海外同胞引揚に関する特別委員会 第2号
- 発言数
- 64 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1949/12/19
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 去る十二月十三日に、理事砂間一良君が委員を辞任されておりますので、理事の補欠選挙を行いたいと存じますか、委員長において指名いたすに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 それでは委員長より、竹村奈良一君を理事に指名いたします。 この際暫時休憩いたします。 午後一時三十八分休憩 ————◇————— 午後一時五十一分開議
○中山委員長 休憩前に引続き会議を開きます。第六国会におきまして保留になつておりました在外資産に関する件を議題とし、会議を進めます。理財局外債課長太田説明員より説明を求めます。
○太田説明員 前回の委員におきまして北拓樺太預金の払いもどしの件についての御質問かございまして、当時御側答を留保いたしましたまま、今日に至つております。この件につきましては、その後引続き関係方面に対しまして、事件の解決の促進方について努力いたしておりましたところ、まだ今日になりましても、具体的に本件の解決かどういう形態になるかということを申し上げる段階に至つておらないことを非常に残念に思つております。なお引続き、促進方に努めておりますので近いうちに具体的に方向が決定されるのではないかと心得ております。 それから在外財産の補償の問題を、この節にやはり議題に取上げておられましたようでありますが、本件につきましても、現在まだ在外財産の帰趨がどういう運命になりますか、講和條約を待たなければ、判明いたさない点もございますので、具体的にこれを補償するとか、しないとか、あるいはどういう形でやるかということは、やはりここでは申し上げかねるところでございます。ただ方向といたしまして、もし在外財産というものが、あるいは賠償の対象になるということが確定いたしまして、これによつて、たとえばイタリアの平和條約におきますごとくに、日本政府がこれを補償しろということにでも相なりますれば、これは明らかに問題があることだと存じますので、これに対する対策といたしましては、われわれといたしましては、大分研究を進めておるところでありますし、また在外資産の調査につきましても、これは長沼大蔵次官も言明されておるところでありますか、一応資料といたしましては、政府として収集に努めておりまして、御承知の通り昭和二十年に出ました大蔵省令第九十五号によりまして、報告を皆さんからいただいておるのであります。これの集計もほぼまとまつておるのでありますが、関係方面との話合いによりまして、またこれば発表することができない立場になつておりますので、本件につきまして、準備は進めておりますが、ここにおいて申し上げるところがまだございません次第であります。さように御了承願いたいと思います。
○玉置(信)委員 ただいま外債課長かり御説明がありましたが、あまりにも簡単過ぎて、要預を少しもつかめないのであります。この前も質問申し上げた通り、樺太における北拓の払出し停止の対象となつた当時、私は一億五千万円くらいではないかということを申し上げておつたのですが、その後詳細引揚者の方で調査いたしました結果、一億九千五百万円くらいあつたのじやないか、こういうように申しておるのですが、この数字について、大蔵省はどういうように見ておられますか。しかも関係方面に折衝を重ねられておるということになりますれば、基本的な数字がなくてはならぬと思うのでありす。終戦当時におけるいわゆる大蔵省令第八十八号をもつて停止の処置を講じた当時の預金者の預金総額、それからその後折衝を続けておりますものに対して、どれだけ支払われるべきものであり、またどれだけが切り捨てられる数字になつておるか、こういうようなものが、たしか関係筋との折衝の基礎になつておると思うのでありますが、一応この点について御説明を願いたいと思うのであります。
○太田説明員 ただいま御指摘のございました北拓預金の数額につきましては、当初お話のございましたように一億五千万円程度ということになつておりますが、大体これを元にいたしまして、こういろものについてまず八十八号省令の関係から参りますと、第一番に当該預金通帳でございますが、これを輸入してよろしいかどうか、これは現在全部税関で差押えて保管をしておるのであります。それから第二点といたしまして、そういつた預金について払いもどしをしていいかどうか、こういう二つの点について、八十八号に基いて司令部の方に申請をいたしておるわけであります。今のように具体的な数字につきましては、資料の判明次第、これは改訂をいたしておりますので、おそらくお調べになりました数字と、ただいま手元に数字を持つておりませんけれども、大差のないところが出て参るかと思います。また具体的に処置の方法がきまりまして、もし支払うということになりました場合には、当然厳密に資料をそろえまして、これによつて払いもどし額を決定するということに相なろうと存じます。司令部の方にただいま折衝をいたしておりますが、まず現段階といたしまして、こういうものを払つていいかどうか、払える性質のものであるかどうかという点について了解を求めておりますので、その点についての解決がついていない、こういう段階にあることを御承知願いたいと思います。
○玉置(信)委員 課長は、この春課長に御就任になつたというので、過去のあまり詳しいことは、御存じないようでありますし、課長にあまりこまかいことを追究しても、おわかりにならぬとは思います。しかし何回も、少くとも大蔵次官、局長の出席を要求してあるにかかわらず、出席をされないという以上は、その何人かにかわつて出席される課長でありますれば、そうした詳細な御説明のできる打合せをし、資料を持つて来ておられると思うのでありまするが、今のお話を聞きますると、あまり詳しく御存じないようで、この場合課長を責めるようなことは、申し上げたくないのですが、どうもここに出て時間を二十分か、三十分あれば片づくものを、要求した責任のある人が出て来ないということは、はなはだ遺憾に考えるものであります。この点を適当な時期に、委員長からもひとつ警告を発していただきたいと思います。 重ねて課長にお伺いいたしまするが、この大蔵省令第八十八号というものの内容、目的を御説明願いたいと思います。
○太田説明員 ただいまの前段のお話につきまして、一言弁明をさせていただきたいと存じます。ただいま理財局長、それから当面の本問題の担当者でありまする為替課長、両名とも、最近に出ました外国為替及び外国貿易管理法施行政令の審議のために、ほとんど連日司令部にカン詰のようにして出かけておる状態でございまして、これが最近に片づきますれば、実はこちらにも顔出しして当然お答え申し上げるべきでございますが、そういう関係で失礼しております。まことに申訳ございません。 それからただいまの北拓預金の件につきましては、今日まで実は理財局長、あるいは為替課長から御答弁申し上げましても、実は残念ながら同じようなことしか御答弁できないような段階じやないか、かように心得ております。本件につきましても、取扱い方について、われわれといたしまして十分愼重を期しておりますのは、前回に例の在外財産担保の貸付制度が論議されました場合に、本件は、事前にほとんど了解を得ておりながら、一部事前に新聞に漏れましたために、その後不成立に終つたというようないきさつがございます。われわれとしては、少し愼重に過ぎると申しますが、そういつた注意をいたしておるようなわけでございます。その点も御了承を願いたいと思います。 それから御質問のございました八十八号省令の点でございまするが、これは終戰後日本の海外からのいろいろな経済的な影響を、金融部面において完全に遮断いたしますために、外国とのいわゆる外国為替取引と申しますか、こういつた関係を一切ストツプするというねらいが一つ、もう一つは、国内にございました、たとえば外国に本店のありました日本の法人の財産、そういつたものを全部例の賠償の問題に備えまして、これを手つけずに現状を維持する、こういう二つのねらいに基きまして司令部から出ました二つのメモランダムを元にいたしまして、日本側の法令的の措置といたしましては、一部当時ございました外国為替管理法に基く部分、それから金、銀、白金等の輸出入に関しましては、当時取締令がございませんので、それに対して別に勅令を一本つくりまして、その両方を基礎といたしまして、昭和二十年の大蔵省令第八十八号かできた次第でございます。その元になつております司令部の方のメモランダムも、二つにわかれておりまして、一つは金、銀、証券及び金融証書の輸出入統制に関する件といいます題目のものと、金融取引の統制に関する件と申しますものと二本出ているわけでございます。この北拓預金の場合に例をとつて見ますれば、この場合に、証券の輸出入の点におきまして、ただいまの預金証書の輸入という点が、まず第一番に掲げてあるわけであります。それから在外における預金というものの拂いもどし、これにつきましては、金融取引の統制に関する件のメモランダムの制限等に該当しているわけであります。八十八号省令は、この両方を受けまして、ただいまの点につきましては、証券の輸入につきまして八十八号省令の第一條で、大蔵大臣の許可を受くるにあらざれば、小切手とか手形とか、送金指図書とか、その他の金融上の諸証書——いろいろな証書というものの輸出入ができないということになつております。また第二條におきまして、本邦居住者が直接または間接に全部または一部を所有または管理する在外財産に関する取引は、やはり大蔵大臣の許可を得なければできないということになつておりまして、この場合に在外財産といいますのは、外国居住者の負担となる一切の債権、請求権、銀行預金その他の預金または信用取引という定義が第四條にございます。ただいまの場合で申しますと、北拓の樺太の支店の持つておりますそういつた銀行預金は、在外財産ということになつております。これに関しまして、取引と申しますか、拂いもどしをするということも、取引になつているのでありますが、これはやはり八十八号省令の許可を要することになつているわけであります。このもとになつておりますただいまの司令部の指令によりまして、こういつた取引については、最高司令部の事前の承認なくしては、大蔵大臣これを許可することができないことになつております。ただいま申しておりますように、司令部の方に承認を求めて、許可をしているよう次第でございます。
