運輸委員会 第28号
- 発言数
- 53 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1950/04/20
会議録
○關谷委員長代理 委員長がお見えになりませんので、私がかわつて委員長の職務を行います。 これより運輸委員会を開会いたします。 これより請願の審査に入ります。日程第一より第四までは、それぞれ船員職業安定所を設置せられたいとの要望でありますので、一括議題に供します。紹介議員がお見えになりませんので、一括して政府の説明を求めます。
○山口(傳)政府委員 宮崎県の油津あるいは細島港、その他各地に船員職業安定所の設置方につきましての御請願でございますが、職業安定法をつくりました際には、従来から海員財団で経営をいたしておりました全国十九箇所の職業紹介所を国営に切りかえまして、公共船員職業安定所として現在に及んでおるわけであります。それで国営に切りかえます際に、従来からございます十九箇所では十分な運営が期待できませんので、その際すでに十数箇所の増設方を運輸当局といたしては企図いたしまして、折衝をいたしたのでございますが、予算の関係その他で、とりあえず従来からあります海員財団の十九箇所を国営に切りかえることに一応おちついたのでございます。それから二十五年度の予算編成におきましても、この十九箇所ではわれわれから考えますと非常に不足でございまして、ぜひともふやしたいと思いましたが、いずれも新しい設置は新規要求なりということからいたしましてこの折衝は不成功に終りまして依然として現在全国十九箇所にとどまつております。それで北九州の各港に、これ全部というわけにも行きませんでありましようが、われわれといたしましては宮崎県に、あるいは鹿児島県、あるいは佐賀県、そういつた船舶の出入の多い、あるいは船員のたまりになつておるようなところには、ぜひとも置いていただきたい、かように考えております。その後船員の需給問題もむずかしい事態を迎えた際とて、特に今後は増設に力をいたしたいと思つております。ただ常に問題になりますことは、財政上の理由で、われわれ直接この安定業務をやつておる者の意向が、そのままには通らないのであります。今後におきましては、このままでは過されませんので、この御請願の各地につきましては十分調査いたしまして、できる限り御希望に沿い得るように努力いたしたいと思います。 —————————————
○關谷委員長代理 次は日程第五、地区機帆船に燃料油増配の請願でありますが、これまた紹介議員が見えませんので、政府の説明を求めることにいたします。
○岡田(修)政府委員 地区機帆船に対する燃料油増配の御請願でございまするが、本件につきましては、私たちまことに機帆船業界に対して申しわけなく感じ、何とかこれが増配の実現を見るようにというので、昨年来いろいろ努力をして来たのでございますが、いまだにその実現を見ていない次第でございます。しかし国家機関である船舶運営会の動かしておる船舶が、この四月一日から民間の自営に切りかえになりまして、この燃料油を削減せられた一つの理由が消滅したわけでもありまするので、この機会に機帆船に対する燃料の増配につきましては、一層の努力をいたしまして、これが実現をはかるようにいたしたいと考えます。 —————————————
○關谷委員長代理 次は日程第六、鹿島港と大島、琉球間に定期航路開設の請願であります。紹介議員より趣旨の概略の説明を求めます。
○尾崎(末)委員 鹿児島、大島、琉球間に定期航路を設けていただきたいという請願なのでありまするが、御承知の通りに大島は従来鹿児島県でありまして、現在占領されておりますけれども、依然として住民も元のままでありますし、鹿児島県及びその他内地との関係はずつと連続をいたしておるのでありますが、ただいまのところ定期船がないために、交通にいたしましても、あるいはまた経済上のいろいろの事情等の上からいたしましても、非常に不便を来しておるのであります。琉球も、もとより物資の交の流やそ他人の往復、そういう点に非常に現在のところでは不便な状況でありますので、ここに定期の航路を開いてもらつて、その便益を見ることができるように、それらの点につきまして格段の御尽力をお願い申し上げたいというのが、趣旨であります。よろしくお願いいたします。
