通商産業委員会 第4号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1949/11/15
会議録
○委員長(小畑哲夫君) では只今より委員会を開会いたします。昨日の委員会で決定いたしました税制改革と産業振興対策に関する調査に基く税制改革の証人として、経団連の理財部長内山徳治君に出席を頂いておりますので、証言を得て、大いに参考にいたしたいと存じます。では証人の宣誓をお願いいたします。 〔総員起立、証人は次のように宣誓を行つた〕 宣 誓 書 良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。 証人 内山徳治
○委員長(小畑哲夫君) では証言をお願いいたします。
○証人(内山徳治君) それでは大体の結論的なことを申上げてみますと、範囲が産業振興対策ということでございまするから、企業に対する課税の問題だけを申上げてみたいと思います。 今度のシヤウプ勧告による税制改革の内容は、概観いたしまして、収益力が相当に高くて内容のいい会社に対しましては、相当税負担が軽減するような仕組に相成つております。ところが収益力が低くて現状においてやや困難な状態にあるような企業にとりましては、却つて従来に比べまして税負担の増大するところが相当多いのであります。ここに一番根本の問題があると私考えるのでありまして、いい会社は非常に負担が軽くなりますが、概して収益力の低い会社が負担が重くなる。そうして現在の日本の大体の企業の状況はどうかと申しますと、名目的には資本金が非常に小さくなつておりますから、名目的には相当の利益率があるように見えますけれども、インフレーシヨンによつて貨幣価値の低下した分を修正して考えますると、非常に収益力が低くなつておるところが、まあ大部分と申してよいのであります。殊に資産再評価をいたしますると、それに伴つて資本勘定も狂うわけでありますが、そうして又一方減価償却が殖えることになりますが、そうなりますと、一層、もう利益どころではなく損失を決算の上で出さなければならないような会社が非常に多い。で、そこからいたしまして、まだ私共も十分正確な統計的な調査はできておりませんけれども、どうも概観して、今度のシヤウプ勧告による税制改革というものは、企業にとつては負担の過重になる面が非常に強いと実は考えられるのであります。 そのことをもう少し分析して申上げますと国税としての法人税と、それから今度シヤウプ勧告によりますと、府県税としての附加価値税と、それから市町村税としての不動産税と固定資産税というものと、それともう一つは、今度は取引高税が廃止になる。大体この四つの大きな要素を総合して考えないと、税の負担の変化が分らないわけでありますから、これを全部総合した結局のバランスの結論がどうなるかということは、これは税の種類がおのおの違いまするので、はつきりした比較ができ兼ねまするけれども、まあ一つ一つをとつて大体の状況を考えてみますると、法人税は、これは申上げるまでもなく収益課税でございまして、収益に対する一定の利率で課税しておるわけであります。その収益課税である法人税が、従来三五%の低率による課税の外に、超過所得に対しては累進率で課税する、その超過所得は今度廃止されたのでございます。 それから地方税としての事業税が、従来やはり収益課税で、概ね一五%乃至一八%程度の課税が行われておりましたのが、これがなくなりまして、その代りに附加価値税と固定資産税が出て参つた、まあこういう関係でございます。従いまして法人税だけをとつて見れば、明らかに減税になつておるわけでありますが、それに代るものとして、附加価値税と固定資産税が出ている。この附加価値税と固定資産税に対して、取引高税が廃止になつた関係を、ここで又バランスして考えなければならない。こういうことでございます。ところが取引高税も勿論そうでありますが、附加価値税というものも、固定資産税というものも、収益課税でなくして生産若しくは取引の量に応じた課税或いは固定資産税は資産に対する課税、こうなつておりまして、そういうものが収益と一定の比率で動いておる、附加価値というものが大きければそれだけ収益が大きいということであれば、大体収益課税に比例して参りますが、必ずしもそうでないところに問題が生ずるわけでありまして、収益があつてもなくても、いわゆる附加価値の発生量が多いと見られるところには附加価値税が余計かかる。それから収益力が非常に下がつておつても、固定資産を沢山持つておる事業に対しては、固定資生税が非常に多くかかる。