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6回国会参議院1949/10/28

経済安定委員会 第1号

発言数
43
登壇者
8
会派数
4
開催日
1949/10/28

会議録

安達良助民主党

○理事(安達良助君) それでは只今より第一回の経済安定委員会を開催いたします。委員長が本日事故のため出席できませんので、私代理をいたしまして開会をいたしまするが、初めて委員長の席に著くのでありますので、非常に不慣れな点がありますので、どうぞ皆さんの御協議を得まして、順調にこの委員会を進められんことを希望いたしまして、ちよつと御挨拶を申上げます。

西川昌夫民主自由党

○西川昌夫君 委員会に入る前にちよつと時間を拜借いたしまして、今回この委員会に新らしくお見えになりました横尾さんを、同じ会派といたしまして、ちよつと御紹介いたします。兵庫県から御選出の横尾さんを御紹介いたします。

横尾龍民主自由党

○横尾龍君 私横尾でございます。何にも分らないものでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

安達良助民主党

○理事(安達良助君) それでは本日の第一の議題は、日本経済の安定復興に関する調査の継続審議のことについて御承認を得たいと思います。第五回の国会においてこれらの問題を調査いたしましておりましたが、その後貿易とかいろいろな問題がまだ沢山残つておりますので、これらの問題を引続き調査をするという目的で御承認を得たいわけでございます。この要求書を提出することに皆さん御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安達良助民主党

○理事(安達良助君) 御異議ございませんので、さように決定いたします。その要求書に関しましては、委員長に一任して頂きたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安達良助民主党

○理事(安達良助君) それではさようにいたします。

安達良助民主党

○理事(安達良助君) 次に議員派遣要求書につきまして、お諮りいたします。派遣の目的は、最近の経済情勢下における各産業、特に中小企業の実態及び経済施策等の実施状況並びにその影響につきまして実地調査をしたいというのが目的でございます。それで只今の議員派遣の要求書につきまして皆さんの御意見を拜聽したいと思います。

西川昌夫民主自由党

○西川昌夫君 内容の大要を御紹介頂いて、そうして決定いたしたいと思います。

安達良助民主党

○理事(安達良助君) それでは只今西川さんの方からお話がありましたが、派遣期日は十一月の二日頃より十一月の七日頃まで六日間ぐらいの予定でおります。次に派遣地は大阪府、兵庫県、愛知県、この三県に参りたいと思います。それで調査地に参りましての大体の内容は、中小企業の実態並びに金融関係、これらの問題を中心といたしまして、関係の代表者の集会をお願いしまして、いろいろその事情を調査し、又経済調査庁或いは安定局方面の内容を調査いたしまして、今後残つております経済安定の機構の問題についても一応知識を得て置くというような事柄を中心としてやりたいという考えでございます。

西川昌夫民主自由党

○西川昌夫君 目的その他行先、期間等につきまして私は妥当だと思いますので賛成いたします。

安達良助民主党

○理事(安達良助君) 西川委員は御賛成のようでございますが、皆さん如何ですか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

安達良助民主党

○理事(安達良助君) それでは御賛成のようでございますのでさように決定いたしたいと思います。それでは以上のような趣旨で議員の派遣要求書を提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安達良助民主党

○理事(安達良助君) さように決定いたします。それではこのように決定いたしますにつきましては、その要求書の作成等については委員長に御一任をお願いしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安達良助民主党

○理事(安達良助君) 御異議ないようでございますからさように決定いたします。

安達良助民主党

○理事(安達良助君) それでは本日の議題となつておりますポンド切下の影響と対策について、政府及び民間関係者の説明を聽取することになつておりますので、本日経団連專務理事堀越禎三君が参つておりますので、これから只今申上げました問題について御説明をお願いすることにいたします。

