運輸委員会 第21号
- 発言数
- 36 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1950/04/10
会議録
○稻田委員長 これより運輸委員会を開会いたします。 造船法案を議題とし、前会に引続き質疑を行います。上村進君。
○上村委員 條文の質問から始めたいのですが、第二條の第一項の末段の方ですが、「その工事の着手の日の一箇月前までに、施設の概要、工事計画、事業の種類及び事業計画を運輸大臣に届け出なけれげならない。」というふうになつております。第三條においてもやはりその第一項の末段において、「一箇月前までに、設備の概要及び工事計画を運輸大臣に届け出なければならない。」とありますが、この一箇月というような期間を限つた理由は、どこにあるのでございましようか。
○甘利政府委員 これは従来なら許可制になつておつたのでありますが、こういう時勢におきまして、一々こういうものまで許可するのはどうかという関係方面の慫慂もありまして、届出制にしたわけであります。しかし造船施設、特にここにあげてありますような施設は、相当大きな施設でありますので、資金の面あるいは資材の面において、相当大きな金額に上りますので、あまり不用の設備をしたり、あるいは能力の悪い設備をするということは、国家的に見ても非常に不利でありますので、あらかじめ工事着手前に、工事計画の概要なり、あるいは事業の種類、事業計画を届け出でさして、それが適正でなければ運輸大臣が適当の勧告をしてこれを直させ、あるいは中止させるというふうな仕組みにしてあるわけでございます。
○上村委員 第六條の第一項の届出も、やはりそういう趣旨でございましようか。
○甘利政府委員 これは別の規定でありまして、今の第二條の趣旨とは関係ございません。
○上村委員 第四條の第三項の末段の方ですが、「運輸大臣は、必要があると認めるときは、設計の変更その他の勧告をすることができる。」という規定があります。それからもう一つ、第七條の一項の末段の方にも、「業務運営の改善及び企業原価の適正化等について意見を述べ、又は勧告をすることができる。」とありますが、この勧告というのは、どういう趣旨のことでございましようか。
○甘利政府委員 第四條の第三項の勧告は、船舶試験所において推進性の試験を行いまして、技術的にはつきりその結果が出て参りますので、この船はこういう設計ではこういう性能しか出ない。だからこういうふうに設計を変更すれば、こういうふうに船がよくなるからというふうな、純技術的の試験に基いた勧告を大臣からするわけであります。それから第七條の事業に関する勧告は、運輸省設置法に造船技術審議会というものがありまして、ここで造船の施設及びその技術に関する審議をいたしまして、いろいろの結果が出て参りますので、その答申に基きまして運輸大臣が原価の切下げの問題、あるいは企業の合理化の問題等につきまして、各専門家の意見を参照いたしました勧告をいたしまして、その事業に対するいろいろな改善をはかつて行く意味の勧告であります。
○上村委員 第八條の勧告も同じ趣旨と解してよろし、ございましようか。
○甘利政府委員 第八條の方は、今度は技術に関する勧告でありまして、これは造船所の新しい設備、あるいは船体、機関に閲する新しい技術の導入に関しまして、先ほど申しました造船技術審議会の議を経て必要な勧告をなしますし、その他内外の情報をとつておりますので、これらの情報に基きまして、それを整理いたしまして、これらの技術を導入して近代化できるものは、それに基いて勧告をする。こういうことになつております。
○上村委員 十二條の罰則についてちよつとお尋ねしたいのですが、「左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。」といつて、今の第二條、第三條の届出に違反した者が罰せられるわけですが、この造船事業というものは、相当金額の多い仕事だとわれわれは思うのですが、そういう事業で勧告、届出に従わない者に三万円というような罰金は、いろいろ他の立法例、制裁例などに比べまして、あまりに形式的のように思われるのですが、政府はどういうお考えを持つておるのでございましようか。