○中山委員長 私ちよつと関連してお尋ねしたいのでございますが、終戰の当時におきまして、上海におつた人が、日本の軍隊に対する食糧の給與ができない、負けたためにすつかり食糧を購入するだけの力がないということで、当時上海におりました人が——この人は今大阪の郡部におりますが、日本の軍隊にお金を貸しております。そのお金の証書を今日まで持つていると称しておりますが、そういうものはどういうふうな処理にすべきでございましようか。そういう書類でございましたならば、裁判に付するために弁護士を立てて、日本国を相手取つて裁判をすべきものか、あるいはほかの機関を通じまして支拂いがしていただけるものか、この点伺いたいと思います。
○太田説明員 今の証書でありますが、これがどういう形で国内に入つて来ておりますか、その点に一つ問題があるかと思いますが、少くともこの八十八号の省令が出ましてから以後におきましては、一応そういうものは持つて入れない建前になつております。時期が早ければ、その当時まだ取締らないで入つて来た分もあるかと思います。
○中山委員長 私二万円の郵便貯金をこの間見せられたのですが、そういうものがございます場合には、どういうふうな処置をとつていただけますか。
○太田説明員 ただいま輸出入が認められておりますものは、日本政府発行の郵便貯金通帳であれば、全部持つて入れるようになつておりまして、これは今全額拂いもどしができることになつております。
○中山委員長 日本に対する債権はどうなつておりますか。
○太田説明員 軍とか現地の団体とかいうものに対する貸付金といつたような種類のものは、今のところまだ全然どういう取扱いになりますか、きまつておらぬわけであります。
○中山委員長 私ある弁護士に尋ねましたところが、それは日本国を相手取つて裁判するのが、一番早道ではなかろうかというようなことを言つた人もございますが、その点はどうですか。
○太田説明員 今の八十八号省令でもつて許可を得ておりませんと、訴訟になつても問題になりません。おそらく債務の確認といつた程度までは、あるいは進むかもとれませんけれども、支拂いということはできないと思います。ただ、今のように携帶輸入が認められており、また国内でも取引の認められておるものもございますので、具体的な事例については調べてみませんと、はつきり……。
○中山委員長 それではその写しを持つて、見ていただきますれば、その取扱いとかについて御指示いただけますか。
○太田説明員 具体的のことにつきましては、大蔵省の為替課の方に文書を御提示願いますれば、早急に決定してお答え申し上げることができると思います。
○玉置(信)委員 大蔵省令第八十八号の内容性質についての御説明、よく了解できました。そこで樺太の今の北拓預金でありますが、これは課長もやはり在外資産として認めておられるかどうか。私は第五国会劈頭にも申し上げたのでありますが、御承知のごとく樺太はかつて内務省管轄の日本行政地域でありました。従つて満州とか上海とか北京とかいうような地域とは、大分異なつておると思うのであります。従いまして、この八十八号の内容からよく検討いたしますと、金融取引、統制関係から考慮すれば、多少省令に該当するとは思いますが、しかしながら、この金を、大蔵省令が出る前に樺太の北拓支店が北海道本店に持ち運んでおつたとするならば、どういうことになりますか。金、銀、証券等の輸移出の問題は、これには関連がなくなるのじやないか。ことに外国為替管理の問題に至つては、前段申し上げたように、日本のいわゆる内務省管轄における樺太でありますから、これは当然関係がないと思います。この三点をまずお伺いしたいと思います。
○太田説明員 従来樺太の地が、ただいまの日本本土と同一に取扱われておりました点については、まつたくその通りでありますので、われわれといたしましては、樺太の預金の取扱いにつきましても、そういうふうな点は、一応了承いたしまして、司令部の方に今説明いたしておる次第でございます。それから八十八号省令の適用につきましては、本州、北海道、四国、九州そのほかの付属島嶼で日本の版図になつております以外の地域は、全部外国ということになつておりますので、第八十八号省令の建前では、やはり樺太は外国でありますし、そこにありました預金は在外資産になるという取扱いにならざるを得ないと思います。従つて今度資金が内地に入つておつたというような点につきましても、具体的に支拂いを認めるか認めないかという場合の、判断の材料にはなるわけでありますが、これがあるから、当然にそれじやこの省令の適用かないというような結論は出て参りませんので、この点につきましても、北拓の本店と向うとの為替じりでありますとか、あるいはその他の貸借関係をいろいろ考慮いたしまして支拂いの可能性をきめてもらう、こういう司令部の判断材料としてわれわれとしては提出しておる次第でございます。
○玉置(信)委員 いろいろお話申し上げてみたいのですが、第五国会で相当内容を申し上げてあるので、ここでは重複を避けましてそれらを省略いたしますが、こうした樺太預金に対して、大蔵省として省令を出した当時、審議会とかあるいは金融機関再建整備法とか、こうしたものによつて一応検討したことがあるかということを、預金者の側では申しておるのでありますが、そういうことがなかつたものであるかどうか。引揚者の話によりますと、この中の三三%を打切つた少くとも八千五百万円は、当然当時無條件に支沸つていただくべき性質のものであるということを言つておるのでありますが、こういつた点について御存じであるかどうか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
○太田説明員 ただいまのお話は、おそらく金融機関再建整備法の場合の審議会のことではないかと思いますが、在外の預金につきましては、たしか再建整備法では、本支店勘定の全部のしりの分だけを留保いたしまして整備をやつておりますので、ここに在外の店舗の預金であるとか財産であるとか、その他負債を一々考慮に入れませんで、一括してこちらの内地の店舗の勘定に出て来ておる部分だけを見ておるのだと承知しておるのであります。従つて、ただいまお話のありました点については、具体的にそういう樺太支店における預金をどうするかという、面が表面に出て来なかつたのではないかと思います。たとえば内地の預金を五割とか七割とかいう限度で拂いもどします場合に、そういつた在外店舗に対する総括的な負債は、一向に考慮されておらないという程度でありまして、具体的に在外預金と内地の預金との比較を見るという段階にはなかつたのじやないかと、私としては承知しております。
○玉置(信)委員 年末が差迫りまして、引揚者は全国的に金融の面、それから援護の面、いろいろの点で、強く政府に要請しておることは、今さら申し上げるまでもないのでありますが、こうした実際に当然自分の所有に帰すべきものが、早く支拂われないということによつて、非常に困つておる引揚者のために、政府当局においては、せめていま少しく熱意を持つて努力を拂い、この年末にこうした問題を一切解決してもらえるべきものであると、実は私はかように期待をいたして、早くからこの問題について大蔵省当局の説明を承り、同時にこれが解決にあたつては私個人よりも、委員会として皆さんに御協力願つて、早急にこの支拂いをしていただくような方策を講じたいと思つて、今日まで熱意を持つて当局に希望し、当局の意見を聞かんとしておつたのであります。御承知の通り、すでに歳末も押し追つて参りました今日において、私はどうしても正月に間に合うように、越年資金を何ぼかでもこれによつてまかなつて行けるように、ひとつ大蔵省当局においては努力をしていただかなければならぬと思うのであります。なお仄聞しますと、関係方面においても非常に好意を持つて早く支拂いをすべきであるということを考えてくださつておるというようなことを聞いておるのでありますが、大蔵省としては、一体いつこれが解決され、いつごろ支拂いが開始されて、預金者の手に金が入るようになるかという見通しについて御説明願いたいと思うのであります。