堀越禎三経済団体連合会事務局長

○説明員(堀越禎三君) ポンド切下の影響でございますが、これは経団連といたしまして目下……私の方は、ちよつとその前に御説明申上げたいのでありますが、経済団体連合会というのと、それから日本産業協議会というのと両方を私は兼ねて事務局長をいたしております関係上、日本産業協議会の方で主として只今のところではポンド切下の影響を各社に問合せておりますが、まだ全部参つておりません。極く具体的な点ではまだはつきり申上げることはできないのでありますが、とにかく車輌等におきましては相当多額の注文がありましたものが、ポンド切下後は一切注文が跡絶えてしまつたのであります。それから中小企業の方から行けば最も大きな影響はクリスマスの問題でありまして、クリスマスに売込むつもりでクリスマスの用意をいたしておりましたものが全部注文が来ない。今注文が来ないとクリスマスに間に合わないのであります。従つてこれらのものは他国に取られてしまうだろうと思うのであります。その外大体アメリカからのバイヤーも日本の円の切下について、マツカーサーの声明があつたけれども、自分達としては結局切下げるだろうと思う。従つて切下げた場合の損失をギヤランティーして呉れなければ契約が結べないということで、この間横浜商工会議所の調べましたところでは、殆んどそういうことで全く契約ができない、こういう状態になつておるのであります。ポンド切下に対して円価を切下げるべきかどうかという意見につきましては、業界では大体意見が二つに分れております。一つの方はとにかく契約が跡絶えておつて相手から何らの契約も来ないから一時も早く切下げた方がいいという強い議論も一面ありますが、一面には円価切下による国内への影響というものを考えるとなかなか簡單には結論が出せない。例えて見ますと食糧の値が上るとか、そういうことで再び賃金の闘争ということになる危險もあるということを考えると、産業家としては踏み切れない点があるという点もあります。最近日本産業協議会としましては、一応早く何らかの措置をとつて欲しいという一応の結論には達しておるのであります。勿論そういう円価の切下の他にやるべきものは沢山あるのでありまして、つまり先般のローガン氏のローガン構想と申しますか、私は新聞でしか存じませんが、ああいう構想で貿易の今までの手続上の問題とか、或いは船賃だけで蒙つております非常に不利益な点を改めて貰えば三百六十円でやつて行けるのではないかということが言われております。これを例を引いて申上げますと、従来輸入しております場合に司令部を通じてやつて、おりましたボーキサイトなど非常に適切な例ですが、従来は十七ドルと聞いております、これはオランダの方から来ておりました。オランダの商人は非常に拔目のない商人でありまして、非常に高く売付けておつたということが今度分つたのであります。そして今度他国との競争によつて七ドルぐらいに下げて来た。つまり民間でやります場合には安いところで買つて行く、ところがどうも従来はそういうことが多少官僚的といいますか、何といいますか、向うの言い値で買う嫌いがあつた。それを民間の商人がこれを買えば相当叩いて安く買える場合でも、可なり高く買つておるというようなことで、原料の買入につきまして相当そこに節約する余地がある。これができて参れば三百六十円で十分やつて行けるのではないかという点もあるのであります。粘結炭にいたしましても、これは中共の貿易になるので問題でありますが、現在カナダから二十三ドルで入つております。これが開らん炭の方では十一ドルということを言つております。これなんかも民間でやればいわゆる中共承認という問題にも触れずにやれるわれでありますので、そういうふうな点ではいわゆる盲貿易でなく自由な貿易でやつて貰えれば、可なり三百六十円を堅持することができるだろうと思います。ただ一番問題になるのは、外国のバイヤーが先程申しましたように、円の切下が絶対にないということを信頼して呉れて契約して呉れればいいのでありますが、只今のところではまだ信頼しない。恐らくドツジ氏が来てその結論でも出て、ワシントンのはつきりした声明でもあればいいかも知れませんが、現在のところでは各国とも非常に危惧を持つておる。従つてなかなか契約を結んで呉れないというのが現状であります。従つてこの影響はこのまま過ぎて行けば相当大きく響いて来るのじやないか、滯貨が相当できて来るのじやないか、而も滯貨の中には国内でも処分できないものが可なりあります。国内で処分できるものにいたしましても、現在の購買力ではなかなか処分ができない。従つて国内的に有効需要を換起して、外国が本当に日本の円の切下がないと信頼するまでの期間は国内に捌いて行つて凌いで行くか、或いは政府の補助とか何かそこに手が打たれない限りは、日本の輸出産業の相当な重要産業が危機に瀕してしまうだろう、或いは倒れるものも出て来るのじやないかと私は心配いたしております。それからもう一つ我々の心配いたしております点は、これは自転車の例を取りますると、現在自転車が輸出されておりますのは全体の一五%くらいだと業者は言つておりますが、そのうちの三分の一くらいがポンド向けであります。従いまして大体フイリピンとか、或いは沖繩とかには輸出しても、そのポンド向けの輸出ができなくなつても業者としては大した影響がない。だから輸出しないで国内向けでやつて行けばやつて行けるのだ、従つて余りこれを放置して置きますと、国内向けだけで簡單にやつて、輸出をするという努力をしなくなる、これはまあ私として心配しているのであります。日本としましては、どうしても輸出ということが真劍でなければなりませんで、こういう状態で放置して置きますと、一層努力をしなくなるという懸念もございます。それで世間で三百六十円を堅持せいという論の中には、企業の合理化がまだ十分進んでおらんから合理化を進めるために三百六十円を維持しろというような議論があるようでありますが、それを業界の方から申しますと、現在のように注文がない、国内的にも有効需要がないという現状でありますと、段々生産高を下げて行かなければならないので、生産高が減るということは即ちコストが高くなるということであります。従つて余計な首切までしなくちやならんことにもなつて来るわけであります。企業の合理化ということは結局生産を増す、生産を増せばそこで單位当りのコストが下るわけであります。生産を増すということが企業の合理化の一番大事な点でありますから、その点が現状ではできなくして置いて、企業の合理化をせいと言つても、これは非常に無理な要求になるのではなかろうかと、こういう点であります。大体の大掴みな点はその点でございますが、又いろいろ御質問がございましたら申上げます。

安達良助民主党

○理事(安達良助君) それでは只今の説明を基本といたしまして質問をやりますか。又安本の副長官の山本さんが来ておりますから山本さんから一応お話をお願いいたしましてから質問をやりますか。どちらにいたしましよう。