○岡田(修)政府委員 ただいまの御請願につきましては、私ども政府側といたしまして、ぜひともその実現をいたしたいと考えておるのであります。すでに大阪商船の若草丸が四月十九日から阪神、鹿児島、那覇航路というものを開設して、就航いたしております。さらに三井船舶の十勝山丸も、阪神、鹿児島、那覇航路に就航することに予定されておるのでございます。なおこの他に、今回四月以降民間自営に切りかえになりましたので、必要性に応じて鹿児島、琉球間に小型船の定期航路の開設も可能と考えまするので、政府といたしましては、できるだけこの実現に努力いたしたいと考えております。 —————————————
○關谷委員長代理 次に日程第七は、都合によりしぼらく留保いたします。 日程第八、第九を一括して議題といたします、紹介議員が見えませんので、ただちに政府の説明を求めます。
○岡田(修)政府委員 九州海運局管内の油津の重要性、並びに東北海運局管内の女川の重要性につきましては、運輸省としては十分これを認めるわけでございまするが、何分にも現在行政整理によりまして、機構の縮小、あるいは廃止の方針がとられておりまするので、現在の海事出張所を支局に昇格するという点につきましては、非常に困難な点があるのでございまするが、なおよく実情を考え、また予算の点等をにらみまして、あとう限り御要望の趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
○關谷委員長代理 以上の各請願について、御質疑はありませんか。—御質疑がなければ次に移ることにいたします。 —————————————
○關谷委員長代理 これより船員職業安定法の一部を改正する法律案を議題といたし、前会に引続き質疑を行います。質疑の通告があります。上村進君。
○上村委員 前に委員が質問したので、重複している傾きがあるかもしれませんが一、二点質問したいと思います。 この特別管区の廃止は、今日日本海運が民営還元によつて大量、すなわち八十五万トンも繋船ができ、失業が多くなり、従つてごの職業安定法をより有効に活用しなければならないときに、たとい一区にしろ廃止をするというのは、やはり逆行するのじやないかと思いますが、政府はどこまでもこれを廃止しようという御意見でございましようか。その点をお聞きいたします。
○山口(傳)政府委員 お答えいたします。船員職業安定法を制定いたします、際に、陸上の安定法にならいまして、相当将来のことを予想いたしまして、審議会といたしましては、中央に全国を管轄する中央審議会、それから地方には各海運局、ことに十の地方審議会を設け、さらに今回條文から削除しようといたしておりまする特別地区審議会—特別地区には二通りございまして海運局のただいま申し上げた地方審議会の二つとか三つとか合せた範囲にカバーするわけでありますけれども、それとか、もしくは一つの海運局の中の小ブロックにつきまして、小地区委員会、大地区と小地区と、この二つが特別地区の中にございます。そういう必要もあろうかと思つて制定いたして参つたのでございますが、とりあえず政府といたしましては、どうしても必要な中央と地方は、その後委員を任命して、審議会を始めておるわけでありますが、その後特段に大地区もしくは小地区というものは設けないでも、どうにか間に合つて参つたわけであります。従つて今日までまだ特別地区の審議会というものは形成されないで、予算も裏づけがなくて、條文にだけ残つておつたわけであります。それで昨年の暮れに、御案内のように、政府部内にある審議会、委員会等につきまして、これは相当多数あるわけでありますが、これらにつきまして整理の方針が閣議できめられて、現になかつたせいもございますけれども、どうしても廃止の対象になつたわけであります。われわれとしてはお話のように、今後安定法が十分に活用されなければならない事態になるに際して、こういうものを廃止するので、一応矛盾するように見えますけれども、その際私どもの考えましたことは、大地区につきましては、今後中央の審議会がそのかわりをし、また小地区につきましては小地区のブロツクをオーバーして、地方の審議会がございますので、地方の審議会がこれのかわりをやり、この二つを十分に活用すれば間に合うのではないかという決心をいたしまして、これまでまだ開いておりませんでした特別地区の設置をせぬことに腹をきめた次第であります。
○上村委員 そうすると、結局こういうふうに失業とかそういうものが特に多くなるという予想のもとにでも、これを廃しても地方審議会、中央審議会等によつて、職業の安定をはかるにさしつかえないというふうな信念のもとに、これを廃止するというように承つてよろしうございますか。