○太田説明員 前回にも、この点につきまして御質問がございましたけれども、実はまだ理財局長も、しばしば預金者の方あるいはその関係者の方から督促勉励がありまして、再三再四司令部の方にも足を運び、あるいは電話をかけ、いろいろ促進に努めて来ておる次第でありますが、われわれといたしまして、拂うべきものであれば、当然今お話にもございましたように、できるだけ早く皆さんの手元に差上げたいとう努力は、人後に落ちないつもりでございますので、こういう点につきまして、せつかく努力中でございますけれども、いまだにもつて正式な回答が参らないのでありまして、この点については、われわれとしても、ただいまのお言葉にもありました趣旨をさらに強調いたしまして、本件の解決をすみやかにいたしたい、かように存じております。また正式の回答がどういう形で参りますか、それについては、われわれとしても全然知り得ぬところでございますので、いつ拂えるようになるかという見通しについては、説明いたしかねるわけでございます。御了承を願いたいと思います。
○玉置(信)委員 努力の点は人後に落ちないという力強い御答弁がございましたので、私も大いに期待いたしますが、しかし引揚者の代表が、この夏以来数回上京して大蔵大臣、次官、局長にも面接陳情しておるのであります。その当時のお話を聞きますと、遅くも十一月末までには拂出しができる、関係筋の許可も得られる、こういうことも言明されたというのでありますが、ただいまの課長の人後に落ちない努力と言いながらも、こうして延び延びになると、おそらく私は年末には間に合わないのではないかと思うのであります。しかしここでこれを論議してもいたし方ありませんから、私は課長より大蔵大臣、次官、局長に対して、年末に間に合うように、関係筋の許可をもらうように、御努力方を切に要望いたします。この点を特にお伝えを願いたいと思います。これで私の質問を打切りたいと思います。
○中山委員長 それでは私から外務省の倭島管理局長にお尋ねをいたしますが、捕虜の情報の交換につきましては、過去において日本がかつて捕虜を抱いておりました時分には、その情報を十分に伝えなかつたために裁判に付せられまして戰犯にまで持つて行かれたということを、私この間ある弁護士の人から聞かされたのでありますが、この点から推して参りますれば、この問題について、そういうふうに提訴すべきところに提訴して、まだ一向情報を入れてもらえない面の打開をすることが可能であるかどうか、その点をお尋ね申し上げたいと思います。
○倭島政府委員 捕虜の取扱いの問題につきまして、條約上権利あるいは義務の問題として、日本側から何か言えないかという御質問のように思いますが、結論から先に申し上げますと、従来の條約関係では、日本が直接この際権利というような條約の効力に基いて特にソ連に現在残つております捕虜の送還の問題につきまして、はつきり交渉の基礎にするということは、できないように、われわれ従来の経過からも心得ております。これまでの條約の関係を多少御説明申し上げようかと思いますが、従来捕虜の取扱いについては、一八九九年と一九〇七年の「陸戰ノ法規慣例二関スル條約」というのがございまして、それに基く「陸戰ノ法規慣例ニ関スル規則」というものの中に捕虜の帰還の條項が出ております。それの二十條でございますけれども、「平和克復ノ後ハ成ルヘク速ニ俘虜ヲ其ノ本国ニ帰還セシムヘシ」という規定があるのでございます。この陸戰法規の規定は、今度の戰争関係国が全部入つておらないと——交戰国であつた日本もソ連の方も両方とも入つておらないと、それが適用せられないような技術上の関係になつておりますので、條約はございますが、直接日本とソ連との関係においては、これを現在適用し得ない状況にございます。一九二九年にも、俘虜の待遇に関する條約というのが結ばれておりますが、これについては、日本もソ連も入つておりません。それから今年の四月から八月にかけましてゼネヴアで捕虜の取扱いに関する條約というものが審議せられまして、二十九箇国ぐらいこれに調印をしておりますが、これにもソ連は入つておりません、もちろん日本は入つておりません。そういうような関係にありまして、従来ございます俘虜の取扱いに関する規定を、ソ連との関係において直接引用してわれわれの同胞の帰還を促進するということには、この規定上は行かないという状況であります。規定上は参りませんが、今申し上げましたような條約に盛られております精神につきましてはもちろん、これは條約で縛るばかりでなしに、正義とか人道とかいう観点から申しますならば、よしやそれに加入していない国に対しても、そういう精神から俘虜の帰還あるいは取扱いを考えてもらいたいと言うことは、われわれできると存じますけれども、しかしそれは條約上の権利とかいうことにはならないというふうに考えております。
○並木委員 ただいまの点についてお伺いいたしますが、最近吉田総理からも関係方面へ懇請された、その結果対日理事会にも、この問題を取上げられるようになる見込みだ、あるいはさらに国際連合にもこの問題を提起するような報道も伝えられておりまして、われわれ送還を一日も早いように願つておる者に対しては、非常に力強い感じを與えておるのです。ところでそういう点において、ただいま適用される條約あるいは規則といつたものがないといたしますと、連合軍の方で、国際連合にこの問題を取上げたときに、実際の手続と申しますか、取扱いと申しますか、そういうものはどういうふうに運ばれて行きますでしようか、その点をお伺いいたします。
○倭島政府委員 実は今御質問の点は、今後の発展にまたないと、何とも申し上げにくい点であります。なおまた戰争中から現在にかけましても、日本政府としても、まだ全部のいろいろな法規、慣例その他現在国際連合におきまして、あるいは国際関係において適用せられ得る條文とか慣例とかいうものについても、全部われわれ心得ておる次第でもございませんので、大きく取上げられることになるかと思いますけれども、どういうふうになるか、どういう根拠に基くかというような問題につきましては、将来のことでもございますし、われわれ知らない点もありますので、この際こういうことになりはしないかという予側さえも、申し上げるだけの確実な資料もございませんので、差控えたわけでございます。 ただ先ほどちよつと申し上げました、今年の春から夏にかけましてゼネヴアで協議せられました捕虜の取扱いに間する條約の中には、この條約ができおれば、まことにわれわれに都合のいいような條文がはつきり一條入つております。つまりこれが現在の国際関係から見た浮虜の取払いで、何と申しますか、最も正しい、最も公正なる意見を代表することになるのではないかと思います。これはまだ調印されて批准まで行つておりませんし、先ほど申し上げましたように、ソ連は調印をしておりませんが、大体の世界の傾向を示すものとしてちよつとその関係の條文を読んでみますと、これはその條約の百八條でございますが「捕虜は、積極的な敵対行動の終了後直ちに解放し且つ送還しなければならない。」第二項は「敵対行動を終了するために、交戰者間に締結された條約中に、右のための規定が存しない場合又はこの種の條約の存しない場合には、各抑留国は、前項に定めた原則に従つて、送還計画を自ら作成し且つ直ちに実行しなければならない。」第三項に「前記のいずれの場合にも、採用された措置は、捕虜に通知しなければならない。」第四項でありますが「捕虜の従属する国は、抑留国の境を接する場合には、抑留国の国境外の送還費用を負担しなければならない。他の場合には、右の費用は、平等に、且つ関係国間に特別協定のない場合には、この條約に降属する協定のひな型に従つて、分割するものとする。」というような、従来の規定をうんと補つて、なおさらに第一項にありますような、すみやかに送還しなければならないというような規定がございますが、大体捕虜の取扱いにつきましては、世界の正しい輿論というものはこういう方向に行くのではないかと考えます。
○並木委員 国際連合の問題になつたというようなことは、他国の例に何かありませんか。
○倭島政府委員 寡聞にして、まだ国際連合でどの程度まで問題になつたか存じません。なお御参考までに、イタリアの平和條約の中に、やはり捕虜に関する條項がございます。七十一條でございますが、「イタリア人たる捕虜は、これを抑留している個々の国とイタリア国とが協定した取極に従い、なるべく速やかにこれを送還しなければならない。」第二項に「イタリア人たる捕虜を、当該同盟又は連合国政府の選択した夫々の集合地点から、イタリア国領域への入国地点まで移動するに当り生じた一切の費用は、給與費を含み、イタリア国政府によつて負担されなければならない。」こう書いてあります。このイタリア関係では、どのくらい捕虜がソ連の関係でまだ帰つて来ないのかわかりませんが、ごく最近の新聞通信で報道せられましたところで御存じかと思いますが、今月一日の新聞通信でこれはごく簡單な通信ですが、イタリアの首相が、ソ連に抑留されたイタリアの捕虜の早急引揚げは望み薄であつて、国民は楽観的観側はできないというようなことを語つておるのが出ておりますが、どれくらいイタリアの関係で残つておりますか。平和條約ができた後においても、ソ連の関係では、まだ少し残つておるという状況であります。