そこで収益力の低い産業においては、従来の事業税でありますれば収益が低ければ税負担も少くて済んだのでありますが、今度は附加価値税にしましても、固定資産税にしましても、収益が少くても税はやはり余計取られる、そこで収益力の比較的低い企業について、従来の国税としての法人税及び地方税としての事業税を合わせました負担に比べて、今度の新らしい法人税とそれから附加価値税及び固定資産税と合せたものを考えますと、非常に税負担が重くなるというところが非常に沢山出て参るというようなことが考えられるわけであります。尤もこの負担の課税の状況は、税率がどれくらいになるかということがまだはつきりいたしませんので、附加価値税にしましても、固定資産税にしましても、シヤウプ勧告案に示されておりますような税率でありますと、非常に重くなりますが、これはどうもその後段々実情を研究しておりますところでは、シヤウプ勧告案にある税率よりは相当低くしても、シヤウプ勧告案に予定しておる程度の税収は挙げられるように考えられますから、税率は相当低くなると思いますが、低くなりましても、やはりそうした関係が起つて来ると思うのであります。 それで附加価値税及び固定資産税のおのおのにつきまして、少しく御説明を申上げたいと存じますが、先ず附加価値税はこれはシヤウプ勧告案では、取引高税を改善した税である、従つて大体において取引高税に代わる税というふうに一応考えられるわけでございます。取引高税では非常に重複してかけられることがあります。従つて縦断的に一貫作業的な方式をとつておる企業と、そうでなく各生産段階が別々になつておる企業とで負担の非常な不公平が起きる、それをなくしたのが附加価値税、こういうことでございます。併しこの附加価値税はすでに府県でいろいろ論議されておりますように、非常に新らしい税でございまして、まだ世界のどこでも実施した経験がない、ただ理論的に研究されておるだけのものでございましてその考え方もなかなかむずかしい観念からきておるのでも、これを先ず理解することに相当時間を費やしておるような次第でございますが、この税につきまして経団連としての意見は、お配りいたしました「附加価値税の実施に関する意見」というのに纏めてございまするから、あとでお目通し頂ければ幸いと存じまするが、その大体の要点を先ず申上げで見ますると、シヤウプ勧告案による附加価値税の対象になりますものは、極く荒つぽく現金収支の面から見て、企業がその期に受入れた収支の中から、資本的なもの、つまり借入金とかそういうものを除きまして、そうしてそれから総支出を差引いたもの、その総支出のうち人件費は差引かないことにする、機械とか設備とかいうものに支拂つたものは全部差引いて行く、これが極く荒つぽい考え方でございまして、それを更に細かくその観念をはつきりさせるために、収入の方でも、支出の方でもいろいろ差引く項目が出て来る、というのが勧告案を文字通り読みました場合のこの税の課税対象になつておるわけであります。そういう考え方でございまするから、いろいろな要素がこの課税対象の中に含まれておりますが、荒つぽく申しますると、大きな要素としましては、結局企業の利益とそれから人件費とその外に利子、地代、家賃等が問題になる、こういうことでございます。又理論的にむずかしく申しますると、ケインズの費用の理論に関連を持つておるようでございますが、そうむずかしく申しませんで、簡單に申しますと、結局利潤と利子と地代及び家賃、それから給與所得、この四つのものを合せたものが附加価値の基礎になり、それに対して課税をするのが、それを標準として課税をするのが附加価値税である。こういうことになつておるわけでございます。ところがそういう附加価値がどこで生ずるか、生じたところで税をかけるということは、企業の中でその四つの要素に当る附加価値の生じたときに、それに対して課税をする。こういうのでありますが、企業についてその四つの要素を考えますと、企業と企業との間の取引が非常に沢山ありますために、利子にしましても、或いは地代、家賃のようなものにしましても、企業と企業との間の取引がございまして、それをどうみるかということが非常にむずかしい問題になつて来るのでございます。そのためにこの問題は理論的につつき廻しますと非常にむずかしくなりまして、ちよつと私も短時間では到底説明できませんし、又実際問題としても非常にむずかしくなるのであります。そこで経団連におきましては、そういうむずかしい理論はまあゆつくりやることがよかろうけれども、差し当りこの税は、要するに実際問題としては従来の地方税としての事業税に代わるべき税として考えられているものである。性質は取引高税を改善したものであるかも知れないけれども、財政上の実際問題としては従来の地方事業税に代わる税として附加価値税というものが考えられる。