椎井康雄日本社会党

○椎井康雄君 説明を聞いてからに……

安達良助民主党

○理事(安達良助君) それでは副長官の説明をお願いいたしましてから質問をいたすことにいたします。

山本米治経済安定本部副長官

○政府委員(山本米治君) 私安定本部の山本であります。今日はここに貿易局長も来ておられまして、詳しい数字等を持つておられますので、私は大局観について少しお話したいと思うのでございますが、九月十八日ポンド三割強切下後世界三十数ケ国が大体この程度の切下をしたということで、今日本の貿易がその後輸出契約が殆んどないというくらい困つておるわけであります。この点に関しまして、円の切下がいろいろ問題になつております。只今もお話のありました二つの論がありまして、一方はどうしても切下げなければいけないし又切下げ必至であろうという見方と、一方政府の態度はそうでありますが、切下はしないのだ、又先般マツカーサー司令部からも切下はしないという声明があつたわけであります。通貨価値の切下、為替の切下という問題は国民経済的に非常に大きな問題でありまして、当然にも只今申しましたように注意が喚起されておるわけでありますが、どうも私の観測によりますとややこの切下を産業なら産業の立場からのみ観察されておつて、国家全体的な観察というものが一部には少いのじやないか、円を切下げてどういう効果があるかと言いますと、日本の輸出価格を三割切下げれば三割安くなるとこういうことであります。併しながら切下は両面の刀でありまして、輸入の面から見ると非常に困つた状態が起つて来ます。切下げた翌日から輸入価格というものが三割上がるということは数学的必然であります。日本が今非常に大きな入超をしておる国であるということから見ますると、輸出面において多少カンフル的な効果はありますけれども、食糧初め輸入価格というものが非常に高くなり、延いてはインフレが再燃し、国内の今の物価体系というものが全面的に動揺して来る。只今問題になつております予算というものも全面的に又組直さなければならんというような非常な広汎な影響を及ぼすのでありまして、業界の方、まあ輸出業者、これに関連するメーカー或いは証券界の方というものは概して切下論者でありまして、強く要望しておられる向きもあるのでありますけれどもこれはやや見解が私は狹いように思つております。只今申しましたように総合的にこれを判断しますと困る面が非常に多いのでありまして、全体の観察からすれば確かに切下はむしろ不利益であります。世間は少し切下の効果を過大評価しているのじやないか。イギリスはああいう経緯によつて九月に三割切下げましたけれども、これは実に止むを得ずそういう境地に追込まれて切下げたのでありますが、さてこの効果を判断するのにはまだ早過ぎるのでありますが、私はイギリスが三割為替を切下げたということだけではイギリスの国際收支というものは回復しようとは思つておりません。アメリカの相当の援助というようなことがありますれば、或いはこれを機会にイギリスの経済が危機から逃れるかも知れませんけれども、切下自体の効果というのは左程大きくない。すでに新聞に伝えられるところによりますと、イギリスは相当の物価高を来しつつある。為替を切下げただけ国内物価というものが上つてしまえば元の木阿彌になつてしまう。即ち依然としてドル不足となり、イギリス経済の危機というものが又来るわけであります。今日本の三百六十円のレートの問題を考えて見ますと、これを切下げました場合に、輸出に対しては確かにそれだけの効果があります。従つて今日輸出が非常に不振で、この頃滯貨が多いというような状況でありますから、切下の要望せられるのも一面尤もでありますけれども、只今申しましたように物価全般の問題、予算全般の問題にまあ及んで来るわけです。日本の今三百六十円における輸出状況が、イギリスの切下後非常に悪いということは事実のようでありますが、今の最近一、二ケ月の状況を以て、円を切下げたがいいかどうかということを判断するにはまだ早過ぎると思うのです。一番いけないことは、円が切下がるかも知れない、このままかも知れないという不安だと思うのであります。今国内全般にも、或いは世界全般にもこの不安があるのであります。政府及びマツカーサー声明がありましたけれども、まだ世界も日本の人も全部はそういうふうには信じていないのであります。つい最近までクリツプスが切下の最後の瞬間まで絶対に切下げないと言つておいて切下げたわけでありますから、こういうことは否定するのは定石だと、如何に政府が否定しても結局切下をやるだろう、必至だろうという不安がまああるわけであります。でありますから、切下げるか切下げないかということを、單に声明でなくはつきりと内外の人に信用するようにする措置が私は一番必要だと思う。この問題は結局アメリカの意思によつて決定されるところでありますけれども、切下げるということは報道によつて直ぐ分るのであります。併し切下げないということは否定的な声明だけでありまして、なかなか信用しにくいわけであります。私は今日日本の輸出業が一番輸出の大宗であるところの繊維については、この現在の三百六十円というもので、算盤関係から申しますと大体まだ採算が採れる。外の雑貨その他において可なり困る面もありますけれども、大部分輸出の主要商品が大体算盤が採れる。それでありますから、一方に切下による輸入面からする非常に悪い効果がありますので、それを差引しますと切下げないでやつて行けるし、行く方が有利だと思いますけれども先に申しました不安を除くということが一番必要であります。この一片の声明だけではなかなかそういうふうに信用されないわけであります。切下げないということを言う場合特にむずかしい。その場合には何らかの措置を伴わなければいけない。その措置というのは、切下の場合には簡單でありますが、切下げない場合にどういう措置があるか、これは日本の輸出振興に対するいろんな手がまだ残つておるわけでありますが、これを具体的なアクシヨンで以て示すということは私は必要だと思うのです。これに関連しまして、最近御承知の通り、西ドイツの輸出入の合同機関の理事長ローガン氏が来ておられまして、約一ケ月半の滯在の研究の結果が大体纒まりまして、司令部に対するレコメンデーシヨンの形で出されたもののごとくでありますが、その大体の構想はすでに新聞等にも伝えられておりますけれども、輸出入が従来非常な官僚統制によつて縛られておる。非常にむずかしくなつておる。これが貿易を阻害しておる一つの重要な要素だ。輸出入ともにもつと手続を簡易化し、自由な要素を拡大する。なかんずく輸出においては殆んど原則として自由にする。輸入はこのようには参りませんけれども、輸入においても輸入計画というものは年間或いは四半期別に作る。併しその枠内においては殆んど今までのような手続を、やかましい手続をしないで、各民間業者の自由なイニシアチーブにより自由に輸入できるようにする。手続等もお役所廻りをしないで、銀行に輸入業者が行けばよろしい。銀行は或る期間そこへ行つて、その計画の枠がまだ残つておるかどうか、為替資金というものが利用し得るかどうかということを電話一本で問合せ、直ちに輸入許可或いは為替許可というものを発給する。そういうような簡單な手続にする。民間の自由を拡大すると同時に、民間のその輸入業者の自身のリスクでやるというような方向に持つて行くということが伝えられておるわけでありますが、そうしますと今までのように、まあ官僚式な輸入、従つて必ずしも適切でない品物が必ずしも安くなく入るというようなことがなくなるということが考えられつつあるのであります。  もう一つの点は、今後協定貿易を盛んにするということです。ローガン氏の非常に強調しておる点は、今世界の殆んどすべての国がドル不足に悩んでおる。ドルというどこにも通用する支拂手段がないのだ。この金のない同士が貿易するには、結局協定によつて金を支拂わずに貿易するより外なかろう。これにつきましては今まで日本は十幾つでありましたか、相当多数の貿易協定がありますが、これが殆んど義務が伴わない。この物をこれだけ出そう、この物をこの程度入れようというだけでありまして、従つて実績がこれに伴わないのでありますが、今後協定貿易というものをもう少し義務付けるようにしよう。そうしてお互いに貿易量を拡大する。輸入を余り従来やかましく言い過ぎた嫌いはないだろうか。国民経済再建上絶対必要な物だけしか輸入しないということをこちらが頑張るということは、延いて相手方もそういうことになり、お互いに貿易の効果が少くなる。従つて緊要度が多少低い物であつても、こちらがそういう物を買うということは、延いて向うもそういう物を買つて呉れる、輸出になる。こういうようにして協定貿易—クリアリングというシステムによつて貿易量を拡大して行くことが必要である。こういう構想のようでありますが、こういう構想が用いられまして、遠からず実施に移されることと思いますが、そうしますと非常に貿易界に活況が出て来るのじやないか。今のところ相当滯貨がありますけれども、輸入優先という程ではありませんけれども、協定しますれば、百輸出して百輸入するということになる。仮に輸入を優先いたしましても、結局それにつれて輸出が出て行つて、延いて貿易量というものが拡大すれば、国民経済が段々栄養を取つて成長して行くことができる、こういう構想のようであります。只今一時のシヨツクと言いますか、ポンド切下に伴うシヨツクによつて、今停頓しておるのでありますが、こういう構想を入れて行くならば、今後日本の貿易というものがもつと活溌になつて行くのではないかと、我々はこの構想に対しては全面的に賛成しておるわけであります。こういうふうにして日本の貿易を盛んにすると、日本は貿易以外には生存のできない国民でありますから、どうしても貿易を伸ばすということが経済再建にとつて最大問題であります。こういう新らしい構想が入れられ、今後実施に移されるということは、誠に結構だと思つております。ただ目先の問題といたしましては只今円の先行きについて、いろいろ噂さがされておる、そこで海外のバイヤーも取引を見送つておるということであります。今少し長い目で以てこれを観察するならば、必ずしも前途そう悲観しなくてもいいじやないか、こういうふうに私は考えておる次第であります。尚ポンド切下以後の具体的な問題に、数字等につきまして今貿易局長から補充して頂くことにいたしたいと思います。