○受田委員 管理局長にちよつとお伺いしたいのですが、明後日対日理事会において引揚げ問題が取上げられるように伺つております。この間から盛んに論議されておつて、まだ結末をつけておらなら数字の問題ですが、私はここであえてこれをむし返す意思はございませんけれども、この前の国会の中ごろに、早急に数字を発表するという政府筋の意向が、当時局長が出席しておられた委員会で、厚生政務次官より発言されておつたのです。その後局長もそういう空気にあると言われておりましたが、すでに一箇月以上を経過しておる今日、依然として数字が明らかにされていないのであります。明後日の対日理事会で、これが取上げられようとする非常に緊迫した空気の中で、正月を間近に控えておる今日、われわれとしてこれを早急に明らかにしてもらいたいという熱願を持つておるのです。それでただいま参議院の方からこういう提案がこちらへ諮られたわけです。例の年末にあたつて、まだ未帰還の諸君の給與を十分佛つてない関係で、これを約一億円の予算のもとに、早急に支拂いをしてはどうか、俸給の前拂いをされてはどうかという提案がされておる。その数字として、五分というものがここに出されておるのですが、これは厚生省当局が調べた末復員者調査、もしくは例の未復員者給與法による給與の該当者であるものの数字であるかどうか、こういう点について、外務省と厚生省はいつも連絡をしておられると思うのですが、ある程度のはつきりしたそういう具体的な調査による数字はどういうものが出ておるか。たとえば未復員者給與法、もしくは未帰還者特別給與法の該当数字、そのほか未復員者調査による数字、それからさらに俘虜その他を外務省が調査の結果関知しているところの数字というようなものについて、発表し得る限度のものを言つていただいて、明後日の対日理事会に対しても、われわれ引揚げ特別委員会として、これに無関心であるわけには行かないのでありますから、できるだけわれわれの気持も理事会に訴える必要があると思いますので伺いたいのです。
○倭島政府委員 今の御質問の趣旨、実はよくわかるのであすります。従来も、はなはだ言い訳的な申訳でございましたが、何回もわれわれの立場を御説明申し上げて、御了解を願つております通りに、実はこの数字は、もちろんいろいろ集めております。軍関係のことにつきましては復員局の方で、これももう四年くらいにわたつて集めておられる。それから一般那人の関係も、不十分ではございましたが、終戰後間もなく調べかけておりましたが、ほんとうにシステムを立てまして、馬力をかけましたのは昨年からであります。しかしながら一般邦人の関係も、実は相当いい数字が集まつております。従つて数字がないというわけではございませんが、この数字の集め方は、従来も御説明申し上げましたが、一つは帰つて来られた帰還者から、いろいろ何のたれがしがまだどこへ残つておるという、いわゆる覚書と申しますか、そういうように帰つて来られた方から聞いた調査が一つ、それから国内で留守宅のございます家族から届け出ていただいて集めた数字が一つ、大体国内の調査の関係は、その二つが最近の基礎になつております。しかしながら、その数字は、これも実ははなはだ内輪な数字でございます。これもこの前この委員会でも御説明申し上げたと思いますが、今年の例を申しますと、帰つて来られた方々から、未帰還の者まだまだどこそこにどれくらいおるということを届けていただいたものと、国内から留守宅届が出ておるものと合せてみますと、たとえば中共地区関係では二九%しか合わない。ソ連地区では一六%、樺太関係では一四%で、三〇%以下のものしか届が出ておらぬ、つまり七〇%のものは届がなくても向うにおられる。これは一般邦人の例でありますがそれくらいに届けが出ておらぬ。 それからなお、帰つて来られた人と届の関係を申し上げますと、これも今年の例でありますが、この前の高砂丸なんかの例では、帰つて来られた人のうち、届が出ておつたのは二一%であります。七九%までは届が出ておらないで帰つて来られた。それからソ連の今年の帰還者の数をとつてみましても、三二%しか届けてはおらない。六八%は届けておらない人が帰つて来られた。樺太の例は、届けたのが三六%。そういうふうに国内から出していただく届は、最も証拠のある確実な数字ではございますが、はなはだ内輪の数字である。従つてその数字につきましては——今申し上げました数字は、いずれも一般邦人の数字でありますが、この一般邦人につきましては、外務省としては、数字は握つておりますが、念には念を入れ、やつた上にもさらに調査をいたしまして、これを何回も各県その他の引揚げ団体等にお願いをしまして協力をいただいて調査をするということで、まだこれを発表するまでには、あまりに内輪な数字だと思われるものですから、自信がないので、さらに調査をしたいと思つておつたわけであります。現在もやはり、もう少し調査をしたいと思つておるのであります。この調査の数字につきましては、司令部の方にも一々届けてありますし、これはどうなるかわかりませんが、明後日の対日理事会等では、あるいは一部この数字が発表されるかもしれません。しかしながら、日本政府の——日本政府と申しますか、外務省の従来一般邦人の未帰還者について握つております数字は、はなはだ内輪でありますので、特にこの際発表をすることは差控えたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
○受田委員 外務省の苦衷は十分お察しいたします。この問題が明後日の対日理事会で、ある程度の数字が発表されるかもしれないという期待があつたのですが、それは外務省としては、刻々にそういう諸調査の結果を関係方面にも報吉してあるわけですね。それで私としましても、先ほどここへ両院の委員会が決議として考えてもらいたいというので、約五万家族に対して一億円の俸給前佛いの問題が提出されておるのです。この五万という数字が、先ほど局長の言われたように、内輪に見積つて届出をしたものの数字であるということになれば、ある程度これははつきりした数字だと思うのです。海軍は一万、これはもう拂つてあるという話ですが、こういう数字がはつきりしたものから発表されていいのではないか。今日も新聞で見ると、中共地区の四千五百名の生存者の氏名が発表されております。こういうふうに、刻々にわかつた人から発表して行くことになれば、その家族が安心して行くと思います。それを念には念を入れるために、わかりきつた分までも発表を差控えておられるということが、私不愉快であります。この点はどうですか。これが所在がわかつておるのだという点については、外務省としても、前々から何とか早くやられるという責任もあるのですし、今年ももう十日ばかりで暮れるのですから、この機会にわかつた分だけでも発表してやる。そうして正月を、わかつておる家族だけでも安心して年を越せるようにしてやる必要はないかということが一つ。 それからもう一つは、明後日の対日理事会が、この問題を取上げてくれることに対して、非常に敬意を佛つております。私も両院の委員長とともに傍聽をさせてもらうように申出をしてありますが、傍聽できる、できぬにかかわらず、未帰還者の家族に明るい希望を與えるものだと思うのです。外務省として、この理事会に対して明後日この問題が取上げられるという段階において日本政府として盡せるだけの資料の提供、そのほかの希望の開陳等をしておられるかどうかという問題です。これに関連して委員長としても、先ほど岡元参議院委員長から出された五万という家族の問題については、数字の上においてある程度政府当局とあなたの間における話合いがついておるのかどうか、そうして数字ははつきりしたものが実際に出たのか、漠然としたものか、あるいはこの数字については、外務省がいうところの一般邦人などの問題と、どういうふうに関連しているのか。もうすでに迫つている問題ですし、明後日の理事会でこの問題を取上げるという段階ですし、委員会もそう頻繁には開けない問題だと思いますので、委員長としても、この間の本会議における醜態——われわれに陳情して来た幾つもの未帰還者の家族の上を思うときに、この国会の代表者の間における、あの見苦しい場面は実に慨嘆にたえなかつたのです。こういう問題は、特別委員会の性格の上からも、高く人道の立場からも、双方の感情の対立などでなくして、ほんとうに平和な、そうして留守家族を愛するという、愛情に満ちた発言であるべきはずです。それがいたずらに政争の具に供されてあの見苦しい場面を展開したということは、実に私は遺憾だと思う。こういう問題は、この委員会で事前に防止できるように、十分委員会で審議し、討論して、各党で話合いをしておつたならば——あの際に、この発言の内容はこうだということが言われておつたならば、あの場面を展開せずに済んだと思うのです。こういう問題については、この委員会としての努力がいると思います。参議院では、あの立場でやつておりますが、また衆議院は衆議院としての特別の性格から、この引揚げ促進の問題に関しては、個々の証人喚問などという立場と違つて、もつと深い大衆愛に燃えた立場で動いていいと思います。この点委員長としての決意、この年を送るにあたつて、この数字、及び引揚げ促進について、この冬をどうして行くか、この冬も引続き引揚げ促進をして行くための対策はどうあるべきかということについて、非常に時期的に迫つているので、委員長みずからのこの委員会に対する決意などもお聞きしておいて、われわれとしての努力の基盤としたいと思います。この点お二人の方にちよつと尋ねを申し上げます。