○山口(傳)政府委員 さように考えております。
○上村委員 その点はわかりましたが、もう一点確かめておきたいのは、今度大量の繋船によつて、予備船員というのが一万近くできておるということになつて、それに予備員給というものを与えて、一時的な保護をするという御答弁でありましたが、この海上労働者、特に船員というような者は、要するに給料をもらうというだけでは満足しないものである。どうしても船に乗つて働いて、そして自分の本分を果し、職業意欲というものを充実させて行くというのが、船員の本質であろうと思うのです。今度予備員給というものを八割なら八割もらつて、何ら船に乗らないで、ふところ手をして休んでいるということは、結局においてそういう予備船員というものを、かにの手足をもぐように、だんだん減らして、失業の方へ追い込んでしまうことになると考えるのですが、その点政府はどういうお考えを持つておられるか、承りたいと思います。
○山口(傳)政府委員 お話のように、一時大量の予備船員をかかえることになりますが、この予備員給を出すかわりには、今後の汽船船員の新規採用等は、一定のとりきめをいたしまして、この際とらないことに考えておりまして、今までの実績から申しますと、自然減耗が年にかれこれ一割くらいございますが、その自然減耗の分とか、あるいは新たに優秀な外航就航を目途とされた新造船ができて参りますので、そういつたものがだんだん外航へ行くのがふえて参りますれば、その方の運航船がふえて参りますから、その方にも乗せる。さようなことをして、一年間そういうような状態を続けますと、この船員の需給はかなりに改善されるという見込みも一応は立つわけであります。しかしこれは将来の予測でございますので、今後の推移によりましてある程産はまた特別の対策を立てるというようなことも考えて参らなくてはならないかと思います。しかしさしあたりは自然減耗、その他内部的にいろいろ工作して、直接失業者を当分の間出さないで、自然減耗の補充、あるいは新造船の乗員の方へ、極力向けて行くというふうに努力いたしたいと思います。
○上村委員 そうすると、具体的に言うと、そういう予備船員で保護して行くという期間は、年限においてどのくらいの期間という見通しでございますか。
○山口(傳)政府委員 ただいまのところ、本年度の予算上認めてもらつておるだけでございます。先のことは今後の折衝でございますけれども、今後の推移によつて、また将来の計を立て直さなくてはならぬと思いますが、さしあたりは、予算は本年度の予算しか考えておりませんから、一応来年度は来年薄の問題になります。
○上村委員 もう一点だけ確かめておきたいのですが、とにかく政府でも、予備船員の保護期間というものは、おそらく見通しがつかないと思うのですが、相当長く続くということは、これはしろうとの考えでも、およそは予想がつくのです。そうするとこの予備船員を一定の人に限らず、この予備船員というものを交代に乗船させ、そして今乗船しておる者を予備船員にするという交代制をとる。そうして一定の人が、船に乗らないでおるために、失業して行く状態に追い込まれることを防ぐという、交代制をとることが考えられるのですが、政府はその点について、どういうお考えを持つておりますか。 〔關谷委員長代理退席、松本(一)委 員長代理着席〕
○山口(傳)政府委員 予備員の乗船の機会均等ということだろうと思うのでありますが、お話のように、長い期間予備員給でくぎづげになることは、当人にとつてはたいへん経済的に不利でありますし、そういう声もすでに船員の中から上つております。この問題は船主と船員の—主として組合が船員を代表してやるわけでありますが、どういうふうにして乗船機会をなるべくならして行こうかという点は、両者の今後の協定にまつわけであります。原則としては公正に配乗するのが原則でございますが、ある程度行きますとそこに不公正が出来て来る。それを一年間くぎづけにするということは、むろん考えておりません。この期間がどの程度になるかは、船主側と組合側との協定によりますが、すでにその問題は、方針としては公正に、ある程度の機会均等をはかるべく、何らかの措置をとるように、相談が始まつております。私どもの考えといたしましても、そういう相談が持ち上つて来たことは、むりからぬことと思つております。普通の規定の予備員と違うものにつきましては、勢い期間が長くなりますので、その期間を適当にして、配乗を延ばすということは当然起るし、またそうしなければならぬだろうと思いますので、目下船員と相談しております。