安達良助民主党

○理事(安達良助君) それでは引続いて貿易局長からポンド切下後の日本の輸出の実況、並びに今後の見通し等、特に日英通商協定の影響等についてお話を聞いたら如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安達良助民主党

○理事(安達良助君) それではどうぞお願いいたします。貿易局長の谷林正敏君のお話を……

谷林正敏経済安定事務官(貿易局長)

○説明員(谷林正敏君) それでは私ポンド切下以後、いろいろの場面に起りました影響、並びに今後の見通というようなものをお話申上げます。それで先程堀越経団連の理事からのお話がありまして、ポンド切下が九月十八日に発表されてから、相当の影響が各商人にあつたと、それで輸出商談というものは非常に少くなつたという、お話がありましたが、正にその通りでありまして、いろいろな意味におきまして影響を受けたのでありますが、その影響というものは一体どうしてそういう工合に起つたと言いますと、只今お話のありました円の先行き不安というものがあることは勿論あるのでありますが、私はそういうこともさることながら、外にもう少しこれに強い影響を与えて、外国の買手をして買わせないというようなことがあつたんではないかと、こう考えております。それはああいう切下というようなことがありますと、これはどこの国でも先ず非常な大きなシヨツクを受ける。従来買つておつたマーケツトが……どこがこれから利益があるだろうかということを、先ず捜さなければならないというような点について、勢い各買手というものが、そこに当然その情勢が分るまで待つということが先ず一つ。その第二は、切下を予想していろいろ先に買溜めておつた国が相当多いわけであります。イギリスのごとき相当原料を買つておる。そういう工合に一応これを見越して買つておつたものが、これが起れば当然そこで休むということが起るわけであります。その次には、日本にありましたフロア・プライスというものでありまして、ポンドを下げるとこれと競争するためには、日本のコストを下げなければいけないというような片方に命題がありながら、一方にフロア・プライスというものを置いて、これをつつかい棒にして置くということは当然短い期間であつて、長い期間にはそういうことは続かない。やがてこれは外されるだろうというような期待があるわけであります。そこでその外いろいろありますが、これらの三つの大きな要素というものが、外国の買手をして買わせなかつたというようなことではないかと思うのであります。実際上数字を申上げますと、九月の十九日、切下直後でありますが、それから十月十六日まで、これまでの、これは輸出契約でありますが、千九百六十五万ドルとなつておりまして、この数字を見ますると、今申上げました非常に少いということから見ますと、やや愁眉を開き得るというような気にもなるのであります。これはいろいろな事情があつて個々にプラスになる。実際個々のものから見ると、相当の打撃を蒙つておると思います。  さてそのポンドが切下げられたことについて我が国の輸出入というものが、これはどういう影響を形けるのだろうということに関して簡單に申上げます。ポンドが三割切下げられたということは一体どういうことだ。つまり従来米ドルに比較してポンドというものが非常に割高だつた。そのためにいろいろな事象が起つて、英国において赤字の財政というか、貿易尻の赤が続いて来た。そこでその物価を或る程度同じにするというような意味で切下が今度行われたのでありますが、御承知のように実際はそれより程度を超えて等率か或いは安く、等しいか或いはそれより安いという点に落ち着いたわけであります。そこで我が国といたしましては、従来ドルから買つておつたものを努めてポンドに切替えるということが今後必要なことになつて参つたのでありまして、これはどうしても今後そういう貿易にしなければならない。この点は後程申上げる協定貿易ということにも関係あるのでありますが、それは後程申上げます。それでポンドが三割切下げられた、それならその地方から輸入する品物というものは全部三割安くなつたか、又言葉を換えればポンド地域からの輸出が三割だけ向うが利益を持つておるのかということが第二の点でありますが、これはなかなか三割下げても三割というものがそのまま現われて来るわけではないと思います。先ず英国について考えて見ますと、英国はいろいろな事情、即ち非常な輸入超過である。それから主食その他の生活必需品がドル地域から相当多額に輸入されておる。それから第三にあの国の現在の物資買付方法というものが、これはいろいろな利害がありましようが、結果論として相当高目に物を買つておるというようなことになつておる。それから従来のいろいろな政策の関係上、労賃の引下げというようなことが非常に困難である。つまりコストの切下というものはむしろ望まれないで、コストが上る方こそ考えられるのではないかというようなことがありまして、ポンドが三割切下げられても、三割の利点は出て参らない。どうしても一割以上の跳ね返りがあるのではないか。これは現在九月の十八日に切下直後、シンガポールのゴムにしろ、オーストラリアの羊毛にしろ、相当程度値上りを示しておるのでありまして、国内の食糧物資その他は一%に抑えるというようなイギリスの大蔵大臣の御声明がありますが、これはなかなか将来むずかしいのではないか。ただ今回の切下にはその後ろに英国、米国、カナダとこの三国の金融協定というのがありまして、御承知のように十ケ項目の協定をしてある。このような裏付がありまして相当程度この切下を成功させることとは思うのであります。なかなかそういうような切下の跳ね返りというようなことを考えますと、果して三割がどの程度の実際の利益に出て来ますか、二割でありますか、一割八分でありますか、そこが大なる問題であろうと思うのであります。我が国側から見ますと、輸入の方はとにかく、二割或いは一割八分というその利点が出て来て、ポンド地域からの輸入物資は要するに得になる。  それでは輸出はどうかということになりますと、やはりいろいろな観点からこれは考えなければならんのではないか。ドル地域への輸出というものは、これはドルからの材料を使つて出すものだ、或いは国産品を出すものは、これは従来と変りがないわけであります。ポンド地域からの輸入品を原料として使つて、そうしてこれをドルに出すものは従来よりも遥かに利益になる。これはその中にどれだけの原料が使つてあるかということによつて、その利益度合というものは差が起つて来るわけであります。ポンド地域の方に出すものにつきましても、ドルと国産品、或いは従来の輸入しましたストックこれを出すものは変化がないわけでありますが、ポンド地域からの材料を使つて、そうしてこれを出す場合には、やはりその材料の使つている度合によつて相当の開きが起つて来る。その程度はいろいろ物によつて違いますけれども、そういうことも一応いろいろ品物によつて変つて来るのじやないか。一概に二割の切下のバランスが出て来れば二割だけの影響があるというようなことも、品物によつては非常に考え方を変えなければならないのじやないかと、こう考えております。  それから、実際上然らばどうだというようなことになるのでありますが、今回のこの切下が行われましてから、安定本部におきまして、各業界の方にお出でを願いまして、いろいろ取調べたのであります。最初一週間ぐらいに一応の取調べをいたしましたが、尚それでは不十分でありまして、その次に、十ケ月に亘りまして各業界からもう一遍いろいろ代表者に来て頂きまして調べておるのでありますが、まだ完全に全部は終つておりません。そのときの印象、並びに方々のそういう業者の方からいろいろ伺いますと、外地における従来存しておつた値鞘、それから今後どれだけの企業整備によつてコスト引下げができるか、或いは従来の利益程度がどのくらいあるか、或いは補給金が取られていろいろ打撃が多いというような、品物によつていろいろ違いがありますが、大体のところを若し結論として出すといたしますると、些少のそうでない品物もあるのでありますが、大体の結論といたしましては、今のままでも苦しいができると、併しそれにはいろいろの條件がある。その條件はともかくといたしまして、とにかく苦しいけれども大体これは行くのじやないかというようなことを聞いておるのであります。ただ或る種の製品については、これはどうしても困るというようなことも勿論聞いております。  