○中山委員長 申し上げます。私は今朝も総司令部に行つて参りました。そしてテイト中佐に、愛の運動の一環として参りまして決議文を御一緒に差上げて参りました。この三時からも、対日理事会に愛の運動の一環として行くことになつておりまして、もうすぐどなたかにこの席をかわつていただきたいと思つておりますが、そういうわけで、今のお金の問題につきましては、この数はまだ漠然としたものでございまして、そういうふうな関係当局からも御発表いただけないものですから、私がその数を握るわけに行かないので、まことに残念に考えております。 この間の本会議におけるあの騷ぎも、まことに私の不行届きからああいうことに立ち至りましたのは、まことに相済まないと思つておりますが、第五国会からのあの二つの流れは、どうにもならない流れであるということは、委員会でその都度都度お聞きとり願つたと思います。ああいうことは御発言願いたくなかつたのですけれども、遂にああいう場面に至りましたことは、まことに慙愧にたえないのでございます。 今朝も参りましたその趣旨は、十一月をもつてあのわくが終つてしまつている、しかしこれをぜひ継続してもらいたい。あのわくは、十一月まではあれであつても、向うの発表は一万数千人が残つている、こういうことになつておりますが、今後もぜひ引揚げを継続してほしい。そしてマツカーサー元帥直接にお目にかかつて、この問題も申し上げたいということを、今朝申して参りました。テイト中佐は、必ずそれを申し伝えるから——こういうお言葉でございました。同時に、また今日三時にシーボルト氏に面会することになつておりますが、しかしシーボルト氏は、今日は横浜に行つてあの総領事のワード氏に会つて、いろいろあちら方面のことで打合せをするために、出向いておられると思いますので、そのすぐ下の人が面会していただくことになつております。そして私もまた差出がましいとは思いましたが、中共地区からの引揚者を親切にいたわつていだだいたであろうワード氏に対しましても、事前にかつてな行動かもしれませんでしたが、何とかお目にかかつて、委員会として感情の意を表したいが、その機会をつくつていただけないだろうかということをお尋ねして参りました。ところが、向うが非常に寒くて、食糧が悪かつたために、からだの調子がお悪くいらつしやつて、入院されなければならないであろうというお話でございました。入院になられたならば、せめて委員会からだれか代表してでもお見舞に行きたいということを申入れをして参りました。ここ数日いたしましたならば、その御返事もいただけるかと思つておりますが、こういうわけで、また私どもとしては、何とか皆様方の御意見も聞かせていただきまして、この運動を国会のお休み中にでも展開して行くことができるならば、まことに仕合せであると思います。受田先生の何か御意見かございましたならば、またお聞かせいただきたいと思います。
○倭島政府委員 先ほどの御質問の中にありました五万の点は、私どういう基準で出ておりますが、直接知りませんので、それについて意見を申し上げるのは差控えたいと思いますが、それはある目的のためのある見当であろうと思いますけれども、私は直接それについてどういう根拠に出たか存じません。 それからなお二十一日の理事会を控えて、政府はその用意の万全を盡したかどうかという御質問に対しましては、実はこの前の総理からの手紙は、あれはある時期に形式的と申しますか、はつきりああいう形式をとられた日本政府の意思の表示でありますが、ああいう形式をとらないまでも実はこの引揚げの問題については、ほとんど毎日一回なり二回なり連絡をしておりまして、われわれの持つておる情報なりあるいは希望なり、それからその他参考になる事柄等につきましては、大小漏らさず司令部の方にも連絡をし、われわれの意向なり、懇請もしております。従つて私の存じます限りにおいては、政府としては従来万全の準備をして来ておると信じております。
○並木委員 関連質問ですが、留守家族の調査ということはよくわかるのですけれども、これは二箇月も前ですが、管理局長からやがて発表になるだろうということを、われわれこの委員会で聞いたことがあります。これがとうとううやむやになつてはなはだ遺憾に思つておるのですが、この調査は実態調査で非常に重要なわけで、どうしてこんなに時間がかかるか。さつき聞きますと、未届けで帰つて来た人がかなりいるというのですけれども、そういう未届けが起つている原因がどこにあるか、政府の方は、たとえば予算が足りないとか、人手がないとかいうことならば、これは非常に大事な問題なんです、かつ急ぐ問題ですから、予算をつくつて、また法律が必要ならば法律をつくつてもいいと思います。われわれ国会で大いに協力しますから、その未届けのたくさんあるとか、留守家族の調査か遅々として進まないということは原因がどこにあるかということを明らかにしていただきたい。その解決策として、先ほどからお話があるが、留守家族に対します前渡金、これも私は詳しいことは知りませんけれども、それが実現されたならば、けつこうだと思います。ただ留守家族の方々に御迷惑をかけるばかりでなく、実際に受取る金が出れば、届けていただくということにずいぶん足しになる。今まで届けていない方は、ぜひこの際届けてもらいたいという方法を、ここで一挙に講じて調査を完成せしめるような方法が必要ではないか、そういう点についてお考えを聞きたい。
○倭島政府委員 実はこの数字の発表の問題につきましては、もうずいぶん長くなりますので、時期が来ておると思います。準備には準備を重ねておりますので、もう間もないことだろうと思いますが、この点につきましては、諸般の関連する考慮の問題もございますので、私からいつの時期という問題はいまだに申し上げにくいという状況でありますので、御了承を願いたいと思います。 なお、なぜその留守宅の家族からの調査の数字が抱括的に行かないかということでございますが、これはいろいろな原因があると思います。先ほど申し上げましたのは、要するに一般邦人の方々の関係の数字でありますが、やはりいろいろな原因が考え得られると思います。一つは留守宅がはつきりない方がある。一家をあげてどつか、満洲なりにおいでになつたあと、つまり国内に直接の届けられる御家族がないという方も相当あるのじやないか。それから御親戚があれば、届けていただけばけつこうなんでありますが、これは一、二の例でありますから、全般の例ではございませんけれども、届けると、また厄介者が帰つて来るというようなこともあるらしいのであります。これは一、二の例からそう思うのでありますが、御親戚はあつても、必ずしもそれが届けていただいておらない状況がございます。それから帰つて来られた方の中で、なに女房がうちにいるから、なぜ届けておらぬかといつて、引揚援護局で憤慨される場合がある。これは何かの手違いなり、やはりそれがうまく報道せられなかつた関係もあるかと思いますが、この点については、御家族はあるのに、届けたらよろしい、届けねばならぬということを知つておれば届けるのに、そういうことを知らぬものだからということがあつてはならぬと思いまして、政府といたしましては、何回も何回も各方面の御協力を得てそういうところに情報を流すようにしたいと思つておるわけであります。この点はさらに人と金と時をかけますれば、もう少し能率が上るかと思いますが、予算等との関係で、必ずしも十分には行つていないという状況でございます。なお届けの中には、つまり親族の方々からお届けになりましても、お父さんの名前一人届けるとか、御夫婦の名前だけ届けて、子供が何人あるかわからぬかということでお届けになつた場合もあるかと思います。従つてそういう意味で実族の人がふえておる、あるいはその届けにそれが全部含まれておらないと、やはり帰つて来られる数の方が多いというようなことになる。諸般のそういうことが競合しておるだろうと思います。なお従来の政府と言いますか、外務省が、従来各府県を通じまして、留守宅の方方に届けを出していただく関係になつておりますが、それは別に義務的でも何でもございませんし、それから地方庁に協力をしてもらつておりますが、これもいわゆる義務的なものでもありません。そういう関係で、多少そういう方面をもう少し捕捉して漏れなく出るようにしたい。理想的に言えば、あるいは一種の国勢調査みたようなふうに、相当網を張らなければならぬと思つております。それについてはいろいろ研究はしておりますけれども、他方予算との問題もございますので、まだ実現しかねておる状況でございます。
○並木委員 その原因とか、その他の点はよくわかりましたが、これからはこれを積極化して、この問題が重要であるかどうかということの価値判断になる。われわれは非常に重大だと思う。特別委員会があるのも、重要なんで、私たち委員会としても、相当の考慮を拂わなければならないと同時に、とにかく予算的措置と、今聞いてみると義務的でないというのが多いのですが、義務的でないと、めんどうくさがるのです、なかなかなかうまく行かないのですから、これは至急立法をして、かかる費用は予算的措置で出してやる。それぐらいのことを、国家として当然やるべきだとわれわれは思うが、熱意のあるところを聞かせてもらいたいと思います。
○倭島政府委員 従来は、先ほども申しましたように、各県にずいぶん調査のためにお願いしておりますが、実情を申し上げますと、各県へ一万円ぐらいずつしか費用が出せない。それでは問題にならないということで、これは予算がどうにも都合つかなかつたのでありますが、さらにその後約七万円程度のものを出すことになりましたし、地方庁の方としても、これを利用して、さらにこれをもとにして地方の各庁で経費を都合せられて、最近においては、ことにここ数年間の調査というものは、たいへん積極的になつて来ております。
○並木委員 それで最近見ると、たとえば葉タバコをつくると五万円の罰金だ、それから宝くじが当ると三十万円出すとか、たんすが当るとかいつて、ポスターなどで、宣伝といつては悪いですが周知せしめる方法が徹底している。この問題に限つて、駅に行つてみても、ポスター一つ見ない。だから忙しくて奥さんなんかなかなか届出てくれない。るす家族の人たちは、その日の暮しに困つておる人が多い。そういうように周知せしめない上に、関係府県だとか、地方庁だとかいうものが熱が入らなければ、徹底した調査はできない。ぜひ今国会の会期中に次の予算が組まれるのですから、莫大な予算を組んで出してください。管理局長、ひとつ頼みます。
○倭島政府委員 御意見まつたく同感でありますが、ひとつ研究して行きたいと思います。