○上村委員 そうすると、この予備船員の期間というものは、政府においては一年とか、一年半とか、二年とか、そういう長い期間を見ておるのではなくて、必ず短期間にこの予備員制度を解決するという御方針であると承つてよろしゆうございますか。
○山口(傳)政府委員 特に今回の措置によつて生じた予備員が、一年とか一年半ですつかり解消するかどうかということは、見込みになりますことで、はつきり申し上げられませんけれども、船員の個人々々がその予備員給でくぎづけになるということはないので、あつて、先ほど申し上げるように、乗組員と予備員とが適当に交代するということになつて、巡繰りにまわつて参ります。一方そういう余分の予備員がいつ解消するかということは、先ほどから申し上げますように、はつきりはいたしませんが、今後この問題は十分研究してもらわなければならぬと思つております。 —————————————
○上村委員 よろしゆうございます。
○松本(一)委員長代理 これより海上運送法等の一部を改正する法律案を議題として、前会に引続き質疑を行います。關谷君。
○關谷委員 簡単にこの法案につきまして、御質問をいたしたいと思います。将来の日本の海運界再建のために、一時の糊塗策と申しますか、そういうようなことで、永久の施策を誤つてはならないことは、海運業者はみな異口同音に言つておることであります。最近論議せられておりまするパナマ、ホンジユラス、その他の国の国籍船約十隻を、裸チヤーターで契約せんとしておりますところの、ユーナイテツド汽船株式会社の企画があるということを聞いておるのですが、これに対して当局はどういうふうに取扱おうとしておるのか。これに対する御意見をまず一点承りたいと思います。 なお仄聞いたしますると、船舶の買入れあるいは借受け資金の割当は、通産省にこれが割当せられておると聞いておるのですが、海運政策を考慮に入れないところの通産省が、外国船の借受け、または買入れというようなことに資金を出してしまつたならば、たいへんなことになりますので、これを運輸省に割当すべく、運輸当局はこれになぜ努力をしないのか、今までどれだけの努力をしておつたのか。この点を第二点として承つておきたいと思います。 なおまたもう一点承りたいことは、当初この海上運送法の改正案といたしまして、第二十八條を改正するというふうな腹案があつたやに聞いておるのであります。国際間の運賃同盟へ入りました場合に、私的独占禁止法の関係から、この條文を改正しなかつたならば、日本の船舶だけがそのために拘束をせられて、外国船との差別的な待遇を、法律によつて受けなければならないことになるので、この点に対しまして多少の修正を加える。こういうふうに聞いておつたのであります。今回の法案を見ますると、そういうことが削除せられておるのでありますが、なぜこれを削除したのか。なおまたこれを削除して、将来日本の外航船が、これに対して不都合はないかどうか。この三点を承りたいと思います。
○岡田(修)政府委員 第一点のパナマ籍その他の外国船を、裸傭船して運航する問題でございまするが、四月一日海運の自営還元後、外航貨物—日本に輸入する貨物のうち、日本船のその積取りに参加し得るものが非常に僅少でございまして、現在保有しておりまする日本船腹のうちの外航適格船の消化すら、現状においては十分でない状況でございます。従いまして、まだそれらの外国船を裸傭船として使うというような事態に達しておりません。運輸省といたしましては、現状においては、それらの外国船を裸傭船することは、時期尚早であるという見解を持つておる次第であります。 次に船舶買受け、あるいは傭船をする場合の外貨資金が、通産省の方にあるということでございまするが、それらの資金の割当は、閣僚審議会—これは関係各省大臣で構成されている閣僚審議会ですが、それがこのわくをきめるのであります。それらのわくにつきましては、運輸省から閣僚審議会の方に交渉して、そのわくをとつておるような次第でございまして、通産省の方のわくに入つているのではないのでございます。 それから海上運送法第二十八條につきまして一番最初の案において、一部修正を加える考えがあつたのでございまするが、これはその後これを修正することが非常に困難なる事情が発生いたしましたので、修正を加えずに行くことにいたしたのでございます。この点につきまして、ちよつと委員長、速記をとめていただきたいのですが……