こうみて大体差支えないのでありますから、勿論それをとります地方自治庁が、今度は都道府県だけであるとか、そういう違いはございますけれども、まあ大観してそう申すことができますので、従来の地方事業税と比べてあまり急激な断層がそこに生じないようにする、同時に従来の事業税と比べた場合に非常に不公平が起きる。従来事業税がかかつていたところに今度附加価値税がかからなくなるとか、或いは従来事業税としては僅かしか負担しなくて済んだところが非常に重くなるとかいうことは成るべく起らないようにする方がいいじやないか、こういう意味におきまして余り理論に拘泥せずに相当実際的な考えを入れて実施に移さなければいけないということを先ず基本として考えに入れたわけであります。ところがそういうふうな大体の考え方から、いろいろ検討して参りますと、どうもこの附加価値税というものは、どういうふうに考え方を変えてみましても、従来の事業税に比べると非常に大きな変化になり、実際問題といたしまして、どれくらいの負担の増減になるかということを個々の企業について調べてみますと、税率の如何にもよりますが、或る企業では従来の事業税の税二分の一、或いは三分の一くらいに税が軽減されるという場合もときには起る。ところが極端な場合には、従来の事業税に比べて十倍、或いは数十倍に負担が殖えて行くというような場合も起りまして、特に収益が比較的低い企業で、その負担の殖え方が非常に大きいところでは到底企業の現在の収益力を以てしては負担するに堪えないと考えられるようなふうに税が重くなるところも出て参ります。そういう状況でありまするので、どうも税を負担する方の側で集まりましてどうするのがいいということを考えましても、意見が非常にまちまちになりまして、なかなか一致し難い点もございます。それでどうもこれは一遍に実行することは非常に無理ではないか、従つてでき得るならば暫く従来の事業税そのままか、或いはそれに極く、できるだけ近いものに止めて頂いて、そうしてもう少し時間をかけて研究した上で余り急激な変化、混乱の生じないような方法で逐次にこれを実施して行く方がよいではないかという考え方が、意見が非常に強いのでございます。併しまあそういつまでも延すことができない。実行するということであるならば、ここに最も、できるだけ簡單な方法をとることにいたしまして、結局収益と、それから人件費とを課税対象にして貰うことが一番簡單ではないか。シヤウプ勧告案に文字で表わしてあるところに従つて参りまするというと、収益という考え方が余程変りまして、先程ちよつと申上げましたように設備、機械等のために支拂いました経費を差引いた残り、こういうことになりますので、新らしい建設等がありますときには、この方式による課税対象が非常に小さくなる、そのために極端な場合には、一方で人件費が相当ありましても、それを全部相殺して税がかからないで済む。それよりも新建設用の費用の方が遥かに大きいとような場合も相当に出て来るのであります。で、この点は、併し法人の場合には特にそういうやり方は不合理であると考えられますことは、通常の会社の経理の仕方では、減価償却によつてそういう建設資金を年々逐次に差引いて行く、償却して参る。そうしてその耐用命数が盡きました時分には、又新らしい、同じぐらいの能力を持つた設備を入れて、実体資本を維持して行くというのが基本の観念になつておりまして、その観念に従つて会社の経理が行われておるわけでございます。ところがこれをそういう方法でなしに、その期に買入れた機械、設備等を全部差引くというような方式で参るとしますと、この付加価値税のために特別な帳簿を備え、特別の計算をしなければ課税対象がはつきり出て来ないという問題がございます。それからもう一つ、企業の側から見て実際問題といたしまては、この差引き計算の方法で行きますと、新しい建設が行われておりますときには、差引かれる金額が非常に大きくなりますから、課税対象が小さくなるという利益はございますが、その代り古い資産の減価償却、普通の減価償却の方法で続けられております減価償却というものは、差引かれないということになつて来るわけでございます。そこで新らしく建設をし、機械を借入れることが、非常に大きい企業では、非常に小さくなりますが、古い設備を沢山持つておつて、それの減価償却をして行かなければならぬような企業にとりましては、非常に損になる。で、この関係はただ單に損得ということでなしに、実際上非常に負担の不公平になるという点もございます。それから又そういうふうにして、非常に負担に凸凹ができますために、財政上から見ても非常に好ましくない。まあ大体主なる理由としましては、そういつたようなことからいたしまして、この差引き計算は、是非これは普通の減価償却の方法によるようにして貰いたい。