○竹村委員 先ほど同僚委員からもいろいろ言われましたが、この問題はやはり政策的に行うのではなしに、実際真劍にこれと取組んで行くということについては、われわれも同感であります。しかし問題は、われわれがこの委員会でそういう考えでやつておりましても、政府の方において何か含むところがあるようにわれわれ聞える。というのは、たとえば今参議院で出されまする未復員者の家族の援助は、大体五万を目標にしておると先ほどから言われております。従つて対日理事会等に政府が要望される場合に、ある程度の確信ある数を司令部へ提出されてお願いされた、こういうふうに言つておられた。しかしそれはいろいろの面で発表できぬ、こういうことと思うのでその事情も了としますが、しかし問題は、この五万の者に、大体一億円というものを二千円ずつ渡すという決議案が通つた場合に、政府で大体対日理事会にお出しになりました、要請されました数と比べて、これは大きな開きがあるかどうか、大体この五万人に対して一億円ぐらい出せばそれで納得できるというような考えを政府は持つておられるのかどうかという点を聞かせてもらいたい。これはざつくばらんに聞かせてもらわぬと、何かわれわれは奥歯にものがはさまつたような気持を受けるのであります。
○池見委員 ただいまの竹村委員のお話、私はしごくもつともと聞きまするが、そういうふうなことになりますと、結局さつきからのまた数字の問題に立ち至るようですが、私は先ほどから倭島政府委員のこの数字の問題についての答弁は、現在了承しております。きわめて近き将来という多分の意味を含まれておることによつて、了承しておるのであります。さらに受田委員のお話の、参議院からの提案であるところのいわゆる特別給與の前拂い、このことにつきまして一言聞いておきたいと思いますることは、参議院の委員会において可決せられたものであるかどうか。同時に、こういうものを衆参両院で出してはどうだろうかという相談であるかどうか、衆議院に話合いをかけ合われたそのいきさつについてであります。委員長の手元に来た形か、あるいは今日委員会で受田委員個人でこの発言をされたものであるかどうかということの二項、以上私は一応お聞きいたしておきます。ただいま竹村委員のお話でありますが、これにつきましては、はなはだ私がこの数字の発表を封ずるような気持がいたしますけれども、いずれにしましても、特別給與の前佛いという問題を前にしての数字の論争につきましては、この決議案ともならんとするものを、一応これは協議的な形式においてわれわれがよく検討いたした上で、その五万という数字をどうするか、さらにその数を伏せて特別前拂いができるものであれば、特別前拂いをやるというような点を、よく検討した上でもつて、さらに数字の問題にも及んで行きたいという見解を持ちますから、その点ただいまお話しました二点だけを伺つておきます。
○受田委員 私が発言したことが、ここで初めて提案されたようにお話かあつたのですが、これはもちろん先ほど参議院の岡元委員長がここへ来て説明されたことでおわかりいただけると思うのですが、あとから来られた方もあるので、その点について委員長の方から、大体のその事情を話をしていただく必要があると思います。この委員会も、年内にはもうたびたびは開けないと思うので、せつかくこうしてわれわれも集まり、政府側も管理局長や大蔵省の方の来ておられるこの機会に、在外資産の問題のごときは、来年まわしでも間に合うのだから、五たびも冬を迎える引揚げ促進の問題をやつてもらいたいと思う。そこで今管理局長のお話があつたように、未届けの人たちに対しても手を打つという問題ですが、第六回国会を通過した補正予算の中の引揚促進費の十億をよそにかつぱらわれて行つておる。これは厚生省所管だから、外務省は御存じないですが、十億の促進費を調査に使つて、手数料を拂うから細大漏らさず届出するようにという運動を起したら、金になるなら行こうということになると思う。どうも厚生省と外務省との連絡が思うように行つておらぬ。外務省は一般邦人一般邦人と言つておるが、復員者諸君といえども、これは渉外関係になつて来るのだから、外務省はいつも厚生省に働きかけ、厚生省は外務省に働きかけて、常に連絡をとらなければならぬのに、外務省は全然御存じない。これは当然管理局長の所管事項であるのに、それを全然御承知ないというようなことは、非常に危險です。十分その点について連絡折衝して、厚生省所管の事項でも、外務省はこの問題に関しては大きな立場からひとつ努力する、こういう方向に行くように、委員長において進行をはかつていただきたい。
○玉置委員長代理 池見委員からの御意見に対しまして、ただいま受田委員の御発言がありましたので、私の知る範囲において一応お答えしておきます。 参議院の委員長がここにおいでになつて御説明されたということでありますが、実は私公用を済ませてここに参りまして席についたとたんに、参議院の委員長が出て行かれましたので、その説明内容は存じておりません。ただ委員長からただいま引継ぎを受けたところによりますと、参議院において決議される案文を、当委員会に参考として送つて来たものでありまして、参議院としては、いまだ議決をしておらぬということであります。従いまして池見委員の御発言の内容は、私もある程度同感でございまして、先ほど来いろいろ委員各位の御発言の中にもありましたように、この数との関連において、きわめてこれは重要であろうと思うのです。従いまして、もう一応この問題につきましては、本委員会を散会いたしまして、あらためて協議会を開き、愼重にこれを検討したいと思います。 それから受田委員の後段の問題につきましては、一応政府委員の方からこれに対する御意見を拜聽して、私はお答えしたいと思います。
○倭島政府委員 先ほどの五万の数字の問題でございますが、これは私は直接今連絡を受けておりませんが、外務省の中であるいは受けておるところがあるかもしれません。これは相当早急に持ち上つて来た問題だろうと思いますし、その数字を出すにあたつて、事務的にはどういう連絡を受けておるかしれませんが、私直接存じませんから、どういうふうになつておりましたか、それについて申し上げるだけの資料を持つておりません。 なお今後の政府間の連絡の問題でございますが、おしかりを受けましたが、まことにこの問題につきましても、直接私もこの委員会に出て来るまでに、連絡をして来る何もございませんようなことでございまして、今後とももう少し連絡をよくして行きたいと考えます。御了承を願います。
○玉置委員長代理 それでは私からお答えします。先ほどの受田委員の後段のお話につきましては、まつたく同感でございまして、引揚げ促進並びに応急定着援護の問題にからみまして、受田委員は日ごろ非常な熱意を持つて御努力されております。北海道の上陸地に対しましても、私御同行をいたしたことがありまして、日ごろ御意見等も承つておりました。本日の御意見は、日ごろ申されたことを端的に表現されたので、私も御意見の趣旨を前々から存じておりました。まつたく同感でありますので、これも先ほどの池見委員の御発言の内容に関する取扱いと同様に、この委員会散会後にあわせて協議をいたし、真劍にこの問題の解決に向つて私どもは努力しなければならぬと、かように思いますので、これとあわせて御協議願うことにいたしたいと思いますが、いかがでございましようか。
○池見委員 今倭島局長から、五万という数字の出た根拠についての詳細の調査をするというお話があり、まことにけつこうであります。従つてこの数字のそういうふうな調査に伴いまして、現在給與を受けておる的確なる員数をもとに調査して、報告していただきたいと思います。
○倭島政府委員 現在給與の出ておりますのは、ソ連関係だけでございますが、その関係は、大部分が援護庁の方の関係になつておりますので、よく協議をした上で御説明申し上げたいと思います。
○竹村委員 そのお調べになりますときに、つけ加えて知らしていただきたいのは、今おつしやつたように、ソ連関係であると、こういうことになつているようでございます。もちろんそうであろうかもしれませんが、大体私たちの聞いているところによりますと、たとえば関東軍が終戰当時イ号作戰、ワ号作戰というようなものがあつて、当然ソ連地区に行つていると考えた者が、実はほかの方へ転進しておつて、関東軍司令部でもわからなかつたというような点も非常にあるやに聞いている。従つてその援護をされている人の、大体一番初めどこにおつて、たとえば部隊なんかでもわかれば、ひとつついでに出していただきたいということをお願いしておきます。
○玉置委員長代理 それではこれを打切ります。
○小川(平)委員 最近長野の放送局におきまして、引揚げ促進に関する放送原稿を拒否したという事件がございますので、私本委員会の問題として取上げていただきまして、御検討の上、至急に適切な処理をとつていただきたいと思いますので、これについて説明をお許し願いたいと思います。 先月長野県におきまして、引揚げ促進に関する県民大会が開かれました。その際に、引揚げ促進に関するラジオ放送を行うことを決議いたしまして、引揚促進連盟全国協議会の中央における常任理事であり、同時に長野県の委員長をいたしておりまする島立廣次という人が放送いたすことになりまして、長野の放送局と打合せをいたし、十二月十二日午前七時から放送をいたすことにアレンジをいたしておつたのでございます。ところがその直前に至りまして、放送局においては、島立氏の提出した放送原稿が非常に不穏当であるという理由のもとに、放送を拒否したわけであります。これが県下において非常に大きな問題になつて、新聞等も取上げて騷いでいるわけでございます。去る十一日に長野県の引揚げ促進県民大会が再び開かれまして、私本委員会の吉川委員と一緒に臨席いたしたのでありますが、その席上で、これはゆゆしい問題であるから、ぜひ本委員会の問題として取上げて、至急に手を打つてもらいたいという要求を受けたのであります。そこでわれわれ両人は、さつそくに委員会にこの問題を提起して、しかるべき措置を講じてもらうようにしようと申して帰つて来たわけであります。申すまでもなくラジオ放送というものは、今後引揚げ促進の運動を推進して参ります上において、輿論を喚起する上において非常に有力な武器でありまして、今後このようなことがしばしば繰返されますようなことでは、運動を進めて行きます上において、障害になるのではないかと思いますので、少し詳細に事情を説明させていただきまして、問題となつておりまするラジオ放送の原稿等も、朗読をさせていただきたいと思います。いかがでございますか。