○甘利政府委員 これは本来許可制であれば、相当の罰金に処するのが適当でありますが、単なる届出でありますので、いろいろ部内の各専門部局とも相談しまして、大体ほかの例を見ましてもこの程度であるということで、きめた金額でありまして、少いようにも思われますが、罰金ですから、あまり多くない方がいいのではないかと思つて、このくらいにしたわけであります。
○上村委員 それでこの造船事業の整備統一をはかるために、この制裁を加えて、結局届出をしなかつた場合、あるいは勧告などに従わなかつた造船業者のやつたところの船とか、それを継続して行く事業は、一体どうなるわけなのですか。
○甘利政府委員 これは勧告でありますので、強制力は持つておりませんが、しかしその勧告のもとをなすいろいろな問題につきましては、相当の専門家といろいろ審議会等で相談した結果に基いて、運輸大臣が勧告をいたしますので、この勧告に従わない場合には、通例相当の不利の條件を招くということは争えないと思います。従つて罰金が少いとか、あるいは強制力はなくても、相当具体的の問題において非常に不利を招くことは争えない。かように考えております。
○上村委員 罰金がある以上は、その罰金で制裁をして、そうしてその法律の命ずるところに従わしむるということですが、その罰金が非常に軽い。大きな造船業者にとつては、三万円くらいの罰金はへでもないから、それを覚悟してどんどん自分かつてなことをやつた場合に、法律以外の何かの制裁があるというようなことは、立法技術の上においては、はなはだおもしろくないものではないかと思うのですが、この点政府はどういうふうに考えておりますか。
○甘利政府委員 今の設備をかつてにするということについては、この規定のほかに関係方面からメモが出ておりますので、その方面からもある程度制限を受けますし、また勧告に対して服従しない場合には、おそらくそういうことはあむ得ないと思います。先ほど申しましたように、相当專門家の意見を取入れた勧告でありますので、それに服従しない場合には、非常な不利を招くことは明らかでありますので、その勧告を受けないということは、今ここでは想像できないと思います。
○上村委員 これは議論になりまするから、私はそのくらいにしておきますが、この造船法の体裁は、どこまでもこれは届出主義、あるいは勧告主義で、相当運輸大臣の権限が強くなつているわけです。第一條には「この法律は、造船技術の向上を図り、あわせて造船に関する事業の円滑な運営を期することを目的とする。」こうなつておりますが、法文の体裁から言うと、これが届出なり勧告とそぐわないように思うのですが、その点政府はどういうお考えを持つておりましようか。
○甘利政府委員 この法律に強制的に従わせまして、この事業の運営の円滑を期する方法もありますが、現在においてはむしろそういう強制的の運用をいたさず、むしろ勧告であるとか、届出制によりまして、しかもそれが権威ある勧告であれげ、この法律の運営も民主的にうまく行くのではないかというような見解から、こういうふうにしたわけでありまして、第一條の目的とほかの届出なり勧告が、全然趣旨が違うということはあり得ない。こういうふうに考えております。
○上村委員 やはりわれわれの立場から、この法律の体裁は、独占的な造船業の奨励であつて、今政府委員も言われたように、法律外の制裁をもつて、一部の大きな資本の難船業に寄与するように思われるのですが、そういう懸念は政府においてはないというお考えなのでありましようか。
○甘利政府委員 先ほど私が申しましたように、不利になるといいますのは、届出をしないとか、あるいは勧告に従わないための不利ではなく、そういうことをしない結果、自然権威ある勧告に従わなければ、やはり大体においてその計画が間違つて来るというようなことです。自然に不利になるわけでありまして、積極的に不利にするところのものではございません。
○上村委員 言うまでもなく、四月一日から海運の一大変革が民営となつて現われるわけですが、この非常な海運業にとつての大危機を招来するような変革のある、海運の事業の一つとしての造船業でございますが、こういうふうな法律をこしらえるということだけで、どうにもできないのではないかと思うのですが、もう少し造船業の立場からも、いわゆる隷属制に利用されることの方でなく、中小企業の造船業に対してでも、法律をもつて保護するというようの建前から、立法された方がいいのではないかと思うのでありますが、そういう点は政府はどういうお考えですか。