それでは一体どういう工合にしたらいいのか、一体切下が必要なのか、それともこのままでこの影響が受けられるのかというようなことになるのであります。我々といたしましては、これはいろいろな今後の努力、政府筋の努力もありましようし、業界の努力もありましようし、或いは海外事情改善への努力というようなこともいろいろありましようが、とにかくそういうような努力によつてやつて行かれると、とにかく当座のうちは先程申上げましたようないろいろなハンディキャップによつて売れてはおらんが、併しこれはやつて行けるというような考えを持つております。  それで、その対象として私共が考えておりますのは、すでに各方面でも言われておりますが、先ず民間側の企業合理化、これは内容的に見ますと、輸入操作その他によつて原料を安くする、これは非常に重大なことでありまして、原料を安く手に入れるかどうかというようなことは、その製品の値段を決める上に非常に大きな影響があるのであります。国内品についても、従来のように全部マル公ではなかなか行かん、相当程度の闇があるというような場合には、やはりこれは非常に影響がある。まして海外からの輸入品を受けて、そうしてそれを使う場合には、これは非常な影響がありまして、これは先程の副長官のお話の中にもありましたが、今後輸入操作その他が民間の方に相当移るというようなことになれば、そこに民間の創意工夫が入り得て、原料コストというものは非常に安くなるのじやないか。或いは国内の原料もそういうようなのと同じ意味において、節約し、良質のものを使うというようなことが必要ではないか。  それから第二には、経営及び労働の能率向上並びに技術の向上というようなことでありまして、これはイギリス品とアメリカ品が能率の点において非常に違う。それで同じ機械でも値段の方で競争ができないというのは、現在においても存しておることであります。況んや、我が国のいろいろな製作能率というようなもの、これは労働能率が当然影響して来るのであります。経営能率もこれに加えまして、そういうものを改善し、向上するということはまだまだ残されておるところであろうかと思うのであります。それから、これは非常に金融方面のことも伴いまして、各業者の財力関係のことも又これに加わりまして、むずかしいことではありますが、いろいろな設備、優秀機械といいますか、機械設備のよいのを成るべく使うようにするということが又必要である。それから操業度の向上ということが必要でありまして、例えば従来二割しか操業していない、或いは三割しか操業していないというようなものを、何かの方法によつてこれを八、九割乃至十割の操業度にするというようなことになれば、これは当然コストの引下げになる。このよい例は、最近の羊毛の輸入でありまして、最近多量に入つて参りましたあの羊毛の輸入によりまして、従来三、四割程度の操業度が、あの方の工業においては約八、九割くらいになつたというようなことを聞いております。そのために、そのコストというものも十分海外への競争力を現わして来るというようなことを聞いております。  それから、只今申しましたのは民間側でありまするが、次は、政府側といたしましても、ここに努力が要るのではないか。例えば現在の金利の問題でも、いろいろな事情はございましようが、やはりこれも国際水準への鞘寄せというようなことも大いに考えて、これを妨げるいろいろの事情があれば、成るべくこれを排してそちらの方に持つて行くということが必要だろうと思うのでありまして、輸出品の原価計算、或いは輸入品を持つて来る場合の金融というような上において、金利が高いというようなことは非常に影響があるということは、御承知の通りであります。それから、これは最近は非常にまあ促進されておると我々も考えておりますが、政府自体のいろいろな民間に対する支拂、これも大いに促進にこの上とも努力をしなければならん。この支拂の滞るということが結局金融逼迫にもなる大きな原因にもなるのでありまして、我々といたしましては、これは自粛自戒いたしまして、この方面に邁進するということが、この目的に適うものと思うのであります。それから輸入輸出に関しまして、金融操作上今後協力をすることがいろいろあると思いますが、これはその内容その他が多岐にも亙りますし、今後の問題にも関係いたしますので、ここではその程度にいたして置きます。こういう工合にいたしまして、輸出商品のコストを引下げる、それから尚その外に、これは最近言われております、業界代表その他の海外派遣とか、或いは本邦商社の海外支店設置とか、G・I・F制の採用とか、それから海外諸国における関税制度のうち、衆が国に非常な不利な扱いを受けておるところが多多あるのでありますが、こういうものを至急に改正して貰いたい。例えば、外国品に対して四%税をかける、その場合に我々の方に一割かける、当然そこに六分の差が起るのでありまして、レートの差その他と或る点においては比較になり、或いは比較以上の重大さを持つておるのでありまして、この関税制度の改正ということは非常に必要なことだと、アメリカあたりで非常にその点は好意を持つてやつて貰つておるのでありますが、まだまだそれが実現できないというようなことは遺憾なことでありまして、今後ともその改善といいますか、よい結果をもたらすようなことに我々としても努力しなければならん、こう考えております。それでこういうようなことをやれば一応そこで競走力が出て来て、そうして対抗できるのだ。こう考えているのでありますが、ここにもう一つ非常に重要に考えなければならん点があるのでありますが、それは若しも戰前の自由競争、自由貿易の時代であつたならば、こういう工合に三十内外の国が切下を行なつた場合には、我が国が貿易国の一員としてその中に入つている場合に当然これに対抗するものは切下の一手でありまして、その外いろいろな策を採ることは、これは勿論時宜に適した策ではないのであります。ところが現在におきましては、これが非常に違う、どこが違うかと申しますと、現在は協定貿易の時代でありまして、特に我が国といたしましては、協定がなければやつて行けないのであります。それで御承知のようにイギリスを初めといたしまして、各国と協定貿易をやつているので、協定貿易というものは輸入をしただけ輸出ができる、輸出しただけ輸入ができる。つまり輸出、輸入がバランスする協定をして、それで初めて成立して行くのであります。我が国側といたしましては、この輸出を是非努力しなければならないという蔭には、輸入を大いにしなければならんというようなことがあるのでありまして、これが先程の切下その他の問題と又絡んで参りまして、例えば切下によつてどちらが得するか、これは輸入が得し、輸出が損するのは当然であります。我々といたしましては、その得する輸入の方をこの際利用いたしまして、例えばイギリスとのポンド地域との昨年の協定におきまして、輸入が協定額までなかなか達しない、輸出はその前に協定額以上に達してしまつている。そのために輸出はストツプされてその後できなかつたというようなことを救うには、とにかくこの際輸入をしなければならん、そうするとここに切下げられたポンドの開きというものを輸入の方に充てる、そうして大いに輸入するということが必要ではないか、そうして安いものを材料として出すという方が今の場合には適当ではないかというように考えております。つまりいろいろな観点からいたしまして、現在外国においては我が国の品物が相当安く売られている。それから今後いろいろな方法を以て対すれば、とにかく我が国の商品の値段を大体において……例外はありますが、大体において競争し得るところまで持つて行ける。それから協定貿易を大いにやつているのだから、輸入をどうしてもしなければならないし、輸入をするには我が国としてはレトを切下げられたままで、そのままで、とにかくやる方が必要じやないか。企業の合理化というものも、とにかく三百六十円一本になつてからこれまでやつて来たのだから、もう少しここで、やり進める方がいいのではないかというようなことが考えられるのでありまして、実情、方法、そういうようなあれこれの條件を考えて見ますととにかく今取敢えず先程しばしば申上げましたように、いろいろな影響が来ており、この影響は耐えられるし、とにかく今後の我々の対策如何によつては、禍を福となし得るのではないか、こういうように考えております。一応御説明申上げました。