○玉置委員長代理 よろしゆうございます。
○小川(平)委員 それでは問題の経緯をいま少し詳細に御説明申し上げます。十一月の長野県における都市代表者会議におきまして、現段階における引揚げの困難性にかんがみて、県民に訴えるべく放送をやるということを、決定をいたしたのであります。その結果十二月十七日午前七時十五分から、放送をいたすことになつたのでありますが、後に朗読をさせていただきます原稿を、放送局に提出をいたしたのであります。ところが放送局の方では、これでは放送ができない、内容かおもしろくない。その際どこがいけないということを、明瞭に指摘はしておらないのであります。要するにいけないということで、別に愛の運動の原稿を放送局の方から提示いたしまして、これならいいということを申したのであります。ところが、言うまでもなく愛の運動は、援護者側か行う運動でありまして、根本的に性格が異なるのでありますから、放送をする予定になつておりました前記島立氏は、この申出を拒否して放送をとりやめたのであります。その後先ほど申し上げましたように、十二月十一日諏訪市に開催いたしました長野県の在外同胞帰還促進県民大会において、この問題をぜひとも両院の特別委員会」持ち出して、そうして適切な解決策を講じてもらいたい、こういう決議が行われたわけでございます。 問題になりました原稿は、後刻朗読をいたしますが、どういう観点からいたしましても、いやしくも不穏当な箇所はとうてい考えられない。しかも本年の八月、同じ島立氏が、東京の全国大会におきまして放送をいたしましたものは、録音をされましてNHKから全国放送をされておりますが、その放送の内容と比較いたしまして、はるかに緩和されたやわらかい内容のものなのであります。かような次第で、中央においてりつはにパスしているものが、それよりももつと穏やかな内容のものが、地方の放送局で拒否されるというようなことは、これはいかにも不合理なことであります。放送局側の新聞記者に語つたところの理由といたしましては、国際問題に触れておるからいけない、数字の問題に触れているからいけない、こういう理由を述べておるのでありますが、言うまでもなく、この段階に至りまして、数字の問題に触れず、国際問題に触れずして世論を喫起するというようなことは、とうてい不可能なのでありまして、私はこれはゆゆしい問題であると考えているわけでございます、至急にこの委員会で御検討を願いまして、たとえば当事者を喚問するなりしていただいて、真相を究明していただいて、何らかの強力な措置を講じていただきたいと、こう考えるのであります。 問題になりました原稿を朗読させていただきます。少し長くなりますがごしんぼう願います。次の通りであります。 長野県の皆様、海外の同胞引揚促進運動につきましては、常に深甚なる御盡力を賜わり厚く御礼申し上げます。終戰以来今日まで連合軍総司令部の御好意により、六百余万の同胞が引揚げて参りましたが、なお海外には、ソ連地区三十万、中共地区七万の日本人が帰国を待ちわびております。この約四十万は総司令部発表の数字でありますが、入ソ当時の栄養失調や、零下数十度の酷寒や苛酷の労働や、中共地区における暴徒来襲下の逃避行、あるいは戰禍、惡疫などのために相当の死亡者を出していることは想像に難くないのでありますが、本春ソ連タス通信は、在ソ同胞を九万五千名と発表し、このほか約一万名の戰争犯罪者の抑留を伝えておりますが、私はこの数字には承服し得ないのであります。なぜならば、去る六月、本年度引揚げ再開以来、本月の第六船団までに大連引揚二船を含み九万四千余名が帰還し、タス通信発表に従えば、残留はいわゆる戰犯関係者の約一万名となるのでありますが、われわれ在外同胞帰還促進全国協議会調査による在ソ健在者の実数は、今日までに判明の分だけでもこれを上まわつている事実から見ましてタス発表は、一通信社の報道として、われわれは総司令部発表のいまだ帰らざる四十万を堅持し、ソ連大使館に対しては、死と者生存者名簿並びに戰犯理由と氏名の公表、抑留者全員の即時送還、戰犯関係の内地処理を懇請し続けておりますが、今日まで納得できる回答を得られないままとなつております。 一方中共地区におきましては、中国共産党が戰果を拡大し、漸次国民政府軍を圧迫し、戰線を拡大したため、各地に分散、戰争、技術、その他に留用されるとともに、婦人、老人、小兒などのいわゆる難民階級は、きわめて悲惨な毎日を繰返すの余儀なきにある実情であります。この非人道的行為に対して全国協議会は、去る八月十日の全国留守家族大会における憤激は、中共毛澤東主席あての懇請公開状となつてあらわれました。 当長野県は、戰前わが国の食糧問題解決のために、満洲開拓民の送出に全国一の成績をあげ、その一割に当る四万余者を送出いたしましたが、このうち引揚者一万四千六百余名、死と確認一万四百名、未帰還並びに生死不明一万五千、この大部分が中共地区の抑留となつておりまして、これに軍人、軍属、一般邦人を加えると、北海道、東京に次ぐ全国第三位の未帰還者数を示し、この家族数万のうちには、結婚直後夫を送つた若き妻、いまだ父の顔さえ知らない幼兒、多くの子女をかかえて生活苦と闘う夫人、病床にわか子の安否を気づかう老父母など、常にこの環境のうちにある私たちでさえ、見るに忍びず聞くにたえない悲劇は随所に繰返えされております。また各地の大会において、お父さんを帰してください、私のお父さんはなぜ帰つてくれないでしようと泣いて訴える少年少女を見るとき、実に断腸の思い禁ずるあたわざるものがあります。 あと半分ほどございますが、これは穏当であるまいかということを判定するのに必要でありますから、どうかもう少しごしんぼう願います。 ソ連地区はもういないと言い、中共地区はいても帰さないという、引揚げの現段階はこのごとく困難かつ最後的なものとなつてしまいました。全国百万の留守家族は、終戰以来いつかいつかと待ち焦がれていた肉身に永久にまみゆることのできない人生最大の悲惨事は、今まさに現出されようとしております。これがはたして戰争を放棄し、平和民主国家として鋭意再建に当りつつあるわれわれに與えられた現実であります。 人類生存の権利、正義人道いずれにありやと絶叫せずにはおられません。 国会においては、第一国会以来、参衆両院に海外引揚特別委員会を設置して引揚促進決議をし、また昨年は内閣に引揚同胞対策審議会を設け、引揚げの促進と、厚生援護の対策を講じられておりますが、今日の国家情勢下にあつては、十分の成果を收め得ることは、はなはだ心もとないものがあります。また長野県におきましても引揚同胞対策審議会を置き、三回の会議を重ね、厚生援護より漸次引揚げ促進の輿論喚起へと進んで参りました。 同じ憂いをともにする全国数百万の留守家族は、二十二年に全国協議会を結成し、東京西神田東方学会ビルに事務局を置き、間断なく運動を続け、各種大会、署名嘆願、陳情、決死の断食など、血まみれの運動をいたして参りましたが、われわれの努力の不足か、抑留国の無理解か、悲しいかなこの悲願はまだ達するに至らないのであります。 悲観のどん底にある家族の唯一の頼みは、マツカーサー元帥とシーボルド対日理事会議長が、同胞送還に偉大な努力をいたされておることと、さらに今後も最善の努力を言明されておられることで、何よりの喜びであります。もし元帥の御盡力がなかつたとしたなら、引揚げはこれほどの進展は見られなかつたことと思います。偉大な元帥の絶大な努力をもつてしても、容易に解決し得ないこの難問題を、われわれはいかに対処すべきであるか、……それは一に全国民の輿論を結集し、もつて全世界の正義人道に訴え、抑留国の反省を促すとともに、他面いまだ帰らない同胞の正確な調査を完了して、これだけはまだ残つているという現実の証拠を示す以外に方法はないのであります。輿論は国民によつて起り、未帰還者調査は留守家族の手によつて行われるべきでありますが、今日まで幾度調査を行つても、未報告郡市のあることは、運動の性根を理解しないのみか、かかる家族には、はたして帰還促進の熱意ありやを疑わざるを得ないのであります。またただ一部だけではあるが、一昨年連盟結成を準備会にて決定しておきながら、今日まで結成を見ないことは、当局の冷淡か、運動の不徹底か、家族の怠慢か、いずれにしても遺憾の至りでありまして、この際すみやかに結成を終えて、運動線列へ参加されたいものであります。 私は最後に県民各位に訴えたい。在外同胞の送還は、ポツダム宣言と国際公法に明らかにされている人類当然の要求であります。悲惨、不遭に注ぐ留守家族、望郷の鬼と化そうとする在外同胞救援に、県民総蹶起運動の展開を懇請いたします。また留守家族は、今こそ決意を新たにし未帰還者届、その他の届出にはただちに即応し、ソ連、中共あて懇請書未提出の向きは、本日作製提出し、家族としての責任を完遂されたいものであります。