○松本(一)委員長代理 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○松本(一)委員長代理 速記を始めてください。
○關谷委員 私はこれで質問を打切ります。
○松本(一)委員長代理 次は上村君。
○上村委員 この提案理由の前項の方でありますが、外国航路において、外国海運業者のいろいろの制限を撤廢することによりまして、決してこれは日本の海運業を保護するものではなくて、むしろ日本の海運業を外国の海運業の隸属下に置くことになるのではないだろうかということについて、政府の御意見を承りたいのであります。
○岡田(修)政府委員 これは海運会社を保護するというのではございせんで、実情に合わないから訂正をしようとするわけであります。私どもはこれによつて日本海運が外国海運の隷属下になるということは絶対に考えません。むしろこれによつて日本の海運がより自由に対外的に活動し得るもの、かように考えております。
○上村委員 それは非常に趣旨が違うと思うのです。結局資本主義の競争は、大きな資本が勝つわけでありまして、その大きな資本に制限を加えて、小さな資本を保護するというのでなければ、保護はできないわけであります。それをこの法文によりまして、去年こしらえたところの海上運送法の外国海運業者の制限をとるということは、大きな資本に加担し、そして小さな資本を圧迫することになることは、これはもう明らかなことなのであります。どういう理由で、それが内国海運の制限もしくは圧迫にならぬのかという理由をお聞かせ願います。
○岡田(修)政府委員 外国海運会社の営んでおりまする定期航路、これに対しまして日本の国内法を適用するということ自体が、実情に合わないことでございます。戦前におきましても、また現在の各国の例を見ましても、そういう例はあまりないのであります。ただこの法律をつくりましたときには、まだ日本の民間業者の手による対外定期航路というものは、実現の可能性がなかつたのでございまするから、そういう点を深く考慮せずに規定したのでございます。今度の改正は実情に沿つた改正をいたしたのであります。日本の海運は今後対外的に大いに伸びて行かなければならない。対外航路にも大いに進出しなければならない。そういう場合に、無用なる拘束を外国海運業者に与えるということは、かえつて日本の海運業者の対外的な活動を非常に拘束するごとになつて、日本の海運業者の対外的活動ができなくなる、こういうことになるのであります。
○上村委員 大体その点はわかつておるのですが、結局運費同盟というものがありまして、外国海運業というものは、一国だけの業者じやなくて、数国が寄つて団体を組んで、日本の海運業に向つて来ているわけである。それでは独占禁止に触れるとかなんとかいう問題もそこから起るのですが、そういうふうな外国資本が、しかも大きく組んでやつておる場合に、それに対する制限を撤廢するというのは、どう考えても内国海運業者への圧迫であり、内国海運業の保護ではない。ですからこの法律は名前は日本海運業の保護ということになつておるが、実は外国資本に奉仕するものであるということを言わざるを得ないのであります。議論はそれでやめます。 第二の点でございまするが、日本海運業者の経営は、対外定期航路事業につきましては、これを許可制にすることは実情に沿わないから、届出制にするというのでありますが、この理由がよくわかりません。どうして届出にしなければならぬのか。どうして許可制がいかぬかという点をもう少し御説明願いたいと思います。
○岡田(修)政府委員 対外定期航路につきましては、外国海運業者は自由に営業ができるのでございます。これを日本の海運業者がやります場合に、許可制その他の政府があまり制約をいたしますると、民間業者の自由な活動ができない。従つて外国海運業者との競争において非常に不利になつて来るというふうな趣旨からいたしまして、これをできるだけ海運業者の自由なる活動にまかす。政府はただ届出をとつて指導するという程度にいたしたいと思つております。
○松本(一)委員長代理 質疑はその程度にとどめて、討論にしてくださいませんか。あなたは討論の御通告がありますから……
○上村委員 それでは議論になりますからやめます。
○松本(一)委員長代理 よろしゆうございますか。—それでは続いて石野君。