安達良助民主党

○理事(安達良助君) それでは所定の方々から一応御説明がございましたのでこれから質問に入りたいと思いますが、経団連の堀越さんが時間の都合で三時までに帰らなければならないという実情でございますので、最初に堀越さんの方の質問からやつて頂きたいと思います。……御質問がなければ安本の方の方に御質問をお願いしたいと思います。

奥むめお緑風会

○(奥むめお君) 私遅く来まして、もう少し伺いたかつたのですが、ローガン構想に基いて行きますと、価格統制とか、配給とかいうものは外されると予想するより外にないのでありますか、そういう事態の経過はどういうふうになつておりますか。

山本米治経済安定本部副長官

○政府委員(山本米治君) ローガン構想というのは差当り輸出入の手続に関する問題でありますが、これを緩和する、これに自由の要素をずつと多く入れようということでありまして、この対外面の統制を取りますと、国内面にも当然及んで来ますので、まだ一切が自由というまでにはなりませんけれども、相当幅に国内の統制も緩和されると思います。即ち物資の割当とか、そういうものも少くなりますし、又マル公というか、公定価格制度というものもうんと少くなります。それから又補給金なども、これはさなきだにそういう方向に進んでおるのでありますが、今後こういうものを撤廃して行く、こういう方向に行くだろうと思います。

西川昌夫民主自由党

○西川昌夫君 ちよつとお伺いいたしますが、ボンドの切下問題に直接関係ないと思いますが、対中国との貿易に対する政府当局の考え方をお話し願えませんか。

山本米治経済安定本部副長官

○政府委員(山本米治君) これはどうもむずかしいですね。昔中国というものが日本の大きな市場であつた。これが今殆んどストツプ状態でありますから、日本の貿易がなかなか思うように行かないのでありますが、こは政治と密接に関係をしておりまして、まだ日本は講和條約ができておりませんので、中国を承認する、しないさえも、そういう行為はできないことになつております。まだ占領軍の管理貿易という時代でありますから、一切はかかつて進駐軍の政策にあるのでありますから、こういう点については、我々まだ何とも申上げられないのでありますが、今のところはそういう状態であります。香港を通じて相当中継貿易は行われておるだろうと思います。政治問題に非常に密着しておりますので、ちよつと我々も分りませんのです。

横尾龍民主自由党

○横尾龍君 今の円の切下ということに対する問題とか、或いは切下げない方がいいとか、悪いとかという不安を消す方法を政府が勿論国内だけではありませんが、外国に対しても何らかの方法で、声明だけではなく、具体的にそれをば採られるという方法か何か研究されておりますか。

