかえると言つたつて、地方庁から金を出させるわけには行かないのです。それは地方庁としては迷惑な話で、ほかの仕事をしておつて、金を地方庁から出せと言われたつてむりな話です。そういう矛盾がございますので、やはりそういつた根本的な関係において問題を考えぬ限りは、解決がつかないのではないか、こういうふうに思つております。
○苅田委員 つまり現在の健康保險制度のうちでは、かえようがないというお話ですね。
○安田政府委員 私はそう思つております。
○苅田委員 それならそれでわかりました。 ついでに、これと別なことですけれども、私はすぐそのあとで質問しようと思いましたのですが、機会がなかつたので、少しさかのぼつて伺つておきたいと思うのですが、それは日傭労働者の健康保險の問題であります。先ほどの御答弁はこの問題はやはり一般の国民健康保險のうちで解決すべきだというふうなお考えのように伺つたのですけれども、現在の健康保險の給付の点、そのほかの点から考えれば、国民健康保險と、それから勤労者の健康保險とは、やはり非常に違いがあると思うのです。どうしても国民健康保險の方が、いろいろ給付の点なんかも好條件だと思うのです。ところが御存じのように、今の自由労働者というのは、実際働いておる人で、しかも一番條件の悪い労働者のわけで、そういう人たちのために、そうした特別な勤労者の健康保險の制度を考えるということは当然じやないかと思うのです。ただあなたがおつしやるように、その実態をつかむのに不便があるとかおつしやるのですが、それはそれとして研究なされば方法もあると思うのです。そういうようなことを研究して、そういつた全般的な国民健康保險のうちでと言つておれば際限がない話ですから、とりあえず健康保險の特例みたいなものを設けて、自由労働者も中に含めるということは、保險局としてはお考えになれないかどうか、その点をひとつお聞きしたいのです。
○安田政府委員 先ほど申し上げましたように、研究はしておりますけれども、なかなかよい方法が見つからぬというのが現状でございます。たとえて申しますと、住所がはつきりしていないような人もおりますし、そうでない方でも、月の稼働日数が大体十七、八日から十九日くらいじやないかと思います。あれやこれやと考え合せてみまして、何か保險料を納めたいということと診療というものを結びつける方法を考えなければならぬ。スタンプ制ももちろん考えてみました。いろいろ考えてみました結果、今のところ名案がない、技術的に少しむずかしいというような状態でございますから、決してやりたくないというのじやございません。研究はしております。
○苅田委員 それでございましたら、ただいま局長がおつしやるような技術的な面についての成案があれば、これは実施される、こういうように考えてよろしいわけですね。そういたしますと、そういう技術的な面についての試案というふうなものが、そういつた自由労働者の方とか、いろいろの方面から出るということも、あなた方の方に御参考までに持つて行くということも、あつてよいわけだと思うのでありますが、いかがでしよう。
○安田政府委員 実は昨年の末にも、そういうことでお会いして、いろいろお話したこともあるのであります。しかし結局、ほとんど国で持つということなら特別でございますけれども、保險というわくの中で考えると、技術的に非常に困難がある。こういうことで、今のところ行き詰まつておるような状況でございます。ですから、御案を持つて来ていただくことはけつこうでございますけれども、とにかく全額国庫負担だとか、八割国庫負担だとか言われても、われわれの手ではどうにもならぬ実情でございますから、その辺もお含みになつていただきたい。大体現在の国民健康保險と同じ程度のものなら考えられると思います。
○堀川委員長 それじや、本日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもつてお通知いたします。 午後三時十八分散会