○石野委員 二点だけお尋ねいたしたいと思います。この法案を実施することによりまして、おそらく日本の海運というものが、非常に大きな制約を受けるのじやないかというふうに考えるのでございます。今後外国航路につきまして、日本の海運が、この法令を実施することによりまして、より強く伸びて行くというふうな見通しをお持ちになられろかどうかが一つ。それからこの法案を実施することによつて、外国航路に関連する就航の度合いが、国内船舶と外国船舶との比重において、どちらがより多い率を占めて行くのであろうかという見通し、この二点について当局の御意見を承りたいと思います。
○岡田(修)政府委員 この法案実施によりまして、日本船が外航に伸びる可能性はどうかということでございますが、現状のままでありますると、外国の日本海運に対する反撃というものが相当に強いわけであります。この改正案実施によりまして、外国海運業者が日本海運に対して加える反撃の口実というものがなくなるわけです。従いましてこの改正によりまして、より円滑に外へ伸びる。かように考えるのであります。 それからこれによつて外国海運と日本海運の海外航路就航の状況がどうなるかということでございまするが、これはこの法律の直接の結果からそういうものが来るわけではございませんで、日本に出人する貨物のうち、日本船が参加し得る貨物が幾ばく程度あるか。たとえばFOBによる貨物がどの程度に行けるかということによつてきまるわけでございます。この法律改正の結果、直接どういう結果が現われるということは申し上げかねる次第であります。
○石野委員 この法律の直接の結果として、私の尋ねた第二の問題に回答を与えるのには、ちよつとお話しかねるということでありますが、FOBによる物資がどういうことになるか。それから日本海運がこの法令によりまして、どういうことになるかということとは、おのずから内容が私違うのじやないかと思うのです。輸出及び輸入の量が、こういう法令によつてより多くなることは、日本の海外貿易の点において、一つの観点としてこれは必要でございます。けれどもその内容として、日本の海運がより大きく伸びるか、あるいは外国貿易に就航する船は、外国船がより大きなパーセンテージを占めるかということが、これは日本の海運界の将来にいつて、非常に大ぎい問題になつて来ると思うのでございます。そういう観点から、ただいまの御説明に対しては、なかなか納得が行かないものがございます。いま一度その点について御説明を承りたいと思います。 それからいま一つの点については、提案理由の説明の中に、裸傭船については、一年間だけ許可制とする必要があると言われておるのでございます。この一年間を許可制とする必要の度合いというものは、一年間もたてば、裸傭船をしなくてもいいという見通しの上に立つて御答弁なされておるのか、この点について……
○岡田(修)政府委員 この傭船等による商業的活動はできるだけ自由にいたしたいと考えるのでございまするが、日本海運の現状におきましては、裸傭船のように、日本の船腹需給と非常に深い関係のあるものにつきましては、この目前の異常状態の期間においては、これを許可制にいたしたい。しかしこの状態も、一年たてば解消するのではないだろうか。但し一年後においてなお今日のような必要性があれば、そのときはまた国会の御審議を煩しまして、延長をする必要があるかと存ずるわけであります。
○石野委員 もう時間がありませんので、これでやめます。ただいまの説明を承りまして、私納得いたしません。ことに私が第一に尋ねましたこの法令によつて、日本の海運界が将来はどうなるかという見通しについては、私のお聞きしたことに対して、十分な御回答が与えられておりません。むしろ私はこれについては、ちようど銀座のまん中へ、二歳か三歳の子供をほうりつぱなしにしたような形になつて来る。世界海運界の中へ、日本の海運界をほうり出すことは、ほんとうに銀座のまん中に、赤ん坊をほうり出したような形が、実情として現われて来るのではないかということを憂えるのであります。しかしこれは議論になつて参りますし、非常に時間を狭められておりますので、私はこれで終ります。
○松本(一)委員長代理 ほかに御質議はありませんか。—御質議がなければ、これをもちまして質議を終了することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本(一)委員長代理 御異議なしと認めます。 これより討論に入ります。討論の通告がございます。順次これを許します。上村君。