山本米治経済安定本部副長官

○政府委員(山本米治君) これは先程申上げましたように、切下をやるならば、具体的に三割なら三割切下げるということでありますから、その翌日又あるということはなかなか思えない。イギリスにおきましては三割切下げた後もすでに第二の切下が問題になつておるそうであります。これは極く僅かでありましようが、外電を見ましても、今度一ポンドが二ドル八十セントに切下げられたそうでありますが、ポンドの闇価格というものは、すでに二ドル五十セントというものが出ておるそうであります。こういうところから第二の切下というものが極めて一部ではありますが、言われておるそうであります。切下をしないということを内外人をして信用せしめるということは非常にむずかしいのであります。切下げないという声明があるのでありますが、声明というものが、先程申上げましたが、こういう事柄についてはとにかく信用が薄いということでありまして、それには円が三百六十円でやつて行けるということを、そういう方法に非常に努力するということを、具体的に示すということが信用させるゆえんであろうと思うのであります。それについては單純に切下ということばかりではなく、いろいろな策がありましようが、これを一つずつでも実行に移すということでありまして、その中の一つは今までフロア・プライスというものの廃止が問題になつておりましたが、これがつい最近、数日前撤廃されまして、これなども一つの措置ではあると思います。それから又日本の輸入するものの中には、輸入も輸出もそうでありますが、大部分外国の船を使つておるわけであります。この運賃というものが相当高い。物によつては、運賃がもう輸入品の半分近くを占めるようなものもあるわけでありまして、その運賃の部分がつまり価格の半分近くにも相当する。運賃が安く行けば、相当輸入価格が安く行く。或いは輸出価格も安く輸出できるという関係もありますが、こういう点について日本の船がもつと外洋に出られるようにするということは、かねがね日本側の希望でもありますし、こういうことを実行を持つて示して貰えれば、成る程そういうことならばやつて行けるかも知れないという、信用させる一つでもあります。その他C・I・F輸出について、今までは皆日本の港渡しの値段になつておりますが、又国際慣例に従いまして、輸出をC・I・Fにすれば、保險運賃の附いた価格にするということになれば、信用も上るが、この春から実現すると言つてまだ実現しない。実際これをやつて行けば、三百六十円堅持に対する一つの要素になる。もう一つ大きな点は、これ又散々言われていることでありますが、日本が管理下の貿易であつて、海外市場に対して盲である。この盲貿易を打開するということになれば、非常に貿易上有利になるのではないか。これは今までは同じ物を作つて、外国の好みがどうである、デザインに対してどうであるかというようなことを、いわば知らずに作つているわけであります。外国からバイヤーが一昨年以来入つておりまして、バイヤーによる情報が多少ありましようが、まだ十分国際事情が分らないために、下手に模樣をつけているために、或いはやり方がちよつとしたところが拙いために、相当の値段で売れるものが安く買取られているというようなこともあるでありましよう。それでこの海外渡航、なかんずく業者の海外渡航ということをやつて頂ければ、これ又ですね。同じ原料、同じ労力でも、今までよりも大して多く使わずに値段を安くできるということになります。この点につきましては御承知の通り六月二十五日に輸出外貨優先使用制——リテンシヨン・プランというものを作つて、輸出業者は輸出商品の種類によりまして、三%若しくは六%、最高のものは一〇%でありますが、こういう金額、例えば百万ドル輸出した場合に商品により、三万ドル、或いは六万ドル、或いは十万ドルを輸出業者若しくはメーカーというものがこれを使い得ることになるわけであります。尤も使うといつてもただではありませんが、日本の円を拂わなければならないのでありますが、この留保された外貨によつて、先ず第一の用途は海外へ旅行することでありまして、海外市場を視察に行くことであります。或いは場合により、これで原料を輸入することができる。或いは広告等に使うこともできる。或いはサンプルの輸入、或いはパテントの輸入というようなものにも使えることになつたのであります。一番大きな目標は海外市場の視察でありますが、こういうようなことについて日本の業者が直接外国へ行つて市場の模樣を見るということになりますれが、これに応じて日本の製品も工夫して行くということによつて、値段が、同じ原料、同じ労力を使つて余計売れるということになりましよう。これは高く売れるということになりますれば、これ又三百六十円を維持する上に有利な條件になる。その他先程貿易局長からいろいろ対策としてお話がありましたような事柄でありますが、或いは関税上の取扱の差別をなくしてしまう。或いはいわゆる最惠国待遇を与えて貰うというようなことから直ぐに三%、六%違つて来る。こういうようないろいろな手段を、この中には日本側だけでもできるものもあるし、進駐軍の心配を願わなければならんことも多々あるのでありますが、こういうことを次々と手を打つて貰うということになれば、あの三百六十円をどこまでも堅持するのだというような一片の声明でなくて、国内の業者も、或いは世界の人々も、成る程これならば三百六十円でやつて行けるかも知れないということを段々信用するのではないかと思うのでありまして、私はただ一片の声明じやなかなかこういう事柄の性質上信用しない。これには具体的な措置が伴わなければならんと言つたのはこういう事柄であります。

谷林正敏経済安定事務官(貿易局長)

○説明員(谷林正敏君) いろいろ最近調べまして、先程申上げました各業者からいろいろ来て貰つて、調べて、それで聞いて見ますと、随分或る品物はこちらのF・O・Bと向うで売る場合との差がある、或いは三倍四倍、そうすればその何倍というものを一つ、四倍五倍にするだけでも非常な違いがあります。その違いがどこにあるかということは、いわゆる盲貿易というもので、少しも分らない。向うへ行つておれば直ぐ分る。もう一つは、パツキング—いろいろな包装して出すそのやり方一つで実に違いが起る。運賃の違い、パツクの扱い方の違い、それから向うへ行つて、どの程度で売れば競争になるか。例えば二割五分差がある。日本では、差がなければ売れないということを一応説明されておりますが、向うへ行けば必ずしもそうでない。これは一割でもいいというような点もある。こういうことは悲しいかな現地に人がいないから分らない。どうしても、円の切下よりは即時の対策としては、日本の業者が向うへ行くということがどうしても必要であります。

山本米治経済安定本部副長官

○政府委員(山本米治君) 日本からアメリカへ出る商品の一つに、ラツカーナイトセツト、陶器でありますが、これも戰前においては、大体こつちの積出価格の三倍に売られておつた。消費者価格は最近は四倍、このラツカーナイトセツトは二十二、三ドル、向うのデパートで買うと、百ドル、或いは百ドルを超えているらしい。最近はこれが下つて来て、十七、八ドル、見本陶器で出しても、サンプルでも十八、九ドル、これがアメリカのデパートへ行つてどうなつているか、そんなに大して下つていないと思います。仮に百ドルとなると、五倍以上の差がある、或いは九十ドルに下つているかも知れない。これはなぜかというと、消費者が買う値段の五分の一、そのあとは運賃その他で、向うの関税もありましようし、或いは向うの卸売業者、小売業者の利益も入つて来る、そのうちの例えば運賃が少し下れば、こつちの輸出価格を三十ドルか二十五ドルにしてもよろしい。三十ドルにしても、向うの売値は違わない。そういうところに運賃とか、そういうものの要素が非常にある。今の円を切下げるかどうかということは、こつちの輸出価格を、十七ドルなら十七ドルについての差が、こつちが三ドル下れば、今の十七ドルのものを十五ドルか十四ドルに売れるということになるが、向うの採算価格が十七ドルでは問題にならない。だから円を切下げるということは、向うの価格の一部分です。もう一つの問題は、今日成る程価格は売れるか売れないかの非常な要素であることは間違いない。併し今国際貿易は自由でないから、価格の占める割合は、自由貿易に比して少い。向うで輸入制限をやつている、或いは輸入割当をやつている。日本の商品が、こういう物はこれだけしか入らないということが決まつておれば、値段を一割下げようが、三割下げようが、それより売れない。そういうことになりますから、値段を一割下げたら、じやあ一割販路が拡大するとか、或いは二割売れるとかということになつていない。今のような協定貿易による輸入制限、輸入割当があれば、そういうことになる。価格切下の要素が比較的小さいわけです。ですからその貿易條件の改善ということは、ちよつとぐらい為替を切下げるということよりも余程大きな効果があるわけです。そういう効果は占領下の日本としては止むを得ないことではありますけれども、打つべき手は非常にある。それを例えば條件が十あるうち三つなり四つなり打開ができれば、円を二割や三割切下げたよりもずつと大きな効果がある。こういうわけです。これも多くはアメリカにやつて貰わなければならないことがあるものですからあれですが、日本側でやるべきことも相当あると思う。