○甘利政府委員 もちろんこの法律だけでは十分とは言えませんが、しかしこの立法の趣旨も、大体今度の海運の新体制に即応して、造船の技術、あるいは経営の面から、なるべく業者の方に協力して合理化して行きたい。いわゆる船価の点については、船価を下げて行きたいというふうなことを考えておりまするので、大きな造船所についても、あるいは中小造船所についても、ある程度の保護と申しますか、利益になると考えております。
○上村委員 この造船業と今度の海運の民営の結果、船が余つて繋船が多くなるというのですが、それらに対する政府の調和といいますか、そういうことについてはどういうふうなことになるのでしようか。
○甘利政府委員 船が余ると申しますのは、結局荷の少いこともありますが、外国の船と競争して技術的に劣つているために、日本の船舶が外航へ出られないという点もあります。そういう点については、この法律によつて造船技術の向上をはかり、なるべく優秀な船をつくる。しかも船価を安くつくることによつて、逐次外航の割込んで行くことができるというような点で関係がございますし、また造船事業の方面に関しては、ただいま設備として相当過剰でありますので、これらを合理化して、設備の近代化をやり、修練費であるとか、あるいは経営費を下げることによつて、外国のいろいろな補修船、新造船等も十分取入れる。そういう面からもこの法律は、今度の運航自営の問題に関連があつて、ともに有効に働くと考えております。
○上村委員 今の点は略しまして、運輸大臣がおれば、運輸大臣にお伺いしたいと思うのですが、海運の労働者諸君は、今不安を感じて下船しないというような空気があつて、非常に争議的気分があるようですが、政府としては今繋船しておる船の労働者に、予備員給を与えて救済するということになつておるのですが、下船した者は、つまりずつと下船して、予備員給で救済して行くというような方針らしいので、すが、そうなると、結局乗つておる人はずつと乗つておる。それから下船した人は永久に下船するというような形で、一時的な給料をもらつておるのですが、それが日がたつに従つて、だんだん転職するとか何とかいうことになつて来るので、非常に不安を感じておるのでありますが、このいわゆる繋船の船に乗るというのと、普通に結局下船しないで乗り込んでいる船員とを交代に下船さすというふうな方針をとるというようなことをお考えになつておりませんですか。今の造船法とは間接の関係ですけれども……
○山口(傳)政府委員 お答えいたします。まず最初に、先般の運輸委員会で、今回の繋船に伴う下船者に対しましては、予備員給を保障するように関係方面に懇請中だと申し上げましたが、数日前にその点は内意として、関係方面ではそのことを内定したようでありますから、ただいまおつしやる通り、下船者に対しては予備員給を出すことは、間違いのないところだと思います。将来乗船者と予備員との間の適当な交代を考えておるかというお話でありますが、この点につきましては、どの船を繋船にまわすかという問題、並びに繋船した場合の船員を何箇月続けて下船させるか、あるいは適当に交代させるか、要するに繋船の具体的内容につきましては、ここ数日中に船主協会と海員組合との間で、その具体的内容の交渉が始まる予定になつております。多分組合側の意向では、今回下船した人が、その船の動くまで全然乗船の機会を得ないというのは非常に困るので、組合側の意向としては、これは頻繁にかえることはなかなかむずかしいのでございますが、適当に交代して参るような意向で、船主側と具体的な内容の相談を始めることと考えております。
○上村委員 繋船しておるというのは、結局荷物が動かないからですが、これはやはり政府の政策として、荷物を動かすということが第一でなければならない。海運にしても、造船業にしてもそうだとわれわれは思うのですが、この際荷物を動かすとすれば、今の中共とか、あるいはソビエトとか、あるいは朝鮮というようなものとどうしても交易をしなければ、荷物が動くわけはない。従つて船も動くわけはない。いろいろの船の問題、造船の問題が問題になつて来るのですが、そういうことについて造船の立場からいつても、政府は深刻に考えるべきではないか。この際特にそう思うのですが、これは、運輸大臣でなくても、政府のそういう専門家の御意見を承つておく必要があると思うのですが、その点いかがでしようか。