○上村委員 日本共産党はこの法案に対して反対であります。 第一に述べたいのは、質問と同じように、この外国海運業の制限を撤廃することによつて、日本の海運業を破滅に導く法案であるということを、強く強調する次第でございます。ことに先ほど言つたように、外国の業者のいわゆる団結による圧迫というものは、必ずそこへ持つて来る。結局日本海運を植民地下の状態に追い込むということは、これはもう明らかなことであるという点で、(「共産党の御持論だから」と呼ぶ者あり)これは共産党だけではなくて、時日がたつてみればおわかりになりまするから、ここで私は予言いたしておきます。 それから第二の日本の海運業の届出制というものは、実際主要な外国においてはこれを認めないであろうと思うのです。そして認める国はわずかに特定の国しかない。そうするとそこでの取引によつて、日本海運業の進出ということになり、結局海運業に対することを講和以前にやるという、いわゆる吉田内閣の講和のなしくずしが、これによつて実現されて来るということは明らかであります。そういう点で、ポツダム宣旨にも違反して来るという趣旨が含まれておる。そういう点で反対いたします。 それから一年を限り許可制をとるという、こういう言葉はよく法律家が用いるのですけれども、これは必ず一年後には更新をする。またその一年が過ぎると更新するというようにして、これは(「なしぐずしだ」と呼ぶ者あり)結局なしくずしではありませんが、一年を限るという欺瞞的な言葉で、そして実はこれを繰り返して行くという法文の体裁である。こういう点から言いましても、この法案は非常に欺瞞性を持つておる。そうして結局日本の海運というものを、外国海運業の隷属下に置くという立法以外の何ものでもないという点で、本案に反対の意を表する次第であります。
○松本(一)委員長代理 次は石野君。
○石野委員 労働者農民党もこの法案に反対いたします。 外国海運業者に対して、海上運送法の規定による諸條項の適用を排除するという内容は、一面日本の貿易事業とにらみ合せておいて、日本経済再建のために、海外貿易を振興するという面からする点では、これに賛成するに決してやぶさかではありませんけれども、しかし法案の内容になつておるものが、決してこの貿易振興ということと、それから海運の将来性ということとのにらみ合せにおきまして、十分考慮がなされていないという点に、われわれの反対の理由があります。われわれは、少くともこの法案自身によりまして、日本の海運はより強い圧迫を世界海運の中から受けるようになるという見通しを持つのでございます。少くとも自主運航という態勢がとられました後における日本の海運界は、すでに非常に苦しい実情に追い込まれておるのでございます。むしろ日本の海運は一人ぼつちで立つだけの力がないというような実情にまで、たたきのめされて行つていると思うのであります。そういう実情の中でこの法案が実施されることは、それの競争相手である、より強力な諸外国の海運業者に対しては、有利な條件を与えることになりまするけれども、力のないものにとつては、それはより強い圧迫になつて来るという実情が必至であるとわれわれは考えるのであります。従つてこの法案は、決して日本の海運業者を保護し、あるいはまたそれを育成助長するという法案にはならないという見通しをわれわれは持つのでございます。かかる観点から、われわれはこれに反対するのでございます。しかもまた、この法案を実施することによりまして、そういう結果として、一層強い圧迫がこの海運業者の中にしいられることになつて参るのでございますから、私どもとしては、将来外国船の裸傭船等とのにらみ合せに対する考え方との関連性におきましても、とうていこれに賛成することはできないのであります。 以上私どもの党といたしましては、この法案が、日本海運を一層強く苦しめ、一層競争場裡において、ほんとうに親が赤ん坊を雑沓の中にはうりつぱなして遊ばしておくというような危険な法案であるというふうに考えまするので、この法案に対して反対する次第であります。
○松本(一)委員長代理 これをもつて討論は終局いたしました。 これより海上運送法等の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○松本(一)委員長代理 起立多数。よつて本案は可決すべきものと決しました。 なおお諮りいたします。本案に関する委員長報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本(一)委員長代理 御異議なきものと認め、さよう決します。 本日はこれにて散会いたします。次会は追つて公報をもつて御通知いたします。 午後零時十三分散会