西川昌夫民主自由党

○西川昌夫君 一般の当業者は不安を持つているということは事実ですが、ポンド地域は殆んど、三十何ケ国下げたということですが、日本の現在の立場とすれば、ドル区域に、一面考え得るのですが、日本の立場のような国が下げた例はあるのですか。ドル区域の……

山本米治経済安定本部副長官

○政府委員(山本米治君) ドル地域の国ですか。どうですかね。ポンド地域でもパキスタンは下げなかつたですね、たしか。ドル地域に属する国で、下げた国はカナダが一一%かそこら下げた。これはイギリスに対する同情ですね。

西川昌夫民主自由党

○西川昌夫君 これは政策論になりますが、いわゆるドツジ・ラインで非常にこの春以来強行されまして、インフレは非常に喰止まつて目的を達し過ぎて、デフレになつて財界は困つているようなんですが、あれに盛られた何は先程もお話があつたようですが、輸出振興によつて日本を自立させるということは、インフレを收束するという以上に、あの中に盛られておるのですが、あれを強行すると同時に、日本政府として、輸出振興に今いろいろお説のようなことが、直ちになぜ実行しなくて、半年以上も放置されたかということは怠慢の譏りがあるのではないかと、かように思う。

谷林正敏経済安定事務官(貿易局長)

○説明員(谷林正敏君) 放置ではないと思うのですが。

西川昌夫民主自由党

○西川昌夫君 ポンドが切下げられて、非常に新聞やいろいろの言論機関その他で問題になつて来たのですが、ドツジ・ラインと同時に、インフレ等の車の両輪のごとく、そういつた海外渡航の問題だとか、日本の船舶を段々外洋に出して来るとか、或いはいろいろその附随的な銀行とか保險とかいう仕事もあり、どんどん足枷、手枷に縛られていたのを、ドツジ・ライン予算の組立てをする当時頃に、どんどん解放して自由にやれというような段階のときに喰下がつて、向う樣の処置をやつて貰えるようにしなかつたのでしようか。

谷林正敏経済安定事務官(貿易局長)

○説明員(谷林正敏君) これは結果から申しますと、そういうことになるのでございますけれども、スタートは実にその当時に遡つておると思います。恐らく御承知のように、C・I・Fなんかは今年の夏からは……

山本米治経済安定本部副長官

○政府委員(山本米治君) 四月からだ

谷林正敏経済安定事務官(貿易局長)

○説明員(谷林正敏君) 相当に騒いだのは夏ですが、その頃から騒いでもまだ行つてない。実はC・I・Fのことは去年あたりから始まつておる。それについて日本の保險会社がどうやつて一体競争的に保險がつけられるか。そのポンド勘定をどうするかということは今年の初めからいろいろやつておる。  それから海外渡航の問題も、これもその頃からの問題です。実はもう今年の初めから全部が問題になつておるわけです。ただあれがときどきああいう工合に、例えば新聞に出るということは、日本政府としても、そう毎日向うに、今日はどうです、明日はどうですとも言えない。まあいろいろな時があるのを、利用するということはおかしいのですけれども、そういうことがある度に是非あれはやつて貰いたい。お題目みたいにはなつておりますが、これは決してこのポンドを切下げてから起つたことじやない。全部がその前からやつております。ただ海外渡航のようなのは、あれが例えば四月からできる、八月にはいいだろうと言いながら遅れておるのは、我々としても非常に困つておりまして、たびたび向うのG・H・Qの方にも申し出ておる。GH・Qとしてもいろいろ努力させております。ところがこれが先の受入国の関係がありましてどうしてもスムースに行つておらない。併しこれもこういうような時代になればどうしてもやつて貰わざるを得ない。早くは実現すると思いますが、どうしてもそういうような関係で、従来申上げておることでも、或いは年内に済まないこともあるかも知らんというのですが、政府側の努力といたしましてはもう最初からやつております。

山本米治経済安定本部副長官

○政府委員(山本米治君) 対外問題は日本がまだ講和條約ができておらないということが、あらゆることが引つ掛かつて来まして非常に面倒なんです。結局は、アメリカが推してやつて呉れればそれが事業となつて行くでしようけれども、法律上のことを言い出しますと、実際にもまだ何にもできないということが建前です、講和條約前ですから……一体言えばイギリスなんかはまだまだエネミー・トレーディング・アクトというものがあつて、日本とは取引ができないことになつております。事業イギリスからバイヤーが来ておりますけれども、そういうところに非常に困難があるわけです。事一旦対外問題になりますと、非常に法律上は面倒なことになるので、アメリカも事実上の講和を一歩々々進めて行くという建前でこの頃はやつておるわけです。そういう法律上の問題は拔きにして、事実上一歩々々やつて行つて呉れるという方に向つておるように見えるのでございますが、どうもなかなかすつと事務的にこういうことは行かないのですね。

安達良助民主党

○理事(安達良助君) 他に御質問がなければ、本日はこの程度で散会いたしたいと思ひますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安達良助民主党

○理事(安達良助君) それでは異議がないようでございますから、本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後三時八分散会  出席者は左の通り。    理事            西川 昌夫君            安達 良助君    委員            椎井 康雄君            横尾  龍君            奥 むめお君            藤井 丙午君   政府委員    経済安定本部副    長官      山本 米治君   説明員    経済安定事務官    (貿易局長)  谷林 正敏君    経済団体連合会    事務局長    堀越 禎三君

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