○山口(傳)政府委員 私が直接担当いたしておりませんから、十分なお答えができるかどうかわかりませんが、ただいま私の承知しておるところでは、御質問のように、積極的に荷動きができるような方策を立てるのがこの際最も肝要だ、御意見の通りでありますが、むろん運輸省といたしましては、これからの外航進出、あるいは荷物のとりまとめと申しますか、出まわるように荷物を探すという面におきまして、できる限りの努力をいたすことは当然でありまして、今日までたとえば近くの韓国との間の通商協定、あるいは債務協定というものは、すでに折衝が始まつておりますし、ただお話の中共方面のことはよく存じませんが、どういうふうな形で問題を打開して参りますか、船員の方々もよく、中共と何とかしたら船が動くのではないかというお話がございますが、この点はそう簡単には参らないようであります。南方方面につきましても、今度のメモランダムによりまして、定期航路というものが曙光を認めて参りましたので、目下各海運会社から、いろいろの定期航路について申請が出し始められております。これが現在の建前では、C・T・Sの審査を受けるわけでありますが、だんだんと道が開けて来るのではないかと思います。そういうふうにして定期航路でもできて参りますれば、荷物もそれについてまわろうと思います。政府としては、できるだけ船を動すことが積極打開策でありますので、むろん今後も最善の努力をいたすつもりでおります。
○上村委員 これは前後しましたが、造船法による新規の造船計画というようなものが、政府に立てられておるのでございましようか。
○甘利政府委員 造船法による新規の計画というものは、ちよつと関係はございませんが、しかし昭和二十五年度の新造船計画といたしましては、海運の方との関係におきまして、相当荷動きがある予定でありまして、現在の計画においても、時に外航に出る船腹が足りないのでありますので、昭和二十五年度におきましても、予算あるいは見返り資金の許す範囲において、なるべく多くの優秀船をつくつて、海運の方に寄与すると同時に、造船業者もある程度救いたいと考えております。その計画といたしましては、最も問題になりますのが、今の金融情勢においては資金の問題でありまして、自己資金だけではとうてい満足な造船計画もできませんので対日援助見返り資金を十分に活用してやるつもりでございまして、現在昭和二十五年度としては、見返り資金百六十億というような線で折衝をいたしております。もしこの線で解決つけば、戦時中の戦標船と申しております比較的性能の悪い船のうち、一万トンのタンカーを六隻、あるいは二A型と称しておりますところの六千六百トン型の貨物船約大隻を、性能のいい船に改造したほかに、十万トンないし十四、五万トンの新造船ができる予定であります。
○上村委員 こり新造船と繋船しておる船との配置といいますか、それはどういうぐあいになつておるのでしようか。
○甘利政府委員 主として繋船と申しますのは、国内航路に従事する船でありまして、この方におきましての船腹は、現在の荷動きでは相当過剰であります。新造いたしますのは主として外航にまわる方でありまして、この方面はここ当分の間、資金、資材の許す範囲において、日本の全能力をあげて新造いたしましても、まだ足りない程度であります。
○上村委員 そうすると新造船は、主として外航の方へまわるというのですが、どつち方面へどうということは、大体案ができておるわけでございましようか。
○甘利政府委員 先ほど船員局長からもお話がありましたように、定期航路が活溌になりますれば、はつきりした筋道が立ちますが、現在のところでは主として不定期艦でありまして、しかもその都度関係方面の了解を得て配船することになりますので、どの方面に船が配船されるかということは、前もつてはつきりはわかつておりません。
○上村委員 最後にもう一点だけ、台湾の方の航行については、一体どういうふうになつておるのでございましようか。
○甘利政府委員 この方面にも相当荷の動きはございますが、しかし今のところは定期航路化しておりません。その都度荷のある場合に応じて、適当な配船をしておるような状況であります。
○稻田委員長 ほかに質疑の通告もありませんから、本日はこの程度で散会いたします。 午後三時二十三分散会