今地方自治庁で研究されておりますところでは、まだその点がはつきり解決がついておりませんので、民間の団体としては、その点を大部分の業種がこれを要望しておる次第であります。併しこれにつきましても、この意見の最後のところに附記をしてございまするが、やはり業種によりましては、古い資産というものは余り沢山持つておらない。戰災などで殆んどなくなる。新らしく建設して行かなくてはならない面が非常に強いというような業種におきましては、やはりシャウプの言つているような、極く楽な方法で全部を差引く計算にして貰つた方が、産業の復興上非常に都合がいいという点もございまして、業種によつては必ずしも意見の一致し難い点が、これ又あるような次第でございますが、併し私共今まで研究しておりまするところでは、税の負担の公平という見地から考えて、又最も妥当な方式ということから考えますと、普通の法人或いは個人企業におきましては、青色申告を行なつて減価償却が認められる個人企業につきましては、通常の減価償却法によつて利益を計算して、それに課税をするという方式が一番妥当であるというのが、現在得られている結論でございます。そういう利益と、それからそれに人件費を合せたものに課税する。そういうふうにいたしますと、地代と家賃とが拔けてしまうことになりますが、これは理論的には、その二つが拔けますことは誠に不合理でありますけれども、実際問題といたしましては、現在のところこれら二つの要素につきましては、企業と企業との間の重複を取除くことが非常に困難で殆んど不可能に近いと思われるのであります。これがはつきり捕捉できるようになりましたときには、これに課税するのも一つの方法と考えられますが、現状においては少くともそれは非常に無理であると思われるのであります。そういつたことからいたしまして、この二つの要素を除いて、人件費と利益に課税するようにして頂きたい。それから税率は、四%或いは六%というようなことが言われておりまするが、それ程高い率にしなくても、二%くらいでも大体所期の税収は挙げられるのではないかということからいたしまして、税源は変えないとしても、二%見当までは下げて頂きたい。勿論従来の事業税との間の断層を少くするという意味から申しますと、二%でも相当負担が重くなるところが沢山出て来ますけれども、まあそれは実行するとすれば或る程度止むを得ないではないか。こういうようなふうに大体考えております。 それから次に、固定資産税につきましては、これも第一年の一・七五%の税率を大体一様に第一年度は実行すべしというふうなことになつておりまするが、これも一・七五%を全部の固定資産にかけますと、相当に負担が重くなりましてそれと附加価値税を合はせますと、従来の事業税に比べて一層負担の重くなり過ぎると思われるところが沢山出来るようでございます。それでこれも税率を成るべく低くする方に考え方を向けて行く必要がある。ところがシヤウプ勧告におきましては、従来の不動産税、つまり地租と家屋税との二つを合せた全体の税収が、従来の税収の約三倍になるようにしたいということになつております。その従来の総税収に対する三倍の税収の中に、従来は税をかけておりませんでした機械設備等に対する課税を含めて考えているのであります。ところがシヤウプ勧告におきまして、その大きな問題は固定資産税に、或いは不動産税の課税対象が拡がるということと、もう一つは、評価を従来のままの評価でなしに、評価を引上げるという二つでございまするが、土地と家屋の評価については、従来の賃貸価格を千倍したものを以てこれを資産価格として、これに対して一・七五%の税率をかけるべしということになつております。ところが千倍という評価の評価替えの仕方により問題がございまして、再評価の場合の評価の方法によりますと、シヤウプ勧告では、やはりこの再評価の方の評価の方法と、固定資産税をかける場合の評価の方法と二色になつておるのでありますが、再評価の評価方法では、家屋につきましては、取得価格から減価償却を差引いた残りのものに一般の物価指数をかける。一般の固定資産の再評価と同じような方法がとられております。土地につきましては、取得価格に勧業銀行の調査による市街地の土地の価格の変動指数をかけたものを取る。こういうことになつております。それは再評価の方の評価でございます。ところがそれに対して固定資産の、固定資産税の評価の場合には、従来の現行の賃貸価格を二百倍して、それを更に五倍して、即ち千倍いたしまして資産価格に直してこれを標準にして課税する。ところがここに非常に問題がありますのは、只今の固定資産税の方に示されております一千倍という数字を取りますと、再評価の方法で評価したのに比べてこれが非常に高くなるのであります。