この運動こそは、人類生存上当然主張し得る正しい権利でありますから、家族は卑屈に陷らず、どこまでも希望を失わず、最後の一人の帰るまで相協力して努力すべきであります。 今や問題のソ連地区本年度引揚げ終了を契機とする重大段階に際し、県民各位に経過の御報告と所信を申し上げて、平素の御協力を謝し、あわせて今後の御努力を請い、さらに留守家族の奮起を促す次第であります。 お聞きの通りでありまして、これはどういう観点から見ましても、不穏当である、かような原稿は拒否しなければならないという理由は、発見できないのでありまして、かようなことがもし今後も繰返されるようでありますれば、私はこれは非常にゆゆしい問題だと考えます。そこでこの際、本委員会においてこの問題を取上げていただきまして、さつそく具体的な何らかの措置を講じていただきたい、この点をお諮りする次第であります。 なおこれに関しまして、十二月十五日の毎日新聞の——これは地方版でありますが、記事がございます。これに放送局の言い分が載つておりますから、ちよつと朗読させていただきます。 長野放送局では次のように語つている。促進同盟の人が十数名来て放送されてくれというので、縣の放送委員会にかけて採択した。 その内容は、国際的にわたらず引揚促進に協力を、求めるとか、末復員者家族に同情して愛の手を差延べようといつた、あくまで国内問題にとどめるという條件つきで、またこの條件に合わないときは取りやめるということで原稿を出してもらつた。ところが内容が條件にマツチせず、一例をあげれば「在ソ同盟は九万名というが、われわれの調査したところではまだ三十万名以上の同胞が残つている。この数字の食い違いはどういうわけか、あくまで追究しなければならない。」といつたような激しいものなので、かわりに愛の運動について放送したが、島立委員長とは放送委員会を通じてすでに了解ができているはずである。これが放送局の言い分でございます。
○青柳委員 ただいま小川委員の御発言の、長野放送局において引揚げ援護運動の放送を拒否したという事件こそ、いかにも奇怪に存ずるのであります。留守家族といわず、遺族あるいは生活困窮者でありましても同じでありますが、援護の問題は、援護される人と援護する人が一諸になつて、初めて完全な援護と言えるのであります。援護をされる人の意向を聞かずして、援護はできないのであります。援護の始まりは、援護をする人の心情に入りこむという点にあると思うのであります。こういう意味から、援護を受ける人々の心情を聞く、意見を聞くことが引揚げ促進の一番根本になるものだと思うのであります。われわれ国民といたしましては、援護を受ける方々の気持をよく心得なければならないのでありまして、こういう機会が長野縣でとざされたということは、はなはだ残念に思うのでございます。ことにただいまの内容を承りますと、先般本院で行われました決議の内容と何ら異なつておらぬのであります。私ただいま初めてこの問題を承つたのでありますが、引揚げ援護、引揚げ促進の運動の上から行きまして、こういうことが起りますことは、非常な妨げになるものと思います。従いまして、ただいま小川委員の御発言のように、関係当局をここに呼ぶなり適当な方法をとられまして、実情を御調査願いたい、こう思います。小川委員の発言に賛成するゆえんであります。
○受田委員 今小川委員の発言なさいました放送原稿なるものをお聞きしておりますと、放送当局の言い分として述べた点に、いささか該当する事項があると思うのです。この前全員一致をもつて通過したあの引揚げ促進に関する決議案の内容は、ソ連当局を誹謗し、ソ連当局の誠意に刺激を與えるようなことは、非常に遠慮されて書いてありまして、数字その他についても、ソ連を刺激するようなことは、全然なかつたのであります。あちらで残酷な待遇を受けて、いまだに引揚げられないというような、留守家族に悲しみを與える言辞は省いて、いまだ帰還せずあちらの地において非常な苦労をし、この正月を迎えるにあたつても、なお故郷の土を踏むことのできない同胞に思いをいたして、その帰還のすみやかなることた御協力願いたいという、もつと国際的な大きな線でやつたのであります。そこで一方に刺激を與えるということでなくして、きわめて婉曲に、もつと大きな線で帰還促進という問題をとりはからうように、今の字句の修正をやつていただきたい。私一昨年山口縣で、未復員問題の放送をしたのでありますが、一方だけ刺激を與えることは一切省いて放送したつもりであります。これに聽取者もよく共鳴してくれまして、今も印象的に見てくれております。今の放送内容は、ちよつと強過ぎる点があるので、その点は字句の修正をする。こういう放送は各府縣ともどんどんとやつて、帰還促進、留守家族援護運動を猛烈に展開していただくことは共鳴しますが、字句その他言葉の言いまわしで、政府当局すら数字の発表をようせぬで躊躇している現状において、向うでひどい目にあつているというような言葉は、ちよつと行き過ぎだと思いますので、この点字句の修正をお願いして、放送を大いにやつていただきたいと思います。
○青柳委員 ただいまの私の発言は、引揚者の心情がお気の毒の余り、ただいまの内容は大したものでない、こう申した点があるかもしれませんが、今受田委員のおつしやるように、もし刺激して惡いような点があるならば、直すのも一つの方法であります。これは放送の際に、どの程度までよいかということをきめることもできると思います。そういう意味から、やはり小川委員の発言のように、関係当局をお呼びになるなりして、御調査を願うようにお願いいたします。
○小川(平)委員 この表現が強過ぎるとか、弱過ぎるとかいうことは、これは主観の問題であります。そういうことを言つておりますと、今後何回でもこういう事件が繰返されることになると思いますので、今後この種の場合に際して、つまり放送局の当事者として、よるべき一つの客観的な基準というふうなものを打立てておくことが必要ではないかと思いますので、やはりこの際当事者を喚問するなり何なりしていただきまして、具体的にどこがいけないのか、どういう判断に基いて拒否したのかということを、この際徹底的に究明していただく必要があると思います。また数字の問題が出て参りましたが、総司令部の発表の数字は、今日まで新聞等において幾らでも援用しているのでありまして、数字を出したからいけないということは、何ら理由にはならない、こう私は考える次第であります。
○竹村委員 この問題につきましては、先ほど受田委員は、数字の問題は大したことはないと言つておられますけれども、本委員会において数字の問題がたびたび問題になつておる。この数字の問題をめぐつて、はなはだ遺憾な二つの流れを生んだことは、委員長自身、はなはだ申訳ないと言われたごとくに、数字の問題を中心としていろいろいざこざが起つておるのであります。しかも本委員会の現在の瞬間においてすら、政府においてはいろいろな関係で数字を発表するのは支障があるというので、発表されておらない。しかも一方において留守家族五万の問題についても、そのことについては確たることを言えない、こう言つておられる。その場合において、あるいは三十万とかどうとか強い言葉で全縣下に放送するという事態が、一方的な形において考えられないと考えたかもわからないと思うです。従つて私はあえてこの問題をとやかく言うのではありませんけれども、こういう問題を取上げる前に、私はまず引揚促進委員会におきましては、たとえば留守家族に対するところの年末給與の問題、あるいは年末のいろいろな一時金を渡す問題が問題になつておりますが、それとともに、現在海外から引揚げて参りまして、この冬を起せない、困窮している人々の問題がある。こういう定着援護の問題につきましても、本委員会は取上げるべきであつて、いたずらにこういう問題だけを浮きぼりに出すのではなしに、ほんとうに愛の運動として引揚げを促進し、あるいは引揚後におけるところのその人々の生活を考えるというのであつたならば、そういう生活の問題をまず取上げて行くべきだ。たとえば帰還者が、現在帰還されたけれども、失業に苦しんでいる人がどれだけあるかというような点を政府にただして……。
○玉置委員長代理 竹村委員に申し上げますが、その問題については、先ほど受田委員、池見委員から御発言がありまして、それを取上げて散会後に協議しようということになつております、軽視しておるわけではありませんから、どうぞ……。
○竹村委員 今の放送局の方の弁明書か何かではつきりしているので、わざわざその問題をここで取上げて問題にするには、あまりにもどうかと私は考えるのであります。
○玉置委員長代理 皆さんにお諮りいたします。小川委員から提起されました問題は、先ほど決議されたこと、あるいは放送原稿の朗読によりまして拜聽しますと、大部分が新聞等に報道せられた問題でありまして、別にかわつたこともないから、それを拒否したということについては、いささか私も奇異に感じますが、但し受田委員は一方的に刺激をされる向きがあるやのお話でありました。私はこの点聞き漏らしておりましたが、問題が問題でありますために、取上げれば関係当事者の御意見も聞くということまで行くことになるわけであります。従つて後刻協議会にこれらの方法等をあわせて御検討を願うということにして、本日の委員会はこの程度で打切つたらどうかと思いますが、いかがでございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○玉置委員長代理 それでは本日はこの程度で散会いたします。 午後三時五十二分散会