大体個々の企業等につきまして、事業用の家屋或いは土地についての計算をいたして見ましたところでは約二倍見当になるのであります。再評価方式の方が一に対して固定産資産税の評価の方式、賃貸価格を千倍したものはそれの約二倍になる。でシヤウプ勧告案では、固定資産税の課税の対象としての評価は、資産再評価による評価を最低限度としてそれより高くなる分は差支えない。こういう考え方になつておりますので、その通りに行きますと千倍した数字を取ることになるわけですが、それだと非常に高くなる。高くなるだけならば、再評価の評価の方が低いということであればいたし方ないのでありますが、実際見ますと機械的に現在の賃貸価格を千倍いたしましたのでは、実際の売買価格に比べて非常に高くなるところが相当出て参りますので、この点は是非固定資産税の評価方法を変えて頂きまして、実行するにしても、これはやはり再評価の評価の方法と歩調を合せて、そうして無理の起らないようにすることが是非必要であると思われるのであります。最初の第一年度は少々低目にして丁度従来の税負担に比べての断層が余り大きくならないということになるわけでありまして、税収の計画をひどく狂わせては困ると思いますが、そうでない限りやや低目にして置きまして、将来段々とこれを年々評価替えによつてそれを修正して行くという考え方が妥当であると思われるのであります。それでそういうふうにしまして土地家屋についての評価も一千倍という数字は少し無理だと思うのでありますが、併し仮に一千倍という数字を取つて、それに一・七五をかけますと、それだけで従来の不動産取得税に比べて三倍以上の税収が挙がる計算になるのであります。即ちそういう方法を取りますと、機械設備等に対する課税が新らしく加わるだけ、従来の税収の三倍よりも又それだけ大きく税収が取れるという結果になつて参ります。そこまで行く必要は勿論ないのでございますから、これは土地家屋の評価をもう少し低めると同時に、大体所要の税収が得られる程度において、税率はできるだけ低くするということで、是非そういうふうにシヤウプ勧告案を変えて実行して頂く必要がある、こういうふうに考えます。そういうわけで附加価値税についても固定資産税についても、税率はまだもう少しよく検討して見ませんと、果して幾らにするかということがはつきりいたしません。 それから取引高税の撤廃がございますが、これも業種によりましてその恩恵を一〇〇%受けるところとそうでないところとある。それから取引高税の外に消費税についても軽減されるところもございましてそれを従来企業が負担しておりましたところでは、これもそれだけ軽減になりますから、全体を差引きしての計算は非常にむずかしゆうございますが、要するに企業によつて相当負担の重くなるところがある。それがどの程度にあるかということを一つよく調査いたしまして、余り日本の産業に無理が起らないように、非常に無理の起る危險がある場合には、そういう産業に対しては相当業種別に考慮を拂いましてこれを直すことを是非考えませんと、今後の日本の産業政策上困ることが起るのではないか、こう思うのであります。非常に簡單でございますが、以上の点につきましては問題点だけを指摘いたしまして、次に再評価の問題について簡單に現在考えております結論だけを申上げて見たいと思います。 再評価に関するシヤウプの勧告は、理論的には非常にいいところをついておりますが、併しどうもよく調べて見ますと、私の感じでおりますところでは、少くも二つの大きな誤りがあると考えております。これはあの調査団が参りまして、この再評価に関する案を最後に取りまとめたのでありますが、非常に時間が足りなかつたと思われるのであります。最後のぎりぎりのところまでかかつてあの案をまとめたのでありますが、非常に時間が足りなかつたために考え方が不徹底になつておるところが一つある。それは理論的に見てもそういう誤りが一つあると思われるのであります。それはどういう点であるかと申しますると、個人の持つておる資産に対する再評価の、再評価税のかけ方の考え方でありますが、個人の所有する資産の再評価に対する再評価税のかけ方と、それから法人の再評価税のかけ方との間に根本的に違つた結論を出しておりますが、これはもう少しよく検討して統一した考え方によるべきであつたと思うのであります。もう少しその点を具体的に申上げますると、結局個人の資産に対しましては、讓渡された時、或いは減価償却が実際に行われた時に再評価税をかけるという考え方であります。これは固定資産についての名目所得が実現した時に、その名目所得のうちから、それは名目所得でありますから、本来課税すべきでないという理論は、一方で成立つのでありますけれども、とにかく名目所得にせよ実際に所得が得られた時に、その所得のうちから六%の再評価税を取るという考え方になつております。ところが法人の再評価に対しては、全く考え方を変えまして、再評価の差額を基準にしてこれに六%の税を直ちにかける。三年間の分納ということはありますけれども。直ちにかける。従つて法人の場合には名目所得が実現した場合にその名目所得のうちから税を取るのでなしに、全くの財産税、資産税になつてしまつておる。こういうことでございます。ところがこの再評価の場合のそういう意味の財産税、或いは資産税というものに非常な不合理がございまして、元来再評価の狙いといたしますところが、減価償却と非常に密接なる関係を持つておるのでありますが、減価償却というのは年々償却として参りまして、或る一定の年限が参りますと、その資産の価格を全部償却してしまうということになつておるわけであります。従いまして償却年限の長い資産、つまり将来償却すべき部分が沢山あるような資産については、それだけ評価の差額が多く出る。その評価差額を基準にして税をかけますと、そういう資産については税が非常に重くなる、今後償却すべき部分が少ししか残つていない資産については、税の負担が軽くなるという関係になります。この点は計数的にはつきり証明ができるのでありますが、シヤウプ勧告書の中では、この点に気が付かなかつたらしいようでありまして、むしろ逆に償却年限の少い資産は、残骸価格というものが償却の対象にならないだけ負担が重くなる。償却年限の長いものの方が負担が楽になるのだというふうに記述しておりますが、これは全く反対でありまして、残骸価格がありましても、残骸価格についても又再評価を行えば再評価の恩恵は得られるのであります。ただ評価の恩恵というものが減価償却という形で来ないで、将来それを処分したときに、その処分価格の中から物価の騰貴した分を差引いて貰えるという形で恩恵が得られるという点が違うだけでありまして、これはシヤウプ勧告の明らかな間違いであると思うのであります。これを実際に当嵌めますと、結局法人の再評価についても、減価償却が実際に行われて行く状況等を睨み合せて、実際に減価償却が行われたものから再評価税を取るという観念に考え方を切り替えることが必要であるということになつて来るわけであります。勿論技術的には、そう二十年、三十年に亘つて取らなくても、それを現在の価格に直して一遍に取ることはできるのでありますから、これは是非そういうように考え方を変える必要がある。この点が一つ。もう一つシヤウプ勧告の誤謬を犯したと思われる点は、日本の企業の実体に対する認識が、これ程現在の日本の企業の收益力が下つておるということを前提にすべきであるところを、そうやりませんで、むしろインフレーシヨンに伴つて企業の收益力も高まつておるということを前提として、再評価の方法を考えておる。この点に第二の大きな間違いがあるのではないかと私は思うのであります。この第二の誤謬は、結局評価基準というものを可なり一律に強制するような形をとつておる。ここに非常な間違いが起きているわけでございまして結局再評価につきましては、評価の基準を日本の企業の実体から見ますとどうしても一律に強制することは無理でありまして、もつと自由にする必要があるということ。それから再評価税のかけ方を根本的に考え方を変えまして、そうして個人の持つておる資産の譲渡所得に対する課税の観念と同じ考え方に直して行く必要があるということ。この二つの点に一番大きな問題があると思うのであります。時間が如何でしよう。
○委員長(小畑哲夫君) 証人にお答えしますが、丁度本会議が定刻に開かれるということを今申して来ましたのですが、委員の方にちよつと御相談しますか、あと質疑もあろうかとも思いますが、今日はとても委員会を続行できませんので、御希望があれば次回の委員会のときにもう一度御足労願つて進めてもと考えておりますが、如何でしようか。
○平岡市三君 大変よき御研究ですからもう少し詳しくお聞きするように今一度一つ………
○証人(内山徳治君) それではもうちよつと再評価のところを少し数字的なことを申上げまして、一応今日は打切つて、又後はいつでも出ますですからそういうことにいたします。税率のことでございますが……
○委員長(小畑哲夫君) それでは本会議が始まりましたから、今日はこれで一つ止しにして頂きまし……ではこれにて今日は散会いたします。 午後一時五十九分散会 出席者は左の通り。 委員長 小畑 哲夫君 理事 島 清君 廣瀬與兵衞君 委員 小林 英三君 重宗 雄三君 中川 以良君 平岡 市三君 境野 清雄君 阿竹齋次郎君 宿谷 榮一君 証人 経済団体連合会 理財部長 内山 徳治君